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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/50 20060101AFI20240918BHJP
   B65D 5/10 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
B65D5/50 B
B65D5/10 C
B65D5/10 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021066592
(22)【出願日】2021-04-09
(65)【公開番号】P2022161638
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】袴田 亮平
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-186250(JP,A)
【文献】特開2005-298027(JP,A)
【文献】特開2019-214416(JP,A)
【文献】特開2020-083335(JP,A)
【文献】実開昭56-046520(JP,U)
【文献】特開2000-203562(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0210423(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/50
B65D 5/10
B65D 5/22
B65D 51/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板に連設された前後一対の側板と、
前記底板に連設された左右一対の端板と、を備え、
前記側板の上縁部には、前記側板と間隔を空けて前記側板の内方に折り返された側板内壁が連設されており、
前記端板の上縁部には、前記端板と間隔を空けて前記端板の内方に折り返された端板内壁が連設されており、
前記底板と、前記側板内壁と、前記端板内壁とにより囲われた領域により、上面が開口された収容部を形成しており、
前記側板内壁の左右両端部には差込み溝が形成されており、
前記端板内壁の前後両端部には差込み片が形成されており、
前記差込み片が前記差込み溝に差し込まれることで、前記側板と前記側板内壁との間隔、及び前記端板と前記端板内壁との間隔が保持されており、
前記側板及び前記側板内壁の上部には、前記収容部に連通する側面開口部が形成されており、
前記差込み溝は、前記側板内壁の左右両端部の上縁部から下縁部に向けて延在しており、前記上縁部における溝幅が延在端における溝幅よりも幅広に形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
底板と、
前記底板に連設された前後一対の側板と、
前記底板に連設された左右一対の端板と、を備え、
前記側板の上縁部には、前記側板と間隔を空けて前記側板の内方に折り返された側板内壁が連設されており、
前記端板の上縁部には、前記端板と間隔を空けて前記端板の内方に折り返された端板内壁が連設されており、
前記底板と、前記側板内壁と、前記端板内壁とにより囲われた領域により、上面が開口された収容部を形成しており、
前記側板内壁の左右両端部には差込み溝が形成されており、
前記端板内壁の前後両端部には差込み片が形成されており、
前記差込み片が前記差込み溝に差し込まれることで、前記側板と前記側板内壁との間隔、及び前記端板と前記端板内壁との間隔が保持されており、
前記側板及び前記側板内壁の上部には、前記収容部に連通する側面開口部が形成されており、
前記端板内壁には、前後方向に延在する折曲誘導線が形成されており、
前記折曲誘導線によって前記端板内壁が折り曲げられた状態で、前記差込み片が前記差込み溝に差し込まれていることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
底板と、
前記底板に連設された前後一対の側板と、
前記底板に連設された左右一対の端板と、を備え、
前記側板の上縁部には、前記側板と間隔を空けて前記側板の内方に折り返された側板内壁が連設されており、
前記端板の上縁部には、前記端板と間隔を空けて前記端板の内方に折り返された端板内壁が連設されており、
前記底板と、前記側板内壁と、前記端板内壁とにより囲われた領域により、上面が開口された収容部を形成しており、
前記側板内壁の左右両端部には差込み溝が形成されており、
前記端板内壁の前後両端部には差込み片が形成されており、
前記差込み片が前記差込み溝に差し込まれることで、前記側板と前記側板内壁との間隔、及び前記端板と前記端板内壁との間隔が保持されており、
前記側板及び前記側板内壁の上部には、前記収容部に連通する側面開口部が形成されており、
前記差込み溝には、別体のカバー部材が差込み可能であることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
前記側面開口部は、上端部の左右方向の開口幅が下端部の左右方向の開口幅よりも幅狭に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衝撃から物品を保護する梱包用緩衝体が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の緩衝体は、物品の梱包に際し、物品とともに外箱内に収納するものである。
【0003】
特許文献1の緩衝体は、1枚のブランクシートを罫線に沿って山折りまたは谷折りすることで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-208730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の緩衝体は、外箱と別体に形成されるものであるため、使用時にはその都度物品とともに外箱内にセットする必要があった。このため、梱包作業が煩雑であった。
また、特許文献1の緩衝体は、構造が複雑であり、罫線に沿って山折りまたは谷折りする箇所が多く、ブランクシートからの組み立てが煩雑で、梱包作業に時間を要していた。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決し、外部からの衝撃を抑制できるとともに、梱包作業を短時間で容易に行うことができる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明の包装箱は、底板と、前記底板に連設された前後一対の側板と、前記底板に連設された左右一対の端板と、を備えている。前記側板の上縁部には、前記側板と間隔を空けて前記側板の内方に折り返された側板内壁が連設されている。また、前記端板の上縁部には、前記端板と間隔を空けて前記端板の内方に折り返された端板内壁が連設されている。そして、前記底板と、前記側板内壁と、前記端板内壁とにより囲われた領域により、上面が開口された収容部を形成している。前記側板内壁の左右両端部には差込み溝が形成されており、前記端板内壁の前後両端部には差込み片が形成されており、前記差込み片が前記差込み溝に差し込まれることで、前記側板と前記側板内壁との間隔、及び前記端板と前記端板内壁との間隔が保持されている。前記側板及び前記側板内壁の上部には、前記収容部に連通する側面開口部が形成されている。前記差込み溝は、前記側板内壁の左右両端部の上縁部から下縁部に向けて延在しており、前記上縁部における溝幅が延在端における溝幅よりも幅広に形成されている。
【0008】
本発明の包装箱では、前後の側板に連設された前後の側板内壁と、左右の端板に連設された左右の端板内壁とにより、前後左右を囲むように物品を収容できる。
また、前後の側板内壁と左右の端板内壁とは、差込み溝に差込み片を差し込むことで、前後の側板と左右の端板との間に間隔を保持して配置されるので、側板を介して入力される前後方向の衝撃及び端板を介して入力される左右方向の衝撃を抑制できる。したがって、入力された衝撃が物品に直接伝わることがなく、耐衝撃性に優れる。
また、包装箱の組み立ては、前後の側板内壁を側板の内方に折り返すとともに、左右の端板内壁を端板の内方に折り返し、その過程で差込み溝に差込み片を差し込む作業を行えばよいので、組立作業を短時間で行うことができる。また、上面の開口を通じて物品を収容できるので、梱包作業が行い易い。
さらに、側板及び側板内壁の上部に形成された側面開口部を通じて、収容部に収容された物品を掴むことができるので、包装箱を開梱することなく物品を容易に取り出すことができる。
また、差込み溝の上縁部における溝幅が延在端における溝幅よりも幅広に形成されているので、差込み片が差込み易くなり、包装箱の組立性が向上する。また、差込み片が差込み溝の延在端に保持され易くなり、包装箱の保形性が向上する。
【0013】
前記課題を解決するため本発明の包装箱は、底板と、前記底板に連設された前後一対の側板と、前記底板に連設された左右一対の端板と、を備えている。前記側板の上縁部には、前記側板と間隔を空けて前記側板の内方に折り返された側板内壁が連設されている。また、前記端板の上縁部には、前記端板と間隔を空けて前記端板の内方に折り返された端板内壁が連設されている。そして、前記底板と、前記側板内壁と、前記端板内壁とにより囲われた領域により、上面が開口された収容部を形成している。前記側板内壁の左右両端部には差込み溝が形成されており、前記端板内壁の前後両端部には差込み片が形成されており、前記差込み片が前記差込み溝に差し込まれることで、前記側板と前記側板内壁との間隔、及び前記端板と前記端板内壁との間隔が保持されている。前記側板及び前記側板内壁の上部には、前記収容部に連通する側面開口部が形成されている。前記端板内壁に、前後方向に延在する折曲誘導線を形成し、前記折曲誘導線によって前記端板内壁が折り曲げられた状態で、前記差込み片が前記差込み溝に差し込まれている
【0014】
本発明の包装箱では、前後の側板に連設された前後の側板内壁と、左右の端板に連設された左右の端板内壁とにより、前後左右を囲むように物品を収容できる。
また、前後の側板内壁と左右の端板内壁とは、差込み溝に差込み片を差し込むことで、前後の側板と左右の端板との間に間隔を保持して配置されるので、側板を介して入力される前後方向の衝撃及び端板を介して入力される左右方向の衝撃を抑制できる。したがって、入力された衝撃が物品に直接伝わることがなく、耐衝撃性に優れる。
また、包装箱の組み立ては、前後の側板内壁を側板の内方に折り返すとともに、左右の端板内壁を端板の内方に折り返し、その過程で差込み溝に差込み片を差し込む作業を行えばよいので、組立作業を短時間で行うことができる。また、上面の開口を通じて物品を収容できるので、梱包作業が行い易い。
さらに、側板及び側板内壁の上部に形成された側面開口部を通じて、収容部に収容された物品を掴むことができるので、包装箱を開梱することなく物品を容易に取り出すことができる。
端板内壁に折曲誘導線を設けておけば、端板内壁を端板の内側に折り曲げる過程で、差込み片が差込み溝にスムーズに差し込まれることとなり、包装箱の組立性が向上する。
【0015】
前記課題を解決するため本発明の包装箱は、底板と、前記底板に連設された前後一対の側板と、前記底板に連設された左右一対の端板と、を備えている。前記側板の上縁部には、前記側板と間隔を空けて前記側板の内方に折り返された側板内壁が連設されている。また、前記端板の上縁部には、前記端板と間隔を空けて前記端板の内方に折り返された端板内壁が連設されている。そして、前記底板と、前記側板内壁と、前記端板内壁とにより囲われた領域により、上面が開口された収容部を形成している。前記側板内壁の左右両端部には差込み溝が形成されており、前記端板内壁の前後両端部には差込み片が形成されており、前記差込み片が前記差込み溝に差し込まれることで、前記側板と前記側板内壁との間隔、及び前記端板と前記端板内壁との間隔が保持されている。前記側板及び前記側板内壁の上部には、前記収容部に連通する側面開口部が形成されている。前記差込み溝には、別体のカバー部材が差込み可能である
【0016】
本発明の包装箱では、前後の側板に連設された前後の側板内壁と、左右の端板に連設された左右の端板内壁とにより、前後左右を囲むように物品を収容できる。
また、前後の側板内壁と左右の端板内壁とは、差込み溝に差込み片を差し込むことで、前後の側板と左右の端板との間に間隔を保持して配置されるので、側板を介して入力される前後方向の衝撃及び端板を介して入力される左右方向の衝撃を抑制できる。したがって、入力された衝撃が物品に直接伝わることがなく、耐衝撃性に優れる。
また、包装箱の組み立ては、前後の側板内壁を側板の内方に折り返すとともに、左右の端板内壁を端板の内方に折り返し、その過程で差込み溝に差込み片を差し込む作業を行えばよいので、組立作業を短時間で行うことができる。また、上面の開口を通じて物品を収容できるので、梱包作業が行い易い。
さらに、側板及び側板内壁の上部に形成された側面開口部を通じて、収容部に収容された物品を掴むことができるので、包装箱を開梱することなく物品を容易に取り出すことができる。
また、カバー部材で物品の上面の少なくとも一部を覆うことができる。また、カバー部材を物品に関する伝票等の貼付スペースとして利用することができる。また、カバー部材を付け替えるだけで別の物品を収容できるので、包装箱の再利用性に優れる。
前記側面開口部は、上縁部における左右方向の開口幅が下端部における左右方向の開口幅よりも幅狭に形成されていることが好ましい。
このように構成することによって、側板及び側板内壁の上縁部の強度を確保しつつ側面開口部の下端部を左右方向に幅広に形成できるので、側面開口部を通じた物品の視認性に優れるとともに、物品を収容部に収容する際の収容性や取り出す際の把持性に優れる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の包装箱では、外部からの衝撃を抑制できるとともに、梱包作業を短時間で容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱を示した斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る包装箱を示した正面図である。
図3B】本発明の一実施形態に係る包装箱を示した一部省略縦断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る包装箱を示した平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る包装箱の組み立て手順を示した斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る包装箱の組み立て手順を示した斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る包装箱の組み立て手順を示した図であり、左端板内壁を折り曲げて差込み片を差込み溝に差し込む際の様子を示した斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る包装箱に使用されるカバー部材を示した図である。
図9】本発明の一実施形態に係る包装箱に物品を収容してカバー部材を装着した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下では、前後左右の方向は包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、本発明の包装箱の構成を限定するものではない。
【0020】
図1に示すように、包装箱1は上面が開口した略直方体形状を呈している。包装箱1は、筒状の胴部10と、胴部10の下側開口部に形成された底板3とを備えている。底板3は、下側開口部を閉じる蓋となる。包装箱1は、緩衝体として機能する側板内壁14,14及び端板内壁18,18を一体的に備えている。包装箱1は、底板3と、側板内壁14,14と、端板内壁18,18とにより囲われた領域により、上面が開口された収容部20を備えている。
【0021】
包装箱1は、図2に示すように、一枚の段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各罫線(折線)において山折りまたは谷折りすることで形成される。図2のブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
なお、罫線に切れ込み(ハーフカット線等)を形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
【0022】
胴部10は、四角筒状を呈しており、前後一対の側板11,11と、左右一対の端板12,12とを有している。一対の側板11,11は、同形状であり、前後方向に間隔を空けて対向している。一対の端板12,12は、同寸法の矩形形状を呈しており、左右方向に間隔を空けて対向している。
【0023】
側板11と端板12とは、ブランクシートSの長手方向に交互に連設されている。一方の側板11の長手方向外側には、帯状の連設部10aが連設されている。連設部10aは、他方の側端部に位置する端板12の端部内面に貼り付けられる。側板11と端板12とを区画する各境界部には、包装箱1の組立時に折目となる縦罫が形成されている。各縦罫は縦方向(高さ方向)に延在する押罫にてなり、平行に形成されている。側板11と連設部10aとの境界部にも、縦罫が形成されている。なお、各端壁12の上部には手掛け部12aが形成されている。
【0024】
底板3は、図4に示すように、前側の側板11の下縁部に連設された前部フラップ31と、両端板12,12の下縁部に連設された左右一対の端部フラップ33,32と、後側の側板11の下縁部に連設された後部フラップ34と、を備えている。
【0025】
前部フラップ31は、罫線を介して前側の側板11の下縁部に連設され、胴部10の下側開口部の前半分の領域を塞いでいる。
左側の端部フラップ33は、罫線を介して左側の端板12の下縁部に連設されている。左側の端部フラップ33の前部は、前部フラップ31の左部の下面に重ねられている。右側の端部フラップ32は、罫線を介して右側の端板12の下縁部に連設されている。右側の端部フラップ32の前部は、前部フラップ31の右部の下面に重ねられている。
【0026】
後部フラップ34は、罫線を介して後側の側板11の下縁部に連設されている。後部フラップ34は、後端部から先端部34aに向かうに従って左右方向の幅が狭くなる略台形状に形成されている。
後部フラップ34は、左右の端部フラップ33,32の下面に重なるとともに、先端部34aが前部フラップ31の中央部の上面側に差し込まれている。
【0027】
底板3は、前部フラップ31、左右の端部フラップ33,32及び後部フラップ34をアメリカンロック方式に組み合わせることで閉じられている。
【0028】
各側板11,11の上縁部には、図1に示すように、側板11の内方に折り返された側板内壁14が一体的に連設されている。そして、側板11及び側板内壁14の左右方向の中央部には、これらに亘るように側面開口部15が開口形成されている(図2参照)。各側板内壁14,14は、前後で対称形状であるため、以下では一方の側板内壁14について説明する。
【0029】
側板内壁14は、側板11の上縁部に罫線L1を介して連設された縁部13を備えている。縁部13は、側板11の左上縁部及び右上縁部に沿ってそれぞれ帯状に形成されており、側板11の左上縁部及び右上縁部から内側下方に向けて延在している。罫線L1は側板11の下縁部の罫線と平行である。縁部13の上縁部(側板11の上縁部)の高さは、図3Aに示すように、後記する端板12の端板上縁部17の高さよりも一段低くなっている。本実施形態では、縁部13の上縁部と端板12の端板上縁部17との間に段ボール1枚の厚みに相当する段差を形成している。
【0030】
側板内壁14の縁部13に連続する部分は、縁部13の内縁部に罫線L2を介して下方へ延在している。この部分は、側板11との間に縁部13が介在する分の間隔を空けて側板11と略平行に対向している。すなわち、側板11と側板内壁14とによって二重壁構造が形成されている。なお、罫線L2は罫線L1と平行である。
【0031】
側板内壁14の下縁部は、図3Bに示すように、側板11の上下方向の略中央部に位置しており、底板3との間に距離を有している。つまり、側板内壁14は、側板11の上部側にのみ配置されており、側板11の上部側において二重壁構造を構成している。これにより、収容された物品の下部の自由度を確保することができ、物品が倒れにくい構造となっている。なお、図3Bでは、底板3の断面構造を省略して示している。
【0032】
側板内壁14の左右両端部には、図1に示すように、差込み溝16が形成されている。各差込み溝16は、側板内壁14の上縁部(側板11の上縁部)から下縁部に向けて延在しており、図3Bに示すように、上縁部における左右方向の溝幅が延在端における左右方向の溝幅よりも幅広に形成されている。より詳しくは、各差込み溝16の上部側の一辺(側面開口部15側の辺)が上縁部から下方の傾斜終了ポイント16aに向けて溝幅が狭まるように傾斜しており、後記する端板内壁18の差込み片19(図1参照)が差込み易い形状となっている。各差込み溝16の延在端である下端部は、側板内壁14の上下方向の略中央部に位置している。
なお、各差込み溝16の上部開口は、図4に示すように、平面視で前後方向に長い略四角形状を呈している。
【0033】
側面開口部15は、図1図3Aに示すように、側板11及び側板内壁14の上縁部から下縁部に向けて凹状に形成されている。側面開口部15は、図3Aに示すように、上端部15aの開口幅が下端部15bの開口幅よりも幅狭に形成されている。別言すれば、側面開口部15は、下端部15bから上端部15aに向かうに従って左右方向の開口幅が狭くなる断面略台形状を呈している。
側面開口部15の下端部(下縁部)は、側板11の上下方向の中央部から僅かに上側に位置している。側面開口部15の下端部(下縁部)は、側板11の下縁部と平行である。
【0034】
このような側面開口部15は、図2に示すように、縁部13を挟んで長手方向に対称の形状に形成されている。そして、側面開口部15は、図3Aに示すように、側板11の前面側から見て、側板11側の開口縁部と側板内壁14側の開口縁部とが略重なるように配置されており、前側の側板11の前面側から側面開口部15を通じて包装箱1の内側(物品の収容部)に手をスムーズに挿入できる構成となっている。このことは、後側の側板11の側面開口部15についても同様である。
【0035】
各端板12,12の上縁部には、図1に示すように、端板12の内方に折り返された端板内壁18が一体的に連設されている。各端板内壁18,18は、左右で対称形状であるため、以下では一方の端板内壁18について説明する。
端板内壁18は、端板12の上縁部に罫線L3を介して連設された端板上縁部17を備えている。端板上縁部17は、端板12の上縁部に沿って帯状に形成されており、端板12の上縁部から内方に向けて延在している。罫線L3は端板12の下縁部の罫線と平行である。
【0036】
端板内壁18の端板上縁部17に連続する部分は、端板上縁部17の内縁部に罫線L4を介して下方へ延在している。この部分は、端板12との間に端板上縁部17が介在する分の間隔を空けて端板12と略平行に対向している(図3B参照)。すなわち、端板12と端板内壁18とによって二重壁構造が形成されている。なお、罫線L4は罫線L3と平行である。
【0037】
端板内壁18の端板上縁部17に連続する部分には、端板上縁部17の内縁部(罫線L4)から間隔を空けた部位に折曲誘導線L5が形成されている。折曲誘導線L5は、前後方向に延在し、罫線L4と平行であり、端板内壁18を差込み溝16に向けて折り曲げ易くするための補助線として機能する。
【0038】
端板内壁18の前後両側部には、溝部19aを介して差込み片19が形成されている。差込み片19は、端板内壁18の基端側から先端側に向けて延在しており、溝部19a側が湾曲した形状を呈している。差込み片19は、端板12の内方に端板内壁18を折り返す際に、側板内壁14の差込み溝16に差込み可能である(図7参照)。
【0039】
端板内壁18の下縁部は、図3Bに示すように、端板12の上下方向の略中央部に位置しており、底板3との間に距離を有している。つまり、端板内壁18は、端板12の上部側にのみ配置されており、端板12の上部側において二重壁構造を構成している。これにより、上記した側板内壁14と相まって、収容された物品の下部の自由度を確保することができ、物品が倒れにくい構造となっている。
【0040】
次に、包装箱1をブランクシートSから組み立てる際の手順について説明する。初めに、図5に示すように、連設部10aを端板12の端部内面に貼り付けて、胴部10を形成する。これとともに、底板3の上記した各構成要素を組み合わせて底板3を形成し、胴部10の下側開口部を閉じる。
【0041】
その後、図6に示すように、前側の側板11に連設された側板内壁14の縁部13を罫線L1で山折りするとともに、縁部13に連続する部分を罫線L2で山折りし、側板内壁14を側板11の内方に折り返す。その後、後側の側板11に連設された側板内壁14も同様に、後側の側板11の内方に折り返す。
【0042】
そして、図7に示すように、左側の端板12に連設された端板内壁18の端板上縁部17に連続する部分を罫線L4で山折りするとともに、折曲誘導線L5を山折りし、端板内壁18の差込み片19を差込み溝16に差し込む。その後、差込み片19の溝部19aと差込み溝16との係合が深まるように、端板内壁18を下方に押し込む。そうすると、端板内壁18の端板上縁部17の下面が、側板内壁14の縁部13に当接して、端板上縁部17が略水平な状態になる。
【0043】
このように、端板内壁18を折り返すことにより、図1に示すように、差込み片19と差込み溝16を介して端板内壁18が側板内壁14に組み付けられることとなる。組み付けられた状態で、端板内壁18の山折りにされた折曲誘導線L5は、図3Bに示すように、差込み溝16の傾斜終了ポイント16aまたは傾斜終了ポイント16aの近傍位置に当接する。この当接は、端板内壁18と側板内壁14との組み付け状態の維持に寄与する。
【0044】
図8は包装箱1に使用されるカバー部材40を示した図である。カバー部材40には、包装箱1に収容する物品を特定するための伝票やデリバリーシート等を貼り付けることができる。
【0045】
カバー部材40は、略四角形状の貼付部41と、貼付部41の左右に罫線を介して連設された差込部42,42とを備えている。貼付部41の左右寸法は、包装箱1の左右の端板上縁部17,17の離間寸法と略同一である。各差込部42は、前後の差込み溝16,16に架け渡して差し込み可能である。
【0046】
図9は包装箱1に物品としてのバッテリーBを収容してカバー部材40を装着した状態を示す説明図である。図9に示すように、包装箱1の収容部20にバッテリーBを収容する場合には、バッテリーBの前後の上部を両手で掴み、収容部20にバッテリーBをあてがい、両手で掴んだまま側面開口部15,15に両手を挿入するようにして収容部20にバッテリーBを降ろす。
【0047】
その後、カバー部材40を上方から近づけ、各差込部42を前後の差込み溝16,16に架け渡して差し込む。これにより、カバー部材40が包装箱1に装着され、バッテリーBの上面の後部側がカバー部材40で覆われる。なお、カバー部材40の上面と端板上縁部17の上面とは、上記した段差により略面一となる。
【0048】
以上説明した本実施形態の包装箱1では、前後の側板11,11に連設された前後の側板内壁14,14と、左右の端板12,12に連設された左右の端板内壁18,18とにより、前後左右を囲むように物品を収容できる。
また、前後の側板内壁14,14と左右の端板内壁18,18とは、差込み溝16に対する差込み片19の差し込みにより、前後の側板11,11と左右の端板12,12との間に間隔を保持して配置されるので、側板11を介して入力される前後方向の衝撃及び端板12を介して入力される左右方向の衝撃を抑制できる。したがって、入力された衝撃が物品に直接伝わることがなく、耐衝撃性に優れる。
【0049】
また、包装箱1の組み立ては、前後の側板内壁14,14を側板11,11の内側に折り返すとともに、左右の端板内壁18,18を端板12,12の内側に折り返し、その過程で差込み溝16に差込み片19を差し込む作業を行えばよいので、組立作業を短時間で行うことができる。また、上面の開口を通じて物品を収容できるので、梱包作業が行い易い。
さらに、側板11及び側板内壁14の上部に形成された側面開口部15を通じて、収容部20に収容された物品を掴むことができるので、包装箱1を開梱することなく物品を容易に取り出すことができる。
【0050】
また、側面開口部15は、上端部15aの左右方向の開口幅が下端部15bの左右方向の開口幅よりも幅狭に形成されている。このようにすると、側板11及び側板内壁14の上縁部の強度を確保しつつ側面開口部15の延在端を左右方向に幅広に形成できるので、側面開口部15を通じた物品の視認性に優れるとともに、物品を収容部20に収容する際の収容性や物品を収容部20から取り出す際の把持性に優れる。
【0051】
また、差込み溝16の上縁部における溝幅が延在端における溝幅よりも幅広に形成されているので、差込み片19が差込み易くなり、包装箱1の組立性が向上する。また、差込み片19が差込み溝16の延在端に保持され易くなり、包装箱1の保形性が向上する。
【0052】
また、端板内壁18に形成した折曲誘導線L5によって、端板内壁18を端板12の内側に折り曲げる過程で、差込み片19を差込み溝16にスムーズに差し込むことができるので、包装箱1の組立性が向上する。
【0053】
また、差込み溝16には、別体のカバー部材40が差込み可能であるので、カバー部材40を物品に関する伝票等の貼付スペースとして利用することができる。また、カバー部材40は、バッテリーBの上面全体を覆わないので、露出した部分を利用した物品の視認やバーコード等の読み取りも可能である。また、包装箱1に別の物品を収容した場合には、カバー部材40を付け替えるだけでよいので、包装箱1の再利用性に優れる。なお、カバー部材40は、包装箱1の上面の開口の全体を覆うものであってもよし、その形状は適宜設定することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、側面開口部15は、略台形状のものを示したが、これに限られることはなく、種々の形状のものを採用することができる。
【0055】
また、側面開口部15は、側板11の左右方向に1つ形成したが2つ以上形成してもよい。
さらに、側面開口部15は、側板11の形状と側板内壁14の形状とが異なる形状であってもよい。
【0056】
本実施形態のブランクシートSやカバー部材40は段ボール製であるが、各種公知の板紙によってブランクシートを形成してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 包装箱
3 底板
11 側板
12 端板
13 縁部(側板内壁)
14 側板内壁
15 側面開口部
15a 上端部
15b 下端部
16 差込み溝
17 端板上縁部(端板内壁)
18 端板内壁
19 差込み片
20 収容部
40 カバー部材
B バッテリー(物品)
L1 罫線
L2 罫線
L3 罫線
L4 罫線
L5 折曲誘導線
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9