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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/00 20160101AFI20240918BHJP
   B60K 6/485 20071001ALI20240918BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20240918BHJP
   B60W 10/10 20120101ALI20240918BHJP
   F16H 61/14 20060101ALI20240918BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20240918BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
B60W20/00 900
B60K6/485 ZHV
B60W10/08 900
B60W10/10 900
F16H61/14 601Z
B60L50/16
B60L15/20 K
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021071139
(22)【出願日】2021-04-20
(65)【公開番号】P2022165694
(43)【公開日】2022-11-01
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100192511
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 晃史
(72)【発明者】
【氏名】喜多 健大
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-237351(JP,A)
【文献】特開2000-145951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-20/50
B60K 6/20- 6/547
F16H 61/14
B60L 1/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックアップクラッチを有する流体継手を介して自動変速機に動力を出力するエンジンと、前記動力をアシスト可能に設けられた電動機と、を駆動源として備える車両の制御装置であって、
前記エンジンの出力トルクを取得する出力トルク取得部と、
前記駆動源に要求される要求トルクを取得する要求トルク取得部と、
前記出力トルクに基づいて、前記出力トルクが予め設定された第1トルク閾値以下である場合に前記ロックアップクラッチを係合させるロックアップ制御部と、
前記要求トルクを出力するように前記エンジン及び前記電動機を制御する駆動源制御部と、を備え、
前記駆動源制御部は、
前記ロックアップクラッチが係合していない場合に、前記要求トルクのうち前記第1トルク閾値を超えるトルク値以上のアシストトルクを出力するように前記電動機を制御するアシスト制御を実行することで、前記ロックアップ制御部に前記ロックアップクラッチを係合させ
前記電動機の最大トルクに少なくとも基づいてアシスト可能トルクを算出し、
前記アシストトルクが前記アシスト可能トルク未満である場合に前記アシスト制御を実行し、
前記車両の車速を取得する車速取得部を備え、
前記ロックアップ制御部は、前記出力トルクに基づいて、前記ロックアップクラッチが係合している場合に前記出力トルクが予め設定された前記第1トルク閾値よりも大きい第2トルク閾値を超えたとき、前記ロックアップクラッチの係合を解除し、
前記駆動源制御部は、互いに対応する前記車速における前記第2トルク閾値と前記第1トルク閾値との差分を前記アシスト可能トルクとして算出する、車両の制御装置。
【請求項2】
前記駆動源制御部は、地図情報と前記車両の位置情報とに基づいて、地図上の走行予定ルートを前記車両が走行する場合の前記アシスト制御による燃費効果に応じて前記アシスト可能トルクを算出する、請求項に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記駆動源制御部は、前記アシスト制御の実行を仮定したときの前記ロックアップクラッチの係合による燃費への正の影響と、前記アシスト制御の実行を仮定したときの前記電動機の電力消費に起因する燃費への負の影響とに基づいて、前記アシスト制御による燃費効果を算出する、請求項に記載の車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンとモータとを切り換え可能な駆動力源として備える車両の変速機に付設されるトルクコンバータに対して、駆動力源としてモータを使用の有無に応じてロックアップクラッチを係合するか否かの判定に用いるマップを選択するロックアップクラッチ制御装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-145951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、電動機によるエンジンのアシストとしては、ある程度の大きさのトルクで継続的にアシストが行われる状況が想定される。しかしながら、電動機のアシストを継続的に行うと、アシストのための電力消費が過大となってしまう。ここで、ロックアップクラッチを有する流体継手を介して自動変速機に動力を出力するエンジンの燃費向上のために、ロックアップクラッチを係合させる構成にあっては、アシストで消費した電力をエンジンで充電することまで考慮すると、モータをより効率良く用いてロックアップクラッチを係合させることが望まれる。
【0005】
本発明は、電動機のアシストを継続的に行う場合と比べて、電動機を効率良く用いてロックアップクラッチを係合させることが可能となる車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両の制御装置は、ロックアップクラッチを有する流体継手を介して自動変速機に動力を出力するエンジンと、動力をアシスト可能に設けられた電動機と、を駆動源として備える車両の制御装置であって、車両の車速を取得する車速取得部と、エンジンの出力トルクを取得する出力トルク取得部と、駆動源に要求される要求トルクを取得する要求トルク取得部と、車速と出力トルクとに基づいて、出力トルクが予め設定された第1トルク閾値以下である場合にロックアップクラッチを係合させるロックアップ制御部と、要求トルクを出力するようにエンジン及び電動機を制御する駆動源制御部と、を備え、駆動源制御部は、ロックアップクラッチが係合していない場合に、要求トルクのうち第1トルク閾値を超えるトルク値以上のアシストトルクを出力するように電動機を制御するアシスト制御を実行する。
【0007】
本発明の一態様に係る車両の制御装置では、ロックアップクラッチが係合していない場合にアシスト制御が実行されることで、電動機は、要求トルクのうち第1トルク閾値を超えるトルク値以上のアシストトルクを出力する。エンジンは、要求トルクからアシストトルクを減算した分のトルクを出力すればよいため、エンジンの出力トルクが第1トルク閾値以下となることで、ロックアップクラッチが係合することとなる。これにより、例えばロックアップクラッチの係合を解除する所定の条件が満たされるまでは、ロックアップクラッチを係合させるための電動機のアシストは不要となる。したがって、本発明によれば、電動機のアシストを継続的に行う場合と比べて、電動機を効率良く用いてロックアップクラッチを係合させることが可能となる。
【0008】
一実施形態において、駆動源制御部は、電動機の最大トルクに少なくとも基づいてアシスト可能トルクを算出し、アシストトルクがアシスト可能トルク未満である場合にアシスト制御を実行してもよい。この場合、現実的に電動機が出力可能なアシストトルクでアシスト制御を実行することができる。
【0009】
一実施形態において、ロックアップ制御部は、車速と出力トルクとに基づいて、ロックアップクラッチが係合している場合に出力トルクが予め設定された第1トルク閾値よりも大きい第2トルク閾値を超えたとき、ロックアップクラッチの係合を解除し、駆動源制御部は、互いに対応する車速における第2トルク閾値と第1トルク閾値との差分をアシスト可能トルクとして算出してもよい。この場合、アシスト制御によりロックアップクラッチを係合させた状態では、出力トルクが第2トルク閾値を超えるまでロックアップクラッチが係合したままとなるため、ロックアップクラッチを係合させるための電動機のアシストを不要とすることができる。
【0010】
一実施形態において、駆動源制御部は、地図情報と車両の位置情報とに基づいて、地図上の走行予定ルートを車両が走行する場合のアシスト制御による燃費効果に応じてアシスト可能トルクを算出してもよい。この場合、例えば予め設定された燃費効果が得られるようにアシスト制御を実行することができる。
【0011】
一実施形態において、駆動源制御部は、アシスト制御の実行を仮定したときのロックアップクラッチの係合による燃費への正の影響と、アシスト制御の実行を仮定したときの電動機の電力消費に起因する燃費への負の影響とに基づいて、アシスト制御による燃費効果を算出してもよい。この場合、アシストで消費する電力をエンジンで充電することまで予め考慮してアシスト制御を実行することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電動機のアシストを継続的に行う場合と比べて、電動機を効率良く用いてロックアップクラッチを係合させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態の車両の制御装置を備える車両の構成を示す図である。
図2図1の車両の制御装置の機能的構成を示す図である。
図3】アシストトルクの一例を示す図である。
図4】アシスト可能トルクの一例を示す図である。
図5】アシスト制御の動作例を示すタイミングチャートである。
図6】アシスト制御の処理例を示すフローチャートである。
図7】アシスト制御の実行判定の処理例を示すフローチャートである。
図8】地図情報に基づく燃費効果の一例を示す図である。
図9】燃費効果を考慮したアシスト制御の実行判定の処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、一実施形態の車両の制御装置を備える車両の構成を示す図である。図1に示される車両1は、エンジン2及びモータジェネレータ(電動機)3を駆動力源として備えるハイブリッド車両である。車両1は、利用する駆動力源を適宜切り替えると共に、各駆動力源からの駆動力の割合を適宜変更しながら走行することができる。車両1は、特に限定されるものではないが、一例としてマイルドハイブリッド車両であってもよい。
【0016】
車両1は、エンジン2と、モータジェネレータ3と、自動変速機4と、バッテリ6と、インバータ7と、を備えている。エンジン2は、例えばディーゼルエンジンである。モータジェネレータ3は、バッテリ6の電力により回転して力行し、車両1を駆動する。モータジェネレータ3は、バッテリ6を充電するための発電機として機能する。
【0017】
モータジェネレータ3が設けられる箇所は、図1に位置に限定されず、エンジン2の出力(動力)をアシスト可能に設けられていればよい。モータジェネレータ3によるエンジン2のアシストとは、車両1の走行中に車輪8にモータジェネレータ3からの出力を伝達することにより、エンジン2のみからの出力で車輪8を駆動する場合と比べて、エンジン2の出力を低減可能とすることを意味する。モータジェネレータ3は、例えば、自動変速機4に内蔵されてもよいし、自動変速機4よりも駆動力の流れ方向下流側(例えばプロペラシャフトやドライブシャフト等)を駆動可能に設けられていてもよい。
【0018】
エンジン2の動作は、互いに通信可能に接続されたECU[ECU:Electronic Control Unit]10によって制御される。モータジェネレータ3の動作は、インバータ7を介して互いに通信可能に接続されたECU10によって制御される。
【0019】
自動変速機4は、エンジン2及びモータジェネレータ3の駆動力を、プロペラシャフト、デファレンシャルギア及びドライブシャフト等を介して車輪8に伝達する。自動変速機4は、特に限定されないが、例えば有段の機械式自動変速機として構成されていてもよい。自動変速機4は、ロックアップクラッチ5aを有するトルクコンバータ5を含んで構成されており、エンジン2とモータジェネレータ3とは、トルクコンバータ5を介して互いに接続されている。つまり、エンジン2は、ロックアップクラッチ5aを有するトルクコンバータ5を介して自動変速機4に動力を出力する。モータジェネレータ3は、エンジン2が自動変速機4に出力する動力をアシスト可能に設けられている。自動変速機4の動作及びトルクコンバータ5のロックアップクラッチ5aの直結状態は、互いに通信可能に接続されたECU10によって制御される。
【0020】
トルクコンバータ5は、ロックアップクラッチ5aのほか、インペラー5bとタービン5cとから構成される。トルクコンバータ5では、ECU10からの制御信号に応じて、ロックアップクラッチ5aの係合状態を変化させることができる。係合状態は、ロックアップクラッチ5aを係合させた状態(いわゆる直結)と、ロックアップクラッチ5aの係合を解放させた状態(いわゆる非直結)とを含む。係合状態が非直結の場合、エンジン2からの動力は、流体継手としてのインペラー5b及びタービン5cを介して自動変速機4に出力される。係合状態が直結の場合、エンジン2からの動力は、係合しているロックアップクラッチ5aを介して自動変速機4に出力される。動力伝達効率は、係合状態が直結の場合の方が、係合状態が非直結の場合よりも優れている。
【0021】
バッテリ6は、その内部で複数の二次電池が互いに接続されることにより構成されている。バッテリ6としては、例えばリチウムイオン電池等の種々の二次電池を用いることができる。インバータ7は、バッテリ6から入力される電力を交流に変換し、当該変換した電力をモータジェネレータ3へ出力する。
【0022】
続いて、車両の制御装置100の構成について説明する。図2は、図1の車両の制御装置100の機能的構成を示す図である。車両の制御装置100は、車両1の駆動力の伝達を制御するための装置である。車両の制御装置100は、ロックアップクラッチ5aのロックアップとモータジェネレータ3によるエンジン2のアシストとを統合的に制御する。
【0023】
車両の制御装置100は、ECU10を有している。ECU10は、例えばCPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]を含むコンピュータにより構成されている。ECU10は、例えば車両1をハイブリッド車両として機能させるための総合的な制御を実施する。ECU10は、複数のECUユニットに分割されて構成されていてもよい。
【0024】
ECU10は、エンジン回転数センサ21、アクセル開度センサ22、車速センサ23、地図データベース24、及び、GNSS受信機25と接続されている。
【0025】
エンジン回転数センサ21及びアクセル開度センサ22は、エンジン2の状態量を取得するためのセンサである。エンジン回転数センサ21は、例えばエンジン2のクランクシャフトの回転数をエンジン回転数として検出する検出器である。エンジン回転数センサ21は、検出したエンジン回転数の検出信号をECU10に送信する。アクセル開度センサ22は、アクセルペダルのアクセル開度を検出する検出器である。アクセル開度センサ22は、検出したアクセル開度の検出信号をECU10に送信する。
【0026】
車速センサ23は、車両1の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、例えば、車輪8の軸に設けられ、車輪8の回転速度を検出するセンサが用いられる。車速センサ23は、検出した車速情報をECU10に送信する。
【0027】
地図データベース24は、地図情報を記憶するデータベースである。地図データベース24は、例えば、車両に搭載されたHDD[Hard Disk Drive]等の記憶媒体内に形成されている。地図情報には、道路の位置情報、道路形状の情報(例えばカーブ、直線部の種別、カーブの曲率半径、交差点の形状、車線の幅、道路の勾配等)、交差点及び分岐点の位置情報、及び構造物の位置情報等が含まれる。地図情報には、制限速度(例えば法定最高速度)などの情報が含まれていてもよい。地図情報には、各種の交通規則情報(車線変更可能な区間、車線変更不能な区間の情報など)が含まれていてもよい。なお、地図データベース24は、車両1と通信可能な管理センター等の施設のコンピュータに形成されていてもよい。
【0028】
GNSS受信機25は、3個以上のGNSS衛星から信号を受信することにより、車両1の地図上の位置(例えば車両1の緯度及び経度)を測定する。GNSS受信機25は、測定した車両1の位置情報をECU10へ送信する。
【0029】
ECU10は、機能的構成として、エンジン状態量取得部(出力トルク取得部、要求トルク取得部)11、記憶部12、ロックアップ制御部13、及び駆動源制御部14を有している。
【0030】
エンジン状態量取得部11は、エンジン回転数センサ21及びアクセル開度センサ22の検出結果に基づいて、エンジン回転数及びアクセル開度をエンジン状態量として取得する。エンジン状態量取得部11は、エンジン回転数及びアクセル開度に基づいて、例えば公知の手法により、エンジン2の出力トルクを取得する。ここでのエンジン2の出力トルクとは、例えば予め記憶されたマップ等から得られるエンジン2が出力しているであろう推定トルク値である。
【0031】
エンジン状態量取得部11は、エンジン回転数及びアクセル開度に基づいて、例えば公知の手法により、駆動源に要求される要求トルクをエンジン状態量として取得する。駆動源に要求される要求トルクは、例えば車両1が走行するために必要な駆動源の出力トルクであり、エンジン2及びモータジェネレータ3のそれぞれの出力トルクの合算トルクの要求値である。
【0032】
記憶部12は、予め設定された種々の情報を記憶する。記憶部12は、例えばECU10のROMである。記憶部12は、上述のエンジン2の出力トルクのマップ、後述のロックアップのマップ等を記憶する。本実施形態では、ロックアップのマップは、自動変速機4のギヤ段ごとに別々に記憶されている。
【0033】
ロックアップ制御部13は、車両1の車速とエンジン2の出力トルクとに基づいて、ロックアップクラッチ5aの係合状態を制御する。ロックアップ制御部13は、車両1の車速とエンジン2の出力トルクとに基づいて、エンジン2の出力トルクが予め設定されたONトルク(第1トルク閾値)以下である場合にロックアップクラッチ5aを係合させる。ONトルクは、ロックアップクラッチ5aを係合させるか否かを判定するためのトルクの閾値である。ここでのONトルクは、一例として、車両1の車速を横軸としてエンジン2の出力トルクを縦軸とするマップとして予め設定されている(図3の破線Lon参照)。なお、ロックアップ制御部13は、車速センサ23の検出結果に基づいて車両1の車速を取得する車速取得部として機能する。
【0034】
ロックアップ制御部13は、車両1の車速とエンジン2の出力トルクとに基づいて、ロックアップクラッチ5aが係合している場合にエンジン2の出力トルクが予め設定されたOFFトルク(第2トルク閾値)を超えたとき、ロックアップクラッチ5aの係合を解除する。OFFトルクは、ロックアップクラッチ5aの係合を解除するか否かを判定するためのトルクの閾値である。OFFトルクは、ONトルクよりも大きい。ここでのOFFトルクは、一例として、車両1の車速を横軸としてエンジン2の出力トルクを縦軸とするマップとして予め設定されている(図4の破線Loff参照)。
【0035】
本実施形態では、ロックアップ制御部13が用いるONトルク及びOFFトルクは、記憶部12に予め記憶されているものが用いられる。換言すれば、例えばモータジェネレータ3のアシストの程度が変化したとしても、ONトルク及びOFFトルクは変更されずに用いられる。
【0036】
駆動源制御部14は、要求トルクを出力するようにエンジン2及びモータジェネレータ3を制御する。上述のように、要求トルクは、エンジン2及びモータジェネレータ3のそれぞれの出力トルクの合算トルクの要求値である。駆動源制御部14は、エンジン2の出力トルクとモータジェネレータ3の出力トルクとの合計が要求トルクとなるように、エンジン2及びモータジェネレータ3を制御する。
【0037】
駆動源制御部14は、ロックアップクラッチ5aが係合していない場合に、ロックアップクラッチ5aが係合できるようなエンジン2の出力トルクとなるように、モータジェネレータ3を制御する。駆動源制御部14は、ロックアップクラッチ5aが係合していない場合に、アシストトルクを出力するようにモータジェネレータ3を制御するアシスト制御を実行する。アシストトルクは、モータジェネレータ3への要求トルク分配値である。アシストトルクは、要求トルクのうちONトルクを超えるトルク値以上のトルク値を有する。
【0038】
図3は、アシストトルクの一例を示す図である。図3では、横軸は車両1の車速であり、縦軸はエンジントルク(トルクコンバータ5に入力されるエンジン2の出力トルク)である。図3において、エンジン2は、運転点P1に対応する車両1の車速及び出力トルクToutで運転されている。図3の運転点P1では、まだモータジェネレータ3のアシストが行われていないため、出力トルクToutが要求トルクTreqに等しくなっている。
【0039】
図3に示されるように、駆動源制御部14は、一例として、互いに対応する車速V1におけるエンジン2の出力トルクToutとONトルクTonとの差分をアシストトルクTaとして算出する。ONトルクTonは、ONトルクを表す破線Lonの車速V1における値である。
【0040】
駆動源制御部14は、例えば、アシスト可能トルクを算出する。アシスト可能トルクは、モータジェネレータ3が現実的にアシストトルクを出力可能な上限となるトルク値である。駆動源制御部14は、モータジェネレータ3の最大トルクに少なくとも基づいてアシスト可能トルクを算出する。モータジェネレータ3の最大トルクとは、例えば設計上の瞬間最大トルクもしくは定格最大トルク、又は、車速等に応じて制限された後の最大トルク、などのことである。
【0041】
図4は、アシスト可能トルクの一例を示す図である。図4では、横軸及び縦軸は図3と同じである。図4に示されるように、駆動源制御部14は、一例として、互いに対応する車速V1におけるOFFトルクToffとONトルクTonとの差分をアシスト可能トルクTbとして算出する。OFFトルクToffは、OFFトルクを表す破線Loffの車速V1における値である。なお、図4においてOFFトルクToffとONトルクTonとで挟まれる領域は、いわゆるロックアップのヒステリシスである。つまり、アシスト可能トルクTbは、ロックアップのヒステリシス幅のトルク値と等しい。
【0042】
駆動源制御部14は、例えば、アシストトルクがアシスト可能トルク未満である場合にアシスト制御を実行する。図3及び図4の例は、アシストトルクTaがアシスト可能トルクTb未満である場合に該当する。よって、駆動源制御部14は、モータジェネレータ3がアシストトルクTaを出力してエンジン2の出力をアシストするように、アシスト制御を実行する。
【0043】
アシスト制御が実行された結果、駆動源の合計トルクとしての要求トルクを満たすためにエンジン2が出力すべき出力トルクは、モータジェネレータ3のアシストトルクTaの分だけ低減される。図4の二点鎖線矢印からわかるように、運転点P1で運転していたエンジン2は、運転点P2で運転することとなる。運転点P2では、エンジン2の出力トルクがONトルクTon以下となることから、ロックアップ制御部13は、係合状態が非直結であったロックアップクラッチ5aを係合させる。
【0044】
図5は、アシスト制御の動作例を示すタイミングチャートである。図5の横軸は時間であり、縦軸(実線で示される時間変化する量)は、上段からそれぞれ、エンジントルク、アシストトルク、及びロックアップ状態である。
【0045】
図5に示されるように、時刻t0において、エンジン2の出力トルクToutがOFFトルクを超えているため、ロックアップクラッチ5aの係合状態は非直結となっている。時刻t1になると、エンジン2の出力トルクToutがOFFトルクを下回るがONトルクは超えている(図3の運転点P1に対応)。そのため、ロックアップクラッチ5aの係合状態は、引き続き非直結となっている。仮にアシスト制御を行わないまま時刻t1でのエンジン2の出力トルクToutが維持されたとすると、ロックアップクラッチ5aの係合状態が非直結のまま、エンジン2が運転を続けることとなってしまう。
【0046】
この点、上述したようなアシスト制御が時刻t1で開始されることにより、モータジェネレータ3がアシストトルクTaを出力してエンジン2の出力をアシストする。このとき、モータジェネレータ3の出力トルクTmgは、エンジン2がトルク変化の追従が可能な程度に緩やかとなるように、所定のなましを掛けられてもよい。アシスト制御が実行された結果、エンジン2の出力トルクToutがONトルクTon以下となることにより、時刻t2において、ロックアップクラッチ5aの係合状態が直結に変化する。
【0047】
ロックアップクラッチ5aの係合状態が直結に変化したため、モータジェネレータ3によるエンジン2の出力のアシストは低減される。このとき、モータジェネレータ3の出力トルクTmgは、エンジン2がトルク変化の追従が可能な程度に緩やかとなるように、所定のなましを掛けられてもよい。
【0048】
エンジン2の出力トルクToutがOFFトルクToffを超えるまで(時刻t2~時刻t3)は、エンジン2の出力トルクToutがロックアップのヒステリシス内(ONトルクを超えOFFトルク以下)に位置している。そのため、モータジェネレータ3がアシストトルクTaを出力するのを止めても、ロックアップクラッチ5aの係合状態が直結のままとなる。なお、その後、時刻t3において、エンジン2の出力トルクToutがOFFトルクToffを超えると、ロックアップクラッチ5aの係合状態が直結から非直結に変化する。
【0049】
次に、ECU10によるアシスト制御について説明する。図6は、アシスト制御の処理例を示すフローチャートである。図6に示される処理は、例えば、車両1の走行中に所定の演算周期ごとに繰り返し実行される。
【0050】
図6に示されるように、ECU10は、S01において、駆動源制御部14によりアシスト制御を実行するか否かの判定を行う。ECU10は、S01の具体的な処理として、例えば図7に示されるアシスト制御の実行判定の処理を行う。
【0051】
図7は、アシスト制御の実行判定の処理例を示すフローチャートである。図7に示されるように、ECU10は、S11において、駆動源制御部14により、アシストトルクの算出を行う。駆動源制御部14は、例えば図3のようにエンジン2の出力トルクからONトルクを減算することで、アシストトルクを算出する。
【0052】
ECU10は、S12において、駆動源制御部14により、アシスト可能トルクの算出を行う。駆動源制御部14は、例えば図4のようにOFFトルクからONトルクを減算することで、アシスト可能トルクを算出する。
【0053】
ECU10は、S13において、駆動源制御部14により、アシストトルクがアシスト可能トルクよりも小さいか否かの判定を行う。ECU10は、駆動源制御部14によりアシストトルクがアシスト可能トルクよりも小さいと判定された場合(S13:YES)、S14において、アシスト制御を実行するとの判定を行う。ECU10は、駆動源制御部14によりアシストトルクがアシスト可能トルク以上であると判定された場合(S13:NO)、S14において、アシスト制御を実行しないとの判定を行う。その後、ECU10は、図7の処理を終了し、図6のS02に移行する。
【0054】
図6のS02において、ECU10は、駆動源制御部14により、S01の判定結果についての判定を行う。ECU10は、S01の判定結果がアシスト制御を実行するとの判定である場合(S02:YES)、S03に移行する。ECU10は、S01の判定結果がアシスト制御を実行しないとの判定である場合(S02:NO)、そのまま図6の処理を終了し、所定演算周期後に図6の処理を繰り返す。
【0055】
S03において、ECU10は、駆動源制御部14により、要求エンジントルクの低減及び要求MGトルクの増加を行う。駆動源制御部14は、それぞれ図7のS11で算出したアシストトルクの分だけ、要求エンジントルクを低減させ、要求MGトルクを増加させる。
【0056】
S04において、ECU10は、駆動源制御部14により、アシスト制御を終了するか否かの判定を行う。ECU10は、例えば、駆動源制御部14によりロックアップクラッチが係合された場合、アシスト制御を終了すると判定する。ECU10は、アシスト制御を終了するとの判定である場合(S04:YES)、S05に移行する。ECU10は、アシスト制御を終了しないとの判定である場合(S04:NO)、S03に移行し、S03及びS04の処理を繰り返す。
【0057】
S05において、ECU10は、駆動源制御部14により、要求エンジントルクの増加及び要求MGトルクの低減を行う。駆動源制御部14は、それぞれS03で低減及び増加させていたトルクを戻すように、要求エンジントルクを増加させ、要求MGトルクを低減させる。その後、ECU10は今回の図6の処理を終了し、所定演算周期後に図6の処理を繰り返す。
【0058】
[作用及び効果]
以上説明したように車両の制御装置100によれば、ロックアップクラッチ5aが係合していない場合にアシスト制御が実行されることで、モータジェネレータ3は、要求トルクのうちONトルクを超えるトルク値以上のアシストトルクを出力する。エンジン2は、要求トルクからアシストトルクを減算した分のトルクを出力すればよいため、エンジン2の出力トルクがONトルク以下となることで、ロックアップクラッチ5aが係合することとなる。これにより、例えばロックアップクラッチ5aの係合を解除する所定の条件が満たされるまで(すなわちエンジン2の出力トルクがOFFトルクを超えるまで)は、ロックアップクラッチ5aを係合させるためのモータジェネレータ3のアシストは不要となる。したがって、車両の制御装置100によれば、モータジェネレータ3のアシストを継続的に行う場合と比べて、モータジェネレータ3を効率良く用いてロックアップクラッチ5aを係合させることが可能となる。
【0059】
車両の制御装置100では、駆動源制御部14は、モータジェネレータ3の最大トルクに少なくとも基づいてアシスト可能トルクを算出し、アシストトルクがアシスト可能トルク未満である場合にアシスト制御を実行する。これにより、現実的にモータジェネレータ3が出力可能なアシストトルクでアシスト制御を実行することができる。
【0060】
車両の制御装置100では、ロックアップ制御部13は、車両1の車速とエンジン2の出力トルクとに基づいて、ロックアップクラッチ5aが係合している場合にエンジン2の出力トルクが予め設定されたOFFトルクを超えたとき、ロックアップクラッチ5aの係合を解除する。駆動源制御部14は、互いに対応する車速におけるOFFトルクとONトルクとの差分をアシスト可能トルクとして算出する。これにより、アシスト制御によりロックアップクラッチ5aを係合させた状態では、エンジン2の出力トルクがOFFトルクを超えるまでロックアップクラッチ5aが係合したままとなるため、ロックアップクラッチ5aを係合させるためのモータジェネレータ3のアシストを不要とすることができる。
【0061】
[変形例]
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られるものではない。
【0062】
上記実施形態では、駆動源制御部14は、アシスト可能トルクを、互いに対応する車速におけるOFFトルクとONトルクとの差分により固定値で算出したが、可変値としてもよい。駆動源制御部14は、予め設定された燃費効果が得られるように、推定した燃費効果に基づいてアシスト可能トルクを実質的に可変値として算出してもよい。燃費影響及び燃費効果について、図8を参照しつつ説明する。
【0063】
図8は、地図情報に基づく燃費効果の一例を示す図である。図8は、横軸はアシストトルクであり、縦軸が燃費効果である。アシストトルクは原点から右に行くほど大きくなり、燃費効果は上に行くほど燃費が良く下に行くほど燃費が悪くなる。
【0064】
図8に示されるように、駆動源制御部14は、地図情報と車両1の位置情報とに基づいて、地図上の走行予定ルートを車両1が走行する場合のアシスト制御による燃費効果Fcに応じてアシスト可能トルクを算出してもよい。駆動源制御部14は、アシスト制御の実行を仮定したときのロックアップクラッチ5aの係合による燃費への正の影響と、アシスト制御の実行を仮定したときのモータジェネレータ3の電力消費に起因する燃費への負の影響とに基づいて、アシスト制御による燃費効果Fcを算出してもよい。駆動源制御部14は、例えば、GNSS受信機25の受信結果に基づいて、車両1の位置情報を取得することができる。
【0065】
図8において、破線は、直結による燃費影響Faに対応している。直結による燃費影響とは、地図上の走行予定ルートを車両1が走行する際にアシスト制御の実行を仮定したときのロックアップクラッチ5aの係合による燃費への正の影響を意味する。つまり、これから車両1が走行する走行予定ルート上の道路形状、勾配、制限速度、道路規制等を考慮して、アシスト制御が実行できてロックアップクラッチ5aの係合機会を最大限大きくしたと仮定したときの燃費向上分を、破線は表している。
【0066】
図8において、一点鎖線は、アシストによる燃費影響Fbに対応している。アシストによる燃費影響とは、地図上の走行予定ルートを車両1が走行する際にアシスト制御の実行を仮定したときのモータジェネレータ3の電力消費に起因する燃費への負の影響を意味する。つまり、これから車両1が走行する走行予定ルート上の道路形状、勾配、制限速度、道路規制等を考慮して、アシスト制御が実行できてロックアップクラッチ5aの係合機会を最大限大きくしたと仮定したときの、モータジェネレータ3での電力消費をエンジン2での充電で補償するための燃費悪化分を、一点鎖線は表している。
【0067】
なお、アシストによる燃費影響Fbは、例えば、予め記憶部12に記憶されたエンジン2の平均燃費率(BSFC[g/kWh])を用いて、「地図上の走行予定ルートを車両1が走行する行程での仕事量×当該行程でアシスト制御を全く実行しないことを仮定したときのBSFC」の積から「地図上の走行予定ルートを車両1が走行する行程での仕事量×当該行程でアシスト制御機会を最大限大きくしたときのBSFC」の積を減算することで算出することができる。
【0068】
図8において、実線は、アシスト制御による燃費効果Fcに対応している。アシスト制御による燃費効果Fcは、直結による燃費影響Fa(正の燃費効果)とアシストによる燃費影響Fb(負の燃費効果)との合計で算出される。
【0069】
アシスト制御による燃費効果Fcに示されるように、アシストトルクが小さい領域では燃費効果が正となり、アシストトルクが大きくなるほど正の燃費効果が小さくなり、やがて燃費効果が負となる。これは、アシストトルクが大きくなるほどアシスト制御のための電力消費が増加して、その後の充電のための燃費悪化が増加する(アシストによる燃費影響Fbの負の燃費効果が大きくなる)ためと考えられる。
【0070】
そこで、駆動源制御部14は、アシスト制御による燃費効果Fcが所定の閾値Fthよりも大きい場合にアシスト制御を実行するものとしてもよい。これは、実質的には、図9のアシスト可能トルクTbが閾値Fthに応じて(地図情報と車両1の位置情報とに応じて)可変となることと等価である。
【0071】
図8の例におけるECU10の処理としては、例えば、図6のS01の具体的な処理として図9に示される処理を行ってもよい。
【0072】
図9は、燃費効果を考慮したアシスト制御の実行判定の処理例を示すフローチャートである。図9に示されるように、ECU10は、S21において、ロックアップ制御部13により、直結による燃費影響Faの算出を行う。S22において、ロックアップ制御部13により、アシストによる燃費影響Fbの算出を行う。S23において、ロックアップ制御部13により、アシストによる燃費効果Fcの算出を行う。
【0073】
ECU10は、S24において、ロックアップ制御部13により、燃費効果Fcが閾値Fthよりも大きいか否かの判定を行う。ECU10は、ロックアップ制御部13により燃費効果Fcが閾値Fthよりも大きいと判定された場合(S24:YES)、S25において、アシスト制御を実行するとの判定を行う。ECU10は、ロックアップ制御部13により燃費効果Fcが閾値Fth以下であると判定された場合(S24:NO)、S26において、アシスト制御を実行しないとの判定を行う。その後、ECU10は、図9の処理を終了し、図6のS02に移行する。
【0074】
上述の変形例に係る車両の制御装置100によれば、駆動源制御部14は、地図情報と車両1の位置情報とに基づいて、地図上の走行予定ルートを車両1が走行する場合のアシスト制御による燃費効果Fcに応じてアシスト可能トルクTbを実質的に算出する。これにより、例えば予め設定された閾値Fthよりも大きい燃費効果Fcが得られるようにアシスト制御を実行することができる。
【0075】
上述の変形例に係る車両の制御装置100によれば、駆動源制御部14は、アシスト制御の実行を仮定したときのロックアップクラッチ5aの係合による燃費への正の影響(直結による燃費影響Fa)と、アシスト制御の実行を仮定したときのモータジェネレータ3の電力消費に起因する燃費への負の影響(アシストによる燃費影響Fb)とに基づいて、アシスト制御による燃費効果Fcを算出する。これにより、アシストで消費する電力をエンジン2で充電することまで予め考慮してアシスト制御を実行することができる。
【0076】
なお、上述の変形例に係る車両の制御装置100のような図8及び図9のアシスト制御を省いてもよい。この場合、地図データベース24及びGNSS受信機25を省いてもよい。
【0077】
上記実施形態では、駆動源制御部14は、アシストトルクTaの一例として、互いに対応する車速V1におけるエンジン2の出力トルクToutとONトルクTonとの差分で算出した(つまりアシスト制御実行によって移行した運転点P2が破線Lon上となった)が、これに限定されない。駆動源制御部14は、当該差分に更に所定のトルク値を上乗せしたアシストトルクTaとして算出してもよい。つまりアシスト制御実行によって移行した運転点が破線Lonよりも図4中で下方となってもよい。要は、アシストトルクTaは、要求トルクTreqのうちONトルクTonを超えるトルク値以上のトルク値を有すればよい。
【0078】
上記実施形態では、駆動源制御部14は、互いに対応する車速におけるOFFトルクとONトルクとの差分を固定値としてのアシスト可能トルクとして算出したが、固定値としてのアシスト可能トルクは、これに限定されない。例えば、アシスト可能トルクは、互いに対応する車速におけるOFFトルクとONトルクとの差分よりも小さくてもよいし、大きくてもよい。なお、アシスト制御の結果ロックアップクラッチ5aを係合させた状態をアシストトルクを無くしても維持する観点では、アシスト可能トルクは、互いに対応する車速におけるOFFトルクとONトルクとの差分以下とすることが好適である。
【0079】
上記実施形態では、駆動源制御部14は、モータジェネレータ3の最大トルクに少なくとも基づいてアシスト可能トルクを算出し、アシストトルクがアシスト可能トルク未満である場合にアシスト制御を実行したが、これに限定されない。アシスト可能トルクの算出は必須ではなく、アシスト可能トルクを用いたアシスト制御の実行の判断を省いてもよい。
【0080】
上記実施形態では、内燃機関としてディーゼルエンジンを例示したが、例えばガソリンエンジン等、その他の内燃機関であってもよい。
【0081】
上記実施形態では、自動変速機4は、有段の機械式自動変速機として構成されていたが、無段変速機(CVT)であってもよい。
【0082】
上記実施形態では、車両1は、一例としてマイルドハイブリッド車両と説明したが、ロックアップクラッチを有する流体継手を介して自動変速機に動力を出力するエンジンと、動力をアシスト可能に設けられた電動機と、を駆動源として備える車両であれば、特に限定されない。例えば、マイルドハイブリッド車両よりも大型のバッテリ6及び電動機を備えるハイブリッド車両であってもよいし、バッテリ6を外部電源から充電可能なプラグインハイブリッド車両であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…車両、2…エンジン、3…モータジェネレータ(電動機)、4…自動変速機、5a…ロックアップクラッチ、13…ロックアップ制御部、14…駆動源制御部、100…車両の制御装置、Fc…燃費効果、Ta…アシストトルク、Tb…アシスト可能トルク、Tout…出力トルク、Treq…要求トルク、V1…車速。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9