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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】車室内照明装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/12 20170101AFI20240918BHJP
   B60Q 3/217 20170101ALI20240918BHJP
   B60Q 3/54 20170101ALI20240918BHJP
   B60Q 3/78 20170101ALI20240918BHJP
   B60Q 3/64 20170101ALN20240918BHJP
【FI】
B60Q3/12
B60Q3/217
B60Q3/54
B60Q3/78
B60Q3/64
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022069687
(22)【出願日】2022-04-20
(65)【公開番号】P2023159771
(43)【公開日】2023-11-01
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 範裕
(72)【発明者】
【氏名】高橋 俊弥
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-022549(JP,U)
【文献】特開平08-080782(JP,A)
【文献】再公表特許第2016/208388(JP,A1)
【文献】特開2018-016290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/12
B60Q 3/217
B60Q 3/54
B60Q 3/78
B60Q 3/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の前方に設けられて前記車室の前方の左右の側面にそれぞれ配置された前方内装部材の各前方部にそれぞれ光を照射する複数の前方発光部と、
前記車室の後方に設けられて前記車室の後方の左右の側面にそれぞれ配置された後方内装部材の各後方部にそれぞれ光を照射する複数の後方発光部と、を備え、
各前記前方発光部は、前記車室の前方に設けられた内装トリムの左右の側端部に配置され、車両後方斜め外側に向かってそれぞれ発光して各前記前方内装部材の各前記前方部にそれぞれ光を照射し、
各前記後方発光部は、各前記後方内装部材の車両後方にそれぞれ配置され、車両前方斜め外側に向かってそれぞれ発光して各前記後方内装部材の各前記後方部にそれぞれ光を照射し、
各前記前方内装部材は、左右の前方ドアの車室側にそれぞれ取り付けられた前ドアトリムであり、
各前記後方内装部材は、左右の後方ドアの車室側にそれぞれ取り付けられた後ドアトリムであり、
各前記前ドアトリムは、各前記前方ドアの前記車室の左右の内面をそれぞれ構成する前ドアトリム本体と、各前記前ドアトリム本体の車室側の面にそれぞれ取り付けられた前ドア飾りパネルとをそれぞれ含み、
各前記後ドアトリムは、各前記後方ドアの前記車室の左右の内面をそれぞれ構成する後ドアトリム本体と、各前記後ドアトリム本体の車室側の面にそれぞれ取り付けられた後ドア飾りパネルとをそれぞれ含み、
左側の前記前ドア飾りパネルと左側の前記後ドア飾りパネル、及び、右側の前記前ドア飾りパネルと右側の前記後ドア飾りパネルは、それぞれ車両前後方向に並ぶように配置されており、
各前記前方発光部は、各前記前ドア飾りパネルの各前部にそれぞれ光を照射し、
各前記後方発光部は、各前記後ドア飾りパネルの各後部にそれぞれ光を照射し、
各前記後方発光部は、各前記後ドア飾りパネルの車両後方に位置する各前記後ドアトリム本体の車両後方部分の内部にそれぞれ取り付けられ、各前記後ドア飾りパネルと各前記後ドアトリム本体との隙間からそれぞれ車両前方斜め外側に向かって発光すること、
を特徴とする車室内照明装置。
【請求項2】
請求項に記載の車室内照明装置であって、
各前記前ドア飾りパネルと各前記後ドア飾りパネルとは、それぞれ各前記前ドアトリム本体と各前記後ドアトリム本体よりも光の反射率が高く、車両前後方向に延びる帯状部材であること、
を特徴とする車室内照明装置。
【請求項3】
車室の前方に設けられて前記車室の前方の左右の側面にそれぞれ配置された前方内装部材の各前方部にそれぞれ光を照射する複数の前方発光部と、
前記車室の後方に設けられて前記車室の後方の左右の側面にそれぞれ配置された後方内装部材の各後方部にそれぞれ光を照射する複数の後方発光部と、を備え、
各前記前方発光部は、前記車室の前方に設けられた内装トリムの左右の側端部に配置され、車両後方斜め外側に向かってそれぞれ発光して各前記前方内装部材の各前記前方部にそれぞれ光を照射し、
各前記後方発光部は、各前記後方内装部材の車両後方にそれぞれ配置され、車両前方斜め外側に向かってそれぞれ発光して各前記後方内装部材の各前記後方部にそれぞれ光を照射し、
前記内装トリムは、前記車室の前方に配置されたインスツルメントパネルであり、
前記インスツルメントパネルは、左右の側端部で車室内に向かってそれぞれ突出する空気吹出しノズルと、各前記空気吹出しノズルの車両幅方向外側部にそれぞれ設けられたすり鉢状の窪みと、を有し、
各前記すり鉢状の窪みは、車両後方斜め外側に向かって広がっており、
各前記前方発光部は、各前記窪みの中にそれぞれ設けられた発光素子であること、
を特徴とする車室内照明装置。
【請求項4】
車室の前方に設けられて前記車室の前方の左右の側面にそれぞれ配置された前方内装部材の各前方部にそれぞれ光を照射する複数の前方発光部と、
前記車室の後方に設けられて前記車室の後方の左右の側面にそれぞれ配置された後方内装部材の各後方部にそれぞれ光を照射する複数の後方発光部と、を備え、
各前記前方発光部は、各前記前方内装部材の車両前方にそれぞれ配置され、車両後方斜め外側に向かってそれぞれ発光して各前記前方内装部材の各前記前方部にそれぞれ光を照射し、
各前記後方発光部は、各前記後方内装部材の車両後方にそれぞれ配置され、車両前方斜め外側に向かってそれぞれ発光して各前記後方内装部材の各前記後方部にそれぞれ光を照射すること、
を特徴とする車室内照明装置。
【請求項5】
請求項に記載の車室内照明装置であって、
各前記前方内装部材は、左右の前方ドアの車室側にそれぞれ取り付けられた前ドアトリムであり、
各前記後方内装部材は、左右の後方ドアの車室側にそれぞれ取り付けられた後ドアトリムであり、
各前記前ドアトリムは、各前記前方ドアの前記車室の左右の内面をそれぞれ構成する前ドアトリム本体と、各前記前ドアトリム本体の車室側の面にそれぞれ取り付けられた前ドア飾りパネルとをそれぞれ含み、
各前記後ドアトリムは、各前記後方ドアの前記車室の左右の内面をそれぞれ構成する後ドアトリム本体と、各前記後ドアトリム本体の車室側の面にそれぞれ取り付けられた後ドア飾りパネルとをそれぞれ含み、
左側の前記前ドア飾りパネルと左側の前記後ドア飾りパネル、及び、右側の前記前ドア飾りパネルと右側の前記後ドア飾りパネルは、それぞれ車両前後方向に並ぶように配置されており、
各前記前方発光部は、各前記前ドア飾りパネルの車両前方に位置する各前記前ドアトリム本体の車両前方部分の内部にそれぞれ取り付けられ、各前記前ドア飾りパネルと各前記前ドアトリム本体との隙間からそれぞれ車両後方斜め外側に向かって発光して各前記前ドア飾りパネルの各前部にそれぞれ光を照射し、
各前記後方発光部は、各前記後ドア飾りパネルの車両後方に位置する各前記後ドアトリム本体の車両後方部分の内部にそれぞれ取り付けられ、各前記後ドア飾りパネルと各前記後ドアトリム本体との隙間からそれぞれ車両前方斜め外側に向かって発光して各前記後ドア飾りパネルの各後部にそれぞれ光を照射すること、
を特徴とする車室内照明装置。
【請求項6】
請求項に記載の車室内照明装置であって、
各前記前ドア飾りパネルと各前記後ドア飾りパネルとは、それぞれ各前記前ドアトリム本体と各前記後ドアトリム本体よりも光の反射率が高く、車両前後方向に延びる帯状部材であること、
を特徴とする車室内照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内照明装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車室内に視覚的な広がりを演出する室内照明装置が提案されている。例えは、室内側の一部反射面と、それと対向する全反射面と、入射角変更要素とが一体に構成される帯状の導光体をドアの側面に取り付け、導光体の一端に取りけられる発光手段によって導光体全体から光が車室内に放射される室内照明装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、一端から入射した光を内部で伝播させるとともに側面から光を漏らすライトガイドと、ライトガイドの側面から入射したLEDからの光の散乱により側面を発光させる照明装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-137098号公報
【文献】特開2015-182567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、室内の視覚的な広がりを演出するだけでなく、搭乗者が心地よさを感じてリラックスできる空間を演出する要求がある。しかし、従来技術の照明装置では、このような空間を演出することについては改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、搭乗者が車室内の視覚的な広がりを感じるとともに心地よさを感じてリラックスできる空間を演出する車室内照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車室内照明装置は、車室の前方に設けられて前記車室の前方の左右の側面にそれぞれ配置された前方内装部材の各前方部にそれぞれ光を照射する複数の前方発光部と、前記車室の後方に設けられて前記車室の後方の左右の側面にそれぞれ配置された後方内装部材の各後方部にそれぞれ光を照射する複数の後方発光部と、を備え、前記前方発光部は、前記車室の前方に設けられた内装トリムの左右の側端部に配置され、車両後方斜め外側に向かってそれぞれ発光して各前記前方内装部材の各前記前方部にそれぞれ光を照射し、各前記後方発光部は、各前記後方内装部材の車両後方にそれぞれ配置され、車両前方斜め外側に向かってそれぞれ発光して各前記後方内装部材の各前記後方部にそれぞれ光を照射し、各前記前方内装部材は、左右の前方ドアの車室側にそれぞれ取り付けられた前ドアトリムであり、各前記後方内装部材は、左右の後方ドアの車室側にそれぞれ取り付けられた後ドアトリムであり、各前記前ドアトリムは、各前記前方ドアの前記車室の左右の内面をそれぞれ構成する前ドアトリム本体と、各前記前ドアトリム本体の車室側の面にそれぞれ取り付けられた前ドア飾りパネルとをそれぞれ含み、各前記後ドアトリムは、各前記後方ドアの前記車室の左右の内面をそれぞれ構成する後ドアトリム本体と、各前記後ドアトリム本体の車室側の面にそれぞれ取り付けられた後ドア飾りパネルとをそれぞれ含み、左側の前記前ドア飾りパネルと左側の前記後ドア飾りパネル、及び、右側の前記前ドア飾りパネルと右側の前記後ドア飾りパネルは、それぞれ車両前後方向に並ぶように配置されており、各前記前方発光部は、各前記前ドア飾りパネルの各前部にそれぞれ光を照射し、各前記後方発光部は、各前記後ドア飾りパネルの各後部にそれぞれ光を照射し、各前記後方発光部は、各前記後ドア飾りパネルの車両後方に位置する各前記後ドアトリム本体の車両後方部分の内部にそれぞれ取り付けられ、各前記後ドア飾りパネルと各前記後ドアトリム本体との隙間からそれぞれ車両前方斜め外側に向かって発光すること、を特徴とする。
【0008】
このように、車室内の四隅を照明することにより、車室の左右の側面の前方と後方の照明領域が搭乗者に車室内の車両前後方向の視覚的な広がりを感じさせ、車室の前方の左右の照明領域、或いは、車室後方の左右の照明領域が搭乗者に車室内の車両幅方向の視覚的な広がりを感じさせる。これにより、搭乗者に車室全体が視覚的に広がったように感じさせることができる。また、車室内の四隅を間接的に照明することにより、搭乗者が心地よさを感じてリラックスできる空間を演出することができる。
【0010】
また、この構成により、車室の左右の側面の前方内装部材の前方部に前方から後方に向かうように延びる前方照明領域が形成され、後方内装部材の後方部に後方から前方に向かうように延びる後方照明領域が形成される。これにより、搭乗者が車室内の車両前後方向の視覚的な広がりを感じることができる。また、間接的に車室内を照明するので、搭乗者が車室内を心地よくリラックスできる空間と感じる。
【0012】
更に、このように、車室の左右の側面を構成する左右の前ドアトリムの各前方部と左右の後ドアトリムの各後方部に光を照射するので、搭乗者が車室内の車両前後方向の視覚的な広がりを感じることができる。
【0014】
また、このように、車両前後方向に並んだ前ドア飾りパネルの前部と後ドア飾りパネルの後部とを照明するので、前方の照明領域と後方の照明領域とが車両前後方向に広がっているように見え、搭乗者が車室内の車両前後方向の視覚的な広がりを感じることができる。
【0016】
更に、これにより、車室内のデザインに影響を与えることなく、後ドア飾りパネルの後方部に後方から前方に向かうように延びる後方照明領域を形成できる。
【0017】
本発明の車室内照明装置において、各前記前ドア飾りパネルと各前記後ドア飾りパネルとは、それぞれ各前記前ドアトリム本体と各前記後ドアトリム本体よりも光の反射率が高く、車両前後方向に延びる帯状部材でもよい。
【0018】
これにより、車室の左右の側面の前方と後方とに車両前後方向に延びる帯状の照明領域が形成されるので、搭乗者が車室内の車両前後方向の視覚的な広がりをより感じることができる。
【0019】
本発明の車室内照明装置において、前記内装トリムは、前記車室の前方に配置されたインスツルメントパネルであり、前記インスツルメントパネルは、左右の側端部で車室内に向かってそれぞれ突出する空気吹出しノズルと、各前記空気吹出しノズルの車両幅方向外側部にそれぞれ設けられたすり鉢状の窪みと、を有し、各前記すり鉢状の窪みは、車両後方斜め外側に向かって広がっており、各前記前方発光部は、各前記窪みの中にそれぞれ設けられた発光素子でもよい。
【0020】
これにより、左右の前ドア飾りパネルの前部を限定的に照明することができる。
【0021】
本発明の車室内照明装置において、各前記前方発光部は、各前記前方内装部材の車両前方にそれぞれ配置され、車両後方斜め外側に向かってそれぞれ発光して各前記前方内装部材の各前記前方部にそれぞれ光を照射し、各前記後方発光部は、各前記後方内装部材の車両後方にそれぞれ配置され、車両前方斜め外側に向かってそれぞれ発光して各前記後方内装部材の各前記後方部にそれぞれ光を照射してもよい。
【0022】
これにより、車室の左右の側面の前方内装部材の前方部に前方から後方に向かうように延びる前方照明領域が形成され、後方内装部材の後方部に後方から前方に向かうように延びる後方照明領域が形成され、搭乗者が車室内の車両前後方向の視覚的な広がりを感じることができる。
【0023】
本発明の車室内照明装置において、各前記前方内装部材は、左右の前方ドアの車室側にそれぞれ取り付けられた前ドアトリムであり、各前記後方内装部材は、左右の後方ドアの車室側にそれぞれ取り付けられた後ドアトリムであり、各前記前ドアトリムは、各前記前方ドアの前記車室の左右の内面をそれぞれ構成する前ドアトリム本体と、各前記前ドアトリム本体の車室側の面にそれぞれ取り付けられた前ドア飾りパネルとをそれぞれ含み、各前記後ドアトリムは、各前記後方ドアの前記車室の左右の内面をそれぞれ構成する後ドアトリム本体と、各前記後ドアトリム本体の車室側の面にそれぞれ取り付けられた後ドア飾りパネルとをそれぞれ含み、左側の前記前ドア飾りパネルと左側の前記後ドア飾りパネル、及び、右側の前記前ドア飾りパネルと右側の前記後ドア飾りパネルは、それぞれ車両前後方向に並ぶように配置されており、各前記前方発光部は、各前記前ドア飾りパネルの車両前方に位置する各前記前ドアトリム本体の車両前方部分の内部にそれぞれ取り付けられ、各前記前ドア飾りパネルと各前記前ドアトリム本体との隙間からそれぞれ車両後方斜め外側に向かって発光して各前記前ドア飾りパネルの各前部にそれぞれ光を照射し、各前記後方発光部は、各前記後ドア飾りパネルの車両後方に位置する各前記後ドアトリム本体の車両後方部分の内部にそれぞれ取り付けられ、各前記後ドア飾りパネルと各前記後ドアトリム本体との隙間からそれぞれ車両前方斜め外側に向かって発光して各前記後ドア飾りパネルの各後部にそれぞれ光を照射してもよい。
【0024】
これにより、前ドア飾りパネルの前方部に前方から後方に向かうように延びる前方照明領域を形成するとともに、後ドア飾りパネルの後方部に後方から前方に向かうように延びる後方照明領域を形成できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、搭乗者が車室内の視覚的な広がりを感じるとともに心地よさを感じてリラックスできる空間を演出する車室内照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態の車室内照明装置を搭載した車両の車室を示す平面図である。
図2】実施形態の車室内照明装置を搭載した車両の車室内から車室の前方部分を見た立面図であり、図1に示すA-A視である。
図3】実施形態の車室内照明装置を搭載した車両の車室内から車室の右側の側面を見た立面図であり、図1に示すB-B視である。
図4】前方発光部の断面図であって、図3に示すC-C断面である。
図5】後方発光部を車両前方から見た図であって、図3に示すD-D断面である。
図6】後方発光部を車両前方から見た斜視図である。
図7図2に示す車室の前方部分を車室内から見た立面図であって、前方発光部が点灯した状態を示す図である。
図8図3に示す車室の右側面を車室内から見た立面図であって、前方発光部と後方発光部とが点灯した状態を示す図である。
図9】他の実施形態の車室内照明装置を搭載した車両の車室内から車室の右側の側面を見た立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら実施形態の車室内照明装置100について説明する。尚、各図に示す矢印FR、矢印UP、矢印RHは、車両10の前方向(進行方向)、上方向、右方向をそれぞれ示している。また、各矢印FR、UP、RHの反対方向は、車両後方向、下方向、左方向を示す。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両左右方向(車両幅方向)の左右、車両上下方向の上下を示すものとする。
【0028】
最初に、図1から図3を参照しながら実施形態の車室内照明装置100が搭載される車両10について説明する。図1に示すように、車両10は、左右の前方ドア21L、21Rと、左右の後方ドア25L、25Rを備え、車室11の前方にはドライバ席12Rと、パッセンジャ席12Lとを備え、車室11の後方には後席13を備える4ドアセダンである。車室11のドライバ席12Rの前方には、ハンドル14が取り付けられており、ハンドル14の前方には、インスツルメントパネル15が配置されている。インスツルメントパネル15は、車室11の前方に設けられた内装トリムであり、スピードメータ等の運転用の計器が配置されている。また、図1、2に示すように、インスツルメントパネル15の左右の側端部には、車室内に向かって車両後方に空調空気を吹きだす左右の空気吹出しノズル16L、16Rが設けられている。
【0029】
図3に示すように、右側の前方ドア21Rの車室側には、前方内装部材である前ドアトリム24Rが取り付けられている。前ドアトリム24Rは、車室11の右側前方の内面を構成する右側の前ドアトリム本体22Rと、右側の前ドアトリム本体22Rの車室側の面に取り付けられた右側の前ドア飾りパネル23Rとで構成されている。前ドア飾りパネル23Rには、前方ドア21Rを開閉するための前レバー51Rが取り付けられており、前ドア飾りパネル23Rの下側には、前アームレスト53Rが設けられている。
【0030】
右側の後方ドア25Rの車室側には、後方内装部材である後ドアトリム28Rが取り付けられている。後ドアトリム28Rは、車室11の右側後方の内面を構成する右側の後ドアトリム本体26Rと、右側の後ドアトリム本体26Rの車室側の面に取り付けられた右側の後ドア飾りパネル27Rとで構成されている。後ドア飾りパネル27Rには、後方ドア25Rを開閉するための後レバー55Rが取り付けられており、後ドア飾りパネル27Rの下側には後アームレスト56Rが設けられている。前ドア飾りパネル23Rと後ドア飾りパネル27Rとは、それぞれ車両前後方向に延びる板状部材であり、車両前後方向に並ぶように配置されている。
【0031】
前ドアトリム本体22Rと後ドアトリム本体26Rとは樹脂製の部材であり、表面には細かな凹凸の模様が付されており、あまり光が反射しない。一方、前ドア飾りパネル23Rと後ドア飾りパネル27Rとは、例えば、木目等の模様のある表面が平滑な部材であり、前ドアトリム本体22Rと後ドアトリム本体26Rよりも光の反射率が高くなっている。
【0032】
左側の前方ドア21Lは、右側の前方ドア21Rと左右対称で、左側の前ドアトリム本体22Lと左側の前ドア飾りパネル23Lとで構成される左側の前ドアトリム24Lが車室内側に取り付けられている。前ドア飾りパネル23Lには左側の前方ドア21Lを開閉する前レバー51L(図2参照)が取り付けられている。また、左側の後方ドア25Lも右側の後方ドア25Rと左右対称で、左側の後ドアトリム本体26Lと左側の後ドア飾りパネル27Lとで構成される左側の後ドアトリム28Lが車室内側に取り付けられている。後ドア飾りパネル27Lには左側の後方ドア25Lを開閉する後レバー(図示せず)が取り付けられている。
【0033】
また、左右の前方ドア21L、21Rと左右の後方ドア25L、25Rとの間には左右のセンターピラー17L、17Rが配置されている。
【0034】
次に、図1に戻って、車両10に搭載される車室内照明装置100について説明する。車室内照明装置100は、車室11の前方の左右に取り付けられた前方発光部33L、33Rと、車室11の後方の左右の側面に取り付けられた後方発光部36L、36Rとで構成されている。前方発光部33L、33Rは、車両10の走行中または停止中に車両後方斜め外側に向かって発光して前方内装部材である前ドアトリム24L、24Rの前方部に光を照射する。また、後方発光部36L、36Rは、車両10の走行中または停止中に車両前方斜め外側に向かって発光して後方内装部材である後ドアトリム28L、28Rの後方部に光を照射する。
【0035】
最初に右側の前方発光部33Rについて説明する。図1、2に示すように、右側の前方発光部33Rは、インスツルメントパネル15の右側端部の空気吹出しノズル16Rの右側の外側部に取り付けられている。図3、4に示すように、インスツルメントパネル15の右側の空気吹出しノズル16Rの車両幅方向外側部には、すり鉢状の窪み32Rが設けられている。すり鉢状の窪み32Rは、車両後方斜め外側に向かって広がっており、窪み32Rの中には、発光素子31Rが設けられている。発光素子31Rから射出された光は、すり鉢状の窪み32Rのテーパ面にガイドされて図1、4に一点鎖線で示す光路91R、92Rに沿って車両10の車両右斜め後方に向かって進み、右側の前方ドア21Rの前ドア飾りパネル23Rと、その周辺の前ドアトリム本体22Rの前方部を照射する。発光素子31Rと窪み32Rとは前方発光部33Rを構成する。尚、発光素子31Rの発光色は、例えば、電球色でもよいし昼光色でもよいし、緑色や青色等でもよい。
【0036】
先に説明したように、前ドアトリム本体22Rは表面には細かな凹凸の模様が付された樹脂製の部材であまり光が反射せず、前ドア飾りパネル23Rは表面が平滑で前ドアトリム本体22Rよりも光の反射率が高い。このため、光が前ドア飾りパネル23Rと、その周辺の前ドアトリム本体22Rの前方部に照射された場合、前ドアトリム本体22Rはあまり光って見えず、図7中にクロスハッチングで示すように前ドア飾りパネル23Rの前部のみが光って見える。図7中にクロスハッチングで示す領域を右側の前方照明領域61Rという。先に説明したように、前ドア飾りパネル23Rは、車両前後方向に延びる帯状部材であるから、前方照明領域61Rは、車両10の前方から後方に向かって延びる帯状の領域となる。また、発光素子31Rから射出された光は、車両右斜め後方に向かって進むので、前方照明領域61Rは車両10の後方に向かうにつれて次第に明るさが低くなり、前レバー51Rの前方付近でフェードアウトしている。これにより、搭乗者には、前方照明領域61Rが、車両10の前方から後方に向って放射する光の帯のように感じられる。
【0037】
左側の前方発光部33Lは右側の前方発光部33Rと左右対称で、インスツルメントパネル15の左側の空気吹出しノズル16Lの車両幅方向外側部に設けられた窪み(図示せず)と、窪みの中に取り付けられた発光素子(図示せず)とで構成されている。左側の前方発光部33Lの発光素子から射出された光は、図1中の一点鎖線で示す光路91L、92Lに沿って車両10の車両左斜め後方に向かって進み、左側の前方ドア21Lの前ドア飾りパネル23Lと、その周辺の前ドアトリム本体22Lの前方部を照射し、図7中にクロスハッチングで示す左側の前方照明領域61Lを形成する。左側の前方照明領域61Lの範囲と明るさとは、右側の前方照明領域61Rと同様である。
【0038】
次に右側の後方発光部36Rについて説明する。図3に示すように、右側の後方発光部36Rは、右側の後ドア飾りパネル27Rの車両後方に位置する後ドアトリム本体26Rの車両後方部分26Rdの内部に取り付けられている。
【0039】
図5、6に示すように、後ドアトリム本体26Rの後ドア飾りパネル27Rが取り付けられる一般部26Raには、後ドア飾りパネル27Rが嵌め込まれる溝26Rbが設けられている。後ドア飾りパネル27Rは、車室11の側の表面27Raが後ドアトリム本体26Rの上側の車室11の側の表面26Rcと同様の高さとなるように溝26Rbに取り付けられている。後ドアトリム本体26Rの車両後方部分26Rdは、後ドア飾りパネル27Rの表面27Raよりも車室11の内部に向かって膨らんでおり、車両後方部分26Rdの車両前方面26Reの後ドア飾りパネル27Rの表面27Raの近傍には、車室11の側に向かって凹んだ縦に長い溝形の切欠き26Rfが形成されている。切欠き26Rfは、後ドアトリム本体26Rの車両後方部分26Rdと後ドア飾りパネル27Rの表面27Raとの間に隙間29Rを形成する。
【0040】
後方発光部36Rは、導光棒34Rと、導光棒34Rの一端に配置された発光素子35Rとで構成されている。導光棒34Rは、一端に配置した発光素子35Rから入射した光を内部で伝播させるとともに側面から光を放射する。図3、5、6に示すように、導光棒34Rは、長手方向が後ドアトリム本体26Rと後ドア飾りパネル27Rの表面27Raとの間の隙間29Rに沿って延びるように後ドアトリム本体26Rの内部に取り付けられている。導光棒34Rは、水平方向に光を放射するように車両前後方向に延びる細かな刻みが設けられている。また、導光棒34Rは、光を放射する面が車両前方斜め外側を向くように傾斜して取り付けられている。これにより、導光棒34Rは、図6中の矢印95に示すように、発光素子35Rから入射した光を隙間29Rから車両前方斜め外側に向かって水平方向に射出する。射出された光は図1に一点鎖線で示す光路93Rに沿って車両10の右斜め前方に向かって進み、図8中にクロスハッチングで示すように右側の後方ドア25Rの後ドア飾りパネル27Rの後部を照射する。図8中にクロスハッチングで示す領域を右側の後方照明領域62Rという。尚、発光素子35Rの発光色は、例えば、電球色でもよいし昼光色でもよし、緑色や青色等でもよい。
【0041】
先に説明したように、後ドア飾りパネル23Rは、表面が平滑で車両前後方向に延びる帯状部材であるから、後方照明領域62Rは、車両10の後方から前方に向かって延びる帯状の領域となる。また、後方発光部36Rから射出された光は、車両10の右斜め前方に向かって進むので、後方照明領域62Rは車両10の前方に向かうにつれて次第に明るさが低くなり、後レバー55Rの後方付近でフェードアウトしている。これにより、搭乗者には、後方照明領域62Rが、車両10の後方から前方に向って放射する光の帯のように感じられる。
【0042】
尚、後ドアトリム本体26Rは表面に細かな凹凸があり、あまり光が反射しないので、後方発光部36Rからの光が当たってもあまり光って見えず、図7中にクロスハッチングで示すように後ドア飾りパネル27Rの後部のみが帯状に光って見える。
【0043】
左側の後方発光部36Lは、右側の後方発光部36と左右対称で、導光棒(図示せず)と発光素子(図示せず)で構成されている。後方発光部36Lの導光棒は発光素子から入射した光を後ドア飾りパネル27Lと後ドアトリム本体26Lの車両後方部分(図示せず)との隙間(図示せず)から車両前方斜め外側に向かって射出する。射出された光は図1に一点鎖線で示す光路93Lに沿って車両10の左斜め前方に向かって進み、左側の後ドア飾りパネル27Lの後部を照射し、図1に示す左側の後方照明領域62Lを形成する。左側の後方照明領域62Lの範囲と明るさとは、右側の後方照明領域62Rと同様である。

【0044】
以上説明したように、車室内照明装置100は、左右の前方発光部33L、33Rと左右の後方発光部36L、36Rの4つの発光部を車室11の四隅に配置し、左右の前方照明領域61L、61Rと左右の後方照明領域62L、62Rを形成する。右側の前方照明領域61Rと後方照明領域62R、左側の前方照明領域61Lと後方照明領域62Lは、それぞれ搭乗者に車室11の車両前後方向の視覚的な広がりを感じさせる。また、左右の前方照明領域61L、61R、後方照明領域62L、62Rは搭乗者に車室11の車両幅方向の視覚的な広がりを感じさせる。これにより、車室内照明装置100は搭乗者に視覚的に車室11が広がったように感じさせることができる。また、左右の前方発光部33L、33Rと左右の後方発光部36L、36Rにより車室11の四隅を間接照明することにより、搭乗者が心地よさを感じてリラックスできる空間を演出することができる。
【0045】
左右の前方照明領域61L、61Rは、車両10の前方から後方に向かって延びる帯状の領域で、車両10の後方に向かうにつれて次第に明るさが低くなりフェードアウトするで、搭乗者には車両10の前方から後方に向って放射する光の帯のように感じられる。また、左右の後方照明領域62L、62Rは、車両10の後方から前方に向かって延びる帯状の領域で、車両10の前方に向かうにつれて次第に明るさが低くなりフェードアウトするで、搭乗者には車両10の後方から前方に向って放射する光の帯のように感じられる。そして、前方照明領域61L、61Rと後方照明領域62L、62Rとの間には光が当たらない領域ができる。このため、搭乗者に、車室11の前後方向の視覚的な広がりをより強く感じさせることができる。
【0046】
以上説明したように、車室内照明装置100は、搭乗者が車室11の視覚的な広がりを感じるとともに心地よさを感じてリラックスできる空間を演出することができる。
【0047】
以上の説明では、車室内照明装置100は、4ドアセダンの車両10に搭載されるとして説明したがこれに限らず、例えば、2ドアの車両に搭載してもよい。この場合、後方発光部36L、36Rを後方ドア25L、25Rではなく前方ドア21L、21Rの後方の車室11の側壁を構成する内装部材の中に取り付けて、その内装部材の後部を照射するようにしてもよい。更に、バスのように例えば右側にドアがない車両に搭載する場合には、前方発光部33R、後方発光部36Rを車室11の右側面を構成する内装部材の中に取り付けて車室11の右側の前方部と後方部とを照明するようにしてもよい。
【0048】
また、以上の説明では、前方発光部33L、33Rは、車両前方のインスツルメントパネル15の左右の側端部に設けることとして説明したが、前方内装部材である前ドアトリム24L、24Rの前方部に光を照射できればこれに限らず、他の内装部材の側端面に設けるようにしてもよい。
【0049】
次に図9を参照しながら他の実施形態の車室内照明装置200について説明する。先に図1から8を参照して説明した車室内照明装置100と同一の部位には同一の符号を付して説明は省略する。最初に、車室11の右側の前方発光部39Rについて説明する。
【0050】
図9に示すように、車室内照明装置200は、後方発光部36Rと同様、前方発光部39Rを導光棒37Rと発光素子38Rとで構成し、前方発光部39Rの構成を、後方発光部36Rを前後反転させたような構成としたものである。
【0051】
前方発光部39Rは、前ドア飾りパネル23Rの車両前方に位置する前ドアトリム本体22Rの車両前方部分22Rdの内部に取り付けられ、前ドア飾りパネル23Rと前ドアトリム本体22Rとの隙間30Rから車両後方斜め外側に向かって発光する。前方発光部39Rは、前ドア飾りパネル23Rの前部に前方から後方に向かって帯状に延びる前方照明領域63Rを形成する。
【0052】
車室11の左側の前方発光部(図示せず)は、右側の前方発光部39Rと左右対称の構造であり、前ドア飾りパネル23Lと前ドアトリム本体22Lとの隙間(図示せず)から車両後方斜め外側に向かって発光し、前ドア飾りパネル23Lの前部に前方から後方に向かって帯状に延びる前方照明領域(図示せず)を形成する。
【0053】
車室内照明装置200は、車室内照明装置100と同様、搭乗者に視覚的に車室11が広がったように感じさせるとともに、車室11の四隅を間接照明することにより、搭乗者が心地よさを感じてリラックスできる空間を演出することができる。
【符号の説明】
【0054】
10 車両、11 車室、12L パッセンジャ席、12R ドライバ席、13 後席、14 ハンドル、15 インスツルメントパネル、16L、16R 空気吹出しノズル、17L、17R センターピラー、21L、21R 前方ドア、22L、22R 前ドアトリム本体、22Rd 車両前方部分、23L、23R 前ドア飾りパネル、24L、24R 前ドアトリム、25L、25R 後方ドア、26L、26R 後ドアトリム本体、26Ra 一般部、26Rb 溝、26Rc、27Ra 表面、26Rd 車両後方部分、26Re 車両前方面、26Rf 切欠き、27L、27R 後ドア飾りパネル、28L、28R 後ドアトリム、29R、30R 隙間、31R、35R、38R 発光素子、32R 窪み、33L、33R、39R 前方発光部、34R、37R 導光棒、36L、36R 後方発光部、51R 前レバー、53R 前アームレスト、55R 後レバー、56R 後アームレスト、61L、61R、63R 前方照明領域、62L、62R 後方照明領域、91L、91R、92L、92R、93L、93R 光路、100 車室内照明装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9