(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】健康増進システム及び健康増進方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/30 20180101AFI20240918BHJP
【FI】
G16H20/30
(21)【出願番号】P 2022098869
(22)【出願日】2022-06-20
【審査請求日】2024-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】中島 一誠
(72)【発明者】
【氏名】宮川 透
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 英男
(72)【発明者】
【氏名】木下 裕介
(72)【発明者】
【氏名】安田 章太郎
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-076193(JP,A)
【文献】特開2019-032822(JP,A)
【文献】特開2004-345400(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0075242(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いた健康増進システムであって、
人の操作によって開く扉機構と、
前記扉機構を制御する制御部と、
前記扉機構を操作する前記人を特定するための特定情報を取得する特定情報取得手段と、を備え、
前記制御部は、
前記人の健康状態を示す健康状態情報を取得し、
前記健康状態が、前記特定情報によって特定された前記人のために予め定められた目標値を満たすか否かを判定し、
前記健康状態が前記目標値を満たしていない場合、前記扉機構を開くための前記操作の運動負荷を増大させる、
健康増進システム。
【請求項2】
前記健康状態が運動量であって、
前記運動量が前記目標値を下回り、当該目標値を満たしていない場合、前記扉機構を開くための前記操作の運動負荷を増大させる、
請求項1に記載の健康増進システム。
【請求項3】
前記健康状態が摂取カロリーであって、
前記摂取カロリーが前記目標値を超え、当該目標値を満たしていない場合、前記扉機構を開くための前記操作の運動負荷を増大させる、
請求項1に記載の健康増進システム。
【請求項4】
前記健康状態が体重であって、
前記体重が前記目標値を超え、当該目標値を満たしていない場合、前記扉機構を開くための前記操作の運動負荷を増大させる、
請求項1に記載の健康増進システム。
【請求項5】
前記人が、前記運動負荷を変更しないことを選択可能であり、
前記制御部は、
前記運動負荷を変更しないことが選択された場合、前記健康状態が前記目標値を満たすか否かの判定を行わず、前記運動負荷を変更しない、
請求項1~4のいずれか一項に記載の健康増進システム。
【請求項6】
コンピュータを用いた健康増進方法であって、
扉機構を操作する人を特定するための特定情報を取得するステップと、
前記人の健康状態を示す健康状態情報を取得するステップと、
前記健康状態が、前記特定情報によって特定された前記人のために予め定められた目標値を満たすか否かを判定するステップと、を備え、
前記健康状態が前記目標値を満たしていない場合、前記扉機構を開くための前記操作の運動負荷を増大させる、
健康増進方法。
【請求項7】
前記健康状態が運動量であって、
前記運動量が前記目標値を下回り、当該目標値を満たしていない場合、前記扉機構を開くための前記操作の運動負荷を増大させる、
請求項6に記載の健康増進方法。
【請求項8】
前記健康状態が摂取カロリーであって、
前記摂取カロリーが前記目標値を超え、当該目標値を満たしていない場合、前記扉機構を開くための前記操作の運動負荷を増大させる、
請求項6に記載の健康増進方法。
【請求項9】
前記健康状態が体重であって、
前記体重が前記目標値を超え、当該目標値を満たしていない場合、前記扉機構を開くための前記操作の運動負荷を増大させる、
請求項6に記載の健康増進方法。
【請求項10】
前記人が、前記運動負荷を変更しないことを選択可能であり、
前記運動負荷を変更しないことが選択された場合、前記健康状態が前記目標値を満たすか否かの判定を行わず、前記運動負荷を変更しない、
請求項6~9のいずれか一項に記載の健康増進方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、健康増進システム及び健康増進方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザの身体情報に基づいて、ユーザの意思又は状態を分析及び認定し、ユーザの意思又は状態に対応する所定の動作をロボットに表現させるシステムが開示されている。ロボットの動作に応じ、ユーザが、自主的に運動機能の維持や心身の活動活性を行い、介護予防を図る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたシステムでは、単に運動を推奨するだけであり、ユーザに対する運動の動機付けが低いため、ユーザが運動を行わない虞がある。すなわち、特許文献1に開示されたシステムは、健康増進効果に劣るという問題があった。
本開示は、このような事情に鑑みなされたものであって、優れた健康増進効果が得られる健康増進システム及び健康増進方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における一態様に係る健康増進システムは、
コンピュータを用いた健康増進システムであって、
人の操作によって開く扉機構と、
前記扉機構を制御する制御部と、
前記扉機構を操作する前記人を特定するための特定情報を取得する特定情報取得手段と、を備え、
前記制御部は、
前記人の健康状態を示す健康状態情報を取得し、
前記健康状態が、前記特定情報によって特定された前記人のために予め定められた目標値を満たすか否かを判定し、
前記健康状態が前記目標値を満たしていない場合、前記扉機構を開くための前記操作の運動負荷を増大させるものである。
【0006】
また、本開示における一態様に係る健康増進方法は、
コンピュータを用いた健康増進方法であって、
扉機構を操作する人を特定するための特定情報を取得するステップと、
前記人の健康状態を示す健康状態情報を取得するステップと、
前記健康状態が、前記特定情報によって特定された前記人のために予め定められた目標値を満たすか否かを判定するステップと、を備え、
前記健康状態が前記目標値を満たしていない場合、前記扉機構を開くための前記操作の運動負荷を増大させるものである。
【0007】
上記のように、本開示における一態様では、扉機構を操作する人の健康状態を示す健康状態情報を取得し、前記健康状態が、その人のために予め定められた目標値を満たすか否かを判定し、前記健康状態が前記目標値を満たしていない場合、前記扉機構を開くための前記操作の運動負荷を増大させる。そのため、扉機構を開く際の運動負荷によって、優れた健康増進効果が得られる。
【0008】
前記健康状態が運動量であって、前記運動量が前記目標値を下回り、当該目標値を満たしていない場合、前記扉機構を開くための前記操作の運動負荷を増大させてもよい。
【0009】
前記健康状態が摂取カロリーであって、前記摂取カロリーが前記目標値を超え、当該目標値を満たしていない場合、前記扉機構を開くための前記操作の運動負荷を増大させてもよい。
【0010】
前記健康状態が体重であって、前記体重が前記目標値を超え、当該目標値を満たしていない場合、前記扉機構を開くための前記操作の運動負荷を増大させてもよい。
【0011】
前記人が、前記運動負荷を変更しないことを選択可能であり、前記運動負荷を変更しないことが選択された場合、前記健康状態が前記目標値を満たすか否かの判定を行わず、前記運動負荷を変更しなくてもよい。災害発生等の緊急時に、速やかに扉機構を開くことができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、優れた健康増進効果が得られる健康増進システム及び健康増進方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態に係る健康増進システムを示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る健康増進方法を示すフローチャートである。
【
図3】第2の実施形態に係る健康増進方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0015】
(第1の実施形態)
<健康増進システムの構成>
まず、
図1を参照して、第1の実施形態に係る健康増進システムについて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る健康増進システムを示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る健康増進システムは、扉機構10、特定情報取得手段20、ユーザ端末30、及び制御部100を備えている。
【0016】
扉機構10は、コンピュータである制御部100に無線接続もしくは有線接続されており、制御部100によって電子制御され、人の操作に応じて開く。扉機構10は、制御部100によって電子制御され、人の操作に応じて開く扉であれば、何ら限定されない。例えば、扉機構は、電子制御可能なロック機構を備えており、人の操作に応じてロック機構のロック状態が解除される。
【0017】
特定情報取得手段20は、制御部100に無線接続もしくは有線接続されており、扉機構10を操作する人を特定するための特定情報を取得する電子機器である。特定情報取得手段20は、何ら限定されないが、例えば指紋認証、静脈認証、虹彩認証、顔認証等の生体認証を行うためのセンサ、カメラ等である。また、特定情報取得手段20は、本人確認用のIC(Integrated Circuit)カード等を読み取るリーダでもよい。さらに、特定情報取得手段20は、本人確認用のパスワード等を入力するためのタッチパネル、キーボード等の入力装置でもよい。
【0018】
ユーザ端末30は、制御部100に無線接続もしくは有線接続されており、扉機構10を操作する人の健康状態を示す健康状態情報を制御部100に送信する電子機器である。ユーザ端末30は、何ら限定されないが、例えば扉機構10を操作する人が携帯するスマートフォン、スマートウォッチなどの携帯端末である。
健康状態情報は、例えばその日の運動量(例えば運動による消費カロリー)、食事等による摂取カロリー、体重等である。
【0019】
なお、ユーザ端末30が、特定情報取得手段20を兼ねてもよい。例えば、特定情報取得手段20が、ユーザ端末30に搭載されたセンサ、カメラ、入力装置等でもよい。また、制御部100に健康状態情報を送信可能な電子機器できれば、ユーザ端末30に限定されない。例えば、ユーザ端末30に代えて、扉機構10を操作する人が健康状態情報を入力するためのタッチパネル、キーボード等の入力装置が制御部100に接続されていてもよい。
【0020】
図1に示すように、制御部100は、扉機構10、特定情報取得手段20、及びユーザ端末30と通信可能に無線接続又は有線接続されている。
図1に示すように、制御部100は、ハードウェアとして、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、及びI/O(Input/Output)104を備えている。すなわち、制御部100は、コンピュータとしての機能を有しており、各種制御プログラム等に基づいて各種処理を行う。
【0021】
CPU101は、例えば、制御処理及び演算処理等を行う演算部である。
ROM102は、例えば、CPU101によって実行される制御プログラム及び演算プログラム等を記憶する記憶部である。
RAM103は、処理データ等が一時的に記憶する記憶部である。RAM103には、例えば、人の特定情報とその人の健康状態の目標値とが紐付けて記憶されている。
I/O104は、入出力装置であり、外部からデータ及び信号を入力し、外部にデータ及び信号を出力する。
【0022】
制御部100は、特定情報取得手段20が取得した特定情報及びユーザ端末30から受信した健康状態情報に基づいて、扉機構10を制御する。より詳細には、制御部100は、健康状態が、特定情報取得手段20が取得した特定情報によって特定された人のために予め定められた健康状態の目標値を満たすか否かを判定する。
【0023】
そして、制御部100は、健康状態が目標値を満たしていない場合、扉機構10を開くための操作の運動負荷を増大させる。例えば、扉機構10のドアノブを回転させるために必要な力を大きくし、操作の運動負荷を増大させる。あるいは、扉機構10を開くためのドアノブの回転動作を複数回行わないと、扉機構10のロック機構が解除されないように設定し、操作の運動負荷を増大させる。
【0024】
例えば、健康状態がその日の運動量(例えば運動による消費カロリー)であり、当該運動量が目標値を下回り、当該目標値を満たしていない場合、制御部100は、扉機構10を開くための操作の運動負荷を増大させる。
【0025】
例えば、健康状態がその日の食事等による摂取カロリーであり、当該摂取カロリーが目標値を超え、当該目標値を満たしていない場合、制御部100は、扉機構10を開くための操作の運動負荷を増大させる。
【0026】
例えば、健康状態がその日の体重であり、当該体重が目標値を超え、当該目標値を満たしていない場合、制御部100は、扉機構10を開くための操作の運動負荷を増大させる。
【0027】
以上に説明した通り、本実施形態に係る健康増進システムでは、扉機構10を操作する人の健康状態が、その人のために予め定められた健康状態の目標値を満たすか否かを判定する。そして、健康状態が目標値を満たしていない場合、扉機構10を開くための操作の運動負荷を増大させる。そのため、扉機構10を開く際の運動負荷によって、優れた健康増進効果が得られる。
【0028】
<健康増進方法>
次に、
図1に加え、
図2を参照して、本実施形態に係る健康増進方法について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る健康増進方法を示すフローチャートである。
まず、
図2に示すように、特定情報取得手段20が、扉機構10を操作する人を特定するための特定情報を取得する(ステップST1)。そして、制御部100が、特定情報取得手段20が取得した特定情報に基づいて、その人を特定する。
なお、特定情報取得手段20が、取得した特定情報に基づいて、その人を特定してもよい。
【0029】
次に、
図2に示すように、制御部100は、ユーザ端末30からその人の健康状態情報を取得する(ステップST2)。
次に、
図2に示すように、その人の健康状態が、その人のために予め定められた健康状態の目標値を満たすか否かを判定する。(ステップST3)。ここで、その人の健康状態の目標値は、例えば、記憶部(例えば
図1に示す制御部100のRAM103)に、その人の特定情報と紐付けて記憶されている。
【0030】
その人の健康状態が目標値を満たす場合(ステップST3YES)、制御部100は、扉機構10を開くための操作の運動負荷を変更せずに制御を終了する。
他方、その人の健康状態が目標値を満たさない場合(ステップST3NO)、制御部100は、扉機構10を開くための操作の運動負荷を増大させる。
【0031】
以上に説明した通り、本実施形態に係る健康増進方法では、扉機構10を操作する人の健康状態が、その人のために予め定められた健康状態の目標値を満たすか否かを判定する。そして、健康状態が目標値を満たしていない場合、扉機構10を開くための操作の運動負荷を増大させる。そのため、扉機構10を開く際の運動負荷によって、優れた健康増進効果が得られる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、
図3を参照して、第2の実施形態に係る健康増進システム及び健康増進方法について説明する。
図3は、第2の実施形態に係る健康増進方法を示すフローチャートである。ここで、
図3に示すステップST1~ステップST4は、
図2に示すステップST1~ステップST4と同じである。
【0033】
第2の実施形態に係る健康増進システムでは、扉機構10を開くための操作の運動負荷を変更するか否かを選択可能である。
そのため、
図3に示すように、特定情報取得手段20が、扉機構10を操作する人を特定するための特定情報を取得した後(ステップST1)、その人は扉機構10を開くための操作の運動負荷を変更するか否かを選択する(ステップST21)。
【0034】
その人が扉機構10を開くための操作の運動負荷を変更することを選択した場合(ステップST21YES)、制御部100は、
図2と同様に、ステップST2~ステップST4を行う。
他方、その人が扉機構10を開くための操作の運動負荷を変更しないことを選択した場合(ステップST21NO)、制御部100は、扉機構10を開くための操作の運動負荷を変更せずに制御を終了する。
【0035】
以上に説明した通り、本実施形態に係る健康増進方法では、扉機構10を開くための操作の運動負荷を変更するか否かを選択できる。
通常、扉機構10を開くための操作の運動負荷を変更することを選択するため、第1の実施形態に係る健康増進方法と同様に、優れた健康増進効果が得られる。
他方、災害発生等の緊急時に、扉機構10を開くための操作の運動負荷を変更しないことによって、通常の運動負荷において速やかに扉機構10を開くことができる。
その他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0036】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
【0037】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
10 扉機構
20 特定情報取得手段
30 ユーザ端末
100 制御部