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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】UE及び基地局
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/04 20090101AFI20240918BHJP
   H04W 16/32 20090101ALI20240918BHJP
   H04W 28/06 20090101ALI20240918BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20240918BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20240918BHJP
【FI】
H04W28/04 110
H04W16/32
H04W28/06 130
H04W72/0446
H04W72/0457 110
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022184544
(22)【出願日】2022-11-18
(62)【分割の表示】P 2021069110の分割
【原出願日】2013-03-28
(65)【公開番号】P2023018027
(43)【公開日】2023-02-07
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】スン ジェンニエン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ガン
(72)【発明者】
【氏名】レイ ミン
【審査官】谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/089107(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/113345(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/109195(WO,A2)
【文献】国際公開第2012/142123(WO,A2)
【文献】国際公開第2012/128558(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライマリセルおよびセカンダリセルのCA(Carrier Aggregation)をサポートする通信システムにおけるUE(User Equipment)であって、
基地局から、前記セカンダリセルのサブフレームn-kにおいてダウンリンク物理チャネルを受信する手段と、
前記プライマリセルのサブフレームnにおいて、前記ダウンリンク物理チャネルに対応するHARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)フィードバックを前記基地局へ送信する手段とを含み、
前記プライマリセルがTDD(Time Divisional Duplex)として設定され且つ前記セカンダリセルがFDD(Frequency Divisional Duplex)として設定され、
かつ前記セカンダリセルのスケジューリングのために、前記UEが他セルの制御チャネルを参照するよう構成されていない場合、
前記プライマリセルのためのアップリンク/ダウンリンク構造Configuration(Pcell UL-DL設定)に対する、前記nに関する前記kを要素として含むセットKは、以下の通りに定義される、
UE。
【請求項2】
前記プライマリセルのためのアップリンク/ダウンリンク構造のフレーム構成は、以下の通りに定義される、請求項1に記載のUE。
【請求項3】
前記セカンダリセルのスケジューリングのために、前記UEが他セルの制御チャネルを参照するよう構成されている場合、前記プライマリセルのためのアップリンク/ダウンリンク構造において、kの値それぞれは以下の通りに定義される、請求項1または2に記載のUE。
【請求項4】
プライマリセルおよびセカンダリセルのCA(Carrier Aggregation)をサポートする通信システムにおける基地局であって、
UE(User Equipment)へ、前記セカンダリセルのサブフレームn-kにおいてダウンリンク物理チャネルを送信する手段と、
前記プライマリセルのサブフレームnにおいて、前記ダウンリンク物理チャネルに対応するHARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)フィードバックを前記UEから受信する手段とを含み、
前記プライマリセルがTDD(Time Divisional Duplex)として設定され且つ前記セカンダリセルがFDD(Frequency Divisional Duplex)として設定され、
かつ前記セカンダリセルのスケジューリングのために、前記UEが他セルの制御チャネルを参照するよう構成されていない場合、
前記プライマリセルのためのアップリンク/ダウンリンク構造Configuration(Pcell UL-DL設定)に対する、前記nに関する前記kを要素として含むセットKは、以下の通りに定義される、
基地局。
【請求項5】
前記プライマリセルのためのアップリンク/ダウンリンク構造のフレーム構成は、以下の通りに定義される、請求項4に記載の基地局。
【請求項6】
前記セカンダリセルのスケジューリングのために、前記UEが他セルの制御チャネルを参照するよう構成されている場合、前記プライマリセルのためのアップリンク/ダウンリンク構造において、kの値それぞれは以下の通りに定義される、請求項4または5に記載の基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、大略、無線通信システムに関し、特にCA(Carrier Aggregation)をサポートする通信システムにおいてHARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)タイミングを決定する方法、装置、基地局、UE(user equipment)及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本章では、発明の理解を深め得る態様を紹介する。従って、本章の記述は、この観点から読み取られるべきであり、且つ従来技術であるもの又は従来技術で無いものについての認定として理解されるべきでは無い。
【0003】
3GPP(Third Generation Partnership Project)、3GPP2により定義されるLTE(Long Term Evolution)及びLTE-A(LTE-Advanced)の規格並びに/又はプロトコルは、次世代セルラ通信規格の一つである。多重化方式によれば、LTEシステム及びLTE-Aシステムは、FDD(Frequency Division Duplex)及びTDD(Time Division Duplex)の2つのモードを含む。サービスプロバイダは、その展開シナリオの状況によっては両タイプのシステムを実施すると予測される。TDDシステムを展開することの利点としては、異なるUL-DL(uplink-downlink)設定を介して、(例えば、トラヒック特性に基づく)フレキシブルなリソース活用を提供することが挙げられる。
【0004】
LTE-A要件を満たすためには、3GPP Release 8/9で規定される20MHzの帯域幅よりも広い伝送帯域幅をサポートすることが要求される。その推奨される解決策は、CA(Carrier Aggregation:キャリアアグリゲーション)である。CAにおいては、100MHz迄の広い伝送帯域幅をサポートするために、2以上のCC(Component Carriers)が一体化される。UE(user equipment)は、その能力に応じて、1又は複数のCC上で同時受信又は送信を行い得る。inter-band CAとの併用により、FDD帯域及びTDD帯域のキャリアアグリゲーションを用いて更なるフレキシビリティを達成可能である。
【0005】
LTE Release 10においては、FDDのキャリアアグリゲーション、及び同一のUL-DL設定を伴うTDDのキャリアアグリゲーションがサポートされて、より高いデータレート及びより高いスペクトル効率を得る。LTE Release 11においては、異なる帯域上での異なるUL-DL設定を伴うTDDのキャリアアグリゲーションもサポートされて、データレート及びスペクトル効率を更に向上させる。3GPP TSG RAN meeting #58、“Further LTE Carrier Aggregation Enhancements”では、FDD及びTDDのキャリアアグリゲーションがワークアイテムとして提案されている。FDD及びTDDのCAにおいては、TDD又はFDDのいずれか一方をPcell(primary cell:プライマリセル)として設定可能である。
【0006】
Pcellは、プライマリ周波数上で運用するセルである。このPcellにおいては、UEが初期コネクション確立手順を行う又はコネクション再確立手順を開始するか、或いはセルがハンドオーバ手順でプライマリセルとして指示される。Scell(Secondary cell:セカンダリセル)は、セカンダリ周波数上で運用するセルであり、RRCコネクションが確立された時点で設定されても良いし、追加的な無線リソースを提供するために使用されても良い。CAを伴い設定されたRRC_CONNECTEDに在るUEにとって、“サービングセル(serving cells)”との文言は、プライマリセル及び全てのセカンダリセルから成る1以上のセルのセットを意味するものとして使用される。
【0007】
初期伝送にて発生するデコード失敗に備えるため、LTE/LTE-Aは、HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)を採用して、デコードに失敗したデータを物理レイヤ上で再送する。
【0008】
HARQとは、デコードが失敗した場合に、受信機が送信機へNACK(Negative ACKnowledgement)を送信し、以て送信機がデコードに失敗したデータを再送するようにする技術である。データが成功裏にデコードされると、受信機は、送信機へACK(ACKnowledgement)を送信し、以て送信機が新たなデータを送信するようにする。
【0009】
通常、物理ダウンリンクチャネル、例えばPDSCH(Physical Downlink Shared CHannel)に対応するHARQフィードバックは、予め定義したタイミングに応じて、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)又はPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)等の物理アップリンクチャネル上で送信される。また、物理アップリンクチャネル、例えばPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)に対応するHARQフィードバックは、予め定義したタイミングに応じて、PHICH(Physical Hybrid ARQ Indicator CHannel)等の物理ダウンリンクチャネル上で送信される。
【0010】
欧州特許出願EP2530863A2においては、物理チャネルの送/受信タイミング及びリソース再割当を定義する方法が、CAをサポートするTDDシステムにおける使用のために提案されている。
【0011】
しかしながら、従来技術において、FDD及びTDDのCAをサポートする通信システムのためにHARQフィードバックタイミングを定義するソリューションは何ら存在しない。
【発明の概要】
【0012】
上記課題の1以上により好ましく対処するため、発明の第1の態様においては、基地局にて、プライマリセル及び少なくとも一つのセカンダリセルのCA(Carrier Aggregation)をサポートする通信システムにおけるUE(user equipment)から、HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)フィードバックを受信する方法が提供される。前記プライマリセル及びセカンダリセルは、FDD(Frequency Divisional Duplex)又はTDD(Time Divisional Duplex)のいずれか一方をサポートする。この方法は、前記プライマリセル及びセカンダリセルの一つを介して、ダウンリンク物理チャネルを送信し、前記プライマリセルに対し予め定めた第1のタイミングで、前記プライマリセルのダウンリンク物理チャネルに対応するHARQフィードバックを受信し、第2のタイミングで、前記セカンダリセルのダウンリンク物理チャネルに対応するHARQフィードバックを受信する、ことを含む。前記第2のタイミングは、前記プライマリセル及びセカンダリセルのデュプレックスモード、前記セカンダリセルのスケジューリングモード、並びに予め定めたルールの1以上に応じて決定される。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記デュプレックスモードは、TDD及びFDDから選択され、前記スケジューリングモードは、セルフスケジューリング及びクロスキャリアスケジューリングから選択され、前記予め定めたルールは、前記HARQフィードバックを、前記プライマリセルのコンポーネントキャリア上でのみ送信することである。
【0014】
幾つかの実施形態において、前記プライマリセルがFDDとして設定される場合、前記セカンダリセルのセルフスケジューリング及びクロスキャリアスケジューリングの両者のために、前記第2のタイミングは、前記第1のタイミングと同一である。
【0015】
幾つかの実施形態において、前記プライマリセルがTDDとして設定される場合、前記セカンダリセルのクロスキャリアスケジューリングのために、前記第2のタイミングは、前記第1のタイミングと同一である。
【0016】
幾つかの実施形態において、前記プライマリセルがTDDとして設定され且つ前記セカンダリセルがFDDとして設定される場合、前記セカンダリセルのセルフスケジューリングのために、前記第2のタイミングは、前記第1のタイミングと同一である、前記プライマリセルのTDD設定より多くの利用可能なダウンリンクサブフレームを有するTDD設定用の第3のタイミングと同一である、及び前記セカンダリセルに固有の第4のタイミング、のいずれか一つに応じて決定される。
【0017】
更なる実施形態において、前記第4のタイミングは、前記プライマリセルにおけるダウンリンクサブフレームでもある第1のダウンリンクサブフレームのために、前記第1のダウンリンクサブフレームのタイミングが前記第1のタイミングと同一であり、前記プライマリセルにおけるアップリンクサブフレームである第2のダウンリンクサブフレームのために、前記第2のダウンリンクサブフレームのタイミングが、前記第2のダウンリンクサブフレームに最も近い前記プライマリセルのダウンリンクフレームのタイミングと、処理遅延との最大値と同一である、ように決定される。オプションとして、前記第4のタイミングは、前記プライマリセルのアップリンクサブフレームの数に応じて更に調整されて、前記プライマリセルの前記アップリンクサブフレーム間で前記HARQフィードバックのバランスを取りつつ、HARQフィードバック遅延を最小化する。
【0018】
発明の第2の態様においては、UE(user equipment)にて、プライマリセル及び少なくとも一つのセカンダリセルのCA(Carrier Aggregation)をサポートする通信システムにおける基地局へ、HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)フィードバックを送信する方法が提供される。前記プライマリセル及びセカンダリセルは、FDD(Frequency Divisional Duplex)又はTDD(Time Divisional Duplex)のいずれか一方をサポートする。この方法は、前記プライマリセル及びセカンダリセルの一つを介して、ダウンリンク物理チャネルを受信し、前記プライマリセルに対し予め定めた第1のタイミングで、前記プライマリセルのダウンリンク物理チャネルに対応するHARQフィードバックを送信し、第2のタイミングで、前記セカンダリセルのダウンリンク物理チャネルに対応するHARQフィードバックを送信する、ことを含む。前記第2のタイミングは、前記プライマリセル及びセカンダリセルのデュプレックスモード、前記セカンダリセルのスケジューリングモード、並びに予め定めたルールの1以上に応じて決定される。
【0019】
発明の第3の態様においては、基地局にて、プライマリセル及び少なくとも一つのセカンダリセルのCA(Carrier Aggregation)をサポートする通信システムにおけるUE(user equipment)へ、HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)フィードバックを送信する方法が提供される。前記プライマリセル及びセカンダリセルは、FDD(Frequency Divisional Duplex)又はTDD(Time Divisional Duplex)のいずれか一方をサポートする。この方法は、前記プライマリセル及びセカンダリセルの一つを介して、アップリンク物理チャネルを受信し、前記プライマリセルに対し予め定めた第1のタイミングで、前記プライマリセルのアップリンク物理チャネルに対応するHARQフィードバックを送信し、第2のタイミングで、前記セカンダリセルのアップリンク物理チャネルに対応するHARQフィードバックを送信する、ことを含む。前記第2のタイミングは、前記プライマリセル及びセカンダリセルのデュプレックスモード、前記セカンダリセルのスケジューリングモード、並びに予め定めたルールの1以上に応じて決定される。
【0020】
幾つかの実施形態において、前記デュプレックスモードは、TDD及びFDDから選択され、前記スケジューリングモードは、セルフスケジューリング及びクロスキャリアスケジューリングから選択され、前記予め定めたルールは、前記HARQフィードバックを、アップリンクグラントを搬送するコンポーネントキャリア上でのみ送信することである。
【0021】
幾つかの実施形態において、セルフスケジューリングのために、前記第2のタイミングは、前記セカンダリセルに対し予め定めたタイミングと同一である。
【0022】
幾つかの実施形態において、クロスキャリアスケジューリングのために、前記第2のタイミングは、スケジューリングセル及びスケジュールされたセルのデュプレックスモードに応じて更に決定される。
【0023】
更なる実施形態において、前記セカンダリセルがスケジューリングセルである場合、前記第2のタイミングは、前記セカンダリセルに対し予め定めたタイミングと同一である。
【0024】
更なる実施形態において、前記セカンダリセルがTDDとして設定され且つFDDコンポーネントキャリアセルによってスケジュールされている場合、前記第2のタイミングは、前記セカンダリセルに対し予め定めたタイミングと同一である。
【0025】
また、前記セカンダリセルがFDDとして設定され且つTDDコンポーネントキャリアセルによってスケジュールされている場合、前記第2のタイミングは、前記スケジューリングセルのタイミングと同一である、及び可能な限り前記セカンダリセルのアップリンクサブフレームを利用出来るTDD設定用の第3のタイミングと同一である、のいずれか一つに応じて決定される。
【0026】
発明の第4の態様においては、UE(user equipment)にて、プライマリセル及び少なくとも一つのセカンダリセルのCA(Carrier Aggregation)をサポートする通信システムにおける基地局から、HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)フィードバックを受信する方法が提供される。前記プライマリセル及びセカンダリセルは、FDD(Frequency Divisional Duplex)又はTDD(Time Divisional Duplex)のいずれか一方をサポートする。この方法は、前記プライマリセル及びセカンダリセルの一つを介して、アップリンク物理チャネルを送信し、前記プライマリセルに対し予め定めた第1のタイミングで、前記プライマリセルのアップリンク物理チャネルに対応するHARQフィードバックを受信し、第2のタイミングで、前記セカンダリセルのアップリンク物理チャネルに対応するHARQフィードバックを受信する、ことを含む。前記第2のタイミングは、前記プライマリセル及びセカンダリセルのデュプレックスモード、前記セカンダリセルのスケジューリングモード、並びに予め定めたルールの1以上に応じて決定される。
【0027】
発明の第5の態様においては、発明の第1の態様の方法の各種実施形態を実施するための装置が提供される。この装置は、前記プライマリセル及びセカンダリセルの一つを介して、ダウンリンク物理チャネルを送信する送信機、を備える。また、この装置は、前記プライマリセルに対し予め定めた第1のタイミングで、前記プライマリセルのダウンリンク物理チャネルに対応するHARQフィードバックを受信し、第2のタイミングで、前記セカンダリセルのダウンリンク物理チャネルに対応するHARQフィードバックを受信する受信機、を備える。前記第2のタイミングは、前記プライマリセル及びセカンダリセルのデュプレックスモード、前記セカンダリセルのスケジューリングモード、並びに予め定めたルールの1以上に応じて決定される。
【0028】
発明の第6の態様においては、発明の第2の態様の方法の各種実施形態を実施するための装置が提供される。この装置は、前記プライマリセル及びセカンダリセルの一つを介して、ダウンリンク物理チャネルを受信する受信機、を備える。また、この装置は、前記プライマリセルに対し予め定めた第1のタイミングで、前記プライマリセルのダウンリンク物理チャネルに対応するHARQフィードバックを送信し、第2のタイミングで、前記セカンダリセルのダウンリンク物理チャネルに対応するHARQフィードバックを送信する送信機、を備える。前記第2のタイミングは、前記プライマリセル及びセカンダリセルのデュプレックスモード、前記セカンダリセルのスケジューリングモード、並びに予め定めたルールの1以上に応じて決定される。
【0029】
発明の第7の態様においては、発明の第3の態様の方法の各種実施形態を実施するための装置が提供される。この装置は、前記プライマリセル及びセカンダリセルの一つを介して、アップリンク物理チャネルを受信する受信機、を備える。また、この装置は、前記プライマリセルに対し予め定めた第1のタイミングで、前記プライマリセルのアップリンク物理チャネルに対応するHARQフィードバックを送信し、第2のタイミングで、前記セカンダリセルのアップリンク物理チャネルに対応するHARQフィードバックを送信する送信機、を備える。前記第2のタイミングは、前記プライマリセル及びセカンダリセルのデュプレックスモード、前記セカンダリセルのスケジューリングモード、並びに予め定めたルールの1以上に応じて決定される。
【0030】
発明の第8の態様においては、発明の第4の態様の方法の各種実施形態を実施するための装置が提供される。この装置は、前記プライマリセル及びセカンダリセルの一つを介して、アップリンク物理チャネルを送信する送信機、を備える。また、この装置は、前記プライマリセルに対し予め定めた第1のタイミングで、前記プライマリセルのアップリンク物理チャネルに対応するHARQフィードバックを受信し、第2のタイミングで、前記セカンダリセルのアップリンク物理チャネルに対応するHARQフィードバックを受信する受信機、を備える。前記第2のタイミングは、前記プライマリセル及びセカンダリセルのデュプレックスモード、前記セカンダリセルのスケジューリングモード、並びに予め定めたルールの1以上に応じて決定される。
【0031】
発明の第9の態様においては、少なくとも一つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも一つのメモリとを備えた装置が提供される。前記メモリ及びコンピュータプログラムコードは、前記装置に、発明の第1、第2、第3又は第4の態様の方法の実施形態を実行させる。
【0032】
発明の第10の態様においては、コンピュータ可読プログラムコード部が記憶された少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラムプロダクトが提供される。前記コンピュータ可読プログラムコード部は、発明の第1、第2、第3又は第4の態様の方法の実施形態を実行するためのプログラムコード指示を備える。
【0033】
本明細書で説明される技術の特定の実施形態によれば、HARQフィードバックタイミングが、FDD及びTDDのCAをサポートする通信システムのために定義される。幾つかの実施形態においては、高いピークレートを維持可能でありつつ、フィードバック遅延を最小化する。
【0034】
本発明の実施形態の他の特徴及び利点も、特定の実施形態の以下の説明から、例として本発明の実施形態の原理を示す図面と併せて読み取った場合に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
発明の各種実施形態の上記並びに他の態様、特徴及び利点は、例としての以下の詳細な説明及び図面からより十分に明らかとなるであろう。
【0036】
図1】LTEシステムにおいて定義されるFDDフレーム構造及びTDDフレーム構造を示した図である。
【0037】
図2】TDDシステムにおけるアップリンク/ダウンリンクサブフレーム割当の一の例示的なセットを示した図である。
【0038】
図3】LTE仕様において定義されるTDD用のPDSCH HARQタイミングを示した図である。
【0039】
図4】LTE仕様において定義されるTDD用のPUSCH HARQタイミングを示した図である。
【0040】
図5】LTE仕様において定義されるTDD用のPUSCHスケジューリングタイミングを示した図である。
【0041】
図6A】FDD及びTDDのCAのシナリオを示した図である。
図6B】FDD及びTDDのCAのシナリオを示した図である。
【0042】
図7】本発明の実施形態に係る、PcellがFDDとして設定される場合に用いる物理チャネル同士間のタイミング関係を示した図である。
【0043】
図8】本発明の実施形態に係る、PcellがTDDとして設定され且つScellがクロスキャリアスケジュールされる場合に用いる物理チャネル同士間のタイミング関係を示した図である。
【0044】
図9】本発明の実施形態に係る、PcellがTDDとして設定され且つScell(FDD-CC)がセルフスケジュールされる場合に用いる物理チャネル同士間の第1のタイミング関係例を示した図である。
【0045】
図10】本発明の実施形態に係る、PcellがTDDとして設定され且つScell(FDD-CC)がセルフスケジュールされる場合に用いる物理チャネル同士間の第2のタイミング関係例を示した図である。
【0046】
図11】第2のソリューションに係る、利用可能なダウンリンクサブフレームの数のためのテーブルを示した図である。
【0047】
図12】本発明の実施形態の第3のソリューションに係る、PcellがTDDとして設定され且つScell(FDD)がセルフスケジュールされる場合におけるScell(FDD)用の例示的な設計プロセスを示した図である。
【0048】
図13】本発明の実施形態の第3のソリューションに係る、PcellがTDDとして設定され且つScell(FDD)がセルフスケジュールされる場合におけるScell(FDD)用の他の例示的な設計プロセスを示した図である。
【0049】
図14】本発明の第3のソリューションに係る、PcellがTDDとして設定され且つScell(FDD)がセルフスケジュールされる場合におけるScell(FDD)用のPDSCH HARQタイミングを示した図である。
【0050】
図15】本発明の実施形態に係る、サービングセルがセルフスケジュールされる場合に用いる物理チャネル同士間のタイミング関係を示した図である。
【0051】
図16】本発明の実施形態のソリューションBに係る、利用可能なアップリンクサブフレームの数のためのテーブルを示した図である。
【0052】
図17】本発明の実施形態の実施に用いるのに適したエンティティの簡略化されたブロック図である。
【0053】
各種図面における同様の参照番号及び記号は、同様の構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の原理及び精神を、実施形態を参照して説明する。当然のことながら、これら全ての実施形態は、当業者が本発明をより良く理解し且つ更には実施するためにのみ与えられるものであって、本発明の範囲を制限するものでは無い。例えば、一の実施形態の一部として例示又は説明される特徴は、他の実施形態と共に用いられて、更なる実施形態を生じさせても良い。明確性の都合上、本明細書では実際の実施に係る全ての特徴については説明されない。勿論、実際の実施形態といった段階では、多くの実装特有の決定が、システム及びビジネスに関連した制約の順守等、一の実装から他の実装へ変更され得る開発者の具体的な目標を達成するために成されるべきことは明らかである。また、このような開発努力は、複雑且つ時間を要するものであるが、それでもやはり本開示の恩恵を受ける当業者にとっては日常業務に当ることが明らかである。
【0055】
これより、開示される主題を、添付図面を参照して説明する。図面においては、種々の構造、システム及び装置を、説明のみを目的として且つ当業者にとって公知な細部の説明を曖昧とせずに概略的に示す。但し、添付図面には、開示される主題の実例を説明するためのものが含まれる。ここで用いる文言及び表現は、それらの当業者による理解と一致する意味を有するものとして理解及び解釈されるべきである。特段の定義の無い文言又は表現、すなわち当業者により理解される通常且つ慣習的な意味とは異なる定義は、ここでの一貫した文言又は表現の使用によって定義されることを意図している。文言又は表現が特別な意味、すなわち当業者により理解されるもの以外の意味を有することを意図する限り、このような特別な定義を、文言又は表現に対し特別な定義を直接的且つ明白に与える定義方式で明細書において明確に説明する。
【0056】
以降の説明において、BS(base station:基地局)は、リソースを端末へ割り当てるエンティティであり、eNB(enhanced Node B)、Node B、BS、無線アクセスユニット、基地局コントローラ及びネットワーク上のノードのいずれかであり得る。端末は、UE(user equipment)、MS(mobile station)、セルラフォン、スマートフォン、コンピュータ又は通信機能を備えたマルチメディアシステムであり得る。
【0057】
図1は、LTEシステムにおいて定義されるFDDフレーム構造及びTDDフレーム構造を示している。図1に示すように、一の無線フレームは、10msの全体長を有している。
【0058】
FDDフレーム構造において、フレームは、合計で10個のサブフレームへ分割され、各サブフレームは、1msの長さを有する。UL(uplink)サブフレーム及びDL(downlink)サブフレームは、異なる周波数fUL及びfDL上で伝送される。
【0059】
TDDフレーム構造において、10msのフレームは、その各々が5ms長である2つのハーフフレームを含む。各ハーフフレームは、その各々が1ms長である5つのサブフレームに更に分割される。サブフレームは、UL伝送サブフレーム、DL伝送サブフレーム及びスペシャルフレームに分類される。スペシャルサブフレームは、DwPTS(Downlink Pilot Time Slot)、GP(Guard Period)及びUpPTS(Uplink Pilot Time Slot)の3つのフィールドから成る。
【0060】
図2は、TDDシステムにおけるアップリンク/ダウンリンクサブフレーム割当の一の例示的なセットを示している。図2に示すように、合計で7つのアップ/ダウンリンク設定がセットされ、これらは5ms又は10msのスイッチポイント周期性を使用する。これらの設定において、ダウンリンク対アップリンクリソースの異なる比が異なるロード条件に利用可能である。図2に示すサブフレームにおいて、Dは、ダウンリンク伝送用のサブフレームであり、Sは、ガードタイムに用いる“スペシャル”サブフレームであり、Uは、アップリンク伝送用のサブフレームである。サブフレーム番号1~9は、一の無線フレームを構成するサブフレームのインデックスを示している。当業者によれば、図2に示す割当が例示的なものであることを意図し、所定の代替セットを用いても良いことが明らかである。
【0061】
TDD UL-DL設定#3の場合、eNB(evolved Node B)又はBS(base station)は、サブフレーム#0、#5、#6、#7、#8及び#9にて、ダウンリンクデータ及び/又は制御情報を送信可能であり、サブフレーム#2、#3及び#4にて、アップリンクデータ及び/又は制御情報を受信可能である。スペシャルサブフレームとしてのサブフレーム#1は、ダウンリンク制御情報及び/又はダウンリンクデータを択一的に、並びにSRS(Sounding Reference Signal)又はアップリンクにおけるRACH(Random Access Channel)を伝送するのに用いることが可能である。
【0062】
FDD-LTEとTDD-LTEの間での異なるUL-DL設定に因り、LTE現行仕様で定義される、PDSCHに対応するHARQタイミング及びPUSCHに対応するHARQタイミングは、FDD及びTDDのCAのシナリオにおいては機能しない虞がある。加えて、現行のLTE仕様においては、PUCCHが、Pcell上でのみ伝送され得て、PCICHが、アップリンクグラント(uplink grant)を搬送するコンポーネントキャリア上でのみ伝送され得る。
【0063】
現行のLTE仕様においては、FDDシステム及び単一のサービングセルに対して、PDSCHと、PDSCHに対応するアップリンクHARQ ACK/NACKを搬送するPUCCH又はPUSCHとの間のタイミング関係は、サブフレーム#nにて送信されるHARQ ACK/NACKが、サブフレーム#n-4にて受信されるPDSCHに関連付けられると定義されている。
【0064】
TDDシステム及び単一のサービングセルに対しては、PDSCHとPUCCH又はPUSCHとの間のタイミング関係が、FDDシステム用のものよりも複雑である。
【0065】
図3は、LTE仕様で定義されるTDD用のPDSCH HARQタイミングを示している。
【0066】
UEは、eNBにより送信されたPDSCHを(n-k)番目のサブフレームにて受信し、受信したPDSCHに対応するアップリンクHARQ ACK/NACKをn番目のサブフレームにて送信する。換言すると、サブフレーム#nにおいて送信されるHARQ ACK/NACKは、サブフレーム#n-kにおいて受信されるPDSCHに関連付けられている。ここで、kはセットKの要素を意味し、Kは図3に示す如く定義される。
【0067】
現行のLTE仕様においては、FDDシステム及び単一のサービングセルに対して、PUSCHと、PUSCHに対応するダウンリンクHARQ ACK/NACKを搬送するPHICHとの間のタイミング関係は、サブフレーム#nにて送信されるHARQ ACK/NACKが、サブフレーム#n-4にて受信されるPUSCHに関連付けられると定義されている。
【0068】
TDDシステム及び単一のサービングセルに対しては、PUSCHとPHICHとの間のタイミング関係が、FDDシステム用のものよりも複雑である。
【0069】
図4は、LTE仕様で定義されるTDD用のPUSCH HARQタイミングを示している。
【0070】
eNBは、UEにより送信されたPUSCHを(n-kPHICH)番目のサブフレームにて受信し、受信したPUSCHに対応するダウンリンクHARQ ACK/NACKをn番目のサブフレームにて送信する。換言すると、サブフレーム#nにおいてスケジュールされるPUSCH送信のために、UEは、サブフレーム#(n+kPHICH)における対応PHICHリソースを決定する必要がある。ここで、kPHICH図3に与えられている。
【0071】
大略、コンポーネントキャリア上で送信すべきデータ用のスケジューリング情報は、DCI(Downlink Control Information)においてUEへ送信される。DCIは、種々のフォーマットで定義される。
【0072】
PUSCHスケジューリングタイミングは、LTE仕様において定義されている。FDDのために、UEは、自UE向けのサブフレーム#nにおいてDCI(downlink control information)フォーマット0/4を伴うPDCCH/EPDCCH(Enhanced-PDCCH)を検出した際、PDCCH/EPDCCHに応じて、サブフレーム#n+4における対応PUSCH送信を調整する必要がある。
【0073】
図5は、LTE仕様で定義されるTDD用のPUSCHスケジューリングタイミングを示している。TDDのために、UEは、自UE向けのサブフレーム#nにおいてDCIフォーマット0/4を伴うPDCCH/EPDCCHを検出した際、PDCCH/EPDCCHに応じて、サブフレームn+kにおいて対応PUSCH送信を調整する必要がある。ここで、kは図5に与えられている。
【0074】
上記の議論から、データスケジューリング用の制御チャネル、スケジュールされたデータチャネル及びデータチャネルに対応するHARQ ACK/NACKチャネル等の、アップリンク物理チャネルとダウンリンク物理チャネルとの間のタイミング関係は、TDDシステムにおける異なるUL-DL設定に因って定義されるべきと見受けられる。
【0075】
FDD-LTEとTDD-LTEとの間の異なるUL-DL設定に因り、FDD及びTDDのキャリアアグリゲーションをサポートするシステムにおいても同様の問題が存在する。また、FDD及びTDDのCAのどのシナリオにおいても、次のルールが満たされるべきである。すなわち、PUCCHは、Pcell上でのみ伝送可能であり、PUSCHに対応するダウンリンクHARQ ACK/NACKを搬送するPHICHは、アップリンクグラントを搬送するコンポーネントキャリア上でのみ伝送可能である。
【0076】
図6A及び図6Bは、FDD及びTDDのCAのシナリオを示している。これらのシナリオは、Pcellのデュプレックスモードに応じて分類される。
【0077】
図6Aは、PcellがFDD-CC(FDD component carrier)で設定されるシナリオ1を示している。図6Aにおいては、PcellがFDDとして設定されるため、無線フレーム内の任意の時間に亘り、異なる周波数上でダウンリンク(DL)伝送用のサブフレームとアップリンク(DL)伝送用のサブフレームとが存在する。また、図6Aは、TDDとしての一のScellも示している。例のScellは、TDD UL-DL設定#2で設定されており、サブフレーム#0、#3、#4、#5、#8及び#9がDL伝送用のダウンリンクサブフレームであり、サブフレーム#2及び#7がUL伝送用のアップリンクサブフレームであり、サブフレーム#1及び#6がダウンリンク及びアップリンク伝送に使用可能なスペシャルサブフレームである。当業者によれば、より多くのScellが可能であり、これら追加的なScellをFDDとして或いは異なるUL-DL設定を伴うTDDとして設定しても良いことは明らかである。
【0078】
図6Bは、PcellがTDD-CC(TDD component carrier)で設定されるシナリオ2を示している。図6Bにおいては、PcellがTDD UL-DL設定#2で設定される。また、図6Bは、無線フレーム内の任意の時間に亘ってDLサブフレーム及びULサブフレームを有する、FDDとしての一のScellも示している。当業者によれば、より多くのScellが可能であり、これら追加的なScellをFDDとして或いは異なるUL-DL設定を伴うTDDとして設定しても良いことは明らかである。
【0079】
なお、Pcell及びScellが、共にFDDである、又は同一若しくは異なるUL-DL設定を伴って共にTDDである場合のために、HARQタイミングが幾つかの仕様において定義されている。本書において提案するソリューションは、Pcell及びScellが異なるデュプレックスモード(TDD/FDD)を有する場合を意図している。よって、明確に指示が無ければ、議論においてPcell及びScellは異なるデュプレックスモードを有する。
【0080】
当業者であれば、シナリオをスケジューリングモード等の他の要因に応じて分類しても良いことが理解されよう。キャリアアグリゲーションをサポートするLTE-Aシステムにおいて、データ送信用のDCIを搬送するコンポーネントキャリアと、DCIによって指示される如くスケジュールされたデータを搬送するコンポーネントキャリアとが互いに異なる場合、これはクロスキャリアスケジューリング(cross carrier scheduling)と呼称される。一方、データ送信用のDCIを搬送するコンポーネントキャリアと、DCIによって指示される如くスケジュールされたデータを搬送するコンポーネントキャリアとが互いに同一である場合、これはセルフスケジューリング(self scheduling)と呼称される。Pcellは、いずれのScellによってもクロスキャリアスケジュールされ得ない。Scellは、Psell又は他のScellによってクロスキャリアスケジュールされ得る。
【0081】
以下では、アップリンクHARQ-ACK/NACKフィードバックタイミング及びダウンリンクHARQ-ACK/NACKフィードバックのための提案ソリューションを、それぞれ、上記のシナリオを参照して説明する。概して言えば、HARQタイミングは、Pcell及びScellのデュプレックスモード、Scellのスケジューリングモード及び幾つかの予め定義したルールといった要因の1以上に応じて決定される。スケジューリングモードは、セルフスケジューリング及びクロスキャリアスケジューリングから選択される。アップリンクHARQフィードバックのために、予め定義したルールは、アップリンクHARQフィードバックを搬送するPUCCHを、Pcellのコンポーネントキャリア上でのみ送信することである。ダウンリンクHARQフィードバックのために、予め定義したルールは、ダウンリンクHARQフィードバックを搬送するPHICHを、アップリンクグラントを搬送するコンポーネントキャリア上でのみ送信することである。

<ダウンリンク伝送のためのHARQ-ACK/NACKタイミング>
<シナリオ1>
【0082】
PcellがFDDとして設定されるシナリオ1のために、Pcellは、自身のPDSCH HARQタイミング、すなわち現行のLTE仕様においてFDDに対し予め定義されるHARQタイミングに従うことが可能である。より具体的には、サブフレーム#nにおいて送信されるHARQ-ACK/NACKタイミングが、サブフレーム#n-4において受信されるPDSCHに関連付けられる。
【0083】
また、シナリオ1における一のScellも、セルフスケジューリング及びクロスキャリアスケジューリングの両者のためにPcellのHARQタイミングに従うことが可能である。すなわち、サブフレーム#nにおいて送信されるHARQ-ACK/NACKタイミングが、サブフレーム#n-4において受信されるPDSCHに関連付けられる。
【0084】
図7は、本発明の実施形態に係る、PcellがFDDとして設定される場合において用いる物理チャネル同士間のタイミング関係を示している。図7の例において、Scellは、TDD UL-DL設定#1で設定される。
【0085】
図7を参照すると、黒太線は、Pcell HARQタイミング関係、すなわち、サブフレーム#nにおけるアップリンクHARQフィードバックが、サブフレーム#n-4において受信されるPDSCHに関連付けられていることを示している。図7において、細実線は、一の実施形態に係る、PcellのHARQタイミングを参照するScell HARQタイミングを示している。しかしながら、TDD UL-DL設定#1で設定されたScellは、サブフレーム#0、#1、#4、#5、#6及び#9においてのみダウンリンク送信を受信可能であり、よって、対応アップリンクHARQフィードバックは、HARQフィードバックがPUCCH上で搬送される場合、Pcellのコンポーネントキャリア上、現在の無線フレームiのULサブフレーム#4、#5、#8、#9、並びに次の無線フレームi+1のULサブフレーム#1及び#4において送信される。また、図7は、(細点線で示される)自身のHARQタイミングを参照するScell HARQタイミング、すなわち、図3を参照して議論したTDD UL-DL設定#1用のHARQタイミングも示している。
【0086】
2種類のScell用のHARQタイミングの比較から、(細点線で示される)提案タイミングは、Scellが(細実線で示される)自身のHARQタイミング設定に従うスキームと比して、HARQタイミング遅延を低減可能であると見受けられる。

<シナリオ2>
【0087】
PcellがTDDとして設定されるシナリオ2のために、Pcellは、自身のPDSCH HARQタイミング、すなわち図3を参照して既に議論した通り、現行のLTE仕様においてTDDに対し予め定められたHARQタイミングに従うことが可能である。
【0088】
シナリオ2におけるScell(FDD-CC)のために、HARQタイミングは、Scellのスケジューリングモードに更に基づいて決定可能である。
【0089】
ScellがPcell又は他のScellによりクロスキャリアスケジュールされる場合、Scellは、Pcell(TDD-CC)のHARQタイミングを参照可能である。
【0090】
図8は、本発明の実施形態に係る、PcellがTDDとして設定され且つScellがクロスキャリアスケジュールされる場合において用いる物理チャネル同士間のタイミング関係を示している。図8の例において、Pcellは、TDD UL-DL設定#1で設定される。
【0091】
図8を参照すると、黒太線は、Pcell HARQタイミング関係、すなわち、TDD UL-DL設定#1用のアップリンクHARQフィードバックタイミングを示している。
【0092】
図8において、細実線は、一の実施形態に係る、PcellのHARQタイミングを参照するScell HARQタイミングを示している。しかしながら、PcellがTDD UL-DL設定#1で設定されているため、サブフレーム#0、#1、#4、#5、#6及び#9のみをダウンリンク送信の受信に用いることが可能であり、よって、Pcell(TDD-CC)のアップリンクサブフレームに対応するScell(FDD-CC)のサブフレームは、ダウンリンク送信に用いることが出来ない。例えば、Scellのサブフレーム#2、#3、#7及び#8は、図8に破線ブロックで示される如く、ダウンリンク送信には利用不可能である。PcellのHARQタイミングを参照すると、例えば、BSは、PDSCHを、Scellを介しサブフレーム#0にてUEへ送信する。そして、TDD DL-UL設定#1用に定義されたタイミング関係によれば、UEは、受信したPDSCHに対応するHARQ-ACK/NACKを、Pcellを介しサブフレーム#7にて送信するであろう。
【0093】
Scelがセルフスケジュールされる場合、幾つかのソリューションがScellのHARQタイミングのために提案されている。

<ソリューション1>
【0094】
第1のソリューションは、ScellがPcellのHARQタイミングを参照することである。
【0095】
図9は、本発明の実施形態に係る、PcellがTDDとして設定され且つScell(FDD-CC)がセルフスケジュールされる場合において用いる物理チャネル同士間の第1のタイミング関係例を示している。図9の例において、Pcellは、TDD UL-DL設定#6で設定される。
【0096】
図9を参照すると、黒太線は、Pcell HARQタイミング関係、すなわち、図3を参照して議論したTDD UL-DL設定#6用のアップリンクHARQフィードバックタイミングを示している。
【0097】
図9において、細実線は、第1のソリューションに係る、PcellのHARQタイミングを参照するScell HARQタイミングを示している。しかしながら、PcellがTDD UL-DL設定#6で設定されているため、サブフレーム#0、#1、#5、#6及び#9のみをダウンリンク送信の受信に用いることが可能であり、よって、Pcell(TDD-CC)のアップリンクサブフレームに対応するScell(FDD-CC)のサブフレームは、ダウンリンク送信に用いることが出来ない。例えば、Scellのサブフレーム#2、#3、#4、#7及び#8は、図9に破線ブロックで示される如く、ダウンリンク送信には利用不可能である。PcellのHARQタイミングを参照すると、例えば、BSは、PDSCHを、Scellを介しサブフレーム#0にてUEへ送信する。そして、TDD DL-UL設定#6用に定義されたタイミング関係によれば、UEは、受信したPDSCHに対応するHARQ-ACK/NACKを、Pcellを介しサブフレーム#7にて送信するであろう。
【0098】
第1のソリューションは、既存仕様へのインパクトが僅かである点に利点がある。しかしながら、Scellの幾つかのダウンリンクサブフレームが利用不可であるため、ピークレートが減少するであろう。

<ソリューション2>
【0099】
第2のソリューションは、Scellが、より多くの利用可能なダウンリンクサブフレームを有する一のTDD UL-DL設定のHARQタイミングを参照し、そしてPcellのTDD UL-DL設定を参照することである。
【0100】
図10は、本発明の実施形態に係る、PcellがTDDとして設定され且つScell(FDD-CC)がセルフスケジュールされる場合において用いる物理チャネル同士間の第2のタイミング関係例を示している。図10の例において、Pcellは、TDD UL-DL設定#6で設定される。
【0101】
図10を参照すると、黒太線は、Pcell HARQタイミング関係、すなわち、TDD UL-DL設定#6用のアップリンクHARQフィードバックタイミングを示している。
【0102】
図10において、細実線は、第2のソリューションに係る、他のTDD設定(例えば、TDD UL-DL設定#3)を参照するScell HARQタイミングを示している。図示の如く、TDD UL-DL設定#3はPsellのTDD設定#6よりも多くのダウンリンクサブフレームを有しているため、Scellのより多くのダウンリンクサブフレームを送信に利用可能である。例えば、BSは、PDSCHを、Scellを介しサブフレーム#7にてUEへ送信する。そして、TDD DL-UL設定#3用に定義されたタイミング関係によれば、UEは、受信したPDSCHに対応するHARQ-ACK/NACKを、Pcellを介し次の無線フレームi+1のサブフレーム#3にて送信するであろう。第2のソリューションによれば、図10に破線ブロックで示す如く、Scellの3つのサブフレーム#2、#3、#4がダウンリンク送信に利用不可である。
【0103】
比較のため、図10は、第1のソリューションに係る、Pcell設定を参照するScell HARQタイミングも示している。この場合、Scellのサブフレーム#2、#3、#4、#7及び#8がダウンリンク送信に利用不可である。
【0104】
よって、第2のソリューションは、既存仕様へのインパクトが僅かである点に利点がある。また、第2のソリューションは、第1のソリューションと比してより多くの利用可能なダウンリンクサブフレームを提供可能であり、以てピークレートがより高い。
【0105】
図11は、第2のソリューションに係る、利用可能なダウンリンクサブフレームの数のためのテーブルを示している。Scellにより参照される設定は、“Scell HARQタイミング参照設定”と表現され得る。
【0106】
図11のテーブルにおいて、第1行は、Pcell用のTDD UL-DL設定であり、第2行は、Scell HARQタイミング参照設定のTDD UL-DL設定であり、第3行は、Scell(FDD-CC)に利用可能なダウンリンクサブフレームの数である。比較を目的として、第4行を、第1のソリューションに係るScellに利用可能なダウンリンクサブフレームの数を示すために追記している。
【0107】
例えば、PcellがTDD設定#3で設定される場合、Scell(FDD)は、TDD設定#4又は#5のHARQタイミングを参照可能である。これら2つの設定#4及び#5に利用可能なDLサブフレームの数は、それぞれ8及び9であり、その各々が、Pcell設定(すなわち、TDD設定#3)を参照する場合において利用可能なDLサブフレームの数(7)よりも大きい。

<ソリューション3>
【0108】
第3のソリューションは、Scellに固有の新たなHARQタイミングを定義するものである。
【0109】
Scell(FDD)用のHARQタイミングの設計は、3つのステップによって行われる。ステップ1において、Pcell(TDD)におけるDLサブフレームでもある第1のDLサブフレームのために、第1のDLサブフレームのタイミングは、Pcell用のタイミングと同一である。
【0110】
ステップ2において、Pcell(TDD)におけるULサブフレームである第2のDLサブフレームのために、第2のDLサブフレームのタイミングは、第2のDLサブフレームに最も近いPcellのDLサブフレームのタイミングと、処理遅延(processing delay)との最大値と同一である。すなわち、タイミングは、処理遅延(例えば、4ms)よりは小さく無い。また、ステップ2の間、フィードバック遅延(feedback delay)を考慮しても良い。一見する限り、フィードバック遅延は出来るだけ小さくすべきである。
【0111】
オプション的なステップ3において、タイミングは、PcellのULサブフレーム同士間でHARQフィードバックオーバヘッド(すなわち、PUCCHオーバヘッド)のバランスを取りつつ、HARQフィードバック遅延を最小化するため、PcellのULサブフレームの数に応じて更に調整される。よって、HARQ-ACK/NACKの送信は、Pcellのアップリンクサブフレームにおいて、出来るだけ平等に分配される。
【0112】
図12は、本発明の第3のソリューションに係る、PcellがTDDとして設定され且つScell(FDD)がセルフスケジュールされる場合におけるScell(FDD)のための例示的な設計プロセスを示している。図12の例において、Pcellは、TDD UL-DL設定#1で設定されており、HARQタイミング関係は、同図中の実線矢印を介して示されている。Pcellの各無線フレームにおいては、4つのULサブフレームが存在し、よって、4つのセットK{7,6}、{4}、{7,6}及び{4}が存在する。各セットKは、ULサブフレームに対応している。セットK及びその要素kは、前述した通り、図3において定義されている。
【0113】
第3のソリューションに応じてScell(FDD)のための設計を行う場合、ステップ1において、Pcell(TDD設定#1)におけるDLサブフレームでもあるサブフレーム#0、#1、#4、#5、#6及び#9(第1タイプのDLサブフレーム)のために、これらDLサブフレームのタイミングは、Pcell用のタイミングと同一である。よって、4つのセット{7,6}、{4}、{7,6}及び{4}が得られる。
【0114】
ステップ2において、Pcell(TDD)におけるULサブフレームであるサブフレーム#2、#3、#7及び#8(第2タイプのDLサブフレーム)のために、これらDLサブフレームのタイミングは、第2のDLサブフレームに最も近いPcellのDLサブフレームのタイミングと、処理遅延(この例では、4ms)との最大値と同一である。例えば、サブフレーム#2のタイミングは、そのHARQ ACK/NACKが無線フレームiのサブフレーム#7において送信されるだろうサブフレーム#1のタイミングと同一である。よって、サブフレーム#2に対応するHARQ ACK/NACKも、無線フレームiのサブフレーム#7において送信されるであろう。このため、サブフレーム#2のためのk値は5である。同様にして、他のサブフレーム#3、#7及び#8のためのタイミングを決定可能である。そして、4つのセットを、{7,6,5}、{5,4}、{7,6,5}及び{5,4}として更新可能である。
【0115】
オプションとして、設計をステップ3にて更に最適化して、PcellのULサブフレーム同士間でHARQフィードバックオーバヘッドのバランスを取るようにしても良い。各セットのサイズは、10/Nに近接すべきである。ここで、Nは、PcellのULサブフレームの数である。図12の例では、N=4である。このため、ステップ3での調整の後、4つのセットは、依然として{7,6,5}、{5,4}、{7,6,5}及び{5,4}である。
【0116】
最終的に、4つのセット{7,6,5}、{5,4}、{7,6,5}及び{5,4}が、ScellのHARQタイミングに用いられる。
【0117】
図13は、本発明の第3のソリューションに係る、PcellがTDDとして設定され且つScell(FDD)がセルフスケジュールされる場合におけるScell(FDD)のための他の例示的な設計プロセスを示している。図13の例において、Pcellは、TDD UL-DL設定#3で設定されており、HARQタイミング関係は、同図中の実線矢印を介して示されている。Pcellの各無線フレームにおいては、3つのULサブフレームが存在し、よって、ULサブフレーム#2、#3及び#4にそれぞれ対応する、3つのセットK{11,7,6}、{6,5}及び{5,4}が存在する。
【0118】
ステップ1において、サブフレーム#0、#1、#5、#6、#7、#8及び#9(第1タイプのDLサブフレーム)のために、これらDLサブフレームのタイミングは、Pcell用のタイミングと同一である。よって、3つのセット{11,7,6}、{6,5}及び{5,4}が得られる。
【0119】
ステップ2において、サブフレーム#2、#3及び#4(第2タイプのDLサブフレーム)のために、これらDLサブフレームのタイミングは、第2のDLサブフレームに最も近いPcellのDLサブフレームのタイミングと、処理遅延(この例では、4ms)との最大値と同一である。例えば、Scellのサブフレーム#2に対し最も近いPcellのDLサブフレームは、DLサブフレーム#1である。よって、サブフレーム#2用のタイミングは、そのHARQ ACK/NACKが次の無線フレームi+1のサブフレーム#2において送信されるだろうサブフレーム#1のタイミングと同一である。よって、サブフレーム#2に対応するHARQ ACK/NACKも、次の無線フレームi+1のサブフレーム#2において送信されるであろう。このため、サブフレーム#2のためのk値は10である。同様にして、他のサブフレーム#3、#7及び#8のためのタイミングを決定可能である。そして、3つのセットを、{11,10,9,8,7,6}、{6,5}及び{5,4}として更新可能である。
【0120】
オプションとして、設計をステップ3にて更に最適化して、PcellのULサブフレーム同士間でHARQフィードバックオーバヘッドのバランスを取るようにしても良い。この例では、PcellのULサブフレームの数はN=3であり、10/Nの丸みは3である。従って、3つのセットは、その各々のサイズが3に近接するように調整されつつ、フィードバック遅延を最小化する。具体的には、図13の例において、サブフレーム#8が3番目のセットへ移動され、サブフレーム#5及び#6が2番目のセットへ移動される。調整の後、3つのセットは、{11,10,9,8}、{8,7,6}及び{6,5,4}として更新される。
【0121】
最終的に、3つのセット{11,10,9,8}、{8,7,6}及び{6,5,4}が、ScellのHARQタイミングに用いられる。
【0122】
図14は、本発明の第3のソリューションに係る、PcellがTDDとして設定され且つScell(FDD)がセルフスケジュールされる場合におけるScell(FDD)のためのPDSCH HARQタイミングを示している。
【0123】
UEは、eNBにより送信されたPDSCHを(n-k)番目のサブフレームにて受信し、受信したPDSCHに対応するアップリンクHARQ ACK/NACKをn番目のサブフレームにて送信する。換言すると、サブフレーム#nにおいて送信されるHARQ ACK/NACKは、サブフレーム#n-kにおいて送信されるPDSCHに関連付けられている。ここで、kはセットKの要素を意味し、Kは図14に示す如く定義される。
【0124】
第3のソリューションによれば、新たなHARQタイミングが定義されるため、より多くの変更が既存仕様へ導入されるであろう。しかしながら、Scellの全てのFDD-CC DLサブフレームを使用可能であるため、高いピークレートを達成出来る。加えて、HARQフィードバック遅延を低く留めることが出来る。
【0125】
以上、FDD及びTDDのCAをサポートするシステムのためのPDSCH HARQタイミングについて議論した。BSにとっては、Pcell及びScellの一つを介して、DL物理チャネル(例えば、PDSCH)をUEへ送信可能である。そして、BSは、PcellのDL物理チャネルに対応するHARQフィードバックを、Pcellに対し予め定めた第1のタイミングで受信可能である。BSは、ScellのDL物理チャネルに対応するHARQフィードバックを、第2のタイミングで受信可能である。第2のタイミングは、Pcell及びScellのデュプレックスモード、Scellのスケジューリングモード、並びに予め定義したルールといった要因の1以上に応じて決定される。予め定義したルールとは、(例えば、PUCCHにより搬送される)HARQフィードバックを、Pcellのコンポーネントキャリア上でのみ送信することである。
【0126】
PcellがFDDとして設定される場合、第2のタイミングは、Scellのセルフスケジューリング及びクロスキャリアスケジューリングの両者のために、第1のタイミングと同一である。
【0127】
PcellがTDDとして設定される場合、第2のタイミングは、Scellnoクロスキャリアスケジューリングのために、第1のタイミングと同一である。
【0128】
PcellがTDDとして設定され且つScellがFDDとして設定される場合、Scellのセルフスケジューリングのために、第2のタイミングは、第1のタイミングと同一である、PcellのTDD設定より多くの利用可能なDLサブフレームを有するTDD設定用の第3のタイミングと同一である、及びScellに固有の第4のタイミング、のいずれか一つに応じて決定可能である。
【0129】
第4のタイミングは、図12図14を参照した第3のソリューション(ソリューション3)の説明に従って設計可能である。
【0130】
UEにとっては、Pcell及びScellの一つを介して、BSからDL物理チャネル(例えば、PDSCH)を受信可能である。そして、UEは、PcellのDL物理チャネルに対応するHARQフィードバックを、Pcellに対し予め定めた第1のタイミングで送信可能である。UEは、ScellのDL物理チャネルに対応するHARQフィードバックを、第2のタイミングで送信可能である。

<アップリンク伝送のためのHARQ-ACK/NACKタイミング>
【0131】
上述した通り、FDD及びTDDのCAのシナリオは、スケジューリングモードに応じて分類可能である。キャリアアグリゲーションをサポートするLTE-Aシステムにおいては、スケジューリングモードを、セルフスケジューリング及びクロスキャリアスケジューリングから選択可能である。Pcellは、いずれのScellによってもクロスキャリアスケジュールされ得ない。Scellは、Psell又は他のScellによってクロスキャリアスケジュールされ得る。ダウンリンクHARQ ACK/NACKフィードバックを搬送するPHICHは、アップリンクグラントを搬送するコンポーネントキャリア(すなわち、PDCCH)上でのみ送信可能である。このため、以降の説明においては、アップリンク(PUSCH)スケジューリングに沿ったダウンリンクHARQタイミングを、シナリオA(セルフスケジューリング)及びシナリオB(クロスキャリアスケジューリング)を参照して説明する。

<シナリオA>
【0132】
Pcell及び少なくとも一つのScellを備えたサービングセルがセルフスケジュールされるシナリオAのために、FDD又はTDDとして設定されるサービングセルは、それら自身のPUSCHスケジューリング及びHARQタイミングを参照するのみである。
【0133】
図15は、本発明の実施形態に係る、サービングセルがセルフスケジュールされる場合に用いる物理チャネル同士間のタイミング関係を示している。図15の例において、PcellはTDD設定#2で設定され、ScellはFDDとして設定される。
【0134】
図15を参照すると、黒太線は、Pcellのアップリンクグラントタイミング、すなわち、図5を参照して議論したTDD UL-DL設定#2用のPUSCHスケジュールタイミングを示している。例えば、UE向けのサブフレーム#3においてDCIフォーマット0/4を伴うPDCCH/EPDCCHを検出した際、UEは、現在の無線フレームiのサブフレーム#7において対応PUSCH送信を調整するであろう。UE向けのサブフレーム#8においてDCIフォーマット0/4を伴うPDCCH/EPDCCHを検出した際、UEは、次の無線フレームi+1内のサブフレーム#2において対応PUSCH送信を調整するであろう。
【0135】
太点線は、Scellのアップリンクグラントタイミングを示している。例えば、UE向けのサブフレーム#nにおいてDCIフォーマット0/4を伴うPDCCH/EPDCCHを検出した際、UEは、サブフレーム#n+4において対応PUSCH送信を調整するであろう。
【0136】
図15において、細実線は、一の実施形態に係る、自身のHARQタイミングを参照するPcellのHARQタイミングを示している。例えば、UEは、Pcellを介し、現在の無線フレームiのULサブフレーム#7においてPUSCHを送信する。そして、UEは、Pcellを介し、次の無線フレームi+1のDLサブフレーム#3において、送信したPUSCHに対応するHARQフィードバックを受信するであろう。UEが無線フレームi+1のULサブフレーム#2においてPUSCHを送信する場合、UEは、Pcellを介し、無線フレームi+1のDLサブフレーム#8において、送信したPUSCHに対応するHARQフィードバックを受信するであろう。
【0137】
細点線は、一の実施形態に係る、自身のHARQタイミングを参照するScell(FDD)のHARQタイミングを示している。例えば、UEは、ULサブフレーム#nにおいてPUSCHを送信し、そしてDLサブフレーム#n+4において、送信したPUSCHに対応するHARQフィードバックを受信するであろう。

<シナリオB>
【0138】
サービングセルがクロスキャリアスケジュールされるシナリオBのためには、2つのケースが在る。ケース1は、FDD-CCセルがTDD-CCセルをスケジュールするものであり、ケース2は、TDD-CCセルがFDD-CCセルをスケジュールするものである。以下では、“スケジューリングセル(scheduling cell)”及び“スケジュールされたセル(scheduled cell)”との文言が導入される。クロスキャリアスケジューリングにおいて、そのコンポーネントキャリアがデータ伝送用のDCIを搬送するセルは、スケジューリングセルであり、そのコンポーネントキャリアがDCIに示される如くスケジュールされたデータを搬送するセルは、スケジュールされたセルである。
【0139】
(Pcell又はScellに関わらず)スケジューリングセルは、自身のスケジューリング及びHARQタイミングを参照するだけである。
【0140】
スケジュールされたセルに対しては、これが属するケースに応じて異なるソリューションが採用され得る。
【0141】
スケジュールされたセルがTDDとして設定され且つFDD-CCセルによってスケジュールされるケース1において、スケジュールされたセルは、自身のスケジューリング及びHARQタイミングを参照するだけである。スケジューリングセル(FDD)が常時、任意の特定期間においてDLサブフレームを有しているため、スケジューリングセルのDLサブフレームは、スケジュールされたセルにより、スケジューリングセルを介してスケジュールされたPUSCH送信に対応するHARQ ACK/NACKフィードバックのために使用可能である。
【0142】
スケジュールされたセルがFDDとして設定され且つTDD-CCセルによってスケジュールされるケース2のために、スケジューリング情報(例えば、アップリンクグラント)を搬送するPDCCH/EPDCCHが、スケジューリングセル(TDD-CC)のコンポーネントキャリアを介して送信され、スケジュールされたPUSCH送信に対応するHARQ ACK/NACKを搬送するPHICHも、スケジューリングセル(TDD-CC)のコンポーネントキャリアを介して送信されるべきである。しかしながら、UL-DL設定に因っては、スケジューリングのULサブフレームをHARQフィードバックに用いることが出来ない。スケジュールされたセルのため、スケジューリングタイミング及びHARQタイミングを定義する2つのソリューションが在る。

<ソリューションA>
【0143】
ソリューションAは、スケジュールされたセル(Scell)が、スケジューリングセル(TDD-CC)のスケジューリングタイミング及びHARQタイミングを参照するものである。
【0144】
“ダウンリンク伝送のためのHARQ-ACK/NACKタイミング”の章で議論したソリューション1と同様に、ソリューションAは、既存仕様へのインパクトが僅かである点に利点がある。しかしながら、Scellの幾つかのアップリンクサブフレームが利用不可であるため、ピークレートが減少するであろう。

<ソリューションB>
【0145】
ソリューションBは、スケジュールされたセルが、自身のアップリンクサブフレームをより多く使用可能な一のTDD UL-DL設定のスケジューリングタイミング及びHARQタイミングを参照するものである。“ダウンリンク伝送のためのHARQ-ACK/NACKタイミング”の章で議論したソリューション2と同様に、ソリューションBも、既存仕様へのインパクトが僅かである点に利点がある。また、ソリューションBは、ソリューションAと比してより多くの利用可能なアップリンクサブフレームを提供可能であり、以てピークレートがより高い。
【0146】
図16は、ソリューションBに係る、利用可能なアップリンクサブフレームの数のためのテーブルを示している。スケジュールされたセルにより参照される設定は、“ソリューションBの参照設定”と表現され得る。
【0147】
図11のテーブルにおいて、第1列は、スケジューリングセル用のTDD UL-DL設定であり、第2列は、スケジュールされたセルの参照設定のTDD UL-DL設定である。比較を目的として、第3列を、ソリューションAに係るスケジュールされたセルに利用可能なアップリンクサブフレームの数を示すために追記している。第2列において、括弧書きの値は、対応TDD UL-DL設定がスケジュールされたセルにより参照された場合において利用可能なULサブフレームの数である。
【0148】
例えば、スケジューリングセルがTDD設定#3で設定される場合、スケジュールされたセル(FDD)は、TDD設定#0又は#6のスケジュールタイミング及びHARQタイミングを参照可能である。2つの設定#0及び#0に利用可能なULサブフレームの数はそれぞれ6及び5であり、その各々が、スケジューリングセルの設定(すなわち、TDD設定#3)を参照した場合において利用可能なULサブフレームの数(3)より大きい。
【0149】
スケジュールされたセル(FDD-CC)がTDD設定#0のスケジューリング及びHARQタイミングを参照する場合、PDCCH DCIフォーマット0及び4が、TDD設定#0に従って送信されるであろう。同時に、ULインデックスフィールドが、一のダウンリンクサブフレームにおいて2つのアップリンクサブフレームをスケジュールするために必要である。
【0150】
一見する限り、更なるソリューションをスケジュールされたセルのために提供可能である。例えば、ソリューション3に関し“ダウンリンク伝送のためのHARQ-ACK/NACKタイミング”の章で議論した設計ルールを参照して、新たなスケジューリングタイミング及びHARQタイミングを、スケジュールされたセルのために設計しても良い。
【0151】
以上、FDD及びTDDのCAをサポートするシステムのためのPUSCHスケジューリング及びPUSCH HARQタイミングについて議論した。BSにとっては、Pcell及びScellの一つを介して、UL物理チャネル(例えば、PUSCH)をUEから受信可能である。そして、BSは、PcellのUL物理チャネルに対応するHARQフィードバックを、Pcellに対し予め定めた第1のタイミングで受信可能である。BSは、ScellのUL物理チャネルに対応するHARQフィードバックを、第2のタイミングで受信可能である。第2のタイミングは、Pcell及びScellのデュプレックスモード、Scellのスケジューリングモード、並びに予め定義したルールといった要因の1以上に応じて決定される。予め定義したルールとは、(例えば、PHICHにより搬送される)HARQフィードバックを、PUSCHをスケジューリングするアップリンクグラントを搬送するコンポーネントキャリア上でのみ送信することである。
【0152】
セルフスケジューリングのために、第2のタイミングは、Scellに対し予め定めたタイミングと同一である。
【0153】
クロスキャリアスケジューリングのために、第2のタイミングは、スケジューリングセル及びスケジュールされたセルのデュプレックスモードに応じて更に決定される。
【0154】
Scellがスケジューリングセルである場合、第2のタイミングは、Scellに対し予め定めたタイミングと同一である。
【0155】
ScellがTDDとして設定されるスケジュールされたセルであり且つFDDコンポーネントキャリアセルによってスケジュールされる場合、第2のタイミングは、Scellに対し予め定めたタイミングと同一である。
【0156】
ScellがFDDとして設定されるスケジュールされたセルであり且つTDDコンポーネントキャリアセルによってスケジュールされる場合、第2のタイミングは、スケジューリングセルのタイミングと同一である、及び可能な限りScellのアップリンクサブフレームを利用出来るTDD設定用の第3のタイミングと同一である、のいずれか一つに応じて決定可能である。
【0157】
UEにとっては、Pcell及びScellの一つを介して、BSへUL物理チャネル(例えば、PUSCH)を送信可能である。そして、UEは、PcellのUL物理チャネルに対応するHARQフィードバックを、Pcellに対し予め定めた第1のタイミングで受信可能である。UEは、ScellのUL物理チャネルに対応するHARQフィードバックを、第2のタイミングで受信可能である。第2のタイミングは、上述したソリューションに応じて決定される。
【0158】
図17は、本発明の実施形態の実施に用いるのに適したエンティティ1700の簡略化されたブロック図を示している。エンティティ1700は、例えば基地局といったネットワーク側のエンティティであっても良く、或いは例えばUEといったユーザ側のエンティティであっても良い。
【0159】
図17に示すように、エンティティ1700は、DP(data processor) 1701と、MEM(memory) 1702と、DP 1701にカップリングされた適切なRF送信機TX及び受信機RX 1704と、を含む。MEM 1702は、PROG(program) 1703を記憶する。TX/RX 1704は、双方向無線通信のためのものである。なお、TX/RX 1704は、通信を手助けする少なくとも一つのアンテナを有する。但し、実際にはBS又はUEは幾つかのアンテナを有し得る。エンティティ1700は、データパスを介して、例えばインターネットなどの外部ネットワーク又はシステムへカップリングされる。
【0160】
PROG 1703は、関連DP 1701により実行されると、エンティティ1700を本発明の実施形態に従って動作可能にするプログラム指示を含むものとする。
【0161】
本発明の実施形態は、エンティティ1700のDP 1701により実行可能なコンピュータソフトウェア、若しくはハードウェア、又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実施しても良い。
【0162】
MEM 1702は、ローカル技術環境に適した任意のタイプのものであって良く、限定されない例として、半導体ベースのメモリデバイス、磁気メモリデバイス及びシステム、光学メモリデバイス及びシステム、固定メモリやリムーバブルメモリ等の任意のデータ記憶技術を用いて実装しても良い。エンティティ1700においては、一つのMEMのみが示されているが、幾つかの物理的に区別されるメモリユニットが存在しても良い。DP 1701は、ローカル技術環境に適した任意のタイプのものであって良く、限定されない例として、汎用コンピュータ、特殊用途のコンピュータ、マイクロプロセッサ、DSP(digital signal processors)及びマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサの1以上を含んでいても良い。エンティティ1700は、例えば、メインプロセッサを同期させるクロックに合わせて動作するアプリケーション特有の集積回路チップ等の複数のプロセッサを有していても良い。
【0163】
以上、本発明の実施形態を、方法、装置(すなわち、システム)のブロック図及びフローチャート図を参照して説明した。当然のことながら、ブロック図及びフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及びフローチャート図中のブロックの組合せは、それぞれ、コンピュータプログラム指示を含む種々の手段によって実装可能である。これらコンピュータプログラム指示は、汎用コンピュータ、特殊用途のコンピュータ又はマシンを作る他のプログラム可能なデータ処理装置へロードし、以てコンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置上で実行する指示が、フローチャートブロック又はブロック群で規定される機能を実施する手段を形成しても良い。
【0164】
前述のコンピュータプログラム指示は、例えばサブルーチン及び/又は関数であり得る。発明の一実施形態におけるコンピュータプログラムプロダクトは、前述のコンピュータプログラム指示が記憶された少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体を備える。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば光学CD、又はRAM(random access memory)若しくはROM(read only memory)といった電子メモリデバイスであり得る。
【0165】
本明細書には多くの特定の実施細部が含まれるが、これらは、実施又は特許請求の範囲に記載されるものの範囲に対する制限を構成するものでは無く、むしろ、特定の実施の特定の実施形態に固有であり得る特徴の説明を構成すべきものである。本明細書中、独立した実施形態のコンテキストにおいて説明される或る特徴は、単独の実施形態において組み合わせて実施することも可能である。反対に、単独の実施形態のコンテキストにおいて説明される各種特徴は、複数の実施形態において個別に、或いは適切なサブコンビネーションにおいて実施することも可能である。また、これら特徴を或る実施形態群において作用するものとして上述し且つ初期的にはそのように特許請求の範囲に記載したが、特許請求の範囲に記載される組合せから1以上の特徴を幾つかのケースにおいては組合せから削除することも可能であり、特許請求の範囲に記載される組合せをサブコンビネーション又はその変形の対象としても良い。
【0166】
なお、上述した実施形態は、発明を制限するというより寧ろ説明のために与えられるものであって、当然のことながら、改良及び変更を、当業者が容易に理解する通りに、発明の精神と範囲を逸脱すること無く施しても良い。このような改良及び変更は、発明の範囲及び添付の特許請求の範囲内であると見做される。発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。加えて、特許請求の範囲における参照数字は、特許請求の範囲に対する制限として解釈すべきで無い。“備える(comprise)”との動詞の使用及びその活用は、特許請求の範囲に記述されるもの以外の構成要素又はステップの存在を排除するものでは無い。構成要素又はステップに先立つ不定冠詞“a”又は“an”は、複数の構成要素又はステップの存在を排除するものでは無い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17