(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】営業支援システム、営業支援方法および営業支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0201 20230101AFI20240918BHJP
【FI】
G06Q30/0201
(21)【出願番号】P 2022510306
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020013918
(87)【国際公開番号】W WO2021192198
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】外川 遼介
【審査官】鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-322094(JP,A)
【文献】特開2019-079302(JP,A)
【文献】特開2019-211871(JP,A)
【文献】特開2016-118865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
営業対象の候補となる複数の対象顧客それぞれの属性データと、所定の時点までに行われた前記複数の対象顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列に関する営業プロセス時系列データとを取得する取得手段と、
複数の顧客の属性データ、及び前記複数の顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データから、前記複数の顧客に対する推奨商品、及び前記複数の顧客のうちの前記推奨商品を購入する顧客を予測する予測モデルを用いて、前記取得手段により取得される前記複数の対象顧客の属性データ、及び営業プロセス時系列データを入力データとして、前記複数の対象顧客に対する推奨商品、及び前記複数の対象顧客のうちの前記推奨商品を購入する顧客を予測する予測手段と
を備える営業支援システム。
【請求項2】
前記予測手段による予測結果と、予測の理由とを表示するよう表示装置を制御する表示制御手段
をさらに備える請求項1に記載の営業支援システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は
、複数の既存顧客それぞれの属性データと、前記複数の対象顧客それぞれの属性データと、に基づいて、前記複数の対象顧客を、営業活動の優先順に表示するよう前記表示装置を制御する
請求項2に記載の営業支援システム。
【請求項4】
前記予測手段は、前記複数の既存顧客それぞれの属性データと、前記複数の対象顧客それぞれの属性データと、前記複数の既存顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記複数の対象顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列に関する営業プロセス時系列データと、に基づいて、前記複数の既存顧客それぞれと前記複数の対象顧客それぞれとの間の属性及び営業活動の類似性を示す顧客類似度を算出し、
前記表示制御手段は、前記顧客類似度に基づいて、前記複数の対象顧客を、営業活動の優先順に表示するよう前記表示装置を制御する
請求項3に記載の営業支援システム。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記予測手段により前記推奨商品を購入すると予測される顧客に対する、前記所定の時点以降の営業プロセスを表示するよう前記表示装置を制御する
請求項2から4のいずれか一項に記載の営業支援システム。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記所定の時点以降の営業プロセスを、前記所定の時点以降の営業プロセスに含まれる複数のアクションそれぞれに対応するノードと、前記アクション間の順序を示すエッジとからなるグラフ構造として表示する
請求項5に記載の営業支援システム。
【請求項7】
前記顧客の属性データは、顧客の業種と、従業員数と、資本金と、売上高と、利益と、資材購入額と、支店数と、工場数と、営業形態と、取引実績と、のうち少なくとも1つを含む
請求項1から6のいずれかに一項に記載の営業支援システム。
【請求項8】
前記予測モデルは、営業対象の商品の属性データを入力データとしてさらに用いて、前記推奨商品、及び前記推奨商品を購入する顧客を予測し、
前記商品の属性データは、商品の種類と、前記商品が販売される期間と、販売実績と、取引社数と、バリエーションと、広告の有無と、生産国と、提供される形態と、のうち少なくとも1つを含む
請求項1から7のいずれか一項に記載の営業支援システム。
【請求項9】
コンピュータが、
営業対象の候補となる複数の対象顧客それぞれの属性データと、所定の時点までに行われた前記複数の対象顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列に関する営業プロセス時系列データとを取得し、
複数の顧客の属性データ、及び前記複数の顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データから、前記複数の顧客に対する推奨商品、及び前記複数の顧客のうちの前記推奨商品を購入する顧客を予測する予測モデルを用いて、取得される前記複数の対象顧客の属性データ、及び営業プロセス時系列データを入力データとして、前記複数の対象顧客に対する推奨商品、及び前記複数の対象顧客のうちの前記推奨商品を購入する顧客を予測する
営業支援方法。
【請求項10】
営業対象の候補となる複数の対象顧客それぞれの属性データと、所定の時点までに行われた前記複数の対象顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列に関する営業プロセス時系列データとを取得する処理と、
複数の顧客の属性データ、及び前記複数の顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データから、前記複数の顧客に対する推奨商品、及び前記複数の顧客のうちの前記推奨商品を購入する顧客を予測する予測モデルを用いて、取得される前記複数の対象顧客の属性データ、及び営業プロセス時系列データを入力データとして、前記複数の対象顧客に対する推奨商品、及び前記複数の対象顧客のうちの前記推奨商品を購入する顧客を予測する処理と
をコンピュータに実行させる営業支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受注可能性が高い顧客を予測する技術であり、特に、営業活動の初期のアクションを基に受注可能性が高い顧客を予測する技術である。
【背景技術】
【0002】
営業活動を支援する営業支援システムが広く用いられている。営業支援システムの多くは、顧客の管理機能を備えている。しかし、営業活動の一環として、セミナーの開催など、営業活動の初期のアクションを行っている新規の顧客グループのうち、どの顧客に対して、どのような商品に注力して営業活動を行うかは営業担当者の経験に基づいて決定されることも多い。そのため、新規の顧客のうち受注可能性が高い顧客および商品を予測できることが望ましく、受注可能性が高い顧客および商品を予測する技術の開発が行われている。そのような、受注可能性が高い顧客および商品を予測する技術としては、例えば、特許文献1のような技術が開示されている。
【0003】
特許文献1は、新規の見込み客を予測する営業支援システムに関するものである。特許文献1の営業支援システムは、統計データと、顧客の過去の購入実績などのデータと、ライフスタイルのデータを基に、顧客と新規に行う取引の候補を予測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は次のような理由で十分ではない。特許文献1の営業支援システムは、顧客の過去の購入実績などのデータから新規の取引の候補を予測している。しかし、現在、営業活動として既に行っているアクションを考慮して、受注可能性が高い顧客および商品を予測することはできない。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、営業活動のアクションを行っている顧客の中で受注の可能性が高い顧客と、受注可能性が高い商品を予測することができる営業支援システム、営業支援方法およびプログラム記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明の営業支援システムは、取得部と、予測部を備えている。取得部は、営業対象の候補となる複数の対象顧客それぞれの属性データと、所定の時点までに行われた複数の対象顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列に関する営業プロセス時系列データとを取得する。予測部は、予測モデルおよび取得部により取得される複数の対象顧客の属性データと営業プロセス時系列データを用いて、複数の対象顧客に対する推奨商品と、複数の対象顧客のうちの推奨商品を購入する顧客とを予測する。予測モデルは、所定の時点よりも過去に営業実績のある複数の既存顧客それぞれの属性データと、複数の既存顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、営業活動によって複数の既存顧客に購入された商品に関する商品データとを基に生成されている。
【0008】
本発明の営業支援方法は、営業対象の候補となる複数の対象顧客それぞれの属性データと、所定の時点までに行われた複数の対象顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列に関する営業プロセス時系列データとを取得する。本発明の営業支援方法は、予測モデルおよび取得される複数の対象顧客の属性データと営業プロセス時系列データを用いて、複数の対象顧客に対する推奨商品と、複数の対象顧客のうちの推奨商品を購入する顧客とを予測する。予測モデルは、所定の時点よりも過去に営業実績のある複数の既存顧客それぞれの属性データと、複数の既存顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、営業活動によって複数の既存顧客に購入された商品に関する商品データとを基に生成されている。
【0009】
本発明のプログラム記録媒体は、営業支援プログラムを記録している。営業支援プログラムは、営業対象の候補となる複数の対象顧客それぞれの属性データと、所定の時点までに行われた複数の対象顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列に関する営業プロセス時系列データとを取得する処理をコンピュータに実行させる。営業支援プログラムは、予測モデルおよび取得される複数の対象顧客の属性データと営業プロセス時系列データを用いて、複数の対象顧客に対する推奨商品と、複数の対象顧客のうちの推奨商品を購入する顧客とを予測する処理をコンピュータに実行させる。予測モデルは、所定の時点よりも過去に営業実績のある複数の既存顧客それぞれの属性データと、複数の既存顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、営業活動によって複数の既存顧客に購入された商品に関する商品データとを基に生成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の営業支援システム等は、営業活動を行っている顧客の中で受注の可能性が高い顧客と、受注可能性が高い商品を予測することができる。その結果、受注の成功確率や営業活動の効率を向上させるなど、営業活動を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態の営業支援システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態の予測モデル生成装置の構成を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態のグラフの例を模式的に示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態の予測装置の構成を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態の予測モデル生成装置の動作フローを示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態の入力データの例を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態の入力データの例を示す図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態の入力データの例を示す図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態の予測装置の動作フローを示す図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態の予測結果の例を示す図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態の予測結果の例を示す図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態の営業支援システムの構成を示す図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態の営業支援システムの動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態の営業支援システムの構成の概要を示す図である。本実施形態の営業支援システムは、予測システム100と、営業データ管理サーバ300を備えている。予測システム100と、営業データ管理サーバ300は、ネットワークを介して互いに接続されている。
【0013】
本実施形態の営業支援システムは、顧客の属性データと、営業活動の活動履歴と、営業対象となった商品の属性データを入力として生成した予測モデルを基に、受注可能性が高い新規の顧客と、商品を予測するシステムである。新規の顧客とは、セミナーへの参加等の実績はあるが、営業対象の商品について購入実績が無い顧客および取引実績がない顧客グループに含まれる顧客のことをいう。営業活動の初期段階において、個々の顧客に対して受注のための具体的な営業活動を行っていない時期の活動は、マーケティングともいう。
【0014】
予測システム100は、予測モデル生成装置10と、予測装置20を備えている。予測モデル生成装置10と、予測装置20は、ネットワークを介して接続されている。また、予測モデル生成装置10と、予測装置20は、一体の装置として形成されていてもよい。また、予測モデル生成装置10と予測装置20を構成する各部の機能は、互いに異なる装置で実現されてもよい。
【0015】
予測モデル生成装置10の構成について説明する。
図2は、予測モデル生成装置10の構成を示す図である。予測モデル生成装置10は、取得部11と、記憶部12と、グラフ生成部13と、予測モデル生成部14と、予測モデル記憶部15と、予測モデル出力部16を備えている。予測モデル生成装置10は、過去に営業対象となった、すなわち、営業実績のあった複数の顧客(既存顧客ともいう)それぞれの属性と、既存顧客それぞれに対する営業活動の活動履歴と、営業対象としていた商品の属性から、受注の可能性が高い顧客および商品を予測する際に用いる予測モデルを生成する装置である。以下では、所定の時点において、営業対象の候補となる新規の複数の顧客(対象顧客)のうち、予測モデルを用いた予測によって受注の可能性が高いと予測される顧客のことを注目顧客ともいう。また、予測モデルを用いた予測によって受注の可能性が高いと予測される商品のことを、受注の可能性が高いと予測された注目顧客に推奨する商品という意味で、推奨商品ともいう。商品には、サービスが含まれていてもよい。尚、本実施形態における営業支援システムは、受注の可能性の高い顧客および商品に代えて、受注の可能性が低い顧客および商品を予測することもできる。
【0016】
取得部11は、予測モデルの生成に用いるデータを取得する。取得部11は、予測モデルの生成に用いるデータとして、過去において営業活動の対象となった、つまり過去に営業実績のある複数の顧客(既存顧客)それぞれの識別情報、顧客(既存顧客)それぞれの属性データ、営業対象の商品の属性データおよび受注成否のデータを取得する。
【0017】
取得部11は、例えば、顧客(既存顧客)の識別情報として顧客の社名または氏名のデータを取得し、顧客の属性データとしての顧客の業種のデータを取得する。顧客の識別情報は、企業コード、会員番号または顧客ごとに割り当てられたID(Identifier)など、組織または個人を特定できるものであればよい。また、取得部11は、例えば、営業活動の対象となる商品の属性データとして、商品の種類のデータを取得する。
【0018】
取得部11は、過去の営業活動について、顧客(既存顧客)それぞれへの最初のアクションから受注の成否の結果の確定までの案件ごとの活動履歴の時系列データを営業データ管理サーバ300から取得する。活動履歴のデータは、既存顧客それぞれに対して案件ごとの営業活動で行われたアクションと、各アクションが実行された日時の情報によって構成されている。そのため、活動履歴のデータから、既存顧客それぞれに対する営業活動で行われたアクションと、各アクションの時系列の順序の情報を取得することができる。活動履歴のデータ、すなわち、既存顧客に対して行われた営業活動のアクションと、各アクションの時系列の順序を示す情報は、営業プロセス時系列データともいう。
【0019】
アクションとは、顧客に対して営業担当者が行う個々の営業行動である。例えば、アクションは、顧客に対するセミナ開催、顧客に対する電話、顧客に対するメルマガ送信、顧客に対するヒアリング、顧客への訪問、顧客との議論、顧客との交渉・商談(価格交渉や製品の提案を含む。)、顧客に対する製品やシステムのデモンストレーション、展示会招待、工場見学、顧客との懇親会、を含むが、これらに限定されず、一般的な営業活動の一環で行われるあらゆる行動を含む。
【0020】
記憶部12は、取得部11から入力された各データを記憶する。
【0021】
グラフ生成部13は、営業プロセス時系列データからグラフをグラフ構造データとして生成する。営業プロセス時系列データから生成されるグラフ構造データは、既存顧客に対する営業活動における各アクションを示すノードと、連続した2つのアクションを接続することで各アクションの順番を示すエッジによって構成されている。グラフ構造データは、営業活動における各アクションの時系列順序を示す。そのため、グラフ構造のデータは、営業プロセスを示したものとなる。営業活動の活動履歴のアクションには、具体的な商品の販売等の営業活動を開始していないマーケティング段階におけるアクションが含まれていてもよい。
【0022】
図3は、グラフ生成部13が生成するグラフの例を模式的に示している。
図3は、複数の案件の活動履歴から生成されたグラフを1つのグラフとして示している。
図3の白の丸は、ノードとして設定されている営業プロセスにおける各アクションを示している。
図3の黒の丸は、案件ごとの最初のアクション、すなわち、対象となる案件の営業活動において、最初に顧客と接する際のアクションを示している。また、対象となる案件の営業活動において、最初に顧客と接する際のアクションは、エントリポイントともいう。
【0023】
予測モデル生成部14は、営業活動の活動履歴に基づくグラフ構造データ、顧客(既存顧客)の属性データ、営業対象の商品の属性データを入力とし、受注の成否を示すラベルを基に、受注の可能性が高い顧客および商品を予測するための予測モデルを生成する。たとえば、予測モデル生成部14は、活動履歴から生成されたグラフ構造データと、顧客の属性データと、商品の属性データを学習データ、営業活動の結果である受注の成否をラベルとして用いた機械学習によって予測モデルを生成する。予測モデル生成部14は、NN(Neural Network)を用いた機械学習によって、グラフの特徴量を算出することで予測モデルを生成する。また、予測モデル生成部14は、受注の成否に代えて、顧客が購入した商品の属性データをラベルとして機械学習を行って予測モデルを生成してもよい。また、予測モデルは、教師あり学習、教師なし学習、半教師あり学習または強化学習など、どのような機械学習手法を用いて生成されてもよい。
【0024】
あるいは、予測モデル生成部14は、例えば、STAR法によってグラフの特徴量を算出することで予測モデルを生成する。STAR法は、複数の時点におけるグラフ構造データを入力として、グラフの特徴量を算出することで予測モデルを生成する。STAR法は、グラフを構成するノードのうち、時間と空間の2つの軸で重要なノードを特定することができる。STAR法の詳細は、Dongkuan Xu et al., " Spatio-Temporal Attentive RNN for Node Classification in Temporal Attributed Graphs", Proceedings of the Twenty-Eighth International Joint Conference on Artificial Intelligence (IJCAI-19), [2020年2月27日検索] Internet <URL: https://www.ijcai.org/Proceedings/2019/0548.pdf>に記載されている。
【0025】
予測モデル生成部14は、TGNet法によってグラフの特徴量を算出することで予測モデルを生成してもよい。TGNet法は、動的データおよび静的データと、ラベルデータを入力として機械学習を行い、学習済みモデルを生成する。TGNet法の詳細は、Qi Song, et al., "TGNet: Learning to Rank Nodes in Temporal Graphs", Proceedings of the 27th ACM International Conference on Information and Knowledge Management, p.97-106に記載されている。
【0026】
予測モデル生成部14は、例えば、Netwalk法などの特徴量を抽出する手法を用いて特徴量を抽出し、InerHAT法などの特徴量の分析を行う手法を組み合わせることで予測モデルを生成してもよい。Netwalk法の詳細は、Wenchow Yu, et al., "NetWalk: A Flexible Deep Embedding Approach for Anomaly Detection in Dynamic Networks", KDD 2018, p.2672-2681に記載されている。また、InerHAT法の詳細は、Zeyu Li, et al., "Interpretable Click-Through Rate Prediction through Hierarchical Attention", WSDM 2020: The Thirteenth ACM International Conference on Web Search and Data Miningに記載されている。また、InerHAT法に代えてGradient Boosting法などの予測技術を用いてもよい。また、予測モデル生成部14は、グラフデータを解析し、特徴パターンを抽出する手法であれば、他の手法を用いて予測モデルを生成してもよい。
【0027】
予測モデル記憶部15は、予測モデル生成部14が生成した予測モデルを記憶する。
【0028】
予測モデル出力部16は、予測モデル記憶部15に記憶されている予測モデルを予測装置20に出力する。
【0029】
取得部11、記憶部12、グラフ生成部13、予測モデル生成部14および予測モデル出力部16における各処理は、CPU(Central Processing Unit)上でコンピュータプログラムを実行することで行われる。また、CPUにGPU(Graphics Processing Unit)が組み合わされていてもよい。
【0030】
記憶部12および予測モデル記憶部15は、例えば、ハードディスクドライブを用いて構成されている。記憶部12および予測モデル記憶部15は、不揮発性の半導体記憶装置または複数の種類の記憶装置の組み合わせによって構成されていてもよい。
【0031】
予測装置20の構成について説明する。
図4は、予測装置20の構成を示す図である。予測装置20は、取得部21と、予測モデル記憶部22と、予測部23と、グラフ生成部24と、予測理由生成部25と、表示制御部26を備えている。
【0032】
取得部21は、受注の可能性が高い顧客(注目顧客)と商品を、予測モデルを用いて予測する際の入力データを取得する。取得部21は、例えば、営業データ管理サーバ300から予測に用いるデータを取得する。入力データは、作業者によって予測装置20に入力されてもよい。取得部21は、受注の可能性が高い顧客の予測に用いる入力データとして、予測時点において営業対象の候補となる複数の顧客(対象顧客)の属性データ、予測時点までに実行されていた営業活動の活動履歴のデータを営業プロセス時系列データとして取得する。
【0033】
予測モデル記憶部22は、予測モデル生成装置10の予測モデル出力部16から送られてくる予測モデルを記憶する。
【0034】
予測部23は、予測モデル記憶部22に記憶されている予測モデルに基づいて、入力データから受注の可能性が高い顧客と商品および受注の可能性が高い営業プロセスを予測する。予測部23は、複数の顧客(対象顧客)の属性データと、顧客それぞれに対してそれまでに行った営業活動の初期段階のアクションのデータ(対象顧客に対する営業プロセスの時系列データ)を入力とし、予測モデルを用いて、受注の可能性が高い顧客と商品および受注の可能性が高い営業プロセスを予測する。
【0035】
グラフ生成部24は、予測部23の予測結果に含まれる受注可能性が高い顧客について、営業プロセスを基にグラフを生成し、グラフ構造データとして予測理由生成部25に出力する。グラフ生成部24は、営業プロセスに含まれる各アクションをノード、アクション間の順序をエッジとして示すグラフを生成する。
【0036】
予測理由生成部25は、受注の可能性が高い顧客と、受注可能性が高い商品と、営業プロセスの予測結果とを組み合わせの予測の理由を抽出する。
【0037】
表示制御部26は、予測の理由が付加された予測結果を表示するように予測装置20が有する表示部(不図示)または予測装置20の外部にある表示装置を制御する。また、表示制御部26は、予測結果を利用する利用者の端末に予測の理由を付加した予測結果を送信することで表示装置への表示を制御してもよいが、表示制御方法はこれに限定されない。
【0038】
表示制御部26は、予測結果を表示する表示データを生成する。表示制御部26は、受注の可能性が高い顧客を営業活動の対象として推奨する注目顧客の候補、受注の可能性が高い商品を営業の対象として推奨する注目顧客の候補として表示する表示データを生成する。表示制御部26は、複数の顧客を受注の可能性が高い順に順位付けして表示データを生成する。受注可能性の順位は、入力された顧客の属性データおよび活動履歴のデータと予測モデルとの類似性と、過去の受注実績を用いて予測部23によって算出される。類似性は、例えば、STAR法を用いて生成した予測モデルを用いて予測部23が受注可能性の高い商品と注目顧客の予測を行う際に算出される。また、表示制御部26は、予測部23の予測結果の表示用の表示データに、予測の理由と、受注可能性が高い営業プロセスを示すグラフ構造データを付加する。表示制御部26は、予測結果と予測の理由の表示データの表示装置への表示を制御する。これにより、本願発明は、営業担当者に対して受注の可能性の高い顧客および商品に加えてその理由を提示することにより、営業活動をより好適に支援することができる。
【0039】
取得部21、予測部23、グラフ生成部24、予測理由生成部25および表示制御部26における各処理は、命令を実行するプロセッサがコンピュータプログラムを実行することで行われる。プロセッサは、CPU、GPUあるいはCPUとGPUを組み合わせたものでもよい。
【0040】
予測モデル記憶部22は、例えば、ハードディスクドライブを用いて構成されている。予測モデル記憶部22は、不揮発性の半導体記憶装置または複数の種類の記憶装置の組み合わせによって構成されていてもよい。
【0041】
図1において、営業データ管理サーバ300は、営業活動ごとの活動履歴のデータを管理している。活動履歴のデータは、例えば、営業担当者によって、端末装置を介して入力されたデータが用いられる。活動履歴のデータは、営業日誌から抽出されたデータであってもよい。例えば、営業データ管理サーバ300は、営業担当者が、「3月2日に社にメールで商品Aを紹介」と記載した営業日誌から、日時である「3月2日」と、営業活動の対象である「X社」と、営業活動におけるアクションを示す「メール」を活動履歴のデータとして抽出してもよい。営業データ管理サーバ300は、活動履歴のデータを予測モデル生成装置10に送信する。
【0042】
<学習フェーズ>
本実施形態の営業支援システムの動作について説明する。始めに、受注の可能性が高い顧客と商品を予測する際に用いる予測モデルを生成する際の動作について説明する。
図5は、予測モデル生成装置10が受注の可能性が高い顧客と商品を予測するための予測モデルを生成する際の動作フローを示す図である。
【0043】
取得部11は、属性データとして用いる過去に行われた複数の営業活動において対象となった顧客(既存顧客)の属性データと、営業を行った商品の属性データと、営業活動ごとの受注の成否のデータを取得する(ステップS11)。受注の成否のデータは、受注が成功したか、失敗したかを営業活動ごとに示す情報によって構成されている。各データは、作業者によって入力されてもよく、各データを有する他のサーバから取得されてもよい。取得部11は、営業データ管理サーバ300から営業活動ごとの受注の有無の実績を示す情報を取得してもよい。各データを取得すると、取得部11は、取得した各データを記憶部12に記憶する。
【0044】
図6は、属性データとして用いる顧客(既存顧客)の情報の一例を示す図である。
図6の顧客の属性データでは、顧客の社名と、業種と、業種をさらに細かく分類した業種(詳細)と、年間売上高が紐付けられている。また、
図7は、ラベルとして用いる受注成否のデータの一例を示す図である。
図7の例では、活動履歴の識別情報である営業履歴番号と、顧客の社名と、営業を行った商材と、受注成否の結果が紐付いている。
【0045】
また、取得部11は、営業データ管理サーバ300から営業活動ごとの活動履歴のデータを示す営業プロセス時系列データを取得する(ステップS12)。営業プロセス時系列データを取得すると、取得部11は、取得した活動履歴のデータを記憶部12に記憶する。
【0046】
図8は、営業プロセス時系列データの一例を示す図である。
図8の営業プロセス時系列データでは、活動履歴の識別情報である営業履歴番号と、営業活動において各アクションを行った日付が紐付けられている。
図8の営業履歴番号は、
図7の営業履歴番号と対応している。
【0047】
記憶部12に営業プロセス時系列データが記憶されると、グラフ生成部13は、営業プロセス時系列データを基にグラフ構造データを生成する(ステップS13)。グラフ生成部13は、活動履歴の各アクションをノード、各アクション間の順序をエッジとして、各営業プロセスにおいて実行されたアクションを時系列に並べたグラフ構造データを生成する。グラフ構造データを生成すると、グラフ生成部13は、生成したグラフ構造データを予測モデル生成部14に送る。
【0048】
グラフ構造データが入力されると、予測モデル生成部14は、予測モデルの生成に用いる各データを記憶部12から読み出す。各データを読み出すと、複数の顧客(既存顧客)それぞれの属性データ、商品の属性データと、活動履歴から生成したグラフ構造データを入力データ、受注の成否をラベルとして機械学習を行って、受注の可能性が高い顧客と商品を予測するための予測モデルを生成する(ステップS14)。
【0049】
予測モデルを生成すると、予測モデル生成部14は、生成した予測モデルを学習済みモデルとして予測モデル記憶部15に記憶する。予測モデルが記憶されると、予測モデル出力部16は、予測モデルを予測装置20に出力する(ステップS15)。予測装置20に入力された予測モデルは、予測モデル記憶部22に記憶される。
【0050】
予測モデル生成装置10が生成した予測モデルは、再学習によって更新されてもよい。例えば、予測モデル生成部14は、予測結果に基づいて新たに営業活動を行った顧客の属性データと、商品の属性データと、活動履歴から生成したグラフのデータを入力データ、受注の獲得の有無をラベルとした機械学習によって予測モデルの再学習を行う。再学習を行うと、予測モデル生成部14は、予測モデル記憶部15に記憶されている予測モデルを更新する。このように、予測結果を基に再学習を行うことで、学習済みモデルによる予測精度が向上する。また、予測モデル生成部14は、結果に基づいて営業活動を行った顧客の属性データと、商品の属性データと、活動履歴から生成したグラフのデータを入力データ、受注の獲得の有無をラベルとした機械学習によって新たに予測モデルを生成してもよい。
【0051】
<予測フェーズ>
次に予測装置20において、受注の可能性が高い顧客と商品を予測する際の動作について説明する。
図9は、予測装置20において、受注の可能性が高い顧客と商品を、予測モデルを用いて予測する際の動作フローを示す図である。
【0052】
始めに、取得部21は、予測の対象となる複数の顧客(対象顧客)について、顧客の属性データと、顧客ごとに予測時点までに行われた営業活動の活動履歴のデータを営業データ管理サーバ300から取得する(ステップS21)。各データは、作業者によって予測装置20に入力されてもよい。顧客ごとに予測時点までに行われた営業活動の活動履歴のデータは、営業活動の初期において行われたアクションと、アクションが行われた時系列の順序を示す時系列データである。
【0053】
取得部21は、属性に応じて階層化された顧客グループから、顧客グループを選択して予測対象としてもよい。例えば、属性データが業種として設定され、上位の階層で製造業と卸売業などのように分類され、下位の階層で製造業が食品製造と医薬品製造などのようにさらに分類されている顧客グループが生成されているとする。このとき、例えば、取得部21は、作業者等による入力に応じて、製造業に含まれる顧客グループがすべて選択されるようにしてもよいし、下位の階層の食品製造に含まれる顧客グループのみが選択されるようにしてもよい。
【0054】
取得部21が活動履歴のデータを取得すると、予測部23は、予測モデル記憶部22に記憶されている予測モデルを用いて、顧客(対象顧客)の属性データと、活動履歴のデータ(営業プロセス時系列データ)を入力として、受注の可能性が高い顧客(注目顧客)と商品(推奨商品)および営業プロセスを予測する(ステップS22)。受注の可能性が高い顧客と商品および営業プロセスを予測すると、予測部23は、受注の可能性が高い顧客と商品のデータと、受注可能性が高い営業プロセスのデータを予測結果としてグラフ生成部24に送る。予測結果には、受注の可能性が高い顧客と商品を予測モデルを用いて予測した際に、予測への寄与度が高い属性データの情報が含まれている。
【0055】
予測結果を受け取ると、グラフ生成部24は、予測結果に含まれる受注可能性が高い営業プロセスから、予測結果を表示する際に用いるグラフ構造データを生成する(ステップS23)。グラフ生成部24は、受注可能性の高い営業プロセスに含まれるアクションをノード、アクション間の順番をエッジとして示すグラフ構造データを生成する。
【0056】
グラフ構造データを生成すると、グラフ生成部24は、予測結果にグラフ構造データを付加し、予測結果を予測理由生成部25に送る。
【0057】
予測結果を受け取ると、予測理由生成部25は、予測の理由を生成する(ステップS24)。予測理由生成部25は、例えば、予測結果のデータから受注成功への寄与度の高い属性データを予測の理由として抽出する。予測理由生成部25は、予測への寄与度が高い属性データが業種であったとき、例えば、同業種の他社での購入実績があることを示す情報を予測の理由として生成する。
【0058】
予測の理由を抽出すると、予測理由生成部25は、予測結果に、予測の理由をさらに付加して表示制御部26に出力する。
【0059】
予測結果を受け取ると、表示制御部26は、予測結果を表示する表示データを生成する。表示データを生成すると、表示制御部26は、表示装置を制御して予測結果を表示装置に表示する(ステップS25)。表示制御部26は、予測結果を利用する利用者の端末の表示装置に予測結果が表示されるように、利用者の端末への予測結果のデータの送信を制御してもよい。
【0060】
図10は、予測結果の表示データの一例を示す図である。
図10の予測結果の表示データは、受注可能性が高い商品が商品Xであり、推奨商品Xとして表示する表示データの例を示している。また、
図10の予測結果の表示データは、受注可能性の高さを示す順位と、推奨顧客名と、予測の理由を示す推奨理由によって構成されている。推奨顧客名は、受注可能性が高い注目顧客であるとして、営業活動の対象として推奨する顧客の名前を示している。
図10では、A社が一番、受注の可能性が高く、理由として同業H社に受注実績があり、営業活動の初期のアクションが同一であることが示されている。
図10のように、予測結果として複数の顧客の候補と、受注可能性が高いと予測した際の理由を示すことで、予測結果の利用者は、受注の獲得のためにどの顧客に重点的に営業を行うかを予測の理由を参照して選択することができる。
【0061】
予測の理由を生成する際に、予測理由生成部25は、例えば、属性データと商品の組み合わせごとに過去に受注実績のある代表的な顧客名の情報をあらかじめ保持している。予測理由生成部25は、予測の理由を生成する際に、保持している情報から、予測結果への寄与度の高い属性データと推奨商品の組み合わせに対応した顧客を抽出し、抽出した顧客に受注実績があることを予測の理由として抽出する。過去に受注実績のある代表的な顧客には、例えば、属性データごとの受注実績のある顧客のうち、経営規模が大きく知名度の高い顧客または過去の受注数が他社よりも多い顧客が設定される。
【0062】
予測理由生成部25は、あらかじめ定義されたテンプレートを基に、予測の理由を生成してもよい。予測理由生成部25は、例えば、「同業のXX社で受注実績があるため」というテンプレートを保持し、受注企業の代表的な企業が「A社」であったときに「同業のA社で受注実績があるため」という予測の理由を生成する。
【0063】
また、
図10は、推奨理由欄に、受注可能性が高い営業プロセスを表示するためのボタンが「提案プロセス」として設定されている例を示している。
図11は、「提案プロセス」のボタンが押された際に表示される受注可能性が高い営業プロセスの例を示している。
図11の例では、セミナーとメールが実行済みアクションとして示され、受注可能性が高い営業プロセスが推奨プロセスとして示されている。
【0064】
図11のような推奨プロセスの表示は、
図10の表示画面上で「提案プロセス」のボタンにカーソルを置くと行われるようにしてもよい。また、
図10において、表示画面上の「提案プロセス」の部分のマウスクリックまたはタップが行われた際に、
図11に示す推奨プロセスが表示されるようにしてもよい。
【0065】
上記の説明では、予測モデルの生成の際に用いるグラフ構造データのエッジは、アクションの順序のみを示しているが、エッジにアクション間の時間の長さが含まれていてもよい。エッジにアクション間の時間の長さの情報を含むグラフ構造データを用いて生成した予測モデルを用いて予測を行うことで、各アクションを行う適切なタイミングについても予測することが可能になる。また、
図11のように予測結果を表示する際に、表示画面上でエッジにカーソルを置くと、エッジが示す時間間隔が表示されるようにしてもよい。また、表示画面上において、エッジの部分のクリックまたはタップが行われた際に、エッジが示す時間間隔が表示されるようにしてもよい。
【0066】
また、顧客の属性データには、業種と、業種(詳細)と、年間売上高を用いたが、顧客の属性データは、業種、資本金、従業員数、売上高、利益、資材購入額、支店数、工場数、営業形態、取引実績またはその他の顧客の企業の特性を表す指標のうち、少なくとも1つの項目が含まれていてもよい。また、業種は、例えば、JIS(Japanese Industrial Standards)で規定された大分類、中分類および小分類のように階層化されたデータを用いてもよい。
【0067】
また、顧客は、個人であってもよい。顧客が個人である場合には、顧客の属性データには、年齢、性別、収入、勤務先、家族数、居住地、取引実績、会員制度への加入状況、メールマガジンの購読の有無のうち、少なくとも1つの項目が含まれていてもよい。また、顧客の属性データ等に加えて、営業対象の商品もしくはサービスの分類、営業対象の商品もしくはサービス、営業対象の顧客の売上高、営業担当者、営業担当者の役職、または営業担当者の階級のうち、少なくとも1つの項目が予測モデルを生成する際の入力データとして用いられてもよい。また、これらの営業活動の対象となる顧客または営業担当者の属性データを予測モデルの生成に用いた場合には、予測段階においても属性データとして入力に用いることができる。
【0068】
予測モデルの生成および予測を行う際の属性データには、顧客の属性データに代えて、営業対象の商品もしくはサービスの分類、営業対象の商品もしくはサービス、営業対象の顧客の売上高、営業担当者、営業担当者の役職、または営業担当者の階級などの営業活動の対象となる企業または営業担当者のうち1つまたは複数の属性の情報が入力データとして用いられてもよい。また、上記の属性データは、顧客の属性データに加えて用いられてもよい。また、これらの営業活動の対象となる顧客または営業担当者の属性データを予測モデルの生成に用いた場合には、予測段階においても属性データとして入力に用いることができる。
【0069】
予測の理由には、注目顧客と業種が一致する顧客において受注実績があることに代えて、売上高、年間利益、従業員数、購入実績、営業対象の商品もしくはサービスの分類、営業対象の商品もしくはサービス、営業対象の顧客の売上高、営業担当者、営業担当者の役職のうち、いずれか1項目または複数の項目が含まれていてもよい。また、これらの予測の理由は、注目顧客と業種が一致する顧客において受注実績があるとの理由とともに用いられてもよい。
【0070】
本実施形態の営業支援システムは、予測モデル生成装置10において、複数の顧客の属性データと、各顧客への営業活動の活動履歴のデータを基に生成したグラフ構造データと、商品の属性データを入力として機械学習によって予測モデルを生成している。また、本実施形態の営業支援システムは、生成した予測モデルを基に予測装置20において、各顧客の属性データと、各顧客に行った営業活動のアクションから受注の可能性が高い顧客と商品および営業プロセスを予測している。本実施形態の営業支援システムは、営業活動のアクションを行っている顧客の中から受注の可能性が高い顧客と、受注可能性が高い商品を予測し、また、現時点以降の推奨する営業プロセスを予測することができる。そのため、本実施形態の営業支援システムは、受注可能性が高い顧客と、商品と、営業プロセスを予測結果として提示することで、営業担当者のスキル等に依存せずに効率的な営業活動を行うための情報を提示することができる。よって、本実施形態の営業支援システムは、営業活動を行っている顧客の中で受注の可能性が高い顧客と、受注可能性が高い商品を予測することで、受注の成功確率の増加や営業活動の効率の向上など、営業活動を支援することができる。
【0071】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。
図12は、本実施形態の営業支援システムの構成の概要を示す図である。本実施形態の営業支援システムは、取得部31と、予測部32を備えている。尚、本実施形態の営業支援システムでは、取得部31と予測部32が単一の装置に備えられてもよいし、それぞれが異なる装置に備えられてもよい。
【0072】
取得部31は、営業対象の候補となる複数の対象顧客それぞれの属性データと、所定の時点までに行われた複数の対象顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列に関する営業プロセス時系列データとを取得する。取得部31は、取得手段の一例である。また、取得部31の一例は、第1の実施形態の予測装置20の取得部21である。
【0073】
予測部32は、予測モデルおよび取得部31により取得される複数の対象顧客の属性データと営業プロセス時系列データを用いて、複数の対象顧客に対する推奨商品と、複数の対象顧客のうちの推奨商品を購入する顧客とを予測する。予測モデルは、所定の時点よりも過去に営業実績のある複数の既存顧客それぞれの属性データと、営業プロセス時系列データと、営業活動によって複数の既存顧客に購入された商品に関する商品データとを基に生成されている。営業プロセス時系列データは、複数の既存顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す。予測部32は、予測手段の一例である。予測部32の一例は、第1の実施形態の予測装置20の予測部23である。
【0074】
本実施形態の営業支援システムの動作について説明する。
図13は、本実施形態の営業支援システムの動作フローを示す図である。始めに、取得部31は、営業対象の候補となる複数の対象顧客それぞれの属性データと、所定の時点までに行われた複数の対象顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列に関する営業プロセス時系列データとを取得する(ステップS31)。営業対象の候補となる対象顧客それぞれの属性データと、営業プロセス時系列データを取得すると、予測部32は、予測モデルを用いて、対象顧客それぞれの属性データと、営業プロセス時系列データから、推奨商品と、推奨商品を購入する顧客を予測する(ステップS32)。
【0075】
本実施形態の営業支援システムは、予測モデルに、予測時点である所定の時点までの対象顧客に対するアクションと、対象顧客の属性データを入力することで、受注可能性が高い推奨商品と、推奨商品を購入する可能性が高い顧客を予測している。また、本実施形態の営業支援システムは、予測時点までの営業活動のアクションを用いて予測しているため、予測時点までに行って活動を考慮した予測を行うことができる。そのため、本実施形態の営業支援システムは、営業活動の初期段階のアクションを行っている顧客の中で受注の可能性を高い顧客と商品を予測することができる。
【0076】
第1の実施形態の予測モデル生成装置10および予測装置20における各処理は、コンピュータプログラムをコンピュータで実行することによって行うことができる。
図14は、予測モデル生成装置10および予測装置20における各処理を行うコンピュータプログラムを実行するコンピュータ40の構成の例を示したものである。コンピュータ40は、CPU41と、メモリ42と、記憶装置43と、入出力I/F(Interface)44と、通信I/F45を備えている。また、第1の実施形態の営業データ管理サーバ300、第2の実施形態の営業支援システムにおける各処理も同様の構成のコンピュータ40でコンピュータプログラムを実行することで行うことができる。
【0077】
CPU41は、記憶装置43から各処理を行うコンピュータプログラムを読み出して実行する。コンピュータプログラムを実行する演算処理部は、CPU41に代えて、CPUとGPUとの組み合わせによって構成されていてもよい。メモリ42は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等によって構成され、CPU41が実行するコンピュータプログラムや処理中のデータが一時記憶される。記憶装置43は、CPU41が実行するコンピュータプログラムを記憶している。記憶装置43は、例えば、不揮発性の半導体記憶装置によって構成されている。記憶装置43には、ハードディスクドライブ等の他の記憶装置が用いられてもよい。入出力I/F44は、作業者からの入力の受付および表示データ等の出力を行うインタフェースである。通信I/F45は、営業支援システム内の各装置および利用者の端末等との間でデータの送受信を行うインタフェースである。
【0078】
また、CPU41による各処理の実行に用いられるコンピュータプログラムは、記録媒体に格納して頒布することもできる。記録媒体としては、例えば、データ記録用磁気テープや、ハードディスクなどの磁気ディスクを用いることができる。また、記録媒体としては、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の光ディスクを用いることもできる。不揮発性の半導体記憶装置を記録媒体として用いてもよい。
【0079】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0080】
[付記1]
営業対象の候補となる複数の対象顧客それぞれの属性データと、所定の時点までに行われた前記複数の対象顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列に関する営業プロセス時系列データとを取得する取得手段と、
前記所定の時点よりも過去に営業実績のある複数の既存顧客それぞれの属性データと、前記複数の既存顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記営業活動によって前記複数の既存顧客に購入された商品に関する商品データとを基に生成された予測モデル、および前記取得手段により取得される前記複数の対象顧客の属性データと営業プロセス時系列データを用いて、前記複数の対象顧客に対する推奨商品と、前記複数の対象顧客のうちの前記推奨商品を購入する顧客とを予測する予測手段と
を備える営業支援システム。
【0081】
[付記2]
前記予測手段による予測結果と、予測の理由とを表示するよう表示装置を制御する表示制御手段
をさらに備える付記1に記載の営業支援システム。
【0082】
[付記3]
前記表示制御手段は、前記複数の既存顧客それぞれの属性データと、前記複数の対象顧客それぞれの属性データと、に基づいて、前記複数の対象顧客を、営業活動の優先順に表示するよう前記表示装置を制御する
付記2に記載の営業支援システム。
【0083】
[付記4]
前記予測手段は、前記複数の既存顧客それぞれの属性データと、前記複数の対象顧客それぞれの属性データと、前記複数の既存顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記複数の対象顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列に関する営業プロセス時系列データと、に基づいて、前記複数の既存顧客それぞれと前記複数の対象顧客それぞれとの間の属性及び営業活動の類似性を示す顧客類似度を算出し、
前記表示制御手段は、前記顧客類似度に基づいて、前記複数の対象顧客を、営業活動の優先順に表示するよう前記表示装置を制御する
付記3に記載の営業支援システム。
【0084】
[付記5]
前記表示制御手段は、前記予測手段により前記推奨商品を購入すると予測される顧客に対する、前記所定の時点以降の営業プロセスを表示するよう前記表示装置を制御する
付記2から4のいずれか一項に記載の営業支援システム。
【0085】
[付記6]
前記表示制御手段は、前記推奨する営業プロセスを、前記営業プロセスに含まれる複数のアクションそれぞれに対応するノードと、前記アクション間の順序を示すエッジとからなるグラフ構造として表示する
付記5に記載の営業支援システム。
【0086】
[付記7]
前記顧客の属性データは、顧客の業種と、従業員数と、資本金と、売上高と、利益と、資材購入額と、支店数と、工場数と、営業形態と、取引実績と、のうち少なくとも1つを含む
付記1から6のいずれかに一項に記載の営業支援システム。
【0087】
[付記8]
前記商品の属性データは、商品の種類と、前記商品が販売される期間と、販売実績と、取引社数と、バリエーションと、広告の有無と、生産国と、提供される形態と、のうち少なくとも1つを含む
付記1から7のいずれか一項に記載の営業支援システム。
【0088】
[付記9]
前記所定の時点よりも過去に営業実績のある複数の既存顧客それぞれの属性データと、前記複数の既存顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記営業活動によって前記複数の既存顧客に購入された商品に関する商品データとを入力として機械学習を行うことで前記予測モデルを生成する予測モデル生成手段
をさらに備える付記1から8のいずれか一項に記載の営業支援システム。
【0089】
[付記10]
前記予測モデル生成手段は、前記予測手段による予測結果に基づいて実行された営業活動の顧客それぞれの属性データと、顧客ごとに行った複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記営業活動によって前記顧客に購入された商品に関する商品データとを基に前記予測モデルを再学習する
付記9に記載の営業支援システム。
【0090】
[付記11]
営業対象の候補となる複数の対象顧客それぞれの属性データと、所定の時点までに行われた前記複数の対象顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列に関する営業プロセス時系列データとを取得し、
前記所定の時点よりも過去に営業実績のある複数の既存顧客それぞれの属性データと、前記複数の既存顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記営業活動によって前記複数の既存顧客に購入された商品に関する商品データとを基に生成された予測モデル、および取得した前記複数の対象顧客の属性データと営業プロセス時系列データを用いて、前記複数の対象顧客に対する推奨商品と、前記複数の対象顧客のうちの前記推奨商品を購入する顧客とを予測する
を備える営業支援方法。
【0091】
[付記12]
予測結果と、予測の理由とを表示するよう表示装置を制御する
付記11に記載の営業支援方法。
【0092】
[付記13]
前記複数の既存顧客それぞれの属性データと、前記複数の対象顧客それぞれの属性データと、に基づいて、前記複数の対象顧客を、営業活動の優先順に表示するよう前記表示装置を制御する
付記12に記載の営業支援方法。
【0093】
[付記14]
前記複数の既存顧客それぞれの属性データと、前記複数の対象顧客それぞれの属性データと、前記複数の既存顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記複数の対象顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列に関する営業プロセス時系列データと、に基づいて、前記複数の既存顧客それぞれと前記複数の対象顧客それぞれとの間の属性及び営業活動の類似性を示す顧客類似度を算出し、
前記顧客類似度に基づいて、前記複数の対象顧客を、営業活動の優先順に表示するよう前記表示装置を制御する
付記13に記載の営業支援方法。
【0094】
[付記15]
前記推奨商品を購入すると予測される顧客に対する、前記所定の時点以降の営業プロセスを表示するよう前記表示装置を制御する
付記12から14のいずれか一項に記載の営業支援方法。
【0095】
[付記16]
前記推奨する営業プロセスを、前記営業プロセスに含まれる複数のアクションそれぞれに対応するノードと、前記アクション間の順序を示すエッジとからなるグラフ構造として表示する
付記15に記載の営業支援方法。
【0096】
[付記17]
前記顧客の属性データは、顧客の業種と、従業員数と、資本金と、売上高と、利益と、資材購入額と、支店数と、工場数と、営業形態と、取引実績と、のうち少なくとも1つを含む
付記11から16のいずれかに一項に記載の営業支援方法。
【0097】
[付記18]
前記商品の属性データは、商品の種類と、前記商品が販売される期間と、販売実績と、取引社数と、バリエーションと、広告の有無と、生産国と、提供される形態と、のうち少なくとも1つを含む
付記11から17のいずれか一項に記載の営業支援方法。
【0098】
[付記19]
前記所定の時点よりも過去に営業実績のある複数の既存顧客それぞれの属性データと、前記複数の既存顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記営業活動によって前記複数の既存顧客に購入された商品に関する商品データとを入力として機械学習を行うことで前記予測モデルを生成する
付記11から18のいずれか一項に記載の営業支援方法。
【0099】
[付記20]
予測結果に基づいて実行された営業活動の顧客それぞれの属性データと、顧客ごとに行った複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記営業活動によって前記顧客に購入された商品に関する商品データとを基に前記予測モデルを再学習する
付記19に記載の営業支援方法。
【0100】
[付記21]
営業対象の候補となる複数の対象顧客それぞれの属性データと、所定の時点までに行われた前記複数の対象顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列に関する営業プロセス時系列データとを取得する処理と、
前記所定の時点よりも過去に営業実績のある複数の既存顧客それぞれの属性データと、前記複数の既存顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記営業活動によって前記複数の既存顧客に購入された商品に関する商品データとを基に生成された予測モデル、および取得される前記複数の対象顧客の属性データと営業プロセス時系列データを用いて、前記複数の対象顧客に対する推奨商品と、前記複数の対象顧客のうちの前記推奨商品を購入する顧客とを予測する処理と
をコンピュータに実行させる営業支援プログラムを記録したプログラム記録媒体。
【0101】
[付記22]
営業対象の候補となる複数の対象顧客それぞれの属性データと、所定の時点までに行われた前記複数の対象顧客それぞれに対する営業活動に含まれるアクションの時系列に関する営業プロセス時系列データとを取得する取得手段と、
前記所定の時点よりも過去に営業実績のある複数の既存顧客それぞれの属性データと、前記複数の既存顧客に対する営業活動に含まれる複数のアクションの時系列順序を示す営業プロセス時系列データと、前記営業活動によって前記複数の既存顧客に購入された商品に関する商品データとを基に生成された予測モデル、および前記取得手段により取得される前記複数の対象顧客の属性データと営業プロセス時系列データを用いて、前記複数の対象顧客に対する推奨商品と、前記複数の対象顧客のうちの前記推奨商品を購入する顧客とを予測する予測手段と
を備える営業支援装置。
【0102】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0103】
10 予測モデル生成装置
11 取得部
12 記憶部
13 グラフ生成部
14 予測モデル生成部
15 予測モデル記憶部
16 予測モデル出力部
20 予測装置
21 取得部
22 予測モデル記憶部
23 予測部
24 グラフ生成部
25 予測理由生成部
26 表示制御部
31 取得部
32 予測部
40 コンピュータ
41 CPU
42 メモリ
43 記憶装置
44 入出力I/F
45 通信I/F
100 予測システム
300 営業データ管理サーバ