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特許7556404生産余力算出装置、生産余力回答システム、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】生産余力算出装置、生産余力回答システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022564941
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(86)【国際出願番号】 JP2020044255
(87)【国際公開番号】W WO2022113278
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩壁 冬樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124501
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 誠人
(72)【発明者】
【氏名】清水 数馬
(72)【発明者】
【氏名】森永 聡
(72)【発明者】
【氏名】中台 慎二
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特許第3109610(JP,B2)
【文献】特開2003-345419(JP,A)
【文献】特許第6612114(JP,B2)
【文献】特開2002-215974(JP,A)
【文献】特許第6140414(JP,B2)
【文献】特開2003-005819(JP,A)
【文献】特公平05-037789(JP,B2)
【文献】特公平05-037788(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および前記単位期間ごとに利用可能になる材料数、並びに、対象とする製品の生産に用いられる材料である中間部品の各生産工程に対する単位期間ごとの工程能力、および単位期間ごとに利用可能な当該中間部品の材料数の入力を受け付ける入力手段と、
過去の所定の時点から時系列に前記材料数を前記単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち、直前の単位期間までの累積生産可能数を前記材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出する算出手段とを備え、
前記算出手段は、前記工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と前記材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定し、前記生産可能数を過去の所定の時点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出し、前記単位期間ごとの前記中間部品の生産可能数を算出し、算出された前記中間部品の生産可能数を製品の生産に利用可能な材料数として用いて、当該製品の生産可能数を算出する
ことを特徴とする生産余力算出装置。
【請求項2】
算出手段は、使用可能期間を経過した材料数を元に廃棄数を算出し、算出された廃棄数に基づいて材料の残数を算出する
請求項1記載の生産余力算出装置。
【請求項3】
算出手段は、各単位期間の直前における材料の残数と、対象とする単位期間に利用可能になる材料数とを加算して、当該単位期間に利用可能な材料数である利用可能数を算出し、工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と、算出された前記利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定する
請求項2記載の生産余力算出装置。
【請求項4】
算出手段は、対象とする単位期間において使用可能期間を経過した材料の数である使用期限切れ数を単位期間ごとに累積した累積使用期限切れ数、および、実際に廃棄した廃棄数を単位期間ごとに累積した累積廃棄数を算出し、前記使用期限切れ数から累積生産可能数および直前の単位期間までの前記累積廃棄数を減じた値と零のうち大きい方の数を、対象とする単位期間の廃棄数として算出する
請求項3記載の生産余力算出装置。
【請求項5】
算出手段は、各単位期間における材料の残数を、利用可能数から生産可能数および廃棄数を減じることで算出する
請求項3または請求項4記載の生産余力算出装置。
【請求項6】
対象とする製品の生産可能数を算出して回答する生産余力算出装置に対して、当該生産可能数の問い合わせを行う端末を備え、
前記生産余力算出装置は、
対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および前記単位期間ごとに利用可能になる材料数、並びに、対象とする製品の生産に用いられる材料である中間部品の各生産工程に対する単位期間ごとの工程能力、および単位期間ごとに利用可能な当該中間部品の材料数の入力を受け付ける入力手段と、
過去の所定の時点から時系列に前記材料数を前記単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち、直前の単位期間までの累積生産可能数を前記材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出する算出手段とを含み、
前記算出手段は、前記工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と前記材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定し、前記生産可能数を過去の所定の時点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出し、前記単位期間ごとの前記中間部品の生産可能数を算出し、算出された前記中間部品の生産可能数を製品の生産に利用可能な材料数として用いて、当該製品の生産可能数を算出する
ことを特徴とする生産余力回答システム。
【請求項7】
対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および前記単位期間ごとに利用可能になる材料数、並びに、対象とする製品の生産に用いられる材料である中間部品の各生産工程に対する単位期間ごとの工程能力、および単位期間ごとに利用可能な当該中間部品の材料数の入力を受け付け、
過去の所定の時点から時系列に前記材料数を前記単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち、直前の単位期間までの累積生産可能数を前記材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出し、
前記工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と前記材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定し、前記生産可能数を過去の所定の時点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出し、
前記単位期間ごとの前記中間部品の生産可能数を算出し、算出された前記中間部品の生産可能数を製品の生産に利用可能な材料数として用いて、当該製品の生産可能数を算出する
ことを特徴とする生産余力算出方法。
【請求項8】
端末が、対象とする製品の生産可能数を算出して回答する生産余力算出装置に対して、当該生産可能数の問い合わせを行い、
前記生産余力算出装置が、対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および前記単位期間ごとに利用可能になる材料数、並びに、対象とする製品の生産に用いられる材料である中間部品の各生産工程に対する単位期間ごとの工程能力、および単位期間ごとに利用可能な当該中間部品の材料数の入力を受け付け、
前記生産余力算出装置が、過去の所定の時点から時系列に前記材料数を前記単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち、直前の単位期間までの累積生産可能数を前記材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出し、
前記生産余力算出装置が、前記工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と前記材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定し、前記生産可能数を過去の所定の時点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出し、
前記単位期間ごとの前記中間部品の生産可能数を算出し、算出された前記中間部品の生産可能数を製品の生産に利用可能な材料数として用いて、当該製品の生産可能数を算出する
ことを特徴とする生産余力回答方法。
【請求項9】
コンピュータに、
対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および前記単位期間ごとに利用可能になる材料数、並びに、対象とする製品の生産に用いられる材料である中間部品の各生産工程に対する単位期間ごとの工程能力、および単位期間ごとに利用可能な当該中間部品の材料数の入力を受け付ける入力処理、および、
過去の所定の時点から時系列に前記材料数を前記単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち直前の単位期間までの累積生産可能数を前記材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出する算出処理を実行させ、
前記算出処理で、前記工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と前記材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定させ、前記生産可能数を過去の所定の時点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出させ、前記単位期間ごとの前記中間部品の生産可能数を算出させ、算出された前記中間部品の生産可能数を製品の生産に利用可能な材料数として用いて、当該製品の生産可能数を算出させる
ための生産余力算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産余力を算出する生産余力算出装置、生産余力算出方法、および、生産余力算出プログラム、並びに、算出された生産余力を回答する生産余力回答システムおよび生産余力回答方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造業において、製造業者は、需要情報および受注情報に基づいて製品の生産計画をたて、その計画に基づいて製造に必要な部品の所要量や、作業工程等を算出し、サプライヤ等に手配することがある。この方式は、MRP(Manufacturing Resource Planning )と呼ばれ、受注に対して迅速に対応しつつ、社内資源の把握が可能になる。
【0003】
ただし、通常、製造業者は、この方式を滞りなく実現するため、サプライヤへ事前に予測所要量を伝えることで、一定量の部品の確保を予め依頼する。一方、サプライヤ側は、製造業者からの依頼に基づき、自社の生産能力に基づいて、提供する部品の生産計画を立案する。
【0004】
特許文献1には、納期を指定された受注生産の生産管理を行う方法が記載されている。特許文献1に記載された方法では、生産能力を日ごと順に加算して累積することで、生産能力累積値を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-244720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
MRPでは、製造業者側にとって、無駄な在庫数を低減できるというメリットがある。一方、サプライヤは、製造業者から実際に発注される部品の数と予め依頼されていた部品の数との変動を考慮して、一定割合の余剰分を生産するための材料を確保しておかなければならないため、この変動分の扱いは、MRPで扱える範疇を超えており、サプライヤ側にとって負担になっていると言える。
【0007】
このようなサプライヤ側の負担を低減させるため、製造業者が、サプライヤの生産余力を元に、変動分の発注を依頼する方式が考えられる。しかし、多くの場合、製造業者は、サプライヤ側の生産余力を直接算出することは困難である。そこで、サプライヤ側は、生産余力を算出して製造業者に回答できるようにする必要がある。
【0008】
しかし、特許文献1に記載された方法は、生産の日程については考慮されているが、住宅の組み立てに必要な各ユニットの生産に必要な材料について考慮されていない。そのため、生産に必要な材料が不足する場合には、適切な生産余力を算出できないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、製品の生産に要する工程および材料を考慮した生産余力を算出できる生産余力算出装置、生産余力算出方法および生産余力算出プログラム、並びに、算出された生産余力を回答する生産余力回答システムおよび生産余力回答方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による生産余力算出装置は、対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および単位期間ごとに利用可能になる材料数、並びに、対象とする製品の生産に用いられる材料である中間部品の各生産工程に対する単位期間ごとの工程能力、および単位期間ごとに利用可能なその中間部品の材料数の入力を受け付ける入力手段と、過去の所定の時点から時系列に材料数を単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち、直前の単位期間までの累積生産可能数を材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出する算出手段とを備え、算出手段が、工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定し、生産可能数を過去の所定の時点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出し、単位期間ごとの中間部品の生産可能数を算出し、算出された中間部品の生産可能数を製品の生産に利用可能な材料数として用いて、その製品の生産可能数を算出することを特徴とする。
【0011】
本発明による生産余力回答システムは、対象とする製品の生産可能数を算出して回答する生産余力算出装置に対して、その生産可能数の問い合わせを行う端末を備え、生産余力算出装置が、対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および単位期間ごとに利用可能になる材料数、並びに、対象とする製品の生産に用いられる材料である中間部品の各生産工程に対する単位期間ごとの工程能力、および単位期間ごとに利用可能なその中間部品の材料数の入力を受け付ける入力手段と、過去の所定の時点から時系列に材料数を単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち、直前の単位期間までの累積生産可能数を材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出する算出手段とを含み、算出手段が、工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定し、生産可能数を過去の所定の時点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出し、単位期間ごとの中間部品の生産可能数を算出し、算出された中間部品の生産可能数を製品の生産に利用可能な材料数として用いて、その製品の生産可能数を算出することを特徴とする。
【0012】
本発明による生産余力算出方法は、対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および単位期間ごとに利用可能になる材料数、並びに、対象とする製品の生産に用いられる材料である中間部品の各生産工程に対する単位期間ごとの工程能力、および単位期間ごとに利用可能なその中間部品の材料数の入力を受け付け、過去の所定の時点から時系列に材料数を単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち、直前の単位期間までの累積生産可能数を材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出し、工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定し、生産可能数を過去の所定の時点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出し、単位期間ごとの中間部品の生産可能数を算出し、算出された中間部品の生産可能数を製品の生産に利用可能な材料数として用いて、その製品の生産可能数を算出することを特徴とする。
【0013】
本発明による生産余力回答方法は、端末が、対象とする製品の生産可能数を算出して回答する生産余力算出装置に対して、その生産可能数の問い合わせを行い、生産余力算出装置が、対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および単位期間ごとに利用可能になる材料数、並びに、対象とする製品の生産に用いられる材料である中間部品の各生産工程に対する単位期間ごとの工程能力、および単位期間ごとに利用可能なその中間部品の材料数の入力を受け付け、生産余力算出装置が、過去の所定の時点から時系列に材料数を単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち、直前の単位期間までの累積生産可能数を材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出し、生産余力算出装置が、工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定し、生産可能数を過去の所定の時点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出し、単位期間ごとの中間部品の生産可能数を算出し、算出された中間部品の生産可能数を製品の生産に利用可能な材料数として用いて、その製品の生産可能数を算出することを特徴とする。
【0014】
本発明による生産余力算出プログラムは、コンピュータに、対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および単位期間ごとに利用可能になる材料数、並びに、対象とする製品の生産に用いられる材料である中間部品の各生産工程に対する単位期間ごとの工程能力、および単位期間ごとに利用可能なその中間部品の材料数の入力を受け付ける入力処理、および、過去の所定の時点から時系列に材料数を単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち直前の単位期間までの累積生産可能数を材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出する算出処理を実行させ、算出処理で、工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定させ、生産可能数を過去の所定の時点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出させ、単位期間ごとの中間部品の生産可能数を算出させ、算出された中間部品の生産可能数を製品の生産に利用可能な材料数として用いて、その製品の生産可能数を算出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、製品の生産に要する工程および材料を考慮した生産余力を算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による生産余力回答システムの一実施形態の構成例を示すブロック図である。
図2】工程表および部品表の例を示す説明図である。
図3】累積生産可能数を算出する処理の例を示す説明図である。
図4】累積生産可能数を算出する処理の他の例を示す説明図である。
図5図4に例示する処理の結果を示す説明図である。
図6】工程表および部品表の例を示す説明図である。
図7】算出部の第一の動作例を示す説明図である。
図8】算出部の第二の動作例を示す説明図である。
図9】算出部の第三の動作例を示す説明図である。
図10】生産余力回答システムの動作例を示すフローチャートである。
図11】生産余力回答システムの変形例を示すブロック図である。
図12】生産余力回答システムの変形例の動作例を示すフローチャートである。
図13】本発明による生産余力算出装置の概要を示すブロック図である。
図14】本発明による生産余力回答システムの概要を示すブロック図である。
図15】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上述するように、製造業の計画生産方式として、必要な生産能力を算出する方式であるMRPが知られている。MRPは、需要予測などに基づく製品の生産計画を立案した後、製品を作るために必要な資源(人員、部品を含む)を計算する。そして、この需要予測等を元にサプライヤに、いわゆる内示として要求量を伝える。
【0018】
一方、本願発明では、サプライヤの生産余力を算出して、提供可能な残り枠(以下、生産可能数と記すこともある。)を開示する。具体的には、本願発明では、余剰部品や人員などから、製品をいくつ作れるのか(すなわち、生産余力)を算出する。計画生産の場合、一般的には、不足の事態に備えて余分に資源あらかじめ確保する。一方、本願発明では、この余剰資源から生産余力を算出する際に、BOM(Bills of materials)/BOP(Bill of process )をMRPの場合と逆向きにたどって生産可能数を算出する。そのため、本願発明の方式を、逆MRPと呼ぶことができる。
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明による生産余力回答システムの一実施形態の構成例を示すブロック図である。本実施形態の生産余力回答システム100は、端末10と、生産余力算出装置20とを備えている。
【0021】
端末10は、生産余力算出装置20に対して、提供可能な製品の残り枠(すなわち、生産可能数)の問い合わせを行う装置である。端末10は、例えば、製品および期日を指定して生産可能数の問い合わせを行ってもよい。また、生産可能数は、対象とする製品の指定した期日における生産可能数と言うこともできる。なお、端末10は、プログラムに従って動作するコンピュータのプロセッサを用いて、生産余力算出装置20に対する問い合わせを実現する。
【0022】
生産余力算出装置20は、受信部22と、入力部24と、記憶部26と、算出部28と、出力部30とを含む。
【0023】
受信部22は、他の装置から生産可能数の問い合わせを受信する。具体的には、受信部22は、製品を指定した生産可能数の問い合わせを受信する。なお、受信部22は、期日を指定した生産可能数の問い合わせを受信してもよい。
【0024】
入力部24は、対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および利用可能な材料数の入力を受け付ける。具体的には、入力部24は、対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力と、単位期間ごとに利用可能な材料数の入力を受け付ける。単位期間は、例えば、日単位、週単位、月単位、半日単位等、予め定められる。以下では、説明を簡略化するため、単位期間を日単位として説明する。ただし、単位期間は、日単位に限定されない。
【0025】
本実施形態における工程とは、いわゆる組み立て工程や塗装工程など、具体的な作業を表わす。また、工程能力とは、ある工程において単位期間あたり生産可能な製品の最大数を表わす。なお、工程能力は、生産可能数の算出時点で生産可能な製品の上限数であり、他の生産計画等に応じて時々刻々と変化する数である。
【0026】
また、利用可能な材料数とは、対象とする製品の生産に用いられる材料のうち、生産可能数の算出時点で利用可能な材料数である。利用可能な材料数は、他の生産計画等に応じて時々刻々と変化する数である。
【0027】
本実施形態では、各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および利用可能な材料数は、予め特定されており、例えば、記憶部26等に記憶されているものとする。
【0028】
記憶部26は、対象とする製品の生産に用いられる工程表および部品表を記憶する。具体的には、記憶部26は、製品を組み立てる際の部品ごとのプロセスフローを表わす工程表、および、製品を組み立てる際の部品の一覧(階層構造含む)を表わす部品表を記憶する。記憶部26は、例えば、一般的に知られたBOM/BOPを記憶していてもよい。
【0029】
図2は、工程表および部品表の例を示す説明図である。図2に示す例では、例えば、最終製品iを生産するために、工程p1および工程p2が必要であり、それぞれ材料m11~m22が用いられることを示す。さらに、材料m11を生産するためには、工程m11_p1および工程m11_p2が必要であり、それぞれ材料m11_m11~m11_m22が用いられることを示す。
【0030】
本実施形態では、図2に例示する工程表および部品表を想定する。ただし、工程表および部品表の内容は、図2に例示する内容に限定されない。例えば、図2に例示する内容とは異なる工程表および部品表が用いられる場合、例えば、生産余力算出装置20が、この工程表および部品表に変換する変換部(図示せず)を備えていてもよい。この場合、変換部が、対象とする工程表および部品表を図2に例示するような工程表および部品表へ変換すればよい。
【0031】
また、工程表には、各工程の作業期間(例えば、1日以上、3日以内、など)が含まれていてもよい。
【0032】
算出部28は、各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および利用可能な材料数に基づいて、問い合わせ時点において提供可能な製品の残り枠(生産可能数)を算出する。以下、生産可能数の算出方法について詳述する。
【0033】
まず、算出部28は、過去の所定の時点(以下、起算点と記すこともある。)から時系列に利用可能な材料数を単位期間ごとに累積して材料累積値を算出する。例えば、単位期間が日単位の場合、算出部28は、起算点から日付ごとに、日付に沿って過去から順に利用可能な材料数を加算して、材料累積値を算出する。
【0034】
次に、算出部28は、起算点から各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数を算出する。なお、ここでは、算出部28は、生産可能数を直前の単位期間まで累積した累積生産可能数を算出する。なお、ここでの生産可能数とは、工程能力とは異なり、材料を考慮して実際に生産できる製品の数である。すなわち、生産可能数は、工程能力により生産可能な製品数と、その時点で残っている材料数(以下、材料の利用可能数と記す。)から生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数に対応する。算出部28は、材料累積値から累積生産可能数を引くことにより、材料の利用可能数を算出する。
【0035】
そして、算出部28は、起算点から時系列に生産可能数を累積して累積生産可能数を算出する。
【0036】
出力部30は、算出された生産可能数を出力する。出力部30は、端末10に対して算出結果を出力してもよい。
【0037】
以下、利用可能な材料数と、生産可能数と、累積生産可能数との関係について詳述する。図3は、累積生産可能数を算出する処理の例を示す説明図である。図3では、工程を行う前までに材料が入荷され、かつ、工程が単位期間をまたがない(日程の幅が存在しない)場合を例示している。なお、図3に例示する利用可能数は、上述する利用可能な材料数(すなわち、材料の利用可能数)に対応する。また、図3に例示するグラフE11~E16の横軸は材料または製品の累積数を示し、縦軸が時間を示す。また、グラフE11からE16までの順に、時間が経過するものとする。
【0038】
まず、一日目において、算出部28は、一日目に入荷された材料の利用可能数を材料累積値に加算する(グラフE11)。次に、算出部28は、工程能力を加味して当日の生産可能数を決定する。グラフE12に示す例では、利用可能数よりも工程能力の方が低いことを示す。これにより、一日目終了時点で、利用可能数よりも少ない生産可能数が決定され、使用しなかった材料が終了時残数になる(グラフE13)。なお、算出部28は、一日目の生産可能数を累積生産可能数に加算する。
【0039】
次に、二日目において、算出部28は、二日目に入荷された材料の数を材料累積値に加算して、さらに前日の終了時残数に加えて二日目の利用可能数とする(グラフE14)。次に、算出部28は、工程能力を加味して当日の生産可能数を決定する(グラフE15)。グラフE15に示す例でも、利用可能数よりも工程能力の方が低いことを示す。これにより、二日目終了時点で、利用可能数よりも少ない生産可能数が決定され、使用しなかった材料が終了時残数になる(グラフE16)。なお、算出部28は、二日目の生産可能数も累積生産可能数に加算する。
【0040】
図4は、累積生産可能数を算出する処理の他の例を示す説明図である。図4では、工程を行う前までに材料が入荷され、日程が単位期間をまたがず、かつ、翌日の業務終了後に材料が廃棄される場合を例示している。なお、本実施形態では、使用可能期間を経過した材料が廃棄されるものとする。
【0041】
図4に例示する利用可能数も、上述する利用可能な材料数に対応し、二日目までの推移は、図3に例示するグラフE11~E15と同様であるとする。また、図4に例示するグラフE21~E27の横軸も材料または製品の累積数を示し、縦軸が時間を示す。また、グラフE21からE27までの順に、時間が経過するものとする。
【0042】
算出部28は、使用可能期間を経過した材料数を使用期限切れ数として算出し、算出された使用期限切れ数を利用可能数から減じる処理を行う。具体的には、算出部28は、当日の生産可能数と累積生産可能数との和から材料の当日使用期限切れ数を引いて、その日に廃棄する材料の数を決定する。ここで、二日目の終了時点において、材料の当日使用期限切れ数は、一日目の利用可能数と一致する。そして、当日の生産可能数+累積生産可能数<当日使用期限切れ数のため、廃棄(一回目廃棄)が発生する(グラフE21)。ここで廃棄された材料は、翌日以降の利用可能数に含まれないように、減じる処理が行われることになる。
【0043】
次に、三日目において、算出部28は、三日目に入荷された材料の数を材料累積値に加算し、また前日の終了時残数に加算して利用可能数とする(グラフE22)。次に、算出部28は、工程能力を加味して当日の生産可能数を決定する(グラフE23)。グラフE23に示す例では、利用可能数よりも工程能力の方が低く、かつ、二日目に入荷した材料が使い切れなかったことを示す。
【0044】
算出部28は、当日の生産可能数と累積生産可能数と累積廃棄数との和から累積使用期限切れ数と当日使用期限切れ数を引いて、その日に廃棄する材料の数を決定する。なお、累積使用期限切れ数は、起算点から時系列に使用期限切れ数を累積した値である。ここでは、当日生産可能数+累積生産可能数+累積廃棄数<累積使用期限切れ数+当日使用期限切れ数になるため、廃棄(二回目廃棄)が発生する(グラフE24)。また、算出部28は、三日目の生産可能数を累積生産可能数に、三日目の廃棄数を累積廃棄数に、三日目の使用期限切れ数を累積使用期限切れ数にそれぞれ加算する。
【0045】
次に、四日目において、算出部28は、四日目に入荷された材料の数を材料累積値に加算し、また前日の終了時残数に加算して利用可能数とする(グラフE25)。次に、算出部28は、工程能力を加味して当日の生産可能数を決定する(グラフE26)。グラフE26に示す例では、利用可能数よりも工程能力の方が低いが、二日目までに入荷した材料は使い切ったことを示す。ここでは、当日生産可能数+累積生産可能数+累積廃棄数>累積使用期限切れ数+当日使用期限切れ数になるため、廃棄は発生しない(グラフE27)。また、算出部28は、四日目の生産可能数を累積生産可能数に、四日目の使用期限切れ数を累積使用期限切れ数にそれぞれ加算する。
【0046】
図5は、図4に例示する処理の結果を示す説明図である。図5に例示するように、工程能力および利用可能数に基づいて生産可能数が計算され、計算された生産可能数が累積的に加算される。また、廃棄分は、以降の利用可能数には加算されなくなる。
【0047】
次に、具体的な数値例を挙げて、本実施形態の算出部28の動作を説明する。図6は、以下の動作例で用いる工程表および部品表の例を示す説明図である。図6に例示する工程表および部品表は、材料m1を用いて工程p1で中間品Y(=材料m2)が生産され、材料m2を用いて工程p2で製品Xが生産されるものとする。また、工程p1は、工程p2よりも先行する工程であり、工程p2は、工程p1の後続の工程である。
【0048】
図7は、第一の動作例を示す説明図である。第一の動作例は、工程間の制約がない場合の例である。各表における工程能力(当日分)は、中間品または製品の工程能力を示し、マテリアル材料数(当日分)または中間品材料数(当日分)は、その日に利用可能になる材料数を示す。また、(マテリアル)累積材料数は、材料累積値を示し、利用可能数は、残り数を示す。
【0049】
なお、以下の説明では、1つの中間品または製品の生産に、材料が1つ用いられる場合を例示する。各中間品または製品の生産に複数の材料が用いられる場合、用いられる材料の数に応じて材料の数を変化させればよい。表T11は、中間品Yの組立の推移例を示し、表T12は、製品Xの組立の推移例を示す。
【0050】
例えば、先行工程である中間品Yの組立において、10月1日の中間品Yの工程能力は20であるとし、当日入荷される利用可能な材料数は10であるとする。また、材料累積値は、10月1日分の10であり、残り数は(前日分までの使用がないものと仮定して)10である。この場合、10月1日において、利用可能数が工程能力よりも小さいため、生産可能数は10になる。その結果、10月1日における累積生産可能数は、10月1日分の生産可能数と同じ10になる。
【0051】
次に、先行工程である中間品Yの組立において、10月2日の中間品Yの工程能力は20であるとし、当日入荷される利用可能な材料数は10であるとする。また、材料累積値は、10月1日分の材料数10と10月2日分の材料数10とを加算した20であり、残り数は、前日までに材料数10を使用しているため、10である。この場合、10月2日において、利用可能数が工程能力よりも小さいため、生産可能数は10になる。その結果、10月2日における累積生産可能数は、10月1日分の生産可能数10と10月2日分の生産可能数10を加算した20になる。
【0052】
さらに、先行工程である中間品Yの組立において、10月3日の中間品Yの工程能力は25であるとし、当日入荷される利用可能な材料数は100であるとする。また、材料累積値は、10月1日から10月3日までの材料数を累積した120であり、残り数は、前日までに材料数20を使用しているため、100である。この場合、10月3日において、利用可能数が工程能力よりも大きいため、生産可能数は25になる。その結果、10月3日における累積生産可能数は、10月1日から10月3日までの生産可能数を累積した45になる。10月4日についても同様である。
【0053】
一方、後続工程である製品Xの組立において、10月1日の製品Xの工程能力は7であるとし、上述の例から当日生産される中間品Yの数は10である。また、材料累積値は、10月1日分の10であり、残り数は(前日分までの使用がないものと仮定して)10である。この場合、10月1日において、利用可能数が工程能力よりも大きいため、生産可能数は7になる。その結果、10月1日における累積生産可能数は、10月1日分の生産可能数と同じ7になる。
【0054】
次に、後続工程である製品Xの組立において、10月2日の製品Xの工程能力は8であるとし、上述の例から当日生産される中間品Yの数は10である。また、材料累積値は、10月1日分の材料数10と10月2日分の材料数10とを加算した20であり、残り数は、前日までに材料数7を使用しているため、13である。この場合、10月2日において、利用可能数が工程能力よりも大きいため、生産可能数は8になる。その結果、10月2日における累積生産可能数は、10月1日分の生産可能数7と10月2日分の生産可能数8を加算した15になる。
【0055】
さらに、後続工程である製品Xの組立において、10月3日の製品Xの工程能力は30であるとし、上述の例から当日生産される中間品Yの数は25である。また、材料累積値は、10月1日から10月3日までの材料数を累積した45であり、残り数は、前日までに材料数15を使用しているため、30である。この場合、10月3日において、利用可能数が工程能力よりも大きいため、生産可能数は30になる。その結果、10月3日における累積生産可能数は、10月1日から10月3日までの生産可能数を累積した45になる。10月4日についても同様である。
【0056】
次に、第二の動作例について説明する。図8は、第二の動作例を示す説明図である。第二の動作例は、部品(中間品Y)を一日保持する場合の例である。
【0057】
中間品Yの製造工程は、図7に例示する第一の動作例と同様であるとする。また、表T41は、本具体例の製品Xの組立の推移例を示す。表T41において、使用期限内材料数は、使用可能期間(より具体的には、当日と前日)のマテリアル(中間品Y)の和である。また、当日使用期限切れ数は、前日に入荷された利用可能な材料数を示し、累積使用期限切れ数は、10月1日から当日までの当日使用期限切れの累積値である。
【0058】
さらに、利用可能数は、前日終了時の材料の終了時残数と、当日に入荷された利用可能な材料数の和を示す。また、当日廃棄数は、累積使用期限切れ数-累積生産可能数-前日の累積廃棄数で算出される値である。なお、算出された当日廃棄数が0以下の場合、廃棄は発生しないため、当日廃棄数は0になる。終了時残数は、利用可能数-生産可能数-当日廃棄数で算出される値である。
【0059】
後続工程である製品Xの組立において、10月1日の製品Xの工程能力は3であるとし、上述の例から当日生産される中間品Yの数は10である。また、材料累積値は、10月1日分の10であり、利用可能数は10であり、使用期限内材料数も10になる。なお、作成済みの中間品Yは存在しないため、当日使用期限切れ数(当日廃棄数)および累積使用期限切れ数(累積廃棄数)は0である。この場合、10月1日において、利用可能数が工程能力よりも大きいため、生産可能数は3になる。その結果、10月1日における累積生産可能数は、10月1日分の生産可能数と同じ3になる。そして、10月1日の終了時残数は、利用可能数10から生産可能数3を引いた7である。
【0060】
次に、10月2日の製品Xの工程能力は5であるとし、上述の例から当日生産される中間品Yの数は10である。材料累積値は、10月1日分の材料数10と10月2日分の材料数10とを加算した20であり、使用期限内材料数も20になる。また、利用可能数は、前日の終了時残数7と当日の材料数10を加算した17である。また、当日使用期限切れ数は、10月1日に入荷した材料数の10であり、累積使用期限切れ数も10になる。
【0061】
この場合、10月2日において、利用可能数が工程能力よりも大きいため、生産可能数は5になる。その結果、10月2日における累積生産可能数は、10月1日分の生産可能数3と10月2日分の生産可能数5を加算した8になる。ここで、10月1日の材料が2つ使い切れなかったため(すなわち、累積使用期限切れ数10-累積生産可能数8-前日の累積廃棄数0=2)、当日廃棄数が2になる。その結果、累積廃棄数も2になる。そして、10月2日の終了時残数は、利用可能数17から生産可能数5と当日廃棄数2を引いた10である。
【0062】
次に、10月3日の製品Xの工程能力は37であるとし、上述の例から当日生産される中間品Yの数は25である。材料累積値は、10月1日から10月3日までの材料数を累積した45であり、使用期限内材料数は35になる。また、利用可能数は、前日の終了時残数10と当日の材料数25を加算した35である。また、当日使用期限切れ数は、10月2日に入荷した材料数の10であり、累積使用期限切れ数は、20になる。
【0063】
この場合、10月3日において、利用可能数が工程能力よりも小さいため、生産可能数は35になる。その結果、10月3日における累積生産可能数は、10月1日から10月3日までの生産可能数を累積した43になる。ここで、材料は全て使い切ったため(すなわち、累積使用期限切れ数20-累積生産可能数43-前日の累積廃棄数10<0)、当日廃棄数は0になる。その結果、累積廃棄数は2のままである。そして、10月3日の終了時残数は、利用可能数35から生産可能数35と当日廃棄数0を引いた0になる。10月4日についても同様に算出できる。
【0064】
次に、第三の動作例について説明する。図9は、第三の動作例を示す説明図である。第三の動作例は、部品(中間品Y)を二日保持する場合の例である。中間品Yの製造工程は、図7に例示する第一の動作例と同様であるとする。また、表T51は、本具体例の製品Xの組立の推移例を示す。第二の具体例と比較し、廃棄までに二日の猶予がある。そのため、表T51の10月2日の当日廃棄数が0である結果、10月3日の生産により、廃棄が生じなくなったことを示す。
【0065】
以上、第一の動作例から第三の動作例に基づいて、本実施形態の算出部28の動作を説明した。なお、第一の動作例から第三の動作例のいずれも、中間品Yの生産工程が1つである場合を例示した。ただし、図2に例示するように、製品(例えば、製品i)の生産工程が複数(例えば、工程p1及び工程p2)存在していてもよい。また、複数の工程が同一の単位期間内で行われてもよく、複数の単位期間にまたがって行われてもよい。
【0066】
受信部22と、入力部24と、算出部28と、出力部30とは、プログラム(生産余力算出プログラム)に従って動作するコンピュータのプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit ))によって実現される。
【0067】
例えば、プログラムは、記憶部26に記憶され、プロセッサは、そのプログラムを読み込み、プログラムに従って、受信部22、入力部24、算出部28および出力部30として動作してもよい。また、生産余力算出装置20の機能がSaaS(Software as a Service )形式で提供されてもよい。
【0068】
また、受信部22と、入力部24と、算出部28と、出力部30とは、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry )、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。
【0069】
また、生産余力算出装置20の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0070】
次に、本実施形態の生産余力回答システムの動作を説明する。図10は、本実施形態の生産余力回答システム100の動作例を示すフローチャートである。端末10は、生産余力算出装置20に対して、生産可能数の問い合わせを行い(ステップS11)、生産余力算出装置20の受信部22は、端末10から生産可能数の問い合わせを受信する(ステップS12)。
【0071】
入力部24は、対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および利用可能な材料数の入力を受け付ける(ステップS13)。算出部28は、利用可能な生産工程および利用可能な材料数に基づいて、問い合わせ時点において提供可能な製品の生産可能数を算出する(ステップS14)。そして、出力部15は、算出された生産可能数を端末10に対して出力する(ステップS15)。
【0072】
なお、図10では、端末10からの問い合わせに対して生産可能数を算出する方法を例示した。ただし、生産余力算出装置20は、端末10からの問い合わせを受ける前に、事前に生産可能数を算出していてもよい。そのような構成により、事前に生産可能数を開示することが可能になる。
【0073】
以上のように、本実施形態では、入力部24が、対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および単位期間ごとに利用可能になる材料数の入力を受け付ける。そして、算出部28が、起算点から材料数を単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、直前の単位期間までの累積生産可能数を材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出する。さらに、算出部28が、工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定し、生産可能数を起算点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出する。よって、生産に要する工程および材料を考慮した生産余力を算出できる。
【0074】
また、本実施形態の生産余力算出装置により製造業者に応じた生産余力を算出して、サプライヤ側が回答できるようにすることで、OEM(Original Equipment Manufacturing)の仕組みを構築することも可能になる。
【0075】
次に、本実施形態の生産余力回答システムの変形例を説明する。上記実施形態では、利用可能な材料数が、記憶部26に記憶されている場合を例示した。本具体例では、製品の中間品の生産余力を算出して、算出された生産余力を最終製品の部品数として扱う場合について説明する。
【0076】
図11は、本実施形態の生産余力回答システムの変形例を示すブロック図である。本変形例の生産余力回答システム100aは、端末10と、生産余力算出装置20aとを備えている。端末10の内容は、上記実施形態と同様である。
【0077】
生産余力算出装置20aは、受信部22と、入力部24aと、記憶部26と、算出部28aと、出力部30aとを含む。受信部22および記憶部26の内容は、上記実施形態と同様である。
【0078】
入力部24aは、上記実施形態と同様、対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および利用可能な材料数の入力を受け付ける。さらに、本実施形態では、対象とする製品の生産に用いられる材料(以下、中間部品と記す。)の生産余力を算出できるか否か判定する。そして、中間部品の生産余力を算出できる場合、入力部24aは、中間部品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および利用可能な材料数の入力を受け付ける。
【0079】
算出部28aは、上記実施形態と同様、利用可能な工程能力および利用可能な材料数に基づいて、問い合わせ時点において提供可能な製品および中間部品の生産可能数を算出する。そして、出力部30aは、算出された製品または中間部品の生産可能数を出力する。具体的には、算出部28aは、初めに、中間部品の生産可能数を算出する。そして、出力部30aは、入力部24aに対して、算出した生産可能数を製品の生産に利用可能な中間部品mの材料数として出力する。算出部28aは、入力部24aが受け付けた中間部品の材料数に基づいて、製品の生産可能数を算出する。なお、中間部品が複数存在する場合、上述する処理が繰り返されればよい。
【0080】
なお、受信部22、入力部24a、算出部28aおよび出力部30aも、プログラム(生産余力算出プログラム)に従って動作するコンピュータのプロセッサによって実現される。
【0081】
次に、本変形例の生産余力回答システムの動作を説明する。図12は、本変形例の生産余力回答システム100aの動作例を示すフローチャートである。図12に示す動作例は、生産余力算出装置20aが、製品の中間部品の生産余力を算出できるものとする。なお、端末10から生産可能数の問い合わせを受信するまでの処理は、図10に例示するステップS11からステップS12までの処理と同様である。
【0082】
入力部24aは、中間部品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および利用可能な中間部品の材料数の入力を受け付ける(ステップS21)。そして、算出部28aは、生産工程および利用可能な材料数に基づいて、中間部品の生産可能数を算出する(ステップS22)。そして、出力部30aは、入力部24aに対して、算出した生産可能数を生産に利用可能な中間部品の材料数として出力する(ステップS23)。
【0083】
入力部24aは、入力された中間部品を材料として使用する中間部品がさらに存在するか否か判定する(ステップS24)。材料として使用する中間部品がさらに存在する場合(ステップS24におけるYes)、ステップS21以降の処理が繰り返される。一方、材料として使用する中間部品が存在しない場合(ステップS24におけるNo)、問い合わせを受けた製品の生産可能数を算出して端末10に出力する(ステップS25)。
【0084】
以上のように、本変形例では、入力部24aが、中間部品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および単位期間ごとに利用可能な中間部品の材料数の入力を受け付ける。そして、算出部28aが、単位期間ごとの中間部品の累積生産可能数を算出し、算出された累積生産可能数を製品の生産に利用可能な材料数として用いて製品の累積生産可能数を算出する。よって、上記実施形態の効果に加え、異なる材料を使用する複数の工程が必要とされる製品についても、生産余力(生産可能数)を算出できる。
【0085】
次に、本発明の概要を説明する。図13は、本発明による生産余力算出装置の概要を示すブロック図である。本発明による生産余力算出装置80(例えば、生産余力算出装置20)は、対象とする製品の各生産工程に対する単位期間(例えば、日、週、月、半日等)ごとに利用可能になる工程能力および単位期間ごとに利用可能になる材料数(例えば、他の生産を考慮した場合の材料残数)の入力を受け付ける入力手段81(例えば、入力部24)と、過去の所定の時点(例えば、起算点)から時系列に材料数を単位期間ごとに累積して材料累積値(例えば、マテリアル累積)を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち、直前の単位期間(例えば、前日)までの累積生産可能数を材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出する算出手段82(例えば、算出部28)とを備えている。
【0086】
そして、算出手段82は、工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定し、生産可能数を過去の所定の時点(例えば、起算点)から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出する。
【0087】
そのような構成により、製品の生産に要する工程および材料を考慮した生産余力を算出できる。
【0088】
また、算出手段82は、使用可能期間を経過した材料数を元に廃棄数を算出し、算出された廃棄数に基づいて材料の残数を算出してもよい。そのような構成により、廃棄分を利用可能な材料の残数から除外できるため、より適切に生産余力を算出できる。
【0089】
具体的には、算出手段82は、各単位期間の直前(例えば、前日)における材料の残数(例えば、終了時残数)と、対象とする単位期間に利用可能になる材料数とを加算して、その単位期間に利用可能な材料数である利用可能数を算出し、工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と、算出された利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定してもよい。
【0090】
そのような構成により、生産途中で廃棄が発生する場合があっても、直前までに残っている材料の残数と対象とする単位期間に利用可能になる材料数から、その単位期間の生産可能数を決定することが可能になる。
【0091】
より具体的には、算出手段82は、対象とする単位期間において使用可能期間を経過した材料の数である使用期限切れ数を単位期間ごとに累積した累積使用期限切れ数、および、実際に廃棄した廃棄数(例えば、当日廃棄数)を単位期間ごとに累積した累積廃棄数を算出し、前記使用期限切れ数から累積生産可能数および直前の単位期間までの前記累積廃棄数を減じた値と零のうち大きい方の数を、対象とする単位期間の廃棄数として算出してもよい。
【0092】
また、算出手段82は、各単位期間における材料の残数を、利用可能数から生産可能数および廃棄数を減じることで算出してもよい。
【0093】
また、入力手段81(例えば、入力部24a)は、対象とする製品の生産に用いられる材料である中間部品(例えば、中間品Y)の各生産工程に対する単位期間ごとの工程能力、および単位期間ごとに利用可能な中間部品の材料数の入力を受け付けてもよい。そして、算出手段82(例えば、算出部28a)は、単位期間ごとの中間部品の生産可能数を算出し、算出された生産可能数を製品の生産に利用可能な材料数として用いて、その製品の生産可能数を算出してもよい。
【0094】
そのような構成により、中間品の生産余力を考慮して、製品の生産余力を算出できる。
【0095】
また、算出手段82は、生産される中間部品の使用可能期間(例えば、3日経過後、など)に応じて、対象とする製品の単位期間ごとの生産可能数を算出してもよい。そのような構成により、例えば、中間部品の生産から所定期日経過しないと後続工程に進めないような製品の生産においても、生産余力を適切に算出できる。
【0096】
図14は、本発明による生産余力回答システムの概要を示すブロック図である。本発明による生産余力回答システム90(例えば、生産余力回答システム100)は、対象とする製品の生産可能数を算出する生産余力算出装置(例えば、生産余力算出装置20)に対して、その生産可能数の問い合わせを行う端末91(例えば、端末10)を備えている。
【0097】
なお、生産余力算出装置の構成は、図13に例示する生産余力算出装置80の構成と同様である。
【0098】
そのような構成によっても、製品の生産に要する工程および材料を考慮した生産余力を算出できる。
【0099】
図15は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ1000は、プロセッサ1001、主記憶装置1002、補助記憶装置1003、インタフェース1004を備える。
【0100】
上述の生産余力算出装置80は、コンピュータ1000に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラム(生産余力算出プログラム)の形式で補助記憶装置1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムを補助記憶装置1003から読み出して主記憶装置1002に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0101】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置1003は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース1004を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read-only memory )、DVD-ROM(Read-only memory)、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1000に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1000が当該プログラムを主記憶装置1002に展開し、上記処理を実行してもよい。
【0102】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置1003に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0103】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0104】
(付記1)対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および前記単位期間ごとに利用可能になる材料数の入力を受け付ける入力手段と、
過去の所定の時点から時系列に前記材料数を前記単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち、直前の単位期間までの累積生産可能数を前記材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出する算出手段とを備え、
前記算出手段は、前記工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と前記材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定し、前記生産可能数を過去の所定の時点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出する
ことを特徴とする生産余力算出装置。
【0105】
(付記2)算出手段は、使用可能期間を経過した材料数を廃棄数として算出し、算出された廃棄数に基づいて材料の残数を算出する
付記1記載の生産余力算出装置。
【0106】
(付記3)算出手段は、各単位期間の直前における材料の残数と、対象とする単位期間に利用可能になる材料数とを加算して、当該単位期間に利用可能な材料数である利用可能数を算出し、工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と、算出された前記利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定する
付記2記載の生産余力算出装置。
【0107】
(付記4)算出手段は、対象とする単位期間において使用可能期間を経過した材料の数である使用期限切れ数を単位期間ごとに累積した累積使用期限切れ数、および、実際に廃棄した廃棄数を単位期間ごとに累積した累積廃棄数を算出し、前記使用期限切れ数から累積生産可能数および直前の単位期間までの前記累積廃棄数を減じた値と零のうち大きい方の数を、対象とする単位期間の廃棄数として算出する
付記3記載の生産余力算出装置。
【0108】
(付記5)算出手段は、各単位期間における材料の残数を、利用可能数から生産可能数および廃棄数を減じることで算出する
付記3または付記4記載の生産余力算出装置。
【0109】
(付記6)入力手段は、対象とする製品の生産に用いられる材料である中間部品の各生産工程に対する単位期間ごとの工程能力、および単位期間ごとに利用可能な当該中間部品の材料数の入力を受け付け、
算出手段は、単位期間ごとの前記中間部品の生産可能数を算出し、算出された生産可能数を製品の生産に利用可能な材料数として用いて、当該製品の生産可能数を算出する
付記1から付記5のうちのいずれか1つに記載の生産余力算出装置。
【0110】
(付記7)算出手段は、生産される中間部品の使用可能期間に応じて、対象とする製品の単位期間ごとの生産可能数を算出する
付記6記載の生産余力算出装置。
【0111】
(付記8)対象とする製品の生産可能数を算出して回答する生産余力算出装置に対して、当該生産可能数の問い合わせを行う端末を備え、
前記生産余力算出装置は、
対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および前記単位期間ごとに利用可能になる材料数の入力を受け付ける入力手段と、
過去の所定の時点から時系列に前記材料数を前記単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち、直前の単位期間までの累積生産可能数を前記材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出する算出手段とを含み、
前記算出手段は、前記工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と前記材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定し、前記生産可能数を過去の所定の時点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出する
ことを特徴とする生産余力回答システム。
【0112】
(付記9)対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および前記単位期間ごとに利用可能になる材料数の入力を受け付け、
過去の所定の時点から時系列に前記材料数を前記単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち、直前の単位期間までの累積生産可能数を前記材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出し、
前記工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と前記材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定し、前記生産可能数を過去の所定の時点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出する
ことを特徴とする生産余力算出方法。
【0113】
(付記10)使用可能期間を経過した材料数を元に廃棄数を算出し、算出された廃棄数に基づいて材料の残数を算出する
付記9記載の生産余力算出方法。
【0114】
(付記11)端末が、対象とする製品の生産可能数を算出して回答する生産余力算出装置に対して、当該生産可能数の問い合わせを行い、
前記生産余力算出装置が、対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および前記単位期間ごとに利用可能になる材料数の入力を受け付け、
前記生産余力算出装置が、過去の所定の時点から時系列に前記材料数を前記単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち、直前の単位期間までの累積生産可能数を前記材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出し、
前記生産余力算出装置が、前記工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と前記材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定し、前記生産可能数を過去の所定の時点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出する
ことを特徴とする生産余力回答方法。
【0115】
(付記12)コンピュータに、
対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および前記単位期間ごとに利用可能になる材料数の入力を受け付ける入力処理、および、
過去の所定の時点から時系列に前記材料数を前記単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち直前の単位期間までの累積生産可能数を前記材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出する算出処理を実行させ、
前記算出処理で、前記工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と前記材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定させ、前記生産可能数を過去の所定の時点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出させる
ための生産余力算出プログラムを記憶するプログラム記憶媒体。
【0116】
(付記13)コンピュータに、算出処理で、使用可能期間を経過した材料数を元に廃棄数を算出させ、算出された廃棄数に基づいて材料の残数を算出させる生産余力算出プログラムを記憶する
付記12記載のプログラム記憶媒体。
【0117】
(付記14)コンピュータに、
対象とする製品の各生産工程に対する単位期間ごとに利用可能になる工程能力および前記単位期間ごとに利用可能になる材料数の入力を受け付ける入力処理、および、
過去の所定の時点から時系列に前記材料数を前記単位期間ごとに累積して材料累積値を算出し、各単位期間における生産可能数を時系列に累積した値である累積生産可能数のうち直前の単位期間までの累積生産可能数を前記材料累積値から引いて、材料の利用可能数を算出する算出処理を実行させ、
前記算出処理で、前記工程能力に基づいて計算される生産可能な製品数と前記材料の利用可能数に基づいて計算される生産可能な製品数のうち、小さい方の製品数を生産可能数と決定させ、前記生産可能数を過去の所定の時点から時系列に累積して、単位期間ごとの累積生産可能数を算出させる
ための生産余力算出プログラム。
【0118】
(付記15)コンピュータに、算出処理で、使用可能期間を経過した材料数を廃棄数として算出させ、算出された廃棄数に基づいて材料の残数を算出させる
付記14記載の生産余力算出プログラム。
【0119】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0120】
10 端末
20 生産余力算出装置
22 受信部
24 入力部
26 記憶部
28 算出部
30 出力部
100 生産余力回答システム
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