(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】ライン位置推定装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 40/06 20120101AFI20240918BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20240918BHJP
【FI】
B60W40/06
G06T7/60 200J
(21)【出願番号】P 2022566570
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 JP2020045000
(87)【国際公開番号】W WO2022118422
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103090
【氏名又は名称】岩壁 冬樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124501
【氏名又は名称】塩川 誠人
(72)【発明者】
【氏名】サイ ブンセイ
(72)【発明者】
【氏名】三島 吉弘
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-175534(JP,A)
【文献】特開2009-169510(JP,A)
【文献】特開2011-186722(JP,A)
【文献】特開2017-016172(JP,A)
【文献】特開2019-139762(JP,A)
【文献】特開2020-075607(JP,A)
【文献】特開2020-086956(JP,A)
【文献】国際公開第2017/002650(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/163367(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/030271(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 40/06
G06T 7/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方を撮像した映像である車両前方映像から、道路領域を含む領域認識映像を生成する領域認識映像生成手段と、
生成された前記領域認識映像を俯瞰映像に変換した第一俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成手段と、
生成された第一俯瞰映像により特定される前記道路領域から、
車線が道路形状に応じて標示されることを示す規則、または、車線境界が並行に標示されることを示す規則に基づいて、路面に標示されたラインの位置を推定するライン位置推定手段とを備え
、
ことを特徴とするライン位置推定装置。
【請求項2】
車両の現在の状況に基づいて道路形状を取得する道路形状取得手段を備え、
ライン位置推定手段は、取得された道路形状および特定された道路領域からラインの位置を推定する
請求項1記載のライン位置推定装置。
【請求項3】
道路形状取得手段は、車両が存在する位置を取得し、取得された位置を地図情報から特定し、特定された位置に対応する地図情報から車線情報を含む道路形状を取得する
請求項2記載のライン位置推定装置。
【請求項4】
道路形状取得手段は、道路の形状に応じて操作される車両の駆動状態に基づいて道路形状を取得する
請求項2または請求項3記載のライン位置推定装置。
【請求項5】
道路形状取得手段は、車両のハンドルを切ることで生じるステアリング軸の操舵角を取得し、取得した操舵角に応じて道路の形状を特定する
請求項4記載のライン位置推定装置。
【請求項6】
俯瞰映像生成手段は、車両前方映像を俯瞰映像に変換した第二俯瞰映像を生成し、
ライン位置推定手段は、生成された第二俯瞰映像からラインの位置を推定し、俯瞰映像ごとに予め定められたラインの尤もらしさを示す推定強度に基づいて、より尤もらしいと推定されたラインの位置の推定結果を選択する
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載のライン位置推定装置。
【請求項7】
推定されたラインの位置に基づいて、車両前方映像または第一俯瞰映像上に存在する車両の位置を特定する車両位置判定手段を備えた
請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載のライン位置推定装置。
【請求項8】
車両の前方を撮像した映像である車両前方映像から、道路領域を含む領域認識映像を生成し、
生成された前記領域認識映像を俯瞰映像に変換した第一俯瞰映像を生成し、
生成された第一俯瞰映像により特定される前記道路領域から、
車線が道路形状に応じて標示されることを示す規則、または、車線境界が並行に標示されることを示す規則に基づいて、路面に標示されたラインの位置を推定する
ことを特徴とするライン位置推定方法。
【請求項9】
車両の現在の状況に基づいて道路形状を取得し、
取得された道路形状および特定された道路領域からラインの位置を推定する
請求項8記載のライン位置推定方法。
【請求項10】
コンピュータに、
車両の前方を撮像した映像である車両前方映像から、道路領域を含む領域認識映像を生成する領域認識映像生成処理、
生成された前記領域認識映像を俯瞰映像に変換した第一俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成処理、および、
生成された第一俯瞰映像により特定される前記道路領域から、
車線が道路形状に応じて標示されることを示す規則、または、車線境界が並行に標示されることを示す規則に基づいて、路面に標示されたラインの位置を推定するライン位置推定処理
を実施させるためのライン位置推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面に標示されたラインの位置を推定するライン位置推定装置、ライン位置推定方法およびライン位置推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転などを実現するため、道路上の車両位置を適切に把握することが求められている。車両位置を適切に把握するためには、「中央線」や「車線境界線」、「路側帯」などを示すラインを適切に認識する必要がある。
【0003】
特許文献1には、車両の周囲の白線を認識する車載用制御装置が記載されている。特許文献1に記載された車載用制御装置は、車両前方および各側方の撮像範囲をカメラで撮像して俯瞰画像(トップビュー画像)を生成し、生成された俯瞰画像に基づいて車両周囲の駐車枠や走行車線の白線を認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、走行中の前方を撮像した映像では、遠方を撮像した画像が不鮮明になることが多いため、遠方のラインが不鮮明になってしまうという問題がある。また、前方を走行する車両が存在する場合、その車両によって前方のラインが隠れてしまうという問題もある。
【0006】
特許文献1に記載された方法を用いることで、車両周囲の白線を一定の精度で認識することは可能である。しかし、特許文献1に記載された方法では、上述するような遠方のラインを認識する際に生じる問題について考慮されていない。
【0007】
また、例えば、特許文献1に公知な内容として記載されている、俯瞰画像から白線を認識する手法では、俯瞰画像において横方向に探索したときの輝度変化が所定のしきい値以上であるエッジ点を抽出し、抽出したエッジ点に基づき白線を認識する。しかし、この方法では、認識対象とする白線がかすれてしまっている場合、認識精度が低下してしまうという問題もある。
【0008】
そこで、本発明は、路面に標示されたラインの位置を推定できるライン位置推定装置、ライン位置推定方法およびライン位置推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるライン位置推定装置は、車両の前方を撮像した映像である車両前方映像から、道路領域を含む領域認識映像を生成する領域認識映像生成手段と、生成された領域認識映像を俯瞰映像に変換した第一俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成手段と、生成された第一俯瞰映像により特定される道路領域から、車線が道路形状に応じて標示されることを示す規則、または、車線境界が並行に標示されることを示す規則に基づいて、路面に標示されたラインの位置を推定するライン位置推定手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によるライン位置推定方法は、車両の前方を撮像した映像である車両前方映像から、道路領域を含む領域認識映像を生成し、生成された領域認識映像を俯瞰映像に変換した第一俯瞰映像を生成し、生成された第一俯瞰映像により特定される道路領域から、車線が道路形状に応じて標示されることを示す規則、または、車線境界が並行に標示されることを示す規則に基づいて、路面に標示されたラインの位置を推定することを特徴とする。
【0011】
本発明による調整プログラムは、コンピュータに、車両の前方を撮像した映像である車両前方映像から、道路領域を含む領域認識映像を生成する領域認識映像生成処理、生成された領域認識映像を俯瞰映像に変換した第一俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成処理、および、生成された第一俯瞰映像により特定される道路領域から、車線が道路形状に応じて標示されることを示す規則、または、車線境界が並行に標示されることを示す規則に基づいて、路面に標示されたラインの位置を推定するライン位置推定処理を実施させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、路面に標示されたラインの位置を推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明によるライン位置推定装置の一実施形態の構成例を示すブロック図である。
【
図5】ライン位置推定装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明によるライン位置推定装置の概要を示すブロック図である。
【
図7】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。以下の説明におけるラインとは、「中央線」や「車線境界線」、「路側帯」など、路面上に標示された車両間の境界を示す各種の線のことを意味する。また、ラインには、白色の実線や破線、黄色の実線などが存在するが、以下の説明では、説明を簡易化するため、ラインのことを白線と記す。
【0015】
図1は、本発明によるライン位置推定装置の一実施形態の構成例を示すブロック図である。本実施形態のライン位置推定装置1は、撮像装置100と、領域認識映像生成部10と、俯瞰映像生成部20と、道路形状取得部30と、ライン位置推定部40と、車両位置判定部50と、出力部60と、表示装置200とを備えている。
【0016】
撮像装置100は、車両の前方の映像を撮像する装置であり、例えば車載カメラである。以下の説明では、車両の前方を撮像した映像のことを、車両前方映像と記す。撮像装置100は、車両の前方の映像を撮像できるよう予め設置される。撮像装置100は、車両が走行中の映像を撮像してもよく、車両が停止中の映像を撮像してもよい。
【0017】
表示装置200は、撮像装置100が撮像した映像を表示する装置である。また、表示装置200は、後述するライン位置推定部40によって推定されたラインの位置を表示してもよい。表示装置200は、例えば、ディスプレイ装置等により実現される。
【0018】
領域認識映像生成部10は、撮像装置100により撮像された車両前方映像から、映像中の各領域が示す意味が認識された映像(以下、領域認識映像と記す。)を生成する。特に、本実施形態では、領域認識映像生成部10は、車両前方映像から、道路と認識された領域(以下、道路領域と記す。)を含む領域認識映像を生成する。
【0019】
領域認識映像生成部10が領域認識映像を生成する方法は任意である。領域認識映像生成部10は、例えば、画像セグメンテーションにより、各画像領域の意味を識別することにより、領域認識映像を生成してもよい。また、撮像装置100が深度センサを備えている場合、車両前方映像における対象物までの距離を計測することが可能になるため、領域認識映像生成部10は、深度センサによる検知結果を用いて領域認識映像を生成してもよい。また、領域認識映像は、例えば、映像中の各ピクセル単位に意味がラベル付けされた映像であってもよい。
【0020】
図2は、領域認識映像の例を示す説明図である。
図2に例示する映像V1は、撮像装置100により撮像された車両前方映像の例である。例えば、領域認識映像生成部10は、映像V1から道路領域R1を含む領域認識映像V2を生成してもよい。なお、
図2に例示する領域認識映像V2は、白黒2値で表示されているが、領域認識映像生成部10は、例えば、意味に応じて領域が色分けされたヒートマップで領域認識映像V2を生成してもよい。
【0021】
俯瞰映像生成部20は、領域認識映像生成部10により生成された領域認識映像を俯瞰映像(鳥瞰映像、トップビュー映像と言うこともある。)に変換した映像(以下、第一俯瞰映像と記す。)を生成する。また、俯瞰映像生成部20は、撮像装置100により撮像された車両前方映像を俯瞰映像に変換した映像(以下、第二俯瞰映像と記す。)を生成してもよい。なお、映像を俯瞰映像に変換する方法は広く知られているため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0022】
図3は、俯瞰映像の例を示す説明図である。
図3に示す例では、俯瞰映像生成部20が、領域認識映像生成部10により生成された領域認識映像V2に基づいて第一俯瞰映像V3を生成し、
図2に例示する車両前方映像V1に基づいて第二俯瞰映像V4を生成したことを示す。なお、
図3に例示する第一俯瞰映像V3の網掛け領域R2は、
図2に例示する道路領域R1に対応する領域である。
【0023】
道路形状取得部30は、第一俯瞰映像から道路形状を判定する。具体的には、道路形状取得部30は、道路領域の境界の形状から道路形状を判定する。例えば、境界の形状が直線である場合、道路形状取得部30は、道路形状を直線であると判定してもよい。また、境界の形状が曲線である場合、道路形状取得部30は、道路形状がカーブしていると判定してもよい。
【0024】
例えば、
図3に示す例では、道路形状取得部30は、第一俯瞰映像V3から境界b1および境界b2を検出して、道路形状を判定してもよい。
【0025】
また、道路形状取得部30は、車両の現在の状況に基づいて道路形状を取得してもよい。また、車両の現在の状況とは、車両が現在存在する位置や、車両の駆動状態などが挙げられる。
【0026】
道路形状取得部30は、車両が現在存在する位置を、例えば、GPS(Global Positioning System )などにより取得してもよい。そして、道路形状取得部30は、予め準備された地図情報から取得した位置を特定し、特定された位置に対応する地図情報から車線情報(例えば、2車線、3車線等)を含む道路形状を取得してもよい。なお、ここでの地図情報には、道路の形状のほか、その道路の車線数を示す車線情報などが含まれていてもよい。
【0027】
さらに、道路形状取得部30は、地図情報から車線情報として、車線の形状(例えば、点線、長い線分、車線の色等)を取得してもよい。
【0028】
また、車両の駆動状態とは、道路の形状に応じて操作される車両の駆動状態であり、例えば、CAN(Controller Area Network )情報に基づいて特定される。例えば、形状がカーブしている道路の場合、道路形状取得部30は、車両のハンドルを切ることで生じるステアリング軸の操舵角を取得し、取得した操舵角に応じて道路の形状を特定してもよい。
【0029】
なお、後述するライン位置推定部40が、ラインの位置の推定に道路形状を利用しない場合、ライン位置推定装置1は、道路形状取得部30を備えていなくてもよい。
【0030】
ライン位置推定部40は、生成された第一俯瞰映像により特定される道路領域から、車線境界の原則に基づいて、路面に標示されたラインの位置を推定する。ここで、車線境界の原則とは、道路の態様(例えば、道路形状、路面状況など)に応じて標示される車線の普遍的な規則であり、ユーザ等により予め定義される。
【0031】
車線境界の原則として、例えば、車線境界は平行に標示される、道路領域の両端には、車道と分離する目的で設けられた路側帯を示すラインが表示される、車線幅は所定の幅(例えば、3.5m程度)に設計される、幅の広い道路には複数の車線が設けられる(すなわち、中央線と複数の車線境界線が設けられる)、などが挙げられる。
【0032】
また、複数の車線が設けられる可能性がある場合、ライン位置推定部40は、道路形状取得部30によって取得された地図情報から車線情報(車線の数)を特定し、特定された車線情報に基づいて、ラインの数を判定してもよい。なお、ライン位置推定部40自身が位置情報を取得して車線情報を特定することで、ラインの数を判定してもよい。
【0033】
また、車線境界の原則は、地域の特性に応じて定義されてもよい。地域の特性として、例えば、都心は道路幅が狭い、地方都市の道路は幅が広い、などが挙げられる。
【0034】
また、道路形状取得部30により道路形状が取得されている場合、ライン位置推定部40は、取得された道路形状および第一俯瞰映像により特定された道路領域からラインの位置を推定してもよい。例えば、第一俯瞰映像により特定された道路領域からラインの位置が直線方向に存在すると推定され、道路形状がカーブするとの情報が取得された場合、ライン位置推定部40は、現在の直線のラインが、進行先で曲線になると推定してもよい。
【0035】
さらに、第二俯瞰映像が生成されている場合、ライン位置推定部40は、生成された第二俯瞰映像からラインの位置を推定してもよい。なお、第二俯瞰映像は車両前方映像から直接生成された俯瞰映像である。そこで、ライン位置推定部40は、一般に知られた方法(例えば、特許文献1に記載された方法)で第二俯瞰映像からラインの位置を推定してもよい。
【0036】
なお、この場合、第一俯瞰映像および第二俯瞰映像から、それぞれラインの位置が推定されることになる。そこで、ライン位置推定部40は、ラインの尤もらしさを示す推定強度を俯瞰映像ごとに予め定めておき、その推定強度に基づいてより尤もらしいと推定されたラインの位置の推定結果を選択してもよい。なお、この推定強度は、使用されるアプリケーション等に応じて調整されればよい。
【0037】
車両位置判定部50は、推定された白線の位置に基づいて、車両前方映像または俯瞰映像上に存在する車両の位置を特定する。具体的には、車両位置判定部50は、例えば、前方を走行する車両が、自車の存在する車線(エゴレーン)を走行しているのか、他の車線(例えば、追越車線)を走行しているのかを特定する。
【0038】
車両位置判定部50は、例えば、推定されたラインを車両前方映像または俯瞰映像上に重畳させて表示し、表示されたラインと自車との位置関係から、映像上に存在する車両の位置を特定してもよい。
【0039】
出力部60は、ラインの位置の推定結果を出力する。出力部60は、例えば、ラインの位置の推定結果を表示装置200に表示させてもよい。
図4は、推定結果の出力例を示す説明図である。
図4に例示する映像V5は、車両前方映像に重畳させるラインの位置の推定結果を示す。
【0040】
領域認識映像生成部10と、俯瞰映像生成部20と、道路形状取得部30と、ライン位置推定部40と、車両位置判定部50と、出力部60とは、プログラム(ライン位置推定プログラム)に従って動作するコンピュータのプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit )、GPU(Graphics Processing Unit))によって実現される。
【0041】
例えば、プログラムは、ライン位置推定装置1の記憶部(図示せず)に記憶され、プロセッサは、そのプログラムを読み込み、プログラムに従って、領域認識映像生成部10、俯瞰映像生成部20、道路形状取得部30、ライン位置推定部40、車両位置判定部50および出力部60として動作してもよい。また、ライン位置推定装置1の機能がSaaS(Software as a Service )形式で提供されてもよい。
【0042】
また、領域認識映像生成部10と、俯瞰映像生成部20と、道路形状取得部30と、ライン位置推定部40と、車両位置判定部50と、出力部60とは、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry )、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。
【0043】
また、ライン位置推定装置1の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0044】
次に、本実施形態のライン位置推定装置の動作を説明する。
図5は、本実施形態のライン位置推定装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0045】
まず。撮像装置100は、車両前方映像を撮像する(ステップS11)。領域認識映像生成部10は、車両前方映像から領域認識映像を生成する(ステップS12)。俯瞰映像生成部20は、生成された領域認識映像から第一俯瞰映像を生成する(ステップS13)。そして、ライン位置推定部40は、生成された第一俯瞰映像により特定される道路領域から、車線境界の原則に基づいて、路面に標示されたラインの位置を推定する(ステップS14)。
【0046】
なお、道路形状取得部30が道路形状を取得した場合、ライン位置推定部40が、取得された道路形状および特定された道路領域からラインの位置を推定してもよい。そして、出力部60が推定されたラインの位置を出力してもよい。また、車両位置判定部50が、推定された白線の位置に基づいて、車両前方映像または俯瞰映像上に存在する車両の位置を特定してもよい。
【0047】
以上のように、本実施形態では、領域認識映像生成部10が、車両前方映像から領域認識映像を生成し、俯瞰映像生成部20が、生成された領域認識映像から第一俯瞰映像を生成する。そして、ライン位置推定部40が、生成された第一俯瞰映像により特定される道路領域から、車線境界の原則に基づいて、路面に標示されたラインの位置を推定する。そのため、路面に標示されたラインの位置を適切に推定できる。
【0048】
次に、本発明の概要を説明する。
図6は、本発明によるライン位置推定装置の概要を示すブロック図である。本発明によるライン位置推定装置80(例えば、ライン位置推定装置1)は、車両の前方を撮像した映像である車両前方映像から、道路領域を含む領域認識映像を生成する領域認識映像生成手段81(例えば、領域認識映像生成部10)と、生成された領域認識映像を俯瞰映像(すなわち、トップビュー映像)に変換した第一俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成手段82(例えば、俯瞰映像生成部20)と、生成された第一俯瞰映像により特定される道路領域から、車線境界の原則に基づいて、路面に標示されたラインの位置を推定するライン位置推定手段83(例えば、ライン位置推定部40)とを備えている。
【0049】
そのような構成により、路面に標示されたラインの位置を適切に推定できる。
【0050】
また、ライン位置推定装置80は、車両の現在の状況に基づいて道路形状を取得する道路形状取得手段(例えば、道路形状取得部30)を備えていてもよい。そして、ライン位置推定手段83は、取得された道路形状および特定された道路領域からラインの位置を推定してもよい。
【0051】
具体的には、道路形状取得手段は、車両が存在する位置を(例えば、GPSで)取得し、取得された位置を地図情報から特定し、特定された位置に対応する地図情報から車線情報を含む道路形状を取得してもよい。
【0052】
また、道路形状取得手段は、道路の形状に応じて操作される車両の駆動状態(例えば、CAN情報)に基づいて道路形状を取得してもよい。
【0053】
具体的には、道路形状取得手段は、車両のハンドルを切ることで生じるステアリング軸の操舵角を取得し、取得した操舵角に応じて道路の形状を特定してもよい。
【0054】
また、俯瞰映像生成手段82は、車両前方映像を俯瞰映像に変換した第二俯瞰映像を生成してもよい。そして、ライン位置推定手段83は、生成された第二俯瞰映像からラインの位置を推定し、俯瞰映像ごとに予め定められたラインの尤もらしさを示す推定強度に基づいて、より尤もらしいと推定されたラインの位置の推定結果を選択してもよい。
【0055】
また、ライン位置推定装置80は、推定されたラインの位置に基づいて、車両前方映像または第一俯瞰映像上に存在する車両の位置を特定する車両位置判定手段(例えば、車両位置判定部50)を備えていてもよい。そのような構成により、前方車両の車線位置を検出することが可能になる。
【0056】
図7は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ1000は、プロセッサ1001、主記憶装置1002、補助記憶装置1003、インタフェース1004を備える。
【0057】
上述のライン位置推定装置80は、コンピュータ1000に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラム(ライン位置推定プログラム)の形式で補助記憶装置1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムを補助記憶装置1003から読み出して主記憶装置1002に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0058】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置1003は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース1004を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read-only memory )、DVD-ROM(Read-only memory)、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1000に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1000が当該プログラムを主記憶装置1002に展開し、上記処理を実行してもよい。
【0059】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置1003に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0060】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0061】
(付記1)車両の前方を撮像した映像である車両前方映像から、道路領域を含む領域認識映像を生成する領域認識映像生成手段と、
生成された前記領域認識映像を俯瞰映像に変換した第一俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成手段と、
生成された第一俯瞰映像により特定される前記道路領域から、車線境界の原則に基づいて、路面に標示されたラインの位置を推定するライン位置推定手段とを備えた
ことを特徴とするライン位置推定装置。
【0062】
(付記2)車両の現在の状況に基づいて道路形状を取得する道路形状取得手段を備え、
ライン位置推定手段は、取得された道路形状および特定された道路領域からラインの位置を推定する
付記1記載のライン位置推定装置。
【0063】
(付記3)道路形状取得手段は、車両が存在する位置を取得し、取得された位置を地図情報から特定し、特定された位置に対応する地図情報から車線情報を含む道路形状を取得する
付記2記載のライン位置推定装置。
【0064】
(付記4)道路形状取得手段は、道路の形状に応じて操作される車両の駆動状態に基づいて道路形状を取得する
付記2または付記3記載のライン位置推定装置。
【0065】
(付記5)道路形状取得手段は、車両のハンドルを切ることで生じるステアリング軸の操舵角を取得し、取得した操舵角に応じて道路の形状を特定する
付記4記載のライン位置推定装置。
【0066】
(付記6)俯瞰映像生成手段は、車両前方映像を俯瞰映像に変換した第二俯瞰映像を生成し、
ライン位置推定手段は、生成された第二俯瞰映像からラインの位置を推定し、俯瞰映像ごとに予め定められたラインの尤もらしさを示す推定強度に基づいて、より尤もらしいと推定されたラインの位置の推定結果を選択する
付記1から付記5のうちのいずれか1つに記載のライン位置推定装置。
【0067】
(付記7)推定されたラインの位置に基づいて、車両前方映像または第一俯瞰映像上に存在する車両の位置を特定する車両位置判定手段を備えた
付記1から付記6のうちのいずれか1つに記載のライン位置推定装置。
【0068】
(付記8)車両の前方を撮像した映像である車両前方映像から、道路領域を含む領域認識映像を生成し、
生成された前記領域認識映像を俯瞰映像に変換した第一俯瞰映像を生成し、
生成された第一俯瞰映像により特定される前記道路領域から、車線境界の原則に基づいて、路面に標示されたラインの位置を推定する
ことを特徴とするライン位置推定方法。
【0069】
(付記9)車両の現在の状況に基づいて道路形状を取得し、
取得された道路形状および特定された道路領域からラインの位置を推定する
付記8記載のライン位置推定方法。
【0070】
(付記10)コンピュータに、
車両の前方を撮像した映像である車両前方映像から、道路領域を含む領域認識映像を生成する領域認識映像生成処理、
生成された前記領域認識映像を俯瞰映像に変換した第一俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成処理、および、
生成された第一俯瞰映像により特定される前記道路領域から、車線境界の原則に基づいて、路面に標示されたラインの位置を推定するライン位置推定処理
を実施させるためのライン位置推定プログラムを記憶するプログラム記憶媒体。
【0071】
(付記11)コンピュータに、
車両の現在の状況に基づいて道路形状を取得する道路形状取得処理を実施させ、
ライン位置推定処理で、取得された道路形状および特定された道路領域からラインの位置を推定させる
ためのライン位置推定プログラムを記憶する付記10記載のプログラム記憶媒体。
【0072】
(付記12)コンピュータに、
車両の前方を撮像した映像である車両前方映像から、道路領域を含む領域認識映像を生成する領域認識映像生成処理、
生成された前記領域認識映像を俯瞰映像に変換した第一俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成処理、および、
生成された第一俯瞰映像により特定される前記道路領域から、車線境界の原則に基づいて、路面に標示されたラインの位置を推定するライン位置推定処理
を実施させるためのライン位置推定プログラムを記憶するプログラム記憶媒体。
【0073】
(付記13)コンピュータに、
車両の現在の状況に基づいて道路形状を取得する道路形状取得処理を実施させ、
ライン位置推定処理で、取得された道路形状および特定された道路領域からラインの位置を推定させる
ためのライン位置推定プログラムを記憶する付記12記載のプログラム記憶媒体。
【0074】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 ライン位置推定装置
10 領域認識映像生成部
20 俯瞰映像生成部
30 道路形状取得部
40 ライン位置推定部
50 車両位置判定部
60 出力部
100 撮像装置
200 表示装置