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特許7556452値引き計画生成装置、値引き計画生成方法、及び、値引き計画生成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】値引き計画生成装置、値引き計画生成方法、及び、値引き計画生成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0207 20230101AFI20240918BHJP
【FI】
G06Q30/0207 328
G06Q30/0207 348
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023508764
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2022005281
(87)【国際公開番号】W WO2022201946
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2021048766
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】村上 大介
(72)【発明者】
【氏名】黛 祐子
【審査官】橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-174035(JP,A)
【文献】特開2007-272585(JP,A)
【文献】特開2019-152934(JP,A)
【文献】特開2020-060917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗における商品の在庫数を取得する取得手段と、
前記在庫数と、所定時刻までの前記商品の値引き計画と、時間帯と前記商品の需要との関係を表す需要予測モデルと、前記商品の価格と需要との関係を表す価格弾力性モデルとに基づいて、前記所定時刻までの前記在庫数の推移を予測する予測手段と、
前記所定時刻における前記在庫数の予測値が在庫数条件を満たすように、前記商品の値引き計画を生成する計画生成手段と、
を備え
前記在庫数条件は、廃棄対象とする前記商品が発生しないことと、前記所定時刻までに欠品による前記商品の販売の機会損失が発生しないこととを両立させる零よりも大きい値の範囲内の在庫数である値引き計画生成装置。
【請求項2】
前記予測手段は、前記所定時刻までの前記商品の販売指標を予測し、
前記計画生成手段は、前記所定時刻までの前記販売指標の予測値が販売指標条件を満たすように、前記値引き計画を生成する、
請求項1に記載の値引き計画生成装置。
【請求項3】
前記販売指標は、前記所定時刻までの前記商品の利益であり、
前記販売指標条件は、前記所定時刻までの前記販売指標の予測値が基準となる金額以上である、
請求項2に記載の値引き計画生成装置。
【請求項4】
前記計画生成手段は、第1の時刻よりも後の第2の時刻における前記在庫数と、前記第1の時刻における前記在庫数に基づいて前記値引き計画を生成したときに予測された前記第2の時刻における前記在庫数の予測値と、の差分が計画更新条件を満たすか否かを判定し、前記差分が前記計画更新条件を満たす場合、前記第2の時刻における前記在庫数に基づいて、前記第2の時刻よりも後の前記所定時刻における前記在庫数の予測値が前記在庫数条件を満たすように、前記値引き計画を更新する、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の値引き計画生成装置。
【請求項5】
前記商品の現在の価格を示す情報を取得して、前記商品の現在の価格を前記値引き計画と照合し、前記商品の現在の価格が前記値引き計画により示される価格と異なる場合、警告を出力する警告手段をさらに備える、
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の値引き計画生成装置。
【請求項6】
前記警告手段は、商品棚を撮像した画像に対して画像認識処理を行うことにより、前記商品の現在の価格を示す情報を取得する、
請求項5に記載の値引き計画生成装置。
【請求項7】
前記取得手段は、商品棚における前記商品の欠品状況を表す画像に基づいて、前記在庫数を推定する、
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の値引き計画生成装置。
【請求項8】
時間帯ごとの前記商品の価格及び販売量を表す販売実績情報を用いた学習を行うことによって、前記需要予測モデルと前記価格弾力性モデルとを生成あるいは更新するモデル生成手段をさらに備える、
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の値引き計画生成装置。
【請求項9】
前記予測手段による、前記在庫数の推移の予測結果に基づいて、前記商品の発注量を算出する算出手段と、
前記発注量を画面に表示させる表示制御手段と
をさらに備える、
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の値引き計画生成装置。
【請求項10】
前記需要予測モデル及び前記価格弾力性モデルは、歴属性、天候、前記店舗の立地条件、及び、前記店舗が取り扱う前記商品の種別の構成の少なくともいずれかを説明変数に用いる
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の値引き計画生成装置。
【請求項11】
情報処理システムによって、
店舗における商品の在庫数を取得し、
前記在庫数と、所定時刻までの前記商品の値引き計画と、時間帯と前記商品の需要との関係を表す需要予測モデルと、前記商品の価格と需要との関係を表す価格弾力性モデルとに基づいて、前記所定時刻までの前記在庫数の推移を予測し、
前記所定時刻における前記在庫数の予測値が在庫数条件を満たすように、前記商品の値引き計画を生成し、
前記在庫数条件は、廃棄対象とする前記商品が発生しないことと、前記所定時刻までに欠品による前記商品の販売の機会損失が発生しないこととを両立させる零よりも大きい値の範囲内の在庫数である、
値引き計画生成方法。
【請求項12】
店舗における商品の在庫数を取得する取得処理と、
前記在庫数と、所定時刻までの前記商品の値引き計画と、時間帯と前記商品の需要との関係を表す需要予測モデルと、前記商品の価格と需要との関係を表す価格弾力性モデルとに基づいて、前記所定時刻までの前記在庫数の推移を予測する予測処理と、
前記所定時刻における前記在庫数の予測値が在庫数条件を満たすように、前記商品の値引き計画を生成する計画生成処理と、
をコンピュータに実行させ
前記在庫数条件は、廃棄対象とする前記商品が発生しないことと、前記所定時刻までに欠品による前記商品の販売の機会損失が発生しないこととを両立させる零よりも大きい値の範囲内の在庫数である、
値引き計画生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、値引き計画生成装置、値引き計画生成方法、及び、値引き計画生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば賞味期限あるいは消費期限がある生鮮食品等の商品を販売する店舗にとって、期限の渡過により廃棄対象とする在庫を最小限にすることは重要な課題である。このような課題に対して、利益を確保しつつ、廃棄対象とする在庫を最小限にすることを実現する、商品の値引き(値下げ)を適切に行うことを支援する技術が期待されている。
【0003】
このような技術に関連する技術として、特許文献1には、過去の販売実績、将来に向けた需要予測、値付け、及び購買確率に基づいて、利益が高く、かつ在庫(廃棄処分対象)を最小限にするといった販売管理の最適化を図る商品販売管理制御装置が開示されている。この装置は、商品属性情報を読み出し、仮の販売時期制限チャートを作成する。この装置は、商品販売履歴情報を読み出し、各パラメータを組み合わせて相関分析する。この装置は、相関分析結果に基づいて、処理を予測し、販売価格-購買確率推移のシミュレーションを実行することによって、最大利益(又は最小損失)を期待できる販売価格-購買確率特性を抽出し、所定時間毎の販売価格を特定する。そしてこの装置は、特定した販売価格を、仮の販売時期制限チャートに組み込み、値下げ計画を立案する。
【0004】
また、特許文献2には、分配ユニット内の製品の総数を追跡するシステムが開示されている。当該製品は、販売向けに提示される前面を有する。このシステムは、分配ユニット内で製品を保持するトラックと、製品を分配ユニットの前面へと押す製品位置決め装置と、製品位置決め装置の位置を決定するセンサと、位置に応じて製品総数を算出するプロセッサとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-060917号公報
【文献】米国特許出願公開第2019/0164098号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
商品を販売する店舗にとって、上述した廃棄対象とする在庫を最小限にすることに加えて、欠品による機会損失を最小限にすることも重要な課題である。例えば、店舗が、ある商品に関して、期限の渡過による在庫の廃棄が発生しないように大幅な値下げを行った場合、販売量が増加することによって欠品が発生する場合がある。商品の欠品が発生した場合、店舗は当該商品を購入しようとしていた顧客に対する当該商品の販売機会を失うことになる。そして、商品の欠品によって購入希望の商品を購入できなかった顧客の店舗に対する印象が悪化することによって、店舗は、その顧客を失う可能性がある。以上のことから、廃棄対象とする商品の量の削減と、欠品による機会損失の削減とを両立させるような商品の値引き計画を生成することが課題である。上述した特許文献1及び2は、このような課題については特に言及していない。
【0007】
本発明の主たる目的は、廃棄対象とする商品の量の削減と、欠品による機会損失の削減とを両立させるような商品の値引き計画の生成を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る値引き計画生成装置は、店舗における商品の在庫数を取得する取得手段と、前記在庫数と、所定時刻までの前記商品の値引き計画と、時間帯と前記商品の需要との関係を表す需要予測モデルと、前記商品の価格と需要との関係を表す価格弾力性モデルとに基づいて、前記所定時刻までの前記商品の在庫数の推移を予測する予測手段と、前記所定時刻における前記在庫数の予測値が在庫数条件を満たすように、前記商品の値引き計画を生成する計画生成手段と、を備える。
【0009】
上記目的を達成する他の見地において、本発明の一態様に係る値引き計画生成方法は、情報処理システムによって、店舗における商品の在庫数を取得し、前記在庫数と、所定時刻までの前記商品の値引き計画と、時間帯と前記商品の需要との関係を表す需要予測モデルと、前記商品の価格と需要との関係を表す価格弾力性モデルとに基づいて、前記所定時刻までの前記商品の在庫数の推移を予測し、前記所定時刻における前記在庫数の予測値が在庫数条件を満たすように、前記商品の値引き計画を生成する。
【0010】
また、上記目的を達成する更なる見地において、本発明の一態様に係る値引き計画生成プログラムは、店舗における商品の在庫数を取得する取得処理と、前記在庫数と、所定時刻までの前記商品の値引き計画と、時間帯と前記商品の需要との関係を表す需要予測モデルと、前記商品の価格と需要との関係を表す価格弾力性モデルとに基づいて、前記所定時刻までの前記商品の在庫数の推移を予測する予測処理と、前記所定時刻における前記在庫数の予測値が在庫数条件を満たすように、前記商品の値引き計画を生成する計画生成処理と、をコンピュータに実行させる。
【0011】
更に、本発明は、係る値引き計画生成プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、廃棄対象とする商品の量の削減と、欠品による機会損失の削減とを両立させるような商品の値引き計画の生成を実現できる値引き計画生成装置等が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る値引き計画生成装置10の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る需要予測モデル141と価格弾力性モデル142とを例示する図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る値引き計画生成装置10により生成及び更新される予測結果120及び値引き計画130を例示する図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る値引き計画生成装置10の動作(処理)を示すフローチャートである。
図5】本発明の第2の実施形態に係る値引き計画生成装置30の構成を示すブロック図である。
図6】本発明の各実施形態に係る値引き計画生成装置を実現可能な情報処理装置900の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る値引き計画生成装置10の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る値引き計画生成装置10は、店舗の商品の賞味期限あるいは消費期限が渡過することによって廃棄対象となる在庫の量を削減するとともに、商品の欠品の発生による販売機会の損失を削減するような商品の値引き(値下げ)計画(パターン)を生成する装置である。
【0016】
値引き計画生成装置10は、1つの情報処理装置によって構成されてもよいし、複数の情報処理装置によって構成されたシステムであってもよい。
【0017】
値引き計画生成装置10には、監視カメラ21、店舗端末22、及び、サーバ23が通信可能に接続されている。
【0018】
監視カメラ21は、例えば、商品棚における商品の欠品状況、及び、商品の現在の価格を示す値札等を撮像可能に、商品棚の近辺に設置されている。監視カメラ21は、あるいは例えば、倉庫に保管された商品の在庫を撮像可能に設置されてもよい。監視カメラ21は、撮像した上述の画像を、随時、値引き計画生成装置10に送信する。
【0019】
店舗端末22は、店舗の店員が使用する、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等の情報処理装置である。店舗端末22は、例えば、値引き計画生成装置10によって生成された後述する値引き計画130等の情報を、具備する表示画面に表示する。
【0020】
サーバ23は、店舗に設置されたPOS端末(Point of Sale)24と通信可能に接続された情報処理装置である。サーバ23は、商品の会計処理時においてPOS端末24に入力される商品の販売実績を表す情報をPOS端末24から受信する。サーバ23は、POS端末24から受信した商品の販売実績を表す情報を、各商品に関する販売実績情報230として保管する。
【0021】
値引き計画生成装置10は、取得部11、予測部12、計画生成部13、モデル生成部14、警告部15、及び、算出部16を備えている。取得部11、予測部12、計画生成部13、モデル生成部14、警告部15、及び、算出部16は、順に、取得手段、予測手段、計画生成手段、モデル生成手段、警告手段、及び、算出手段の一例である。
【0022】
取得部11は、店舗における各商品の現在の在庫数を表す情報を、例えば定期的に取得する。取得部11は、例えば、監視カメラ21によって撮像された、商品棚における商品の欠品状況(減り具合)を表す画像を取得する。取得部11は、取得した当該画像を、例えば既存の画像解析技術を用いて解析することによって、商品棚における商品の在庫数を推定する。取得部11は、商品棚に加えて倉庫にも商品が保管されている場合、取得した画像が示す商品棚における商品の欠品状況から、所定の基準を用いて、商品の在庫数を推定してもよい。当該所定の基準は、例えば、商品棚における商品の欠品状況と、倉庫に保管されている商品も含めた店舗全体としての商品の在庫数との関連性を表す基準である。
【0023】
取得部11は、あるいは例えば、監視カメラ21が倉庫に保管された商品の在庫を撮像可能に設置されている場合、倉庫に保管された商品の画像も用いて、商品の在庫数を推定してもよい。取得部11は、あるいは例えば、店舗における各商品の現在の在庫数を表す情報がサーバ23において管理されている場合、サーバ23から当該情報を取得してもよい。
【0024】
予測部12は、取得部11によって取得された商品の在庫数と、所定時刻までの商品の値引き計画130と、に基づいて、当該所定時刻までの商品の在庫数の推移を予測する。当該所定時刻は、例えば、次回の商品の入庫予定時刻である。尚、本実施形態では、商品の賞味期限あるいは消費期限は、当該所定の時刻よりも後であることとする。値引き計画130は、計画生成部13によって生成されるが、その詳細については後述する。
【0025】
予測部12は、上述した当該所定時刻までの商品の在庫数の推移を予測する際に使用する基準として、需要予測モデル141、及び、価格弾力性モデル142を使用する。
【0026】
図2は、本実施形態に係る需要予測モデル141、及び、価格弾力性モデル142を例示する図である。
【0027】
需要予測モデル141は、図2に例示する通り、時間と商品の需要との関係を表すモデルである。例えば、商品が食材である場合、商品の需要は、一般的に、夕食の準備時間である夕方の時間帯において高くなる傾向がある。あるいは例えば、商品が弁当である場合、商品の需要は、一般的に、昼食の時間帯において高くなる傾向がある。
【0028】
価格弾力性モデル142は、図2に例示する通り、商品の価格と商品の需要との関係を表すモデルである。商品の需要は、一般的にその価格が高くなるほど低下し、消費者心理等からある価格帯において急激に低下する傾向がある。
【0029】
需要予測モデル141及び価格弾力性モデル142が示す特性は、商品の属性によって異なる。また、需要予測モデル141及び価格弾力性モデル142は、例えば、歴属性、天候、店舗の立地条件、及び、店舗が取り扱う商品の種別の構成の少なくともいずれかと、商品の需要との関係も含んでもよい。
【0030】
商品の需要は、歴属性、即ち、例えば年間における特定の時期に行われる行事(イベント)との関連性があり、ある行事で用いられる商品の需要は、当該行事が行われる時期に高くなる傾向がある。
【0031】
商品の需要は、あるいは例えば、雨天の時には、外出したくないという消費者心理等から、一般的に商品の需要が全体的に低下する傾向がある。また、例えば傘あるいは日焼け止め等などの、天候の状態に応じて必要となる商品の需要が高くなる。
【0032】
商品の需要の特性は、あるいは例えば、店舗の立地条件(例えば店舗の周辺環境等)によって異なる傾向がある。例えば、店舗が小中学校の近隣に存在する場合、その店舗においては、小中学生が購入するお菓子あるいは文房具等の商品の需要が高い傾向がある。
【0033】
商品の需要の特性は、あるいは例えば、店舗が取り扱う商品の種別(カテゴリ)の構成によって異なる傾向がある。例えば、高価格帯の商品を主に取り扱う店舗と、低価格帯の商品を主に取り扱う店舗とでは、それらの店舗を使用する客層の行動特性等の違いから、商品の需要の特性は、互いに異なる。
【0034】
需要予測モデル141及び価格弾力性モデル142は、例えばユーザによって与えられた基準であってもよいし、モデル生成部14によって生成あるいは更新されてもよい。モデル生成部14は、時間あるいは商品価格と商品需要との関係を、時間帯ごとの商品の価格及び販売量を表す販売実績情報230を用いた学習を行うことによって、需要予測モデル141と価格弾力性モデル142とを、生成あるいは更新する。モデル生成部14は、このような学習を行う過程において、時間及び商品の価格に加えて、例えば、上述した、歴属性、天候、店舗の立地条件、及び、店舗が取り扱う商品の種別の構成を、商品の需要を推定する際の説明変数に設定してもよい。
【0035】
図3は、本実施形態に係る予測部12により生成あるいは更新される商品の在庫数の予測結果120、及び、計画生成部13により生成あるいは更新される当該商品の値引き計画130を例示する図である。予測部12及び計画生成部13は、互いに連携しながら、予測結果120が示す商品の所定時刻における在庫数が在庫数条件131を満たすまで、在庫数の予測結果120及び商品の値引き計画130の生成あるいは更新を繰り返し行う。
【0036】
図3(1)に示す例では、10時(第1の時刻)において、取得部11により取得された商品の在庫数は100個である。尚、図3に示す例では、16時に商品が店舗に納入されることとし、16時を上述した所定の時刻とする。即ち、予測部12及び計画生成部13は、予測結果120が示す商品の16時における在庫数が在庫数条件131を満たすまで、在庫数の予測結果120及び商品の値引き計画130の生成あるいは更新を繰り返し行う。また在庫数条件131は、例えば、廃棄対象とする商品の在庫数が極力少なくなるとともに、顧客に対する販売機会の損失が発生しないことを満たすような商品の在庫が存在することを表し、ここでは一例として、5個程度(例えば2乃至8個)の商品が在庫として存在することを表すこととする。
【0037】
計画生成部13は、最初に値引き計画130を所定の初期値で生成し、生成した値引き計画130を予測部12に通知する。予測部12は、10時における商品の在庫数(100個)と、値引き計画130と、需要予測モデル141と、価格弾力性モデル142とに基づいて、10時以降16時までの商品の在庫数の推移を予測する。予測部12は、上述した歴属性、天候、店舗の立地条件、及び、店舗が取り扱う商品の種別の構成の少なくともいずれかをふまえて、在庫数の推移を予測してもよい。予測部12は、予測結果120を計画生成部13に通知する。
【0038】
計画生成部13は、予測結果120が示す16時における商品の在庫数が在庫数条件131(例えば2乃至8個)を満たすか否かを判定する。計画生成部13は、16時における商品の在庫数が在庫数条件131を満たさない場合、16時における商品の在庫数が在庫数条件131を満たせるように、値引き計画130を更新する。
【0039】
例えば、予測結果120が示す16時における商品の在庫数が2個未満である場合、値引き計画130が示す値引きの度合いが大きすぎることにより、16時までに欠品による機会損失が発生する可能性が高いと考えられる。この場合、計画生成部13は、16時までに欠品による機会損失が発生しないよう、値引きの度合いが小さくなるように値引き計画130を更新する。計画生成部13は、更新した値引き計画130を予測部12に通知する。予測部12は、更新された値引き計画130を用いて、予測結果120を更新する。
【0040】
例えば、予測結果120が示す16時における商品の在庫数が8個より多い場合、値引き計画130が示す値引きの度合いが小さすぎることにより、賞味期限あるいは消費期限の渡過による大量の商品の廃棄が発生する可能性が高いと考えられる。この場合、計画生成部13は、16時以降に大量の商品の廃棄が発生しないよう、値引きの度合いが大きくなるように値引き計画130を更新する。計画生成部13は、更新した値引き計画130を予測部12に通知する。予測部12は、更新された値引き計画130を用いて、予測結果120を更新する。
【0041】
計画生成部13は、16時における商品の在庫数が在庫数条件131を満たす場合、値引き計画130が示す、現在の時刻(10時)における各商品の値引き後の価格を、店舗端末22の表示画面に表示する。図3(1)に示す例では、予測結果120が示す16時における商品の在庫数が5個であるので、在庫数条件131を満たしている。この場合、計画生成部13は、値引き計画130が示す10時における商品の値引き後の価格である90円を、店舗端末22の表示画面に表示する。そして商品棚における各商品の値札は、店舗の店員によって、店舗端末22の表示画面に表示された価格の値札に差し替えられる。計画生成部13は、あるいは、サーバ23を介して、POS端末が使用する当該商品の価格を、値引き後の価格に変更する処理を行ってもよい。
【0042】
計画生成部13は、第2の時刻(11時)における実際の在庫数と、第1の時刻(10時)における実際の在庫数に基づいて値引き計画130を生成したときに予測された第2の時刻における在庫数の予測値と、の差分が計画更新条件を満たすか否かを判定する。本実施形態では、当該計画更新条件の一例として、当該差分の絶対値が5個以上であることとする。当該差分が計画更新条件を満たすことは、前回(第1の時刻)における在庫数の予測結果と、今回(第2の時刻)における現在の実際の在庫数とが乖離していることを表している。
【0043】
図3(2)に示す例では、11時において、取得部11により取得された商品の在庫数は90個である。即ち、図3に示す例では、10時から11時までの間に商品が10個売れたことによって、商品の在庫数が100個から90個に減少している。そして、11時における実際の在庫数(90個)は、10時における予測結果120が示す11時の商品の在庫数の予測結果である80個よりも、10個多くなっている。したがって、図3(2)に示す例では、11時における実際の在庫数と、10時における実際の在庫数に基づいて値引き計画130を生成したときに予測された11時における在庫数の予測値との差分が、計画更新条件を満たしている。
【0044】
当該差分が計画更新条件を満たす場合、商品の実際の在庫数と在庫数の予測値とが乖離した結果、所定時刻(16時)における在庫数が在庫数条件131を満たせなくなる可能性が高いと考えられる。したがって、計画生成部13は、当該差分が計画更新条件を満たす場合、第2の時刻(11時)における実際の在庫数に基づいて、所定時刻(16時)における在庫数の予測値が在庫数条件131を満たすことができるように、値引き計画130を更新する。
【0045】
図3に示す例では、11時における実際の在庫数(90個)は、10時における予測結果120が示す11時の商品の在庫数の予測結果である80個よりも、10個多くなっている。即ちこの場合、10時における予測結果120が示す商品の販売の見通しほど、商品が売れていない状況にある。したがってこの場合、計画生成部13は、商品の販売が加速するよう、値引きの度合いが大きくなるように値引き計画130を更新する。図3に示す例では、計画生成部13は、10時に生成した値引き計画130において80円だった商品の価格を、11時に生成した値引き計画130では70円に更新している。
【0046】
計画生成部13は、更新した値引き計画130を予測部12に通知する。予測部12は、更新された値引き計画130を用いて、予測結果120を更新する。図3に示す例では、計画生成部13によって値引き計画130が更新されたことによって、11時における予測結果120が示す16時の商品の在庫数の予測結果は5個となり、在庫数条件131を満たしている。
【0047】
尚、図3に示す例とは逆に、11時における実際の在庫数が、10時における予測結果120が示す11時の商品の在庫数の予測結果よりも大きく下回る場合、10時における予測結果120が示す商品の販売の見通しよりも、商品が売れている状況にある。したがってこの場合、計画生成部13は、商品の販売が減速するよう、値引きの度合いが小さくなるように値引き計画130を更新する。
【0048】
予測部12は、また、所定時刻までの商品の在庫数の推移と合わせて、商品の販売指標を予測してもよい。商品の販売指標は、例えば、売り上げあるいは利益等である。予測部12は、商品の販売個数、販売価格、当該販売価格に含まれる利益等の情報から、商品の販売指標を予測すればよい。
【0049】
そして、計画生成部13は、所定時刻における商品の在庫数の予測値が在庫数条件131を満たすことに加えて、所定時刻までの販売指標の予測値が販売指標条件132を満たすように、値引き計画130を生成するようにしてもよい。尚、販売指標条件132は、例えば、商品の売り上げあるいは利益が、基準となる金額以上であることを表す。
【0050】
警告部15は、商品の現在の価格を示す情報を取得する。警告部15は、例えば、監視カメラ21が商品棚を撮像した画像に含まれる商品の値札が示す商品の価格を、当該画像に対する画像認識処理を行うことによって取得してもよい。警告部15は、あるいは例えば、POS端末24が使用する商品の価格を表す情報を、サーバ23を介して取得してもよい。
【0051】
警告部15は、取得した商品の現在の価格を、計画生成部13によって生成された値引き計画130と照合する。そして警告部15は、商品の現在の価格が値引き計画130により示される価格と異なる場合、警告を表す情報を例えば店舗端末22の表示画面に表示する。値引き計画130が示す価格とは異なる価格の値札は、店舗端末22の表示画面に表示された警告を見た店員によって、値引き計画130が示す価格の値札に差し替えられる。
【0052】
算出部16は、予測部12によって生成された、商品の在庫数の推移の予測結果120に基づいて、商品の発注量を算出する。但し、算出部16には、商品のある時刻の在庫数の予測値に応じて発注量を決定するための基準が与えられていることとする。算出部16は、算出した商品の発注量を、例えば店舗端末22の表示画面に表示する。算出部16によって算出された発注量の商品は、店舗端末22の表示画面に表示された発注量を見た店員によって発注される。算出部16は、あるいは例えば、算出した商品の発注量を、商品の発注処理を行う外部のシステム(図示せず)に通知してもよい。
【0053】
次に図4のフローチャートを参照して、本実施形態に係る値引き計画生成装置10の動作(処理)について詳細に説明する。
【0054】
取得部11は、監視カメラ21により撮像された商品の欠品状況を表す画像を取得して、当該画像に対する画像認識処理を行うことによって、現在の実際の在庫数を算出する(ステップS101)。計画生成部13は、現在の実際の在庫数と、前回の予測結果120が示す現在の在庫数の予測値との差を算出する(ステップS102)。
【0055】
算出した差の絶対値が閾値以上でない(即ち閾値未満である)場合(ステップS103でNo)、全体の処理は終了する。算出した差の絶対値が閾値以上である場合(ステップS103でYes)、計画生成部13は、所定時刻における商品の在庫数が在庫数条件131を満たし、かつ、所定時刻までの商品の販売指標が販売指標条件132を満たすべく、値引き計画130を更新する(ステップS104)。
【0056】
予測部12は、現在の商品の在庫数と、値引き計画130と、需要予測モデル141と、価格弾力性モデル142と、に基づいて、所定時刻までの商品の在庫数の推移と販売指標とを予測した予測結果120を生成する(ステップS105)。計画生成部13は、予測結果120が示す所定時刻の在庫数が在庫数条件131を満たし、予測結果120が示す所定時刻までの販売指標が販売指標条件132を満たすか否かを確認する(ステップS106)。
【0057】
所定時刻の在庫数が在庫数条件131を満たさない、あるいは、所定時刻までの販売指標が販売指標条件132を満たさない場合(ステップS107でNo)、処理はステップS104へ戻る。所定時刻の在庫数が在庫数条件131を満たし、かつ、所定時刻までの販売指標が販売指標条件132を満たす場合(ステップS107でYes)、計画生成部13は、更新した値引き計画130を店舗端末22の表示画面に表示し(ステップS108)、全体の処理は終了する。
【0058】
本実施形態に係る値引き計画生成装置10は、廃棄対象とする商品の量の削減と、欠品による機会損失の削減とを両立させるような商品の値引き計画の生成を実現できる。その理由は、値引き計画生成装置10は、商品の在庫数と、所定時刻までの商品の値引き計画130とに基づいて所定時刻までの商品の在庫数の推移を予測し、所定時刻における在庫数の予測値が在庫数条件131を満たすように、商品の値引き計画130を生成するからである。
【0059】
以下に、本実施形態に係る値引き計画生成装置10によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0060】
商品を販売する店舗にとって、廃棄対象とする在庫を最小限にすることに加えて、欠品による機会損失を最小限にすることも重要な課題である。例えば、店舗が、ある商品に関して、期限の渡過による在庫の廃棄が発生しないように大幅な値下げを行った場合、販売量が増加することによって欠品が発生する場合がある。商品の欠品が発生した場合、店舗は当該商品を購入しようとしていた顧客に対する当該商品の販売機会を失うことになる。そして、商品の欠品によって購入希望の商品を購入できなかった顧客の店舗に対する印象が悪化することによって、店舗は、その顧客を失う可能性がある。以上のことから、廃棄対象とする商品の量の削減と、欠品による機会損失の削減とを両立させるような商品の値引き計画を生成することが課題である。
【0061】
このような課題に対して、本実施形態に係る値引き計画生成装置10は、取得部11と予測部12と計画生成部13とを備え、例えば図1乃至図4を参照して上述した通り動作する。即ち、取得部11は、店舗における商品の在庫数を取得する。予測部12は、当該在庫数と、所定時刻までの商品の値引き計画130と、時間帯と商品の需要との関係を表す需要予測モデル141と、商品の価格と需要との関係を表す価格弾力性モデル142とに基づいて、当該所定時刻までの商品の在庫数の推移を予測する。そして計画生成部13は、当該所定時刻における在庫数の予測値が在庫数条件131を満たすように、商品の値引き計画130を生成する。
【0062】
即ち、本実施形態に係る値引き計画生成装置10は、例えば次回の商品の入庫予定時刻(所定時刻)における商品の在庫数の予測値が所定の範囲の値となるように、値引き計画130を生成する。在庫数の予測値に関する当該所定の範囲の値は、廃棄対象とする商品がほとんど発生しないことと、商品の入庫予定時刻までに欠品による機会損失が発生しないこととを両立させるような値である。これにより、値引き計画生成装置10は、廃棄対象とする商品の量の削減と、欠品による機会損失の削減とを両立させるような商品の値引き計画130の生成を実現できる。
【0063】
また、本実施形態に係る値引き計画生成装置10は、所定時刻までの商品の販売指標を予測し、当該所定時刻までの販売指標の予測値が販売指標条件132を満たすように、値引き計画130を生成する。これにより、値引き計画生成装置10は、売り上げあるいは利益等の販売指標の目標を達成できるように、商品の値引き計画130の生成を実現できる。
【0064】
また、本実施形態に係る値引き計画生成装置10は、第1の時刻よりも後の第2の時刻における在庫数と、第1の時刻における在庫数に基づいて値引き計画130を生成したときに予測された第2の時刻における在庫数の予測値と、の差分が計画更新条件を満たすか否かを判定する。そして値引き計画生成装置10は、当該差分が当該計画更新条件を満たす場合、第2の時刻における在庫数に基づいて、第2の時刻よりも後の当該所定時刻における在庫数の予測値が在庫数条件131を満たすように、値引き計画130を更新する。即ち、値引き計画生成装置10は、在庫数の実際の値と予測値とが乖離しているか否かを例えば定期的にチェックし、在庫数の実際の値と予測値とが乖離している場合に、当該所定時刻における在庫数の予測値が在庫数条件131を満たすように、値引き計画130を更新する。これにより、値引き計画生成装置10は、廃棄対象とする商品の量の削減と、欠品による機会損失の削減とを両立させるような商品の値引き計画130の生成を、より確実に実現できる。
【0065】
また、本実施形態に係る値引き計画生成装置10は、商品の現在の価格を示す情報を取得して、商品の現在の価格を値引き計画130と照合し、商品の現在の価格が値引き計画130により示される価格と異なる場合、警告を出力する。これにより、値引き計画生成装置10は、商品の値引きに関する作業の実施漏れを回避することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る値引き計画生成装置10は、時間帯ごとの商品の価格及び販売量を表す販売実績情報230を用いた学習を行うことによって、需要予測モデル141と価格弾力性モデル142とを生成あるいは更新する。これにより、値引き計画生成装置10は、商品の在庫数の推移を予測する精度を、次第に高めることができる。
【0067】
また、本実施形態に係る需要予測モデル141及び価格弾力性モデル142は、歴属性、天候、店舗の立地条件、及び、店舗が取り扱う商品の種別の構成の少なくともいずれかと、商品の需要との関係を表している。これにより、値引き計画生成装置10は、商品の在庫数の推移をより正確に予測することができる。
【0068】
<第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態に係る値引き計画生成装置30の構成を示すブロック図である。値引き計画生成装置30は、取得部31、予測部32、及び、計画生成部33を備えている。但し、取得部31、予測部32、及び、計画生成部33は、順に、取得手段、予測手段、及び、計画生成手段の一例である。
【0069】
取得部31は、店舗における商品の在庫数310を取得する。取得部31は、例えば、第1の実施形態に係る取得部11と同様に動作する。
【0070】
予測部32は、当該在庫数と、所定時刻までの商品の値引き計画330と、時間帯と商品の需要との関係を表す需要予測モデル321と、商品の価格と需要との関係を表す価格弾力性モデル322とに基づいて、当該所定時刻までの商品の在庫数の推移を予測する。値引き計画330は、例えば第1の実施形態に係る値引き計画130と同様な情報である。需要予測モデル321は、例えば第1の実施形態に係る需要予測モデル141と同様なモデルである。価格弾力性モデル322は、例えば第1の実施形態に係る価格弾力性モデル142と同様なモデルである。当該所定時刻は、例えば第1の実施形態と同様に、次回の商品の入庫予定時刻である。予測部32は、例えば、第1の実施形態に係る予測部12と同様に動作する。
【0071】
計画生成部33は、当該所定時刻における在庫数の予測値が在庫数条件331を満たすように、商品の値引き計画330を生成する。在庫数条件331は、例えば第1の実施形態に係る在庫数条件131と同様な条件である。計画生成部33は、例えば、第1の実施形態に係る計画生成部13と同様に動作する。
【0072】
本実施形態に係る値引き計画生成装置30は、廃棄対象とする商品の量の削減と、欠品による機会損失の削減とを両立させるような商品の値引き計画の生成を実現できる。その理由は、値引き計画生成装置30は、商品の在庫数と、所定時刻までの商品の値引き計画330とに基づいて所定時刻までの商品の在庫数の推移を予測し、所定時刻における在庫数の予測値が在庫数条件331を満たすように、商品の値引き計画330を生成するからである。
【0073】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において図1に示した値引き計画生成装置10、あるいは、図5に示した値引き計画生成装置30における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、図1及び図5において、少なくとも、下記構成は、ソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・取得部11及び31、
・予測部12及び32、
・計画生成部13及び33、
・モデル生成部14、
・警告部15、
・算出部16。
【0074】
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、図6を参照して説明する。
【0075】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る値引き計画生成装置10あるいは第2の実施形態に係る値引き計画生成装置30を実現可能な情報処理装置900(コンピュータシステム)の構成を例示的に説明する図である。即ち、図6は、図1及び図5に示した値引き計画生成装置10及び30を実現可能な少なくとも1つのコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。
【0076】
図6に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えているが、下記のうちの一部の構成要素を備えない場合もある。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・外部装置との通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD-ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・モニターやスピーカ、キーボード等の入出力インタフェース909。
【0077】
即ち、上記構成要素を備える情報処理装置900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理装置900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。情報処理装置900は、CPU901に加えてGPU(Graphical_Processing_Unit)(不図示)を備えてもよい。
【0078】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、図6に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(図1及び図5)における上述した構成、或いはフローチャート(図4)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0079】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD-ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0080】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0081】
この出願は、2021年3月23日に出願された日本出願特願2021-048766を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0082】
10 値引き計画生成装置
11 取得部
12 予測部
120 予測結果
13 計画生成部
130 値引き計画
131 在庫数条件
132 販売指標条件
14 モデル生成部
141 需要予測モデル
142 価格弾力性モデル
15 警告部
16 算出部
21 監視カメラ
22 店舗端末
23 サーバ
230 販売実績情報
24 POS端末
30 値引き計画生成装置
31 取得部
310 在庫数
32 予測部
321 需要予測モデル
322 価格弾力性モデル
33 計画生成部
330 値引き計画
331 在庫数条件
900 情報処理装置
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 ハードディスク(記憶装置)
905 通信インタフェース
906 バス
907 記録媒体
908 リーダライタ
909 入出力インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6