(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240918BHJP
G08B 13/196 20060101ALI20240918BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240918BHJP
G08B 27/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
H04N7/18 D
G08B13/196
G08B25/00 510M
G08B27/00 Z
(21)【出願番号】P 2023509973
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2021013604
(87)【国際公開番号】W WO2022208668
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 慶
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 航生
(72)【発明者】
【氏名】網中 洋明
(72)【発明者】
【氏名】尾形 一気
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/132769(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/180454(WO,A1)
【文献】特開2021-002733(JP,A)
【文献】特開平09-146916(JP,A)
【文献】特開2008-052464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G08B 13/00-15/00
G08B 19/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像に基づいて検出された特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された範囲に応じた装置へ、前記特定の物体に関する情報を送信させる送信手段と、
を有
し、
前記決定手段は、
前記画像に基づいて検出された前記特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲内の各領域に対して前記特定の物体が存在する確度を決定し、
前記送信手段は、
前記特定の物体が人物である場合は前記画像における当該人物の顔の領域の少なくとも一部が加工された加工画像を送信させる処理、及び前記特定の物体が車両である場合は前記画像における当該車両のナンバープレートの領域の少なくとも一部が加工された加工画像を送信させる処理の少なくとも一方を実行し、
前記画像が第1加工度で加工された加工画像を第1確度の領域に応じた端末へ送信させ、
前記画像が前記第1加工度よりも高い第2加工度で加工された加工画像を前記第1確度よりも低い第2確度の領域に応じた端末へ送信させる、
情報処理装置。
【請求項2】
画像に基づいて検出された特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された範囲に応じた装置へ、前記特定の物体に関する情報を送信させる送信手段と、
を有し、
前記決定手段は、
第1撮影装置で撮影された第1画像に基づいて検出された前記特定の物体の移動方向と、前記第1画像が撮影された位置と、前記第1画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する第1範囲を決定し、
第2撮影装置で撮影された第2画像に基づいて前記特定の物体が検出された場合、前記第2画像に基づいて検出された前記特定の物体の移動方向と、前記第2画像が撮影された位置と、前記第2画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する第2範囲を決定し、
前記送信手段は、
前記第2画像に基づいて前記特定の物体が検出された場合、前記特定の物体の検出を終了させる情報を、前記第1範囲に応じた装置のうち前記第2範囲に応じた装置に含まれない装置へ送信させる、
情報処理装置。
【請求項3】
前記送信手段は、
前記経過時間が第1経過時間である際に前記決定手段により決定された範囲に応じた装置へ前記特定の物体に関する情報を送信させたのち、
前記経過時間が前記第1経過時間よりも後の第2経過時間である際に前記決定手段により決定された範囲に応じた装置へ前記特定の物体に関する情報を送信させる、
請求項1
または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、さらに、
前記特定の物体の移動手段に基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する、
請求項1
から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記決定手段は、さらに、
前記特定の物体の移動速度に基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記決定手段は、さらに、
前記特定の物体が移動する道路の混雑度に基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する、
請求項1から
5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記決定手段は、さらに、
前記特定の物体が移動する道路の交通信号機による信号の切り替え時間を示す情報に基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する、
請求項1から
6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記送信手段は、
前記決定手段により決定された範囲に設置されている基地局に在圏している無線通信端末へ、前記特定の物体に関する情報を送信させる、
請求項1から
7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
画像に基づいて検出された特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定
する処理と、
決定した範囲に応じた装置へ、前記特定の物体に関する情報を送信させる
処理と、
を実行し、
前記決定する処理では、
前記画像に基づいて検出された前記特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲内の各領域に対して前記特定の物体が存在する確度を決定し、
前記送信させる処理では、
前記特定の物体が人物である場合は前記画像における当該人物の顔の領域の少なくとも一部が加工された加工画像を送信させる処理、及び前記特定の物体が車両である場合は前記画像における当該車両のナンバープレートの領域の少なくとも一部が加工された加工画像を送信させる処理の少なくとも一方を実行し、
前記画像が第1加工度で加工された加工画像を第1確度の領域に応じた端末へ送信させ、
前記画像が前記第1加工度よりも高い第2加工度で加工された加工画像を前記第1確度よりも低い第2確度の領域に応じた端末へ送信させる、
情報処理方法。
【請求項10】
画像に基づいて検出された特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する処理と、
決定した範囲に応じた装置へ、前記特定の物体に関する情報を送信させる処理と、
を実行し、
前記決定する処理では、
第1撮影装置で撮影された第1画像に基づいて検出された前記特定の物体の移動方向と、前記第1画像が撮影された位置と、前記第1画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する第1範囲を決定し、
第2撮影装置で撮影された第2画像に基づいて前記特定の物体が検出された場合、前記第2画像に基づいて検出された前記特定の物体の移動方向と、前記第2画像が撮影された位置と、前記第2画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する第2範囲を決定し、
前記送信させる処理では、
前記第2画像に基づいて前記特定の物体が検出された場合、前記特定の物体の検出を終了させる情報を、前記第1範囲に応じた装置のうち前記第2範囲に応じた装置に含まれない装置へ送信させる、
情報処理方法。
【請求項11】
情報処理装置に、
画像に基づいて検出された特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定
する処理と、
決定した範囲に応じた装置へ、前記特定の物体に関する情報を送信させる
処理と、
を実行し、
前記決定する処理では、
前記画像に基づいて検出された前記特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲内の各領域に対して前記特定の物体が存在する確度を決定し、
前記送信させる処理では、
前記特定の物体が人物である場合は前記画像における当該人物の顔の領域の少なくとも一部が加工された加工画像を送信させる処理、及び前記特定の物体が車両である場合は前記画像における当該車両のナンバープレートの領域の少なくとも一部が加工された加工画像を送信させる処理の少なくとも一方を実行し、
前記画像が第1加工度で加工された加工画像を第1確度の領域に応じた端末へ送信させ、
前記画像が前記第1加工度よりも高い第2加工度で加工された加工画像を前記第1確度よりも低い第2確度の領域に応じた端末へ送信させる、
プログラム。
【請求項12】
情報処理装置に、
画像に基づいて検出された特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する処理と、
決定した範囲に応じた装置へ、前記特定の物体に関する情報を送信させる処理と、
を実行し、
前記決定する処理では、
第1撮影装置で撮影された第1画像に基づいて検出された前記特定の物体の移動方向と、前記第1画像が撮影された位置と、前記第1画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する第1範囲を決定し、
第2撮影装置で撮影された第2画像に基づいて前記特定の物体が検出された場合、前記第2画像に基づいて検出された前記特定の物体の移動方向と、前記第2画像が撮影された位置と、前記第2画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する第2範囲を決定し、
前記送信させる処理では、
前記第2画像に基づいて前記特定の物体が検出された場合、前記特定の物体の検出を終了させる情報を、前記第1範囲に応じた装置のうち前記第2範囲に応じた装置に含まれない装置へ送信させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、情報処理システム、及びプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、映像管理サーバが、防犯カメラ映像と、予め基準映像情報として登録されている顔の画像データとをマッチングし、検知対象者を検知することが記載されている。また、特許文献1には、映像管理サーバが、検知対象者の移動方向の近隣の他の防犯カメラからの映像情報と、検知対象者の画像データとのマッチング処理を優先して行うことが記載されている。また、特許文献1には、検知対象者に応じた通知先(警察、消防、警備会社、契約者)に対して、検知対象者が防犯カメラで検知されたことを通知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、例えば、監視対象者の追跡、及び通知を適切に行えない場合があるという問題点がある。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、監視対象者の追跡、及び通知を適切に行うことができる情報処理装置、情報処理方法、情報処理システム、及びプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る第1の態様では、情報処理装置が、画像に基づいて検出された特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する決定手段と、前記特定の物体に関する情報を、前記決定手段により決定された範囲に応じた装置へ送信させる送信手段と、を有する。
【0007】
また、本開示に係る第2の態様では、画像に基づいて検出された特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定し、決定した範囲に応じた装置へ、前記特定の物体に関する情報を送信させる、情報処理方法が提供される。
【0008】
また、本開示に係る第3の態様では、情報処理装置に、画像に基づいて検出された特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する処理と、決定した範囲に応じた装置へ、前記特定の物体に関する情報を送信させる処理と、を実行させるプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。
【0009】
また、本開示に係る第4の態様では、撮影装置、第1情報処理装置、第2情報処理装置、及び第3情報処理装置を有する情報処理システムであって、前記第1情報処理装置は、前記撮影装置により撮影された画像に基づき、特定の物体の移動方向を検出し、前記第2情報処理装置は、前記画像に基づいて検出された特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する決定手段と、前記特定の物体に関する情報を、前記決定手段により決定された範囲に応じた前記第3情報処理装置へ送信させる送信手段と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
一側面によれば、監視対象者の追跡、及び通知を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係るサーバ、情報提供装置、端末及びDBサーバのハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】実施形態に係るサーバの構成の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る情報処理システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】実施形態に係る情報処理システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図6】実施形態に係る物体DBに記録される情報の一例について説明する図である。
【
図7】実施形態に係る端末での表示画面の一例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る各時点における特定の物体に関する情報を通知する範囲の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(実施の形態1)
<構成>
図1を参照し、実施形態に係るサーバ10の構成について説明する。
図1は、実施形態に係るサーバ10の構成の一例を示す図である。サーバ10は、決定部11、及び送信部12を有する。これら各部は、サーバ10にインストールされた1以上のプログラムと、サーバ10のプロセッサ101、及びメモリ102等のハードウェアとの協働により実現されてもよい。なお、サーバ10は、「情報処理装置」の一例である。
【0013】
決定部11は、各種の決定(判定、推定)処理を行う。決定部11は、例えば、画像に基づいて検出された特定の物体の移動方向と、画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、特定の物体に関する情報を通知する範囲(領域)を決定する。
【0014】
送信部12は、サーバ10の内部または外部の送信装置から、各種の情報を外部装置へ送信させる。送信部12は、例えば、決定部11により決定された範囲に応じた装置へ、特定の物体に関する情報を送信させる。
【0015】
(実施の形態2)
次に、
図2を参照し、実施形態に係る情報処理システム1の構成について説明する。
<システム構成>
図2は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。なお、以下では、交通信号機30が取り付けられている柱(信号柱)に情報提供装置34が取り付けられる例について説明するが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、交通信号機30が取り付けられていない柱(例えば、道路標識等が取り付けられた柱、街路灯、及び電柱など)に情報提供装置34が取り付けられてもよい。この場合、交通信号機30、及び信号制御装置33は設けられず、信号機基地局、信号機センサは、それぞれ、「路側基地局」、「路側センサ」等と読み替えられる。
【0016】
図2において、情報処理システム1は、サーバ10、及びDB(データベース)サーバ70を有する。また、情報処理システム1は、交通信号機30A~D(以下で、区別する必要がない場合は、単に「交通信号機30」と称する。)を有する。また、情報処理システム1は、信号機基地局31A~D(以下で、区別する必要がない場合は、単に「信号機基地局31」と称する。)を有する。また、情報処理システム1は、信号機センサ32A~D(以下で、区別する必要がない場合は、単に「信号機センサ32」と称する。)を有する。また、情報処理システム1は、信号制御装置33A~D(以下で、区別する必要がない場合は、単に「信号制御装置33」と称する。)を有する。また、情報処理システム1は、情報提供装置34A~D(以下で、区別する必要がない場合は、単に「情報提供装置34」と称する。)を有する。また、情報処理システム1は、端末60A1、60A2、60B1、60B2、60C1、60C2、60D1、及び60D2(以下で、区別する必要がない場合は、単に「端末60」と称する。)を有する。なお、サーバ10、交通信号機30、信号機基地局31、信号機センサ32、信号制御装置33、情報提供装置34、端末60、DBサーバ70の数は
図1の例に限定されない。なお、サーバ10、及び情報提供装置34は、それぞれ、「情報処理装置」の一例である。また、端末60は、「無線通信端末」の一例である。
【0017】
サーバ10、情報提供装置34、及びDBサーバ70は、例えば、インターネット、無線LAN(Local Area Network)、及び携帯電話網等の通信回線Nで通信できるように接続される。
【0018】
交通信号機30A、信号機基地局31A、信号機センサ32A、信号制御装置33A、及び情報提供装置34Aは、各種の信号ケーブル、または無線通信により通信できるように接続される。交通信号機30B~D、信号機基地局31B~D、信号機センサ32B~D、信号制御装置33B~D、及び情報提供装置34B~Dについても、それぞれ同様である。
【0019】
端末60A1、及び端末60A2(以下で、区別する必要がない場合は、適宜、単に「端末60A」と称する。)は、信号機基地局31Aに在圏している端末60である。端末60B1、及び端末60B2(以下で、区別する必要がない場合は、適宜、単に「端末60B」と称する。)は、信号機基地局31Bに在圏している端末60である。端末60C1、及び端末60C2(以下で、区別する必要がない場合は、適宜、単に「端末60C」と称する。)は、信号機基地局31Cに在圏している端末60である。端末60D1、及び端末60D2(以下で、区別する必要がない場合は、適宜、単に「端末60D」と称する。)は、信号機基地局31Dに在圏している端末60である。
【0020】
交通信号機30、例えば、道路の交差点等の信号柱に設置され、青、黄、赤、矢印等の表示により、車両と歩行者の交通を整理する交通信号機である。交通信号機30には、車両用の交通信号機と、歩行者用の交通信号機とが含まれる。
【0021】
信号機基地局31は、信号柱に設置された基地局である。なお、本開示で使用される「基地局」(BS:Base Station)という用語は、端末60が無線通信できるセルまたはカバレッジを提供またはホストできるデバイスを指す。信号機基地局31の例には、gNB(NR Node B)、ノードB(NodeBまたはNB)、EvolvedノードB(eNodeBまたはeNB)等が含まれる。また、信号機基地局31の例には、リモート無線ユニット(RRU:Remote Radio Unit)、無線ヘッド(RH:Radio Head)、リモート無線ヘッド(RRH:Remote Radio Head)、及び低電力ノード(例えば、フェムトノード、ピコノード)等が含まれる。
【0022】
本開示で説明する無線通信は、例えば、5G(第5世代移動通信システム、NR:New Radio)、4G(第4世代移動通信システム)、3G(第3世代移動通信システム)等の規格に準拠してもよい。なお、4Gには、例えば、LTE(Long Term Evolution)アドバンスト、WiMAX2、LTEが含まれてもよい。また、本開示で説明する無線通信は、例えば、広帯域符号分割多重アクセス(W-CDMA:Wideband Code Division Multiple Access)、符号分割多重アクセス(CDMA:Code Division Multiple Access)、車両通信用グローバルシステム(GSM:Global System for Mobile)、および無線LAN(Local Area Network)等の規格に準拠してもよい。また、本開示の無線通信は、現在知られているか、将来開発されるいずれかの世代の無線通信プロトコルに従って実行されてもよい。
【0023】
信号機センサ32は、信号柱に設置され、道路に関する各種の情報を測定する各種のセンサである。信号機センサ32は、例えば、カメラ、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)、RADAR(radio detection and Ranging)等のセンサでもよい。信号機センサ32は、例えば、車両、及び歩行者等の位置及び速度を検出してもよい。
【0024】
信号制御装置33は、信号柱に設置され、交通信号機30の制御を行う。信号制御装置33は、例えば、信号機センサ32で検出された交通状況、交通を管理するセンターからの指示、または予め設定されているデータ等に基づいて、交通信号機30の赤、青、黄等の表示を制御する。
【0025】
情報提供装置34は、信号機センサ32、及び信号制御装置33等から取得した情報に基づいて、特定の物体に関する情報を生成する。そして、情報提供装置34は、生成した情報を、信号機基地局31を介して、サーバ10、及びDBサーバ70等の外部装置に送信(提供、通知)する。
【0026】
特定の物体は、例えば、予め登録されている不審者、及び容疑者等の人物でもよい。また、特定の物体は、予め登録されている特定種別の動物でもよい。また、特定の物体は、予め登録されている特定のパターンの行動(例えば、侵入禁止区域への侵入、ひったくり、及びうろつき等)を行った人物でもよい。また、特定の物体は、特定の車種、色、及び車両番号の車両でもよい。
【0027】
端末60は、信号機基地局31を介して無線通信を行う端末である。端末60の例には、無線通信装置を有する車両、スマートフォン、ユーザ端末(UE:User Equipment)、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、ポータブルコンピュータ、ゲームデバイス、音楽再生機器、ウェアラブルデバイス等が含まれるが、これらに限定されない。なお、車両の例には、自動車、自動二輪車、原動機付自転車、および自転車が含まれる。
【0028】
DBサーバ70は、情報提供装置34から受信した交通情報を記録する。DBサーバ70は、例えば、公的な機関により運用されるサーバでもよい。
【0029】
サーバ10は、情報提供装置34、または端末60にて検出された特定の物体の追跡、及び特定の物体に関する通知等を行う。
【0030】
<ハードウェア構成>
図3は、実施形態に係るサーバ10、情報提供装置34、端末60及びDBサーバ70のハードウェア構成例を示す図である。以下では、サーバ10を例として説明する。なお、情報提供装置34、端末60及びDBサーバ70のハードウェア構成は、
図3のサーバ10のハードウェア構成と同様でもよい。
【0031】
図3の例では、サーバ10(コンピュータ100。「情報処理装置」の一例。)は、プロセッサ101、メモリ102、通信インターフェイス103を含む。これら各部は、バス等により接続されてもよい。メモリ102は、プログラム104の少なくとも一部を格納する。通信インターフェイス103は、他のネットワーク要素との通信に必要なインターフェイスを含む。
【0032】
プログラム104が、プロセッサ101及びメモリ102等の協働により実行されると、コンピュータ100により本開示の実施形態の少なくとも一部の処理が行われる。メモリ102は、ローカル技術ネットワークに適した任意のタイプのものであってもよい。メモリ102は、非限定的な例として、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体でもよい。また、メモリ102は、半導体ベースのメモリデバイス、磁気メモリデバイスおよびシステム、光学メモリデバイスおよびシステム、固定メモリおよびリムーバブルメモリなどの任意の適切なデータストレージ技術を使用して実装されてもよい。コンピュータ100には1つのメモリ102のみが示されているが、コンピュータ100にはいくつかの物理的に異なるメモリモジュールが存在してもよい。プロセッサ101は、任意のタイプのものであってよい。プロセッサ101は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、および非限定的な例としてマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサの1つ以上を含んでよい。コンピュータ100は、メインプロセッサを同期させるクロックに時間的に従属する特定用途向け集積回路チップなどの複数のプロセッサを有してもよい。
【0033】
本開示の実施形態は、ハードウェアまたは専用回路、ソフトウェア、ロジックまたはそれらの任意の組み合わせで実装され得る。いくつかの態様はハードウェアで実装されてもよく、一方、他の態様はコントローラ、マイクロプロセッサまたは他のコンピューティングデバイスによって実行され得るファームウェアまたはソフトウェアで実装されてもよい。
【0034】
本開示はまた、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に有形に記憶された少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品は、プログラムモジュールに含まれる命令などのコンピュータ実行可能命令を含み、対象の実プロセッサまたは仮想プロセッサ上のデバイスで実行され、本開示のプロセスまたは方法を実行する。プログラムモジュールには、特定のタスクを実行したり、特定の抽象データ型を実装したりするルーチン、プログラム、ライブラリ、オブジェクト、クラス、コンポーネント、データ構造などが含まれる。プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態で望まれるようにプログラムモジュール間で結合または分割されてもよい。プログラムモジュールのマシン実行可能命令は、ローカルまたは分散デバイス内で実行できる。分散デバイスでは、プログラムモジュールはローカルとリモートの両方のストレージメディアに配置できる。
【0035】
本開示の方法を実行するためのプログラムコードは、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてもよい。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、またはその他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはコントローラに提供される。プログラムコードがプロセッサまたはコントローラによって実行されると、フローチャートおよび/または実装するブロック図内の機能/動作が実行される。プログラムコードは、完全にマシン上で実行され、一部はマシン上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、一部はマシン上で、一部はリモートマシン上で、または完全にリモートマシンまたはサーバ上で実行される。
【0036】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例には、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光ディスク媒体、半導体メモリ等が含まれる。磁気記録媒体には、例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ等が含まれる。光磁気記録媒体には、例えば、光磁気ディスク等が含まれる。光ディスク媒体には、例えば、ブルーレイディスク、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、CD-R(Recordable)、CD-RW(ReWritable)等が含まれる。半導体メモリには、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory)等が含まれる。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0037】
<処理>
図4から
図8を参照し、実施形態に係る情報処理システム1の交通情報を記録する処理の一例について説明する。
図4及び
図5は、実施形態に係る情報処理システム1の処理の一例を示すシーケンス図である。
図6は、実施形態に係る物体DB501に記録される情報の一例について説明する図である。
図7は、実施形態に係る端末60での表示画面の一例を示す図である。
図8は、実施形態に係る各時点における特定の物体に関する情報を通知する範囲の一例を示す図である。
【0038】
ステップS101において、情報提供装置34Aは、信号機センサ32Aで撮影された画像に基づいて、特定の物体を検出する。ここで、情報提供装置34Aは、例えば、予め登録されている特定の物体の画像の特徴量と、信号機センサ32A(「第1撮影装置」の一例。)で撮影された画像とに基づいて、特定の物体を検出してもよい。この場合、情報提供装置34Aは、例えば、ディープラーニング等を用いたAI(Artificial Intelligence)により、特定の物体を検出してもよい。
【0039】
なお、特定の物体の画像の特徴量の情報は、例えば、通報者からの通報を受け付けたセンターのオペレータの操作により、サーバ10等から情報提供装置34Aに登録されてもよい。また、情報提供装置34は、予め登録されている特定のパターンの行動を行った人物を検出した場合は、当該人物の画像の特徴量を算出してもよい。
【0040】
続いて、情報提供装置34Aは、当該特定の物体に関する情報を、サーバ10に通知する(ステップS102)。ここで、当該特定の物体に関する情報には、例えば、画像に基づいて検出された特定の物体の移動方向を示す情報、画像が撮影された位置を示す情報、及び画像が撮影されてからの経過時間を示す情報等が含まれてもよい。なお、画像が撮影された位置を示す情報は、情報提供装置34Aに予め設定されている信号機センサ32Aの設置場所を示す情報(例えば、緯度及び経度)でもよい。
【0041】
続いて、サーバ10の決定部11は、当該特定の物体に関する情報に基づき、当該特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する(ステップS103)。ここで、サーバ10は、当該特定の物体が信号機センサ32Aで撮影された位置、当該特定の物体の移動方向、及び当該特定の物体が信号機センサ32Aで撮影されてからの経過時間に基づいて、当該特定の物体が現在において位置する範囲を推定してもよい。そして、サーバ10は、当該特定の物体が現在において位置すると推定した範囲を、当該特定の物体に関する情報を通知する範囲として決定してもよい。
【0042】
例えば、
図8に示すように、信号機センサ32Aが設置されている交差点700A(ベクトル701の始点)で、交差点700Aの隣の交差点700Bの方向(ベクトル701の向き)に不審者等が移動していることが検出されてからの経過時間が1分以内であるとする。この場合、サーバ10は、当該不審者等が1分以内に交差点700Aから交差点700Bの方向に移動したと推定される範囲711内の情報提供装置34及び端末60等に、当該不審者等の情報を通知すると決定する。
【0043】
また、サーバ10は、当該特定の物体が撮影された位置、当該特定の物体の移動方向、及び当該特定の物体が撮影されてからの経過時間に加え、以下に示す各種の情報にも基づいて、当該特定の物体が現在において位置する範囲を推定してもよい。この場合、当該各種の情報には、例えば、特定の物体の移動手段、特定の物体の移動速度、特定の物体が移動する道路の混雑度、及び特定の物体が移動する道路の交通信号機30による信号の切り替え時間を示す情報の少なくとも一つが含まれてもよい。これにより、例えば、特定の物体が現在において位置すると範囲をより適切に推定できる。
【0044】
なお、特定の物体が移動する道路の混雑度を示す情報は、信号機センサ32で測定された情報に基づいて、情報提供装置34により生成されてもよい。この場合、情報提供装置34は、例えば、単位時間内に道路を通過する人物の数に基づいて、歩行者の混雑度を算出してもよい。また、情報提供装置34は、例えば、単位時間内に道路を通過する車両の数に基づいて、車両の混雑度を算出してもよい。サーバ10は、例えば、歩行者の混雑度が高いほど、特定の人物が現在において位置する範囲を狭く推定してもよい。また、サーバ10は、例えば、車両の混雑度が高いほど、特定の車両が現在において位置する範囲を狭く推定してもよい。
【0045】
また、特定の物体が移動する道路の交通信号機30による信号の切り替え時間を示す情報には、特定の物体の移動方向の道路の交通信号が「青」等により進行が許可された時間の情報が含まれてもよい。サーバ10は、例えば、特定の物体の移動方向の道路の交通信号が進行を許可した時間が長いほど、特定の人物が現在において位置する範囲を広く推定してもよい。
【0046】
続いて、サーバ10の決定部11は、決定した範囲等と、特定の物体に関する情報とを物体DB501に記録する(ステップS104)。
図6の例では、物体DB501には、物体IDに対応付けて、画像、特徴情報、画像の特徴量、移動手段、検出位置、検出時刻、推定時刻、範囲、及び通知先情報が記録されている。物体IDは、特定の物体の識別情報である。画像は、特定の物体の画像である。
【0047】
特徴情報には、特定の物体の特徴を示す文字列が含まれてもよい。この場合、特徴情報には、例えば、不審者等の服装の説明文が含まれてもよい。また、特徴情報には、例えば、車両の車種、及び色等が含まれてもよい。特徴情報は、例えば、画像に基づいて生成されてもよいし、通報者からの通報を受け付けたセンターのオペレータにより入力されてもよい。
【0048】
移動手段は、特定の物体の移動手段の種別である。移動手段には、例えば、徒歩、自転車、自動二輪車、普通自動車等が含まれてもよい。特徴情報、画像の特徴量、及び移動手段の情報は、情報提供装置34により生成されてもよいし、サーバ10により生成されてもよい。
【0049】
検出位置は、画像に基づいて特定の物体が検出された位置である。検出時刻は、画像に基づいて特定の物体が検出された時刻である。推定時刻は、特定の物体に関する情報を通知する範囲(特定の物体が現在において位置すると推定される範囲(領域)。以下で、適宜「通知対象範囲」とも称する。)を最後(今回)に決定した時刻である。範囲は、最後に決定した、通知対象範囲である。通知先情報は、特定の物体に関する情報を通知する範囲に含まれる各通知先(情報提供装置34及び端末60)を示す情報である。
【0050】
続いて、サーバ10の送信部12は、当該特定の物体に関する情報を、ステップS103の処理で決定した通知対象範囲に応じた情報提供装置34B及び端末60Bに送信する(ステップS105)。ここで、サーバ10は、例えば、通知対象範囲内に設置されている情報提供装置34Bに、当該特定の物体に関する情報を送信してもよい。また、サーバ10は、複数の端末60のうち、通知対象範囲内に設置されている信号機基地局31Bに在圏している端末60Bに、当該特定の物体に関する情報を送信してもよい。
【0051】
また、サーバ10は、GPS(Global Positioning System, Global Positioning Satellite)等の衛星測位システムを用いて測定された各端末60の位置情報を取得してもよい。そして、サーバ10は、複数の端末60のうち、通知対象範囲内に位置している端末60Bに、当該特定の物体に関する情報を送信してもよい。
【0052】
また、サーバ10は、各端末60のユーザに指定された、各端末60のユーザの居住地域(住所)の情報を記憶していてもよい。そして、サーバ10は、複数の端末60のうち、通知対象範囲内に居住している端末60Bに、当該特定の物体に関する情報を送信してもよい。
【0053】
図7には、端末60での、サーバ10から通知された特定の物体に関する情報に基づく表示画面601の一例が示されている。
図7の例では、端末60は、物体DB501に記録されている特徴情報、検出位置、及び検出時刻等に基づく警告メッセージ611を表示している。また、端末60は、特定の物体の画像へのリンク612、行動の詳細へのリンク613、移動経路へのリンク614、及び特定のボタンを撮影して認識するためのボタン615を表示している。
【0054】
行動の詳細へのリンク613がユーザにより押下された場合、端末60は、サーバ10の物体DB501に記録されている特定の物体の特徴情報の少なくとも一部を取得して表示させる。移動経路へのリンク614がユーザにより押下された場合、端末60は、サーバ10の物体DB501に記録されている特定の物体の検出時刻及び検出位置の履歴に基づいた特定の物体の移動経路を地図上で表示させてもよい。
【0055】
(画像の加工について)
特定の物体の画像へのリンク612がユーザにより押下された場合、端末60は、サーバ10の物体DB501に記録されている特定の物体の画像を取得して表示させる。この場合、サーバ10は、当該特定の物体が人物である場合、当該画像における当該人物の顔の領域の少なくとも一部を加工して、端末60に表示させてもよい。また、サーバ10は、当該特定の物体が車両である場合、当該画像における当該車両のナンバープレートの領域の少なくとも一部を加工して、端末60に表示させてもよい。なお、サーバ10は、当該画像を加工する処理を、内部のモジュールで実行してもよいし、外部の画像修正サーバで実行させてもよい。当該画像を加工する処理は、例えば、モザイクをかける処理でもよいし、黒等で塗りつぶす処理でもよい。
【0056】
また、サーバ10は、当該特定の物体が撮影された位置、当該特定の物体の移動方向、及び当該特定の物体が撮影されてからの経過時間等に基づいて、通知対象範囲内の各領域に対して当該特定の物体が存在する確度(確率)を決定(推定)してもよい。または、サーバ10は、上述した各種の情報にもさらに基づいて、通知対象範囲内の各領域に対して当該特定の物体が存在する確度(確率)を決定(推定)してもよい。なお、当該各種の情報には、上述したように、特定の物体の移動手段、特定の物体の移動速度、特定の物体が移動する道路の混雑度、及び特定の物体が移動する道路の交通信号機30による信号の切り替え時間を示す情報の少なくとも一つが含まれてもよい。
【0057】
そして、サーバ10は、特定の物体の画像が第1加工度で加工(例えば、10×10画素を同一の画素値に加工)された加工画像を第1確度の領域に応じた端末60へ送信してもよい。そして、サーバ10は、特定の物体の画像が第1加工度よりも高い第2加工度(例えば、20×20画素を同一の画素値に加工)で加工された画像を前記第1確度よりも低い第2確度の領域に応じた端末60へ送信してもよい。これにより、例えば、通知対象範囲が比較的広範囲である場合に、不審者等に遭遇する可能性が低いユーザに対しては、不審者等のプライバシーがより保護された画像を提供することができる。
【0058】
以下では、ステップS105の処理を実行してから一定時間内(例えば、10分間)において、当該特定の物体が情報提供装置34及び端末60のいずれにおいても検出されない場合の例について説明する。なお、当該特定の物体が情報提供装置34及び端末60のいずれかで検出された場合は、ステップS113以降の処理で、情報提供装置34Cを情報提供装置34Bまたは端末60B等と読み替えればよい。
【0059】
サーバ10の決定部11は、ステップS101で当該特定の物体が撮影(検出)されてから所定時間が経過した際(「第2経過時間」の一例。)、通知対象範囲を再度決定(更新)する(ステップS108)。例えば、
図8に示すように、信号機センサ32Aが設置されている交差点700Aで、交差点700Aの隣の交差点700Bの方向に不審者等が移動していることが検出されてからの経過時間が10分であるとする。この場合、サーバ10は、交差点700Aで検出されてから10分後に当該不審者等が移動していると推定される範囲712内の情報提供装置34及び端末60等に、当該不審者等の情報を通知すると決定する。
【0060】
なお、サーバ10は、以前の通知対象範囲に含まれない領域を今回の通知対象範囲として決定してもよい。これにより、例えば、情報提供装置34及び端末60等へ通知が繰り返されることを低減できる。また、今回の通知対象範囲に応じた情報提供装置34及び端末60等のうち、当該特定の物体に関する情報を通知していない情報提供装置34及び端末60等のみを通知対象と決定してもよい。これにより、例えば、情報提供装置34及び端末60等へ通知が繰り返されるないようにすることができる。また、サーバ10は、信号機センサ32Aにより当該特定の物体が撮影されてから所定時間が経過している場合は、撮影された位置(信号機センサ32Aの設置位置)を含まない領域を通知対象範囲として決定してもよい。
【0061】
続いて、サーバ10の決定部11は、決定(更新)した内容を物体DB501に記録する(ステップS109)。続いて、サーバ10の送信部12は、当該特定の物体に関する情報を、決定した通知対象範囲に応じた情報提供装置34C及び端末60Cに送信する(ステップS110)。なお、ステップS108からステップS110の各処理は、ステップS103からステップS105の各処理とそれぞれ同様でもよい。なお、サーバ10は、特定の物体が検出されたのち、当該特定の物体が他の情報提供装置34等で再度検出されるまで、所定の時間間隔等の各時点でステップS103からステップS105の各処理と同様の処理を繰り返して実行する。これにより、当該特定の物体が最後に検出されてからの経過時間に応じて、通知対象範囲が更新される。
【0062】
また、サーバ10は、当該特定の物体が他の情報提供装置34等で再度検出された際にも、ステップS103からステップS105の各処理と同様の処理を繰り返して実行する。以下では、ステップS110の処理を実行してから一定時間内(例えば、10分間)において、当該特定の物体が情報提供装置34Cで検出された場合の例について説明する。そのため、情報提供装置34CによるステップS111、ステップS112の各処理は、情報提供装置34AによるステップS101、ステップS102の各処理とそれぞれ同様でもよい。また、ステップS113からステップS115の各処理は、ステップS103からステップS105の各処理とそれぞれ同様でもよい。
【0063】
情報提供装置34Cは、サーバ10から受信した特定の物体の画像の特徴量と、信号機センサ32C(「第2撮影装置」の一例。)で撮影された画像とに基づいて、当該特定の物体を検出する(ステップS111)。続いて、情報提供装置34Cは、当該特定の物体に関する情報を、サーバ10に通知する(ステップS112)。続いて、サーバ10は、信号機センサ32Cで撮影された画像に基づいて生成された特定の物体に関する情報に基づき、通知対象範囲を再度決定する(ステップS113)。ここで、サーバ10は、当該特定の物体が信号機センサ32Cで撮影された位置、当該特定の物体の移動方向、及び当該特定の物体が信号機センサ32Cで撮影されてからの経過時間等に基づいて、当該特定の物体が現在において位置する範囲を推定してもよい。そして、サーバ10は、当該特定の物体が現在において位置すると推定した範囲を、通知対象範囲として決定してもよい。
【0064】
例えば、
図8に示すように、信号機センサ32Cが設置されている交差点700Cで、ベクトル702の方向に不審者等が移動していることが検出されてからの経過時間が1分であるとする。この場合、サーバ10は、当該不審者等が1分以内に交差点700Cから移動していると推定される範囲721内の情報提供装置34及び端末60等に、当該不審者等の情報を通知すると決定する。
【0065】
続いて、サーバ10の決定部11は、決定した内容を物体DB501に記録する(ステップS114)。続いて、サーバ10の送信部12は、当該特定の物体に関する情報を、決定した通知対象範囲に応じた情報提供装置34D及び端末60Dに送信する(ステップS115)。
【0066】
続いて、サーバ10の送信部12は、当該特定の物体の検出を停止させる指示を情報提供装置34A及び情報提供装置34Bに送信する(ステップS116)。ここで、サーバ10は、特定の物体の検出を終了させる情報(指示、要求、コマンド)を、第1時点の通知対象範囲(第1範囲)に応じた装置のうち、現在の通知対象範囲(第2範囲)に応じた装置に含まれない装置へ送信してもよい。これにより、特定の物体が位置しないと推定された範囲に設置されている情報提供装置34での、特定の物体を検出する処理が停止される。そのため、例えば、当該情報提供装置34における処理負荷を低減できる。なお、この場合において、第1範囲と第2範囲とが重複しない場合には、第1範囲に応じた装置へ特定の物体の検出を終了させる情報が送信される。
【0067】
図8の例では、サーバ10は、範囲711のうち範囲721以外の範囲の情報提供装置34に特定の物体の検出を終了させる情報を送信してもよい。そして、サーバ10は、当該特定の物体が最後に検出されてから所定時間(例えば、10分)経過し、通知対象範囲を範囲722に更新した場合、範囲721のうち範囲722以外の範囲の情報提供装置34Cに特定の物体の検出を終了させる情報を送信してもよい。
【0068】
サーバ10は、信号機センサ32Cで撮影された画像に基づいて当該特定の物体が検出された場合、当該画像で当該特定の物体が検出された確度に基づいて、情報提供装置34Cに特定の物体の検出を終了させるタイミングを決定してもよい。当該確度、例えば、AI等により算出された当該特定の物体らしさを示す値でもよい。これにより、当該特定の物体がある情報提供装置34で誤検出された場合に、他の情報提供装置34での検出を停止させたために適切に追跡できなくなることを低減できる。
【0069】
サーバ10は、当該確度に応じた時間が経過したのちに当該特定の物体の検出を終了させる情報を、第1範囲に応じた装置のうち第2範囲に応じた装置に含まれない装置へ送信してもよい。この場合、サーバ10は、当該確度が低いほど、当該特定の物体の検出を停止させるまでの時間を長く決定してもよい。
【0070】
(交通信号機30を制御する例)
サーバ10は、特定の物体の移動方向への進行を不許可とする「赤」等の信号の表示期間を増加させる情報を、当該移動方向に応じた交通信号機30の信号制御装置33へ送信してもよい。そして、信号制御装置33は、サーバ10から受信した情報に基づき、交通信号機30の信号を制御してもよい。これにより、例えば、容疑者等の移動を遅らせることができる。そのため、容疑者等の追跡等をより適切に行うことができる。
【0071】
<変形例>
サーバ10は、例えば1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。また、サーバ10とDBサーバ70とを一体のサーバとして構成してもよい。また、サーバ10と情報提供装置34とを一体のサーバ(装置)として構成してもよい。
【0072】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0073】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
画像に基づいて検出された特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された範囲に応じた装置へ、前記特定の物体に関する情報を送信させる送信手段と、
を有する情報処理装置。
(付記2)
前記送信手段は、
前記経過時間が第1経過時間である際に前記決定手段により決定された範囲に応じた装置へ前記特定の物体に関する情報を送信させたのち、
前記経過時間が前記第1経過時間よりも後の第2経過時間である際に前記決定手段により決定された範囲に応じた装置へ前記特定の物体に関する情報を送信させる、
付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記決定手段は、さらに、
前記特定の物体の移動手段に基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する、
付記1または2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記決定手段は、さらに、
前記特定の物体の移動速度に基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する、
付記1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記5)
前記決定手段は、さらに、
前記特定の物体が移動する道路の混雑度に基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する、
付記1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記6)
前記決定手段は、さらに、
前記特定の物体が移動する道路の交通信号機による信号の切り替え時間を示す情報に基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する、
付記1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記送信手段は、
前記決定手段により決定された範囲に設置されている基地局に在圏している無線通信端末へ、前記特定の物体に関する情報を送信させる、
付記1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記8)
前記送信手段は、
前記特定の物体が人物である場合、前記画像における当該人物の顔の領域の少なくとも一部が加工された加工画像を送信させる、
付記1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記9)
前記送信手段は、
前記特定の物体が車両である場合、前記画像における当該車両のナンバープレートの領域の少なくとも一部が加工された加工画像を送信させる、
付記1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記10)
前記決定手段は、
前記画像に基づいて検出された前記特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲内の各領域に対して前記特定の物体が存在する確度を決定し、
前記送信手段は、
前記画像が第1加工度で加工された加工画像を第1確度の領域に応じた端末へ送信させ、
前記画像が前記第1加工度よりも高い第2加工度で加工された加工画像を前記第1確度よりも低い第2確度の領域に応じた端末へ送信させる、
付記8または9に記載の情報処理装置。
(付記11)
前記送信手段は、
前記移動方向への進行を不許可とする信号の表示期間を増加させる情報を、前記移動方向に応じた交通信号機へ送信させる、
付記1から10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記12)
前記決定手段は、
第1撮影装置で撮影された第1画像に基づいて検出された前記特定の物体の移動方向と、前記第1画像が撮影された位置と、前記第1画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する第1範囲を決定し、
第2撮影装置で撮影された第2画像に基づいて前記特定の物体が検出された場合、前記第2画像に基づいて検出された前記特定の物体の移動方向と、前記第2画像が撮影された位置と、前記第2画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する第2範囲を決定する、
付記1から11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記13)
前記送信手段は、
前記第2画像に基づいて前記特定の物体が検出された場合、前記特定の物体の検出を終了させる情報を、前記第1範囲に応じた装置のうち前記第2範囲に応じた装置に含まれない装置へ送信させる、
付記12に記載の情報処理装置。
(付記14)
前記送信手段は、
前記第2画像に基づいて前記特定の物体が検出された場合、前記第2画像で前記特定の物体が検出された確度に応じた時間が経過したのちに前記特定の物体の検出を終了させる情報を、前記第1範囲に応じた装置のうち前記第2範囲に応じた装置に含まれない装置へ送信させる、
付記13に記載の情報処理装置。
(付記15)
画像に基づいて検出された特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定し、
決定した範囲に応じた装置へ、前記特定の物体に関する情報を送信させる、
情報処理方法。
(付記16)
情報処理装置に、
画像に基づいて検出された特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する処理と、
決定した範囲に応じた装置へ、前記特定の物体に関する情報を送信させる処理と、
を実行させるプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記17)
撮影装置、第1情報処理装置、第2情報処理装置、及び第3情報処理装置を有する情報処理システムであって、
前記第1情報処理装置は、前記撮影装置により撮影された画像に基づき、特定の物体の移動方向を検出し、
前記第2情報処理装置は、
前記画像に基づいて検出された特定の物体の移動方向と、前記画像が撮影された位置と、前記画像が撮影されてからの経過時間とに基づいて、前記特定の物体に関する情報を通知する範囲を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された範囲に応じた前記第3情報処理装置へ、前記特定の物体に関する情報を送信させる送信手段と、を有する、
情報処理システム。
【符号の説明】
【0074】
1 情報処理システム
10 サーバ
11 決定部
12 送信部
30 交通信号機
31 信号機基地局
32 信号機センサ
33 信号制御装置
34 情報提供装置
60 端末
70 DBサーバ