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特許7556468CD47阻害物質、免疫チェックポイント阻害物質および標準療法の併用によるがん治療法
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  • 特許-CD47阻害物質、免疫チェックポイント阻害物質および標準療法の併用によるがん治療法 図1
  • 特許-CD47阻害物質、免疫チェックポイント阻害物質および標準療法の併用によるがん治療法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】CD47阻害物質、免疫チェックポイント阻害物質および標準療法の併用によるがん治療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240918BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 31/505 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61K39/395 N
A61K31/282
A61K31/519
A61K31/505
A61P35/00
A61P43/00 121
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023527921
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(86)【国際出願番号】 JP2022023300
(87)【国際公開番号】W WO2022260132
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】P 2021097024
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021097027
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000185983
【氏名又は名称】小野薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 達也
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-519372(JP,A)
【文献】国際公開第2020/111018(WO,A1)
【文献】J. Hematol. Oncol.,2020年,13, [1],Article.160,<DOI:10.1186/s13045-020-00989-w>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00-45/08
A61K 39/395
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標準療法、並びに免疫チェックポイント阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、CD47阻害物質を有効成分として含む固形がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、標準療法がFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法であり、免疫チェックポイント阻害物質がNivolumabであり、CD47阻害物質がMagrolimabであり、FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)ベバシズマブ 5mg/kg(体重)を静脈内投与すること、またはセツキシマブ 1回目は400mg/m (体表面積)、2回目以降は250mg/m (体表面積)を静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m (体表面積)を静脈内投与すること、
(1b)レボホリナートカルシウム 200mg/m (体表面積)を静脈内投与すること、
(1c)フルオロウラシル 400mg/m (体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m (体表面積)を静脈内持続投与すること、
を含み、当該(1x)、(1a)、(1b)、(1c)および(1d)の一連の投与が2週間間隔で実施され、
Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与され、
Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で静脈内投与されることを特徴とし、固形がんが、結腸・直腸がんである、進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
【請求項2】
標準療法、並びにCD47阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、免疫チェックポイント阻害物質を有効成分として含む固形がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、標準療法がFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法であり、免疫チェックポイント阻害物質がNivolumabであり、CD47阻害物質がMagrolimabであり、FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)ベバシズマブ 5mg/kg(体重)を静脈内投与すること、またはセツキシマブ 1回目は400mg/m (体表面積)、2回目以降は250mg/m (体表面積)を静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m (体表面積)を静脈内投与すること、
(1b)レボホリナートカルシウム 200mg/m (体表面積)を静脈内投与すること、
(1c)フルオロウラシル 400mg/m (体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m (体表面積)を静脈内持続投与すること、
を含み、当該(1x)、(1a)、(1b)、(1c)および(1d)の一連の投与が2週間間隔で実施され、
Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与され、
Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で静脈内投与されることを特徴とし、固形がんが、結腸・直腸がんである、進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
【請求項3】
結腸・直腸がんが、根治切除不能な進行または再発の結腸・直腸がんである、請求項1または請求項2に記載の剤。
【請求項4】
根治切除不能な進行または再発の結腸・直腸がんに対する全身性抗悪性腫瘍剤による治療歴のない患者に一次治療として投与されることを特徴とする、請求項に記載の剤。
【請求項5】
結腸・直腸がんが、MSI-HもdMMRも有しない患者の結腸・直腸がんである、請求項1または請求項2に記載の剤。
【請求項6】
標準療法、並びに免疫チェックポイント阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、CD47阻害物質を有効成分として含む固形がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、標準療法がFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法であり、免疫チェックポイント阻害物質がNivolumabであり、CD47阻害物質がMagrolimabであり、FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)ベバシズマブ 5mg/kg(体重)を静脈内投与すること、またはセツキシマブ 1回目は400mg/m (体表面積)、2回目以降は250mg/m (体表面積)を静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m (体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1b)レボホリナート 100mg/m (体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1c)当該(1a)のオキサリプラチンおよび当該(1b)のレボホリナートの投与終了後に、フルオロウラシル 400mg/m (体表面積)を急速静脈内投与すること、
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後に、さらにフルオロウラシル 600mg/m (体表面積)を22時間かけて静脈内投与すること、
(1e)さらにレボホリナート 100mg/m (体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1f)当該(1e)のレボホリナートの投与終了後に、フルオロウラシル 400mg/m (体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1g)当該(1f)のフルオロウラシルの投与終了後に、さらにフルオロウラシル 600mg/m (体表面積)を22時間かけて静脈内投与することを含み、当該(1a)、(1b)、(1c)、(1d)、(1e)、(1f)および(1g)の一連の投与を2週間間隔で実施され、
Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与され、
Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で静脈内投与されることを特徴とし、固形がんが、結腸・直腸がんである、進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
【請求項7】
標準療法、並びにCD47阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、免疫チェックポイント阻害物質を有効成分として含む固形がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、標準療法がFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法であり、免疫チェックポイント阻害物質がNivolumabであり、CD47阻害物質がMagrolimabであり、FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)ベバシズマブ 5mg/kg(体重)を静脈内投与すること、またはセツキシマブ 1回目は400mg/m (体表面積)、2回目以降は250mg/m (体表面積)を静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m (体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1b)レボホリナート 100mg/m (体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1c)当該(1a)のオキサリプラチンおよび当該(1b)のレボホリナートの投与終了後に、フルオロウラシル 400mg/m (体表面積)を急速静脈内投与すること、
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後に、さらにフルオロウラシル 600mg/m (体表面積)を22時間かけて静脈内投与すること、
(1e)さらにレボホリナート 100mg/m (体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1f)当該(1e)のレボホリナートの投与終了後に、フルオロウラシル 400mg/m (体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1g)当該(1f)のフルオロウラシルの投与終了後に、さらにフルオロウラシル 600mg/m (体表面積)を22時間かけて静脈内投与することを含み、当該(1a)、(1b)、(1c)、(1d)、(1e)、(1f)および(1g)の一連の投与を2週間間隔で実施され、
Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与され、
Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で静脈内投与されることを特徴とし、固形がんが、結腸・直腸がんである、進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
【請求項8】
標準療法、並びに免疫チェックポイント阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、CD47阻害物質を有効成分として含む固形がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、標準療法がFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法であり、免疫チェックポイント阻害物質がNivolumabであり、CD47阻害物質がMagrolimabであり、FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)ベバシズマブ 5mg/kg(体重)を静脈内投与すること、またはセツキシマブ 1回目は400mg/m (体表面積)、2回目以降は250mg/m (体表面積)を静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m (体表面積)を静脈内投与すること、
(1b)レボホリナートカルシウム 200mg/m (体表面積)を静脈内投与すること、
(1c)フルオロウラシル 400mg/m (体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m (体表面積)を静脈内持続投与すること、
を含み、当該(1x)、(1a)、(1b)、(1c)および(1d)の一連の投与が2週間間隔で実施され、
Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与され、
Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔、または1回360mgを3週間間隔で静脈内投与されることを特徴とし、固形がんが、結腸・直腸がんである、進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
【請求項9】
標準療法、並びにCD47阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、免疫チェックポイント阻害物質を有効成分として含む固形がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、標準療法がFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法であり、免疫チェックポイント阻害物質がNivolumabであり、CD47阻害物質がMagrolimabであり、FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)ベバシズマブ 5mg/kg(体重)を静脈内投与すること、またはセツキシマブ 1回目は400mg/m (体表面積)、2回目以降は250mg/m (体表面積)を静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m (体表面積)を静脈内投与すること、
(1b)レボホリナートカルシウム 200mg/m (体表面積)を静脈内投与すること、
(1c)フルオロウラシル 400mg/m (体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m (体表面積)を静脈内持続投与すること、
を含み、当該(1x)、(1a)、(1b)、(1c)および(1d)の一連の投与が2週間間隔で実施され、
Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与され、
Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔、または1回360mgを3週間間隔で静脈内投与されることを特徴とし、固形がんが、結腸・直腸がんである、進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
【請求項10】
標準療法、並びに免疫チェックポイント阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、CD47阻害物質を有効成分として含む固形がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、標準療法がFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法であり、免疫チェックポイント阻害物質がNivolumabであり、CD47阻害物質がMagrolimabであり、FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)ベバシズマブ 5mg/kg(体重)を静脈内投与すること、またはセツキシマブ 1回目は400mg/m (体表面積)、2回目以降は250mg/m (体表面積)を静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m (体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1b)レボホリナート 100mg/m (体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1c)当該(1a)のオキサリプラチンおよび当該(1b)のレボホリナートの投与終了後に、フルオロウラシル 400mg/m (体表面積)を急速静脈内投与すること、
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後に、さらにフルオロウラシル 600mg/m (体表面積)を22時間かけて静脈内投与すること、
(1e)さらにレボホリナート 100mg/m (体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1f)当該(1e)のレボホリナートの投与終了後に、フルオロウラシル 400mg/m (体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1g)当該(1f)のフルオロウラシルの投与終了後に、さらにフルオロウラシル 600mg/m (体表面積)を22時間かけて静脈内投与することを含み、当該(1a)、(1b)、(1c)、(1d)、(1e)、(1f)および(1g)の一連の投与を2週間間隔で実施され、
Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与され、
Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔、または1回360mgを3週間間隔で静脈内投与されることを特徴とし、固形がんが、結腸・直腸がんである、進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
【請求項11】
標準療法、並びにCD47阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、免疫チェックポイント阻害物質を有効成分として含む固形がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、標準療法がFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法であり、免疫チェックポイント阻害物質がNivolumabであり、CD47阻害物質がMagrolimabであり、FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)ベバシズマブ 5mg/kg(体重)を静脈内投与すること、またはセツキシマブ 1回目は400mg/m (体表面積)、2回目以降は250mg/m (体表面積)を静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m (体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1b)レボホリナート 100mg/m (体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1c)当該(1a)のオキサリプラチンおよび当該(1b)のレボホリナートの投与終了後に、フルオロウラシル 400mg/m (体表面積)を急速静脈内投与すること、
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後に、さらにフルオロウラシル 600mg/m (体表面積)を22時間かけて静脈内投与すること、
(1e)さらにレボホリナート 100mg/m (体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1f)当該(1e)のレボホリナートの投与終了後に、フルオロウラシル 400mg/m (体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1g)当該(1f)のフルオロウラシルの投与終了後に、さらにフルオロウラシル 600mg/m (体表面積)を22時間かけて静脈内投与することを含み、当該(1a)、(1b)、(1c)、(1d)、(1e)、(1f)および(1g)の一連の投与を2週間間隔で実施され、
Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与され、
Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔、または1回360mgを3週間間隔で静脈内投与されることを特徴とし、固形がんが、結腸・直腸がんである、進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
【請求項12】
結腸・直腸がんが、根治切除不能な進行または再発の結腸・直腸がんである、請求項6~11のいずれか一項に記載の剤。
【請求項13】
根治切除不能な進行または再発の結腸・直腸がんに対する全身性抗悪性腫瘍剤による治療歴のない患者に一次治療として投与されることを特徴とする、請求項12に記載の剤。
【請求項14】
結腸・直腸がんが、MSI-HもdMMRも有しない患者の結腸・直腸がんである、請求項6~11のいずれか一項に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、CD47阻害物質、免疫チェックポイント阻害物質および標準療法の併用によるがん治療法(本発明の治療法と略記する場合がある)等に関する。
【背景技術】
【0002】
CD47は、5回膜貫通型の糖タンパク質であり、がん細胞に発現するCD47はマクロファージや樹状細胞に発現するsignal regulatory protein alpha(SIRPα)と結合することで、マクロファージに“don’t eat me”シグナルを伝達し、マクロファージによるがん細胞の貪食を抑制することに関与している。CD47阻害物質は、がん細胞膜上のCD47に結合することで、“don’t eat me”シグナルがマクロファージに伝達されるのを阻害し、マクロファージによるがん細胞の貪食を促進するため、がん治療に有用であると考えられる(非特許文献1~4参照)。
【0003】
特許文献1には、CD47阻害物質が、マクロファージによるがん細胞の貪食を促進し、がん治療薬として有用であることが開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
一方、がん細胞やがんの微小環境には、がんに対する免疫応答を妨げる種々の免疫チェックポイント分子が存在する。免疫チェックポイント阻害物質は、免疫抑制機構を解除し、がんに対する免疫反応を活性化する新たな治療法であり、既に、免疫チェックポイント阻害物質として、抗CTLA-4(cytotoxic T lymphocyte-associated antigen-4)抗体のイピリムマブ(ipilimumab)や抗PD-1(programmed cell death-1)抗体のニボルマブ(nivolumab)およびペンブロリズマブ(pembrolizumab)等が国内外で承認を得て、がん治療で使用されている。
【0005】
根治切除不能な進行又は再発の結腸・直腸がんに対しては薬物療法が適用され、標準療法として、フルオロウラシル(5-FU)、レボホリナート、およびオキサリプラチンを併用するFOLFOX療法に血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に対する分子標的治療薬であるベバシズマブ又は上皮成長因子受容体(EGFR)に対する分子標的治療薬であるセツキシマブもしくはパニツムマブを加えた併用療法がある。
【0006】
遠隔転移を有する切除不能な膵臓がんに対する主な治療は薬物療法であり、標準療法として、フルオロウラシル(5-FU)を含むレジメンをオキサリプラチンおよびイリノテカンと併用するFOLFIRINOX療法(以下、「FFX療法」と略記することがある。)、FFX療法から毒性軽減を期待して、フルオロウラシルの急速投与を省略し、イリノテカンを減量したmodified FOLFIRINOX療法(以下、「mFFX療法」と略記することがある。)がある。
【0007】
それら治療法において一定の効果が認められるものの、更に生存期間の延長をもたらす治療に対するアンメットニーズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】WO2009/091601
【非特許文献】
【0009】
【文献】トレンズ・イン・セル・バイオロジー(Trends in Cell Biology)、第11巻(3)、130-135ページ、2001年
【文献】ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディシン(Journal of Experimental Medicine)、第194巻(4)、541-549ページ、2001年
【文献】ジャーナル・オブ・イムノロジー(Journal of Immunology)、第174巻(4)、2004-2011ページ、2005年
【文献】セル(Cell)、第138巻(2)、286-299ページ、2009年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、がん(例えば大腸がん、膵臓がん)の新たな治療法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を解決するため、鋭意研究した結果、標準療法にCD47阻害物質および免疫チェックポイント阻害物質を併用することが有効ながん治療法となり得ることを見出した。
【0012】
従って、ある態様では、
[1]標準療法、並びに免疫チェックポイント阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、CD47阻害物質を有効成分として含む固形がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤、
[2]標準療法、並びにCD47阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、免疫チェックポイント阻害物質を有効成分として含む固形がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤、が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の治療法は、がん治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は根治切除不能な進行又は再発の結腸・直腸がん患者を対象に、後述に記載のMagrolimab、NivolumabとFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法との併用時の忍容性、安全性および有効性を評価する多施設共同非盲検非対照試験の概要を示す。
図2図2は遠隔転移を有する膵臓がん患者を対象に、後述に記載のMagrolimab、NivolumabとmFFX療法との併用時の忍容性、安全性および有効性を評価する多施設共同非盲検非対照試験の概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)CD47阻害物質
本発明において、CD47阻害物質は、CD47阻害作用を有する化合物であれば特に限定されないが、一実施形態において、CD47とSIRPαとの結合を阻害する薬剤(好ましくは抗体、さらに好ましくはモノクローナル抗体)であり、抗CD47抗体、抗SIRPα抗体等が挙げられ、前記抗体の抗原結合フラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab’、(Fab’)、scFv、scFv-Fc)であってもよい。抗CD47抗体の例としては、Magrolimab(Hu5F9-G4)、CC-90002、STI-6643、ZL-1201、TAY-018、SGN-CD47M、GenSci-059、lemzoparlimab、letaplimab、IMC-002、SHR-1603、AO-176、AVI-105、MIL-95、AK-117、HLX-24、SG-404、SY-102、IMM-01、KD-015、BAT-6004、ALX-148、SRF-231、TJ-011133、letaplimab、TQB-2928、AL-008、JMT-601、およびDSP-107が挙げられる。抗SIRPα抗体の例としては、ES-004、CTX-5861、ADU-1805、BI-765063、BYON-4228、FSI-189、およびCC-95251が挙げられる。CD47阻害物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。CD47阻害物質として好ましくは抗CD47抗体であり、抗CD47抗体として好ましくはMagrolimab(CAS番号:2169232-81-7)である。また、上記既知の抗体の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDRs)または可変領域(VR)を含む抗体またはその抗原結合フラグメントもCD47阻害物質の一態様である。例えば、抗CD47抗体の更なる一態様としては、例えばMagrolimabの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDRs)または可変領域(VR)を含む抗体またはその抗原結合フラグメントが挙げられる。また、抗CD47抗体の一態様としては、CD47への結合についてMagrolimabと競合する抗体、または、Magrolimabと同じCD47エピトープに結合する抗体、または、これらの抗原結合フラグメントが挙げられる。
【0016】
本発明においてCD47阻害物質は、公知の方法に従い製造することができ、例えば、Magrolimabは、WO2011/143624に記載された方法に準じて製造することができる。
【0017】
本発明の治療法に用いられるCD47阻害物質の投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、最適な所望の効果をもたらすように調整される。
【0018】
例えば、抗CD47抗体(例えば、Magrolimab)の治療上有効な用量(治療用量)は、一実施形態において、約15mg/kg~約60mg/kg(好ましくは、約15mg/kg~約45mg/kg、さらに好ましくは約15mg/kg~約30mg/kg、好ましい実施形態としては、約15mg/kg、約20mg/kg、約30mg/kg、約45mg/kg)である。また、投与間隔としては、例えば、半週(3日もしくは4日)、1週間または2週間が挙げられ、1回の投与時間としては、例えば、約60分間以上、約90分間以上、約120分間以上、または約2時間(±30分)が挙げられる。もちろん前記したように、投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与の必要な場合もある。また、一実施形態において、安全性と有効性を最適化するために、治療用量を漸増してもよい。
【0019】
一実施形態において、治療上有効な用量の抗CD47抗体(例えば、Magrolimab)が投与される前に、プライミング剤が投与される。適切なプライミング剤は、赤血球新生刺激剤(ESA)、および/または抗CD47抗体(例えば、Magrolimab)の初回投与用量を含む。プライミング剤の投与後、網状赤血球産生の増大に有効な期間を与えた後(例えば、プライミング剤の投与後、少なくとも約3日後(例えば、少なくとも約4日後、少なくとも約5日後、少なくとも約6日後、少なくとも約7日後、少なくとも約8日後、少なくとも約9日後、または少なくとも約10日後))、治療用量の抗CD47抗体(例えば、Magrolimab)が投与される。抗CD47抗体(例えば、Magrolimab)の特定の適切な初回投与用量等は、一実施形態において、約0.5mg/kg~約5mg/kg(好ましくは約1mg/kg)であり、約2.5時間~約6時間(例えば、約3時間~約4時間、または約3時間(±30分))かけて静脈内に投与される。一実施形態において、抗CD47抗体(例えば、Magrolimab)として初回投与時は約1mg/kgを静脈内に投与され、2回目投与以降は1回約15mg/kg~約30mg/kg(好ましくは約20mg/kgまたは約30mg/kg)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内に投与される。
【0020】
(2)免疫チェックポイント阻害物質
本発明において、免疫チェックポイント分子は、抑制性共シグナルを伝達することで免疫抑制機能を発揮する分子を意味する。免疫チェックポイント分子としては、CTLA-4、PD-1、PD-L1(programmed cell death-ligand 1)、PD-L2(programmed cell death-ligand 2)、LAG-3(Lymphocyte activation gene 3)、TIM3(T cell immunoglobulin and mucin-3)、BTLA(B and T lymphocyte attenuator)、B7H3、B7H4、CD160、CD39、CD73、A2aR(adenosine A2a receptor)、KIR(killer inhibitory receptor)、VISTA(V-domain Ig-containing suppressor of T cell activation)、IDO1(Indoleamine 2,3-dioxygenase)、ArginaseI、TIGIT(T cell immunoglobulin and ITIM domain)、CD115等が知られているが(Nature Reviews Cancer、12、252-264ページ、2012年、Cancer Cell、27、450-461ページ、2015年を参照)、定義に一致する働きを有する分子であれば特に限定されない。
【0021】
本発明において免疫チェックポイント阻害物質は、免疫チェックポイント分子の機能を阻害する物質である。免疫チェックポイント阻害物質としては、免疫チェックポイント分子の機能(シグナル)を抑制しうる物質であれば特に限定されない。免疫チェックポイント阻害物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。免疫チェックポイント阻害物質として好ましくは抗体(好ましくはモノクローナル抗体)またはその抗原結合フラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab’、(Fab’)、scFv、scFv-Fc)である。
【0022】
免疫チェックポイント阻害物質としては、例えば、抗PD-1抗体(例えば、Nivolumab、Cemiplimab(REGN-2810)、Pembrolizumab(MK-3475)、Spartalizumab(PDR-001)、Tislelizumab(BGB-A317)、AMP-514(MEDI0680)、Dostarlimab(ANB011/TSR-042)、Toripalimab(JS001)、Camrelizumab(SHR-1210)、Genolimzumab(CBT-501)、Sintilimab(IBI308)、STI-A1110、ENUM 388D4、ENUM 244C8、GLS010、Retifanlimab(MGA012)、Balstilimab(AGEN2034)、CS1003、Serplulimab(HLX10)、BAT-1306、AK105、AK103、BI 754091、LZM009、CMAB819、Sym021、Geptanolimab(GB226)、SSI-361、JY034、HX008、ISU106、Budigalimab(ABBV181)、Prolgolimab(BCD-100)、Sasanlimab(PF-06801591)、CX-188、Cetrelimab(JNJ-63723283)およびZimberelimab(AB122)等)、抗PD-L1抗体(例えば、Atezolizumab(RG7446/MPDL3280A)、Avelumab(PF-06834635/MSB0010718C)、Durvalumab(MEDI4736)、BMS-936559、STI-1014、Envafolimab(KN035)、Lodapolimab(LY3300054)、HLX20、SHR-1316、CS1001(WBP3155)、MSB2311、BGB-A333、KL-A167、CK-301、AK106、AK104、ZKAB001、FAZ053、CBT-502(TQB2450)、JS003およびCX-072等)または抗CTLA-4抗体(例えば、Ipilimumab(MDX-010)、Zalifrelimab(AGEN1884)およびTremelimumab等)、抗PD-L2抗体、PD-L1融合タンパク質、PD-L2融合タンパク質(例えば、AMP-224)、抗Tim-3抗体(例えば、MBG453)、抗LAG-3抗体(例えば、BMS-986016、LAG525)、抗KIR抗体(例えば、Lirilumab)等である。また、上記既知の抗体の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDRs)または可変領域(VR)を含む抗体またはその抗原結合フラグメントも免疫チェックポイント阻害物質の一態様である。例えば、抗PD-1抗体の更なる一態様としては、例えばNivolumabの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDRs)または可変領域(VR)を含む抗体またはその抗原結合フラグメントが挙げられる。また、抗PD-1抗体の一態様としては、PD-1への結合についてNivolumabと競合する抗体、または、Nivolumabと同じPD-1に結合する抗体、または、これらの抗原結合フラグメントが挙げられる。
【0023】
本発明において、免疫チェックポイント阻害物質としては好ましくは、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体および抗CTLA-4抗体であり、さらに好ましくは抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体である。抗PD-1抗体として好ましくは、Nivolumab、Cemiplimab、Pembrolizumab、Spartalizumab、Tislelizumab、Toripalimab、SintilimabおよびCamrelizumabからなる群より選択される少なくとも一種であり、抗PD-L1抗体として好ましくは、Atezolizumab、Avelumab、DurvalumabおよびBMS-936559からなる群より選択される少なくとも一種であり、抗CTLA-4抗体として好ましくは、IpilimumabおよびTremelimumabからなる群より選択される少なくとも一種である。さらに、抗PD-1抗体としてより好ましくは、Nivolumab、CemiplimabおよびPembrolizumabからなる群より選択される少なくとも一種であり、さらに好ましくはNivolumabである。本発明において免疫チェックポイント阻害物質として、好ましくは抗PD-1抗体であり、さらに好ましくはNivolumabである。
【0024】
本発明において、免疫チェックポイント阻害物質は公知の方法で製造することができる。例えば、Nivolumabは、WO2006/121168に記載された方法に準じて製造することができ、Pembrolizumabは、WO2008/156712に記載された方法に準じて製造することができ、BMS-936559は、WO2007/005874に記載された方法に準じて製造することができ、Ipilimumabは、WO2001/014424に記載された方法に準じて製造することができる。
【0025】
本発明では、これら免疫チェックポイント阻害物質のうちのいずれか1種または任意の複数種を本発明に用いられる化合物と組み合わせて用いることができる。
【0026】
本発明の治療法に用いられる免疫チェックポイント阻害物質の投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、最適な所望の効果をもたらすように調整される。
【0027】
例えば、免疫チェックポイント阻害物質の有効成分として1回約1mg/kg(体重)~約10mg/kg(体重)あるいは1回約200mg~約1200mgを2~4週間間隔で、約30分間~約60分間あるいは約60分間以上かけて静脈内投与(例えば、点滴静注)することができる。ここで、投与1回当たりの体重換算における投与量として、例えば、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kgまたは10mg/kgが挙げられ、一方、投与1回当たりの投与量としては、例えば、200mg、240mg、250mg、280mg、300mg、320mg、350mg、360mg、400mg、420mg、450mg、480mg、500mg、540mg、560mg、600mg、640mg、700mg、720mg、750mg、800mg、840mg、900mg、1000mg、1080mg、1100mg、1120mgまたは1200mgが挙げられる。また、投与間隔としては、例えば、2週間、3週間または4週間が挙げられ、1回の投与時間としては、例えば、約30分間~約60分間または約60分間以上が挙げられる。
【0028】
その有効成分が抗PD-1抗体であるNivolumabの場合には、次の用法・用量にて投与されている。すなわち、悪性黒色腫患者には、Nivolumabとして1回3mg/kg(体重)を2週間間隔または1回2mg/kg(体重)を3週間間隔で点滴静注投与され、あるいは1回240mgを2週間間隔でまたは1回480mgを4週間間隔で点滴静注される。非小細胞肺がん、腎細胞がん、古典的ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、胃がんおよび悪性胸膜中皮腫の各患者には、Nivolumabとして1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注投与される。また、別の用法・用量として、例えば、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がん、古典的ホジキンリンパ腫、頭頚部がん、尿路上皮がん、MSI-HまたはdMMR陽性大腸がん(12歳以上の小児の患者も含む。)、胃がん、食道がん、肝細胞がん、小細胞肺がんおよび悪性胸膜中皮腫の各患者には、Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔で、あるいは1回480mgを4週間間隔で点滴静注投与される。さらに、別の用法・用量として、例えば、悪性黒色腫患者に対して、Ipilimumabとの併用において、Nivolumabとして1回1mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注され、その後、Nivolumabとして1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注されるか、あるいはNivolumabとして1回80mgを3週間間隔で4回点滴静注され、その後、Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔でまたは1回480mgを4週間間隔で点滴静注される場合がある。また、例えば、腎細胞がん患者または大腸がん患者に対して、Ipilimumabとの併用において、Nivolumabとして1回240mgを3週間間隔で4回点滴静注され、その後、Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔または1回480mgを4週間間隔で点滴静注される場合もある。
【0029】
また、同じ抗PD-1抗体であるCemiplimabの場合には、1回350mgを3週間間隔で投与されている。
【0030】
また、同じ抗PD-1抗体であるPembrolizumabの場合には、次の用法・用量で投与されている。すなわち、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、古典的ホジキンリンパ腫、頭頚部がん、MSI-HもしくはdMMR陽性固形がんまたは大腸がん、尿路上皮がん、子宮頸がん、原発性縦隔B細胞リンパ腫、肝細胞がん、胃がんおよびメルケル細胞がんの各患者には、Pembrolizumabとして1回200mgを3週間間隔または1回400mgを6週間間隔で点滴静注投与される。また、別の用法・用量として、例えば、2歳以上の小児の古典的ホジキンリンパ腫、MSI-HもしくはdMMR陽性固形がんまたは大腸がんおよび原発性縦隔B細胞リンパ腫の各患者には、Pembrolizumabとして1回2mg/kg(体重)(1回200mgまで)を3週間間隔で点滴静注投与される。
【0031】
また、その有効成分が抗PD-L1抗体であるAvelumabの場合には、メルケル細胞がんおよび尿路上皮がんの各患者には、Avelumabとして1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注投与される。同じPD-L1抗体であるAtezolizumabは、非小細胞肺がん、尿路上皮がんおよび肝細胞がんの各患者には、Atezolizumabとして1回1200mgを3週間間隔で点滴静注投与され、トリプルネガティブ乳がん患者には、パクリタキセルとの併用において、Atezolizumabとして1回840mgを2週間間隔で点滴静注投与される。さらに、同じPD-L1抗体であるDurvalumabは、非小細胞肺がんおよび尿路上皮がんの各患者には、Durvalumabとして1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注され、進展型小細胞肺がんの患者には、Durvalumabとして1回1500mgを4週間間隔で点滴静注投与される。
【0032】
また、抗CTLA-4抗体であるIpilimumabの場合には、悪性黒色腫患者に対して、単独もしくはNivolumabとの併用において、Ipilimumabとして1日1回3mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注され、腎細胞がんおよびMSI-HまたはdMMR陽性大腸がんの各患者には、Nivolumabとの併用において、Ipilimumabとして1日1回1mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注され、非小細胞肺がんの患者には、Ipilimumabとして1回1mg/kg(体重)を6週間間隔で点滴静注投与される。
【0033】
本発明において、上記用法用量は本発明の治療法においても使用されうる。
【0034】
本発明の免疫チェックポイント阻害物質の静脈内投与の投与形態としては、点滴静注が好ましい。
【0035】
(3)FOLFOX療法に分子標的薬(例えば、ベバシズマブ、セツキシマブ)を加えた併用療法(標準療法の一例)
本発明における「標準療法」とは、多くの臨床試験の結果によって治療効果や安全性が確認されており、科学的根拠に基づいて最も推奨される治療のことである。本発明における「FOLFOX療法」とは、オキサリプラチン、レボホリナートカルシウム(以下、「レボホリナート」と略記する)およびフルオロウラシルの3剤併用によるがん治療法であり、一実施形態において(1a)オキサリプラチン 85mg/m~130mg/mの静脈内投与、(1b)レボホリナート 100mg/m~200mg/mの静脈内投与、(1c)フルオロウラシル 400mg/mの急速静脈内投与、および(1d)フルオロウラシル 600mg/m~2400mg/mの静脈内投与を含み、当該(1a)、(1b)、(1c)および(1d)の一連の投与を2週間間隔で実施する治療法である。当該治療法における投与量は、全て投与1回当たりの体表面積換算における投与量である。FOLFOX療法は、投与される3剤の投与量や投与方法により複数の処方が知られており、その態様として、例えば、当該(1c)のフルオロウラシルの急速静脈内投与を実施しなくてもよく、当該(1a)のオキサリプラチンの投与量が、85mg/m、100mg/m、130mg/m、または85mg/m~130mg/mの間の任意の投与量であってもよく、当該(1b)のレボホリナートの投与量が、100mg/m、200mg/m、または100mg/m~200mg/mの間の任意の投与量であってもよく、当該(1d)の静脈内持続投与されるフルオロウラシルの投与量が、600mg/m、1500mg/m、2400mg/mまたは600mg/m~2400mg/mの間の任意の投与量であってもよい。
【0036】
一実施形態において、急速静脈内投与は15分以内に薬剤が投与される。
【0037】
一実施形態において、例えば、FOLFOX4療法と呼ばれるFOLFOX療法は、(1a)オキサリプラチン 85mg/mおよび(1b)レボホリナート 100mg/mを2時間かけて静脈内投与すること、(1c)当該(1a)のオキサリプラチンおよび当該(1b)のレボホリナートの投与終了後に、フルオロウラシル 400mg/mを急速静脈内投与すること、(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後に、さらにフルオロウラシル 600mg/mを22時間かけて静脈内投与すること、その後、(1e)さらにレボホリナート 100mg/mを2時間かけて静脈内投与すること、(1f)当該(1e)のレボホリナートの投与終了後に、フルオロウラシル 400mg/mを急速静脈内投与すること、および(1g)当該(1f)のフルオロウラシルの投与終了後に、さらにフルオロウラシル 600mg/mを22時間かけて静脈内投与することを含み、当該(1a)、(1b)、(1c)、(1d)、(1e)、(1f)および(1g)の一連の投与を2週間間隔で実施する治療法である。当該治療法における投与量は、全て投与1回当たりの体表面積換算における投与量である。
【0038】
また別の実施形態として、mFOLFOX6療法と呼ばれるFOLFOX療法は、(1a)オキサリプラチン 85mg/mおよび(1b)レボホリナート 200mg/mを2時間かけて静脈内投与すること、(1c)当該(1a)のオキサリプラチンおよび当該(1b)のレボホリナートの投与終了後に、フルオロウラシル 400mg/mを急速静脈内投与すること、および(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後に、さらにフルオロウラシル 2400mg/mを46時間かけて静脈内投与することを含み、当該(1a)、(1b)、(1c)および(1d)の一連の投与を2週間間隔で実施する治療法である。当該治療法における投与量は、全て投与1回当たりの体表面積換算における投与量である。
【0039】
本明細書において、FOLFOX療法は、各薬剤の投与方法によって使い分けられる方法、例えば、FOLFOX4療法、およびmFOLFOX6療法などの方法をすべて含む。
【0040】
また、当該FOLFOX療法に分子標的薬を加えた併用療法の一連の投与の間隔を、2週間間隔と設定してもよく、患者の副作用発現の程度に応じて、一時的にもしくは継続的に、3週間間隔以上(例えば、3週間間隔または4週間間隔)と設定してもよい。FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法の休薬・減量・再開は、最新の添付文書を参考に治験責任医師または治験分担医師の判断で実施される。
【0041】
分子標的薬としては、例えば、抗EGFR抗体(例えば、セツキシマブ、パニツムマブ)および抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)が挙げられる。分子標的薬は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。分子標的薬は、一実施形態において、RAS遺伝子(KRAS/NRAS遺伝子)変異の有無を考慮した上で、適応患者の選択を行う。抗EGFR抗体(例えば、セツキシマブ、パニツムマブ)は、一実施形態において、RAS遺伝子野生型の大腸がんに使用される。抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)は、一実施形態において、RAS遺伝子変異型の大腸がんに使用される。
【0042】
一実施形態において、RAS遺伝子変異型の患者に対してベバシズマブの開始時用量は5mg/kg(体重)とし、90分かけて点滴静脈内注射する。初回投与時の忍容性が良好であれば、2回目の投与は60分間とすることができる。また2回目の投与においても忍容性が良好であれば、それ以降の投与は30分間とすることができる。投与間隔は2週間以上(例えば、2週間、3週間、4週間)とすることができる。
【0043】
一実施形態において、RAS遺伝子野生型の患者に対してセツキシマブの開始時用量は400mg/m(体表面積)とし、2時間かけて点滴静注する。2回目以降は週1回または2週間間隔で250mg/mを1時間かけて点滴静注する。また必要に応じて、2週間に1回、セツキシマブとして、500mg/mを2時間かけて点滴静注する2週間間隔投与も可能とし、患者の状態により適宜減量する。
【0044】
一実施形態において、RAS遺伝子野生型の患者に対して、2週間に1回、パニツムマブとして1回6mg/kg(体重)を60分以上かけて点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
【0045】
(4)FOLFOX療法に分子標的薬(例えば、ベバシズマブ、セツキシマブ)を加えた併用療法との併用
FOLFOX療法に分子標的薬(例えば、ベバシズマブ、セツキシマブ)を加えた併用療法との併用におけるCD47阻害物質は、一実施形態において、前記(1)CD47阻害物質に記載の用法用量で投与される。CD47阻害物質の一例であるMagrolimabは、一実施形態において、初回投与として1mg/kgを3時間(±30分)かけて静脈内投与し、その後、1回20mg/kgまたは30mg/kgを1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与される。一実施形態において、第1サイクルの1日目にMagrolimabの初回投与として1mg/kgを3時間(±30分)かけて静脈内投与され、その後、第1サイクルは1週間間隔、第2サイクル以降は2週間間隔で2時間(±30分)かけて1回20mg/kgまたは30mg/kgを静脈内投与される。患者の副作用発現の程度に応じて、Magrolimabの投与量を1段階ずつ減量するか、または投与自体を中止してもよい。また、再開の基準を満たせば、Magrolimabの投与を再開することができ、再開する場合、治験責任医師または治験分担医師の判断により、Magrolimabの用量を減量して再開することができる。一実施形態において、CD47阻害物質としてのMagrolimabを投与開始用量30mg/kgで投与する場合、1段階減量後は20mg/kgであり、2段階減量後は15mg/kgである。CD47阻害物質としてのMagrolimabを投与開始用量20mg/kgで投与する場合、減量後は15mg/kgである。
【0046】
FOLFOX療法に分子標的薬(例えば、ベバシズマブ、セツキシマブ)を加えた併用療法との併用における、免疫チェックポイント阻害剤は、一実施形態において、前記(2)免疫チェックポイント阻害物質に記載の用法用量で投与される。免疫チェックポイント阻害剤としてのNivolumabは、一実施形態において、Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔、1回360mgを3週間間隔、1回480mgを4週間間隔で点滴静注投与される。好ましくは、Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で点滴静注投与される。さらに好ましくは、Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で約30分間かけて点滴静注投与される。患者の副作用発現の程度に応じて、Nivolumabの投与自体を中止してもよい。また、再開の基準を満たせば、Nivolumabの投与を再開することができる。
【0047】
本発明の治療法において、CD47阻害物質(好ましくはMagrolimab)および免疫チェックポイント阻害剤(好ましくは抗PD-1抗体(好ましくはNivolumab))とFOLFOX療法に分子標的薬(好ましくは、ベバシズマブまたはセツキシマブ)を加えた併用療法を組み合わせて投与する(例えば、同日に投与するまたは同日に投与を開始する)場合、一実施形態において、CD47阻害物質および免疫チェックポイント阻害剤を先に投与する。一実施形態において、CD47阻害物質および免疫チェックポイント阻害剤が投与された後にFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が実施される。
【0048】
(5)FFX療法、またはその減量レジメン(標準療法の別の例)
本発明における「FFX療法」とは、オキサリプラチン、イリノテカン塩酸塩水和物(以下、「イリノテカン」と略記する)、レボホリナートカルシウム(以下、「レボホリナート」と略記する)およびフルオロウラシルの4剤併用によるがん治療法であり、推奨の用法用量として、例えば、(2a)オキサリプラチン 85mg/mを2時間かけて静脈内投与すること、その後、(2b)レボホリナート 200mg/mを2時間かけて静脈内投与すること、(2c)当該(2b)のレボホリナートの投与開始30分後からイリノテカン 180mg/mを1.5時間かけて静脈内投与すること、(2d)さらに当該(2b)のレボホリナートの投与終了後に、フルオロウラシル 400mg/mを急速静脈内投与すること、および(2e)当該(2d)のフルオロウラシルの投与終了後に、さらにフルオロウラシル 2400mg/mを46時間かけて静脈内投与することを含み、当該(2a)、(2b)、(2c)、(2d)および(2e)の一連の投与を2週間間隔で実施する治療法である。当該治療法における投与量は、全て投与1回当たりの体表面積換算における投与量である。
【0049】
当該FFX療法の「減量レジメン」とは、当該FFX療法において投与される4剤の何れかの投与量を最初の投与から減量もしくはその投与自体を中止する、または1サイクル目以降の何れかの投与により認められる副作用発現の程度に応じて、その後の2サイクル目以降の何れかの投与において減量する、あるいは4剤の何れかの投与を中止する処方である。その態様として、例えば、最初の投与から、当該(2d)のフルオロウラシルの急速静脈内投与を実施しなくてもよく、当該(2a)のオキサリプラチンの投与量が、50mg/m、65mg/m、または50~85mg/mの間の任意の投与量であってもよく、当該(2c)のイリノテカンの投与量が、90mg/m、120mg/m、150mg/mまたは90~180mg/mの間の任意の投与量であってもよく、当該(2e)の静脈内持続投与されるフルオロウラシルの投与量が、1200mg/m、1800mg/mまたは1200~2400mg/mの間の任意の投与量であってもよい。
【0050】
また、当該減量レジメンのもう一つの態様として、当該FFX療法における2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて、当該(2d)のフルオロウラシルの急速静脈内投与を中止してもよく、患者の副作用発現の程度に応じて、当該(2a)のオキサリプラチンの投与量を、50mg/m、65mg/mまたは50~85mg/mの間の任意の投与量に減量またはオキサリプラチンの投与を中止してもよく、患者の副作用発現の程度に応じて、当該(2c)のイリノテカンの投与量を、90mg/m、120mg/m、150mg/mまたは90~180mg/mの間の任意の投与量に減量またはイリノテカンの投与を中止してもよく、当該(2e)の静脈内持続投与されるフルオロウラシルの投与量を、患者の副作用発現の程度に応じて、1200mg/m、1800mg/mまたは1200~2400mg/mの間の任意の投与量に減量または当該フルオロウラシルの投与を中止してもよい。
【0051】
また、modified FOLFIRINOX療法(mFFX療法)として認知されている当該減量レジメンの別の態様は、推奨の用法用量として、例えば、(2a)オキサリプラチン 85mg/mを2時間かけて静脈内投与すること、その後、(2b)レボホリナート 200mg/mを2時間かけて静脈内投与すること、(2c)当該(2b)のレボホリナートの投与開始30分後からイリノテカン 150mg/mを1.5時間かけて静脈内投与すること、および(2e)さらに当該(2b)のレボホリナートの投与終了後に、フルオロウラシル 2400mg/mを46時間かけて静脈内投与することを含み、当該(2a)、(2b)、(2c)および(2e)の一連の投与を2週間間隔で実施する治療法である。当該治療法における投与量は、全て投与1回当たりの体表面積換算における投与量である。
【0052】
当該mFFX療法のさらなる減量レジメンとして、例えば、最初の投与から、当該(2a)のオキサリプラチンの投与量が、50mg/m、65mg/mまたは50~85mg/mの間の任意の投与量であってもよく、当該(2c)のイリノテカンの投与量が、120mg/m、140mg/mまたは120~140mg/mの間の任意の投与量であってもよく、当該(2e)の静脈内持続投与されるフルオロウラシルの投与量が、1200mg/m、1800mg/m、2400mg/mまたは1200~2400mg/mの間の任意の投与量であってもよい。
【0053】
また、当該mFFX療法における2サイクル目以降の何れかの投与において、患者の副作用発現の程度に応じて、当該(2a)のオキサリプラチンの投与量を、50mg/m、65mg/mまたは50~85mg/mの間の任意の投与量に減量または当該オキサリプラチンの投与を中止してもよく、患者の副作用発現の程度に応じて、当該(2c)のイリノテカンの投与量を、90mg/m、120mg/mまたは90~150mg/mの間の任意の投与量に減量または当該イリノテカンの投与を中止してもよく、当該(2e)の静脈内持続投与されるフルオロウラシルの投与量を、患者の副作用発現の程度に応じて、1200mg/m、1800mg/mまたは1200~2400mg/mの間の任意の投与量に減量または当該フルオロウラシルの投与を中止してもよい。
【0054】
また、当該FFX療法またはその減量レジメン(例えば、mFFX療法)の一連の投与の間隔を、患者の副作用発現の程度に応じて、一時的にもしくは継続的に、3週間間隔または4週間間隔と設定してもよい。FFX療法またはその減量レジメン(例えば、mFFX療法)の休薬・減量・再開は、最新の添付文書を参考に治験責任医師または治験分担医師の判断で実施される。
【0055】
(6)FFX療法、またはその減量レジメンとの併用
FFX療法またはその減量レジメン(例えば、mFFX療法)との併用におけるCD47阻害物質は、一実施形態において、前記(1)CD47阻害物質に記載の用法用量で投与される。CD47阻害物質の一例であるMagrolimabは、一実施形態において、初回投与として1mg/kgを3時間(±30分)かけて静脈内投与し、その後、1回20mg/kgまたは30mg/kgを1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与される。一実施形態において、第1サイクルの1日目にMagrolimabの初回投与として1mg/kgを3時間(±30分)かけて静脈内投与され、その後、第1サイクルは1週間間隔、第2サイクル以降は2週間間隔で2時間(±30分)かけて1回20mg/kgまたは30mg/kgを静脈内投与される。患者の副作用発現の程度に応じて、Magrolimabの投与量を1段階ずつ減量するか、または投与自体を中止してもよい。また、再開の基準を満たせば、Magrolimabの投与を再開することができ、再開する場合、治験責任医師または治験分担医師の判断により、Magrolimabの用量を減量して再開することができる。一実施形態において、CD47阻害物質としてのMagrolimabを投与開始用量30mg/kgで投与する場合、1段階減量後は20mg/kgであり、2段階減量後は15mg/kgである。CD47阻害物質としてのMagrolimabを投与開始用量20mg/kgで投与する場合、減量後は15mg/kgである。
【0056】
FFX療法またはその減量レジメンとの併用における、免疫チェックポイント阻害剤は、一実施形態において、前記(2)免疫チェックポイント阻害物質に記載の用法用量で投与される。免疫チェックポイント阻害剤としてのNivolumabは、一実施形態において、Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔、1回360mgを3週間間隔、1回480mgを4週間間隔で点滴静注投与される。好ましくは、Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で点滴静注投与される。さらに好ましくは、Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で約30分間かけて点滴静注投与される。患者の副作用発現の程度に応じて、Nivolumabの投与自体を中止してもよい。また、再開の基準を満たせば、Nivolumabの投与を再開することができる。
【0057】
本発明の治療法において、CD47阻害物質(好ましくはMagrolimab)および免疫チェックポイント阻害剤(好ましくは抗PD-1抗体(好ましくはNivolumab))とFFX療法またはその減量レジメン(例えば、mFFX療法)を組み合わせて投与する(例えば、同日に投与するまたは同日に投与を開始する)場合、一実施形態において、CD47阻害物質および免疫チェックポイント阻害剤を先に投与する。一実施形態において、CD47阻害物質および免疫チェックポイント阻害剤が投与された後にFFX療法またはその減量レジメン(例えば、mFFX療法)が実施される。
【0058】
[適用疾患および患者]
本発明の治療法の適用疾患は、がんである。
【0059】
より具体的には、がんとして、例えば、白血病(例えば、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病)、悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(例えば、成人T細胞白血病、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫))、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、頭頸部がん、食道がん、食道腺がん、胃がん、食道胃接合部がん、十二指腸がん、大腸がん(例えば、結腸・直腸がん)、肝臓がん(例えば、肝細胞がん)、胆嚢・胆管がん、胆道がん、膵臓がん(例えば、膵管がん、インスリノーマ、膵管内乳頭粘液性腫瘍、遠隔転移を有する膵臓がん、遠隔転移を有する膵管がん)、甲状腺がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん、非扁平上皮非小細胞肺がん)、小細胞肺がん)、乳がん、卵巣がん(例えば、漿液性卵巣がん)、子宮頚がん、子宮体がん、子宮内膜がん、膣がん、外陰部がん、腎がん(例えば、腎細胞がん)、腎盂・尿管がん、尿路上皮がん(例えば、膀胱がん、上部尿路がん)、陰茎がん、前立腺がん、精巣腫瘍(例えば、胚細胞腫瘍)、骨・軟部肉腫、悪性骨腫瘍、皮膚がん(例えば、ブドウ膜悪性黒色腫、悪性黒色腫、メルケル細胞がん)、胸腺腫、中皮腫、悪性胸膜中皮腫、膠芽腫、血液がん、および原発不明がんなどが挙げられる。
【0060】
本発明の治療法によって治療される疾患の一態様として、固形がんが挙げられる。固形がんとしては、例えば、頭頸部がん、食道がん、食道腺がん、胃がん、食道胃接合部がん、十二指腸がん、大腸がん(例えば、結腸・直腸がん)、肝臓がん(例えば、肝細胞がん)、胆嚢・胆管がん、胆道がん、膵臓がん(例えば、膵管がん、インスリノーマ、膵管内乳頭粘液性腫瘍、遠隔転移を有する膵臓がん、遠隔転移を有する膵管がん)、甲状腺がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん(例えば、扁平上皮非小細胞肺がん、非扁平上皮非小細胞肺がん)、小細胞肺がん)、乳がん、卵巣がん(例えば、漿液性卵巣がん)、子宮頚がん、子宮体がん、子宮内膜がん、膣がん、外陰部がん、腎がん(例えば、腎細胞がん)、腎盂・尿管がん、尿路上皮がん(例えば、膀胱がん、上部尿路がん)、陰茎がん、前立腺がん、精巣腫瘍(例えば、胚細胞腫瘍)、骨・軟部肉腫、悪性骨腫瘍、皮膚がん(例えば、ブドウ膜悪性黒色腫、悪性黒色腫、メルケル細胞がん)、胸腺腫、中皮腫、悪性胸膜中皮腫、膠芽腫、および原発不明がんが挙げられる。
【0061】
本発明の治療法の適用疾患として、好ましくは大腸がん、または膵臓がんであり、より好ましくは根治切除不能な進行又は再発の大腸がん、もしくは遠隔転移を有する膵臓がんである。さらに好ましくは根治切除不能な進行又は再発の結腸・直腸がん、もしくは遠隔転移を有する膵管がんである。
【0062】
本明細書においてがんの「治療」とは、例えば、(i)腫瘍細胞の増殖を減少させる、(ii)がんに起因する症状を低減させる、(iii)がん患者の生活の質を向上させる、(iv)既に投与されている他の抗がん薬またはがん治療補助薬の用量を低減させる、および/または(v)がん患者の生存を延長させるために行われる治療を含み、がんの「進行抑制」とは、がんの進行を遅延、がんに関連する症状を安定化および症状の進行を後退させることを意味する。また、がんの「再発抑制」とは、がん治療あるいは切除手術によってそのがん病変が完全にあるいは実質的に消滅あるいは取り除かれた患者におけるがんの再発を予防的に抑止することを意味する。
【0063】
本発明の治療法は、次のがん患者、すなわち、(a)抗がん薬による治療効果が不十分あるいは十分ではない患者もしくは抗がん薬による治療後に増悪した患者、(b)根治もしくは切除不能、転移性、再発性、難治性および/または遠隔転移性のがんの患者、(c)TPS(Tumor Proportion Score)が50%以上、25%以上、10%以上、5%以上もしくは1%以上であるがんの患者、(d)CPS(Combined Positive Score)が20%以上、10%以上、5%以上もしくは1%以上であるがんの患者、(e)dMMR(deficient mismatch repair)および/またはMSI-H(Microsatellite instability-High)を有するがんの患者、あるいは(f)TMB(Tumor Mutational Burden)が高頻度であるがんの患者に処方することがある。また、一方で、本発明の治療法は、次のがん患者、すなわち、(g)抗がん薬による治療歴のない患者、(h)TPSが50%未満、25%未満、10%未満、5%未満もしくは1%未満であるがんの患者、(i)CPSが20%未満、10%未満、5%未満もしくは1%未満であるがんの患者、(j)dMMRおよび/またはMSI-Hを有しない、もしくはMSI-L(Microsatellite instability-Low)を有するがんの患者、または(k)TMBが低頻度であるがんの患者への処方がより求められる場合もある。特に、本発明の治療法の処方が求められるがん患者としては、抗がん薬による治療歴のないおよび/または根治切除不能な進行又は再発のがん患者、特に、大腸がん、または膵臓がんの患者が挙げられる。一実施形態において、大腸がんに対する治療歴のない患者、または膵臓がんに対する治療歴のない患者が挙げられる。好ましくは、大腸がんに対する全身性悪性腫瘍剤による治療歴のない患者、または膵臓がんに対する全身性悪性腫瘍剤による治療歴のない患者が挙げられる。さらに好ましくは、根治切除不能な進行又は再発の大腸がんに対する全身性抗悪性腫瘍剤による治療歴のない患者、もしくは遠隔転移を有する膵臓がんに対する全身性抗悪性腫瘍剤による治療歴のない患者が挙げられる。
【0064】
本発明の治療法は、一態様として、根治切除不能な進行又は再発の大腸がんに対する全身性抗悪性腫瘍剤による治療歴のない患者に一次治療として用いられる。
【0065】
本発明の治療法は、一態様として、遠隔転移を有する膵臓がんに対する全身性抗悪性腫瘍剤による治療歴のない患者に一次治療として用いられる。
【0066】
本発明の治療法は、一態様として、転移性がんの治療やがん転移の抑制にも適用可能である。
【0067】
本発明の治療法は、一態様として、再発を抑制する。
【0068】
本発明において、治療は、一態様として、腫瘍サイズの低下、腫瘍の成長の抑制(遅延または停止)、腫瘍の転移の抑制(遅延または停止)、再発の抑制(防止または遅延)、およびがんと関連する一つまたは複数の症状の緩和のうち少なくとも1つを生じさせることを意味する。
【0069】
本発明の治療法は、一態様として、(1)治療効果の補完および/または増強、(2)動態・吸収改善、投与量の低減、および/または(3)副作用の軽減のために、他の薬物(例えば、公知の抗がん薬、制吐薬)と組み合わせて使用されてもよい。
【0070】
本明細書において、「約」とは、表示される数値を10%以内の範囲内で下回って、または上回って変化してよいことを意味する。
【0071】
本発明は、例えば、下記の実施態様を提供する。
[1] 標準療法、並びに免疫チェックポイント阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、CD47阻害物質を有効成分として含む固形がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
[2] 標準療法、並びにCD47阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、免疫チェックポイント阻害物質を有効成分として含む固形がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
[3] 標準療法がFOLFOX療法に分子標的薬(好ましくは、VEGF阻害剤(好ましくは、ベバシズマブ)またはEGFR阻害剤(好ましくは、セツキシマブまたはパニツムマブ))を加えた併用療法である、前記[1]または[2]に記載の剤。
[4] 標準療法がFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法である、前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の剤。
[5] 固形がんが大腸がんである、前記[1]~[4]のいずれか一項に記載の剤。
[6] 大腸がんが、結腸・直腸がんである、前記[5]に記載の剤。
[7] 結腸・直腸がんが、根治切除不能な進行または再発の結腸・直腸がんである、前記[6]に記載の剤。
[8] 根治切除不能な進行または再発の結腸・直腸がんに対する全身性抗悪性腫瘍剤による治療歴のない患者に一次治療として投与されることを特徴とする、前記[1]~[7]のいずれか一項に記載の剤。
[9] CD47阻害物質が抗CD47抗体である、前記[1]~[8]のいずれか一項に記載の剤。
[10] 抗CD47抗体がMagrolimabである、前記[9]に記載の剤。
[11] Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与されることを特徴とする、前記[10]に記載の剤。
[12] Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回20mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔静脈内投与されることを特徴とする(好ましくは、Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回20mg/kg(体重)を第1サイクルは1週間間隔、第2サイクル以降は2週間間隔で投与されることを特徴とする)、前記[10]または[11]に記載の剤。
[13] Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔静脈内投与されることを特徴とする(好ましくは、Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回30mg/kg(体重)を第1サイクルは1週間間隔、第2サイクル以降は2週間間隔で投与されることを特徴とする)、前記[10]または[11]に記載の剤。
[14] 免疫チェックポイント阻害物質が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体または抗CTLA-4抗体である、前記[1]~[13]のいずれか一項に記載の剤。
[15] 免疫チェックポイント阻害物質が、抗PD-1抗体である、前記[14]に記載の剤。
[16] 抗PD-1抗体が、Nivolumab、Cemiplimab、Pembrolizumab、Spartalizumab、Tislelizumab、AMP-514、Dostarlimab、Toripalimab、Camrelizumab、Genolimzumab、Sintilimab、STI-A1110、ENUM 388D4、ENUM 244C8、GLS010、Retifanlimab、Balstilimab、CS1003、Serplulimab、BAT-1306、AK105、AK103、BI 754091、LZM009、CMAB819、Sym021、Geptanolimab、SSI-361、JY034、HX008、ISU106、Budigalimab、Prolgolimab、Sasanlimab、CX-188、CetrelimabまたはZimberelimabである、前記[14]または[15]に記載の剤。
[17] 免疫チェックポイント阻害物質が抗PD-L1抗体であって、抗PD-L1抗体が、Atezolizumab、Avelumab、Durvalumab、BMS-936559、STI-1014、Envafolimab、Lodapolimab、HLX20、SHR-1316、CS1001、MSB2311、BGB-A333、KL-A167、CK-301、AK106、AK104、ZKAB001、FAZ053、CBT-502、JS003またはCX-072である、前記[14]に記載の剤。
[18] 免疫チェックポイント阻害物質が抗CTLA-4抗体であって、抗CTLA-4抗体が、Ipilimumab、AGEN1884またはTremelimumabである、前記[14]に記載の剤。
[19] 抗PD-1抗体が、Nivolumabである前記[15]に記載の剤。
[20] 抗PD-1抗体が、Pembrolizumabである前記[15]に記載の剤。
[21] 抗PD-1抗体が、Cemiplimabである前記[15]に記載の剤。
[22] 抗PD-L1抗体が、Avelumabである前記[17]に記載の剤。
[23] 抗PD-L1抗体が、Atezolizumabである前記[17]に記載の剤。
[24] 抗PD-L1抗体が、Durvalumabである前記[17]に記載の剤。
[25] 抗CTLA-4抗体が、Ipilimumabである前記[18]に記載の剤。
[26] Nivolumabとして1回3mg/kg(体重)もしくは1回240mgを2週間間隔、1回360mgを3週間間隔、または1回480mgを4週間間隔(好ましくは、1回240mgを2週間間隔、1回360mgを3週間間隔、または1回480mgを4週間間隔)で投与されることを特徴とする、前記[19]に記載の剤。
[27] Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で静脈内投与されることを特徴とする、前記[19]に記載の剤。
[28] Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で約30分間かけて静脈内投与されることを特徴とする、前記[19]に記載の剤。
[29] Pembrolizumabとして1回2mg/kg(体重)または1回200mgを3週間間隔または1回400mgを6週間間隔で投与されることを特徴とする、前記[20]に記載の剤。
[30] Cemiplimabとして1回350mgを3週間間隔で投与されることを特徴とする、前記[21]に記載の剤。
[31] Avelumabとして1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で投与されることを特徴とする、前記[22]に記載の剤。
[32] Atezolizumabとして1回1200mgを3週間間隔で投与されることを特徴とする、前記[23]に記載の剤。
[33] Durvalumabとして1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で投与または1回1500mgを4週間間隔で4回静脈内投与されることを特徴とする、前記[24]に記載の剤。
[34] Ipilimumabとして1回3mg/kg(体重)または1回1mg/kg(体重)を3週間間隔で4回静脈内投与または1回1mg/kg(体重)を6週間間隔で投与されることを特徴とする、前記[25]に記載の剤。
[35] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、(1A-1)ベバシズマブまたは(1A-2)セツキシマブ、(1B)オキサリプラチン、(1C)レボホリナートカルシウム、および(1D)フルオロウラシルを組み合わせて投与する、療法である、前記[4]~[34]のいずれか一項に記載の剤。
[36] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、(1A-1)ベバシズマブ、(1B)オキサリプラチン、(1C)レボホリナートカルシウム、および(1D)フルオロウラシルを組み合わせて投与する、療法である、前記[4]~[35]のいずれか一項に記載の剤。
[37] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、(1A-2)セツキシマブ、(1B)オキサリプラチン、(1C)レボホリナートカルシウム、および(1D)フルオロウラシルを組み合わせて投与する、療法である、前記[4]~[35]のいずれか一項に記載の剤。
[38] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)ベバシズマブ 5mg/kg(体重)を静脈内投与すること、またはセツキシマブ 1回目は400mg/m(体表面積)、2回目以降は250mg/m(体表面積)を静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を静脈内投与すること、
(1b)レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を静脈内投与すること、
(1c)フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を静脈内持続投与すること、
を含む療法である、前記[4]~[35]のいずれか一項に記載の剤。
[39] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)ベバシズマブ 5mg/kg(体重)を静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を静脈内投与すること、
(1b)レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を静脈内投与すること、
(1c)フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を静脈内持続投与すること、
を含む療法である、前記[4]~[36]、および[38]のいずれか一項に記載の剤。
[40] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)セツキシマブ 1回目は400mg/m(体表面積)、2回目以降は250mg/m(体表面積)を静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を静脈内投与すること、
(1b)レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を静脈内投与すること、
(1c)フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を静脈内持続投与すること、
を含む療法である、前記[4]~[35]、[37]、および[38]のいずれか一項に記載の剤。
[41] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)ベバシズマブ 5mg/kg(体重)を90分かけて静脈内投与すること、またはセツキシマブ 1回目は400mg/m(体表面積)を2時間かけて、2回目以降は250mg/m(体表面積)を1時間かけて静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1b)当該(1a)のオキサリプラチンの投与と同時に、レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1c)さらに当該(1b)のレボホリナートカルシウムの投与終了後、フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を46時間かけて静脈内持続投与すること、
を含み、当該(1x)、(1a)、(1b)、(1c)および(1d)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法である、前記[4]~[35]、および[38]のいずれか一項に記載の剤。
[42] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)ベバシズマブ 5mg/kg(体重)を90分かけて静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1b)当該(1a)のオキサリプラチンの投与と同時に、レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1c)さらに当該(1b)のレボホリナートカルシウムの投与終了後、フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を46時間かけて静脈内持続投与すること、
を含み、当該(1x)、(1a)、(1b)、(1c)および(1d)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法である、前記[4]~[36]、[38]、[39]、および[41]のいずれか一項に記載の剤。
[43] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)セツキシマブ 1回目は400mg/m(体表面積)を2時間かけて、2回目以降は250mg/m(体表面積)を1時間かけて静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1b)当該(1a)のオキサリプラチンの投与と同時に、レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1c)さらに当該(1b)のレボホリナートカルシウムの投与終了後、フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を46時間かけて静脈内持続投与すること、
を含み、当該(1x)、(1a)、(1b)、(1c)および(1d)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法である、前記[4]~[35]、[37]、[38]、[40]、および[41]のいずれか一項に記載の剤。
[44] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法、免疫チェックポイント阻害物質およびCD47阻害物質の投与を同日に開始する療法である、前記[4]~[43]のいずれか一項に記載の剤。
[45] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法、および免疫チェックポイント阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、CD47阻害物質を有効成分として含むがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、
(i)CD47阻害物質がMagrolimabであり、Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与され、
(ii)免疫チェックポイント阻害物質がNivolumabであり、Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔、1回360mgを3週間間隔、または1回480mgを4週間間隔(好ましくは1回480mgを4週間間隔)で投与され、
(iii)当該FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)ベバシズマブ 5mg/kg(体重)を(好ましくは90分かけて)静脈内投与すること、またはセツキシマブ 1回目は400mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)、2回目以降は250mg/m(体表面積)を(好ましくは1時間かけて)静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(1b)当該(1a)のオキサリプラチンの投与と同時に、レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(1c)さらに当該(1b)のレボホリナートカルシウムの投与終了後、フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を(好ましくは46時間かけて)静脈内持続投与すること、
を含み、当該(1x)、(1a)、(1b)、(1c)および(1d)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法である、剤。
[46] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法、および免疫チェックポイント阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、CD47阻害物質を有効成分として含むがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、
(i)CD47阻害物質がMagrolimabであり、Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与され、
(ii)免疫チェックポイント阻害物質がNivolumabであり、Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔、1回360mgを3週間間隔、または1回480mgを4週間間隔(好ましくは1回480mgを4週間間隔)で投与され、
(iii)当該FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)ベバシズマブ 5mg/kg(体重)を(好ましくは90分かけて)静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(1b)当該(1a)のオキサリプラチンの投与と同時に、レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(1c)さらに当該(1b)のレボホリナートカルシウムの投与終了後、フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を(好ましくは46時間かけて)静脈内持続投与すること、
を含み、当該(1x)、(1a)、(1b)、(1c)および(1d)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法である、剤。
[47] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法、および免疫チェックポイント阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、CD47阻害物質を有効成分として含むがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、
(i)CD47阻害物質がMagrolimabであり、Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与され、
(ii)免疫チェックポイント阻害物質がNivolumabであり、Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔、1回360mgを3週間間隔、または1回480mgを4週間間隔(好ましくは1回480mgを4週間間隔)で投与され、
(iii)当該FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)セツキシマブ 1回目は400mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)、2回目以降は250mg/m(体表面積)を(好ましくは1時間かけて)静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1b)当該(1a)のオキサリプラチンの投与と同時に、レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(1c)さらに当該(1b)のレボホリナートカルシウムの投与終了後、フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を(好ましくは46時間かけて)静脈内持続投与すること、
を含み、当該(1x)、(1a)、(1b)、(1c)および(1d)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法である、剤。
[48] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法、およびCD47阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、免疫チェックポイント阻害物質を有効成分として含むがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、
(i)CD47阻害物質がMagrolimabであり、Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与され、
(ii)免疫チェックポイント阻害物質がNivolumabであり、Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔、1回360mgを3週間間隔、または1回480mgを4週間間隔(好ましくは1回480mgを4週間間隔)で投与され、
(iii)当該FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)ベバシズマブ 5mg/kg(体重)を(好ましくは90分かけて)静脈内投与すること、またはセツキシマブ 1回目は400mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)、2回目以降は250mg/m(体表面積)を(好ましくは1時間かけて)静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(1b)当該(1a)のオキサリプラチンの投与と同時に、レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(1c)さらに当該(1b)のレボホリナートカルシウムの投与終了後、フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を(好ましくは46時間かけて)静脈内持続投与すること、
を含み、当該(1x)、(1a)、(1b)、(1c)および(1d)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法である、剤。
[49] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法、およびCD47阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、免疫チェックポイント阻害物質を有効成分として含むがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、
(i)CD47阻害物質がMagrolimabであり、Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与され、
(ii)免疫チェックポイント阻害物質がNivolumabであり、Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔、1回360mgを3週間間隔、または1回480mgを4週間間隔(好ましくは1回480mgを4週間間隔)で投与され、
(iii)当該FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)ベバシズマブ 5mg/kg(体重)を(好ましくは90分かけて)静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(1b)当該(1a)のオキサリプラチンの投与と同時に、レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(1c)さらに当該(1b)のレボホリナートカルシウムの投与終了後、フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を(好ましくは46時間かけて)静脈内持続投与すること、
を含み、当該(1x)、(1a)、(1b)、(1c)および(1d)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法である、剤。
[50] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法、およびCD47阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、免疫チェックポイント阻害物質を有効成分として含むがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、
(i)CD47阻害物質がMagrolimabであり、Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与され、
(ii)免疫チェックポイント阻害物質がNivolumabであり、Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔、1回360mgを3週間間隔、または1回480mgを4週間間隔(好ましくは1回480mgを4週間間隔)で投与され、
(iii)当該FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法が、
(1x)セツキシマブ 1回目は400mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)、2回目以降は250mg/m(体表面積)を(好ましくは1時間かけて)静脈内投与すること、
(1a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(1b)当該(1a)のオキサリプラチンの投与と同時に、レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(1c)さらに当該(1b)のレボホリナートカルシウムの投与終了後、フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(1d)当該(1c)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を(好ましくは46時間かけて)静脈内持続投与すること、
を含み、当該(1x)、(1a)、(1b)、(1c)および(1d)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法である、剤。
[51] がんが、RAS遺伝子変異型のがんである、前記[36]、[39]、[42]、[46]、および[49]のいずれか一項に記載の剤。
[52] がんが、RAS遺伝子野生型のがんである、前記[37]、[40]、[43]、[47]、および[50]のいずれか一項に記載の剤。
[53] がんが、根治切除不能な進行または再発の結腸・直腸がんである、前記[45]~[52]のいずれか一項に記載の剤。
[54] 根治切除不能な進行または再発の結腸・直腸がんに対する全身性抗悪性腫瘍剤による治療歴のない患者に一次治療として投与されることを特徴とする、前記[53]に記載の剤。
[55] FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法、Magrolimab、およびNivolumabの投与を同日に開始する療法である、前記[45]~[54]のいずれか一項に記載の剤。
[56] 標準療法がFOLFIRINOX療法またはその減量レジメンである、前記[1]または[2]に記載の剤。
[57] 固形がんが膵臓がんである、前記[1]、[2]および[56]のいずれか一項に記載の剤。
[58] 膵臓がんが、遠隔転移を有する膵臓がんである、前記[57]に記載の剤。
[59] 遠隔転移を有する膵臓がんに対する全身性抗悪性腫瘍剤による治療歴のない患者に一次治療として投与されることを特徴とする、前記[1]、[2]、[56]、[57]、および[58]のいずれか一項に記載の剤。
[60] CD47阻害物質が抗CD47抗体である、前記[1]、[2]、および[56]~[59]のいずれか一項に記載の剤。
[61] 抗CD47抗体がMagrolimabである、前記[60]に記載の剤。
[62] Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与されることを特徴とする、前記[61]に記載の剤。
[63] Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回20mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔静脈内投与されることを特徴とする(好ましくは、Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回20mg/kg(体重)を第1サイクルは1週間間隔、第2サイクル以降は2週間間隔で投与されることを特徴とする)、前記[61]または[62]に記載の剤。
[64] Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔静脈内投与されることを特徴とする(好ましくは、Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回30mg/kg(体重)を第1サイクルは1週間間隔、第2サイクル以降は2週間間隔で投与されることを特徴とする)、前記[61]または[62]に記載の剤。
[65] 免疫チェックポイント阻害物質が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体または抗CTLA-4抗体である、前記[1]、[2]、および[56]~[64]のいずれか一項に記載の剤。
[66] 免疫チェックポイント阻害物質が、抗PD-1抗体である、前記[65]に記載の剤。
[67] 抗PD-1抗体が、Nivolumab、Cemiplimab、Pembrolizumab、Spartalizumab、Tislelizumab、AMP-514、Dostarlimab、Toripalimab、Camrelizumab、Genolimzumab、Sintilimab、STI-A1110、ENUM 388D4、ENUM 244C8、GLS010、Retifanlimab、Balstilimab、CS1003、Serplulimab、BAT-1306、AK105、AK103、BI 754091、LZM009、CMAB819、Sym021、Geptanolimab、SSI-361、JY034、HX008、ISU106、Budigalimab、Prolgolimab、Sasanlimab、CX-188、CetrelimabまたはZimberelimabである、前記[65]または[66]に記載の剤。
[68] 免疫チェックポイント阻害物質が抗PD-L1抗体であって、抗PD-L1抗体が、Atezolizumab、Avelumab、Durvalumab、BMS-936559、STI-1014、Envafolimab、Lodapolimab、HLX20、SHR-1316、CS1001、MSB2311、BGB-A333、KL-A167、CK-301、AK106、AK104、ZKAB001、FAZ053、CBT-502、JS003またはCX-072である、前記[67]に記載の剤。
[69] 免疫チェックポイント阻害物質が抗CTLA-4抗体であって、抗CTLA-4抗体が、Ipilimumab、AGEN1884またはTremelimumabである、前記[65]に記載の剤。
[70] 抗PD-1抗体が、Nivolumabである前記[66]に記載の剤。
[71] 抗PD-1抗体が、Pembrolizumabである前記[66]に記載の剤。
[72] 抗PD-1抗体が、Cemiplimabである前記[66]に記載の剤。
[73] 抗PD-L1抗体が、Avelumabである前記[68]に記載の剤。
[74] 抗PD-L1抗体が、Atezolizumabである前記[68]に記載の剤。
[75] 抗PD-L1抗体が、Durvalumabである前記[68]に記載の剤。
[76] 抗CTLA-4抗体が、Ipilimumabである前記[69]に記載の剤。
[77] Nivolumabとして1回3mg/kg(体重)もしくは1回240mgを2週間間隔、1回360mgを3週間間隔、または1回480mgを4週間間隔(好ましくは、1回240mgを2週間間隔、1回360mgを3週間間隔、または1回480mgを4週間間隔)で投与されることを特徴とする、前記[70]に記載の剤。
[78] Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で静脈内投与されることを特徴とする、前記[70]に記載の剤。
[79] Nivolumabとして1回480mgを4週間間隔で約30分間かけて静脈内投与されることを特徴とする、前記[70]に記載の剤。
[80] Pembrolizumabとして1回2mg/kg(体重)または1回200mgを3週間間隔または1回400mgを6週間間隔で投与されることを特徴とする、前記[71]に記載の剤。
[81] Cemiplimabとして1回350mgを3週間間隔で投与されることを特徴とする、前記[72]に記載の剤。
[82] Avelumabとして1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で投与されることを特徴とする、前記[73]に記載の剤。
[83] Atezolizumabとして1回1200mgを3週間間隔で投与されることを特徴とする、前記[74]に記載の剤。
[84] Durvalumabとして1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で投与または1回1500mgを4週間間隔で4回静脈内投与されることを特徴とする、前記[75]に記載の剤。
[85] Ipilimumabとして1回3mg/kg(体重)または1回1mg/kg(体重)を3週間間隔で4回静脈内投与または1回1mg/kg(体重)を6週間間隔で投与されることを特徴とする、前記[76]に記載の剤。
[86] FOLFIRINOX療法またはその減量レジメンが、(2A)オキサリプラチン、(2B)レボホリナートカルシウム、(2C)イリノテカン塩酸塩水和物、および(2D)フルオロウラシルを組み合わせて投与する、療法である、前記[56]~[85]のいずれか一項に記載の剤。
[87] FOLFIRINOX療法が、
(2a)オキサリプラチン 50~85mg/m(体表面積)(好ましくは、50mg/m(体表面積)、65mg/m(体表面積)、85mg/m(体表面積)、より好ましくは、85mg/m(体表面積))を静脈内投与すること、
(2b)レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を静脈内投与すること、
(2c)イリノテカン塩酸塩水和物 90~180mg/m(体表面積)(好ましくは、90mg/m(体表面積)、120mg/m(体表面積)、150mg/m(体表面積)、180mg/m(体表面積)、より好ましくは、180mg/m(体表面積))を静脈内投与すること、
(2d)フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(2e)当該(2d)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 1200~2400mg/m(体表面積)(好ましくは、1200mg/m(体表面積)、1800mg/m(体表面積)、2400mg/m(体表面積)、より好ましくは、2400mg/m(体表面積))を静脈内持続投与すること、
を含む療法である、前記[56]~[86]のいずれか一項に記載の剤。
[88] FOLFIRINOX療法の減量レジメンが、
(2a)オキサリプラチン 50~85mg/m(体表面積)(好ましくは、50mg/m(体表面積)、65mg/m(体表面積)、85mg/m(体表面積)、より好ましくは、85mg/m(体表面積))を静脈内投与すること、
(2b)レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を静脈内投与すること、
(2c)イリノテカン塩酸塩水和物 120~150mg/m(体表面積)(好ましくは、150mg/m(体表面積))を静脈内投与すること、および
(2e)フルオロウラシル 1200~2400mg/m(体表面積)(好ましくは、1200mg/m(体表面積)、1800mg/m(体表面積)、2400mg/m(体表面積)、より好ましくは、2400mg/m(体表面積))を静脈内持続投与すること、
を含む療法である、前記[56]~[86]のいずれか一項に記載の剤。
[89] FOLFIRINOX療法またはその減量レジメンが、一連の投与を2~4週間間隔(好ましくは、2週間間隔、3週間隔、または4週間間隔、より好ましくは2週間間隔)で実施する、療法である、前記[56]~[88]のいずれか一項に記載の剤。
[90] FOLFIRINOX療法が、
(2a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を静脈内投与すること、
(2b)レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を静脈内投与すること、
(2c)イリノテカン塩酸塩水和物 180mg/m(体表面積)を静脈内投与すること、
(2d)フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(2e)当該(2d)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を静脈内持続投与すること、
を含み、当該(2a)、(2b)、(2c)、(2d)および(2e)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法である、前記[56]~[87]、および[89]のいずれか一項に記載の剤。
[91] FOLFIRINOX療法の減量レジメンが、
(2a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を静脈内投与すること、
(2b)レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を静脈内投与すること、
(2c)イリノテカン塩酸塩水和物 150mg/m(体表面積)を静脈内投与すること、および
(2e)フルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を静脈内持続投与すること、
を含み、当該(2a)、(2b)、(2c)および(2e)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法である、前記[56]~[86]、[88]、および[89]のいずれか一項に記載の剤。
[92] FOLFIRINOX療法が、
(2a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(2b)(好ましくは当該(2a)のオキサリプラチンの投与終了後、)レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(2c)当該(2b)のレボホリナートカルシウムの投与開始30分後からイリノテカン塩酸塩水和物 180mg/m(体表面積)を1.5時間かけて静脈内投与すること、
(2d)さらに当該(2b)のレボホリナートカルシウムの投与終了後、フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(2e)当該(2d)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を46時間かけて静脈内持続投与すること、
を含み、当該(2a)、(2b)、(2c)、(2d)および(2e)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法である、前記[56]~[87]、[89]、および[90]のいずれか一項に記載の剤。
[93] FOLFIRINOX療法の減量レジメンが、
(2a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(2b)(好ましくは当該(2a)のオキサリプラチンの投与終了後、)レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を2時間かけて静脈内投与すること、
(2c)当該(2b)のレボホリナートカルシウム投与開始30分後からイリノテカン塩酸塩水和物 150mg/m(体表面積)を1.5時間かけて静脈内投与すること、および
(2e)さらに当該(2b)のレボホリナートカルシウムの投与終了後に、フルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を46時間かけて静脈内持続投与すること、
を含み、当該(2a)、(2b)、(2c)および(2e)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法である、前記[56]~[86]、[88]、[89]、および[91]のいずれか一項に記載の剤。
[94] FOLFIRINOX療法もしくはその減量レジメン、免疫チェックポイント阻害物質およびCD47阻害物質の投与を同日に開始する療法である、前記[56]~[93]のいずれか一項に記載の剤。
[95] FOLFIRINOX療法またはその減量レジメン、並びに免疫チェックポイント阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、CD47阻害物質を有効成分として含むがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、
(i)CD47阻害物質がMagrolimabであり、Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与され、
(ii)免疫チェックポイント阻害物質がNivolumabであり、Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔、1回360mgを3週間間隔、または1回480mgを4週間間隔(好ましくは1回480mgを4週間間隔)で投与され、
(iii)当該FOLFIRINOX療法が、
(2a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(2b)(好ましくは当該(2a)のオキサリプラチンの投与終了後、)レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(2c)(好ましくは当該(2b)のレボホリナートカルシウムの投与開始30分後から)イリノテカン塩酸塩水和物 180mg/m(体表面積)を(好ましくは1.5時間かけて)静脈内投与すること、
(2d)さらに当該(2b)のレボホリナートカルシウムの投与終了後、フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(2e)当該(2d)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を(好ましくは46時間かけて)静脈内持続投与すること、
を含み、当該(2a)、(2b)、(2c)、(2d)および(2e)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法であり、または
当該FOLFIRINOX療法の減量レジメンが、
(2a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(2b)(好ましくは当該(2a)のオキサリプラチンの投与終了後、)レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(2c)(好ましくは当該(2b)のレボホリナートカルシウム投与開始30分後から)イリノテカン塩酸塩水和物 150mg/m(体表面積)を(好ましくは1.5時間かけて)静脈内投与すること、および
(2e)さらに当該(2b)のレボホリナートカルシウムの投与終了後、フルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を(好ましくは46時間かけて)静脈内持続投与すること、
を含み、当該(2a)、(2b)、(2c)および(2e)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法である、剤。
[96] FOLFIRINOX療法またはその減量レジメン、並びにCD47阻害物質と組み合わせて投与されることを特徴とする、免疫チェックポイント阻害物質を有効成分として含むがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤であって、
(i)CD47阻害物質がMagrolimabであり、Magrolimabとして初回投与時は1mg/kg(体重)を静脈内投与し、2回目投与以降は1回15mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)を1週間間隔または2週間間隔で静脈内投与され、
(ii)免疫チェックポイント阻害物質がNivolumabであり、Nivolumabとして1回240mgを2週間間隔、1回360mgを3週間間隔、または1回480mgを4週間間隔(好ましくは1回480mgを4週間間隔)で投与され、
(iii)当該FOLFIRINOX療法が、
(2a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(2b)(好ましくは当該(2a)のオキサリプラチンの投与終了後、)レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(2c)(好ましくは当該(2b)のレボホリナートカルシウムの投与開始30分後から)イリノテカン塩酸塩水和物 180mg/m(体表面積)を(好ましくは1.5時間かけて)静脈内投与すること、
(2d)さらに当該(2b)のレボホリナートカルシウムの投与終了後、フルオロウラシル 400mg/m(体表面積)を急速静脈内投与すること、および
(2e)当該(2d)のフルオロウラシルの投与終了後、さらにフルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を(好ましくは46時間かけて)静脈内持続投与すること、
を含み、当該(2a)、(2b)、(2c)、(2d)および(2e)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法であり、または
当該FOLFIRINOX療法の減量レジメンが、
(2a)オキサリプラチン 85mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(2b)(好ましくは当該(2a)のオキサリプラチンの投与終了後、)レボホリナートカルシウム 200mg/m(体表面積)を(好ましくは2時間かけて)静脈内投与すること、
(2c)(好ましくは当該(2b)のレボホリナートカルシウム投与開始30分後から)イリノテカン塩酸塩水和物 150mg/m(体表面積)を(好ましくは1.5時間かけて)静脈内投与すること、および
(2e)さらに当該(2b)のレボホリナートカルシウムの投与終了後、フルオロウラシル 2400mg/m(体表面積)を(好ましくは46時間かけて)静脈内持続投与すること、
を含み、当該(2a)、(2b)、(2c)および(2e)の一連の投与が2週間間隔で実施される、療法である、剤。
[97]がんが遠隔転移を有する膵臓がんである、前記[95]または[96]に記載の剤。
[98]遠隔転移を有する膵臓がんに対する全身性抗悪性腫瘍剤による治療歴のない患者に一次治療として投与されることを特徴とする、前記[97]に記載の剤。
[99] FOLFIRINOX療法またはその減量レジメン、Magrolimab、およびNivolumabの投与を同日に開始する療法である、前記[95]~[98]のいずれか一項に記載の剤。
【0072】
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術的、科学的用語、および略語は、本発明の分野に属する当業者によって普通に理解されるものと同様の意味を有する。
【0073】
また、本明細書において、明示的に引用される全ての特許文献および非特許文献もしくは参考文献の内容は、全て本明細書の一部としてここに引用し得る。
【実施例
【0074】
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0075】
実施例1:根治切除不能な進行または再発の結腸・直腸がん患者を対象に、一次治療としてMagrolimab、Nivolumabおよび標準療法であるFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法を併用する非盲検非対照試験
本試験は、根治切除不能な進行または再発の結腸・直腸がん患者を対象に、一次治療としてMagrolimab、NivolumabおよびFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法を併用したときの忍容性、安全性および有効性を検討することを目的とする。当該治験により、Magrolimab、NivolumabおよびFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法との併用効果が評価できる。
【0076】
(1)対象患者
根治切除不能な進行または再発の結腸・直腸がん患者
【0077】
(2)患者選択基準
登録時に、下記のすべての基準を満たす患者を選択した。なお、治験薬の初回投与前までに下記の基準を満たさないことが明らかとなった場合は、治験薬の投与を開始せず治験中止とした。
1.性別:不問。
2.年齢(同意取得時):20歳以上。
3.治験薬投与開始前日から少なくとも治験薬投与開始15日目の検査終了時まで入院が可能な患者(忍容性評価パートのみ)。
4.組織学的に結腸又は直腸原発の腺がん(虫垂がん、肛門管がんを除く)と病理学的に診断され、根治切除が適応されない患者。
5.治験薬投与前28日以内の画像診断において、RECISTガイドライン1.1版に定義される測定可能病変を有する患者。
・測定可能病変に対する放射線療法を受けた患者は、放射線療法施行後の画像診断において進行が確認されていること。
6.根治切除不能な進行又は再発の結腸・直腸がんに対する全身性抗悪性腫瘍剤による治療歴のない患者。
・治癒手術(R0切除が確認されている)と併せて術前・術後補助療法を実施した場合、補助療法完遂後6カ月以内に再発が認められていないこと。
7.バイオマーカー検査のための腫瘍組織検体を提供できる患者。
・腫瘍組織検体は、スクリーニング期に取得する。新たな腫瘍生検が困難な場合は、保存検体を利用することができる。ただし、保存検体は、治験薬投与前180日以内かつ直近の全身性抗がん療法の最終投与後に採取されていること。
8.RAS変異型で、FOLFOX(フルオロウラシル、レボホリナート、オキサリプラチン)とベバシズマブの併用療法を施行予定の患者(コホート1)、又はRAS野生型かつ原発巣占拠部位が左側(下行結腸、S状結腸、直腸)で、FOLFOX(フルオロウラシル、レボホリナート、オキサリプラチン)とセツキシマブの併用療法を施行予定の患者(コホート2)。
9.ECOG Performance Statusが0~1の患者。
10.登録時に3カ月以上の生存が期待される患者。
11.妊娠する可能性のある女性(化学閉経などの医学的理由により月経がない患者も含む)の場合、同意取得時から治験薬の最終投与後5カ月間及び標準治療薬の最終投与後、各薬剤で規定された避妊期間は二重避妊を行うことに同意した患者。また、同意取得後から治験薬最終投与後5カ月間及び標準治療薬の最終投与後、各薬剤で授乳が制限される期間に授乳しないことに同意した患者。ここで、妊娠する可能性のある女性とは、初潮を経験しており、不妊手術(子宮摘出術、両側卵管結紮又は両側卵巣摘出術など)を受けておらず、閉経していない女性すべてが含まれる。閉経の定義は、特筆すべき理由がないにもかかわらず、12カ月以上連続して無月経であることとする。経口避妊薬又は子宮内避妊器具やペッサリーを使用している女性は妊娠する可能性があるものとみなす。
12.男性の場合、治験薬投与開始時から治験薬の最終投与後4カ月間及び標準治療薬の最終投与後、各薬剤で規定された避妊期間は二重避妊を行うことに同意した患者。ここで、避妊については、男性患者又は男性パートナーの精管切除若しくはコンドーム、女性患者又は女性パートナーの卵管結紮、ペッサリー、子宮内避妊器具若しくは経口避妊薬のうち、いずれか2つによる二重の避妊を行う必要がある。
13.治験薬投与開始前14日以内に実施した最新の臨床検査値が下記の基準を満たす患者。なお、検査前14日以内に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)等の造血因子製剤の投与又は輸血を受けていないこと。
・好中球数が1,500/mm以上。
・血小板数が100,000/mm以上。
・ヘモグロビンが11.0g/dL以上。
・AST(GOT)及びALT(GPT)が施設基準値上限の3.0倍以下(ただし、肝転移がある場合、施設基準値上限の5.0倍以下とする)。
・総ビリルビンが施設基準値上限の1.5倍以下(ただし、ジルベール症候群患者の場合、総ビリルビンは施設基準値上限の3.0倍以下とする)。
・血清クレアチニンが施設基準値上限の1.5倍以下又はクレアチニンクリアランス(実測値又はCockcroft/Gault式による推定値)が40mL/min以上。
・アルブミンが3.0g/dL以上。
・[コホート1のみ]尿蛋白が1+以下。ただし、尿検査又は尿試験紙検査で尿蛋白が2+以上の患者は、24時間蓄尿で尿蛋白が1g/24時間以下の場合、又は尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)が1g/gCr未満の場合は登録可能とする。
14.治験責任医師又は治験分担医師より、本治験の内容について同意文書及び説明文書を用いて十分に説明を受け、自由意思により本治験参加に文書で同意する患者。
【0078】
(3)患者除外基準
登録時に、下記のいずれかの基準に該当する患者は除外した。なお、治験薬の初回投与前までに下記のいずれかの基準に抵触した場合は、治験薬の投与を開始せず治験中止とした。
1.原発巣占拠部位が右側(盲腸、上行結腸、横行結腸)のRAS/BRAF野生型の患者。
2.BRAF変異型の患者及び高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)又はミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有する患者。
3.抗凝固療法を受けている又はそれらを必要とする疾患を有する患者。
4.Grade2以上の消化管出血を持続的に認める患者。
5.消化管穿孔、重度な瘻孔、気管食道瘻を合併している患者。
6.薬物療法では管理不能な心嚢液、胸水又は腹水の貯留を認める患者。
7.抗体製剤に対する高度な過敏反応の既往を有する患者。
8.各コホートで使用する標準療法のいずれかの薬剤に対する投与が禁忌とされている患者。
[コホート1]フルオロウラシル、レボホリナート、オキサリプラチン及びベバシズマブ。
[コホート2]フルオロウラシル、レボホリナート、オキサリプラチン及びセツキシマブ。
9.Grade2以上の末梢性ニューロパチーを有する患者。
10.自己免疫疾患の合併、又は慢性的若しくは再発性の自己免疫疾患の既往を有する患者。ただし、全身療法を必要としない皮膚疾患(白斑、乾癬、脱毛症など)又は外的誘因の非存在下では再発すると考えられない疾患を合併している患者は登録可能とする。
11.手術療法の影響のため、治験責任医師又は治験分担医師が治験薬の安全性及び有効性評価に影響を及ぼすと判断した患者。
12.重複がんを有する患者。ただし、完全切除された基底細胞がん、ステージIの有棘細胞がん、上皮内がん、粘膜内がん若しくは表在性膀胱がん又は3年以上再発が認められない他のがんを有する患者は登録可能とする。
13.脳又は髄膜に転移巣を有する患者。ただし、無症状かつ治療を必要としない患者は登録可能とする。
14.画像診断若しくは臨床所見により診断された間質性肺疾患、又は肺線維症の合併若しくは既往を有する患者。
15.腫瘍に関連する疼痛が安定してコントロールできない患者。
16.登録前90日以内に溶血性貧血の既往歴を有する患者。
17.登録前180日以内に一過性脳虚血発作、脳血管発作、血栓症又は血栓塞栓症(肺動脈塞栓症又は深部静脈血栓症)の既往を有しており、血栓症又は血栓塞栓症のコントロールが不良な患者。ただし、中心静脈カテーテル関連の静脈血栓は許容する。
18.下記のコントロール不能又は重大な心血管疾患を有する患者。
・登録前6カ月以内の急性心筋梗塞。
・不安定狭心症又は治療を必要とする狭心症。
・New York Heart Association(NYHA)心機能分類III度からIV度のうっ血性心不全。
・適切な治療にもかかわらず管理不能な高血圧(収縮期血圧150mmHg以上又は拡張期血圧100mmHg以上が24時間以上持続するなど)。
・コントロール不能又は重大な不整脈。
19.コントロール不能な糖尿病を合併している患者。
20.治療を必要とする全身性感染症を有する患者。
21.移植療法を必要とする患者又は移植療法の既往がある患者(自己移植を除く)。
22.HIV-1抗体及びHIV-2抗体検査、HTLV-1抗体検査、HBs抗原検査、HCV抗体検査のいずれかが陽性の患者。また、HBs抗原検査が陰性であるが、HBs抗体検査又はHBc抗体検査のいずれかが陽性かつHBV-DNA定量が検出感度以上の患者。なお、HCV抗体検査が陽性でも、HCV-RNAが陰性の場合、登録を許容する。
23.同意取得前及び治験薬投与前に以下の治療を受けた患者。
・過去にMagrolimab、CD47-SIRPα経路を標的とした薬剤の治療歴を有する患者。
・過去に抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗CTLA-4抗体、若しくはその他のT細胞制御を目的とした抗体療法又はがんワクチンを含む治療歴を有する患者。
・同意取得前28日以内に2単位を超える赤血球輸血を受けた患者。
・治験薬投与前14日以内に局所麻酔を伴う手術療法を受けた患者。
・治験薬投与前14日以内に胸膜又は心膜などの癒着術を受けた患者。
・治験薬投与前14日以内に10mg/日を超えるプレドニゾン相当量の全身性副腎皮質ホルモン(検査、局所投与、造影剤アレルギー反応の治療及び予防又は放射線療法に伴う浮腫軽減などを目的とした一時的使用は除く)又は免疫抑制剤の投与を受けた患者。
・治験薬投与前28日以内に緩和的局所放射線療法を受けた患者。
・治験薬投与前28日以内に全身麻酔を伴う手術療法を受けた患者。
・治験薬投与前28日以内に生ワクチン又は弱毒化ワクチン接種を受けた患者。
・治験薬投与前56日以内に放射性医薬品(検査及び診断を目的とした放射性医薬品の使用を除く)の投与を受けた患者。
・治験薬投与前28日以内に他の未承認薬(臨床研究による投与や、未承認の配合薬、新剤形薬も含む)の投与を受けた患者。
24.妊娠中、授乳中又は妊娠している可能性のある患者。
25.認知症の合併などにより同意能力を欠く状態であると判断される患者。
26.その他、治験責任医師又は治験分担医師が本治験の対象として不適当と判断した患者。
【0079】
(4)用法・用量および投与期間
[Magrolimab]
Magrolimabを第1サイクルの1日目に初回投与として1mg/kgを3時間(±30分)かけて静脈内投与し、その後、第1サイクルでは1回20mg/kgまたは30mg/kgを1週間間隔で2時間(±30分)かけて静脈内投与し、第2サイクル以降では1回20mg/kgまたは30mg/kgを2週間間隔で2時間(±30分)かけて静脈内投与し、Magrolimabに関する所定の投与中止基準に該当するまで継続投与した。なお、Magrolimab、NivolumabおよびFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法を同日に投与する場合、Magrolimab、Nivolumab、FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法の順で投与を開始した。
【0080】
[Nivolumab]
Nivolumab 480mgを4週間間隔で30分間かけて静脈内投与し、Nivolumabに関する所定の投与中止基準に該当するまで継続投与した。なお、Nivolumabの投与は、前回の投与から少なくとも24日以上空け、25日目以降に実施した。
【0081】
[FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法]
ベバシズマブまたはセツキシマブの選択については、RAS変異型の患者に対してはベバシズマブを用い、RAS野生型の患者に対してはセツキシマブを用いた。
ベバシズマブの開始時用量は5mg/kg(体重)とし、90分かけて点滴静脈内注射した。初回投与時の忍容性が良好であれば、2回目の投与は60分間とすることも可能とした。また2回目の投与においても忍容性が良好であれば、それ以降の投与は30分間とすることも可能とした。投与間隔は2週間以上とした。
セツキシマブの開始時用量は400mg/m(体表面積)とし、2時間かけて点滴静注した。2回目以降は週1回または2週間間隔で250mg/mを1時間かけて点滴静注した。また必要に応じて、2週間に1回、セツキシマブとして、500mg/mを2時間かけて点滴静注する2週間間隔投与も可能とした。なお、患者の状態により適宜減量した。
(1x)ベバシズマブまたはセツキシマブの投与後、(1a)オキサリプラチンは85mg/m(体表面積)を2時間かけて静脈内投与した。(1b)オキサリプラチンの投与と同時に、レボホリナートカルシウムは200mg/m(体表面積)を2時間かけて静脈内投与した。(1c)フルオロウラシルは、レボホリナートカルシウムの静脈内投与終了後、400 mg/m(体表面積)を急速静脈内投与し、(1d)その後2400mg/m(体表面積)を46時間かけて静脈内投与した。当該(1x)、(1a)、(1b)、(1c)および(1d)の一連の投与は2週間間隔で実施した。なお、ベバシズマブ、セツキシマブ、オキサリプラチン、レボホリナートカルシウム、およびフルオロウラシルはそれぞれ市販品を用いた。
【0082】
[治験スケジュール]
本試験は、スクリーニング期、治療期および後観察期からなる。治験スケジュールの概要を図1に示す。
スクリーニング期は治験薬投与前28日以内とし、治験責任医師または治験分担医師は上記選択基準を満たし、かつ上記除外基準に抵触せず、本治験の対象として適格と判断した患者を組み入れた。
治療期は1サイクル28日間とし、初回の治験薬投与日をサイクル1の1日目とした。第2サイクル以降の各サイクルの1日目は、[28×(サイクル数-1)+1]日とした。Magrolimab、NivolumabおよびFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法についてそれぞれ上記用法・用量に従って、投与を開始し、Magrolimab、NivolumabおよびFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法についての投与基準、減量基準および減量時の投与量に従って投与を継続した。Magrolimab、NivolumabおよびFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法の投与終了(中止)時の評価が終了した時点を治療期終了とした。治験薬を投与したすべての被験者のうち、Magrolimab、NivolumabおよびFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法の投与を中止または終了した被験者は、投与終了(中止)時の評価を実施し、後観察期に移行した。後観察期終了後は、追跡調査を実施した。
【0083】
[MagrolimabおよびNivolumabの投与基準]
被験者は、毎回の投与開始時において、MagrolimabおよびNivolumabに関してこれまでに実施された治験における投与基準を考慮して決定された所定の投与基準をすべてに合致しなければならない。当該基準のいずれかに合致しない場合、予定されたMagrolimabおよびNivolumabの投与を休薬した。休薬した被験者は、週1回又は臨床上必要な場合はそれ以上の頻度で検査を実施し、投与再開の可否を判断した。
【0084】
[Magrolimabの投与中止基準]
治療期において、Magrolimabに関してこれまでに実施された治験における投与中止基準を考慮して決定された所定の投与中止基準のいずれかに該当した被験者はMagrolimabの投与を中止した。
【0085】
[Nivolumabの投与中止基準]
治療期において、Nivolumabに関してこれまでに実施された治験における投与中止基準を考慮して決定された所定の投与中止基準のいずれかに該当した被験者はNivolumabの投与を中止した。
【0086】
[FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法の投与基準]
被験者は、毎回の投与開始時において、FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法に関して最新の添付文書を考慮して決定された所定の投与基準をすべて合致しなければならない。投与予定日の臨床検査値が当該基準の条件を満たす状態へ回復するまで投与を延期し、各薬剤の禁忌に該当しないことを確認した上で投与した。
【0087】
[FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法の減量および減量基準]
最新の添付文書に準じて減量を実施した。
【0088】
[FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法の中止基準]
治療期において、FOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法に関して最新の添付文書を考慮して決定された所定の投与中止基準のいずれかに該当した被験者はFOLFOX療法にベバシズマブまたはセツキシマブを加えた併用療法の投与を中止した。
【0089】
[有効性の評価基準]
(画像診断)
胸部、腹部および骨盤のCT/核磁気共鳴画像(MRI)撮影等を実施した。
治験責任医師または治験分担医師は、RECISTガイドライン1.1版に準じて標的病変の腫瘍径を計測し、抗腫瘍効果を判定した。
(評価項目)
(1)奏効率(ORR)、(2)病勢制御率(DCR)、(3)全生存期間(OS)、(4)無増悪生存期間(PFS)、(5)奏効期間(DOR)、(6)奏効に至るまでの期間(TTR)、(7)最良総合効果(BOR)、(8)標的病変の腫瘍径和の変化率、(9)標的病変の腫瘍径和の最大変化率、(10)腫瘍マーカーの推移(CEAおよびCA19-9)
(標的病変の評価)
完全奏功(complete response:CR)
すべての非リンパ節標的病変の消失し、標的病変として選択したすべてのリンパ節病変の短径が10mm未満に縮小した場合を意味する。
部分奏功(partial response:PR)
ベースラインの径和に比して、標的病変の径和が30%以上減少した場合を意味する。
進行(progressive disease:PD)
経過中の最小の径和に比して、標的病変の径和が20%以上増加、かつ径和が絶対値でも5mm以上増加した場合を意味する。
安定(stable disease:SD)
経過中の最小の径和に比して、PRに相当する縮小がなくPDに相当する増大がない場合を意味する。
評価不能(Not Evaluable:NE)
何らかの理由で検査が行えない場合若しくはCR、PR、PD又はSDのいずれとも判定できない場合を意味する。
【0090】
(1)奏効率
奏効率は、最良総合効果がCRまたはPRと判定された被験者の割合を示す。
【0091】
(2)病勢制御率
病勢制御率は、最良総合効果がCR、PRまたはSDと判定された被験者の割合を示す。
【0092】
(3)全生存期間
全生存期間は、以下の式から算出する。
全生存期間(日)=「あらゆる原因による死亡日」-「治験薬投与開始日」+1
なお、追跡不能となった、またはデータカットオフ日までに死亡していない被験者は、最終生存確認日を打切り日とする。
【0093】
(4)無増悪生存期間
無増悪生存期間は、以下の式から算出する。
無増悪生存期間(日)=「総合効果がPDと判定された日、またはあらゆる原因による死亡日のうち早い日」-「治験薬投与開始日」+1
なお、総合効果がPDと判定されておらず、かつ死亡もしていない被験者は、最後の評価可能な画像診断が行われた日を打切り日とする。評価可能な画像診断が行われておらず、かつ死亡もしていない被験者は、治験薬投与開始日を打切り日とする。総合効果がPDと判定されるまたは死亡する前に、がんに対する後治療を受けた被験者は、がんに対する後治療開始前における最後の評価可能な画像診断が行われた日を打切り日とする。
【0094】
(5)奏効期間
奏効期間は、以下の式から算出する。
奏効期間(日)=「奏効確定後初めて総合効果がPDと判定された日またはあらゆる原因による死亡日のうち早い日」-「確定されたCRまたはPRの最初の判定日」+1
なお、評価対象は治験を通じて確定されたCRまたはPRを示した被験者とする。
【0095】
(6)奏効に至るまでの期間
奏効に至るまでの期間は、以下の式から算出する。
奏効に至るまでの期間(日)=「確定されたCRまたはPRの最初の判定日」-「治験薬投与開始日」+1
【0096】
(7)最良総合効果
本治験を終了するまでに判定された総合効果から最良総合効果を判定する。ただし、CRとPRは4週(28日)以上間隔を経て連続した評価による確定を必要とし、表1の基準に従って判定する。
【0097】
【表1】
【0098】
(8)標的病変の腫瘍径和の変化率
標的病変を有する被験者を対象に、標的病変の腫瘍径和の変化率を以下の計算式を用いて算出する。ただし、後治療が行われた後の標的病変の腫瘍径和の変化率は算出しない。
【0099】
【数1】
【0100】
(9)標的病変の腫瘍径和の最大変化率
標的病変の腫瘍径和の最大変化率は、標的病変の腫瘍径和が最も小さくなった時点の変化率とする。ただし、総合効果がPDと判定された後または後治療が行われた後の標的病変の腫瘍径和は最大変化率の算出に使用しない。
【0101】
【数2】
【0102】
(10)腫瘍マーカーの変化率の推移(CEAおよびCA19-9)
腫瘍マーカーの変化率を以下の計算式を用いて算出する。ただし、後治療が行われた後の腫瘍マーカーの変化率は算出しない。
【0103】
【数3】
【0104】
[安全性の評価項目]
以下の項目について治験責任医師などにより、既定の時期に測定、検査および調査を実施した。
(1)用量制限毒性(DLT)、(2)有害事象、(3)臨床検査(血液学的検査、血液生化学的検査、免疫学的検査、ホルモン調査、血液凝固系検査、尿定性検査)、末梢血塗抹標本、(4)バイタルサイン(収縮期血圧/拡張期血圧、脈拍数、体温、呼吸数)、経皮的酸素飽和度(SpO)、体重、(5)12誘導心電図、(6)ECOG Performance Status、および(7)胸部X線
【0105】
[有効性評価結果]
Magrolimab、NivolumabおよびFOLFOX療法にベバシズマブを加えた併用療法について、1例目の被験者が登録されてから8ヶ月が経過した時点において、PRと判定された症例が2例であった。
Magrolimab、NivolumabおよびFOLFOX療法にセツキシマブを加えた併用療法について、1例目の被験者が登録されてから8ヶ月が経過した時点において、PRと判定された症例が3例であった。
【0106】
実施例2:遠隔転移を有する膵臓がん患者を対象に、一次治療としてMagrolimab、Nivolumabおよび標準療法であるmFFX療法を併用する非盲検非対照試験
本試験は、遠隔転移を有する膵臓がん患者を対象に、一次治療としてMagrolimab、NivolumabおよびmFFX療法を併用したときの忍容性、安全性および有効性を検討することを目的とする。当該治験により、Magrolimab、NivolumabおよびmFFX療法との併用効果が評価できる。
【0107】
(1)対象患者
遠隔転移を有する膵臓がん患者
【0108】
(2)患者選択基準
登録時に、下記のすべての基準を満たす患者を選択した。なお、登録から治験薬の初回投与前までに下記の基準を満たさないことが明らかとなった場合は、治験薬の投与を開始せず治験中止とした。
1.性別:不問。
2.年齢(同意取得時):20歳以上。
3.治験薬投与開始前日から少なくとも治験薬投与開始15日目の検査終了時まで入院が可能な患者(忍容性評価パートのみ)。
4.組織診又は細胞診により腺がんと診断された浸潤性膵管がんの患者。
5.遠隔転移を有する膵臓がんに対する全身性抗悪性腫瘍剤による治療歴がない患者。ただし、化学放射線療法、術後補助化学療法又は術前補助化学療法を過去に受けた患者で、抗悪性腫瘍剤の投与終了から180日以上経過して再発した場合、登録を許容する。
6.治験薬投与前14日以内の画像診断において、RECISTガイドライン1.1版に定義される測定可能病変を有する患者。ただし、放射線照射の治療歴がある測定可能病変のみを有する場合は、放射線療法施行後の画像診断において増悪が確認された病変に限る。
7.Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)Performance Statusが0又は1の患者。
8.90日以上の生存が見込まれる患者。
9.バイオマーカー検査のための腫瘍組織検体を提供できる患者。
腫瘍組織検体は、スクリーニング期に取得する。新たな腫瘍生検が困難な場合は、保存検体を利用することができる。ただし、保存検体は、治験薬投与前180日以内に採取されていること。
10.妊娠する可能性のある女性(化学閉経などの医学的理由により月経がない患者も含む)の場合、同意取得時から治験薬の最終投与後5カ月間及び標準治療薬の最終投与後各薬剤で避妊が規定された期間は二重避妊を行うことに同意した患者。また、同意取得後から治験薬の最終投与後5カ月間及び標準治療薬の最終投与後各薬剤で授乳が制限される期間は授乳しないことに同意した患者。ここで、妊娠する可能性のある女性とは、初潮を経験しており、不妊手術(子宮摘出術、両側卵管結紮又は両側卵巣摘出術など)を受けておらず、閉経していない女性すべてが含まれる。閉経の定義は、特筆すべき理由がないにもかかわらず、12カ月以上連続して無月経であることとする。経口避妊薬又は子宮内避妊器具や避妊ペッサリーを使用している女性は妊娠する可能性があるものとみなす。
11.男性の場合、治験薬投与開始時から治験薬最終投与後4カ月間及び標準治療薬の最終投与後各薬剤で避妊が規定された期間は二重避妊を行うことに同意した患者。ここで避妊については、男性患者又は男性パートナーの精管切除若しくはコンドーム、女性患者又は相手パートナーの卵管結紮、避妊ペッサリー、子宮内避妊器具若しくは経口避妊薬のうち、いずれか2つによる二重避妊を行う必要がある。
12.治験薬投与開始前14日以内に実施した最新の臨床検査値が下記の基準を満たす患者。なお、検査日前14日以内に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF製剤)等の造血因子製剤の投与又は輸血を受けていないこととする。
・好中球数:2,000/mm以上。
・血小板数:100,000/mm以上。
・ヘモグロビン:11.0g/dL以上。
・AST(GOT)及びALT(GPT):施設基準値上限の3.0倍以下(ただし、肝転移がある場合、施設基準値上限の5.0倍以下とする)。
・総ビリルビン:施設基準値上限の1.5倍以下。
・アルブミン:3.0g/dL以上。
・クレアチニン:施設基準値上限の1.5倍以下又はクレアチニンクリアランス(実測値又はCockcroft/Gault式による推定値)が40mL/min以上。
13.治験責任医師又は治験分担医師より、本治験の内容について同意文書及び説明文書を用いて十分に説明を受け、自由意思により本治験参加に文書で同意する患者。
【0109】
(3)患者除外基準
登録時に、下記のいずれかの基準に該当すると考えられる患者は除外した。なお、登録から治験薬の初回投与前までに下記のいずれかの基準に抵触した場合は、治験薬の投与を開始せず治験中止とした。
1.オキサリプラチン、イリノテカン、フルオロウラシル又はレボホリナートカルシウムの投与が禁忌とされている患者。
2.臨床的に問題となる下痢(水様便を含む)を認める患者。
3.末梢性運動ニューロパチー又は末梢性感覚ニューロパチーを認める患者。
4.UDPグルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)遺伝子多型;ホモ接合体(UGT1A1*6/*6、UGT1A1*28/*28)又はヘテロ接合体(複合ヘテロ接合体:UGT1A1*6/*28)を有する患者。
5.抗体製剤に対する高度の過敏反応の合併又は既往を有する患者。
6.手術療法の影響のため、治験責任医師又は治験分担医師が治験薬の有効性及び安全性評価に影響を及ぼすと判断した患者。
7.自己免疫疾患の合併又は慢性的あるいは再発性の自己免疫疾患の既往を有する患者。ただし、1型糖尿病、ホルモン補充療法により対処可能な甲状腺機能低下症又は全身療法を必要としない皮膚疾患(白斑、乾癬、脱毛症など)を合併している患者は登録可能とする。
8.重複がんを有する患者(完全切除された基底細胞がん、ステージIの有棘細胞がん、上皮内がん、粘膜内がん又は表在性膀胱がん、あるいは3年間以上再発が認められない他のがんを有する患者は登録可能とする)。
9.脳又は髄膜に転移巣を有する患者。ただし、無症状かつ治療を必要としない患者は登録可能とする。
10.画像診断又は臨床所見により診断された間質性肺疾患若しくは肺線維症の合併又は既往を有する患者。
11.憩室炎又は症候性消化管潰瘍疾患を合併している患者。
12.薬物療法では管理不能な心嚢液、胸水又は腹水の貯留を認める患者。
13.管理不能な癌性疼痛を合併している患者。
14.骨盤腔を超えて腹水の連続貯蓄があるなどの高度の腹膜播種を認める患者。
15.移植療法を必要とする患者又は移植療法の既往がある患者(自己移植を除く)。
16.登録前90日以内に溶血性貧血の既往歴を有する患者。
17.登録前180日以内に一過性脳虚血発作、脳血管発作、血栓症又は血栓塞栓症(肺動脈塞栓症又は深部静脈血栓症)の既往を有する患者。
18.下記の管理不能又は重大な心血管疾患を有する患者。
・登録前180日以内の心筋梗塞。
・登録前180日以内の管理不能な狭心症。
・New York Heart Association(NYHA)心機能分類III度又はIV度のうっ血性心不全。
・適切な治療にもかかわらず管理不能な高血圧(収縮期血圧150mmHg以上又は拡張期血圧90mmHg以上が24時間以上持続するなど)。
・治療を必要とする不整脈。
19.管理不能な糖尿病を合併している患者。
20.治療を必要とする全身性感染症を有する患者。
21.スクリーニング時の検査で、HIV-1抗体及びHIV-2抗体検査、HTLV-1抗体検査、HBs抗原検査、HCV抗体検査(HCV-RNA陰性を除く)のいずれかが陽性の患者。なお、HCV抗体検査が陽性でも、HCV-RNAが陰性の場合、登録を許容する。
22.スクリーニング時の検査で、HBs抗原検査が陰性であるが、HBs抗体検査又はHBc抗体検査のいずれかが陽性かつHBV-DNA定量が検出感度以上の患者。
23.同意取得前及び治験薬投与前に以下の治療を受けた患者。
・過去にMagrolimab又はCD47-SIRPα経路を標的とした薬剤、Nivolumab、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗CD137抗体、抗CTLA-4抗体又はその他のT細胞制御を目的とした抗体療法若しくはがんワクチンを含む薬物療法の治療歴を有する患者。
・同意取得前28日以内に2単位を超える赤血球の輸血を受けた患者。
・治験薬投与前14日以内に局所麻酔を伴う手術療法を受けた患者。
・治験薬投与前14日以内に胸膜又は心膜などの癒着術を受けた患者。
・治験薬投与前14日以内に10mg/日を超えるプレドニゾロン相当量の全身性副腎皮質ホルモン(検査、局所投与、造影剤アレルギー反応の治療及び予防又は放射線療法に伴う浮腫軽減などを目的とした一時的使用は除く)又は免疫抑制剤の投与を受けた患者。
・治験薬投与前28日以内に緩和を目的とした放射線照射を受けた患者。
・治験薬投与前28日以内に全身麻酔を伴う手術療法を受けた患者。
・治験薬投与前28日以内に生ワクチン又は弱毒化ワクチン接種を受けた患者。
・治験薬投与前28日以内(抗体製剤の場合は90日以内)に他の未承認薬(臨床研究による投与や、未承認の配合薬、新剤形薬も含む)の投与を受けた患者。
・治験薬投与前56日以内に放射性医薬品(検査及び診断を目的とした放射性医薬品の使用を除く)の投与を受けた患者。
24.生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異(病的変異又は病的変異疑い)を有することが判明している患者
25.妊娠中、授乳中又は妊娠している可能性のある患者(授乳中の患者は、授乳を中断した場合においても、登録不可とする)。
26.認知症の合併などにより同意能力を欠く状態であると判断される患者。
27.その他、治験責任医師又は治験分担医師が治験対象として不適当と判断した患者。
【0110】
(4)用法・用量および投与期間
[Magrolimab]
Magrolimabを第1サイクルの1日目に初回投与として1mg/kgを3時間(±30分)かけて静脈内投与し、その後、第1サイクルでは1回20mg/kgまたは30mg/kgを1週間間隔で2時間(±30分)かけて静脈内投与し、第2サイクル以降では1回20mg/kgまたは30mg/kgを2週間間隔で2時間(±30分)かけて静脈内投与し、Magrolimabに関する所定の投与中止基準に該当するまで継続投与した。なお、Magrolimab、NivolumabおよびmFFX療法を同日に投与する場合、Magrolimab、Nivolumab、mFFX療法の順で投与を開始した。
【0111】
[Nivolumab]
Nivolumab 480mgを4週間間隔で30分間かけて静脈内投与し、Nivolumabに関する所定の投与中止基準に該当するまで継続投与した。なお、Nivolumabの投与は、前回の投与から少なくとも24日以上空け、25日目以降に実施した。
【0112】
[mFFX療法]
(2a)オキサリプラチンは85mg/m(体表面積)を2時間かけて静脈内投与した。(2b)レボホリナートカルシウムは200mg/m(体表面積)を2時間かけて静脈内投与した。(2c)レボホリナートカルシウム投与開始30分後からイリノテカン塩酸塩水和物は150mg/m(体表面積)を1.5時間かけて静脈内投与した。(2e)フルオロウラシルは2400mg/m(体表面積)を46時間かけて静脈内投与した。当該(2a)、(2b)、(2c)および(2e)の一連の投与は2週間間隔で実施した。なお、オキサリプラチン、イリノテカン塩酸塩水和物、レボホリナートカルシウムおよびフルオロウラシルはそれぞれ市販品を用いた。
【0113】
[治験スケジュール]
本試験は、スクリーニング期、治療期および後観察期からなる。治験スケジュールの概要を図2に示す。
スクリーニング期は治験薬投与前28日以内とし、治験責任医師または治験分担医師は上記選択基準を満たし、かつ上記除外基準に抵触せず、本治験の対象として適格と判断した患者を組み入れた。
治療期は1サイクル28日間とし、初回の治験薬投与日をサイクル1の1日目とした。第2サイクル以降の各サイクルの1日目は、[28×(サイクル数-1)+1]日とする。Magrolimab、NivolumabおよびmFFX療法についてそれぞれ上記用法・用量に従って、投与を開始し、Magrolimab、NivolumabおよびmFFX療法についての投与基準、減量基準および減量時の投与量に従って投与を継続した。Magrolimab、NivolumabおよびmFFX療法の投与終了(中止)時の評価が終了した時点を治療期終了とした。治験薬を投与したすべての被験者のうち、Magrolimab、NivolumabおよびmFFX療法の投与を中止または終了した被験者は、投与終了(中止)時の評価を実施し、後観察期に移行した。後観察期終了後は、追跡調査を実施した。
【0114】
[MagrolimabおよびNivolumabの投与基準]
被験者は、毎回の投与開始時において、MagrolimabおよびNivolumabに関してこれまでに実施された治験における投与基準を考慮して決定された所定の投与基準をすべてに合致しなければならない。当該基準のいずれかに合致しない場合、予定されたMagrolimabおよびNivolumabの投与を休薬した。休薬した被験者は、週1回又は臨床上必要な場合はそれ以上の頻度で検査を実施し、投与再開の可否を判断した。
【0115】
[Magrolimabの投与中止基準]
治療期において、Magrolimabに関してこれまでに実施された治験における投与中止基準を考慮して決定された所定の投与中止基準のいずれかに該当した被験者はMagrolimabの投与を中止した。
【0116】
[Nivolumabの投与中止基準]
治療期において、Nivolumabに関してこれまでに実施された治験における投与中止基準を考慮して決定された所定の投与中止基準のいずれかに該当した被験者はNivolumabの投与を中止した。
【0117】
[mFFX療法の投与基準]
被験者は、毎回の投与開始時において、mFFX療法に関して最新の添付文書を考慮して決定された所定の投与基準をすべて合致しなければならない。投与予定日の臨床検査値が当該基準の条件を満たす状態へ回復するまで投与を延期し、各薬剤の禁忌に該当しないことを確認した上で投与した。
【0118】
[mFFX療法の減量および減量基準]
最新の添付文書に準じて減量を実施した。
【0119】
[mFFX療法の中止基準]
治療期において、mFFX療法に関して最新の添付文書を考慮して決定された所定の投与中止基準のいずれかに該当した被験者はmFFX療法の投与を中止した。
【0120】
[有効性の評価基準]
(画像診断)
胸部、腹部および骨盤のCT/核磁気共鳴画像(MRI)撮影等を実施した。
治験責任医師または治験分担医師は、RECISTガイドライン1.1版に準じて標的病変の腫瘍径を計測し、抗腫瘍効果を判定した。
(評価項目)
(1)奏効率(ORR)、(2)病勢制御率(DCR)、(3)全生存期間(OS)、(4)無増悪生存期間(PFS)、(5)奏効期間(DOR)、(6)奏効に至るまでの期間(TTR)、(7)最良総合効果(BOR)、(8)標的病変の腫瘍径和の変化率、(9)標的病変の腫瘍径和の最大変化率、(10)腫瘍マーカーの推移(CEAおよびCA19-9)
(標的病変の評価)
完全奏功(complete response:CR)
すべての非リンパ節標的病変の消失し、標的病変として選択したすべてのリンパ節病変の短径が10mm未満に縮小した場合を意味する。
部分奏功(partial response:PR)
ベースラインの径和に比して、標的病変の径和が30%以上減少した場合を意味する。
進行(progressive disease:PD)
経過中の最小の径和に比して、標的病変の径和が20%以上増加、かつ径和が絶対値でも5mm以上増加した場合を意味する。
安定(stable disease:SD)
経過中の最小の径和に比して、PRに相当する縮小がなくPDに相当する増大がない場合を意味する。
評価不能(Not Evaluable:NE)
何らかの理由で検査が行えない場合若しくはCR、PR、PD又はSDのいずれとも判定できない場合を意味する。
【0121】
(1)奏効率
奏効率は、最良総合効果がCRまたはPRと判定された被験者の割合を示す。
【0122】
(2)病勢制御率
病勢制御率は、最良総合効果がCR、PRまたはSDと判定された被験者の割合を示す。
【0123】
(3)全生存期間
全生存期間は、以下の式から算出する。
全生存期間(日)=「あらゆる原因による死亡日」-「治験薬投与開始日」+1
なお、追跡不能となった、またはデータカットオフ日までに死亡していない被験者は、最終生存確認日を打切り日とする。
【0124】
(4)無増悪生存期間
無増悪生存期間は、以下の式から算出する。
無増悪生存期間(日)=「総合効果がPDと判定された日、またはあらゆる原因による死亡日のうち早い日」-「治験薬投与開始日」+1
なお、総合効果がPDと判定されておらず、かつ死亡もしていない被験者は、最後の評価可能な画像診断が行われた日を打切り日とする。評価可能な画像診断が行われておらず、かつ死亡もしていない被験者は、治験薬投与開始日を打切り日とする。総合効果がPDと判定されるまたは死亡する前に、がんに対する後治療を受けた被験者は、がんに対する後治療開始前における最後の評価可能な画像診断が行われた日を打切り日とする。
【0125】
(5)奏効期間
奏効期間は、以下の式から算出する。
奏効期間(日)=「奏効確定後初めて総合効果がPDと判定された日またはあらゆる原因による死亡日のうち早い日」-「確定されたCRまたはPRの最初の判定日」+1
なお、評価対象は治験を通じて確定されたCRまたはPRを示した被験者とする。
【0126】
(6)奏効に至るまでの期間
奏効に至るまでの期間は、以下の式から算出する。
奏効に至るまでの期間(日)=「確定されたCRまたはPRの最初の判定日」-「治験薬投与開始日」+1
【0127】
(7)最良総合効果
本治験を終了するまでに判定された総合効果から最良総合効果を判定する。ただし、CRとPRは4週(28日)以上間隔を経て連続した評価による確定を必要とし、表2の基準に従って判定する。
【0128】
【表2】
【0129】
(8)標的病変の腫瘍径和の変化率
標的病変を有する被験者を対象に、標的病変の腫瘍径和の変化率を以下の計算式を用いて算出する。ただし、後治療が行われた後の標的病変の腫瘍径和の変化率は算出しない。
【0130】
【数4】
【0131】
(9)標的病変の腫瘍径和の最大変化率
標的病変の腫瘍径和の最大変化率は、標的病変の腫瘍径和が最も小さくなった時点の変化率とする。ただし、総合効果がPDと判定された後または後治療が行われた後の標的病変の腫瘍径和は最大変化率の算出に使用しない。
【0132】
【数5】
【0133】
(10)腫瘍マーカーの変化率の推移(CEAおよびCA19-9)
腫瘍マーカーの変化率を以下の計算式を用いて算出する。ただし、後治療が行われた後の腫瘍マーカーの変化率は算出しない。
【0134】
【数6】
【0135】
[安全性の評価項目]
以下の項目について治験責任医師などにより、既定の時期に測定、検査および調査を実施した。
(1)用量制限毒性(DLT)、(2)有害事象、(3)臨床検査(血液学的検査、血液生化学的検査、免疫学的検査、ホルモン調査、血液凝固系検査、尿定性検査)、末梢血塗抹標本、(4)バイタルサイン(収縮期血圧/拡張期血圧、脈拍数、体温、呼吸数)、経皮的酸素飽和度(SpO)、体重、(5)12誘導心電図、(6)ECOG Performance Status、および(7)胸部X線
【0136】
[有効性評価結果]
Magrolimab、NivolumabおよびmFFX療法の併用療法について、1例目の被験者が登録されてから10ヶ月が経過した時点において、PRと判定された症例が1例であった。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、新たながん治療法を提供するものであり、有用である。
図1
図2