(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】筐体およびセンサ装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20240918BHJP
G01S 7/03 20060101ALI20240918BHJP
G01S 7/40 20060101ALI20240918BHJP
H04N 23/52 20230101ALI20240918BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S7/03 246
G01S7/40 143
H04N23/52
(21)【出願番号】P 2023542231
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 JP2022022636
(87)【国際公開番号】W WO2023021812
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2021133492
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022047370
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】田淵 勝宏
(72)【発明者】
【氏名】藤本 克己
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-231398(JP,A)
【文献】特開2006-058498(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0358938(US,A1)
【文献】国際公開第2019/225042(WO,A1)
【文献】特開2017-096674(JP,A)
【文献】特開2012-038078(JP,A)
【文献】中国実用新案第212275973(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - G01S 7/51
G01S 17/00 - G01S 17/95
H04N 23/00 - H04N 23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式センサを収容する筐体であって、
透光体と、
前記光学式センサを収容し、前記透光体を振動可能に保持する筐体ベースと、
前記透光体を振動させ
る複数のアクチュエータと、
を備
え、
前記透光体は、第1端部と前記第1端部と反対側の第2端部とを有する円筒形状を有し、
前記複数のアクチュエータは、前記第1端部側および前記第2端部側のうち少なくとも一方に等間隔に配置される、
筐体。
【請求項2】
光学式センサを収容する筐体であって、
透光体と、
前記光学式センサを収容し、前記透光体を振動可能に保持する筐体ベースと、
前記透光体を振動させるアクチュエータと、
を備え、
前記アクチュエータは、圧電素子を含み、
前記筐体ベースは、前記アクチュエータと前記透光体とを接続し、前記透光体に振動を伝達する振動伝達部を含み、
前記透光体は、外側に位置する第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面と、前記第1主面と前記第2主面とを接続する側面と、を有する板状の形状を有し、
前記振動伝達部は、第1振動伝達部および第2振動伝達部を含み、
前記第1振動伝達部および第2振動伝達部はそれぞれ、一方端部および他方端部を有し、前記一方端部が前記アクチュエータに接続され、前記側面に沿って延びる振動部と、前記振動部の前記他方端部から前記側面に向かって延び、前記透光体を支持する支持部と、を有し、
前記第1振動伝達部および前記第2振動伝達部のそれぞれの前記支持部は、向き合って配置されて前記透光体の前記側面を挟んで支持する、
筐体。
【請求項3】
前
記複数のアクチュエータは、電流を流すことにより磁界を発生させるコイルと、前記コイルの中空に挿入され前記透光体を支持する鉄心と、前記コイルにより発生する磁界により前記鉄心を引き寄せる磁石と、を有し、前記鉄心の軸方向に前記透光体を振動させる、
請求項1に記載の筐体。
【請求項4】
前記複数のアクチュエータは、第1アクチュエータと第2アクチュエータとを含み、
前記第1アクチュエータは前記透光体の
前記第1端部側に配置され、前記第2アクチュエータ
は前記透光体の
前記第2端部側に配置される、
請求項1に記載の筐体。
【請求項5】
前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータとは、対向して配置される、
請求項
4に記載の筐体。
【請求項6】
さらに、
前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータとのうち少なくとも1つのアクチュエータの出力電圧を検出する検出部、
を備える、
請求項
4に記載の筐体。
【請求項7】
さらに、
前
記複数のアクチュエータの振動を制御する制御部、
を備え、
前記制御部は、前記検出部により検出された前記少なくとも1つのアクチュエータの出力電圧に基づいて、前記複数のアクチュエータの振動を制御する、
請求項
6に記載の筐体。
【請求項8】
前記複数のアクチュエータは、前記透光体を前記円筒形状の軸方向に振動させる、
請求項
1に記載の筐体。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記第1振動伝達部および前記第2振動伝達部のそれぞれの前記支持部が向き合う方向に交差して前記透光体の前記第1主面に沿った第1方向に振動し、
前記支持部は、前記第1方向における前記側面の中央に配置される、
請求項2に記載の筐体。
【請求項10】
前記アクチュエータは、前記第1振動伝達部および前記第2振動伝達部のそれぞれの前記支持部が向き合う方向に交差し前記透光体の前記第1主面に沿った第1方向に振動し、
前記支持部は、前記第1方向において中央よりも前記アクチュエータに近い位置に配置される、
請求項2に記載の筐体。
【請求項11】
前
記複数のアクチュエータは、ユニモルフ型またはバイモルフ型の圧電素子により構成され、
前記筐体ベースは、前記透光体を支持するフレームと、前記透光体と前
記複数のアクチュエータとを接続する接続部と、を含む、
請求項1に記載の筐体。
【請求項12】
さらに、前記アクチュエータを制御する制御部、を備え、
前記制御部は、前記アクチュエータの第1共振周波数と、前記透光体に付着した異物の第2共振周波数と、を重畳させた変調周波数で、前記アクチュエータを振動させる、
請求項2に記載の筐体。
【請求項13】
前記筐体ベースは、前記透光体の振動を吸収する弾性体を有する、
請求項1に記載の筐体。
【請求項14】
前記透光体と前記筐体ベースとの間、または前記透光体と前記光学式センサとの間に、緩衝部材が配置されている、
請求項1に記載の筐体。
【請求項15】
前記緩衝部材は、蛇腹構造を有する、
請求項
14に記載の筐体。
【請求項16】
前記緩衝部材は、エラストマにより構成されている、
請求項
14に記載の筐体。
【請求項17】
請求項1から
16のいずれか1項に記載の筐体と、
前記筐体内に収容される光学式センサと、
を備える、
センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置用の筐体、およびセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載カメラまたは防犯カメラ等の屋外で使用されるカメラのレンズには、雨等の水滴が付着することがある。そこで、レンズに付着した水滴を除去することのできる装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、撮像ユニットのレンズに付着した水滴を除去する水滴除去機能付きカメラが記載されている。特許文献1に記載の水滴除去機能付きカメラでは、撮像ユニットを光軸の動揺する方向に振動させることで、レンズについた水滴を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の水滴除去機能付きカメラでは、検出精度の向上の点で、未だ改善の余地がある。
【0006】
本発明は、振動により液滴を除去するセンサ装置において、検出精度を向上させることのできるセンサ装置用の筐体、およびセンサ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様にかかる筐体は、
光学式センサを収容する筐体であって、
透光体と、
前記光学式センサを収容し、前記透光体を振動可能に保持する筐体ベースと、
前記透光体を振動させる1つまたは複数のアクチュエータと、
を備える。
【0008】
本発明の一態様にかかるセンサ装置は、
上述の筐体と、
前記筐体内に収容される光学式センサと、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、振動により液滴を除去するセンサ装置において、検出精度を向上させることのできるセンサ装置用の筐体、およびセンサ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1にかかるセンサ装置および筐体を示す斜視図
【
図7】実施の形態1の変形例1にかかる筐体を示す斜視図
【
図9】実施の形態1の変形例2にかかる筐体を示す斜視図
【
図11】実施の形態2にかかる筐体の一部を示す斜視図
【
図12】実施の形態3にかかる筐体の構成を示すブロック図
【
図25】実施の形態6の変形例にかかる筐体ベースにおける透光体の振動モードの一例を示す図
【
図27】実施の形態8にかかる筐体の構成を示すブロック図
【
図30】第1共振周波数と第2共振周波数とを重畳させた共振周波数の信号の一例を示すグラフ
【
図31】透光体に付着した異物を移動させるための最大加速度と、最大加速度を実現するために有効な周波数を示す表
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明に至った経緯)
近年、例えば、LiDAR、ミリ波レーダ、赤外線カメラ、または通常の光学カメラなどの光学式センサにより取得した車両外部の情報を利用して車両の自動運転を制御することが行われている。通常、これらの光学式センサは、車両の外部に配置されるため、センサのレンズを保護する透光体が風雨に曝されて雨水や泥水などの異物が付着し、センサの性能に影響を及ぼしてしまうことがある。
【0012】
このため、特許文献1に記載の水滴除去機能付きカメラのように、振動によりレンズに付着した水滴等を除去する装置が検討されている。特許文献1に記載の水滴除去機能付きカメラでは、撮像ユニットに圧電素子が配置されており、水滴等を除去するために圧電素子を駆動すると、撮像ユニット自体が振動してしまう。その結果、撮像された画像のブレにより、鮮明な画像を得ることができないなどの課題がある。
【0013】
そこで、本発明者(ら)は、透光体を振動させて異物を除去するセンサ装置において、透光体の振動を光学式センサに伝達しないようにすることで、検出精度を向上させることを検討した。
【0014】
本発明の第1態様にかかる筐体は、
光学式センサを収容する筐体であって、
透光体と、
前記光学式センサを収容し、前記透光体を振動可能に保持する筐体ベースと、
前記透光体を振動させる1つまたは複数のアクチュエータと、
を備える。
【0015】
このような構成により、透光体の振動が光学式センサに伝達されないため、検出精度を向上させることのできるセンサ装置の筐体を提供することができる。
【0016】
本発明の第2態様にかかる筐体において、
前記1つまたは複数のアクチュエータは、電流を流すことにより磁界を発生させるコイルと、前記コイルの中空に挿入され前記透光体を支持する鉄心と、前記コイルにより発生する磁界により前記鉄心を引き寄せる磁石と、を有し、前記鉄心の軸方向に前記透光体を振動させてもよい。
【0017】
このような構成により、アクチュエータへのストレスを軽減することができる。
【0018】
本発明の第3態様にかかる筐体において、
前記透光体は、板状の形状を有し、
前記複数のアクチュエータは、第1アクチュエータと第2アクチュエータとを含み、
前記第1アクチュエータは前記透光体の一方端部側に配置され、前記第2アクチュエータは前記第1アクチュエータと反対側の前記透光体の他方端部側に配置されてもよい。
【0019】
このような構成により、視野を阻害することなく効率的に透光体を振動させることができる。
【0020】
本発明の第4態様にかかる筐体において、
前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータとは、対向して配置されてもよい。
【0021】
このような構成により、効率よく透光体を振動させることができる。
【0022】
本発明の第5態様にかかる筐体は、
さらに、
前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータとのうち少なくとも1つのアクチュエータの出力電圧を検出する検出部、
を備えてもよい。
【0023】
このような構成により、透光体の振動の大きさを検出し、適切な振動の大きさとなるよう調整することができる。
【0024】
本発明の第6態様にかかる筐体は、
さらに、
前記1つまたは複数のアクチュエータの振動を制御する制御部、
を備え、
前記制御部は、前記検出部により検出された前記少なくとも1つのアクチュエータの出力電圧に基づいて、前記複数のアクチュエータの振動を制御してもよい。
【0025】
このような構成により、振動の急速な加減速を実現することができる。
【0026】
本発明の第7態様にかかる筐体において、
前記複数のアクチュエータは、前記透光体の厚み方向と交差する方向に前記透光体を振動させてもよい。
【0027】
このような構成により、光学式センサの光軸変化をもたらさずに透光体を振動させることができるため、検出精度を向上させることができる。
【0028】
本発明の第8態様にかかる筐体において、
前記透光体は、外側に位置する第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面とを有する板状の形状を有し、
前記複数のアクチュエータは、前記透光体の前記第2主面側に配置されてもよい。
【0029】
このような構成により、センサ装置の低背化、または意匠性の向上を実現することができる。
【0030】
本発明の第9態様にかかる筐体において、
前記複数のアクチュエータは、前記透光体の厚み方向に前記透光体を振動させてもよい。
【0031】
このような構成により、透光体に付着した異物を振動により変形させて落としやすくすることができる。
【0032】
本発明の第10態様にかかる筐体において、
前記透光体は、第1端部と前記第1端部と反対側の第2端部とを有する円筒形状を有し、
前記複数のアクチュエータは、前記第1端部側および前記第2端部側のうち少なくとも一方に等間隔に配置されてもよい。
【0033】
このような構成により、視野角の広い光学式センサにも対応可能である。
【0034】
本発明の第11態様にかかる筐体において、
前記複数のアクチュエータは、前記透光体を前記円筒形状の軸方向に振動させてもよい。
【0035】
このような構成により、光学式センサの光軸変化をもたらさずに透光体を振動させることができるため、検出精度を向上させることができる。
【0036】
本発明の第12態様にかかる筐体に置いて、
前記アクチュエータは、圧電素子を含み、
前記筐体ベースは、前記アクチュエータと前記透光体とを接続し、前記透光体に振動を伝達する振動伝達部を含み、
前記透光体は、外側に位置する第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面と、前記第1主面と前記第2主面とを接続する側面と、を有する板状の形状を有し、
前記振動伝達部は、第1振動伝達部および第2振動伝達部を含み、
前記第1振動伝達部および第2振動伝達部はそれぞれ、一方端部および他方端部を有し、前記一方端部が前記アクチュエータに接続され、前記側面に沿って延びる振動部と、前記振動部の前記他方端部から前記側面に向かって延び、前記透光体を支持する支持部と、を有し、
前記第1振動伝達部および前記第2振動伝達部のそれぞれの前記支持部は、向き合って配置されて前記透光体の前記側面を挟んで支持してもよい。
【0037】
このような構成により、消費電力を低減させつつ、効率よく透光体を振動させて異物を除去することができる。
【0038】
本発明の第13態様にかかる筐体において、
前記アクチュエータは、前記第1振動伝達部および前記第2振動伝達部のそれぞれの前記支持部が向き合う方向に交差して前記透光体の前記第1主面に沿った第1方向に振動し、
前記支持部は、前記第1方向における前記側面の中央に配置されてもよい。
【0039】
このような構成により、透光体を上下にスライドするように振動させて付着した異物を重力方向に滑落させたり、保持部を中心に透光体を回転させるように振動させて付着した異物を透光体の厚み方向に脱離させたりすることができる。
【0040】
本発明の第14態様にかかる筐体において、
前記アクチュエータは、前記第1振動伝達部および前記第2振動伝達部のそれぞれの前記支持部が向き合う方向に交差し前記透光体の前記第1主面に沿った第1方向に振動し、
前記支持部は、前記第1方向において中央よりも前記アクチュエータに近い位置に配置されてもよい。
【0041】
このような構成により、透光体のアクチュエータと反対側を大きく振動させることができるため、より効率的に異物を除去することができる。
【0042】
本発明の第15態様にかかる筐体において、
前記1つまたは複数のアクチュエータは、ユニモルフ型またはバイモルフ型の圧電素子により構成され、
前記筐体ベースは、前記透光体を支持するフレームと、前記透光体と前記1つまたは複数のアクチュエータとを接続する接続部と、を含んでもよい。
【0043】
このような構成により、より簡素で小型な構成で、透光体を効率よく振動させることができる。
【0044】
本発明の第16態様にかかる筐体において、
さらに、前記アクチュエータを制御する制御部、を備え、
前記制御部は、前記アクチュエータの第1共振周波数と、前記透光体に付着した異物の第2共振周波数と、を重畳させた変調周波数で、前記アクチュエータを振動させてもよい。
【0045】
このような構成により、透光体に付着した異物の共振周波数に近い振動を与えることができるため、異物の変形を促して異物を効率的に除去することができる。
【0046】
本発明の第17態様にかかる筐体において、
前記筐体ベースは、前記透光体の振動を吸収する弾性体を有してもよい。
【0047】
このような構成により、透光体の振動を弾性体で吸収することができる。このため光学式センサに振動が伝達しにくくなり、センサ画像のブレを抑制することができる。
【0048】
本発明の第18態様にかかる筐体において、
前記透光体と前記筐体ベースとの間、または前記透光体と前記光学式センサとの間に、緩衝部材が配置されていてもよい。
【0049】
このような構成により、筐体の内部または光学式センサの内部に汚れや異物が混入することを抑制することができる。
【0050】
本発明の第19態様にかかる筐体において、
前記緩衝部材は、蛇腹構造を有してもよい。
【0051】
このような構成により、透光体の振動を光学式センサに伝達せずに、透光体と光学式センサとの隙間を塞いて、内部に汚れや異物が混入することを抑制することができる。
【0052】
本発明の第20態様にかかる筐体において、
前記緩衝部材は、エラストマにより構成されていてもよい。
【0053】
このような構成により、筐体内または光学式センサの内部に汚れや異物が混入することを抑制することができる。
【0054】
本発明の第21態様にかかるセンサ装置は、
上述の筐体と、
前記筐体内に収容される光学式センサと、
を備える。
【0055】
このような構成により、検出精度を向上させることのできるセンサ装置を提供することができる。
【0056】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは必ずしも合致していない。
【0057】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるセンサ装置1および筐体2を示す斜視図である。
図2は、
図1のセンサ装置1の分解斜視図である。なお、図中のX方向はセンサ装置1の縦方向、Y方向はセンサ装置1の横方向、Z方向はセンサ装置1の高さ方向を意味する。
【0058】
[センサ装置]
センサ装置1は、筐体2と筐体2の内部に収容された光学式センサ100を備える。
【0059】
光学式センサ100としては、例えば、LiDAR、ミリ波レーダ、赤外線カメラ、または光学カメラ等が挙げられる。筐体2はこのような光学式センサを収容し、例えば、車両の自動運転に必要な外部情報を探索するセンサ装置に使用される。
【0060】
[筐体]
筐体2は、
図1および
図2に示すように、内部に光学式センサ100を収容する筐体である。筐体2の内部に光学式センサ100を収容することにより、センサ装置として使用することができる。
【0061】
筐体2は、透光体10と、筐体ベース20と、アクチュエータ30と、を備える。
【0062】
<透光体>
透光体10は、筐体2に収容されている光学式センサに汚れまたは異物が付着するのを防止するためのカバーである。透光体10は、光学式センサ100の視野を阻害しないよう透明材料で形成されている。
【0063】
透光体10の材料としては、例えば、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、または石英ガラスなどのガラス、透光性プラスチック、透光性セラミック、または合成樹脂等を用いることができる。透光体10を、例えば化学強化で強度を向上させた強化ガラスにより形成することで、透光体10の強度を高めることができる。また、汚れの付着を低減するために、透光体10の表面には防汚コーティングまたは撥水コーティングが施されていてもよい。また、所望の波長の光の透過率を向上させるために、透光体10の表面に反射防止コーティングが施されていてもよい。
【0064】
本実施の形態では、透光体10は、第1端部10aと、第1端部10aと反対側の第2端部10bとを有する円筒形状に形成されている。透光体10が円筒形状であると、光学式センサ100が、例えば、XY平面に沿って360度の視野を有するセンサである場合にも、光学式センサ100の視野を阻害せず検出精度を向上させることができる。
【0065】
本実施の形態では、透光体10の第1端部(上端)10aに第1ホルダ11が配置され、透光体の第2端部(下端)10bに第2ホルダ12が配置されている。ホルダ11、12は、必須の構成ではない。ホルダ11、12により、透光体10の破損を防止することができる。
【0066】
ホルダ11は、リング状に形成されており、透光体10の第1端部10aを保持する。ホルダ12は、リング状に形成されており、透光体10の第2端部10bを保持する。
【0067】
ホルダ12には、
図2に示すように、凹部12aが形成されており、ホルダ12の凹部12aに、後述するアクチュエータ30が配置される。
【0068】
<筐体ベース>
筐体ベース20は、光学式センサ100を収容し、透光体10を振動可能に保持する。本実施の形態では、筐体ベース20は、透光体10の第1端部10aを保持する第1ベース23と、透光体10の第2端部10bを保持する第2ベース21と、光学式センサ100を収容する本体部22と、を含む。本実施の形態では、円筒形状の透光体10の内部に光学式センサ100を配置し、透光体10の第1端部10a側に第1ベース23を配置し、透光体10の第2端部10b側に第2ベース21および本体部22を配置する。このようにして、筐体ベース20に光学式センサ100を収容する。
【0069】
筐体ベース20の材料としては、例えば、金属、セラミックス、または合成樹脂等を使用することができる。
【0070】
<アクチュエータ>
アクチュエータ30は、透光体10を振動させるものである。本実施の形態では、アクチュエータ30は、透光体10を高さ方向(Z方向)に振動させる。後述するように、本実施の形態では、3つのアクチュエータ30が配置されている。
【0071】
図3は、
図2の領域R1を拡大した図である。
図2および
図3に示すように、アクチュエータ30が、透光体10の第2端部10bと、筐体ベース20とを繋ぐよう配置されている。本実施の形態では、アクチュエータ30は、透光体10の第2端部10b側に配置されている。
【0072】
図4は、
図1のA-A断面図である。
図5は、
図4の領域R2を拡大した図である。
図4および
図5に示すように、アクチュエータ30は、コイル31と、鉄心32と、磁石33と、を有する。コイル31は、電流を流すことにより磁界を発生させる。鉄心32は、コイル31の中空に挿入され、ホルダ12を介して透光体10の第2端部10bを支持する。磁石33は、筐体ベース20の第2ベース21に配置され、コイル31により発生する磁界により鉄心32を引き寄せる。アクチュエータ30は、鉄心32の軸方向に透光体10を振動させる。本実施の形態では、鉄心32の軸方向はZ方向であり、アクチュエータ30は、
図2に示す矢印A1の方向に透光体10を振動させる。
【0073】
本実施の形態では、透光体10の第2端部10b(ホルダ12)に鉄心32が配置され、筐体ベース20の第2ベース21にコイル31および磁石33が配置されている。コイル31に交流電流を流すことにより発生する磁界により、反発力と吸引力が交互に発生して、鉄心32はZ方向に引導加振される。すなわち、鉄心32はZ方向に振動する。アクチュエータ30により発生するZ方向の振動により、透光体10は円筒形状の軸方向(Z方向)に振動する。透光体10が円筒形状の軸方向に振動する場合、光学式センサ100の光軸変化を引き起こしにくい。このため、異物を除去するために透光体が振動しているときでも、検出精度を向上させることができる。
【0074】
例えば、Z方向を上下方向として筐体2を配置すると、透光体10が上下に振動することとなる。この場合、透光体10に付着した水滴等の異物を効率的に落とすことができる。
【0075】
筐体ベース20にアクチュエータ30を設けることにより、光学式センサ100と独立して透光体10を振動させることができる。このため、透光体10の振動が筐体ベース20および光学式センサ100に伝達しにくい。したがって、透光体10がアクチュエータにより振動しても、光学式センサ100は振動しない。すなわち、透光体10の振動は、光学式センサ100には伝達されない。光学式センサ100に振動が伝達されないため、センサ画像のブレを抑制することができる。
【0076】
図6は、
図2のB-B断面図である。本実施の形態では、
図6に示すように、円筒形状の透光体10の軸方向(Z方向)から見たときに、3つのアクチュエータ30が等間隔に配置されている。透光体10が円筒形状の場合、複数のアクチュエータ30が、透光体10の第1端部10aおよび第2端部10bのうち少なくとも一方に等間隔に配置されるとよい。この場合、光学式センサ100の光軸変化を発生させないように透光体10を振動させることができる。
【0077】
<弾性体>
本実施の形態では、筐体ベース20は、弾性体(スプリング)40を有する。具体的には、
図3に示すように、筐体ベース20の第2ベース21に、透光体10の振動を吸収する弾性体40としてスプリングが配置されている。弾性体40により、吸引バイアス力をギャップの調整により制御することができる。吸引バイアス力とは、磁石33によって鉄心32が引っ張られる力のことであり、磁石33と鉄心32とが接触しないよう、磁力に反発する力である。弾性体40が配置されることにより、吸引バイアス力を生じさせることができ、この吸引バイアス力を、弾性体40のスプリング性能またはギャップ長さで調整することができる。また、弾性体40により、透光体10が筐体ベース20に衝突して、破損することを抑制することができる。弾性体40は、透光体10の振動を吸収できる部材であれば、スプリングに限定されない。
【0078】
<緩衝部材>
透光体10と筐体ベース20との間には、緩衝部材50が配置されている。本実施の形態では、緩衝部材50は、エラストマにより構成されており、2つの緩衝部材51、52を含む。具体的には、
図2に示すように、透光体10の第1端部10a(ホルダ11)と筐体ベース20の第1ベース23との間に、緩衝部材51が配置されている。また、透光体10の第2端部10b(ホルダ12)と筐体ベース20の本体部22との間に緩衝部材52が配置されている。
【0079】
緩衝部材51、52は、ともにリング状に形成されている。筐体ベース20と透光体10との間から、筐体2の内部への異物の混入を防止することができる。さらに、透光体10の振動が筐体ベース20および光学式センサ100に伝達しにくくなるため、センサ画像が不鮮明になることを防止することができる。
【0080】
さらに、本実施の形態では、
図4に示すように、光学式センサ100と筐体ベース20との間に、振動緩衝材53、54が配置されている。振動緩衝材53、54が配置されていることにより、より光学式センサ100に振動が伝達しにくくなり、鮮明なセンサ画像を得ることができる。
【0081】
[効果]
実施の形態1にかかる筐体2およびセンサ装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0082】
センサ装置1は、筐体2と、筐体2の内部に収容された光学式センサ100と、を備える。筐体2は、光学式センサ100を収容する筐体である。筐体2は、透光体10と、筐体ベース20と、アクチュエータ30と、を備える。筐体ベース20は、光学式センサ100を収容し、透光体10を振動可能に保持する。アクチュエータ30は、透光体10を振動させる。このような構成により、アクチュエータ30による透光体10の振動が光学式センサ100に伝達しにくいため、検出精度を向上させることのできるセンサ装置を提供することができる。
【0083】
アクチュエータ30は、コイル31と、鉄心32と、磁石33と、を有し、鉄心32の軸方向に透光体を振動させる。コイル31は、電流を流すことにより磁界を発生させる。鉄心32は、コイル31の中空に挿入され、透光体10を支持する。磁石33は、コイル31により発生する磁界により、鉄心32を引き寄せたり、遠ざけたりする。アクチュエータ30は、鉄心32の軸方向に透光体10を振動させる。
【0084】
このような構成により、アクチュエータ30により透光体10を振動させることができるが、透光体10の振動を筐体ベース20および光学式センサ100には振動を伝達しにくい構成の筐体2を提供することができる。このため、光学式センサ100のセンサ画像のブレを抑制して、検出精度を向上させることができる。
【0085】
透光体10は、第1端部10aと、第1端部10aと反対側の第2端部10bと、を有する円筒形状を有する。複数のアクチュエータ30は、第1端部10a側および第2端部10b側のうち少なくとも一方に等間隔に配置される。このような構成により、視野角の広い光学式センサ100に対しても筐体2を用いることができる。
【0086】
複数のアクチュエータ30は、透光体10を円筒形状の軸方向に振動させる。このような構成により、光学式センサ100の光軸変化をもたらさずに透光体10を振動させることができるため、鮮明な画像を得ることができる。
【0087】
筐体ベース20は、透光体10の振動を吸収する弾性体40を有する。このような構成により、透光体10の振動を弾性体(スプリング)40で吸収することができる。このため、光学式センサ100に振動が伝達しにくくなり、センサ画像のブレを抑制することができる。
【0088】
透光体10と筐体ベース20との間に、緩衝部材50が配置されている。緩衝部材50は、エラストマにより構成されている。このような構成により、筐体2の内部または光学式センサ100の内部に汚れや異物が混入することを抑制することができる。
【0089】
なお、上述した実施の形態では、透光体10がホルダ11、12に保持されている例について説明したが、透光体10はホルダ11、12に保持されていなくてもよい。例えば、透光体10の第2端部10bに直接アクチュエータ30が配置されてもよい。また、透光体10の第1端部10aに直接筐体ベース20が接続されてもよい。
【0090】
また、上述した実施の形態では、透光体10の第2端部10bに3つのアクチュエータ30が配置される例について説明したが、これに限定されない。例えば、透光体10の第1端部10aにアクチュエータ30が配置されていてもよい。または、透光体10の第1端部10aおよび第2端部10bの両方にアクチュエータ30が配置されていてもよい。すなわち、アクチュエータ30は、透光体10の第1端部10aおよび第2端部10bのうち少なくとも一方に配置されていればよい。
【0091】
また、上述した実施の形態では、筐体2が3つのアクチュエータを備える例について説明したが、アクチュエータ30の数はこれに限定されない。透光体10が円筒形状の場合、筐体2は2つ以上の複数のアクチュエータ30を備えていればよい。
【0092】
また、上述した実施の形態では、筐体ベース20が複数の部品で構成されている例について説明したが、筐体ベース20は一体的に形成されていてもよい。
【0093】
[変形例]
図7は、実施の形態1の変形例1にかかる筐体3Aを示す斜視図である。
図8は、
図7のC-C断面図である。
図7および
図8に示すように、透光体13はドーム状の形状を有していてもよい。ドーム状とは、例えば、板状部材が半球状に湾曲した形状を意味する。この場合、透光体13の端部13aに、ホルダ12を介して筐体ベース20(第2ベース21)が取り付けられる。透光体13がドーム状である場合、さらにセンサの視野を広くすることができる。
【0094】
図9は、実施の形態1の変形例2にかかる筐体3Bを示す斜視図である。
図10は、
図9のD-D断面図である。筐体3Bは、
図9および
図10に示すように、例えば直方体状の外観を有し、直方体状の1つの面に配置された板状の透光体110を備える。
図9に示すように、筐体3Bは、直方体状の筐体ベース24を備える。また、透光体110に面して、筐体カバー25が配置されている。実施の形態1と同様に、透光体110の第2端部110bがホルダ112で保持されている。透光体110の第2端部110b側には、アクチュエータ130が配置されている。また、透光体110の外縁を囲むように、緩衝部材150が配置されている。アクチュエータ130は、実施の形態1と同様に、コイル131、鉄心132、および磁石133を有する。また、筐体ベース120は、透光体110の振動を
吸収する弾性体140を有する。
【0095】
筐体3Bでは、アクチュエータ130により、透光体110の厚み方向と交差する方向、すなわち矢印A2の方向に透光体110を振動させる。
【0096】
透光体110が板状の形状を有する場合、
図10のように、筐体3Bは1つのアクチュエータ130を備える構成であってもよいし、2つ以上の複数のアクチュエータ130を備える構成であってもよい。
【0097】
筐体3Bは、例えば、自動車の前方あるいは後方など、所定の方向をセンシングする光学式センサに対して使用することができる。
【0098】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2にかかる筐体について説明する。なお、実施の形態2では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態2においては、実施の形態1と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0099】
図11は、実施の形態2にかかる筐体4の一部を示す斜視図である。実施の形態2では、
図11に示すように、透光体210の一方端部210a側および透光体210の他方端部210b側の両方にアクチュエータ230が配置されている点で、実施の形態1と異なる。
【0100】
本実施の形態では、透光体210は板状の形状を有している。透光体210の一方端部210aにはホルダ211が配置され、透光体210の他方端部210bにはホルダ212が配置されている。枠状の筐体ベース220の内側に、透光体210が配置されている。
【0101】
アクチュエータ230は、第1アクチュエータ231と、第2アクチュエータ232と、を含む。第1アクチュエータ231は、透光体210の一方端部210a側に配置され、第2アクチュエータ232は、第1アクチュエータ231と反対側の透光体210の他方端部210b側に配置される。第1アクチュエータ231と第2アクチュエータ232とをこのように配置することで、透光体210の厚み方向に交差する方向(
図11の矢印A3の方向)に効率よく透光体210を振動させることができる。
【0102】
第1アクチュエータ231と第2アクチュエータ232とにより透光体210を振動させる場合、2つのアクチュエータ231、232は対向して配置されるとよい。この場合、振動の方向が矢印A3の方向からずれにくくなり、より効率的に透光体210の異物を除去することができる。
【0103】
[効果]
実施の形態2にかかる筐体4によれば、以下の効果を奏することができる。
【0104】
筐体4において、透光体210は板状の形状を有する。複数のアクチュエータ230は、第1アクチュエータ231と第2アクチュエータ232とを含む。第1アクチュエータ231は透光体210の一方端部210a側に配置される。第2アクチュエータ232は、第1アクチュエータ231と反対側の透光体210の他方端部210bに配置される。このような構成により、効率的に透光体を振動させることができる。
【0105】
第1アクチュエータ231と第2アクチュエータ232とは、対向して配置される。このような構成により、振動方向のずれが起きにくく、より効率的に透光体210の異物を除去することができる。なお、第1アクチュエータ231と第2アクチュエータ232とは、必ずしも対向して配置されていなくてもよい。
【0106】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3にかかる筐体について説明する。なお、実施の形態3では、主に実施の形態2と異なる点について説明する。実施の形態3においては、実施の形態2と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態3は、実施の形態2と重複する記載は省略する。
【0107】
図12は、実施の形態3にかかる筐体4Aの構成を示すブロック図である。実施の形態3では、第2アクチュエータ232の出力電圧を検出する検出部260を備える点で、実施の形態2と異なる。また、実施の形態3では、アクチュエータ230の振動を制御する制御部270を備える点で、実施の形態2と異なる。
【0108】
本実施の形態では、
図12に示すように、第2アクチュエータ232に検出部260が接続されている。検出部260は、第2アクチュエータ232の出力電圧を検出する。
【0109】
検出部260で検出された出力電圧の情報は、制御部270に送信される。制御部270は、アクチュエータ230の振動を制御するものであり、本実施の形態では、検出部260、第1アクチュエータ231、および第2アクチュエータ232に電気的に接続されている。
【0110】
本実施の形態では、制御部270は、演算部271および駆動部272を含む。演算部271は、検出部260から第2アクチュエータ232の出力電圧に関する情報を受信し、その情報に基づいて透光体210の振動の大きさを算出する。透光体210の振動の大きさに基づいて、駆動部272は、第1アクチュエータ231および第2アクチュエータ232を適切に振動させる。例えば、透光体210の振動が所定の閾値よりも小さい場合は、第1アクチュエータ231および第2アクチュエータ232の少なくともいずれか一方に、同位相の振動を与え、逆に、透光体210の振動が所定の閾値よりも大きい場合には、逆位相の振動を与えることができる。
【0111】
制御部270は、例えば、マイコン、CPU、MPU、GPU、DSP、FPGA、ASICなどのようなデジタル回路により構成される。また、制御部270は、記憶装置を有していてもよい。
【0112】
この場合、例えば、第1アクチュエータ231を透光体210の振動用とし、第2アクチュエータ232を振動検出用および第1アクチュエータ231の振動への加速または減速の調整用としてもよい。
【0113】
このように、制御部は、検出部260により検出されたアクチュエータ230の出力電圧に基づいて、アクチュエータ230の振動を制御する。
【0114】
[効果]
実施の形態3にかかる筐体4Aによれば、以下の効果を奏することができる。
【0115】
筐体4Aは、さらに、第2アクチュエータ232の出力電圧を検出する検出部260を備える。このような構成により、透光体210の振動の大きさを検出し、適切な振動の大きさとなるよう調整することができる。
【0116】
筐体4Aは、さらに、1つまたは複数のアクチュエータ230の振動を制御する制御部270を備える。制御部270は、検出部260により検出された少なくとも1つのアクチュエータの出力電圧に基づいて、複数のアクチュエータ231、232の振動を制御する。このような構成により、振動の急速な加減速を実現することができる。
【0117】
なお、上述した実施の形態では、検出部260は第2アクチュエータ232に接続されている例について説明したが、検出部260は複数のアクチュエータ230のうち少なくともいずれか1つの出力電圧を検出できればよい。すなわち、検出部260は、第1アクチュエータ231および第2アクチュエータ232のうち少なくとも1つの出力電圧を検出できればよい。
【0118】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4にかかる筐体について説明する。なお、実施の形態4では、主に実施の形態2と異なる点について説明する。実施の形態4においては、実施の形態2と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態4は、実施の形態2と重複する記載は省略する。
【0119】
図13は、実施の形態4にかかる筐体5を示す斜視図である。実施の形態4では、透光体310が、外側に位置する第1主面310dと、第1主面310dと反対側の第2主面310cを有する板状の形状を有する点で、実施の形態2と異なる。また、複数のアクチュエータ330が、透光体310の第2主面310c側に配置される点で、実施の形態2と異なる。また、複数のアクチュエータ330が透光体310の厚み方向に透光体310を振動させる点で、実施の形態2と異なる。
【0120】
本実施の形態では、透光体310が、屈曲した枠状の筐体ベース320に配置されている。透光体310の端部には、透光体310の第2主面310cと交差する方向に延びるホルダ311が配置されている。
【0121】
2つのアクチュエータ330が透光体310の第2主面310c側に配置されている。2つのアクチュエータ330は、透光体310の厚み方向(矢印A4の方向)に透光体310を振動させる。2つのアクチュエータ330はそれぞれ、透光体310の一方の端部310aと、一方の端部310aと反対側の他方の端部310bに沿って配置されているとよい。この場合、光学式センサの視野を阻害することなく、透光体310を振動させて異物を除去することができる。さらに好ましくは、2つのアクチュエータ330が対向して配置されているとよい。この場合、透光体310を効率よく振動させることができる。
【0122】
[効果]
実施の形態4にかかる筐体5によれば、以下の効果を奏することができる。
【0123】
筐体5において、透光体310は、外側に位置する第1主面310dと、第1主面310dと反対側の第2主面310cを有する板状の形状を有する。複数のアクチュエータ330は、透光体310の第2主面310c側に配置される。このような構成により、透光体310の正面からアクチュエータ330が見えづらいため、センサ装置の低背化、または意匠性の向上を実現することができる。例えば、自動車のフロントガラスの上方に設置するセンサ装置の場合、空気抵抗を小さくすることが求められる。筐体5は、低背化により空気抵抗を小さくすることができるため、このような場合に有効である。
【0124】
複数のアクチュエータ330は、透光体310の厚み方向に透光体310を振動させる。このような構成により、透光体310に付着した異物を振動により変形させて落としやすくすることができる。
【0125】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5にかかる筐体について説明する。なお、実施の形態5では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態5においては、実施の形態1と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態5では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0126】
図14は、実施の形態5にかかる筐体6の斜視図である。
図15は、
図14の筐体6の一部を省略した斜視図である。
図16は、
図15のE-E断面図である。実施の形態5では、透光体410の形状、およびアクチュエータ430の位置と形状とが実施の形態1と異なる。
【0127】
本実施の形態では、
図14に示すように、筐体ベース420が箱型の形状であり、底部424、上部421、およびコイル支持部422、423により構成されている。
【0128】
本実施の形態では、
図15および
図16に示すように、透光体410は、矩形状の形状を有する板状の部材である。透光体410は、筐体ベース420のコイル支持部422、423に挟まれて配置されている。透光体410の一端410aにホルダ411が配置され、一端410aと反対側の他端410bにホルダ412が配置されている。
【0129】
ホルダ411は、
図16に示すように、本体部411aと、本体部411aの両端からそれぞれ突出する鉄心支持部411b、411cと、を有する形状である。本体部411aで、透光体410の一端410aを支持し、鉄心支持部411b、411cで後述する鉄心432を挟んで支持する。ホルダ412も同様に、本体部412aと、本体部412aの両端からそれぞれ突出する鉄心支持部412b、412cと、を有する形状である。本体部412aで透光体410の他端410bを支持し、鉄心支持部412b、412cで鉄心432を挟んで支持する。
【0130】
筐体ベース420のコイル支持部422、423にはそれぞれ、アクチュエータ430が配置されている。アクチュエータ430は、コイル431と、鉄心432と、磁石433と、を有する。コイル431により磁界が発生して、磁石433への反発力と吸引力とが交互に発生し、鉄心432がZ方向に上下に振動する。このため、透光体410をZ方向に振動させることができる。上述のように、本実施の形態では、透光体410がZ方向(
図16の矢印A5の方向)に振動するのに対し、2つのアクチュエータ430が、X方向において透光体410を挟むように配置されている。振動方向と交差する方向に2つのアクチュエータ430を配置することで、センサ装置の低背化が可能となる。
【0131】
本実施の形態では、筐体ベース420のコイル支持部422に弾性体(スプリング)440が配置されている。また、鉄心432にも弾性体441が配置されており、2つの弾性体440、441でホルダ411の鉄心支持部411bを挟む構成となっている。同様に、筐体ベース420のコイル支持部423に弾性体(スプリング)442が配置され、鉄心432にも弾性体443が配置されている。2つの弾性体442、443でホルダ412の鉄心支持部412bを挟む構成となっている。このような構成により、透光体410を固定するためのバイアス力を調整することができる。磁石433により鉄心432が引っ張られて磁石433と鉄心432が接触しないよう、弾性体440、441および弾性体442、443により磁力に反発する力がバイアス力である。弾性体440~443のスプリング性能またはギャップ長さにより、バイアス力を調整することができる。また、弾性体440~443は、振動によりホルダ411、412および透光体410が、筐体ベース420と衝突するのを抑制するための反発力を生成することができる。
【0132】
透光体410の外周には、緩衝部材450が配置されている(
図15参照)。緩衝部材450は、例えばエラストマにより構成され、透光体410と筐体ベース420との間に配置されている。このような構成により、透光体410が振動により筐体ベース420に衝突するのを防ぐことができる。また、外部から筐体6の内部への異物の混入を防止することができる。
【0133】
図17は、
図14のF-F断面図である。
図18は、
図17の緩衝部材444を示す概略図である。本実施の形態では、
図17に示すように、透光体410と光学式センサ100Aとの間に、緩衝部材444が配置されている。
【0134】
図18に示すように、緩衝部材444は、蛇腹構造を有する。蛇腹構造とは、複数の凸部444aと複数の凹部444bとが、透光体410の厚み方向に交互に繰り返し配列された形状であり、隣接する凸部444aと凹部444bとは互いに伸縮可能に連結している。蛇腹構造の緩衝部材444が配置されることで、透光体410の振動を緩衝部材444により吸収することができる。また、透光体410と光学式センサ100Aとの間に緩衝部材444が配置されることにより、光学式センサ100Aと透光体410との間への異物の混入を防止することができる。
【0135】
また、
図15および
図17に示すように、光学式センサ100Aと筐体ベース420の底部424との間に、振動緩衝材453が配置されている。振動緩衝材453が配置されていることにより、より光学式センサ100Aに振動が伝達しにくくなり、検出精度を向上させることができる。
【0136】
[効果]
実施の形態5にかかる筐体6によれば、以下の効果を奏することができる。
【0137】
振動方向と交差する方向に2つのアクチュエータ430を配置することで、センサ装置の低背化が可能となる。
【0138】
透光体410と光学式センサ100Aとの間に蛇腹構造を有する緩衝部材444が配置されている。このような構成により、光学式センサ100Aによるセンサ画像に振動の影響を与えることなく、光学式センサ100Aと透光体410との間への異物の混入を防止することができる。
【0139】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6にかかる筐体について説明する。なお、実施の形態6では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態6においては、実施の形態1と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態6では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0140】
図19は、実施の形態6にかかる筐体7を示す斜視図である。
図20は、
図19の筐体7の筐体ベース520を示す正面図である。
図21は、
図19の筐体7の透光体510を示す斜視図である。実施の形態6では、
図19および
図20に示すように、アクチュエータ530が圧電素子を含み、筐体ベース520が振動伝達部560a、560bを含む点で、実施の形態1と異なる。また、透光体510が板状の形状を有する点で、実施の形態1と異なる。また、実施の形態6では、筐体7が直方体状の外観を有する点で、実施の形態1と異なる。
【0141】
本実施の形態では、筐体7は、直方体状の外観を有し、
図19に示す直方体状の筐体ベース524を備える。筐体ベース524の内部には、透光体510が取り付けられた筐体ベース520(
図20参照)が収容されている。筐体ベース520に取り付けられた透光体510は、筐体ベース524の開口部524aから外部に露出する。
【0142】
本実施の形態では、
図21に示すように、透光体510は、外側に位置する第1主面510dと、第1主面510dと反対側の第2主面
510cと、第1主面510dと第2主面510cとを接続する側面510eと、を有する板状の形状を有する。また、本実施の形態では、透光体510は、第1主面510dから見たときに、矩形状に形成されている。
【0143】
筐体ベース520は、
図20に示すように、アクチュエータ530と透光体510とを接続し、透光体510に振動を伝達する振動伝達部を含む。振動伝達部は、第1振動伝達部560aおよび第2振動伝達部560bを含む。本実施の形態では、筐体ベース520は、透光体510を囲むフレーム521を含む。フレーム521には、透光体510を配置する開口部522が形成されている。さらに、開口部522に沿って、第1振動伝達部560aおよび第2振動伝達部560bが配置されている。
【0144】
第1振動伝達部560aは、振動部561と支持部564とを有する。具体的には、振動部561は、一方端部561aおよび他方端部561bを有し、一方端部561aがアクチュエータ530に接続され、透光体510の側面510eに沿って延びる。本実施の形態では、振動部561は、アクチュエータ530に接続される第1延伸部562と、第1延伸部562から延びて支持部564に接続される第2延伸部563と、を有する。支持部564は、振動部561の他方端部561bから透光体510の側面510eに向かって延び、透光体510の側面510eを支持する。
【0145】
第2振動伝達部560bは、振動部565と支持部568とを有する。具体的には、振動部565は、一方端部565aおよび他方端部565bを有し、一方端部565aがアクチュエータ530に接続され、透光体510の側面510eに沿って延びる。本実施の形態では、振動部565は、アクチュエータ530に接続される第1延伸部566と、第1延伸部566から延びて支持部568に接続される第2延伸部567と、を有する。支持部568は、振動部565の他方端部565bから透光体510の側面510eに向かって延び、透光体510の側面510eを支持する。
【0146】
第1振動伝達部560aおよび第2振動伝達部560bは、例えば、金属材料により形成されることで、アクチュエータ530の振動を効率的に透光体510に伝達することができる。また、第1振動伝達部560aおよび第2振動伝達部560bは、筐体ベース520と一体に形成されていてもよい。
【0147】
第1振動伝達部560aと第2振動伝達部560bとは、透光体510の第1主面510dから見て、左右対称の形状を有する。第1振動伝達部560aの第1延伸部562と第2振動伝達部560bの第1延伸部566とは、アクチュエータ530から互いに反対方向に延びて配置される。第1振動伝達部560aの支持部564と、第2振動伝達部560bの支持部568とは、向き合って配置されて透光体510の側面510eを挟んで支持している。支持部564、568はそれぞれ、透光体510の側面510eにおいて、Z方向の中央に配置されている。
【0148】
支持部564、568と透光体510とは、例えば、透光体510に設けられた穴に支持部564、568に設けられた突起を挿入することによって接続することができる。または、透光体510の外周に沿って第1主面510d、第2主面510c、または側面510eに取り付けられた枠に支持部564、568を取り付けることにより、支持部564、568が透光体510を支持してもよい。この場合、支持部564、568と枠部とが一体であってもよい。支持部564、568は、透光体510を回転可能に支持することができる。
【0149】
本実施の形態では、
図20に示すように、筐体ベース520のフレーム521において、透光体510の第2端部510b側にアクチュエータ530が配置されている。アクチュエータ530は、例えば、積層圧電セラミックスなどの圧電素子により構成されている。筐体7には、アクチュエータ530を構成する圧電素子に電位を与える図示省略の導体が配置されていてもよい。
【0150】
アクチュエータ530は、第1振動伝達部560aおよび第2振動伝達部560bのそれぞれの支持部564、568が向き合う方向(Y方向)に交差して透光体510の第1主面510dに沿った第1方向に振動する。すなわち、後述する
図22の矢印A6の方向(Z方向)に往復振動する。
【0151】
図22は、
図20の領域R3を拡大した図である。
図22を参照して、第1振動伝達部560aによる透光体510への振動の伝達について説明する。
【0152】
アクチュエータ530は、矢印A6の方向に振動する。アクチュエータ530の振動が、一方端部561aから第1延伸部562に伝わり、フレーム521との接続部562aを支点として、アクチュエータ530の振動が第1延伸部562で増幅される。第1延伸部562で増幅された振動は、第2延伸部563を介して透光体510に伝達される。第2振動伝達部560bについても、同様に第1延伸部566でアクチュエータ530の振動が増幅され、第2延伸部567を介して透光体510に振動が伝達される。
【0153】
第1延伸部562、566は、アクチュエータ530の振動を増幅させる部分であるため、ある程度高い剛性を有することが好ましい。振動部の剛性を高めるために、第2延伸部563、567と比較して、幅が広く形成されている。
【0154】
図23は、透光体510の振動モードの一例を示す図である。図示省略の制御装置により、アクチュエータ530に所定の周波数の信号を印加することにより、透光体510をアクチュエータ530の振動方向(矢印A6)と同じ方向に振動させることができる(スライドモード)。すなわち、
図23の矢印A7に示すように透光体510をZ方向に沿って振動させることができる。透光体510がスライドモードで振動しているとき、振動伝達部560a、560bの第1延伸部562、566は、Z方向に撓んで振動している。透光体510をZ方向に沿って振動させることで、透光体510に付着した異物を重力方向(Z軸下方向)に効率よく滑落させることができる。
【0155】
図24は、透光体510の振動モードの別の一例を示す図である。制御装置によりアクチュエータ530に印加する信号の周波数を変更することにより、振動伝達部560a、560bのそれぞれの支持部564、568を中心にして透光体510を回転させるように振動させることができる(回転モード)。すなわち、矢印A8に示すように透光体510をY方向に沿った回転軸を中心に回転させるよう振動させることができる。例えば、スライドモードの場合よりも低い周波数の信号をアクチュエータ530に印加することにより、透光体510を回転モードで振動させることができる。一例として、透光体510をスライドモードで振動させる場合、約220Hzの周波数の信号を使用し、透光体510を回転モードで振動させる場合、スライドモードよりも低い約160Hzの周波数の信号を使用することができる。支持部564、568を中心とする回転モードの振動は、透光体510または振動伝達部560a、560bなどの構造により決定される固有振動数を利用することにより発生させることができる。アクチュエータ530に固有振動数を励起するのに必要な振動エネルギーを印加することにより、透光体510を回転モードで振動させることができる。透光体510が回転モードで振動してるとき、振動伝達部560a、560bの第1延伸部562、566は、透光体510の回転モードの振動に作用されて振動する。透光体510をこのように振動させることで、透光体に付着した異物を、透光体510の厚み方向(X方向)に効率よく離脱させることができる。
【0156】
[効果]
実施の形態6にかかる筐体7によれば、以下の効果を奏することができる。
【0157】
アクチュエータ530として、圧電素子を採用することで、消費電力を低減させつつ、効率よく透光体を振動させて異物を除去することができる。
【0158】
また、第1振動伝達部560aおよび第2振動伝達部560bのそれぞれの支持部564、568が、第1方向(Z方向)における透光体510の側面510eの中央に配置される。このため、アクチュエータ530に印加する周波数を変えることで、透光体510をスライドモードおよび回転モードの2つのモードで振動させることができる。
【0159】
なお、上述した実施の形態では、透光体510が平面視で矩形状である例について説明したが、透光体510の形状はこれに限定されない。透光体510は板状に形成されていれば、平面視で円形、楕円形、または多角形等様々な形状であってもよい。
【0160】
[変形例]
図25は、実施の形態6の変形例にかかる筐体ベース520Aにおける透光体510の振動モードの一例を示す図である。
【0161】
筐体ベース520Aでは、
図25に示すように、第1振動伝達部570aおよび第2振動伝達部570bのそれぞれの支持部574が、第1方向(Z方向)において中央よりもアクチュエータ530に近い位置に配置されている。すなわち、透光体510が、Z方向において中央よりも下側で支持されている。この場合、矢印A9に示すように透光体510を回転モードで振動させると、透光体510の第1端部510a側の振動変位が大きくなる。このため、透光体510の上側に付着した異物を、下側に付着した異物を押し流しながら滑落させることができる。
【0162】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7にかかる筐体について説明する。なお、実施の形態7では、主に実施の形態6と異なる点について説明する。実施の形態7においては、実施の形態6と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態7では、実施の形態6と重複する記載は省略する。
【0163】
図26は、実施の形態7にかかる筐体8を示す斜視図である。実施の形態7では、
図26に示すように、アクチュエータ630がユニモルフ型またはバイモルフ型の圧電素子により構成され、筐体ベース620がフレーム621と接続部622とを含む点で、実施の形態6と異なる。
【0164】
筐体ベース620は、透光体610を支持するフレーム621と、透光体610とアクチュエータ630とを接続する接続部622と、を含む。本実施の形態では、透光体610が板状に形成され、フレーム621は、透光体610の側面を囲うように配置されている。接続部622は、第1端部610aにおいて、透光体610を厚み方向に挟んで保持している。
【0165】
本実施の形態では、筐体8は2つのアクチュエータ630が配置されている。アクチュエータ630は、ユニモルフ型またはバイモルフ型の圧電素子により構成される。ユニモルフ型の圧電素子は、例えば板状の金属にシート状の圧電素子を貼り合わせたものであり、圧電素子が面方向に伸縮する一方で、金属板の寸法はそのままであるため金属板に反りが生じる。バイモルフ型の圧電素子は、2枚のシート状の圧電素子を貼り合わせたものであり、それぞれの圧電素子が面方向に反対側に伸縮することによりそれぞれの圧電素子に反りが生じる。本実施の形態では、圧電素子がX方向に伸縮することにより反りが発生し、接続部622をZ方向に振動させることができる。
【0166】
2つのアクチュエータ630はそれぞれ、例えば、フレーム621に設けられた爪623により一方の端部を固定され、接続部622により他方の端部を固定されている。アクチュエータ630により、接続部622がZ方向に振動する。接続部の振動に伴い、透光体610もZ方向に振動する。本実施の形態では、アクチュエータ630は、爪623から接続部622に向かって幅が狭くなるよう形成されている。接続部622に向かって幅を狭くすることで、接続部622に近付くにつれて反りが大きくなるため、より効率的に透光体610を振動させることができる。
【0167】
[効果]
実施の形態7にかかる筐体8によれば、以下の効果を奏することができる。
【0168】
アクチュエータ630をユニモルフ型またはバイモルフ型の圧電素子により構成することでより低コスト化を図ることができる。
【0169】
また、実施の形態6と比較して、縦方向(Z方向)の寸法を小さくすることができるため、筐体の小型化に寄与する。
【0170】
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8にかかる筐体について説明する。なお、実施の形態8では、主に実施の形態6と異なる点について説明する。実施の形態8においては、実施の形態6と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態8では、実施の形態6と重複する記載は省略する。
【0171】
図27は、実施の形態8にかかる筐体9の構成を示すブロック図である。実施の形態8では、筐体9がアクチュエータ530を制御する制御部590を備える点で、実施の形態6と異なる。筐体9のその他の構成は、
図19~
図22に示す筐体7と同様である。
【0172】
制御部590は、アクチュエータ530に所定の周波数の信号を印加することにより、アクチュエータ530を振動させる。制御部590は、例えば、マイコン、CPU、MPU、GPU、DSP、FPGA、ASICなどのようなデジタル回路により構成される。また、制御部590は、記憶装置を有していてもよい。
【0173】
制御部590は、アクチュエータ530の第1共振周波数と、透光体510に付着した異物の第2共振周波数とを重畳させた変調周波数で、アクチュエータ530を振動させる。なお、本実施の形態では、透光体510に付着した異物とは、雨や泥水等を含む液滴である。第2共振周波数で異物(液滴)を振動させると、液滴の変形または移動が発生しやすいため、液滴を透光体510から除去させやすくなる。
【0174】
透光体510に付着した異物の第2共振周波数付近で透光体510を振動させると、異物を効率よく滑落させることができるが、通常、アクチュエータ530の第1共振周波数と異物の第2共振周波数とは異なっている。そこで、第1共振周波数と第2共振周波数とを重畳させた変調周波数でアクチュエータを振動させることにより、透光体510に付着した異物の変形を促し、効率よく滑落させることができる。
【0175】
図28は、第1共振周波数の信号の一例を示すグラフである。
図29は、第2共振周波数の信号の一例を示すグラフである。
図30は、第1共振周波数と第2共振周波数とを重畳させた共振周波数の信号の一例を示すグラフである。
【0176】
図28~
図30に示すように、アクチュエータ530の第1共振周波数は158Hzであり、異物の第2共振周波数は70Hz付近である。なお、この場合の異物は、5μL前後の大きさの液滴を想定している。
【0177】
透光体510に付着した異物の大きさにより、重畳させる周波数を変えてもよい。
図31は、透光体510に付着した異物を移動させるための最大加速度と、最大加速度を実現するために有効な周波数を示す表である。例えば、異物が1μLの液滴である場合、異物を移動させて透光体510から除去するためには、最大加速度が4.4G以上であるとよい。この場合、140Hz~160Hz程度の周波数で振動させることで、効率よく異物を除去することができる。すなわち、異物の大きさが1μLの場合の第2共振周波数は、140Hz~160Hzである。異物の大きさが1μL程度である場合第1共振周波数に140Hz~160Hzの範囲の第2共振周波数を重畳させた変調周波数でアクチュエータ530を振動させることにより、効率よく異物を除去することができる。例えば、異物の大きさに応じて、重畳させる第2共振周波数を変えることで、より効率よく透光体510の異物を除去することができる。
【0178】
[効果]
実施の形態8にかかる筐体9によれば、以下の効果を奏することができる。
【0179】
アクチュエータ530の第1共振周波数と異物の第2共振周波数とを重畳させた変調周波数でアクチュエータ530を振動させることにより、異物の変形を促して効率よく透光体510から除去することができる。
【産業上の利用可能性】
【0180】
本発明の筐体およびセンサ装置は、屋外で使用する車載カメラ、監視カメラ、またはLiDAR等の光学式センサへ適用することができる。
【符号の説明】
【0181】
1 センサ装置
2、3、3A、4、4A、5~9 筐体
10、13、110、210、310、410、510、610 透光体
20、24、120、220、320、420、520、520A、620 筐体ベース
30、130、230~232、330、430、530、630 アクチュエータ
31、131、431 コイル
32、132、432 鉄心
33、133、433 磁石
40、140、440~443 弾性体(スプリング)
50~52、450 緩衝部材(エラストマ)
444 緩衝部材(蛇腹構造)
100 光学式センサ
100A 光学式センサ
260 検出部
270、590 制御部