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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】複合部品
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20240918BHJP
   H01L 23/14 20060101ALI20240918BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20240918BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
H01L23/12 501B
H01L23/14 S
H01L23/30 R
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023555676
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2023002631
(87)【国際公開番号】W WO2023153240
(87)【国際公開日】2023-08-17
【審査請求日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2022018785
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 祥明
(72)【発明者】
【氏名】舟木 達弥
(72)【発明者】
【氏名】荒井 啓
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-227444(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0193228(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0379921(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0131858(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0381391(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 23/14
H01L 23/29
H01L 23/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1主面および第2主面を有するSiベース層と、前記第1主面に形成されている再配線層と、該再配線層と電気的に接続し前記Siベース層内を貫通するSi貫通ビアと、電子部品本体部と該電子部品本体部に配置された部品電極とを有する複数の電子部品を含み、前記Siベース層の前記第2主面に配置された電子部品層とを備える複合部品であって、
前記部品電極は、前記Si貫通ビアに接続され、
前記複数の電子部品のうち1以上の電子部品は、断面視において何れも実装方向に凸状に湾曲する湾曲形状を有し、前記複合部品の実装面は、断面視において、前記湾曲形状に対応し、実装方向に凸状に湾曲する第1湾曲面を1以上含む、複合部品。
【請求項2】
前記Siベース層と、前記再配線層と、前記Si貫通ビアと、前記第2主面と対向するインターポーザ電極とを有するインターポーザ構造を含み、
前記電子部品層は前記インターポーザ電極と前記Siベース層との間に設けられる、請求項1に記載の複合部品。
【請求項3】
前記複数の電子部品は、接着層により前記Siベース層の前記第2主面に接着されており、
断面視において、前記1以上の電子部品と前記Siベース層の前記第2主面との間に位置する接着層の領域における、中央部の厚みは端部での厚みに比べ小さい、請求項1または2に記載の複合部品。
【請求項4】
断面視において、前記中央部の厚みは、10μm以下である、請求項3に記載の複合部品。
【請求項5】
前記1以上の電子部品は、前記部品電極間に配置された樹脂層をさらに有する、請求項1または2に記載の複合部品。
【請求項6】
前記樹脂層の線膨張係数は、前記電子部品本体部の線膨張係数よりも大きい、請求項5に記載の複合部品。
【請求項7】
前記樹脂層は、樹脂を含み、
前記電子部品本体部は、セラミックまたは半導体系材料を含む、請求項に記載の複合部品。
【請求項8】
前記Siベース層の厚みは、前記複数の電子部品の厚みに比べ小さい、請求項1または2に記載の複合部品。
【請求項9】
前記電子部品層は、前記複数の電子部品を封止する樹脂封止部をさらに含み、
前記複合部品はその全体が実装方向に凸状に湾曲する、請求項1または2に記載の複合部品。
【請求項10】
前記複合部品の実装面は、断面視において複数の前記第1湾曲面を含む、請求項1または2に記載の複合部品。
【請求項11】
断面視において前記複数の第1湾曲面のうちの少なくとも2つの第1湾曲面が屈曲部を介して隣り合う、請求項10に記載の複合部品。
【請求項12】
前記複合部品の実装面における前記第1湾曲面は、平面視で該実装面全体の70%以上の面積を占める、請求項1または2に記載の複合部品。
【請求項13】
前記複数の電子部品は、前記部品電極が断面視で直線状に延在する前記Si貫通ビアを介して前記再配線層と電気的に接続するようにして、前記電子部品層内に配置されている、請求項1または2に記載の複合部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を回路基板に実装した複合部品としては、例えば、特開2017-17238号公報(特許文献1)の図1に記載の半導体装置がある。この半導体装置は、その一方の側に絶縁材料層を有している。この絶縁材料層には外部電極が設けられており、その絶縁材料層の外部電極の実装面の背面側には、接着剤を介して半導体素子が、素子回路面および該素子回路面に配置された電極を上にして搭載されている。半導体素子およびそれらの周辺は第2の絶縁材料層によって封止されている。第1の絶縁材料層および第2の絶縁材料層に付随するように銅または銅合金からなる金属薄膜配線層が設けられている。前記金属薄膜配線層の任意の配線層間、および前記金属薄膜配線層と前記半導体素子前記電極とは金属ビアによって電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-17238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような複合部品では、次の問題があることが分かった。すなわち、上記複合部品を回路基板に実装すると、アンダーフィル層内にボイド(空隙)が発生する。その結果、上記複合部品を実装した回路基板の電気的接続性が低下する場合があった。
【0005】
そこで、本開示の目的は、電気的接続性の低下を抑制し、複合部品を使用する電子機器の信頼性を向上させる複合部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討し、複合部品を回路基板に実装する際に形成するアンダーフィル材の塗布膜(すなわち、硬化前のアンダーフィル層)がボイドの移動経路となり得るとの知見を得た。このような技術的知見に基づき、塗布膜の上面の形状に対応する複合部品の実装面の形状を調節することにより、ボイドの移動経路となり得る塗布膜の形状を制御してボイドを複合部品の実装面外に移動させ、複合部品を使用する電子機器の信頼を向上させる本開示に想到するに至った。
すなわち、本開示は、以下の実施形態を含む。
【0007】
前記課題を解決するため、本開示の一態様である複合部品は、
互いに対向する第1主面および第2主面を有するSiベース層と、前記第1主面に形成されている再配線層と、該再配線層と電気的に接続し前記Siベース層内を貫通するSi貫通ビアと、電子部品本体部と該電子部品本体部に配置された部品電極とを有する複数の電子部品を含み、前記Siベース層の前記第2主面に配置された電子部品層とを備える複合部品であって、
前記部品電極は、前記Si貫通ビアに接続され、
前記複数の電子部品のうち1以上の電子部品は、断面視において何れも実装方向に凸状に湾曲する湾曲形状を有し、前記複合部品の実装面は、断面視において、前記湾曲形状に対応し、実装方向に凸状に湾曲する第1湾曲面を1以上含む。
【0008】
本実施形態によれば、複合部品の実装面は、断面視において、1以上の電子部品の湾曲形状に対応し、実装方向に凸状に湾曲する第1湾曲面を1以上含む。このため、複合部品の実装構造体において、アンダーフィル層の上面は、鉛直下向きに凸状に湾曲する湾曲面を有する複合部品の実装面に接する。複合部品の回路基板への実装において硬化前のアンダーフィル層(アンダーフィル材の塗布膜)に厚みの差が形成されることにより硬化前のアンダーフィル層内のボイドが複合部品の実装面外に移動しやすくなる。よって、硬化前のアンダーフィル層中に発生したボイドは、平面視において複合部品の実装面外に移動しやすくなる。したがって、本実施形態に係る複合部品は、電気的接続性の低下を抑制する。
【0009】
また、複合部品の一態様では、
前記Siベース層と、前記再配線層と、前記Si貫通ビアと、前記第2主面と対向するインターポーザ電極とを有するインターポーザ構造を含み、
前記電子部品層は前記インターポーザ電極と前記Siベース層との間に設けられている。
【0010】
本実施形態によれば、インターポーザ電極を備えることにより、電気的接続性の低下が抑制されたインターポーザ構造を備える複合部品を提供することができる。
【0011】
また、複合部品の一態様では、
前記複数の電子部品は、接着層により前記Siベース層の前記第2主面に接着されており、
断面視において、前記1以上の電子部品と前記Siベース層の前記第2主面との間に位置する接着層の領域における、中央部の厚みは端部での厚みに比べ小さい。
【0012】
本実施形態によれば、断面視において、1以上の電子部品の実装面側に位置する接着層の中央部の厚みは端部の厚みに比べ小さい。このため、複合部品の製造においてボイドが移動する経路となり得る硬化前の接着層(すなわち、接着剤の塗布膜)は、断面視において中央部での厚みに対して端部の厚みが大きくなっている。よって、硬化前の接着層中に発生したボイドは、さらに硬化前の電子部品の実装面外に移動しやすい。したがって、本実施形態に係る複合部品は、電気的接続性の低下をさらに抑制する。
【0013】
また、複合部品の一態様では、
断面視において、前記中央部の厚みは、10μm以下である。
【0014】
本実施形態によれば、断面視において、1以上の電子部品の実装面側に位置する接着層の中央部での接着層の厚みは、10μm以下である。かかる場合、Si貫通ビアの積層方向の長さ(電気的接続経路)が短縮されるため、直流抵抗Rdcおよび熱抵抗を小さくすることができる。
【0015】
また、複合部品の一態様では、
前記1以上の電子部品は、前記部品電極間に配置された樹脂層をさらに有する。
【0016】
本実施形態によれば、1以上の電子部品は、部品電極間に配置された樹脂層をさらに有する。樹脂層は、電子部品の電子部品本体部に比べ、例えば、加熱によって膨張しやすいため、例えば、複合部品の製造において1以上の電子部品は樹脂層側(実装方向)に凸状に湾曲する湾曲形状を形成しやすい。
【0017】
また、複合部品の一態様では、
前記樹脂層の線膨張係数は、前記電子部品本体部の線膨張係数よりも大きい。
【0018】
本実施形態によれば、樹脂層の線膨張係数は電子部品本体部の線膨張係数よりも大きい。例えば、複合部品の製造において、1以上の電子部品の樹脂層は、電子部品本体部に比べ複合部品の実装面側に配置され、加熱により電子部品本体部に比べ大きく膨張する。このため、複合部品の製造において、樹脂層を有する1以上の電子部品は実装方向に凸状に湾曲する形状となり得る。これにより、複合部品において1以上の電子部品は、いずれも複合部品の実装方向に凸状に湾曲する湾曲形状を有し得る。
【0019】
また、複合部品の一態様では、
前記樹脂層は、樹脂を含み、
前記電子部品本体部は、セラミックまたは半導体系材料を含む。
【0020】
本実施形態によれば、樹脂層は樹脂を含み、電子部品本体部はシリコンまたは半導体材料を含む。例えば、複合部品の製造において、1以上の電子部品の樹脂層は、電子部品本体部に比べ複合部品の実装面側に配置され、加熱により電子部品本体部に比べ大きく膨張する。このため、複合部品の製造において、樹脂層を有する1以上の電子部品は実装方向に凸状に湾曲する湾曲形状を有し得る。これにより、複合部品中の1以上の電子部品は、いずれもその全体が複合部品の実装方向に凸状に湾曲する湾曲形状を有し得る。
【0021】
また、複合部品の一態様では、
前記Siベース層の厚みは、前記複数の電子部品の厚みに比べ小さい。
【0022】
本実施形態によれば、Siベース層の厚みは、複数の電子部品の厚みに比べ小さいため、複合部品の実装面は1以上の電子部品の湾曲形状を反映しやすい。
【0023】
また、複合部品の一態様では、
前記電子部品層は、前記複数の電子部品を封止する樹脂封止部をさらに含み、
前記複合部品はその全体が実装方向に凸状に湾曲する。
【0024】
本実施形態によれば、複合部品はその全体が実装方向に凸状に湾曲する。このため、複合部品の実装構造体において、アンダーフィル層の上面は、回路基板の実装面全体に対して鉛直下向きに凸状に湾曲する形状を有する複合部品の実装面に接する。複合部品の回路基板への実装において硬化前のアンダーフィル層(アンダーフィル材の塗布膜)に厚みの差が形成されることにより硬化前のアンダーフィル層内のボイドが複合部品の実装面外に移動しやすくなる。よって、硬化前のアンダーフィル層中に発生したボイドは、平面視において複合部品の実装面外にさらに移動しやすくなる。したがって、本実施形態に係る複合部品は、電気的接続性の低下をさらに抑制する。
【0025】
また、複合部品の一態様では、
前記複合部品の実装面は、断面視において複数の前記第1湾曲面を含む。
【0026】
本実施形態によれば、複合部品の実装面は、断面視において複数の第1湾曲面を含む。複合部品の実装面に占める第1湾曲面の面積の割合が大きくなるため、複合部品の実装構造体のアンダーフィル層にはボイドが存在しにくい。よって、本実施形態に係る複合部品は、電気的接続性の低下をさらに抑制する。
【0027】
また、複合部品の一態様では、
断面視において前記複数の第1湾曲面のうちの少なくとも2つの第1湾曲面が屈曲部を介して隣り合う。
【0028】
本実施形態によれば、断面視において前記複数の第1湾曲面のうちの少なくとも2つの第1湾曲面が屈曲点を介して隣り合う。このため、複合部品の実装構造体において、アンダーフィル層の上面は、上記形状を有する複合部品の実装面に接する。複合部品の回路基板への実装において、硬化前のアンダーフィル層には厚みの差に加え、複合部品の実装面の屈曲部に相当する箇所が形成される。屈曲部に相当する箇所もボイドの移動経路となり得る。よって、硬化前のアンダーフィル層中に発生したボイドは、平面視において複合部品の実装面外にさらに移動しやすくなる。したがって、本実施形態に係る複合部品は、電気的接続性の低下をさらに抑制する。
【0029】
また、複合部品の一態様では、
前記複合部品の実装面における前記第1湾曲面は、平面視で該実装面全体の70%以上の面積を占める。
【0030】
本実施形態によれば、複合部品の実装面における第1湾曲面は、平面視で実装面全体の70%以上の面積を占める。このように、複合部品の実装面に占める第1湾曲面の面積の割合が大きくなるため、複合部品の実装構造体のアンダーフィル層にはボイドが存在しにくい。よって、本実施形態に係る複合部品は、電気的接続性の低下をさらに抑制する。
【0031】
また、複合部品の一態様では、
前記複数の電子部品は、前記部品電極が断面視で直線状に延在する前記Si貫通ビアを介して前記再配線層と電気的に接続するようにして、前記電子部品層内に配置されている。
【0032】
本実施形態によれば、複数の電子部品が電子部品内で同方向に配置されているため、異なる方向に配置されている場合に比べ、電子部品の湾曲が相殺されにくく、複合部品全体が実装方向に凸状に湾曲しやすい。これにより、本実施形態に係る複合部品は、電気的接続性の低下をさらに抑制する。
【発明の効果】
【0033】
本開示の一態様である複合部品によれば、電気的接続性の低下を抑制し、複合部品を使用する電子機器の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】第1実施形態に係る複合部品を示す断面図である。
図2図1のA部拡大図である。
図3A】複合部品の製造方法について説明する説明図である。
図3B】複合部品の製造方法について説明する説明図である。
図3C】複合部品の製造方法について説明する説明図である。
図3D】複合部品の製造方法について説明する説明図である。
図3E】複合部品の製造方法について説明する説明図である。
図3F】複合部品の製造方法について説明する説明図である。
図3G】複合部品の製造方法について説明する説明図である。
図3H】複合部品の製造方法について説明する説明図である。
図3I】複合部品の製造方法について説明する説明図である。
図3J】複合部品の製造方法について説明する説明図である。
図3K】複合部品の製造方法について説明する説明図である。
図3L】複合部品の製造方法について説明する説明図である。
図3M】複合部品の製造方法について説明する説明図である。
図3N】複合部品の製造方法について説明する説明図である。
図3O】複合部品の製造方法について説明する説明図である。
図4】第2実施形態に係る実装構造体を示す断面図である。
図5】第2実施形態に係る実装構造体の製造におけるボイドの移動を説明するための図である。
図6】第1実施形態に係る複合部品の製造におけるボイドの移動を説明するための図である。
図7】第1実施形態に係る複合部品の変形例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本開示の一態様である複合部品およびその実装構造体を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。また、複合部品内の構成要素の寸法(より具体的には、厚み等)は、走査型電子顕微鏡にて撮影したSEM画像に基づいて測定した。上記寸法は、複数の測定数(測定数n≧3)の平均値から得た。
【0036】
本明細書で言及する各種の数値範囲は、「未満」、「より大きい」および「より小さい」のような特段の用語が付されない限り、下限および上限の数値(すなわち、上限値および下限値)そのものも含むことを意図している。つまり、例えば、1μm~30μmといった数値範囲を例にとれば、数値範囲1μm~30μmは、下限値の“1μm”を含むと共に、上限値の“30μm”をも含むものとして解釈される。
【0037】
<第1実施形態:複合部品>
[構成]
図1は、本開示の第1実施形態に係る複合部品1の断面を模式的に示した図である。図2は、図1のA部拡大図である。
【0038】
図1および図2に示すように、複合部品1は、インターポーザ構造10と、電子部品層20とを備える。図中、複合部品1の厚みに平行な方向をZ方向とし、順Z方向を上側、逆Z方向を下側とする。複合部品1のZ方向に直交する平面において、図が記載された紙面に平行な方向をX方向とし、図が記載された紙面に直交する方向をY方向とする。
【0039】
本実施形態に係る複合部品1では、インターポーザ構造10は、互いに対向する第1主面13aおよび第2主面13bを有するSiベース層13と、第1主面13aに形成されている再配線層15と、再配線層15と電気的に接続しSiベース層13内を貫通するSi貫通ビア17と、第2主面13bと対向するインターポーザ電極19aとを有する。インターポーザ構造10は、さらに複数の電子部品21を第2主面13bに接着する接着層11を有する。電子部品層20は、電子部品本体部21aと電子部品本体部21aに配置された部品電極21bとを有する複数の電子部品21を含み、Siベース層13の第2主面13bに配置されている。さらに、電子部品層20は、インターポーザ電極19aとSiベース層13との間に設けられている。部品電極21bは、Si貫通ビア17に接続されている。
【0040】
(実装面)
複数の電子部品21のうち1以上の電子部品21は、断面視において何れも実装方向に凸状に湾曲する湾曲形状を有する。複合部品1の実装面3は、断面視において、1以上の電子部品21の湾曲形状に対応し、実装方向に凸状に湾曲する第1湾曲面3aを1以上含む。なお、複合部品1は、図1に示すようにその全体が実装方向に凸状に湾曲しているが、図2では、便宜上、複合部品1の全体を平面状として記載している。また、変形例を示す図7も同様である。
【0041】
第1湾曲面3aは、本明細書において、複合部品1の断面視(ZX断面視)において、電子部品21の一方の端面Eが延在して実装面3と交わる点(第1交点)と、他方の端面Eが延在して実装面と交わる点(第2交点)とを通る第1直線から鉛直下方向(逆Z方向)にはみ出す実装面であって、曲面のみから構成され、面全体が連続してなだらかに湾曲し、その途中で折れ曲がっていない面をいう。
【0042】
-第1湾曲面が存在することの確認方法-
第1湾曲面3aが複合部品1の実装面3に存在することは、以下のようにして確認することができる。詳しくは、複合部品1を切断して、1以上の電子部品21における少なくとも1つの電子部品(以下、対象の電子部品とも称する)21の中央部(定義については後述する)を含む切断面(ZX断面)を形成する。ZX断面のSEM画像を撮像する。SEM画像における対象の電子部品21の第1交点と、第2交点とを通過する第1直線を作成する。第1直線から鉛直下方向(逆Z方向)にはみ出す実装面3の領域の有無を確認する。当該はみ出す実装面3の領域が存在する場合、はみ出す実装面3に湾曲面をフィットできれば、対象の電子部品21の鉛直下方向(逆Z方向)において、第1湾曲面3aが複合部品1の実装面3に存在すると判定する。電子部品21が複数存在する場合、それぞれの電子部品21について対応する第1湾曲面3aの存在を確認することができる。
【0043】
図1および2に加え、さらに図4および図5を参照して、本実施形態に係る複合部品1における作用効果について説明する。図4は、第2実施形態に係る実装構造体を示す断面図であり、図5は、第2実施形態に係る実装構造体の製造におけるボイドの移動を説明するための図であり、図4のC部に相当する箇所の拡大図である。
【0044】
本実施形態に係る複合部品1は、電気的接続性の低下を抑制し、複合部品1を使用する電子機器の信頼性を向上させることができる。その理由は次のように推測される。
本実施形態に係る複合部品1では、上述のように、複合部品1の実装面3は、断面視において、1以上の電子部品21の湾曲形状に対応し(反映し)、実装方向に凸状に湾曲する第1湾曲面3aを1以上含む。このため、例えば、図4に示すように、複合部品1の実装構造体100において、アンダーフィル層101の上面101bは、鉛直下向き(すなわち、逆Z方向)に凸状に湾曲する複合部品1の実装面3に接する。これにより、図5に示すように、複合部品1の回路基板103への実装において硬化前のアンダーフィル層(アンダーフィル材の塗布膜101a)に厚みの差が形成される。より具体的には、図5中、一番右端の電子部品21の下方に存在するアンダーフィル材の塗布膜101aの厚みが、方向Dに沿って、徐々に大きくなっている。つまり、これはボイド101cの移動経路の断面積(YZ断面積)が方向Dに沿って徐々に大きくなるような厚み勾配が形成されていることを意味する。このような塗布膜101aの厚みの差により、アンダーフィル材の塗布膜101a中のボイド101cは、方向Dに沿って、複合部品1の実装面の領域R外に移動し、さらにアンダーフィル材の塗布膜101a外に移動する。このため、実装構造体100のアンダーフィル層101中にはボイド101cが発生しにくい。したがって、本実施形態では、電気的接続性の低下を抑制することができると考えられる。
【0045】
また、第1湾曲面3aは、複合部品1の実装面3が、断面視において、1以上の電子部品21の湾曲形状に対応し、実装方向に凸状に湾曲する第1湾曲面であると、複合部品1の実装構造体100において、アンダーフィル層101の上面は、鉛直下向きに凸状に湾曲する湾曲面を有する複合部品1の実装面3に接する。複合部品1の回路基板103への実装においてアンダーフィル材の塗布膜101a中に生じるボイド101cは、例えば、大気中の空気成分およびアンダーフィル材の気化成分(より具体的には、気化した溶媒))で構成される。アンダーフィル材の塗布膜101aは、例えば、硬化樹脂のような接着剤およびその溶媒で構成される。このため、ボイド101cの構成成分の比重は、アンダーフィル材の塗布膜101aの構成成分の比重に比べ小さい。複合部品1の回路基板103への実装においてボイド101cは、アンダーフィル材の塗布膜101aの上面を伝って移動しやすい。アンダーフィル材の塗布膜101aの上面は、複合部品1の実装面3に接し、湾曲形状を有する。これにより、硬化前のアンダーフィル層中に発生したボイドは、複合部品1の実装面の領域R外に移動し、さらにアンダーフィル材の塗布膜101a外に移動する。
したがって、本実施形態に係る複合部品は、電気的接続性の低下を抑制すると考えられる。
【0046】
本発明者らは、上記課題を鋭意検討した結果、ボイド101cがアンダーフィル層101中に発生する原因を検討した。詳しくは、複合部品1を回路基板103に実装する場合に、複合部品1の実装面3と回路基板103との間にアンダーフィル材を充填してアンダーフィル材の塗布膜101aを形成すると、空気を噛むことがあり、この空気がアンダーフィル層101に残留することでボイド101cが発生することを見出した。また、アンダーフィル材の塗布膜101a内に含まれる溶媒が気化してボイド101cが発生することを見出した。
【0047】
次いで、本発明者らはこれらの技術的知見に基づいて上記課題の解決手段を検討した。アンダーフィル材の塗布膜101aがボイド101cの移動経路となり得ることに着目した。また、実装構造体100において、複合部品1の実装面3がアンダーフィル層101の上面と接するため、実装構造体100において、複合部品1の実装面3の形状によって、アンダーフィル材の塗布膜101aの形状を制御できることに着目した。このような着眼点に基づいて、本発明者らは、さらに鋭意検討し、実装構造体の製造において、アンダーフィル材の塗布膜101aが複合部品1の実装面外に移動しやすい形状を検討した。このような形状としてアンダーフィル材の塗布膜101aの厚みに差を設ける形状が有効であるとの考えに想到し、請求項1に記載の特徴「前記複数の電子部品のうち1以上の電子部品は、断面視において何れも実装方向に凸状に湾曲する湾曲形状を有し、前記複合部品の実装面は、断面視において、前記湾曲形状に対応し、実装方向に凸状に湾曲する第1湾曲面を1以上含む」を導き出した。
【0048】
複合部品1の実装面3は、複数の第1湾曲面3aを含む。かかる場合、複合部品1の実装面3に占める第1湾曲面3aの面積の割合が大きくなるため、複合部品1を回路基板103へ実装する際に、アンダーフィル材の塗布膜101aからボイド101cをさらに移動させやすくなり、その結果、複合部品1の実装構造体100のアンダーフィル層101にはボイド101cが存在しにくくなる。よって、本実施形態に係る複合部品1は、電気的接続性の低下をさらに抑制する。
【0049】
複合部品1の実装面3において第1湾曲面3aは、平面視で実装面3全体の70%以上の面積を占める。この面積割合は、次のようにして決定することができる。複合部品1の実装面3をZX平面に投影し、投影平面を作成する。投影平面における第1湾曲面3aの占める面積割合を算出する。より具体的には図1~2に示すように、複合部品1の実装面3は5つの第1湾曲面3aからなり、複合部品1の実装面3において第1湾曲面3aは、実装面3全体の100%の面積を占める。かかる場合、複合部品1の実装面3に占める第1湾曲面3aの面積の割合が大きいため、複合部品1を回路基板103へ実装する際に、アンダーフィル材の塗布膜101aからボイド101cをさらに移動させやすくなり、その結果、複合部品1の実装構造体100のアンダーフィル層101にはボイド101cが存在しにくくなる。よって、本実施形態に係る複合部品1は、電気的接続性の低下をさらに抑制する。実装面3における第1湾曲面3aの占める面積の割合は、例えば、断面視において実装方向に湾曲形状を有する1以上の電子部品21の複合部品1における数によって制御することができる。
【0050】
-複合部品の実装面における第1湾曲面の占める割合の算出方法-
複合部品1の実装面3における第1湾曲面3aの占める割合は以下のようにして算出することができる。詳しくは、複合部品1を切断して、複合部品1の中央を含む切断面(ZX断面)を形成する。ZX断面のSEM画像を撮像する。SEM画像における複数の電子部品21の第1交点と、第2交点とを通過する第1直線をそれぞれ作成する。第1交点から第2交点までの実装面3の長さの和(以下、「実装面3の総長」とも称する)を算出する。第1直線から鉛直下方向(逆Z方向)にはみ出す実装面3の領域の面の長さの和(以下、「第1湾曲面3aの総長」とも称する)を算出する。式{(第1湾曲面3aの総長)/(実装面3の総長)}×100を用いて複合部品の実装面における第1湾曲面の占める割合(%)を算出する。なお、複合部品1の中央とは、本明細書において平面視での矩形の複合部品1における2つの対角線の交点をいう。矩形とは、厳密な矩形(より具体的には、長方形、正方形)に限定されず、例えば、角部が円弧状であってもよい。角部が円弧状である場合、仮想的な角部から対角線の交点を導くことができる。
【0051】
複合部品1の実装面3は、1以上の電子部品21の湾曲形状に対応する(反映する)。詳しくは、1個の電子部品21の湾曲形状に対し、実装面3における1個の第1湾曲面3aが対応する。図1では、5つの電子部品21が湾曲形状を有し、これに対応するように複合部品1の実装面3は5つの第1湾曲面3aを有する。
【0052】
複合部品1の実装面3は、断面視において、複数の第1湾曲面3aのうち少なくとも2つの第1湾曲面が屈曲部を介して隣り合う。詳しくは、複合部品1の実装面3は、断面視において、5つの第1湾曲面3aが存在し、これらは4つの屈曲部3bを介して隣り合う。このため、複合部品1の実装構造体100において、アンダーフィル層101の上面101bは、上記形状を有する複合部品1の実装面3に接する。複合部品1の回路基板103への実装において、硬化前のアンダーフィル層(アンダーフィル材の塗布膜101a)には厚みの差に加え、複合部品1の実装面3の屈曲部3bに相当する箇所が形成される。屈曲部3bに相当する箇所は、Y方向に延在するため、ボイド101cの移動経路になり得る。よって、アンダーフィル材の塗布膜101a中に発生したボイド101cは、平面視において複合部品1の実装面3の領域R外にさらに移動しやすくなる。したがって、本実施形態に係る複合部品1は、電気的接続性の低下をさらに抑制する。
【0053】
複合部品1はその全体が実装方向に凸状に湾曲してもよい。複合部品1の実装構造体100において、アンダーフィル層101の上面101bは、回路基板103の実装面全体に対して鉛直下向きに凸状に湾曲(湾曲)する形状を有する複合部品1の実装面に接する。このため、複合部品1の回路基板103への実装において硬化前のアンダーフィル層(アンダーフィル材の塗布膜101a)に厚みの差が形成されることにより、アンダーフィル材の塗布膜101a内のボイド101cが複合部品1の実装面の領域R外に移動しやすくなる。よって、アンダーフィル材の塗布膜101a中に発生したボイド101cは、平面視において複合部品1の実装面の領域R外に移動し、さらにアンダーフィル材の塗布膜101a外に移動しやすくなる。したがって、本実施形態に係る複合部品1は、電気的接続性の低下をさらに抑制する。
【0054】
-複合部品1の全体が実装方向に凸状に湾曲することの確認方法-
複合部品1はその全体が実装方向に凸状に湾曲することが以下のようにして確認することができる。詳しくは、複合部品1の中央を含む切断面(ZX断面)を形成する。ZX断面のSEM画像を撮像する。SEM画像における複合部品1の一方の端面と部品面(別の電子部品を実装し得る面であって、インターポーザ電極層19の面)との第3交点、ならびに他方の端面と部品面との第4交点を通る第2直線を作成する。部品面全体が第2直線よりも逆Z方向に存在するか否かを確認する。部品面全体が第2直線よりも逆Z方向に存在する場合、その部品面に湾曲面がフィットできれば、複合部品1はその全体が実装方向に凸状に湾曲していると判定する。ここで、複合部品1の中央とは、平面視における矩形の複合部品1の2つの対角線の交点をいう。
【0055】
複合部品1は、複数の電子部品21をインターポーザ構造10の内部に固定する。つまり、複合部品1は、電子部品内蔵型の複合部品である。
【0056】
(電子部品層)
電子部品層20は、インターポーザ電極19aとSiベース層13との間に設けられている。電子部品層20は、接着層11を介してSiベース層13の第2主面13bに接着している。電子部品層20は、複数の電子部品21を含み、さらに複数の電子部品21を封止する樹脂封止部23を含む。
【0057】
(複数の電子部品)
複数の電子部品21は、電子部品層20において樹脂封止部23で封止されている。複数の電子部品21は、部品電極21bがSi貫通ビア17を介して再配線層15と電気的に接続しつつ、部品電極21bと第3主面21dとが接着層11を介してSiベース層13の第2主面13bに接着している。
【0058】
複数の電子部品21は、部品電極21bが直線状に延在するSi貫通ビア17を介して再配線層15と電気的に接続するようにして、電子部品層20内に配置されている。換言すると、複数の電子部品21は、電子部品層20において、いずれも電子部品本体部21aの第4主面21eに対して第3主面21dが再配線層15側に位置するように、配置されている。つまり、複数の電子部品21は、電子部品層20において、いずれも同方向に配置されている。このように複数の電子部品21が電子部品層20において同方向に配置されているため、異なる方向に配置されている場合に比べ、電子部品21の湾曲が相殺されにくく、複合部品1の全体が実装方向に凸状に湾曲しやすい。これにより、複合部品1は、電気的接続性の低下をさらに抑制する。
さらに、この場合、複合部品1は、異なる方向に配置されている場合に比べ、シンプルな配線を有するため、配線長を短くして回線抵抗を低減しかつコストを低減することができる。
【0059】
複数の電子部品21は、それぞれ電子部品本体部21aと電子部品本体部21aに配置された部品電極21bとを有する。複数の電子部品21は、例えば、Siベース層13を構成する物質と同様の物質中に1以上の素子が一体化された電子部品である。電子部品21は、例えば、能動部品(より具体的には、CPU、GPU、およびLSI等)ならびに受動部品(より具体的には、キャパシタ、抵抗器、およびインダクタ等)である。
【0060】
電子部品本体部21aは、互いに対向する第3主面21dおよび第4主面21eを有する。電子部品本体部21aは、例えば、セラミックまたは半導体材料(より具体的には、シリコン等)を含む。
【0061】
部品電極21bは電子部品本体部21aの第3主面21dに配置されている。部品電極21bは、Si貫通ビア17に接続され、電気的に接続している。部品電極21bは、導電性材料として、例えば、Cu、Ni、SnおよびAlならびにこれらを含む合金である。導電性材料は、これらの中でも、Si貫通ビア17と同じ材料であることが好ましい。部品電極21bの厚みは、例えば、1μm~30μmであり、好ましくは5μm以下である。部品電極21bを、1~5μmの厚みに薄くすることができる。部品電極21bの厚みは、例えば、電子部品本体部21aの厚みの1/4~1/6倍にすることができる。
【0062】
(1以上の電子部品)
複数の電子部品21のうち1以上の電子部品21は、断面視において何れも複合部品1の実装方向に凸状に湾曲する湾曲形状を有する。図1においては、複合部品1中に含まれる5つの電子部品21のうちすべての電子部品21が断面視においてその全体が複合部品1の実装方向に凸状に湾曲する湾曲形状を有する。1以上の電子部品21の厚みは、例えば、80~120μmである。
【0063】
1以上の電子部品21の湾曲形状とは、本明細書において、断面視(ZX断面)において実装方向に(後述の第3直線から逆Z方向に)凸状に湾曲するような形状をいう。このため、湾曲形状は、例えば、図1に示すように、1以上の電子部品21の全体が凸状に湾曲している円弧形状だけでなく、その一部が実装方向に湾曲する形状であってもよい。その一部が実装方向に湾曲する形状としては、例えば、複数の異なる種類の曲線で構成されている湾曲形状が挙げられる。湾曲形状は、例えば、樹脂層21cおよび部品電極21bの配置により制御することができる。また、湾曲形状の湾曲度合いは、樹脂層21cおよび電子部品本体部21aの厚み、ならびに製造方法における加熱条件(より具体的には、加熱温度および加熱時間等)により制御することができる。
【0064】
-湾曲形状の確認方法-
1以上の電子部品21が湾曲形状を有することは、以下のようにして確認することができる。詳しくは、複合部品1を切断して、1以上の電子部品21において対象とする電子部品21の中央部(定義については後述する)を含む切断面(ZX断面)を形成する。ZX断面のSEM画像を撮像する。SEM画像における当該電子部品本体部21aの第3主面21dと一方の端面Eとの第5交点と、第3主面21dと他方の端面Eとの第6交点とを通る第3直線を作成する。第3直線から逆Z方向にはみ出す電子部品本体部21a領域の有無を確認する。当該はみ出す領域が存在する場合、第3直線から逆Z方向にはみ出す電子部品本体部21aの第3主面21dを湾曲面でフィットできる場合、対象とする電子部品21が湾曲形状を有すると判定する。1以上の電子部品21が複数存在する場合、それぞれの電子部品について確認できる。
【0065】
複数の電子部品21のうち1以上の電子部品21は、電子部品本体部21aおよび部品電極21bに加え部品電極21b間に配置された樹脂層21cをさらに有する。1以上の電子部品21は、部品電極21b間に配置された樹脂層21cを有することにより、断面視において凸状に湾曲する湾曲形状を有することができる。その理由は以下のように推測される。樹脂層21cは、電子部品21の電子部品本体部21aに比べ、例えば、加熱によって膨張しやすいため、例えば、複合部品1の製造において1以上の電子部品21は樹脂層21c側(実装方向)に凸状に湾曲する湾曲形状を形成しやすい。
【0066】
樹脂層21cはまた、部品電極21b間を電気的に絶縁する層としても機能する。樹脂層21cの厚みは、例えば、1~30μmであり、好ましくは5μm以下である。部品電極21bを、1~5μmの厚みに薄くすることができる。樹脂層21cの厚みは、例えば、電子部品本体部21aの厚みの1/4~1/6倍にすることができる。
樹脂層21cの厚みは、部品電極21bと同じであってもよく、かかる場合、樹脂層21cの上面と部品電極21bの上面とが面一となる。
【0067】
樹脂層21cの線膨張係数は、電子部品本体部21aの線膨張係数よりも大きくすることができる。例えば、樹脂層21cの線膨張係数は、電子部品本体部21aの線膨張係数に対して、10~30倍とすることができる。樹脂層21cの線膨張係数は、例えば、30~150ppm/℃である。電子部品本体部21aを構成する材質の線膨張係数は、例えば、1~25ppm/℃である。例えば、複合部品1の製造において、1以上の電子部品21の樹脂層21cは、電子部品本体部21aに比べ複合部品1の実装面3側に配置され、加熱により電子部品本体部21aに比べ大きく膨張する。このため、複合部品1の製造において、樹脂層21cを有する1以上の電子部品21は実装方向に凸状に湾曲する形状となり得る。これにより、複合部品1において1以上の電子部品21は、いずれも複合部品1の実装方向に凸状に湾曲する湾曲形状を有し得る。
【0068】
樹脂層21cは、例えば、樹脂を含む。かかる場合、電子部品本体部21aがセラミックまたは半導体系材料を含むと、樹脂層21cの線膨張係数が電子部品本体部21aの線膨張係数よりも大きい関係を構成しやすい。セラミックとしては、例えば、アルミナおよびジルコニアのような酸化物、炭化ケイ素のような炭化物、ならびに窒化ケイ素のような窒化物が挙げられる。半導体系材料としては、例えば、第14族非金属元素を含む半導体材料(より具体的には、C、Si、およびGeのような単体元素、ならびにSiCおよびSiGeのような化合物)、第13元素と第15族元素とを含む化合物半導体材料(より具体的には、GaAs、GaP、GaN、InSbおよびInP等)ならびに、第12族元素と第14族元素とを含む化合物半導体材料(より具体的には、ZnSe、CdSおよびZnO等)が挙げられる。
【0069】
(樹脂封止部)
樹脂封止部23は、樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を含み、複数の電子部品21を樹脂で一体化させることができる。複数の電子部品21を樹脂と一体化させることができるため、1以上の電子部品21が断面視において何れもその全体が実装方向に凸状に湾曲する湾曲形状を有していた場合であっても、1以上の電子部品21を電子部品層20内に配置することができる。また、Siベース層13と寸法が一致しない電子部品(より具体的には、汎用の電子部品)であっても、電子部品層20内に配置することができる。これにより、低コスト、高性能な電子部品を使用することができる。また、自由度が高い設計が可能となり、用途に応じて電子部品を組み合わせることができる。例えば、複合部品1は、異なる種類の電子部品を内蔵することができる。
【0070】
(インターポーザ構造)
インターポーザ構造10は、互いに対向する第1主面13aおよび第2主面13bを有するSiベース層13と、第1主面13aに形成されている再配線層15と、再配線層15と電気的に接続しSiベース層13内を貫通する貫通電極であるSi貫通ビア17と、第2主面13bと対向するインターポーザ電極層19とを有する。インターポーザ構造10は、Siベース層13とインターポーザ電極層19との間に電子部品層20を設ける。インターポーザ構造10は、複数の電子部品21をSiベース層13の第2主面13bに接着する接着層11をさらに有する。インターポーザ構造10は、例えば、端子ピッチが異なるパッケージ基板と複数の電子部品21とを中継する。
【0071】
(Siベース層)
Siベース層13は、互いに対向する第1主面13aおよび第2主面13bを有する。Siベース層13の厚みは、例えば、150μm以下であり、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは30μm以下である。このように、Siベース層13の厚みを極端に薄くできる理由は、後述する複合部品1の製造方法において、Siベース層13にSiサポート33を貼合して強度を補強するため、Siベース層13を研削して薄化しても、強度不足によるSiベース層13の破損(割れ等)が発生しにくくなるからである(図3G参照)。Siサポート33による強度の補強によって、複合部品1の製造が可能となる。Siベース層13の厚みを従来に比べ、極端に薄くできるため、複数の電子部品21の部品電極21bから再配線層15まで電気的に接続するビア配線の長さを短くすることができる。Siベース層13は、実質的にSiから構成される。
【0072】
Siベース層13の厚みは、複数の電子部品21の厚みに比べ、小さくすることができる。Siベース層13の厚みが複数の電子部品21の厚みに比べ小さいと、複合部品1の実装面3は1以上の電子部品21の湾曲形状を反映しやすい。例えば、Siベース層13の厚みは、複数の電子部品21の厚みに比べ好ましくは50%以下、より好ましくは20%以下である。複数の電子部品21の厚みは、例えば、30~120μmである。Siベース層13の厚みが50μm以下であると、再配線層15から部品電極21bまでのビア配線の長さが従来(例えば、約100μm)に比べ短くすることができる。このため、ビア配線による寄生インピーダンスを低下させ、複合部品1を使用する電子機器の電気特性を向上させることができる。このような電気特性の低下としては、例えば、再配線層15上に実装される半導体素子ICにおいて、高速駆動する半導体素子ICに対する電源電圧変動の抑制機能の低下、および高周波リップルを吸収する機能の低下が挙げられる。
【0073】
(再配線層)
再配線層15は、Siベース層13の第1主面13aに形成されている。再配線層15は、多層配線層である。再配線層15は、例えば、Siベース層13の第1主面13a側におけるSi貫通ビア17の配線レイアウトを、再配線層15上に配置する別の電子部品の部品電極レイアウトに変換する。すなわち、再配線層15を介して、Si貫通ビア17と、再配線層15上に配置する別の電子部品とを電気的に接続して、所望の電気回路を形成する。再配線層15は、配線(導電配線)15bと、誘電膜15aとを備える。
【0074】
配線15bは、導電ビアを有する。導電ビアは、再配線層15内の異なる層間の配線を電気的に接続する。配線15bは導電性材料を含む。導電性材料は、例えば、Cu、Ag、およびAu、ならびにそれらを含む合金であり、これらの中でもCuが好ましい。再配線層15は、複数の層を有することができ、例えば、2層以上の配線15bと、1層以上の誘電膜15aとを有する。再配線層15を構成する配線15b 1層および誘電膜15a 1層の厚みは、例えば、1.5μm~5.0μmである。この場合、再配線層15の厚みは、これらの1層分の厚み(1.5μm~5.0μm)に再配線層15内の合計層数を乗じた値(単位:μm)となる。
【0075】
誘電膜15aは、絶縁材料を含んで構成される。絶縁材料としては、例えば、有機絶縁材料、および無機絶縁材料が挙げられる。有機絶縁材料としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリイミド、アクリロニトリル―ブタジエン―スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル―スチレン(AS)樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、フッ素樹脂、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート、およびポリカーボネートが挙げられる。無機絶縁材料としては、例えば、酸化ケイ素(SiO2)および窒化ケイ素(SiN、Si34)が挙げられる。
【0076】
誘電膜15aの厚みは、例えば、0.1~2μmである。誘電膜15aは、2種以上の成分を含む多成分膜であってもよい。多成分膜は、複数の層が成分ごとに形成される多層膜であってもよい。多層膜の層構造は、例えば、Siベース層13側から順に、SiO2(厚み0.25μm)/Si34(厚み0.1μm)/SiO2(厚み0.25μm)/Si34(厚み0.1μm)である。
【0077】
(Si貫通ビア)
Si貫通ビア17は、再配線層15と電気的に接続しSiベース層13内を貫通している。Si貫通ビア17は、Si貫通ビア本体部17aと、延出部17bとを有する。Si貫通ビア本体部17aは、再配線層15と電気的に接続しSiベース層13内を貫通する。延出部17bは、Si貫通ビア本体部17aと電気的に接続し、Siベース層13の第2主面13bから延出し、接着層11内を貫通しかつ部品電極21bと電気的に接続する。このように、部品電極21bから再配線層15まで電気的に接続するビア配線は、Si貫通ビア17のみから構成させるため、はんだバンプを有しない。よって、本実施形態に係る複合部品1は、ビア配線による寄生インピーダンスをさらに低減させることができる。また、これにより複合部品1を使用する電子機器の電子特性が向上する。さらに、従来に比べ配線長を短くできるため、複合部品1の厚みを低減することができ、複合部品1の小型化、薄型化が可能となる。ビア配線の長さ(すなわち、Si貫通ビア17の積層方向の長さ)は、例えば、3μm~36μmである。
【0078】
Si貫通ビア17は、図2では、積層方向に略直線状となっている。ZX平面におけるSi貫通ビア17の断面形状は、図2では略矩形であるが、これに限定されず、積層方向にテーパー形状であってもよい。また、XY平面におけるSi貫通ビア17の断面形状は、例えば、略円形状、略多角形状、および略多角形の角が丸みを帯びた形状である。
【0079】
複合部品1の積層方向に直交する平面(XY平面)における部品電極21bの断面形状は、略長方形である。
【0080】
(インターポーザ電極層)
インターポーザ電極層19は、複合部品1上に別の電子部品を搭載しうる際に複合部品1と別の電子部品間に介在させる層である。また、インターポーザ電極層19は、複合部品1を電子機器に搭載する際には、複合部品1と電子機器との間に介在させる層である。インターポーザ電極層19は、インターポーザ電極19aと、誘電膜とを有する。インターポーザ電極19aは、複合部品1と別の電子部品または電子機器との間を電気的に接続するものであり、誘電膜は、複合部品1と別の電子部品または電子機器との間の必要な個所を電気的に分離するものである。インターポーザ電極19aは、Siベース層13の第2主面13bと対向する。インターポーザ電極19aは、例えば、Cu、AgおよびAuならびにそれらを含む合金であり、これらの中でもCuが好ましい。
【0081】
インターポーザ電極19aと、電子機器との電気的接続は、はんだバンプで実施される。インターポーザ電極19aは、はんだバンプに対応するために、表面にNiやAuによるめっき層を有することができる。本実施形態に係る複合部品1は実装面側に凸状に湾曲する形状を有するため、回路基板103に対して高さのばらつきが生じ得る。しかしながら、本実施形態に係る複合部品1がはんだバンプにより電子機器との電気的接続を構成すると、はんだバンプが高さのばらつきを調節して接合することができる。このため、高さのばらつきに起因する電気的接続性の低下を抑制できる。つまり、本実施形態は、インターポーザ電極19aを有するインターポーザ構造を含むことで、電気的接続性の低下を抑制することができる。
【0082】
(接着層)
接着層11は、電子部品層20をインターポーザ構造10の内部に接着して固定する。より具体的には、接着層11は、電子部品層20をSiベース層13の第2主面13bに接着させる。
【0083】
本明細書において接着層11の厚みは、部品電極21bの下面からSiベース層13の第2主面13bまでのZ方向の厚みをいう。1以上の電子部品21は、実装方向に凸状に湾曲する湾曲形状を有するため、断面視において、1以上の電子部品21とSiベース層13の第2主面13bとの間に位置する接着層11の領域における、中央部11a(接着層11の中央部11a)の厚みが端部11b(接着層11の端部11b)での厚みに比べ小さい。つまり、Z方向に1以上の電子部品21が存在する接着層11の厚みは、1以上の電子部品21の両端部での接着層11(すなわち、接着層11の端部11b)の厚みに比べ、その中央部での接着層11(接着層11の中央部11a)での厚みが小さくなっている。このため、複合部品1の製造においてボイド31cが移動する経路となり得る硬化前の接着層(すなわち、接着剤の塗布膜31)は、断面視において中央部での厚みに対して端部の厚みが大きくなっている。よって、接着剤の塗布膜31中に発生したボイド31cは、硬化前の電子部品21の実装面外に移動しやすく、さらに接着剤の塗布膜31外に移動しやすい(この詳細については、複合部品1の製造方法における電子部品接着工程にて説明する)。したがって、得られる接着層11内にボイド31cが存在しにくくなるため、本実施形態に係る複合部品は電気的接続性の低下をさらに抑制する。
【0084】
本明細書において、1以上の電子部品21の中央部とは、複合部品1をZ方向から平面視した場合に、対象とする矩形状の電子部品21の対角線の交点を含む切断面(例えば、図1および2に示すようなZX平面)における電子部品21の端面E,E間の中間Cを中心とするX方向に長さLまでの範囲の部分をいう。長さLは、例えば、0~50μmである。長さLが0μmである場合は、中央部は中間Cの部分である。本明細書において、1以上の電子部品21の端部とは、複合部品1をZ方向から平面視した場合に、対象とする矩形の電子部品21の対角線の交点を含む切断面における電子部品21の端面E,Eから長さLまでの範囲の部分をいう。長さLは、例えば、0~50μmである。長さLが0μmである場合は、端部は端面E,Eの部分である。また、本明細書において矩形とは、厳密な矩形(より具体的には、長方形、正方形)に限定されず、例えば、角部が円弧状であってもよい。角部が円弧状である場合、仮想的な角部から対角線の交点を導くことができる。
【0085】
1以上の電子部品21の中央部での接着層11の厚みは、複合部品1の断面(ZX断面)を形成し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてSEM画像を撮像する。SEM画像において、中央部での接着層11(接着層11の中央部11a)の厚みを複数測定する(測定数n≧3)。得られた複数の測定値の平均値を中央部での接着層11の厚みとする。1以上の電子部品21の端部での接着層11(接着層11の端部11b)の厚みは、複合部品1の断面(ZX断面)を形成し、走査型電子顕微鏡を用いてSEM画像を撮像する。SEM画像において、端部での接着層11の厚みを複数測定する(測定数n≧3)。得られた複数の測定値の平均値を端部での接着層11の厚みとする。なお、中央部の厚みが端部での厚みに比べ小さいとは、中央部の厚みが両端部のうちの少なくとも一方の端部での厚みに比べ小さければよい。
【0086】
1以上の電子部品21の中央部での接着層11の厚みは、例えば、10μm以下であり、好ましくは5μm以下である。接着層11の厚みが10μm以下であると、Si貫通ビア17の積層方向の長さ(電気的接続経路)が短縮されるため、直流抵抗Rdcおよび熱抵抗を小さくなり、電子部品モジュールの特性が向上する。また、接着層11の厚みが10μm以下であると、複合部品1の厚みが薄くなる。これにより、複合部品1を使用する電子部品を小型化、薄型化することができる。
【0087】
[複合部品の製造方法]
第1実施形態に係る複合部品1の製造方法は、例えば、
電子部品21の部品電極21b間に樹脂層21cを形成する樹脂層形成工程と、
Siベース層13上に接着層11を形成し、部品電極21bおよび樹脂層21cが接着層11を介してSiベース層13と対向するようにSiベース層13上に複数の電子部品21を接着する電子部品接着工程と、
Siベース層13上に接着した複数の電子部品21を樹脂で封止して一体化した電子部品層20を形成する電子部品封止工程と、
Siベース層13および接着層11にエッチングにより貫通孔13c,11cを形成して、電子部品21の部品電極21bを露出させる貫通孔形成工程と、
電解めっきにより貫通孔13c,11cにSi貫通ビア17を形成するSi貫通ビア形成工程と
を含んで成る。
【0088】
複合部品1の製造方法は、さらに、
Siベース層13を準備するSiベース層準備工程と、
電子部品層20を研削して薄化する電子部品層薄化工程と、
電子部品層20上にSiサポート33を貼合するSiサポート貼合工程と、
電子部品層20を介してSiサポート33と対向するSiベース層13を薄化するSiベース層薄化工程と、
所定のパターンを有する誘電膜15aをSiベース層13上に形成する誘電膜形成工程と、
再配線層15を形成する再配線層形成工程と、
インターポーザ電極19aを形成するインターポーザ電極形成工程と、
ダイシングにより個片化するダイシング工程と
を含んで成ってもよい。
【0089】
具体的に、図3A図3を参照して、複合部品1の製造方法の一例について説明する。図3A図3は、複合部品1の製造方法を説明するための図である。第1実施形態に係る複合部品1の製造方法は、樹脂層形成工程と、Siベース層準備工程と、電子部品接着工程と、電子部品封止工程と、電子部品層薄化工程と、Siサポート貼合工程と、Siベース層薄化工程と、誘電膜形成工程と、貫通孔形成工程と、Si貫通ビア形成工程と、再配線層形成工程と、インターポーザ電極形成工程と、ダイシング工程とを含む。
なお、この製造方法では電子部品接着工程からインターポーザ電極形成工程までに複合部品1が集積したマザー集積体を作製する。
【0090】
(樹脂層形成工程)
樹脂層形成工程では、電子部品21の部品電極21b間に樹脂層形成する。より具体的には、樹脂層形成工程では、樹脂を含む塗布膜を形成し、平坦化処理を施して樹脂層21cを形成する。図3Aに示すように、樹脂と溶媒とを含む溶液を、スピンコート法を用いて塗布して塗布膜を形成する。ここで、塗布膜の最も低い部分が、部品電極21bの最も高い部分よりも高くなるようにする。つまり、複数の部品電極21bのすべてが塗布膜に完全に埋没するように塗布膜を形成する。塗布を乾燥して樹脂層21cを形成する。後続の平坦化処理前の樹脂層21cは、好ましくは完全に部品電極21bを被覆する。
【0091】
平坦化処理では、図3Bに示すように、例えば、サーフェスプレーナおよびグラインダを用いて、部品電極21bおよび樹脂層21cの表面を研削して平坦化し、部品電極21b間に樹脂層21cを形成する。これにより、部品電極21bの上面が露出し、部品電極21bおよび樹脂層21cの上面が面一となる。
【0092】
(Siベース層準備工程)
Siベース層準備工程では、Siベース層13としてSiウェハを準備する。Siウェハの形状は、円柱形状であり得るが、これに限定されない。Siウェハの形状が円柱形状である場合、Siウェハの厚みは、例えば、755μm(Siウェハの直径φ300mm)、725μm(φ200mm)、625μm(φ150mm)、および525μm(φ100mm)である。なお、Siベース層準備工程は、樹脂層形成工程の前に実施されてもよい。
【0093】
(電子部品接着工程)
電子部品接着工程では、Siベース層13上に接着層11を形成し、部品電極21bおよび樹脂層21cが接着層11を介してSiベース層13と対向するようにSiベース層13上に複数の電子部品21を接着する。電子部品接着工程では、図3Cに示すように、例えば、Siベース層13上に接着剤を塗布し、その上に複数の電子部品21を配置(搭載)する。次いで、図3Dに示すように、接着剤を硬化する。これにより、複数の電子部品21をSiベース層13上に接着させ、かつ1以上の電子部品21を実装方向に凸状に湾曲させて、接着層11を形成する。
【0094】
電子部品接着工程では、1以上の電子部品21が実装方向に湾曲する湾曲形状を有する。これは、上述したように、1以上の電子部品21の樹脂層21cを構成する樹脂の線膨張係数(例えば、40~150ppm/℃)が電子部品本体部21aを構成する材質の線膨張係数(例えば、1~25ppm/℃)に比べ大きいために、例えば、接着層11の形成における加熱(例えば、250℃)により樹脂層21cが電子部品本体部21aに比べ大きく膨張することで達成される。
【0095】
電子部品接着工程では、複数の電子部品21を接着剤の塗布膜31上に配置する際に、ボイド31cを噛むことがある。また、接着剤の塗布膜31を硬化する際に、塗布膜31中の溶媒成分が気化してボイドが生じることがある。これらにより、通常、塗布膜中にボイドが抜けきらず、得られる接着層中にボイドが残留し、電気的接続性が低下することがある。
しかしながら、本開示における電子部品接着工程では、1以上の電子部品21が実装方向に湾曲することで、ボイドが接着層11中に存在しにくくなる。これにより、本実施形態に係る複合部品1を実装する電子機器の信頼性を向上させることができる。その理由は、図6を参照して以下のように推測される。図6は、第1実施形態に係る複合部品の製造におけるボイドの移動を説明するための図を示す。図6はまた、図3Cから図3Dまでに変化する途中の状態を示す。電子部品接着工程において接着剤の塗布膜31が硬化し始めると、1以上の電子部品21が徐々に実装方向に凸状に湾曲する。ここで、1以上の電子部品21の中央部での接着剤の塗布膜31(つまり、塗布膜31の中央部31a)の厚みが1以上の電子部品21の端部での接着剤の塗布膜31(つまり、塗布膜31の端部31b)の厚みに比べ小さくなる。つまり、接着剤の塗布膜31の断面積は、1以上の電子部品21において中央部31aの方が端部31bに比べ小さくなる。このため、1以上の電子部品21を接着剤の塗布膜31上に搭載した際に大気中の空気を噛むことで生じたボイド31c、ならびに加熱により接着剤の塗布膜31中の溶媒が気化して生じたボイド31cが塗布膜31の中央部31aから端部31bへ移動する。異種の1以上の電子部品21の端部間に移動したボイド31cは、Y方向に延在する電子部品21の部品電極21bおよび樹脂層21cを伝って複合部品1における1以上の電子部品21の実装面外に移動する。図6に示すように、1以上の電子部品の実装面外では、接着剤の塗布膜31は開放系となっている。実装面外に到達したボイド31cは、さらに塗布膜31外に移動する。その結果、図3Dにおける接着層11内にはボイド31cが残留しにくくなる。よって、本実施形態に係る複合部品1を実装する電子機器の信頼性を向上させることができると考えられる。
【0096】
本明細書において、接着剤の塗布膜31の中央部31aとは、複合部品1内において1以上の電子部品21の中央部のZ方向に位置する塗布膜31の部分(図6における電子部品21の端面E,E間の中間点Cを中心とするX方向に長さLまでの範囲の部分)をいう。長さLは、例えば、0~50μmである。長さLが0μmである場合は、中央部は中間Cの部分である。本明細書において、接着剤の塗布膜31の端部31bとは、複合部品1内において1以上の電子部品21の端部のZ方向に位置する塗布膜31の部分(図6における電子部品21の端面E,Eから長さLまでの範囲の部分)をいう。長さLが0μmである場合は、端部は端面E,Eの部分である。長さLは、例えば、0~50μmである。
【0097】
接着剤の塗布膜31は、図3Cに示すように、Siベース層13の第2主面13b上に形成する。これにより、塗布膜形成Siベース層13を作製する。塗布法は、例えば、スピンコートである。塗布膜31の厚みが電子部品21の部品電極21bの厚み~10μmの範囲となるように制御して、塗布することが好ましい。接着剤は、例えば、熱硬化性樹脂である。このような熱硬化性樹脂は、例えば、ベンゾシクロブテン(BCB)を繰り返し単位に含む熱硬化性樹脂であり、例えば、1,3-divinyl-1,1,3,3-tetramethyldisiloxane-bis-benzocyclobutene(DVS-bis-BCB)を重合して得ることができる。市販品としては、例えば、ダウ・ケミカル製「CYCLOTENE」がある。
【0098】
図3Dに示すように、真空チャンバーを備えた装置を用いて、塗布膜31上の所定の位置に複数の電子部品21を配置する。詳しくは、複数の電子部品21を複数集積したウェハ(電子部品集積ウェハ)を塗布膜形成Siベース層13に貼合させる。電子部品21の積層方向に沿って双方向に圧力を印加し、加熱する。具体的には、装置における真空チャンバー内の下ステージに、塗布膜形成Siベース層13をセットする。電子部品21の部品電極21bが塗布膜31と対向する方向となるように、真空チャンバー内の上ステージに電子部品21を真空吸引(または減圧吸引)させる。塗布膜形成Siベース層13と、電子部品集積ウェハとの位置合わせでは、例えば、Siベース層13の認識マークを用いる。塗布膜形成Siベース層13の塗布膜31側に、複数の電子部品21を配置する。上下ステージが互いに対向する方向に沿って、双方向に圧力を印加し、加熱する。
【0099】
部品電極21bおよび樹脂層21cが接着層11を介してSiベース層13と対向するようにして、電子部品集積ウェハはSiベース層13上に接着される。ここで、電子部品集積ウェハの貼合面に相当する面は、部品電極21bおよび樹脂層21cで形成される面であり、上述した平坦化処理によって平坦性を有する。電子部品集積ウェハを塗布膜形成Siベース層13に貼合させる場合、Siベース層13上に形成された塗布膜31は、上記ウェハの貼合面の平坦な表面形状に沿って貼合されやすい。これにより、塗布膜31の接着剤が上記貼合面の形状に十分に沿わずに空気が入り込んで空隙が生じることを抑制する。
【0100】
(電子部品封止工程)
電子部品封止工程では、Siベース層13上に接着した複数の電子部品21を樹脂で封止して一体化した電子部品層20を形成する。具体的には、図3Eに示すように、ディスペンサを用いて、電子部品21を搭載したSiベース層13上に、液状樹脂を塗布する。その後、コンプレッションモールド装置を用いて、塗布した樹脂を成形する。その後、例えば、熱風循環オーブンを用いて、樹脂をキュアする。キュアにおける熱処理条件は、例えば、150℃、1時間である。これにより樹脂封止部23および電子部品層20を形成する。
【0101】
(電子部品層薄化工程)
図3Fに示すように、電子部品層薄化工程では、例えば、Siウェハのバックグラインダを用いて、電子部品層20(より具体的には、樹脂封止部23)を研削して薄化する。電子部品薄化工程では、電子部品21の部品電極21bが配置されていない側の電子部品層20の面を研削する。研削量は可能な限り多いことが好ましい。薄化後の電子部品層20の厚みは、例えば、50~150μmである。
【0102】
電子部品層薄化工程の一例を示す図3Fでは、電子部品層20の樹脂封止部23を研削しているが、さらに電子部品21を研削してもよい。ただし、電子部品21の内部の機能部分を損傷しないようにする。機能部分は、例えば、キャパシタの場合は誘電体および電極であり、インダクタの場合は配線である。
【0103】
(Siサポート貼合工程)
Siサポート貼合工程では、図3Gに示すように、電子部品層20にSiサポート33を貼合する。具体的には、Siベース層準備工程で説明したSiウェハをSiサポート33として別途準備する。次いで、電子部品接着工程で説明した方法により、Siサポート33上に接着剤の塗布膜31を形成する。その後、電子部品層20の研削面が塗布膜31と接触するようにして、Siサポート33上に電子部品層20を貼合し、圧力を印加して加熱する。これにより、電子部品層20の研削面上に接着層11を介してSiサポート33を形成する。Siサポート33を設ける目的は、後続のSiベース層薄化工程において、製造過程の層が従来に比べ薄いことによる弊害の発生(より具体的には、強度の低下等)を防止するためである。
【0104】
Siサポート33は、必要に応じて、加工性を向上させる観点から、貼合前に薄化することができる。後続の工程において半導体デバイス装置を用いて誘電膜を形成するためである。例えば、電子部品21の厚みが150μmである場合、Siサポート33としてのSiウェハ(φ300mm、一般的な厚み775μm)を約625μmに薄化する。
【0105】
(Siベース層薄化工程)
Siベース層薄化工程では、図3Hに示すように、電子部品層20を介してSiサポート33と対向するSiベース層13を薄化する。具体的には、電子部品薄化工程と同様の方法で、Siベース層13を研削して、Siベース層13を薄化し研削面を平坦化する。Siベース層薄化工程では、Siサポート33でSiベース層13を担持した状態で薄化するため、Siベース層13を効果的に薄くすることができる。これにより、本実施形態に係る複合部品1の製造方法は、電子部品モジュールに優れ、かつ薄型化や小型化した複合部品1を製造することができる。研削量は、上記弊害を防止して、例えば、一定の強度が維持できる範囲で可能な限り多い方が好ましい。研削面の平坦化のばらつきを考慮して、薄化後のSiベース層13の厚みは、3μm以上が好ましい。
【0106】
(誘電膜形成工程)
誘電膜形成工程では、図3I図3Jおよび図3Kに示すように、所望のパターンを有する誘電膜15aをSiベース層13上に形成する。具体的には、PECVDのような気相成長(CVD)法を使用して、図3Iに示すように、Siベース層13の全面に誘電膜(厚み0.1~0.2μm)15aを形成する。誘電膜15aは、1層以上を形成してもよい。例えば、4層の誘電膜15aを形成する場合、Siベース層13側から順に、SiO2:0.25μm/Si34:0.1μm/SiO2:0.25μm/Si340.1μmとすることができる。
また、誘電膜形成工程は、誘電膜15aの形成前にSiベース層13の表面を洗浄することができる。洗浄は、例えば、ウェット洗浄、および酸素プラズマアッシングである。
なお、図3I図3Оは、図3A図3Hに比べ、拡大されていることに留意されたい。具体的には、図3I図3Оは、図3HのB部に相当する部分を示している。また、図3I図3Оは、主にSi貫通ビア17および再配線層15の形成に関する図であるため、便宜上、Si貫通ビア17、再配線層15およびそれらが形成される箇所が大きく占めるように拡大していることに留意されたい。
【0107】
次いで、図3Jに示すように、フォトリソグラフィー法を用いて誘電膜15aをパターンニングする。液体レジストをスピンコートして、誘電膜15a全面にフォトレジスト膜35を形成する。所望のパターンに対応するマスクを介してフォトレジスト膜35を露光する。露光されたフォトレジスト膜35を現像する。RIE(Reactive Ion Etching)を用いて、フォトレジスト膜35の誘電膜15aを選択的に除去する。例えば、上述した4層の誘電膜15aを形成した場合、誘電膜15aの表面側(誘電膜15aにおいてSiベース層13側に対向する面側)の2層を選択的に除去する。その後、フォトレジスト膜35を剥離する。これにより、図3Kに示す所望のパターンを有する誘電膜15aをSiベース層13上に形成する。誘電膜15aはまた、後述する図3Оに示す2つのSi貫通ビア17間を電気的に絶縁する絶縁膜として機能する。
なお、Siベース層13の第1主面13aは、さらにマーク層を有してもよい。マーク層をIRカメラで検知して、フォトリソグラフィー法における位置合わせをすることができる。
【0108】
(貫通孔形成工程)
貫通孔形成工程では、図3Lおよび図3Mに示すように、Siベース層13および接着層11にエッチングにより貫通孔13c,11cを形成して、部品電極21bを露出させる。具体的には、フォトレジスト膜35を全面に形成する。Si貫通ビア17のパターンに対応するマスクを介してフォトレジスト膜35を露光する。露光されたフォトレジスト膜35を現像して、図3Lに示すような所定のパターンを有するフォトレジスト膜35を形成する。図3Mに示すように、フォトレジスト膜35の開口部35aからZ方向に存在するSiベース層13および接着層11を選択的に除去(エッチング)する。エッチングは、例えば、RIEおよびレーザー照射を用いて実施する。これにより貫通孔13c,11cが形成され、部品電極21b(の上面の一部)が露出する。ここで、接着層11の貫通孔11cは楕円形状を有する。これは、接着層11を構成する材料が、Siベース層13を構成する材料に比べ、エッチングされやすいためである。これにより、後続のSi貫通ビア形成工程において楕円形状の延出部17bが形成される。貫通孔13c,11cの形成後、フォトレジスト膜35を除去する。エッチング手段としては、好ましくはRIEである。エッチング手段としてRIEを用いることで、曝露する部品電極21bの上面の平坦性が向上するため、後に形成されるSi貫通ビア17と良好な接合を形成することができる。これにより電気的接続性の低下をさらに抑制できる。
【0109】
(Si貫通ビア形成工程)
Si貫通ビア形成工程は、図3Nに示すように、電気めっきにより貫通孔13c,11cにSi貫通ビア17を形成する。デュアル・ダマシン法(より具体的には、Cuデュアル・ダマシン法)を用いて、電解めっき(より具体的には、電解Cuめっき)により貫通孔13c,11cにSi貫通ビア17を形成する。
【0110】
(再配線層形成工程、インターポーザ電極形成工程)
再配線層形成工程では、図3Оに示すように、上述のフォトリソグラフィー法およびエッチングにより、所定のパターンを有する誘電膜15aおよび配線15bを形成して、再配線層15を形成する。また、インターポーザ電極形成工程では、Siサポート33と、Siサポート33を電子部品層20に接着させる接着層11とを除去して、インターポーザ電極19aを形成する。なお、図3Оでは、再配線層15中に、図3I図3Kで形成した誘電膜15aおよび図3Nで形成した配線15bを組み込んで描写している。
【0111】
(ダイシング工程)
ダイシング工程は、ダイシングしてマザー集積体を個片化する。これにより、複合部品1が製造される。
【0112】
[実施例]
図3A図3Оに示す複合部品の製造方法に従って、本開示の範囲に包含される複合部品を作製した。具体的には、電子部品の部品電極を覆うようにポリイミドから構成される樹脂層(線膨張係数60ppm)を形成した。樹脂層および部品電極を研削し、樹脂層の平坦化、ならびに部品電極の露出および平坦化を行った。このような同種の電子部品(厚み100μm)を5個準備した。これにより、5個の電子部品は、電子部品本体部と、電子部品本体部上に形成された部品電極と、部品電極間に配置された樹脂層とを有していた。電子部品は、図2に示すように、電子部品本体部の第3主面に11個の部品電極と部品電極の間に配置された樹脂層とを有していた。11個の部品電極は、何れも同じ幅(X方向の長さ)および同じ厚み(Z方向の長さ)を有しており、等間隔で電子部品本体部の第3主面に配置されていた。12個の樹脂層は、何れも同じ幅(X方向の長さ)および同じ厚み(Z方向の長さ)を有しており、等間隔で電子部品本体部の第3主面に配置されていた。電子部品を構成する材質は、シリコン(線膨張係数3ppm)であった。樹脂層の線膨張数が電子部品の線膨張係数に比べ大きかった。
【0113】
接着剤(ダウ・ケミカル製「CYCLOTENE」)を用いて、準備したSiベース層13上に接着剤の塗布膜を形成し、Siベース層13上に5個の電子部品を接着させ、接着層を形成した。11個の電子部品をエポキシ樹脂で封止して樹脂封止部を形成した。電子部品層薄化工程では、樹脂封止部のみ研削し、電子部品は研削しなかった。11個の電子部品は、図1に示す5個の電子部品と同様に、全ての電子部品が隣り合うようにして配置されていた。また、11個の電子部品は、平面視(XY平面視)におけるそれら対角線の中心点がX方向に平行となるように配置されていた。電子部品層を薄化し、Siサポート33を貼合し、Siベース層13を薄化し、貫通孔を形成し、Si貫通ビア、再配線層、インターポーザ電極を形成した。その結果、複合部品を得た。
【0114】
実施例1の複合部品の中央部を含むZX平面で複合部品を切断し、当該断面のSEM画像を撮像した。SEM画像における1の電子部品の一方の端面と実装面との第1交点と、他方の端面と実装面との第2交点とを通る第1直線を作成した。第1直線から鉛直下方向(逆Z方向)にはみ出す実装面領域の存在を確認した。他の4つの電子部品についても同様に第1直線から逆Z方向にはみ出す実装面領域の存在を確認した。第1直線から逆Z方向にはみ出す実装面は、いずれも湾曲していた。これにより、5つの第1湾曲面が複合部品の実装面に存在していることを確認した。
【0115】
また、5個の電子部品のそれぞれについて、SEM画像における5個の電子部品の第3主面と一方の端面との第5交点から第3主面と他方の端面との第6交点を通る第3直線を作成した。第3直線から逆Z方向にはみ出す電子部品本体部領域の存在を確認した。第3直線から逆Z方向にはみ出す電子部品本体部領域の面はいずれも湾曲面であった。これにより、5個の電子部品すべてが湾曲形状を有していることを確認した。これにより、複合部品の実装面は、5つの第1湾曲面が4つの屈曲部を介して隣り合っていることが確認された。
【0116】
また、SEM画像における複合部品の一方の端面と部品面との第3交点と、他方の端面と部品面との第4交点を通る第2直線を作成した。複合部品の部品面すべてが第2直線から逆Z方向に存在することを確認した。さらに、部品面が湾曲面であることを確認したこれにより、複合部品全体が実装方向に凸状に湾曲していることを確認した。
【0117】
得られたSEM画像では、5個の電子部品が全て含まれかつ隣り合うようにして配置されていた。Siベース層13の厚みを測定したところ(測定数n=3)、実施例1の複合部品において、Siベース層13の厚みは50μmであった。Siベース層13の厚みは複数の電子部品の厚み(100μm)に比べ小さかった。接着層の厚みは、5個の電子部品のいずれにおいても、中央部の厚みが端部の厚みに比べ小さかった。そのうちの1個の電子部品では、中央部の厚みは4.0μmであり、一方の端部の厚みが4.8μmであり、他方の端部の厚みが5.1μmであった(いずれも測定数n=3)。また、中央部の厚みは、10μm以下であった。
【0118】
<第2実施形態:実装構造体>
図4および図5を参照して第2実施形態に係る実装構造体を説明する。図4は、第2実施形態に係る実装構造体を示す断面図を示す。図5は、第2実施形態に係る実装構造体の製造におけるボイドの移動を説明するための図を示し、実装構造体の製造における図4におけるC部を拡大した部分に相当する。なお、図4~5では、図面の見やすさを考慮して、Si貫通ビア17およびインターポーザ電極19aを省略していることに留意されたい。
【0119】
第2実施形態に係る実装構造体100は、第1実施形態に係る複合部品1を回路基板103上に実装し、複合部品1のインターポーザ電極19aと回路基板103とがはんだバンプ105を介して電気的に接続され、はんだバンプ105がアンダーフィル層101で封止されている。
【0120】
第2実施形態では、はんだバンプ105を用いて複合部品1を回路基板103上に固定して、回路基板103と一体的に構成してモジュール化する。これにより半導体パッケージのようなモジュール品を製造することができる。
【0121】
はんだバンプ105は、複合部品1の湾曲形状(湾曲形状)に沿って高さを調節できるため、実装方向に凸状に湾曲する第1湾曲面を1以上含むような第1実施形態に係る複合部品1であっても、電気的接続性の低下を抑制する。
【0122】
アンダーフィル層101は、複合部品1の実装面と回路基板103の上面との間に充填され、接続されている。アンダーフィル層101はまた、はんだバンプ105間の短絡を防止する。
【0123】
第2実施形態に係る実装構造体100は、アンダーフィル層101中にボイド101cを有しにくいため、電気的接続性の低下を抑制する。その理由は以下のように推測される。通常、実装構造体を製造する場合、複合部品と回路基板との間にアンダーフィル材を充填すると、空気を噛むことがある。その結果、形成されるアンダーフィル層はボイドを含み、これが複合部品と回路基板との接合性を低下させ、その結果、実装構造体の電気的接続性を低下させることがある。
【0124】
しかしながら、第2実施形態に係る実装構造体100は第1実施形態に係る複合部品1を備えるため、複合部品1の中央部でのアンダーフィル材(例えば、エポキシ樹脂)の塗布膜101aの厚みが端部での厚みに比べ小さい。このようにアンダーフィル材の塗布膜101aに厚みの差が形成される。このため、アンダーフィル材の塗布膜101a中に生じたボイド101cが、例えば、図5中に示す方向Dに沿って複合部品1の実装面積領域R外に移動しやすく、さらにアンダーフィル材の塗布膜101a外に移動しやすい。このため、形成されるアンダーフィル層101はボイド101cを含みにくく、複合部品1と回路基板103との接合性の低下を抑制し、実装構造体100の電気的接続性の低下を抑制すると考えられる。
【0125】
[実装構造体の製造方法]
複合部品1のインターポーザ電極19aおよび回路基板103の電極パッド(不図示)の少なくとも一方に、はんだバンプ105を形成する工程(はんだバンプ形成工程)と、
複合部品1のインターポーザ電極19aと回路基板103の電極パッドとを導電性接着剤を用いて接着する工程(接着工程)と
複合部品1の実装面3と回路基板103との間にアンダーフィル層101を形成する工程(アンダーフィル層形成工程)と、
はんだバンプ105を溶融させて複合部品1のインターポーザ電極19aと回路基板103の電極パッドとを電気的に接合する工程(溶融接合工程)と
を含んで成る。
【0126】
本開示は、第1,第2実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。また、第1,第2実施形態で示す構成は、一例であり特に限定されるものではなく、本開示の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
【0127】
前記実施形態では、電子部品層20は、5つの電子部品21のうち1以上の電子部品21が5つ存在したが、これに限定されない。例えば、5つの電子部品21のうち1以上の電子部品21が1~4つであってもよい。
【0128】
前記実施形態では、電子部品層20は、5つの電子部品21のうち1以上の電子部品21が5つ存在し、これらが互いに同一種類の電子部品であったが、これに限定されない。例えば、1以上の電子部品21のうち、少なくとも1つが異なる種類の電子部品であってもよい。
【0129】
前記実施形態では、複合部品1は、インターポーザ電極19aを有するインターポーザ構造10を含むが、これに限定されない。例えば、図7に示すように、インターポーザ電極19aを有するインターポーザ構造を有さなくてもよい。図7は、第1実施形態に係る複合部品の変形例を示す拡大断面図であり、第1実施形態に係る複合部品1を示す図2の部分に相当する。
【0130】
前記実施形態では、電子部品層20として1以上の電子部品21をインターポーザ構造10の内部に5つ内蔵されているが、電子部品層20上に別の電子部品を積層してもよい。かかる場合、別の電子部品は、インターポーザ電極19aと電気的に接続させることができる。別の電子部品は、内蔵する電子部品と同一種類であっても、異なる種類であってもよい。
【0131】
前記実施形態では、1つの部品電極21bに対して、2つのSi貫通ビア17が電気的に接続するように描いているが、これに限定されない。例えば、1つの部品電極21bに対して、1または3以上のSi貫通ビア17が電気的に接続されるようにしてもよい。これらの中でも、部品電極1つに対して、2以上のSi貫通ビア17が電気的に接続することが好ましい。1つの部品電極21bに対して、2以上のSi貫通ビア17が電気的に接続することにより、再配線層15と複数の電子部品21との間の寄生インピーダンスがより低減され、インターポーザを使用する電子機器の電気特性が向上する。
【符号の説明】
【0132】
1,1a 複合部品
3 (複合部品の)実装面
3a 第1湾曲面
3b 屈曲部
10 インターポーザ構造
11 接着層
11a (接着層の)中央部
11b (接着層の)端部
11c (接着層の)貫通孔
13 Siベース層
13a (Siベース層の)第1主面
13b (Siベース層の)第2主面
13c (Siベース層の)貫通孔
15 再配線層
15a 誘電膜
15b 配線
17 Si貫通ビア
17a Si貫通ビア本体部
17b 延出部
19 インターポーザ電極層
19a インターポーザ電極
20 電子部品層
21 電子部品
21a 電子部品本体部
21b 部品電極
21c 樹脂層
21d (電子部品本体部の)第3主面
21e (電子部品本体部の)第4主面(実装面側)
23 樹脂封止部
31 (接着層の)塗布膜
31a (接着層の塗布膜の)中央部
31b (接着層の塗布膜の)端部
31c (接着層の塗布膜内の)ボイド
33 Siサポート
35 フォトレジスト膜
35a (フォトレジスト膜の)開口部
100 実装構造体
101 アンダーフィル層
101a (アンダーフィル層の)塗布膜
101b (アンダーフィル層の)上面
101c (アンダーフィル層の)ボイド
103 回路基板
105 はんだバンプ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図3M
図3N
図3O
図4
図5
図6
図7