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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】車両用駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20240918BHJP
   F16H 48/08 20060101ALI20240918BHJP
   F16H 1/28 20060101ALI20240918BHJP
   B60K 17/12 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
F16H1/32 Z
F16H48/08
F16H1/28
B60K17/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023563716
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 JP2022043308
(87)【国際公開番号】W WO2023095820
(87)【国際公開日】2023-06-01
【審査請求日】2024-04-08
(31)【優先権主張番号】P 2021190505
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山崎 彰一
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 武史
(72)【発明者】
【氏名】大西 智広
(72)【発明者】
【氏名】服部 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】小森 貴史
(72)【発明者】
【氏名】山本 旭
(72)【発明者】
【氏名】迎山 航基
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102018117206(DE,A1)
【文献】特開2015-102193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
F16H 48/08
F16H 1/28
B60K 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータを備えた回転電機と、
車輪に駆動連結される出力部材と、
前記ロータの回転を前記出力部材に伝達する動力伝達機構と、
前記回転電機及び前記動力伝達機構を収容するケースと、を備えた車両用駆動装置であって、
前記動力伝達機構は、遊星歯車機構と、第1ギヤと、第2ギヤと、を備え、
前記遊星歯車機構は、サンギヤと、キャリヤと、リングギヤと、を備え、
前記サンギヤは、前記ロータと一体的に回転するように連結され、
前記キャリヤは、互いに一体的に回転する第1ピニオンギヤと第2ピニオンギヤとを回転自在に支持し、
前記キャリヤ及び前記リングギヤの一方を第1要素とし、他方を第2要素として、
前記第1要素は、前記第1ギヤと一体的に回転するように連結され、
前記第2要素は、前記ケースに対して固定され、
前記第2ギヤは、前記第1ギヤに噛み合っていると共に、前記出力部材と一体的に回転するように連結され、
前記第1ピニオンギヤは、前記サンギヤに噛み合い、
前記第2ピニオンギヤは、前記第1ピニオンギヤよりも小径であり、前記リングギヤに噛み合い、
前記第1ギヤは、支持軸受を介して前記ケースに対して回転自在に支持され、
前記支持軸受は、前記第1ギヤに対して径方向の内側であって、前記径方向に沿う径方向視で前記第1ギヤと重複する位置に配置され、
前記第1ギヤ及び前記第2ギヤのそれぞれは、やまば歯車である、車両用駆動装置。
【請求項2】
前記ロータの回転軸心に沿う方向を軸方向として、
前記ケースは、前記第1ギヤに対して前記軸方向における前記遊星歯車機構の側とは反対側に隣接して配置された支持壁部を備え、
前記支持壁部は、前記支持軸受を前記径方向の内側から支持する軸受支持部を備えている、請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記第2ギヤは、第2支持軸受を介して前記ケースに対して回転自在に支持され、
前記ロータの回転軸心に沿う方向を軸方向として、
前記支持軸受の前記軸方向の配置領域と、前記第2支持軸受の前記軸方向の配置領域とが重なっている、請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記第1要素と前記第1ギヤとが、前記径方向に相対移動不能に連結されている、請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記第1ピニオンギヤ及び前記第2ピニオンギヤのそれぞれは、はすば歯車であり、
前記第1ピニオンギヤと前記第2ピニオンギヤとの歯部のねじれ方向が互いに同じであって、前記第1ピニオンギヤの歯部のねじれ角度が前記第2ピニオンギヤの歯部のねじれ角度よりも大きい、請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
【請求項6】
前記出力部材に伝達されたトルクを一対の前記車輪に分配する差動歯車機構を更に備え、
前記ロータの回転軸心に沿う方向を軸方向とし、前記軸方向の一方側を軸方向第1側とし、前記軸方向の他方側を軸方向第2側として、
前記ロータ、前記遊星歯車機構、及び前記第1ギヤが、第1軸上に、前記軸方向第1側から前記軸方向第2側に向かって記載の順に配置され、
前記差動歯車機構及び前記第2ギヤが、前記第1軸と平行な第2軸上に、前記軸方向第1側から前記軸方向第2側に向かって記載の順に配置されている、請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータを備えた回転電機と、車輪に駆動連結される出力部材と、ロータの回転を出力部材に伝達する動力伝達機構と、回転電機及び動力伝達機構を収容するケースと、を備えた車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用駆動装置の一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、「背景技術」及び「発明が解決しようとする課題」の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の車両用駆動装置(100)では、動力伝達機構(21)が、回転電機(1)のロータ(12)の回転を、出力部材としての差動歯車機構(3)の差動ケース(33)に伝達する。そして、差動歯車機構(3)が、差動ケース(33)に伝達された回転を、一対の車輪(W)に分配する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-175707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の車両用駆動装置(100)では、動力伝達機構(21)が、軸方向に並んで配置された複数の遊星歯車機構(PG1,PG2)を備え、減速比を大きく確保している。一般的に、遊星歯車機構は、径方向に並んだ複数のギヤを備えているため、径方向の寸法が大きくなり易い。よって、軸方向に並んで配置された複数の遊星歯車機構(PG1,PG2)を備えた上記の車両用駆動装置(100)は、大型化し易いという課題があった。
【0006】
そこで、減速比を大きく確保しつつ、小型化が容易な車両用駆動装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、車両用駆動装置の特徴構成は、
ロータを備えた回転電機と、
車輪に駆動連結される出力部材と、
前記ロータの回転を前記出力部材に伝達する動力伝達機構と、
前記回転電機及び前記動力伝達機構を収容するケースと、を備えた車両用駆動装置であって、
前記動力伝達機構は、遊星歯車機構と、第1ギヤと、第2ギヤと、を備え、
前記遊星歯車機構は、サンギヤと、キャリヤと、リングギヤと、を備え、
前記サンギヤは、前記ロータと一体的に回転するように連結され、
前記キャリヤは、互いに一体的に回転する第1ピニオンギヤと第2ピニオンギヤとを回転自在に支持し、
前記キャリヤ及び前記リングギヤの一方を第1要素とし、他方を第2要素として、
前記第1要素は、前記第1ギヤと一体的に回転するように連結され、
前記第2要素は、前記ケースに対して固定され、
前記第2ギヤは、前記第1ギヤに噛み合っていると共に、前記出力部材と一体的に回転するように連結され、
前記第1ピニオンギヤは、前記サンギヤに噛み合い、
前記第2ピニオンギヤは、前記第1ピニオンギヤよりも小径であり、前記リングギヤに噛み合い、
前記第1ギヤは、支持軸受を介して前記ケースに対して回転自在に支持され、
前記支持軸受は、前記第1ギヤに対して径方向の内側であって、前記径方向に沿う径方向視で前記第1ギヤと重複する位置に配置され、
前記第1ギヤ及び前記第2ギヤのそれぞれは、やまば歯車である点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、回転電機、遊星歯車機構、及び第1ギヤと、出力部材及び第2ギヤとが、互いに別軸上に配置された2軸構成を実現できる。これにより、例えばカウンタギヤ機構等を備えた3軸以上の多軸構成に比べて、車両用駆動装置の径方向の寸法を小さく抑えることができる。
また、本特徴構成によれば、遊星歯車機構のキャリヤが、互いに外径の異なる第1ピニオンギヤ及び第2ピニオンギヤを支持している。そして、ロータと一体回転するサンギヤが、大径の第1ピニオンギヤに噛み合っている。また、キャリヤ及びリングギヤの一方が第1ギヤと一体的に回転するように連結され、キャリヤ及びリングギヤの他方がケースに固定されている。そして、リングギヤが小径の第2ピニオンギヤに噛み合っている。そのため、複数の遊星歯車機構を設けることなく、上記のように構成された遊星歯車機構により大きな減速比を確保し易い。また、これに伴い、小型の回転電機であっても高いトルクを出力部材に伝達することが可能となる。
また、本特徴構成によれば、支持軸受が、第2ギヤに噛み合う第1ギヤに対して径方向の内側であって、径方向に沿う径方向視で第1ギヤと重複する位置に配置されている。これにより、第1ギヤが径方向の外側から軸受に支持された構成と比べて、車両用駆動装置の軸方向の寸法を小さく抑え易い。
また、本特徴構成によれば、第1ギヤ及び第2ギヤを単なるはすば歯車とした構成に比べて、第1ギヤと第2ギヤとの噛み合いにより生じるスラスト力を低減できる。これにより、第1ギヤ及び第2ギヤの支持構造を簡略化でき、この点からも、車両用駆動装置の小型化を図り易い。
以上のように、本特徴構成によれば、減速比を大きく確保しつつ、小型化が容易な車両用駆動装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る車両用駆動装置の軸方向に沿う断面図
図2】第1の実施形態に係る車両用駆動装置のスケルトン図
図3】第2の実施形態に係る車両用駆動装置の軸方向に沿う断面図
図4】第3の実施形態に係る車両用駆動装置の軸方向に沿う断面図
図5】その他の実施形態に係る車両用駆動装置の軸方向に沿う断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.第1の実施形態
以下では、第1の実施形態に係る車両用駆動装置100について、図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、車両用駆動装置100は、回転電機1と、出力部材2と、動力伝達機構3と、ケース9と、を備えている。本実施形態では、車両用駆動装置100は、差動歯車機構4を更に備えている。
【0011】
回転電機1は、ステータ11及びロータ12を備えている。後述する軸方向Lは、ロータ12の回転軸心に沿う方向である。回転電機1は、車輪W(図2参照)の駆動力源として機能する。回転電機1は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。具体的には、回転電機1は、バッテリやキャパシタ等の蓄電装置(図示を省略)と電気的に接続されている。そして、回転電機1は、蓄電装置に蓄えられた電力により力行して駆動力を発生する。また、回転電機1は、車輪Wの側から伝達される駆動力により発電を行って蓄電装置を充電する。
【0012】
出力部材2は、車両(車両用駆動装置100が搭載される車両)が備える車輪Wに駆動連結されている。動力伝達機構3は、ロータ12の回転を出力部材2に伝達するように構成されている。動力伝達機構3は、遊星歯車機構31と、第1ギヤ32と、第2ギヤ33と、を備えている。差動歯車機構4は、出力部材2に伝達されたトルクを一対の車輪Wに分配するように構成されている。
【0013】
ここで、本願において「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。なお、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等が含まれていても良い。ただし、遊星歯車機構の各回転要素について「駆動連結」という場合には、遊星歯車機構における複数の回転要素が、互いに他の回転要素を介することなく連結されている状態を指すものとする。
【0014】
ロータ12、遊星歯車機構31、及び第1ギヤ32は、それらの軸心としての第1軸X1上に配置されている。また、出力部材2及び第2ギヤ33は、それらの軸心としての第2軸X2上に配置されている。本実施形態では、差動歯車機構4も第2軸X2上に配置されている。第1軸X1と第2軸X2とは、互いに平行となるように配置されている。
【0015】
以下の説明では、第1軸X1及び第2軸X2に平行な方向を、車両用駆動装置100の「軸方向L」とする。そして、軸方向Lの一方側を「軸方向第1側L1」とし、軸方向Lの他方側を「軸方向第2側L2」とする。本実施形態では、軸方向Lにおいて、遊星歯車機構31に対してロータ12が配置される側を軸方向第1側L1とし、その反対側を軸方向第2側L2としている。また、第1軸X1及び第2軸X2のそれぞれに直交する方向を、各軸を基準とした「径方向R」とする。なお、どの軸を基準とするかを区別する必要がない場合や、どの軸を基準とするかが明らかである場合には、単に「径方向R」と記す場合がある。
【0016】
図1に示すように、ケース9は、回転電機1及び動力伝達機構3を収容している。本実施形態では、ケース9は、出力部材2及び差動歯車機構4も収容している。
【0017】
本実施形態では、ケース9は、第1ケース部91と、当該第1ケース部91に対して軸方向第1側L1から接合された第2ケース部92と、第1ケース部91に対して軸方向第2側L2から接合された第3ケース部93と、を備えている。
【0018】
第1ケース部91は、第1周壁部91aと、第2周壁部91bと、隔壁部91cと、を備えている。
【0019】
第1周壁部91aは、回転電機1の径方向Rの外側を覆うように形成されている。第2周壁部91bは、遊星歯車機構31及び差動歯車機構4の径方向Rの外側を覆うように形成されている。隔壁部91cは、第1周壁部91aの内部空間と第2周壁部91bの内部空間とを軸方向Lに隔てるように形成されている。本実施形態では、隔壁部91cに対して軸方向第1側L1に第1周壁部91aが配置され、隔壁部91cに対して軸方向第2側L2に第2周壁部91bが配置されている。そして、第1周壁部91aは軸方向第1側L1に開口する筒状に形成され、第2周壁部91bは軸方向第2側L2に開口する筒状に形成されている。
【0020】
第2ケース部92は、第1側壁部92aを備えている。第1側壁部92aは、回転電機1の軸方向第1側L1を覆うように形成されている。本実施形態では、第1周壁部91aの軸方向第1側L1の開口が第1側壁部92aにより塞がれるように、第2ケース部92が第1ケース部91に対して軸方向第1側L1から接合されている。
【0021】
第3ケース部93は、第2側壁部93aを備えている。第2側壁部93aは、動力伝達機構3及び差動歯車機構4の軸方向第2側L2を覆うように形成されている。本実施形態では、第2周壁部91bの軸方向第2側L2の開口が第2側壁部93aにより塞がれるように、第3ケース部93が第1ケース部91に対して軸方向第2側L2から接合されている。
【0022】
図1に示すように、回転電機1のステータ11は、円筒状のステータコア11aを備えている。ステータコア11aは、非回転部材NRに固定されている。本実施形態では、ステータコア11aは、非回転部材NRとしてのケース9の第1周壁部91aに固定されている。回転電機1のロータ12は、円筒状のロータコア12aを備えている。ロータコア12aは、ステータコア11aに対して回転可能に支持されている。本実施形態では、ロータ12は、ロータコア12aと一体的に回転するように連結されたロータ軸12bを更に備えている。
【0023】
本実施形態では、回転電機1はインナロータ型の回転電機である。そのため、ロータコア12aが、ステータコア11aに対して径方向Rの内側に配置されている。また、ロータ軸12bが、ロータコア12aに対して径方向Rの内側に配置されている。
【0024】
また、本実施形態では、回転電機1は回転界磁型の回転電機である。そのため、ステータコア11aには、ステータコイルが巻装されている。本実施形態では、ステータコイルは、ステータコア11aに対して軸方向Lの両側に突出した一対のコイルエンド部11bが形成されるように、ステータコア11aに巻装されている。また、図示は省略するが、ロータコア12aには、永久磁石が設けられている。
【0025】
本実施形態では、ロータ軸12bは、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。また、本実施形態では、ロータ軸12bは、ロータコア12aから軸方向Lの両側に突出するように配置されている。そして、ロータ軸12bにおけるロータコア12aから軸方向第1側L1に突出した部分は、第1ロータ軸受B11を介して、ケース9の第1側壁部92aに対して回転自在に支持されている。一方、ロータ軸12bにおけるロータコア12aから軸方向第2側L2に突出した部分は、第2ロータ軸受B12を介して、ケース9の隔壁部91cに対して回転自在に支持されている。
【0026】
遊星歯車機構31は、ロータ12の回転を減速して、第1ギヤ32に伝達するように構成されている。遊星歯車機構31は、サンギヤSGと、キャリヤCRと、リングギヤRGと、を備えている。
【0027】
サンギヤSGは、ロータ12と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、サンギヤSGは、入力軸5を介して、ロータ軸12bと一体的に回転するように連結されている。
【0028】
入力軸5は、軸方向Lに沿って延在するように形成されている。本実施形態では、入力軸5は、サンギヤSGから軸方向第1側L1に延出するように形成されている。図1に示す例では、入力軸5は、サンギヤSGと一体的に形成されている。
【0029】
また、本実施形態では、入力軸5は、連結部51と、拡径部52と、を備えている。連結部51は、ロータ軸12bと一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、連結部51は、ケース9の隔壁部91cを軸方向Lに貫通するように配置されている。そして、連結部51は、ロータ軸12bに対して径方向Rの内側に配置され、ロータ軸12bとスプライン係合により連結されている。拡径部52は、連結部51よりも大径に形成されている。本実施形態では、拡径部52は、隔壁部91cに対して軸方向第2側L2に配置されている。そして、拡径部52と隔壁部91cとの軸方向Lの間に、入力軸5を軸方向Lに支持する第1スラスト軸受B3が配置されている。
【0030】
キャリヤCRは、互いに一体的に回転する第1ピニオンギヤPG1と第2ピニオンギヤPG2とを回転自在に支持している。第1ピニオンギヤPG1は、サンギヤSGに噛み合っている。第2ピニオンギヤPG2は、リングギヤRGに噛み合っている。第2ピニオンギヤPG2は、第1ピニオンギヤPG1よりも小径に形成されている。本実施形態では、第2ピニオンギヤPG2は、第1ピニオンギヤPG1よりも軸方向第1側L1に配置されている。第1ピニオンギヤPG1及び第2ピニオンギヤPG2のそれぞれは、自己の軸心回りに回転(自転)すると共に、キャリヤCRと共にサンギヤSGを中心として回転(公転)する。第1ピニオンギヤPG1及び第2ピニオンギヤPG2のそれぞれは、自己の公転軌跡に沿って、互いに間隔を空けて複数設けられている。
【0031】
以下の説明では、キャリヤCR及びリングギヤRGの一方を「第1要素E1」とし、他方を「第2要素E2」とする。
【0032】
第1要素E1は、第1ギヤ32と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、キャリヤCRが第1ギヤ32と一体的に回転するように連結されている。つまり、本実施形態では、キャリヤCRが第1要素E1である。
【0033】
第2要素E2は、ケース9に対して固定されている。本実施形態では、リングギヤRGがケース9の第2周壁部91bに固定されている。つまり、本実施形態では、リングギヤRGが第2要素E2である。
【0034】
本実施形態では、第1要素E1は、第1連結部311を備えている。そして、第1ギヤ32は、第2連結部321を備えている。第1連結部311と第2連結部321とは、互いに相対回転不能に連結されるように構成されている。本実施形態では、第1連結部311は、第1軸X1を軸心とする筒状に形成されている。そして、第1連結部311は、第1係合部311aと、第1圧接部311bと、を備えている。また、本実施形態では、第2連結部321は、第1連結部311に対して径方向Rの内側に配置されている。そして、第2連結部321は、第2係合部321aと、第2圧接部321bと、を備えている。
【0035】
第1係合部311aと第2係合部321aとは、互いに相対回転不能に係合するように形成されている。本実施形態では、第1係合部311aは、軸方向Lに延在すると共に、第1軸X1を中心とした周方向に配置された複数の内歯により構成されている。そして、第2係合部321aは、軸方向Lに延在すると共に、第1軸X1を中心とした周方向に配置された複数の外歯により構成されている。
【0036】
第1圧接部311bと第2圧接部321bとは、互いに径方向Rに相対移動不能に圧接するように形成されている。本実施形態では、第1圧接部311bの内周面と、第2圧接部321bの外周面とが、互いに圧接する(言い換えれば、圧力を伴って接触する)ように形成されている。本例では、第2圧接部321bが、第1圧接部311bに圧入、或いは、隙間なく嵌合されている。また、本実施形態では、第1圧接部311bは、第1係合部311aよりも軸方向第2側L2に配置されている。そして、第2圧接部321bは、第2係合部321aよりも軸方向第2側L2に配置されている。
【0037】
このように、本実施形態では、第1要素E1と第1ギヤ32とが、径方向Rに相対移動不能に連結されている。
【0038】
この構成によれば、第1要素E1及び第1ギヤ32をケース9に対して回転可能に支持する軸受の数を少なく抑えることができる。これにより、車両用駆動装置100の部材コストを低く抑えつつ、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑えることができる。
【0039】
本実施形態では、遊星歯車機構31は、回転電機1に対して軸方向第2側L2であって、第1ギヤ32に対して軸方向第1側L1に配置されている。つまり、本実施形態では、ロータ12、遊星歯車機構31、及び第1ギヤ32が、第1軸X1上に、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向かって記載の順に配置されている。
【0040】
本実施形態では、回転電機1が遊星歯車機構31よりも大径である。図1に示す例では、回転電機1のステータコア11aの外周面が、遊星歯車機構31のリングギヤRGにおける最も径方向Rの外側に位置する部分よりも径方向Rの外側に位置している。また、本実施形態では、第1ギヤ32が遊星歯車機構31よりも小径である。図1に示す例では、第1ギヤ32における最も径方向Rの外側に位置する部分が、遊星歯車機構31のリングギヤRGにおける最も径方向Rの外側に位置する部分よりも径方向Rの内側に位置している。したがって、本実施形態では、回転電機1、遊星歯車機構31、及び第1ギヤ32が、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向かって径方向Rの寸法が次第に小さくなるように、第1軸X1上に配置されている。
【0041】
第1ギヤ32は、第1支持軸受B2を介して、ケース9に対して回転自在に支持されている。第1支持軸受B2は、第1ギヤ32に対して径方向Rの内側であって、径方向Rに沿う径方向視で第1ギヤ32と重複する位置に配置されている。ここで、2つの要素の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線と直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの要素の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを指す。本実施形態では、第1支持軸受B2が「支持軸受」に相当する。
【0042】
本実施形態では、ケース9の第2側壁部93aは、第1ギヤ32に対して軸方向第2側L2に隣接して配置されている。このように、本実施形態では、第2側壁部93aは、第1ギヤ32に対して軸方向Lにおける遊星歯車機構31の側とは反対側に隣接して配置された「支持壁部SW」に相当する。
【0043】
また、本実施形態では、第2側壁部93aに、軸方向第1側L1に向けて突出する第1突出部93bが形成されている。本実施形態では、第1突出部93bは、第1支持軸受B2を径方向Rの内側から支持するように形成されている。このように、本実施形態では、第1突出部93bは、第1支持軸受B2を径方向Rの内側から支持する「軸受支持部SWa」に相当する。そのため、本実施形態では、第3ケース部93に軸受支持部SWaが設けられている。
【0044】
上記の通り、本実施形態では、ケース9は、第1ギヤ32に対して軸方向Lにおける遊星歯車機構31の側とは反対側(ここでは、軸方向第2側L2)に隣接して配置された支持壁部SWを備え、
支持壁部SWは、第1支持軸受B2を径方向Rの内側から支持する軸受支持部SWaを備えている。
【0045】
この構成によれば、第1ギヤ32に対して軸方向Lにおける遊星歯車機構31の側とは反対側(ここでは、軸方向第2側L2)に隣接して支持壁部SWが配置されている。そして、第1ギヤ32が、その径方向Rの内側に配置された第1支持軸受B2を介して、支持壁部SWの軸受支持部SWaに対して回転可能に支持されている。これにより、第1ギヤ32に対して軸方向Lの両側のそれぞれにケース9の壁部が配置され、それらの壁部に対して第1ギヤ32が回転可能に支持された構成と比べて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑えることができる。
【0046】
また、本実施形態では、第1ギヤ32は、被支持部322を更に備えている。被支持部322は、入力軸5とケース9の第1突出部93bとの軸方向Lの間に配置されている。本実施形態では、被支持部322は、第2連結部321から径方向Rの内側に突出するように形成されている。
【0047】
本実施形態では、被支持部322と入力軸5との軸方向Lの間に、第2スラスト軸受B4が配置されている。そして、被支持部322と第1突出部93bとの軸方向Lの間に、第3スラスト軸受B5が配置されている。こうして、本実施形態では、第1ギヤ32は、第2スラスト軸受B4及び第3スラスト軸受B5により、ケース9に対して軸方向Lに支持されている。
【0048】
第2ギヤ33は、第1ギヤ32に噛み合っている。そして、第2ギヤ33は、出力部材2と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第2ギヤ33は、第1ギヤ32よりも大径に形成されている。そのため、本実施形態では、第1要素E1(ここでは、キャリヤCR)の回転が、第1ギヤ32と第2ギヤ33との間で減速されて出力部材2に伝達される。
【0049】
本実施形態では、第2ギヤ33は、第2支持軸受B6を介して、ケース9に対して回転自在に支持されている。第2支持軸受B6は、第2ギヤ33に対して径方向Rの内側であって、径方向Rに沿う径方向視で第2ギヤ33と重複する位置に配置されている。本実施形態では、第1支持軸受B2の軸方向Lの配置領域と、第2支持軸受B6の軸方向Lの配置領域とが重なっている。ここで、2つの部材の配置に関して、「特定方向の配置領域が重なる」とは、一方の部材の特定方向の配置領域内に、他方の部材の特定方向の配置領域の少なくとも一部が含まれることを意味する。
【0050】
本実施形態では、第2側壁部93aに、軸方向第1側L1に向けて突出する第2突出部93cが形成されている。本実施形態では、第2突出部93cは、第2支持軸受B6を径方向Rの内側から支持するように形成されている。
【0051】
本実施形態では、差動歯車機構4は、差動ケース41と、一対のピニオンギヤ42と、第1サイドギヤ43及び第2サイドギヤ44と、を備えている。ここでは、一対のピニオンギヤ42、並びに第1サイドギヤ43及び第2サイドギヤ44は、いずれも傘歯車である。
【0052】
差動ケース41は、一対のピニオンギヤ42、並びに第1サイドギヤ43及び第2サイドギヤ44を収容する中空の部材である。差動ケース41は、第2ギヤ33と一体的に回転するように連結されている。そのため、本実施形態では、差動ケース41が出力部材2に相当する。
【0053】
本実施形態では、差動ケース41は、差動軸受B7を介して、ケース9に対して回転自在に支持されている。図1に示す例では、差動ケース41の軸方向第1側L1の端部が、差動軸受B7を介して、ケース9の第2周壁部91bに対して回転自在に支持されている。
【0054】
一対のピニオンギヤ42は、第2軸X2を基準とした径方向Rに間隔を空けて、互いに対向するように配置されている。そして、一対のピニオンギヤ42は、差動ケース41と一体的に回転するように支持されたピニオンシャフト42aに取り付けられている。一対のピニオンギヤ42のそれぞれは、ピニオンシャフト42aを中心として回転(自転)可能、かつ、第2軸X2を中心として回転(公転)可能に構成されている。
【0055】
第1サイドギヤ43及び第2サイドギヤ44は、一対のピニオンギヤ42に噛み合っている。第1サイドギヤ43及び第2サイドギヤ44は、第2軸X2を回転軸心として回転するように配置されている。第1サイドギヤ43は、ピニオンシャフト42aに対して軸方向第1側L1に配置されている。そして、第2サイドギヤ44は、ピニオンシャフト42aに対して軸方向第2側L2に配置されている。
【0056】
本実施形態では、第1サイドギヤ43は、軸方向Lに沿って延在する伝達軸6を介して、軸方向第1側L1の車輪Wに駆動連結された第1ドライブシャフトDS1(図2参照)と一体的に回転するように連結されている。図1に示す例では、第1サイドギヤ43に対して径方向Rの内側に、軸方向第1側L1から伝達軸6が挿入され、それらがスプライン係合によって互いに連結されている。
【0057】
伝達軸6は、第2軸X2上に配置されている。本実施形態では、伝達軸6は、ケース9の内部における回転電機1に対して径方向Rの外側を通り、第1側壁部92aを軸方向Lに貫通するように配置されている。そして、伝達軸6は、第1ドライブシャフトDS1(図2参照)と一体的に回転するように連結されている。図1に示す例では、伝達軸6における第1ケース部91よりも軸方向第1側L1の部分が、軸方向第1側L1に開口する筒状に形成されている。そして、この伝達軸6の筒状部分に対して径方向Rの内側に、軸方向第1側L1から第1ドライブシャフトDS1が挿入され、それらがスプライン係合によって互いに連結されている。
【0058】
本実施形態では、第2サイドギヤ44は、軸方向第2側L2の車輪Wに駆動連結された第2ドライブシャフトDS2(図2参照)と一体的に回転するように連結されている。図1に示す例では、第2サイドギヤ44に対して径方向Rの内側に、軸方向第2側L2から第2ドライブシャフトDS2が挿入され、それらがスプライン係合によって互いに連結されている。
【0059】
本実施形態では、差動歯車機構4は、第2ギヤ33に対して軸方向第1側L1に配置されている。つまり、本実施形態では、差動歯車機構4及び第2ギヤ33が、第2軸X2上に、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向かって記載の順に配置されている。
【0060】
本実施形態では、第2ギヤ33が差動歯車機構4よりも大径である。したがって、本実施形態では、差動歯車機構4及び第2ギヤ33が、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向かって径方向Rの寸法が次第に大きくなるように、第2軸X2上に配置されている。
【0061】
以上のように、車両用駆動装置100は、
ロータ12を備えた回転電機1と、
車輪Wに駆動連結される出力部材2と、
ロータ12の回転を出力部材2に伝達する動力伝達機構3と、
回転電機1及び動力伝達機構3を収容するケース9と、を備えた車両用駆動装置100であって、
動力伝達機構3は、遊星歯車機構31と、第1ギヤ32と、第2ギヤ33と、を備え、
遊星歯車機構31は、サンギヤSGと、キャリヤCRと、リングギヤRGと、を備え、
サンギヤSGは、ロータ12と一体的に回転するように連結され、
キャリヤCRは、互いに一体的に回転する第1ピニオンギヤPG1と第2ピニオンギヤPG2とを回転自在に支持し、
キャリヤCR及びリングギヤRGの一方を第1要素E1とし、他方を第2要素E2として、
第1要素E1は、第1ギヤ32と一体的に回転するように連結され、
第2要素E2は、ケース9に対して固定され、
第2ギヤ33は、第1ギヤ32に噛み合っていると共に、出力部材2と一体的に回転するように連結され、
第1ピニオンギヤPG1は、サンギヤSGに噛み合い、
第2ピニオンギヤPG2は、第1ピニオンギヤPG1よりも小径であり、リングギヤRGに噛み合い、
第1ギヤ32は、第1支持軸受B2を介してケース9に対して回転自在に支持され、
第1支持軸受B2は、第1ギヤ32に対して径方向Rの内側であって、径方向Rに沿う径方向視で第1ギヤ32と重複する位置に配置されている。
【0062】
この構成によれば、回転電機1、遊星歯車機構31、及び第1ギヤ32と、出力部材2及び第2ギヤ33とが、互いに別軸上に配置された2軸構成を実現できる。これにより、例えばカウンタギヤ機構等を備えた3軸以上の多軸構成に比べて、車両用駆動装置100の径方向Rの寸法を小さく抑えることができる。
また、本構成によれば、遊星歯車機構31のキャリヤCRが、互いに外径の異なる第1ピニオンギヤPG1及び第2ピニオンギヤPG2を支持している。そして、ロータ12と一体回転するサンギヤSGが、大径の第1ピニオンギヤPG1に噛み合っている。また、キャリヤCR及びリングギヤRGの一方が第1ギヤ32と一体的に回転するように連結され、キャリヤCR及びリングギヤRGの他方がケース9に固定されている。そして、リングギヤRGが小径の第2ピニオンギヤPG2に噛み合っている。そのため、複数の遊星歯車機構を設けることなく、上記のように構成された遊星歯車機構31により大きな減速比を確保し易い。また、これに伴い、小型の回転電機1であっても高いトルクを出力部材2に伝達することが可能となる。
また、本構成によれば、第1支持軸受B2が、第2ギヤ33に噛み合う第1ギヤ32に対して径方向Rの内側であって、径方向Rに沿う径方向視で第1ギヤ32と重複する位置に配置されている。これにより、第1ギヤ32が径方向Rの外側から軸受に支持された構成と比べて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑え易い。
以上のように、本構成によれば、減速比を大きく確保しつつ、小型化が容易な車両用駆動装置100を実現できる。
【0063】
また、上述したように、本実施形態では、車両用駆動装置100は、出力部材2に伝達されたトルクを一対の車輪Wに分配する差動歯車機構4を更に備え、
ロータ12、遊星歯車機構31、及び第1ギヤ32が、第1軸X1上に、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向かって記載の順に配置され、
差動歯車機構4及び第2ギヤ33が、第1軸X1と平行な第2軸X2上に、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向かって記載の順に配置されている。
【0064】
この構成によれば、互いに噛合う第1ギヤ32及び第2ギヤ33に対して軸方向Lの同じ側に、回転電機1及び遊星歯車機構31と、差動歯車機構4とが配置されている。これにより、回転電機1及び遊星歯車機構31と、差動歯車機構4とが、第1ギヤ32及び第2ギヤ33に対して軸方向Lの両側に分かれて配置された構成と比べて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑え易い。
【0065】
本実施形態では、第1ギヤ32及び第2ギヤ33のそれぞれは、やまば歯車である。説明を加えると、第1ギヤ32は、歯部のねじれ方向が互いに異なる第1噛み合い部32a及び第2噛み合い部32bを備えている。また、第2ギヤ33は、歯部のねじれ方向が互いに異なる第3噛み合い部33a及び第4噛み合い部33bを備えている。第1噛み合い部32aと第3噛み合い部33aとが互いに噛み合っていると共に、第2噛み合い部32bと第4噛み合い部33bとが互いに噛み合っている。ここで、「歯部のねじれ方向」とは、対象のギヤの軸心に対して当該ギヤの歯部が傾斜している方向である。
【0066】
この構成によれば、第1ギヤ32及び第2ギヤ33を単なるはすば歯車とした構成に比べて、第1ギヤ32と第2ギヤ33との噛み合いにより生じるスラスト力を低減できる。これにより、第1ギヤ32及び第2ギヤ33の支持構造を簡略化できる。したがって、車両用駆動装置100の小型化を図り易い。
【0067】
また、本実施形態では、第1ピニオンギヤPG1及び第2ピニオンギヤPG2のそれぞれは、はすば歯車である。第1ピニオンギヤPG1と第2ピニオンギヤPG2とは、それらの歯部のねじれ方向が互いに同じとなるように形成されている。そして、第1ピニオンギヤPG1の歯部のねじれ角度は、第2ピニオンギヤPG2の歯部のねじれ角度よりも大きい。第1ピニオンギヤPG1及び第2ピニオンギヤPG2の歯部のねじれ角度は、第1ピニオンギヤPG1及び第2ピニオンギヤPG2のスラスト力が同等になるように設定される。ここで、「歯部のねじれ角度」とは、対象のギヤの軸心に対して当該ギヤの歯部が傾斜している角度である。
【0068】
この構成によれば、第1ピニオンギヤPG1とサンギヤSGとの噛み合いにより生じるスラスト力と、第2ピニオンギヤPG2とリングギヤRGとの噛み合いにより生じるスラスト力とを互いに減殺することができる。これにより、キャリヤCRによる第1ピニオンギヤPG1及び第2ピニオンギヤPG2の支持構造を簡略化することができる。また、キャリヤCRの剛性を大きく確保する必要がない。したがって、車両用駆動装置100の小型化を図り易い。
【0069】
2.第2の実施形態
以下では、第2の実施形態に係る車両用駆動装置100について、図3を参照して説明する。本実施形態では、遊星歯車機構31と第1ギヤ32との軸方向Lの位置関係、及び、第2ギヤ33と差動歯車機構4との軸方向Lの位置関係が、上記第1の実施形態とは異なっている。以下では、上記第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第1の実施形態と同様とする。
【0070】
図3に示すように、本実施形態では、第1ギヤ32は、回転電機1に対して軸方向第2側L2であって、遊星歯車機構31に対して軸方向第1側L1に配置されている。つまり、本実施形態では、ロータ12、第1ギヤ32、及び遊星歯車機構31が、第1軸X1上に、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向かって記載の順に配置されている。また、本実施形態では、第1ピニオンギヤPG1は、第2ピニオンギヤPG2よりも軸方向第1側L1に配置されている。
【0071】
本実施形態では、ケース9の隔壁部91cが、第1ギヤ32に対して軸方向第1側L1に隣接して配置されている。このように、本実施形態では、隔壁部91cが、第1ギヤ32に対して軸方向Lにおける遊星歯車機構31の側とは反対側に隣接して配置された「支持壁部SW」に相当する。
【0072】
また、本実施形態では、隔壁部91cに、軸方向第2側L2に向けて突出する第3突出部91eが形成されている。本実施形態では、第3突出部91eは、入力軸5の径方向Rの外側を覆う筒状に形成されている。そして、第3突出部91eは、第1支持軸受B2を径方向Rの内側から支持するように形成されている。このように、本実施形態では、第3突出部91eは、第1支持軸受B2を径方向Rの内側から支持する「軸受支持部SWa」に相当する。なお、本実施形態では、第1突出部93bが第2側壁部93aに形成されているが、軸受支持部SWaとして機能しない。
【0073】
本実施形態では、遊星歯車機構31のキャリヤCRが被支持部322を備えている。図3に示す例では、被支持部322は、キャリヤCRにおける第2ピニオンギヤPG2よりも軸方向第2側L2の部分から径方向Rの内側に突出するように形成されている。なお、本実施形態では、第1ギヤ32は被支持部322を備えていない。
【0074】
本実施形態では、隔壁部91cに、第2支持軸受B6を径方向Rの内側から支持する第2突出部93cが形成されている。また、本実施形態では、第2側壁部93aに、差動ケース41を支持する差動軸受B7が取り付けられている。
【0075】
3.第3の実施形態
以下では、第3の実施形態に係る車両用駆動装置100について、図4を参照して説明する。本実施形態は、リングギヤRGが第1要素E1であり、キャリヤCRが第2要素E2である点で、上記第1の実施形態とは異なっている。以下では、上記第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第1の実施形態と同様とする。
【0076】
図4に示すように、本実施形態では、リングギヤRGが第1ギヤ32と一体的に回転するように連結されている。つまり、本実施形態では、リングギヤRGが第1要素E1である。本例では、リングギヤRGは、連結部材7を介して、第1ギヤ32と一体的に回転するように連結されている。
【0077】
連結部材7は、第1軸X1を基準とした径方向Rに沿って延在するように形成された径方向延在部71と、軸方向Lに沿って延在するように形成された軸方向延在部72と、を備えている。本例では、径方向延在部71の径方向Rの内側の端部が、第1ギヤ32の第2連結部321に対して溶接により連結されている。そして、径方向延在部71の径方向Rの外側の端部と、軸方向延在部72の軸方向第2側L2の端部とを連結するように、径方向延在部71と軸方向延在部72とが一体的に形成されている。
【0078】
また、本例では、軸方向延在部72の軸方向第1側L1の端部には、軸方向第1側L1に向けて突出する複数の爪部が、第1軸X1を中心とした周方向に配置されている。そして、第1要素E1としてのリングギヤRGの第1連結部311には、径方向Rの外側に向けて突出する複数の爪部が、第1軸X1を中心とした周方向に配置されている。軸方向延在部72における複数の爪部は、リングギヤRGの第1連結部311における複数の爪部に対して、軸方向第2側L2から係合されている。そして、軸方向延在部72における複数の爪部と、リングギヤRGの第1連結部311における複数の爪部とが、軸方向Lに相対移動しないように、例えば環状の固定部材により固定されている。なお、それらの爪部は、リングギヤRGの第1連結部311に対して軸方向延在部72が径方向Rに相対移動するように形成されていても良いし、相対移動不能となるように形成されていても良い。
【0079】
また、本実施形態では、第2ピニオンギヤPG2は、第1ピニオンギヤPG1よりも軸方向第2側L2に配置されている。
【0080】
また、本実施形態では、キャリヤCRにおける第2ピニオンギヤPG2よりも軸方向第2側L2の部分と、第1ギヤ32の第2連結部321との軸方向Lの間に、第4スラスト軸受B8が配置されている。第4スラスト軸受B8は、キャリヤCRと第1ギヤ32とが相対的に回転するように、それらを軸方向Lに支持している。
【0081】
また、本実施形態では、第1ギヤ32及び第2ギヤ33のそれぞれは、やまば歯車ではなく、はすば歯車である。なお、第1ギヤ32及び第2ギヤ33のそれぞれが、平歯車であっても良い。
【0082】
4.その他の実施形態
(1)上記の実施形態では、拡径部52とロータ軸12bとの軸方向Lの間に、第1スラスト軸受B3及び隔壁部91cが配置され、入力軸5と第1突出部93bとの軸方向Lの間に、第2スラスト軸受B4、被支持部322、及び第3スラスト軸受B5が配置される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、図5に示すような構成としても良い。図5に示す例では、入力軸5(具体的には、入力軸5の軸方向第1側L1の端部50)とロータ軸12b(具体的には、ロータ軸12bの軸方向第2側L2の端部12c)との連結部分において、拡径部52が、ロータ軸12b(具体的には、ロータ軸12bの軸方向第2側L2の端面)に対して軸方向第2側L2から当接するように配置されており、サンギヤSGに生じる軸方向第1側L1を向く荷重は、ロータ軸12bに伝達されて第1ロータ軸受B11によって支持される。また、図5に示す例では、入力軸5と第1突出部93bとの軸方向Lの間に、入力軸5を軸方向Lに支持する第5スラスト軸受BRが配置されており、サンギヤSGに生じる軸方向第2側L2を向く荷重は、第5スラスト軸受BRによって支持される。
【0083】
なお、図5に示す例では、ケース9は、回転電機1を駆動制御するインバータ装置20を収容していると共に、動力伝達機構3が備える回転部材によって掻き上げられた油を貯留するキャッチタンク80を備えている。具体的には、ケース9は、インバータ装置20の収容室を形成する収容室形成部91fと、当該収容室の開口部を閉じるように収容室形成部91fに接合される第4ケース部94と、を備えている。すなわち、インバータ装置20は、収容室形成部91fと第4ケース部94とに囲まれた空間に収容されている。図5に示す例では、第1ケース部91が収容室形成部91fを備えている。また、図5に示す例では、インバータ装置20は、インバータ回路を構成する複数の素子(スイッチング素子等)がモジュール化されたパワーモジュール21と、パワーモジュール21から交流電力を出力するための出力バスバー22と、を備えている。出力バスバー22は、端子台Tを介して、コイルエンド部11bから引き出された動力線13と電気的に接続されている。
【0084】
(2)上記の実施形態では、第1ピニオンギヤPG1及び第2ピニオンギヤPG2のそれぞれがはすば歯車である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1ピニオンギヤPG1及び第2ピニオンギヤPG2のそれぞれが平歯車であっても良い。その場合、サンギヤSG及びリングギヤRGも平歯車となる。
【0085】
(3)上記の実施形態では、トルクを一対の車輪Wに分配する差動歯車機構4を車両用駆動装置100が備え、差動ケース41が出力部材2として機能する構成を例として説明したが、そのような構成に限定されない。例えば、車両用駆動装置100が差動歯車機構4を備えず、回転電機1が1つの車輪Wの駆動力源として機能する構成とした場合、当該車輪Wに駆動連結されたドライブシャフトと一体的に回転する要素を出力部材2としても良い。
【0086】
(4)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0087】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した車両用駆動装置の概要について説明する。
【0088】
ロータ(12)を備えた回転電機(1)と、
車輪(W)に駆動連結される出力部材(2)と、
前記ロータ(12)の回転を前記出力部材(2)に伝達する動力伝達機構(3)と、
前記回転電機(1)及び前記動力伝達機構(3)を収容するケース(9)と、を備えた車両用駆動装置(100)であって、
前記動力伝達機構(3)は、遊星歯車機構(31)と、第1ギヤ(32)と、第2ギヤ(33)と、を備え、
前記遊星歯車機構(31)は、サンギヤ(SG)と、キャリヤ(CR)と、リングギヤ(RG)と、を備え、
前記サンギヤ(SG)は、前記ロータ(12)と一体的に回転するように連結され、
前記キャリヤ(CR)は、互いに一体的に回転する第1ピニオンギヤ(PG1)と第2ピニオンギヤ(PG2)とを回転自在に支持し、
前記キャリヤ(CR)及び前記リングギヤ(RG)の一方を第1要素(E1)とし、他方を第2要素(E2)として、
前記第1要素(E1)は、前記第1ギヤ(32)と一体的に回転するように連結され、
前記第2要素(E2)は、前記ケース(9)に対して固定され、
前記第2ギヤ(33)は、前記第1ギヤ(32)に噛み合っていると共に、前記出力部材(2)と一体的に回転するように連結され、
前記第1ピニオンギヤ(PG1)は、前記サンギヤ(SG)に噛み合い、
前記第2ピニオンギヤ(PG2)は、前記第1ピニオンギヤ(PG1)よりも小径であり、前記リングギヤ(RG)に噛み合い、
前記第1ギヤ(32)は、支持軸受(B2)を介して前記ケース(9)に対して回転自在に支持され、
前記支持軸受(B2)は、前記第1ギヤ(32)に対して径方向(R)の内側であって、前記径方向(R)に沿う径方向視で前記第1ギヤ(32)と重複する位置に配置され、
前記第1ギヤ(32)及び前記第2ギヤ(33)のそれぞれは、やまば歯車である。
【0089】
本構成によれば、回転電機(1)、遊星歯車機構(31)、及び第1ギヤ(32)と、出力部材(2)及び第2ギヤ(33)とが、互いに別軸上に配置された2軸構成を実現できる。これにより、例えばカウンタギヤ機構等を備えた3軸以上の多軸構成に比べて、車両用駆動装置(100)の径方向(R)の寸法を小さく抑えることができる。
また、本構成によれば、遊星歯車機構(31)のキャリヤ(CR)が、互いに外径の異なる第1ピニオンギヤ(PG1)及び第2ピニオンギヤ(PG2)を支持している。そして、ロータ(12)と一体回転するサンギヤ(SG)が、大径の第1ピニオンギヤ(PG1)に噛み合っている。また、キャリヤ(CR)及びリングギヤ(RG)の一方が第1ギヤ(32)と一体的に回転するように連結され、キャリヤ(CR)及びリングギヤ(RG)の他方がケース(9)に固定されている。そして、リングギヤ(RG)が小径の第2ピニオンギヤ(PG2)に噛み合っている。そのため、複数の遊星歯車機構を設けることなく、上記のように構成された遊星歯車機構(31)により大きな減速比を確保し易い。また、これに伴い、小型の回転電機(1)であっても高いトルクを出力部材(2)に伝達することが可能となる。
また、本構成によれば、支持軸受(B2)が、第2ギヤ(33)に噛み合う第1ギヤ(32)に対して径方向(R)の内側であって、径方向(R)に沿う径方向視で第1ギヤ(32)と重複する位置に配置されている。これにより、第1ギヤ(32)が径方向(R)の外側から軸受に支持された構成と比べて、車両用駆動装置(100)の軸方向(L)の寸法を小さく抑え易い。
また、本構成によれば、第1ギヤ(32)及び第2ギヤ(33)を単なるはすば歯車とした構成に比べて、第1ギヤ(32)と第2ギヤ(33)との噛み合いにより生じるスラスト力を低減できる。これにより、第1ギヤ(32)及び第2ギヤ(33)の支持構造を簡略化でき、この点からも、車両用駆動装置(100)の小型化を図り易い。
以上のように、本構成によれば、減速比を大きく確保しつつ、小型化が容易な車両用駆動装置(100)を実現できる。
【0090】
ここで、前記ロータ(12)の回転軸心に沿う方向を軸方向(L)として、
前記ケース(9)は、前記第1ギヤ(32)に対して前記軸方向(L)における前記遊星歯車機構(31)の側とは反対側に隣接して配置された支持壁部(SW)を備え、
前記支持壁部(SW)は、前記支持軸受(B2)を前記径方向(R)の内側から支持する軸受支持部(SWa)を備えていると好適である。
【0091】
本構成によれば、第1ギヤ(32)に対して軸方向(L)における遊星歯車機構(31)の側とは反対側に隣接して支持壁部(SW)が配置されている。そして、第1ギヤ(32)が、その径方向(R)の内側に配置された支持軸受(B2)を介して、支持壁部(SW)の軸受支持部(SWa)に対して回転可能に支持されている。これにより、第1ギヤ(32)に対して軸方向(L)の両側のそれぞれにケース(9)の壁部が配置され、それらの壁部に対して第1ギヤ(32)が回転可能に支持された構成と比べて、車両用駆動装置(100)の軸方向(L)の寸法を小さく抑えることができる。
【0092】
また、前記第2ギヤ(33)は、第2支持軸受(B6)を介して前記ケース(9)に対して回転自在に支持され、
前記ロータ(12)の回転軸心に沿う方向を軸方向(L)として、
前記支持軸受(B2)の前記軸方向(L)の配置領域と、前記第2支持軸受(B6)の前記軸方向(L)の配置領域とが重なっていると好適である。
【0093】
本構成によれば、支持軸受(B2)の軸方向(L)の配置領域と第2支持軸受(B6)の軸方向(L)の配置領域とが重ならない構成と比べて、車両用駆動装置(100)の軸方向(L)の寸法を小さく抑え易い。
【0094】
また、前記第1要素(E1)と前記第1ギヤ(32)とが、前記径方向(R)に相対移動不能に連結されていると好適である。
【0095】
本構成によれば、第1要素(E1)及び第1ギヤ(32)をケース(9)に対して回転可能に支持する軸受の数を少なく抑えることができる。これにより、車両用駆動装置(100)の部材コストを低く抑えつつ、車両用駆動装置(100)の軸方向(L)の寸法を小さく抑えることができる。
【0096】
また、前記第1ピニオンギヤ(PG1)及び前記第2ピニオンギヤ(PG2)のそれぞれは、はすば歯車であり、
前記第1ピニオンギヤ(PG1)と前記第2ピニオンギヤ(PG2)との歯部のねじれ方向が互いに同じであって、前記第1ピニオンギヤ(PG1)の歯部のねじれ角度が前記第2ピニオンギヤ(PG2)の歯部のねじれ角度よりも大きいと好適である。
【0097】
本構成によれば、第1ピニオンギヤ(PG1)とサンギヤ(SG)との噛み合いにより生じるスラスト力と、第2ピニオンギヤ(PG2)とリングギヤ(RG)との噛み合いにより生じるスラスト力とを互いに減殺することができる。これにより、キャリヤ(CR)による第1ピニオンギヤ(PG1)及び第2ピニオンギヤ(PG2)の支持構造を簡略化することができる。また、キャリヤ(CR)の剛性を大きく確保する必要がない。したがって、車両用駆動装置(100)の小型化を図り易い。
【0098】
また、前記出力部材(2)に伝達されたトルクを一対の前記車輪(W)に分配する差動歯車機構(4)を更に備え、
前記ロータ(12)の回転軸心に沿う方向を軸方向(L)とし、前記軸方向(L)の一方側を軸方向第1側(L1)とし、前記軸方向(L)の他方側を軸方向第2側(L2)として、
前記ロータ(12)、前記遊星歯車機構(31)、及び前記第1ギヤ(32)が、第1軸(X1)上に、前記軸方向第1側(L1)から前記軸方向第2側(L2)に向かって記載の順に配置され、
前記差動歯車機構(4)及び前記第2ギヤ(33)が、前記第1軸(X1)と平行な第2軸(X2)上に、前記軸方向第1側(L1)から前記軸方向第2側(L2)に向かって記載の順に配置されていると好適である。
【0099】
本構成によれば、互いに噛合う第1ギヤ(32)及び第2ギヤ(33)に対して軸方向(L)の同じ側に、回転電機(1)及び遊星歯車機構(31)と、差動歯車機構(4)とが配置されている。これにより、回転電機(1)及び遊星歯車機構(31)と、差動歯車機構(4)とが、第1ギヤ(32)及び第2ギヤ(33)に対して軸方向(L)の両側に分かれて配置された構成と比べて、車両用駆動装置(100)の軸方向(L)の寸法を小さく抑え易い。
【0100】
本開示に係る車両用駆動装置は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本開示に係る技術は、ロータを備えた回転電機と、車輪に駆動連結される出力部材と、ロータの回転を出力部材に伝達する動力伝達機構と、回転電機及び動力伝達機構を収容するケースと、を備えた車両用駆動装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0102】
100:車両用駆動装置、1:回転電機、12:ロータ、2:出力部材、3:動力伝達機構、31:遊星歯車機構、32:第1ギヤ、33:第2ギヤ、4:差動歯車機構、9:ケース、SG:サンギヤ、CR:キャリヤ、RG:リングギヤ、PG1:第1ピニオンギヤ、PG2:第2ピニオンギヤ、E1:第1要素、E2:第2要素、B2:第1支持軸受(支持軸受)、B6:第2支持軸受、SW:支持壁部、SWa:軸受支持部、W:車輪、L:軸方向、L1:軸方向第1側、L2:軸方向第2側、R:径方向、X1:第1軸、X2:第2軸
図1
図2
図3
図4
図5