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特許7556481肺超音波を用いた換気管理のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】肺超音波を用いた換気管理のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240918BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
A61B8/14
A61B5/113
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023574323
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2022066802
(87)【国際公開番号】W WO2022268761
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】63/213,935
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】クルッケル ヨヘン
(72)【発明者】
【氏名】サデジ セエダリ
(72)【発明者】
【氏名】バラット シヤム
(72)【発明者】
【氏名】エリッコ クローディア
(72)【発明者】
【氏名】ブー ジャウデ サメル
(72)【発明者】
【氏名】ブイッザ ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ラジュ バラスンダール イヤヴ
(72)【発明者】
【氏名】プレフラル スフェン ペーター
【審査官】宮川 数正
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-503999(JP,A)
【文献】特表2011-529709(JP,A)
【文献】特表2003-530940(JP,A)
【文献】特表2018-531067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
A61M 16/00-16/22
A61H 31/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気中に患者の肺を監視するように構成される肺損傷モニタリングシステムであって、
前記患者の換気中に前記患者の肺の超音波画像を取得するように構成される超音波装置と、
(i)前記取得された超音波画像を受信するステップと、(ii)人工呼吸器の換気フェーズを決定するステップと、(iii)前記受信された超音波画像を解析するステップと、(iv)前記解析に基づいて、潜在的人工呼吸器関連肺損傷(VALI)のリスクスコアを決定するステップとを実行するように構成される、プロセッサと、
前記潜在的VALIのリスクスコアを表示するように構成されるユーザインターフェースと
を有する、システム。
【請求項2】
前記解析するステップは、
前記人工呼吸器の決定された換気フェーズに基づいて、前記受信された超音波画像を吸気又は呼気画像としてラベル付けするステップと、
前記ラベル付けされた受信された超音波画像におけるBラインの数を決定するステップであって、前記ラベル付けされた受信された超音波画像内のBラインの決定された数は、Bラインの最大及び/又は平均数を有する、ステップと、
前記人工呼吸器の吸気又は呼気換気フェーズの他方における更新された超音波画像を受信し、前記更新された超音波画像を前記人工呼吸器の吸気及び呼気換気フェーズの他方としてラベル付けするステップと、
前記更新された超音波画像におけるBラインの数を決定するステップであって、前記更新された超音波画像におけるBラインの決定された数は、Bラインの最大及び/又は平均数を有する、ステップと、
前記ラベル付けされた受信された超音波画像における決定されたBラインの数を前記更新された超音波画像における決定されたBラインの数と比較して、呼気換気段階に対する吸気換気段階におけるBラインの最大及び/又は平均数の比を識別するステップであって、前記比は前記VALIを示すメトリックである、ステップと
を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記識別された比は、前記識別された比が所定の閾値を上回る場合、潜在的VALIを示し、前記識別された比は、前記識別された比が所定の閾値を下回る場合、健康な肺を示す、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記解析するステップは、
前記人工呼吸器の決定された換気フェーズから、前記患者の肺の完全な呼気が達せられたことを決定するステップと、
前記患者の肺の完全な呼気が達せられた後に、受信された超音波画像内の胸膜線を識別するステップと、
胸膜線が識別される場合、前記受信された超音波画像における壁側胸膜及び臓側胸膜を識別するステップと、
前記超音波装置から、更新された超音波画像を受信するステップと、
前記更新された超音波画像における胸膜線を識別し、前記更新された超音波画像における壁側胸膜及び臓側胸膜を識別するステップと、
前記受信された超音波画像及び更新された超音波画像における壁側胸膜及び臓側胸膜を比較することによって、壁側変位ベクトル及び臓側変位ベクトルを決定するステップと、
前記臓側変位ベクトルから前記壁側変位ベクトルを差し引くことによって相対変位を決定するステップと、
前記相対変位から、前記VALIを示すメトリックを計算するステップと
を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記計算するステップは、変位の振幅、速度、又は位相遅れなどの定量的肺摺動パラメータを決定するステップを有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記VALIは、無気肺外傷及び/又は過膨張である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ユーザインターフェースは、前記患者に関するモニタリング又は人口統計学的情報のうちの一つ又はそれより多くを表示するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
換気中に患者の肺を監視するための肺損傷モニタリングシステムの作動方法であって、前記肺損傷モニタリングシステムは、超音波装置と、プロセッサとを有し、
前記超音波装置、前記肺損傷モニタリングシステムの人工呼吸器による前記患者の換気中の前記患者の肺の超音波画像を受信するステップと、
前記プロセッサ、前記人工呼吸器の換気フェーズを決定するステップと、
前記プロセッサ、前記受信された超音波画像を解析するステップと、
前記プロセッサが、前記解析に基づいて、潜在的人工呼吸器関連肺損傷のリスクスコアを決定するステップと
を有する、方法。
【請求項9】
前記受信された超音波画像を解析するステップは、
前記人工呼吸器の決定された換気フェーズに基づいて、前記受信された超音波画像を吸気又は呼気画像としてラベル付けするステップと、
前記ラベル付けされた受信された超音波画像におけるBラインの数を決定するステップであって、前記ラベル付けされた受信された超音波画像におけるBラインの決定された数は、Bラインの最大及び/又は平均数を有する、ステップと、
前記人工呼吸器の吸気又は呼気換気フェーズの他方における更新された超音波画像を受信し、前記人工呼吸器の吸気及び呼気換気フェーズの他方として前記更新された超音波画像をラベル付けするステップと、
前記更新された超音波画像におけるBラインの数を決定するステップであって、前記更新された超音波画像における決定されたBラインの数は、Bラインの最大及び/又は平均数を有する、ステップと、
前記ラベル付けされた受信された超音波画像における決定されたBラインの数を、前記更新された超音波画像における決定されたBラインの数と比較して、呼気換気段階に対する吸気換気段階におけるBラインの最大及び/又は平均数の比を識別するステップであって、前記比は前記VALIを示すメトリックである、ステップと
を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記識別された比は、前記識別された比が所定の閾値を上回る場合、潜在的VALIを示し、前記識別された比は、前記識別された比が所定の閾値を下回る場合、健康な肺を示す、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記受信された超音波画像を解析するステップは、
前記人工呼吸器の決定された換気フェーズから、前記患者の肺の完全な呼気が達せられたことを決定するステップと、
前記患者の肺の完全な呼気が達せられた後に、受信された超音波画像内の胸膜線を識別するステップと、
胸膜線が識別される場合、前記受信された超音波画像における壁側胸膜及び臓側胸膜を識別するステップと、
前記超音波装置から、更新された超音波画像を受信するステップと、
前記更新された超音波画像における胸膜線を識別し、前記更新された超音波画像における壁側胸膜及び臓側胸膜を識別するステップと、
前記受信された超音波画像及び更新された超音波画像における壁側胸膜及び臓側胸膜を比較することによって、壁側変位ベクトル及び臓側変位ベクトルを決定するステップと、
前記臓側変位ベクトルから壁側変位ベクトルを差し引くことによって、相対変位を決定するステップと、
前記相対変位から、前記VALIを示すメトリックを計算するステップと
を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記計算するステップは、変位の振幅、速度、又は位相遅れなどの定量的肺摺動パラメータを決定するステップを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記VALIは、無気肺外傷及び/又は過膨張である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記肺損傷モニタリングシステムユーザインターフェースを更に有し、前記ユーザインターフェースが、前記潜在的VALIのリスクスコアを表示するステップをさらに有する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記ユーザインターフェース、前記患者に関するモニタリング又は人口統計学的情報のうちの一つ又はそれより多くを表示するステップをさらに有する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、超音波を使用して換気中に患者の肺を監視するための方法及びシステムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
換気装置は、頭部損傷、脳卒中、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺炎、又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの肺状態、及び多種多様な他の状態によって誘発される、肺機能障害又は呼吸不全を有する患者を治療するために広く使用されている。換気は、全身麻酔下の患者にも定期的に使用される。
【0003】
しかしながら、肺炎などの感染症のリスク及び人工呼吸器関連肺損傷(VALI)のリスクを含む、機械的人工呼吸に関連するいくつかのリスクがある。潜在的肺損傷の中で、2つのVALIが特に懸念される。第1の無気肺外傷は、周期性無気肺又は反復肺胞虚脱及び拡張(RACE)とも呼ばれる。人工呼吸圧力が低いため、呼気終了時に肺の病変部が繰り返し虚脱し、その後、吸気中に換気圧力が高い状態で再び開くと、無電気的外傷が引き起こされる可能性がある。肺胞の繰り返しの開口及び崩壊は、肺胞に損傷を与え得るせん断応力をもたらす。
【0004】
第2のVALIは、肺胞過膨張、又は容積外傷である。肺胞過膨張は過度の圧力で肺に押し込まれる過剰な空気によって、特に、部分的に圧迫された、又は損傷を受けた肺の状況において、引き起こされ、これは、空気を取り込むために利用可能な肺容量を僅かにしか残さない。肺容量が減少すると、肺胞が過度に伸張し、膜破裂及び炎症を引き起こす。
【0005】
VALIのリスクは、多くの場合、肺のいくつかの部分に局在する。例えば、部分的に圧密化された肺では主に健康な(すなわち、非圧密化された)肺は人工呼吸器によって提供される体積の大部分を占めるので、過膨張のリスクがある。逆に、周期性無気肺は、部分的に液体で満たされ、肺の健康な部分ではなく、主に肺のその部分で起こる。実際、病気の肺では、肺のいくつかの部分が所与の1回換気量又は気道圧力に対して他の部分とは非常に異なる応答をすることがあり、したがって、利用可能なグローバル測定によって評価することができない局所的な肺損傷のリスクを生じさせる。
【0006】
呼吸療法士又は医師などの人工呼吸器オペレータは、VALIのリスクを可能な限り低減するために人工呼吸器の設定を決定することができる。実際、人工呼吸器オペレータは肺損傷のリスクを最小限に抑えながら、十分な酸素供給及び二酸化炭素除去を確実にするために、人工呼吸器の設定を制御する様々なオプションを有する。しかしながら、現在、オペレータは、人工呼吸器に関連する肺傷害を発症する所与の人工呼吸患者の危険性を決定する手段が限られている。特に、操作者が得ることができるフィードバック及び測定値は例えば、圧力制御モードでの一回換気量、又は体積制御モードでのピーク吸気圧(PIP)などの人工呼吸器設定、ならびに全体的な呼吸抵抗及びコンプライアンスなどの呼吸機構を含む、肺全体についての全体的なものである。
【0007】
肺超音波(LUS)は、肺炎、間質性肺疾患、気胸、肺硬化、及び胸水を含む、肺の疾患及び状態を識別及び管理するのを助けることができる強力な撮像モダリティである。特に、肺超音波画像におけるいわゆる「Bライン」の存在は曝気の損失を示し、肺炎、肺浮腫又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を示唆し得る。同様に、「肺滑動」の欠如、又は「肺点符号」もしくは「バーコード/成層圏サイン」(Mモード)の外観は、肺滑動の欠如を特徴とする気胸を示す。しかしながら、正常な肺では臓側胸膜と壁側胸膜が呼吸を伴って互いに対して摺動しており、これは超音波において「肺摺動」として観察され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、人工呼吸器管理のための現在の肺超音波技術はほとんど手動であり、一般的に、肺全体にわたって広範囲に及ぶ。超音波イメージングの使用は、効果的でなく、非効率的であり得、それによって、VALIを識別及び/又は診断することができない。肺超音波は特定の肺疾患を正確に識別することが示されているが、VALIのリスクの識別又は定量化のために肺超音波を使用する、又はリスクを低減するために人工呼吸器オペレータにリスク及び可能な処置を知らせるための処理技術は存在しない。これらの制限は重大な肺損傷をもたらす可能性があり、死に至る可能性がある。
【0009】
したがって、超音波技術を使用して、人工呼吸器関連肺損傷のリスクスコアを監視及び決定する換気管理システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、超音波画像を使用して換気中に患者の肺を監視するための本発明の方法及びシステムを対象とする。本明細書の様々な実施形態及び実装形態は、患者の換気中に患者の肺の超音波画像を取得するように構成された超音波装置を備える人工呼吸器システムを対象とする。システムは人工呼吸器の換気段階を決定し、受信した超音波画像を解析し、解析に基づいて、人工呼吸器関連肺損傷(VALI)の可能性についてのリスクスコアを決定する。次いで、システムは、肺損傷モニタリングシステムのユーザインターフェースを介して、潜在的VALIのリスクスコアを表示することができる。
【0011】
一実施形態によれば、換気された患者からの受信された肺超音波画像の解析は、(i)前記人工呼吸器の決定された換気フェーズに基づいて、前記受信された超音波画像を吸気又は呼気画像としてラベル付けするステップと、(ii)前記ラベル付けされた受信された超音波画像内のBラインの数を決定するステップであって、前記ラベル付けされた受信された超音波画像内の決定された数のBラインはBラインの最大数及び/又は平均数を含む、ステップと、(iii)前記人工呼吸器の吸気又は呼気換気フェーズの他方において、更新された超音波画像を受信し、前記換気器の吸気及び呼気換気フェーズの他方として、前記更新された超音波画像をラベル付けするステップと、(iv) 前記更新された超音波画像におけるBラインの数を決定するステップであって、前記更新された超音波画像におけるBラインの決定された数は、Bラインの最大及び/又は平均数を有する、ステップと、(v)前記ラベル付けされた受信された超音波画像における決定されたBラインの数を前記更新された超音波画像における決定されたBラインの数と比較して、呼気換気段階に対する吸気換気段階におけるBラインの最大及び/又は平均数の比を識別するステップであって、前記比は、前記VALIを示すメトリックである、ステップとを有する。
【0012】
別の実施形態によれば、肺損傷による受信された超音波画像の解析は、(i)患者の肺の完全な呼気に達したことを人工呼吸器の決定された換気フェーズから決定するステップと、(ii)患者の肺の完全な呼気に達した後に受信された超音波画像内の胸膜線を識別するステップと、(iii)受信された超音波画像内の壁側胸膜(Rp)及び臓側胸膜(Rv)を識別するステップと、(iv)更新された超音波画像内の胸膜線を識別するステップと、(vi) 前記受信された超音波画像及び更新された超音波画像における壁側胸膜及び臓側胸膜を比較することによって、壁側変位ベクトル(dp)及び臓側変位ベクトル(dv)を決定するステップと、(vii)臓側変位ベクトル(dv)から前記壁側変位ベクトル(dp)を差し引くことによって相対変位(di)を決定するステップと、(viii)相対変位(di)から、前記VALIを示すメトリックを計算するステップとを有する。
【0013】
一般に、一態様では、換気中に患者の肺を監視するように構成された肺損傷モニタリングシステムが提供される。システムは、患者の換気装置中に患者の肺の超音波画像を取得するように構成された超音波装置と、(i)取得された超音波画像を受信することと、(ii)人工呼吸器の換気装置フェーズを決定することと、(iii)受信された超音波画像を解析することと、(iv)潜在的人工呼吸器関連肺損傷(VALI)のリスクスコアを決定することと、潜在的VALIのリスクスコアを表示するように構成されたユーザインターフェースとを含む。
【0014】
一実施形態によれば、プロセッサによって解析するステップは、(i)人工呼吸器の決定された換気フェーズに基づいて、受信された超音波画像を吸気又は呼気画像としてラベル付けするステップと、(ii)ラベル付けされた受信された超音波画像内のBラインの数を決定するステップであって、ラベル付けされた受信された超音波画像内の決定された数のBラインはBラインの最大数及び/又は平均数を備える、ステップと、(iii)人工呼吸器の吸気又は呼気の換気フェーズの他方において更新された超音波画像を受信し、更新された超音波画像を、人工呼吸器の吸気及び呼気の換気フェーズの他方としてラベル付けするステップと、(iv)更新された超音波画像内のBラインの数を決定し、更新された超音波画像内の決定された数のBラインはBラインの最大数及び/又は平均数を備える、ステップと、(v) 前記ラベル付けされた受信された超音波画像における決定されたBラインの数を、前記更新された超音波画像における決定されたBラインの数と比較して、呼気換気段階に対する吸気換気段階におけるBラインの最大及び/又は平均数の比を識別するステップであって、前記比は前記VALIを示すメトリックである、ステップと
を有する。
【0015】
一実施形態によれば、識別された比は識別された比が所定の閾値を上回る場合、潜在的VALIを示し、識別された比は、識別された比が所定の閾値を下回る場合、健康な肺を示す。
【0016】
一実施形態によれば、プロセッサによって解析するステップは、(i) 前記人工呼吸器の決定された換気フェーズから、前記患者の肺の完全な呼気が達せられたことを決定するステップと、(ii) 患者の肺の完全な呼気が達せられた後に、前記受信された超音波画像内の胸膜線を識別するステップと、(iii)受信された超音波画像内の壁側胸膜(Rp)及び臓側胸膜(Rv)を識別するステップと、(iv)更新された超音波画像内の胸膜線を識別するステップと、(vi)前記受信された超音波画像及び更新された超音波画像における壁側胸膜及び臓側胸膜を比較することによって、壁側変位ベクトル(dp)及び臓側変位ベクトル(dv)を決定するステップと、(vii)前記臓側変位ベクトルから壁側変位ベクトルを差し引くことによって、相対変位(di)を決定するステップと、(viii)前記相対変位から、前記VALIを示すメトリックを計算するステップとを有する。
【0017】
一実施形態によれば、計算するステップは、変位の振幅、速度、又は位相遅れなどの定量的肺摺動パラメータを決定するステップを含む。
【0018】
一実施形態によれば、VALIは、無気肺外傷及び/又は過膨張である。
【0019】
一実施形態によれば、ユーザインターフェースは、患者に関するモニタリング情報又は統計学的情報のうちの1つ又は複数を表示するようにさらに構成される。
【0020】
別の態様によれば、肺損傷モニタリングシステムを使用して換気中に患者の肺を監視するための方法が提供される。本方法は、(i)肺損傷モニタリングシステムの超音波装置から、肺損傷モニタリングシステムの人工呼吸器による患者の換気中の患者の肺の超音波画像を受信するステップと、(ii)肺損傷モニタリングシステムのプロセッサによって、人工呼吸器の換気段階を決定するステップと、(iii)肺損傷モニタリングシステムのプロセッサを使用して、受信された超音波画像を解析するステップと、(iv)解析に基づいて、潜在的人工呼吸器関連肺損傷(VALI)のリスクスコアを決定するステップとを含む。
【0021】
一実施形態によれば、受信された超音波画像を解析するステップは、(i)人工呼吸器の決定された換気フェーズに基づいて、受信された超音波画像を吸気又は呼気画像としてラベル付けするステップと、(ii)ラベル付けされた受信された超音波画像内のBラインの数を決定するステップであって、ラベル付けされた受信された超音波画像内の決定された数のBラインはBラインの最大数及び/又は平均数を含む、ステップと、(iii)人工呼吸器の吸気又は呼気換気フェーズの他方において更新された超音波画像を受信し、更新された超音波画像を、人工呼吸器の吸気及び呼気換気フェーズの他方としてラベル付けするステップと、(iv)更新された超音波画像内のBラインの数を決定するステップであって、更新された超音波画像内の決定された数のBラインはBラインの最大数及び/又は平均数を含む、ステップと、(v) 前記ラベル付けされた受信された超音波画像における決定されたBラインの数を、前記更新された超音波画像における決定されたBラインの数と比較して、呼気換気段階に対する吸気換気段階におけるBラインの最大及び/又は平均数の比を識別するステップであって、前記比は前記VALIを示すメトリックである、ステップとを有する。
【0022】
一実施形態によれば、受信された超音波画像を解析するステップは、(i) 前記人工呼吸器の決定された換気フェーズから、前記患者の肺の完全な呼気が達せられたことを決定するステップと、(ii) 患者の肺の完全な呼気が達せられた後に、前記受信された超音波画像内の胸膜線を識別するステップと、(iii)胸膜線が識別される場合、前記受信された超音波画像内の壁側胸膜及び臓側胸膜を識別するステップと、(iv)前記超音波装置から、更新された超音波画像を受信するステップと、(v)前記更新された超音波画像内の胸膜線を識別し、前記更新された超音波画像内の壁側胸膜(Rp)及び臓側胸膜(Rv)を識別するステップと、(iv)前記受信された超音波画像及び更新された超音波画像における壁側胸膜及び臓側胸膜を比較することによって、壁側変位ベクトル(dp)及び臓側変位ベクトル(dv)を決定するステップと、(vii)前記臓側変位ベクトルから壁側変位ベクトルを差し引くことによって、相対変位(di)を決定するステップと、(viii)前記相対変位から、前記VALIを示すメトリックを計算するステップとを有する。
【0023】
一実施形態によれば、本方法は、肺損傷モニタリングシステムのユーザインターフェースを介して、潜在的VALIについて決定されたリスクスコアを表示するステップをさらに含む。一実施形態によれば、ユーザディスプレイは、患者に関するモニタリング情報又は統計学的情報のうちの1つ又は複数をさらに表示する。
【0024】
以下でより詳細に論じられる前述の概念及び追加の概念のすべての組合せ(そのような概念が相互に矛盾しないことを条件として)は、本明細書で開示される発明の主題の一部であると企図されることを諒解されたい。特に、本開示の末尾にあるクレームの対象は、本明細書に開示される発明対象の一部であることが意図される。
【0025】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【0026】
図面において、文献のように、同様の参照符号は概して異なる図面を通じて同一の部分を指す。また、図面は必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を例示することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一実施形態による、肺損傷モニタリングシステムを使用して換気中に患者の肺を監視するための方法のフローチャートである。
図2】一実施形態による、肺損傷モニタリングシステムの概略図である。
図3】一実施形態による、肺損傷モニタリングシステムを使用して換気中に患者の肺をモニタリングするための方法のフローチャートである。
図4】一実施形態による、肺損傷モニタリングシステムを使用して換気中に患者の肺をモニタリングするための方法のフローチャートである。
図5】一実施形態による、肺損傷モニタリングシステムを使用して換気中に患者の肺をモニタリングするための方法のフローチャートである。
図6】一実施形態による、肺損傷モニタリングシステムを使用して換気中に患者の肺をモニタリングするための方法のフローチャートである。
図7】一実施形態による、人工呼吸器システムのためのディスプレイの概略図である。
図8】一実施形態による、人工呼吸器システムのためのディスプレイの概略図である。
図9】一実施形態による、人工呼吸器システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示は、人工呼吸器システム及び方法の様々な実施形態を説明する。より一般的には、本出願人が超音波技術を使用して人工呼吸器関連肺損傷を検出する人工呼吸器システム及び方法を提供することが有益であることを認識し、理解した。例えば、人工呼吸器システムは、患者の換気中に患者の肺の超音波画像を取得するように構成された超音波装置を備える。システムは人工呼吸器の換気段階を決定し、受信した超音波画像を解析し、解析に基づいて、人工呼吸器関連肺損傷(VALI)の可能性についてのリスクスコアを決定する。次いで、システムは、肺損傷モニタリングシステムのユーザインターフェースを介して、潜在的VALIのリスクスコアを表示することができる。
【0029】
本明細書に開示されるか、又はそうでなければ想定される人工呼吸器システム及び方法は、先行技術を超える多数の利点を提供する。超音波技術を使用して人工呼吸器関連肺損傷の検出及び診断を可能にする人工呼吸器を提供することは、重篤な肺損傷を防止し、患者の転帰を改善し、潜在的に命を救うことができる。
【0030】
図1を参照すると、一実施形態では、肺損傷モニタリングシステムを使用して換気中に患者の肺を監視するための方法100のフローチャートが示されている。図に関連して説明される方法は、例としてのみ提供され、本開示の範囲を限定するものではないと理解されるべきである。肺損傷モニタリングシステムは、本明細書に記載されるか、又は他の方法で想定されるシステムのいずれかであり得る。肺損傷モニタリングシステムは、単一のシステム又は複数の異なるシステムとすることができる。
【0031】
本方法のステップ102において、肺損傷モニタリングシステム200が提供される。図2に示す肺損傷モニタリングシステム200の実施形態を参照すると、例えば、システムは、1つ以上のシステムバス212を介して相互接続された、プロセッサ220、メモリ230、ユーザインターフェース240、通信インターフェース250、記憶装置260、人工呼吸器デバイス270、及び超音波装置280のうちの1つ以上を備える。図2はいくつかの点で、抽象化を構成し、システム200の構成要素の実際の編成は図示されているものとは異なり、より複雑であり得ることを理解されたい。加えて、肺損傷モニタリングシステム200は、本明細書に記載されるか、又はそうでなければ想定されるシステムのいずれかであり得る。システム200の他の要素及び構成要素は、本明細書の他の場所に開示され、及び/又は想定される。
【0032】
方法のステップ104において、肺損傷モニタリングシステム200の人工呼吸器装置270は、患者(図示せず)を換気するために利用される。人工呼吸器装置は、換気を必要とする任意の理由で患者を換気するのに適した任意の装置であり得る。肺損傷モニタリングシステムのための設定は、病院設定、介護施設設定、長期ケア設定、家庭設定、及び/又は任意の他のヘルスケア設定であり得る。人工呼吸器装置の1つ又は複数のパラメータは、医療専門家によって設定、調整、事前プログラム、又は他の方法で決定することができる。
【0033】
本方法のステップ106において、医療専門家は、肺損傷モニタリングシステム200の超音波装置280を利用して、患者(図示せず)に対して超音波画像を実行する。超音波装置は、患者から超音波画像を取得するか、そうでなければ受信するのに適した任意の装置とすることができる。超音波装置の1つ又は複数のパラメータは、医療専門家によって設定、調整、事前プログラム、又は他の方法で決定することができる。
【0034】
本方法のステップ108において、肺損傷モニタリングシステムは、超音波イメージング装置から超音波画像を受信する。受信された超音波画像は、単一の画像又は複数の画像であってもよく、患者及び/又は患者の肺もしくは複数の部分、又は患者及び/又は患者の肺もしくは複数の部分の撮像を含んでもよい。画像は、換気の任意の段階中に得ることができる。受信された超音波画像は即座に利用することができ、又は後の使用のためにローカル又は遠隔記憶に格納することができる。
【0035】
本方法のステップ110において、肺損傷モニタリングシステムは、人工呼吸器の換気段階を決定する。これは、方法のステップ108において超音波画像を取得することに関連して決定されてもよい。例えば、システムは超音波画像が取得又は受信されたときに、患者及び/又は人工呼吸器が呼吸サイクルに沿ってどの点で動作しているかなど、人工呼吸器の換気フェーズを決定することができる。換気装置の換気段階は、多種多様な機構を使用して決定することができる。例えば、これは、呼吸サイクルの開始を示す、例えば吸気で開始する、人工呼吸器からの1つ又は複数のトリガ信号を使用して達成することができる。一実施形態によれば、1つの完全呼吸サイクルはそれぞれのフェーズの開始を示す人工呼吸器からの複数のトリガ信号を使用するか、又は単一のトリガ及び各サイクル中の呼気時間に対する吸気の固定比(例えば、50:50又は40:60)を使用するかのいずれかで、吸気及び呼気フェーズに分割することができる。システムは人工呼吸器からの信号を使用して呼吸フェーズ及び/又は換気フェーズを監視することができ、呼吸フェーズ及び/又は換気フェーズが本明細書で説明されるか又はそうでなければ想定されるその後の解析のための望ましい段階にあるとき、超音波画像がより適切に取得されるか、又は受信された超音波画像がより適切に使用されると決定することができる。
【0036】
本方法のステップ112において、肺損傷モニタリングシステムは、受信された超音波画像を解析する。一実施形態によれば、肺損傷モニタリングシステム200のプロセッサ220は画像を解析する。システムによる画像の解析の多数の実施形態があり、これらの実施形態のいくつかを以下でより詳細に説明する。一実施形態によれば、方法のステップ112における解析の出力は、メトリック、比、又は可能性のある肺損傷の識別又は診断を可能にする他のデータである。この出力はすぐに利用することができ、又は後で使用するためにローカル又は遠隔記憶に格納することができる。
【0037】
方法のステップ114において、肺損傷モニタリングシステムは、方法のステップ112からの解析の出力を使用して、人工呼吸器関連肺損傷(VALI)の可能性についてのリスクスコアを決定する。一実施形態によれば、システムは、出力メトリック、比、又は他のデータを利用して、可能性のある肺損傷のリスクスコアを識別、決定、及び/又は診断する。可能性のある肺傷害の同定、リスクスコアリング、及び/又は診断のための方法及びアプローチの多数の実施形態が存在し、これらの実施形態のうちのいくつかは、以下でより詳細に説明される。
【0038】
方法のオプションステップ116において、肺損傷モニタリングシステムは、ユーザインターフェース240を使用して、可能性のあるVALIの識別、リスクスコアリング、及び/又は診断を表示するか、又は他の方法で提供する。ユーザインターフェースは、ユーザに情報を伝達するのに十分な任意の方法又はコンポーネントであり得る。一実施形態によれば、システムは、ユーザインターフェース又はシステムのディスプレイ上にレポートを表示することができる。ディスプレイは、可能性のあるVALIの識別、リスクスコアリング、及び/又は診断に関する情報、患者に関する情報、患者に関する人口統計学的データに関する情報、患者に関するモニタリング又はバイタルサインデータに関する情報、及び/又は他の情報を含むことができる。報告は、有線及び/又は無線通信によって別のデバイスに通信され得る。例えば、システムは、携帯電話、コンピュータ、ラップトップ、ウェアラブルデバイス、及び/又はレポートのディスプレイ及び/又は他の通信を可能にするように構成された任意の他のデバイスにレポートを通信することができる。
【0039】
図3を参照すると、一実施形態では、図1の方法のステップ112に記載されるように、肺損傷モニタリングシステムによる超音波イメージングの解析のための方法のフローチャート300である。方法100における先のステップを参照すると、超音波画像が取得される。例えば、超音波プローブ又はパッチは、手動又は機械的位置決めなどによって、関心肺領域を撮像するように位置決めされる。一つ又は複数の画像は、その位置から始まって取得され、1つ以上の追加画像をカバーすることがある。現在の人工換気装置段階はまた、いくつかの可能な機構のうちの1つを使用して、肺損傷モニタリングシステムによって決定される。
【0040】
方法のステップ302において、受信された超音波画像は、人工呼吸器の決定された換気段階に基づいて、吸気又は呼気段階画像としてラベル付けされる。画像は、多種多様な可能な機構のいずれかを使用して、吸気又は呼気の段階画像としてラベル付けされるか、又は他の方法で識別され得る。
【0041】
本方法のステップ304において、肺損傷モニタリングシステムは、ラベル付けされた受信された超音波画像内のいくつかのBラインを決定する。例えば、肺損傷モニタリングシステムのプロセッサ220は画像を解析し、画像内のBラインの数を決定するように構成又は設計することができる。一実施形態によれば、ラベル付き受信された超音波画像内の決定されたBライン数は、画像内又は1つ又は複数の画像内のBラインの最大数及び/又は平均回数を含むことができる。画像内のBラインの数は、様々な方法を使用して決定することができる。一実施形態によれば、画像内のBラインの数は、畳み込みニューラルネットワークをトレーニングして、バッファの各超音波Bモード画像内のBラインを検出することによって決定される。
【0042】
別の実施形態によれば、肺損傷モニタリングシステムは、ラベル付けされた受信された超音波画像内の1つ又は複数のBラインの外観を決定する。例えば、肺損傷モニタリングシステムのプロセッサ220は画像を解析し、画像内のBラインの外観を決定するように構成又は設計することができ、外観は、1つ以上のBラインの幅などのパラメータとすることができる。画像中のBラインの外観は、様々な方法を使用して決定することができる。一実施形態によれば、画像内のBラインの外観は、超音波画像内のBラインを検出及び測定するために畳み込みニューラルネットワークをトレーニングすることによって決定される。
【0043】
本方法のステップ306において、超音波画像が取得される。例えば、超音波プローブ又はパッチは、手動又は機械的位置決めなどによって、同じ関心肺領域を撮像するように位置決めされる。超音波画像は人工呼吸器の吸気又は呼気換気フェーズにおいて得られ、画像は人工呼吸器の吸気又は呼気換気フェーズとしてラベル付けされる。画像は、多種多様な可能な機構のいずれかを使用して、吸気又は呼気の段階画像としてラベル付けされるか、又は他の方法で識別され得る。
【0044】
方法のステップ308において、肺損傷モニタリングシステムは、更新された超音波画像内のBラインの数又は外観を決定する。例えば、肺損傷モニタリングシステムのプロセッサ220は画像を解析し、更新された超音波画像におけるBラインの数及び/又は外観を決定するように構成又は設計することができる。一実施形態によれば、更新された超音波画像におけるBラインの決定された数及び/又は外観は、画像又は1つ以上の画像におけるBラインの最大数及び/又は平均数を含むことができる。更新された超音波画像におけるBラインの数及び/又は外観は、様々な方法を使用して決定することができる。一実施形態によれば、更新された超音波画像におけるBラインの数及び/又は外観は、畳み込みニューラルネットワークをトレーニングしてバッファの各超音波Bモード画像におけるBラインを検出することによって決定される。
【0045】
方法のステップ310において、ラベル付けされた受信された超音波画像における決定されたBラインの数及び/又は外観が、更新された超音波画像における決定されたBラインの数及び/又は外観と比較される。例えば、肺損傷モニタリングシステムのプロセッサ220は、吸気フェーズの画像と呼気フェーズの画像との間など、2つ以上の画像間の決定されたBラインの数及び/又は外観を比較するように構成又は設計され得る。一実施形態によれば、比較は、呼気換気段階に対する吸気換気段階におけるBラインの最大(RM)及び/又は平均(RA)数の比を決定、計算、又は識別するために利用される。一実施形態によれば、この比は、VALIを示すメトリックである。一実施形態によれば、比率は、ディスプレイ、他のメトリックとの組み合わせ、及び/又は視覚化のためのディスプレイモジュールと共有される。
【0046】
一実施形態によれば、識別された比は識別された比が所定の閾値を上回る場合、潜在的VALIを示し、識別された比は、識別された比が所定の閾値を下回る場合、健康な肺を示す。例えば、周期性無気肺の潜在的リスクの検出又は診断などの一実施形態によれば、RM <1のBライン比は低リスクにマッピングされ、RM >2のBライン比は高リスクにマッピングされ、中間比は対応する中間リスクレベルにマッピングされるが、他の範囲及び閾値も可能である。あるいは危険度がMe(呼気中の画像フレーム当たりのBラインの最大数)とMi(吸気中の画像フレーム当たりのBラインの最大数)との間に実質的な差異がある呼吸サイクルの割合に基づいて決定することができ、「実質的な差異」はMe>3及びMi <3のサイクルとして定義することができるが、他の範囲及び閾値も考えられる。 さらに、Bライン(Me, Mi)の絶対数は比率ではなく、又は比率と併せて、危険度を決定又は修正するために使用することができる(例えば、Me及びMiの両方が>3である場合に増加する)。別の実施形態によれば、図5のステップ7に示されるように、呼気(Ae)及び吸気(Ai)中の画像フレーム当たりのBラインの平均個数、並びに対応する比率RAを使用することができる。
【0047】
一実施形態によれば、臨床医は、肺傷害又はリスクを決定又は診断することに対して、Bライン閾値を調整又は設定又は事前決定することができる。例えば、臨床医は、どの比率又は比率が低リスクであるか、どの一つ又は複数の比率が中間リスクであるか、どの一つ又は複数の比率が高リスクであるか、又は任意の他の範囲又は閾値を決定することができる。臨床医は換気の開始時にこれを行うことができ、臨床医によって決定又は設定される閾値は、患者の他のリスク指標又は係数と相対的であり得る。例えば、患者が肺損傷のリスクが高い場合、臨床医は肺損傷モニタリングシステムによるより感度の高いリスク識別を可能にするために、閾値又は設定を調整することができる。
【0048】
図5を参照すると、実施形態では、図1の方法のステップ112に記載されるように、肺損傷モニタリングシステムによる超音波イメージングの解析のための方法のフローチャート500である。フローチャート500に示される方法は、フローチャート300に示される方法の代替的な視覚化である。
【0049】
図4を参照すると、一実施形態では、図1の方法のステップ112に記載されるように、肺損傷モニタリングシステムによる超音波イメージングの解析のための方法のフローチャート400である。方法100における先のステップを参照すると、超音波画像が取得される。例えば、超音波プローブ又はパッチは、手動又は機械的位置決めなどによって、関心肺領域を撮像するように位置決めされる。一つ又は複数の画像は、その位置から始まって取得され、1つ以上の追加画像をカバーすることがある。現在の人工換気装置段階はまた、いくつかの可能な機構のうちの1つを使用して、肺損傷モニタリングシステムによって決定される。
【0050】
方法のステップ402において、人工呼吸器システムは、患者の肺の完全な呼気に達したことを決定する。これは、例えば、人工呼吸器からの信号を監視することによって、又は他の機構を介して行うことができる。
【0051】
方法のステップ404において、人工呼吸器システムが患者の肺の完全な呼気に達したと決定したときに捕捉された超音波画像を使用して、肺損傷モニタリングシステムは、画像内の胸膜線を識別する。胸膜線は、様々な異なる機構を用いて同定することができる。一実施形態によれば、胸膜線は、胸膜線の検出のために訓練された畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使用して識別することができる。あるいは、システムが高エコー胸膜線領域のフィルタリング及び閾値化を介して従来の画像処理を利用することができる。現在の画像に胸膜線が見つからない場合、システムは、方法の前のステップに戻る。
【0052】
該方法のステップ406において、胸膜線が肺超音波画像内に見つかった場合、該システムは、該画像を解析して、受信した超音波画像内の壁側胸膜(Rp)及び臓側胸膜(Rv)を識別する。これらの関心領域は、様々な異なる機構を用いて同定することができる。
【0053】
該方法のステップ408において、該システムは、該超音波装置から更新された超音波画像受信する。
【0054】
方法のステップ410において、肺損傷モニタリングシステムは胸膜線を識別するために、更新された超音波画像を解析する。画像はまた、更新された超音波画像における壁側胸膜(Rp)及び臓側胸膜(Rv)の関心領域(ROI)を識別するために解析される。これらの関心領域は、様々な異なる機構を用いて同定することができる。一実施形態によれば、関心領域は、これらの領域の検出のために訓練された畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使用して識別することができる。あるいは、システムが関心領域を識別するために、フィルタリング及び閾値化を介して従来の画像処理を利用することができる。
【0055】
方法のステップ412において、肺損傷モニタリングシステムは、受信した超音波画像における壁側胸膜ROI及び臓側胸膜ROIを、更新された超音波画像における壁側胸膜ROI及び臓側胸膜ROIと比較する。この比較に基づいて、システムは、壁側変位ベクトル(dp)及び臓側変位ベクトル(dv)を決定する。関心領域の見かけの動きは、変位ベクトルを生成するために、例えば、相互相関などの当技術分野で知られている方法を使用して追跡される。別の実施形態によれば、2つの超音波画像が取得され、ベースラインに対する変位を識別するのではなく、動きの速度は、2つの画像内の関心領域間の相対変位の変化を計算することによって決定される。
【0056】
該方法のステップ414では、該システムがdvからdpを減算することによって、相対移動量(di)を決定する。
【0057】
該方法のステップ416において、該システムは、該相対移動(di)を利用して、人工呼吸器関連肺損傷の潜在的VALIを示す測定基準を計算又は決定する。利用され得るいくつかのメトリック、及びメトリックを計算するためのいくつかの方法がある。一実施形態によれば、システムは換気装置からの信号などから換気フェーズを決定し、換気フェーズは完全な呼吸サイクル(例えば、0=完全な呼気、π=完全な吸気、2π=次のサイクルにおける完全な呼気)について[0..2*π]などの間隔にマッピングされる。次に、生変位値(di)を用いて、換気フェーズの関数としての変位の大きさ及び速度、ならびにフェーズラグなどの定量的肺摺動パラメータを計算する。振幅は、1回の呼吸サイクル内の最大変位である。速度は時間当たりの変位であり、関連する導出された要約統計は、サイクル当たりの最大又は平均速度である。位相遅れは、ピーク変位とピーク吸気/呼気換気フェーズとの間の時間遅れを計算することによって決定される。一実施形態によれば、これらの決定されたパラメータは、VALIを示すメトリックである。一実施形態によれば、決定されたパラメータは、ディスプレイ、他のメトリックとの組み合わせ、及び/又は視覚化のためのディスプレイモジュールと共有される。
【0058】
一実施形態によれば、決定されたパラメータは識別された比が所定の閾値を上回る場合に潜在的VALIを示し、パラメータは、パラメータが所定の閾値を下回る場合に健康な肺を示す。例えば、過膨張の潜在的リスクの検出又は診断などの一実施形態によれば、肺摺動パラメータは、低から高までのリスク範囲をマッピングするようにスケーリング及び閾値化され得る。振幅パラメータについては、>10mmの振幅を低リスクにマッピングすることができ、<1mmの振幅を高リスクにマッピングすることができる。閾値及びスケーリングは、各ゾーン及び患者に対して調整することができる。特に、閾値は機械的換気の前又は開始時に観察される振幅に対してスケーリングすることができ、その結果、摺動振幅(又は速度又は位相遅れ)の任意の減少を、過膨張のリスクの増加として視覚化することができる。
【0059】
図6を参照すると、実施形態では、図1の方法のステップ112に記載されるように、肺損傷モニタリングシステムによる超音波イメージングの解析のための方法のフローチャート600である。フローチャート600に示される方法は、フローチャート400に示される方法の代替的な視覚化である。
【0060】
図1に関して説明した方法100に戻って参照すると、本方法のオプションステップ116において、肺損傷モニタリングシステムは、ユーザインターフェース240を使用して、可能性のあるVALIの識別、リスクスコアリング、及び/又は診断を表示又は提供する。ユーザインターフェースは、ユーザに情報を伝達するのに十分な任意の方法又はコンポーネントであり得る。一実施形態によれば、超音波画像解析からの出力は、超音波測定値が取得された1つ又は複数の肺領域について、低から高までなどの縮尺で表示されるように処理され、正規化される。一実施形態によれば、VALIリスクレベルは、とりわけ、超音波システム、換気機器、又はモバイルデバイスを含む独立した機器上に表示することができる。
【0061】
一実施形態によれば、肺損傷モニタリングシステムはユーザインターフェース240を使用して可能性のあるVALIの識別、リスクスコア付け、及び/又は診断を表示するか、又は他の方法で提供し、ならびに/又はユーザインターフェースを使用して可能性のあるVALIの識別、リスクスコア付け、及び/又は診断に基づいて推奨を表示するか、又は他の方法で提供する。例えば、肺損傷モニタリングシステムは可能性のあるVALIを最小限にするか、そうでなければ治療するか、又は対処するために、治療又は他の動作を推奨するか、又は他の方法で提案することができる。一実施形態によれば、肺損傷モニタリングシステムは、患者の換気を最適化するための治療又は他の動作を推奨又は示唆することができる。例えば、システムは、肺胞状態の局所的分布に基づいて患者を位置決めするための推奨を提供することができる。例えば、右側が適切な換気を受けていない間に、肺の左葉がより過膨張した肺胞を有する場合、システムは左側部分がベッド又は他の表面上にあるように、患者の側に患者を配置することを推奨することができる。これは、重力のさらなる助けを可能にし、右側における肺胞の開放(すなわち、より良好な1回換気量分布)をさらに助ける。例えば、仰臥位、腹臥位、側臥位などの体位は肺損傷モニタリングシステムによって決定されるように、不均一な分布の場合、肺胞の局所状態によって誘導され得る。したがって、身体の位置決めは、定量化によって導かれるような客観的な方法で行うことができる。
【0062】
図7を参照すると、一実施形態では、可能性のあるVALIについての識別、診断、リスクスコアリング、又は他の情報を提供するディスプレイの可能な例である。この実施形態によれば、方法100、300、及び/又は400の出力は、超音波測定値が取得された1つ又は複数の肺領域について、低から高までなどの縮尺で表示されるように処理及び正規化される。ディスプレイは個々の肺ゾーンについての視覚化、識別、診断、リスクスコアリング、又は他の情報を提供してもよく、又はディスプレイは複数の肺ゾーンについての視覚化、識別、診断、リスクスコアリング、又は他の情報を提供してもよく、又はディスプレイは肺全体について組み合わされた視覚化、識別、診断、リスクスコアリング、又は他の情報を提供してもよい。
【0063】
図8を参照すると、一実施形態では、可能性のあるVALIについての識別、診断、リスクスコアリング、又は他の情報を提供するディスプレイの可能な例である。この実施形態によれば、方法100、300、及び/又は400の出力は、超音波データが取得された解剖学的肺領域にマッピングされた、すべての肺ゾーンに関する視覚化、識別、診断、リスクスコアリング、又は他の情報を同時に提供するために利用される。解剖学的マッピングは異なる画像ゾーンから連続的に超音波データを取得し、データが取得されたゾーン番号/位置を手動で入力することによって、又はゾーン取得の所定のシーケンスに従うことによって、又は取得ゾーンを自動的に決定する方法を使用することによって、又は異なる肺ゾーンを画像するように配置された複数のプローブ(「パッチ」)からデータを取得することによって達成される。この実施形態によれば、多くの変形が可能であり、円は、表示される無気肺又は過膨張のラジオボタンスタイル選択を表す。ディスプレイの下部にある四角形は図の凡例を表す。胸部の正方形は、1つ、2つ、又はそれ以上のVALIのリスクレベルを表す。例えば、図中の上側の色分けされたボックスは過膨張リスクを表すことができ、下側のボックスは、無気肺リスクを表すことができる。多くの他のリスク及び可視化オプションが可能である。
【0064】
図9を参照すると、一実施形態では、肺損傷モニタリングシステム900が示されている。肺損傷モニタリングシステムは、人工呼吸器装置970及び超音波装置980を備える。この実施形態では、超音波装置が本明細書で説明されるか、そうでなければ想定される方法の出力を通信するためのユーザインターフェース940を備える。
【0065】
肺損傷モニタリングシステム200の多くの変形例及び実施形態、ならびにその使用の方法(例えば、フローチャート100、300、及び400によって表される方法)が可能である。例えば、超音波データを他の臨床データ及び/又は人口統計データと組み合わせて、さらにより正確な患者固有のVALIリスク推定を生成することができる。臨床データ又は人口統計学的データは患者のVALIリスクに影響を及ぼし、減少し、又は増加し得る任意の情報であり得る。すべての超音波パラメータは例えば、臨床データ、CT、及び/又は他のソースから得られたグランドトゥルースを使用してリスクを予測するように訓練されたアルゴリズムを使用して、関節リスク予測のために組み合わせることができる。さらに、静的又は動的空気気管支図などの他の超音波特徴を使用して、リスクレベルを修正することができる。
【0066】
別の実施形態によれば、超音波データ取得は、胸膜歪み測定又は表面波速度推定を含むことができる。これらのデータは、肺摺動データと組み合わせて、又は独立して、過膨張のためのVALIリスクレベルインジケータを生成又は修正するために使用され得る。
【0067】
別の実施形態によれば、VALIリスクを経時的に記録又は追跡して、肺治癒の進行を評価し、品質管理データとして使用し、又は多くの他の用途に使用することができる。リスクは、他の使用の中でも、疫学的統計のための入力として、患者についての他の臨床データと組み合わせることができる。
【0068】
別の実施形態によれば、システムは、長手方向のゾーンワイズ追跡に関与することができる。例えば、初期人工呼吸器設定を設定する前に患者が撮像された場合、フォローアップ人工呼吸器設定チェックは、以前のスキャンからの学習を利用することができる。例えば、周期性無気肺又は容積外傷の症状を示す肺の領域についての事前知識は、システム又はディスプレイを使用して強調することができる。次いで、ユーザは最初に、それらの領域を画像化して、何らかの変化があるかどうかを確認し、その後、他の領域/ゾーンを画像化して、新たな関心領域が発達し始めたかどうかをチェックするように誘導され得る。各スキャンは、その患者のための長手方向の進捗表示又は記録に追加することができる新たなデータ点をもたらす。各ゾーンにおける超音波パラメータ(例えば、RM)又はリスクレベルの経時的な変化は、患者の状態の変化を示し得るので、具体的に強調することができる。
【0069】
別の実施形態によれば、システムは、患者の呼気終末陽圧(PEEP)及び1回換気量(VT)又は最大吸気圧(PIP)を最適化することができる。例えば、時間PEEP及びVTの個別化された選択は、臨床医によって達成され得る。本方法は、異なるPEEPで使用して、臨床医にPEEPの関数として無気肺の全体マップを提供することができる。最適なPEEPは、適切な換気での吸気の開始時にBラインの絶対量を減少させるものであり得る。1回換気量を決定するために、固定されたPEEPで、異なる1回換気量が投与され、肺摺動(又は過膨張)の全体マップがVTの関数として達成される。適切な換気での肺摺動に基づいて、最小の過膨張を有するVTは、最適なVTとして設定される。臨床医は患者の改善又は悪化を監視するために、Bライン及び肺摺動を時間とともに再評価し、必要に応じて、同じプロセスを再度適用して、新しい最適換気点を識別することができる。多くの他の変形が可能である。
【0070】
図2を参照すると、肺損傷モニタリングシステム200の概略図が示されている。システム200は、本明細書で説明されるか、又は他の方法で想定されるシステムのいずれかであってもよく、本明細書で説明されるか、又は他の方法で想定される構成要素のいずれかを含んでもよい。図2はいくつかの点で、抽象化を構成し、システム200の構成要素の実際の編成は図示されているものとは異なり、より複雑であり得ることを理解されたい。
【0071】
一実施形態によれば、システム200はメモリ230もしくは記憶装置260に記憶された命令を実行すること、又は他の方法でデータを処理して、例えば、方法の1つ又は複数のステップを実行することが可能なプロセッサ220を備える。プロセッサ220は、1つ又は複数のモジュールから形成され得る。プロセッサ220は限定はしないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、複数のマイクロコントローラ、回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、単一のプロセッサ、又は複数のプロセッサを含む、任意の適切な形態をとることができる。
【0072】
メモリ230は、不揮発性メモリ及び/又はRAMを含む任意の適切な形態をとることができる。メモリ230はたとえば、L1、L2、又はL3キャッシュ又はシステムメモリなどの様々なメモリを含み得る。したがって、メモリ230は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、又は他の同様のメモリデバイスを含み得る。メモリは、とりわけ、オペレーティングシステムを記憶することができる。RAMは、データの一時記憶のためにプロセッサによって使用される。一実施形態によれば、オペレーティングシステムは、プロセッサによって実行されると、システム200の1つ又は複数の構成要素の動作を制御するコードを含むことができる。プロセッサが本明細書で説明する機能のうちの1つ又は複数をハードウェアで実装する実施形態では、他の実施形態ではそのような機能に対応するものとして説明するソフトウェアは省略され得ることが明らかであろう。
【0073】
ユーザインターフェース240は、ユーザとの通信を可能にするための1つ又は複数のデバイスを含み得る。ユーザインターフェースは、情報が伝達及び/又は受信されることを可能にする任意のデバイス又はシステムであり得、ユーザコマンドを受信するためのディスプレイ、マウス、及び/又はキーボードを含み得る。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース240が通信インターフェース250を介してリモート端末に提示され得るコマンドラインインタフェース又はグラフィカルユーザインタフェースを含み得る。ユーザインターフェースは、システムの1つ又は複数の他の構成要素とともに配置されてもよく、又はシステムから遠隔に配置され、有線及び/又は無線通信ネットワークを介して通信してもよい。
【0074】
通信インターフェース250は、他のハードウェアデバイスとの通信を可能にするための1つ又は複数のデバイスを含み得る。例えば、通信インターフェース250は、イーサネット(登録商標)プロトコルに従って通信するように構成されたネットワークインターフェースカード(NIC)を含み得る。さらに、通信インターフェース250は、TCP/IPプロトコルに従って通信するためのTCP/IPスタックを実装することができる。通信インターフェース250のための様々な代替又は追加のハードウェア又は設定が明らかであろう。
【0075】
記憶装置260は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、又は同様の記憶媒体などの1つ又は複数の機械可読記憶媒体を含み得る。様々な実施形態では、記憶装置260がプロセッサ220による実行のための命令、又はプロセッサ220が動作することができるデータを記憶することができる。たとえば、ストレージ260は、システム200の様々な動作を制御するためのオペレーティングシステム261を記憶することができる。
【0076】
記憶装置260に記憶されるように説明される様々な情報が追加的に又は代替的に、メモリ230に記憶され得ることが明らかであろう。この点に関して、メモリ230は記憶デバイスを構成すると見なされてもよく、記憶装置260はメモリと見なされてもよい。様々な他の装置が明らかであろう。さらに、メモリ230及び記憶装置260は両方とも、非一時的な機械可読媒体であると見なされ得る。本明細書で使用するとき、非一時的という用語は一時的な信号を除外するが、揮発性メモリと不揮発性メモリの両方を含む、すべての形態の記憶装置を含むと理解される。
【0077】
システム200は説明される各構成要素のうちの1つを含むものとして示されているが、様々なコンポーネントは様々な実施形態において複製され得る。たとえば、プロセッサ220は本明細書で説明する方法を独立して実行するように構成された、又は本明細書で説明する方法のステップ又はサブルーチンを実行するように構成された複数のマイクロプロセッサを含むことができ、その結果、複数のプロセッサは、本明細書で説明する機能を達成するために協働する。さらに、システム200の1つ又は複数の構成要素がクラウドコンピューティングシステムにおいて実装される場合、様々なハードウェア構成要素は、別個の物理システムに属し得る。たとえば、プロセッサ220は第1のサーバ内に第1のプロセッサを含み、第2のサーバ内に第2のプロセッサを含み得る。多くの他の変形及び構成が可能である。
【0078】
一実施形態によれば、システム200の記憶装置260は、本明細書に記載されるか又はそうでなければ想定される方法の1つ又は複数の機能又はステップを実行するための1つ又は複数のアルゴリズム、モジュール、及び/又は命令を記憶することができる。例えば、システムは、他の多くの可能な命令及び/又はデータの中でもとりわけ、換気命令262、超音波命令263、解析命令264、及び/又は報告命令265を含むことができる。
【0079】
一実施形態によれば、換気装置命令262は肺損傷モニタリングシステム200の人工呼吸器装置270を操作するように、具体的には患者を換気装置するようにシステムに命令する。人工呼吸器装置は、換気を必要とする任意の理由で患者を換気するのに適した任意の装置であり得る。人工呼吸器デバイス命令の1つ又は複数のパラメータは、医療専門家によって設定、調整、事前プログラム、又は他の方法で決定することができる。したがって、換気命令262は、患者を換気するために換気装置の動作を可能にする。
【0080】
一実施形態によれば、超音波命令263は肺損傷モニタリングシステム200の超音波装置280を動作させるように、具体的には、患者の肺の1つ又は複数の領域の1つ又は複数の超音波画像を取得するように、システムに指示する。超音波装置は、患者から超音波画像を取得するか、そうでなければ受信するのに適した任意の装置とすることができる。超音波装置の1つ又は複数のパラメータは、医療専門家によって設定、調整、事前プログラム、又は他の方法で決定することができる。したがって、超音波命令263は、超音波画像を取得及び/又は処理するための超音波装置の動作を可能にする。
【0081】
一実施形態によれば、解析命令264は識別、診断、リスクスコアリング、及び/又は可能性のあるVALIに関する他の情報などの出力を導出するために、1つ又は複数の受信された超音波画像を解析するようにシステムに指示する。システムによる画像の解析の多数の実施形態、したがって解析命令264の多数の実施形態が存在する。フローチャート300及び400を含むいくつかの実施形態が本明細書でより詳細に説明されるが、これらは可能な解析の例にすぎない。一実施形態によれば、解析命令264によって指示される解析の結果はメトリック、比、又は可能性のある肺損傷の識別、診断、又はリスクスコアリング、解析、又は予測を可能にする他のデータである。この出力はすぐに利用することができ、又は後で使用するためにローカル又は遠隔記憶に格納することができる。
【0082】
一実施形態によれば、報告命令265は肺損傷モニタリングシステム200のユーザインターフェース240を介して、報告又は視覚化を生成し、ユーザに提供するようにシステムに指示する。レポート又は視覚化は例えば、識別、診断、リスクスコアリングに関する情報、及び/又は可能性のあるVALIに関する他の情報を含む。ユーザインターフェースは、ユーザに情報を伝達するのに十分な任意の方法又はコンポーネントであり得る。一実施形態によれば、命令は、ユーザインターフェース又はシステムのディスプレイ上に情報を表示するようにシステムに指示することができる。ディスプレイは、可能性のあるVALIの識別、リスクスコアリング、及び/又は診断に関する情報、患者に関する情報、患者に関する人口統計学的データに関する情報、患者に関するモニタリング又はバイタルサインデータに関する情報、及び/又は他の情報を含むことができる。報告は、有線及び/又は無線通信によって別のデバイスに通信され得る。例えば、システムは、携帯電話、コンピュータ、ラップトップ、ウェアラブルデバイス、及び/又はレポートのディスプレイ及び/又は他の通信を可能にするように構成された任意の他のデバイスにレポートを通信することができる。
【0083】
したがって、本明細書に開示されるか、又はそうでなければ想定される人工呼吸器システム及び方法は、先行技術を超える多数の利点を提供する。可能性のある肺損傷の同定、診断、又はリスクスコアリング、解析、又は予測を可能にする人工呼吸器システムを提供することは、患者の転帰を著しく改善し、命を救うことさえできる。
【0084】
全ての定義は本明細書中で定義されかつ用いられるように、辞書的定義、引用により援用された書類中の定義、及び/又は定義された用語の通常の意味を支配すると理解されるべきである。
【0085】
不定冠詞「a」及び「an」は明細書及び特許請求の範囲において、ここに用いられるように、明瞭に反対のことが示されるのでなければ、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0086】
フレーズ「及び/又は」、明細書及び特許請求の範囲において、ここに用いるように、そのように連結されたエレメント、すなわち、いくつかの場合には同時に存在し、及び他の場合には同時でなく存在するエレメントの「いずれか又は双方」を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」でリストされた多数のエレメントは同じように、すなわち、そのように連結されたエレメントの「1以上」と解釈されるべきである。他のエレメントは所望により、具体的に特定されたそれらのエレメントに関連するか関連しないかを問わず「及び/又は」節によって具体的に同定されたエレメント以外で存在してもよい。
【0087】
明細書及び特許請求の範囲において、ここに用いるように「又は」は先に定義された「及び/又は」と同一の意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト中で項目を分離する場合、「又は」又は「及び/又は」は包括的ですなわち、エレメントの数又はリスト及び、所望により、さらなるリストされていない項目の、少なくとも1、また1を超えたものを含めると解釈されるべきである。「のうちの1つのみ」又は「のうちの正確に1つ」など、又は特許請求の範囲で使用される場合、「からなる」など、反対に明確に示される用語のみが、要素の数又はリストの正確に1つの要素を含むことを指す。一般に、用語「又は」は本明細書中で用いるように、「いずれか」、「の1つ」、「の1つのみ」又は「の正確に1つ」のような排他性の用語が先行する場合、排他的代替物(すなわち、「1つ、またもう一方、しかし双方ではない」)を示すように単に解釈されるべきである。
【0088】
明細書及び特許請求の範囲においてここに用いられるように、フレーズ「少なくとも1つ」は1以上のエレメントのリストへの参照において、エレメントのリスト中のいずれかの1以上のエレメントから選択される少なくとも1つを意味すると理解されるべきであるが、エレメントのリスト内に具体的にリストされた各及びあらゆるエレメントの少なくとも1つを必ずしも含まず、かつエレメントのリスト中のエレメントのいずれかの組合せを排除しない。この定義は、具体的に確認されたエレメントに関連するか又は関連しないかを問わず、フレーズ「少なくとも1つ」が言及するエレメントのリスト内で具体的に確認されるエレメント以外で、エレメントが所望により存在してもよいことを許容する。
【0089】
また、明瞭に反対のことが示されているのでなければ、1を超える工程又は行為を含む本明細書中において特許請求されたいずれの方法においても、該方法の工程又は行為の順番は、該方法の工程又は行為が引用される順番に必ずしも限定されないのも理解されるべきである。
【0090】
特許請求の範囲、ならびに前記明細書中において「含む」、「含めた」、「運ぶ」、「有する」、「含有する」、「関係する」、「維持する」、「から構成された」等のような全ての移行フレーズはオープンエンデッドですなわち、限定されるものではないが含めることを意味すると理解されるべきである。「からなる」及び「から本質的になる」という移行句のみが、米国特許庁の特許審査手続マニュアル第2111.03条に記載されているように、それぞれ閉鎖又は半閉鎖の移行句である。
【0091】
いくつかの本発明の実施形態が本明細書に記載され例示されてきたが、当業者は本明細書に記載される機能を実行するための、及び/又は本明細書に記載される結果のうちの1つ又は複数を得るための様々な他の手段及び/又は構造を容易に想定し、そのような変形及び/又は修正の各々は本明細書に記載される本発明の実施形態の範囲内であるとみなされる。より一般的には当業者であれば、本明細書中で記載された全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成は例示的であることを意図し、及び現実のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は具体的な適用、又は発明の教示が用いられる適用に依存するのであろうことは容易に認識するのであろう。当業者であれば、ルーチン的実験を超えないものを用いて、本明細書中で記載された具体的な発明的実施形態に対する多くの同等物を認識し、又はそれを確認することができよう。従って、これまでの実施形態は例のみによって提示され、添付の特許請求の範囲及びその同等物内で、発明的実施形態は、具体的に記載され、及び特許請求されるものとは異なるように実施することができると理解されるべきである。本開示の発明的実施形態は、本明細書中で記載された各個々の特徴、系、製品、材料、キット及び/又は方法に向けられる。加えて、2以上のそのような特徴、系、製品、材料、キット、及び/又は方法のいずれの組合せも、もしそのような特徴、系、製品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しないならば、本開示の発明的範囲内に含まれる。
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