(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】無人運転システム、制御装置、無人運転方法、移動体の製造方法および移動体
(51)【国際特許分類】
B62D 65/18 20060101AFI20240918BHJP
G05D 1/225 20240101ALI20240918BHJP
G05D 1/249 20240101ALI20240918BHJP
G05D 1/617 20240101ALI20240918BHJP
【FI】
B62D65/18 Z
G05D1/225
G05D1/249
G05D1/617
(21)【出願番号】P 2024025085
(22)【出願日】2024-02-22
【審査請求日】2024-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2023053416
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023181568
(32)【優先日】2023-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 健人
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 恭裕
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-538619(JP,A)
【文献】特開2021-105804(JP,A)
【文献】実開昭59-132427(JP,U)
【文献】特開2007-276664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 65/18
G05D 1/225
G05D 1/249
G05D 1/617
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人運転システムであって、
遠隔制御により移動可能な移動体と、
前記移動体を遠隔制御する遠隔制御部であって、前記移動体を生産する工場の第1場所から前記第1場所とは異なる前記工場の第2場所に前記移動体を移動させる遠隔制御部と、
前記移動体の異常に関する情報を取得する情報取得部と、
を備え、
前記遠隔制御部は、
前記移動体の異常に関する情報を用いて、前記移動体に異常が生じているか否かを判定し、
前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体に異常が生じている
と判定されたことを含む予め定められた条件が満たされた場合には、前記移動体が前記第2場所に到着する前に、前記移動体を前記第1場所とも前記第2場所とも異なる前記工場の第3場所に移動させる、無人運転システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無人運転システムであって、
前記移動体は、前記移動体の異常を検出するためのセンサを備えており、
前記情報取得部は、前記センサを用いて検出された異常に関する情報を取得する、無人運転システム。
【請求項3】
請求項1に記載の無人運転システムであって、
前記工場は、前記移動体の異常を検出するためのカメラを備えており、
前記情報取得部は、前記カメラを用いて検出された異常に関する情報を取得する、無人運転システム。
【請求項4】
請求項1に記載の無人運転システムであって、
前記第3場所は、前記移動体の異常を解消するための作業が実施される場所であり、
前記工場は、前記作業の内容が異なる複数の前記第3場所を備えており、
前記遠隔制御部は、前記移動体の異常の種類に応じて、前記複数の第3場所の中から前記移動体の移動先を決定する、無人運転システム。
【請求項5】
請求項1に記載の無人運転システムであって、
前記遠隔制御部は、前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体に異常が生じている
と判定されたこと、および、前記移動体に生じている異常が前記第2場所において前記移動体に実施される作業に支障がある異常であること、を含む条件が満たされた場合には、前記移動体が前記第2場所に到着する前に、前記移動体を前記第3場所に移動させる、無人運転システム。
【請求項6】
請求項1に記載の無人運転システムであって、
前記遠隔制御部は、前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体に異常が生じている
と判定されたことを含む条件が満たされた場合であっても、前記移動体に生じている異常が前記移動体の移動に支障がある異常である場合には、前記移動体の移動を中止する、無人運転システム。
【請求項7】
無人運転システムであって、
遠隔制御により移動可能な移動体と、
前記移動体を遠隔制御する遠隔制御部であって、前記移動体を生産する工場の第1場所から前記第1場所とは異なる前記工場の第2場所に前記移動体を移動させる遠隔制御部と、
前記移動体の異常に関する情報を取得する情報取得部と、
を備え、
前記工場は、前記第1場所とも前記第2場所とも異なる複数の第3場所を備えており、
前記情報取得部は、さらに、前記複数の第3場所の混雑度合いに関する情報を取得し、
前記遠隔制御部は、前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体に異常が生じていることを示す情報が取得されたことを含む予め定められた条件が満たされた場合には、
前記複数の第3場所の混雑度合いに応じて、前記複数の第3場所の中から前記移動体の移動先を決定し、
前記移動体が前記第2場所に到着する前に、前記移動先に前記移動体を移動させる、無人運転システム。
【請求項8】
無人運転システムであって、
遠隔制御により移動可能な移動体と、
前記移動体を遠隔制御する遠隔制御部であって、前記移動体を生産する工場の第1場所から前記第1場所とは異なる前記工場の第2場所に前記移動体を移動させる遠隔制御部と、
前記移動体の異常に関する情報を取得する情報取得部と、
を備え、
前記遠隔制御部は、前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体に異常が生じていることを示す情報が取得されたことを含む予め定められた条件が満たされた場合には、
前記移動体が前記第2場所に到着する前に、前記移動体を前記第1場所とも前記第2場所とも異なる前記工場の第3場所に移動させ、
前記移動体の異常の種類に応じて、前記移動体の速度と加速度との少なくとも一方を調整する、無人運転システム。
【請求項9】
無人運転システムであって、
遠隔制御により移動可能な移動体と、
前記移動体を遠隔制御する遠隔制御部であって、前記移動体を生産する工場の第1場所から前記第1場所とは異なる前記工場の第2場所に前記移動体を移動させる遠隔制御部と、
前記移動体の異常に関する情報を取得する情報取得部と、
を備え、
前記遠隔制御部は、前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体に異常が生じていることを示す情報が取得されたことを含む予め定められた条件が満たされた場合には、前記移動体が前記第2場所に到着する前に、前記移動体を転回させ、前記第1場所とも前記第2場所とも異なる前記工場の第3場所に前記移動体を後向きに移動させる、無人運転システム。
【請求項10】
無人運転システムであって、
遠隔制御により移動可能な移動体と、
前記移動体を遠隔制御する遠隔制御部であって、前記移動体を生産する工場の第1場所から前記第1場所とは異なる前記工場の第2場所に前記移動体を移動させる遠隔制御部と、
前記移動体の異常に関する情報を取得する情報取得部と、
を備え、
前記遠隔制御部は、
前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体に異常が生じていることを示す情報が取得されたことを含む予め定められた条件が満たされた場合には、前記移動体が前記第2場所に到着する前に、前記移動体を前記第1場所とも前記第2場所とも異なる前記工場の第3場所に移動させ、
前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体に異常が生じていることを示す情報が取得されたことを含む条件が満たされた場合であっても、前記移動体に生じている異常が前記第2場所において前記移動体に実施される作業に支障がない異常である場合には、前記移動体が前記第2場所に到着した後に、前記移動体を前記第3場所に移動させる、無人運転システム。
【請求項11】
制御装置であって、
移動体を遠隔制御する遠隔制御部であって、前記移動体を生産する工場の第1場所から前記第1場所とは異なる前記工場の第2場所に前記移動体を移動させる遠隔制御部と、
前記移動体の異常に関する情報を取得する情報取得部と、
を備え、
前記遠隔制御部は、
前記移動体の異常に関する情報を用いて、前記移動体に異常が生じているか否かを判定し、
前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体に異常が生じている
と判定されたことを含む予め定められた条件が満たされた場合には、前記移動体が前記第2場所に到着する前に、前記移動体を前記第1場所とも前記第2場所とも異なる前記工場の第3場所に移動させる、制御装置。
【請求項12】
無人運転方法であって、
移動体を無人運転により移動させる無人運転工程であって、前記移動体を生産する工場の第1場所から前記第1場所とは異なる前記工場の第2場所に前記移動体を移動させる無人運転工程と、
前記移動体の異常
に関する情報を取得する情報取得工程と、
を備え、
前記無人運転工程では、
前記移動体の異常に関する情報を用いて、前記移動体に異常が生じているか否かを判定し、
前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体
に異常が生じていると判定されたことを含む予め定められた条件が満たされた場合には、前記移動体が前記第2場所に到着する前に、前記移動体を前記第1場所とも前記第2場所とも異なる前記工場の第3場所に移動させる、無人運転方法。
【請求項13】
移動体の製造方法であって、
工場の第1場所において移動体に第1作業を実施する第1作業工程と、
前記移動体を無人運転により移動させる無人運転工程であって、前記第1作業が実施された前記移動体を、第2作業が実施される前記工場の第2場所に移動させる無人運転工程と、
前記移動体の異常
に関する情報を取得する情報取得工程と、
前記第2場所において前記移動体に前記第2作業を実施する第2作業工程と、
を備え、
前記無人運転工程では、
前記移動体の異常に関する情報を用いて、前記移動体に異常が生じているか否かを判定し、
前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体
に異常が生じていると判定されたことを含む予め定められた条件が満たされた場合には、前記移動体が前記第2場所に到着する前に、前記移動体を前記第1場所とも前記第2場所とも異なる前記工場の第3場所に移動させる、移動体の製造方法。
【請求項14】
移動体であって、
前記移動体の無人運転を実行する制御部であって、前記移動体を生産する工場の第1場所から前記第1場所とは異なる前記工場の第2場所に前記移動体を移動させる制御部と、
前記移動体の異常に関する情報を取得する情報取得部と、
を備え、
前記制御部は、
前記移動体の異常に関する情報を用いて、前記移動体に異常が生じているか否かを判定し、
前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体に異常が生じている
と判定されたことを含む予め定められた条件が満たされた場合には、前記移動体が前記第2場所に到着する前に、前記移動体を前記第1場所とも前記第2場所とも異なる前記工場の第3場所に移動させる、移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無人運転システム、制御装置、無人運転方法、移動体の製造方法および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の製造工程において、自動運転により車両を走行させる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両等の移動体の製造工程において、前工程の作業場所から後工程の作業場所まで無人運転により移動体を移動させる場合に、異常が生じている移動体によって後工程が妨げられる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の第1の形態によれば、無人運転システムが提供される。この無人運転システムは、遠隔制御により移動可能な移動体と、前記移動体を遠隔制御する遠隔制御部であって、前記移動体を生産する工場の第1場所から前記第1場所とは異なる前記工場の第2場所に前記移動体を移動させる遠隔制御部と、前記移動体の異常に関する情報を取得する情報取得部と、を備える。前記遠隔制御部は、前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体に異常が生じていることを示す情報が取得されたことを含む予め定められた条件が満たされた場合には、前記移動体が前記第2場所に到着する前に、前記移動体を前記第1場所とも前記第2場所とも異なる前記工場の第3場所に移動させる。
この形態の無人運転システムによれば、異常が生じている移動体が第2場所に移動することが抑制される。したがって、第2場所における作業が妨げられることを抑制できる。
(2)上記形態の無人運転システムにおいて、前記移動体は、前記移動体の異常を検出するためのセンサを備えており、前記情報取得部は、前記センサを用いて検出された異常に関する情報を取得してもよい。
この形態の無人運転システムによれば、移動体のセンサを用いて、移動体の異常を取得することができる。
(3)上記形態の無人運転システムにおいて、前記工場は、前記移動体の異常を検出するためのカメラを備えており、前記情報取得部は、前記カメラを用いて検出された異常に関する情報を取得してもよい。
この形態の無人運転システムによれば、工場のカメラを用いて、移動体の異常を取得することができる。
(4)上記形態の無人運転システムにおいて、前記第3場所は、前記移動体の異常を解消するための作業が実施される場所であり、前記工場は、前記作業の内容が異なる複数の前記第3場所を備えており、前記遠隔制御部は、前記移動体の異常の種類に応じて、前記複数の第3場所の中から前記移動体の移動先を決定してもよい。
この形態の無人運転システムによれば、移動体の異常の解消に適した第3場所に移動体を移動させることができる。
(5)上記形態の無人運転システムにおいて、前記工場は、複数の前記第3場所を備えており、前記情報取得部は、さらに、前記複数の第3場所の混雑度合いに関する情報を取得し、前記遠隔制御部は、前記複数の第3場所の混雑度合いに応じて、前記複数の第3場所の中から前記移動体の移動先を決定してもよい。
この形態の無人運転システムによれば、第3場所において移動体の異常を解消するための作業が開始されるまでの待ち時間が生じることを抑制することができる。
(6)上記形態の無人運転システムにおいて、前記遠隔制御部は、前記移動体の異常の種類に応じて、前記移動体の速度と加速度との少なくとも一方を調整してもよい。
この形態の無人運転システムによれば、移動体に生じている異常の種類に応じて、速度と加速度との少なくとも一方を調整できるので、移動体を適切に移動させることができる。
(7)上記形態の無人運転システムにおいて、前記遠隔制御部は、前記移動体に予め定められた種類の異常が生じていることを示す情報が取得された場合には、前記移動体を転回させた後、前記移動体を後向きに移動させてもよい。
この形態の無人運転システムによれば、移動体を前向きに移動させることが不都合な異常が移動体に生じている場合に、移動体を適切に移動させることができる。
(8)上記形態の無人運転システムにおいて、前記遠隔制御部は、前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体に異常が生じていることを示す情報が取得されたこと、および、前記移動体に生じている異常が前記第2場所において前記移動体に実施される作業に支障がある異常であること、を含む条件が満たされた場合には、前記移動体が前記第2場所に到着する前に、前記移動体を前記第3場所に移動させてもよい。
この形態の無人運転システムによれば、第2場所における作業に支障がある異常が生じている移動体を、第3場所を経由して第2場所に移動させることができる。
(9)上記形態の無人運転システムにおいて、前記遠隔制御部は、前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体に異常が生じていることを示す情報が取得されたことを含む条件が満たされた場合であっても、前記移動体に生じている異常が前記第2場所において前記移動体に実施される作業に支障がない異常である場合には、前記移動体が前記第2場所に到着した後に、前記移動体を前記第3場所に移動させてもよい。
この形態の無人運転システムによれば、第2場所における作業に支障がない異常が生じている移動体を、第2場所を経由して第3場所に移動させることができる。
(10)上記形態の無人運転システムにおいて、前記遠隔制御部は、前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体に異常が生じていることを示す情報が取得されたことを含む条件が満たされた場合であっても、前記移動体に生じている異常が前記移動体の移動に支障がある異常である場合には、前記移動体の移動を中止してもよい。
この形態の無人運転システムによれば、移動に支障がある異常が生じている移動体が移動することを抑制できる。
(11)本開示の第2の形態によれば、制御装置が提供される。この制御装置は、移動体を遠隔制御する遠隔制御部であって、前記移動体を生産する工場の第1場所から前記第1場所とは異なる前記工場の第2場所に前記移動体を移動させる遠隔制御部と、前記移動体の異常に関する情報を取得する情報取得部と、を備える。前記遠隔制御部は、前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体に異常が生じていることを示す情報が取得されたことを含む予め定められた条件が満たされた場合には、前記移動体が前記第2場所に到着する前に、前記移動体を前記第1場所とも前記第2場所とも異なる前記工場の第3場所に移動させる。
この形態の制御装置によれば、異常が生じている移動体が第2場所に移動することが抑制される。したがって、第2場所における作業が妨げられることを抑制できる。
(12)本開示の第3の形態によれば、無人運転方法が提供される。この無人運転方法は、移動体を無人運転により移動させる無人運転工程であって、前記移動体を生産する工場の第1場所から前記第1場所とは異なる前記工場の第2場所に前記移動体を移動させる無人運転工程と、前記移動体の異常を検出する異常検出工程と、を備える。前記無人運転工程では、前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体の異常が検出されたことを含む予め定められた条件が満たされた場合には、前記移動体が前記第2場所に到着する前に、前記移動体を前記第1場所とも前記第2場所とも異なる前記工場の第3場所に移動させる。
この形態の無人運転方法によれば、異常が生じている移動体が第2場所に移動することが抑制される。したがって、第2場所における作業が妨げられることを抑制できる。
(13)本開示の第4の形態によれば、移動体の製造方法が提供される。この移動体の製造方法は、工場の第1場所において移動体に第1作業を実施する第1作業工程と、前記移動体を無人運転により移動させる無人運転工程であって、前記第1作業が実施された前記移動体を、第2作業が実施される前記工場の第2場所に移動させる無人運転工程と、前記移動体の異常を検出する異常検出工程と、前記第2場所において前記移動体に前記第2作業を実施する第2作業工程と、を備える。前記無人運転工程では、前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体の異常が検出されたことを含む予め定められた条件が満たされた場合には、前記移動体が前記第2場所に到着する前に、前記移動体を前記第1場所とも前記第2場所とも異なる前記工場の第3場所に移動させる。
この形態の移動体の製造方法によれば、異常が生じている移動体が第2場所に移動することが抑制される。したがって、第2場所における作業が妨げられることを抑制できる。
(14)本開示の第5の形態によれば、移動体が提供される。この移動体は、前記移動体の無人運転を実行する制御部であって、前記移動体を生産する工場の第1場所から前記第1場所とは異なる前記工場の第2場所に前記移動体を移動させる制御部と、前記移動体の異常に関する情報を取得する情報取得部と、を備える。前記制御部は、前記移動体が前記第2場所に到着する前に前記移動体に異常が生じていることを示す情報が取得されたことを含む予め定められた条件が満たされた場合には、前記移動体が前記第2場所に到着する前に、前記移動体を前記第1場所とも前記第2場所とも異なる前記工場の第3場所に移動させる。
この形態の移動体によれば、異常が生じている移動体が第2場所に移動することが抑制される。したがって、第2場所における作業が妨げられることを抑制できる。
本開示は、無人運転システム、制御装置、無人運転方法、移動体の製造方法、および、移動体以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、移動体製造システム、コンピュータプログラム、および、コンピュータプログラムが記録された記録媒体などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】第1実施形態の無人運転システムの構成を示す説明図。
【
図1B】第1実施形態の車両制御装置の構成を示す説明図。
【
図2B】第1実施形態の車両の走行制御の手順を示すフローチャート。
【
図3】第1実施形態の走行計画変更処理の内容を示すフローチャート。
【
図4】遠隔制御により車両が走行する様子を示す第1の説明図。
【
図5】遠隔制御により車両が走行する様子を示す第2の説明図。
【
図6】遠隔制御により車両が走行する様子を示す第3の説明図。
【
図7】遠隔制御により車両が走行する様子を示す第4の説明図。
【
図8】第2実施形態の無人運転システムの構成を示す説明図。
【
図9】第2実施形態の車両制御装置の構成を示す説明図。
【
図10】第2実施形態の車両の走行制御の手順を示すフローチャート。
【
図11】第3実施形態の走行計画変更処理の内容を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1Aは、第1実施形態における無人運転システム10の構成を示す説明図である。無人運転システム10は、移動体を製造する工場において、移動体を遠隔制御により移動させるために用いられる。
【0009】
本開示において、「移動体」は、移動し得る物体を意味し、例えば、車両や電動垂直離着陸機(いわゆる空飛ぶ自動車)である。車両は、車輪によって走行する車両であっても無限軌道によって走行する車両であってもよく、例えば、乗用車、トラック、バス、二輪車、四輪車、戦車、工事用車両などである。車両は、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)、ガソリン自動車、ハイブリッド自動車、ならびに燃料電池自動車を含む。移動体が車両以外である場合には、本開示における「車両」「車」との表現を、適宜に「移動体」に置き換えることができ、「走行」との表現を、適宜に「移動」に置き換えることができる。
【0010】
「無人運転」とは、搭乗者の走行操作によらない運転を意味する。走行操作とは、車両100の「走る」、「曲がる」、「止まる」の少なくともいずれかに関する操作を意味する。無人運転は、車両100の外部に位置する装置を用いた自動または手動の遠隔制御によって、あるいは、車両100の自律制御によって実現される。無人運転によって走行している車両100には、走行操作を行わない搭乗者が搭乗していてもよい。走行操作を行わない搭乗者には、例えば、単に車両100の座席に着座している人や、組み付け、検査、スイッチ類の操作といった走行操作とは異なる作業を車両100に乗りながら行っている人が含まれる。なお、搭乗者の走行操作による運転は、「有人運転」と呼ばれることがある。
【0011】
本明細書において、「遠隔制御」は、車両100の外部から車両100の動作の全てが完全に決定される「完全遠隔制御」と、車両100の外部から車両100の動作の一部が決定される「部分遠隔制御」とを含む。また、「自律制御」は、車両100の外部の装置から一切の情報を受信することなく車両100が自身の動作を自律的に制御する「完全自律制御」と、車両100の外部の装置から受信した情報を用いて車両100が自身の動作を自律的に制御する「部分自律制御」とを含む。
【0012】
無人運転システム10は、移動体である車両100と、遠隔制御装置200とを備えている。本実施形態では、車両100は、遠隔制御により走行可能に構成されている。車両100は、電気自動車として構成されている。車両100は、車両100を加速させるための駆動装置110と、車両100の進行方向を変更するための操舵装置120と、車両100を減速させるための制動装置130と、無線通信により遠隔制御装置200と通信するための通信装置140と、車両100の各部を制御するための車両制御装置150と、車両100の異常を検出するためのセンサ群160とを備えている。本実施形態では、駆動装置110には、バッテリ、バッテリの電力により駆動するモータ、および、モータにより回転する駆動輪が含まれている。センサ群160には、少なくとも1つのセンサにより構成されている。センサ群160には、例えば、駆動装置110の異常を検出するためのセンサや、操舵装置120の異常を検出するためのセンサや、制動装置130の異常を検出するためのセンサなどが含まれている。
【0013】
図1Bは、車両制御装置150の構成を示す説明図である。車両制御装置150は、プロセッサ151と、メモリ152と、入出力インタフェース153と、内部バス154とを備えるコンピュータにより構成されている。プロセッサ151、メモリ152、および、入出力インタフェース153は、内部バス154を介して、双方向に通信可能に接続されている。入出力インタフェース153には、駆動装置110、操舵装置120、制動装置130、通信装置140、および、センサ群160が接続されている。プロセッサ151は、メモリ152に予め記憶されているコンピュータプログラムPG1を実行することにより、車両100の走行制御を実行する走行制御部155として機能する。「走行制御」とは、例えば、車両100の加速度、速度、ならびに操舵角の調整などのことを意味する。走行制御部155は、走行制御を実行することにより、換言すれば、駆動装置110、操舵装置120、および、制動装置130を制御することにより、車両100を走行させる。走行制御部155は、車両100に搭乗者が搭乗している場合には、搭乗者の操作に応じて各種装置110~130を制御することにより、車両100を走行させることができる。本実施形態では、走行制御部155は、車両100に搭乗者が搭乗しているか否かにかかわらず、遠隔制御装置200から受信した制御指令に応じて各種装置110~130を制御することにより、車両100を走行させることができる。なお、車両制御装置150のことを単に制御装置と呼び、走行制御部155のことを単に制御部と呼ぶことがある。
【0014】
図1Aに示す遠隔制御装置200は、車両100を遠隔制御するための制御装置である。遠隔制御装置200は、プロセッサ201と、メモリ202と、入出力インタフェース203と、内部バス204とを備えるコンピュータにより構成されている。プロセッサ201、メモリ202、および、入出力インタフェース203は、内部バス204を介して、双方向に通信可能に接続されている。入出力インタフェース203には、無線通信により車両100と通信するための通信装置205が接続されている。メモリ202には、コンピュータプログラムPG2と、データベースDBとが記憶されている。データベースDBには、車両100の異常の種類、当該異常が安全上許容できる範囲内の異常であるか否か、当該異常が生じている車両100の移動先、速度の上限値、および、加速度の上限値が対応付けられて記録されている。
【0015】
プロセッサ201は、コンピュータプログラムPG2を実行することにより、遠隔制御部210、異常情報取得部220、および、混雑情報取得部230として機能する。遠隔制御部210は、車両100を遠隔制御することにより、車両100を走行させる。異常情報取得部220は、センサ群160を用いて検出される車両100の異常に関する情報、および、工場に設置されているカメラ群400を用いて検出される車両100の異常に関する情報を取得する。本実施形態では、通信装置205は、有線通信あるいは無線通信により工程管理装置300、および、後述するカメラCM1~CM5と通信することができる。工程管理装置300は、工場における車両100の製造工程に関する各種情報を管理するためのコンピュータである。異常情報取得部220は、工程管理装置300から車両100の異常に関する情報を取得することができる。混雑情報取得部230は、工程管理装置300から、車両100の修理を実施する場所の混雑度合いに関する情報を取得する。なお、遠隔制御装置200のことを単に制御装置と呼び、遠隔制御部210のことを単に制御部と呼び、異常情報取得部220および混雑情報取得部230のことを単に情報取得部と呼ぶことがある。
【0016】
図2Aは、工場KJの構成を模式的に示す説明図である。工場KJは、第1作業が実施される第1場所PL1と、第2作業が実施される第2場所PL2と、第3作業が実施される複数の第3場所PL3A~PL3Fとを備えている。各場所PL1~PL3Fは、車両100が走行可能な走行路SRによって接続されている。本実施形態では、第1作業は、車両100を組み立てる作業であり、第1場所PL1には、車両100を組み立てるための設備である組立設備310が配置されている。第2作業は、車両100を検査する作業であり、第2場所PL2には、車両100を検査するための設備である検査設備320が配置されている。第3作業は、車両100を修理する作業、すなわち、車両100の異常を解消する作業であり、各第3場所PL3A~PL3Fには、車両100を修理するための設備である修理設備330が配置されている。各場所PL1~PL3Fは、同じ建物内に設けられてもよいし、同じ敷地内の異なる建物内に設けられてもよい。各場所PL1~PL3Fは、屋内ではなく、屋外に設けられてもよい。各場所PL1~PL3Fは、複数の敷地に分散して設けられてもよい。例えば、各場所PL1~PL3Fは、公道あるいは私道を挟んで隣接する第1工場と第2工場とに分散して設けられてもよい。この場合、第1工場と第2工場とを合わせて工場KJと呼び、走行路SRには公道の一部あるいは私道の一部が含まれてもよい。
【0017】
図2Aには、遠隔制御部210の遠隔制御により走行路SRを走行する車両100が表されている。
図2Aを参照しつつ、遠隔制御部210が遠隔制御により車両100を走行させる方法について簡単に説明する。まず、遠隔制御部210は、車両100が走行路SRを通って目的地まで走行するための目標ルートを決定する。本実施形態では、目標ルートとは、例えば、後述する参照経路のことである。工場KJには、走行路SRを撮影する複数のカメラCM1~CM5が設置されている。各カメラCM1~CM5は、カメラ群400に含まれている。以下の説明では、カメラCM1~CM5を特に区別せずに説明する場合には、単にカメラCMと呼ぶ。遠隔制御部210は、各カメラCM1~CM5により撮影された映像を解析することにより、リアルタイムで、目標ルートに対する車両100の相対的な位置および向きを取得することができる。遠隔制御部210は、車両100を目標ルートに沿って走行させるための制御指令を生成し、制御指令を車両100に送信する。本実施形態では、制御指令とは、例えば、後述する走行制御信号のことである。車両100に搭載されている車両制御装置150は、受信した制御指令に従って駆動装置110と操舵装置120と制動装置130とを制御することにより、車両100を走行させる。本実施形態では、遠隔制御部210は、複数の車両100を同時並列的に遠隔制御することができる。遠隔制御部210は、複数の車両100を同時並列的に遠隔制御する場合には、各車両100の目標ルートと現在の位置および向きとに応じた制御指令を各車両100に送信する。なお、遠隔制御により車両100を走行させる方法のことを遠隔自動運転方法、あるいは、無人運転方法と呼ぶことがある。
【0018】
図2Bは、第1実施形態における車両100の走行制御の手順を示すフローチャートである。
図2Bを参照しつつ、遠隔制御装置200の遠隔制御部210が遠隔制御により車両100を走行させる方法についてより詳細に説明する。ステップS1にて、遠隔制御部210は、車両100の外部に位置しているセンサである外部センサから出力される検出結果を用いて、車両100の車両位置情報を取得する。車両位置情報は、走行制御信号を生成する基礎となる位置情報である。本実施形態では、車両位置情報には、工場KJの基準座標系における車両100の位置および向きが含まれている。本実施形態では、工場KJの基準座標系は、グローバル座標系であり、工場KJ内の任意の位置は、グローバル座標系におけるX,Y,Zの座標で表現される。本実施形態では、外部センサは、カメラCMであり、外部センサからは、検出結果として撮像画像が出力される。すなわち、ステップS1にて、遠隔制御部210は、外部センサであるカメラCMから取得した撮像画像を用いて、車両位置情報を取得する。
【0019】
詳細には、ステップS1では、遠隔制御部210は、例えば、撮像画像から車両100の外形を検出し、撮像画像の座標系、すなわち、ローカル座標系における車両100の測位点の座標を算出し、算出された座標をグローバル座標系における座標に変換することによって、車両100の位置を取得する。撮像画像に含まれる車両100の外形は、例えば、人工知能を活用した検出モデルに撮像画像を入力することで検出できる。検出モデルは、例えば、無人運転システム10内や無人運転システム10外で準備され、遠隔制御装置200のメモリ202に予め記憶される。検出モデルとしては、例えば、セマンティックセグメンテーションとインスタンスセグメンテーションとのいずれかを実現するように学習された学習済みの機械学習モデルが挙げられる。この機械学習モデルとしては、例えば、学習用データセットを用いた教師あり学習によって学習された畳み込みニューラルネットワーク(以下、CNN)を用いることができる。学習用データセットは、例えば、車両100を含む複数の訓練画像と、訓練画像における各領域が車両100を示す領域と車両100以外を示す領域とのいずれであるかを示すラベルとを有している。CNNの学習時には、バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)により、検出モデルによる出力結果とラベルとの誤差を低減するように、CNNのパラメータが更新されることが好ましい。また、プロセッサ201は、例えば、オプティカルフロー法を利用して、撮像画像のフレーム間における車両100の特徴点の位置変化から算出された車両100の移動ベクトルの向きに基づいて推定することによって、車両100の向きを取得できる。
【0020】
ステップS2にて、遠隔制御部210は、車両100が次に向かうべき目標位置を決定する。本実施形態では、目標位置は、グローバル座標系におけるX,Y,Zの座標で表される。遠隔制御装置200のメモリ202には、車両100が走行すべき経路である参照経路が予め記憶されている。経路は、出発地を示すノード、通過点を示すノード、目的地を示すノード、および、各ノードを結ぶリンクで表されている。遠隔制御部210は、車両位置情報と参照経路とを用いて、次に車両100が向かうべき目標位置を決定する。遠隔制御部210は、車両100の現在地よりも先の参照経路上に目標位置を決定する。
【0021】
ステップS3にて、遠隔制御部210は、決定した目標位置に向かって車両100を走行させるための走行制御信号を生成する。本実施形態では、走行制御信号には、車両100の加速度および操舵角がパラメータとして含まれている。他の実施形態では、走行制御信号には、車両100の加速度に代えて、あるいは、車両100の加速度に加えて、車両100の速度がパラメータとして含まれてもよい。遠隔制御部210は、車両100の位置の推移から車両100の走行速度を算出し、算出した走行速度と目標速度とを比較する。遠隔制御部210は、全体として、走行速度が目標速度よりも低い場合には、車両100が加速するように加速度を決定し、走行速度が目標速度よりも高い場合には、車両100が減速するように加速度を決定する。また、遠隔制御部210は、車両100が参照経路上に位置している場合には、車両100が参照経路上から逸脱しないように操舵角および加速度を決定し、車両100が参照経路上に位置していない場合、換言すれば、車両100が参照経路上から逸脱している場合には、車両100が参照経路上に復帰するように操舵角および加速度を決定する。
【0022】
ステップS4にて、遠隔制御部210は、生成した走行制御信号を車両100に対して送信する。遠隔制御部210は、所定の周期で、車両100の位置の取得、目標位置の決定、走行制御信号の生成、および、走行制御信号の送信などを繰り返す。
【0023】
ステップS5にて、車両100に搭載されている車両制御装置150は、遠隔制御装置200から送信される走行制御信号を受信する。ステップS6にて、車両制御装置150は、受信した走行制御信号を用いて駆動装置110、操舵装置120、および、制動装置130を制御することにより、走行制御信号に表されている加速度および操舵角で車両100を走行させる。車両制御装置150は、所定の周期で、走行制御信号の受信、および、各種装置110~130の制御を繰り返す。
【0024】
図3は、走行計画変更処理の内容を示すフローチャートである。走行計画変更処理は、遠隔制御対象の車両100が第2場所PL2に到着するまで、遠隔制御部210により繰り返し実行される。以下の説明では、遠隔制御対象の車両100のことを対象車両100と呼ぶ。走行計画変更処理が開始されると、ステップS110にて、遠隔制御部210は、対象車両100が走行開始前であるか否かを判定する。ステップS110において対象車両100が走行開始前であると判定された場合、異常情報取得部220は、ステップS120にて、工程管理装置300から、第1場所PL1において検出された対象車両100の異常に関する情報を取得する。ステップS120において対象車両100が走行開始前であると判定されなかった場合、換言すれば、対象車両100が走行開始後であると判定された場合、異常情報取得部220は、ステップS125にて、センサ群160を用いて検出される対象車両100の異常に関する情報、および、カメラ群400を用いて検出される対象車両100の異常に関する情報を取得する。
【0025】
ステップS130にて、遠隔制御部210は、対象車両100の異常に関する情報を用いて、対象車両100に異常が生じているか否かを判定する。ステップS130において対象車両100に異常が生じていないと判定された場合には、遠隔制御部210は、ステップS140にて、予め定められた走行計画に従って対象車両100を走行させる。走行計画には、対象車両100の移動先、速度の上限値、加速度の上限値が定められている。本実施形態では、移動先は、第2場所PL2である。遠隔制御部210は、走行計画に定められている速度の上限値、および、加速度の上限値を超えないように対象車両100を遠隔制御しながら、第2場所PL2に対象車両100を移動させる。
【0026】
ステップS130において対象車両100に異常が生じていると判定された場合には、遠隔制御部210は、ステップS135にて、対象車両100に生じている異常が安全上許容できる範囲内の異常であるか否かを判定する。本実施形態では、遠隔制御部210は、データベースDBを用いて、対象車両100に生じている異常が安全上許容できる範囲内の異常であるか否かを判定する。データベースDBには、異常の種類と、当該異常が安全上許容できる範囲内の異常であるか否かが予め記録されている。安全上許容できる範囲外の異常には、例えば、制動装置130の異常や、バッテリ固定用ボルトの締め付けトルク不足などが含まれる。安全上許容できる範囲内の異常には、例えば、車体の傷や、電動ミラーの断線などが含まれる。ヘッドランプの点灯不良は、昼間の走行である場合には安全上許容できる範囲内の異常であるが、夜間の走行である場合には安全上許容できる範囲外の異常である。
【0027】
ステップS135において対象車両100に生じている異常が安全上許容できる範囲内の異常であると判定された場合には、遠隔制御部210は、ステップS145にて、走行計画を変更する。本実施形態では、遠隔制御部210は、データベースDBを用いて、走行計画を変更する。走行計画の変更には、移動先の変更と、速度の上限値の変更と、加速度の上限値の変更とが含まれる。データベースDBには、車両100の異常の種類と当該車両の異常の解消に適した第3場所PL3とが対応付けられた情報が格納されており、遠隔制御部210は、対象車両100の異常の種類に応じて、複数の第3場所PL3A~PL3Fの中から対象車両100の移動先を決定する。但し、対象車両100の走行に支障がなく、かつ、第2場所PL2での検査に関係しない異常が対象車両100に生じている場合には、遠隔制御部210は、対象車両100の移動先を第2場所PL2から変更しない。本実施形態では、対象車両100の走行に支障がなく、かつ、第2場所PL2での検査に関係しない異常は、例えば、車体の塗装不良や、車体に傷がついていることなどである。この場合、遠隔制御部210は、第2場所PL2において対象車両100に第2作業が実施された後、対象車両100を第3場所PL3に移動させる。第2場所PL2にて検査が実施された後、第3場所PL3にて修理が実施される。本実施形態では、メモリ202には、複数の参照経路が記憶されている。車両100の移動先が変更された場合、遠隔制御部210は、車両100の現在地と新たな移動先とに応じて、車両100の新たな目標ルートとして用いる参照経路を決定する。
【0028】
移動先の変更に関して、本実施形態では、遠隔制御部210は、混雑情報に表されている各第3場所PL3A~PL3Fの混雑度合いに応じて、第3場所PL3A~PL3Fの中から移動体の移動先を決定する。具体的には、遠隔制御部210は、対象車両100の異常を解消し得る第3場所PL3の中で最も混雑度合いの低い第3場所PL3を対象車両100の移動先に決定する。混雑度合いは、下式(1)で表される。
Dc=(Nr+Nw)/Na×100 ・・・(1)
ここで、Dcは第3場所PL3の混雑度合いであり、Nrは第3場所PL3にて修理中の車両100の台数であり、Nwは第3場所PL3にて修理待ち中の車両100の台数であり、Naは第3場所PL3にて同時に修理可能な車両100の台数である。
【0029】
速度の上限値の変更および加速度の上限値の変更に関して、ヘッドランプの点灯不良が生じている場合には、作業員が対象車両100の接近を認識しにくくなるため、対象車両100の速度の上限値を低くする。冷却液漏れが生じている場合には、長時間放置すると冷却液不足が生じるため、遠隔制御部210は、対象車両100の速度の上限値を高くする。部品の固定不良が生じている場合には、加減速時の衝撃により部品が脱落する可能性があるため、遠隔制御部210は、対象車両100の加速度の上限値を低くする。フロントガラスの取り付け漏れが生じている場合には、対象車両100を前向きに走行させると前方から飛来した物体が車内に侵入する可能性があるため、対象車両100を転回させて対象車両100を後向きに走行させる。ステップS145において走行計画を変更した後、遠隔制御部210は、走行計画変更処理を終了する。
【0030】
ステップS135において対象車両100に生じている異常が安全上許容できる範囲外の異常であると判定された場合には、遠隔制御部210は、ステップS148にて、対象車両100の走行中止を決定する。走行開始前に走行中止が決定された場合、遠隔制御部210は、対象車両100の走行を開始しない。走行中に走行中止が決定された場合、遠隔制御部210は、対象車両100を停車させる。走行中止が決定された場合、対象車両100は、作業員あるいはレッカー車などにより、第3場所PL3に搬送される。ステップS140、ステップS145、または、ステップS148の後、遠隔制御部210は、走行計画変更処理を終了する。
【0031】
図4は、遠隔制御により車両100が走行する様子を示す第1の説明図であり、
図5は、遠隔制御により車両100が走行する様子を示す第2の説明図であり、
図6は、遠隔制御により車両100が走行する様子を示す第3の説明図であり、
図7は、遠隔制御により車両100が走行する様子を示す第4の説明図である。
図4から
図7には、3台の車両100A~100Cが同時並列的に遠隔制御により走行する様子が表されている。
【0032】
第1場所PL1において第1作業が実施された各車両100A~100Cは、遠隔制御により移動可能な状態となっている。車両100が遠隔制御により移動可能な状態とは、車両100が駆動装置110と操舵装置120と制動装置130と通信装置140と車両制御装置150とを備えており、遠隔制御により、走る、曲がる、止まるの3つの機能を発揮可能な状態のことを意味する。したがって、第1作業が終了した時点では、運転席やダッシュボードなどの内装部品の少なくとも一部が車両100に取り付けられていなくてもよいし、バンパーやフェンダーなどの外装部品の少なくとも一部が車両100に取り付けられていなくてもよいし、車両100がボディシェルを備えていなくてもよい。
【0033】
図4に示すように、各車両100A~100Cに異常が検出されていない場合には、遠隔制御部210は、各車両100A~100Cを、当初の走行計画通りに、第1場所PL1から第2場所PL2に向かって走行させる。第2場所PL2において第2作業が実施されることにより、各車両100A~100Cが完成する。
【0034】
図5に示すように、例えば、車両100B,100Cに異常が検出された場合には、遠隔制御部210は、異常が検出された車両100B,100Cの走行計画を変更して、第3場所PL3に向かって走行させる。この際、遠隔制御部210は、車両100B,100Cの速度と加速度との少なくとも一方を調整することがある。例えば、ヘッドランプの点灯不良が生じている場合には、遠隔制御部210は、異常が生じていないときよりも車両100B,100Cの速度が低くなるように車両100B,100Cを走行させる。例えば、車両100B,100Cの異常の種類が部品の固定不良である場合には、遠隔制御部210は、異常が生じていないときよりも車両100B,100Cの加速度が低くなるように車両100B,100Cを走行させる。遠隔制御部210は、異常が検出されていない車両100Aを、当初の走行計画通りに第2場所PL2に向かって走行させる。第2場所PL2において第2作業が実施されることにより、車両100Aが完成する。その後、
図6に示すように、遠隔制御部210は、修理が実施された車両100B,100Cの速度の上限値および加速度の上限値を元に戻した上で、車両100B,100Cを第3場所PL3から第2場所PL2に向かって走行させる。第2場所PL2において第2作業が実施されることにより、車両100B,100Cが完成する。
【0035】
図7に示すように、例えば、車両100B,100Cにフロントガラスが取り付けられていない場合、フロントガラスが取り付けられていない車両100B,100Cの走行計画を変更して、第3場所PL3に向かって走行させる。この際、遠隔制御部210は、車両100B,100Cを転回させて、車両100B,100Cを後向きに走行させる。遠隔制御部210は、修理が実施された車両100B,100Cを第3場所PL3から第2場所PL2に向かって前向きに走行させる。第2場所PL2において第2作業が実施されることにより、車両100B,100Cが完成する。なお、第1場所PL1において車両100に第1作業を実施する工程のことを第1作業工程と呼び、第2場所PL2において車両100に第2作業を実施する工程のことを第2作業工程と呼ぶことがある。また、車両100を遠隔制御等の無人運転により移動させる工程のことを無人運転工程と呼び、第2場所PL2に未到着の車両100の異常を検出する工程のことを異常検出工程と呼ぶことがある。本実施形態における車両100の製造方法には、第1作業工程と、無人運転工程と、異常検出工程と、第2作業工程とが含まれる。
【0036】
以上で説明した本実施形態における無人運転システム10によれば、第1場所PL1において組み立てられた車両100を、クレーンやコンベアなどの搬送装置を用いずに、検査が実施される第2場所PL2まで遠隔制御により移動させることができる。特に、本実施形態では、異常が生じている車両100を、遠隔制御により、第2場所PL2ではなく第3場所PL3に移動させることができる。したがって、異常が生じていることが予め判明している車両100に検査が実施されることにより無駄な工数が生じることを抑制できる。なお、第2場所PL2において実施される作業が部品の取り付け作業である場合には、異常が生じている車両100には部品の取り付けができない可能性がある。この場合であっても、無人運転システム10によれば、異常が生じている車両100を、遠隔制御により、第2場所PL2ではなく第3場所PL3に移動させるため、部品の取り付け作業が阻害されることを抑制できる。
【0037】
また、本実施形態では、第3場所PL3において異常が解消された車両100を、クレーンやコンベアなどの搬送装置を用いずに、遠隔制御により第2場所PL2に移動させることができる。
【0038】
また、本実施形態では、遠隔制御部210は、異常の種類と第3場所PL3とが対応付けられたデータベースDBを用いて、複数の第3場所PL3の中から移動先の第3場所PL3を決定するため、複数の第3場所PL3の中から異常の解消に適した第3場所PL3に車両100を移動させることができる。したがって、円滑に車両100の異常を解消することができる。
【0039】
また、本実施形態では、遠隔制御部210は、車両100を第3場所PL3に移動させる場合には、第3場所PL3の混雑度合いに応じて、車両100の移動先を決定する。そのため、修理のための待ち時間が生じることを抑制できる。
【0040】
また、本実施形態では、遠隔制御部210は、車両100に異常が生じている場合には、車両100の速度の上限値、車両100の加速度の上限値を変更する。そのため、車両100により重度の異常が生じることを抑制できる。あるいは、車両100を走行させる際の安全性を高めることができる。
【0041】
また、本実施形態では、遠隔制御部210は、車両100にフロントガラスが取り付けられていない場合には、車両100を後向きに走行させるため、前方から飛来した物体が車内に侵入することを抑制できる。
【0042】
B.第2実施形態:
図8は、第2実施形態における無人運転システム10bの構成を模式的に示す説明図である。
図9は、第2実施形態における車両制御装置150の構成を示す説明図である。
図8に示すように、第2実施形態では、無人運転システム10bが遠隔制御装置200を備えていないこと、および、車両100が遠隔制御ではなく自律制御により走行することが第1実施形態とは異なる。その他の構成については特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。なお、自律制御により車両100を走行させる方法のことを自律型自動運転方法、あるいは、無人運転方法と呼ぶことがある。
【0043】
本実施形態では、車両100は、自律制御により走行可能に構成されている。車両100は、通信装置140を用いた無線通信により工程管理装置300およびカメラCMと通信することができる。
図9に示すように、本実施形態では、車両制御装置150のプロセッサ151は、メモリ152に予め記憶されているコンピュータプログラムPG1を実行することにより、走行制御部155b、異常情報取得部156、および、混雑情報取得部157として機能する。本実施形態では、走行制御部155bは、自ら走行制御信号を生成し、生成した走行制御信号を用いて、駆動装置110、操舵装置120、および、制動装置130を制御することにより車両100を走行させる。異常情報取得部156は、
図1Aに示した遠隔制御装置200の異常情報取得部220と同様に、自車両の異常に関する情報を取得する。異常情報取得部156は、例えば、センサ群160やカメラ群400を用いて検出される自車両の異常に関する情報を取得する。異常情報取得部156は、工程管理装置300から自車両の異常に関する情報を取得してもよい。混雑情報取得部157は、
図1Aに示した遠隔制御装置200の混雑情報取得部230と同様に、工程管理装置300から、車両100の修理を実施する場所の混雑度合いに関する情報を取得する。メモリ152には、データベースDBや、参照経路や、検出モデルなどが予め記憶されている。本実施形態では、
図3に示した走行計画変更処理は、車両制御装置150のプロセッサ151により実行される。なお、走行制御部155bのことを単に制御部と呼ぶことがある。異常情報取得部156および混雑情報取得部157のことを単に情報取得部と呼ぶことがある。
【0044】
図10は、第2実施形態における車両100の走行制御の手順を示すフローチャートである。ステップS11にて、車両制御装置150の走行制御部155bは、外部センサであるカメラCMから出力される検出結果を用いて車両位置情報を取得する。ステップS21にて、走行制御部155bは、車両100が次に向かうべき目標位置を決定する。ステップS31にて、走行制御部155bは、決定した目標位置に向かって車両100を走行させるための走行制御信号を生成する。ステップS41にて、走行制御部155bは、生成した走行制御信号を用いて駆動装置110、操舵装置120、および、制動装置130を制御することにより、走行制御信号に表されているパラメータに従って車両100を走行させる。走行制御部155bは、所定の周期で、車両位置情報の取得、目標位置の決定、走行制御信号の生成、および、各種装置110~130の制御を繰り返す。
【0045】
以上で説明した本実施形態における無人運転システム10bによれば、異常が生じている車両100を、自律制御により、第2場所PL2ではなく第3場所PL3に移動させることができる。したがって、異常が生じていることが予め判明している車両100に検査が実施されることにより無駄な工数が生じることを抑制できる。
【0046】
C.第3実施形態:
図11は、第3実施形態における走行計画変更処理の内容を示すフローチャートである。第3実施形態では、走行計画変更処理の内容が第1実施形態とは異なる。その他の構成については特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0047】
図11に示す走行計画変更処理は、遠隔制御装置200のプロセッサ201により、所定の周期で繰り返し実行される。ステップS210にて、異常情報取得部220は、対象車両100の異常に関する情報を取得する。異常情報取得部220は、対象車両100が走行開始前である場合には、第1場所PL1において検出された対象車両100の異常に関する情報を工程管理装置300から取得する。異常情報取得部220は、対象車両100が走行中である場合には、センサ群160を用いて検出される対象車両100の異常に関する情報、および、カメラ群400を用いて検出される対象車両100の異常に関する情報を取得する。
【0048】
ステップS220にて、遠隔制御部210は、異常情報取得部220により取得された対象車両100の異常に関する情報を用いて、対象車両100に異常が生じているか否かを判定する。ステップS220において対象車両100に異常が生じていないと判定された場合には、遠隔制御部210は、ステップS230にて、予め定められた走行計画に従って対象車両100を走行させる。
【0049】
ステップS220において対象車両100に異常が生じていると判定された場合には、遠隔制御部210は、ステップS223にて、対象車両100に生じている異常が対象車両100の走行に支障がある異常であるか否かを判定する。対象車両100の走行に支障がある異常には、対象車両100の「走る」、「曲がる」、「止まる」に支障がある異常が含まれる。対象車両100の走行に支障がある異常には、例えば、後述する異常E1~E2が含まれる。本実施形態では、遠隔制御部210は、予め定められたルールに従って、対象車両100に異常が生じているか否かを判定する。遠隔制御部210は、状況に応じて臨機応変に、対象車両100に異常が生じているか否かを判定してもよい。
【0050】
ステップS223において対象車両100の走行に支障がある異常であると判定された場合には、遠隔制御部210は、ステップS233にて、対象車両100の走行中止を決定する。対象車両100の走行開始前に走行中止が決定された場合には、遠隔制御部210は、対象車両100の走行を開始しない。対象車両100の走行中に走行中止が決定された場合には、遠隔制御部210は、対象車両100を停車させる。本実施形態では、さらに、遠隔制御部210は、無人運転システム10の管理者や工場KJの作業員等に対して、対象車両100の走行を中止したことを通知する。以下の説明では、無人運転システム10の管理者や工場KJの作業員等のことを管理者等と呼ぶ。遠隔制御部210は、例えば、管理者等が携帯しているモバイル端末にメッセージを送信することにより、対象車両100の走行を中止したことを通知する。遠隔制御部210は、工場KJに設置されている警告ブザーや警告ランプを作動させることにより、対象車両100の走行を中止したことを通知してもよい。なお、他の実施形態では、ステップS223において対象車両100の走行に支障がある異常であると判定された場合に、遠隔制御部210は、対象車両100の走行を中止せずに、走行計画を変更して、対象車両100を現在地から最も近い修理場所に移動させてもよい。
【0051】
ステップS223において対象車両100の走行に支障がある異常ではないと判定された場合には、遠隔制御部210は、ステップS225にて、対象車両100に生じている異常が対象車両100の後工程に支障がある異常であるか否かを判定する。対象車両100の後工程に支障がある異常には、例えば、後工程が実施できない異常や、後工程の作業性を低下させる異常が含まれる。対象車両100の後工程に支障がある異常には、例えば、後述する異常E3が含まれる。
【0052】
ステップS225において対象車両100の後工程に支障がある異常ではないと判定された場合には、遠隔制御部210は、ステップS235にて、対象車両100の走行計画を変更して、対象車両100を最終工程まで移動させた後、対象車両100を修理場所に移動させる。なお、他の実施形態では、遠隔制御部210は、対象車両100を最終工程まで移動させた後ではなく、対象車両100を最終工程まで移動させる前に、対象車両100を修理場所に移動させてもよい。例えば、対象車両100を途中でUターンさせる走行計画である場合には、遠隔制御部210は、対象車両100をUターンさせるタイミングで、対象車両100を修理場所に移動させてもよい。複数の車両100を途中まで隊列走行させる走行計画である場合には、遠隔制御部210は、隊列走行が終了したタイミングで、異常が生じている車両100を修理場所に移動させ、異常が生じていない車両100を当初の走行計画通りに目的地に移動させてもよい。
【0053】
ステップS225において対象車両100の後工程に支障がある異常であると判定された場合には、遠隔制御部210は、ステップS238にて、遠隔制御部210は、支障がある工程が開始される前に、対象車両100を修理場所に移動させる。遠隔制御部210は、N番目(Nは自然数)の工程に支障がある場合に、N-1番目の工程が終了してからN番目の工程が開始されるまでの間に対象車両100を修理場所に移動させてもよいし、N-1番目の工程が開始される前に対象車両100を修理場所に移動させてもよい。
【0054】
ステップS230、ステップS233、ステップS235、または、ステップS238の後、遠隔制御部210は、走行計画変更処理を終了する。遠隔制御部210は、所定時間が経過した後、再び、走行計画変更処理を開始する。
【0055】
対象車両100の走行に支障がある異常には、例えば、下記の異常E1~E2が含まれる。
【0056】
<異常E1:エンジンの失火カウントが高い>
対象車両100がガソリン自動車やハイブリッド自動車であり、対象車両100においてエンジンの失火カウントが高いという異常E1が生じている場合には、対象車両100が走行できなくなるリスクがある。そのため、遠隔制御部210は、対象車両100の走行を中止するか、あるいは、対象車両100を現在地から最も近い修理場所に移動させる。
【0057】
<異常E2:バッテリの締付トルク不足>
対象車両100においてバッテリを固定するための締付トルク不足という異常E2が生じている場合には、バッテリが脱落して対象車両100が走行できなくなるリスクがある。そのため、遠隔制御部210は、対象車両100の走行を中止するか、あるいは、対象車両100を現在地から最も近い修理場所に移動させる。
【0058】
対象車両100の後工程に支障がある異常には、例えば、下記の異常E3が含まれる。
【0059】
<異常E3:ミラーの断線>
電動格納式ミラーの調整を含む調整工程の前に、対象車両100において電動格納式ミラーの断線という異常E3が生じている場合には、走行に支障はないが、ミラーが断線したままでは調整が実施できない。そのため、遠隔制御部210は、調整工程が開始される前に、対象車両100を修理場所に移動させる。なお、調整工程の後に、対象車両100において電動格納式ミラーの断線という異常E3が生じた場合には、走行に支障はなく、後工程にも支障はないが、このままでは出荷できない。そのため、遠隔制御部210は、最終工程が終了した後に、対象車両100を修理場所に移動させる。
【0060】
対象車両100の後工程に支障がない異常には、例えば、下記の異常E4が含まれる。
【0061】
<異常E4:ミラー等の傷>
対象車両100のミラーやボディに傷が存在するという異常E4が生じている場合には、走行に支障はなく、後工程にも支障はないが、このままでは出荷できない。そのため、遠隔制御部210は、最終工程が終了した後に、対象車両100を修理場所に移動させる。なお、修理場所が混雑しているタイミングで対象車両100を修理場所に移動させると、対象車両100の修理が開始されるまでの待ち時間が長くなる。そのため、遠隔制御部210は、最終工程が終了した後に対象車両100を修理場所に移動させるのではなく、最終工程が終了する前の修理場所が混雑していないタイミングで対象車両100を修理場所に移動させてもよい。この場合、対象車両100が修理場所に到着した後、対象車両100の修理が開始されるまでの待ちの時間を短くすることができる。また、次の工程に遅れが生じていると、次の工程が開始されるまでの待ち時間が長くなる。そのため、遠隔制御部210は、次の工程に遅れが生じているタイミングで、対象車両100を修理場所に移動させてもよい。この場合、次の工程が開始されるまでの待ち時間を有効活用できる。
【0062】
上述した異常E1~E4以外の異常が生じている場合の処理について説明する。一例として、対象車両100において部品の組付け不良が生じている場合の処理について説明する。なお、ここでいう部品の組付け不良には、部品が不適切な状態で組付けられていることだけではなく、部品の組付け忘れが生じていることが含まれる。
【0063】
対象車両100において部品の組付け不良が生じており、当該部品の組付け不良により対象車両100の走行に支障がある場合には、遠隔制御部210は、対象車両100の走行を中止するか、あるいは、対象車両100を現在地から最も近い修理場所に移動させる。例えば、部品の組付け不良により対象車両100の走行が不安定になっている場合には、対象車両100の走行に支障があるため、遠隔制御部210は、対象車両100の走行を中止するか、あるいは、対象車両100を現在地から最も近い修理場所に移動させる。
【0064】
対象車両100の走行に支障がない部品の組付け不良が生じており、かつ、当該部品の組付け不良により後工程に支障がある場合には、遠隔制御部210は、支障がある工程が開始される前に、対象車両100を修理場所に移動させる。これに対して、対象車両100の走行に支障がない部品の組付け不良が生じており、かつ、当該部品の組付け不良により後工程に支障がない場合には、遠隔制御部210は、最終工程が終了した後に、対象車両100を修理場所に移動させる。
【0065】
対象車両100において部品の組付け不良が生じているものの、当該部品の組付け不良により対象車両100の走行に支障がなく、かつ、後工程の作業員が簡単に解消できる組付け不良である場合には、遠隔制御部210は、当初の走行計画に従って、対象車両100の走行を継続してもよい。例えば、対象車両100に部品が適切に嵌まっていないものの、後工程の作業員が手で押し込めば対象車両100に部品が適切に嵌まる場合には、遠隔制御部210は、当初の走行計画に従って、対象車両100の走行を継続してもよい。この場合、遠隔制御部210は、後工程の作業員に対して、対象車両100の組付け不良を解消するよう通知することが好ましい。
【0066】
上述した後工程には、対象車両100の組立工程だけではなく、対象車両100の検査工程が含まれる。検査工程には、例えば、耐水性検査工程が含まれる。耐水性検査工程では、対象車両100の所定範囲に水を噴射して、対象車両100の室内に水が浸入するか否かが検査される。対象車両100のドアや窓枠にウェザーストリップが適切に組付けられていない場合には、耐水性検査工程において対象車両100の室内に水が浸入する可能性がある。そのため、耐水性検査工程が開始される前にウェザーストリップの組付け不良が発見された場合には、遠隔制御部210は、耐水性検査工程が開始される前に、対象車両100を修理場所に移動させる。
【0067】
以上で説明した本実施形態における無人運転システム10によれば、走行計画変更処理において、遠隔制御部210は、対象車両100に異常が生じていると判定された場合に、対象車両100に生じている異常が対象車両100の後工程に支障がある異常であるか否かに応じて、対象車両100の移動先を決定する。したがって、対象車両100に生じている異常が後工程に支障がない異常であるにもかかわらず移動先が変更されることに起因して、対象車両100の生産効率が低下することを抑制することができる。なお、
図11に示した走行計画変更処理は、車両制御装置150のプロセッサ151により実行されてもよい。
【0068】
なお、走行計画変更処理において、遠隔制御部210は、実際に異常が生じている場合だけではなく、異常が生じている可能性がある場合にも、対象車両100の移動先を変更してもよい。遠隔制御部210は、対象車両100に実際に異常が生じているか否かは不明であるものの、対象車両100に異常が生じている可能性がある場合には、対象車両100の移動先を、修理場所ではなく、特別検査場所に変更してもよい。例えば、N番目(Nは自然数)の工程が開始される前の対象車両100に耐水性検査において水漏れが生じる可能性があることが判明した場合、遠隔制御部210は、対象車両100の移動先を、N番目の工程が実施される場所から、水漏れが生じるか否かを検査するための特別検査場所に変更してもよい。対象車両100が特別検査場所での検査に合格しなかった場合、換言すれば、対象車両100に異常が生じていることが確認された場合には、遠隔制御部210は、対象車両100を修理場所に移動させてもよい。対象車両100が特別検査場所での検査に合格した場合、換言すれば、対象車両100に異常が生じていないことが確認された場合には、遠隔制御部210は、対象車両100をN番目の工程が実施される場所に移動させてもよい。
【0069】
本開示において、対象車両100に異常が生じていることには、対象車両100が仕向地の法規に適合していないことが含まれてもよい。対象車両100が仕向地の法規に適合していないことには、仕向地の法規が変更されたことにより、対象車両100が仕向地の法規に適合しなくなったことが含まれてもよい。
【0070】
本開示において、対象車両100に異常が生じていることには、対象車両100の検査の合格基準が変更されることにより、対象車両100が検査に不合格となる可能性が生じていることが含まれてもよい。例えば、対象車両100の検査が終了してから対象車両100が出荷されるまでの間に、検査の合格基準が変更された場合には、工場KJ内のヤードに保管されている対象車両100の検査をやり直さなければならない。この場合に、遠隔制御部210は、ヤードに保管されている対象車両100を検査のやり直しが実施される場所に移動させてもよい。このようにすることで、検査員がヤードまで移動する手間をなくすことができる。
【0071】
本開示において、対象車両100の遠隔制御による走行は、対象車両100が生産される工場KJではなく、例えば、対象車両100が船積みされる港で実行されてもよい。一例としては、遠隔制御部210は、対象車両100に異常が生じていない場合には、対象車両100を船に移動させてもよく、対象車両100に異常が生じた場合には、対象車両100を港の修理場所に移動させてもよい。他の例としては、遠隔制御部210は、対象車両100に異常が生じていない場合には、対象車両100を出荷用の第1の船に移動させてもよく、対象車両100に異常が生じている場合には、対象車両100を修理場所に向かう第2の船に移動させてもよい。
【0072】
D.他の実施形態:
(D1)上述した各実施形態の無人運転システム10,10bにおいて、遠隔制御部210や走行制御部155bは、第3場所PL3にて第3作業が実施された車両100を第2場所PL2に移動させる。これに対して、遠隔制御部210や走行制御部155bは、第3場所PL3にて第3作業が実施された車両100を第2場所PL2以外の場所に移動させてもよい。あるいは、遠隔制御部210や走行制御部155bは、第3場所PL3にて第3作業が実施された車両100を第3場所PL3から移動させなくてもよい。この形態であっても、異常が生じている可能性があることが予め判明している車両100に検査が実施されることにより無駄な工数が生じることを抑制できる。
【0073】
(D2)上述した各実施形態の無人運転システム10,10bにおいて、遠隔制御部210や走行制御部155bは、第1場所PL1から第2場所PL2に車両100を移動させる。これに対して、例えば、コンベアやクレーンなどの搬送装置により第1場所PL1から第1場所PL1と第2場所PL2との間の場所まで車両100が搬送された後、遠隔制御部210や走行制御部155bは、第1場所PL1と第2場所PL2との間の場所から第2場所PL2に車両100を移動させてもよい。
【0074】
(D3)上述した各実施形態の無人運転システム10,10bにおいて、遠隔制御部210や走行制御部155bは、異常の種類と第3場所PL3とが対応付けられたデータベースDBを用いて、複数の第3場所PL3の中から車両100の移動先の第3場所PL3を決定する。これに対して、遠隔制御部210や走行制御部155bは、データベースDBを用いずに、例えば、車両100の現在の位置から最も近い第3場所PL3を、車両100の移動先としてもよい。
【0075】
(D4)上述した各実施形態では、工場KJには、複数の第3場所PL3が設けられている。これに対して、工場KJに設けられている第3場所PL3の数は、1つでもよい。この場合、遠隔制御部210や走行制御部155bは、データベースDBを用いずに車両100の移動先を決定してもよい。
【0076】
(D5)上述した各実施形態において、遠隔制御部210や走行制御部155bは、車両100を第1場所PL1から第4作業が実施される第4場所を経由して第2場所PL2に移動させてもよい。この場合、遠隔制御部210や走行制御部155bは、異常が生じている車両100を第1場所PL1から第3場所PL3を経由して第4場所に移動させた後、車両100を第4場所から第2場所PL2に移動させてもよい。あるいは、遠隔制御部210や走行制御部155bは、車両100を第1場所PL1から第4場所に移動させた後、車両100を第4場所から第3場所PL3を経由して第2場所PL2に移動させてもよい。例えば、第2場所PL2で実施される第2作業が車両100に水を掛けて車両100の耐水性を検査する作業であり、第4場所で実施される第4作業が車両100に水を掛けずに車両100の傷などを検査する作業である場合には、車両100の窓が閉まらなくなる異常が生じていても第4作業には支障がない。したがって、車両100が第4場所に到着する前に車両100の窓が閉まらなくなる異常が検出された場合には、遠隔制御部210や走行制御部155bは、車両100を第1場所PL1から第4場所に移動させた後、車両100を第4場所から第3場所PL3を経由して第2場所PL2に移動させてもよい。
【0077】
(D6)上記各実施形態では、外部センサは、カメラCMである。これに対して、外部センサは、カメラCMでなくてもよく、例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging)であってもよい。この場合、外部センサから出力される検出結果は、車両100を表す3次元点群データであってもよい。この場合、遠隔制御部210や走行制御部155bは、検出結果としての3次元点群データと、予め準備された参照用点群データとを用いたテンプレートマッチングによって、車両位置情報を取得してもよい。
【0078】
(D7)上記第1実施形態では、遠隔制御装置200により車両位置情報の取得から走行制御信号の生成までの処理が実行される。これに対して、車両100により車両位置情報の取得から走行制御信号の生成までの処理の少なくとも一部が実行されてもよい。例えば、以下の(1)から(3)の形態であってもよい。
【0079】
(1)遠隔制御装置200は、車両位置情報を取得し、車両100が次に向かうべき目標位置を決定し、取得した車両位置情報に表されている車両100の現在地から目標位置までの経路を生成してもよい。遠隔制御装置200は、現在地と目的地との間の目標位置までの経路を生成してもよいし、目的地までの経路を生成してもよい。遠隔制御装置200は、生成した経路を車両100に対して送信してもよい。車両100は、遠隔制御装置200から受信した経路上を車両100が走行するように走行制御信号を生成し、生成した走行制御信号を用いて、駆動装置110、操舵装置120、および、制動装置130を制御してもよい。
【0080】
(2)遠隔制御装置200は、車両位置情報を取得し、取得した車両位置情報を車両100に対して送信してもよい。車両100は、車両100が次に向かうべき目標位置を決定し、受信した車両位置情報に表されている車両100の現在地から目標位置までの経路を生成し、生成した経路上を車両100が走行するように走行制御信号を生成し、生成した走行制御信号を用いて、駆動装置110、操舵装置120、および、制動装置130を制御してもよい。
【0081】
(3)上記(1),(2)の形態において、車両100に内部センサが搭載されており、経路の生成と走行制御信号の生成との少なくとも一方に、内部センサから出力される検出結果が用いられてもよい。内部センサは、車両100に搭載されたセンサである。内部センサには、例えば、車両100の運動状態を検出するセンサや、車両100の各部の動作状態を検出するセンサや、車両100の周囲の環境を検出するセンサが含まれ得る。具体的には、内部センサには、例えば、カメラ、LiDAR、ミリ波レーダ、超音波センサ、GPSセンサ、加速度センサ、ジャイロセンサなどが含まれ得る。例えば、上記(1)の形態において、遠隔制御装置200は、内部センサの検出結果を取得し、経路を生成する際に内部センサの検出結果を経路に反映してもよい。上記(1)の形態において、車両100は、内部センサの検出結果を取得し、走行制御信号を生成する際に内部センサの検出結果を走行制御信号に反映してもよい。上記(2)の形態において、車両100は、内部センサの検出結果を取得し、経路を生成する際に内部センサの検出結果を経路に反映してもよい。上記(2)の形態において、車両100は、内部センサの検出結果を取得し、走行制御信号を生成する際に内部センサの検出結果を走行制御信号に反映してもよい。
【0082】
(D8)上記第2実施形態において、車両100に内部センサが搭載されており、経路の生成と走行制御信号の生成との少なくとも一方に、内部センサから出力される検出結果が用いられてもよい。例えば、車両100は、内部センサの検出結果を取得し、経路を生成する際に内部センサの検出結果を経路に反映してもよい。車両100は、内部センサの検出結果を取得し、走行制御信号を生成する際に内部センサの検出結果を走行制御信号に反映してもよい。
【0083】
(D9)上記第2実施形態では、車両100は、外部センサであるカメラCMの検出結果を用いて車両位置情報を取得している。これに対して、車両100に内部センサが搭載されており、車両100は、内部センサの検出結果を用いて車両位置情報を取得し、車両100が次に向かうべき目標位置を決定し、取得した車両位置情報に表されている車両100の現在地から目標位置までの経路を生成し、生成した経路を走行するための走行制御信号を生成し、生成した走行制御信号を用いて、駆動装置110、操舵装置120、および、制動装置130を制御してもよい。この場合、車両100は、外部センサの検出結果を一切用いずに走行することができる。なお、車両100は、車両100の外部から目標到着時刻や渋滞情報を取得し、経路と走行制御信号の少なくとも一方に目標到着時刻や渋滞情報を反映させてもよい。
【0084】
(D10)上記第1実施形態では、遠隔制御装置200は、車両100に対して送信する走行制御信号を自動で生成している。これに対して、遠隔制御装置200は、車両100の外部に位置している外部オペレータの操作に従って、車両100に対して送信する走行制御信号を生成してもよい。例えば、外部センサであるカメラCMから出力される撮像画像を表示するディスプレイ、車両100を遠隔操作するためのステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダル、および、有線通信あるいは無線通信により遠隔制御装置200と通信するための通信装置を備える操縦装置を外部オペレータが操作し、遠隔制御装置200は、操縦装置に加えられた操作に応じた走行制御信号を生成してもよい。この形態において、遠隔制御装置200は、車両100の移動先が変更された場合に、新たな移動先に関する情報を操縦装置のディスプレイに表示させてもよい。この場合、オペレータは、ディスプレイに表示された情報を参照することにより、車両100を新たな移動先に向かって遠隔手動運転により移動させることができる。また、この形態において、遠隔手動運転中の車両100に異常が生じている場合、遠隔制御部210は、遠隔手動運転を中止して、新たな移動先に向かって車両100を移動させる遠隔自動運転を開始してもよい。
【0085】
(D11)上記各実施形態において、車両100は、無人運転により移動可能な構成を備えていればよく、例えば、以下に述べる構成を備えるプラットフォームの形態であってもよい。具体的には、車両100は、無人運転により「走る」、「曲がる」、「止まる」の3つの機能を発揮するために、少なくとも、駆動装置110、操舵装置120、制動装置130、および、車両制御装置150を備えていればよい。無人運転のために車両100が外部から情報を取得する場合に、車両100は、さらに、通信装置140を備えていればよい。すなわち、無人運転により移動可能な車両100は、運転席やダッシュボードなどの内装部品の少なくとも一部が装着されていなくてもよく、バンパーやフェンダーなどの外装部品の少なくとも一部が装着されていなくてもよく、ボディシェルが装着されていなくてもよい。この場合、車両100が工場KJから出荷されるまでの間に、ボディシェル等の残りの部品が車両100に装着されてもよいし、ボディシェル等の残りの部品が車両100に装着されていない状態で、車両100が工場KJから出荷された後にボディシェル等の残りの部品が車両100に装着されてもよい。各部品は、車両100の上側、下側、前側、後側、右側あるいは左側といった任意の方向から装着されてよく、それぞれ同じ方向から装着されてもよいし、それぞれ異なる方向から装着されてもよい。なお、プラットフォームの形態に対しても、第1実施形態における車両100と同様にして位置決定がなされ得る。
【0086】
(D12)車両100は、複数のモジュールを組み合わせることによって製造されてもよい。モジュールは、車両100の部位や機能に応じて纏められた複数の部品によって構成されるユニットを意味する。例えば、車両100のプラットフォームは、プラットフォームの前部を構成する前方モジュールと、プラットフォームの中央部を構成する中央モジュールと、プラットフォームの後部を構成する後方モジュールとを組み合わせることで製造されてもよい。なお、プラットフォームを構成するモジュールの数は、3つに限られず、2つ以下や4つ以上であってもよい。また、プラットフォームを構成する部品に加えて、あるいは、これに代えて、車両100のうちプラットフォームとは異なる部分を構成する部品がモジュール化されてもよい。また、各種モジュールは、バンパーやグリルといった任意の外装部品や、シートやコンソールといった任意の内装部品を含んでいてもよい。また、車両100に限らず、任意の態様の移動体が、複数のモジュールを組み合わせることによって製造されてもよい。こうしたモジュールは、例えば、複数の部品を溶接や固定具等によって接合することで製造されてもよいし、モジュールを構成する部品の少なくとも一部を鋳造によって一の部品として一体的に成型することで製造されてもよい。一の部品、特に比較的大型の部品を一体的に成型する成型手法は、ギガキャストやメガキャストとも呼ばれる。例えば、上記の前方モジュールや中央モジュールや後方モジュールは、ギガキャストを用いて製造されてもよい。
【0087】
(D13)無人運転による車両100の走行を利用して車両100を搬送させることを「自走搬送」とも呼ぶ。また、自走搬送を実現するための構成を、「車両遠隔制御自律走行搬送システム」とも呼ぶ。また、自走搬送を利用して車両100を生産する生産方式のことを「自走生産」とも呼ぶ。自走生産では、例えば、車両100を製造する工場KJにおいて、車両100の搬送の少なくとも一部が、自走搬送によって実現される。
【0088】
(D14)上記各実施形態において、ソフトウェア的に実現される機能及び処理の一部又は全部は、ハードウェア的に実現されてもよい。また、ハードウェア的に実現される機能及び処理の一部又は全部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。上記各実施形態における各種機能を実現するためのハードウェアとしては、例えば、集積回路やディスクリート回路といった各種回路を用いてもよい。
【0089】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0090】
10,10b…無人運転システム、100…車両(移動体)、110…駆動装置、120…操舵装置、130…制動装置、140…通信装置、150…車両制御装置、151…プロセッサ、152…メモリ、153…入出力インタフェース、154…内部バス、155,155b…走行制御部、156…異常情報取得部、157…混雑情報取得部、160…センサ群、200…遠隔制御装置、201…プロセッサ、202…メモリ、203…入出力インタフェース、204…内部バス、205…通信装置、210…遠隔制御部、220…異常情報取得部、230…混雑情報取得部、300…工程管理装置、310…組立設備、320…検査設備、330…修理設備、400…カメラ群、CM1~CM5…カメラ、DB…データベース、KJ…工場、PG1…コンピュータプログラム、PG2…コンピュータプログラム、PL1…第1場所、PL2…第2場所、PL3…第3場所、SR…走行路
【要約】
【課題】異常が生じている移動体によって第1作業よりも後の工程である第2作業が妨げられることを抑制する。
【解決手段】無人運転システムは、遠隔制御により移動可能な移動体と、移動体を遠隔制御する遠隔制御部であって、移動体を生産する工場の第1場所から第1場所とは異なる工場の第2場所に移動体を移動させる遠隔制御部と、移動体の異常に関する情報を取得する情報取得部と、を備える。遠隔制御部は、移動体が第2場所に到着する前に移動体に異常が生じていることを示す情報が取得されたことを含む予め定められた条件が満たされた場合には、移動体が第2場所に到着する前に、移動体を第1場所とも第2場所とも異なる工場の第3場所に移動させる。
【選択図】
図1A