(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】充電システム、車両、充電制御装置、及び充電方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240918BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240918BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240918BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20240918BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240918BHJP
【FI】
H02J7/00 301C
H02J7/00 P
B60R16/02 645D
B60L53/14
B60L53/30
B60L3/00 H
(21)【出願番号】P 2024090560
(22)【出願日】2024-06-04
(62)【分割の表示】P 2020144314の分割
【原出願日】2020-08-28
【審査請求日】2024-06-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上木原 大介
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-129557(JP,A)
【文献】特開2011-015548(JP,A)
【文献】特開2015-095916(JP,A)
【文献】特開2020-104666(JP,A)
【文献】国際公開第2012/060009(WO,A1)
【文献】特開2009-227218(JP,A)
【文献】特開2011-205755(JP,A)
【文献】特開2010-187467(JP,A)
【文献】特開2017-60313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60R 16/02
B60L 53/14
B60L 53/30
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両幅方向に配列する第1側面および第2側面を含む車両本体と、
前記第1側面に設けられ
、DC充電コネクタが接続可能
なDC充電インレットと、
前記DC充電インレットに設けられ
たリッドと、
前
記リッドのロックおよびアンロックを切り替え
るリッドロック装置と、
前記第1側面に設けられ、AC充電コネクタが接続可能なAC充電インレットと、
前記車両本体に設けられた蓄電装置と、
制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記DC充電インレットへの前記DC充電コネクタの接続と、前記AC充電インレットへの前記AC充電コネクタの接続とを検知可能とされており、
前記DC充電コネクタが前記DC充電インレットに挿入されたことを前記制御装置が検知した際に、前記AC充電インレットに前記AC充電コネクタを挿入できない状態であると、前記DC充電コネクタから前記蓄電装置に電力が供給され、
前記AC充電コネクタを前記AC充電インレットに挿入されたことを前記制御装置が検知した際に、前記DC充電インレットに前記DC充電コネクタを挿入できない状態であると、前記AC充電コネクタから前記蓄電装置に電力が供給される、車両。
【請求項2】
前記第1側面に設けられた第1乗降用ドアと、
前記第2側面に設けられた第2乗降用ドアと、
前記DC充電インレットとは別の他のDC充電インレットと、
をさらに備え、
前記他のDC充電インレットは前記第2側面に設けられており、
前記DC充電インレットは、前記第1乗降用ドアよりも後方に設けられており、
前記
他のDC充電インレットは、前記第2乗降用ドアよりも後方に設けられた、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記AC充電インレットおよび前記蓄電装置の間に設けられた充電回路をさらに備え、
前記充電回路は、絶縁回路を含み、
前記充電回路がOFFとなることで、前記蓄電装置および前記AC充電インレットの間の電気的な接続が切断される、請求項
1に記載の車両。
【請求項4】
前記AC充電インレットに前記AC充電コネクタが接続され、前記AC充電コネクタから前記蓄電装置に電力が供給されるときには、前
記DC充電インレットおよび前記
他のDC充電インレットによる充電ができない、請求項
2に記載の車両。
【請求項5】
ユーザが使用する端末と通信可能な通信装置と、
前記他のDC充電インレットに設けられた他のリッドと、
をさらに備え、
前記制御装置は、前記ユーザが前記端末を操作することで、前記端末から前記通信装置が受信した信号に基づいて、
前記リッドおよび前記
他のリッドの開閉を制御する、請求項
2に記載の車両。
【請求項6】
車両を走行させるための車両システムと、
前記車両システムのONおよびOFFを切り換えるスイッチと、
をさらに備え、
ユーザが前記スイッチを操作することで、前記車両が電動走行することができない状態において、前記制御装置は前記蓄電装置への充電を実施する、請求項1に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電システム、車両、充電制御装置、及び充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-129956号公報(特許文献1)には、第1充電ポート及び第2充電ポートの各々に供給される電力によって二次電池(蓄電装置)を充電する充電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載される充電システムでは、第1充電ポート近傍及び第2充電ポート近傍にそれぞれ第1リレー及び第2リレーが設けられている。第1充電ポートに充電コネクタが接続されると、第1充電ポート近傍の第1リレーがオン状態(接続状態)になり、第2充電ポート近傍の第2リレーがオフ状態(遮断状態)になる。第1リレーがオン状態になることで、第1充電ポートに供給される電力を第1充電ポートから二次電池側へ出力することが可能になる。二次電池の充電中においては、第2リレーがオフ状態になることで、第2充電ポートに電圧は印加されない。このため、第1充電ポートを使用して二次電池が充電されているときに第2充電ポートの端子が露出していても安全(すなわち、感電のリスクは低い)と考えられる。
【0005】
上記特許文献1に記載される充電システムでは、上述の制御が行なわれることによって、安全性が確保される。しかしながら、上述の制御では、第1充電ポート及び第2充電ポートにそれぞれ第1リレー及び第2リレーを設け、第1充電ポート及び第2充電ポートのいずれが使用されるかに応じて第1リレー及び第2リレーが個別に異なる状態に制御される。このように制御が複雑になることは、安全性の観点からもコストの観点からも不利である。制御が複雑になるほど誤動作が生じやすくなる。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の充電ポートの各々に供給される電力によって蓄電装置を充電する充電システムにおいて、簡易な制御で安全性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の観点に係る充電システムは、複数の充電ポートの各々に供給される電力によって蓄電装置を充電するように構成される。この充電システムは、複数の充電ポートの各々から蓄電装置までの各電力経路の接続/遮断を切り替える開閉装置と、開閉装置を制御する制御装置とを備える。複数の充電ポートの各々には、当該充電ポートを開閉するリッドが設けられている。制御装置は、複数の充電ポートのいずれかを使用して蓄電装置の充電を開始する前に所定の充電禁止条件が成立するか否かを判断し、上記所定の充電禁止条件が成立する間は複数の充電ポートの各々から蓄電装置までの各電力経路を遮断状態に維持するように構成される。上記所定の充電禁止条件は、複数の充電ポートのうち、使用される充電ポート以外の充電ポートのリッドが開いているときに成立する。
【0008】
以下、上記複数の充電ポートのうち、使用される充電ポートを、「使用ポート」とも称する。上記複数の充電ポートのうち、使用される充電ポート以外の充電ポートを、「非使用ポート」とも称する。
【0009】
上記充電システムでは、非使用ポートのリッドが開いているときには充電禁止条件が成立する。充電禁止条件が成立する間は複数の充電ポートの各々から蓄電装置までの各電力経路が遮断状態に維持される。全ての非使用ポートのリッドが閉じなければ充電が開始されない。こうした構成では、全ての充電ポートの電力経路を遮断状態に維持するため、制御をシンプルにできる。
【0010】
充電が開始される際に非使用ポートに電圧が印加されたとしても、非使用ポートのリッドは閉まっている(すなわち、非使用ポートの端子は露出していない)ため、安全である。非使用ポートの端子がリッドに覆われることで、ユーザが非使用ポートの端子に触れることが物理的に禁止される。
【0011】
このように、上記構成によれば、簡易な制御で充電システムにおける安全性を向上させることができる。
【0012】
上記開閉装置は、複数の充電ポートの各々から蓄電装置までの各電力経路の共通部分に配置され、かつ、その共通部分の接続/遮断を切り替えるリレーを含んでもよい。
【0013】
上記開閉装置を備える充電システムにおいて、制御装置は、1つのリレーの状態(接続/遮断)を切り替えることによって、複数の充電ポートの各々から蓄電装置までの各電力経路の接続/遮断を切り替えることができる。このため、制御がシンプルになるとともに、低コスト化が図られる。
【0014】
上記リレーは、ノーマリオフスイッチであってもよい。上記リレーが非通電時にオフ状態(遮断状態)になることで、安全性が向上する。
【0015】
上記複数の充電ポートは、複数の接触充電用ポートを含んでもよい。制御装置は、複数の接触充電用ポートのいずれかを使用して蓄電装置の充電を開始する前に、複数の接触充電用ポートのいずれかに充電コネクタが接続されたタイミングで、所定の充電禁止条件が成立するか否かを判断するように構成されてもよい。
【0016】
充電ポートに充電コネクタが接続された場合には、充電コネクタが接続された充電ポートを使用して充電が行なわれる可能性が高い。また、充電ポートの端子に充電コネクタが接続されることで、充電ポートの端子は露出しなくなるため、ユーザが使用ポートの端子に触れる可能性は低くなる。
【0017】
上記複数の接触充電用ポートの各々は、直流電力を受電する充電ポート(以下、「DCポート」とも称する)であってもよい。
【0018】
交流電力を受電するACポート(たとえば、普通充電器に対応する充電ポート)を用いて蓄電装置を充電する場合には、ACポートに供給される交流電力が直流電力に変換されてから蓄電装置へ供給される。一方、直流電力を受電するDCポート(たとえば、急速充電器に対応する充電ポート)を用いて蓄電装置を充電する場合には、上記のような電力変換(AC/DC変換)が不要になる。DCポートと蓄電装置との間には、AC/DC変換回路が存在しないため、DCポートと蓄電装置とが電気的に接続されると、蓄電装置の電圧がDCポートに印加されやすくなる。よって、上記複数の接触充電用ポートの各々がDCポートである構成では、特に高い安全性が要求されると考えられる。
【0019】
上記複数の接触充電用ポートは、ユーザによって充電コネクタが接続される手動充電ポートと、自動的に充電コネクタが接続される自動充電ポートとを含んでもよい。
【0020】
ユーザが充電コネクタを充電ポートに接続して実行する手動充電では、ユーザの作業が多いため、リッドの閉め忘れが発生しやすくなる。一方、自動的に充電コネクタが充電ポートに接続されて実行される自動充電では、ユーザの作業が少ないため、ユーザの注意が散漫になる傾向がある。上記複数の接触充電用ポートが手動充電ポート及び自動充電ポートの両方を含む構成では、特に高い安全性が要求されると考えられる。
【0021】
上述したいずれかの充電システムは、制御装置によって制御される報知装置をさらに備えてもよい。上記の制御装置は、蓄電装置の充電を開始する前に所定の充電禁止条件が成立すると判断された場合には、所定の充電禁止条件が成立することを、報知装置によってユーザに報知してもよい。
【0022】
上記構成では、充電禁止条件が成立する場合に、充電禁止条件が成立することを、報知装置がユーザに報知する。ユーザは、充電禁止条件が成立しないようにすることで、蓄電装置の充電を開始することができる。
【0023】
上記の制御装置は、蓄電装置の充電を開始する前に所定の充電禁止条件が成立すると判断された場合に、非使用ポートのリッドを閉めることを、報知装置によってユーザに促してもよい。報知装置は、リッドが開いている非使用ポートの位置をユーザに報知してもよい。
【0024】
上記の制御装置は、蓄電装置の充電を開始する前に所定の充電禁止条件が成立しないと判断された場合には、使用される充電ポートから蓄電装置までの電力経路を接続状態にして蓄電装置の充電を開始するように構成されてもよい。所定の充電禁止条件は、複数の充電ポートのうち、使用される充電ポート以外の全ての充電ポートのリッドが閉じていれば成立しなくてもよい。
【0025】
上記構成では、全ての非使用ポートのリッドが閉じていれば、蓄電装置の充電が開始される。上記構成によれば、蓄電装置の充電を安全に実行することが可能になる。
【0026】
ただし、上記の充電禁止条件に限られず、充電禁止条件は、非使用ポートのリッドが開いている場合と、非使用ポートのリッドがアンロック状態である場合との両方において成立してもよい。充電禁止条件は、全ての非使用ポートのリッドが閉じて、かつ、全ての非使用ポートのリッドがロック状態である場合に成立しなくなるように設定されてもよい。
【0027】
上記の制御装置は、蓄電装置の充電中に所定の充電禁止条件が成立するか否かを判断し、所定の充電禁止条件が成立すると判断された場合には、複数の充電ポートの各々から蓄電装置までの各電力経路を遮断状態にして蓄電装置の充電を停止するように構成されてもよい。
【0028】
上記構成では、蓄電装置の充電中に非使用ポートのリッドが開くと、複数の充電ポートの各々から蓄電装置までの各電力経路が遮断状態になって蓄電装置の充電が停止される。これにより、充電システムにおける充電中の安全性が向上する。
【0029】
本開示の第2の観点に係る充電システムは、複数の充電ポートの各々に供給される電力によって蓄電装置を充電するように構成される。この充電システムは、複数の充電ポートの各々から蓄電装置までの各電力経路の接続/遮断を切り替える開閉装置と、開閉装置を制御する制御装置とを備える。複数の充電ポートは、蓄電装置までの電力経路にAC/DC変換回路が存在する第1充電ポートと、蓄電装置までの電力経路にAC/DC変換回路が存在しない第2充電ポートとを含む。第2充電ポートには、当該充電ポートを開閉するリッドが設けられている。上記の制御装置は、複数の充電ポートのいずれかを使用して蓄電装置の充電を開始する前に所定の充電禁止条件が成立するか否かを判断し、上記所定の充電禁止条件が成立する間は複数の充電ポートの各々から蓄電装置までの各電力経路を遮断状態に維持するように構成される。上記所定の充電禁止条件は、使用されない第2充電ポートのリッドが開いているときに成立する。
【0030】
第1充電ポートから蓄電装置までの電力経路(充電経路)にはAC/DC変換回路が存在するため、蓄電装置から出力される直流電力はAC/DC変換回路で遮断される。このため、第1充電ポートが蓄電装置と電気的に接続されても、蓄電装置の電圧は第1充電ポートに印加されない。こうした構成により、第1充電ポートが使用されないときに、第1充電ポートと蓄電装置とが電気的に接続されても、安全性を確保できる。
【0031】
上記充電システムにおいて、蓄電装置の充電が開始される前に、使用されない第2充電ポートのリッドが開いている場合には、上記制御装置が、複数の充電ポートの各々から蓄電装置までの各電力経路を遮断状態に維持する。こうした構成によっても、簡易な制御で充電システムにおける安全性を向上させることができる。
【0032】
上記第2の観点に係る充電システムにおいて、第1充電ポート及び第2充電ポートの各々の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。第1充電ポートから蓄電装置までの電力経路にはAC/DC変換回路が存在するため、第1充電ポートにはリッドが設けられなくてもよい。ただしこれに限られず、第1充電ポートにリッドが設けられてもよい。
【0033】
上記第1充電ポートは、非接触充電用ポートを含んでもよい。上記の制御装置は、非接触充電用ポートを使用して蓄電装置の充電を開始する前に、非接触充電のための非接触充電用ポートの位置合わせが開始された又は完了したタイミングで、上記所定の充電禁止条件が成立するか否かを判断するようにしてもよい。
【0034】
以下、非接触充電のための非接触充電用ポートの位置合わせを、「送電前の位置合わせ」とも称する。送電前の位置合わせ(たとえば、送電コイルと受電コイルとの位置合わせ)が行なわれる場合には、非接触充電用ポートを使用して充電が行なわれる可能性が高い。
【0035】
上記の制御装置は、非接触充電用ポートに対する非接触送電のための準備が完了したタイミングで、給電設備に非接触送電を要求してもよい。上記の制御装置は、給電設備に非接触送電を要求する直前に、上記所定の充電禁止条件が成立するか否かを判断するようにしてもよい。
【0036】
上記第1充電ポートは、交流電力を受電する充電ポート(以下、「ACポート」とも称する)を含んでもよい。ACポートから蓄電装置までの電力経路には、AC/DC変換回路と、絶縁回路とが存在してもよい。
【0037】
上記ACポートから蓄電装置までの電力経路にはAC/DC変換回路だけでなく絶縁回路も存在するため、上記ACポートに関しては、より高い安全性を確保できる。
【0038】
本開示の第3の観点に係る車両は、上述したいずれかの充電システムを備える。
【0039】
上記車両は、上述したいずれかの充電システムを備えることで、簡易な制御で充電システムにおける安全性を向上させることができる。
【0040】
上述したいずれかの充電システムにおける蓄電装置は、上記車両が走行するための電力を供給するように構成されてもよい。上記車両は電動車両であってもよい。電動車両は、蓄電装置に蓄えられた電力を用いて走行するように構成される車両である。電動車両には、EV(電気自動車)及びPHV(プラグインハイブリッド車両)のほか、FC車(燃料電池自動車)、レンジエクステンダーEVなども含まれる。
【0041】
上記車両はコネクテッドカーであってもよい。コネクテッドカーは、通信量が多いため、制御が複雑であると誤動作が生じやすくなる。
【0042】
本開示の第4の観点に係る充電制御装置は、複数の充電ポートの各々から蓄電装置までの各電力経路の接続/遮断を切り替える開閉装置を制御するように構成される。この充電制御装置は、複数の充電ポートのいずれかを使用して蓄電装置の充電を開始する前に所定の充電禁止条件が成立するか否かを判断し、上記所定の充電禁止条件が成立する間は複数の充電ポートの各々から蓄電装置までの各電力経路を遮断状態に維持するように構成される。上記所定の充電禁止条件は、複数の充電ポートのうち、使用される充電ポート以外の充電ポートのリッドが開いているときに成立する。
【0043】
上記充電制御装置は、全ての非使用ポートのリッドが閉じなければ、複数の充電ポートの各々から蓄電装置までの各電力経路を遮断状態に維持して充電を開始しない。上記充電制御装置によれば、簡易な制御で充電システムにおける安全性を向上させることができる。
【0044】
本開示の第5の観点に係る充電方法は、以下に説明するステップA~Cを含む。
【0045】
ステップAでは、複数の充電ポートのいずれかを使用して蓄電装置の充電を開始する前に所定の充電禁止条件が成立するか否かを判断する。所定の充電禁止条件は、複数の充電ポートのうち、使用される充電ポート以外の充電ポートのリッドが開いているときに成立する。
【0046】
ステップBでは、上記所定の充電禁止条件が成立すると判断された場合には、複数の充電ポートの各々から蓄電装置までの各電力経路を遮断状態にして蓄電装置の充電を開始しない。
【0047】
ステップCでは、上記所定の充電禁止条件が成立しないと判断された場合には、使用される充電ポートから蓄電装置までの電力経路を接続状態にして蓄電装置の充電を開始する。
【0048】
上記充電方法では、全ての非使用ポートのリッドが閉じなければ、複数の充電ポートの各々から蓄電装置までの各電力経路が遮断状態に維持されて充電が開始されない。上記充電方法によれば、簡易な制御で充電システムにおける安全性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0049】
本開示によれば、複数の充電ポートの各々に供給される電力によって蓄電装置を充電する充電システムにおいて、簡易な制御で安全性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本開示の実施の形態に係る車両の構成を示す図である。
【
図2】本開示の実施の形態に係る車両及び充電ポートの各々の外観を示す図である。
【
図3】本開示の実施の形態に係る車両に搭載された充電システムを示す図である。
【
図4】本開示の実施の形態に係る車両の動作の第1例を示すタイムチャートである。
【
図5】比較例に係る制御を説明するためのタイムチャートである。
【
図6】本開示の実施の形態に係る車両の動作の第2例を示すタイムチャートである。
【
図7】本開示の実施の形態に係る充電制御を示すフローチャートである。
【
図8】
図7に示した処理における所定の充電禁止条件の成否判断の詳細を示すフローチャートである。
【
図9】
図7の処理において報知装置が表示する画面(報知画面)の一例を示す図である。
【
図10】
図8に示した所定の充電禁止条件の変形例を示すフローチャートである。
【
図11】
図1に示した2つの充電ポートのうち1つの充電ポートを自動充電ポートにした変形例を示す図である。
【
図12】
図3に示した充電システムの変形例を示す図である。
【
図13】
図12に示した充電回路の構成の一例を示す図である。
【
図14】非接触充電システムの構成の一例を示す図である。
【
図15】
図14に示した送電ユニット、受電ユニット、及び充電回路の構成の一例を示す図である。
【
図16】
図7に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
【
図17】
図8に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
【
図18】
図3に示した開閉装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。以下では、電子制御ユニット(Electronic Control Unit)を「ECU」と表記する。
【0052】
図1は、この実施の形態に係る車両の構成を示す図である。
図1を参照して、車両100は、充電ポート10a,10bと、充電リレー40と、バッテリ50と、SMR(System Main Relay)60と、走行駆動装置70と、起動スイッチ80と、車両状態センサ81と、運転装置82と、入力装置83と、報知装置84と、通信装置85と、ECU300とを備える。
【0053】
この実施の形態に係る車両100は、EV(電気自動車)である。バッテリ50は、車両100が走行するための電力を走行駆動装置70へ供給するように構成される。走行駆動装置70は、バッテリ50から供給される電力を用いて車両100の走行駆動力を生成するように構成される。走行駆動装置70の構成の詳細については後述する。SMR60は、バッテリ50から走行駆動装置70までの電力経路の接続/遮断を切り替えるように構成される。この実施の形態に係るバッテリ50、充電リレー40、ECU300は、それぞれ本開示に係る「蓄電装置」、「開閉装置」、「充電制御装置(制御装置)」の一例に相当する。
【0054】
車両100の車体には充電ポート10a,10bが形成されている。この実施の形態では、充電ポート10a及び10bの各々として、DCポート(すなわち、直流電力を受電する充電ポート)を採用する。この実施の形態では、充電ポート10a及び10bの各々が、ユーザによって充電ケーブルのコネクタが接続される手動充電ポートである。バッテリ50は、車両外部から充電ポート10a,10bに供給される電力によって充電可能に構成される。充電ポート10a,10bは、それぞれインレット11a,11bと、リッド12a,12bと、開閉機構13a,13bと、開閉センサ14a,14bと、接続センサ15a,15bとを備える。以下、区別して説明する場合を除いて、充電ポート10a及び10bの各々を「充電ポート10」、インレット11a及び11bの各々を「インレット11」、リッド12a及び12bの各々を「リッド12」、開閉機構13a及び13bの各々を「開閉機構13」、開閉センサ14a及び14bの各々を「開閉センサ14」、接続センサ15a及び15bの各々を「接続センサ15」と記載する。
【0055】
インレット11は、車両100の外側に設置された給電設備(図示せず)につながる充電ケーブルのコネクタ(図示せず)が接続可能に構成される。上記コネクタは、ユーザによってインレット11に接続される。接続センサ15は、上記コネクタがインレット11に接続されているか否かを検出して、検出結果をECU300へ出力する。上記コネクタがインレット11に接続されることで、給電設備から充電ケーブルを通じてインレット11に電力を供給することが可能になる。
【0056】
リッド12は充電ポート10を開閉するように構成される。リッド12は、開閉機構13(たとえば、ヒンジ)を介して車体と連結されることによって、充電ポート10を開閉可能に構成される。リッド12が閉じた状態では、インレット11の使用が禁止される。リッド12が開いた状態になると、ユーザが車両100の外側からインレット11を使用可能になる。リッド12には開閉センサ14が設けられている。開閉センサ14は、リッド12が開状態及び閉状態のいずれであるかを検出して、検出結果をECU300へ出力するように構成される。開閉センサ14としては、カーテシスイッチを採用できる。なお、充電ポート10は、ECU300の指示に従ってリッド12のロック/アンロックを切り替えるリッドロック装置をさらに備えてもよい。また、充電ポート10は、インレット11に接続されたコネクタの取り外しを規制するコネクタロック装置をさらに備えてもよい。
【0057】
充電リレー40は、充電ポート10a及び10bの各々からバッテリ50までの各電力経路の接続/遮断を切り替えるように構成される。充電リレー40が開状態(遮断状態)であるときには、インレット11a及び11bの各々からバッテリ50までの各電力経路は遮断される。充電リレー40が閉状態(接続状態)であるときには、インレット11a及び11bの各々からバッテリ50への電力の供給が可能になる。充電リレー40の状態(接続/遮断)は、ECU300によって制御される。
【0058】
上記のように、この実施の形態に係る車両100では、バッテリ50が外部充電可能に構成される。車両100における外部充電は、車両100の外部からインレット11に供給される電力によってバッテリ50を充電することである。
【0059】
図2は、車両100及び充電ポート10aの各々の外観を示す図である。
図1とともに
図2を参照して、車両100は、4つのドア90を備える。ドア90は乗降用ドアに相当する。
図2には、手前の2つのドア90のみが示されているが、車体で隠れている奥にも2つのドア90が存在する。この実施の形態では、ドア90ごとに、ドア90が開状態及び閉状態のいずれであるかを検出する開閉センサと、ドア90のロック/アンロックを切り替えるドアロック装置と(いずれも図示せず)が設けられている。
【0060】
この実施の形態では、充電ポート10a及び10bが、車両100の車体後方の両側面に設けられている。
図2には、手前の充電ポート10aのみが示されているが、車体で隠れている奥に充電ポート10bが存在する。ただしこれに限られず、充電ポート10a及び10bの各々の位置は任意に設定できる。
【0061】
再び
図1を参照して、車両100が走行するときには、SMR60が閉状態になり、バッテリ50から走行駆動装置70へ電力が供給される。SMR60の状態は、ECU300によって制御される。SMR60としては、たとえば電磁式のメカニカルリレーを採用できる。SMR60が閉状態であるときには、バッテリ50と走行駆動装置70との間での電力の授受が可能になる。SMR60が開状態であるときには、SMR60によって電流が遮断される。
【0062】
走行駆動装置70は、図示しないPCU(Power Control Unit)及びMG(Motor Generator)を含む。MGは、たとえば三相交流モータジェネレータである。PCUは、ECU300によって制御されるコンバータ及びインバータを含む。MGの力行駆動時には、バッテリ50に蓄えられた電力をPCUが交流電力に変換してMGへ供給し、供給される電力を用いてMGが車両100の駆動輪を回転させる。MGによる発電時(たとえば、回生制動時)には、発電された電力をPCUが整流してバッテリ50へ供給する。
【0063】
バッテリ50は、たとえばリチウムイオン電池又はニッケル水素電池のような二次電池と、バッテリ50の状態を監視する監視ユニットと(いずれも図示せず)を含んで構成される。二次電池は、組電池であってもよい。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタのような他の蓄電装置を採用してもよい。バッテリ50の電圧は100V以上であってもよい。この実施の形態では、バッテリ50の電圧を約400Vとする。監視ユニットは、バッテリ50の状態(たとえば、温度、電流、及び電圧)を検出する各種センサを含み、検出結果をECU300へ出力する。監視ユニットは、上記センサ機能に加えて、SOC(State Of Charge)推定機能、SOH(State of Health)推定機能、組電池におけるセル電圧の均等化機能、診断機能、及び通信機能をさらに有するBMS(Battery Management System)であってもよい。
【0064】
ECU300は、プロセッサ310、RAM(Random Access Memory)320、記憶装置330、及びタイマ340を含んで構成される。プロセッサ310としては、たとえばCPU(Central Processing Unit)を採用できる。RAM320は、プロセッサ310によって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。記憶装置330は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置330は、たとえばROM(Read Only Memory)及び書き換え可能な不揮発性メモリを含む。記憶装置330には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)が記憶されている。この実施の形態では、記憶装置330に記憶されているプログラムをプロセッサ310が実行することで、ECU300における各種制御が実行される。ただし、ECU300における各種制御は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。なお、ECU300が備えるプロセッサの数は任意であり、所定の制御ごとにプロセッサが用意されてもよい。
【0065】
タイマ340は、設定時刻の到来をプロセッサ310に知らせるように構成される。タイマ340に設定された時刻になると、タイマ340からプロセッサ310へその旨を知らせる信号が送信される。この実施の形態では、タイマ340としてタイマ回路を採用する。ただし、タイマ340は、ハードウェア(タイマ回路)ではなく、ソフトウェアによって実現されてもよい。
【0066】
起動スイッチ80は、車両システムを起動させるためのスイッチであり、起動スイッチ80がオンされることによって車両システム(ECU300を含む)が起動する。起動スイッチ80は、一般に「パワースイッチ」又は「イグニッションスイッチ」と称される。この実施の形態では、車両100が以下に説明するReady-ON状態になると車両システムが起動し、車両100が以下に説明するReady-OFF状態になると車両システムが停止状態(スリープ状態を含む)になる。
【0067】
ユーザが起動スイッチ80を押すことによって、車両100がReady-ON状態になる。Ready-ON状態では、SMR60が閉状態になり、バッテリ50から走行駆動装置70へ電力が供給される。Ready-ON状態では、ECU300が、走行駆動装置70を制御することによって、車両100を走行させることができる。車両100がReady-ON状態であるときにユーザが起動スイッチ80を押すことによって、車両100がReady-OFF状態になる。Ready-OFF状態では、SMR60が開状態になり、バッテリ50から走行駆動装置70へ電力が供給されなくなる。
【0068】
車両状態センサ81は、車両100の状態を検出するセンサ群である。この実施の形態では、車両状態センサ81が、車両100の環境を監視する各種センサ(たとえば、外気温センサ、外気圧センサ、及び障害物検出器)と、車両100の走行を監視する各種センサ(たとえば、車速センサ、位置センサ、操舵角センサ、及びオドメータ)とを含む。
【0069】
運転装置82は、ユーザによる車両100の運転操作(たとえば、シフトチェンジ、アクセル、ブレーキ、ステアリング、及び車両固定の各々に関する操作)を受け付ける装置である。運転装置82は、ユーザの運転操作に対応する信号をECU300へ出力する。ECU300は、運転装置82から受信する信号に基づいて、車両100の走行制御を行なう。この実施の形態では、運転装置82が、シフトレバーと、アクセルペダルと、ブレーキペダルと、ステアリングホイールと、パーキングブレーキとを含む。
【0070】
入力装置83は、ユーザによる運転操作以外の入力を受け付ける装置である。入力装置83は、ユーザの入力に対応する信号をECU300へ出力する。ユーザは、入力装置83を通じて、所定の指示又は要求を行なったり、パラメータの値を設定したりすることができる。通信方式は有線でも無線でもよい。入力装置83の例としては、各種スイッチ、各種ポインティングデバイス、キーボード、タッチパネルが挙げられる。また、入力装置83は、音声入力を受け付けるスマートスピーカを含んでもよい。入力装置83は、カーナビゲーションシステムの操作部であってもよい。
【0071】
報知装置84は、ECU300から要求があったときに所定の報知処理を行なうように構成される。報知装置84の例としては、表示装置(たとえば、メータパネル又はヘッドアップディスプレイ)、スピーカ、ランプが挙げられる。報知装置84は、カーナビゲーションシステムの表示部であってもよい。
【0072】
通信装置85は、各種通信I/F(インターフェース)を含んで構成される。通信装置85は、DCM(Data Communication Module)を含んでもよい。通信装置85は、5G(第5世代移動通信システム)対応の通信I/Fを含んでもよい。通信装置85は、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、又は電子キーのような携帯端末と無線通信するための通信I/Fを含んでもよい。ECU300は、通信装置85を通じて車両100の外側の通信装置と無線通信を行なうように構成される。車両100はコネクテッドカーであってもよい。
【0073】
図3は、この実施の形態に係る車両100に搭載された充電システムを示す図である。
図1とともに
図3を参照して、この充電システムでは、インレット11aにつながる電線と、インレット11bにつながる電線とが、互いに接続部E1で接続されている。そして、接続部E1は、充電リレー40を介して、バッテリ50と電気的に接続されている。接続部E1からバッテリ50までの電力経路は、充電ポート10a及び10bの各々からバッテリ50までの各電力経路の共通部分に相当する。充電リレー40は、接続部E1とバッテリ50との間に配置され、上記共通部分の接続/遮断を切り替えるように構成される。充電リレー40としては、たとえば電磁式のメカニカルリレーを採用できる。この実施の形態では、充電リレー40をノーマリオフスイッチとする。充電リレー40は、非通電時に開状態(遮断状態)になる。
【0074】
図3に示す例では、充電ポート10aにおいて、リッド12aが開き、インレット11aに充電ケーブル220のコネクタ210が接続されている。この実施の形態に係るコネクタ210は、本開示に係る「充電コネクタ」の一例に相当する。充電ケーブル220は、図示しない給電設備(より特定的には、直流電力を給電するDC給電設備)につながっている。充電ポート10bにおいて、リッド12bは閉じている。ECU300は、開閉センサ14a及び接続センサ15aから出力される信号に基づいて、充電ポート10aに関して「リッド開」及び「コネクタ接続」を検出する。ECU300は、開閉センサ14b及び接続センサ15bから出力される信号に基づいて、充電ポート10bに関して「リッド閉」及び「接続なし」を検出する。
図3に示す状態で、ECU300によって充電リレー40が閉状態にされると、DC給電設備からインレット11aに供給される直流電力によってバッテリ50が充電される。
【0075】
図3に示す例では、充電ポート10aが使用ポート(すなわち、使用される充電ポート)に相当し、充電ポート10bが非使用ポート(すなわち、使用される充電ポート以外の充電ポート)に相当する。以下、充電リレー40を開状態から閉状態にする処理を「充電リレーON」とも称する。また、充電リレー40を閉状態から開状態にする処理を「充電リレーOFF」とも称する。
【0076】
図4は、この実施の形態に係る車両100の動作の第1例を示すタイムチャートである。
図4において、線L11、L12は、それぞれ車両100の走行状態(走行中/非走行)、充電リレー40の状態(接続/遮断)の推移を示している。
図4において、第1リッド、第2リッドはそれぞれリッド12a、12bを意味し、線L13、L15はそれぞれリッド12a、12bの状態(開/閉)の推移を示している。
図4において、第1インレット、第2インレットはそれぞれインレット11a、11bを意味し、線L14、L16はそれぞれインレット11a、11bの状態(コネクタ接続/接続なし)の推移を示している。
【0077】
図4に示す例では、車両100が走行中であるときには、リッド12a及び12bの両方が閉じている(線L13及びL15参照)。ユーザは、DC給電設備の近くに充電ポート10aが位置するように車両100を駐車した後、起動スイッチ80を操作して車両100をReady-OFF状態にする。これにより、車両100が非走行状態(すなわち、電動走行できない状態)になる。
図4に示す例では、タイミングt11で、車両100が走行状態から非走行状態に変わる(線L11参照)。
【0078】
その後、ユーザは、タイミングt12でリッド12aを開き(線L13)、タイミングt13で、DC給電設備につながる充電ケーブルのコネクタをインレット11aに接続する(線L14)。充電ケーブルのコネクタがインレット11aに接続されると、ECU300が充電リレーONを実行する。これにより、充電リレー40が閉状態(接続状態)になり(線L12)、バッテリ50の充電が開始される。
【0079】
上記
図4に示す例では、インレット11aに充電コネクタ(すなわち、充電ケーブルのコネクタ)が接続されたときに、非使用ポート(すなわち、充電コネクタが接続されていない充電ポート10b)のリッドが閉じている。この場合、ECU300は、充電リレーONを実行する。しかし、非使用ポートのリッドが開いている場合には、ECU300は充電リレーONを実行しない。以下、こうした制御によって奏される効果を、比較例に係る制御との対比により説明する。
【0080】
図5は、比較例に係る制御を説明するためのタイムチャートである。比較例に係る制御では、インレット11a及び11bのいずれか一方に充電コネクタが接続されたときに非使用ポートのリッドが開いていても充電リレーONが実行される。
図5における線L21~L26は、それぞれ
図4における線L11~L16に対応する。
【0081】
図5に示す例では、タイミングt11とタイミングt12との間(すなわち、走行停止後、リッド12aを開ける前)に、ユーザが間違えてリッド12bを開けてしまい、閉め忘れている(線L25参照)。このため、充電ポート10a(使用ポート)のインレット11aに充電コネクタが接続されたタイミングt13では、充電ポート10b(非使用ポート)のリッド12bが開いている(線L25)。比較例に係る制御では、タイミングt13で、充電リレー40が閉状態(接続状態)になる(線L22)。これにより、充電ポート10b(非使用ポート)のインレット11bにバッテリ50の電圧が印加される。このため、充電システムにおける安全性が低くなる。
【0082】
再び
図3を参照して、この実施の形態では、充電ポート10a,10bのいずれかを使用してバッテリ50の充電が開始される前に、所定の充電禁止条件(以下、単に「禁止条件」とも称する)が成立するか否かを、ECU300が判断する。禁止条件は、非使用ポートのリッドが開いているときに成立する。この実施の形態では、充電ポート10a,10bのいずれかに充電コネクタが接続されたタイミングで、上記禁止条件が成立するか否かを、ECU300が判断する。
【0083】
上記禁止条件が成立すると判断された場合には、ECU300は、充電リレー40を開状態(遮断状態)にしてバッテリ50の充電を開始しない。充電リレー40が開状態であるときには、充電ポート10a及び10bの各々からバッテリ50までの各電力経路が遮断される。これにより、バッテリ50の電圧は、インレット11a及び11bのいずれにも印加されなくなる。
【0084】
他方、上記禁止条件が成立しないと判断された場合には、ECU300は、充電リレー40を閉状態(接続状態)にしてバッテリ50の充電を開始する。充電リレー40が閉状態であるときには、使用ポート(すなわち、充電コネクタが接続された充電ポート10)からバッテリ50までの電力経路が接続される。これにより、DC給電設備から使用ポートに供給される電力が充電リレー40を経てバッテリ50に入力されるようになる。
【0085】
以下、
図1とともに
図6を参照して、この実施の形態に係る制御について説明する。
図6は、この実施の形態に係る車両100の動作の第2例を示すタイムチャートである。
図6における線L1~L6は、それぞれ
図4における線L11~L16に対応する。
【0086】
図6に示す例でも、
図5に示す例と同様、タイミングt11とタイミングt12との間(すなわち、走行停止後、リッド12aを開ける前)に、ユーザが間違えて充電ポート10b(非使用ポート)のリッド12bを開けてしまい、閉め忘れている(線L5参照)。ユーザは、充電ポート10b(非使用ポート)のリッド12bが開いているタイミングt13で、充電ポート10a(使用ポート)に充電コネクタを接続する。しかし、ECU300は、タイミングt13では充電リレーONを実行しない。その後、タイミングt14でユーザがリッド12bを閉じると(線L5)、ECU300が充電リレーONを実行する(線L2)。これにより、充電リレー40が閉状態(接続状態)になり、バッテリ50の充電が開始される。
【0087】
上記のように、この実施の形態に係る制御では、非使用ポートのリッドが開いているときには禁止条件が成立する。禁止条件が成立する間は充電ポート10a及び10bの各々からバッテリ50までの各電力経路が遮断状態に維持される。非使用ポートのリッドが閉じなければバッテリ50の充電が開始されない。非使用ポートのリッドが閉じると、ECU300は、充電リレーONを実行することによりバッテリ50の充電を開始する。充電リレー40が閉状態になることにより使用ポートと非使用ポートとの両方にバッテリ50の電圧が印加されるが、非使用ポートのリッドは閉まっているため、安全である。非使用ポートのインレットがリッドに覆われることで、ユーザが非使用ポートのインレットに触れることが物理的に禁止される。上記の制御では、充電経路の接続/遮断を切り替えるために1つの充電リレー40のみが制御される。この実施の形態に係る充電システムの制御はシンプルである。このように、上記制御によれば、簡易な制御で充電システムにおける安全性を向上させることができる。
【0088】
図7は、この実施の形態に係る充電制御を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、充電ポート10a及び10bのいずれか一方に充電コネクタが接続されると、ECU300によって実行される。ECU300は、接続センサ15a及び15bの各々から出力される信号に基づいて、コネクタ接続を検出できる。
【0089】
図1とともに
図7を参照して、ステップ(以下、単に「S」と表記する)11では、禁止条件が成立するか否かを、ECU300が判断する。ECU300は、たとえば以下に説明する
図8に示す処理によって禁止条件が成立するか否かを判断する。
図8は、
図7のS11の詳細を示すフローチャートである。
【0090】
図1とともに
図8を参照して、S21では、非使用ポート(すなわち、充電コネクタが接続されていない充電ポート10)のリッドが閉じているか否かを、ECU300が判断する。たとえば、使用ポートが充電ポート10aである場合(すなわち、充電コネクタがインレット11aに接続された場合)には、リッド12bが閉じているか否かを、ECU300が判断する。ECU300は、開閉センサ14a及び14bの各々から出力される信号に基づいて、リッドの状態(開/閉)を検出できる。
【0091】
非使用ポートのリッドが閉じている場合(S21にてYES)には、ECU300は、S22において禁止条件が不成立である(すなわち、
図7のS11においてNO)と判断する。禁止条件が不成立であることは、充電が許可されることを意味する。
【0092】
非使用ポートのリッドが開いている場合(S21にてNO)には、ECU300は、S23において禁止条件が成立する(すなわち、
図7のS11においてYES)と判断する。禁止条件が成立することは、充電が禁止されることを意味する。
【0093】
再び
図1とともに
図7を参照して、S11においてYES(禁止条件=成立)と判断された場合には、処理がS12に進む。S12では、ECU300が、報知装置84を制御することにより、禁止条件が成立することをユーザに報知する。報知装置84は、たとえば、禁止条件が成立しないようにすることをユーザに促す画面を表示する。
【0094】
図9は、
図7のS12において報知装置84が表示する画面(報知画面)の一例を示す図である。
図9を参照して、この画面は、車両100の全体を示す画像M1と、リッドが開いている非使用ポートの位置を示すマークM2と、非使用ポートのリッドを閉じることをユーザに促すメッセージM3とを表示している。
【0095】
なお、上記報知によって、リッドが開いている非使用ポートの位置を示すことは必須ではなく、メッセージM3だけを表示してもよい。また、非使用ポートのリッドを閉じることをユーザに促すことは必須ではなく、「開いている充電ポートがあります。」のようなメッセージにより、リッドが開いている非使用ポートがあることをユーザに知らせるだけでもよい。また、報知の方法は任意であり、表示装置による表示(たとえば、文字又は画像の表示)でユーザに知らせてもよいし、スピーカにより音(音声を含む)でユーザに知らせてもよいし、所定のランプを点灯(点滅を含む)させてもよい。
【0096】
再び
図1とともに
図7を参照して、S13では、ECU300が、たとえば
図8に示した処理により、禁止条件が成立するか否かを判断する。S13においてYES(禁止条件=成立)と判断されている間は、S12及びS13が繰り返される。たとえば、ユーザが非使用ポートのリッドを閉じると、S13においてNOと判断される。
【0097】
禁止条件が成立しない場合(S11又はS13にてNO)には、処理がS14に進む。S14では、ECU300が充電リレー40を閉状態(接続状態)にする。充電を開始するときには、ECU300が、給電設備に送電を要求するとともに、ECU300が充電リレーONを実行する。これにより、バッテリ50の充電が開始される。たとえば、充電コネクタがインレット11aに接続された場合には、DC給電設備から充電ケーブルを通じてインレット11aに供給される電力が充電リレー40を経てバッテリ50に入力される。
【0098】
上記S14の処理後、ECU300は、S15において、たとえば
図8に示した処理により、禁止条件が成立するか否かを判断する。充電開始時には、禁止条件は成立しないため、S15においてNO(禁止条件=不成立)と判断され、処理がS16に進む。S16では、所定の充電終了条件(以下、単に「終了条件」とも称する)が成立するか否かを、ECU300が判断する。終了条件は、バッテリ50のSOCが所定SOC値(たとえば、満充電を示すSOC値)以上になったときに成立してもよい。終了条件が成立しない場合(S16にてNO)には、処理がS14に戻り、バッテリ50の充電が継続される。ただし、ECU300は、バッテリ50の充電中に禁止条件が成立するか否かを判断する(S15)。
【0099】
S15においてYES(禁止条件=成立)と判断された場合には、処理がS17に進む。S17では、ECU300が充電リレー40を開状態(遮断状態)にする。充電を停止するときには、ECU300が、給電設備に送電停止を要求するとともに、ECU300が充電リレーOFFを実行する。これにより、バッテリ50の充電が停止される。その後、ECU300は、S18において、たとえば前述したS12と同様の処理により、禁止条件が成立することをユーザに報知する。その後、処理がS15に戻る。S15においてYES(禁止条件=成立)と判断されている間は、S15、S17、及びS18が繰り返され、充電リレー40は開状態に維持される。たとえば、ユーザが非使用ポートのリッドを閉じると、S15においてNO(禁止条件=不成立)と判断される。S15においてNOと判断されると、処理がS16を経てS14に進む。そして、S14において、充電リレー40が閉状態になり、バッテリ50の充電が再開される。
【0100】
バッテリ50の充電が進行して上記の終了条件が成立すると(S16にてYES)、処理がS19に進む。S19では、ECU300が、給電設備に送電停止を要求するとともに、充電リレーOFFを実行する。これにより、充電リレー40が開状態になり、バッテリ50の充電が停止される。S19の処理が実行されることにより、
図7に示す一連の処理は終了する。
【0101】
以上説明したように、この実施の形態に係る充電システムでは、充電ポート10a,10bのいずれかを使用してバッテリ50の充電が開始される前に非使用ポートのリッドが開いている場合には、ECU300が充電リレー40を開状態(遮断状態)にしてバッテリ50の充電を開始しない。これにより、非使用ポートのリッドが開いているときには、バッテリ50の電圧がインレット11a及び11bのいずれにも印加されなくなる。そして、非使用ポートのリッドが閉じると、ECU300は、充電リレーONを実行することによりバッテリ50の充電を開始する。非使用ポートのインレットがリッドに覆われることで、ユーザが非使用ポートのインレットに触れることが物理的に禁止される。この実施の形態に係るECU300(充電制御装置)によれば、簡易な制御で充電システムにおける安全性を向上させることができる。
【0102】
上記実施の形態では、ECU300が、バッテリ50の充電中に禁止条件が成立するか否かを判断し、禁止条件が成立すると判断された場合には、インレット11a及び11bの各々からバッテリ50までの各電力経路を遮断状態にしてバッテリ50の充電を停止する。しかし、バッテリ50の充電中に禁止条件が成立するか否かを判断することは必須ではない。
図7に示した処理において、S15,S17,S18を割愛してもよい。
【0103】
禁止条件(所定の充電禁止条件)は、非使用ポートのリッドが開いているときに成立すればよく、
図8に示した処理で成立/不成立が判断される条件に限られない。たとえば、ECU300は、
図8に示した処理に代えて、以下に説明する
図10に示す処理を実行してもよい。
【0104】
図10は、禁止条件の変形例を示すフローチャートである。
図1とともに
図10を参照して、S211では、非使用ポート(すなわち、充電コネクタが接続されていない充電ポート10)のリッドが閉じているか否かを、ECU300が判断する。
【0105】
非使用ポートのリッドが閉じている場合(S211にてYES)には、ECU300は、S212において非使用ポートのリッドがロックされているか否かを判断する。
【0106】
非使用ポートのリッドが閉じており、かつ、ロックされている場合(S211及びS212にてYES)には、ECU300は、S22において禁止条件が不成立であると判断する。S211又はS212においてNOと判断された場合には、ECU300は、S23において禁止条件が成立すると判断する。
【0107】
図7のS11、S13、及びS15の各々で成立/不成立が判断される禁止条件(所定の充電禁止条件)は、同じでなくてもよい。たとえば、
図7のS11及びS15の各々では
図8に示した処理をECU300が実行し、
図7のS13では
図10に示した処理をECU300が実行してもよい。また、
図7に示した処理において、S12における報知処理とS18における報知処理とを、互いに異なる報知処理にしてもよい。
【0108】
上記実施の形態では、充電ポート10a及び10bの各々が、ユーザによって充電コネクタが接続される手動充電ポートである。ただしこれに限られず、充電ポート10a及び10bの少なくとも一方が、自動的に充電コネクタが接続される自動充電ポートであってもよい。
図11は、
図1~
図3に示した車両において、充電ポート10a及び10bのうち充電ポート10bを自動充電ポートにした変形例を示す図である。
【0109】
図11を参照して、この変形例に係る車両100Aは、基本的には、
図1~
図3に示した車両100と同じ構成を有する。ただし、車両100Aの充電ポート10aは手動充電ポートであり、車両100Aの充電ポート10bは自動充電ポートである。車両100Aの充電ポート10bは、インレット11bとリッド12bと開閉機構13bと開閉センサ14bと接続センサ15bとに加えて、アクチュエータ16bをさらに備える。アクチュエータ16bは、開閉機構13bを駆動してリッド12bを開閉するように構成される。アクチュエータ16bは、ECU300によって制御される。
【0110】
ロボット400は、充電コネクタ410と、アーム420と、電源430とを備える。充電コネクタ410は、アーム420の先端に位置する。電源430は、充電コネクタ410に電力を供給する。ECU300が、アクチュエータ16bを制御してリッド12bを開けた後、ロボット400に送電要求を送ると、ロボット400は、アーム420を動かして、充電コネクタ410を車両100Aのインレット11bに接続する。充電コネクタ410がインレット11bに接続されることで、電源430からインレット11bに電力が供給される。車両100Aは、インレット11bに供給される電力によってバッテリ50を充電することができる。
【0111】
上述した車両100Aは、手動充電ポートと自動充電ポートとの両方を備えるため、手動充電と自動充電とのいずれによっても、バッテリ50を充電することができる。こうした車両100Aにおいても、
図3に示した充電システムが適用され、ECU300が
図7及び
図8に示した処理を実行することにより、簡易な制御で充電システムにおける安全性を向上させることができる。
【0112】
図12は、
図3に示した充電システムの変形例を示す図である。
図12を参照して、車両100Bには、充電ポート10a及び10bに加えて充電ポート20及び受電ユニット30をさらに備える充電システムが搭載されている。この充電システムは、ECU300の代わりにECU300Bを備える。ECU300Bは、基本的には、前述した実施の形態に係るECU300と同様の機能を有する。以下、ECU300とは異なるECU300Bの機能について説明する。
【0113】
充電ポート20は、インレット21とリッド22と開閉機構23と開閉センサ24とを備える。充電ポート20は、交流電力を受電するACポートに相当する。インレット21には、図示しないAC給電設備(すなわち、交流電力を給電する設備)につながる充電ケーブルのコネクタが接続される。ECU300Bは、AC給電設備から出力されるケーブル接続信号に基づいて、インレット21に対する充電コネクタの接続/非接続を検出する。ケーブル接続信号の例としては、CPLT信号(コントロールパイロット信号)又はProximity信号が挙げられる。
【0114】
充電ポート20からバッテリ50までの電力経路には、充電回路25が存在する。充電回路25は、AC給電設備から充電ポート20に供給される電力を、バッテリ50の充電に適した電力に変換するように構成される。
【0115】
図13は、充電回路25の構成の一例を示す図である。
図13を参照して、充電回路25は、PFC(Power Factor Correction)回路251と、絶縁トランス253と、AC/DC変換回路255と、コンデンサ256とを含む。PFC回路251は、AC給電設備からインレット21に入力される交流電力を正弦波に近づけることで力率を改善する。絶縁トランス253は、1次コイル252及び2次コイル254を含む。絶縁トランス253は、1次コイル252と2次コイル254との巻数比に応じた比率で変圧を行なう。そして、変圧された交流電圧が2次コイル254に印加される。AC/DC変換回路255は、2次コイル254に印加される交流電圧を直流電力に変換してコンデンサ256へ出力する。この変形例に係る絶縁トランス253は、本開示に係る「絶縁回路」の一例に相当する。
【0116】
図14は、非接触充電システムの構成の一例を示す図である。
図14を参照して、受電ユニット30は、車両100Bの床下に設けられている。受電ユニット30は、非接触充電用ポートに相当する。非接触給電設備は、送電ユニット500と、電源600と、送電ユニット500及び電源600を制御する制御装置700とを備える。受電ユニット30は受電コイル30aを含み、送電ユニット500は送電コイル500aを含む。電源600は、送電ユニット500へ交流電力を供給する。制御装置700は、車両100BのECU300Bと無線通信可能に構成される。送電ユニット500は、送電コイル500aと受電コイル30aとが対向するように位置合わせが行なわれた状態において、電源600から供給される電力を送電コイル500aから非接触で受電コイル30aへ送電するように構成される。送電コイル500aと受電コイル30aとの位置合わせが、「送電前の位置合わせ」の一例に相当する。受電ユニット30からバッテリ50までの電力経路には、充電回路35が存在する。充電回路35は、送電ユニット500から受電ユニット30に供給される電力を、バッテリ50の充電に適した電力に変換するように構成される。
【0117】
図15は、送電ユニット500、受電ユニット30、及び充電回路35の構成の一例を示す図である。
図15を参照して、送電ユニット500は、共振回路510と、フィルタ回路520と、インバータ530と、PFC回路540とを含む。共振回路510は、送電コイル500aを含むLC共振回路である。受電ユニット30は、共振回路301と、フィルタ回路302とを含む。共振回路301は、受電コイル30aを含むLC共振回路である。充電回路35は、AC/DC変換回路351と、コンデンサ352とを含む。AC/DC変換回路351は、受電ユニット30から出力される交流電圧を直流電力に変換してコンデンサ352へ出力する。
【0118】
再び
図12を参照して、この充電システムでは、インレット11bにつながる電線と、充電回路25につながる電線とが、互いに接続部E2で接続されている。インレット11aにつながる電線と、充電回路35につながる電線とは、互いに接続部E3で接続されている。接続部E2と接続部E3とをつなぐ電線と、充電リレー40につながる電線とは、互いに接続部E1で接続されている。そして、接続部E1は、充電リレー40を介して、バッテリ50と電気的に接続されている。
【0119】
接続部E1からバッテリ50までの電力経路は、充電ポート10a,10b,20及び受電ユニット30の各々からバッテリ50までの各電力経路の共通部分に相当する。充電リレー40は、接続部E1とバッテリ50との間に配置され、上記共通部分の接続/遮断を切り替えるように構成される。充電リレー40が遮断状態になることで、充電ポート10a,10b,20及び受電ユニット30の各々からバッテリ50までの各電力経路が遮断される。
【0120】
ECU300Bは、
図7に示した処理に代えて、以下に説明する
図16に示す処理を実行する。
図16は、
図7に示した処理の変形例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、充電ポート10a,10b,20のいずれかに充電コネクタが接続された場合と、送電前の位置合わせが完了した場合とに、ECU300Bによって実行される。
【0121】
図16に示す処理は、基本的には、
図7に示した処理と同じである。
図16に示す処理は、
図7のS11,S13,S15の代わりに、S11A,S13A,S15Aを含む。S11A、S13A、及びS15Aの各々では、たとえば以下に説明する
図17に示す処理によって禁止条件が成立するか否かが判断される。
図17は、
図8に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
【0122】
図12とともに
図17を参照して、S21Aでは、使用されないDCポートのリッドが閉じているか否かを、ECU300Bが判断する。たとえば、使用ポートが充電ポート10aである場合(すなわち、充電コネクタがインレット11aに接続された場合)には、リッド12bが閉じているか否かを、ECU300Bが判断する。使用ポートが充電ポート20である場合(すなわち、充電コネクタがインレット21に接続された場合)には、リッド12a及び12bの両方が閉じているか否かを、ECU300Bが判断する。使用ポートが受電ユニット30である場合(すなわち、送電前の位置合わせが完了した場合)には、リッド12a及び12bの両方が閉じているか否かを、ECU300Bが判断する。使用ポートが充電ポート20及び受電ユニット30のいずれかである場合、リッド12a及び12bの少なくとも一方が開いていれば、S21AにおいてNOと判断される。
【0123】
使用されないDCポートのリッドが閉じている場合(S21AにてYES)には、ECU300Bは、S22において禁止条件が不成立である(すなわち、
図16のS11A,S13A,S15AにおいてNO)と判断する。禁止条件が不成立であることは、充電が許可されることを意味する。
【0124】
使用されないDCポートのリッドが開いている場合(S21AにてNO)には、ECU300Bは、S23において禁止条件が成立する(すなわち、
図16のS11A,S13A,S15AにおいてYES)と判断する。禁止条件が成立することは、充電が禁止されることを意味する。
【0125】
上記変形例に係る充電システムでは、充電ポート10a,10b,20及び受電ユニット30のいずれかを使用してバッテリ50の充電が開始される前に、使用されないDCポートのリッドが開いている場合には、ECU300Bが充電リレー40を開状態(遮断状態)にしてバッテリ50の充電を開始しない。充電ポート10a及び10bの各々は、DCポートである。充電ポート10a及び10bの各々からバッテリ50までの電力経路にはAC/DC変換回路が存在しない。充電ポート20からバッテリ50までの電力経路にはAC/DC変換回路(たとえば、
図13に示したAC/DC変換回路255)が存在する。受電ユニット30からバッテリ50までの電力経路にはAC/DC変換回路(たとえば、
図15に示したAC/DC変換回路351)が存在する。この変形例に係る充電ポート10a及び10bの各々は、本開示に係る「第2充電ポート」の一例に相当する。この変形例に係る充電ポート20及び受電ユニット30の各々は、本開示に係る「第1充電ポート」の一例に相当する。
【0126】
充電ポート20及び受電ユニット30の各々からバッテリ50までの各電力経路にはAC/DC変換回路が存在するため、バッテリ50から出力される直流電力はAC/DC変換回路で遮断される。このため、充電ポート20及び受電ユニット30のいずれかがバッテリ50と電気的に接続されても、バッテリ50の電圧は充電ポート(充電ポート20又は受電ユニット30)に印加されない。こうした構成により、充電ポート20及び受電ユニット30の各々とバッテリ50とが電気的に接続されても、安全性を確保できる。
【0127】
上記変形例に係る充電システムにおいて、バッテリ50の充電が開始される前に、使用されないDCポート(充電ポート10a又は10b)のリッドが開いている場合には、ECU300Bが充電リレー40を開状態(遮断状態)にする。充電リレー40が開状態になることで、バッテリ50の電圧がインレット11a及び11bのいずれにも印加されなくなる。そして、使用されないDCポートのリッドが閉じると、ECU300Bは、充電リレーONを実行することによりバッテリ50の充電を開始する。こうした構成によっても、簡易な制御で充電システムにおける安全性を向上させることができる。
【0128】
上述した変形例では、送電前の位置合わせが完了したタイミングで、禁止条件が成立するか否かが判断されている。しかしこれに限られず、送電前の位置合わせが開始されたタイミングで、禁止条件が成立するか否かが判断されてもよい。
【0129】
上述した変形例では、第1充電ポートとしてACポート及び非接触充電用ポートが採用され、第2充電ポートとして2つのDCポートが採用されている。しかし、第1充電ポート及び第2充電ポートの数は適宜変更可能である。たとえば、上述した変形例において、充電ポート20及び受電ユニット30のいずれか一方を割愛してもよいし、充電ポート10a及び10bのいずれか一方を割愛してもよい。上述した変形例では、受電ユニット30にリッドが設けられていないが、リッドを備える非接触充電用ポートを、第1充電ポートとして採用してもよい。
【0130】
各充電ポートの位置は、上述した実施の形態及び変形例で示した位置に限られず適宜変更可能である。たとえば、DCポートは、車両の前面又は後面に配置されてもよいし、車両のルーフトップに配置されてもよいし、車両の床下に配置されてもよい。
【0131】
各充電ポートに、開閉機構を駆動してリッドを開閉するアクチュエータが設けられてもよい。車両に搭載された通信装置と通信可能な携帯端末が、充電ポートのリッドを操作するためのボタンを備え、ユーザによってボタンが操作されたときに、携帯端末が、所定の充電ポートのリッドを閉じるように車両に対して指示してもよい。上記ボタンは、使用ポートを指定するためのボタンであってもよい。上記携帯機器は、ユーザが充電開始前に上記ボタンによって使用ポートを指定したときに、指定された使用ポートのリッドを開き、非使用ポートのリッドを閉じることを車両に対して指示してもよい。また、上記ボタンは、非使用ポートのリッドを閉じるためのボタンであってもよい。上記携帯機器は、ユーザが充電中に上記ボタンを押したときに、充電に使用されていない全ての充電ポートのリッドを閉じることを車両に対して指示してもよい。車両に搭載された制御装置は、上記アクチュエータを制御することにより、充電ポートのリッドを開閉することができる。
【0132】
上記実施の形態及び変形例では、複数の充電ポートの各々からバッテリ50までの各電力経路の共通部分に配置された充電リレー40を、開閉装置として採用している。しかし、開閉装置は、複数の充電ポートの各々から蓄電装置までの各電力経路の接続/遮断を切り替えるものであればよく、開閉態様は任意である。
図18は、開閉装置の変形例を示す図である。
【0133】
図18を参照して、この開閉装置は、充電ポート10aからバッテリ50までの電力経路に配置されたリレー41a,42aと、充電ポート10bからバッテリ50までの電力経路に配置されたリレー41b,42bとを含む。リレー41a,42a,41b,42bの各々は、ECU300Cによって制御される。
【0134】
ECU300Cは、充電ポート10aを使用してバッテリ50の充電が開始されるときに充電ポート10b(非使用ポート)のリッドが閉じていれば、リレー41a,42aを閉状態(接続状態)、リレー41b,42bを開状態(遮断状態)にすることで、充電ポート10aからバッテリ50までの電力経路を接続状態にする。ECU300Cは、充電ポート10bを使用してバッテリ50の充電が開始されるときに充電ポート10a(非使用ポート)のリッドが閉じていれば、リレー41a,42aを開状態(遮断状態)、リレー41b,42bを閉状態(接続状態)にすることで、充電ポート10bからバッテリ50までの電力経路を接続状態にする。
【0135】
ECU300Cは、充電ポート10a,10bのいずれかを使用してバッテリ50の充電が開始される前に非使用ポートのリッドが開いていれば、リレー41a,42a,41b,42bの各々を開状態(遮断状態)にすることで、充電ポート10a及び10bの各々からバッテリ50までの各電力経路を遮断状態にする。リレー41a,42a,41b,42bの各々はノーマリオフスイッチであってもよい。リレー41a,42a,41b,42bの各々がノーマリオフスイッチであれば、非通電時にリレー41a,42a,41b,42bの各々が開状態になる。これにより、遮断時の誤動作が生じにくくなる。
【0136】
上記制御によれば、使用ポートからバッテリ50までの電力経路を接続状態にするタイミングで、誤動作によって非使用ポートからバッテリ50までの電力経路が接続状態になっても、非使用ポートのリッドは閉じているため、安全である。
【0137】
なお、開閉装置がノーマリオフスイッチを含むことは必須ではなく、ノーマリオフスイッチの代わりにノーマリオンスイッチを採用してもよい。
【0138】
車両は、EV(電気自動車)に限られない。
図1に示した走行駆動装置70は、図示しないエンジン(内燃機関)をさらに含んでもよい。車両は、バッテリ50に蓄えられた電力とエンジンの出力との両方を用いて走行可能なPHV(プラグインハイブリッド車両)であってもよい。車両の構成は、
図1及び
図2に示した構成に限られない。車両は、乗用車であってもよいし、バスであってもよいし、トラックであってもよい。車両は、自動運転又は遠隔運転によって無人走行可能に構成されてもよい。車両は、無人搬送車(AGV)であってもよいし、MaaS(Mobility as a Service)事業者が管理するMaaS車両であってもよい。車輪の数も4輪に限定されず適宜変更可能である。車輪の数は、3輪であってもよいし、5輪以上であってもよい。
【0139】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0140】
10,10a,10b,20 充電ポート、11,11a,11b,21 インレット、12,12a,12b,22 リッド、13,13a,13b,23 開閉機構、14,14a,14b,24 開閉センサ、15,15a,15b 接続センサ、16b アクチュエータ、25 充電回路、30 受電ユニット、30a 受電コイル、35 充電回路、40 充電リレー、41a,41b,42a,42b リレー、50 バッテリ、60 SMR、70 走行駆動装置、80 起動スイッチ、81 車両状態センサ、82 運転装置、83 入力装置、84 報知装置、85 通信装置、90 ドア、100,100A,100B 車両、210 コネクタ、220 充電ケーブル、251 PFC回路、252 1次コイル、253 絶縁トランス、254 2次コイル、255 AC/DC変換回路、256 コンデンサ、300,300B,300C ECU、301 共振回路、302 フィルタ回路、310 プロセッサ、320 RAM、330 記憶装置、340 タイマ、351 AC/DC変換回路、352 コンデンサ、400 ロボット、410 充電コネクタ、420 アーム、430 電源、500 送電ユニット、500a 送電コイル、510 共振回路、520 フィルタ回路、530 インバータ、540 PFC回路、600 電源、700 制御装置。