(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】多方向入力装置
(51)【国際特許分類】
H01H 25/04 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
H01H25/04 F
(21)【出願番号】P 2023578537
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2023002699
(87)【国際公開番号】W WO2023149381
(87)【国際公開日】2023-08-10
【審査請求日】2024-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2022016951
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小原 啓志
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-051908(JP,A)
【文献】特開2009-009799(JP,A)
【文献】実開平06-026133(JP,U)
【文献】中国実用新案第206950639(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第105446416(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/00 - 25/06
H01H 89/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾倒操作および押下操作が可能な操作部材と、
前記操作部材を上方に付勢し、前記傾倒操作がなされたときに、前記操作部材に復帰力を付与する第1付勢部材と、
回動軸を有し、前記傾倒操作がなされたときに、前記回動軸の軸回りに回動する駆動部材と、
前記回動軸の一端の下側に配置され、前記押下操作がなされたとき、前記回動軸の一端によって押圧されるプッシュスイッチと、
前記回動軸の一端の上側に配置され、前記回動軸の一端を下方に付勢する第2付勢部材とを備えることを特徴とする多方向入力装置。
【請求項2】
前記第2付勢部材は、板バネであることを特徴とする請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項3】
前記板バネは、前記回動軸の一端に直接的に当接することにより、前記回動軸の一端を下方に付勢することを特徴とする請求項2に記載の多方向入力装置。
【請求項4】
前記板バネの長手方向における両端部を支持するホルダを備え、
前記板バネは、
前記長手方向における中央部により、前記回動軸の一端を下方に付勢することを特徴とする請求項
2に記載の多方向入力装置。
【請求項5】
前記プッシュスイッチは、
前記操作部材が第1の所定量下方に押し下げられたときに、前記回動軸の一端によって前記第1の所定量下方に押し下げられることにより、第1のスイッチオン状態に切り替わり、
前記操作部材が第1の所定量よりも大きい第2の所定量下方に押し下げられたときに、前記回動軸の一端によって前記第2の所定量下方に押し下げれられることにより、第2のスイッチオン状態に切り替わることを特徴とする請求項
1に記載の多方向入力装置。
【請求項6】
前記第2付勢部材の下側において、前記回動軸の一端を間に挟んで配置され、前記第2付勢部材と対向する当接面を有し、前記操作部材が前記第1の所定量下方に押し下げられたとき、前記当接面によって前記第2付勢部材を係止することにより、前記第2付勢部材による前記回動軸の一端の下方への付勢を規制する一対のストッパを備えることを特徴とする請求項5に記載の多方向入力装置。
【請求項7】
前記一対のストッパの各々の前記当接面は、前記回動軸の一端から離れるにつれて徐々に高さ位置が低くなる傾斜面であることを特徴とする請求項6に記載の多方向入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多方向入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、操作部材による傾倒操作が可能な多方向入力装置に関し、回転型可変抵抗器によって傾倒操作を検出し、プッシュスイッチによって押下操作を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の多方向入力装置は、コイルばねによって操作部材が上方に強く付勢されているため、操作者が操作部材を軽く触れたことをプッシュスイッチで検出することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る多方向入力装置は、傾倒操作および押下操作が可能な操作部材と、操作部材を上方に付勢し、傾倒操作がなされたときに、操作部材に復帰力を付与する第1付勢部材と、回動軸を有し、傾倒操作がなされたときに、回動軸の軸回りに回動する駆動部材と、回動軸の一端の下側に配置され、押下操作がなされたとき、回動軸の一端によって押圧されるプッシュスイッチと、回動軸の一端の上側に配置され、回動軸の一端を下方に付勢する第2付勢部材とを備える。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態に係る多方向入力装置によれば、比較的簡単な構成で、操作者が操作部材を軽く触れたことをプッシュスイッチで検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る多方向入力装置の外観斜視図
【
図2】一実施形態に係る多方向入力装置の外観斜視図
【
図3】一実施形態に係る多方向入力装置の一部分解斜視図
【
図4】一実施形態に係る多方向入力装置の一部分解斜視図
【
図5】一実施形態に係る多方向入力装置の付勢機構における断面図
【
図6】一実施形態に係る多方向入力装置の本体部の分解斜視図
【
図7】一実施形態に係る多方向入力装置の斜視断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0009】
(多方向入力装置100の概要)
図1は、一実施形態に係る多方向入力装置100の外観斜視図である。
図1に示す多方向入力装置100は、ゲーム機等のコントローラ等に用いられる。
図1に示すように、多方向入力装置100は、フレーム102の開口部102Bから上方(Z軸正方向)に向って延在する柱状の、傾倒操作および押下操作が可能なレバー120を有する。多方向入力装置100は、レバー120によるX軸方向およびY軸方向のみならず、これらの方向の間の全方向への傾倒操作が可能である。また、多方向入力装置100は、レバー120によるZ軸負方向への押下操作が可能である。
【0010】
(操作検出の構成)
図2は、一実施形態に係る多方向入力装置100の外観斜視図である。
図3および
図4は、一実施形態に係る多方向入力装置100の一部分解斜視図である。
図5は、一実施形態に係る多方向入力装置100の付勢機構150における断面図である。
【0011】
図2~
図4に示すように、多方向入力装置100は、本体部100A、回転検出器141、回転検出器142、プッシュスイッチ109、および付勢機構150を備える。
【0012】
回転検出器141は、本体部100Aが有するフレーム102のY軸正側の側面に設けられている、回転型可変抵抗器である。回転検出器141は、中央に摺動子141Aが回転可能に設けられている。摺動子141Aは、中央に嵌め込み孔141Bを有しており、当該嵌め込み孔141Bに第1アクチュエータ104のY軸正側の回動軸部104Bが嵌め込まれることにより、回動軸部104Bとともに回動する。これにより、回転検出器141は、レバー120のX軸方向への傾倒操作を検出できる。回転検出器141は、当該回転検出器141の下端部から下方に延在して設けられた複数の金属端子141Cを有する。回転検出器141は、レバー120のX軸方向への傾倒操作(傾倒方向および傾倒角度)に応じた操作信号を、複数の金属端子141Cを介して外部へ出力することができる。
【0013】
回転検出器142は、本体部100Aが有するフレーム102のX軸負側の側面に設けられているいる、回転型可変抵抗器である。回転検出器142は、中央に摺動子142Aが回転可能に設けられている。摺動子142Aは、中央に嵌め込み孔142Bを有しており、当該嵌め込み孔142Bに第2アクチュエータ105のX軸負側の回動軸部105Bが嵌め込まれることにより、回動軸部105Bとともに回動する。これにより、回転検出器142は、レバー120のY軸方向への傾倒操作を検出できる。回転検出器142は、当該回転検出器142の下端部から下方に延在して設けられた複数の金属端子142Cを有する。回転検出器142は、レバー120のY軸方向への傾倒操作(傾倒方向および傾倒角度)に応じた操作信号を、複数の金属端子142Cを介して外部へ出力することができる。
【0014】
プッシュスイッチ109は、本体部100Aが有するフレーム102のY軸負側の側面からY軸負方向に突出した位置に設けられている。プッシュスイッチ109は、当該プッシュスイッチ109の上面から上方に突出して設けられた、円柱状の押圧部109Aを有する。押圧部109Aの上面には、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bが接触して配置されている。プッシュスイッチ109は、当該プッシュスイッチ109の下端部から下方に延在して設けられた複数の金属端子109Cを有する。プッシュスイッチ109は、レバー120の下方への押下操作に応じた操作信号を、複数の金属端子109Cを介して外部へ出力することができる。
【0015】
プッシュスイッチ109は、いわゆる2段階スイッチである。例えば、プッシュスイッチ109は、レバー120が第1の所定量下方に押し下げられたときに、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104B(「回動軸の一端」の一例)によって、押圧部109Aが下方に第1の所定量押し下げられることにより、第1のスイッチオン状態に切り替わる。
【0016】
また、例えば、プッシュスイッチ109は、レバー120が第1の所定量よりも大きい第2の所定量下方に押し下げられたときに、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bによって、押圧部109Aが下方に第2の所定量押し下げれられることにより、第2のスイッチオン状態に切り替わる。
【0017】
なお、後述するように、多方向入力装置100の本体部100Aには、レバー120を上方に付勢するスプリング108が設けられている。これにより、多方向入力装置100は、レバー120による傾倒操作および押圧操作がなされたときに、レバー120に復帰力を付与して、レバー120を、傾倒していない中立状態、および、押下されていない初期位置に復帰させることができる。
【0018】
付勢機構150は、フレーム102のY軸負側の側面に設けられている。付勢機構150は、板バネ151およびホルダ152を有する。
【0019】
板バネ151は、「第2付勢部材」の一例である。板バネ151は、金属性且つ平板状の部材である。板バネ151は、上方(Z軸正方向)からの平面視において、X軸方向を長手方向とする長方形状を有する。板バネ151は、第1アクチュエータ104のX軸正側の回動軸部104Bの上側に、水平(すなわち、XY平面に対して平行)な姿勢で配置される。板バネ151は、ホルダ152の空間152Bの第2空間部152Bbに配置される。板バネ151は、そのX軸方向における両端部が、ホルダ152の空間152B内に突出して設けられた段差部154(
図5参照)によって上側から支持される。また、板バネ151は、そのX軸方向における中央部が、第1アクチュエータ104のX軸正側の回動軸部104Bによって下側から押し上げられて支持される。板バネ151は、下面(Z軸負側の面)且つ長手方向(X軸方向)における中間位置で、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bに直接的に当接することにより、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bを下方(Z軸負方向)に付勢する。なお、本実施形態では、板バネ151は、複数の金属板が積層された構造を有するが、これに限らず、一枚の金属板等、バネ性を有するものであれば、如何なる部材であってもよい。また、板バネ151のバネ荷重は、適切な値に調整されている。
【0020】
ホルダ152は、樹脂製の部材であり、板バネ151を保持する。具体的には、ホルダ152は、フレーム102のY軸負側の側面に固定される。ホルダ152は、一対の側壁部152Aを有しており、当該一対の側壁部152Aにより、当該一対の側壁部152Aの間の空間152B内に水平な姿勢で配置された板バネ151の、長手方向(X軸方向)における両端部を保持する。ホルダ152の空間152Bは、第1空間部152Baと、第2空間部152Bbとを有する。第2空間部152Bbは、第1空間部152Baの下側の部分である。第2空間部152Bbは、第1空間部152BaよりもX軸方向の長さが長くなっている。これにより、一対の側壁部152Aの各々には、第1空間部152Baに向かって突出した段差部154(
図5参照)が形成されている。
【0021】
なお、板バネ151のX軸方向における中央部を確実に押し上げることができるように、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bの上端部の高さ位置が、押し上げられていない状態の板バネ151のX軸方向における中央部の下面の高さ位置も高くなるように、板バネ151を支持する段差部154の高さ位置が規定されている。
【0022】
また、ホルダ152は、空間152B内に、一対のストッパ153を有する。一対のストッパ153は、板バネ151の下側に配置される。一対のストッパ153は、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bを間に挟んで、X軸方向に並べて設けられている。一対のストッパ153は、レバー120が第1の所定量押し下げられたとき(すなわち、プッシュスイッチ109が第1のスイッチオン状態に切り替わったとき)、当該一対のストッパ153の各々の当接面153A(上面)に板バネ151が当接することにより、板バネ151を係止する。これにより、一対のストッパ153は、レバー120が第1の所定量押し下げられたとき、板バネ151による、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bの下方への付勢を規制する。したがって、レバー120の押し下げ量が第1の所定量以上のとき、当該押下操作に対して、板バネ151からの下方への付勢力が付与されないため、当該押圧操作の操作荷重はスプリング108による荷重のみになる。
【0023】
また、一対のストッパ153の各々の当接面153Aは、X軸方向の外側に向かうにつれて(すなわち、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bから離れるにつれて)徐々に高さ位置が低くなる傾斜面となっているが、これに限らず、円柱形状や長方形状等であってもよい。
【0024】
(多方向入力装置100の本体部100Aの構成)
図6は、一実施形態に係る多方向入力装置100の本体部100Aの分解斜視図である。
図7は、一実施形態に係る多方向入力装置100の斜視断面図である。
【0025】
図6および
図7に示すように、多方向入力装置100の本体部100Aは、フレーム102、レバー120、第1アクチュエータ104、第2アクチュエータ105、アクチュエータ103、スプリング108、プッシュスイッチ109、およびケース110を備える。
【0026】
フレーム102は、各構成部品を囲う箱状の部材である。フレーム102は、1枚の金属板(軟磁性材料板)が加工されることにより、底面部分が開口した箱状(概ね立方体形状)に形成される。フレーム102の上面102Aには、上方からの平面視において円形状をなす開口部102Bが形成されている。
【0027】
レバー120は、「操作部材」の一例であり、中心軸AX上に配置され、操作者によって傾倒操作および押下操作がなされる部材である。レバー120は、軸部120Aおよび基部120Bを有する。軸部120Aは、フレーム102の開口部102Bから上方に向って延在する概ね円柱状の部分であって、操作者によって直接、または他の部材を介して間接的に傾倒操作および押下操作がなされる部分である。基部120Bは、軸部120Aの下端部から下方に延在する、概ね円柱状の部分である。基部120Bは、フレーム102の内部において軸部120Aの下端部を支持し、軸部120Aの傾倒操作に伴って回動する。
【0028】
第1アクチュエータ104は、「駆動部材」の一例であり、上方からの平面視において概ね矩形枠状を有する樹脂製の部材である。第1アクチュエータ104は、矩形枠状の内側部分が開口部104Aとなっている。第1アクチュエータ104は、Y軸方向における両端部の各々に外側に突出した一対の回動軸部104Bを有している。第1アクチュエータ104は、Y軸正側の回動軸部104Bが、回転検出器141によって支持され、Y軸負側の回動軸部104Bが、付勢機構150の板バネ151の中央部とプッシュスイッチ109の押圧部109Aの上面とによって上下から挟持されることにより、一対の回動軸部104Bを回転中心として、X軸方向に回動可能に設けられる。開口部104Aには、レバー120の基部120Bが挿通して配置される。これにより、第1アクチュエータ104は、レバー120のX軸方向への回動に伴って、レバー120の基部120BとともにX軸方向に回動する。また、第1アクチュエータ104は、X軸方向に一対の支持孔104Dを有する。一対の支持孔104Dの各々には、レバー120の基部120BからX軸方向に突出して設けられている、一対の凸部120Cの各々が嵌め込まれる。これにより、第1アクチュエータ104は、レバー120の基部120Bを、Y軸方向に回動可能に保持する。
【0029】
第2アクチュエータ105は、上方に凸状に湾曲したドーム形状を有する樹脂製の部材である。第2アクチュエータ105は、第1アクチュエータ104の上側に配置される。第2アクチュエータ105は、湾曲形状に沿ってX軸方向に延在する長穴形状の開口部105Aを有する。また、第2アクチュエータ105は、X軸方向における両端部の各々に外側に突出した一対の回動軸部105Bを有する。第2アクチュエータ105は、X軸負側の回動軸部105Bが、回転検出器142によって支持され、X軸正側の回動軸部105Bが、当該一対の回動軸部105Bの各々が、フレーム102のX軸正側の側面に形成されている支持溝102Cの半円状の上端部とケース110の支持壁111Cの半円状の上端面とによって上下から挟持されることにより、一対の回動軸部105Bを回転中心として、Y軸方向に回動可能に設けられる。開口部105Aには、レバー120の軸部120Aが挿通して配置される。これにより、第2アクチュエータ105は、レバー120のY軸方向への回動に伴って、レバー120の軸部120AとともにY軸方向に回動する。
【0030】
第1アクチュエータ104および第2アクチュエータ105は、開口部104Aおよび開口部105Aが互いに交差するように、互いに接触しない程度に離間して重なり合う。第1アクチュエータ104および第2アクチュエータ105は、互いに重なり合った状態で、開口部104Aおよび開口部105Aをレバー120の軸部120Aが貫通し、レバー120の基部120Bが内側に組み込まれた状態で、基部120Bとともにフレーム102内に組み込まれる。
【0031】
アクチュエータ103は、軸部103Aおよび底板部103Bを有する樹脂製の部材である。軸部103Aは、中心軸AX上に配置され、上下方向(Z軸方向)に延在する丸棒状の部分である。軸部103Aは、レバー120の底面側(Z軸負側)の開口部120D(
図7参照)内に挿通される。底板部103Bは、軸部103Aの下端部に一体的に設けられた、円盤状の部分である。
【0032】
スプリング108は、「第1付勢部材」の一例である。スプリング108は、アクチュエータ103の軸部103Aが挿通された状態で、アクチュエータ103の軸部103Aとともに、レバー120の底面側(Z軸負側)の開口部120D(
図7参照)内に組み込まれる。スプリング108は、レバー120を上方に付勢するとともに、アクチュエータ103の底板部103Bを下方に付勢する。これにより、スプリング108は、操作者によるレバー120の傾倒操作が解除されたときに、アクチュエータ103の底板部103Bをケース110の上面且つ中央部に押し当てて、当該底板部103Bを水平状態に戻すことで、レバー120を中立状態に復帰させる。また、スプリング108は、レバー120を上方に付勢することにより、レバー120の押下操作に対して、操作荷重を付与する。
【0033】
プッシュスイッチ109は、本体部100Aが有するフレーム102のY軸負側の側面からY軸負方向に突出した位置に設けられている。プッシュスイッチ109は、ケース110の第2部分111B上、且つ、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bの下側に配置される。
【0034】
ケース110は、フレーム102の底面部分に組み込まれることにより、フレーム102の底面部分を閉塞する、樹脂製且つ概ね平板状の部材である。ケース110は、中心軸AXを中心とする第1部分111Aと、第1部分111AよりもY軸負側に突出した第2部分111Bとを有する。第1部分111Aおよび第2部分111Bは、いずれも上方からの平面視において概ね矩形状を有する。
【0035】
(レバー120のX軸方向への傾倒操作時の動作)
一実施形態に係る多方向入力装置100は、レバー120がX軸方向に傾倒したとき、第1アクチュエータ104の回動に伴って、回転検出器141の摺動子141Aが回動することにより、レバー120のX軸方向の傾倒操作が回転検出器141によって検出される。この際、回転検出器141は、複数の金属端子141Cから、レバー120のX軸方向への傾倒操作(傾倒方向および傾倒角度)に応じた操作信号を外部に出力する。
【0036】
(レバー120のY軸方向への傾倒操作時の動作)
また、一実施形態に係る多方向入力装置100は、レバー120がY軸方向に傾倒したとき、第2アクチュエータ105の回動に伴って、回転検出器142の摺動子142Aが回動することにより、レバー120のY軸方向の傾倒操作が回転検出器142によって検出される。この際、回転検出器142は、複数の金属端子142Cから、レバー120のY軸方向への傾倒操作(傾倒方向および傾倒角度)に応じた操作信号を外部に出力する。
【0037】
(レバー120の押下操作時の動作)
また、一実施形態に係る多方向入力装置100は、レバー120が下方に押し下げられたとき、レバー120がスプリング108を押し縮めながら、第1アクチュエータ104とともに下方に移動する。この際、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bが、プッシュスイッチ109の押圧部109Aを押圧する。
【0038】
レバー120が第1の所定量下方に押し下げられたとき、プッシュスイッチ109の押圧部109Aは、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bによって、下方に第1の所定量押し下げられる。これにより、プッシュスイッチ109は、第1のスイッチオン状態に切り替わる。
【0039】
レバー120が第2の所定量下方に押し下げられたとき、プッシュスイッチ109の押圧部109Aは、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bによって、下方に第2の所定量押し下げられる。これにより、プッシュスイッチ109は、第2のスイッチオン状態に切り替わる。
【0040】
レバー120の押下操作がなされていないとき、付勢機構150の板バネ151の長手方向(X軸方向)における中央部によって、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bに対して、プッシュスイッチ109が第1のスイッチオン状態に切り替わらない程度に、下方への付勢力が付与される。
【0041】
そして、レバー120の押し下げ量が第1のスイッチオン状態となる所定量未満のとき、付勢機構150の板バネ151の長手方向(X軸方向)における中央部によって、第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bに対して、下方への付勢力が付与されるため、レバー120の押下操作に係る操作荷重は、スプリング108から付与される荷重から、板バネ151によって付与される付勢力を減じたものとなる。この際、板バネ151によって付与される付勢力は、操作者がレバー120を軽く触れたことをプッシュスイッチ109で検出できるように、スプリング108から付与される荷重の殆どを略相殺できるように設定されている。
【0042】
一方、レバー120の押し下げ量が第1のスイッチオン状態となる所定量以上のとき、板バネ151がストッパ153の当接面153Aに当接することにより、付勢機構150の板バネ151による第1アクチュエータ104のY軸負側の回動軸部104Bへの付勢が規制されるため、レバー120の押下操作に係る操作荷重は、スプリング108から付与される荷重となる。
【0043】
すなわち、一実施形態に係る多方向入力装置100は、プッシュスイッチ109が第1のスイッチオン状態に切り替わるまでは、レバー120の押下操作に係る操作荷重を比較的小さくし、プッシュスイッチ109が第1のスイッチオン状態に切り替わった後、プッシュスイッチ109が第2のスイッチオン状態に切り替わるまでは、レバー120の押下操作に係る操作荷重を、スプリング108による荷重のみにでき、傾倒操作時のユーザが意図しない第2のスイッチオン動作を防ぐことができる。
【0044】
(効果)
以上説明したように、一実施形態に係る多方向入力装置100は、傾倒操作および押下操作が可能なレバー120と、レバー120を上方に付勢し、傾倒操作がなされたときに、レバー120に復帰力を付与するスプリング108と、回動軸部104Bを有し、傾倒操作がなされたときに、回動軸部104Bの軸回りに回動する第1アクチュエータ104と、回動軸部104Bの下側に配置され、押下操作がなされたとき、回動軸部104Bによって押圧されるプッシュスイッチ109と、回動軸部104Bの上側に配置され、回動軸部104Bを下方に付勢する第2付勢部材とを備える。
【0045】
これにより、一実施形態に係る多方向入力装置100は、スプリング108による上方への付勢力を第2付勢部材による下方への付勢力で相殺できるため、"第2付勢部材を追加で設ける"といった比較的簡単な構成で、操作者がレバー120を軽く触れたことをプッシュスイッチ109で検出できるようにすることができる。
【0046】
また、一実施形態に係る多方向入力装置100において、第2付勢部材は、板バネ151である。
【0047】
これにより、一実施形態に係る多方向入力装置100は、"板バネ151を追加で設ける"といった比較的簡単な構成で、操作者がレバー120を軽く触れたことをプッシュスイッチ109で検出できるようにすることができる。
【0048】
また、一実施形態に係る多方向入力装置100において、板バネ151は、回動軸部104Bに直接的に当接することにより、回動軸部104Bを下方に付勢する。
【0049】
これにより、一実施形態に係る多方向入力装置100は、"板バネ151を追加で設ける"といった比較的簡単な構成で、操作者がレバー120を軽く触れたことをプッシュスイッチ109で検出できるようにすることができる。
【0050】
また、一実施形態に係る多方向入力装置100は、板バネ151の長手方向における両端部を支持するホルダ152を備え、板バネ151は、長手方向における中央部により、回動軸部104Bを下方に付勢する。
【0051】
これにより、一実施形態に係る多方向入力装置100は、"板バネ151の両端部をホルダ152で支持する"といった比較的簡単な構成で、操作者がレバー120を軽く触れたことをプッシュスイッチ109で検出できるようにすることができる。
【0052】
また、一実施形態に係る多方向入力装置100において、プッシュスイッチ109は、レバー120が第1の所定量下方に押し下げられたときに、回動軸部104Bによって第1の所定量下方に押し下げられることにより、第1のスイッチオン状態に切り替わり、レバー120が第1の所定量よりも大きい第2の所定量下方に押し下げられたときに、回動軸部104Bによって第2の所定量下方に押し下げれられることにより、第2のスイッチオン状態に切り替わる。
【0053】
これにより、一実施形態に係る多方向入力装置100は、比較的簡単な構成で、操作者がレバー120を軽く触れたことを、2段階に切り替え可能なプッシュスイッチ109で検出できるようにすることができる。
【0054】
また、一実施形態に係る多方向入力装置100は、板バネ151の下側において、回動軸部104Bを間に挟んで配置され、板バネ151と対向する当接面153Aを有し、レバー120が第1の所定量押し下げられたとき、当接面153Aによって板バネ151を係止することにより、板バネ151による回動軸部104Bの下方への付勢を規制する一対のストッパ153を備える。
【0055】
これにより、一実施形態に係る多方向入力装置100は、比較的簡単な構成で、プッシュスイッチ109が第1のスイッチオン状態に切り替わる前と、プッシュスイッチ109が第1のスイッチオン状態に切り替わった後とで、レバー120の押下操作に係る操作荷重を異ならせることができる。
【0056】
すなわち、一実施形態に係る多方向入力装置100は、比較的簡単な構成で、操作者がレバー120を軽く触れただけで、プッシュスイッチ109を第1のスイッチオン状態に切り替えることができ、その後、操作者がレバー120を強く押下することにより、プッシュスイッチ109を第2のスイッチオン状態に切り替えることができるように、構成することができる。
【0057】
また、一実施形態に係る多方向入力装置100において、一対のストッパ153の各々の当接面153Aは、回動軸部104Bから離れるにつれて徐々に高さ位置が低くなる傾斜面である。
【0058】
これにより、一実施形態に係る多方向入力装置100は、当接面153Aの一部にのみ板バネ151が当接することを抑制し、当接面153Aの一部のみ摩耗することを抑制することができる。
【0059】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0060】
例えば、一実施形態では、「第2付勢部材」として、板バネ151を用いているが、これに限らない。例えば、「第2付勢部材」として、その他の付勢部材(例えば、コイルスプリング、ゴム等)を用いてもよい。
【0061】
また、一実施形態では、「プッシュスイッチ」として、は、2段階に切り替わるものに限らず、例えば、押圧量を無段階に検出する荷重センサ等であってもよい。
【0062】
本国際出願は、2022年2月7日に出願した日本国特許出願第2022-016951号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0063】
100 多方向入力装置
100A 本体部
102 フレーム
102A 上面
102B 開口部
102C 支持溝
103 アクチュエータ
103A 軸部
103B 底板部
104 第1アクチュエータ(駆動部材)
104A 開口部
104B 回動軸部(回動軸)
104D 支持孔
105 第2アクチュエータ
105A 開口部
105B 回動軸部
108 スプリング(第1付勢部材)
109 プッシュスイッチ
109A 押圧部
109C 金属端子
110 ケース
111A 第1部分
111B 第2部分
111C 支持壁
120 レバー(操作部材)
120A 軸部
120B 基部
120C 凸部
120D 開口部
141,142 回転検出器
141A,142A 摺動子
141B,142B 嵌め込み孔
141C,142C 金属端子
150 付勢機構
151 板バネ
152 ホルダ
152A 側壁部
152B 空間
153 ストッパ
153A 当接面
AX 中心軸