IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-望ましくない分子除去用の組成物 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】望ましくない分子除去用の組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 7/22 20060101AFI20240918BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240918BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20240918BHJP
   A61L 9/013 20060101ALI20240918BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20240918BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20240918BHJP
   C11D 3/22 20060101ALI20240918BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20240918BHJP
   C11D 3/382 20060101ALI20240918BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20240918BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20240918BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20240918BHJP
   C11D 7/44 20060101ALI20240918BHJP
   C11D 7/50 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
C11D7/22
A61K8/73
A61L9/01 H
A61L9/01 Q
A61L9/01 Y
A61L9/013
A61Q15/00
C11B9/00 Z
C11D3/22
C11D3/37
C11D3/382
C11D3/43
C11D3/50
C11D7/26
C11D7/44
C11D7/50
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020081318
(22)【出願日】2020-05-01
(62)【分割の表示】P 2016565291の分割
【原出願日】2015-04-28
(65)【公開番号】P2020125496
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2020-05-21
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2014-0050740
(32)【優先日】2014-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0087656
(32)【優先日】2014-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0002127
(32)【優先日】2015-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー・エイチアンドエイチ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】フ-ドク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジン-ス・ハ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ヨン・ジョウン
(72)【発明者】
【氏名】ユン-ジン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】キョン-オン・チャ
【合議体】
【審判長】門前 浩一
【審判官】村守 宏文
【審判官】関根 裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-533588(JP,A)
【文献】特開2015-101809(JP,A)
【文献】特開2007-332130(JP,A)
【文献】特開2014-1490(JP,A)
【文献】特開2004-67962(JP,A)
【文献】特開2003-238376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体、前記高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接した香料及び溶剤を含み、
前記香料は、ClogPが3以上である疎水性香料であり、
前記高度分岐サイクリックデキストリンと香料との重量比が、4:1~100:1(高度分岐サイクリックデキストリン:香料)であり、
緑茶、柿の葉、陳皮及び八角茴香からなる群より選択されたいずれか一つ以上の植物抽出物を鉱物と反応させた反応物を含むことを特徴とする、異臭源除去用の組成物。
【請求項2】
前記高度分岐サイクリックデキストリンは、α-1,6-グルコシド結合によって16~100以内のD-グルコースが連結された形態であることを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項3】
前記高度分岐サイクリックデキストリンは、デキストロース当量値が5以下であることを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項4】
前記高度分岐サイクリックデキストリンは、α-D-グルコースをモノマーとするオリゴ糖であり、化学式(C 10 O(xは200~5,000の整数である。)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項5】
前記高度分岐サイクリックデキストリンは、平均分子量が30,000~1,000,000g/molであることを特徴とする請求項1に記載異臭源除去用の組成物。
【請求項6】
前記高度分岐サイクリックデキストリンは、組成物の総重量に対し0.01~20重量%が含まれることを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項7】
前記溶剤は、水を含むことを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項8】
前記組成物は、界面活性剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項9】
前記組成物は、水溶性ポリマーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項10】
前記植物抽出物は、組成物の総重量に対し0.01~10重量%が含まれたことを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項11】
前記植物抽出物は、ポリフェノール系植物精油の含まれた植物溶媒抽出物と鉱物との反応物であることを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項12】
高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体を組成物の総重量に対し0.01~10重量%を含み、かつ、緑茶、柿の葉、陳皮及び八角茴香を含む植物抽出物を0.01~10重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の異臭源除去用の組成物。
【請求項13】
高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体、前記高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接したClogPが3以上である疎水性香料、植物抽出物、及び溶剤、及び選択的に、界面活性剤、水溶性ポリマー、またはこれらの混合物を含む異臭源除去用の組成物を処理する段階を含み、
前記高度分岐サイクリックデキストリンと香料との重量比が、4:1~100:1(高度分岐サイクリックデキストリン:香料)であり、
前記植物抽出物が、緑茶、柿の葉、陳皮及び八角茴香からなる群より選択されたいずれか一つ以上の植物抽出物を鉱物と反応させた反応物であることを特徴とする異臭源の除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、望ましくない分子を除去することができ、かつ香料物質を伝達できる組成物に関する。
【0002】
本出願は、2014年4月28日出願の韓国特許出願第10-2014-0050740号、2014年7月11日出願の韓国特許出願第10-2014-0087656号及び2015年1月7日出願の韓国特許出願第10-2015-0002127号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
一般生活空間で発生する悪臭の発生源は様々である。多くの悪臭は、主に硫黄系または窒素系などの様々な成分が複合したものである。このような悪臭を除去するための方法には、物理的な方法、化学的な方法、生物学的な方法または感覚的な方法などがある。物理的な方法とは、活性炭、シリカゲル,ゼオライト、アルミナまたはセラミックスなどの多孔性物質による吸着や界面活性剤などによる吸収を用いる方法をいう。化学的方法とは、中和反応、縮合反応、付加反応、酸化または還元反応などを用いて、悪臭成分に対して反応性の高い物質または悪臭成分と反応して錯体を形成する物質を消臭剤として用することで悪臭を無臭化する方法をいう。生物学的な方法とは、界面活性剤、エチレングリコール、微生物または酵素などを用いて悪臭発生の原因となる細菌やバクテリアを殺菌するか、腐敗を防止することで消臭する方法をいう。感覚的な消臭方法とは、香料のような芳香性物質によって悪臭刺激を置換または中和させる方法をいう。このような方法の外にも悪臭を除去するための技術が多様に知られているが、悪臭を持続的に除去できる技術は未だ充分でない実情である。
【0004】
衣類、住居空間、限定された室内空間などに存在する異臭除去に対する多い要求に対し、企業では、洗濯洗剤、柔軟剤、表面洗浄剤、台所用洗剤、脱臭剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディー用品、わきが用消臭剤などへの多様な適用研究を通じて前記目的を達成してきた。多くの研究における効果的な除去物質の一例として、シクロデキストリン(cyclodextrine)を適用した事例(US6,878,695)もある。前記シクロデキストリンは、6~12個のグルコースが、α-1,4結合で連結された環状構造の多糖類である。最も多く開発適用したシクロデキストリンの一例として、α-シクロデキストリンは6つのグルコースを含み、他の一例として、β-シクロデキストリンは7つのグルコースを含み、さらに他の一例として、γ-シクロデキストリンは8つのグルコースを含み、これらは全てドーナツ状のリング構造を有する。
【0005】
グルコース間の特定結合や構造は、シクロデキストリンが特定体積の空間を有した堅い円錐形の構造を有するようにする。各内部空間の「配列」は、水素原子との配糖体架橋を成した酸素原子によって形成される。そのため、内表面は非常に高い疎水性を有するようになり、内部の特定形状と物理・化学的特性は、シクロデキストリンまたはその誘導体の内部空間との形状が一致する有機分子または有機分子の一部を吸収できる構造的特徴を有させる。したがって、物体の表面にシクロデキストリンを含有した製剤を塗布すると、異臭などの異物はシクロデキストリンの内部空間に包接することで異臭の除去が可能となる。また、製品のうち一部の香料を製造過程中に含浸することで、使用中において香が持続的に発散するようにすることができる。
【0006】
しかし、このようなシクロデキストリンは、内部空間のサイズが一定であることから、包接できる香料物質及び異臭物質が制限的であるという短所があり、また、製剤が水のような水溶性溶剤を含む場合、シクロデキストリンの難溶性から効能の発現に制限がある。特に、通常、残香性に優れて異臭マスキングの効果が良好なものと知られている、ClogPが3以上であり、かつ沸点が250℃以上である香料物質は、シクロデキストリンによる異臭物質の十分な除去及び香料物質の伝達には限界があるという問題点があった。また、シクロデキストリンは低い溶解度を有しているため、これを克服するために誘導体を開発しつつあり、シクロデキストリンの一例でOH基の一部がOR基に置換された物質であるか、Rがメチル基またはエチル基に置換された形態であるか、Rが-CH-CH(OH)-CHや-CHCH-OH基であるヒドロプロピル基に置換された形態であるか、pHにおいて陽イオン性を帯びる陽イオン性シクロデキストリンなど、多様に存在する。
【0007】
本発明は、望ましくない分子の除去に関し、より詳しくは、異臭の除去のために従来に用いられていたシクロデキストリンの前記問題点を補い、より多様な種類の香料物質と異臭物質を包接できる物質に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、より広くて多様なサイズの内部空間を有するサイクリックデキストリンを適用することで、従来のシクロデキストリンにおいて包接できなかったより多様な望ましくない分子、より具体的には多様な異臭源の除去が容易であるだけでなく、シクロデキストリンにおいて包接できなかったより多様な、疎水性でありかつ分子量が大きい香料物質を包接できるようにすることを目的とする。
【0009】
また、本発明は、より広くて多様なサイズの内部空間を有するサイクリックデキストリンを適用し、サイクリックデキストリンの内部空間に包接した香料物質を放出して異臭源を包接させることで、異臭除去及び香りを伝達する組成物及び発現させる方法を提供することを他の目的とする。
【0010】
また、本発明が解決しようとする課題は、高度分岐サイクリックデキストリンが適用された望ましくない分子除去用組成物の製造方法を提供することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するため、本発明は、高度分岐サイクリックデキストリン(Highly Branched Cyclic Dextrin, HBCD)またはこの誘導体、前記高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接した香料及び溶剤を含むことを特徴とする、望ましくない分子除去用の組成物を提供する。
【0012】
本発明の望ましい一実地例によれば、前記高度分岐サイクリックデキストリンは、α-1,6-グルコシド結合(alpha-1,6-glucosidic bond)によって16~100以内のD-グルコースが連結された形態であり得る。
【0013】
また、本発明の望ましい他の一実地例によれば、前記高度分岐サイクリックデキストリンは、デキストロース当量値(Dextrose equivalent value)が5以下であり得る。
【0014】
また、本発明の望ましいさらに他の一実地例によれば、前記高度分岐サイクリックデキストリンは、α-D-グルコースをモノマーとするオリゴ糖であって、化学式(C10)xHO(xは200~5,000の整数である。)で表される化合物であり得る。
【0015】
また、本発明の望ましいさらに他の一実施例によれば、前記高度分岐サイクリックデキストリンは、平均分子量が30,000~1,000,000g/molであり得る。
【0016】
また、本発明の望ましいさらに他の一実施例によれば、前記高度分岐サイクリックデキストリンは、組成物の総重量に対し0.01~20重量%を含むことができる。
【0017】
また、本発明の望ましいさらに他の一実施例によれば、前記溶剤は、水を含むことができる。
【0018】
また、本発明の望ましいさらに他の一実施例によれば、前記組成物は、界面活性剤をさらに含むことができる。
【0019】
また、本発明の望ましいさらに他の一実施例によれば、前記組成物は、水溶性ポリマーをさらに含むことができる。
【0020】
また、本発明の望ましいさらに他の一実施例によれば、前記組成物は、植物抽出物をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明による望ましくない分子除去用の組成物は、より広くて多様なサイズの内部空間を有するサイクリックデキストリンを適用することで、シクロデキストリンで包接できなかった望ましくない分子、より具体的には多様な異臭源の除去が容易であるだけでなく、シクロデキストリンで包接できず、疎水性でありかつ分子量が大きいより多様な香料物質を包接することができる。このような組成物により、高度分岐サイクリックデキストリン内の香料物質が異臭源に置換され、マスキング能力に優れ、選好度の高い香りを出すとともに、異臭源のような望ましくない分子などの異物の除去が可能となる。
【0022】
また、本発明による望ましくない分子除去用の組成物は、植物抽出物をさらに含むことで、異臭除去にシナジー効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
図1】本発明による高度分岐サイクリックデキストリンの形成過程を概略的に示した模式図である
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0025】
本発明は、高度分岐サイクリックデキストリン(Highly Branched Cyclic Dextrin,HBCD)またはこの誘導体、前記高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接した香料及び溶剤を含むことを特徴とする望ましくない分子除去用の組成物に関する。
【0026】
本発明は、異臭除去用に用いられるシクロデキストリンが、内部空間と形状が決められていることから、包接する異臭源または香料が限定されるという点を認知し、この点を改善するために、シクロデキストリンのように単一構造の空間ではなく、さらに広くて多様なサイズの内部空間を有する高度分岐環状構造のデキストリンを考案した。このような高度分岐環状構造のデキストリンは、従来のシクロデキストリンに比べて著しく向上した異臭除去能力だけではなく、シクロデキストリンが包接できなかった、分子量が大きくて疎水性である香料物質を包接できることを確認し、より向上した異臭除去能力を有することを見込み、本発明を完成するに至った。
【0027】
ひいては、本発明の発明者は、高度分岐サイクリックデキストリンとともに特定の植物抽出物を含む場合、高度分岐サイクリックデキストリンまたは植物抽出物をそれぞれ単独で含む場合に比べ、異臭除去の効果がシ相乗的に増進するという驚くべき事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0028】
本発明において、望ましくない分子とは、有機性芳香分子であって、望ましくない臭いを有する異臭源を意味する。このような異臭源は、カーペットなどの織物の表面と台所の調理台、皿、床、ゴミ箱、天井、壁、空気浄化フィルターなどの家庭用品、そして、肌、髪の毛などの表面に存在することができ、本発明によれば、このような望ましくない分子、即ち、異臭源を除去することができる。このような異臭源には、例えば、(E)-5-methyl-2-hexenoic acid、5-methyl-4-hexenoic acid、6-heptenoic acid、isovaleric acid、4-methylhexenoic acidまたはethyloctanoic acidなどの物質が織物類で発生し得る異臭成分として知られており(Flavor and Fragrance Journal,2012,vol. 27,89-94)、人体由来の異臭成分についての多様な研究も進んでいる(Anti-Aging Medicine,2010,7(6):60-65)。このことから、本発明における異臭源とは、通常の人体由来、織物由来などの日常生活で発生し得る通常の異臭成分を意味するが、かかる例に限定されない。
【0029】
本組成物は、エマルジョン/分散質、または透明の単一面の溶液として存在可能である。
【0030】
織物または人体の異臭を除去するための場合は、本発明の組成物は透明な単一面の溶液が望ましく、透明または半透明であり、望ましくは水のように透明な性状を有することが望ましい。
【0031】
また、本発明の組成物が、洗剤、柔軟制、シャンプー、表面洗浄剤として用いられる場合は、エマルジョン/分散質が望ましく、一般にサイズが約0.05μm以上、望ましくは約0.1μm以上、より望ましくは約0.2μm 以上のミセルや小胞分子の集合体を有することができる。このような組成は、組成内の物質の種類と濃度によって透明、半透明、不透明で存在することができる。
【0032】
本発明の組成物は、高度分岐環状構造のデキストリンまたはこの誘導体を効果的に伝達できる組成物でなければならないが、上述の剤形に限ることではない。
【0033】
以下、望ましくない分子除去用の組成物の成分をより具体的に説明する。
【0034】
1)高度分岐サイクリックデキストリン(Highly branched Cyclic Dextrin,HBCD)
【0035】
通常、望ましくない物質を除去するための組成物には、シクロデキストリン及びその誘導体が用いられてきた。シクロデキストリンは、6~8個のグルコースを含み、これらはドーナツ状のリング構造を有する。このようなシクロデキストリンにおけるグルコース間の特定結合や構造は、シクロデキストリンが特定体積の空間を有した堅い円錐型の構造を有するようにする。各内部空間の配列は、水素原子との配糖体架橋を成した酸素原子によって形成される。そのため、内表面は非常に高い疎水性を有するようになり、内部の特定形状と物理・化学的特性は、シクロデキストリンまたはその誘導体の内部空間との形状が一致する有機分子または有機分子の一部を吸収することで異臭物質の除去が可能となっていた。また、このような内部の特定形状内に清香の香料が位置し、異臭が存在する場合に香料を代替してシクロデキストリン内に包接するようなメカニズムを有していた。
【0036】
本発明は、前記シクロデキストリンのように単一の空間構造ではなく、より広くて多様なサイズの内部空間を有するサイクリックデキストリンを適用することで、シクロデキストリンの限界を補おうとした。
【0037】
本発明に適用されるサイクリックデキストリンは、高度分岐サイクリックデキストリンであって、前記高度分岐サイクリックデキストリンとは、アミロペクチンのように、線形のチェーンにα-1,6結合によって高度の分岐状を有したグルコースの重合体多糖類チェーンの連結が切れ、このような切れた連結が分岐酵素(branching enzyme)を用いて環状のチェーンを有するようになった化学構造をいい、一例で、図1に模式的に示したような方法によって形成される。
【0038】
より具体的に、本発明に用いられた高度分岐サイクリックデキストリンは、(C10)xHO(xは、200~5,000の整数である。)で表すことができ、α-D-グルコースをモノマー(monomer)とする無臭の白色パウダーであるオリゴ糖(oligosaccharide)であって、平均分子量はモル当り(g/mol)約30,000~1,000,000であり、望ましくは約100,000~900,000、より望ましくは約200,000~800,000であり、さらに望ましくは約300,000~700,000,最も望ましくは約400,000~600,000である。前記平均分子量が30,000g/mol未満である場合は内部空間が狭いため、サイズの大きい悪臭成分または多様なサイズの香の包接能力が劣り、1,000,000g/molを超過する場合は、組成物の剤形安定性及び分子の安定性が阻害される。重合度は2500グルコースユニットである。また、当量値(dextrose equivalent (DE) value)、即ち、D-グルコースの還元力は、望ましく5以下である。また、望ましくは、α-1,4結合によって線形チェーンに側鎖状のα-1,6-グルルコシディック結合(alpha-1,6-glucosidic bond)によって16~100以内のD-グルコースが連結された形態である。このような結合構造によって高度分岐サイクリックデキストリンは、環状のグルカン空隙(cyclic alpha-glucan moiety)を有するようになる。
【0039】
前記のように本発明による高度分岐サイクリックデキストリンが前記平均分子量、当量値及び測鎖状D-グルコースの数などの条件を備える場合、本発明の目的により適するよう、水に容易に溶解され、香の包接能力がより望ましくなる。
【0040】
また、高度分岐環状構造のデキストリン誘導体とは、前記本発明による高度分岐環状構造のデキストリンの構造上の特徴から、本発明による機能を全て得ることができるように基本構造を維持しながら、本発明の機能に影響を与えない部分の原子或いは原子団が置換された構造のものを意味する。
【0041】
このように、本発明による組成物において、高度の分岐状を有する高度分岐環状構造のデキストリンを使用することで、本組成物を処理した表面上の望ましくない分子と結合する能力が改善し、シクロデキストリン誘導体に比べさらに低い濃度でも表面の望ましくない分子をさらに効果的に減少させるか除去することができる。
【0042】
より具体的に、本発明による高度分岐サイクリックデキストリンの構造的特徴として、前記高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間の形状に一致する多様な有機分子または有機分子の一部を吸収できるように(重合体を成すように)するので、異臭分子などを含む望ましくない有機分子に加え、物体表面の多い異物を内部空間に取り込むことができる。したがって、多様なサイズの内部を有する本発明による高度分岐環状構造のデキストリンは、多様な活性基を有する、広い意味の有機性芳香分子によって発生する異臭を除去できるだけでなく、残香度に優れており、異臭マスキングの良好なClogPが3以上であり、沸点が250℃以上である多様な香料物質または異臭除去物質を有用に伝達することができる。
【0043】
本組成物内で、高度分岐サイクリックデキストリンが機能的に働くために、少なくとも全体組成物内に約0.01~20重量%、望ましくは約0.05~10重量%、より望ましくは約0.1~5重量%存在することができる。前記含量を含む場合、異臭除去のみならず香成分の伝達にも効果的であり、高度分岐サイクリックデキストリンが0.01重量%未満である場合は、消臭効果が弱く、20重量%を超過する場合は、組成物の剤形安定性に問題が発生する。
【0044】
2)香料
本発明による香料は、前記高度分岐環状構造のデキストリンの少なくとも一つ以上の環状構造内に包接され存在し、安定した組成物を成す。本発明の安定した組成は、良い香りという感性品質を提供し、これは織物、人体などの表面に処理する場合、異物、即ち、異臭を除去して清涼な感じを付与する。本発明における香料は、少なくとも持続力のある香を提供することができる。
【0045】
本発明による高度分岐環状構造のデキストリン内に包接できる香料は、親水性及び疎水性香料に関係なく多様な香料を包接できることが特徴であり、このような点は、本発明による高度分岐環状構造のデキストリンがシクロデキストリンに包接できる香料のみならず、シクロデキストリンで包接できなかった香料まで包接できることから、多様な香料を包接できることが分かる。即ち、本発明による高度分子環状構造のデキストリン内に包接する香料は、特定香料に限定されず、多様な香料を含むことを特徴とする。
【0046】
一方、香の賦香率は、香水原液に対するアルコールの割合であり、本発明による香の賦香率は、全体組成の約0%~約3%、望ましくは約0.003%~約2%、より望ましくは約0.005%~約1%である。
【0047】
本発明は異臭を無くし、表面における香りをさらに持続させるために、香料を添加する。強い強度の香が必要な場合、高い賦香率の香料を採用するか残香感に優れた香料を用いることができる。いずれの種類の香料でも本発明の組成に適用することができ、香料成分は疎水性または親水性の両方とも用いることができる。
【0048】
香りをより長く持続させるために、香料は、少なくとも部分的な疎水性及び相対的に高い沸点を有することがよい。即ち、香は主に下記の二つのグループに属する香原料からなる。(a)ClogP 3.0以上、望ましくはClogP 3.5以上の疎水性成分を有し、(b)205以上、望ましくは210以上、より望ましくは220以上の分子量を有する香料成分である。
【0049】
前記香料成分の性質は、異性体も多様であり、周辺に存在する物質に対する影響が大きいため、物理的特性であるClogP及び分子量などの数値から明確に区分しにくい。そこで、前記の数値は、香料の性質を示すための概略値として、前記数値範囲の解釈において柔軟に解釈すべきである。
【0050】
このような疎水性香料について、高度分岐サイクリックデキストリンと香料との重量比は、約2:1~約200:1であり、望ましくは約4:1~約100:1、より望ましくは約6:1~約50:1であり、さらに望ましくは約8:1~約30:1(高度分岐サイクリックデキストリン:香料)である。
【0051】
疎水性香料は、サイクリックデキストリンと強く結合する性質を有する。香料成分の疎水性は、その成分のオクタノール/水割係数Pに係わり、香料のオクタノール/水分割係数は、オクタノール及び水内における香料の平衡濃度比である。香料が高い分割係数Pを有するほどさらに疎水性を示し、逆に低い分割係数Pを有するほどさらに親水性を示す。香料の分割係数が一般的に高いため、底を10とするログを用いてlogPの形態で便利に示すことができる。そこで、本発明における他の香料は、約3以上、望ましくは約3.1以上であり、最も望ましくは約3.2以上のlogP値を有する。
【0052】
また、疎水性香料の組成は、それぞれ少なくとも全体香組成の約5%~80重量%を含み、望ましくは約10%~60重量%、より望ましくは約15%~40重量%を含む。
【0053】
より具体的に、本発明による高度分岐サイクリックデキストリンは、シクロデキストリンが包接できなかった香料であるガラクソライド(Galxolide)、イソイースーパー(Iso-E super)、ヘルベトライド(Helvetolide)、カシュメラン(Cashmeran)、セルボライド(Cervolid)及びアウランチオール(Aurantiol)などからなる群より少なくとも一つ以上の香料を包接することができる。このような香料は、異臭マスキング能力に優れており、香りに対する選好度が高く、分子量が大きくて疎水性香料としてより容易に香りの持続力を向上させることができる。
【0054】
下記の表1は、幾つかの残香香料と、シクロデキストリン及び本発明による高度分岐サイクリックデキストリンとの結合可能可否を示す。本発明による高度分岐サイクリックデキストリンは、シクロデキストリンに比べてより多様かつ広い内部空間を有しているため、ClogPが3.0以上であるシクロデキストリンに入れない分子量の大きい香料を包接することができる。したがって、本発明による高度分岐サイクリックデキストリンを用いてより多い香臭が適用できるため、本組成物の香スペクトラムを広げ、残香の持続性を増加させることができる。
【0055】
【表1】
【0056】
本発明のための香処方は、一般に少なくとも4つの疎水性残香香料を含み、望ましくは5つ、より望ましくは6つ、さらに望ましくは7つの疎水性残香香料を含む。また、最も広く用いられる天然由来の香料は複数の構成成分からなっている。
【0057】
また、親水性香料は、水溶性組成内で高度分岐サイクリックデキストリンからよく離脱する特徴を有し、このような親水性香料は主に約3.5、望ましくは約3.0以下の ClogPを有する成分からなる。
【0058】
もし、香料成分が親水性である場合、これらは水溶性組成で溶解され、サイクリックデキストリンとの結合程度が高くない。異臭のような異物を減少、除去するサイクリックデキストリンの機能を維持するために、親水性香料は高度分岐サイクリックデキストリンとの重量比が約90重量%以下、望ましくは50重量%以下、より望ましくは30重量%以下、さらに望ましくは10重量%以下で存在することがよい。このような親水性香料に対するサイクリックデキストリンの割合は約8:1以上であることが望ましく、より望ましくは約10:1以上、さらに望ましくは約20:1以上、最も望ましくは約70:1(サイクリックデキストリン:親水性香料)以上である。
【0059】
また、本組成物において、香料がその役割を果すために全体組成物の重量に対し0.1~10.0重量%、望ましくは0.5~5.0重量%で存在することができ、前記含量を含む場合、香による感性品質の向上を極大化することができる。
【0060】
3)溶剤(Solvent)
本発明において、溶剤とは輸送体をいい、望ましくは水が挙げられ、蒸留水やイオンの除去された水、水道水を使用することもできる。水は、高度分岐サイクリックデキストリンの輸送体として働くだけでなく、処理された表面の異臭分子などの異物と高度分岐サイクリックデキストリンとの結合を促進することもできる。また、極性であり、分子量が小さい有機アミン、酸、メルカプタンなどによって発生した異臭によって汚染した表面に水溶液を処理すれば、強度が減少することが知られている。本発明の溶剤として用いられる水は、極性、低分子異臭分子を可溶化させ、蒸気圧を減少させることで異臭の強度を低減させると考えられる。
【0061】
本発明の組成物内で用いられる溶剤、即ち、水の濃度は、組成物の使用(例えば、剤形など)によって変わり得る。受動または自動に噴射するスプレーのための組成は、全体組成物の重量に対する水の重量が約30重量%~約99.9重量%であることが望ましく、より望ましくは約50重量%~約99.9重量%、さらに望ましくは約60重量%~約95重量%で非常に高い。
【0062】
また、織物の異臭を除去するための組成においては、溶剤としてアルコールを用いることができ、望ましくは、炭素数が1~4である低級アルコールであって、例えば、メタノールまたはエタノールなどを用いることができ、全体組成物重量に対しアルコールの重量が約20重量%以下、望ましくは約10%以下、より望ましくは約5%以下の濃度で用いられる。
【0063】
水溶液の希釈は、織物における高度分岐サイクリックデキストリンの塗布範囲を広げ、高度分岐サイクリックデキストリン分子と異臭分子とが結合できる機会を最大にすることができる。
【0064】
4)界面活性剤
本発明の界面活性剤は、物体表面の異物を適切に減少、除去させるか、香料成分が長い間に発香できるようにするために、本発明の組成物にさらに含むことができる。異臭の適切な除去のために、界面活性剤は、本発明による高度分岐サイクリックデキストリンと容易に結合できる安定した界面活性剤を含み、 かつ、本発明による高度分岐サイクリックデキストリンに包接しにくい異臭性物質との重合体を成し、低い表面張力を発生させて織物のような疎水性表面により容易かつ均一に広がる特性が重要となる。
【0065】
本発明に用いられた界面活性剤は、一般に、洗剤、柔軟剤、シャンプー、表面洗浄剤、化粧品、ボディー用品、口腔洗浄剤、ボディソープ、シェービング用品、保湿剤の組成などに使用される種類のものを含むことができる。
【0066】
高度分岐サイクリックデキストリンに安定した界面活性剤が含まれた組成物を用いれば、適用された界面活性剤の種類と特徴に応じてさらに速く乾き、処理した物体に異臭をより速く除去することができる。一部組成物の成分のうち高度分岐環状構造のデキストリンと包接してよく解離しない香料などは、高度分岐サイクリックデキストリン及び界面活性剤とミセルまたは小胞形成を促進し、使用時に適正な強度の香料を維持させて、処理した表面から使用中に残香が長く維持される長所を強化することに寄与する。
【0067】
界面活性剤と本発明による高度分岐サイクリックデキストリンとの結合力は、界面活性剤水溶液への高度分岐サイクリックデキストリンの添加有無による界面張力(dyne/cm)の変化を確認することで、分かる。界面活性剤水溶液は、約0.5%、約0.1%、約0.01%、約0.005%濃度の界面活性剤を含み、与えられた濃度の界面活性剤水溶液の界面張力と同一な濃度の界面活性剤を含み、約1重量%の高度分岐サイクリックデキストリンをさらに含んだ水溶液の界面張力の増加が約10%以上であれば、界面活性剤とサイクリックデキストリンとの強い結合が存在することを示す。
【0068】
本発明による組成物の望ましい界面活性剤は、前記界面張力の変化が、サイクリックデキストリンと弱く結合するか(界面張力が約5%未満で上昇)、結合しないことが望ましい(界面張力が約1%未満で上昇)。
【0069】
本発明による組成物内の一般的な界面活性剤の濃度は、全体組成物重量に対し約0.01重量%~約2重量%であり、望ましくは約0.03重量%~約0.6重量%、より望ましくは約0.05重量%~約0.3重量%である。濃縮界面活性剤の組成における界面活性剤の濃度は、一般に約0.1重量%~約20重量%であり、望ましくは約0.2重量%~約15重量%、より望ましくは約 0.3重量%~約10重量%であるが、これらに限定されることではない。
【0070】
本組成物における効果的な界面活性剤を下記のように例示したが、これらに制限されない。このような例としては、ブロック重合体界面活性剤、シロキサン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、ヒマシ油界面活性剤、ソルビタンエステル界面活性剤、ポリエキシレート化した脂肪アルコール界面活性剤、グリセロール1価脂肪酸エステル界面活性剤、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル界面活性剤、炭化フルオロ界面活性剤、及びこれらの混合物がある。
【0071】
前記ブロック重合体界面活性剤としては、酸化エチレン、酸化プロピレンのブロック重合体が含まれ、Pluronic(登録商標)及びTetronic(登録商標)などを用いることができる。
【0072】
前記シロキサン界面活性剤は、陰イオン界面活性剤としてポリアルキレンオキシドポリシロキサンが望ましく、疎水性部分であるジメチルポリシロキサン及びより親水性であるポリアルキレン鎖を有する。このような界面活性剤の例には、Silwet(登録商標)類がある。ポリエーテル鎖(R)内のエチレンオキシ(-CO)単位の個数はポリアルキレンオキシドポリシロキサンが水溶性を有するように十分でなければならない。もし、プロピレンオキシ基がポリアルキレンオキシ鎖内に存在すれば、鎖内にランダムに位置するか、ブロックのように存在することができる。また、界面活性の外にポリアルキレンオキシドポリシロキサン界面活性剤は、織物の静電気防止、柔軟性のような付加的な効果を有する。
【0073】
前記陰イオン界面活性剤の例には、アルキルジフェニルオキシドジスルホネート、アルキルエーテルスルホネートなどが挙げられる。また、洗剤及びシャンプーに使用可能な陰イオン界面活性剤には、アンモニウムラウリル硫酸塩、アンモニウムラウレス硫酸塩、トリエチルアミンラウリル硫酸塩、トリエチルアミンラウレス硫酸塩、1価エタノールアミンラウリル硫酸塩、1価エタノールアミンラウレス硫酸塩、ジエタノールアミンラウリル硫酸塩、ジエタノールアミンラウレス硫酸塩、ラウリック1価グリセリドソジウム硫酸塩、ソジウムラウリル硫酸塩、カリウムラウリル硫酸塩、カリウムラウレス硫酸塩、アンモニウムココイル硫酸塩、アンモニウムラウオイル硫酸塩、ソジウムココイル硫酸塩、ソジウムラウオイル硫酸塩、カリウムココイル硫酸塩、カリウムラウオイル硫酸塩、トリエタノールアミンラウリル硫酸塩、トリエタノールアミンラウレス硫酸塩、1価エタノールアミンココイル硫酸塩、1価エタノールアミンラウリル硫酸塩、ソジウムN-ラウオイル-Nメチルタウレート、ソジウムトリデシルベンゼン硫酸塩、及びソジウムドデシルベンゼン硫酸塩がある。本組成に適する洗剤用陰イオン界面活性剤は、アンモニウムラウレス-3硫酸塩、塩化ラウレス-3-硫酸塩、アンモニウムラウリル硫酸塩、塩化ラウリル硫酸塩、及びその混合物より選択される。このような陰イオン界面活性剤類は、陽イオン性抗菌活性制や防腐剤が用いられる場合、陽イオン界面活性剤との結合を減少させ、界面活性剤と抗菌制の効果が減少するため望ましくない。
【0074】
多様な両性界面活性剤は、本発明の組成物に使用することができる。特に、脂肪族の二次、三次アミン誘導体が望ましいが、これらの脂肪族ラジカルは直線または枝分かれ構造を有し、これらのうち一つはカルボキシ、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩のようにイオン化の可能な水溶性作用基を有する。両性または陽イオン性界面活性剤の例としては、ベタイン、スルタイン及びヒドロキシスルタインがある。ベタインは、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシエチルベタイン(Lonzaine 16SP、Lonzq社製)、ラウリルビス‐(2‐ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ステアリルビス‐(2‐ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン、オレイルジメチルガンマ‐カルボキシプロピルベタイン、ラウリルビス‐(2‐ヒドロキシプロピル)α‐カルボキシエチルベタイン、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルスルホエチルベタイン、ラウリルビス‐(2‐ヒドロキシエチル)スルホプロピルベタイン、そして、アミドベタイン及びアミドスルホベタイン(RCONH(CHラジカルが、ベタインの窒素原子と結合)、オレイルベタイン(脂肪族Velvetex OLB-50、Henkel社製)、コカミドプロピルベタイン(Velvetex BK-35及びBA-35、Henkel社製)がある。スルタイン及びヒドロキシスルタインは、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン(Mirataine CBS、Rhone Poulenc社製)がある。
【0075】
なお、他の界面活性剤としてはアミノ酸来由の界面活性剤があり、界面活性剤がアミノ酸の基本化学構造、即ち、天然アミノ酸の構造を含んでいる。一般に、グリシンとサルコシン、グルタミン酸、アルギニン、アラニン、フェニルアラニンなどN-メチルグリシンから界面活性剤が由来する。
【0076】
前記陽イオン界面活性剤は、一般的に4級窒素を含み、脂肪酸は炭素と水素の外にアミノ基のような他の作用基を含むか、結合することができる。炭素数が約12以上である長い鎖を有する脂肪酸は、飽和または不飽和し得る。特に、約12~約22個、望ましくは約16~約22個の炭素を有する二本の長いアルキル鎖及び約1~約3つの炭素、望ましくは約1~約2つの炭素を有する二本の短いアルキル鎖を有するか、または一本の長いアルキル鎖及び三本の短いアルキル鎖を有する陽イオン物質が好適である。また、少なくとも一つの置換体がヒドロキシアルキル、望ましくはヒドロキシエチルまたはヒドロキシプロピル、またはポリオキシアルキレンであり、分子内全体のエトキシ化またはプロポキシ化の程度が、約5~約20であるポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンが好適である。1次、2次、3次アミンの塩もまた陽イオン界面活性剤として望ましい。このようなアミンのアルキル基は、約12~約22個の炭素を有することが望ましく、置換されるか非置換されるものを用いることができる。
【0077】
前記ヒマシ油界面活性剤は、部分的にまたは全体的に水素処理されたポリオキシエチレンヒマシ油エーテルやポリオキシエチレン圧縮ヒマシ油またはその混合物であって、サイクリックデキストリン-非互換性界面活性剤とミセルや小胞のような分子重合体を形成するのに有利である。
【0078】
前記ソルビタンエステル界面活性剤類は、14~18個または16~18個の炭素原子を含む長い脂肪酸鎖を有するソルビタンエステルは、サイクリックデキストリン-互換性界面活性剤であって、本発明のサイクリックデキストリン-非互換性物質と分子重合体を形成する。長い脂肪酸鎖を有するソルビタンポリエステル類の一般的な例として、ソルビタントリパルミチン酸塩、ソルビタントリオレイン酸塩、ソルビタン牛脂脂肪酸トリエステルがある。また、他のソルビタンエステル界面活性剤としては、部分的に1価と3価エステルを有するソルビタン脂肪酸エステル類がある。さらに他のソルビタンエステル界面活性剤類としては、ポリエトキシ化したソルビタン脂肪酸エステルがある。
【0079】
前記ポリエトキシ化した脂肪酸エステル界面活性剤類としては、ポリエトキシ化した脂肪アルコール界面活性剤がある。分岐した(ポリエトキシ化した)脂肪アルコールは、本組成においてサイクリックデキストリン-互換性界面活性剤として作用する。グリセロール1価脂肪酸エステル界面活性剤類であるグリセロール1価脂肪酸エステルとしては、グリセロール1価ステアリン酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ラウリル酸塩がある。ポリエチレングリコール脂肪酸エステル界面活性剤類は、サイクリックデキストリン-互換性界面活性剤として作用する。フロオロカーボン界面活性剤は、少なくとも炭素に基づいた線状または環状作用基の一部である両性物質の疎水性部分が炭素と結合したフルオリンを有し、一般に水素がともに炭素に結合して親水性部分を成す。幾つかの一般的なフルオロカーボン界面活性剤は、フルオロ化したアルキルポリオキシアルキレン及びフルオロ化したアルキルエステルのようなイオン性界面活性剤を含む。
【0080】
5)水溶性ポリマー
本発明において、水溶性ポリマーは本発明の組成物にさらに含むことができる。水溶性陽イオンポリマーと水溶性陰イオンポリマーのような水溶性ポリマーは、追加的な異臭除去効果を有するため、本発明の組成物に含まれることがさらに望ましい。水溶性陽イオンポリマーの代表的な例としてはポリアミンなどがあり、水溶性陽イオンポリマーは、アミノ基、アミド基、これらの混合物を含み、特定酸臭を除去するのに用いられている。
【0081】
また、ポリアクリル酸とその水溶性塩のような水溶性陰イオンポリマーは、特定のアミン臭を除去するのに用いられる。ポリアクリル酸とそれらのアルカリ金属塩は、平均約20,000未満の分子量を有し、望ましくは、5,000未満の分子量を有する。また、硫酸基、リン酸基、ホスホン酸、これらの水溶性塩とその混合物、カルボン酸とカルボキシル基との混合物を含むポリマーも使用可能である。また、陽イオン作用基と陰イオン作用基ともを有する水溶性ポリマーも用いることができる。水溶性ポリマーを用いる場合、一般に、全体組成物重量に対し約0.001重量%~約3重量%を用い、望ましくは約0.01重量%~約1重量%、より望ましくは約0.05重量%~約0.5重量%を用いる。
【0082】
6)植物抽出物
本発明による望ましくない分子除去用の組成物は、前記高度分岐サイクリックデキストリンに、脱臭効果に優れた植物抽出物をともに添加することで、脱臭効果が相乗的に増進する。前記植物抽出物は、悪臭を吸着、分解して脱臭力及び脱臭力の持続性に優れており、人体に安全であり、吸着した悪臭を永久に分解して再度発散しない。
【0083】
本発明において使用できる前記植物抽出物としては、緑茶、柿の葉、陳皮及び八角茴香からなる群より選択された一つ以上の植物抽出物を含むことができる。望ましくは、前記植物抽出物は、緑茶、柿の葉、陳皮及び八角茴香の抽出物を全て含む混合物であってもよく、より望ましくは、前記植物抽出物は、緑茶、柿の葉、陳皮及び八角茴香抽出物が約1:1:1:1の重量比で含まれた混合物である。このような場合、本発明の目的から望ましくない分子除去用の組成物の脱臭効果が最も優秀である。
【0084】
本発明において使用できる植物抽出物としては、通常使用される水またはエタノール、ヘキサンなどを含む有機溶媒を用いて植物から抽出した植物溶媒抽出物であり得る。望ましくは、前記植物溶媒抽出物は、植物から熱湯抽出法によって抽出したものである。より望ましくは、前記植物抽出物は、ポリフェノール系植物精油が含有された植物溶媒抽出物と鉱物との反応物を用いることができる。前記鉱物は、滑石、カオリン、ゼオライトまたは雲母などのケイ酸塩鉱物を用いることができ、望ましくはゼオライトを用いることができる。
【0085】
前記植物溶媒抽出物と鉱物との反応物は、単なる植物抽出物とは違い多いイオン化物を含む。前記のような方法で製造された植物抽出物は、O、H、OHなどのイオン化物を含み、このような元素の反復的な相互作用効果を誘導し、アミン系、メルカプタン類または硫黄類などの悪臭分子と反応して悪臭源の分子構造を変化させることで、優れた脱臭力を発揮する。また、前記植物抽出物は、人体にも無害で、吸着した悪臭を永久的に分解することで脱臭剤に悪臭が残存することを防止し、脱臭の持続力が優秀である。
【0086】
本発明による望ましくない分子除去用の組成物内の植物抽出物は、組成物の総重量に対し0.01~10重量%、望ましくは0.05~5重量%、より望ましくは0.1~3重量%を含むことができる。前記植物抽出物が0.01重量% 未満である場合は、脱臭効果が充分に発揮しにくく、10重量%超過の場合は、含量増加に伴う脱臭効果の更なる向上が期待できず非経済的であり、かつ剤形安定性が悪くなる。そこで、前記望ましくない分子除去用の組成物内の高度分岐サイクリックデキストリンと植物抽出物との重量比は0.1:1~1:0.1であることが望ましく、より望ましくは0.2:1~1:0.2、さらに望ましくは0.3:1~1:0.3(高度分岐サイクリックデキストリン:植物抽出物)である。
【0087】
7)その他の成分
本発明の組成において、その他の希釈剤、賦形剤、抗菌制、皮膚保護剤、帯電防止剤、保湿剤または植物(緑茶、柿の葉、陳皮及び八角茴香を除く)抽出物などをさらに含むことができる。
【0088】
また、本発明の望ましくない分子除去用の組成物は、洗濯洗剤、柔軟剤、表面洗浄剤、台所用洗剤、脱臭剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディー用品、わきが用消臭剤などの用途で用いることができるが、これらに限定されない。
【0089】
また、本発明は、高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体を組成物の総重量に対し0.01~10重量%を含み、かつ、緑茶、柿の葉、陳皮及び八角茴香を含む植物抽出物を0.01~10重量%含む、望ましくない分子除去用の組成物を提供する。望ましくは、前記高度分岐サイクリックデキストリンは、平均分子量が30,000~1,000,000g/molである。本発明の目的から、前記のような重量比の成分を含む望ましくない分子除去用の組成物は、脱臭効果が著しく優れている。
【0090】
また、本発明による望ましくない分子除去用の組成物は、(s1)組成物の総重量に対し0.01~10重量%のポリフェノール系植物精油の含まれた植物抽出物を鉱物と反応させる段階と、(s2)前記(s1)段階における反応物に0.01~10重量%の高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体を添加して混合する段階と、を含む製造方法によって製造することができる。望ましくは、前記高度分岐サイクリックデキストリンは、平均分子量が30,000~1,000,000g/molである。望ましくは、前記植物は、緑茶、柿の葉、陳皮及び八角茴香からなる群よりで選択された一つ以上の植物を含むことができ、より望ましくは、緑茶、柿の葉、陳皮及び八角茴香を全て含むことができる。
【0091】
また、本発明による高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)またはこの誘導体、前記高度分岐サイクリックデキストリンの少なくとも一つ以上の内部空間内に包接した香料及び溶剤、並びに選択的に、界面活性剤、水溶性ポリマー、植物抽出物またはこれらの混合物を含む望ましくない分子除去用の組成物を処理する段階を含む望ましくない分子の除去方法、望ましくは、アンモニアまたはメチルメルカプタンなどによる悪臭の脱臭方法を提供する。
【0092】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【実施例
【0093】
<実施例>
本発明による組成物は、高度分岐サイクリックデキストリン、香料及び溶剤などの物質からなるため、本組成物の生産過程において高度分岐サイクリックデキストリンの機能を組成内に存在させることが重要となる。機能を有する高度分岐サイクリックデキストリンを組成内に保持するために、最初の高度分岐サイクリックデキストリンと界面活性剤とを混合しなくてはならない。その結果、ミセルや小胞のような分子重合体が形成された後、高度分岐サイクリックデキストリン-界面活性剤分子重合体内に香料などのような物質を含浸することで、高度分岐サイクリックデキストリンの内部空間から効果的に分離し、組成内で機能的に作用する組成物を保持することができる。
【0094】
本発明においては織物、特に、乾いた織物の臭いを除去するために、スプレー形態に組成物を製造して適用し評価した。しかし、本発明の効能は、前記剤形に限定されない。織物の異臭除去の目的で用いられるスプレー型製剤のように、一般的な使用量で織物に染みを残さないために、低い濃度の高度分岐サイクリックデキストリンを適用した組成を用いることが望ましく、一般使用条件で物体表面に塗布される溶液は、乾燥後、目に見えてはいけない。
【0095】
一般使用条件で、組成内の全体高度分岐サイクリックデキストリンの重量は、通常約0.01~20重量%であり、望ましくは約0.05~10重量%、より望ましくは約0.1~5重量%である。組成内で高度分岐サイクリックデキストリンの機能を発揮するためには、少なくとも約0.1重量%~5重量%を含むことが最も望ましい。高い濃度を有する組成は、乾きながら織物に肉眼で見える染みを残す恐れがあり、特に、薄くて色がある合成織物において問題となり得る。
【0096】
本発明の一実施例に含まれる香料の組成分は、下記の表2のようであり、これを含む組成物の含量は、表3のようである。
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
1.異臭強度評価
比較例及び実施例の組成物に対する異臭除去効果に対する評価を、下記のように行った。
【0100】
1)評価用織物は、30cm×30cmで裁断した綿タオルを無香の洗剤を用いて洗濯機で洗濯し、乾燥機で乾燥させる。
2)乾燥した綿タオルに約80μLの異臭処方を、各織物に5cm×5cmの面積に塗布し、ビニール袋に入れて密封し一晩室温に放置する。
3)訓練された評価者が、異臭を塗布した織物の最初異臭強度を評価し、下記の異臭評価尺度によって点数を付ける。
4)次に、評価する処方を同量で織物に塗布して30秒間乾燥させる。
5)織物が乾ければ、評価者が、異臭を塗布した織物の異臭強度を下記の異臭評価尺度によって点数を付ける。
6)最初の点数と後の点数を記録し、点数差をもって異臭減少値を計算する。
【0101】
評価者は、全部で8人であり、標準異臭に対する明確な認知のために、事前教育を行った評価は、強制換気設備が備えられた単独評価ブースで1人ずつ行い、評価の正確性を期するために1回に3つ以上の評価は制限した。
【0102】
下記の表4は、異臭評価基準を示す。
【表4】
【0103】
また、サイクリックデキストリンによる残香評価のために、10分後、30分後の香強度を評価し、サイクリックデキストリンの残香増大効果を評価した。
【0104】
下記の表5は、残香評価基準を示す。
【表5】
【0105】
2.評価結果
30cm×30cmに裁断した綿タオルに、約80μLの異臭処方を、各織物に5cm×5cmの面積に塗布し、ビニール袋に入れて密封し一晩室温に放置した後、8人の専門パネルが異臭の強度を評価した結果、4.2点であった。
【0106】
比較例1、実施例1~7に塗布した後、30秒間乾燥した後の評価結果と、異臭源のみを評価した評価結果との差を表6に示した。
【表6】
【0107】
シクロデキストリンを異臭除去基剤に用いた比較例1に比べ、サイクリックデキストリンを用いた実施例1~7が優れた異臭除去効果を奏することが分かった。比較例1と実施例1とを比較すれば、異臭除去基剤のみが相違し、実施例 1と実施例2とは、異臭除去基剤の含量は同一であり、種類のみが相違している。異臭除去基剤が同じ含量である場合、シクロデキストリンよりはサイクリックデキストリンが異臭除去により優れていることが分かる。
【0108】
また、実施例2及び実施例3の場合、サイクリックデキストリン互換性ポリマーであるCopolymer 958を適用した場合、サイクリックデキストリンによる異臭除去の効果が増加することが分かった。実施例4と実施例5とを比較すれば、香料の含量をそれぞれ0.10%、0.06%に異ならせた場合、含量の高い実施例4がさらに優秀であることが分かった。また、両性界面活性剤であるVelvetex BK-35の適用を異ならせた実施例2と実施例4とを比較すれば、Velvetex BK-35を適用した実施例4の結果がより優れていることが分かった。実施例6と実施例7との比較によってサイクリックデキストリンの異臭除去に相乗效果を提供できるサイクリックデキストリン互換性ポリマー、両性界面活性剤を追加した場合、異臭除去効果が増大することが分かった。
【0109】
また、10分後、30分後の残香強度を評価した結果を表7に示した。比較例1と実施例1~7とを比較すれば、残香属性は10分後よりは30分後がさらに差が出ることが分かった。これは、シクロデキストリンよりはサイクリックデキストリンが、ClogP 3.0以上あり、沸点が250℃以上である香料成分をより多く包接し、経時的に放出すると判断することができる。
【0110】
また、サイクリックデキストリンの含量が多いほど、10分後の残香と30分後の残香との差が少ない結果から、このような事実を再度確認することができた。実施例6と実施例7との比較から、サイクリックデキストリンの残香増大の効果は、香料と繊維との相互付着性を増加させることができるポリマー類、両性界面活性剤を追加する場合、さらに増大することを確認した。
【0111】
【表7】
【0112】
<実施例8~16及び比較例2の製造>
実施例8~16及び比較例2の脱臭剤組成物の製造時、高度分岐サイクリックデキストリン(HBCD)は、α-D-グルコースをモノマーにする無臭の白色パウダーであるオリゴ糖(oligosaccharide)であって、平均分子量がモル当り(g/mol)30,000~1,000,000程度の範囲を有する混合物を0~0.8重量%範囲で用いた。
【0113】
植物抽出物は、乾燥した緑茶、柿の葉、陳皮及び八角茴香をそれぞれ50g 重量混合し、5Lの精製水に110℃で60分間熱湯抽出過程を経て製造されたポリフェノール系植物精油成分に、ゼオライトなどのような鉱物を反応させることで得た植物抽出物であって、0~1重量%範囲で用いた。
【0114】
高度分岐サイクリックデキストリン及び植物抽出物とともに、その他の界面活性剤、香料、添加剤などを精製水に添加し混合して、下記の表8に示した組成比で実施例8~16及び比較例2の脱臭剤組成物を製造した。
【0115】
3.実施例8~16及び比較例2の脱臭剤組成物の脱臭力評価
脱臭力テストは、アンモニアとメチルメルカプタンに対し、ASTM D1988に記載の検知管、検知ポンプ測定法及び食べ物悪臭に対して訓練された評価者の悪臭強度評価である官能評価法を用いた。
【0116】
メチルメルカプタンは、ベンゼンに0.1%濃度の試薬級を用い、アンモニアは、水に0.05%の濃度に希釈して悪臭源として用い、食べ物の悪臭は、キムチチゲを水に0.1%の濃度に希釈して用いた。ガス吸引ポンプは、GV-100S Air Sampling Pump,Gastec co.(Japan)を用い、ガス検知管は、Gastec Detector tube No.71(Methyl mercaptan),Gastec Detector tube No.3La(Ammonia)を用いた。
【0117】
アンモニアとメチルメルカプタンに対する脱臭率の評価は、250mLの容器に精製水または試料原液を一定量入れた後、悪臭溶液を入れて密封し、10分後にガス吸入ポンプで検知管を吸い込み、検出される悪臭濃度を記載した。
【0118】
脱臭率の計算は、(精製水の使用時における検知管の悪臭検出濃度,ppm)-(試料使用時における検知管の悪臭検出濃度,ppm)/(精製水使用時における検知管の悪臭検出濃度,ppm)に、100(%)を掛け、百分率を計算して脱臭率として活用した。
【0119】
キムチチゲに対する脱臭率は、訓練された評価者が評価尺度によって悪臭を塗布した織物の最初悪臭強度を評価し、評価する処方を同量織物に塗布して 30分間乾燥させた織物が乾いた後、悪臭強度を評価した評価点数の差から悪臭減少値を計算した。キムチチゲの食べ物悪臭の評価尺度は、0~5点で点数を付けて評価し、点数が高いほど脱臭力が良好なことを示す。
【0120】
【表8】
【0121】
評価結果、植物抽出物を個別的に処方した比較例2に比べ、高度分岐サイクリックデキストリンを個別的に処方するか、それに植物抽出物を混合して処方した実施例8~16の脱臭剤組成物が、アンモニア及びメチルメルカプタンに対する脱臭力、キムチチゲの食べ物悪臭に対する脱臭力に優れていることが分かった。
図1