(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】管継手の保温装置
(51)【国際特許分類】
F16L 59/18 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
F16L59/18
(21)【出願番号】P 2020095249
(22)【出願日】2020-06-01
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000151025
【氏名又は名称】株式会社タブチ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】坂本 武司
(72)【発明者】
【氏名】寺田 孝
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-040594(JP,U)
【文献】特開2011-231833(JP,A)
【文献】登録実用新案第3191398(JP,U)
【文献】米国特許第05348044(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1399421(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の配管を接続した継手
を覆う
ように形成された略円筒状の継手用の保温材であって、
前記保温材の内
周部
は、
前記継手を収容する
ための凹部と、
前記継手に接続された前記
一対の配管
の一部を収容する
ための管収容部
と、
を有し、
前記保温材の外
周部
は、
前記
凹部に
対向する位置に設けられた円筒状の収容部と、
前記管収容部に対向する位置に設けられ、前記収容部よりも径が小さく、前記収容部
にテーパ部を介して
接続された円筒状の中間径部
と、
前記管収容部に対向する位置に設けられ、前記中間径部よりも径が小さく、前記中間径部に別のテーパ部を介して
接続された円筒状の小径部と
、
を有する、保温
材。
【請求項2】
前記一対の配
管は、前記保温材で覆われた部分を除いた
外周部分を
、外径が異なる第1保温管又は第2保温管のいずれか一方で被覆
されるものであり、
前記第1保温管の外径は、前記小径部の外径に一致し、
前記第2保温管の外径は、前記中間径部の外径に一致する、
請求項1記載の
保温材。
【請求項3】
前記保温
材は、発泡樹脂
素材によって一体形成されている、請求項1
または2に記載の
保温材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置などの冷媒用配管の継手の保温材に係り、継手で接続する異なるサイズの配管に対して施工現場において対応することができる構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空調装置の冷媒配管は、なんら手段を施さなければ構造上外気に露出されているために外気温に影響されやすく、冷媒温度を十分に保持することができなくなり、機器の効率が悪くなるという問題がある。これを解消するために、冷媒配管は周囲を断熱効果がある保温材で覆うようにしている。しかし、配管や継手の保温材と配管などに隙間があれば断熱効果を阻害してしまう。したがって、これら保温材を設ける際にはテープによって入念に隙間を遮蔽する。また、湿気に起因する結露を抑制することも必要であり、同様にテープを巻回して湿気が侵入しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】因幡電機産業株式会社,因幡電工総合カタログ,[online],2019年9月発行,[2020年5月8日検索],インターネット〈https://catalog.e-setsubi.net/iportal/CatalogPageGroupSearch.do?method=catalogPageGroupSearchByCatalogCategory&type=clcsr&volumeID=CATALABO&catalogID=57985490000&catalogCategoryID=25848350000&designID=HAT〉,P1-20
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載の発明は、配管を両側から接続した継手を保温材で挟み込んで継手、およびその左右の配管を保温するものである。ところで、当然のことであるが、冷媒用配管自体も保温材で覆っているが、現状では保温材の仕様は保温効率を考慮して10mm厚と20mm厚の2種類が存在する。したがって、継手用の保温材としても両端部はそれぞれの厚みに合致させるために10mm厚と20mm厚を用意する必要がある。つまり、継手用の保温材の両端部の厚みは配管用の保温材の厚みに合わせなければそれぞれの保温材に段差が生じてしまうので、テープを巻回した場合でも隙間なく巻回することはできないという問題があるからである。このように、従来の構成では継手用の保温材は配管用の保温材の厚みに応じて用意する必要があるので、製品管理が煩雑になるという課題がある。
【0005】
本発明は上述した従来の構成における課題を解決するもので、冷媒用配管に利用する保温材の複数種類の厚みに対応することができる継手用の保温材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した目的を達成するために、一対の配管を接続した継手に対して、この継手および前記一対の配管を含んで覆う保温材であって、この保温材は2つ割りであり、それぞれの内部に前記継手を収容する凹部と、前記配管を収容する管収容部を設けるとともに、外部は前記継手に対応する円筒状の収容部と、この収容部からテーパ部を介して円筒状の中間径部を設け、さらに別のテーパ部を介して小径部を形成するという手段を用いた。この手段では、保温材は継手を覆う構造であるので、配管を含めて効果的な保温効果を発揮すると同時に、外部からの衝撃に対して継手を保護する。また、円筒状の中間径部と、小径部が存在するために、配管の周囲を覆う保温管の外径が複数種類ある場合でも、これに対応するように径部を切除して外径を合致させることができる。
【0007】
小径部からさらにテーパ部を介して最小径部が設けられる構成では、3種類の配管の保温管の外径に対応することができる。この構成は、請求項3の、両側の配管の周囲には、保温材で覆われた部分を除いた部分を保温管で被覆することに対応するものである。
【0008】
また、2つ割りの保温材の円筒状の収容部に対応する部分をヒンジによって一体とした場合には1つの部品で対応することができ、部品管理を容易とする。さらに、ヒンジと対向する側に保温材を閉じるために粘着テープが設けるという手段は、保温材を閉じ合わせる際の仮止めが可能となる。
【0009】
保温材の素材を発泡樹脂とする場合には効率的な保温が可能であると同時に、保温材を軽量化することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記手段を採用することとしたので、継手部分も保温することが可能となり、冷媒用配管全体の保温を実現できたと同時に外部からの衝撃から継手を保護することができる。また、異なる外径の保温管で配管を被覆した場合でも、これに対応するように継手用保温材の両端を切除して外径を合致させることができるので、配管用の保温材との段差が発生することがなく、保温効果を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の保温装置の好ましい実施形態の一つを示す要部展開平面図
【
図2】
図1の実施形態の保温材を閉じたところを示す平面図
【
図3】
図2の実施形態の冷媒用の配管に保温管を装着したところを示す平面図
【
図4】同、
図3の保温管よりも太い保温管を装着したところを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。
図1は本発明の継手用の保温材を展開して示しており、1は継手、2・2はそれぞれ継手1の両端に接続された冷媒用の配管である。なお、この実施形態では冷媒用の配管として説明しているが、配管の内部を水のような流体が通過するような通水管であっても保温が必要な寒冷地仕様への対応も可能である。3は本発明の保温材であって、その内部構造としては、継手1を収容するための凹部4と、冷媒配管2を収容するための管収容部5・5が形成されている。そして、保温材3は長手方向に2つ割りの形態をしている。6は2つ割りの保温材3a・3bの開口側を閉じ合わせて一体とするためのヒンジ、7は継手1と冷媒配管2を収容した後に閉じ合わせて
図2に示すように閉止するための粘着テープである。ここで、保温材3の素材としては十分な断熱効果を達成でき、かつ軽量である発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン、発泡スチロールなど、公知の発泡樹脂素材を採用する。外形については、継手1の収容部8を最大径の円筒状とし、テーパ部9を介して円筒状の中間径部10が設けられ、さらに別のテーパ部11を介して円筒状の小径部12が設けられている。これら中間径部10と小径部12の径は、異なる径の保温管に対応するためである。例えば、
図3に示した保温管13の場合には、その厚みが10mmであり、その外径に小径部12の径を対応させている。
図4は保温管13の厚みは20mmであり、その外径には中間径部10の径を対応させている。
【0013】
なお、
図3と
図4に示した実施形態において、保温管13の径が異なるのは、設計者の知見やヒートポンプの機器の能力などを考慮したからである。つまり、保温効率を高めようとすれば保温管13の径(厚み)は大きくなる。
【0014】
ところで、本実施形態では、保温材3の保温管13に対する径を中間径部10と小径部12という2種類としているが、給湯器に通常よく利用される保温管13には別途5mm厚の保温管がある。したがって、この5mm厚の保温管13に対応させるために、小径部12からさらに別のテーパ部を介して、円筒状の最小径部を設けることも本発明の範囲内である。要は、想定される保温管の外径(厚み)が3種類であれば径部も3種類設けられる。そして、保温管13に採用した外径が本実施例において
図3の場合には、保温材3はそのままの状態で小径部12の径が10mm厚の保温管13に一致する。一方、保温管13の厚みが20mmの場合には
図4に示した態様になるが、この場合には別のテーパ部11と小径部12をカッターなどで切除する。不要な部分の切除は作業現場において行うほうが製造する製品の点数が少なくなるので好適である。ただし、保温管13に採用する厚みが予め分かっている場合には工場出荷時に不要分だけを切除することもある。
【0015】
図1に示した構成において、ヒンジ6は2つ割りの保温材3a・3bをつなぐための部分であるが、ヒンジ6を省略して保温材3aと3bを別々の部材とすることもある。この場合には、保温材3aと3bを閉じ合わせるための粘着テープ7を対向する面に一対設けることもある。ただし、粘着テープ7は分割された保温材を仮止めすることを目的とするものであり、保温効果を損なわないため、および配管外面を結露させないために通例では保温材3の周囲にさらに粘着テープを巻回する。なお、本実施形態の場合にはテーパ部9が設けられているのでこのテーパ部9に沿って重ねながら巻き付ける場合でも容易に巻回することができる。粘着テープ7の粘着力は仮止めを可能とするものでよい。ただ、強力な粘着力を有する粘着テープ7を採用する場合にはさらなる粘着テープの巻回を省略することも可能である。
【符号の説明】
【0016】
1 継手
2 冷媒用の配管
3 保温材
4 凹部
5 管収容部
6 ヒンジ
7 粘着テープ
10 中間径部
12 小径部
13 保温管