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特許7556520資金移動管理システム及び該システムによる資金移動管理方法並びに該方法を実行するためのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】資金移動管理システム及び該システムによる資金移動管理方法並びに該方法を実行するためのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/10 20120101AFI20240918BHJP
【FI】
G06Q20/10
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020131314
(22)【出願日】2020-08-02
(65)【公開番号】P2021026776
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2019143430
(32)【優先日】2019-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509260949
【氏名又は名称】株式会社MRSホールディングズ
(74)【代理人】
【識別番号】100109715
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 英明
(72)【発明者】
【氏名】松原 高司
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-516980(JP,A)
【文献】特開2012-099025(JP,A)
【文献】特開2008-102914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの電子的な金銭的価値を管理するためのアカウント間での資金移動に関する資金移動サービスを提供する資金移動管理システムによって実現される資金移動管理方法であって、
前記資金移動管理システムにおける資金移動事業者システムが、
前記資金移動サービスを利用するユーザごとに、該ユーザのアカウントと金融機関における該ユーザの預金口座とを一対にして管理することと、
第1のユーザのアカウントから第2のユーザのアカウントへの所定額の資金移動の依頼を受け付けた場合に、該第1のユーザのアカウントと一対に管理された預金口座と該第2のユーザのアカウントと一対に管理された預金口座との間での送金処理の状態を金融機関システムから取得することと、
前記取得した送金処理の状態が送金完了を示す場合に、前記資金移動の依頼に従う前記アカウント間での資金移動処理を完了させることと、を実行することを含む、
資金移動管理方法。
【請求項2】
前記資金移動事業者システムが、
ユーザのユーザ情報を取得することと、
前記取得したユーザ情報に基づいて、前記金融機関における前記ユーザの預金口座が開設されるように、前記金融機関システムに預金口座開設の依頼をすることと、
前記預金口座開設の依頼に応答して前記金融機関において開設された預金口座に関する口座情報を取得することと、を更に実行することを含み、
前記一対にして管理することは、
前記ユーザのアカウントと前記取得した口座情報が示す預金口座とを一対にして管理することを含む、
請求項1に記載の資金移動管理方法。
【請求項3】
前記資金移動事業者システムが、前記金融機関システムにより所定の預金口座開設条件に従って前記預金口座の開設が許可される場合に、前記預金口座に関する口座情報を取得する、
請求項2に記載の資金移動管理方法。
【請求項4】
前記資金移動事業者システムが、所定のアカウント開設条件に従って前記アカウントの開設を許可すること、を更に実行することを含む、
請求項3に記載の資金移動管理方法。
【請求項5】
前記資金移動処理を完了させることは、前記資金移動サービスに関する取引履歴データベースに前記資金移動に関する取引履歴を記録することを含む、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の資金移動管理方法。
【請求項6】
前記資金移動事業者システムが、前記ユーザ情報に基づいて、前記ユーザのメールアドレスを発行すること、を更に実行することを含む、
請求項2乃至4及び請求項2を引用する請求項5の何れか一項に記載の資金移動管理方法。
【請求項7】
前記送金処理の状態を取得することは、前記金融機関システムによって前記ユーザのメールアドレス宛てに送信された前記送金処理の状態を受信することを含む、
請求項6に記載の資金移動管理方法。
【請求項8】
前記送金処理の状態を取得することは、前記金融機関システムとのアプリケーション・プログラミング・インターフェース接続を介して、前記送金処理の状態を取得することを含む、
請求項1乃至7の何れか一項に記載の資金移動管理方法。
【請求項9】
ユーザの電子的な金銭的価値を管理するためのアカウント間での資金移動に関する資金移動サービスを実現する資金移動事業者システムであって、
前記資金移動サービスを利用するユーザごとに、該ユーザのアカウントと金融機関における該ユーザの預金口座とを一対にして管理するユーザ情報データベースと、
前記資金移動の依頼を受け付けて、前記資金移動の依頼に従うユーザのアカウント間での資金移動処理を実行する取引管理部と、を備え、
前記取引管理部は、
第1のユーザのアカウントから第2のユーザのアカウントへの所定額の資金移動の依頼を受け付けた場合に、該第1のユーザのアカウントと一対に管理された預金口座と該第2のユーザのアカウントと一対に管理された預金口座との間での送金処理の状態を金融機関システムから取得し、
前記取得した送金処理の状態が送金完了を示す場合に、前記資金移動処理の実行を完了させる、
資金移動事業者システム。
【請求項10】
前記ユーザのアカウントを管理するためのアカウント管理部を更に備え、
前記アカウント管理部は、
端末装置から送信されるユーザ情報に基づいて、該ユーザ情報が示すユーザのための預金口座開設の依頼を生成し、該生成した預金口座開設の依頼を前記金融機関システムに送信し、
前記預金口座開設の依頼に応答して前記金融機関において開設された預金口座に関する口座情報を取得し、
前記ユーザのアカウントと前記取得した口座情報が示す預金口座とを一対にして前記ユーザ情報データベースに格納する、
請求項9に記載の資金移動事業者システム。
【請求項11】
前記アカウント管理部は、前記金融機関システムにより所定の預金口座開設条件に従って前記預金口座の開設が許可される場合に、前記預金口座に関する口座情報を取得する、
請求項10に記載の資金移動事業者システム。
【請求項12】
前記アカウント管理部は、所定のアカウント開設条件に従って前記アカウントの開設を許可する、
請求項11に記載の資金移動事業者システム。
【請求項13】
取引履歴を記憶する取引履歴データベースを更に備え、
前記取引管理部は、前記送金処理の状態に基づいて、前記取引履歴データベースに前記資金移動に関する取引履歴を記録する、
請求項9乃至12の何れか一項に記載の資金移動事業者システム。
【請求項14】
前記アカウント管理部は、前記ユーザ情報に基づいて、前記ユーザのメールアドレスを発行する、
請求項10乃至12及び請求項10を引用する請求項13の何れか一項に記載の資金移動事業者システム。
【請求項15】
前記取引管理部は、前記金融機関システムによって前記ユーザのメールアドレス宛てに送信された前記送金処理の状態を受信する、
請求項14に記載の資金移動事業者システム。
【請求項16】
前記取引管理部は、前記金融機関システムとのアプリケーション・プログラミング・インターフェース接続を介して、前記送金処理の状態を取得する、
請求項9乃至15の何れか一項に記載の資金移動事業者システム。
【請求項17】
ユーザの電子的な金銭的価値を管理するためのアカウント間での資金移動に関する資金移動サービスを実現する資金移動管理方法を実行するためのプログラムであって、
前記プログラムは、資金移動管理システムにおけるコンピュータに、
前記資金移動サービスを利用するユーザごとに、該ユーザのアカウントと金融機関における該ユーザの預金口座とを一対にして管理することと、
第1のユーザのアカウントから第2のユーザのアカウントへの所定額の資金移動の依頼を受け付けた場合に、該第1のユーザのアカウントと一対に管理された預金口座と該第2のユーザのアカウントと一対に管理された預金口座との間での送金処理の状態を金融機関システムから取得することと、
前記取得した送金処理の状態が送金完了を示す場合に、前記資金移動の依頼に従う前記アカウント間での資金移動処理を完了させることと、を実行させる、
プログラム。
【請求項18】
ユーザの電子的な金銭的価値を管理するためのアカウント間での資金移動に関する資金移動サービスを提供する資金移動管理システムであって、
金融機関におけるユーザの預金口座を管理する金融機関システムと、
前記資金移動サービスに従う資金移動に関する取引を管理する取引管理部を含む資金移動事業者システムと、を備え、
前記ユーザのアカウントは、前記ユーザの預金口座と一対の関係をなすように前記資金移動事業者システムにおいて管理され、
端末装置を介して、送金者である第1のユーザのアカウントから受金者である第2のユーザのアカウントへの所定額の資金移動の依頼があった場合に、
前記金融機関システムは、前記資金移動の依頼に対応する送金の依頼に基づいて、前記第1のユーザの預金口座から前記第2のユーザの預金口座へ前記所定額の送金処理を実行し、前記送金処理の状態を前記資金移動事業者システムに送信し、
前記取引管理部は、前記送金処理の状態に基づいて、前記資金移動の依頼に従う前記アカウント間での資金移動処理を完了させる、
資金移動管理システム。
【請求項19】
前記資金移動事業者システムは、
前記ユーザのアカウントを管理するアカウント管理部と、
前記ユーザのアカウントと前記金融機関における該ユーザの預金口座とを一対にして管理するユーザ情報データベースと、を更に備え、
前記アカウント管理部は、
端末装置から送信されるユーザ情報に基づいて、該ユーザ情報が示すユーザのための預金口座開設の依頼を生成し、該生成した預金口座開設の依頼を前記金融機関システムに送信し、
前記金融機関システムは、
前記預金口座開設の依頼に従って預金口座を開設し、
前記開設した預金口座に関する口座情報を前記資金移動事業者システムに送信し、
前記アカウント管理部は、
前記ユーザのアカウントと前記口座情報が示す預金口座とを一対にして前記ユーザ情報データベースに格納する、
請求項18に記載の資金移動管理システム。
【請求項20】
前記資金移動事業者システムは、前記端末装置から前記資金移動の依頼を受信した場合に、前記端末装置のユーザインターフェース上に送金依頼画面が表示されるように制御する、
請求項18又は19に記載の資金移動管理システム。
【請求項21】
前記金融機関システムは、前記資金移動事業者システムから前記資金移動の依頼に基づくリダイレクト要求を受信した場合に、前記端末装置に前記送金依頼画面に関するデータを送信し、
前記端末装置から送信される前記送金の依頼に基づいて、前記送金処理を実行する、
請求項20に記載の資金移動管理システム。
【請求項22】
前記金融機関システムは、所定の預金口座開設条件に従って前記預金口座の開設可否を判定し、前記預金口座の開設を許可すると判定する場合に、前記預金口座を開設する、
請求項19に記載の資金移動管理システム。
【請求項23】
前記アカウント管理部が、所定のアカウント開設条件に従って前記アカウントの開設可否を判定し、前記アカウントの開設を許可すると判定する場合に、前記アカウントを開設する、
請求項22に記載の資金移動管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、資金移動管理システム及び該システムによる資金移動管理方法並びに該方法を実行するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
資金移動業とは、銀行等以外の者が少額(100万円に相当する額以下)の為替取引を業として営むことをいう(資金決済に関する法律(以下「資金決済法」という。)第2条)。我が国において資金移動業を行うためには、資金決済法の制約を受ける。例えば、資金移動業を行おうとする者は、事前に内閣総理大臣の登録を受けなければならない(同法第37条)。また、資金移動事業者は、資金移動中にあり、滞留している資金の100%以上の額を資産保全しなければならない(同法第43条)。
【0003】
資金決済法の下、資金移動事業者が、資金移動サービスの依頼、例えば、ユーザAの資金X円をユーザBへ移動ないしは送金する依頼をユーザAから受けた場合を考える。この場合、資金移動事業者は、資金移動事業者が管理するユーザAの資金管理口座(慣習的に、カタカナ語で「アカウント」と称されることもある。以下、特段の区別を要しない限り、「アカウント」という。)に資金X円以上の残高があることを確認し、資金X円をユーザBのアカウントに移し替える処理を行う。これにより、ユーザAのアカウントの残高は、資金X円減額され、ユーザBのアカウントの残高は、資金X円増額することになり、いわゆる送金が実現される。
【0004】
例えば、下記特許文献1は、受金にのみ利用可能な受金IDと、消費使用に利用可能な消費使用IDとを有することで安全な受金を可能としたカードを利用して、入金のための銀行口座を管理する銀行口座管理サーバ装置にて受金IDと送金者IDとを含む送金依頼情報を受付けると該カードの管理会社の口座(アカウント)への送金処理を実行し、それに応じてカードの使用限度額を適宜変更することで、消費使用IDを用いたカードを利用した出金を行うことができるよう構成された入金システムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2013/186931号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に示すようなシステムによる送金処理にあたっては、送金者による送金依頼のための最初の入金(預入れ)、及び、受金者による受金額の出金(引出し)は、銀行等の金融機関を介した手続が必要となる。
【0007】
すなわち、ユーザは、資金移動事業者が提供する資金移動サービスを利用する場合、それに先だって、銀行内の自身名義の預金口座から資金移動事業者内の自身名義のアカウントに資金を移し替えなければならない(クレジットカード等によるアカウントへのチャージの場合も、結局は、クレジット決済のために指定された預金口座への入金が必要である。)。同様に、受金者としてのユーザもまた、受金した自身名義のアカウントから自身名義の預金口座に移し替えた後でなければ、現金化(すなわち、出金)することができない。したがって、資金移動事業者が提供する資金移動サービスにおけるアカウント間での資金移動は、ユーザにとって手軽で便利(また、手数料も銀行の送金サービスに比較して一般に割安である。)である反面、資金の起点及び最終的な現金化という観点から見た場合、ユーザは、預金口座とアカウントとの間で資金の移し替えをしなければならず、ユーザにとっては煩わしいという問題があった。
【0008】
また、資金決済法の下では、上述したとおり、受金者のアカウントから資金の全額が引き出されて預金口座に入金されない限り、アカウントの残高は資金移動中の滞留資金(未達債務)であるとみなされ、資金移動事業者は、ユーザの資産保全のために、滞留資金と同額以上の金額を、供託所に供託する義務がある。したがって、上記特許文献1に示すシステムにおいても、受金者がカードの管理会社内の自身のアカウントから出金をしない限り、カード管理会社は、資金決済法に従い、受金者のアカウントの残高に相当する金額を供託する必要があり、資金移動事業者にとって資金負担が非常に大きいという問題がある。
【0009】
とりわけ、例えば毎月の給与の支払いを、資金移動事業者のアカウントで受けようとした場合、給与支払日といった特定の日に、対象となるユーザのアカウントの残高が急激に増加するため、資金移動事業者は、それに応じた供託金を供託する必要が生じ、銀行に比べて自己資本が格段に見劣りする、資金移動事業者にとって資金負担が非常に大きいという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、資金決済法の下での資金移動事業者による、ユーザにとって利便性の高い送受金サービス(資金移動サービス)を提供することを目的とする。
【0011】
より具体的には、本発明の目的の一つは、預金口座とアカウントとの間の実体的な資金の移し替えを省略することを可能にした資金移動スキームを提供することである。
【0012】
また、本発明の目的の一つは、資金決済法の下、アカウントの残高に依存した供託義務から資金移動事業者を解放することを可能にした資金移動スキームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明は、以下に示す発明特定事項乃至は技術的特徴を含んで構成される。
【0014】
すなわち、ある観点に従う本発明は、ユーザのアカウント間での資金移動に関する資金移動サービスを提供する資金移動管理システムによって実現される資金移動管理方法であり得る。前記方法は、前記資金移動管理システムにおける資金移動事業者システムが、前記資金移動サービスを利用するユーザごとに、該ユーザのアカウントと金融機関における該ユーザの預金口座とを一対にして管理することと、第1のユーザのアカウントから第2のユーザのアカウントへの所定額の資金移動の依頼を受け付けた場合に、該第1のユーザのアカウントと一対に管理された預金口座と該第2のユーザのアカウントと一対に管理された預金口座との間での送金処理の状態を金融機関システムから取得することと、
前記取得した送金処理の状態が送金完了を示す場合に、前記資金移動の依頼に従う前記アカウント間での資金移動処理を完了させることと、を実行することを含み得る。
【0015】
また、前記方法は、前記資金移動事業者システムが、ユーザのユーザ情報を取得することと、前記取得したユーザ情報に基づいて、前記金融機関における前記ユーザの預金口座が開設されるように、前記金融機関システムに預金口座開設の依頼をすることと、前記預金口座開設の依頼に応答して前記金融機関において開設された預金口座に関する口座情報を取得することと、を更に実行することを含み得る。ここで、前記一対にして管理することは、前記ユーザのアカウントと前記取得した口座情報が示す預金口座とを一対にして管理することを含み得る。
【0016】
また、前記資金移動処理を完了させることは、前記資金移動サービスに関する取引履歴データベースに前記資金移動に関する取引履歴を記録することを含み得る。
【0017】
また、前記方法は、前記資金移動事業者システムが、前記ユーザ情報に基づいて、前記ユーザのメールアドレスを発行すること、を更に実行することを含み得る。
【0018】
また、前記送金処理の状態を取得することは、前記金融機関システムによって前記ユーザのメールアドレス宛てに送信された前記送金処理の状態を受信することを含み得る。
【0019】
また、前記送金処理の状態を取得することは、前記金融機関システムとのアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)接続を介して、前記送金処理の状態を取得することを含み得る。
【0020】
また、別の観点に従う本発明は、ユーザのアカウント間での資金移動に関する資金移動サービスを実現する資金移動事業者システムであり得る。前記システムは、前記資金移動サービスを利用するユーザごとに、該ユーザのアカウントと金融機関における該ユーザの預金口座とを一対にして管理するユーザ情報データベースと、前記資金移動の依頼を受け付けて、前記資金移動の依頼に従うユーザのアカウント間での資金移動処理を実行する取引管理部と、を備え得る。前記取引管理部は、第1のユーザのアカウントから第2のユーザのアカウントへの所定額の資金移動の依頼を受け付けた場合に、該第1のユーザのアカウントと一対に管理された預金口座と該第2のユーザのアカウントと一対に管理された預金口座との間での送金処理の状態を金融機関システムから取得し、前記取得した送金処理の状態が送金完了を示す場合に、前記資金移動処理の実行を完了させるように動作し得る。
【0021】
また、前記システムは、前記ユーザのアカウントを管理するためのアカウント管理部を更に備え得る。前記アカウント管理部は、端末装置から送信されるユーザ情報に基づいて、該ユーザ情報が示すユーザのための預金口座開設の依頼を生成し、該生成した預金口座開設の依頼を前記金融機関システムに送信し、前記預金口座開設の依頼に応答して前記金融機関において開設された預金口座に関する口座情報を取得し得る。また、前記アカウント管理部は、前記ユーザのアカウントと前記取得した口座情報が示す預金口座とを一対にして前記ユーザ情報データベースに格納し得る。
【0022】
また、前記システムは、取引履歴を記憶する取引履歴データベースを更に備え得る。前記取引管理部は、前記送金処理の状態に基づいて、前記取引履歴データベースに前記資金移動に関する取引履歴を記録し得る。
【0023】
また、前記アカウント管理部は、前記ユーザ情報に基づいて、前記ユーザのメールアドレス(シャドウ・メールアドレス)を発行し得る。
【0024】
また、前記取引管理部は、前記金融機関システムによって前記ユーザのメールアドレス宛てに送信された前記送金処理の状態を受信し得る。
【0025】
また、前記取引管理部は、前記金融機関システムとのアプリケーション・プログラミング・インターフェース接続を介して、前記送金処理の状態を取得し得る。
【0026】
また、別の観点に従う本発明は、ユーザのアカウント間での資金移動に関する資金移動サービスを実現する資金移動管理方法をコンピュータ上で実行するためのコンピュータプログラム又はこれを非一時的に記録した記録媒体であり得る。前記プログラムは、資金移動管理システムにおけるコンピュータに、前記資金移動サービスを利用するユーザごとに、該ユーザのアカウントと金融機関における該ユーザの預金口座とを一対にして管理することと、第1のユーザのアカウントから第2のユーザのアカウントへの所定額の資金移動の依頼を受け付けた場合に、該第1のユーザのアカウントと一対に管理された預金口座と該第2のユーザのアカウントと一対に管理された預金口座との間での送金処理の状態を金融機関システムから取得することと、前記取得した送金処理の状態が送金完了を示す場合に、前記資金移動の依頼に従う前記アカウント間での資金移動処理を完了させることと、を実行させ得る。
【0027】
また、別の観点に従う本発明は、ユーザのアカウント間での資金移動に関する資金移動サービスを提供する資金移動管理システムであり得る。前記システムは、金融機関におけるユーザの預金口座を管理する金融機関システムと、前記資金移動サービスに従う資金移動に関する取引履歴を管理する取引管理部を含む資金移動事業者システムとを備え得る。ここで、前記ユーザのアカウントは、前記ユーザの預金口座と一対の関係をなすように前記資金移動事業者システムにおいて管理され得る。そして、端末装置を介して、送金者である第1のユーザのアカウントから受金者である第2のユーザのアカウントへの所定額の資金移動の依頼があった場合に、前記金融機関システムは、前記資金移動の依頼に対応する送金の依頼に基づいて、前記第1のユーザの預金口座から前記第2のユーザの預金口座へ前記所定額の送金処理を実行し、前記送金処理の状態を前記資金移動事業者システムに送信し、これに応答して、前記取引管理部は、前記送金処理の状態に基づいて、前記資金移動の依頼に従う前記アカウント間での資金移動処理を完了させるように、構成され得る。
【0028】
また、前記資金移動事業者システムは、前記ユーザのアカウントを管理するアカウント管理部と、前記ユーザのアカウントと前記金融機関における該ユーザの預金口座とを一対にして管理するユーザ情報データベースとを更に備え得る。前記アカウント管理部は、端末装置から送信されるユーザ情報に基づいて、該ユーザ情報が示すユーザのための預金口座開設の依頼を生成し、該生成した預金口座開設の依頼を前記金融機関システムに送信し得る。前記金融機関システムは、前記預金口座開設の依頼に従って預金口座を開設し、
前記開設した預金口座に関する口座情報を前記資金移動事業者システムに送信し得る。そして、前記アカウント管理部は、前記ユーザのアカウントと前記口座情報が示す預金口座とを一対にして前記ユーザ情報データベースに格納し得る。
【0029】
また、前記資金移動事業者システムは、前記端末装置から前記資金移動の依頼を受信した場合に、前記端末装置のユーザインターフェース上に送金依頼画面が表示されるように制御し得る。
【0030】
また、前記金融機関システムは、前記資金移動事業者システムから前記資金移動の依頼に基づくリダイレクト要求を受信した場合に、前記端末装置に前記送金依頼画面に関するデータを送信し、前記端末装置から送信される前記送金の依頼に基づいて、前記送金処理を実行し得る。
【0031】
なお、本明細書等において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されてもよい。また、「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことをいい、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、資金決済法の下での資金移動事業者による、ユーザにとって利便性の高い資金移動サービスが提供されることになる。
【0033】
また、本発明によれば、ユーザは、預金口座とアカウントとの間の実体的な資金の移し替えを省略することができるようになる。
【0034】
また、本発明によれば、資金決済法の下、アカウントの残高に依存した供託義務から資金移動事業者を解放することができるようになる。
【0035】
本発明の他の技術的特徴、目的、及び作用効果乃至は利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の一実施形態に係る資金移動管理システムの概略構成の一例を説明するブロックダイアグラムである。
図2】本発明の一実施形態に係る資金移動管理システムの金融機関システムの概略構成の一例を説明するブロックダイアグラムである。
図3】本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置の概略構成の一例を示すブロックダイアグラムである。
図4】本発明の一実施形態に係る資金移動事業者システムの概略構成の一例を示すブロックダイアグラムである。
図5】本発明の一実施形態に係る資金移動事業者システムのユーザ情報データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る資金移動管理システムが提供する電子マネーサービスの利用のためのユーザのアカウント開設処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
図7】本発明の一実施形態に係る資金移動管理システムにおける情報通信端末装置に表示されるユーザ登録画面の一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る資金移動管理システムにおける情報通信端末装置に表示される預金口座開設依頼画面の一例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る資金移動管理システムにおける情報通信端末装置に表示されるユーザ登録完了確認画面の一例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る資金移動管理システムにおける資金移動サービスのスキームの一例を概略的に説明するための図である。
図11】本発明の一実施形態に係る資金移動管理システムにおける情報通信端末装置に表示される資金移動依頼画面の一例を示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係る資金移動管理システムにおける情報通信端末装置に表示される送金依頼画面の一例を示す図である。
図13】本発明の一実施形態に係る資金移動管理システムにおける情報通信端末装置に表示される送金完了画面の一例を示す図である。
図14】本発明の一実施形態に係る資金移動管理システムにおける情報通信端末装置に表示される受金完了画面の一例を示す図である。
図15】本発明の一実施形態に係る資金移動事業者システムにおける資金移動サービスに関わる処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図16】本発明の一実施形態に係る資金移動事業者システムのユーザ情報データベースの一例を示す図である。
図17】本発明の一実施形態に係る金融機関システムにおける資金移動サービスに関連する送金サービス処理を説明するためのフローチャートである。
図18】本発明の一実施形態に係る資金移動管理システムにおける資金移動サービスのスキームの一例を概略的に説明するための図である。
図19】本発明の一実施形態に係る資金移動事業者システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0038】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る資金移動管理システムを説明するブロックダイアグラムである。同図に示すように、本実施形態の資金移動管理システム1は、例えば、通信ネットワーク10を介して相互に通信可能に接続される、金融機関システム20と資金移動事業者システム30とを含み構成され得る。また、資金移動管理システム1は、通信ネットワーク10に通信可能に接続される情報通信端末装置40を含み得る。さらに、資金移動管理システム1は、通信ネットワーク10に通信可能に接続されるサービス端末装置50を含み得る。本開示において、情報通信端末装置40及びサービス端末装置50は、ユーザによって操作される端末装置の一態様である。
【0039】
通信ネットワーク10は、例えば、IPベースのコンピュータネットワーク12と、移動通信システム規格に準拠した移動通信ネットワーク14とを含み得る。本開示において、コンピュータネットワーク12は、IPネットワークによって構築されたインターネットを含む広い概念で用いられているが、IPネットワークに限らず、ノード間通信を可能とするあらゆるプロトコルのネットワークが適用可能である。例えば、金融機関システム20と図示されていない他の金融機関システムとの間等、所定のノード間は専用ネットワークで接続されても良い。さらに、金融機関システム20は、例えば、イントラネットとしての通信ネットワーク10を含み得る。また、コンピュータネットワーク12は、図示されていない無線基地局によって構築される無線ネットワーク(例えばWi-Fi(登録商標))を含み得る。コンピュータネットワーク12と移動通信ネットワーク14とは、例えば、ゲートウェイ16等を介して接続される。
【0040】
金融機関システム20は、金融機関又はその委託を受けた者が管理・運営するいわゆる銀行業務システムである。本開示において、「金融機関」とは、銀行法及びこれに準ずる法律によって規制を受ける、預金保険制度の対象となる預金口座ないしは貯金口座(以下これらを「預金口座」と総称する。)を管理ないし取り扱う金融機関をいう。例えば、普通銀行や信用金庫等は、本開示における金融機関に含まれる。また、「銀行口座」は、預金口座の一態様である。本開示において、「預金口座」について、慣習的ないしは便宜的に、単に「口座」や「銀行口座」と称する場合もあるが、資金移動事業者が管理する「アカウント」とは区別されることに留意されたい。
【0041】
金融機関システム20は、概略的には、例えば図2に示すように、チャネル系22や勘定系24、情報系26といった金融機関機能ないしは業務により体系化・組織化されて構築された各種のホストコンピュータとデータベースシステムを含み得る。これらの系は、例えばハブやESB(Enterprise Service Bus)を含む基幹ネットワークを介して接続され得る。基幹ネットワークは、通信ネットワーク10の一態様である。また、金融機関システム20は、汎用のコンピューティングデバイスを用いたオープン系を含み得る。
【0042】
金融機関は、典型的には、各ユーザの預金口座を管理する、本店及び幾つかの支店を有する。このような本店及び/又は支店(以下単に「支店」ということもある。)は、実店舗ではなく仮想的な店舗で良く、いわゆるネットバンクのようなものであっても良い。或いは、金融機関は、本開示における資金移動サービスを提供する資金移動事業者のための専用の支店を有しても良い。このような事業者専用支店は、資金移動事業者との関係で各種の取引が可能であれば良く、支店の一形態である。ユーザは、このような預金口座を、例えば、オンライン手続によって開設し得る。本開示では、一例として、資金移動管理システム1は、金融機関システム20による、支店内の送金者の預金口座から該支店内の受金者の預金口座への送金(振替)処理を利用することにより、資金移動事業者による資金移動サービスを実現する。
【0043】
チャネル系22は、例えば、営業店(支店及び事業者専用支店を含む。以下、同じ。)のシステムやATM、インターネットバンキングサービスといった様々なチャネルに対応した接続を制御する。勘定系24は、企業や個人といった顧客ないしは預金者(ユーザ)の預金口座の取引(預金勘定元帳)を管理する。勘定系24は、金融機関における基幹業務の一つを担っており、他の基幹業務を含めて基幹系と称されることもある。情報系26は、顧客に関する情報や取引に関する情報等を明細(トランザクション)単位で保有するデータウェアハウスないしはデータベースや金融機関の経営情報を管理する。本開示において、情報系26は、チャネル系22を介して、ユーザにインターネットバンキングサービスの各種の機能を提供する。なお、上述したような金融機関システム20におけるシステム構成は一例であり、システムベンダや金融機関ごとに、その定義ないしは範囲は異なり得るものであって、これによって、本発明の解釈に影響が与えられるべきではない。
【0044】
図1に戻り、資金移動事業者システム30は、資金移動事業者又はその委託を受けた者が管理・運営するコンピュータシステムである。本開示において、資金移動事業者とは、資金決済法第37条の規定により、内閣総理大臣の登録を受けた者をいう。この意味において、資金移動事業者は、金融機関とは区別された異なる事業主体である。資金移動事業者は、資金移動事業者システム30を用いて、電子的な金銭的価値(電子マネーやポイント)に基づく資金決済サービス(以下「電子マネーサービス」という。)を提供し得る。資金移動事業者システム30を構成するコンピューティングデバイスのハードウェア構成は、例えば図19に示されるが、そのような構成は既知であるため、その詳細は省略する。
【0045】
資金移動事業者システム30は、顧客ないしは会員(すなわちユーザ)のアカウントの残高を管理し、該残高を限度として、ユーザに電子マネーサービスを提供し得る。典型的には、かかる電子マネーサービスのため、ユーザには、アカウントに関連付けられた物理的又は仮想的な固有の媒体(例えばカードないしはパス)が予め供与され得る。電子マネーは、例えば物理的なカードや情報通信端末装置40に搭載されたICチップ内に格納されるいわゆるストアドバリュー方式で管理されても良いし、サーバ上で一元的に管理されるサーバ管理方式であっても良い。ユーザのアカウント間で送受金を行うサービス、すなわち、資金移動サービスは、電子マネーサービスの一態様である。例えば、送金者であるユーザは、情報通信端末装置40又はサービス端末装置50を操作して、送金先(受金者)であるユーザのアカウント及び送金しようとする金額を指定して送金依頼を行うと、資金移動事業者システム30は、送金者のアカウントの残高から送金依頼が示す金額を減額すると同時に、受金者のアカウントの残高を該送金依頼が示す金額分だけ増額し、これにより、送金者から受金者への送金を実現する。ここでいう「金額」は、典型的には、「電子マネーの額」であるが、これに限られず、ポイント等であり得る。本開示においては、資金移動事業者システム30は、後述するように、金融機関システム20と協働して、資金移動サービスを実現する。なお、資金移動サービスに際して、上述した特許文献1に示されるように、アカウントとして2種類のID、すなわち、受金ID及び消費使用IDが用いられても良い。また、以下では、資金移動事業者システム30は、ユーザのアカウントの残高を管理しない態様を例に説明される。
【0046】
以下では、資金移動事業者による送金については、金融機関による「送金」と区別する意味で、「資金移動」と称することがある。本開示においては、資金移動事業者システム30は、資金移動サービスの提供のため、例えば、ユーザのアカウントと一対となった該ユーザの預金口座に関する情報を管理する。ここで、「一対」とは、資金移動サービスにおいて、一のアカウントと一の預金口座とが対の関係にあることをいう。したがって、ユーザの何らかの情報に基づいて、一のアカウントが特定されれば、そこから一の預金口座が特定され、また逆に、一の預金口座が特定されれば、一のアカウントが特定される。
【0047】
情報通信端末装置40は、電子マネーサービスの利用のために、ユーザが操作する端末装置である。情報通信端末装置40は、典型的には、ユーザによって所持されるモバイル型ないしは携帯型のコンピューティングデバイスであり、例えば、フィーチャフォン、スマートフォン、PDA、ハンドヘルド型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、及びその他のインテリジェントデバイスであり得る。本開示では、情報通信端末装置40は、スマートフォンであるものとする。
【0048】
情報通信端末装置40は、典型的には、CPU(プロセッサ)やチップセット及びメモリ、通信モジュール、ユーザインターフェース(例えばディスプレイないしはタッチパネル、スピーカー及びバイブレータ)等のハードウェア資源及びオペレーティングシステム等(例えばカーネル、各種のデバイスドライバ、標準ライブラリ等を含み構成され得る。)(以下「OS」という。)のソフトウェア資源から構成される(図5参照)。情報通信端末装置40は、プロセッサの制御の下、OS上で各種のアプリケーションプログラムを実行し、所望の機能を実現する。本開示において、情報通信端末装置40は、アプリケーションプログラムの1つとして、情報通信端末装置40に電子マネーサービス機能(例えば電子マネーの入金(チャージ)及び出金、電子マネーによる支払い並びに電子マネーの送受金等)を実現させるためのアプリケーションプログラム(以下「電子マネーアプリケーションプログラム」という。)を実装する。言い換えれば、情報通信端末装置40は、プロセッサの制御の下、電子マネーアプリケーションプログラムを実行することにより、資金移動サービスや決済サービスといった電子マネーサービスのための機能をユーザに提供し得る。したがって、資金移動サービスでは、ユーザは、例えば、情報通信端末装置40のユーザインターフェースを介して、送金先のアカウント及び送金しようとする額を入力し、資金移動の依頼を行い得る。また、ユーザは、例えば、電子マネー決済に際して、情報通信端末装置40のユーザインターフェース上に幾何学的パターンを表示させ、これを店舗等の決済端末装置(図示せず)に読み取らせることにより、或いは店舗等が提示する幾何学的パターンを情報通信端末装置40によって読み取らせることにより、電子マネーによる決済を行い得る。幾何学的パターンは、例えばバーコード或いはQRコード(登録商標)であり得る。他の例として、ユーザは、例えば、情報通信端末装置40を決済端末装置に近接させることによりないしはかざすことにより、非接触方式で、電子マネーによる決済を行い得る。
【0049】
サービス端末装置50は、例えば、金融機関システム20及び/又は資金移動事業者システム30が提供するサービスを利用するために、ユーザが操作し得る端末装置である。一例として、サービス端末装置50は、銀行やコンビニエンスストア、駅等の店舗に設置された金銭預払機(ATM)やATM機能を有するキオスク端末、多機能券売機等であり得る。或いは、サービス端末装置50は、ユーザ自身でなく、例えばコンビニエンスストア等の店員が操作する販売時点情報管理端末装置(POSレジスター)であり得る。サービス端末装置50は、典型的には、ユーザに対してインタラクティブな操作を提供するためのユーザインターフェースを含む。また、サービス端末装置50は、通信ネットワーク10(例えば専用回線)を介して、金融機関システム20及び/又は資金移動事業者システム30に通信接続して各種の情報をやり取りし得る。また、サービス端末装置50は、金融機関システム20におけるユーザの預金口座を介して、資金移動事業者システム30における顧客のアカウントに入金し、該アカウントから出金することができるように構成され得る。また、サービス端末装置50は、情報通信端末装置40による電子マネーサービス機能と同等の機能を実現するように構成されても良い。
【0050】
以上のように構成される資金移動管理システム1は、一のユーザから他のユーザへ所定額の電子マネーの送金を可能にする資金移動サービスを提供する。すなわち、一のユーザ(送金者)は、情報通信端末装置40又はサービス端末装置50を操作して、他のユーザ(受金者)のアカウントへ所定額の電子マネーの資金移動依頼を行うことにより、送金者自身のアカウントにある所定額の電子マネーを受金者のアカウントに移動させることができる。本開示において、資金移動事業者システム30は、各ユーザについて、該ユーザのアカウントと金融機関の支店内の預金口座とを一対にして管理している。また、資金移動事業者システム30は、送金者であるユーザを金融機関システム20のインターネットバンキングサービスにシームレスに誘導するので、該ユーザに対して、金融機関内の預金口座間の送金(振替)サービスをあたかもアカウント間の資金移動サービスのように見せることができる。また、資金移動事業者システム30は、金融機関システム20から送金処理の状態(例えば送金完了通知)を取得ないしは受信することにより、金融機関内での預金口座間の送金処理が完了したことを認識することができ、該送金処理の完了通知に従って、ユーザ(すなわち送金者及び受金者)のアカウントの取引履歴を正しく記録することができる。とりわけ、金融機関内やその同一支店内での預金口座間送金では、一般的には振替手数料が発生しないため、資金移動事業者は、資金移動サービスに際して、ユーザに対して金融機関分の手数料を請求したり、自身が負担したりする必要がなく、資金移動コストをなくすことができ或いは最小限にすることができる。また、資金移動事業者においては、ユーザのアカウントの取引履歴ないしは勘定取引が記録されることになるところ、現金は、資金移動事業者が自ら預かるわけではなく、金融機関の支店内のユーザの預金口座に預け入れられたままであるため、滞留資金(未達債務)であるとはみなされない。したがって、資金移動事業者は、資金決済法に従い、供託所に供託する必要がないか、或いは最低供託額の範囲での供託で良く、過度な資金負担から開放されることになる。
【0051】
なお、本開示では、資金移動サービスにおける送受金者は、互いにエンドユーザ(個人)であるものとして説明されるが、これに限られない。例えば、送金者がエンドユーザであり、受金者が例えば実店舗や仮想店舗等の事業者であっても良いし、その逆であっても良い。或いは、送受金者の双方が事業者であっても良い。送金者がエンドユーザであって受金者が事業者である場合、該事業者への資金移動は、いわゆる対価の支払い等であり得る。また、送金者が事業者であって受金者がエンドユーザである場合、該エンドユーザへの資金移動は、例えば給与の支払いや経費精算、何らかのキャンペーンに基づくキャッシュバックサービス、返金処理等であり得る。
【0052】
図3は、本発明の一実施形態に係る資金移動事業者システムの構成の一例を示すブロックダイアグラムである。同図に示すように、資金移動事業者システム30は、本開示における資金移動サービスに関連して、概略的には、例えば、業務管理データベース310と、アカウント管理部320と、取引管理部330とを含み構成され得る。これらのコンポーネントは、例えば、LANを介して接続される。また、図示されていないが、資金移動事業者システム30は、メールサーバを含み得る。
【0053】
業務管理データベース310は、資金移動事業者の業務全般に係るデータを管理するためのデータベースシステムであり、例えば、ユーザ情報データベース312と、取引履歴データベース314とを含み構成され得る。
【0054】
ユーザ情報データベース312は、ユーザに関する情報(以下「ユーザ情報」という。)を格納するデータベースである。ユーザ情報は、資金移動や電子マネー決済といった電子マネーサービスを提供するために必要な情報を含む。ユーザ情報データベース312は、例えば、図4に示すように、ユーザごとの、個人属性情報(例えば、氏名、生年月日、住所、電話番号、及び個人番号等)と、アカウント属性情報(例えば、アカウントID、第1電子メールアドレス(以下「第1メールアドレス」という。)及び第2電子メールアドレス(以下「第2メールアドレス」という。)等)と、金融機関属性情報(例えば、金融機関番号、支店番号、口座種別、口座番号、及び口座名義人名等)とを含み構成され得る。前述したように、アカウントIDは、例えば受金にのみ利用可能な受金ID及び消費使用(決済)にのみ利用可能な消費使用IDから構成されても良い。また、後述するように、第2メールアドレスは、資金移動サービスにおいて金融機関と資金移動事業者との間で使用されるメールアドレスである。なお、図示されていないが、ユーザ情報データベース312は、取引履歴データベース314におけるユーザの取引履歴に基づいて算出される該ユーザの残高を有しても良い。また、同図に示すユーザ情報は、個々のユーザをユーザIDにより識別するように構成されているが、ユーザが一意に識別される情報であれば良く、例えば、アカウントIDやメールアドレスをユーザIDとして用いても良い。ユーザ情報は、典型的には、例えば、ハッシュ化ないしは暗号化されてセキュアに管理される。
【0055】
取引履歴データベース314は、電子マネーサービスにおけるユーザによる取引の全て又は一部のデータ(以下「取引履歴データ」という。)を履歴として記録するデータベースである。取引履歴データは、例えば、ブロックチェーン技術により管理され得る。ユーザの取引履歴データは、例えば、ユーザ情報データベース312におけるユーザID等に関連付けられて管理されても良い。取引履歴データは、例えば、所定の勘定科目(例えば、入金、出金等)ごとに記録される。なお、代替的に又は追加的に、資金移動事業者システム30は、ユーザの勘定取引を記録する勘定データベースを有していても良い。
【0056】
アカウント管理部320は、資金移動事業者に登録されたユーザのアカウントを統括的に管理するコンポーネントである。アカウント管理部320は、例えば金融機関の支店における預金口座の開設を依頼する預金口座開設依頼部322を含み構成され得る。本例では、預金口座開設依頼部322は、アカウント管理部320の一部として構成されているが、これに限られず、アカウント管理部320とは別個に構成されても良い。
【0057】
例えば、資金移動事業者が提供する電子マネーサービスの利用を希望する新規のユーザは、情報通信端末装置40を操作して、資金移動事業者システム30にアクセスし、会員登録、すなわち、アカウント開設の依頼(申し込み)を行う。アカウント開設の依頼では、例えば、個人属性情報やメールアドレス等が要求される。アカウント管理部320は、情報通信端末装置40から送信されるアカウント開設の依頼に従って、所定のアカウント開設条件の下、アカウント開設の可否判定(審査)を行う。アカウント管理部320は、アカウントの開設を許可する場合には、第2メールアドレスを発行ないしは生成して、ユーザ情報をユーザ情報データベース312に登録する。アカウント管理部320はまた、ユーザからユーザ情報の変更要求を受領した場合、該変更要求に従って、ユーザ情報データベース312の該ユーザ情報を更新する。本開示における電子マネーサービスでは、金融機関の支店内に、資金移動事業者のユーザが自身名義の預金口座を保有していることが前提となっている。したがって、アカウント開設の手続では、以下に述べるように、金融機関の本支店内にユーザ名義の預金口座を併せて開設する手続が行われる。
【0058】
預金口座開設依頼部322は、上述したアカウント開設に伴って、金融機関の支店内にユーザ名義の預金口座を開設するための処理を行う。すなわち、預金口座の開設は、金融機関(金融機関システム20)により遂行されるところ、預金口座開設依頼部322は、ユーザによる預金口座開設の依頼を中継し、金融機関システム20に転送する。この場合、預金口座の開設は、ユーザと金融機関との手続ではなく、あたかも資金移動事業者へのユーザ登録の一環として行われる。これにより、ユーザには、資金移動事業者へのユーザ登録に際して、預金口座が併せて開設されたような環境ないしはエクスペリエンスが提供される。代替例として、資金移動事業者が、ユーザの同意の下、ユーザに代わって、金融機関に対して、支店内にユーザの預金口座の開設を依頼しても良い。本開示において、預金口座の開設は、いわゆるインターネットバンキングサービス(オンラインバンキングサービスと称されることもある。)の利用登録を含み得る。インターネットバンキングサービスは、金融機関が提供する、インターネットを介した各種の取引サービスである。インターネットバンキングサービスの利用登録について、預金口座の開設を許可されたユーザが、別途にこれを手続きしても良い。
【0059】
例えば、預金口座開設依頼部322は、ユーザから受け付けたアカウント開設の依頼に基づいて、金融機関システム20に預金口座開設依頼画面を要求し、これを受け取ると、例えば、あたかも資金移動事業者が提供する預金口座開設依頼画面であるかのように見せかけた構成の預金口座開設依頼画面として、情報通信端末装置40のユーザインターフェース部430に表示させる。例えば、ユーザインターフェース部430は、金融機関の預金口座開設依頼画面のレイヤーの上位(前面)レイヤーに資金移動事業者が用意した預金口座開設依頼画面が表示されるように制御する。ユーザインターフェース部430は、例えば、ユーザが視認している上位レイヤーの預金口座開設依頼画面に対する操作アクションを受け取ると、OSの制御を介して、下位レイヤーの預金口座開設依頼画面に対する操作アクションに変換し、これにより、該操作アクションに対する処理が実行されることになる。すなわち、預金口座開設依頼部322は、ユーザインターフェース部430を介して受け取った預金口座の開設に必要な情報に基づいて預金口座開設の依頼を生成し、これを金融機関システム20に送信する。預金口座開設の依頼は、アカウント開設の依頼により受領したメールアドレス(第1メールアドレス)に基づいて生成される第2メールアドレスを含む。第2メールアドレスは、例えば、資金移動事業者のドメイン名を含み構成され、資金移動事業者システム30のメールサーバが管理し得るメールアドレスである。第2メールアドレスは、資金移動事業者システム30と金融機関システム20との連絡に用いられ、典型的には、ユーザ自身は関知しないメールアドレスである。この意味で、本開示では、第2メールアドレスをシャドウ・メールアドレスと称することもある。
【0060】
金融機関システム20は、資金移動事業者システム30から預金口座開設の依頼を受信すると、該預金口座開設の依頼に基づいて、所定の預金口座開設条件の下、預金口座開設の可否判定(審査)を行い、可否の結果を預金口座開設依頼部322に送信する。金融機関システム20は、ユーザに対して預金口座の開設を許可する場合、該預金口座を開設し、その口座番号等を含む口座登録情報を預金口座開設依頼部322に送信する。
【0061】
預金口座開設依頼部322は、受信した可否の結果をユーザの情報通信端末装置40に送信する。また、預金口座開設依頼部322は、預金口座の開設が許可された場合には、口座登録情報に基づいて、口座番号等をユーザ情報データベース312に登録する。これにより、ユーザのアカウント(すなわち、アカウントID)と預金口座(すなわち、口座番号等)とは一対で管理されることになる。本例では、預金口座開設依頼部322は、預金口座開設の依頼を受けて、これを金融機関システム20にそのまま転送することとしたが、これに限られず、例えば、金融機関とは別個に、資金移動事業者独自の所定の預金口座開設条件の下、預金口座開設の可否判定を行い、預金口座開設を許可する場合にのみ、金融機関システム20に該依頼を送信するようにしても良い。或いは、預金口座開設依頼部322は、預金口座開設の手続きをしているユーザを金融機関システム20が提供するインターネットバンキングサービスに誘導し、そこで預金口座の開設のために入力された情報を、金融機関システム20から取得するように構成されても良い。
【0062】
取引管理部330は、取引履歴データベース314を用いて、ユーザの取引を取引履歴として記録し管理する。取引管理部330は、例えば、ユーザのアカウント間での資金移動処理を実行する資金移動管理部332を含み構成され得る。本例では、資金移動管理部332は、取引管理部330の一部として構成されているが、これに限られず、取引管理部330とは別個に構成されても良い。
【0063】
一例として、取引管理部330は、ユーザによる情報通信端末装置40を用いた電子マネーによる支払(決済)依頼により、店舗等の決済端末装置から決済照会を受け付けると、金融機関システム20に照会して該ユーザの残高を確認(コミット)し、決済可能な残高があれば、金融機関システム20との協働により、決済処理(勘定取引)を行うとともに、決済承認を決済端末装置に送信する。これにより、決済端末装置は、情報通信端末装置40に決済承認を送信し、決済を完了する。
【0064】
資金移動管理部332は、一のユーザによる情報通信端末装置40を用いた他のユーザへの資金移動依頼に基づいて、ユーザのアカウント間での資金移動処理を行う。具体的には、資金移動管理部332は、送金者であるユーザのアカウントから受金者であるユーザのアカウントへの資金移動依頼額(送金依頼額)の資金移動の依頼を受け付けると、リダイレクト要求を生成して、これを金融機関システム20に送信する。リダイレクト要求は、例えば、送金者であるユーザのアカウントに一対に関連付けられた預金口座、受金者であるユーザのアカウントに一対に関連付けられた預金口座、及び/又は資金移動依頼額(送金依頼額)を含み得る。金融機関システム20は、リダイレクト要求を受信すると、ユーザをインターネットバンキングサービスにおける送金依頼画面(図12参照)に誘導し(すなわち、情報通信端末装置40のユーザインターフェース部430上にインターネットバンキングサービスにおける送金依頼画面を表示し)、該送金依頼画面を介して、ユーザから送金依頼を受け付ける。
【0065】
金融機関システム20は、ユーザから送信される送金依頼に従って、送金者であるユーザの預金口座から受金者であるユーザの預金口座へ、送金依頼に示された送金依頼額の送金(振替)処理を行う。金融機関システム20は、該送金処理を完了すると、送金者であるユーザの第2メールアドレス及び受金者である他のユーザの第2メールアドレス宛てに送金完了メールをそれぞれ送信する。資金移動管理部332は、それぞれの送金完了メールを受信すると、金融機関システム20における送金処理が完了したと判断し、取引履歴データベース314に対して、送金者であるユーザのアカウントから資金移動依頼額分だけ減額すると同時に、受金者であるユーザのアカウントの残高を該資金移動依頼額分だけ増額する処理を行う。本開示では、送金が完了した旨は、第2メールアドレス宛のメールにより通知されるが、これに限られず、例えば、メール以外の他のプロトコル手段(例えばメッセージングやAPI等)により通知されても良い。
【0066】
なお、上述したように、エンドユーザから事業者への資金移動もまた支払(決済)の一態様であると見ることができ、したがって、資金移動管理部332は、取引管理部330の一部(又はその逆)と見ることができる。
【0067】
図5は、本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置の概略構成の一例を示すブロックダイアグラムである。すなわち、同図に示すように、情報通信端末装置40は、例えば、制御部410と、記憶部420と、ユーザインターフェース部430と、通信インターフェース部440とを含み構成される。同図では、情報通信端末装置40の各種の構成要素(コンポーネント)のうち、本開示に特に関連するコンポーネントが示されている。かかるコンポーネントは、ハードウェアコンポーネントそのもの、或いは、例えば、情報通信端末装置40のプロセッサが、OS上で電子マネーアプリケーションプログラムを実行することにより、各種のハードウェア資源と協働して、実現され得る。
【0068】
制御部410は、情報通信端末装置40を電子マネーサービスのための端末装置として機能させるために、情報通信端末装置40を統括的に制御するためのコンポーネントであり、典型的には、情報通信端末装置40のプロセッサ412及びOS(例えば各種のデバイスドライバを含む。)等を含み構成される。言い換えれば、プロセッサ412は、電子マネーアプリケーションプログラムを実行することにより、情報通信端末装置40を電子マネーサービスのための端末装置として機能させる。
【0069】
入出力制御部414は、例えばOSの機能により具現化されるコンポーネントであり、例えば、記憶部420、ユーザインターフェース部430、及び通信インターフェース部440のそれぞれとの入出力アクセスを制御する。
【0070】
記憶部420は、各種のプログラム及びデータセットを記憶するコンポーネントであり、典型的には、情報通信端末装置40のプロセッサ412の利用に供されるメモリデバイスを含み構成される。一例として、記憶部420は、OS、電子マネーアプリケーションプログラム及びユーザプロファイル等を記憶する。電子マネーアプリケーションプログラムは、例えば、所定のWebサイト等からダウンロードされ、或いは、予めプリインストールされている。電子マネーアプリケーションプログラムは、電子マネーサービスを利用するためのアプリケーションプログラム本体及び本開示における資金移動管理方法を実現するためのサブプログラムないしはモジュールを含み構成され得る。或いは、電子マネーアプリケーションプログラムは、本開示における資金移動管理方法を実現するためのサブプログラムないしはモジュールのみから構成されて良い。ユーザプロファイルは、本開示における電子マネーサービスに係るデータとして、例えば、個人属性情報、アカウント情報及び口座情報の少なくとも一部又は全部を含み得る。
【0071】
ユーザインターフェース部430は、ユーザが、情報通信端末装置40をインタラクティブに操作することを可能にするコンポーネントであり、例えば、ディスプレイ及び位置入力機構が一体となったタッチパネルからなる入出力デバイスを含み構成され得る。また、他の入出力デバイスとして、マイクロフォンやカメラ等が設けられ得る。ユーザインターフェース部430は、例えば、入出力制御部414に代わり、その全部又は一部の機能を有するよう構成されても良い。一例として、ユーザによるユーザインターフェース部430に対する所定の操作に応じて、ユーザインターフェース部430は、所定の画面(例えば、ログイン画面、資金移動依頼画面及び送金依頼画面等)を表示する。他の例として、ユーザインターフェース部430は、電子マネー決済のための幾何学的パターンを表示し、或いはカメラを介して幾何学的パターンを読み取る。
【0072】
通信インターフェース部440は、通信ネットワーク10を介して、資金移動事業者システム30や金融機関システム20等、他の外部の装置との間で各種のデータを送受信するコンポーネントであり、典型的には、通信インターフェース回路ないしはチップセットを含み構成される。本開示では、通信インターフェース部440は、資金移動事業者システム30及び/又は金融機関システム20にアクセスし、また、送金処理の完了に関する電子メールを受信するために用いられる。
【0073】
図6は、本発明の一実施形態に係る資金移動管理システムが提供する電子マネーサービスの利用のためのユーザのアカウント開設処理の一例を説明するためのシーケンス図である。以下に示すように、ユーザは、情報通信端末装置40を用いて、アカウント開設のための手続を行い得る。
【0074】
すなわち、資金移動事業者が提供する電子マネーサービスを利用しようとするユーザは、情報通信端末装置40を操作して、電子マネーアプリケーションプログラムを起動する。ユーザが未だユーザ登録を行っていない場合、情報通信端末装置40は、例えば図7に示すようなユーザ登録画面700をユーザに提示して、ユーザ登録、すなわち、アカウントの開設を促す(S601)。ユーザは、ユーザ登録画面700に対して、名前、生年月日、メールアドレス及びパスワード等を含む個人属性情報等の必要事項を入力する。ここで入力されるメールアドレスは、第1メールアドレスである。ユーザは、ユーザ登録画面700に対して必要事項を入力し、「送信」ボタンを選択すると、情報通信端末装置40は、入力された事項に基づいてアカウント開設の依頼を作成し、これを資金移動事業者システム30に送信する(S602)。
【0075】
資金移動事業者システム30は、情報通信端末装置40からアカウント開設の依頼を受信すると、アカウントの開設手続を開始する(S603)。例えば、資金移動事業者システム30は、所定のアカウント開設条件に従って、ユーザのアカウントの開設可否を判定する。資金移動事業者システム30は、ユーザのアカウントの開設を許可する場合、ユーザ情報データベース312に該ユーザのアカウントを仮登録し、続いて、金融機関に対して支店における預金口座の開設をユーザの代わりに依頼するため、当該ユーザに対する預金口座開設の依頼を金融機関システム20に送信する(S604)。
【0076】
金融機関システム20は、資金移動事業者システム30から預金口座開設の依頼を受信すると(S605)、預金口座開設依頼画面に関するデータを生成し、これをユーザの情報通信端末装置40に送信する(S606)。
【0077】
情報通信端末装置40は、預金口座開設依頼画面に関するデータを受信すると、ユーザインターフェース部430上に、例えば図8に示すような資金移動事業者が用意した預金口座開設依頼画面800を表示する(S607)。すなわち、情報通信端末装置40は、金融機関システム20から送信された画面データに基づく預金口座開設依頼画面800’の表示レイヤーに対して上位(前面)の表示レイヤーに資金移動事業者が用意した預金口座開設依頼画面800を表示する。したがって、ユーザからは上位レイヤーである資金移動事業者が用意した預金口座開設依頼画面800のみが視認される。一例として、預金口座開設依頼画面800の入力フィールドやボタンといったオブジェクトは、預金口座開設依頼画面800’の対応するオブジェクトと関連付けられる。情報通信端末装置40は、ユーザ登録画面700において入力された情報を一時的に保持しておき、預金口座開設依頼画面800の表示に際してこれらの情報を入力した上で、ユーザに預金口座開設依頼画面800を提示する。これにより、アカウントの開設と預金口座の開設とで重複した情報の入力が省略される。表示されている上位レイヤーの預金口座開設依頼画面800に対してユーザが必要な情報を入力すると、情報通信端末装置40は、OSの制御を介して、下位レイヤーの預金口座開設依頼画面800’に対する入力に変換する。例えば、ユーザが上位レイヤーの預金口座開設依頼画面800に対して必要なユーザ情報を入力し、送信ボタンを選択すると、情報通信端末装置40は、下位レイヤーの預金口座開設依頼画面800’に対する入力に変換して、預金口座開設のためのユーザ情報を金融機関システム20に送信する(S608)。
【0078】
金融機関システム20は、情報通信端末装置40から預金口座開設のためのユーザ情報を受信すると、受信したユーザ情報に基づいて、口座開設処理を行う(S609)。例えば、金融機関システム20は、所定の預金口座開設条件に従って、支店におけるユーザの預金口座の開設可否を判定する。これにより、金融機関システム20は、預金口座の開設可否の判定結果を資金移動事業者システム30に送信する(S610)。例えば、金融機関システム20は、預金口座の開設を許可しない場合、不許可通知を資金移動事業者システム30に送信する。これに対して、金融機関システム20は、預金口座の開設を許可する場合、口座開設完了通知として、口座番号等を含む口座登録情報を資金移動事業者システム30に送信する。なお、代替的に又は追加的に、金融機関システム20は、預金口座の開設可否の判定結果を情報通信端末装置40に送信しても良い。
【0079】
資金移動事業者システム30は、アカウントの開設依頼に応答して金融機関システム20から送信される口座開設完了通知に基づいて、仮登録の状態にあるユーザ情報をユーザ情報データベース312に本登録し、また、取引履歴データベース314におけるユーザの取引履歴ファイルを作成する(S611)。本登録により、ユーザのアカウントは預金口座と一対に関連付けられて管理されることになる。
【0080】
資金移動事業者システム30は、ユーザ登録完了後、アカウント開設完了通知を情報通信端末装置40に送信する(S612)。情報通信端末装置40は、アカウント開設完了通知を受信すると、例えば図9に示すようなユーザ登録完了確認画面900としてこれを表示する(S613)。なお、資金移動事業者システム30は、アカウントの開設を許可しない場合、不許可通知を情報通信端末装置40に送信する。
【0081】
図10は、本発明の一実施形態に係る資金移動管理システムにおける資金移動サービスのスキームの一例を概略的に説明するための図である。以下では、ユーザAがユーザBへ所定額の電子マネーを送金する例を説明する。すなわち、これは、資金移動事業者によるユーザA及びBのアカウント間での電子マネーの資金移動サービスである。ユーザA及びBは、資金移動事業者の電子マネーサービスを利用するためのアカウントをそれぞれ既に開設し、また、金融機関の支店内に預金口座をそれぞれ既に開設しているものとする。
【0082】
同図に示すように、まず、送金者であるユーザAは、情報通信端末装置40Aを操作して、例えばユーザID(又はアカウントID等)及びパスワードを入力してログイン認証を受けた後、例えば図11に示すような資金移動依頼画面1100において送金先(受金者)であるユーザBのアカウントID及び資金移動依頼額等を入力する。上述したように、受金ID及び消費使用IDからなる2種類のIDが使用される場合、ユーザBのアカウントIDは受金IDである。情報通信端末装置40Aは、これを受けて、資金移動の依頼を資金移動事業者システム30に送信する(S1001)。資金移動事業者システム30は、ユーザAの情報通信端末装置40Aから資金移動の依頼を受信すると、ユーザ情報データベース312を参照して、ユーザA及びBの預金口座に関する口座情報をそれぞれ取得する(S1002)。続いて、資金移動事業者システム30は、資金移動の依頼及び取得した口座情報に基づいて、リダイレクト要求を生成し、これを金融機関システム20に送信する(S1003)。
【0083】
金融機関システム20は、資金移動事業者システム30からリダイレクト要求を受信すると、該リダイレクト要求に基づいて、送金依頼画面に関するデータを生成し、これを情報通信端末装置40Aに送信する(S1004)。これを受けて、情報通信端末装置40Aは、ユーザインターフェース部430上に例えば図12に示すような送金依頼画面1200を表示する。すなわち、情報通信端末装置40Aは、上述したように、金融機関システム20から送信された画面データに基づく送金依頼画面(図示せず)の表示レイヤーに対して上位の表示レイヤーに資金移動事業者が用意した送金依頼画面1200を表示する(ユーザAにとっては送金確認画面として認識される。)。一例として、金融機関システム20から提供される送金依頼画面は、インターネットバンキングサービスにおける送金依頼画面であり得る。これにより、ユーザAは、資金移動事業者の図11に示した資金移動依頼画面1100から金融機関のインターネットバンキングサービスにおける送金依頼画面に関連付けられた送金依頼画面1200にシームレスに誘導されることになる。ユーザAは、例えば、送金依頼画面1200の提示を受ける際に、インターネットバンキングサービスに対するログインID及びパスワードの入力が要求されても良い。送金依頼画面1200は、例えば、リダイレクト要求に含まれる送金依頼額に加え、送金者であるユーザAのアカウント及び/又は受金者であるユーザBのアカウントに関する情報を含み得る。また、送金依頼画面1200は、該アカウント情報に代えて又は加えて、送金者であるユーザAのアカウント及び/又は受金者であるユーザBの預金口座に関する情報を含み得る。ユーザAは、送金依頼画面1200に対して、例えば、追加の認証として、取引用パスワードを入力し得る。情報通信端末装置40Aは、上述したように、送金依頼画面1200に対してユーザAにより入力された情報を、インターネットバンキングサービスの送金依頼画面への入力情報に変換した上で、金融機関システム20に送金の依頼を送信する(S1005)。
【0084】
金融機関システム20は、情報通信端末装置40Aから送金の依頼を受信すると、ユーザAの預金口座からユーザBの預金口座へ送金依頼額の送金(振替)処理を実行する(S1006)。金融機関システム20は、送金処理を完了すると、ユーザA及びBの第2メールアドレスを用いて送金完了メールをそれぞれ送信する(S1007)。送金完了メールは、送金者であるユーザA用の送金完了メール及び受金者であるユーザB用の送金完了メール(受金完了メール)である。また、インターネットバンキングサービス用にユーザA及び/又はBの別のメールアドレスが登録されている場合には、金融機関システム20は、該メールアドレス宛てにも送金完了メールを送信しても良い。他の例として、ユーザA及びBの第2メールアドレスは、メーリングリストに登録されても良く、送金完了メールはメーリングリストに従って送信され得る。
【0085】
資金移動事業者システム30は、ユーザA及びBの第2メールアドレス宛ての送金完了メールを受信すると、資金移動の依頼及び送金完了メールに基づいて、取引履歴データベース314を更新する(S1008)。また、資金移動事業者システム30は、ユーザA及びBの第2メールアドレス宛ての送金完了メールに基づいて、ユーザA及びB宛の送金完了メールを生成し、これを第1メールアドレス宛てに送信しても良い。図13は、送金者であるユーザAの情報通信端末装置40Aのユーザインターフェース部430上に表示された送金完了メールの一例を示し、図14は、受金者であるユーザBの情報通信端末装置40Bのユーザインターフェース部430上に表示された受金完了メールの一例を示している。他の例として、資金移動事業者システム30は、第2メールアドレスにより受信した送金完了メールを、第1メールアドレス宛てに転送しても良い。
【0086】
以上のように、本開示における資金移動管理システム1において、資金移動事業者システム30は、送金者であるユーザからの資金移動の依頼があった場合、該ユーザを金融機関システム20のインターネットバンキングサービスにシームレスに誘導しつつ、インターネットバンキングの送金依頼画面としてユーザに意識させないようにすることができる。したがって、資金移動事業者は、ユーザの操作の下、インターネットバンキングサービスにおける送金依頼画面1200を介した金融機関システム20内における送金の依頼を実現することができる。金融機関システム20は、該送金の依頼に基づいて、ユーザ(すなわち送金者及び受金者)の預金口座間の送金処理を完了すると、第2メールアドレスを用いて送金完了メールを資金移動事業者システム30に送信するので、資金移動事業者システム30は、金融機関システム20内で送金処理が完了したことを認識することができる。そして、資金移動事業者システム30は、該送金完了メールに基づいて、資金移動依頼があったユーザのアカウントの取引履歴を正しく記録することができる。
【0087】
図15は、本発明の一実施形態に係る資金移動事業者システムにおける資金移動サービスに関わる処理の一例を説明するためのフローチャートである。該処理は、例えば、資金移動事業者システム30を構成するコンピューティングデバイスのプロセッサが、所定の資金移動管理プログラムを実行することにより実現される。該処理に先立ち、資金移動事業者システム30におけるユーザ情報データベース312には、例えば図16に示すようなユーザ情報が登録されているものとする。なお、同図は、理解を容易にするため、図4に示したユーザ情報データベース312に格納されたデータ項目のうち、該処理に特に関連するデータ項目を選択的に示している。
【0088】
図15に示すように、資金移動事業者システム30の資金移動管理部332は、ユーザの情報通信端末装置40から資金移動の依頼を受信するまで待機する(S1501)。今、資金移動管理部332は、送金者であるユーザAの情報通信端末装置40Aから資金移動依頼を受信したとすると(S1501のYes)、資金移動管理部332は、資金移動依頼に基づく資金移動可能であるか否かを判断する(S1502)。資金移動可能であるか否かは、例えば、受金者であるユーザBのアカウントが存在するか否か等に基づいて判断され得る。資金移動管理部332は、資金移動可能でないと判断する場合(S1502のNo)、例えばその理由を示すエラーメッセージを生成し、ユーザAの情報通信端末装置40Aに該エラーメッセージを送信する(S1507)。例えば、ユーザBのアカウントが存在しない場合、資金移動管理部332は、受金者が存在しない旨のエラーメッセージを生成し、ユーザAの情報通信端末装置40Aに該エラーメッセージを送信する。なお、本開示では、ユーザAの残高不足により資金移動可能でない場合については、資金移動事業者システム30は、金融機関システム20における送金処理不能の判断に依拠するものとするが、これに限られず、資金移動事業者システム30がユーザAの残高を保持する態様では、これを事前に確認するものであっても良い。
【0089】
資金移動管理部332は、資金移動可能であると判断した場合(S1502のYes)、資金移動依頼に基づいて、ユーザ情報データベース312を参照して、ユーザA及びBのそれぞれの預金口座を特定する(S1503)。例えば、ユーザA及びBのそれぞれの預金口座は、一対に関連付けられたアカウントIDから特定される。続いて、資金移動管理部332は、特定した預金口座を示す預金口座情報を含むリダイレクト要求を金融機関システム20に送信し(S1504)、金融機関システム20から送信される送金処理の状態通知(送金完了メール)を受信するまで待機する(S1505)。
【0090】
金融機関システム20は、リダイレクト要求を受信すると、ユーザAをインターネットバンキングサービスの送金依頼画面に誘導して、情報通信端末装置40Aに上述したような送金依頼画面1200が表示されるように制御を行う。金融機関システム20は、送金依頼画面1200を介して情報通信端末装置40Aから受信した送金の依頼に従って送金処理を実行すると、送金完了メールを資金移動事業者システム30に送信する。なお、金融機関システム20におけるかかる処理については、図17を参照して説明される。
【0091】
資金移動管理部332は、金融機関システム20から、第2メールアドレスを介して資金移動の依頼に対応する送金完了メール(送金処理の状態通知)を受信すると(S1506のYes)、資金移動の依頼及び送金完了メールの内容に基づいて、取引履歴データベース314を更新する(S1506)。例えば、資金移動管理部332は、資金移動の依頼と送金完了メールとを突合することにより送金処理が完了したことを確認すると、取引履歴データベース314におけるユーザAの取引履歴データに新たな取引データを追加する。代替的又は追加的に、資金移動事業者システム30が勘定データベースを備える場合には、資金移動管理部332は、送金処理の完了を受けて、アカウントの残高から送金依頼額だけ減算する一方、ユーザBのアカウントの残高に送金依頼額を加算するように構成されても良い。これにより、資金移動事業者システム30は、ユーザA及びBのアカウントの残高と、金融機関システム20におけるユーザA及びBの預金口座の残高とを一致させることができる。
【0092】
図17は、本発明の一実施形態に係る金融機関システムにおける資金移動サービスに関連する送金サービス処理を説明するためのフローチャートである。該処理は、例えば、金融機関システム20の情報系サーバのプロセッサが、例えば送金サービス処理プログラムを実行することにより実現される。
【0093】
同図に示すように、金融機関システム20は、資金移動サービスに関連する送金サービスにおいて、資金移動事業者システム30からリダイレクト要求を受信するまで待機している(S1701)。金融機関システム20は、資金移動事業者システム30からリダイレクト要求を受信すると(S1701のYes)、該リダイレクト要求に基づいて、インターネットバンキングサービスにおける送金依頼画面に関するデータを生成し、これをユーザの情報通信端末装置40に送信する(S1702)。これにより、情報通信端末装置40のユーザインターフェース部430上にインターネットバンキングサービスにおける送金依頼画面1200が表示される。送金依頼画面1200の提示に際して、ユーザには、例えば、インターネットバンキングサービスに対するログインID及びログインパスワードの入力が要求され得る。
【0094】
送金依頼画面に関するデータを送信した金融機関システム20は、ユーザの情報通信端末装置40から送金依頼を受信するまで待機する(S1703)。金融機関システム20は、情報通信端末装置40から送金依頼を受信すると(S1703のYes)該送金依頼に基づいて、送金処理及びこれに伴う勘定処理を実行する(S1704)。金融機関システム20は、該送金処理が完了すると、送金依頼に対する送金完了メールを生成し、資金移動事業者システム30に送信し(S1705)、送金処理を終了する。送金完了メールは、送金者であるユーザ用の送金完了メール及び受金者であるユーザ用の送金完了メール(受金完了メール)を含む。すなわち、金融機関システム20は、送金者であるユーザの第2メールアドレス宛てに送金依頼額の送金が完了した旨を示す送金完了メールを送信するとともに、受金者であるユーザの第2メールアドレス宛てに送金依頼額に相当する額の受金があった旨を示す受金完了メールを送信する。資金移動事業者システム30は、第2メールアドレス宛の送金完了メールをメールサーバ(図示せず)で受信し、資金移動管理部332は、メールサーバに到着した送金完了メールを取得する。上述したように、資金移動事業者システム30は、送金完了メールの受信により、ユーザの預金口座間の送金処理が完了したものと認識して、取引履歴データベース314を更新する。
【0095】
以上のように、本実施形態によれば、一のユーザ(送金者)は、情報通信端末装置40又はサービス端末装置50を操作して、他のユーザ(受金者)のアカウントへ所定額の電子マネーの資金移動の依頼を行うことにより、送金者自身のアカウントにある所定額の電子マネーを受金者のアカウントに移動させることができる。とりわけ、資金移動事業者システム30は、各ユーザについて、該ユーザのアカウントと金融機関の支店内の預金口座とを一対にして管理しているので、送金者であるユーザから資金移動の依頼を受け付けると、該ユーザを金融機関システム20のインターネットバンキングサービスにシームレスに誘導することができ、インターネットバンキングサービスにおける送金の依頼により、該ユーザに対して、金融機関内の預金口座間の送金(振替)サービスをあたかもアカウント間の資金移動サービスのように見せかけることができる。
【0096】
また、本実施形態によれば、資金移動事業者は、金融機関から送金処理の状態に関する通知を受領することができるので、金融機関における預金口座間の送金が完了したことを認識することができ、該送金処理の状態に関する通知に従って、ユーザ(すなわち送金者及び受金者)のアカウントの取引履歴を正しく記録することができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、金融機関における送金処理は、金融機関内又はその同一店支店内で実行されるため、ユーザ及び/又は資金移動事業者は、金融機関に対する手数料を支払う必要がないか、手数料を低く抑えられる。
【0098】
また、本実施形態によれば、資金移動事業者においては、ユーザのアカウントの勘定取引が発生するところ、現金は、資金移動事業者が自ら預かるわけではなく、支店内のユーザの預金口座に預け入れられたままであるため、滞留資金(未達債務)であるとはみなされず、資金移動事業者は、資金決済法に従い、供託所に供託する必要がないか、或いは最低供託額の範囲での供託で良く、過度な資金負担から開放されることになる。
【0099】
(変形例1)
上記の実施形態では、資金移動事業者システム30は、金融機関システム20から受信した送金完了メールに基づいて、金融機関システム20における預金口座間での送金処理の完了を認識したが、例えば、資金移動事業者システム30と金融機関システム20との間のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)接続を介して、送金処理の状態を確認しても良い。
【0100】
例えば、金融機関システム20は、勘定系24のデータベースにおける送金処理の状態を参照可能にする参照系API接続を提供する。資金移動事業者システム30の資金移動管理部332は、資金移動依頼に従って金融機関システム20により送金処理が実行される場合に、参照系API接続により、所定のタイミングで(例えば、30秒、1分、3分、5分又は10分等の設定時間経過ごとに)、勘定系24のデータベースを参照し、送金処理の状態を取得する。
【0101】
或いは、金融機関システム20は、勘定系24のデータベースにおける送金処理の状態を更新可能にする更新系API接続を提供する。資金移動事業者システム30の資金移動管理部332は、資金移動依頼に従って金融機関システム20により送金処理が実行される場合に、更新系API接続により、所定のタイミングで(例えば、30秒、1分、3分、5分又は10分等の設定時間経過ごとに)、勘定系24のデータベースにアクセスし、送金処理の状態を取得する。
【0102】
以上のように、資金移動事業者システム30は、API接続を介して、ユーザの資金移動依頼に従った送金依頼に対する金融機関システム20における送金処理の状態を確認することができるので、該送金処理が完了したことを確認した場合に、取引履歴データベース314における取引履歴を記録するとともに、また、送金処理が完了したことをユーザに通知することができるようになる。
【0103】
また、上記のような送金処理の状態の確認に限らず、金融機関システム20は、送金処理の依頼を受け付け可能にする更新系APIを提供しても良い。例えば、資金移動事業者システム30の資金移動管理部332は、資金移動依頼画面(又は送金依頼画面)により受け付けた送金依頼を、更新系API接続により、金融機関システム20に直接的に依頼するように構成されても良い。
【0104】
(変形例2)
資金移動事業者システム30は、例えば、ユーザの預金口座の開設にあたり、アカウント管理部320が金融機関システム20にリダイレクト要求を送信し、金融機関システム20が提供するインターネットバンキングサービスの預金口座開設依頼画面に誘導するように構成されても良い。金融機関システム20は、ユーザによる預金口座開設の依頼に基づいて、ユーザの預金口座を開設した後、資金移動事業者システム30に預金口座を開設した旨を通知すると、資金移動事業者システム30が該ユーザの登録を完了させることができるように、預金口座に関する情報を資金移動事業者システム30に送信する。
【0105】
[第2の実施形態]
本実施形態は、資金移動事業者が、資金移動依頼を受け付けた場合に、インターネットバンキングサービスの送金依頼画面を介することなく、送金者であるユーザに代わって、金融機関に、直接、資金移動依頼に基づく送金依頼を送信し、その送金処理の完了通知を受け取るようにした資金移動サービスである。
【0106】
図18は、本発明の一実施形態に係る資金移動管理システムにおける資金移動サービスのスキームの一例を概略的に説明するための図である。
【0107】
同図に示すように、まず、送金者であるユーザAは、情報通信端末装置40Aを操作して、例えばユーザID及びパスワードを入力して認証を受けた後、図11に示したような資金移動依頼画面1100において送金先(受金者)であるユーザBのアカウントID及び資金移動依頼額等を入力する。情報通信端末装置40Aは、これを受けて、資金移動の依頼を資金移動事業者システムに送信する(S1801)。資金移動事業者システム30は、ユーザAの情報通信端末装置40Aから資金移動の依頼を受信すると、ユーザ情報データベース312を参照して、ユーザA及びBの預金口座をそれぞれ取得する(S1802)。続いて、資金移動事業者システム30は、資金移動依頼及び取得した預金口座に基づいて、送信の依頼を生成し、これを金融機関システム20に送信する(S1803)。
【0108】
金融機関システム20は、資金移動事業者システム30から送金の依頼を受信すると、ユーザAの預金口座からユーザBの預金口座へ送金依頼額の送金(振替)処理を実行する(S1804)。金融機関システム20は、送金処理を完了すると、ユーザA及びBの第2メールアドレス宛てに送金完了メールをそれぞれ送信する(S1805)。
【0109】
資金移動事業者システム30は、ユーザA及びBの第2メールアドレス宛ての送金完了メールを受信すると、資金移動依頼及び送金完了メールに基づいて、取引履歴データベース314を更新する(S1806)。また、インターネットバンキングサービス用にユーザA及び/又はBの別のメールアドレスが登録されている場合には、金融機関システム20は、該メールアドレス宛てにも送金完了メールを送信しても良い。
【0110】
以上のように、本開示における資金移動管理システム1において、資金移動事業者システム30は、送金者であるユーザの資金移動依頼に基づく送金依頼を金融機関システム20の直接的に送信するので、ユーザは、インターネットバンキングサービスにおける送金依頼画面に対して入力する手間を省くことができる。また、本実施形態においても、金融機関システム20は、該送金依頼に基づいて、ユーザ(すなわち送金者及び受金者)の預金口座間の送金処理を完了すると、第2メールアドレスを用いて送金完了メールを資金移動事業者システム30に送信するので、資金移動事業者システム30は、金融機関システム20内で送金処理が完了したことを認識することができる。そして、資金移動事業者システム30は、該送金完了メールに基づいて、資金移動依頼があったユーザのアカウントの取引履歴を正しく記録することができる。
【0111】
なお、本実施形態においても、資金移動管理システム1は、資金移動事業者システム30が、API接続を介して、金融機関システム20から送金処理の状態を確認するように構成されても良い。
【0112】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0113】
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
【0114】
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
1…資金移動管理システム
10…通信ネットワーク
20…金融機関システム
22…チャネル系
24…勘定系
26…情報系
30…資金移動事業者システム
310…業務管理データベース
312…ユーザ情報データベース
314…取引履歴データベース
320…アカウント管理部
322…預金口座開設依頼部
330…取引管理部
332…資金移動管理部
40…情報通信端末装置
410…制御部
420…記憶部
430…ユーザインターフェース部
440…通信インターフェース部
50…サービス端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19