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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】防水シート及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/28 20060101AFI20240918BHJP
   E04H 15/54 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
E04G21/28 B
E04H15/54
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020137444
(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公開番号】P2021092135
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2019215886
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)株式会社イーパックへの公開,令和1年3月28日 (2)名古屋製鋼株式会社への公開,令和1年5月14日 (3)NPO法人コメリ災害対策センターへの公開,令和1年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】519426276
【氏名又は名称】松王 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】松王 夏樹
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3080903(JP,U)
【文献】特開2003-097051(JP,A)
【文献】登録実用新案第3167735(JP,U)
【文献】登録実用新案第3116572(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0150537(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/24
E04G 21/28
E04G 21/32
E04H 15/00-15/64
E04D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水シート本体部と、
防水シート本体部の外縁を為す各辺部のうち少なくとも1つの辺部に沿って設けられた防水シート筒状部と
で構成され、
防水シート本体部の外縁に沿った箇所を外方に引っ張るための引っ張り用棒材を防水シート筒状部に通すことができるようにするとともに、
防水シート本体部を表裏に貫通する複数の鳩目穴が、防水シート本体部における防水シート筒状部が設けられていない辺部に沿って所定間隔で形成された
ことを特徴とする防水シート。
【請求項2】
防水シート本体部と、
防水シート本体部の外縁を為す各辺部のうち少なくとも1つの辺部に沿って設けられた防水シート筒状部と
で構成され、
防水シート本体部の外縁に沿った箇所を外方に引っ張るための引っ張り用棒材を防水シート筒状部に通すことができるようにするとともに、
防水シート本体部の外縁付近に重なり、当該外縁よりも外方に突出する帯状片が、防水シート本体部における防水シート筒状部が設けられていない辺部に沿って取り付けられた
ことを特徴とする防水シート。
【請求項3】
防水シート本体部における防水シート筒状部に沿った箇所を他の防水シートに連結するための筒状部側連結部が設けられ
筒状部側連結部が、防水シート本体部における防水シート筒状部に沿った箇所に固定された面ファスナとされ、当該面ファスナを利用して他の防水シートに連結するものとされた請求項1又は2記載の防水シート。
【請求項4】
防水シート本体部と、
防水シート本体部の外縁を為す各辺部のうち少なくとも1つの辺部に沿って設けられた防水シート筒状部と
で構成され、
防水シート本体部の外縁に沿った箇所を外方に引っ張るための引っ張り用棒材を防水シート筒状部に通すことができるようにするとともに、
防水シート本体部における防水シート筒状部に沿った箇所を他の防水シートに連結するための筒状部側連結部が設けられ、
筒状部側連結部が、防水シート本体部における防水シート筒状部に沿った箇所に1つの辺部を固定されたフラップ部材からなり、当該フラップ部材に形成された複数の鳩目穴を利用して他の防水シートに連結するものとされた
ことを特徴とする防水シート。
【請求項5】
防水シート筒状部が、防水シート本体部の外縁を為す各辺部のうち対向する2つの辺部に沿って設けられた請求項1~4いずれか記載の防水シート。
【請求項6】
防水シート本体部が矩形状を為し、
防水シート筒状部が、防水シート本体部の外縁を為す各辺部のうち少なくとも1つの短辺部に沿って設けられた請求項1~5いずれか記載の防水シート。
【請求項7】
防水シート本体部が矩形状を為し、
防水シート筒状部が、防水シート本体部の外縁を為す各辺部のうち少なくとも1つの長辺部に沿って設けられた請求項1~5いずれか記載の防水シート。
【請求項8】
防水シート本体部の長手方向中途部分で防水シート本体部を短手方向にわたって支持する支持用紐材又は支持用棒材を通すための紐通し部又は棒通し部が、防水シート本体部の片面又は両面に設けられた請求項1~いずれか記載の防水シート。
【請求項9】
請求項1~いずれか記載の防水シートの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水シートと、その施工方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
台風や洪水等の災害で建物が損傷した際には、応急処置として、建物の損傷箇所を樹脂製の防水シートで覆うことが行われている。この種の防水シートは、青色をしたものが多いことから、「ブルーシート」と呼ばれることも多い。ブルーシートは、建築現場が風雨に晒されないようにするための養生シートや、建築現場から騒音や粉塵が漏れないようにするための防音シート又は防塵シートや、作業現場を目隠しするための目隠しシート等としても一般的に用いられている。また、ブルーシートは、バーベキューや花見等、野外での活動時に、敷物にしたり、日陰や雨除けを作ったりするために使用されることもある。このように、ブルーシートは、多目的に使用されている。
【0003】
しかし、ブルーシートは、薄く軽量であるため、使用時に風に煽られやすいという欠点を有していた。例えば、建物の雨漏りを防ぐために、屋根の上にブルーシートを張った場合では、ブルーシートと屋根との間に風が入り込んで、ブルーシートが浮き上がった状態となりやすかった。このため、ブルーシートが飛ばされるおそれや、ブルーシートの位置がズレてしまってブルーシートが所望の機能(雨漏り防止の機能等)を果たせなくなるおそれがあった。また、ブルーシートのバタツキ音が騒音となるおそれもあった。
【0004】
このような実状に鑑みてか、これまでには、風に煽られにくい工夫を施した防水シート(ブルーシート等)がいくつか提案されている。例えば、特許文献1の図4には、シート本体1に多数の通風孔8を形成するとともに、これらの通風孔8をフラップ9で覆った構造のシートSが記載されている。このシートSでは、同文献の図5(A)に示されるように、シートSの下側に風が入り込むと、その風圧でフラップ9が上側に捲れ上がることで、シートSにかかる風圧を通風孔8から逃すことができるようになっている。また、特許文献2の図2には、周囲の四辺部に沿って嚢袋4を設けた防水シート1が記載されている。この防水シート1では、嚢袋4に水を溜めることによって、嚢袋4を錘として機能させ、防水シート1の四辺部が浮き上がらないようにすることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-227133号公報
【文献】特開2003-097051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1の図4のシートSでは、雨が降っているときにフラップ9が捲れ上がると、雨水が通風孔8を通じてシートSの下側に侵入するおそれがあった。このため、シートSの防水機能が十分に発揮されないおそれがあった。また、特許文献2の図2の防水シート1は、嚢袋4に水を入れる必要があり、水道のない場所では使用しにくいという欠点を有していた。加えて、屋根等の高い場所に防水シート1を施工する場合には、その高い場所まで水を運ばなければならない等、施工に手間を要するものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、防水機能を犠牲にすることなく、風に煽られにくい状態で施工することができる防水シートを提供するものである。また、容易に施工することができる防水シートを提供することも本発明の目的である。さらに、この防水シートの施工方法を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、
防水シート本体部と、
防水シート本体部の外縁を為す各辺部のうち少なくとも1つの辺部に沿って設けられた防水シート筒状部と
で構成され、
防水シート本体部の外縁に沿った箇所を外方に引っ張るための引っ張り用棒材を防水シート筒状部に通すことができるようにした
ことを特徴とする防水シート
を提供することによって解決される。
ここで、「防水シート本体部」という語句は、防水シートの全体から、防水シート筒状部や、後述する帯状片や紐通し部材や棒通し部材等を除外した部分を指すものとして用いている。
【0009】
施工後の防水シートが弛んでいたり、防水シートの外縁とその施工対象面との間に隙間があると、防水シートの下側に風が入り込み、防水シートが風で煽られて浮き上がるおそれがあるところ、本発明の防水シートは、防水シート本体部の辺部に沿って設けられた防水シート筒状部に引っ張り用棒材を通し、その引っ張り用棒材を外方に引っ張ることで、弛みがないように張った状態とすることができるものとなっている。加えて、引っ張り用棒材によって防水シートの外縁を施工対象面に押し付けた状態とすることもできるようになっている。このため、施工後の防水シートが風に煽られて浮き上がりにくくすることが可能となっている。
【0010】
本発明の防水シートにおいて、防水シート本体部におけるどの辺部に防水シート筒状部を設けるかは、特に限定されない。しかし、防水シート本体部の外縁を為す各辺部のうち対向する2つの辺部に沿って防水シート筒状部を設けることが好ましい。これにより、一方の防水シート筒状部に通された引っ張り用棒材と、他方の防水シート筒状部に通された引っ張り用棒材とを、互いに離反する向きに引っ張ることで、防水シートをさらに張った状態に施工しやすくなる。また、防水シートの外縁と施工対象面との間に隙間がさらに形成されにくくすることもできる。
【0011】
本発明の防水シートにおいて、防水シート本体部の形状は、特に限定されないが、通常、矩形状(長方形状)とされる。この場合には、防水シート筒状部を、防水シート本体部の外縁を為す各辺部のうち少なくとも1つの短辺部に沿って設けることができる。また、防水シート筒状部を、防水シート本体部の外縁を為す各辺部のうち少なくとも1つの長辺部に沿って設けることもできる。防水シート筒状部を、防水シート本体部の短辺部に設けるか長辺部に設けるかは、防水シートの施工態様等に応じて適宜決定される。
【0012】
本発明の防水シートにおいては、防水シート本体部を表裏に貫通する複数の鳩目穴を、防水シート本体部における防水シート筒状部が設けられていない辺部に沿って所定間隔で形成することも好ましい。この鳩目穴に、ロープやワイヤ等を通したり、ペグを打ち込んだりすることで、防水シート本体部(防水シート)の外縁における、防水シート筒状部が設けられていない箇所(引っ張り用棒材が通されていない箇所)も、外方に引っ張ったり、施工対象面に押し付けた状態とすることが可能になる。また、一の防水シートを他の防水シートに連結する際に、この鳩目穴を利用することも可能になる。
【0013】
本発明の防水シートにおいては、防水シート本体部の外縁付近に重なり、当該外縁よりも外方に突出する帯状片を、防水シート本体部における防水シート筒状部が設けられていない辺部に沿って取り付けることも好ましい。複数枚の防水シートを並べて施工する場合には、通常、隣り合う防水シートは、引っ張り用棒材が挿入されていない辺部(防水シート筒状部が設けられていない辺部)同士が重なるように配していくが、上記構成を採用することによって、前記帯状片を隣の防水シートにオーバーラップさせ、隣り合う防水シートの重なり代を広く確保することができるからである。また、防水シート本体部(防水シート)における、前記帯状片が設けられた縁部に上記の鳩目穴が形成されている場合には、その鳩目穴を帯状片で覆って、その鳩目穴から雨水等が侵入しにくくすることもできる。
【0014】
本発明の防水シートにおいては、防水シート本体部の長手方向中途部分で防水シート本体部を短手方向にわたって支持する支持用紐材又は支持用棒材を通すための紐通し部材又は棒通し部材を、防水シート本体部の片面又は両面に設けることも好ましい。これにより、防水シート本体部(防水シート)における長手方向中途部分が浮き上がらないようにすることが可能になる。また、後掲する図5に示すようなタープを施工する場合には、防水シート本体部(防水シート)の長手方向中途部分が垂れさがらないように、紐通し部材に通した支持用紐材や、棒通し部材に通した支持用棒材で、防水シート本体部(防水シート)を支持することも可能になる。
【0015】
本発明の防水シートにおいては、防水シート本体部における防水シート筒状部に沿った箇所を他の防水シートに連結するための筒状部側連結部を設けることも好ましい。これにより、防水シート筒状部に略垂直な方向に複数枚の防水シートを連結する施工ができるようになり、防水シートの施工自由度を高めることが可能になる。
【0016】
上記の筒状部側連結部を設ける態様は、特に限定されないが、例えば、以下のものが例示される。まず、筒状部側連結部を、防水シート本体部における防水シート筒状部に沿った箇所に1つの辺部を固定されたフラップ部材とし、当該フラップ部材に形成した複数の鳩目穴を利用して他の防水シートに連結するものが挙げられる。以下においては、この態様の筒状部側連結部を「鳩目フラップ型の筒状部側連結部」と呼ぶことがある。鳩目フラップ型の筒状部側連結部には、紐や結束バンド等を鳩目に通すことで、防水シートを強固に連結できるというメリットがある。
【0017】
また、筒状部側連結部を、防水シート本体部における防水シート筒状部に沿った箇所に固定された面ファスナとし、当該面ファスナを利用して他の防水シートに連結するものが挙げられる。以下においては、この態様の筒状部側連結部を「面ファスナ型の筒状部側連結部」と呼ぶことがある。面ファスナ型の筒状部側連結部には、防水シートの連結を容易に行うことができるというメリットがある。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によって、防水機能を犠牲にすることなく、風に煽られにくい状態で施工することができる防水シートを提供することが可能になる。また、容易に施工することができる防水シートを提供することも可能になる。さらに、この防水シートの施工方法を提供することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る第一実施態様の防水シートを示した斜視図である。
図2】本発明に係る第二実施態様の防水シートを示した斜視図である。
図3】本発明に係る第三実施態様の防水シートを示した斜視図である。
図4】本発明の防水シートを建物の屋根の上に施工した状態を示した斜視図である。
図5】本発明の防水シートでタープを施工した状態を示した斜視図である。
図6】本発明に係る第四実施態様の防水シートを示した斜視図である。
図7】本発明に係る第四実施態様の防水シートを建物の屋根の上に施工した状態を屋根の側方から見た状態を示した図である。
図8】本発明に係る第五実施態様の防水シートを示した斜視図である。
図9】本発明に係る第六実施態様の防水シートを示した斜視図である。
図10】本発明に係る第五実施態様の防水シートと第六実施態様の防水シートとを建物の屋根の上に施工した状態を屋根の側方から見た状態を示した図である。
図11】本発明に係る第七実施態様の防水シートを示した斜視図である。
図12】本発明に係る第八実施態様の防水シートを示した斜視図である。
図13】本発明に係る第七実施態様の防水シートと第八実施態様の防水シートとを建物の屋根の上に施工した状態を屋根の側方から見た状態を示した図である。
図14】本発明に係る第九実施態様の防水シートを示した斜視図である。
図15】本発明に係る第十実施態様の防水シートを示した斜視図である。
図16】本発明に係る第九実施態様の防水シートと第十実施態様の防水シートとを建物の屋根の上に施工した状態を屋根の側方から見た状態を示した図である。
図17】本発明に係る第十一実施態様の防水シートを示した斜視図である。
図18】本発明に係る第十二実施態様の防水シートを示した斜視図である。
図19】本発明に係る第十一実施態様の防水シートと第十二実施態様の防水シートとを建物の屋根の上に施工した状態を屋根の側方から見た状態を示した図である。
図20】本発明の防水シートの折り畳み方の一例を説明する図である。
図21】本発明の防水シートの折り畳み方の他例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の防水シートの好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、12の実施態様(第一実施態様~第十二実施態様)を例に挙げて、本発明の防水シートを説明する。しかし、本発明の防水シートの技術的範囲は、これらの実施態様に限定されない。本発明の防水シートは、発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更を施すことができる。
【0021】
1.第一実施態様の防水シート
まず、第一実施態様の防水シートについて説明する。図1は、本発明に係る第一実施態様の防水シート10を示した斜視図である。
【0022】
第一実施態様の防水シート10は、図1に示すように、矩形状(長方形状)を為す防水シート本体部11(同図において点P,P,P,Pで囲んだ部分)と、防水シート本体部11の一対の短辺部P,Pのうち一方の短辺部Pに沿って設けられた防水シート筒状部12(同図において点P,P,P,Pで囲んだ部分)とを備えている。防水シート筒状部12には、後掲する図4に示すように、引っ張り用棒材20を通すことができるようになっている。このため、防水シート10を弛みのない張った状態に施工しやすくなることに加えて、引っ張り用棒材20で防水シート10の外縁を施工対象面αに対して押し付けた状態とすることができるようになっている。したがって、施工後の防水シートが風で煽られて浮き上がらないようにすることが可能になる。
【0023】
防水シート本体部11及び防水シート筒状部12は、別部材からなるものを、縫着、接着又は溶着等することによって互いに固定したものであってもよいが、第一実施態様の防水シート10では、同一部材(連続した1枚のシート材)で形成したものとなっている。すなわち、矩形状(長方形状)を為す1枚のシート材の縁部付近を、折線P図1)に沿って折り返すことで、そのシート材の縁部付近にシート材が2重に重なった重合部(図1における点P,P,P,Pで囲んだ部分)を形成し、その重合部で重なったシート材を、重合部の内側の縁部(図1における線分P)に沿って縫着等することで、その重合部が防水シート筒状部12になるようにしている。これにより、防水シート10の部品点数を減らすことが可能となっている。
【0024】
防水シート本体部11及び防水シート筒状部12を形成するシート材は、防水性を有するのであれば、その種類を特に限定されないが、通常、合成樹脂からなるシート材や、合成樹脂を基材に一体化させたシート材等が用いられる。合成樹脂としては、ポリエチレンやプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、テトラフルオロエチレン等の熱可塑性樹脂が例示される。これらの合成樹脂は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、合成樹脂を一体化させる基材としては、塩化ビニルフィルム、帆布、塗装用メッシュシート、塩化ビニルターポリンシート、ポリエチレン又はポリプロピレン製ラミクロスシート、不織布等が例示される。防水シート本体部11及び防水シート筒状部12を形成するシート材の厚さは、特に限定されないが、概ね0.1~0.5mmの範囲内とされる。
【0025】
防水シート筒状部12は、防水シート本体部11の辺部Pに沿って断続的に設けてもよいが、第一実施態様の防水シート10においては、図1に示すように、辺部Pの全区間に亘って連蔵的に設けている。これにより、防水シート本体部11の辺部Pの全区間を、引っ張り用棒材(図4)で均等に引っ張ることが可能になる。したがって、施工後の防水シート10に弛みやシワ等が形成されにくくすることができる。
【0026】
防水シート筒状部12の幅(防水シート筒状部12を扁平に押し潰したときの幅。図1における「幅W」を参照。)は、特に限定されない。しかし、防水シート筒状部12の幅Wを狭くしすぎると、防水シート筒状部12に細い引っ張り用棒材20しか通すことができなくなる。また、防水シート筒状部12に引っ張り用棒材20を通しにくくなるおそれもある。このため、防水シート筒状部12の幅Wは、5cm以上とすることが好ましい。防水シート筒状部12の幅Wは、10cm以上とすることがより好ましく、15cm以上とすることがさらに好ましい。
【0027】
ただし、防水シート筒状部12の幅Wを広くしすぎても、あまり意味がない。このため、防水シート筒状部12の幅Wは、通常、50cm以下とされる。防水シート筒状部12の幅Wは、40cm以下とすることが好ましく、30cm以下とすることがより好ましい。第一実施態様の防水シート10においては、防水シート筒状部12の幅Wを、25cmとしている。これにより、建築現場等で余った角材(建築用の角材は、その断面における一辺の長さが20~100mmの範囲であるものが多い。)を、引っ張り用棒材20として使用することが可能になる。
【0028】
防水シート本体部11の各辺部の長さL,L図1)は、特に限定されない。しかし、防水シート本体部11の各辺部の長さL,Lを短くしすぎると、防水シート10の面積が小さくなり、施工対象面が広い場合に多数枚の防水シート10を施工する必要が生じる。このため、防水シート本体部11の各辺部の長さL,Lは、通常、0.5m以上とされる。防水シート本体部11の各辺部の長さL,Lは、1m以上とすることが好ましく、1.5m以上とすることがより好ましい。特に、第一実施態様の防水シート10のように、防水シート本体部11が矩形状(長方形状)を為し、防水シート本体部11が短辺部P,Pと長辺部P,Pとを有する場合には、防水シート本体部11の長辺部の長さLは、2m以上とすることが好ましく、3m以上とすることがより好ましい。
【0029】
ただし、防水シート本体部11の各辺部の長さL,Lを長くしすぎると、防水シート10の面積が大きくなりすぎて、防水シート10の施工性が低下する。このため、防水シート本体部11の各辺部の長さL,Lは、通常、15m以下とされる。防水シート本体部11の各辺部の長さL,Lは、10m以下とすることが好ましく、7m以下とすることがより好ましい。特に、第一実施態様の防水シート10のように、防水シート本体部11が矩形状(長方形状)を為し、防水シート本体部11が短辺部P,Pと長辺部P,Pとを有する場合には、防水シート本体部11の短辺部の長さLは、5m以下とすることが好ましく、3m以下とすることがより好ましい。第一実施態様の防水シート10では、長辺部の長さLが5mで短辺部の長さLが1.5mのものと、長辺部の長さLが5mで短辺部の長さLが3mのものとの2種類を用意している。
【0030】
防水シート本体部11の辺部P,P,P(防水シート筒状部12が設けられていない辺部)に沿った箇所には、複数の鳩目穴13が、所定間隔で形成されている。これらの鳩目穴13は、防水シート本体部11を表裏に貫通した状態に設けられている。これらの鳩目穴13には、ロープやワイヤ等を通したり、ペグを打ち込むことができる。これにより、防水シート本体部11の外縁における、防水シート筒状部12が設けられていない箇所(引っ張り用棒材20が通されない箇所)も、外方に引っ張ったり、施工対象面に押し付けた状態とすることができる。これにより、防水シート10を、その施工態様等に応じて、より適切な状態で施工することが可能になる。
【0031】
鳩目穴13を設けるピッチは、特に限定されないが、通常、20~150cm、好ましくは、30~120cmとされる。第一実施態様の防水シート10においては、防水シート本体部11の長辺部P,Pに沿った箇所には、約100cmのピッチで鳩目穴13を設けており、防水シート本体部11の短辺部Pに沿った箇所には、約37cmのピッチで鳩目穴13を設けている。
【0032】
第一実施態様の防水シート10においては、防水シート本体部11における防水シート筒状部12が設けられていない辺部Pに沿って帯状片14(図1において点Q,Q,Q,Qで囲んだ部分)を取り付けている。この帯状片14は、防水シート本体部11の外縁(辺部P)付近に重なった状態となっている。帯状片14における長手方向に沿った一対の縁部(基端縁Q及び先端縁Q)のうち一方の縁部(基端縁Q)に沿った箇所は、防水シート本体部11に縫着されている。また、帯状片14の他方の縁部(先端縁Q)は、防水シート本体部11の外縁(辺部P)よりも外方に突出している。
【0033】
この帯状片14は、オーバーラップ部材として利用することができる。すなわち、複数枚の防水シート10を並べて施工する場合には、通常、隣り合う防水シート10は、引っ張り用棒材20が挿入されない縁部(防水シート筒状部12が設けられていない縁部)同士が重なるように配していく(一の防水シート10の縁部Pに、当該一の防水シート10の隣に配される他の防水シート10の縁部Pが重なるように配していく)が、このときに、帯状片14を隣に配される防水シート10の縁部にオーバーラップさせることができる。したがって、隣り合う防水シート10の重なり代を広く確保し、隣り合う防水シート10の境界部分から雨水等が侵入しないようにすることができる。加えて、防水シート10における、帯状片14が設けられた縁部Pに上記の鳩目穴13が形成されている場合には、その鳩目穴13を帯状片14で覆って、その鳩目穴13から雨水等が侵入しにくくすることもできる。帯状片14で覆われる鳩目穴13は、鳩目部材を用いない空打ち仕様としてもよい。
【0034】
帯状片14は、防水シート本体部11の縁部Pに沿って断続的に設けてもよいが、第一実施態様の防水シート10においては、図1に示すように、縁部Pの全区間に亘って連蔵的に設けている。これにより、隣り合う防水シート10の境界部分における略全体を帯状片14で覆い、その境界部分から雨水等がより侵入しにくくすることができる。
【0035】
帯状片14の突出幅(帯状片14における、防水シート本体部11の縁部Pから外方に突き出る部分の幅。図1における「幅W」を参照。)は、特に限定されない。しかし、帯状片14の突出幅Wを狭くしすぎると、隣り合う防水シート10の重なり代を広く確保しにくくなる。このため、帯状片14の突出幅Wは、1cm以上とすることが好ましい。帯状片14の突出幅Wは、3cm以上とすることが好ましく、5cm以上とすることがより好ましい。ただし、帯状片14の突出幅Wを広くしすぎると、帯状片14が風でバタツキやすくなる。このため、帯状片14の突出幅Wは、通常、20cm以下とされる。帯状片14の突出幅Wは、15cm以下とすることが好ましく、10cm以下とすることがより好ましい。第一実施態様の防水シート10において、帯状片14の突出幅Wは、約5cmとしている。
【0036】
また、第一実施態様の防水シート10においては、紐通し部15を、防水シート本体部11の片面に設けている。以下においては、防水シート本体部11における、紐通し部15が設けられた側の面を「オモテ面」と呼び、それとは反対側の面を「ウラ面」と呼ぶことがある。紐通し部15は、防水シート本体部11の長手方向中途部分における左側部分及び右側部分の2箇所に設けている。図1に示した例では、三角状の生地に鳩目穴をあけた部材(いわゆるペケット)を、紐通し部15として設けている。この紐通し部15には、後掲する図5に示すように、支持用紐材30を通すことができる。
【0037】
これにより、防水シート10の長手方向中途部分を支持用紐材30で支持することができる。したがって、防水シート10の長手方向中途部分が風等で浮き上がらないようにすることができる。後述するように、防水シート10の上側に、土嚢や水嚢等の嚢袋を置く場合には、その嚢袋を、支持用紐材30の端部に結んで嚢袋の位置がズレないようにすることもできる。その際には、紐通し部15を、嚢袋を設置する箇所を支持するガイドとして利用することもできる。また、後掲する図5に示すように、防水シート10でタープ50を形成する場合には、防水シート10の長手方向中途部分が下側に沈み込まないようにすることもできる。
【0038】
2.第二実施態様の防水シート
続いて、第二実施態様の防水シートについて説明する。第二実施態様の防水シートについては、上述した第一実施態様の防水シート10と異なる構成に絞って説明する。第二実施態様の防水シート10で特に言及しない構成は、第一実施態様の防水シート10と同様の構成を採用することができる。図2は、本発明に係る第一実施態様の防水シート10を示した斜視図である。
【0039】
第一実施態様の防水シート10は、図1に示すように、防水シート本体部11の一対の短辺部P,Pのうち、一方の短辺部Pに沿った箇所には、防水シート筒状部12が設けられていたが、他方の短辺部Pに沿った箇所には、防水シート筒状部12が設けられておらず、鳩目穴13が設けられていた。これに対し、第二実施態様の防水シート10は、図2に示すように、防水シート本体部11における一方の短辺部Pに沿った箇所だけでなく、他方の短辺部Pに沿った箇所にも、防水シート筒状部12が設けられている。防水シート本体部11の短辺部Pに沿った箇所には、鳩目穴13を設けていない。
【0040】
これにより、後掲する図4に示すように、双方の防水シート筒状部12に引っ張り用棒材20をそれぞれ挿入し、これらの引っ張り用棒材20を、互いに離反する向きに引っ張ることによって、防水シート10の全体を張った状態に施工しやすくなる。また、仮に、防水シート本体部11の長辺部P,Pに防水シート筒状部12を設け、その防水シート筒状部12に引っ張り用棒材20を挿入した場合には、後掲する図4に示す屋根のように、防水シート10の施工対象面αに突き出た部分(屋根の棟等)がある場合に、引っ張り用棒材20が邪魔になって、防水シート10を施工対象面αに沿わせにくくなるところ、図2に示した第二実施態様の防水シート10のように、防水シート本体部11の短辺部P,Pに設けた防水シート筒状部12に引っ張り用棒材20を挿入することで、引っ張り用棒材20が邪魔にならない状態で、防水シート10を施工対象面αに沿わせやすくなる。
【0041】
また、第一実施態様の防水シート10では、図1に示すように、防水シート本体部11のオモテ面側における2箇所に、紐通し部15としてペケットを設けていた。これに対し、第二実施態様の防水シート10では、図2に示すように、防水シート本体部11のオモテ面側における6箇所に、棒通し部16としてループを設けている。棒通し部16は、防水シート本体部11をその長辺部P,Pに略4等分する箇所に2個ずつ設けている。上記の棒通し部16(ループ)に図示省略の支持用棒材を通すことで、防水シート本体部11の長手方向中途部分で防水シート本体部11を短手方向にわたって支持することが可能となっている。
【0042】
3.第三実施態様の防水シート
続いて、第三実施態様の防水シートについて説明する。第三実施態様の防水シートについては、上述した第二実施態様の防水シート10と異なる構成に絞って説明する。第三実施態様の防水シート10で言及しない構成は、第二実施態様の防水シート10と同様の構成を採用することができる。図3は、本発明に係る第一実施態様の防水シート10を示した斜視図である。
【0043】
第二実施態様の防水シート10では、図2に示すように、棒通し部16を、防水シート本体部11とは別個に形成された部材(帯状の生地)を防水シート本体部11に対して固定(縫着)することによって設けていた。これに対し、第三実施態様の防水シート10では、図3に示すように、防水シート本体部11における特定区間をループ状にたくり、そのループ状の部分の付根を縫着することによって、棒通し部16を形成している。これにより、防水シート本体部11の一方の側縁から他方の側縁にわたって棒通し部16を連続的に形成することができる。また、棒通し部16を強靭に形成して破損しにくくすることも可能となっている。
【0044】
4.本発明の防水シートの施工例
本発明の防水シート10の施工例について説明する。図4は、本発明の防水シート10を建物の屋根αの上に施工した状態を示した斜視図である。図4の防水シート10は、上記の第二実施態様の防水シート10(図2)に該当するもの(防水シート本体部11の一対の短辺部に防水シート筒状部12が設けられたもの)となっている。本発明の防水シート10は、図4に示すように、屋根αの棟に跨った状態で施工することができる。本発明の防水シート10を屋根αに施工する場合には、防水シート10は、通常、オモテ面(紐通し部15又は棒通し部16が設けられた側の面)が上側を向く状態で張られる。図4では、図2における棒通し部16を省略している。
【0045】
このとき、それぞれの防水シート10に引っ張り用棒材20を挿入し、引っ張り用棒材20における、防水シート筒状部12の両端から突き出た部分に引っ張り用紐40を結び、その引っ張り用紐40の他端側を屋根αの下側に引っ張ることによって、防水シート10を屋根αに沿った状態で張ることができる。防水シート10の短辺部は、引っ張り用棒材20によって屋根αに押し付けられた状態となる。また、防水シート10の長辺部も、屋根αに押し付けられた状態となる。このため、防水シート10と屋根αとの間に風が入り込まないようにして、防水シート10が風に煽られて浮き上がらないようにすることができる。
【0046】
防水シート10に設けられた鳩目穴13には、図示省略の紐等を結びつけることができる。その紐を屋根αの下側に引っ張れば、防水シート10の長辺部を、屋根αに対してさらに押し付けられた状態とすることができ、防水シート10をより浮き上がりにくくすることができる。また、鳩目穴13に通した上記の紐は、防水シート10の隣に配置する別の防水シート10(図示省略)の鳩目穴13に結び付けることもできる。これにより、隣り合う防水シート10を連結することができる。
【0047】
また、防水シート10における棒通し部16(図2を参照。)には、図示省略の支持用棒材を通すこともできる。これにより、支持用棒材で、防水シート10の長手方向中途部分を、防水シート10の短手方向にわたって支持することができる。棒通し部16に通した支持用棒材は、錘としても機能する。このため、防水シート10を、支持用棒材を通した部分で屋根αに押し付けることも可能になる。棒通し部16の代わりに紐通し部15(図1を参照。)を設けた場合には、その紐通し部15に支持用紐材を通すことができる。この支持用紐材の両端には、土嚢や水嚢等の嚢袋を連結し、その嚢袋を防水シート10の上側に置くことで、その箇所でも防水シート10を押し付けることが可能になる。また、嚢袋の位置ズレや落下を防止することもできる。
【0048】
図4に示した施工態様は、台風等の災害で屋根αが破損したときの応急処置として有効である。また、家屋の建設時において、屋根αに瓦等の屋根材が載るまでの間、家屋を風雨等から保護する場合にも有効である。
【0049】
図5は、本発明の防水シート10でタープを施工した状態を示した斜視図である。キャンプ等の野外活動を行う際には、日除けや雨除けのために、図5に示すようなタープ50を設置したい場合がある。また、台風等の災害によって家屋が被害を受け、家屋やその周辺に、日除けや雨除けできるスペースを確保したいときにも、図5に示すようなタープ50を設置したい場合がある。本発明の防水シート10は、このようなタープ50を設置する場合にも有効に使用することができる。図5の防水シート10は、上記の第一実施態様の防水シート10(図1)に該当するもの(防水シート本体部11の一方の短辺部に防水シート筒状部12が設けられたもの)となっている。
【0050】
図5に示したタープ50は、防水シート10の一方の短辺部に設けられた防水シート筒状部12に引っ張り用棒材20を挿通し、その引っ張り用棒材20における、防水シート筒状部12の両端から突き出た部分に引っ張り用紐40を結び、その引っ張り用紐40の他端側を図示省略の樹木等に結び付けることによって施工している。防水シート10の他方の短辺部は、その短辺部に沿って設けた鳩目穴13にペグ60を打ち込むことによって、地面に固定している。これにより、防水シート10を長手方向に引っ張った状態とすることができる。
【0051】
また、防水シート10における長手方向中間部は、一対のポール70によって持ち上げた状態としている。一対のポール70の上端部には、支持用紐材30を架け渡している。この支持用紐材30は、防水シート10の下側に通しており、防水シート本体部11に設けた紐通し部15(ペケット)に挿通している。これにより、防水シート10の長手方向中途部分を支持用紐材30で支持し、防水シート10の長手方向中途部分が下側に沈み込まないようにすることができる。
【0052】
ここで、一対のポール70の上端部に、支持用紐材30の代わりに棒状のもの(支持用棒材)を架け渡すと、防水シート10の長手方向中途部分が下側に沈み込まないようにさらにしっかりと支持することができる。しかし、支持用棒材は、紐通し部15(ペケット)に通すことができない。このため、支持用棒材を用いる場合には、紐通し部15(ペケット)の代わりに、図2に示す棒通し部16(ループ)を設けるとよい。
【0053】
5.第四実施態様の防水シート
続いて、第四実施態様の防水シートについて説明する。第四実施態様の防水シートについては、上述した実施態様(第一実施態様から第三実施態様まで)の防水シート10と異なる構成に絞って説明する。第四実施態様の防水シートで言及しない構成は、他の実施態様の防水シート10と同様の構成を採用することができる。図6は、本発明に係る第四実施態様の防水シート10Aを示した斜視図である。図6(a)は、防水シート10Aのオモテ面を、図6(b)は、防水シート10Aのウラ面をそれぞれ示している。図7は、本発明に係る第四実施態様の防水シート10Aを建物の屋根αの上に施工した状態を屋根αの側方から見た状態を示した図である。
【0054】
上述した実施態様の防水シート10(図1~3)では、防水シート本体部11における、防水シート筒状部12に垂直な方向の長さL(以下においては、「縦の長さL」と表記する。)が、筒状シート筒状部12に平行な方向の長さL(以下においては、「横の長さL」と表記する。)よりも長くなっていた。これに対し、第四実施態様の防水シート10Aでは、図6に示すように、防水シート本体部11の横の長さLが、縦の長さLよりも長くなっている。具体的には、縦の長さLが約1.7mmであるのに対し、横の長さLが約2.5mとなっている。このため、第四実施態様の防水シート10Aは、屋根αの横方向(棟に平行な方向)に効率的に施工できるものとなっている。
【0055】
第四実施態様の防水シート10Aは、図7に示すように、その長手方向(縦方向)中間部が屋根αの棟に重なるように施工される。防水シート10Aの長手方向(縦方向)両端部に設けられた一対の防水シート筒状部12には、引っ張り用棒材20が挿入され、その引っ張り用棒材20は、それに連結された引っ張り用紐40で屋根αの下側に引っ張られる。これにより、防水シート10Aを屋根αに密着した状態で張り、防水シート10Aの浮き上がりを防止することができる。第四実施態様の防水シート10Aは、屋根αの棟付近を保護するものとして好適なものとなっている。
【0056】
6.第五実施態様及び第六実施態様の防水シート
続いて、第五実施態様の防水シート及び第六実施態様の防水シートについて説明する。第五実施態様の防水シート及び第六実施態様の防水シートについては、上述した実施態様(第一実施態様から第四実施態様まで)の防水シート10と異なる構成に絞って説明する。第五実施態様の防水シート及び第六実施態様の防水シートで言及しない構成は、他の実施態様の防水シート10と同様の構成を採用することができる。図8は、本発明に係る第五実施態様の防水シート10Bを示した斜視図である。図9は、本発明に係る第六実施態様の防水シート10Cを示した斜視図である。各図(a)は、防水シート10B,10Cのオモテ面を、各図(b)は、防水シート10B,10Cのウラ面をそれぞれ示している。図10は、本発明に係る第五実施態様の防水シート10Bと第六実施態様の防水シート10Cとを建物αの屋根の上に施工した状態を屋根αの側方から見た状態を示した図である。
【0057】
上述した第四実施態様の防水シート10A(図6)は、縦方向(防水シート筒状部12に垂直な方向)に防水シート10を継ぐ(連結する)ことができない構造となっていた。これに対して、第五実施態様の防水シート10B(図8)及び第六実施態様の防水シート10C(図9)は、縦方向(防水シート筒状部12に垂直な方向)に防水シート10を継ぐ(連結する)ことができる構造となっている。このため、図10に示すように、複数枚の防水シート10Cを、屋根αの傾斜に沿った方向に継ぐ(連結する)ことができるようになっている。したがって、防水シート10の施工自由度をより高めることが可能となっている。
【0058】
複数枚の防水シート10を縦方向に連結可能とする構造は、特に限定されない。第五実施態様の防水シート10Bでは、図8に示すように、防水シート本体部11における防水シート筒状部12に沿った箇所に、帯状のフラップ部材17a(筒状部側連結部材17)を取り付けており、このフラップ部材17aに形成された複数の鳩目穴17aを利用して他の防水シート10(本例では、図9に示す第六実施態様の防水シート10C)を連結するようにしている。帯状のフラップ部材17aは、対向する一対の長辺のうち、一方を防水シート本体部11のウラ面側に固定(縫着)されており、他方を防水シート本体部11に固定されずに振らされた状態となっている。フラップ部材17aは、通常、可撓性を有するシート材で形成される。ここでは、防水シート本体部11と同じ合成樹脂製のシート材でフラップ部材17aを形成している。
【0059】
一方、第六実施態様の防水シート10Cは、図9に示すように、防水シート本体部11における、防水シート筒状部12が設けられた縁部とは逆側の縁部に、複数の鳩目穴13を設けたものとなってる。図10に示すように、第五実施態様の防水シート10Bのフラップ部材17aに設けられた鳩目穴17aを、第六実施態様の防水シート10Cに設けられた鳩目穴13に重ねた状態とし、鳩目穴17aと鳩目穴13に紐や結束バンド等を通すことで、第五実施態様の防水シート10Bと第六実施態様の防水シート10Cとを縦方向に連結することができるようになっている。このため、鳩目穴17aの個数や配置ピッチは、通常、鳩目穴13の個数や配置ピッチと同じとされる。
【0060】
第五実施態様の防水シート10Bにおいて、フラップ部材17aは、防水シート本体部11の横方向の一部の区間のみに取り付けてもよいが、ここでは、防水シート本体部11の横方向の全区間(防水シート本体部11の左縁から右縁に至る範囲)に連続的に設けている。これにより、第五実施態様の防水シート10Bに、他の防水シート10をしっかりと連結することが可能になる。フラップ部材17aの幅は、特に限定されないが、通常、5~30cmの範囲内とされる。フラップ部材17aの幅が狭すぎると、フラップ部材17aに鳩目穴17aを設けにくくなり、フラップ部材17aの幅が広すぎると、フラップ部材17aがよれやすくなってフラップ部材17aを取り扱いにくくなるからである。
【0061】
また、フラップ部材17aは、防水シート本体部11における、防水シート筒状部12に近い箇所に設けられる。フラップ部材17aを防水シート筒状部12から離れた箇所に設けると、連結される2枚の防水シート10が重なる範囲が広くなり、防水シート10を効率的に施工できなくなるからである。このため、フラップ部材17aと防水シート本体部11との固定箇所は、防水シート本体部11における、防水シート筒状部12が設けられた縁部から、50cm以内とすることが好ましく、40cm以内とすることがより好ましく、30cm以内とすることが好ましい。
【0062】
ただし、フラップ部材17aを防水シート筒状部12に近づけすぎると、フラップ部材17aに連結された他の防水シート10(図10における防水シート10C)が屋根αの下側に引っ張られたときに、フラップ部材17の鳩目穴17aが防水シート筒状部12の下側から露出するようになってしまう。鳩目穴17aが露出すると、その鳩目穴17aから防水シート10Bのウラ面側に雨水等が侵入するおそれがある。このため、フラップ部材17aの幅は、フラップ部材17aを防水シート筒状部12側に引っ張ったときでも、それに設けられた鳩目穴17aが防水シート筒状部12の下側から露出しない範囲に抑えることが好ましい。
【0063】
以上のように、第五実施態様の防水シート10Bは、屋根αの傾斜に沿った方向に他の防水シート10(第六実施態様の防水シート10C)を継ぐことができるものとなっており、施工自由度の高いものとなっている。
【0064】
7.第七実施態様及び第八実施態様の防水シート
続いて、第七実施態様の防水シート及び第八実施態様の防水シートについて説明する。第七実施態様の防水シート及び第八実施態様の防水シートについては、上述した実施態様(第一実施態様から第六実施態様まで)の防水シート10と異なる構成に絞って説明する。第七実施態様の防水シート及び第八実施態様の防水シートで言及しない構成は、他の実施態様の防水シート10と同様の構成を採用することができる。図11は、本発明に係る第七実施態様の防水シート10B’を示した斜視図である。図12は、本発明に係る第八実施態様の防水シート10C’を示した斜視図である。各図(a)は、防水シート10B’,10C’のオモテ面を、各図(b)は、防水シート10B’,10C’のウラ面をそれぞれ示している。図13は、本発明に係る第七実施態様の防水シート10B’と第八実施態様の防水シート10C’とを建物αの屋根の上に施工した状態を屋根αの側方から見た状態を示した図である。
【0065】
上述した第五実施態様及び第六実施態様の防水シート10B,10C(図8~10)では、防水シート10B,10Cの縦方向における一側でしか他の防水シート10を連結することができなかった。これに対し、第七実施態様の防水シート10B’(図11)及び第八実施態様の防水シート10C’(図12)は、防水シート10B’,10C’の縦方向における両側で他の防水シート10を連結することができるようになっている。
【0066】
具体的には、第五実施態様の防水シート10Bでは、図8に示すように、防水シート本体部11における、防水シート筒状部12が設けられた一対の縁部のうち、一方の縁部に沿った箇所にのみ、フラップ部材17aを設けていたところ、第七実施態様の防水シート10B’においては、図11に示すように、防水シート本体部11における、防水シート筒状部12が設けられた一対の縁部の両方に沿った箇所に、フラップ部材17aを設けている。
【0067】
また、第六実施態様の防水シート10Cでは、図9に示すように、防水シート本体部11における、防水シート筒状部12が設けられた縁部とは逆側の縁部に鳩目穴13を設けただけであり、フラップ部材17aを設けていなかったところ、第八実施態様の防水シート10B’においては、図12に示すように、防水シート本体部11における、防水シート筒状部12が設けられた縁部に沿った箇所に、フラップ部材17aを設けている。
【0068】
このため、図13に示すように、屋根αの棟を覆うように配した第七実施態様の防水シート10B’の両側に、他の防水シート10(図13の例では第八実施態様の防水シート10C’)を連結することができるようになっている。また、第八実施態様の防水シート10C’は、その一方の縁部(図13における上縁部)を、他の防水シート10(図13の例では第七実施態様の防水シート10B’)に連結できるだけでなく、その他方の縁部(図13における下縁部)も、他の防水シート10(図13の例では、第六実施態様の防水シート10C)に連結することができるようになっている。図13における第六実施態様の防水シート10Cを第八実施態様の防水シート10C’で置き換えれば、何枚でも防水シート10(防水シート10C’)を縦方向に継いでいくことが可能になる。
【0069】
以上のように、第七実施態様の防水シート10B’及び第八実施態様の防水シート10C’を用いると、屋根αの両側に、防水シート10C’を何枚でも継いでいくことができるようになり、より自由度の高い施工が可能となる。
【0070】
8.第九実施態様及び第十実施態様の防水シート
続いて、第九実施態様の防水シート及び第十実施態様の防水シートについて説明する。第九実施態様の防水シート及び第十実施態様の防水シートについては、上述した実施態様(第一実施態様から第八実施態様まで)の防水シート10と異なる構成に絞って説明する。第九実施態様の防水シート及び第十実施態様の防水シートで言及しない構成は、他の実施態様の防水シート10と同様の構成を採用することができる。図14は、本発明に係る第九実施態様の防水シート10Dを示した斜視図である。図15は、本発明に係る第十実施態様の防水シート10Eを示した斜視図である。各図(a)は、防水シート10D,10Eのオモテ面を、各図(b)は、防水シート10D,10Eのウラ面をそれぞれ示している。図16は、本発明に係る第九実施態様の防水シート10Dと第十実施態様の防水シート10Eとを建物αの屋根の上に施工した状態を屋根αの側方から見た状態を示した図である。
【0071】
上述した第五実施態様の防水シート10B(図8)では、防水シート本体部11に取り付けたフラップ部材17aに形成された鳩目穴17aを利用して、他の防水シート10を連結するようになっており、第六実施態様の防水シート10C(図9)では、防水シート本体部11に直接設けた鳩目穴13を利用して、他の防水シート10を連結するようになっていた。これに対し、第九実施態様及び第十実施態様の防水シート10D,10Eha,図14及び図15に示すように、フラップ部材17a(鳩目穴17a)や鳩目穴13が設けられておらず、その代わりに面ファスナ17bを設けている。第九実施態様の防水シート10D(図14)においては、防水シート本体部11のウラ面側に面ファスナ17bを取り付けており、第十実施態様の防水シート10E(図15)においては、防水シート本体部11のオモテ面側に面ファスナ17bを取り付けている。
【0072】
したがって、図16に示すように、第九実施態様の防水シート10Dの面ファスナ17bを、第十実施態様の防水シート10Eに設けられた面ファスナ17bに重ね、これらの面ファスナ17bを互いに固着することによって、第九実施態様の防水シート10Dと第十実施態様の防水シート10Eとを縦方向に連結することができるようになっている。このため、第九実施態様の防水シート10Dに設けられた面ファスナ17bと、第十実施態様の防水シート10Eに設けられた面ファスナ17bとのうち、一方は、オスの面ファスナとされ、他方は、メスの面ファスナとされる。
【0073】
以上のように、第九実施態様の防水シート10D及び第十実施態様の防水シート10Eは、面ファスナ17bを利用して連結するものとなっているため、その連結作業を容易に行うことができるという利点を有している。
【0074】
9.第十一実施態様及び第十二実施態様の防水シート
続いて、第十一実施態様の防水シート及び第十二実施態様の防水シートについて説明する。第十一実施態様の防水シート及び第十二実施態様の防水シートについては、上述した実施態様(第一実施態様から第十実施態様まで)の防水シート10と異なる構成に絞って説明する。第十一実施態様の防水シート及び第十二実施態様の防水シートで言及しない構成は、他の実施態様の防水シート10と同様の構成を採用することができる。図17は、本発明に係る第十一実施態様の防水シート10D’を示した斜視図である。図18は、本発明に係る第十二実施態様の防水シート10E’を示した斜視図である。各図(a)は、防水シート10D’,10E’のオモテ面を、各図(b)は、防水シート10D’,10E’のウラ面をそれぞれ示している。図19は、本発明に係る第十一実施態様の防水シート10D’と第十二実施態様の防水シート10E’とを建物αの屋根の上に施工した状態を屋根αの側方から見た状態を示した図である。
【0075】
上述した第九実施態様及び第十実施態様の防水シート10D,10E(図14~16)では、防水シート10D,10Eの縦方向における一側でしか他の防水シート10を連結することができなかった。これに対し、第十一実施態様の防水シート10D’(図17)及び第十二実施態様の防水シート10E’(図18)は、防水シート10D’,10E’の縦方向における両側で他の防水シート10を連結することができるようになっている。
【0076】
具体的には、第九実施態様の防水シート10Dでは、図14に示すように、防水シート本体部11における、防水シート筒状部12が設けられた一対の縁部のうち、一方の縁部に沿った箇所にのみ、面ファスナ17bを設けていたところ、第十一実施態様の防水シート10D’においては、図17に示すように、防水シート本体部11における、防水シート筒状部12が設けられた一対の縁部の両方に沿った箇所に、面ファスナ17bを設けている。
【0077】
また、第十実施態様の防水シート10Eでは、図15に示すように、防水シート本体部11における、防水シート筒状部12が設けられた縁部とは逆側の縁部に沿った箇所に面ファスナ17bを設けただけであり、防水シート筒状部12が設けられた側の縁部に沿った箇所には面ファスナ17bを設けていなかったところ、第十二実施態様の防水シート10E’においては、図18に示すように、防水シート本体部11における、防水シート筒状部12が設けられた縁部に沿った箇所のウラ面側にも、面ファスナ17bを設けている。
【0078】
このため、図19に示すように、屋根αの棟を覆うように配した第十一実施態様の防水シート10D’の両側に、他の防水シート10(図19の例では第十二実施態様の防水シート10E’)を連結することができるようになっている。また、第十二実施態様の防水シート10E’は、その一方の縁部(図19における上縁部)を、他の防水シート10(図19の例では第十一実施態様の防水シート10D’)に連結できるだけでなく、その他方の縁部(図19における下縁部)も、他の防水シート10(図19の例では、第十実施態様の防水シート10E)に連結することができるようになっている。図19における第十実施態様の防水シート10Eを第十二実施態様の防水シート10E’で置き換えれば、何枚でも防水シート10(防水シート10E’)を縦方向に継いでいくことが可能になる。
【0079】
以上のように、第十一実施態様の防水シート10D’及び第十二実施態様の防水シート10E’を用いると、防水シート10の連結作業が容易になるだけでなく、屋根αの両側に、防水シート10E’を何枚でも継いでいくことができるようになり、より自由度の高い施工も可能となる。
【0080】
10.防水シートの折り畳み方
最後に、本発明の防水シート10の折り畳み方について説明する。本発明の防水シート10は、ある程度寸法が大きなものであるため、運搬する際や、販売する際や、保管する際等には、通常、小さく折り畳んだ状態とされる。防水シート10の折り畳み方は、特に限定されるものではないが、図20に示すように、防水シート10の縦方向(防水シート筒状部12に垂直な方向)の折り返しを終えた後に、防水シート10を横方向(防水シート筒状部12に平行な方向)に折り返していくことが好ましい。図20は、本発明の防水シート10の折り畳み方の一例を説明する図である。図20(a)は、展開時における防水シート10を示しており、図20(b),(c),(d)は、防水シート10を段階的に折り畳んでいく状態を、図20(e)は、防水シート10を折り畳み終えた状態をそれぞれ示している。
【0081】
まず、図20(a)に示すように、展開した状態の防水シート10を、頂点Aが辺Aの中点Bに重なって、頂点Aが辺Aの中点Bに重なるように、折り線Cで折り返す(矢印β)とともに、頂点Aが辺Aの中点Bに重なって、頂点Aが辺Aの中点Bに重なるように、折り線Cで折り返す(矢印β)。すると、防水シート10は、図20(b)に示す状態となる。続いて、図20(b)に示す状態の防水シート10を、点Cが点Cに重なって、点Cが点Cに重なるように、折り線Bで折り返す(矢印β)。すると、防水シート10は、図20(c)に示す状態となる。
【0082】
続いて、図20(c)に示す状態の防水シート10を、点Cが線分Cの中点Dに重なって、点Bが線分Bの中点Dに重なるように、折り線Eで折り返す(矢印β)とともに、点Cが線分Cの中点Dに重なって、点Bが線分Bの中点Dに重なるように、折り線Eで折り返す(矢印β)。すると、防水シート10は、図20(d)に示す状態となる。続いて、図20(d)に示す状態の防水シート10を、点Eが点Eに重なって、点Eが点Eに重なるように、折り線Dで折り返す(矢印β)。すると、防水シート10は、図20(e)に示す状態となり、防水シート10の折り畳みが完了する。
【0083】
図20(a)~(e)に示す手順で防水シート10を折り畳むことによって、防水シート10を元の1/16の大きさまでコンパクトに折り畳むことができる。このため、防水シート10を運搬や保管しやすくすることができる。加えて、防水シート10の施工も容易となる。防水シート10が縦方向(防水シート筒状部12に垂直な方向)にさらに長い形状を有する場合には、図20(a)における矢印β,βの折り返しや、図20(b)における矢印βの折り返し等、縦方向の折り返しの回数を増やすとよい。また、防水シート10が横方向(防水シート筒状部12に平行な方向)にさらに長い形状を有する場合には、図20(c)における矢印β,βの折り返しや、図20(d)における矢印βの折り返し等、横方向の折り返し回数を増やすとよい。縦方向の折り返し回数や、横方向の折り返し回数は、防水シート10の寸法等に応じて適宜決定される。
【0084】
というのも、図20(e)に示す状態に折り畳まれた防水シート10を屋根に施工する際には、防水シート10を折り畳まれた状態のまま屋根に持って上がり、屋根の上で防水シート10を展開するようになるところ、防水シート10を展開する手順は、図20(a)~(e)に示された手順を逆に辿るようになる。このとき、図20(e)の状態の防水シート10を、その線分E(線分B)が屋根の棟に沿うように、防水シート10を展開していくと、図20(b)の状態まで防水シート10を展開したときに、一対の防水シート筒状部12に引っ張り用棒材20(図19を参照。)を挿入することが可能になる。このとき、一対の防水シート筒状部12は、互いに近い場所にあるため、屋根の棟付近にいる作業者が、その場所から特に動かなくても、両方の防水シート筒状部12に引っ張り用棒材20を挿入することができる。両方の防水シート筒状部12に引っ張り用棒材20を挿入した後、防水シート10を図20(b)に示す状態から図20(a)に示す状態へと展開すると、防水シート10の展開や引っ張り用棒材20の挿入を効率的且つ安全に行うことができる。
【0085】
図20では、防水シート10として第十一実施態様の防水シート10D’を折り畳む場合を説明したが、他の実施態様の防水シート10でも、同様の折り畳み方をすることができる。このように、防水シート10の縦方向の折り返しを終えた後に、防水シート10を横方向に折り返していく折り畳み方は、防水シート本体部11の対向する辺部に防水シート筒状部12が対で設けられた防水シート10(第四実施態様の防水シート10A(図6)、第五実施態様の防水シート10B(図8)、第七実施態様の防水シート10B’(図11)、第九実施態様の防水シート10D(図14)及び第十一実施態様の防水シート10D’(図17)等)において特に好適に採用することができる。
【0086】
一方、第六実施態様の防水シート10C(図9)、第八実施態様の防水シート10C’(図12)、第十実施態様の防水シート10E(図15)及び第十二実施態様の防水シート10E’(図18)のように、防水シート本体部11の対向する辺部のうち、一方の辺部のみに防水シート筒状部12が設けられ、他方の辺部に、鳩目穴13や、フラップ部材17a(鳩目穴17a)や、面ファスナ17b等、他の防水シート10に連結するための部分(連結部)が設けられている防水シート10では、図21に示すように、鳩目穴13等の連結部が常に露出する状態で折り返していくことが好ましい。図21は、本発明の防水シート10の折り畳み方の他例を説明する図である。図21(a)は、展開時における防水シート10を示しており、図21(b),(c),(d),(e)は、防水シート10を段階的に折り畳んでいく状態を、図21(f)は、防水シート10を折り畳み終えた状態をそれぞれ示している。
【0087】
まず、図21(a)に示すように、展開した状態の防水シート10を、頂点Aが点B(辺A上における頂点A近傍の点)に重なって、頂点Aが点B(辺A上における頂点A近傍の点)に重なるように、折り線Cで折り返す(矢印β)。すると、防水シート10は、図21(b)に示す状態となる。このとき、防水シート10における鳩目穴13(連結部)は、露出した状態となっている。続いて、図21(b)に示す状態の防水シート10を、点Cが点Bに重なって、点Cが点Bに重なるように、折り線Dで折り返す(矢印β)。すると、防水シート10は、図21(c)に示す状態となる。このときでも、防水シート10における鳩目穴13(連結部)は、露出した状態となっている。
【0088】
続いて、図21(c)に示す状態の防水シート10を、点Dが点Bに重なって、点Dが点Bに重なるように、折り線Eで折り返す(矢印β)。すると、防水シート10は、図21(d)に示す状態となる。このときでも、防水シート10における鳩目穴13(連結部)は、露出した状態となっている。続いて、図21(d)に示す状態の防水シート10を、点Aが点F(辺Aの中点)に重なって、点Eが点F(線分Eの中点)に重なるように、折り線Gで折り返す(矢印β)とともに、点Aが点F(辺Aの中点)に重なって、点Eが点F(線分Eの中点)に重なるように、折り線Gで折り返す(矢印β)。すると、防水シート10は、図21(e)に示す状態となる。このときでも、防水シート10における鳩目穴13(連結部)は、露出した状態となっている。最後に、図21(e)に示す状態の防水シート10を、点Gが点Gに重なって、点Gが点Gに重なるように、折り線Fで折り返す(矢印β)。すると、防水シート10は、図21(f)に示す状態となり、防水シート10の折り畳みが完了する。折り畳みが完了した図21(f)に示す状態でも、防水シート10における鳩目穴13(連結部)は、露出した状態となっている。ここで、連結部が鳩目穴13ではなく、面ファスナ17b(図15を参照。)である場合には、図21(e),(f)に示す状態のときには、面ファスナ17bが内向きになり、面ファスナ17b自体は見えなくなる。しかし、防水シート10における面ファスナ17bが設けられた領域(防水シート10の縁部)自体は、露出した状態になる。
【0089】
以上のように、鳩目穴13等の連結部が露出する状態で防水シート10を折り畳むことによって、防水シート10を他の防水シート10に連結する作業を行いやすくなる。というのも、図21(a)~(f)の手順で防水シート10を折り畳むと、それを展開する際には、図21(a)~(f)の手順を逆に辿ることになるところ、図21(f)の状態や、図21(e)の状態や、図21(d)の状態のときに、その防水シート10を他の防水シート10に連結することができ、防水シート10を横方向に展開しながらその防水シート10を他の防水シート10に連結することができるようになるからである。防水シート10の縦方向の折り返し回数や横方向の折り返し回数を、防水シート10の寸法等に応じて適宜変更できることについては、図20で述べた防水シート10と同様である。
【符号の説明】
【0090】
10 防水シート
10A 第四実施態様の防水シート
10B 第五実施態様の防水シート
10B’ 第七実施態様の防水シート
10C 第六実施態様の防水シート
10C’ 第八実施態様の防水シート
10D 第九実施態様の防水シート
10D’ 第十一実施態様の防水シート
10E 第十実施態様の防水シート
10E’ 第十二実施態様の防水シート
11 防水シート本体部
12 防水シート筒状部
13 鳩目穴
14 帯状片
15 紐通し部
16 棒通し部
17 筒状部側連結部
17a フラップ部材
17a 鳩目穴
17b 面ファスナ
20 引っ張り用棒材
30 支持用紐材
40 引っ張り用紐
50 タープ
60 ペグ
70 ポール
α 屋根(施工対象面)
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