(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】評価装置、評価方法、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/063 20230101AFI20240918BHJP
【FI】
G06Q10/063
(21)【出願番号】P 2020140752
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】ファン タァン クァン
(72)【発明者】
【氏名】山本 純一
(72)【発明者】
【氏名】沼辺 理奈
(72)【発明者】
【氏名】福井 知宏
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-164699(JP,A)
【文献】特開2013-80429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感謝データ取得部、ネットワーク生成部、ネットワーク特徴量分析部、組織状態識別部、差分解析部、及び評価部を含み、
前記感謝データ取得部は、一方の構成員から他方の構成員に感謝データを送信したことを示す感謝データ送信履歴情報を取得し、
前記ネットワーク生成部は、前記感謝データ送信履歴情報に基づいて、前記構成員が属する組織内における構成員ネットワークを生成し、
前記ネットワーク特徴量分析部は、前記構成員ネットワークの特徴量
から構成員ネットワークのネットワーク型を決定し、
前記組織状態識別部は、
前記ネットワーク型に基づき、組織状態を識別し、
前記差分解析部は、異なる時刻に取得した2つ以上の前記感謝データ送信履歴情報の
うち、時刻t-1(tは1以上の整数)に取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークにおける組織状態から、時刻tに取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークにおける組織状態への変化を解析し、
前記評価部は、
前記組織状態の変化に応じて、前記時刻t時における指導者の指導にスコアを付し、前記スコアに基づいて
、指導者を評価する、評価装置。
【請求項2】
さらに、マージ処理部、及び出力部を含み、
前記マージ処理部は、前記構成員ネットワーク毎に識別可能な視覚特徴を付して、前記各構成員ネットワークの共通する部分が重なるように、前記各構成員ネットワークを重ね合わせ、
前記出力部は、前記重ね合わせたマージネットワークを出力する、請求項
1記載の評価装置。
【請求項3】
さらに、スキルデータ取得部、及びマッチング部を含み、
前記スキルデータ取得部は、指導者毎にスキルデータを取得し、
前記マッチング部は、前記スキルデータと前記組織状態に基づき、前記組織と、複数の前記指導者の中から前記組織の指導を行う前記指導者とのマッチングを行う、請求項1
または2に記載の評価装置。
【請求項4】
さらに、スキルデータ更新部を含み、
前記スキルデータ更新部は、前記指導者の評価に基づき、前記スキルデータを更新する、請求項
3記載の評価装置。
【請求項5】
感謝データ取得工程、ネットワーク生成工程、ネットワーク特徴量分析工程、組織状態識別工程、スキルデータ取得工程、差分解析工程、及び評価工程を含み、
前記感謝データ取得工程は、一方の構成員から他方の構成員に感謝データを送信したことを示す感謝データ送信履歴情報を取得し、
前記ネットワーク生成工程は、前記感謝データ送信履歴情報に基づいて、前記構成員が属する組織内における構成員ネットワークを生成し、
前記ネットワーク特徴量分析工程は、前記構成員ネットワークの特徴量
から構成員ネットワークのネットワーク型を決定し、
前記組織状態識別工程は、
前記ネットワーク型に基づき、組織状態を識別し、
前記スキルデータ取得工程は、指導者毎にスキルデータを取得し、
前記差分解析工程は、異なる時刻に取得した2つ以上の前記感謝データ送信履歴情報
のうち、時刻t-1(tは1以上の整数)に取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークにおける組織状態から、時刻tに取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークにおける組織状態への変化を解析し、
前記評価工程は、
前記組織状態の変化に応じて、前記時刻t時における指導者の指導にスコアを付し、前記スコアに基づいて、前記指導者を評価する、
前記各工程がコンピュータにより実行される評価方法。
【請求項6】
コンピュータに、感謝データ取得手順、ネットワーク生成手順、ネットワーク特徴量分析手順、組織状態識別手順、スキルデータ取得手順、マッチング手順、差分解析手順、及び評価手順を含む手順を実行させるためのプログラムであって、
前記感謝データ取得手順は、一方の構成員から他方の構成員に感謝データを送信したことを示す感謝データ送信履歴情報を取得し、
前記ネットワーク生成手順は、前記感謝データ送信履歴情報に基づいて、前記構成員が属する組織内における構成員ネットワークを生成し、
前記ネットワーク特徴量分析手順は、前記構成員ネットワークの特徴量
から構成員ネットワークのネットワーク型を決定し、
前記組織状態識別手順は、
前記ネットワーク型に基づき、組織状態を識別し、
前記スキルデータ取得手順は、指導者毎にスキルデータを取得し、
前記マッチング手順は、前記スキルデータと前記組織状態に基づき、前記組織と、複数の前記指導者の中から前記組織の指導を行う前記指導者とのマッチングを行い、
前記差分解析手順は、異なる時刻に取得した2つ以上の前記感謝データ送信履歴情報
のうち、時刻t-1(tは1以上の整数)に取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークにおける組織状態から、時刻tに取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークにおける組織状態への変化を解析し、
前記評価手順は、
前記組織状態の変化に応じて、前記時刻t時における指導者の指導にスコアを付し、前記スコアに基づいて、前記指導者を評価する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価装置、評価方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、日本人は、相手に対する感謝を、直接相手に伝えることが苦手と言われている。一方、会社等の組織において、相手に感謝を伝えることが、パフォーマンスに良い影響を与えることも報告されている。特許文献1には、コンピュータネットワークを通じて、組織の構成員間の信頼を形成するシステムが提案されている。
【0003】
また、構成員間の信頼を形成するため、組織には、前記組織を指導する指導者が必要である。前記指導者を評価する手法としては、例えば、前記構成員を回答者としたアンケートによって評価する手法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アンケートによって前記指導者を評価することは、アンケートに答える者(例えば、構成員)の主観が入ってしまうため、正当な評価ができないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、指導者を評価可能な評価装置、評価方法、プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の評価装置は、
感謝データ取得部、ネットワーク生成部、ネットワーク特徴量分析部、組織状態識別部、差分解析部、及び評価部を含み、
前記感謝データ取得部は、一方の構成員から他方の構成員に感謝データを送信したことを示す感謝データ送信履歴情報を取得し、
前記ネットワーク生成部は、前記感謝データ送信履歴情報に基づいて、前記構成員が属する組織内における構成員ネットワークを生成し、
前記ネットワーク特徴量分析部は、前記構成員ネットワークの特徴量を分析し、
前記組織状態識別部は、前記分析した構成員ネットワークの特徴量に基づき、組織状態を識別し、
前記差分解析部は、異なる時刻に取得した2つ以上の前記感謝データ送信履歴情報から生成された前記各構成員ネットワークの差分を解析し、
前記評価部は、前記差分に基づいて、前記指導者を評価する、装置である。
【0008】
本発明の評価方法は、
感謝データ取得工程、ネットワーク生成工程、ネットワーク特徴量分析工程、組織状態識別工程、スキルデータ取得工程、差分解析工程、及び評価工程を含み、
前記感謝データ取得工程は、一方の構成員から他方の構成員に感謝データを送信したことを示す感謝データ送信履歴情報を取得し、
前記ネットワーク生成工程は、前記感謝データ送信履歴情報に基づいて、前記構成員が属する組織内における構成員ネットワークを生成し、
前記ネットワーク特徴量分析工程は、前記構成員ネットワークの特徴量を分析し、
前記組織状態識別工程は、前記分析した構成員ネットワークの特徴量に基づき、組織状態を識別し、
前記スキルデータ取得工程は、指導者毎にスキルデータを取得し、
前記差分解析工程は、異なる時刻に取得した2つ以上の前記感謝データ送信履歴情報から生成された前記各構成員ネットワークの差分を解析し、
前記評価工程は、前記差分に基づいて、前記指導者を評価する、方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、定量的に指導者を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1の装置の一例の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態1の装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態1の装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4(A)は、感謝データ送信履歴情報の一例を示す図であり、
図4(B)は、スキルデータの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、生成した構成員ネットワークの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、構成員ネットワークの特徴量を分析する一例を示す図である。
【
図7】
図7は、媒介中心性の計算の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、完全グラフ数の計算の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、平均最短距離の計算の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、異なる時刻に取得した2つ以上の感謝データ送信履歴情報から生成された各構成員ネットワークの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、コーチング前後における感謝データ送信履歴情報の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、コーチング前後における感謝データ送信履歴情報から生成した各構成員ネットワークの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、各構成員ネットワークを重ね合わせる一例を示す図である。
【
図15】
図15は、出力されたマージネットワークの一例を示す図である。
【
図16】
図16は、実施形態4の装置の一例の構成を示すブロック図である。
【
図17】
図17は、実施形態4の装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、実施形態4の装置における表示部の概略図である。
【
図19】
図19は、実施形態4の装置における表示部の概略図である。
【
図20】
図20は、実施形態4の装置における表示部の概略図である。
【
図21】
図21は、実施形態4の装置における表示部の概略図である。
【
図22】
図22は、実施形態4の装置における表示部の概略図である。
【
図23】
図23は、実施形態4の装置における表示部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の評価装置において、例えば、
前記差分解析部は、異なる時刻に取得した2つ以上の前記感謝データ送信履歴情報のうち、時刻t-1(tは1以上の整数)に取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークにおける組織状態から、時刻tに取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークにおける組織状態への変化を解析し、
前記評価部は、前記組織状態の変化に応じて、前記時刻t時における指導者の指導にスコアを付し、前記スコアに基づいて、前記指導者を評価する、という態様であってもよい。
【0012】
本発明の評価装置において、例えば、
前記ネットワーク特徴量分析部は、さらに、前記特徴量から構成員ネットワークのネットワーク型を決定し、
前記組織状態識別部は、前記ネットワーク型に基づき、組織状態を識別する、という態様であってもよい。
【0013】
本発明の評価装置は、例えば、
さらに、マージ処理部、及び出力部を含み、
前記マージ処理部は、前記構成員ネットワーク毎に識別可能な視覚特徴を付して、前記各構成員ネットワークの共通する部分が重なるように、前記各構成員ネットワークを重ね合わせ、
前記出力部は、前記重ね合わせたマージネットワークを出力する、という態様であってもよい。
【0014】
本発明の評価装置は、例えば、
さらに、スキルデータ取得部、及びマッチング部を含み、
前記スキルデータ取得部は、指導者毎にスキルデータを取得し、
前記マッチング部は、前記スキルデータと前記組織状態に基づき、前記組織と、複数の前記指導者の中から前記組織の指導を行う前記指導者とのマッチングを行う、という態様であってもよい。
【0015】
本発明の評価装置は、例えば、
さらに、スキルデータ更新部を含み、
前記スキルデータ更新部は、前記指導者の評価に基づき、前記スキルデータを更新する、という態様であってもよい。
【0016】
本発明の評価方法において、例えば、
前記差分解析工程は、異なる時刻に取得した2つ以上の前記感謝データ送信履歴情報のうち、時刻t-1(tは1以上の整数)に取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークにおける組織状態から、時刻tに取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークにおける組織状態への変化を解析し、
前記評価工程は、前記組織状態の変化に応じて、前記時刻t時における指導者の指導にスコアを付し、前記スコアに基づいて、前記指導者を評価する、という態様であってもよい。
【0017】
本発明の評価方法において、例えば、
前記ネットワーク特徴量分析工程は、さらに、前記特徴量から構成員ネットワークのネットワーク型を決定し、
前記組織状態識別工程は、前記ネットワーク型に基づき、組織状態を識別する、という態様であってもよい。
【0018】
本発明の評価方法は、例えば、
さらに、マージ処理工程、及び出力工程を含み、
前記マージ処理工程は、前記構成員ネットワーク毎に識別可能な視覚特徴を付して、前記各構成員ネットワークの共通する部分が重なるように、前記各構成員ネットワークを重ね合わせ、
前記出力工程は、前記重ね合わせたマージネットワークを出力する、という態様であってもよい。
【0019】
本発明の評価方法は、例えば、
さらに、スキルデータ取得工程、及びマッチング工程を含み、
前記スキルデータ取得工程は、指導者毎にスキルデータを取得し、
前記マッチング工程は、前記スキルデータと前記組織状態に基づき、前記組織と、複数の前記指導者の中から前記組織の指導を行う前記指導者とのマッチングを行う、という態様であってもよい。
【0020】
本発明の評価方法は、例えば、
さらに、スキルデータ更新工程を含み、
前記スキルデータ更新工程は、前記指導者の評価に基づき、前記スキルデータを更新する、という態様であってもよい。
【0021】
本発明のプログラムは、本発明の方法の各工程を、手順として、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0022】
本発明の記録媒体は、本発明のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0023】
本発明において、「構成員」とは、組織の構成員を意味し、前記組織は、特に制限されず、複数の構成員で構成されるものが例示できる。具体的に、前記構成員としては、例えば、選手、社員、生徒等が挙げられる。また、前記組織としては、例えば、企業、組合、行政、病院、スポーツチーム、同好会、学校等が挙げられる。本発明において、「指導者」とは、組織を指導する人を意味し、例えば、コーチ、インストラクター、教師、アドバイザー、コンサルタント等が挙げられる。
【0024】
次に、本発明の実施形態について図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態には限定されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用でき、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0025】
[実施形態1]
図1は、本実施形態の評価装置10の一例の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本装置10は、感謝データ取得部11、ネットワーク生成部12、ネットワーク特徴量分析部13、組織状態識別部14、差分解析部15、及び評価部16を含む。また、本装置10は、例えば、任意の構成として、さらに、マージ処理部17、出力部18、スキルデータ取得部19、マッチング部20、及びスキルデータ更新部21を含んでもよいし、含まなくともよい。
【0026】
本装置10は、例えば、前記各部を含む1つの装置でもよいし、前記各部が、通信回線網を介して接続可能な装置でもよい。また、本装置10は、前記通信回線網を介して、後述する外部装置と接続可能である。前記通信回線網は、特に制限されず、公知のネットワークを使用でき、例えば、有線でも無線でもよい。前記通信回線網は、例えば、インターネット回線、WWW(World Wide Web)、電話回線、LAN(Local Area Network)、SAN(Storage Area Network)、DTN(Delay Tolerant Networking)等があげられる。無線通信としては、例えば、WiFi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)等が挙げられる。前記無線通信としては、各装置が直接通信する形態(Ad Hoc通信)、アクセスポイントを介した間接通信のいずれであってもよい。本装置10は、例えば、システムとしてサーバに組み込まれていてもよい。また、本装置10は、例えば、本発明のプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC、例えば、デスクトップ型、ノート型)、端末(スマートフォン、タブレット端末)等であってもよい。さらに、本装置10は、例えば、前記各部のうち少なくとも一つがサーバ上にあり、その他の前記各部が端末上にあるような、クラウドコンピューティングやエッジコンピューティング等の形態であってもよい。
【0027】
図2に、本装置10のハードウエア構成のブロック図を例示する。本装置10は、例えば、中央処理装置(CPU、GPU等)101、メモリ102、バス103、記憶装置104、入力装置105、表示装置106、通信デバイス107等を含む。本装置10の各部は、それぞれのインタフェース(I/F)により、バス103を介して相互に接続されている。
【0028】
中央処理装置101は、本装置10の全体の制御を担う。本装置10において、中央処理装置101により、例えば、本発明のプログラムやその他のプログラムが実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。具体的には、例えば、中央処理装置101が、感謝データ取得部11、ネットワーク生成部12、ネットワーク特徴量分析部13、組織状態識別部14、差分解析部15、及び評価部16として機能する。また、中央処理装置101は、例えば、マージ処理部17、出力部18、スキルデータ取得部19、マッチング部20、及びスキルデータ更新部21としても機能する。
【0029】
バス103は、例えば、外部装置とも接続できる。前記外部装置は、例えば、外部記憶装置(外部データベース等)、プリンター等があげられる。本装置10は、例えば、バス103に接続された通信デバイス107により、外部ネットワーク(前記通信回線網)に接続でき、外部ネットワークを介して、他の装置と接続することもできる。
【0030】
メモリ102は、例えば、メインメモリ(主記憶装置)が挙げられる。中央処理装置101が処理を行う際には、例えば、後述する記憶装置104に記憶されている本発明のプログラム等の種々の動作プログラムを、メモリ102が読み込み、中央処理装置101は、メモリ102からデータを受け取って、プログラムを実行する。前記メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。また、メモリ102は、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)であってもよい。
【0031】
記憶装置104は、例えば、前記メインメモリ(主記憶装置)に対して、いわゆる補助記憶装置ともいう。前述のように、記憶装置104には、本発明のプログラムを含む動作プログラムが格納されている。記憶装置104は、例えば、記録媒体と、記録媒体に読み書きするドライブとの組合せであってもよい。前記記録媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等が挙げられる。記憶装置104は、例えば、記録媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)、及びソリッドステートドライブ(SSD)であってもよい。
【0032】
本装置10において、メモリ102及び記憶装置104は、ユーザのログ情報、並びに、外部データベース(図示せず)から取得した情報を記憶することも可能である。
【0033】
本装置10は、例えば、さらに、入力装置105、表示装置106を含んでもよい。入力装置105は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等である。入力装置105は、例えば、表示装置106上に表示されたソフトウエアキーボードの形態であってもよい。表示装置106は、例えば、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ、タッチディスプレイ等が挙げられる。
【0034】
つぎに、本実施形態の評価方法の一例を、
図3のフローチャートに基づき説明する。本実施形態の評価方法は、例えば、
図1の評価装置10を用いて、次のように実施する。なお、本実施形態の評価方法は、
図1の評価装置10の使用には限定されない。
【0035】
まず、感謝データ取得部11により、一方の構成員から他方の構成員に感謝データを送信したことを示す感謝データ送信履歴情報を取得する(S11)。前記感謝データは、例えば、感謝を表すデータであればよく、例えば、感謝の種類(例えば、「ありがとう」、「すいません」、「称賛」、「尊敬」、「嬉しい」等)、感謝の程度、感謝のコメント等を含む。前記感謝データの形式は、特に制限されず、例えば、文字、文章、イラストの画像等があげられる。前記感謝データ送信履歴情報は、誰から誰に前記感謝データを送信したかを示す情報に加えて、前記感謝データの送信日時等の情報を含んでもよい。感謝データ取得部11は、例えば、前記感謝データ送信履歴情報として、前記感謝データそのものを取得してもよいし、後述の統計情報を取得してもよいし、前記感謝データを送信する端末からログ情報を取得してもよい。前記取得の形式は、例えば、前記通信回線網を介して、前記感謝データ等を格納しているデータベースやサーバ等から取得してもよいし、前記構成員の端末(構成員端末ともいう)である後述の感謝伝達装置から取得してもよい。具体的に、一方の構成員から他方の構成員に前記感謝データを送信することは、後述の実施形態3にて記載する。本装置10が取得した感謝データ送信履歴情報は、例えば、前記通信回線網を介して、外部のデータベースやサーバに出力されてもよいし、メモリ102及び記憶装置104等の記憶部に記憶されてもよい。
【0036】
次に、ネットワーク生成部12により、前記感謝データ送信履歴情報に基づいて、前記構成員が属する組織内における構成員ネットワークを生成する(S12)。前記構成員ネットワークは、例えば、前記組織内における複数の構成員間の関係(例えば、親密関係)を示すデータであり、相関図ともいう。前記構成員ネットワークの形態は、特に制限されず、例えば、複数の構成員のうち、前記感謝データを送信した前記一方の構成員と前記感謝データを受信した前記他方の構成員との間を線で繋いだマップ情報でもよい。
【0037】
次に、ネットワーク特徴量分析部13により、前記構成員ネットワークの特徴量を分析する(S13)。前記特徴量は、特に制限されず、例えば、前記構成員ネットワークにおける中心性の指標(媒介中心性、次数中心性、接近中心性、固有ベクトル中心性等)、完全グラフ数、平均最短距離等が挙げられる。分析する特徴量は、例えば、1つでもよいし、2つ以上でもよい。また、ネットワーク特徴量分析部13は、例えば、さらに、前記特徴量から構成員ネットワークのネットワーク型を決定してもよい。前記ネットワークの型としては、分散型、サイロ型、ブリッジ型、ボンディング型等が挙げられる。前記分散型の構成員ネットワークは、例えば、ノード(構成員)間のつながりが薄いか、又は全くつながりがない組織状態を示す。前記サイロ型の構成員ネットワークは、例えば、組織内において、さらに小さな組織が複数あり、且つ前記小さな組織間でのつながりがない組織状態を示す。前記ブリッジ型の構成員ネットワークは、例えば、前記サイロ型と同様に、組織内で小規模な組織を内包しているが、この小さな組織同士がつながっている組織状態を示す。前記ボンディング型の構成員ネットワークは、例えば、組織内に小さな組織を形成せず、ノード(構成員)間のつながりの数が多い(すなわち、次数を多く持つノードが多い)組織状態を示す。より具体的には、後述する。これにより、後述の組織状態を定量的に表すことができる。
【0038】
次に、組織状態識別部14により、前記分析した構成員ネットワークの特徴量に基づき、組織状態を識別する(S14)。また、組織状態識別部14は、前記ネットワーク型に基づき、組織状態を識別してもよい。前記組織状態は、特に制限されず、例えば、タックマンモデルにおける形成期、混乱期、統一期、機能期、散会期等が挙げられる。前記形成期は、例えば、組織に属する構成員が決まり、構成員が互い様子見している段階である。前記混乱期は、例えば、意見や主義・主張がぶつかり合い、構成員が互いに警戒心を持っている段階である。前記統一期は、例えば、目標が構成員に共有され、組織として従うルールが定着する段階である。前記機能期は、例えば、各構成員が自律的に動き、更に成果が生まれる段階である。前記散会期は、例えば、目標の達成、もしくは時間的な制約により、組織が解散し、各構成員が別の目標に向けて動き出す状態です。以下、前記組織状態としてタックマンモデルの各期を用いて説明するが、これに限定されず、他のモデルであってもよい。具体的に、組織状態識別部14は、例えば、後述するように、前記組織状態を少なくとも4段階(例えば、形成期、混乱期、統一期、及び機能期等)に識別してもよい。
【0039】
次に、差分解析部15により、異なる時刻に取得した2つ以上の前記感謝データ送信履歴情報から生成された前記各構成員ネットワークの差分を解析する(S15)。具体的には、例えば、後述するように、時刻t-1(tは1以上の整数)に取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワーク(以下、時刻t-1の構成員ネットワークともいう。他の時刻においても同様。)と、時刻tに取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワーク(以下、時刻tの構成員ネットワークともいう)とを比較した際のノード(構成員)やエッジ(各構成員間のつながり)の増減を算出してもよい。また、差分解析部15は、例えば、時刻t-1の構成員ネットワークにおける組織状態から時刻tの構成員ネットワークにおける組織状態への変化を解析してもよい。具体的には、後述する。
【0040】
そして、評価部16により、前記差分に基づいて、前記指導者を評価し(S16)、終了する(END)。前記評価の手法は、特に制限されないが、例えば、後述するように、前記組織状態の変化に応じて、前記時刻t時における指導者の指導にスコアを付し、前記スコアに基づいて、前記指導者を評価する。
【0041】
本実施形態は、例えば、さらに、マージ処理部17により、前記構成員ネットワーク毎に識別可能な視覚特徴を付して、前記各構成員ネットワークの共通する部分が重なるように、前記各構成員ネットワークを重ね合わせでもよい(S17)。前記視覚特徴は、特に制限されず、例えば、色、記号、ノードの形状等がある。前記各構成員ネットワークの重ね合わせの一例については、後述する。前記工程(S17)は、前記工程(S12)の後であればよく、特に制限されない。次に、出力部18により、前記重ね合わせたマージネットワークを出力する(S18)。前記出力の形式は、特に制限されず、例えば、前記通信回線網を介して、外部の装置に出力してもよいし、表示装置106に出力してもよい。そして、例えば、前記工程(S16)及び前記工程(S18)の処理を実行した後、終了する(END)。
【0042】
本実施形態は、例えば、さらに、スキルデータ取得部19により、指導者毎にスキルデータを取得してもよい(S19)。前記スキルデータは、前記指導者のスキルを示すデータである。具体的に、前記スキルデータは、例えば、構成員の話を聴き本音を引き出す力(傾聴スキル)、自分で考えるように構成員に質問をする力(質問スキル)、構成員の行動や結果について承認すること、すなわち、構成員の存在承認することで構成員の行動を促す力(認知スキル)、等のスキルや、指導者の経験、指導者の専門分野等を示すデータを含む。また、前記スキルデータは、例えば、指導者が指導を得意とする前記組織状態を示すデータを含んでもよい。さらに、前記スキルデータは、例えば、前記スキルデータを取得した日時情報と紐づけられてもよい。スキルデータ取得部19は、例えば、前記通信回線網を介して、前記指導者の端末(指導者端末ともいう)から取得してもよいし、前記スキルデータを格納しているデータベースやサーバ等から取得してもよい。また、スキルデータ取得部19は、例えば、前記指導者にスキルデータに関するアンケートを取り、その回答が入力されることで、前記スキルデータを取得してもよい。前記アンケート及びその回答の形式は、特に制限されず、例えば、紙やウェブサイト等を活用できる。本装置10が取得したスキルデータは、例えば、前記通信回線網を介して、外部のデータベースやサーバに出力されてもよいし、メモリ102及び記憶装置104等の記憶部に記憶されてもよい。スキルデータ取得部19は、例えば、前記スキルデータに紐づけて、前記指導者の識別情報を取得してもよい。前記識別情報は、特に制限されず、例えば、前記指導者の氏名、前記指導者のID(identification)、前記指導者端末のID等がある。前記工程(S19)は、例えば、前記工程(S11)~(S14)と並行して処理してもよいし、順番に処理してもよい。前記順番は、特に制限されない。
【0043】
前記スキルデータを取得する場合、本実施形態は、さらに、マッチング部20により、前記スキルデータと前記組織状態に基づき、前記組織と、複数の前記指導者の中から前記組織の指導を行う前記指導者とのマッチングを行ってもよい(S20)。そして、例えば、前記工程(S16)及び前記工程(S20)の処理を実行した後、終了する(END)。具体的には、後述する。
【0044】
前記スキルデータを取得する場合、本実施形態は、さらに、スキルデータ更新部21により、前記指導者の評価に基づき、前記スキルデータを更新してもよい(S21)。前記更新したスキルデータは、例えば、メモリ102及び記憶装置104に記憶されてもよい。前記更新は、例えば、前のスキルデータに上書きする形式でもよいし、スキルデータを蓄積して記憶する形式でもよい。
【0045】
本実施形態によれば、構成員ネットワークの変化を解析することで、定量的に指導者を評価することができる。メールやチャット等のツールの送信履歴では、各構成員間の人間関係が良好か否か不明である。しかしながら、本実施形態によれば、感謝データの送信履歴情報に基づくため、各構成員間の人間関係が良好であるとみなせる。すなわち、前記感謝データ送信履歴情報を用いることで、組織内の各構成員間の親密度を把握できる。
【0046】
前記指導者は、前記指導者毎にスキルデータ(得手不得手な指導手法)が異なる。また、前記組織は、前記組織状態によって適切な指導手法が異なる。そのため、指導する前記組織が前記指導者の不得意なスキルデータを必要とする組織状態の場合、前記指導者に対しては、組織の現状を把握する手間や時間がかかるといった問題があり、前記組織及び前記構成員に対しては、前記効果的な指導が受けられないといった問題がある。しかしながら、本実施形態によれば、例えば、さらに、前記スキルデータと前記組織状態を用いるため、前記指導者と前記組織との適切なマッチングが可能である。
【0047】
[実施形態2]
具体的に、本装置10を用いて、組織状態の把握、指導者の評価及びマッチングを行う一例を説明する。以下において、前記構成員として選手、前記組織としてチーム、前記指導者としてコーチを例に挙げて説明するが、前述のように、これに限定されない。
【0048】
まず、組織状態を把握する一例について説明する。チーム内の各選手は、例えば、後述の感謝伝達装置を利用し、チーム内の他の選手に感謝データを送信する。そして、本装置10の感謝データ取得部11により、前記感謝伝達装置から前記感謝データ送信履歴情報を取得する。
図4(A)に、前記感謝データ送信履歴情報の一例を示す。
図4(A)において、「From」は、前記感謝データを送信した選手を示し、「Target」は、前記感謝データを送信された選手を示す。
【0049】
次に、
図5に示すように、ネットワーク生成部12により、前記感謝データ送信履歴情報を読み込んで、構成員ネットワークを生成する(ネットワーク化ともいう)。なお、前記構成員ネットワークにおいて、各ノード(各選手)間の距離や方向性は、特に制限されず、後述の特徴量に応じて、算出してもよいし、算出しなくともよい。前記各ノード(各選手)間の距離は、例えば、前記感謝データにおける感謝の程度をノード間の距離として処理することができる。前記感謝の程度については、後述する。以下、前記構成員ネットワークにおいて、前記選手をノードともいう。
【0050】
次に、
図6に示すように、ネットワーク特徴量分析部13により、前記構成員ネットワークの特徴量を分析し、且つ前記特徴量から構成員ネットワークのネットワーク型を決定する。
図6では、前記特徴量として、媒介中心性、完全グラフ数、平均最短距離を求めているが、前述のように、これに限定されない。具体的に、ネットワーク特徴量分析部13は、例えば、すべての媒介中心性が0であり、且つ完全グラフ数が0である構成員ネットワークを「分散型」と決定する。また、ネットワーク特徴量分析部13は、例えば、上位2つの媒介中心性の0.2以下であり、且つ完全グラフ数が2以上である構成員ネットワークを「サイロ型」と決定する。さらに、ネットワーク特徴量分析部13は、例えば、上位2つの媒介中心性の0.9以上であり、且つ完全グラフ数が0である構成員ネットワークを「ブリッジ型」と決定する。また、ネットワーク特徴量分析部13は、例えば、完全グラフ数が0であり、且つ平均最短距離が5~6である構成員ネットワークを「ボンディング型」と決定する。なお、これらの数値は、例示であって、任意に設定可能である。本装置10は、例えば、
図6に示すような前記特徴量と前記各ネットワーク型との関係を示したテーブルデータを予め記憶していてもよいし、前記通信回線網を介して、外部から取得してもよい。
【0051】
そして、本装置10の組織状態識別部14により、前記分散型の構成員ネットワークを有する組織の状態を「形成期」とし、前記サイロ型の構成員ネットワークを有する組織の状態を「混乱期」とし、前記ブリッジ型の構成員ネットワークを有する組織の状態を「統一期」とし、前記ボンディング型の構成員ネットワークを有する組織の状態を「機能期」として識別する。
【0052】
図7を用いて、媒介中心性の計算の一例を説明する。前記媒介中心性は、例えば、
図7に示す式(1)を用いて算出できる。具体的に、
図7下部に示すノード1を例に挙げて説明する。媒介中心性は、各ノード間の経路における最短経路数(A)で、前記最短経路のうちノード1を通る経路数(B)を割り、その総和を求めることで算出できる。すなわち、
図7下部に示すノード1の媒介中心性は、3.5となる。
【0053】
図8を用いて、完全グラフ数の計算の一例を説明する。まず、構成員ネットワーク内から任意のノードをn個(nは1以上の整数)抽出する。そして、前記抽出したn個のノードで構成される辺の数m(mは1以上の整数)が前記抽出したノードの数と同数の場合、その構成員ネットワークの部分を完全グラフとする。そして、前記完全グラフの総和を完全グラフ数とする。具体的に、
図8下部に示す構成員ネットワーク(1)は、各枠で囲った各ノードを抽出した。この場合、図示するように、各枠内の構成員ネットワークの部分は、ともに完全グラフとなる(n=3、m=3)。一方で、構成員ネットワーク(2)は、枠で囲った各ノードを抽出した。この場合、図示するように、各枠内の構成員ネットワークの部分は、完全グラフでないことになる(n=2、m=1)。
【0054】
図9を用いて、平均最短距離の計算の一例を説明する。まず、構成員ネットワークから任意のノードを一つ選択する。以下、前記選択したノードを原点ともいう。次に、図示するように、前記原点と隣接するノードをエルデシュ数nとする。また、前記原点と隣接せずエルデシュ数n(nは、1以上の整数)のノードをエルデシュ数n+1とする。一方で、上記規定に当てはまらないノードは、エルデシュ数∞とする。そして、前記平均最短距離は、例えば、
図9に示す式(2)を用いて算出できる。
【0055】
次に、前記組織状態の変化から指導者を評価する一例について説明する。
図10は、異なる時刻に取得した2つ以上の前記感謝データ送信履歴情報から生成された前記各構成員ネットワークの一例を示す図である。
図10に示すように、時刻tの構成員ネットワークにおける組織状態は、組織状態識別部14により、「形成期」と識別され、時刻t+1の構成員ネットワークにおける組織状態は、「統一期」と識別された。この時、差分解析部15は、構成員ネットワークが「形成期」から「統一期」に進展したと解析する。そして、評価部16は、前記組織状態が進展したことに応じて、例えば、前記時刻t+1時における指導者の指導に、「+1」のスコアを付す。一方で、例えば、時刻tよりも前に取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークが存在しないため、評価部16は、例えば、前記時刻t時における指導者の指導に、「0」のスコアを付す。また、時刻t+2の構成員ネットワークにおける組織状態は、組織状態識別部14により、「混乱期」と識別された。この時、差分解析部15は、構成員ネットワークが「統一期」から「混乱期」に後退したと解析する。そして、評価部16は、前記組織状態が後退したことに応じて、例えば、前記時刻t+1時における指導者の指導に、「―1」のスコアを付す。同様にして、
図10における時刻t+3、及び時刻t+4時に取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく各処理を実行する。そして、評価部16は、例えば、時刻t~時刻t+4時における各スコアの総計を前記指導者の評価とする。なお、時刻t~時刻t+4時における組織を指導している指導者は、同一人物であるが、時刻t~時刻t+4時における組織は、同一組織でもよいし、異なる組織であってもよい。異なる組織である場合、例えば、差分解析部15及び評価部16は、組織毎に前記解析及びスコアの付与を実行し、前記各組織における各スコアの総計を前記指導者の評価としてもよい。前記スコアは、例示であって、これに限定されない。前記スコアの大きさは、例えば、進展、停頓、後退等の変化やその変化の大きさに応じて、予め任意に設定可能である。
【0056】
評価部16は、例えば、前記評価として、異なる時刻に取得した2つ以上の前記感謝データ送信履歴情報から生成された前記各構成員ネットワークから、組織状態毎に識別された数を算出してもよい。また、評価部16は、例えば、前記評価として、一方の組織状態から他方の組織状態への進展の頻度を算出してもよい。これにより、スキルデータ更新部21は、例えば、後述のスキルデータを更新することができる。すなわち、取得したスキルデータが「混乱期」である場合、スキルデータ更新部21は、例えば、評価部16により最も高い評価である「統一期」にスキルデータを更新する。「最も高い評価」とは、例えば、前記識別された数が最も多い組織状態や前記進展の頻度が最も多い前記一方の組織状態等である。
【0057】
次に、コーチとチームとをマッチングさせる一例について説明する。コーチは、例えば、ウェブサイト(アンケート)を利用し、スキルデータを入力する。そして、本装置10は、例えば、スキルデータ取得部19により、前記スキルデータを取得する。
図4(B)に、前記スキルデータの一例を示す。
図4(B)において、「Coach」は、前記コーチの識別情報(氏名)を示し、「Skill」は、前記コーチのスキルデータ(指導を得意とする組織の状態)を示す。
【0058】
そして、
図11に示すように、マッチング部20により、コーチとチームとをマッチングさせる。具体的に、
図11(A)に示すように、前記チームの組織状態が、「統一期」である場合、マッチング部20は、スキルデータ、すなわち、指導を得意とする組織の状態が「統一期」であるコーチCCを前記チームにマッチングする。このように、本装置10によれば、チームに対し、好適なコーチをマッチングすることができる。本装置10は、例えば、現状のコーチとチームとの組み合わせが、適切な組み合わせか否かを判定してもよい。具体的に、
図11(B)に示すように、前記チームの組織状態が、「形成期」であり、且つ前記チームを指導しているコーチのスキルデータ、すなわち、指導を得意とする組織の状態が「統一期」である場合、マッチング部20は、このコーチとチームの組み合わせは、不適である(ミスマッチ)と判定してもよい。さらに、マッチング部20は、例えば、前記不適であると判定した場合、推奨するコーチ、すなわち適切なスキルデータを有するコーチを選択して出力してもよい。
図11(B)に示す例では、コーチCCに代えて、指導を得意とする組織の状態が「形成期」であるコーチAAを推奨するコーチとして選択する。前記出力の形式は、特に制限されず、例えば、前記通信回線網を介して、外部の装置に出力してもよいし、表示装置106に表示するように出力してもよい。このように、本装置10によれば、例えば、組織と指導者との組み合わせが好適か不適かを判定することが可能である。
【0059】
[実施形態3]
具体的に、本装置10を用いて、指導者に評価のフィードバックを行う一例を説明する。以下において、前記構成員として選手、前記組織としてチーム、前記指導者としてコーチを例に挙げて説明するが、前述のように、これに限定されない。
【0060】
図12は、コーチング前後における感謝データ送信履歴情報の一例を示す図である。
図12左側は、コーチがコーチングを行う前(時刻t)に取得した感謝データ送信履歴情報の一例を示し、
図12右側は、コーチング後(時刻t+1)に取得した感謝データ送信履歴情報の一例を示す。この組織において、時刻tから時刻t+1の間に、選手Bが組織から抜け、新たに選手Dが加入した。そのため、コーチング後(時刻t+1)に取得した感謝データ送信履歴情報は、コーチングを行う前(時刻t)に取得した感謝データ送信履歴情報と比較して、選手Cから選手Bへの前記感謝データの送信履歴が削除され、選手Dから選手C及び選手Cから選手Eへの前記感謝データの送信履歴が追加された。
【0061】
図13に、コーチング前後における感謝データ送信履歴情報から生成した各構成員ネットワークの一例を示す。ネットワーク生成部12は、
図12に示す各感謝データ送信履歴情報に基づいて、
図13に示す各感謝データ送信履歴情報を生成する。この際、ネットワーク生成部12は、例えば、いずれか一方の構成員ネットワークに基づいて、各ノードの位置を固定させることが好ましい。差分解析部15は、例えば、各構成員ネットワークを比較して、ノード(選手)やエッジ(選手間のつながり)も増減を計算することで、差分を解析してもよい。
【0062】
図14を用いて、マージ処理部17による処理について説明する。
図14は、各構成員ネットワークを重ね合わせる一例を示す図である。
図14において、前記視覚的特徴として、色を用いるが、前述のようにこれに限定されない。具体的に、
図14では、例えば、時刻tにおける構成員ネットワークの各ノード及び各エッジを青色で示し、時刻t+1における構成員ネットワークの各ノード及び各エッジを赤色で示している。マージ処理部17により、この2つの構成員ネットワークを重ね合わせる(マージさせる)と、例えば、
図14右側に示すようなマージネットワークになる。
図14のマージネットワークにおいて、ノードD、ノードCとノードD間のエッジ、及びノードCとノードE間のエッジは、それぞれ、時刻t+1における構成員ネットワークと同じ赤色で示され、他は、時刻tにおける構成員ネットワークと同じ青色で示されている。このように、前記マージネットワークによれば、ノード及びエッジがどちらのネットワークに帰属するかが分かる。
【0063】
そして、出力部18により、前記マージネットワークを出力する。前記出力されたマージネットワークの一例を
図15に示す。
図15に示すように、前記マージネットワークは、例えば、前記指導者の端末(スマートフォン、携帯電話、PC等)に出力される。また、出力部18は、例えば、さらに、前記スコアや前記評価等を示すデータを出力してもよい。これらにより、指導の成果や評価等を前記指導者にフィードバックすることができる。
【0064】
[実施形態4]
一方の構成員から他方の構成員に前記感謝データを送信することについて具体的に記載する。なお、これは例示であって、何ら限定されない。一方の構成員から他方の構成員に前記感謝データを送信することは、例えば、特開2018-147494号公報に記載の技術を用いることで可能である。
【0065】
前記感謝データの送信は、例えば、感謝伝達装置30により実行される。
図16に、実施形態の感謝伝達装置30の一例の構成を示す。感謝伝達装置30は、記憶部31、表示部32、選択部33、および送受信部34を含む。さらに、感謝伝達装置30は、任意の構成として、さらに、統計部35等を含んでもよい。感謝伝達装置30のハードウエア構成は、特に制限されないが、例えば、評価装置10と同様である。具体的に、中央処理装置101が、例えば、選択部33、送受信部34、及び統計部35として機能し、表示部32は、例えば、表示装置106を使用でき、記憶部31は、メモリ102や記憶装置104を使用できる。
【0066】
感謝伝達装置30は、各ユーザ(すなわち、構成員)それぞれが有している装置であり、前記各ユーザそれぞれが有する各感謝伝達装置30は、例えば、前記通信回線網を介して、相互に接続可能であってもよい。
【0067】
次に、本実施形態の感謝伝達方法について、
図17~23を用いて説明する。
図17は、前記感謝伝達方法のフローチャートであり、
図18~23は、感謝伝達装置30の表示部32の概略図である。なお、本実施形態の感謝伝達方法は、感謝伝達装置30の使用には限定されない。
【0068】
(A1)記憶工程
まず、記憶部31により、感謝データ、および複数のユーザのユーザデータを記憶する。前記感謝データは、前述の通りである。前記ユーザデータとは、例えば、ユーザの端末データを含み、例えば、さらに、ユーザを識別する識別データ(ユーザを特定する特定データともいう)を含む。記憶部31は、前記ユーザデータとして、例えば、ユーザの前記識別データと前記端末データとを、紐づけて(関連付けて)記憶する。前記ユーザの識別データは、例えば、複数のユーザから特定のユーザを識別できる情報であればよく、具体例として、氏名、ニックネーム、写真画像、イラスト画像等があげられ、さらに、所属等を含んでもよい。前記端末データは、例えば、前記通信回線網を介してデータを送受信するためのデータであり、具体例として、IPアドレス等があげられる。記憶部31に記憶するユーザデータの数は、特に制限されず、例えば、感謝の伝達を行う任意の組織に所属する構成員について、記憶できる。前記複数のユーザは、例えば、さらに、メンバーを招待して共有するグループとして記憶することができる。また、前記複数ユーザのユーザデータは、例えば、アドレス帳として記憶してもよい。
【0069】
(A2)ユーザデータの表示工程
次に、表示部32により、前記複数のユーザのユーザ識別情報を表示する。具体的に、表示部32は、複数のユーザについて、前記ユーザ識別データとして、例えば、氏名、写真画像、イラスト画像等を表示する。具体的には、
図18に示すように、感謝伝達装置30の表示部32に、ユーザ名(例えば、Aさん、Bさん等)と、写真画像(例えば、顔写真)またはイラスト画像(例えば、カメのイラスト)等とを表示する。
【0070】
(A3)特定のユーザの選択工程
次に、選択部33により、表示された複数のユーザ識別情報から、特定のユーザを選択する。特定のユーザを選択すると、
図19の左図に示すように、表示部32には、例えば、感謝を送信する先として選択した特定のユーザ(Bさん)が表示される。
【0071】
(A4)複数の感謝の種類の表示工程
また、選択部33により、特定のユーザを選択すると、表示部32には、例えば、選択した特定のユーザの他に、前記感謝データとして、複数の感謝の種類が表示される。感謝の種類は、特に制限されず、例えば、「ありがとう」、「すいません」、「称賛」、「尊敬」、「嬉しい」等があげられる。感謝の種類は、例えば、感謝の種類を表現する画像として表示され、前記画像は、例えば、言葉のみでもよいし、感謝を表現するイラストのみでもよいし、言葉とイラストとの組み合わせでもよい。
【0072】
表示部32には、複数の感謝の種類を同時または順次表示することができる。後者の場合、例えば、表示部32は、表示部32に表示されている前記感謝の種類を示す任意の画像を、スライド、スワイプ等により表示部32上で移動させることによって、表示部32に、前記複数の感謝の種類を示す画像を順次表示できる。この際、例えば、表示部32に表示されている任意の画像の他に、前記感謝の種類を示す画像が存在していることを表すために、表示部32は、前記感謝の種類を示す任意の画像を表示するとともに、前記任意の画像の左右または上下等に、前記感謝の種類を示す隣接する他の画像の一部を表示してもよい。具体的には、
図19の左図に示すように、表示部32において、選択した特定のユーザ(Bさん)を表示し、さらに、感謝の種類として、相手の行動を評価する言葉である「Good!」の文字と、それを表すイラストの画像が、下方向の中央部に表示される。この際、
図19の左図に示すように、「Good!」の画像の左右に、隣接する他の画像の一部が表示される。これによって、「Good!」の画像の左右に他の画像が存在していることを、ユーザに認識させることができる。そして、「Good!」の画像をスライドすることによって、例えば、
図19の右図に示すように、「Good!」の画像の右にある「ありがとう」の画像を、表示部32の下方向の中央部に表示できる。
【0073】
(A5)特定の感謝の種類の選択工程
次に、選択部33により、表示された感謝の種類から、特定の感謝の種類を選択する。特定の感謝の種類を選択すると、
図20に示すように、表示部32には、例えば、選択した特定のユーザ(Bさん)と選択した感謝の種類(ありがとう)を示す画像とが表示される。
【0074】
(A6)複数の感謝の程度の表示工程
次に、選択部33により、特定の感謝の種類を選択すると、表示部32には、例えば、選択した感謝の種類の他に、感謝の程度が表示される。感謝の程度は、例えば、感謝の程度を表わすバー画像により表示することができる。具体的には、
図20に示すように、感謝の種類(ありがとう)を示す画像の横に、感謝の程度を示す5段階のバーが表示される。前記バーは、例えば、感謝の程度を高さで表わすものであり、下から上に上がるほど、感謝の程度が強くなることを意味する。
【0075】
(A7)特定の感謝の程度の選択工程
次に、選択部33により、表示部32に表示された感謝の程度から、特定の感謝の程度を選択する。特定の感謝の程度を選択すると、
図20に示すように、表示部32には、例えば、感謝の程度を5段階で示すバーが示される。そして、例えば、
図20の左図に示すように、感謝の程度が、仮の基準として3段階として示される場合(下から3段階のバーまでが黒色表示)、
図20の右図に示すように、5段階までバーの色を黒にすることで、Bさんへの感謝の程度が5段階評価における5段階であることを示すことができる。バーの色は、特に制限されず、また、例えば、表示部32に表示される5段階のバーのうち、1段階のバーから所望の段階のバーまでスワイプすることで、評価段階を選択できる。
【0076】
(A8)送信工程
そして、送受信部34により、選択した特定のユーザの端末に、選択された特定の感謝データ(例えば、特定した感謝の種類および感謝の程度)を送信する。具体的には、
図21(A)~(C)の順に示すように、表示部32に示された、選択された特定のユーザ(Bさん)を示す画像に向かって、「ありがとう」の画像を、フリックやドラッグにより移動させる。これによって、特定のユーザであるBさんに、感謝の種類が「ありがとう」であり、感謝の程度が「5段階」である感謝データを、ネットワークを介して、特定のユーザの端末に送信できる。
【0077】
(A9)受信工程(図示せず)
本実施形態の方法は、例えば、他のユーザから送信された感謝データ(例えば、選択された特定の感謝の種類および選択された特定の感謝の程度)を受信する工程を有する。前記工程は、例えば、感謝伝達装置30の送受信部34および表示部32により実行できる。前記感謝データを受信するタイミングは、特に制限されない。
【0078】
本実施形態において、表示部32への前記感謝データおよび前記複数のユーザのユーザ識別情報の表示順序は、特に制限されず、例えば、前述のように、前記ユーザ識別情報を表示した後、前記感謝データを表示してもよいし、両者を同時に表示してもよい。
【0079】
本実施形態の感謝伝達方法は、例えば、さらに、送信した感謝データおよび受信した感謝データを、送受信履歴データとして記憶する記憶工程を含んでもよく、例えば、感謝伝達装置30の記憶部31により実行できる。
【0080】
本実施形態において、表示部32は、例えば、さらに、その端末から送信した感謝データの一部または全部の一覧、その端末が受信した感謝データの一部または全部の一覧を、それぞれ表示してもよい。
図22に示すように、例えば、感謝伝達装置である端末30の表示部32において、送信一覧を選択した場合、その端末30から送信した感謝データの一覧を表示することができる。前記一覧において、表示する感謝データの内容は、例えば、送信先のユーザ、感謝の種類、感謝の程度、送信時間等である。また、図示していないが、例えば、感謝伝達装置である端末30の表示部32において、受信一覧を選択した場合、その端末30で受信した感謝データの一覧を表示することができる。前記一覧において、表示する感謝データの内容は、例えば、感謝の種類、感謝の程度、送信時間等であり、送信元のユーザは、表示しても表示しなくてもよく、感謝の提示しやすさから、匿名性として表示しなくてもよい。
【0081】
(A10)統計工程(図示せず)
本実施形態において、感謝伝達装置30は、例えば、さらに、統計部35を有してもよく、統計部35は、送信した感謝データと、受信した感謝データとに基づいて、統計データを算出する。この場合、表示部32は、例えば、さらに、前記統計データを表示してもよい。
【0082】
統計部35による、送信した感謝データと受信した感謝データとに基づく統計データの種類は、特に制限されず、具体例としては、その端末から送信した感謝データの総量、その端末が受信した感謝データの総量、その端末が送信した感謝データ量と受信した感謝データ量との割合(比)、感謝データ量の経時的推移、送受信した感謝データにおける感謝の種類の割合および感謝の程度の割合等があげられる。また、各端末(感謝伝達装置30)が、前述のようにサーバと接続可能である場合、例えば、サーバで記憶された各端末(感謝伝達装置30)の感謝データの総量も、統計データとして表示することができる。ここで、感謝データの量とは、特に制限されず、例えば、送受信した感謝データの件数(回数)と感謝の程度の積で表わすことができる。
【0083】
前記統計データは、例えば、
図23に示すように、感謝伝達装置である端末30の表示部32において、前記通信回線網を介して接続されている複数の端末の全体の感謝量、その端末により送受信した感謝量、送信した感謝量と受信した感謝量との割合(例えば、過去6か月間)、感謝程度ごとの割合、感謝量の推移等を、数値、円グラフ、棒グラフ、折れ線グラフ等で示すことができる。
【0084】
本実施形態によれば、相手に対して、例えば、感謝の種類や感謝の程度等を容易に伝えることができる。具体的には、例えば、直接伝えることが恥ずかしい場合、大勢の前では伝えにくい場合、相手が遠くに離れている場合、伝えるタイミングを逸した場合等であっても、本実施形態の装置および方法を使用することで、容易に、感謝の伝達を行うことができる。このため、本実施形態の装置および方法は、例えば、会社における組織で利用することにより、お互いの信頼性を高め、その結果、個々と組織のパフォーマンスの向上に役立てることができる。したがって、本実施形態における感謝データや統計情報等は、前記実施形態1及び2記載の装置及び方法における感謝データ送信履歴情報として有用である。
【0085】
[実施形態4]
本実施形態のプログラムは、前記各実施形態の方法の各工程を、手順として、コンピュータに実行させるためのプログラムである。本発明において、「手順」は、「処理」と読み替えてもよい。また、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。前記記録媒体としては、特に限定されず、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク等が挙げられる。
【0086】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【0087】
<付記>
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
感謝データ取得部、ネットワーク生成部、ネットワーク特徴量分析部、組織状態識別部、差分解析部、及び評価部を含み、
前記感謝データ取得部は、一方の構成員から他方の構成員に感謝データを送信したことを示す感謝データ送信履歴情報を取得し、
前記ネットワーク生成部は、前記感謝データ送信履歴情報に基づいて、前記構成員が属する組織内における構成員ネットワークを生成し、
前記ネットワーク特徴量分析部は、前記構成員ネットワークの特徴量を分析し、
前記組織状態識別部は、前記分析した構成員ネットワークの特徴量に基づき、組織状態を識別し、
前記差分解析部は、異なる時刻に取得した2つ以上の前記感謝データ送信履歴情報から生成された前記各構成員ネットワークの差分を解析し、
前記評価部は、前記差分に基づいて、前記指導者を評価する、評価装置。
(付記2)
前記差分解析部は、異なる時刻に取得した2つ以上の前記感謝データ送信履歴情報のうち、時刻t-1(tは1以上の整数)に取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークにおける組織状態から、時刻tに取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークにおける組織状態への変化を解析し、
前記評価部は、前記組織状態の変化に応じて、前記時刻t時における指導者の指導にスコアを付し、前記スコアに基づいて、前記指導者を評価する、付記1記載の評価装置。
(付記3)
前記ネットワーク特徴量分析部は、さらに、前記特徴量から構成員ネットワークのネットワーク型を決定し、
前記組織状態識別部は、前記ネットワーク型に基づき、組織状態を識別する、付記1または2記載の評価装置。
(付記4)
さらに、マージ処理部、及び出力部を含み、
前記マージ処理部は、前記構成員ネットワーク毎に識別可能な視覚特徴を付して、前記各構成員ネットワークの共通する部分が重なるように、前記各構成員ネットワークを重ね合わせ、
前記出力部は、前記重ね合わせたマージネットワークを出力する、付記1から3のいずれかに記載の評価装置。
(付記5)
さらに、スキルデータ取得部、及びマッチング部を含み、
前記スキルデータ取得部は、指導者毎にスキルデータを取得し、
前記マッチング部は、前記スキルデータと前記組織状態に基づき、前記組織と、複数の前記指導者の中から前記組織の指導を行う前記指導者とのマッチングを行う、付記1から4のいずれかに記載の評価装置。
(付記6)
さらに、スキルデータ更新部を含み、
前記スキルデータ更新部は、前記指導者の評価に基づき、前記スキルデータを更新する、付記5記載の評価装置。
(付記7)
感謝データ取得工程、ネットワーク生成工程、ネットワーク特徴量分析工程、組織状態識別工程、スキルデータ取得工程、差分解析工程、及び評価工程を含み、
前記感謝データ取得工程は、一方の構成員から他方の構成員に感謝データを送信したことを示す感謝データ送信履歴情報を取得し、
前記ネットワーク生成工程は、前記感謝データ送信履歴情報に基づいて、前記構成員が属する組織内における構成員ネットワークを生成し、
前記ネットワーク特徴量分析工程は、前記構成員ネットワークの特徴量を分析し、
前記組織状態識別工程は、前記分析した構成員ネットワークの特徴量に基づき、組織状態を識別し、
前記スキルデータ取得工程は、指導者毎にスキルデータを取得し、
前記差分解析工程は、異なる時刻に取得した2つ以上の前記感謝データ送信履歴情報から生成された前記各構成員ネットワークの差分を解析し、
前記評価工程は、前記差分に基づいて、前記指導者を評価する、評価方法。
(付記8)
前記差分解析工程は、異なる時刻に取得した2つ以上の前記感謝データ送信履歴情報のうち、時刻t-1(tは1以上の整数)に取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークにおける組織状態から、時刻tに取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークにおける組織状態への変化を解析し、
前記評価工程は、前記組織状態の変化に応じて、前記時刻t時における指導者の指導にスコアを付し、前記スコアに基づいて、前記指導者を評価する、付記7記載の評価方法。
(付記9)
前記ネットワーク特徴量分析工程は、さらに、前記特徴量から構成員ネットワークのネットワーク型を決定し、
前記組織状態識別工程は、前記ネットワーク型に基づき、組織状態を識別する、付記7または8記載の評価方法。
(付記10)
さらに、マージ処理工程、及び出力工程を含み、
前記マージ処理工程は、前記構成員ネットワーク毎に識別可能な視覚特徴を付して、前記各構成員ネットワークの共通する部分が重なるように、前記各構成員ネットワークを重ね合わせ、
前記出力工程は、前記重ね合わせたマージネットワークを出力する、付記7から9のいずれかに記載の評価方法。
(付記11)
さらに、スキルデータ取得工程、及びマッチング工程を含み、
前記スキルデータ取得工程は、指導者毎にスキルデータを取得し、
前記マッチング工程は、前記スキルデータと前記組織状態に基づき、前記組織と、複数の前記指導者の中から前記組織の指導を行う前記指導者とのマッチングを行う、付記7から10のいずれかに記載の評価方法。
(付記12)
さらに、スキルデータ更新工程を含み、
前記スキルデータ更新工程は、前記指導者の評価に基づき、前記スキルデータを更新する、付記11記載の評価方法。
(付記13)
コンピュータに、感謝データ取得手順、ネットワーク生成手順、ネットワーク特徴量分析手順、組織状態識別手順、スキルデータ取得手順、マッチング手順、差分解析手順、及び評価手順を含む手順を実行させるためのプログラムであって、
前記感謝データ取得手順は、一方の構成員から他方の構成員に感謝データを送信したことを示す感謝データ送信履歴情報を取得し、
前記ネットワーク生成手順は、前記感謝データ送信履歴情報に基づいて、前記構成員が属する組織内における構成員ネットワークを生成し、
前記ネットワーク特徴量分析手順は、前記構成員ネットワークの特徴量を分析し、
前記組織状態識別手順は、前記分析した構成員ネットワークの特徴量に基づき、組織状態を識別し、
前記スキルデータ取得手順は、指導者毎にスキルデータを取得し、
前記マッチング手順は、前記スキルデータと前記組織状態に基づき、前記組織と、複数の前記指導者の中から前記組織の指導を行う前記指導者とのマッチングを行い、
前記差分解析手順は、異なる時刻に取得した2つ以上の前記感謝データ送信履歴情報から生成された前記各構成員ネットワークの差分を解析し、
前記評価手順は、前記差分に基づいて、前記指導者を評価する、プログラム。
(付記14)
前記差分解析手順は、異なる時刻に取得した2つ以上の前記感謝データ送信履歴情報のうち、時刻t-1(tは1以上の整数)に取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークにおける組織状態から、時刻tに取得した前記感謝データ送信履歴情報に基づく前記構成員ネットワークにおける組織状態への変化を解析し、
前記評価手順は、前記組織状態の変化に応じて、前記時刻t時における指導者の指導にスコアを付し、前記スコアに基づいて、前記指導者を評価する、付記13記載のプログラム。
(付記15)
前記ネットワーク特徴量分析手順は、さらに、前記特徴量から構成員ネットワークのネットワーク型を決定し、
前記組織状態識別手順は、前記ネットワーク型に基づき、組織状態を識別する、付記13または14記載のプログラム。
(付記16)
さらに、マージ処理手順、及び出力手順を含み、
前記マージ処理手順は、前記構成員ネットワーク毎に識別可能な視覚特徴を付して、前記各構成員ネットワークの共通する部分が重なるように、前記各構成員ネットワークを重ね合わせ、
前記出力手順は、前記重ね合わせたマージネットワークを出力する、付記13から15のいずれかに記載のプログラム。
(付記17)
さらに、スキルデータ取得手順、及びマッチング手順を含み、
前記スキルデータ取得手順は、指導者毎にスキルデータを取得し、
前記マッチング手順は、前記スキルデータと前記組織状態に基づき、前記組織と、複数の前記指導者の中から前記組織の指導を行う前記指導者とのマッチングを行う、付記13から16のいずれかに記載のプログラム。
(付記18)
さらに、スキルデータ更新手順を含み、
前記スキルデータ更新手順は、前記指導者の評価に基づき、前記スキルデータを更新する、付記17記載のプログラム。
(付記19)
付記13から18のいずれかに記載のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明によれば、定量的に指導者を評価することができる。このため、本発明は、例えば、複数の構成員で形成される組織に対して指導を行う指導者が存在する様々な分野において有用である。
【符号の説明】
【0089】
10 評価装置
11 感謝データ取得部
12 ネットワーク生成部
13 ネットワーク特徴量分析部
14 組織状態識別部
15 差分解析部
16 評価部
17 マージ処理部
18 出力部
19 スキルデータ取得部
20 マッチング部
21 スキルデータ更新部
30 感謝伝達装置
31 記憶部
32 表示部
33 選択部
34 送受信部
35 統計部
101 中央処理装置
102 メモリ
103 バス
104 記憶装置
105 入力装置
106 表示装置
107 通信デバイス