(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】運搬用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 21/036 20060101AFI20240918BHJP
B65D 6/18 20060101ALI20240918BHJP
B65D 21/02 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
B65D21/036
B65D6/18 D
B65D21/02 200
(21)【出願番号】P 2020147824
(22)【出願日】2020-09-02
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 義久
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-064679(JP,A)
【文献】特開平08-143034(JP,A)
【文献】米国特許第04789075(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/036
B65D 6/18
B65D 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口枠部を有する容器本体と、
前記口枠部に連結される蓋とを備え、
前記口枠部は、互いに平行な第1辺部及び第2辺部と、互いに平行な第3辺部及び第4辺部とを含み、
前記第1辺部には、前記蓋を回転自在にヒンジ連結する連結部が設けられ、
前記第2辺部には、係合突起部が設けられ、
前記第3辺部と前記第4辺部には、それぞれ規制凸部が設けられ、
前記蓋には、前記係合突起部が挿入可能
に貫通形成された係合孔部と、前記規制凸部が挿入可能
に貫通形成された規制孔部とが設けられ
、
前記蓋が閉じた状態において、前記係合孔部に挿入された前記係合突起部は、前記係合孔部を通じて上方に突出し、前記規制孔部に挿入された前記規制凸部は、前記規制孔部を通じて上方に突出し、
前記係合突起部の高さは、前記規制凸部及び前記連結部の高さよりも低く設けられている、
運搬用容器。
【請求項2】
口枠部を有する容器本体と、
前記口枠部に連結される蓋とを備え、
前記口枠部は、互いに平行な第1辺部及び第2辺部と、互いに平行な第3辺部及び第4辺部とを含み、
前記第1辺部には、前記蓋を回転自在にヒンジ連結する連結部が設けられ、
前記第2辺部には、係合突起部が設けられ、
前記第3辺部と前記第4辺部には、それぞれ規制凸部が設けられ、
前記蓋には、前記係合突起部が挿入可能に貫通形成された係合孔部と、前記規制凸部が挿入可能に貫通形成された規制孔部とが設けられ、
前記蓋が閉じた状態において、前記係合孔部に挿入された前記係合突起部は、前記係合孔部を通じて上方に突出し、前記規制孔部に挿入された前記規制凸部は、前記規制孔部を通じて上方に突出し、
前記係合突起部は、前記第2辺部の長手方向に沿って細長く形成された突条と、前記突条の上面から突出した複数の突起部分とを含む、
運搬用容器。
【請求項3】
口枠部を有する容器本体と、
前記口枠部に連結される蓋とを備え、
前記口枠部は、互いに平行な第1辺部及び第2辺部と、互いに平行な第3辺部及び第4辺部とを含み、
前記第1辺部には、前記蓋を回転自在にヒンジ連結する連結部が設けられ、
前記第2辺部には、係合突起部が設けられ、
前記第3辺部と前記第4辺部には、それぞれ規制凸部が設けられ、
前記蓋には、前記係合突起部が挿入可能に貫通形成された係合孔部と、前記規制凸部が挿入可能に貫通形成された規制孔部とが設けられ、
前記蓋が閉じた状態において、前記係合孔部に挿入された前記係合突起部は、前記係合孔部を通じて上方に突出し、前記規制孔部に挿入された前記規制凸部は、前記規制孔部を通じて上方に突出し、
前記規制凸部は、前記係合突起部よりも大きな水平断面を有する、
運搬用容器。
【請求項4】
前記蓋には、前記規制孔部の外側に位置するリブが、更に設けられている、
請求項1から3のいずれか一項の運搬用容器。
【請求項5】
前記第1辺部、前記第2辺部、前記第3辺部及び前記第4辺部は、互いに同じ高さの上面を有する、
請求項1から4のいずれか一項の運搬用容器。
【請求項6】
前記係合突起部は、前記第2辺部のうち、その長手方向の中央部分に設けられている、
請求項1から5のいずれか一項の運搬用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運搬用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運搬用容器(蓋付きコンテナ)が記載されている。この運搬用容器は、コンテナ本体と、コンテナ本体に開閉自在に取り付けられた蓋とを備え、蓋の上面には、四辺の端縁に沿って位置するように突条が設けられている。この運搬用容器では、蓋を閉じた状態で、該蓋の上に他の運搬用容器を乗せたときに、該蓋が四辺に有する突条の内側に、他の運搬用容器の接地部が収まり、荷崩れを防止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の運搬用容器では、蓋を閉じた状態の運搬用容器を2つ並べ、これの上に大型の運搬用容器(例えば2倍の運搬用容器)を乗せたときに、大型の運搬用容器にがたつきが生じやすく、安定的に段積みすることが困難である。例えば特許文献1に記載の運搬用容器では、下側の運搬用容器の蓋が備える複数の突条の一部が、大型の運搬用容器の接地部に干渉し、大型の運搬用容器にがたつきを生じさせる。
【0005】
加えて、従来の運搬用容器では、蓋を開いた状態の運搬用容器を2つ並べ、これの上に大型の運搬用容器を乗せたときにも、大型の運搬用容器にがたつきが生じやすく、安定的に段積みすることが困難である。例えば特許文献1に記載の運搬用容器では、下側の運搬用容器が備える口枠の一部から、蓋を連結するためのヒンジ部材が突出するため、このヒンジ部材が、大型の運搬用容器の接地部に干渉し、大型の運搬用容器にがたつきを生じさせる。
【0006】
以上のように、従来の運搬用容器では、蓋を閉じた状態の運搬用容器を2つ並べ、その上に大型の運搬用容器を安定的に段積みすることが困難であり、また、蓋を開いた状態の運搬用容器を2つ並べ、その上に大型の運搬用容器を安定的に段積みすることが困難である。
【0007】
本開示が解決しようとする課題は、蓋の開閉状態に関わらず、2つ並べた運搬用容器の上に大型の運搬用容器を安定的に段積みすることができるように構成された運搬用容器を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る運搬用容器は、口枠部を有する容器本体と、前記口枠部に連結される蓋とを備える。前記口枠部は、互いに平行な第1辺部及び第2辺部と、互いに平行な第3辺部及び第4辺部とを含む。前記第1辺部には、前記蓋を回転自在にヒンジ連結する連結部が設けられる。前記第2辺部には、係合突起部が設けられる。前記第3辺部と前記第4辺部には、それぞれ規制凸部が設けられる。前記蓋には、前記係合突起部が挿入可能な係合孔部と、前記規制凸部が挿入可能な規制孔部とが設けられる。
【0009】
本開示の一態様に係る運搬用容器において、前記第1辺部、前記第2辺部、前記第3辺部及び前記第4辺部は、互いに同じ高さの上面を有することが好ましい。
【0010】
また、本開示の一態様に係る運搬用容器において、前記係合突起部は、前記第2辺部のうち、その長手方向の中央部分に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本開示は、蓋の開閉状態に関わらず、2つ並べた運搬用容器の上に大型の運搬用容器を安定的に段積みすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態の運搬用容器の蓋を閉じた状態の斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の運搬用容器の蓋を開いた状態の斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の運搬用容器の要部の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の運搬用容器を、蓋を閉じた状態で2つ並設した斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4の2つの運搬用容器の上に、大型の運搬用容器を乗せた斜視図である。
【
図6】
図6は、
図4の2つの運搬用容器の上に、大型の運搬用容器を乗せた正面図である。
【
図8】
図8は、蓋を開いた2つの運搬用容器の上に、大型の運搬用容器を乗せた正面図である。
【
図9】
図9は、同上の大型の運搬用容器の下面図である。
【
図10】
図10は、同上の運搬用容器の変形例の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1)実施形態
図1、
図2には、一実施形態の運搬用容器1の全体を示している。運搬用容器1は、上方に向けて開放された開口を有する容器本体2と、容器本体2の開口を塞ぐことができる蓋7とを備える。容器本体2と蓋7は、ともに合成樹脂製である。蓋7は、容器本体2の上端部に対して、水平な回転軸まわりに回転自在に連結されている。本文中において用いる各方向は、運搬用容器1を水平面上に設置した状態を基準とする。
【0014】
(1.1)容器本体
容器本体2は、容器本体2の上端部を構成する矩形枠状の口枠部21と、容器本体2の下端部を構成する矩形板状の底壁部23と、口枠部21と底壁部23をつなぐ周壁部25とを備える。
【0015】
(1.1.1)口枠部
口枠部21は、4つの直線状の辺部211,212,213,214(以下において、第1辺部211、第2辺部212、第3辺部213及び第4辺部214という。)を含む。第1辺部211、第2辺部212、第3辺部213及び第4辺部214は、互いに同じ高さの上面を有する。
【0016】
第1辺部211と第2辺部212は、水平方向に距離をあけて平行に位置し、互いに同一の長手寸法を有する。第3辺部213と第4辺部214は、水平方向に距離をあけて平行に位置し、互いに同一の長手寸法を有する。
【0017】
本実施形態において、第1辺部211と第2辺部212の長手寸法は、第3辺部213及び第4辺部214の長手寸法よりも大きく設定されている。つまり、口枠部21は、平面視において長方形状の外形を有する。口枠部21が有する一対の長辺部分が第1辺部211と第2辺部212であり、口枠部21が有する一対の短辺部分が第3辺部213と第4辺部214である。
【0018】
(1.1.2)連結部
長辺部分である第1辺部211には、蓋7を回転自在にヒンジ連結する連結部3が設けられている。連結部3は、複数の連結用の突起部分31,32,33,34,35,36を含む(
図3等参照)。本実施形態において、複数の突起部分31,32,33,34,35,36は、第1辺部211の長手方向に距離をあけて一列に並んだ6つの突起部分31,32,33,34,35,36である。
【0019】
6つの突起部分31,32,33,34,35,36には、ヒンジピン37を支持するものと、ピン受け38を有するものとが含まれている。具体的には、6つの突起部分31,32,33,34,35,36のうち、第1辺部211の長手方向の中央部分に位置する2つの突起部分31,32の間に、円柱状のヒンジピン37が架設されている。また、6つの突起部分31,32,33,34,35,36はそれぞれ、少なくとも1つのピン受け38を有する。
【0020】
中央部分の2つの突起部分31,32はそれぞれ、ヒンジピン37に連結する側と反対側の部分に、切り欠き状のピン受け38を有する。これら2つの突起部分31,32を挟んだ両側の部分に位置する2つの突起部分33,34は、それぞれ切り欠き状の2つのピン受け38を有する。両突起部分33,34の2つのピン受け38は、第1辺部211の長手方向に並んで位置している。
【0021】
6つの突起部分31,32,33,34,35,36のうち、第1辺部211の長手方向の両端に位置する2つの突起部分35,36は、それぞれ上下に長い長溝状のピン受け38を有する。長溝状のピン受け38は、2つの突起部分35,36の、互いの対向面に設けられている。
【0022】
第1辺部211が有する平坦な上面から、更に上方に突出する連結部3は、第1辺部211の上面よりも一段高い平坦な上面を有する。本実施形態では、連結部3を構成する複数の突起部分31,32,33,34,35,36のそれぞれが、第1辺部211の上面よりも一段高い平坦な上面を有する。本実施形態では、複数の突起部分31,32,33,34,35,36の上面は、互いに同一の高さを有し、仮想的な同一平面上に位置する。なお、これら複数の突起部分31,32,33,34,35,36の全ての上面が同一の高さを有さなくてもよく、複数の突起部分31,32,33,34,35,36のうち少なくとも2つが、他のものよりも高い位置に上面を有し、該2つの上面が互いに同一の高さを有し、仮想的な同一平面上に位置すればよい。
【0023】
(1.1.3)係合突起部
第1辺部211と対をなす長辺部分である第2辺部212には、係合突起部4が設けられている。係合突起部4は、蓋7が閉じた状態にあるときに蓋7の一部に対して下方から挿入され、これにより蓋7の横ずれを防ぐように構成されている。
【0024】
また、係合突起部4が第2辺部212から上方に突出していることで、例えば本実施形態の運搬用容器1を複数用意して上下に段積みするときに、下側の運搬用容器1の係合突起部4が、上側の運搬用容器1が横ずれを生じること(ひいては脱落すること)を防止するストッパーとしても機能する。同様に、前述の連結部3や後述の規制凸部5も、本実施形態の運搬用容器1を複数用意して上下に段積みするときに、上側の運搬用容器1が横ずれを生じることを防止するストッパーとして機能する。
【0025】
係合突起部4は、第2辺部212の長手方向に沿って細長く形成された突条40と、突条40をベースとしてこれの上面から突出した複数の突起部分41,42,43,44とを含む。本実施形態において、複数の突起部分41,42,43,44は、第2辺部212の長手方向に距離をあけて一列に並んだ4つの突起部分41,42,43,44である。本実施形態では、係合突起部4が突条40を含むので、複数の突起部分41,42,43,44のそれぞれの突出量が抑えられ、これにより突起部分41,42,43,44が破損を生じることが抑えられている。
【0026】
本実施形態において、係合突起部4の内外方向の幅は、第2辺部212の内外方向の幅と同一に設定されている。つまり、突条40と複数の突起部分41,42,43,44のそれぞれの内外方向の幅が、第2辺部212の内外方向の幅と同一に設定されている。
【0027】
突条40は、第2辺部212の長手方向の中央部分に設けられている。ここでの第2辺部212の長手方向の中央部分は、第2辺部212を長手方向において3分割したときの、中央の部分を意味する。3分割は、厳密な意味での3等分に限定されるものではない。突条40は第2辺部212の上面よりも高く位置し、4つの突起部分41,42,43,44の上面は、突条40の上面よりも更に高く位置する。そのため4つの突起部分41,42,43,44の上面は、いずれも第2辺部212の上面よりも一段高く位置する。
【0028】
各突起部分41,42,43,44において、上面と側周面との間には、両面をつなぐテーパー面が全周にわたって形成されている。テーパー面は、上側の部分ほど(言い換えれば上面に近い部分ほど)径が小さくなるように各突起部分41,42,43,44の上端部に形成された面であり、外側に向けて断面円弧状に膨らんだ面であることが好ましい。
【0029】
突条40から上方に突出した(言い換えれば第2辺部212の長手方向の中央部分から上方に突出した)4つの突起部分41,42,43,44は、2つの円柱状の突起部分41,42と、2つの角柱状の突起部分43,44で構成されている。2つの円柱状の突起部分41,42は、第2辺部212の長手方向において隣接して位置し、これら円柱状の突起部分41,42を挟んだ両側に、2つの角柱状の突起部分43,44が位置している。
【0030】
第2辺部212が有する平坦な上面から、更に上方に突出する係合突起部4は、第1辺部211の上面よりも一段高い平坦な上面を有する。本実施形態では、係合突起部4に含まれる複数の突起部分41,42,43,44のそれぞれが、第2辺部212の上面よりも一段高い平坦な上面を有する。本実施形態では、複数の突起部分41,42,43,44の上面は互いに同一の高さを有し、仮想的な同一平面上に位置するが、これら複数の突起部分41,42,43,44の全ての上面が同一の高さを有さなくてもよい。
【0031】
図1-
図3等に示すように、4つの突起部分41,42,43,44のうち、2つの角柱状の突起部分43,44は、それぞれ外側方に向けて開口した凹みを有している。これに対して、2つの円柱状の突起部分41,42は、突起部分43,44のような凹みを有しておらず、その代わりに、下方に向けて開口した凹み(図示略)を有している。これは、合成樹脂製の口枠部21を成形するために用いる金型の分割形態に起因する。具体的には、2つの角柱状の突起部分43,44を成形する金型部品は、水平方向に抜かれるように構成されており、2つの円柱状の突起部分41,42を成形する金型部品は、上下方向に抜かれるように構成されていることに起因する。
【0032】
なお、4つの突起部分41,42,43,44の形状はこれに限定されず、例えば、4つの突起部分41,42,43,44の全てが円柱状、又は角柱状等の同一形状を有してもよい。
【0033】
(1.1.4)規制凸部
第1辺部211と第2辺部212の端部同士をつなぐ第3辺部213と第4辺部214には、それぞれ規制凸部5が設けられている。規制凸部5は、閉じた状態の蓋7の一部に挿入され、蓋7の水平方向の変位を規制するように構成されている。
【0034】
第3辺部213と第4辺部214において、規制凸部5は、複数の突起部分51,52を含む。第3辺部213の複数の突起部分51,52は、第3辺部213の長手方向に距離をあけて並んだ2つの突起部分51,52である。2つの突起部分51,52は、ともに側面視台形状の外形を有する。同様に、第4辺部214の複数の突起部分51,52は、第4辺部214の長手方向に距離をあけて並んだ2つの突起部分51,52であり、ともに側面視台形状の外形を有する。
【0035】
第3辺部213と第4辺部214の両方において、台形状をなす2つの突起部分51,52のうち互いに近接した側の辺は、鉛直に起立した辺である。2つの突起部分51,52のうち互いに離れた側に位置する辺は、上側の部分ほど互いに近づくように傾斜した辺である。
【0036】
規制凸部5の突起部分51,52は、それぞれ係合突起部4の各突起部分41,42,43,44よりも大きく(水平断面が大きくなるように)設けられている。係合突起部4の各突起部分41,42,43,44は、後述するように、大型の運搬用容器9のリブ構造925に収容されるために大きく設けることが困難であるが、規制凸部5の突起部分51,52にはこの制限がなく、したがって、各突起部分51,52を幅広に設けて(つまり、第3辺部213と第4辺部214の長手方向の幅を、該長手方向と直交する方向の幅よりも十分に大きく設けて)強度を確保することが好ましい。
【0037】
第3辺部213が有する平坦な上面から、更に上方に突出する規制凸部5は、第3辺部213の上面よりも一段高い平坦な上面を有する。本実施形態では、規制凸部5を構成する複数の突起部分51,52のそれぞれが、第3辺部213の上面よりも一段高い平坦な上面を有する。本実施形態では、複数の突起部分51,52の上面は、互いに同一の高さを有し、仮想的な同一平面上に位置する。同様に、第4辺部214が有する平坦な上面から、更に上方に突出する規制凸部5(つまり複数の突起部分51,52のそれぞれ)は、第4辺部214の上面よりも一段高い平坦な上面を有する。複数の突起部分51,52の上面は、互いに同一の高さを有し、仮想的な同一平面上に位置する。なお、第3辺部213と第4辺部214の突起部分51,52の全ての上面が同一の高さを有さなくてもよく、第3辺部213の突起部分51,52のうち最も高い位置にある上面と、第4辺部214の突起部分51,52のうち最も高い位置にある上面とが、互いに同一の高さを有し、仮想的な同一平面上に位置すればよい。
【0038】
本実施形態においては、規制凸部5の高さ(複数の突起部分51,52の中でも最も高い位置にある上面の高さ)は連結部3の高さ(複数の突起部分31,32,33,34,35,36の中でも最も高い位置にある上面の高さ)と同一であり、係合突起部4(複数の突起部分41,42,43,44の中でも最も高い位置にある上面の高さ)の高さは、連結部3及び規制凸部5の高さよりも低く設けられているが、連結部3、係合突起部4及び規制凸部5の高さの関係はこれに限定されず、例えば、係合突起部4の高さが、規制凸部5及び連結部3の高さと同一であってもよい。
【0039】
(1.1.5)底壁部
底壁部23は、平面視において矩形状の外形を有する合成樹脂製の板材で構成されている。本実施形態において、底壁部23の外形は平面視長方形状であり、一対の長辺側の端縁部分と、一対の短辺側の端縁部分とを有する。一対の長辺側の端縁部分は、後述する折曲板251,252のうち対応するものの下端部が、回転自在にヒンジ連結されている。一対の短辺側の端縁部分には、後述するあおり板253,254のうち対応するものの下端部が、着脱自在に引っ掛かるように構成されている。
【0040】
(1.1.6)周壁部
周壁部25は、一対の折曲板251,252と、一対のあおり板253,254とを含む。本実施形態の運搬用容器1は、折り畳み式の容器であり、一対の折曲板251,252と一対のあおり板253,254とで、容器本体2の4つの側板が構成されている。
【0041】
一対の折曲板251,252はそれぞれ、内側に向けて全体が「く」字状に折れ曲がるように、上下2枚の板材が回転自在に連結することで形成されている。一対の折曲板251,252の一方(本実施形態では折曲板251)は、口枠部21の第1辺部211に対して回転自在に連結し、かつ、底壁部23が有する一対の長辺側の端縁部分の一方に対して、回転自在に連結している。一対の折曲板251,252の他方(本実施形態では折曲板252)は、口枠部21の第2辺部212に対して回転自在に連結し、かつ、底壁部23が有する一対の長辺側の端縁部分の他方に対して、回転自在に連結している。
【0042】
一対のあおり板253,254はそれぞれ、口枠部21に対して、内側に向けて回転可能に連結されている。具体的には、一対のあおり板253,254の一方(本実施形態ではあおり板253)が、口枠部21の第3辺部213に対して、内側に向けて揺動することができるように回転自在に連結し、かつ、底壁部23が有する一対の短辺側の端縁部分の一方に対して、内側から着脱自在に引っ掛かるように構成されている。一対のあおり板253,254の他方(本実施形態ではあおり板254)は、口枠部21の第4辺部214に対して、内側に向けて揺動することができるように回転自在に連結し、かつ、底壁部23が有する一対の短辺側の端縁部分の他方に対して、内側から着脱自在に引っ掛かるように構成されている。
【0043】
(1.2)蓋
蓋7は、平面視において矩形状の外形を有する蓋本体70と、容器本体2の口枠部21に対して回転自在にヒンジ連結する連結部75とを、一体に有する。
【0044】
本実施形態において、蓋本体70の外形は平面視長方形状であり、一対の長辺側の端縁部分を構成する第1端縁部701及び第2端縁部702と、一対の短辺側の端縁部分を構成する第3端縁部703及び第4端縁部704とを有する。
【0045】
(1.2.1)連結部
連結部75は、第1端縁部701に設けられている。連結部75は、複数の連結用の突起部分751,752,753,754,755を含む(
図3等参照)。本実施形態において、複数の突起部分751,752,753,754,755は、第1端縁部701の長手方向に距離をあけて一列に並んだ5つの突起部分751,752,753,754,755である。蓋7が閉じた状態において、5つの突起部分751,752,753,754,755は、第1端縁部701から上方に向けて突出している。
【0046】
5つの突起部分751,752,753,754,755には、ヒンジピン757を支持するものと、ピン受け758を有するものとが含まれている。具体的には、5つの突起部分751,752,753,754,755のうち、第1端縁部701の長手方向の中央部分に位置する1つの突起部分751を除いた突起部分752,753,754,755のそれぞれにおいて、互いに離れる方向に向けて一対の円柱状のヒンジピン757が突設されている。中央部分に位置する1つの突起部分751には、切り欠き状のピン受け758が設けられている。
【0047】
ピン受け758は、蓋7が閉じた状態において、上方に向けて開放され、かつ、第1端縁部701の長手方向の両側に向けて開放されている。中央部分のピン受け758と、その両側に位置する複数のヒンジピン757とは、第1端縁部701の長手方向に並んで位置している。
【0048】
蓋7の連結部75は、容器本体2の口枠部21に設けられた連結部3に対して、回転自在にヒンジ連結される。具体的には、蓋7の連結部75が有する複数のヒンジピン757と、口枠部21の連結部3が有する複数のピン受け38とが1対1にヒンジ連結され、かつ、蓋7の連結部75が有するピン受け758と、口枠部21の連結部3が有するヒンジピン37とがヒンジ連結される。
【0049】
図1に示すように、蓋7が閉じた状態では、蓋7(蓋本体70)が口枠部21の開口を塞ぐように位置する。蓋7の連結部75に含まれる複数の突起部分751,752,753,754,755のそれぞれの上端部は、容器本体2の連結部3に含まれる複数の突起部分31,32,33,34,35,36の上面と同じ高さに位置するか、又は該上面よりも低く位置する。
【0050】
図2に示すように、蓋7が開いた状態では、蓋7(蓋本体70)は、鉛直下方に垂れ下がるように、周壁部25(折曲板251)に沿って位置する。ここでの鉛直は、厳密な意味での鉛直に限定されず、略鉛直な場合も含まれる。このとき、蓋7の連結部75に含まれる複数の突起部分751,752,753,754,755のそれぞれの上端部は、容器本体2の連結部3に含まれる複数の突起部分31,32,33,34,35,36の上面と同じ高さに位置するか、又は該上面よりも低く位置する。
【0051】
(1.2.2)係合孔部
蓋7のうち、第1端縁部701と対をなす長辺側の端縁部である第2端縁部702には、係合孔部71が貫通形成されている(
図3等参照)。係合孔部71は、蓋7が閉じた状態にあるときに容器本体2の係合突起部4が挿入される部分である。係合孔部71は、複数の係合孔711,712,713,714を含む。本実施形態において、複数の係合孔711,712,713,714は、第2端縁部702の長手方向に距離をあけて一列に並んだ4つの係合孔711,712,713,714である。
【0052】
4つの係合孔711,712,713,714は、2つの円形状の係合孔711,712と、2つの矩形状の係合孔713,714で構成されている。2つの円形状の係合孔711,712は、第2端縁部702の長手方向において隣接して位置し、これら円形状の係合孔711,712を挟んだ両側に、2つの矩形状の係合孔713,714が位置している。
【0053】
図1に示すように、蓋7が閉じた状態では、蓋7の係合孔部71に対して、容器本体2の係合突起部4が下方から挿し込まれる。つまり、蓋7の係合孔部71に含まれる複数の係合孔711,712,713,714に対して、係合突起部4に含まれる複数の突起部分41,42,43,44が1対1で下方から挿し込まれる。2つの円形状の係合孔711,712に対しては、2つの円柱状の突起部分41,42が1対1で下方から挿し込まれ、2つの矩形状の係合孔713,714に対しては、2つの角柱状の突起部分43,44が1対1で下方から挿し込まれる。上記したように、各突起部分41,42,43,44の上端部にはテーパー面が設けられており、該テーパー面がガイド面として機能することで、対応する係合孔711,712,713,714への挿し込み作業が円滑化される。
【0054】
蓋7が閉じた状態において、4つの係合孔711,712,713,714に挿入された4つの突起部分41,42,43,44は、蓋7(蓋本体70)の上面よりも上方に突出する。4つの突起部分41,42,43,44の上面は、それぞれ蓋7の上面よりも上方に位置する。
【0055】
図3に示すように、蓋7の第2端縁部702からは、下方に向けて垂下片77が突出している。垂下片77は、係合孔部71の外側に隣接して位置するように、第2端縁部702の長手方向の中央部分から突出している。第2端縁部702の長手方向において、係合孔部71が位置する領域と、垂下片77が位置する領域とは重なっており、第2端縁部702の長手方向において垂下片77が位置する範囲内に、係合孔部71の全体(つまり4つの係合孔711,712,713,714の全部)が位置している。
【0056】
(1.2.3)規制孔部
蓋7の第3端縁部703と第4端縁部704には、それぞれ規制孔部72が貫通形成されている。規制孔部72は、蓋7が閉じた状態にあるときに容器本体2の規制凸部5が挿入される部分である。規制孔部72は、複数の規制孔721,722を含む。本実施形態において、第3端縁部703に形成された複数の規制孔721,722は、第3端縁部703の長手方向に距離をあけて並んだ2つの規制孔721,722である。2つの規制孔721,722は、ともに第3端縁部703に沿って長く形成された長方形状の開口を有する。第4端縁部704に形成された複数の規制孔721,722は、第4端縁部704の長手方向に距離をあけて並んだ2つの規制孔721,722である。2つの規制孔721,722は、ともに第4端縁部704に沿って長く形成された長方形状の開口を有する。
【0057】
図1に示すように、蓋7が閉じた状態では、蓋7の規制孔部72に対して、容器本体2の規制凸部5が下方から挿し込まれる。つまり、蓋7の規制孔部72に含まれる複数の規制孔721,722に対して、規制凸部5に含まれる複数の突起部分51,52が1対1で下方から挿し込まれる。突起部分51,52は、蓋7(蓋本体70)の上面よりも上方に突出する。突起部分51,52の上面は、それぞれ蓋7の上面よりも上方に位置する。
【0058】
本実施形態において、係合孔部71と係合突起部4との間には、所定のクリアランスが設定されている。同様に、規制孔部72と規制凸部5との間には所定のクリアランスが設定されており、連結部75と連結部3との間にも所定クリアランスが設定されている。
【0059】
蓋7が標準的に閉じられた状態では、係合孔部71と係合突起部4は非接触であるが、例えば蓋7が大きく横ずれしたときや、蓋7が大きく撓んだときには、係合孔部71と係合突起部4が接触し、係合孔部71と係合突起部4は係合し得る。同様に、蓋7が標準的に閉じられた状態では、規制孔部72と規制凸部5は非接触であるが、例えば蓋7が大きく横ずれしたときや、蓋7が大きく撓んだときには、規制孔部72と規制凸部5が接触し、規制孔部72と規制凸部5は係合し得る。つまり、本開示における「係合」は、常に係合している意味に限定されず、係合し得るという意味を含む。
【0060】
ここで、規制孔部72と規制凸部5との間のクリアランスは、係合孔部71と係合突起部4との間のクリアランスよりも小さく設定されている。また、規制孔部72と規制凸部5との間のクリアランスは、連結部75と連結部3との間のクリアランスよりも大きく設定されている。
【0061】
規制孔部72と規制凸部5との間のクリアランスは、つまり、規制孔721,722とこれに挿し込まれる突起部分51,52との間のクリアランスである。係合孔部71と係合突起部4との間のクリアランスは、つまり、係合孔711,712,713,714とこれに挿し込まれる突起部分41,42,43,44との間のクリアランスである。連結部75と連結部3との間のクリアランスは、つまり、交互に位置する突起部分751,752,753,754,755と突起部分31,32,33,34,35,36との間のクリアランスである。
【0062】
上記のように、蓋7の回動中心から離れた部分のクリアランスほど大きくなるように、各所のクリアランスを設定することで、例えば蓋7等が経時変化した場合であっても、蓋7の開閉を円滑に行うことが可能となる。なお、上記のクリアランスの設定は一例に過ぎず、例えば、規制孔部72と規制凸部5との間のクリアランスを、係合孔部71と係合突起部4との間のクリアランスよりも大きく設定することも可能である。
【0063】
本実施形態の蓋7は、上記のように大きな突起部分を含まない構造を有するので、蓋7の全体の厚みが抑えられ、ひいては運搬用容器1の全体の高さが抑えられる。加えて、蓋7を開いたときに、蓋7が口枠部21から鉛直下方に垂れ下がりやすく、作業者が蓋7に引っ掛かることが抑えられる。
【0064】
なお、蓋7の第3端縁部703と第4端縁部704からは、それぞれ下方に向けて僅かな寸法だけ垂下片76が突出している。
図3では、第4端縁部704の垂下片76だけを示している。垂下片76は、規制孔部72の外側に隣接して位置するように、第3端縁部703及び第4端縁部704の長手方向の中央部分から突出している。
【0065】
(1.3)段積み状態
本実施形態の運搬用容器1は上記の構成を備えるので、蓋7を閉じた状態の運搬用容器1を2つ並べ、その上に大型の運搬用容器9を安定的に段積みすることができ(
図4-
図7等参照)、また、蓋7を開いた状態の運搬用容器1を2つ並べ、その上に大型の運搬用容器9を安定的に段積みすることができる(
図8等参照)。大型の運搬用容器9は、本実施形態の運搬用容器1の略2倍の容量を有する折り畳み式の運搬用容器である。本実施形態においては、運搬用容器1とこれより大型の運搬用容器9とで、段積み可能な運搬用容器のセットを構成している。
【0066】
図4等に示すように、2つの運搬用容器1を並べるとき、2つの運搬用容器1の互いの第2辺部212が突き合わさるようにして配置する。蓋7を閉じた状態では、2つの運搬用容器1の互いの蓋7の第2端縁部702が突き合わさるようにして配置する。並設された2つの運搬用容器1を一かたまりのブロックとして見たとき、1つの運搬用容器1の第1辺部211及びこれから突出した連結部3(複数の突起部分31,32,33,34,35,36)と、もう1つの運搬用容器1の第1辺部211及びこれから突出した連結部3(複数の突起部分31,32,33,34,35,36)とが、大きく距離をあけて互いに平行に位置する。
【0067】
同様に、並設された2つの運搬用容器1を一かたまりのブロックとして見たとき、1つの運搬用容器1の第3辺部213及びこれから突出した規制凸部5(複数の突起部分51,52)と、もう1つの運搬用容器1の第4辺部214及びこれから突出した規制凸部5(複数の突起部分51,52)とが一列に並び、1つの運搬用容器1の第4辺部214及びこれから突出した規制凸部5(複数の突起部分51,52)と、もう1つの運搬用容器1の第3辺部213及びこれから突出した規制凸部5(複数の突起部分51,52)とが一列に並んだ配置となる。
【0068】
つまり、並設された2つの運搬用容器1を一かたまりのブロックとして見たとき、該ブロックの短辺側の一対の端縁部にそれぞれ連結部3が位置し、該ブロックの長辺側の一対の端縁部にそれぞれ2つの規制凸部5が一直線状に並んで位置する。これら複数の連結部3及び規制凸部5に囲まれた矩形状の領域の中央部分に、2つの係合突起部4が平行に並んで位置する。
【0069】
大型の運搬用容器9は、上方に向けて開放された開口を有する容器本体92と、容器本体92の開口を塞ぐことができる蓋97とを備える。容器本体92と蓋97は、ともに合成樹脂製である。容器本体92は、容器本体92の上端部を構成する矩形枠状の口枠部921と、容器本体92の下端部を構成する矩形板状の底壁部923と、口枠部921と底壁部923をつなぐ周壁部927とを備える。
【0070】
図9に示すように、底壁部923の下面には、該下面の外周縁よりも所定寸法だけ内側に位置する矩形枠状の底部突出部924と、底部突出部924に囲まれた領域に位置する格子状のリブ構造925とが、形成されている。
【0071】
並設された2つの運搬用容器1の上に、大型の運搬用容器9を積み重ねたとき、2つの運搬用容器1のそれぞれが備える連結部3と一対の規制凸部5は、いずれも運搬用容器9の底部突出部924の外側に配置され、2つの運搬用容器1のそれぞれが備える係合突起部4は、運搬用容器9の底部突出部924の内側に配置される。
【0072】
ここで、運搬用容器9の底壁部923の下面のうち、底部突出部924よりも外側の部分が、2つの運搬用容器1のそれぞれが備える連結部3と一対の規制凸部5の上面に当接し、この状態で、運搬用容器9は2つの運搬用容器1に支持される。
【0073】
運搬用容器9の水平方向の位置ずれ(ひいては運搬用容器9の荷崩れ)は、運搬用容器9の底部突出部924が、運搬用容器1の連結部3や規制凸部5に対して側方から当たることによって、防止される。本実施形態の運搬用容器1によれば、これを2つ並べた状態で大型の運搬用容器9を安定的に段積みすることができる。
【0074】
また、2つの運搬用容器1がそれぞれ備える係合突起部4は、運搬用容器9が備える格子状のリブ構造925に収容される(
図7参照)。より詳細には、係合突起部4に含まれる複数の突起部分41,42,43,44の各々が、格子状のリブ構造925によって区画される多数のスペースのうち対応するものの内側に、収容される。これにより、複数の突起部分41,42,43,44がリブ構造925に当たって破損等を生じることが、抑えられている。
【0075】
図8には、蓋7を開いた2つの運搬用容器1の上に、運搬用容器9を段積みした場合を示している。この場合においても、蓋7を閉じた場合と同様に、運搬用容器9の底壁部923の下面のうち底部突出部924よりも外側の部分が、2つの運搬用容器1のそれぞれが備える連結部3と一対の規制凸部5の上面に当接し、2つの運搬用容器1によって安定的に支持される。運搬用容器9の荷崩れは、底部突出部924が連結部3や規制凸部5に当たることによって防止される。運搬用容器1の係合突起部4は、運搬用容器9が備える格子状のリブ構造925に収容される。
【0076】
係合突起部4の突起部分41,42,43,44は、連結部3の突起部分31,32,33,34,35,36や規制凸部5の突起部分51,52に比較して小さい(水平断面が小さい)ため、係合突起部4の突起部分41,42,43,44はリブ構造925に収容されるものの、リブ構造925には当たらないように設けること(つまり、係合突起部4の突起部分41,42,43,44がリブ構造925に当たる前に、連結部3の突起部分31,32,33,34,35,36や規制凸部5の突起部分51,52が底部突出部924に当たるように設けること)が好ましい。
【0077】
そのため、リブ構造925に各突起部分41,42,43,44が収容された状態において、リブ構造925と各突起部分41,42,43,44との間のクリアランスは、底部突出部924と規制凸部5(突起部分51,52)との間のクリアランスよりも大きくなるように設定されていることが好ましく、また、底部突出部924と連結部3(突起部分31,32,33,34,35,36)との間のクリアランスよりも大きくなるように設定されていることが好ましい。
【0078】
(2)変形例
上記した実施形態は、本開示の運搬用容器1の一例に過ぎず、本開示の意図する範囲内において、適宜に設計変更を行うことが可能である。
【0079】
例えば、
図10に示す変形例のように、蓋7がリブ781,782を更に備えることも可能である。リブ781,782は、蓋本体70が有する第3端縁部703と第4端縁部704のそれぞれから上方に突出した長片状の部分である。
図10では、第4端縁部704のリブ781,782を示しているが、第3端縁部704のリブ781,782も同様の構成を有する。
【0080】
リブ781,782は、蓋本体70の端縁に沿って設けられた複数の一直線状のリブ781,782であり、具体的には、互いに距離をあけて位置する2つのリブ781,782である。並んで位置する複数の規制孔721,722のうち1つ(規制孔721)に隣接して1つのリブ781が位置し、別の1つ(規制孔722)に隣接して別の1つのリブ782が位置する。
【0081】
規制孔721とリブ781は、規制孔721,722が並んだ方向(以下「並設方向」という。)と直交する方向に、所定距離をあけて隣接して位置する。ここでの並設方向は、換言すると第3端縁部703及び第4端縁部704の長手方向である。規制孔721とこれに隣接するリブ781とは、互いに平行に位置する。規制孔722とリブ782は、並設方向と直交する方向に、所定距離をあけて隣接して位置する。規制孔722とこれに隣接するリブ782とは、互いに平行に位置する。なお、隣接する規制孔721(722)とリブ781(782)との間に距離をあけないことも可能である。
【0082】
並設方向において、規制孔721とリブ781とは、重なった範囲に位置する。並設方向において、リブ781の寸法は規制孔721の寸法よりも長く設けられている。並設方向において、リブ781が位置する範囲内に規制孔721の全体が位置し、リブ782が位置する範囲内に規制孔721の全体が位置している。
【0083】
図10に示すように、並設方向においてリブ781,782が位置する領域と、並設方向において垂下片76が位置する領域とは、互いの一部が重なっている。具体的には、並設方向における2つの領域R1,R2において、リブ781,782と垂下片76とが重なって位置する。領域R1は、並設方向に長い一直線状の垂下片76の第1端部と、リブ781のうちもう1つのリブ782に近い部分とが重なる領域である。領域R2は、垂下片76の第2端部と、リブ782のうちもう1つのリブ781に近い部分とが重なる領域である。
【0084】
図10の変形例では、規制孔部72に隣接してリブ781,782が位置することから、蓋本体70の第3端縁部703と第4端縁部704の強度が高められ、特に、リブ781,782と垂下片76の互いの一部が並設方向において重なって位置するので、第3端縁部703と第4端縁部704の強度は一層高められるという利点がある。加えて、これらのリブ781,782があることで、使用者の指を第3端縁部703や第4端縁部704に引っ掛けやすく、蓋7の操作性が高められるという利点がある。
【0085】
以下、その他の変形例について順に説明する。上記の実施形態では、係合突起部4が突条40を含んでいるが、係合突起部4が突条40を含まなくてもよい。この場合、第2辺部212の上面から複数の係合突起部4が直接的に突出する。
【0086】
また、上記の実施形態では、係合突起部4は第2辺部212の長手方向の中央部分に設けられているが、他の部分に設けられてもよい。例えば、係合突起部4が第2辺部212の長手方向の両端部分に設けられてもよいし、第2辺部212の中央部分と両端部分に設けられてもよい。係合突起部4が第2辺部212の長手方向の両端部分に設けられた場合には、蓋7が容器本体2に対して位置ずれすることが、効果的に抑えられる。そのため、例えば2つの運搬用容器1を上下に段積みしたときに、上下の運搬用容器1に位置ずれが生じることが効果的に抑えられる。また、係合突起部4が第2辺部212の長手方向の両端部分に設けられた場合には、運搬用容器9の段積み時に、各運搬用容器1の係合突起部4の位置を側方から目視しやすく、段積みの作業効率が向上するという利点がある。
【0087】
また、上記の実施形態では、係合突起部4は4つの突起部分41,42,43,44を備えるが、係合突起部4の突起部分の数はこれに限定されず、1-3、又は5以上であってもよい。同様に、上記の実施形態において連結部3は6つの突起部分31,32,33,34,35,36を備えるが、連結部3の突起部分の数はこれに限定されず、1-5又は7以上であってもよい。規制凸部5は2つの突起部分51,52を備えるが、規制凸部5の突起部分の数はこれに限定されず、1又は3以上であってもよい。
【0088】
また、上記の実施形態では、蓋7を口枠部21にヒンジ連結させた状態で、蓋7の連結部75と口枠部21の連結部3とで一軸ヒンジを構成しているが、これに限定されず、例えば、蓋7の連結部75と口枠部21の連結部3とで二軸ヒンジを構成してもよい。
【0089】
また、上記の実施形態では、第1辺部211と第2辺部212の長手寸法が、第3辺部213及び第4辺部214の長手寸法よりも大きく設定されているが、これに限定されず、第1辺部211、第2辺部212、第3辺部213及び第4辺部214の長手寸法が互いに同一に設定されてもよいし、第1辺部211と第2辺部212の長手寸法が、第3辺部213及び第4辺部214の長手寸法よりも小さく設定されてもよい。
【0090】
また、上記の実施形態では、口枠部21の第1辺部211、第2辺部212、第3辺部213及び第4辺部214の互いの上面が同じ高さにあり、第1辺部211、第2辺部212、第3辺部213及び第4辺部214の互いの上面の間には段差が設けられていないが、口枠部21の形態はこれに限定されない。つまり、第1辺部211、第2辺部212、第3辺部213及び第4辺部214のうち少なくとも1つの上面が、他の上面と異なる高さにあってもよい。このとき、第1辺部211、第2辺部212、第3辺部213及び第4辺部214の互いの上面の間には段差が生じる。この場合と比較したとき、上記の実施形態では、第1辺部211、第2辺部212、第3辺部213及び第4辺部214の互いの上面が同じ高さにあることで、口枠部21の曲げ強度が確保されやすいという利点があり、そのため、仮に大型の運搬用容器9の底面が撓んで口枠部21の上面に荷重が掛かることがあっても、口枠部21の変形が抑えられる。
【0091】
(3)作用効果
実施形態及び変形例に基づいて説明したように、本開示の運搬用容器1は、口枠部21を有する容器本体2と、口枠部21に連結される蓋7とを備える。口枠部21は、互いに平行な第1辺部211及び第2辺部212と、互いに平行な第3辺部213及び第4辺部214とを含む。第1辺部211には、蓋7を回転自在にヒンジ連結する連結部3が設けられている。第2辺部212には、係合突起部4が設けられている。第3辺部213と第4辺部214には、それぞれ規制凸部5が設けられている。蓋7には、係合突起部4が挿入可能な係合孔部71と、規制凸部5が挿入可能な規制孔部72とが設けられている。
【0092】
したがって、運搬用容器1の蓋7の開閉状態に関わらず、運搬用容器1を2つ並べた状態で、2つの運搬用容器1のそれぞれが備える係合突起部4と規制凸部5に、大型の運搬用容器9を安定的に乗せることができる。
【符号の説明】
【0093】
1 運搬用容器
2 容器本体
21 口枠部
211 第1辺部
212 第2辺部
213 第3辺部
214 第4辺部
3 連結部
4 係合突起部
5 規制凸部
7 蓋
71 係合孔部
72 規制孔部