(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】シート積載装置及びその制御方法並びにシート搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65H 31/18 20060101AFI20240918BHJP
B65H 29/22 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
B65H31/18
B65H29/22 Z
(21)【出願番号】P 2020179033
(22)【出願日】2020-10-26
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】596025412
【氏名又は名称】株式会社ホリゾン
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 宏生
(72)【発明者】
【氏名】柏木 康平
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-092552(JP,A)
【文献】特開2019-048715(JP,A)
【文献】特開2010-089849(JP,A)
【文献】特開2006-321583(JP,A)
【文献】特開2017-200848(JP,A)
【文献】米国特許第05386981(US,A)
【文献】特開2020-050475(JP,A)
【文献】特開2013-052971(JP,A)
【文献】特開昭62-269846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/18
B65H 29/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機から印刷されたシートを受け入れて積載する棚部と、
前記棚部を昇降させる昇降機構と、
前記昇降機構を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記昇降機構によって、前記印刷機からシートを受け入れる受入位置にて該印刷機に対応する所定高さに前記棚部を昇降させ、かつ、前記受入位置とは異なる位置であるシート加工機にシートを供給する供給位置にて該シート加工機に対応する所定高さに前記棚部を昇降させ
、
前記印刷機に対応する前記所定高さは、異なる種類の複数の該印刷機ごとに個別に設定された設定値とされ、且つ/又は
前記シート加工機に対応する前記所定高さは、異なる種類の複数の該シート加工機ごとに個別に設定された設定値とされているシート積載装置。
【請求項2】
前記制御部よりも上位の上位制御部と通信する通信部を備え、
前記通信部は、前記上位制御部から前記設定値を取得する請求項
1に記載のシート積載装置。
【請求項3】
固有の識別情報を備えている請求項1
又は2に記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記棚部を水平面に対して傾斜させる傾斜機構と、
前記棚部に積載された前記シートの端部に当接する当接部材と、
を備え、
前記制御部は、前記傾斜機構によって、前記受入位置から前記供給位置まで走行する際に、前記当接部材が設けられていない前記シートの端部側が他の端部に対して上方となるように傾斜させる請求項1から
3のいずれかに記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記受入位置及び/又は前記供給位置にて受電する受電装置と、
前記受電装置から供給された電力を貯蔵するバッテリと、
を備えている請求項1から
4のいずれかに記載のシート積載装置。
【請求項6】
床面上を走行するキャスターを備えている請求項1から
5のいずれかに記載のシート積載装置。
【請求項7】
前記棚部を鉛直軸線回りに回転させる回転機構を備えている請求項1から
6のいずれかに記載のシート積載装置。
【請求項8】
印刷機から印刷されたシートを受け入れて積載する棚部と、
前記棚部を昇降させる昇降機構と、
前記昇降機構を制御する制御部と、
を備えたシート積載装置の制御方法であって、
前記昇降機構によって、前記印刷機からシートを受け入れる受入位置にて該印刷機に対応する所定高さに前記棚部を昇降させ、かつ、前記受入位置とは異なる位置であるシート加工機にシートを供給する供給位置にて該シート加工機に対応する所定高さに前記棚部を昇降させ
、
前記印刷機に対応する前記所定高さは、異なる種類の複数の該印刷機ごとに個別に設定された設定値とされ、且つ/又は
前記シート加工機に対応する前記所定高さは、異なる種類の複数の該シート加工機ごとに個別に設定された設定値とされているシート積載装置の制御方法。
【請求項9】
請求項1から
7のいずれかに記載のシート積載装置と、
前記受入位置にて前記シート積載装置に対してシートを排出する印刷機と、
前記供給位置にて前記シート積載装置からシートが供給されるシート加工機と、
を備えているシート搬送システム。
【請求項10】
前記受入位置から前記供給位置まで前記シート積載装置を搬送する無人搬送車を備えている請求項
9に記載のシート搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば用紙等のシートを積載するシート積載装置及びその制御方法並びにシート搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷機から排出された用紙を積載トレイに積載し、オフライン製本機まで搬送するシート積載装置が開示されている。
【0003】
特許文献1のシート積載装置は、シートの重さに応じて積載トレイを下降させることによって積載トレイの上面を定位置に保持することで、作業者の給紙部への積み替え作業の負担を減らす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のシート積載装置では、台車から給紙部への積み替えは作業者による作業を前提としており、給紙部における省人化を想定していない。
【0006】
本発明者等は、印刷機から排出されたシートを受け入れてシート加工機まで搬送し、シート加工機へシートを供給する工程を省人化することを鋭意検討している。そして、本発明者等は、印刷機やシート加工機のメーカや用途などによって種類が異なっている場合、省人化の妨げになることを見出した。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、異なる種類の複数の印刷機と異なる種類の複数のシート加工機との組み合わせであっても、印刷機からシート加工機までの工程を省人化することができるシート積載装置及びその制御方法並びにシート搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るシート積載装置は、印刷機から印刷されたシートを受け入れて積載する棚部と、前記棚部を昇降させる昇降機構と、前記昇降機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記昇降機構によって、前記印刷機からシートを受け入れる受入位置にて該印刷機に対応する所定高さに前記棚部を昇降させ、かつ、前記受入位置とは異なる位置であるシート加工機にシートを供給する供給位置にて該シート加工機に対応する所定高さに前記棚部を昇降させる。
【0009】
受入位置にて印刷機に対応した所定高さに棚部を昇降させ、かつ、供給位置にてシート加工機に対応した所定高さに棚部を昇降させることとした。これにより、人手による積み替え作業を省略して自動化することができる。そして、異なる種類の複数の印刷機と異なる種類の複数のシート加工機との組み合わせであっても、印刷機からシート加工機までの工程を省人化することができる。
【0010】
本発明の一態様に係るシート積載装置では、前記印刷機に対応する前記所定高さは、異なる種類の複数の該印刷機ごとに個別に設定された設定値とされ、且つ/又は前記シート加工機に対応する前記所定高さは、異なる種類の複数の該シート加工機ごとに個別に設定された設定値とされている。
【0011】
印刷機ごと及び/又はシート加工機ごとに所定高さが個別に設定されているので、異なる種類の印刷機やシート加工機であっても、適切な所定高さに棚部を昇降させることができる。
【0012】
本発明の一態様に係るシート積載装置では、前記制御部よりも上位の上位制御部と通信する通信部を備え、前記通信部は、前記上位制御部から前記設定値を取得する。
【0013】
上位制御部から設定値を取得する通信部を備えることとしたので、異なる種類の印刷機やシート加工機に対してシート積載装置を柔軟に対応させることができる。
【0014】
本発明の一態様に係るシート積載装置は、固有の識別情報を備えている。
【0015】
固有の識別情報を備えているので、シート積載装置を他のシート積載装置から区別することができる。これにより、複数のシート積載装置を使用するシート搬送システムを実現することができる。
【0016】
本発明の一態様に係るシート積載装置では、前記棚部を水平面に対して傾斜させる傾斜機構と、前記棚部に積載された前記シートの端部に当接する当接部材と、を備え、前記制御部は、前記傾斜機構によって、前記受入位置から前記供給位置まで走行する際に、前記当接部材が設けられていない前記シートの端部側が他の端部に対して上方となるように傾斜させる。
【0017】
走行時に当接部材が設けられていないシートの端部側が他の端部に対して上方となるように傾斜させることとしたので、走行中に棚部に積層されたシートが飛散して落下するおそれを回避することができる。
シートの積載量や走行時の加速度(負の加速度である減速度も含む)に応じて傾斜角度を変化させても良い。例えば、積載量が少ないときは多いときよりも傾斜角度を大きくする。
【0018】
本発明の一態様に係るシート積載装置では、前記受入位置及び/又は前記供給位置にて受電する受電装置と、前記受電装置から供給された電力を貯蔵するバッテリと、を備えている。
【0019】
シート積載装置は、受入位置や供給位置で停止して作業を行う。このときに受電装置にて外部から給電を受けてバッテリに充電することとした。これにより、適切なタイミングで充電を行うことができる。
バッテリは、シート積載装置に設けられた制御部や各種モータ等に対して電力を供給する。
【0020】
本発明の一態様に係るシート積載装置は、床面上を走行するキャスターを備えている。
【0021】
床面上を走行するキャスターを設けることによってシート積載装置を手動によって移動させることができる。
【0022】
本発明の一態様に係るシート積載装置の制御方法は、印刷機から印刷されたシートを受け入れて積載する棚部と、前記棚部を昇降させる昇降機構と、前記昇降機構を制御する制御部と、を備えたシート積載装置の制御方法であって、前記昇降機構によって、前記印刷機からシートを受け入れる受入位置にて該印刷機に対応する所定高さに前記棚部を昇降させ、かつ、前記受入位置とは異なる位置であるシート加工機にシートを供給する供給位置にて該シート加工機に対応する所定高さに前記棚部を昇降させ、前記印刷機に対応する前記所定高さは、異なる種類の複数の該印刷機ごとに個別に設定された設定値とされ、且つ/又は前記シート加工機に対応する前記所定高さは、異なる種類の複数の該シート加工機ごとに個別に設定された設定値とされている。
【0023】
本発明の一態様に係るシート搬送システムは、上記のいずれかに記載のシート積載装置と、前記受入位置にて前記シート積載装置に対してシートを排出する印刷機と、前記供給位置にて前記シート積載装置からシートが供給されるシート加工機と、を備えている。
【0024】
本発明の一態様に係るシート搬送システムは、前記受入位置から前記供給位置まで前記シート積載装置を搬送する無人搬送車を備えている。
【発明の効果】
【0025】
印刷機からシート加工機までの工程を省人化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係るスタッカーが印刷機に対する受入位置に配置された状態を示す斜視図である。
【
図2】スタッカーが紙折機に対する給紙位置に配置された状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1のスタッカー及び印刷機を示した側面図である。
【
図7】
図4のスタッカーの積載棚を傾斜させた状態を示した斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るスタッカーのハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る印刷システムの全体構成の一例を示した概略構成図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る印刷統括管理装置のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る印刷統括管理装置が備える機能の一例を示した機能ブロック図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る搬送管理装置が備える機能の一例を示した機能ブロック図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る印刷工程に関する管理システムの印刷物製造管理処理のうち、印刷統括管理装置、スタッカー管理装置、及び搬送管理装置が実行する処理の手順の一例を主に示したフローチャートである。
【
図15】本発明の一実施形態に係る加工工程に関する管理システムの印刷物製造管理処理のうち、印刷統括管理装置、スタッカー管理装置、及び搬送管理装置が実行する処理の手順の一例を主に示したフローチャートである。
【
図16】給紙位置にて紙折機とスタッカーの中心線が一致した状態を示した平面図である。
【
図17】給紙位置にて紙折機の中心線に対してスタッカーの中心線がオフセットした状態を示した平面図である。
【
図18】給紙位置にてスタッカーのストッパが下降した状態を示した側面図である。
【
図19】変形例1に係り、スタッカーが筋入機に対する給紙位置に配置された状態を示す斜視図である。
【
図20】変形例2に係るスタッカーを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の一実施形態に係るシート積載装置及びその制御方法並びにシート搬送システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
図1には、本実施形態に係る印刷システム200(
図10参照)が備えるスタッカー(シート積載装置)1が、印刷機3から用紙(シート)Sを受け入れる受入位置PS1に配置された状態が示されている。
スタッカー1は、印刷機3にて印刷された用紙Sを所定枚数積載した後に、
図2に示すような紙折機(加工機)5に給紙する給紙位置(供給位置)PS2まで移動される。
【0029】
印刷機3は、例えば、
図1に示すように、デジタル印刷機とされており、印刷機管理装置204(
図10参照)からのジョブ情報を通信部7にて受け取り、ジョブ情報に基づいて用紙Sに対して印刷を行う。なお、ジョブ情報の詳細は後述する。
印刷機3の背面3aには、印刷後の用紙(シート)Sを印刷機3外へ排出する排紙口3bが形成されている。印刷機3は、用紙Sの印刷を行い、排紙口3bから用紙Sをスタッカー1の棚部10に向けて排出する。また、印刷機3は、印刷用紙のカウントを行い、カウント数を印刷機管理装置204に送信する。また、カウント数がジョブ情報に含まれる印刷枚数に達した場合に、印刷機管理装置204に対してジョブ完了信号とジョブの識別情報であるジョブIDを送信する。
【0030】
図3に示すように、スタッカー1は、平面視して矩形状とされ基台12を備えている。基台12の四隅には、それぞれ脚部14が固定されている。各脚部14は、床面FL上に立設されており、スタッカー1の重量を支える。各脚部14の上下方向の寸法は、基台12の下方に低床型とされた無人搬送車20が収納可能とされた長さとされている。無人搬送車20は、基台12を下方から持ち上げることによって、スタッカー1を搬送する。したがって、スタッカー1は自身で走行する走行装置を備えていない。無人搬送車20は、車輪20aを備えており、後述する搬送管理装置203(
図10参照)からの指示によって所定の経路を走行する。
【0031】
基台12の下面には、スタッカーID(識別情報)13が固定されている。スタッカーID13には、スタッカー1を識別することができる固有の識別情報が記録ないし印刷されている。スタッカーID13としては、ICチップや二次元バーコード等を用いることができる。
【0032】
基台12の後方R側には、基台12から上方に立設された本体部16が設けられている。本体部16は、棚部10の一端を片持ち状態で支持する。本体部16の上部には、通信部18が設けられている。
【0033】
図3に示すように、スタッカー1の棚部10は、用紙Sが直接積載される積載棚22と、積載棚22の下方に位置する昇降テーブル24とを備えている。積載棚22は、平面視して矩形状の板状体とされている。積載棚22には、ストッパ(当接部材)26と用紙幅ガイド(当接部材)28とが設けられている。
【0034】
ストッパ26は、積載棚22から上方に立設された棒状体とされ、積載棚22の後方R側に設けられている。ストッパ26は、
図1に示すように、例えば積載棚22の幅方向に2本並べて設けられている。なお、積載棚22の幅方向とは、前方Fと後方Rを結ぶ方向である積載棚22の長手方向に直交する方向である。ストッパ26に対して印刷機3から排出された用紙Sの先端が突き当たることによって、用紙Sの排出方向の位置決めが行われる。
【0035】
図4に示すように、各ストッパ26の下端側は、積載棚22にそれぞれ形成されたストッパ走行溝30に挿通されている。ストッパ走行溝30は、積載棚22の長手方向に沿って直線状に形成されている。各ストッパ26は、ストッパ走行溝30に沿って往復動する。
【0036】
図5及び
図6に示すように、ストッパ26の下端は、積載棚22の幅方向に延在するブラケット32に固定されている。ブラケット32の幅方向における両端には、それぞれ、スライドガイド軸34が挿通されている。スライドガイド軸34は、それぞれ積載棚22側に固定され、積載棚22の長手方向に延在している。ブラケット32は、スライドガイド軸34にガイドされて往復動する。
【0037】
ブラケット32の幅方向における中央には、送りねじ36が取り付けられている。送りねじ36は、積載棚22の後方R側に固定された位置決めモータ38によって軸線回りに回転させられる。位置決めモータ38はスタッカー制御部40(
図4参照)の指令によって正逆回転可能とされている。位置決めモータ38で送りねじ36を回転させることによって、ブラケット32に固定された各ストッパ26の長手方向の位置決めが行われる。
【0038】
図6に示されているように、各ストッパ26の後方R側の一側には、上下方向にわたって上下ラック26aが設けられている。各上下ラック26aに対して、積載棚22に設けられたピニオンギア42がそれぞれ噛合する。各ピニオンギア42は、回転軸44(
図5参照)を介して上下動モータ46に接続されている。上下動モータ46によって回転軸44を介してピニオンギア42が正逆回転させられることによって、上下ラック26aが設けられた各ストッパ26が上下動する。上下動モータ46の制御は、スタッカー制御部40(
図4参照)によって行われる。
【0039】
図3に示すように、用紙幅ガイド28は、積載棚22から上方に立設された棒状体とされ、ストッパ26よりも前方F側に設けられている。用紙幅ガイド28は、
図1に示すように、用紙Sの幅方向の両側に位置するように2本設けられている。
【0040】
図4に示すように、各用紙幅ガイド28の下端側は、積載棚22にそれぞれ形成された用紙幅ガイド走行溝48に挿通されている。用紙幅ガイド走行溝48は、積載棚22の幅方向に沿って直線状に形成されている。各用紙幅ガイド28は、用紙幅ガイド走行溝48に沿って往復動する。
【0041】
図5に示すように、各用紙幅ガイド28の下端は、積載棚22の長手方向に延在するブラケット50にそれぞれ固定されている。各ブラケット50の幅方向における両端には、それぞれ、スライドガイド軸52が挿通されている。スライドガイド軸52は、それぞれ積載棚22側に固定され、積載棚22の幅方向に延在している。ブラケット50は、スライドガイド軸52にガイドされて往復動する。
【0042】
各ブラケット50の長手方向における中央には、送りねじ54がそれぞれ取り付けられている。送りねじ54は、積載棚22に固定された位置決めモータ56によって軸線回りに回転させられる。位置決めモータ56はスタッカー制御部40(
図4参照)の指令によって正逆回転可能とされている。位置決めモータ56で送りねじ54を回転させることによって、ブラケット50に固定された各用紙幅ガイド28の幅方向の位置決めが行われる。
【0043】
図6に示すように、スタッカー1は、昇降テーブル24に対して積載棚22の前方F側を持ち上げて傾斜させる傾斜機構60を備えている。すなわち、ストッパ26と各用紙幅ガイド28が設けられていない用紙Sの端部側(すなわち開放側)が上方となるように傾斜させられるようになっている。
図7及び
図8に示すように、傾斜機構60は、昇降テーブル24の前方F側の端部に固定された直動シリンダ62と、直動シリンダ62によって上下方向に往復動させられるロッド64とを備えている。直動シリンダ62は、電動とされており、スタッカー制御部40(
図4参照)によって制御される。ロッド64の先端(上端)は、回動ピン66によって積載棚22に対して回動可能に固定されている。積載棚22の後方R側の基端部22aは、支点ピン68によって昇降テーブル24に対して回動可能に固定されている。支点ピン68は、昇降テーブル24から立設された腕部70の上端に取り付けられている。傾斜機構60によって、積載棚22は、支点ピン68周りに回動して昇降テーブル24に対して傾斜するようになっている。
【0044】
昇降テーブル24は、平面視して矩形状の板状体とされており、例えば
図6に示すように、後方Rの基端部24aが上下動可能に本体部16に対して接続されている。具体的には、昇降テーブル24の基端部24a側がブラケットを介して本体部16内に設けられたチェーン72に固定されている。チェーン72には無端状とされており、本体部16内の上下にそれぞれ設けられたスプロケット74間に掛け回されている。各スプロケット74は、
図5のように平面視すると、幅方向に延在する回転軸76の両端にそれぞれ設けられている。したがって、チェーン72は、本体部16の幅方向における左右にそれぞれ2本設けられており、各チェーン72に対して上下のスプロケット74が設けられている。
【0045】
図6に示すように、本体部16内には、昇降機構77が設けられている。昇降機構77は、昇降テーブル用モータ78を備えている。昇降テーブル用モータ78は、スタッカー制御部40によって正逆回転可能に制御される。昇降テーブル用モータ78の回転出力はタイミングベルト80を介してウォームギア(昇降機構)82へと伝達される。ウォームギア82によってホイール84が回転し、これによりホイール84の歯部に噛合する平歯車86が回転する。平歯車86は回転軸76に固定されており、平歯車86によって回転軸76及びスプロケット74が回転させられ、これによりチェーン72が駆動されて昇降テーブル24が昇降する。
【0046】
昇降テーブル24の基端部24aの下側には車輪88が設けられており、車輪88は本体部16の前面16aに沿って走行する。これにより、昇降テーブル24は、本体部16に対して片持ち状態で昇降する。
【0047】
例えば
図6に示すように、スタッカー1の前方Fには受電ヘッド(受電装置)90が設けられている。受電ヘッド90は、基台12の前端12aに固定されている。受電ヘッド90には給電ケーブル92の一端が電気的に接続されており、給電ケーブル92の他端は本体部16内のバッテリ94(
図4参照)に電気的に接続されている。
【0048】
バッテリ94は、例えばリチウムイオン電池とされ、バッテリ管理装置97(
図9参照)を備えている。バッテリ管理装置97は、バッテリ94の充電状態を管理し、スタッカー制御部40に対してバッテリ情報を出力する。
【0049】
受電ヘッド90は、受入位置PS1(
図1参照)や給紙位置PS2(
図2参照)などの所定の位置にて、給電ヘッド96と対向するようになっている。受電ヘッド90は、給電ヘッド96から例えば非接触によって給電される。給電ヘッド96は、印刷機3や紙折機5に対するスタッカー1の停止位置に対応した位置に設置されている。給電ヘッド96は、電源コンセント96aを備えており、電源コンセント96aは近傍に設けられた電源に接続される。なお、給電方式は非接触に限定されるものではなく、接触式としても良い。また、給電ヘッド96の設置位置は、印刷機3や紙折機5の近傍に限定されるものではなく、スタッカー1が定期的に停止する所定位置に適宜設けることができる。
【0050】
図4に示すように、無人搬送車20は、上面に、上位装置である搬送管理装置203(
図10参照)との間で送受信を行う通信部101と、ID読取部105とが設けられている。ID読取部105は、基台12の下面に固定されたスタッカーID13を読み取る。通信部101及びID読取部105は、無人搬送車20の制御を行う無人搬送制御部103と信号が送受信可能に接続されている。
【0051】
無人搬送車20の上部には、上下に昇降する昇降台20bが設けられている。昇降台20bが上昇することによってスタッカー1を床面FLから持ち上げ、この状態で無人搬送車20が走行することによってスタッカー1を所定位置まで搬送する。無人搬送車20が目的位置に到達すると、昇降台20bを下降させてスタッカー1の脚部14を床面FL上に接地させてスタッカー1を所定位置に配置する。無人搬送車20は、例えば、スタッカー1を所定位置に配置した後、スタッカー1の下方から退避して次の目的地へと移動する。無人搬送車20の走行スケジュールは搬送管理装置203(
図10)によって管理されており、搬送管理装置203から受信した搬送指示情報に従って無人搬送車20が走行する。
【0052】
図9は、スタッカー1のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
図9に示すように、スタッカー1は、スタッカー制御部40を備えている。スタッカー制御部40は、例えば、CPU120、CPU120が実行するプログラム等を記憶するための記憶部121、各プログラム実行時のワーク領域として機能するメインメモリ122を備えている。記憶部121は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等である。
【0053】
上述した各種制御を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶部121に記憶されており、このプログラムをCPU120がメインメモリ122に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種制御が実現される。なお、プログラムは、記憶部121に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0054】
また、スタッカー1は、後述するスタッカー管理装置(
図10参照)、印刷機3及び各種加工機(例えば、紙折機5、筋入機6)との通信を実現するための通信部18を備えている。スタッカー制御部40と通信部18とはバスを介して接続され、スタッカー制御部40からの指示に基づいて通信部18が各種情報を所定の送信先に送信するとともに、各装置から受信した情報をスタッカー制御部40に出力する。
【0055】
例えば、通信部18は通信先に応じた各種通信規格に沿った通信を確立させるための通信機能を備えている。一例として、印刷機3及び各種加工機(例えば、紙折機5、筋入機6等)との通信は、Bluetooth(登録商標)等の近距離通信を用いて行われ、比較的遠隔に設けられたスタッカー管理装置202(
図10参照)やその上位システムである印刷統括管理装置(上位制御部)201(
図10参照)との通信は、広域通信(例えば、無線LAN等)を用いて行われる。また、各スタッカー管理装置(上位制御部)202及び印刷統括管理装置201との通信については、印刷分野で用いられる特定の通信プロトコルに基づく通信を行うこととしてもよい。
【0056】
また、スタッカー制御部40は、上述した位置決めモータ38、56、上下動モータ46、直動シリンダ62及び昇降テーブル用モータ78とバスを介して接続されており、これら各部を制御する。具体的には、スタッカー制御部40は、スタッカー管理装置202又は印刷統括管理装置201からジョブ情報を受信し、ジョブ情報に基づいて、上記各種モータ38、46、56、78や直動シリンダ62の制御を行う。
【0057】
また、スタッカー制御部40は、バッテリ94を管理するバッテリ管理装置(マイコン)97とバスを介して接続されている。スタッカー制御部40は、バッテリ管理装置97からバッテリ情報(例えば、バッテリ残容量等)を受け取り、例えば、このバッテリ情報を通信部18を介してスタッカー管理装置202(
図10参照)へ送信する。
【0058】
図10は、上述したスタッカー1及び無人搬送車20を含む印刷システム200の全体構成の一例を示した概略構成図である。
図10に示すように、印刷システム200は、印刷統括管理装置201、スタッカー管理装置202、搬送管理装置203、印刷機管理装置204、及び加工機管理装置205を管理システム210として備えている。管理システム210を構成する管理装置201~205は、相互通信が可能な構成とされていてもよい。
【0059】
また、印刷システム200は、スタッカー管理装置202によって管理されるスタッカー1、搬送管理装置203によって管理される無人搬送車20、印刷機管理装置204によって制御される印刷機3、及び加工機管理装置205によって管理される各種加工機を備えている。
図10において、加工機の一例として、紙折機5、筋入機6が示されている。
【0060】
印刷統括管理装置201は、スタッカー管理装置202、搬送管理装置203、印刷機管理装置204、及び加工機管理装置205と通信可能な構成とされており、これらの管理装置からの情報に基づいて印刷システム200全体を統括管理する。なお、印刷統括管理装置201の詳細については後述する。
【0061】
スタッカー管理装置202は、複数のスタッカー1の各々と通信可能な構成とされ、各スタッカー1を管理する管理装置である。スタッカー管理装置202は、例えば、スタッカーID、動作ステータス、現在位置情報、稼働情報、及びバッテリ情報が関連付けられたスタッカー管理情報を有している。動作ステータスは、ジョブが割り当てられている場合には「稼働状態」、ジョブが割り当てられていない場合には「待機状態」とされる。現在位置情報は、スタッカーの位置情報が登録される。この位置情報は座標情報でもよいし、排紙受入や給紙を行っている場合には、印刷機3や加工機のIDと関連付けることにより、現在位置を特定することとしてもよい。稼働情報は、累積稼働時間、前回稼働時からの経過時間等である。バッテリ情報は、例えば、バッテリ充電率やバッテリ残容量である。スタッカー管理装置202は、所定のタイミングで各スタッカー1と通信を行うことにより、各スタッカー1から動作ステータス、現在位置情報、稼働情報、バッテリ情報を受信し、これらの情報に基づいてスタッカー管理情報を更新する。
【0062】
スタッカー管理装置202は、印刷統括管理装置201からジョブID及びジョブ情報を受信した場合に、上述したスタッカー管理情報に基づいて、ジョブを実行するいずれか一つのスタッカー1を決定する。例えば、スタッカー管理装置202は、前回稼働時からの経過時間、バッテリ残容量、ジョブ情報で指定されている機器(例えば、印刷機3、紙折機等)と現在位置との距離等をパラメータとして含む所定の評価演算式を有している。そして、スタッカー管理装置202は、スタッカー管理情報から動作ステータスが「待機状態」である各スタッカー1の上記パラメータを評価演算式に代入することにより、評価値を演算する。そして、評価値の最も高いスタッカーをジョブを実行するスタッカーとして選定する。なお、上記評価演算式において、重要度に応じてパラメータに重みづけをしてもよい。
【0063】
搬送管理装置203は、複数の無人搬送車(無人搬送装置)20の運行を管理する管理装置である。搬送管理装置203は、各無人搬送車20と通信可能な構成とされている。無人搬送車20の各々には、それぞれ個別の無人搬送車IDが割り当てられている。なお、搬送管理装置203の詳細は後述する。
【0064】
印刷統括管理装置201、搬送管理装置203及び各無人搬送車20は、構内の地図情報をそれぞれ保有している。これにより、印刷統括管理装置201、搬送管理装置203からの指示に応じて無人搬送車が所望位置に移動することが可能となる。また、この座標情報には、印刷機3、各加工機(例えば、紙折機5、筋入機6等)の位置も登録されているとよい。
【0065】
印刷機管理装置204は、印刷機3を管理する管理装置である。印刷機管理装置204は、例えば、印刷統括管理装置201からジョブ情報を受信した場合に、そのジョブ情報を印刷機3に出力する。また、印刷機3からジョブ完了信号を受信した場合に、印刷統括管理装置201に対してジョブ完了信号を出力する。また、印刷機管理装置204は、印刷機3の稼働情報、異常検出等を蓄積してもよい。これらの情報は、保守点検時に役立つ情報である。
【0066】
加工機管理装置205は、印刷機3の下流側における工程を行う加工機を管理する管理装置である。
図1では、加工機の一例として紙折機5及び筋入機6を示しているが、加工機はこの例に限定されない。また、加工機管理装置205は、各加工機の稼働情報、異常検出等を蓄積してもよい。
【0067】
なお、
図10では、2台のスタッカー1、3台の無人搬送車20、1台の印刷機3、紙折機5及び筋入機6を印刷システム200が備える場合を例示しているが、これら各装置の台数は図示した態様に限定されるものではない。すなわち、いずれの装置も少なくとも1台設けられていればよい。
【0068】
図11は、本実施形態に係る印刷統括管理装置201のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
図11に示すように、印刷統括管理装置201は、コンピュータを有しており、例えば、CPU211、記憶部212、メインメモリ213、通信部214、入力部215、及び表示部216を備えている。
CPU211は、例えば、バスを介して接続された記憶部212に格納されたOS(Operating System)により印刷システム200全体の制御を行うとともに、記憶部212に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。
【0069】
記憶部212は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等であり、例えば、Windows(登録商標)等の印刷システム200全体の制御を行うためのOS、印刷業務に向けられたアプリケーション、及び各種データやファイル等を格納する。また、記憶部212には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。
【0070】
メインメモリ213は、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU211の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0071】
通信部214は、ネットワークに接続して他の装置と通信を行い、情報の送受信を行うためのインターフェースとして機能する。
入力部215は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等、ユーザが印刷統括管理装置201に対して指示を与えるためのユーザインタフェースである。
表示部216は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等で構成される表示画面を有し、CPU211によって実行されたアプリケーションソフトウェアプログラムの結果等を表示する。
なお、入力部215及び表示部216は、ネットワーク等を介して印刷統括管理装置201と接続され、遠隔からの入力操作及び遠隔表示が可能な構成とされていてもよい。
【0072】
また、スタッカー管理装置202、搬送管理装置203、印刷機管理装置204、及び加工機管理装置205のハードウェア構成も印刷統括管理装置201とほぼ同様の構成とされている。すなわち、いずれの管理装置202~205もCPU、メインメモリ、記憶部、通信部、入力部、表示部等を備えている。また、入力部及び表示部については、遠隔操作が可能な構成とされていてもよい。
【0073】
次に、本実施形態に係る印刷統括管理装置201が備える機能について説明する。後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で
図11に示した記憶部212に記憶されており、このプログラムをCPU211がメインメモリ213に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、記憶部212に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0074】
図12は、印刷統括管理装置201が備える機能の一例を示した機能ブロック図である。
図12に示すように、印刷統括管理装置201は、例えば、記憶部212、ジョブ管理部222、処理部223、及び通信部214を備えている。
【0075】
記憶部212には、ジョブ管理リストが格納されている。ジョブ管理リストは、印刷システム200によって製造される印刷物の製造スケジュールが登録されているリストである。ジョブ管理リストには、例えば、印刷物に割り当てられたジョブID(ジョブ識別情報)毎に、その印刷物を製造するための製造工程手順が登録されたジョブ情報、及びジョブステータス等が登録されている。
【0076】
ジョブ情報は、印刷物を製造するのに必要となる各種情報であり、例えば、用紙情報及び作業情報を含んでいる。
用紙情報には、例えば、用紙サイズ、紙厚、印刷枚数、印刷物を構成する用紙枚数、及び作成する印刷物の部数等が含まれる。
作業情報には、印刷物の製造工程手順及び製造工程に用いられる印刷加工機のID及びそれらの設定パラメータが含まれる。
例えば、印刷後に紙を折る場合には、印刷機3、紙折機5の順に製造工程手順が登録される。また、印刷機3の印刷機IDに関連付けて棚の高さ、ガイド位置等の設定パラメータが作業情報として登録される。また、紙折機5の紙折機IDに関連付けて加工仕様、紙折機ID毎の給紙位置のオフセット情報等が登録される。
また、上記ジョブ情報として、例えば、印刷の技術分野における標準フォーマットで記述されたJDFを用いることができる。
【0077】
ジョブステータスは、印刷物の製造工程(例えば、「印刷」、「紙折」等)毎に、「完了」、「実行中」、「未完了」等が登録される。
【0078】
ジョブ管理部222は、記憶部212に格納されているジョブ管理リストの新規追加、更新、削除等を行う。例えば、入力部215(
図11参照)または通信部214を介して新しい印刷物の製造依頼を受け付けた場合に、依頼を受けた印刷物に対してジョブIDを付与するとともに、そのジョブ情報をジョブ管理リストに登録することにより、ジョブ管理リストを更新する。
【0079】
また、通信部214を介してジョブ完了信号を受け付けた場合に、そのジョブ完了信号に基づいてジョブ管理リストのジョブステータスを更新する。これにより、完了したジョブ、未完了のジョブ、実行中のジョブを判別できるとともに、実行中のジョブについてはどの工程までジョブが完了したのかを判別することが可能となる。これにより、ジョブの進捗状況を管理することができる。
【0080】
処理部223は、ジョブ管理リストに基づいて、各管理装置202~205に送信する指示情報を作成する。各管理装置202~205が指示情報に基づいて管理下にある各種装置を動作させることにより、印刷システム200における印刷加工工程がジョブ情報に基づいて安定的にかつ円滑に進められる。なお、処理部223によって実行される一連の処理手順については後述する。
【0081】
通信部214は、処理部223によって作成された各種指示情報等を処理部223によって指定された送信先に対して送信するとともに、各種管理装置202~205等から受信した情報を処理部223に出力する。
【0082】
図13は、本実施形態に係る搬送管理装置203が備える機能の一例を示した機能ブロック図である。
搬送管理装置203は、記憶部231、情報取得部232、決定部233、及び通信部234を備えている。
記憶部231には、例えば、無人搬送車ID、動作ステータス、現在位置情報、稼働情報、及びバッテリ情報等が関連付けられた搬送管理情報が格納されている。
動作ステータスは、現在、スタッカーの搬送が割り当てられている場合には「稼働状態」、スタッカーの搬送が割り当てられていない場合には「待機状態」、また、充電を行っている場合には「充電中」とされる。現在位置情報は、無人搬送車20の位置情報が登録される。稼働情報は、例えば、累積稼働時間、前回稼働時からの経過時間等である。バッテリ情報は、例えば、バッテリ充電率やバッテリ残容量である。
【0083】
なお、上述した搬送管理情報を構成する各種情報は一例であり、これらの一部が登録されていてもよいし、他のパラメータが追加で登録されていてもよい。
情報取得部232は、所定のタイミングで各無人搬送車20と通信を行い、上述したバッテリ情報、現在位置情報、稼働情報を取得し、記憶部231に格納されている搬送管理情報を更新する。
【0084】
決定部233は、印刷統括管理装置201から搬送対象となるスタッカーのスタッカーID、位置情報、搬送先情報が含まれる搬送指示情報を受信した場合に、記憶部231に格納されている搬送管理情報に基づいて、スタッカー1を搬送するいずれか一つの無人搬送車20を決定する。例えば、搬送管理装置203は、前回稼働時からの経過時間、累計稼働時間、バッテリ残容量、搬送対象となるスタッカー1の位置情報との距離等をパラメータとして含む所定の評価演算式を有している。そして、現在の動作ステータスが「待機状態」の無人搬送車20の上記パラメータを搬送管理情報から取得して、上記評価演算式に代入することにより、評価値を演算する。そして、評価値の最も高い無人搬送車20を搬送指示情報を実行する無人搬送車として選定する。なお、上記評価演算式において、重要度に応じてパラメータに重みづけをしてもよい。
通信部234は、無人搬送車20との通信及び印刷統括管理装置201との通信を確立させ、相互通信を実現させる。
【0085】
次に、上述した印刷統括管理装置201を含む管理システム210によって実行される印刷物製造管理処理について、図面を参照して説明する。
図14は、印刷工程に関する管理システム210の印刷物製造管理処理のうち、印刷統括管理装置201、スタッカー管理装置202、及び搬送管理装置203が実行する処理の手順の一例を主に示したフローチャートである。
図15は、加工工程に関する管理システム210の印刷物製造管理処理のうち、印刷統括管理装置201、スタッカー管理装置202、及び搬送管理装置203が実行する処理の手順の一例を主に示したフローチャートである。
【0086】
図14に示すように、まず、印刷統括管理装置201は、ジョブ管理リストに基づいて、印刷物の製造を開始するジョブIDを決定する(SA1)。そして、決定したジョブIDとそのジョブIDに関連付けられているジョブ情報とをスタッカー管理装置202及び印刷機管理装置204(
図10参照)に送信する(SA2)。印刷機管理装置204は、受信したジョブIDとジョブ情報を印刷機3に送信する。ジョブID及びジョブ情報を受信した印刷機3は、スタッカー1から準備完了信号を受信するまで、待機状態となる。
【0087】
一方、スタッカー管理装置202は、ジョブIDとジョブ情報とを印刷統括管理装置201から受信すると、スタッカー管理情報に基づいてジョブを実行するスタッカー1を決定し(SA3)、決定したスタッカー1のスタッカーIDと現在位置情報とを含むスタッカー情報とジョブIDとを関連付けて印刷統括管理装置201に送信する(SA4)。また、スタッカー管理装置202は、決定したスタッカー1に対してジョブIDとジョブ情報とを送信する。また、スタッカー管理装置202は、スタッカー管理情報において、ジョブを割り当てたスタッカー1の動作ステータスを「稼働状態」に変更する。
【0088】
ジョブID及びジョブ情報を受信したスタッカー1のスタッカー制御部40(
図9参照)は、ジョブ情報に基づいて昇降テーブル用モータ78を制御する。これにより、昇降テーブル用モータ78が動作し、印刷機3の種類に応じて個別に設定された高さ位置に昇降テーブルを位置決めする。これにより、印刷時において、印刷機3から排出される用紙を適切に受け取ることが可能となる。また、スタッカー制御部40は、位置決めモータ38、56、上下動モータ46を制御する。これにより、ストッパ26の前後方向の位置と用紙幅ガイド28の幅方向の位置が、印刷ジョブに記述されている用紙Sのサイズに応じた位置に位置決めされる。
【0089】
一方、
図14において、印刷統括管理装置201は、スタッカー情報とジョブIDとをスタッカー管理装置202から受信すると、受信したスタッカー情報、ジョブID及びジョブ情報に基づいて搬送指示情報を作成し、搬送管理装置203に送信する(SA5)。搬送指示情報には、スタッカー1の現在位置情報、スタッカーID、印刷機3の受入位置PS1の情報が含まれる。
【0090】
搬送管理装置203は、搬送指示情報及び搬送管理情報に基づいて、スタッカー1の搬送を行う無人搬送車20を決定し、決定した無人搬送車20に対して搬送指示情報を送信する(SA6)。また、搬送管理装置203は、搬送管理情報において、搬送指示を割り当てた無人搬送車20の動作ステータスを「稼働状態」に変更する。
【0091】
搬送指示情報を受信した無人搬送車20は、搬送指示情報に基づいてスタッカー1を印刷機3の受入位置PS1まで移動させる。なお、無人搬送車20がスタッカー1の位置に到着した際に、スタッカーID13をID読取部105によって読み取り、搬送指示情報に含まれているスタッカーIDと、ID読取部105によって読み取ったスタッカーIDとが一致するか否かを照合することとしてもよい。このような照合処理を行うことにより、例えば、複数のスタッカー1が近接して配置されていた場合でも、搬送指示の対象であるスタッカー1を確実に移動させることが可能となる。
【0092】
無人搬送車20は、搬送指示情報に基づいてスタッカー1を印刷機3の受入位置PS1に配置すると、スタッカー1に対して搬送完了信号を送信するとともに、搬送管理装置203に対して搬送完了信号及び自身の無人搬送車IDを送信する。なお、無人搬送車20は、搬送管理装置203及びスタッカー管理装置202を介してスタッカー1に対して搬送完了信号を送信してもよい。また、以下に説明する無人搬送車20とスタッカー1との間の通信は両者間で直接的に行われてもよいし、搬送管理装置203及びスタッカー管理装置202を経由して間接的に両者間の通信が行われてもよい。
【0093】
搬送管理装置203は、搬送完了信号と無人搬送車IDを受信すると(SA7)、印刷統括管理装置201に対して搬送完了信号を送信する(SA8)。また、搬送管理装置203は、搬送完了信号を受信した無人搬送車20のバッテリ情報を取得し、バッテリ残容量が所定の下限値以下であるか否かを判定する。この結果、バッテリ残容量が下限値以下の場合には、当該無人搬送車20に対してバッテリステーションへ導くための充電指示情報を送信するとともに、搬送管理情報の動作ステータスを「充電状態」に変更する。また、バッテリ残容量が下限値を超えている場合には、動作ステータスを「待機状態」に変更する。
【0094】
一方、例えば、無人搬送車20から搬送完了信号を受信したスタッカー1は、印刷機3に対して準備完了信号を送信する。また、スタッカー1のバッテリ94(
図9参照)は、必要に応じて、印刷機3の近傍に設けられた給電ヘッド96から受電ヘッド90を介して給電を受ける。
印刷機3は、スタッカー1から準備完了信号を受信すると、印刷機管理装置204から受信したジョブ情報に基づいて印刷を開始する。印刷開始信号を印刷機管理装置204に送信する。印刷機管理装置204は、ステータスを管理している。また、印刷機管理装置204は、印刷統括管理装置201に対して印刷開始信号を送信してもよい。
【0095】
印刷機3の排紙口3b付近には、排出される用紙を検出するセンサが設けられている。印刷機3は、センサからの検出信号に基づいて印刷枚数をカウントし、カウント数をスタッカー1に送信する。スタッカー1のスタッカー制御部40は、カウント数及びジョブ情報から取得した紙厚に基づいて、昇降テーブル用モータ78を制御する。これにより、昇降テーブルが積載数に応じて下降し、印刷機3からの排紙が適切な位置で受け止めることが可能となる。
【0096】
印刷機3は、カウント数がジョブ情報で規定される印刷枚数に達したことを検知すると、印刷ジョブ完了信号を受入位置PS1に配置されているスタッカー1及び印刷機管理装置204に送信する。
【0097】
スタッカー1のスタッカー制御部40(
図9参照)は、印刷ジョブ完了信号を受信すると、昇降テーブル用モータ78を制御し、昇降テーブルを移動時の位置に下降させる。更に、スタッカー制御部40は、直動シリンダ62を制御することにより、積載棚22を所定角度傾斜させた状態とし、次工程である加工機までの搬送に備える。例えば、
図7及び
図8に示したように、スタッカー1の傾斜機構60によって積載棚22の前方F側を後方R側よりも上にした状態とする。これにより、スタッカー1が無人搬送車20によって前方Fに向けて走行するときに、積載棚22に積載された用紙Sがストッパ26や各用紙幅ガイド28が設けられていない開放側から飛散して落下することを防止できる。
【0098】
一方、印刷機管理装置204は、印刷機3から印刷ジョブ完了信号を受信すると、印刷機ID、ジョブID及び印刷ジョブ完了信号を印刷統括管理装置201に送信する。
【0099】
印刷統括管理装置201は、印刷ジョブ完了信号等を受信すると(SA9)、ジョブ管理リストの当該ジョブIDの印刷工程のステータスを「完了」に変更することによりジョブ管理リストを更新する(SA10)。そして、ステップSA1に戻り、ジョブ管理リストの中から次に実行するジョブIDを決定する。これにより、次に実行するジョブIDの印刷工程が実行され、決定されたジョブに対して上述した処理が行われる。
【0100】
また、印刷統括管理装置201は、上述したように印刷ジョブ完了信号を受信すると(
図15のSB1)、印刷ジョブ完了信号を受けたジョブIDに関連付けられたジョブ情報から加工工程を実行する加工機(例えば、紙折機5)を特定し、加工機管理装置205に対して、加工機ID、ジョブID及びジョブ情報を送信する(SB2)。なお、このとき、加工機に対して給紙を行うスタッカー1のスタッカーIDを併せて送信することとしてもよい。
【0101】
これらの情報を受信した加工機管理装置205は、加工機IDから特定される加工機(例えば、紙折機5)に対してジョブID、ジョブ情報、及びスタッカーIDを送信する。紙折機5は、例えば、ジョブID及びジョブ情報を受信すると、ジョブ情報に基づいてセット替えを行い、スタッカー1が給紙位置PS2に移動して配置されるまで、当該ジョブの待機状態となる。
【0102】
また、印刷統括管理装置201は、印刷機3の受入位置PS1に配置されているスタッカー1を紙折機5の給紙位置まで移動させるための搬送指示情報を作成し、搬送管理装置203に送信する(SB3)。搬送指示情報には、スタッカーID、スタッカーの現在位置情報に加えて、スタッカーIDに積載されている用紙情報(例えば、用紙サイズ、紙厚、用紙枚数)が含まれていてもよい。また、搬送指示情報には、紙折機5の給紙位置に対するオフセット情報が含まれていてもよい。また、搬送指示情報には、紙折機5に対する給紙方向に関する情報(例えば、縦方向か横方向か等)が含まれていてもよい。また、スタッカーの現在位置情報として、印刷機3の受入位置PS1の位置情報を用いてもよい。
【0103】
搬送管理装置203は、搬送指示情報及び搬送管理情報に基づいて、スタッカー1の搬送を行う無人搬送車20を決定し、決定した無人搬送車20に対して搬送指示情報を送信する(SB4)。搬送指示情報を受信した無人搬送車20は、搬送指示情報に基づいてスタッカー1を印刷機3の受入位置PS1から紙折機5の給紙位置PS2まで移動させる。なお、無人搬送車20がスタッカー1の位置に到着した際に、スタッカーID13をID読取部によって読み取り、搬送指示情報に含まれているスタッカーIDと、ID読取部105によって読み取ったスタッカーIDとが一致するか否かを照合することとしてもよい。
【0104】
また、無人搬送車20によって搬送されている間、スタッカー1における積載棚22は所定角度傾斜させた状態とされているので、積載棚22に積載された用紙Sが飛散して落下することを防止でき、安定的な走行を実現することが可能となる。
【0105】
また、無人搬送車20は、搬送指示情報に含まれている用紙情報に応じて、搬送時における加速度又は速度を調整してもよい。例えば、用紙枚数、用紙サイズ、紙厚に基づいてスタッカー1が積載している用紙の積載重量を推定することができる。無人搬送車20は、これらの情報から得られるスタッカー1の総重量に応じて加速度又は速度を調整することにより、安定した走行を実現する。なお、搬送管理装置203において、用紙枚数等の用紙情報から用紙の積載重量を推定し、無人搬送車20に送信する搬送指示情報に推定した積載情報を含ませることとしてもよい。
【0106】
無人搬送車20は、スタッカー1を紙折機5の給紙位置PS2まで移動させ、搬送指示情報に含まれる紙折機5に対する給紙方向に関する情報に基づいてスタッカー1の給紙方向が適切になるようにスタッカー1の配置向きを制御する。これにより、印刷機3におけるシートの排出向きと紙折機5におけるシートの給紙向きとが異なる場合でも、紙折機5の給紙向きに応じて適切な給紙向きとなるようにスタッカー1を適切な向きで設置することが可能となる。
【0107】
更に、無人搬送車20は、搬送指示情報に含まれるオフセット情報に基づいて、平面視した場合の紙折機5の中心線CL2に対するスタッカー1の中心線CL1の位置を調整する。例えば、スタッカー1の中心線CL1と紙折機5の中心線CL2との位置関係は、紙を折るためのナイフ(図示せず)の位置が中心線CL2上にある紙折機5に対して、所望の折位置が用紙の中央か、または用紙の中央からオフセットさせられているかなどに応じて変わる。したがって、スタッカー1の給紙位置PS2は、紙折機5や用紙サイズ、所望の折位置によって異なる。このような給紙位置PS2は、上述したように、スタッカー制御部40及び/又は無人搬送制御部103が印刷統括管理装置201又は搬送管理装置203から適切な設定情報を得るようになっている。なお、紙折機5とスタッカー制御部40及び/又は無人搬送制御部103とが直接通信するようにしても良い。例えば、無人搬送車20は、オフセットがゼロの場合には、
図16に示すように、平面視した場合の紙折機5の中心線CL2とスタッカー1の中心線CL1とが一致する位置にスタッカー1を配置する。また、無人搬送車20は、オフセットがゼロでない場合には、そのオフセットに応じて、
図17に示すように、紙折機5の中心線CL2に対してスタッカー1の中心線CL1をオフセットさせた位置にスタッカー1を配置する。
【0108】
無人搬送車20は、スタッカー1をオフセット情報に応じた給紙位置PS2に配置すると、スタッカー1に対して搬送完了信号を送信するとともに、搬送管理装置203に対して搬送完了信号及び自身の無人搬送車IDを送信する。
搬送管理装置203は、搬送完了信号及び無人搬送車IDを受信すると(SB5)、印刷統括管理装置201に対して搬送完了信号を送信する(SB6)。
また、搬送管理装置203は、搬送完了信号を受信した無人搬送車20のバッテリ情報を取得し、バッテリ残容量が所定の下限値以下であるか否かを判定する。この結果、バッテリ残容量が下限値以下の場合には、当該無人搬送車20に対してバッテリステーションへ導くための充電指示情報を送信するとともに、搬送管理情報の動作ステータスを「充電状態」に変更する。また、バッテリ残容量が下限値を超えている場合には、動作ステータスを「待機状態」に変更する。
【0109】
一方、無人搬送車20から搬送完了信号を受信したスタッカー1のスタッカー制御部40は、直動シリンダ62を制御することにより、積載棚22を水平状態に戻す。更に、スタッカー制御部40は、既にスタッカー管理装置202から受信しているジョブ情報から加工工程における情報(例えば、昇降テーブルの高さ情報等)を取得し、取得した情報に基づいて上下動モータ46及び昇降テーブル用モータ78を制御する。
【0110】
これにより、昇降テーブル用モータ78が動作し、紙折機5の種類に応じて個別に設定された給紙の高さ位置に積載棚22が位置決めされる。更に、スタッカー制御部40は、上下動モータ46(
図6参照)を動作させ、
図18に示すように、スタッカー1のストッパ26を下方へと変位させる。これは、紙折機5の用紙セパレータ5aとストッパ26とが干渉することを避けるためである。
また、スタッカー1のバッテリ94(
図4参照)は、必要に応じて、紙折機5の近傍に設けられた給電ヘッド96から受電ヘッド90を介して給電を受ける。
【0111】
スタッカー制御部40は、位置決めが完了し、紙折機5に対して給紙可能な状態になると、紙折機5に対して準備完了信号を送信する。紙折機5は、スタッカー1から準備完了信号を受信すると、紙折機5の給紙口付近に設けられた上面検出センサ(図示略)によって、スタッカー1の昇降テーブルの上面が検出されているか否かを判定する。
【0112】
この結果、上面が検出されていない場合には、紙折機5はスタッカー1に対して昇降テーブルを上昇させる指令を送信する。これにより、スタッカー制御部40は、昇降テーブル用モータ78を制御し、昇降テーブルを上昇させる。この操作は、昇降テーブルの上面が上面検出センサによって検出されるまで行われる。そして、紙折機5は、上面検出センサによって昇降テーブルの上面が検出されると、適切な位置にスタッカー1の昇降テーブルが配置されたと判定し、加工機管理装置205から受信したジョブ情報に基づいて紙折を開始する。
【0113】
また、紙折機5は、ジョブを開始する前に、スタッカー1のスタッカーIDを取得し、取得したスタッカーIDとこれから開始するジョブIDに関連付けられたスタッカーIDとが一致するか否かを照合する照合処理を行うこととしてもよい。このような照合を行うことにより、これから開始するジョブに合致するスタッカーが給紙位置PS2に配置されたか否かを確認することができる。
【0114】
紙折機5の排紙口付近には、排出される用紙を検出するセンサが設けられている。紙折機5は、センサからの検出信号に基づいて加工枚数をカウントする。加工枚数は、紙折機5から直接的に又は加工機管理装置205及びスタッカー管理装置202を介してスタッカー1へ送信される。スタッカー制御部40は、残り枚数と紙折機5の給紙部の高さの関係に応じて、昇降テーブル用モータ78を制御し、加工の進行に応じて昇降テーブルを適切な高さ位置に移動させる。
そして、カウント数がジョブ情報で規定される加工枚数に達したことを検知すると、紙折機5は、加工ジョブ完了信号を給紙位置PS2に配置されているスタッカー1及び加工機管理装置205に送信する。
【0115】
スタッカー1のスタッカー制御部40は、加工ジョブ完了信号を受信すると、昇降テーブル用モータ78を制御し、昇降テーブルを移動時の位置に下降させる。また、スタッカー1は、加工ジョブ完了信号と自身のスタッカーIDとをスタッカー管理装置202に送信する。スタッカー管理装置202は、加工ジョブ完了信号を受信すると(SB7)、受信したスタッカーIDの動作ステータスを「待機状態」に変更する(SB8)。
【0116】
一方、加工機管理装置205は、紙折機5から加工ジョブ完了信号を受信すると、紙折機ID、ジョブID及び加工ジョブ完了信号を印刷統括管理装置201に送信する。
印刷統括管理装置201は、加工ジョブ完了信号等を受信すると(SB9)、ジョブ管理リストの当該ジョブIDの加工工程のステータスを「完了」に変更することによりジョブ管理リストを更新する(SB10)。そして、ステップSB1に戻り、次の印刷ジョブ完了信号を受信するまで待機状態となる。また、既に印刷ジョブ完了信号を受信していた場合には、後続の処理を実行する。
【0117】
上述の通り、本実施形態によれば以下の作用効果を奏する。
受入位置PS1にて印刷機3に対応した所定高さに積載棚22を昇降させ、かつ、給紙位置PS2にて紙折機5に対応した所定高さに積載棚22を昇降させることとした。これにより、人手による積み替え作業を省略して自動化することができる。そして、異なる種類の複数の印刷機3と異なる種類の複数の紙折機5等のシート加工機との組み合わせであっても、印刷機3からシート加工機までの工程を省人化することができる。
【0118】
印刷機3ごと及び/又は紙折機5等のシート加工機ごとに積載棚22の所定高さを設定値として個別に設定されているので、異なる種類の印刷機3や紙折機5等のシート加工機であっても、適切な所定高さに積載棚22を昇降させることができる。
【0119】
上位制御部である印刷統括管理装置201又はスタッカー管理装置202から設定値を取得する通信部18をスタッカー1に設けることとしたので、異なる種類の印刷機3や紙折機5等のシート加工機に対してスタッカ-1を柔軟に対応させることができる。
【0120】
スタッカー1が固有のスタッカーID13を備えているので、スタッカ-を他のスタッカー1から区別することができる。これにより、複数のスタッカー1を同時に使用するシート搬送システムを実現することができる。
【0121】
スタッカー1の走行時に前方を後方に対して上方となるように積載棚22を傾斜させることとしたので、走行中に積載棚22に積層された用紙Sがストッパ26や各用紙幅ガイド28が設けられていない開放側から飛散して落下するおそれを回避することができる。
【0122】
スタッカー1は、受入位置PS1や給紙位置PS2で停止して作業を行う。このときに受電ヘッド90にて外部から給電を受けてバッテリ94に充電することとした。これにより、適切なタイミングで充電を行うことができる。
【0123】
<変形例1>
上述した実施形態では、スタッカー1から給紙する加工機として紙折機5を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
図19に示すように、加工機として筋入機6に対しても本発明を適用することができる。すなわち、ジョブ情報において、印刷機3の後工程として筋入機6が登録されていた場合には、上述した同様の処理を行うことにより、筋入機6に対しても安定的に給紙を行うことが可能となる。
また、筋入機6の場合には、例えば、スタッカー1のスタッカー制御部40は、用紙Sの積載枚数と筋入機6の給紙部の高さの関係に応じて、昇降テーブル用モータ78を制御し、加工の進行に応じて昇降テーブルを適切な高さ位置に調整するとよい。
【0124】
<変形例2>
上述した実施形態では、スタッカー1の移動は無人搬送車20によって行われることとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
図20及び
図21に示すように、一部のスタッカー1の脚部14のそれぞれにキャスター110を設けてスタッカー1が無人搬送車20を用いずに走行できるようにしても良い。この場合、本体部16の背面側上方にハンドル112を設け、作業者がスタッカー1を搬送する。スタッカー1は、受入位置PS1や給紙位置PS2などの定位置でキャスター110に取り付けたキャスター用ストッパ110a(
図20参照)によって位置決めされる。
【0125】
このような場合には、スタッカーID13を基台12の前方F側の下面に設け、印刷機3や紙折機5等の加工機などの近傍にID読取部114を設置する。ID読取部114の受信データは、印刷機3や紙折機5等の加工機の制御部に送信される。
なお、スタッカー1に走行モータなどの走行装置を設け、自走するようにしても良い。
【0126】
なお、スタッカー1の走行中における積載棚22の傾斜角度を、用紙Sの積載量に応じて変化させても良い。例えば、用紙Sの積載量が少ないときは多いときよりも傾斜角度を大きくする。
【0127】
スタッカー1の走行時における加速度(負の加速度である減速度も含む)の大きさに応じて積載棚22の傾斜角度を変化させても良い。例えば、スタッカー1の加速度が大きいときは小さいときよりも傾斜角度を大きくする。
【0128】
上述した実施形態及び各変形例では、スタッカー1によって搬送する媒体として用紙を一例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、樹脂フィルム等のシート状の媒体であっても本発明を適用することができる。
【0129】
積載棚22を鉛直軸線回りに回転する回転機構を設け、スタッカー制御部40によって積載棚22を鉛直軸線回りに回転させるようにしても良い。回転機構は、例えば、積載棚22と昇降テーブル24との間に設けられ、昇降テーブル24に対して積載棚22を鉛直軸線回りに回転可能に支持する回転軸と、回転軸回りに積載棚22を回転させる回転モータ等を備えている。
【0130】
回転機構を備えることで、印刷機3から用紙Sを受け入れた後に、積載棚22を90°回転させた後に紙折機5等のシート加工機にアクセスさせ、用紙Sを受入時から90°回転させた状態で給紙させることができる。
【0131】
積載棚22を回転させる回転機構に代えて、無人搬送車20によってスタッカー1全体を回転させて用紙Sの向きを変えるようにしても良い。
【0132】
上述した実施形態では、印刷統括管理装置201と各管理装置202~205との間で通信を行うこととしたが、管理装置202~205の機能を印刷統括管理装置201に含めることとしてもよい。また、無人搬送車20と印刷統括管理装置201との通信については、搬送管理装置203を介して行われていたが、搬送管理装置203を介さずに、無人搬送車20と印刷統括管理装置201とが直接的に情報の授受を行うこととしてもよい。また、他の管理装置についても同様であり、例えば、スタッカー1、印刷機3、各種加工機と印刷統括管理装置201とが直接的に情報の授受を行うこととしてもよい。
また、いずれかの管理装置が他の管理装置の機能を有していてもよい。例えば、加工機管理装置205がスタッカー管理装置202及び搬送管理装置203の機能を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0133】
1 スタッカー(シート積載装置)
3 印刷機
3a 背面
3b 排紙口
5 紙折機(シート加工機)
5a 用紙セパレータ
6 筋入機(シート加工機)
7 通信部
10 棚部
12 基台
12a 前端
13 スタッカーID(識別情報)
14 脚部
16 本体部
16a 前面
18 通信部
20 無人搬送車(無人搬送装置)
20a 車輪
20b 昇降台
22 積載棚
22a 基端部
24 昇降テーブル
24a 基端部
26 ストッパ(当接部材)
26a 上下ラック
28 用紙幅ガイド(当接部材)
30 ストッパ走行溝
32 ブラケット
34 スライドガイド軸
36 送りねじ
38 位置決めモータ
40 スタッカー制御部
42 ピニオンギア
44 回転軸
46 上下動モータ
48 用紙幅ガイド走行溝
50 ブラケット
52 スライドガイド軸
54 送りねじ
56 位置決めモータ
60 傾斜機構
62 直動シリンダ
64 ロッド
66 回動ピン
68 支点ピン
70 腕部
72 チェーン
74 スプロケット
76 回転軸
77 昇降機構
78 昇降テーブル用モータ
80 タイミングベルト
82 ウォームギア(昇降機構)
84 ホイール
86 平歯車
88 車輪
90 受電ヘッド(受電装置)
92 給電ケーブル
94 バッテリ
96 給電ヘッド
96a 電源コンセント
97 バッテリ管理装置
101 通信部
103 無人搬送制御部
105 ID読取部
110 キャスター
110a キャスター用ストッパ
112 ハンドル
114 ID読取部
120 CPU
121 記憶部
122 メインメモリ
200 印刷システム
201 印刷統括管理装置(上位制御部)
202 スタッカー管理装置(上位制御部)
203 搬送管理装置
204 印刷機管理装置
205 加工機管理装置
210 管理システム
211 CPU
212 記憶部
213 メインメモリ
214 通信部
215 入力部
216 表示部
222 ジョブ管理部
223 処理部
231 記憶部
232 情報取得部
233 決定部
234 通信部
CL1 (スタッカーの)中心線
CL2 (折機の)中心線
F (基台の)前方
FL 床面
PS1 受入位置
PS2 給紙位置(供給位置)
R (基台の)後方
S 用紙