(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】製氷容器
(51)【国際特許分類】
F25C 1/24 20180101AFI20240918BHJP
F25C 5/06 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
F25C1/24 304
F25C5/06 A
(21)【出願番号】P 2020189362
(22)【出願日】2020-11-13
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】吉池 真史
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】実公昭50-004288(JP,Y1)
【文献】中国実用新案第202188708(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106989549(CN,A)
【文献】実開昭50-022552(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/22 ~ 1/25
F25C 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方容器部と容器蓋部とから成る製氷容器であって、
前記下方容器部は、水を貯留させる貯留領域が形成され、
前記容器蓋部は、前記下方容器部の前記貯留領域を上方から覆い、前記下方容器部から分離することができ、
前記容器蓋部は、前記貯留領域を仕切る仕切壁を有
し、
前記仕切壁は、前記容器蓋部の中心から周囲に向かって放射状に伸びて複数形成され、
前記仕切壁どうしは、前記容器蓋部の中心において、互いに離間していることを特徴とする製氷容器。
【請求項2】
前記容器蓋部には開口部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の製氷容器。
【請求項3】
前記仕切壁は、前記容器蓋部に対して、移動可能に挿入された押圧部を、更に具備し、
前記押圧部は、前記仕切壁どうしの間に挿入されることを特徴とする請求項
1に記載の製氷容器。
【請求項4】
前記貯留領域および前記容器蓋部は、上方から見て円形状を呈することを特徴とする請求項1から請求項
3の何れかに記載の製氷容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷容器に関し、特に、手動で脱氷する製氷容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の冷蔵庫には、自動で製氷する自動製氷装置が備えられている。
図7に、この種の自動製氷装置を示す(特許文献1)。
【0003】
自動製氷装置は、冷蔵室に配置された給水タンク100と、冷凍室に配置された製氷皿101と、製造された氷を収納する製氷ケース103と、を有している。また、製氷皿101を、行列状に窪ませることで製氷領域102が形成されている。
【0004】
製氷する際には、先ず、ユーザが、給水タンク100に水道水等の水を貯留する。給水タンク100に貯留された水は、図示しないポンプの圧力を用いて製氷皿101の製氷領域102に送水される。製氷皿101の製氷領域102に貯留された水は、冷凍室の内部で冷凍温度帯域に冷却されることで凍結する。製氷領域102で凍結された氷は、製氷領域102を反転した後に製氷領域102に曲げ応力を加えることで、製氷皿101から脱氷された後に、製氷ケース103に蓄えられる。
【0005】
これにより、ユーザは、給水タンク100に水を供給するのみで、製氷皿101への水の供給、および、製氷皿101からの脱氷を手動で行うこと無く、製氷ケース103から氷を取り出して利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した自動製氷装置は、次のような課題を有していた。
【0008】
即ち、従来から存在する手動製氷に慣れている高齢者や、氷作りを体験したい幼児やその保護者は、自動製氷装置よりも手動製氷機器を好む傾向がある。またアジア諸国では、いまだに手動製氷機器が根強く利用されている。
【0009】
一方、手動製氷機器は、脱氷作業が簡単では無いという課題があった。
【0010】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、手動による脱氷作業を簡易に行うことができる製氷容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下方容器部と容器蓋部とから成る製氷容器であって、前記下方容器部は、水を貯留させる貯留領域が形成され、前記容器蓋部は、前記下方容器部の前記貯留領域を上方から覆い、前記下方容器部から分離することができ、前記容器蓋部は、前記貯留領域を仕切る仕切壁を有し、前記仕切壁は、前記容器蓋部の中心から周囲に向かって放射状に伸びて複数形成され、前記仕切壁どうしは、前記容器蓋部の中心において、互いに離間していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、手動による脱氷作業を簡易に行うことができる製氷容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る製氷容器を示す図であり、(A)は製氷容器を示す斜視図であり、(B)は(A)の切断面線A-Aに於ける断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る製氷容器の下方容器部を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る製氷容器を示す図であり、(A)は容器蓋部を上方から見た斜視図であり、(B)は容器蓋部を下方から見た斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る製氷容器から氷を脱氷する方法を示す斜視図である。
【
図5】本発明の他の形態に係る製氷容器を示す斜視図である。
【
図6】本発明の他の形態に係る製氷容器を示す図であり、(A)は容器蓋部を上方から見た斜視図であり、(B)は容器蓋部を下方から見た斜視図である。
【
図7】背景技術に係る自動製氷装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る製氷容器10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0023】
図1(A)は製氷容器10を示す斜視図であり、
図1(B)は
図1(A)の切断面線A-Aに於ける断面図である。
【0024】
図1(A)を参照して、製氷容器10は、水を凍結させることで氷を手動で製造するための容器であり、下方容器部12と、容器蓋部13と、を主要に具備している。
【0025】
下方容器部12は、所定形状に成形された厚みが1mm程度の合成樹脂板から成り、製氷容器10の本体部分を構成している。下方容器部12は、前後方向に細長く形成される略矩形形状を呈しており、2つの容器蓋部13が配置されている。
図1(B)に示すように、下方容器部12の前方部分と後方部分に、2つの貯留領域11が形成されている。下方容器部12の具体的な構成等は、
図2を参照して後述する。
【0026】
容器蓋部13は、上方から見て略円形に成形された合成樹脂から成り、下方容器部12の貯留領域11を上方から囲み、手動により下方容器部12から分離することができるように構成されている。容器蓋部13の具体的構成は、
図3を参照して後述する。
【0027】
図2は、製氷容器10の下方容器部12を示す斜視図である。下方容器部12の上面を窪ませることで、水を貯留させる貯留領域11が形成されている。ここでは、下方容器部12の前方部分、および、下方容器部12の後方部分に2つの貯留領域11が形成されている。上方から下方容器部12を見た場合、貯留領域11は略円形を呈している。また、貯留領域11の表面は、使用状況下における脱氷作業を容易にするために、滑らかな曲面とされている。
【0028】
図3(A)は容器蓋部13を上方から見た斜視図であり、
図3(B)は容器蓋部13を下方から見た斜視図である。
【0029】
図3(A)を参照して、容器蓋部13の概略形状は、上方から見て略円形である蓋形状を呈しており、周囲から中心に向かって徐々に上方に隆起している。
【0030】
開口部15は、容器蓋部13を部分的に開口することで形成されている。容器蓋部13を上方から見た場合、各々の開口部15は、中心から周辺に向かって広がる扇形状を呈している。ここでは、3つの開口部15が、容器蓋部13の円周方向において、略等間隔に配置されている。
【0031】
リブ16は、容器蓋部13の本体において、開口部15が形成されていない部分から構成されている。リブ16の下方には、後述する仕切壁14が連続している。
【0032】
肉厚部17は、開口部15の周縁部分において、リブ16を肉厚にした部分である。肉厚部17は、開口部15の円周方向を向く側辺に沿って形成されている。肉厚部17を形成することで、開口部15の周縁部分を補強することができる。よって、脱氷作業において容器蓋部13に曲げ応力が作用した際に、容器蓋部13にひび割れ等が発生することを防止できる。
【0033】
図3(B)を参照して、仕切壁14は、リブ16の下面から下方に向かって伸びる壁状の部材であり、
図2に示した貯留領域11を仕切る機能を有する。ここでは、仕切壁14は、容器蓋部13の中心から半径方向外側に向かって板状に伸びている。また、容器蓋部13の中心から周囲に向かって放射状に伸びる3つの仕切壁14が形成されている。更に、3つの仕切壁14は、容器蓋部13の中心において分離している。容器蓋部13を、
図2に示す下方容器部12の貯留領域11に組み付けると、仕切壁14の下側面は、貯留領域11の底面に接触する。
【0034】
図4は、製氷容器10を用いて製氷する際に、製氷容器10から脱氷する状況を示す斜視図である。
【0035】
製氷容器10を用いて製氷する際には、先ず、ユーザは、下方容器部12の貯留領域11に水を貯留する。次に、下方容器部12の貯留領域11に、上方から容器蓋部13を嵌め込む。これにより、貯留領域11が容器蓋部13により囲まれ、下方容器部12を移動させる際に、貯留領域11から水が外部に溢れることを抑止できる。更に、製氷容器10を冷蔵庫の冷凍室に貯蔵する。一定期間経過すると、貯留領域11に貯留された水が凍結することで氷となる。この後、ユーザは、製氷容器10を冷凍室から取りだし、脱氷作業を行う。
【0036】
脱氷する際には、ユーザは、下方容器部12を一方の手で押さえ、容器蓋部13を他方の手で回転させる。そうすると、容器蓋部13は、氷と共に回転し、下方容器部12の貯留領域11から分離する。その後、ユーザが容器蓋部13を握るように圧力を加えると、氷18が容器蓋部13から脱氷する。これにより、ユーザは、飲料水などを冷却するための氷18を得ることができる。また、ユーザが幼児等である場合は、製氷作業を学習すると共に楽しむこともできる。
【0037】
図5は、本発明の他の形態に係る製氷容器10を示す斜視図である。この図に示す製氷容器10の構成等は、
図1に示したものと基本的には同様であり、下方容器部12の構成等が異なる。
【0038】
ここでの下方容器部12は、上面から見た形状および大きさは容器蓋部13と略同等である。また、下方容器部12の内部には
図2等に示した貯留領域11が形成されている。即ち、下方容器部12の内部は、中心に向かって下方に滑らかに窪む形状を呈している。
更に、下方容器部12の周縁部は、容器蓋部13の周縁部に嵌合している。
【0039】
また、
図5に示した製氷容器10であっても、
図1に示した容器と同等の効果を奏することができる。
【0040】
図6は、他の形態に係る容器蓋部13の構成を示し、
図6(A)は容器蓋部13を上方から見た斜視図であり、
図6(B)は容器蓋部13を下方から見た斜視図である。
【0041】
図6(A)を参照して、ここでは、容器蓋部13のリブ16の中央部に、押圧部19が取りつけられている。押圧部19は、合成樹脂から成る略円柱状の部材であり、容器蓋部13の中央に形成された貫通孔に挿通されている。押圧部19は、軸方向に沿って移動可能に取りつけられている。
【0042】
図6(B)を参照して、押圧部19は、容器蓋部13からの脱氷を促進するために用いられる。具体的には、
図4に示したように、氷の凍結が完了した後に、下方容器部12から容器蓋部13を取り出した際に、氷18が容器蓋部13に張り付き、脱氷が簡単では無いこともある。このような場合、ユーザが押圧部19を下方に押し込むと、仕切壁14どうしの間に押圧部19が入り込み、仕切壁14は外側に向かって若干開くように変形する。このようにすることで、氷18を容器蓋部13から確実に分離することができる。
【0043】
前述した本実施形態によれば、以下の主要な効果を奏することができる。
【0044】
図3(A)を参照して、脱氷作業を簡易に行うことができる製氷容器10を提供することができる。具体的には、貯留領域11を塞ぐ容器蓋部13が、貯留領域11を仕切る仕切壁14を有することで、貯留領域11の形状に即した複数の氷18を製氷することができる。
【0045】
図3(A)を参照して、開口部15を経由して貯留領域11に冷気を導入することができ、貯留領域11に貯留された水を早期に凍結させることができる。
【0046】
図3(B)を参照して、仕切壁14どうしが分離していることで、容器蓋部13から氷18を離脱させる際に、容器蓋部13を変形させつつ、仕切壁14どうしをずらすことで、脱氷を容易に行うことができる。
【0047】
図6(B)を参照して、容器蓋部13から氷18が脱氷し難い場合は、押圧部19を押し込むことで、押圧部19により仕切壁14を外側に押し広げ、スムーズに脱氷することができる。
【0048】
図1(A)および
図2を参照して、貯留領域11および容器蓋部13が円形状を呈することで、下方容器部12と容器蓋部13とを相対回転させることにより、容易に脱氷できる。
【0049】
本発明は、前述実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0050】
例えば、
図3(B)を参照して、仕切壁14は、容器蓋部13の中心部において分離していたが、3つの仕切壁14を、容器蓋部13の中央部において連続させることもできる。このようにすることで、仕切壁14の全体としての機械的強度を向上することができる。
前述した実施形態から把握できる発明を、その効果と共に下記する。
本発明の製氷容器は、下方容器部と容器蓋部とから成る製氷容器であって、前記下方容器部は、水を貯留させる貯留領域が形成され、前記容器蓋部は、前記下方容器部の前記貯留領域を上方から覆い、前記下方容器部から分離することができ、前記容器蓋部は、前記貯留領域を仕切る仕切壁を有することを特徴とする。従って、本発明の製氷容器によれば、脱氷作業を簡易に行うことができる製氷容器を提供することができる。更に、貯留領域を塞ぐ容器蓋部が、貯留領域を仕切る仕切壁を有することで、貯留領域の形状に即した複数の氷を製氷することができる。
また、本発明の製氷容器では、前記容器蓋部には開口部が形成されることを特徴とする。従って、本発明の製氷容器によれば、開口部を経由して貯留領域に冷気を導入することができ、貯留領域に貯留された水を早期に凍結させることができる。
また、本発明の製氷容器では、前記仕切壁は、前記容器蓋部の中心から周囲に向かって放射状に伸びて複数形成され、前記仕切壁どうしは、前記容器蓋部の中心において、互いに離間していることを特徴とする。従って、本発明の製氷容器によれば、仕切壁どうしが離間していることで、容器蓋部から氷を離脱させる際に、容器蓋部を変形させつつ、仕切壁どうしをずらすことで、脱氷を容易に行うことができる。
また、本発明の製氷容器では、前記仕切壁は、前記容器蓋部に対して、移動可能に挿入された押圧部を、更に具備し、前記押圧部は、前記仕切壁どうしの間に挿入されることを特徴とする。従って、本発明の製氷容器によれば、容器蓋部から氷が離脱し難い場合は、押圧部を押し込むことで、押圧部により仕切壁が外側に押し広げられ、スムーズに脱氷することができる。
また、本発明の製氷容器では、前記貯留領域および前記容器蓋部は、上方から見て円形状を呈することを特徴とする。従って、本発明の製氷容器によれば、貯留領域および容器蓋部が円形状を呈することで、下方容器部と容器蓋部とを相対回転させることにより、ユーザが幼児や高齢者であっても、容易に脱氷できる。
【符号の説明】
【0051】
10 製氷容器
11 貯留領域
12 下方容器部
13 容器蓋部
14 仕切壁
15 開口部
16 リブ
17 肉厚部
18 氷
19 押圧部
100 給水タンク
101 製氷皿
102 製氷領域
103 製氷ケース