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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】車載用端末保持具
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
B60R11/02 T
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021027594
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022129051
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】391019681
【氏名又は名称】株式会社コムテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博康
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-088092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
H04M 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を配置するように構成された台座部と、
前記台座部に配置された前記携帯端末に当接する第1当接部および第2当接部を備え、前記第1当接部と前記第2当接部との間隔が変化するように、前記第1当接部および前記第2当接部のうち少なくとも一方が移動するように構成された可動把持部と、
前記携帯端末が前記台座部に配置されたことを検出することに応じて、第1検出信号を出力するように構成された第1検出部と、
前記第1検出部からの前記第1検出信号に基づいて、前記第1当接部および前記第2当接部との間隔を変化させるように前記可動把持部を制御するように構成された制御部と、
前記制御部の制御により前記第1当接部および前記第2当接部のうち少なくとも一方の移動が開始された後、前記第1当接部および前記第2当接部のうち少なくとも一方が移動不可能となる状態を検出することに応じて、第2検出信号を出力するように構成された第2検出部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1当接部および前記第2当接部のうち少なくとも一方が移動するように前記可動把持部の制御を開始した後に前記第2検出部から前記第2検出信号を受信した場合には、予め定められた解除条件が成立するまでは、前記可動把持部の制御を禁止するように構成されており、
前記解除条件は、前記第2検出信号を受信した時点から、予め定められた待機時間が経過することで成立する、
車載用端末保持具。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用端末保持具であって、
前記制御部が前記第2検出信号を受信してから前記解除条件が成立するまでに、前記第1検出信号を受信した場合には、前記解除条件は、最後に前記第1検出信号を受信した時点から、予め定められた待機時間が経過することで成立する、
車載用端末保持具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車載用端末保持具であって、
前記第1検出部は、押しボタンまたは光学センサで構成されている、
車載用端末保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載用端末保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両内で携帯端末を保持するための車載用端末保持具が知られている。携帯端末としては、例えば、矩形状の携帯端末、特にはスマートフォンが含まれる。
車載用端末保持具は、携帯端末を保持するための可動把持部をモータにより開閉するように構成されたものがある。そのような車載用端末保持具は、例えば、モータに接続されたピニオンギヤと、ピニオンギヤと噛み合う歯を有する左右のラックと、を備える。ピニオンギヤの回転に伴って左右のラックが互いに逆方向に移動することにより、これらのラックで構成される可動把持部が開閉するように構成される(特許文献1参照)。
【0003】
車載用端末保持具は、携帯端末が載置されたことを検出するための検出部を備えるものがある。そのような車載用端末保持具は、検出部で携帯端末が載置されたことを検出することに応じて、可動把持部を動作させることで、携帯端末を把持するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-034584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の車載用端末保持具は、携帯端末を把持した状態において、車両の振動に伴い携帯端末が振動した場合に、携帯端末が載置されたと誤判定する可能性がある。
このような誤判定が生じると、可動把持部が閉じる方向(携帯端末を把持する方向)に動作する。このような無駄な動作は、可動把持部の破損、異音の発生、動力源(モータ)の破損などを生じる可能性がある。
【0006】
そこで、本開示の一側面によれば、携帯端末を把持した状態である場合に、携帯端末が載置されたと誤判定が発生する場合でも、破損を抑制できる車載用端末保持具を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一局面に係る車載用端末保持具は、台座部と、可動把持部と、第1検出部と、制御部と、第2検出部と、を備える。
台座部は、携帯端末を配置するように構成されている。
【0008】
可動把持部は、第1当接部および第2当接部を備える。第1当接部および第2当接部は、前記台座部に配置された前記携帯端末に当接するように構成されている。可動把持部は、前記第1当接部と前記第2当接部との間隔が変化するように、前記第1当接部および前記第2当接部のうち少なくとも一方が移動するように構成されている。
【0009】
第1検出部は、前記携帯端末が前記台座部に配置されたことを検出することに応じて、第1検出信号を出力するように構成されている。
制御部は、前記第1検出部からの前記第1検出信号に基づいて、前記第1当接部および前記第2当接部との間隔を変化させるように前記可動把持部を制御するように構成されている。
【0010】
第2検出部は、前記第1当接部および前記第2当接部が所定状態であることを検出することに応じて、第2検出信号を出力するように構成されている。前記所定状態は、前記制御部の制御により前記第1当接部および前記第2当接部のうち少なくとも一方の移動が開始された後、前記第1当接部および前記第2当接部のうち少なくとも一方が移動不可能となる状態である。
【0011】
前記制御部は、前記第1当接部および前記第2当接部のうち少なくとも一方が移動するように前記可動把持部の制御を開始した後に前記第2検出部から前記第2検出信号を受信した場合には、予め定められた解除条件が成立するまでは、前記可動把持部の制御を禁止するように構成されている。
【0012】
このように、車載用端末保持具は、振動などの影響により携帯端末が振動することに起因して、第1検出部での誤検出が発生する場合でも、解除条件が成立するまでは、前記可動把持部の制御を禁止する。このため、車載用端末保持具は、携帯端末を把持した状態である場合に、携帯端末が載置されたと誤判定が発生する場合でも、前記第1当接部および前記第2当接部に負担がかかることを抑制できる。これにより、車載用端末保持具は、可動把持部の破損を抑制できる。
【0013】
前記解除条件は、前記第2検出信号を受信した時点から、予め定められた待機時間が経過することで成立してもよい。これにより、車載用端末保持具は、第1当接部および第2当接部の移動が停止した後、待機時間が経過するまでは、前記第1当接部および前記第2当接部が移動することを抑制できる。
【0014】
前記制御部が前記第2検出信号を受信してから前記解除条件が成立するまでに、前記第1検出信号を受信した場合には、前記解除条件は、最後に前記第1検出信号を受信した時点から、予め定められた待機時間が経過することで成立してもよい。これにより、車載用端末保持具は、第1検出部での誤検出が繰り返し発生する場合でも、前記第1当接部および前記第2当接部に負担がかかることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】携帯端末が載置される車載用端末保持具を表した説明図である。
図2】可動把持部が全開状態および全閉状態であるときの車載用端末保持具を表した説明図である。
図3】車載用端末保持具の機能ブロック図である。
図4】ボタン確認処理のフローチャートである。
図5】アーム動作処理のフローチャートである。
図6】タイマ監視処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
尚、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0017】
[1.第1実施形態]
[1-1.全体構成]
図1および図2に示す本実施形態の車載用端末保持具1(以下、ホルダ1ともいう)は、自動車などの車両の車室内に搭載される。車載用端末保持具1は、携帯端末51を保持するように構成されている。
【0018】
携帯端末51は、例えば、矩形状のスマートフォン、携帯電話機、タブレット端末、電子情報端末装置などが含まれる。例えば、車両乗員は、電話機能、マップ表示機能、及びナビゲーション機能等をハンズフリーで利用するために、携帯端末51を車載用端末保持具1に取り付けることができる。
【0019】
ホルダ1は、台座部11と、端末支持部13と、閉ボタン15と、開ボタン17と、可動把持部20(以下、クランプ機構20ともいう)と、を備える。
台座部11は、携帯端末51を配置するように構成されている。台座部11は、携帯端末51を配置するための配置面11aを備える。端末支持部13は、台座部11の下部から突出して、携帯端末51を支持するように構成されている。ホルダ1は、2つの端末支持部13を備える。
【0020】
閉ボタン15は、台座部11の配置面11aの上側に配置されている。閉ボタン15は、外力が加えられることで押下されるように構成された押しボタンである。開ボタン17は、台座部11の右側面の上側に配置されている。開ボタン17は、外力が加えられることで押下されるように構成された押しボタンである。
【0021】
ホルダ1は、例えば、図示しない基台又は金具を介して、車室内のダッシュボード又はセンターコンソールに設置される。ホルダ1は、電動式であり、後述するモータ33からの動力を用いて、携帯端末51を把持(挟持)するためのクランプ機構20を開閉するように構成される。
【0022】
クランプ機構20は、一対のアーム部21,22を備える。一対のアーム部21,22は、携帯端末51の画面を見るユーザから見て右側に位置する第一のアーム部21(以下、第1当接部21ともいう)と、左側に位置する第二のアーム部22(以下、第2当接部22ともいう)と、を備える。一対のアーム部21,22は、台座部11に配置された携帯端末51に当接するように構成されている。
【0023】
クランプ機構20は、第1当接部21と第2当接部22との間隔が変化するように、第1当接部21および第2当接部22が移動するように構成されている。
第一のアーム部21および第二のアーム部22は、モータ33に駆動されて、互いに逆方向に移動することで、図2に示すような全開状態、全閉状態となる。すなわち、第一のアーム部21が右に移動するとき、第二のアーム部22は左に移動する。この動作は、一対のアーム部21,22又はクランプ機構20が開く動作に対応する。第一のアーム部21が左に移動するとき、第二のアーム部22は右に移動する。この動作は、一対のアーム部21,22又はクランプ機構20が閉じる動作に対応する。
【0024】
クランプ機構20が開いているときに、車両乗員が一対のアーム部21,22の間の載置空間に携帯端末51を載置することに応じて、携帯端末51により閉ボタン15が押下される。閉ボタン15が押下されると、一対のアーム部21,22どうしが互いに近づくように動作し、クランプ機構20が閉じる。このようにしてクランプ機構20が閉じることで、携帯端末51は、左右から挟み込む一対のアーム部21,22によって保持される。
【0025】
閉ボタン15は、携帯端末51が配置面11aに載置されたことを検知する検知部としての機能を有する。
クランプ機構20が携帯端末51を把持しているときに、車両乗員により開ボタン17が押下されると、一対のアーム部21,22どうしが互いに離れるように動作し、クランプ機構20が開く。このようにしてクランプ機構20が開くことで、携帯端末51をホルダ1から取り外すことができる。
【0026】
[1-2.電気的構成]
図3に示すように、ホルダ1は、電気的構成として、制御部31と、モータ33と、モータロック検出部35と、を備える。
【0027】
制御部31は、ホルダ1に備えられる各部を制御するように構成されている。制御部31は、演算部31a(以下、CPU31aともいう)、記憶部31b(以下、MEM31bともいう)を備える。MEM31bは、ROM、RAM、NVRAMなど(図示省略)を備える。CPU31aは、ROMに格納されたコンピュータプログラムに従って処理を実行するように構成される。RAMは、CPU31aによる処理実行時に、作業領域として使用される。NVRAMは、電気的にデータ書換可能な不揮発性メモリであり、CPU31aによる処理実行時に参照される各種データを記憶する。制御部31が実行する処理は、CPU31aがROMに格納されたコンピュータプログラムに従って処理を実行することにより実現される。
【0028】
制御部31は、閉ボタン15と、開ボタン17と、電気的に接続されている。
閉ボタン15は、押下されると第1検出信号S1を出力するように構成されている。つまり、閉ボタン15は、携帯端末51が台座部11に配置されたことを検出することに応じて、第1検出信号S1を出力するように構成されている。
【0029】
モータ33は、制御部31からの指令に基づいて、クランプ機構20の開動作および閉動作を行うための動力を発生するように構成されている。モータ33は、制御部31からの指令に基づいて、正回転または負回転する。モータ33が正回転するとき、クランプ機構20は開く方向に動作する。モータ33が負回転するとき、クランプ機構20は閉じる方向に動作する。
【0030】
制御部31は、閉ボタン15からの第1検出信号S1を受信すると、クランプ機構20を閉じるようにモータ33を駆動制御するように構成されている。つまり、制御部31は、第1検出信号S1に基づいて、第1当接部21および第2当接部22との間隔を変化させるように可動把持部20を制御するように構成されている。
【0031】
モータロック検出部35は、制御部31の制御によりモータ33が回転を開始した後、モータ33が回転不可能な状態(以下、モータロック状態ともいう)になると、モータロック状態を検出するように構成されている。モータロック検出部35は、モータロック状態を検出することに応じて、第2検出信号S2を出力するように構成されている。モータロック検出部35は、第2検出信号S2を制御部31に対して出力する。
【0032】
つまり、モータロック検出部35は、制御部31の制御により第1当接部21および第2当接部22の移動が開始された後、第1当接部21および第2当接部22が移動不可能となる状態を検出することに応じて、第2検出信号S2を制御部31に出力するように構成されている。
【0033】
開ボタン17は、押下されると開操作信号Srを出力するように構成されている。開ボタン17は、開操作信号Srを制御部31に対して出力する。つまり、開ボタン17は、車両乗員が携帯端末51をホルダ1から取り外すときに、車両乗員によって操作される操作部である。
【0034】
制御部31は、開ボタン17から開操作信号Srを受信すると、クランプ機構20を開くようにモータ33を駆動制御するように構成されている。つまり、制御部31は、開ボタン17からの開操作信号Srに基づいて、第1当接部21および第2当接部22との間隔を変化させるように可動把持部20を制御するように構成されている。
【0035】
[1-3.制御処理]
制御部31が実行する各種制御処理について説明する。
制御部31は、車両のアクセサリ電源(図示省略)から電力を受け取ることで、起動するように構成されている。制御部31は、起動することに応じて、各種制御処理を実行する。制御部31は、少なくとも、ボタン確認処理、アーム動作処理、タイマ監視処理を実行するように構成されている。
【0036】
まず、図4を用いて、ボタン確認処理について説明する。ボタン確認処理は、閉ボタン15が操作されたか否かを判定するための制御処理である。
制御部31は、ボタン確認処理を開始すると、まずS110(Sはステップを表す)では、第1フラグF1を許可状態に設定し、第2フラグF2をOFF状態に設定する。
【0037】
第1フラグF1は、可動把持部20の動作が許可されている状態か否かを表すフラグである。第1フラグF1は、許可状態、処理中、禁止状態のいずれかが設定される。許可状態は、可動把持部20の動作が許可されている状態である。処理中は、可動把持部20が動作中であることを表す状態である。禁止状態は、可動把持部20の動作が禁止されている状態である。
【0038】
第2フラグF2は、可動把持部20を閉動作させるための制御(以下、閉動作制御ともいう)を実行するか否かを表すフラグである。第2フラグF2は、ON状態またはOFF状態のいずれかが設定される。ON状態は、可動把持部20の閉動作制御を実行するときの状態である。OFF状態は、可動把持部20の閉動作制御を実行しないときの状態である。
【0039】
次のS120では、制御部31は、閉ボタン15が操作されたか否かを判定し、肯定判定するとS130に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。制御部31は、第1検出信号S1を受信したか否かに基づいて、S120での判定を実行する。制御部31は、第1検出信号S1を受信することに応じてS120で肯定判定し、第1検出信号S1を受信していないことに応じてS120で否定判定する。
【0040】
S130では、制御部31は、第1フラグF1が許可状態であるか否かを判定し、肯定判定するとS140に移行し、否定判定するとS160に移行する。
S140では、制御部31は、第1フラグF1を「処理中」に設定する。続くS150では、第2フラグF2をON状態に設定する。S150が終了すると、再びS120に移行する。
【0041】
S160では、制御部31は、第1フラグF1が禁止状態であるか否かを判定し、肯定判定するとS170に移行し、否定判定するとS120に移行する。
S170では、制御部31は、タイマカウント処理のリスタートを行う。タイマカウント処理は、カウント開始からの経過時間Tcをカウントする処理である。後述するS250で、タイマカウント処理が開始される。S170では、制御部31は、経過時間Tcをリセット(初期化)して、0からカウントを再開する。S170が終了すると、S120に移行する。
【0042】
ボタン確認処理は、上述のような処理を繰り返し実行することで、閉ボタン15が操作されたか否かを判定するように構成されている。ボタン確認処理は、閉ボタン15が操作されたことを検出すると、第2フラグF2をON状態に設定する。これにより、アーム動作処理による可動把持部20の閉動作が実行される。
【0043】
次に、図5を用いて、アーム動作処理について説明する。アーム動作処理は、ボタン確認処理での判定結果に基づいて、可動把持部20の閉動作を実行するための制御処理である。
【0044】
制御部31は、アーム動作処理を開始すると、まずS210では、第2フラグF2がON状態であるか否かを判定し、肯定判定するとS220に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。
【0045】
S220では、制御部31は、モータ33を駆動制御することで、可動把持部20の閉動作制御を開始する。これにより、クランプ機構20では、第1当接部21と第2当接部22との間隔が縮小する動作(以下、アーム閉動作)が開始される。
【0046】
次のS230では、制御部31は、アーム閉動作が完了したか否かを判定し、肯定判定するとS240に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。このとき、制御部31は、モータロック検出部35から第2検出信号S2を受信した場合に肯定判定し、受信しない場合に否定判定する。
【0047】
第1当接部21と第2当接部22との間に携帯端末51が把持されて、第1当接部21および第2当接部22の移動が停止することで、アーム閉動作は完了する。このため、制御部31は、第2検出信号S2に基づいて、S230での判定を行う。
【0048】
S240では、制御部31は、第1フラグF1を禁止状態に設定し、第2フラグF2をOFF状態に設定する。S250では、制御部31は、タイマカウント処理を開始する。タイマカウント処理は、カウント開始からの経過時間Tcをカウントする処理である。
【0049】
S250が終了すると、S210に移行する。
アーム動作処理は、上述のような処理を繰り返し実行することで、第2フラグF2の状態を判定して、第2フラグF2がON状態に設定されることに応じて、可動把持部20の閉動作制御を実行するように構成されている。そして、可動把持部20の閉動作制御が完了すると、第1フラグF1を禁止状態に設定するとともに、経過時間Tcのカウントを開始する。
【0050】
次に、図6を用いて、タイマ監視処理について説明する。タイマ監視処理は、アーム動作処理のS250またはボタン確認処理のS170でカウントが開始された経過時間Tcを監視して、タイマ満了が成立したか否かを判定するための処理である。
【0051】
制御部31は、タイマ監視処理を開始すると、まずS310では、第1フラグF1が禁止状態であるか否かを判定し、肯定判定するとS320に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。
【0052】
S320では、制御部31は、経過時間Tcに基づきタイマ完了が成立したか否かを判定し、肯定判定するとS330に移行し、否定判定するとS310に移行する。
制御部31は、経過時間Tcと、予め定められた待機時間Tthと、を用いて、タイマ満了が成立したか否かを判定する。制御部31は、経過時間Tcが待機時間Tthを越えることに応じて、タイマ満了が成立したと判定する。
【0053】
本実施形態では、待機時間Tthは、10secに設定されている。なお、待機時間Tthは、10secに限られることはなく、任意の値を設定してもよい。例えば、待機時間Tthは、5secでもよいし、180secであってもよい。
【0054】
S330では、制御部31は、第1フラグF1を許可状態に設定する。S330が終了すると、S310に移行する。
タイマ監視処理は、上述のような処理を繰り返し実行することで、アーム閉動作の完了時点(換言すれば、S250でのカウント開始時点)から、待機時間Tthに相当する時間が経過したことに応じて、第1フラグF1を許可状態に設定する処理である。
【0055】
制御部31は、上記の各制御処理を実行することで、第1当接部21および第2当接部22が移動するように可動把持部20の制御を開始した後に(S220)、モータロック検出部35から第2検出信号S2を受信した場合には(S230で肯定判定)、第1フラグF1を禁止状態に設定する(S240)。第1フラグF1が禁止状態である時には、閉ボタン15が押下されても(S120で肯定判定)、S130で否定判定されるため、可動把持部20の閉動作制御は実行されない。
【0056】
制御部31は、第1フラグF1を禁止状態に設定したあと(S240)、経過時間Tcが待機時間Tthを越えない間は(S320で否定判定)、第1フラグF1を禁止状態に維持する。これにより、制御部31は、予め定められた解除条件が成立するまでは、第1当接部21および第2当接部22の移動(換言すれば、可動把持部20の閉動作制御)を禁止する。なお、「予め定められた解除条件」は、経過時間Tcが待機時間Tthを越えること(S320で肯定判定)である。
【0057】
制御部31は、第2検出信号S2を受信してから解除条件が成立するまでに、第1検出信号S1を受信した場合には(S120で肯定判定)、第1フラグF1が禁止状態であるため、S130で否定判定し、S160で肯定判定する。これにより、制御部31は、経過時間Tcのカウントをリスタートする(S170)。
【0058】
このように、経過時間Tcのカウントをリスタートすることで、解除条件は、最後に第1検出信号S1を受信した時点から、待機時間Tthが経過することで成立する(S320で肯定判定)。
【0059】
これにより、閉ボタン15での誤検出が繰り返し発生する場合でも、経過時間Tcのカウントをリスタートした時点から待機時間Tthが経過するまでは、S320で否定判定されるため、可動把持部20の閉動作制御は実行されない。
【0060】
つまり、制御部31は、閉ボタン15での誤検出が繰り返し発生する場合でも、最後に第1検出信号S1を受信した時点から待機時間Tthが経過するまでは、第1当接部21および第2当接部22の移動(換言すれば、可動把持部20の閉動作制御)を禁止する。
【0061】
[1-4.効果]
以上説明したように、本実施形態の車載用端末保持具1においては、制御部31は、可動把持部20の閉動作制御を開始した後に第2検出信号S2を受信した場合には、予め定められた解除条件が成立するまでは、第1当接部21および第2当接部22の移動を禁止するように構成されている。
これにより、車載用端末保持具1は、振動などの影響により携帯端末51が振動することに起因して、閉ボタン15での誤検出が発生する場合でも、解除条件が成立するまでは、第1当接部21および第2当接部22に負担がかかることを抑制できる。
【0062】
上記実施形態では、解除条件は、第2検出信号S2を受信した時点から、予め定められた待機時間Tthが経過することで成立するように、定められている。
これにより、車載用端末保持具1は、第1当接部21および第2当接部22の移動が停止した後、待機時間Tthが経過するまでは、第1当接部21および第2当接部22が移動することを抑制できる。
【0063】
上記実施形態では、制御部31は、第2検出信号S2を受信してから解除条件が成立するまでに、第1検出信号S1を受信した場合には(S120で肯定判定)、第1フラグF1が禁止状態のままとなる。このため、S130で否定判定、S160で肯定判定されて、経過時間Tcのカウントをリスタートする(S170)。
【0064】
つまり、制御部31は、閉ボタン15での誤検出が繰り返し発生する場合でも、最後に第1検出信号S1を受信した時点から待機時間Tthが経過するまでは、第1当接部21および第2当接部22の移動(換言すれば、可動把持部20の閉動作制御)を禁止する。
【0065】
これにより、車載用端末保持具1は、閉ボタン15での誤検出が繰り返し発生する場合でも、第1当接部21および第2当接部22に負担がかかることを抑制できる。
[1-5.文言の対応関係]
ここで、文言の対応関係について説明する。
【0066】
閉ボタン15が、本開示における第1検出部の一例に相当し、モータロック検出部35が、本開示における第2検出部の一例に相当する。
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0067】
(a)上記実施形態では、第1検出部が押しボタン(換言すれば、閉ボタン15)で構成される形態について説明したが、第1検出部は、押しボタンとは別の機器で構成してもよい。例えば、第1検出部は、光学センサで構成してもよい。光学センサは、携帯端末51が車載用端末保持具に載置された時と、携帯端末51が車載用端末保持具に載置されていない時と、で検出される光量が異なる箇所に配置されてもよい。この光学センサは、携帯端末51の存在又は携帯端末51の接近を検知できる。この光学センサによる光量の検出結果に基づいて、携帯端末が配置されているか否かを判定できる。光学センサは、携帯端末の振動に起因して、検出する光量が変化する可能性がある。この場合には、制御部は、誤って携帯端末が載置されたと判定する可能性がある。
【0068】
このような光学センサを備える車載用端末保持具において、本開示を適用することで、振動などの影響により携帯端末51が振動することに起因して、光学センサでの誤検出が発生する場合でも、解除条件が成立するまでは、第1当接部21および第2当接部22に負担がかかることを抑制できる。
【0069】
(b)上記実施形態では、第1当接部21および第2当接部22の両者が移動するように構成された可動把持部20について説明したが、可動把持部は、このような形態に限られることはない。例えば、可動把持部は、第1当接部および第2当接部のうち一方が固定された状態で備えられ、他方が移動するように構成されてもよい。
【0070】
(c)上記実施形態では、携帯端末がスマートフォンである例について説明したが、携帯端末は、スマートフォンに限られることない。携帯端末は、車載用端末保持具が保持できる形態のものであれば、任意の形態を採ることができる。携帯端末は、例えば、タブレット端末、携帯電話機、電子情報端末装置などであってもよい。
【0071】
(d)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0072】
1…車載用端末保持具(ホルダ)、11…台座部、11a…配置面、13…端末支持部、15…閉ボタン、17…開ボタン、20…クランプ機構(可動把持部)、21…第一のアーム部(第1当接部)、22…第二のアーム部(第2当接部)、31…制御部、33…モータ、35…モータロック検出部、51…携帯端末。
図1
図2
図3
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図5
図6