(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】遠隔操作式排水栓装置、及び遠隔操作式排水栓装置の更生方法。
(51)【国際特許分類】
E03C 1/242 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
E03C1/242
(21)【出願番号】P 2021091679
(22)【出願日】2021-05-31
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】内川 篤
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-025221(JP,A)
【文献】特開2012-233342(JP,A)
【文献】特開2003-139123(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0179564(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0111669(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/242
A47K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体に備えた排水口と、
排水口から離間した位置に設けられ、手動の操作を行う事で遠隔操作にて排水口を開閉する手動操作部と、
手動操作部と排水口を接続する手動操作機構と、
手動操作機構上に備えられた、手動操作機構を介して排水口の開閉を電動動作によって行う電動駆動機構と、からなる遠隔操作式排水栓装置において、
電動駆動機構を手動操作機構から着脱自在に構成すると共に、
手動操作機構上の電動駆動機構の抜脱箇所に、抜脱箇所における手動操作機構の接続を行う代替機構に置換することを特徴とする遠隔操作式排水栓装置。
【請求項2】
上記遠隔操作式排水栓装置の手動操作機構を、
一端を手動操作部側に、他端を排水口側に固定されて、手動操作部に加えられた操作を蓋体に伝達するレリースワイヤと、
一端を手動操作部側に、他端を排水口側に固定されて、レリースワイヤを手動操作部側から排水口側に案内する案内経路と、を備えて構成し、
手動操作部から排水口に至る排水口の開閉操作を伝達する経路上に、排水口の操作を電動にて行うための電動駆動機構を着脱自在に備えたことを特徴とする、請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項3】
上記遠隔操作式排水栓装置において、
代替機構として、操作部から排水口に至るレリースワイヤを案内する経路に対して着脱可能なアダプター部材を備えたことを特徴とする、請求項2に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項4】
上記遠隔操作式排水栓装置において、
代替機構として、内筒部と外筒部とからなり、内筒部を外筒部に対してスライドさせることで操作部から排水口に至るレリースワイヤを案内する経路を延長するスライド管部を備えたことを特徴とする、請求項2に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項5】
上記遠隔操作式排水栓装置において、
代替機構として、ガイド管を軸方向に伸縮性を有するジャバラ管部を備えたことを特徴とする、請求項2に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項6】
上記遠隔操作式排水栓装置の更生方法であって、
電動駆動機構を抜脱後に、代替機構によって操作部から排水口に至るレリースワイヤの案内経路を延長することを特徴とした、請求項2乃至請求項5のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置の更生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口を、排水口から離間した位置に設けた操作部への操作により開閉する遠隔操作式の排水栓装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴槽や洗面ボウルなどの槽体の内部に生じた排水を処理するため、槽体の底面等に排水口を設け、この排水口から配管部材を介し、下水側に排水を排出する方法が広く知られている。また、槽体内に水を溜める場合に、蓋体の昇降を利用して排水口を開閉する方法があるが、この蓋体による排水口の開閉を、蓋体や排水口から離間した位置、例えば槽体の縁部や槽体側面の上方に設けた操作部への操作によって行う遠隔操作式排水栓装置が知られている。
広く知られた遠隔操作式排水栓装置としては、特許文献1に記載のような、槽体の底面に設けられた排水口と、排水口を上下動することによって閉塞する蓋体と、槽体の近傍に備えられた、操作ボタン及び操作体を有する手動操作部と、手動操作部に加えられた操作を排水口に備えられた蓋体に伝達するレリースワイヤと、レリースワイヤを案内するための、手動操作部から排水口側の部材まで設けられたガイド管と、から構成されるものがある。この特許文献1に記載された遠隔操作式排水栓装置では、蓋体の上昇状態を維持するため、手動操作部にロック機構(スラストロック機構)が備えられてなり、ロック機構の一端に蓋体が、他端にレリースワイヤが接続されてなる。
操作ボタンを押し込むことで操作体に押し操作が加えられると、レリースワイヤを介して操作がロック機構に伝達され、ロック機構が蓋体を押し上げ、排水口を開口した状態を維持固定する。再度操作体に操作を加えると、再びレリースワイヤを介してロック機構に操作が伝達され、ロック機構の固定が解除されて弁が降下し排水口を閉口する。
また、特許文献1に記載の発明では、電動操作によって操作体を押し下げる電動機構を手動操作部の側面方向に備えてなり、例えば給湯器など電気信号などの指示によって電動機構に操作が指示されると、電動機構が操作体に、その進退方向の側面側から押し操作を行い、操作ボタンを押した場合と同様にして排水口を開閉させるように構成されてなる。
特に特許文献1に記載の発明では、手動操作部を上部分である第一ケーシングと、下部分である第二ケーシングから構成し、第一ケーシングと第二ケーシングとの間に着脱自在に電動の機構を配置することで、必要に応じて電動の操作の機構を備えた電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置と、電動の操作の機構を省略した手動操作の機構のみの遠隔操作式排水栓装置の2つの形態に適宜選択して施工できるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠隔操作式排水栓装置を備えた浴槽などにおいて、電動の機構の操作は給湯器側の操作パネルによって行われる場合がほとんどである。そして、遠隔操作式排水栓装置の電動の操作のための機構の操作信号に関しては、特に統一規格等はなく、給湯器に合わせて操作信号を都度設定している場合がほとんどである。このため、給湯器を故障やリフォームなどで交換すると、仮に新しい給湯器に電動の遠隔操作式排水栓装置を操作できる機能が備えられていても、既設の電動の遠隔操作式排水栓装置を動作させ操作することはできず、電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置から、電動操作ができなくなる、という場合があった。
この電動の操作の機構を備えるものの、電動の操作の機構を操作できない電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置でも、手動操作は可能なため、遠隔操作式排水栓装置が全く使用できない、ということはない。
【0005】
しかしながら、遠隔操作式排水栓装置に故障が生じた場合に、電動の操作の機構を備えた遠隔操作式排水栓装置には、次のような問題があった。
電動の操作の機構がない、手動操作の機構のみの遠隔操作式排水栓装置の場合、操作ボタンを外し、排水口側の作業によってレリースワイヤと排水口側の部材との接続を解除し、手動操作部からレリースワイヤを引き抜き、故障した部材を交換した上で、再度レリースワイヤを操作部から挿入し、ガイド管内を通過させて排水口内まで案内させ、排水口側の部材と接続することで、浴槽のエプロンなどを取り外すこともなく、簡単に遠隔操作式排水栓装置のメンテナンスを行うことができる。
しかし、電動の機構を手動操作部にも備えた遠隔操作式排水栓装置では、故障が起こった場合に、電動の機構が障害となって手動操作部側からレリースワイヤなどの部材を取り出したり、逆にレリースワイヤを排水口側に案内させる、ということはできず、浴槽のエプロンを外す等して遠隔操作式排水栓装置の外側から作業を行うことでしか、遠隔操作式排水栓装置を修理・メンテナンスする方法はなかった。
このような問題を解決するため、電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置を備えた浴室の給湯器を交換する場合等に、同時に電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置から、電動の機構を取り外し、手動操作部からレリースワイヤ等の部材の取り出しが可能な手動操作の機構のみの遠隔操作式排水栓装置としたい、という要望があった。
【0006】
ところが、特許文献1にあるような電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置から、電動の機構を取り外して、手動操作の機構のみの遠隔操作式排水栓装置とすることは次のような問題があった。
遠隔操作式排水栓装置は操作部から排水口まで、レリースワイヤやレリースワイヤを案内する案内経路としてのガイド管等の部材によって接続されている。ここで、特許文献1に記載の遠隔操作式排水栓装置は、手動操作部の第一ケーシングと第二ケーシングの間に電動の機構の部分を配置し、それぞれの部材を接続しているため、電動の機構の部分を取り外すと、電動の機構の部分の分だけ、遠隔操作式排水栓装置の案内経路の全長が短くなってしまう。遠隔操作式排水栓装置の案内経路であるガイド管等は、弛みを生じるとその部分に排水が溜まって不衛生になるため、弛みが生じないように浴槽など槽体の側面に沿って配置した時に、あまり無駄な長さを生じないように長さを設定されている。
よって、電動の機構の部分の分だけ遠隔操作式排水栓装置の操作部から排水口までの部材の長さが短くなると、案内経路の全長が短くなり、操作部の第一ケーシングと第二ケーシングを接続することができなくなる、といった問題があった。
このため、構造的には操作部から電動の機構を取り外して接続することで、電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置から、手動操作の機構のみの遠隔操作式排水栓装置とすることが可能に構成されていても、実際の槽体に施工された現場では、電動の機構を取り外して手動操作の機構のみの遠隔操作式排水栓装置とすることが不可能という問題があった。
本発明は上記問題点に鑑み発明されたものであって、手動操作機構上に、電動の機構を接続することで、手動操作機構を介して排水口の開閉を電動動作によって行うことも可能とした電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置において、給湯器の交換等により電動操作機構部が不要になった場合に、電動の機構を取り外して、手動操作の機構のみの遠隔操作式排水栓装置とすることが可能な遠隔操作式排水栓装置を提供するとともに、その遠隔操作式排水栓装置を用いた更生方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明は、槽体に備えた排水口と、
排水口から離間した位置に設けられ、手動の操作を行う事で遠隔操作にて排水口を開閉する手動操作部と、
手動操作部と排水口を接続する手動操作機構と、
手動操作機構上に備えられた、手動操作機構を介して排水口の開閉を電動動作によって行う電動駆動機構と、からなる遠隔操作式排水栓装置において、
電動駆動機構を手動操作機構から着脱自在に構成すると共に、
手動操作機構上の電動駆動機構の抜脱箇所に、抜脱箇所における手動操作機構の接続を行う代替機構に置換することを特徴とする遠隔操作式排水栓装置
である。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、上記遠隔操作式排水栓装置の手動操作機構を、
一端を手動操作部側に、他端を排水口側に固定されて、手動操作部に加えられた操作を蓋体に伝達するレリースワイヤと、
一端を手動操作部側に、他端を排水口側に固定されて、レリースワイヤを手動操作部側から排水口側に案内する案内経路と、を備えて構成し、
手動操作部から排水口に至る排水口の開閉操作を伝達する経路上に、排水口の操作を電動にて行うための電動駆動機構を着脱自在に備えたことを特徴とする、請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、上記遠隔操作式排水栓装置において、
代替機構として、操作部から排水口に至るレリースワイヤを案内する経路に対して着脱可能なアダプター部材を備えたことを特徴とする、請求項2に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、上記遠隔操作式排水栓装置において、
代替機構として、内筒部と外筒部とからなり、内筒部を外筒部に対してスライドさせることで操作部から排水口に至るレリースワイヤを案内する経路を延長するスライド管部を備えたことを特徴とする、請求項2に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0011】
請求項5に記載の本発明は、上記遠隔操作式排水栓装置において、
代替機構として、ガイド管を軸方向に伸縮性を有するジャバラ管部を備えたことを特徴とする、請求項2に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0012】
請求項6に記載の本発明は、上記遠隔操作式排水栓装置の更生方法であって、
電動駆動機構を抜脱後に、代替機構によって操作部から排水口に至るレリースワイヤの案内経路を延長することを特徴とした、請求項2乃至請求項5のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置の更生方法である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の本発明では、手動操作機構上に、電動操作機構を接続することで、手動操作機構を介して排水口の開閉を電動動作によって行うことも可能とした電動・手動式兼用の遠隔操作式排水栓装置において、電動操作機構部分を抜脱し、抜脱箇所に、抜脱箇所における手動操作機構の接続を行う代替機構に置換することで、給湯器の交換等により電動操作が不可能になった場合に、電動操作機構の部分を取り外しても、支障なく、手動操作の機構のみの遠隔操作式排水栓装置とすることができ、遠隔操作式排水栓装置を操作部や排水口からの作業だけで修理・メンテナンスすることが可能となった。
請求項2乃至請求項5に記載の本発明では、発明の構成を明確にすることが可能となった。
請求項6に記載の本発明では、上記請求項1乃至請求項5に記載したような遠隔操作式排水栓装置を用いて、電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置を、手動操作の機構のみを備えた遠隔操作式排水栓装置に更生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第一実施例の電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置を示す断面図である。
【
図2】
図1の遠隔操作式排水栓装置の部材構成を示す参考図である。
【
図3】第一実施例の電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置の手動操作部を示す断面図である。
【
図4】第一実施例の遠隔操作式排水栓装置の閉口した排水口近傍を示す断面図である。
【
図5】第一実施例の遠隔操作式排水栓装置の開口した排水口近傍を示す断面図である。
【
図7】第一実施例の、アダプター部材を用いて手動操作の機構のみとした遠隔操作式排水栓装置の手動操作部を示す断面図である。
【
図8】ロック機構を嵌合しないアダプター部材を示す断面図である。
【
図9】
図8のアダプター部材を用いた、手動操作の機構のみとした遠隔操作式排水栓装置の手動操作部を示す断面図である。
【
図10】スライド管部を備えた、電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置の手動操作部を示す断面図である。
【
図11】
図10の状態における、第二ケーシングを示す断面図である。
【
図12】
図10の電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置を、手動操作の機構のみの遠隔操作式排水栓装置に更生した場合の、手動操作部を示す断面図である。
【
図13】
図12の状態における、第二ケーシングを示す断面図である。
【実施例】
【0015】
以下に、本発明の第一実施例について、図面を参照しつつ説明する。尚、以下の各実施例への説明においては、レリースワイヤ11のインナーワイヤ11bが排水口8a側に移動することを「前進」、操作部側に移動することを「後退」として記載する。
【0016】
まず、電動操作機構を備えた、電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置の構成と施工方法、及び操作方法について説明する。
図1乃至
図7に示した、本発明の第一実施例の遠隔操作式排水栓装置は、槽体の一種である浴槽Bの排水配管に採用される遠隔操作式排水栓装置であって、以下に記載する、排水口本体8、支持部材9、継手部材10、手動操作部S、蓋体7、操作伝達部材としてのレリースワイヤ11、ロック機構5、案内経路としてのガイド管12、等の部材より構成される。
浴槽Bは上方が開口した箱体であって、その底面に排水口本体8を取り付けるための取付孔B1を、また槽体の開口周縁に手動操作部Sを取り付けるための操作部取付孔B2を、それぞれ備えてなる。
排水口本体8は略円筒形状を成す部材であって、その上端外周側には、側面方向に突出するフランジ部8bを設けてなり、外側面には雄ネジを設けてなる。
支持部材9は、レリースワイヤ11端部を排水口8a内に配置固定する部材であって、その中央部分にアウターチューブ11a端部が接続される。
継手部材10は、有底略円筒形状を成す部材であって、上方の開口に排水口本体8の雄ネジと螺合する雌ネジを、側面に内部の排水を排出するための排出口10aと、レリースワイヤ11を挿通するための筒状の挿通部10bを、それぞれ備えてなる。
手動操作部Sは浴槽Bの上縁に取り付けられる部材であって、以下に記載する、第一ケーシング1、第二ケーシング2、電動駆動機構部6、第一操作体3、第二操作体4、操作ボタン13、接続部材C3、から構成される。
尚、詳しくは後述するが、この第一実施例の電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置では、第一操作体3、第二操作体4、保持軸5bを組み合わせたものが操作体となる。
第一ケーシング1は、略円筒形状を成す部材であって、上下に開口を備えてなり、上端側は浴槽Bの操作部取付孔B2に取り付けられる。また、下端部分には接続部C1を備えてなる。
第二ケーシング2は、略円筒形状を成す部材であって、上下に開口を備えてなり、上端側は第一ケーシング1の接続部C1と接続される被接続部C2を備えてなる。また、その内部は、ロック機構5を弾性嵌合により着脱自在に固定できるように構成されてなる。
電動駆動機構部6は、略箱状の外形を備えると共に、その上端に第二ケーシング2と同じ被接続部C2を、被接続部C2の同軸上に第一ケーシング1と同じ接続部C1を、それぞれ備えてなる。
即ち、第一ケーシング1、第二ケーシング2は、それぞれ電動駆動機構部6の接続部C1または被接続部C2に接続され、後述するように第一ケーシング1、第二ケーシング2内を操作体が進退することから、本実施例では、第一ケーシング1、第二ケーシング2及び電動駆動機構部6の接続部C1が、後述する操作体の進退する方向に連続して設けられてなる。
また、電動駆動機構部6の内部には、被接続部C2および接続部C1の中心軸と同軸となるようにして、後述する第二操作体4を配置・接続してなる。
また、電動駆動機構部6内部に、該第二操作体4と連結し、モータなどを利用した電動操作により押し込み操作の動力を提供する、電動部6aを備えてなる。尚、該電動部6aは、給湯器の操作パネルなど、電動操作用の操作部に接続され、電力の供給を受けるとともに、電動操作用の操作部からの信号を受けて操作体に進退動作を行う。また、該電動部6aは、操作体の位置を検出することで、操作体から連動する排水口8aの開閉状態を把握するセンサ(図示せず)を備えてなる。
第一操作体3は、略円筒形状をなす部材であって、上端は後述する操作ボタン13の下面と弾性嵌合可能に、また筒状部分の内側端部は後述する第二操作体4の上端部分と弾性嵌合可能に、それぞれ構成されてなる。
また、第一操作体3の側面には、外周方向に向かってリブ片3aを備えてなる。該リブ片3aの側面端部は、第一ケーシング1の内側面近傍位置まで延出され、第一操作体3が傾いた場合は第一ケーシング1内側面に当接して傾きを修正するガイドのように構成されてなる。
第二操作体4は、棒状の部材であって、上端は上記第一操作体3の筒部分の端部と弾性嵌合可能に、また下端は後述するロック機構5の保持軸5b上端と弾性嵌合可能に、それぞれ構成されてなる。また、第二操作体4の側面には段部4aが設けられてなる。
ここで、第二操作体4と電動部6aとの連結について以下に詳述する。
第二操作体4には段部4aがあり、これに対して電動駆動機構部6の電動部6aには、この段部4aの後方(
図1乃至
図3における上方)から当接して、段部4aを前方(
図1乃至
図3における下方)に押し込むアーム部6bを備えてなる。アーム部6bは電動部6aに開閉の操作指示を受ける都度、ロック機構5を動作させるのに必要な分だけ前進(降下)し、その後当初の位置まで後退(上昇)して元の状態に戻る。
操作ボタン13は、遠隔操作式排水栓装置を手動にて操作する場合の使用者が、押し込み操作を行う略円盤状の部材であって、その底面中央は、第一操作体3の上端、又はロック機構5の保持軸5b上端と弾性嵌合可能に構成されてなる。
接続部材C3は、略C字形状を成す部材であって、第一ケーシング1と第二ケーシング2の接続部C1と被接続部C2が接続された状態、または第一ケーシング1と電動駆動機構部6、及び電動駆動機構部6と第二ケーシング2の接続部C1と被接続部C2が接続された状態において、側面方向から差し込むことで、接続状態を維持固定するように機能する。尚、接続部材C3を接続部C1および被接続部C2の側面方向から抜脱することで、接続部C1と被接続部C2の接続を解除することが可能である。
蓋体7は、排水口8aの上端を閉口する略円盤状の部材であって、その下面中央部分に、弁軸11c先端との嵌合部分を構成されてなる。
レリースワイヤ11は、側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したアウターチューブ11aと、該アウターチューブ11a内に摺動自在に配置される、側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したインナーワイヤ11bと、インナーワイヤ11bの一方の端部に備えられた棒状の硬質の部材である弁軸11cと、レリースワイヤ11内に備えられ、インナーワイヤ11bをアウターチューブ11aに対して弁軸11cとは反対側に付勢する戻りスプリングと、から構成されてなる。
ロック機構5は、内部に歯車等を収納した円筒形状のロック機構本体5aと、該ロック機構本体5a内を貫通するようにして進退自在に挿通配置される保持軸5bとを備えてなり、ロック機構本体5aはレリースワイヤ11のアウターチューブ11a端部に固定されてなる。また、保持軸5bは、同軸上に配置されるレリースワイヤ11のインナーワイヤ11bが、戻りスプリングの作用により常時後退方向、即ち保持軸5b側に付勢されているため、常時インナーワイヤ11b端部に当接された状態となる。
該ロック機構5は、ロック機構本体5a内部また保持軸5bに備えられた歯車などの機構によって、ノック式ボールペンなどの機構と同様の機能を有する。即ち、ロック機構5は、施工完了時、使用者の操作によって、保持軸5b後端に押し込み操作を加えられる都度、保持軸5bがロック機構本体5aに対して前進した状態で固定/固定を解除し、接続されているレリースワイヤ11の戻りスプリングの作用によりロック機構本体5aに対して後退、を繰り返すように構成されてなる。
ガイド管12は、操作部から挿通口までを接続する、軸方向に剛性を、側面方向に可撓性を備えた軟質塩ビからなるチューブ管であって、操作部に挿通されたレリースワイヤ11を、挿通口から継手部材10内部にガイドするように構成されてなる。
【0017】
上記のように構成された遠隔操作式排水栓装置を用いた排水配管は、以下のようにして浴槽Bに施工される。尚、以下の各実施例の説明において、特に記載・図示などしない場合でも、施工の際には、必要に応じ、接着やパッキングなどを用いて、漏水等が無い様に接続を行う。
まず、ガイド管12の一端に継手部材10の挿通部10bを、他端に第二ケーシング2の下端部を接続する。
次に、レリースワイヤ11の手動操作部S側端部にロック機構5を接続した上で、第二ケーシング2の上流側端部からレリースワイヤ11の弁軸11c側端部を挿通する。レリースワイヤ11の弁軸11c側端部が継手部材10内に達した状態で、ロック機構5を第二ケーシング2内に弾性嵌合させて固定する。このようにして、ロック機構5を介してレリースワイヤ11端部が、第二ケーシング2に支持固定される。
次に、継手部材10の排出口10aを、排水を下水側に排出するための床下配管に接続する。
次に、浴槽Bの取付孔B1に排水口本体8を挿通し、排水口本体8のフランジ部8b下面を、取付孔B1周縁の上面に当接させる。更に、継手部材10の雌ネジを、排水口本体8の雄ネジに螺合させ、フランジ部8b下面と継手部材10上面とで取付孔B1周縁を挟持させて排水口本体8及び継手部材10を浴槽Bに固定させる。
次に、レリースワイヤ11の端部を排水口8aから引き上げた上で、支持部材9にレリースワイヤ11端部を接続し、更に排水口8a内に支持部材9を配置固定する。
次に、排水口8a内に配置された弁軸11cの先端に蓋体7を嵌合させて取り付ける。
次に、第一ケーシング1を浴槽Bに設けた操作部取付孔B2に取り付ける。
【0018】
次に、第二操作体4をロック機構5の保持軸5bに嵌合させる。
次に、第二操作体4を電動駆動機構部6の下方の接続部C1から挿通して、上方の被接続部C2まで延出させた上で、電動駆動機構部6の接続部C1と第二ケーシング2の被接続部C2を、接続部材C3を用いて接続する。この時、操作体の第二操作体4の部分が、電動駆動機構部6の電動部6aの構造に連結されることで、電動部6aの動作により操作軸を軸方向に進退可能に動作させることが可能となる。
次に、操作体(第二操作体4)を第一ケーシング1内に挿通しつつ、第一ケーシング1の接続部C1と電動駆動機構部6の被接続部C2を、接続部材C3を用いて接続する。
次に、第二操作体4の上端を、第一操作体3の筒部分の端部に嵌合させる。
更に、第一操作体3の上端に操作ボタン13を嵌合させて、本発明の第一実施例の、電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置を用いた排水配管の施工が完了する。尚、電動駆動機構部6と操作パネルなど電気操作関連の配線については適宜行ったものとする。
この第一実施例では、第一操作体3、第二操作体4、ロック機構5の保持軸5bによって押し込み操作が加えられることによってロック機構5が動作し、排水口8aを開閉する。即ち、第一操作体3、第二操作体4、保持軸5bを組み合わせたものが、第一実施例の電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置での操作体である。
【0019】
以下に、上記第一実施例による、電動・手動兼用となるように構成された遠隔操作式排水栓装置の使用方法を説明する。まず、手動操作による排水口8aの開閉方法について説明する。
上記のように構成した排水栓装置を使用する場合、まず蓋体7を降下して、排水口8aが
図4のように閉口した状態とする。
この状態から手動操作部Sの操作ボタン13に押し操作を加えると、操作体が降下し、操作体の状態を保持する保持軸5b後端を押し込んで、インナーワイヤ11bを前進させると共に、ロック機構5が作用して、インナーワイヤ11bが前進した状態にて維持固定される。この動作により、インナーワイヤ11b端部の弁軸11c側の端部が突出して、
図5のように蓋体7を押し上げた状態で維持固定されるため、排水口8aが開口する。槽体である浴槽B内に排水又は湯水が溜まっていた場合、又は流入している場合、排水口8aから排水口本体8、また継手部材10内を通過して、排出口10aから下水側に排出される。
この状態から操作ボタン13に再度押し操作を加えると、操作体が降下し、操作体の保持軸5b後端を押し込んで、ロック機構5の保持軸5bの固定状態が解除される。これによって、インナーワイヤ11bは、蓋体7の自重と、レリースワイヤ11の戻りスプリングの作用によって、保持軸5bと共に操作部側に後退し、
図4のように蓋体7が排水口8aを閉口する。
以降、操作ボタン13に押し込み操作を繰り返すことで、排水口8aを排水口8aから離間した手動操作部Sへの操作によって開閉することができる。
即ち、本実実施例では、操作ボタン13、ロック機構5及びレリースワイヤ11などが手動操作機構である。
【0020】
次に、電動操作による排水口8aの開閉方法について説明する。
上記のように構成した排水栓装置を使用する場合、まず蓋体7を降下させて、
図4のように、排水口8aが閉口した状態とする。
この状態から給湯器の操作パネルなどを介して排水口8aへの操作を行うと、電動駆動機構部6の電動部6aが動作し、操作体のうちの電動部6aに連結された第二操作体4がアーム部6bに押されることで、押し操作を加えられた時と同様に前進(降下)する。これにより、操作体の一部である保持軸5b後端を押し込んで、インナーワイヤ11bを前進させると共に、ロック機構5が作用して、インナーワイヤ11bが前進した状態にて維持固定される。この動作により、インナーワイヤ11b端部の弁軸11c側の端部が突出して、蓋体7を押し上げた状態で維持固定されるため、
図5のように排水口8aが開口する。槽体内に排水又は湯水が溜まっていた場合、又は流入している場合、排水口8aから排水口本体8、また継手部材10内を通過して、排出口10aから下水側に排出される。
この状態から再び給湯器の操作パネルなどを介して排水口8aへの操作を行うと、やはり電動駆動機構部6の電動部6aが動作し、操作体のうちの電動部6aに連結された第二操作体4が、アーム部6bに押されることで押し操作を加えられた時と同様に動作し、操作体が降下し、操作体の一部である保持軸5b後端を押し込んで、ロック機構5の保持軸5bの固定状態が解除される。これによって、インナーワイヤ11bは、蓋体7の自重と、レリースワイヤ11の戻りスプリングの作用によって、保持軸5bと共に操作部側に後退し、
図4のように、蓋体7が排水口8aを閉口した状態に戻る。
以降、電動操作により排水口8aへの開閉操作を繰り返すことで、排水口8aを排水口8aから離間した操作パネルなどの操作によって開閉することができる。
即ち、本実施例では、手動操作機構上に備えられてなり、電動部6aの動力を受けて動作し、手動操作機構を介して排水口8aの開閉を電動動作によって行う電動駆動機構部6が、電動駆動機構である。
また、排水口8aの開口状態では操作体は前進し、閉口状態では操作体が後退して、操作体の位置が移動している。センサを利用して操作体の位置の変位を検知することで、排水口8aの開閉の状態を電動部6aが検知することができる。この排水口8aの開閉状態の検知の機能を利用して、給湯器の操作パネルに給湯を行う指示があり、センサが検知した排水口8aの状態が開口状態であった場合、給湯器の操作パネルが自動的に排水口8aの開閉操作を指示して排水口8aを閉口するように構成することも可能である。
【0021】
また、上記のように構成したため、排水口8aの開閉操作において、開口、閉口の手順を、手動操作のみ、電動操作のみ、電動と手動の混在のどのような手順に沿っても行うことができる。即ち、手動操作で排水口8aを開口した場合は手動操作で閉口しなければならない、電動操作で排水口8aを開口した場合は電動操作で閉口しなければならない、といった制限なく自在に排水口8aの開閉操作を行うことができる。
【0022】
次に、給湯器を故障やリフォーム等の理由で交換することで、給湯器の操作パネルによる電動での排水口の開閉操作が不可能になった場合に、既設の電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置から、電動駆動機構6を抜脱し、手動操作の機構のみの遠隔操作式排水栓装置とする、遠隔操作式排水栓装置の更生方法について説明する。
【0023】
上記した、電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置を、手動操作の機構のみの遠隔操作式排水栓装置に更生する場合に、事前の準備として、以下に記載するアダプター部材14と、既設の遠隔操作式排水栓装置のものより電動駆動機構部6の長さ分だけアウターチューブ11a及びインナーワイヤ11bの部分を長くした更生用のレリースワイヤ11を用意する。尚、既設分のレリースワイヤ11と同様に、更生用のレリースワイヤ11の端部にも、ロック機構5が固定されている。
アダプター部材14は、
図6に示した、略円筒形状を成す部材であって、上端に第二ケーシング2と同じ被接続部C2を、下端に第一ケーシング1と同じ接続部C1を、それぞれ備えてなる。即ち、第一ケーシング1はアダプター部材14の被接続部C2に、第二ケーシング2はアダプター部材14の接続部C1に、それぞれ同軸状に接続されることから、本実施例では、第一ケーシング1、第二ケーシング2及びアダプター部材14が、操作体であるロック軸5bの進退する方向に連続して設けられてなる。また、アダプター部材14の上端の被接続部C2と下端の接続部C1との高さ幅は、電動駆動機構部6の上端の被接続部C2と下端の接続部C1との高さ幅と等しくなるように構成されてなる。
また、アダプター部材14の上端側の内部近傍の内部は、第二ケーシング2と同様にロック機構5を弾性嵌合により着脱自在に固定できるように構成されてなる。
【0024】
以下に、既設の電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置から、電動操作機構を抜脱し、手動操作の機構のみの遠隔操作式排水栓装置とする遠隔操作式排水栓装置の更生方法を説明する。
この作業は、浴槽のエプロンを取り外した上での作業となるが、給湯器の交換作業などのため、エプロンを取り外す必要がある場合が多く、遠隔操作式排水栓装置の更生のためだけにエプロンを外すよりも負担は小さい。
まず排水口8a内に配置された弁軸11cの先端と蓋体7との嵌合を解除し、蓋体7を取り外す。
次に、支持部材9を排水口8aから取り外した上で、支持部材9とレリースワイヤ11端部との接続を解除する。
次に、手動操作部S側の操作ボタン13を、第一操作体3から取り外した上で、手動操作部Sの接続部材C3を抜脱して、電動駆動機構部6と、第一ケーシング1及び第二ケーシング2の接続を解除する。また、第二操作体4と保持軸5b、及び第一操作体3と第二操作体4の嵌合接続を解除する。
また、既設分のレリースワイヤ11を、第二ケーシング2の端部から抜脱する。
このようにすることで、手動操作機構を介して排水口8aの開閉を電動動作によって行うことができる、電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置の、手動操作機構上に備えられた電動操作機構を、遠隔操作式排水栓装置から抜脱することができる。
【0025】
次に、第一ケーシング1の接続部C1とアダプター部材14の被接続部C2、及びアダプター部材14の接続部C1と第二ケーシング2の被接続部C2を、接続部材C3を用いて接続する。アダプター部材14によって、遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ11の案内経路が延長されているため、これらの接続は長さが足りなくなることなく、支障なく行われる。
更に、更生用のレリースワイヤ11を第一ケーシング1の端部から挿通し、第一ケーシング1、アダプター部材14、第二ケーシング2、ガイド管12、を介してレリースワイヤ11の弁軸11c側端部が継手部材10内に達した状態で、ロック機構5をアダプター部材14内に弾性嵌合させて固定する。このようにして、ロック機構5を介してレリースワイヤ11端部が、第二ケーシング2に支持固定される。
次に、レリースワイヤ11の端部を排水口8aから引き上げた上で、支持部材9にレリースワイヤ11端部を接続し、更に排水口8a内に支持部材9を配置固定する。
次に、排水口8a内に配置された弁軸11cの先端に蓋体7を嵌合させて取り付ける。
更に、保持軸5bの上端に操作ボタン13を嵌合させて、
図7に示したような、既設の電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置から、電動操作機構部6を抜脱、手動操作の機構のみの遠隔操作式排水栓装置としての更生作業が完了する。
上記のように遠隔操作式排水栓装置を更生したことで、アダプター部材14と、その長さを延長した更生用のレリースワイヤ11が、電動操作機構部6aの抜脱箇所における手動操作機構の接続を行う代替機構として機能する。即ち、段落0024、段落0025に記載された遠隔操作式排水栓装置は、手動操作機構上の、電動操作機構部6である電動操作機構の抜脱箇所に、抜脱箇所における手動操作機構の接続を行う代替機構が置換された遠隔操作式排水栓装置である。
【0026】
上記第一実施例による、手動操作の機構のみの遠隔操作式排水栓装置は、段落0019に記載した、本発明の第一実施例の電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置の、手動操作での操作方法と同様の操作によって、排水口8aを排水口8aから離間した手動操作部Sへの操作によって開閉することができる。
【0027】
また、遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ11やロック機構5が破損等した場合、段落0024に記載した手順にて排水口8a側のレリースワイヤ11の接続を解除した後、操作ボタン13を保持軸5bから取り外し、ロック機構5ごとレリースワイヤ11を引き抜くことで、遠隔操作式排水栓装置から故障したレリースワイヤ11やロック機構5を取り外すことができ、新しいレリースワイヤ11やロック機構5と交換することで遠隔操作式排水栓装置の修理を行うことができる。
この修理の作業の時は、排水口8aとボタン部材13を取り外した第一ケーシング1の開口からの作業だけで修理作業を行うことができ、浴室のエプロンを取り外す等の必要のない、簡単な作業での修理が可能となる。
【0028】
本発明の実施例は以上のようであるが本発明は上記実施例に限定される物ではなく、主旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。
例えば、上記第一実施例は、浴槽Bに用いられる遠隔操作式排水栓装置であるが、本発明は上記実施例に限定されるものでは無く、洗面台や流し台など、様々な排水機器に採用しても構わない。
【0029】
また、上記第一実施例では、レリースワイヤ11を交換することで、アダプター部材14の長さを補う構造としているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、
図8に図示した、ロック機構5を嵌合する機能を省略したアダプター部材14を用い、
図9に示したように、レリースワイヤ11は既設のものと同じものを使用し、ロック機構5の保持軸5bに第一操作体3や第二操作体4を接続してレリースワイヤ11の長さの不足を補うような構造としても良い。但し、この場合には、ロック機構5を嵌合固定する部分が、アダプター部材14の下端よりも低い位置となるため、ロック機構5やレリースワイヤ11を取り出す際には先が細く長いラジオペンチ等を用いる必要があるなど、若干の不便を生じる場合がある。
【0030】
また、上記第一実施例ではアダプター部材14によってレリースワイヤ11の案内経路を延長しているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、
図10乃至
図13に示したように、第二ケーシング2に、内筒部15aと外筒部15bとからなり、内筒部15aを外筒部15bに対してスライドさせるスライド管部を代替機構として備えることで、操作部から排水口8aに至るレリースワイヤを案内する経路を電動操作機構の長さ分、延長する構成としてもよい。
この
図10乃至
図13の実施例では、電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置の状態では、
図10又は
図11のように、内筒部15aは外筒部15bの中に収納されており、電動操作機構を抜脱した際に、内筒部15aは外筒部15bに対してスライドさせ、電動操作機構の長さ分、レリースワイヤ11の案内経路の長さを延長するように構成している。また、レリースワイヤ11は、
図10の電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置から、
図12の手動用の機構のみの遠隔操作式排水栓装置に更生する際に取り換えて施工を行っている。
図10の電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ11に比べて、
図12手動用の機構のみの遠隔操作式排水栓装置のレリースワイヤ11は、案内経路を延長した長さ分、インナーワイヤ11b及びアウターチューブ11aが長いレリースワイヤ11となっている。
【0031】
また、上記第一実施例ではアダプター部材14によってレリースワイヤ11の案内経路を延長しているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、ガイド管12の一部又は全部を、側面方向に可撓性を備え、また軸方向に伸縮性を有したジャバラ管部を代替機構として備えて構成しても良い。ガイド管12の一部又は全部をジャバラ管部とし、電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置から、電動操作機構の部分を抜脱した後に、電動操作機構の長さ分、ジャバラ管部を延長することで、支障なく、手動用の機構のみの遠隔操作式排水栓装置とすることができる。この場合、レリースワイヤ11は、電動・手動兼用の遠隔操作式排水栓装置から、手動用の機構のみの遠隔操作式排水栓装置に更生する際に、電動操作機構の長さ分、インナーワイヤ11bやアウターチューブ11aの長いレリースワイヤ11に取り換えて施工を行っている。
【符号の説明】
【0032】
1 第一ケーシング 2 第二ケーシング
3 第一操作体 3a リブ片
4 第二操作体 4a 段部
5 ロック機構 5a ロック機構本体
5b 保持軸 6 電動駆動部
6a 電動駆動機構 6b アーム部
7 蓋体 8 排水口本体
8a 排水口 8b フランジ部
9 支持部材 10 継手部材
10a 排出口 10b 挿通部
11 レリースワイヤ 11a アウターチューブ
11b インナーワイヤ 11c 弁軸
12 ガイド管 13 操作ボタン
14 アダプター部材 15a 内筒部
15b 外筒部 B 浴槽
B1 取付孔 B2 操作部取付孔
C1 接続部 C2 被接続部
C3 接続部材 S 手動操作部