(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】電池セルの寿命が向上した電池パック及びこれを含むデバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 50/262 20210101AFI20240918BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240918BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240918BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20240918BHJP
H01M 50/264 20210101ALI20240918BHJP
【FI】
H01M50/262 S
H01M50/262 M
H01M50/262 E
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/6554
H01M50/264
(21)【出願番号】P 2022565911
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 KR2021011182
(87)【国際公開番号】W WO2022065699
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0121933
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・フン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・フン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】サン・ユン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ス・ハ
(72)【発明者】
【氏名】セ・ホ・キム
【審査官】富永 泰規
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/068753(WO,A1)
【文献】特開2004-063352(JP,A)
【文献】特開2008-124033(JP,A)
【文献】国際公開第2012/029270(WO,A1)
【文献】特開2005-116427(JP,A)
【文献】特開2019-125455(JP,A)
【文献】特開2017-069169(JP,A)
【文献】国際公開第2017/068705(WO,A1)
【文献】特開2016-039111(JP,A)
【文献】特開2016-033905(JP,A)
【文献】特表2020-507186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20 - 50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平な状態で垂直方向に積層された複数の電池モジュール(1000)と、
前記電池モジュール(1000)の外郭に位置する上部押圧プレート(2110)、電池モジュール(1000)の下部に位置する下部押圧プレート(2120)、並びに前記上部押圧プレート(2110)と下部押圧プレート(2120)とを連結する複数の側面プレート(2130)及び補強部(2140)を含む押圧部材(2100)と、
前記押圧部材(2100)を取り囲むパックケース(2300)と、
複数の電池モジュール(1000)を垂直方向に貫く第1弾性部材(2210)と、
を含み、
前記側面プレート(2130)は、互いに密着するか接着材によって固定された上部側面プレート(2131)の下側縁部と下部側面プレート(2132)の上側縁部とを含み、密着または接着材によって固定された部分に前記補強部(2140)が位置
し、
前記第1弾性部材(2210)は、一側が前記上部押圧プレート(2110)と連結され、他側が前記下部押圧プレート(2120)と連結されており、前記上部押圧プレート(2110)と前記下部押圧プレート(2120)との間の引張力を提供するように構成されている、電池パック。
【請求項2】
前記上部側面プレート(2131)の下側縁部が、外側に向かって所定の長さ突出した第1延長部(2131(a))を備え、前記下部側面プレート(2132)の上側縁部が、外側に向かって所定の長さ突出した第2延長部(2132(a))を備え、前記第1延長部(2131(a))と前記第2延長部(2132(a))とが密着するかまたは固定されている、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記補強部(2140)は、前記第1延長部(2131(a))及び前記第2延長部(2132(a))を取り囲む形状を有する、請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記補強部(2140)は外力によって変形可能な金属材からなる、請求項1から3のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項5】
水平な状態で垂直方向に積層された複数の電池モジュール(1000)と、
前記電池モジュール(1000)の外郭に位置する上部押圧プレート(2110)、電池モジュール(1000)の下部に位置する下部押圧プレート(2120)、並びに前記上部押圧プレート(2110)と下部押圧プレート(2120)とを連結する複数の側面プレート(2130)及び補強部(2140)を含む押圧部材(2100)と、
前記押圧部材(2100)を取り囲むパックケース(2300)と、を含み、
前記側面プレート(2130)は、互いに密着するか接着材によって固定された上部側面プレート(2131)の下側縁部と下部側面プレート(2132)の上側縁部とを含み、密着または接着材によって固定された部分に前記補強部(2140)が位置し、
前記パックケース(2300)は、上部パックカバー(2310)と下部パックカバー(2320)とを含み、前記上部パックカバー(2310)と前記上部押圧プレート(2110)との間に第2弾性部材(2220)を備えている
、電池パック。
【請求項6】
前記上部パックカバー(2310)と前記上部押圧プレート(2110)との間には四角柱形状を有する金属材の間隔維持部(2500)が位置する、請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
水平な状態で垂直方向に積層された複数の電池モジュール(1000)と、
前記電池モジュール(1000)の外郭に位置する上部押圧プレート(2110)、電池モジュール(1000)の下部に位置する下部押圧プレート(2120)、並びに前記上部押圧プレート(2110)と下部押圧プレート(2120)とを連結する複数の側面プレート(2130)及び補強部(2140)を含む押圧部材(2100)と、
前記押圧部材(2100)を取り囲むパックケース(2300)と、を含み、
前記側面プレート(2130)は、互いに密着するか接着材によって固定された上部側面プレート(2131)の下側縁部と下部側面プレート(2132)の上側縁部とを含み、密着または接着材によって固定された部分に前記補強部(2140)が位置し、
電池モジュール(1000)は、
所定の面積を有し、水平に位置するヒートシンク(100)と、
前記ヒートシンク(100)の上面及び下面にそれぞれ位置する上部支持プレート(210)及び下部支持プレート(220)を含む支持プレート(200)と、
前記上部支持プレート(210)と密着する第1電池セル(510)及び前記下部支持プレート(220)と密着する第2電池セル(520)を含む電池セル(500)と、
前記第1電池セル(510)の上部に位置する上部カバープレート(610)及び前記第2電池セル(520)の下部に位置する下部カバープレート(620)を含むカバープレート(600)と、を含む
、電池パック。
【請求項8】
前記ヒートシンク(100)の上面には所定の高さ突出した隆起部(110)が設けられ、前記上部支持プレート(210)には前記隆起部(110)を収容するための第1開口部(211)が形成され、前記第1電池セル(510)は前記隆起部(110)の上面に位置する、請求項7に記載の電池パック。
【請求項9】
前記ヒートシンク(100)の下面には所定の高さ突出した隆起部(110)が設けられ、前記下部支持プレート(220)には前記隆起部(110)を収容するための第2開口部(221)が形成され、前記第2電池セル(520)は前記隆起部(110)の下面に位置する、請求項7に記載の電池パック。
【請求項10】
前記上部支持プレート(210)と前記上部カバープレート(610)との間には、両側縁部及び中央に沿って延び、所定の高さ及び幅を有する第1支持フレーム(410)が位置する、請求項7から9のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項11】
前記下部支持プレート(220)と前記下部カバープレート(620)との間には、両側縁部及び中央に沿って延び、所定の高さ及び幅を有する第2支持フレーム(420)が位置する、請求項7から10のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項12】
中央に沿って延びる前記第1支持フレーム(410)及び前記第2支持フレーム(420)には、第1弾性部材(2210)が通過するように、第1貫通ホール(411)及び第2貫通ホール(421)がそれぞれ設けられている、請求項10を引用する請求項11に記載の電池パック。
【請求項13】
前記上部支持プレート(210)と前記上部カバープレート(610)との間には第1バスバーアセンブリー(310)が位置し、前記第1バスバーアセンブリー(310)は、第1収容溝(311(a))が形成された第1バスバーフレーム(311)、及び所定の角度に複数回折り曲げられた凹凸構造を有し、前記第1収容溝(311(a))に着座するバスバー(312)を含む、請求項7から12のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項14】
前記下部支持プレート(220)と前記下部カバープレート(620)との間には第2バスバーアセンブリー(320)が位置する、請求項7から13のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の電池パックを含む、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年09月22日付の韓国特許出願第2020-0121933号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は電池パック及びこれを含むデバイスに関し、具体的には電池セルにかかる圧力を適正圧力に維持させて電池セルの寿命を延ばし、電池セルとヒートシンクとが面接触する構造を有することで、迅速な放熱が可能である電池セルの寿命が向上した電池パック及びこれを含むデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
最近、化石燃料の使用による大気汚染、エネルギー枯渇による代替エネルギーの開発によって生産された電気エネルギーを貯蔵することができる二次電池に対する需要が増加している。充放電の可能な二次電池は、モバイル機器、電気自動車、ハイブリッド電気自動車動車などに使われるなど、日常生活に密接に使われている。
【0004】
現代社会で必要不可欠に使われている各種の電子機器のエネルギー源として使われている二次電池は、モバイル機器の使用量の増加及び複雑化、電気自動車などの開発によって所要容量が増加している。使用者の需要を満たすために、小型機器には多数の電池セルを配置しているが、自動車などには多数の電池セルを電気的に連結する電池モジュールまたこのような電池モジュールを多数備えた電池パックが使われる。
【0005】
一方、電池セルは、充放電が繰り返される過程でスウェリングが発生し、これによって全体的な体積が増加することになる。しかし、電池セルの寿命を延ばすためには、電極と活物質との電気的接触が向上しなければならなく、このためには、常に一定の押圧力を電池セルにかける必要がある。
【0006】
図1は従来技術による電池モジュールの構造を示す斜視図である。
図1に示すように、従来技術による電池モジュールは、ヒートシンク20に垂直に配置されている複数の端電池10、複数の端電池10を取り囲んで保護するケース30、垂直に配置されている複数の端電池10の側面に位置する押圧プレート40、及び押圧プレート40とケース30との間に位置する圧力調節部材50を含む。
【0007】
このように、従来技術の電池モジュールは、ケース30と押圧プレート40との間に圧力調節部材50である弾性体が位置して端電池10の両側面を押圧する構造を有し、よってスウェリングの際に体積増加を抑制することができるという利点はある。
【0008】
しかし、従来技術による電池モジュールは、単純に押圧のみを行うだけで、圧力調節の機能を有しないので、電池セルの寿命を延ばすことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記のような問題点を解決するための本発明は、電池セルのスウェリング有無に関係なく常に一定の範囲に押圧することができる構造を有する電池パック及びこれを含むデバイスを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、電池セルで発生する熱を効率的に冷却することで、発熱による2次的な問題の発生を抑制することができる電池パック及びこれを含むデバイスを提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、密着力を改善して電池セルに対する冷却偏差を減少させることができる電池パック及びこれを含むデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記のような目的を達成するために、本発明による電池パックは、水平な状態で垂直方向に積層された複数の電池モジュール(1000)と、前記電池モジュール(1000)の外郭に位置する上部押圧プレート(2110)、電池モジュール(1000)の下部に位置する下部押圧プレート(2120)、前記上部押圧プレート(2110)と下部押圧プレート(2120)とを連結する複数の側面プレート(2130)、及び補強部(2140)を含む押圧部材(2100)と、前記押圧部材(2100)を取り囲むパックケース(2300)と、を含み、前記側面プレート(2130)は互いに密着するか接着材によって固定された上部側面プレート(2131)及び下部側面プレート(2132)を含み、密着または固定された部分に前記補強部(2140)が位置することを特徴とする。
【0014】
また、本発明による電池パックにおいて、前記上部側面プレート(2131)の下側縁部が、外側に向かって所定の長さ突出した第1延長部(2131(a))を備え、前記下部側面プレート(2132)の上側縁部が、外側に向かって所定の長さ突出した第2延長部(2132(a))を備え、前記第1延長部(2131(a))と第2延長部(2132(a))とが密着または固定されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明による電池パックにおいて、前記補強部(2140)は、前記第1延長部(2131(a))及び第2延長部(2132(a))を取り囲む形状を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明による電池パックにおいて、前記補強部(2140)は外力によって変形可能な金属材からなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明による電池パックにおいて、前記パックケース(2300)は上部パックカバー(2310)及び下部パックカバー(2320)を含み、前記上部パックカバー(2310)と上部押圧プレート(2110)との間に第2弾性部材(2220)を備えていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明による電池パックにおいて、前記上部パックカバー(2310)と上部押圧プレート(2110)との間には四角柱形を有する金属材の間隔維持部(2500)が位置することを特徴とする。
【0019】
また、本発明による電池パックにおいて、電池モジュール(1000)は、所定の面積を有し、水平に位置するヒートシンク(100)と、前記ヒートシンク(100)の上面及び下面にそれぞれ位置する上部支持プレート(210)及び下部支持プレート(220)を含む支持プレート(200)と、前記上部支持プレート(210)と密着する第1電池セル(510)及び前記下部支持プレート(220)と密着する第2電池セル(520)を含む電池セル(500)と、前記第1電池セル(510)の上部に位置する上部カバープレート(610)及び前記第2電池セル(520)の下部に位置する下部カバープレート(620)を含むカバープレート(600)とを含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明による電池パックにおいて、前記ヒートシンク(100)の上面には所定の高さ突出した隆起部(110)が設けられ、前記上部支持プレート(210)には前記隆起部(110)を収容するための第1開口部(211)が形成され、前記第1電池セル(510)は前記隆起部(110)の上面に位置することを特徴とする。
【0021】
また、本発明による電池パックにおいて、前記ヒートシンク(100)の下面には所定の高さ突出した隆起部(110)が設けられ、前記下部支持プレート(220)には前記隆起部(110)を収容するための第2開口部(221)が形成され、前記第2電池セル(520)は前記隆起部(110)の下面に位置することを特徴とする。
【0022】
また、本発明による電池パックにおいて、前記上部支持プレート(210)と前記上部カバープレート(610)との間には、両側縁部及び中央に沿って延び、所定の高さ及び幅を有する第1支持フレーム(410)が位置することを特徴とする。
【0023】
また、本発明による電池パックにおいて、前記下部支持プレート(220)と前記下部カバープレート(620)との間には、両側縁部及び中央に沿って延び、所定の高さ及び幅を有する第2支持フレーム(420)が位置することを特徴とする。
【0024】
また、本発明による電池パックにおいて、中央に沿って延びる前記第1支持フレーム(410)及び前記第2支持フレーム(420)には、第1弾性部材(2210)が通過するように、第1貫通ホール(411)及び第2貫通ホール(421)がそれぞれ設けられることを特徴とする。
【0025】
また、本発明による電池パックにおいて、前記上部支持プレート(210)と前記上部カバープレート(610)との間には第1バスバーアセンブリー(310)が位置し、前記第1バスバーアセンブリー(310)は、第1収容溝(311(a))が形成された第1バスバーフレーム(311)と、所定の角度に複数回折り曲げられた凹凸構造を有し、前記第1収容溝(311(a))に着座するバスバー(312)とを含むことを特徴とする。
【0026】
また、本発明による電池パックにおいて、前記下部支持プレート(220)と前記下部カバープレート(620)との間には第2バスバーアセンブリー(320)が位置することを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、前記電池パックを含むデバイスであってもよい。
【発明の効果】
【0028】
以上で説明したように、本発明による電池セルの寿命が向上した電池パック及びこれを含むデバイスによれば、上部押圧プレートと下部押圧プレートとの間に弾性部材を備えるとともに、上部側面プレートと下部側面プレートとの連結部品に補強部が位置しているので、押圧部材の内側に介在されている電池セルを常に一定の範囲に押圧することができ、よって電池セルの性能を向上させることができるという利点がある。
【0029】
また、本発明による電池セルの寿命が向上した電池パック及びこれを含むデバイスによれば、電池セルの相対的に広い側面とヒートシンクとが水平方向に位置する状態で互いに密着しているので、熱交換面積の増加によって電池セルの冷却性能が向上するという利点がある。
【0030】
さらに、本発明による電池セルの寿命が向上した電池パック及びこれを含むデバイスによれば、複数の支持フレーム及び締結部材によって電池セル、ヒートシンク及び支持プレートなどが締結されるので、これらの電池セルとヒートシンクとの密着力を均一に維持することができるだけでなく、空間活用性を極大化することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】従来技術による電池モジュールの斜視図である。
【
図2】本発明の好適な実施例による電池パックの斜視図である。
【
図4】
図2のA-A’線に沿って切断した断面図である。
【
図5】スウェリングの際、側面プレート及び補強部の変形を説明するための模式図である。
【
図6】本発明の好適な実施例による電池モジュールの分解斜視図である。
【
図7】本発明の好適な実施例による電池モジュールにおいてヒートシンクと支持プレートとの結合構造を説明するための斜視図である。
【
図8】本発明の好適な実施例による電池モジュールにおいて電池セルの装着構造を説明するための斜視図である。
【
図9】本発明の好適な実施例による電池モジュールにおいて支持フレームの配置構造を説明するための斜視図である。
【
図10】本発明の好適な実施例による電池モジュールにおいて電池セルとバスバーとの結合構造を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面に基づき、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただ、本発明の好適な実施例の動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省省略する。
【0033】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般にわたって、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0034】
以下、本発明による電池セルの寿命が向上した電池パックにういて添付図面を参照しながら説明する。
【0035】
図2は本発明の好適な実施例による電池パックの斜視図であり、
図3は
図2に示す電池パックの分解斜視図であり、
図4は
図2のA-A’線に沿って切断した断面図であり、
図5はスウェリングの際、側面プレート及ぶ補強部の変形を説明するための模式図である。
【0036】
図2~
図4に示すように、本発明による電池パック2000は、複数の電池モジュール1000が水平に積層されており、積層された複数の電池モジュール1000の上面及び下面に位置する押圧部材2100、弾性部材2200、パックケース2300、電池モジュール1000を固定する複数の締結部材2400、及び間隔維持部2500を含む。
【0037】
まず、押圧部材2100は、積層された電池モジュール1000の上面に密着するように位置する上部押圧プレート2110、積層された電池モジュール1000の下面に密着するように位置する下部押圧プレート2120、電池モジュール1000の両側面に所定の距離だけ離隔して位置する複数の側面プレート2130、及び補強部2140を含む。
【0038】
ここで、側面プレート2130は、下側縁部が外側に向かって所定の長さ突出した第1延長部2131(a)が設けられた上部側面プレート2131と、上側縁部が外側に向かって所定の長さ突出した第2延長部2132(a)が設けられた下部側面プレート2132とを含み、これらの第1延長部2131(a)と第2延長部2132(a)とは互いに密着するか接着剤などを介して固定される。
【0039】
そして、補強部2140は前述した第1延長部2131(a)及び第2延長部2132(a)を外部で取り囲んでおり、このために、複数回折り曲げられて第1延長部2131(a)及び第2延長部2132(a)を収容することができるポケットを備えている。もちろん、前記のような機能を果たすことができれば、いくらでも形状の変形が可能であるというのは明らかである。
【0040】
したがって、
図5のように、電池セルが定常状態にあるときは、第1延長部2131(a)と第2延長部2132(a)とが互いに密着した状態を維持するが、スウェリングによって体積が増加するとき、補強部2140または接着剤が上部側面プレート2131と下部側面プレート2132とが開くことをある程度抑制することによって電池セルに所定の圧力をかけるようになる。特に、補強部2140が外力によって変形可能な金属材からなる場合には、電池セルの酷いスウェリングによって急激に膨張して特定の圧力を超えても、急激な変位を防止することができる。
【0041】
弾性部材2200は、第1弾性部材2210及び第2弾性部材2220を含む。電池モジュール1000の中央部を垂直方向に貫く複数の第1弾性部材2210の一側は上部押圧プレート2110と連結され、他側は下部押圧プレート2120と連結されている。したがって、上部押圧プレート2110及び下部押圧プレート2120の中央部を引っ張っているので、スウェリング有無に関係なく、電池モジュール1000の中央部の中心に位置する電池セル500を常に一定の範囲に押圧することができる。
【0042】
第1弾性部材2210は上部押圧プレート2110と下部押圧プレート2120との間の引張力を提供する一方で、第2弾性部材2220は上部押圧プレート2110と上部パックカバー2310との間に位置して押圧力を提供する。特に、第2弾性部材2220は複数が所定の距離だけ離隔していることが好ましい。これは、電池セルのスウェリング偏差によって発生し得る押圧板の撓み現象を抑制して押圧力の偏差を最小化することができる。
【0043】
ここで、第1弾性部材2210及び第2弾性部材2220はコイル形状を有することができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0044】
パックケース2300は、上部押圧プレート2110の上面に位置する上部パックカバー2310、下部押圧プレート2120の下面に位置する下部パックカバー2320、及び側面プレート2130に平行に位置する側面パックカバー2330を含む。
【0045】
締結部材2400は垂直方向に積層された複数の電池モジュール1000を所定の力で固定するためのものであり、一例として一側端部に螺旋溝を有するボルトであってもよく、他側にはナットが締結されることで、電池モジュール1000を互いに固定することができる。
【0046】
もちろん、スウェリングの際、電池モジュールの膨張を考慮して、多少緩く締結されることが好ましい。
【0047】
一方、上部押圧プレート2110と上部パックカバー2310との間の中央部には間隔維持部2500がさらに備えられることができる。これは、第2弾性部材2220及び第3弾性部材2230による引張力及び押圧力を補うためのものであり、金属材の四角柱であってもよい。
【0048】
図6は本発明の好適な実施例による電池モジュールの分解斜視図である。
図6に示すように、各電池モジュール1000は、ヒートシンク100、支持プレート200、バスバーアセンブリー300、支持フレーム400、電池セル500、及びカバープレート600を含む。
【0049】
まず、ヒートシンク100は内部に流路が形成された所定の面積を有する平板状のものであり、ヒートシンク100の上面及び下面に所定の距離だけ離隔したままで突出した複数の隆起部110が形成されている。隆起部110についての詳細な説明は後述する。
【0050】
支持プレート200は、ヒートシンク100の両面、より詳細にはヒートシンク100の上面に位置する上部支持プレート210と、ヒートシンク100の下面に位置する下部支持プレート220とを含む。
【0051】
電池セル500を電気的に互いに連結するためのバスバーアセンブリー300は、第1バスバーアセンブリー310と、第2バスバーアセンブリー320とを含む。第1バスバーアセンブリー310は上部支持プレート210の上面に位置し、第2バスバーアセンブリー320は下部支持プレート220の下面に配置される。
【0052】
たとえ図面には、第1バスバーアセンブリー310が総6個から構成され、上部支持プレート210の縁部付近にそれぞれ1個ずつ、さらにこれらの間で所定の距離だけ離隔したままで4個が長手方向(X軸方向)に沿って位置するものとして示されているが、これは一例に過ぎないだけで、上部支持プレート210と密着することができれば個数や位置は変更可能である。
【0053】
第2バスバーアセンブリー320は第1バスバーアセンブリー310と対称をなしている構造なので、更なる説明は省略する。
【0054】
次に、支持フレーム400は、第1支持フレーム410及び第2支持フレーム420を含む。第1支持フレーム410は上部支持プレート210と上部カバープレート610との間に位置し、第2支持フレーム420は下部支持プレート220と下部カバープレート620との間に位置する。そのより詳細な内容は後述する。
【0055】
電池セル500は、ヒートシンク100に水平に位置する複数の第1電池セル510と第2電池セル520を含む。具体的には、第1電池セル510は上部支持プレート210と上部カバープレート610との間に位置し、第2電池セル520は下部支持プレート220と下部カバープレート620との間に位置する。
【0056】
前記のような第1電池セル510と第2電池セル520とは互いに同じ構成を有する電池セルであってもよい。一例として、電極組立体(図示せず)を収納するセルケースと一対の電極リードとを含むことができる。
【0057】
ここで、電極組立体は、長いシート状の正極及び負極の間に分離膜が介在されてから巻き取られる構造を有するゼリーロール型組立体、長方形の正極及び負極が分離膜を挟んでいる状態で積層される構造のスタック型組立体、単位セルが長い分離フィルムによって巻き取られるスタックフォルディング型組立体、または電池セルが分離膜を挟んでいる状態で積層されて互いに付着されるラミネーションスタック型組立体などからなることができるが、これに限定されない。本発明による電極組立体は、カーブドモジュールを形成する場合、物理的ストレスが最も少ないスタックフォルディング型、またはラミネーションスタック型構造であることが好ましい。
【0058】
前記のような電極組立体はセルケースに収納され、セルケースは、通常に、内部層/金属層/外部層のラミネートシート構造を有している。内部層は電極組立体と直接的に接触するので、絶縁性及び耐電解液性を有しなければならなく、また外部に対する密閉のために、シーリング性、すなわち内部層同士熱接着されたシーリング部位は優れた熱接着強度を有しなければならない。このような内部層の材料としては、耐化学性に優れながらもシーリング性がよいポリプロピレン、ポリエチレン、酢酸ポリエチレン、ポリブチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリイミド樹脂から選択されることができるが、これに限定されず、引張強度、剛性、表面硬度、耐衝撃強度などの機械的物性及び耐化学性に優れたポリプロピレンが最も好ましい。
【0059】
内部層と接している金属層は外部から水分や各種のガスが電池の内部に浸透することを防止するバリア層に相当し、このような金属層の好適な材料としては、軽いながらも成形性に優れたアルミニウム薄膜を使うことができる。
【0060】
そして、金属層の他側面には外部層が備えられる。このような外部層は、電極組立体を保護しながら耐熱性及び耐化学性を確保することができるように、引張強度、透湿防止性及び空気透過防止性に優れた耐熱性ポリマーを使うことができ、一例としてナイロンまたはポリエチレンテレフタレートを使うことができるが、これに限定されない。
【0061】
一方、一対の電極リードは正極リード及び負極リードからなり、電極組立体の正極タブと負極タブとがそれぞれ電気的に連結された後、セルケースの外部に露出されるか、タブなしに電極組立体と直接連結されても関係ない。
【0062】
次に、カバープレート600は電池セル500を外部から保護する役割を果たし、上部カバープレート610と下部カバープレート620とを含む。
【0063】
具体的には、上部カバープレート610は第1電池セル510の上部に位置して第1電池セル510の上面を保護し、下部カバープレート620は第2電池セル520の下部に位置して第2電池セル520の下面を保護する。
【0064】
そして、前述した締結部材2400が貫くことができるように、上部カバープレート610及び下部カバープレート620には所定の距離だけ離隔して形成された複数の貫通ホールが形成されている。
【0065】
図7は本発明の好適な実施例による電池モジュールにおいてヒートシンクと支持プレートとの結合構造を説明するための斜視図である。
【0066】
図7を参照して説明すれば、本発明によるヒートシンク100の上面には上部支持プレート210が位置し、ヒートシンク100の下面には下部支持プレート220が位置する。
【0067】
一方、ヒートシンク100の両面、すなわち上面及び下面には所定の形状に所定の高さ突出した状態の隆起部110がそれぞれ形成されることが好ましく、上部支持プレート210にはヒートシンク100の上面に形成された隆起部110を収容するための第1開口部211が形成され、下部支持プレート220にはヒートシンク100の下面に形成された隆起部110を収容するための第2開口部221が形成されることがより好ましい。
【0068】
前記のように、隆起部110が両面に形成されたヒートシンク100の上面及び下面に上部支持プレート210と下部支持プレート220とがそれぞれ密着すれば、ヒートシンク100の上面の隆起部110は第1開口部211に挿入され、ヒートシンク100の下面に形成された隆起部110は第2開口部221に挿入されることで、左右への揺動を防止することができる。
【0069】
ここで、上部支持プレート210及び下部支持プレート220は熱伝導性樹脂からなるプレートであってもよい。
【0070】
一方、ヒートシンク100の一側部には冷却水を供給するための冷却水流入ポート120が設けられ、その付近には熱交換された冷却水が排出される冷却水流出ポート130が設けられており、冷却水の供給及び流出ができれば、これらの冷却水流入ポート120及び冷却水流出ポート130が必ずしも付近に位置しなくてもよいというのは明らかである。
【0071】
図8は本発明の好適な実施例による電池モジュールにおいて電池セルの装着構造を説明するための斜視図であり、
図8は本発明の好適な実施例による電池モジュールにおいて支持フレームの配置構造を説明するための斜視図である。
【0072】
本発明による複数の第1電池セル510は、上部支持プレート210の第1開口部211に挿入された状態で外部に露出されているヒートシンク100の隆起部110及び上部支持プレート210に水平に着座する。
【0073】
従来の電池モジュールでは、電池セルとヒートシンクとは互いに垂直に位置する構造を有するので、電池セルとヒートシンクとの接触面積が少なく、よって冷却性能に限界があった。
【0074】
これに対し、本発明による電池モジュール1000は、ヒートシンク100と第1電池セル510とが互いに平行に位置するとともに、ヒートシンク100の隆起部110と第1電池セル510の水平側面とが接触するように配置される構造を有するので、迅速に熱伝逹効率を高めることができるという利点がある。
【0075】
もちろん、ヒートシンク100の隆起部110と密着しない第1電池セル510の残りの領域は上部支持プレート210と密着しているというのは明らかである。
【0076】
一方、隆起部110と第1電池セル510との間には、これらを互いに固定するための公知の熱伝導性樹脂層が介在されることができる。
【0077】
第2電池セル520及び下部支持プレート220の装着構造は方向のみ異なるだけで、第1電池セル510と上部支持プレート210との結合構造と同一であるので、その具体的な説明は省略する。
【0078】
前述したように、支持フレーム400は、第1支持フレーム410と、第2支持フレーム420とを含む。
【0079】
第1支持フレーム410は上部支持プレート210と上部カバープレート610との間、より詳細には、電池モジュールの長手方向(X軸方向)に沿って上部支持プレート210の両側縁部及び中央にそれぞれ位置し、所定の幅、高さ及び長さを有し、切断面は略方形のバー(Bar)形状を有する。そして、第1支持フレーム410には、締結部材2400が通過するように所定の距離だけ離隔したままで複数の第1貫通ホール411が形成されている。
【0080】
第2支持フレーム420は下部支持プレート220と下部カバープレート620との間に位置することのみを除き、残りの構成は第1支持フレーム410と同様である。すなわち、第2支持フレーム420にも、締結部材2400が通過するように、所定の距離だけ離隔したままで複数の第2貫通ホール421が形成されている。
【0081】
複数の電池モジュール1000が積層された状態で締結されても、前記のような第1支持フレーム410及び第2支持フレーム420によって支持プレート200とカバープレート600との間が常に所定の距離だけ離隔した状態を維持することができるので、電池セル500が必要以上に押圧されることを防止することができるだけでなく、スウェリング発生の際、局所的な膨張を抑制することができるという利点がある。
【0082】
図10は本発明の好適な実施例による電池モジュールにおいて電池セルとバスバーとの結合構造を説明するための斜視図である。
【0083】
図8を一緒に参照しながらバスバーアセンブリー300について詳細に説明すれば、第1バスバーアセンブリー310と第2バスバーアセンブリー320とから構成される。これは配置される位置のみ異なるだけで、具体的な構成は同一であるので、以下では第1バスバーアセンブリー310を中心に説明する。
【0084】
第1バスバーアセンブリー310は、第1バスバーフレーム311と、バスバー312とを含む。第1バスバーフレーム311はバスバー312を支持するとともに付近に位置するバスバー312を電気的に連結するためのものであり、第1バスバーフレーム311には、バスバー312を収容するための第1収容溝311(a)と、第1収容溝311(a)より相対的に深く陷沒している第2収容溝311(b)とが形成されている。
【0085】
バスバー312は所定の角度に複数回折り曲げられた凹凸構造を有し、第1水平部312(a)、第1水平部312(a)より相対的に下に位置する第2水平部312(b)、及び第1水平部312(a)と第2水平部312(b)とを連結するように所定の角度に折り曲げられた連結部312(c)を含む。
【0086】
前記のような構成を有するバスバー312が第1バスバーフレーム311の収容溝に着座するとき、第1水平部312(a)は第1収容溝311(a)に、第2水平部312(b)は第2収容溝311(b)に挿入される構造を有するので、第1バスバーフレーム311とバスバー312とが堅固に締結されることができる。
【0087】
一方、第1電池セル510の電極リード511は第1水平部312(a)に着座する。
【0088】
従来の電池モジュールはバスバーアセンブリー300を冷却する機能がないか追加的に備えなければならない問題点があった。しかし、本発明は、ヒートシンク100の上面及び下面にそれぞれ位置する上部支持プレート210及び下部支持プレート220にバスバーアセンブリー300が面接触するように位置するので、電池セルを冷却するための単一のヒートシンク100のみでもバスバーアセンブリー300を冷却させることができ、よって電池モジュールの体積が増加することを最小化することができる。
【0089】
本発明は前述した特徴のうちの一つ以上の特徴を有している電池パックを備えているデバイスであってもよく、このようなデバイスは、電気自動車、ハイブリッド自動車であってもよい。
【0090】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形が可能であろう。
【符号の説明】
【0091】
1000 電池モジュール
100 ヒートシンク
110 隆起部
120 冷却水流入ポート
130 冷却水流出ポート
200 支持プレート
210 上部支持プレート
211 第1開口部
220 下部支持プレート
221 第2開口部
300 バスバーアセンブリー
310 第1バスバーアセンブリー
311 第1バスバーフレーム
311(a) 第1収容溝
311(b) 第2収容溝
312 バスバー
312(a) 第1水平部
312(b) 第2水平部
312(c) 連結部
320 第2バスバーアセンブリー
400 支持フレーム
410 第1支持フレーム
411 第1貫通ホール
420 第2支持フレーム
421 第2貫通ホール
500 電池セル
510 第1電池セル
511 電極リード
520 第2電池セル
600 カバープレート
610 上部カバープレート
620 下部カバープレート
2000 電池パック
2100 押圧部材
2110 上部押圧プレート
2120 下部押圧プレート
2130 側面プレート
2131 上部側面プレート
2131(a) 第1延長部
2132 下部側面プレート
2132(a) 第2延長部
2140 補強部
2200 弾性部材
2210 第1弾性部材
2220 第2弾性部材
2300 パックケース
2310 上部パックカバー
2320 下部パックカバー
2330 側面パックカバー
2400 締結部材
2500 間隔維持部