(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】放熱装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20240918BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 B
H05K7/20 B
(21)【出願番号】P 2023206986
(22)【出願日】2023-12-07
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】伊勢田 歩夢
(72)【発明者】
【氏名】雪本 達也
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-077569(JP,A)
【文献】特開2003-224237(JP,A)
【文献】特開2010-237767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/20
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部品が配設される第1面及び前記第1面と対向する平面状の第2面を有する放熱部材、及び、
前記放熱部材が前記第2面側において放熱用グリスを介して配される平面状の載置面を有する基底部を備えた熱伝導性の筐体
を含む、放熱装置であって、
前記放熱部材は、その一端部の少なくとも一部分に、前記第2面から前記第1面へ向かう方向へ延伸するよう構成された突出部を有すること、
前記筐体は、前記放熱部材が前記筐体の前記載置面に放熱用グリスを介して配された状態において前記突出部に対向するよう設けられた側壁部を有すること、
前記放熱装置は、前記筐体の前記載置面に放熱用グリスを介して配された前記放熱部材が前記載置面上において平行移動するよう、前記載置面に対し平行な方向において前記突出部と前記側壁部を離間させる横移動機構を含むこと
を特徴とする、放熱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放熱装置において、
前記横移動機構は、
前記載置面に対し平行方向に形成された前記突出部の貫通孔、及び、
前記貫通孔に挿通可能に構成され、前記側壁部に当接する端部を有し、前記端部を介して前記側壁部を押圧可能に構成されたシャフト部材
を含むこと
を特徴とする、放熱装置。
【請求項3】
請求項2に記載の放熱装置において、
前記貫通孔は雌ネジを有すること、
前記シャフト部材は、前記雌ネジに螺合する雄ネジを有するボルトであること
を特徴とする、放熱装置。
【請求項4】
請求項1に記載の放熱装置において、
前記横移動機構は、
前記載置面に対し平行方向に形成された前記側壁部の貫通孔、及び、
前記貫通孔に挿通可能に構成され、前記突出部に当接する端部を有し、前記端部を介して前記突出部を押圧可能に構成されたシャフト部材
を含むこと
を特徴とする、放熱装置。
【請求項5】
請求項4に記載の放熱装置において、
前記貫通孔は雌ネジを有すること、
前記シャフト部材は、前記雌ネジに螺合する雄ネジを有するボルトであること
を特徴とする、放熱装置。
【請求項6】
請求項3又は5に記載の放熱装置において、
前記雌ネジは、前記貫通孔に圧入されたナットの雌ネジであること
を特徴とする、放熱装置。
【請求項7】
請求項1に記載の放熱装置において、
前記突出部は、前記一端部の少なくとも一部分から延出する部分の屈曲立設によって形成されていること
を特徴とする、放熱装置。
【請求項8】
請求項1に記載の放熱装置において、
前記放熱部材は板状の部材であること
を特徴とする、放熱装置。
【請求項9】
請求項1に記載の放熱装置において、
前記放熱部材はベイパーチャンバであること
を特徴とする、放熱装置。
【請求項10】
請求項1に記載の放熱装置において、
前記筐体は、前記基底部の前記載置面に対向する側に少なくとも1つの冷却フィンを有すること
を特徴とする、放熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器は小型化の傾向があり、その内部は高密度化されている。そのような電子機器は、通常、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の高発熱部品を備える。発熱部品が発生する熱を放出するために、放熱装置が設けられる。
【0003】
そのような放熱装置の一例として、特許文献1に記載されたものがある。この放熱装置は、発熱部品が配設される放熱板と、該放熱板が放熱用グリスを介して配設される冷却用のケースとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先行技術文献は、引用により本書に繰り込み記載されているものとする。
【0006】
以下の分析は本発明者によってなされたものである。
【0007】
上記のような放熱板は、一度そのケースに取り付けられた後は、ケースから取り外されることはないが、保守性の向上等を図るためにケースから取り外されることが必要になることがある。
【0008】
放熱板をケースから取り外すために、特許文献1に記載された放熱装置は、放熱板とケースの接触面に対し直角をなす方向に放熱板とケースとを離間する取外機構を有する。
【0009】
しかしながら、放熱板とケースは、それらの間に配された放熱用グリスによって接着され容易に分離できないことがある。
【0010】
そのような場合に、上記の取外機構を用いると、放熱板は、放熱板とケースとの離間の際に、放熱用グリスの接着を引き剥がす負荷に耐えられず変形ないし破壊してしまい、結局、新品と交換せざるをえないことがある。
【0011】
本開示の課題は、保守性の向上等に貢献することが可能な放熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一視点により、放熱装置が提供される。
前記放熱装置は、
発熱部品が配設される第1面及び前記第1面と対向する平面状の第2面を有する放熱部材、及び、
前記放熱部材が前記第2面側において放熱用グリスを介して配される平面状の載置面を有する基底部を備えた熱伝導性の筐体
を含む。
前記放熱部材は、その一端部の少なくとも一部分に、前記第2面から前記第1面へ向かう方向へ延伸するよう構成された突出部を有する。
前記筐体は、前記放熱部材が前記筐体の前記載置面に放熱用グリスを介して配された状態において前記突出部に対向するよう設けられた側壁部を有する。
前記放熱装置は、前記筐体の前記載置面に放熱用グリスを介して配された前記放熱部材が前記載置面上において平行移動するよう、前記載置面に対し平行な方向において前記突出部と前記側壁部を離間させる横移動機構を含む。
【発明の効果】
【0013】
本開示ないしその視点は、保守性の向上等に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の放熱装置の一例の一部分の模式的断面図。
【
図2】筐体に対して横方向にずらされた放熱部材の様子を示す一例の一部分の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本開示の好ましい形態を示すが、本開示はこれらに限定されない。
(形態1)上掲本開示の一視点参照。
(形態2)上記形態1に記載の放熱装置において、
前記横移動機構は、
前記載置面に対し平行方向に形成された前記突出部の貫通孔、及び、
前記貫通孔に挿通可能に構成され、前記側壁部に当接する端部を有し、前記端部を介して前記側壁部を押圧可能に構成されたシャフト部材
を含むことが好ましい。
(形態3)上記形態2に記載の放熱装置において、
前記貫通孔は雌ネジを有すること、
前記シャフト部材は、前記雌ネジに螺合する雄ネジを有するボルトであることが好ましい。
(形態4)上記形態1に記載の放熱装置において、
前記横移動機構は、
前記載置面に対し平行方向に形成された前記側壁部の貫通孔、及び、
前記貫通孔に挿通可能に構成され、前記突出部に当接する端部を有し、前記端部を介して前記突出部を押圧可能に構成されたシャフト部材
を含むことが好ましい。
(形態5)上記形態4に記載の放熱装置において、
前記貫通孔は雌ネジを有すること、
前記シャフト部材は、前記雌ネジに螺合する雄ネジを有するボルトであることが好ましい。
(形態6)上記形態3又は5に記載の放熱装置において、
前記雌ネジは、前記貫通孔に圧入されたナットの雌ネジであることが好ましい。
(形態7)上記形態1に記載の放熱装置において、
前記突出部は、前記一端部の少なくとも一部分から延出する部分の屈曲立設によって形成されていることが好ましい。
(形態8)上記形態1に記載の放熱装置において、
前記放熱部材は板状の部材であることが好ましい。
(形態9)上記形態1に記載の放熱装置において、
前記放熱部材はベイパーチャンバであることが好ましい。
(形態10)上記形態1に記載の放熱装置において、
前記筐体は、前記基底部の前記載置面に対向する側に少なくとも1つの冷却フィンを有することが好ましい。
【0016】
なお、本開示はコンピュータによって実行可能なプログラムとしても具現化可能であり、該プログラムはコンピュータが読み取り可能な非一時的な(非トランジトリな)記憶媒体に記録することができる。即ち、本開示はコンピュータプログラム製品として具現することも可能である。プログラムは、コンピュータ装置に入力装置又は外部から通信インタフェイスを介して入力され、記憶装置に記憶されて、プロセッサを所定のステップないし処理に従って駆動させ、必要に応じ中間状態を含めその処理結果を段階毎に表示装置を介して表示することができ、あるいは通信インタフェイスを介して、装置内又は外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、交信することができる。そのためのコンピュータ装置は、一例として、典型的には互いにバスによって接続可能なプロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェイス、及び必要に応じ表示装置を備える。
【0017】
以下に、本開示の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、専ら本開示の理解を助けるためのものであり、本開示を図示の態様に限定することは意図していない。
【0018】
更に、以下の説明及び図面において、同一の又は共通の機能を有する要素には同一の図面参照符号が付記されている。
【0019】
図1は、本開示の放熱装置の一例の一部分の概念図である。
【0020】
図示の放熱装置1は、放熱部材2と、筐体3と、横移動機構4を含む。
【0021】
(放熱部材2)
放熱部材2は、例えばCPU、FPGA等の発熱部品6が配設される第1面2aと、第1面2aと対向する平面状の第2面2bとを有する。
【0022】
放熱部材2の第1面2aは平面状に形成可能であり、この場合、放熱部材2は板状の部材として構成される。板状の放熱部材2は、例えば、ベイパーチャンバ(その一具体例については
図5参照)である。但し、筐体3の基底部3a上で平行移動ないしスライドが可能な形状ないし構造を有するものであれば他のタイプの放熱部材も使用可能である。
【0023】
また、放熱部材2の第1面2aの形状は平面状に限定されず、発熱部品6が配設可能であれば任意の形状であり得る。
【0024】
放熱部材2は、とりわけ、矩形ないし方形の板状部材である。但し、放熱部材2は筐体3の基底部3aの載置面3b上で平行移動ないしスライド可能であればよく、従って、円形、楕円形、矩形ないし方形以外の多角形等の任意の形状の板状部材であり得る。
【0025】
放熱部材2は、とりわけ銅、アルミニウム等の金属や合金等で形成されるが、熱伝導率の高い任意の材料で形成可能である。なお、放熱部材2が例えば横移動機構4により印加される力の作用により変形、破壊等する強度の低い材料で形成される場合は、放熱部材2は、金属等の強度の高い材料から形成される補強部材(フレーム等)によってその周囲を少なくとも部分的に包囲されるように構成されることができる。また、このような補強部材は、強度の高い材料から形成された放熱部材2にも適用可能である。
【0026】
放熱部材2は、その一端部の少なくとも一部分に、第2面2bから第1面2aへ向かう方向へ延伸するよう構成された突出部2cを有する。
【0027】
突出部2cは、放熱部材2の一端部の少なくとも一部分から延出する部分の屈曲立設によって形成可能である。また、突出部2cは、放熱部材2のための補強部材の一端部の少なくとも一部分から延出する部分の屈曲立設によっても形成可能である。或いは、例えば、L字状に屈曲された金属製の板状部材を放熱部材2又はその補強部材の一端部の少なくとも一部分に固定的に設けることも可能である。
【0028】
なお、放熱部材2は放熱用グリス5を介して筐体3の基底部3aの載置面3bに配される。従って、本開示における「平面状」の第2面2bは、厳密な意味での「平面」に限られず、放熱部材2が筐体3の基底部3aの載置面3b上でスライドないしシフトが可能な範囲内での凹凸、湾曲等の変形を有し得る。これに応じて、本開示における「平行」も厳密な意味での「平行」に限られず、放熱部材2が筐体3の基底部3aの載置面3b上でスライドないしシフトが可能な範囲内での傾き等を有し得る。
【0029】
(筐体3)
筐体3は、放熱部材2がその第2面2bの側において放熱用グリス5を介して配される平面状の載置面3bを有する基底部3aを備える。
【0030】
筐体3は、更に、放熱部材2が筐体3の載置面3bに放熱用グリス5を介して配された状態において放熱部材2の突出部2cに対向する即ち突出部の突出方向に延伸するよう設けられた側壁部3cを有する。
【0031】
筐体3は、熱伝導性であり、とりわけ金属製の部材であるが、熱伝導率の高い材料であれば任意の材料で製造可能である。
【0032】
筐体3は、更に、放熱性の向上等のために、基底部3aの載置面3bに対向する側に少なくとも1つの冷却フィンを有することができる。なお、冷却フィンの代わりに又は冷却フィンに加えて、他のタイプの冷却手段、例えばヒートパイプ、ベイパーチャンバ等を備えてもよい。
【0033】
なお、上記のとおり、放熱部材2は放熱用グリス5を介して筐体3の基底部3aの載置面3bに配される。従って、「平面状」の載置面3bも、厳密な意味での「平面」に限られず、放熱部材2が筐体3の基底部3a上で平行移動ないしスライドが可能な範囲内での凹凸、湾曲等の変形を有し得る。
【0034】
(横移動機構)
横移動機構4は、筐体3の載置面3bに放熱用グリス5を介して配された放熱部材2が載置面3b上において平行移動するよう、載置面3bに対し平行な方向において放熱部材2の突出部2cと筐体3の側壁部3cを離間させるよう構成されている。
【0035】
横移動機構4によるこの離間によって、例えば
図2に示されているように、放熱部材2が放熱用グリス5上で平行ないし横方向にずれることにより放熱用グリス5には剪断方向に力が印加され、放熱用グリス5の接着力は弱まる。これにより、筐体3ないしその載置面3bからの放熱部材2の剥離は容易化され、この剥離時における放熱部材2の変形、破損等は回避され、放熱部材2の再利用も可能になる。なお、
図2に示された基板7は、FPGA等の発熱部品が実装される基板である。
【0036】
横移動機構4としては、放熱部材2の突出部2cと筐体3の側壁部3cを離間させることが可能な任意の機構、装置(例えはレバー機構)等が使用可能であり、例えば以下のものが使用可能である。
【0037】
(横移動機構の一例)
図3は横移動機構の一例を示す。
【0038】
図示の横移動機構40は放熱部材20(又はその補強部材)の突出部20cに形成された貫通孔41と、シャフト部材42とを含んで構成されている。
【0039】
貫通孔41は筐体30の載置面30bに対し平行方向に形成されている。シャフト部材42は、貫通孔41に挿通可能に構成され、筐体30の側壁部30cに当接する一端部42aを有し、この一端部42aによって側壁部30cを押圧可能に構成されている。
【0040】
この例の横移動機構40では、例えば放熱部材20の突出部20cに固定的に設けられた駆動機構(レバー機構等)を用いて、その一端部42aが筐体30の側壁部30cに当接しているシャフト部材42によって側壁部30cを押圧することにより、その反作用で突出部20cは側壁部30cから離間する。その結果、筐体30の載置面30bに放熱用グリス5を介して配された放熱部材20は載置面30b上において側壁部30cから離間する方向へ平行移動する。これによって、放熱用グリス5に剪断方向への力が印加されることになる。
【0041】
(変形例)
この例の横移動機構40においては、とりわけ、突出部20cに形成された貫通孔41は雌ネジ(不図示)を有することができ、これに対応して、シャフト部材42は貫通孔41の雌ネジに螺合する雄ネジ(不図示)を有するボルト(
図3において破線で示した頭部によって象徴的に示されている。)として構成されることができる。
【0042】
なお、突出部20cの貫通孔41の雌ネジは、貫通孔41の内周面に直接形成可能であるが、貫通孔41に圧入されたナット(セルファスナ等)の雌ネジとしても構成可能である。
【0043】
この変形例の横移動機構40は、シャフト部材42としてのボルトを単に回転するだけで筐体30の側壁部30cに対し所要の力を印加することができるため、放熱部材20の突出部20cに設けられるべき大掛かりな駆動機構(レバー機構等)は不要となり、構造は簡素になる。
【0044】
(横移動機構の他の一例)
図4は横移動機構の他の一例を示す。
【0045】
図示の横移動機構400は筐体300の側壁部300cに形成された貫通孔401と、シャフト部材402とを含んで構成されている。
【0046】
貫通孔401は筐体300の載置面300bに対し平行方向に形成されている。シャフト部材402は、貫通孔401に挿通可能に構成され、放熱部材200(又はその補強部材)の突出部200cに当接する一端部402aを有し、この一端部402aによって突出部200cを押圧可能に構成されている。
【0047】
この例の横移動機構400では、例えば筐体300の側壁部300cに固定的に設けられた駆動機構(レバー機構等)を用いて、その一端部402aが放熱部材200の突出部200cに当接しているシャフト部材402によって突出部200cを押圧することにより、突出部200cは側壁部300cから離間する。その結果、筐体300の載置面300bに放熱用グリス5を介して配された放熱部材200は載置面300b上において側壁部300cから離間する方向へ平行移動する。これによって、放熱用グリス5に剪断方向への力が印加されることになる。
【0048】
(変形例)
この例の横移動機構400においては、とりわけ、側壁部300cに形成された貫通孔401は雌ネジ(不図示)を有することができ、これに対応して、シャフト部材402は貫通孔401の雌ネジに螺合する雄ネジ(不図示)を有するボルト(
図4において破線で示した頭部によって象徴的に示されている。)として構成されることができる。
【0049】
なお、側壁部300cの貫通孔401の雌ネジは、貫通孔401の内周面に直接形成可能であるが、貫通孔401に圧入されたナット(セルファスナ等)の雌ネジとしても構成可能である。
【0050】
この変形例の横移動機構400は、シャフト部材402としてのボルトを単に回転するだけで放熱部材200の突出部200cに対し所要の力を印加することができるため、筐体300の側壁部300cに設けられるべき大掛かりな駆動機構(レバー機構等)は不要となり、構造は簡素になる。
【0051】
(放熱装置の更なる一例)
放熱装置は、放熱部材と筐体とを相対的に水平方向に運動させる上記の横移動機構に加え、この水平方向の運動によって放熱用グリス5の接着力を弱めた後に、筐体から放熱部材を剥離するために筐体に対し放熱部材を垂直方向に運動させる縦移動機構(不図示)を備えることも可能である。この縦移動機構の例については、例えば、特許文献1参照。
【0052】
(一具体例)
図5は、放熱部材100の一例としてのベイパーチャンバの一具体例を示す。図示のベイパーチャンバにおいては、ベイパーチャンバ本体102は補強部材110によって補強されており、紙面左側の端部には、延出部分の屈曲立設によって形成された貫通孔を有する突出部102cが設けられている。
【0053】
図6は、
図5に示した突出部102cの拡大図である。この突出部102cにおいては、その貫通孔にボルトが螺合されるセルファスナ120が圧入されている。
【0054】
なお、放熱部材の突出部と筐体の側壁部を離間させる横移動機構の駆動機構、とりわけ、放熱部材の突出部又は筐体の側壁部に設けられ得るシャフト部材の駆動機構は、更に、上記の縦移動機構は、例えばモータ等の電動装置としても構成可能である。この場合、電動装置の制御、とりわけ電動装置によるシャフト部材の繰り出しの制御(印加する力の大きさ、移動距離、移動速度等の制御)は、放熱装置の内部又は外部に設けられる制御回路によって行うことも可能である。
【0055】
上記の制御回路は、いわゆるハードウェア資源(情報処理装置、コンピュータ)を用いて構成することができ、
図7に例示する構成を備えたものを用いることができる。例えば、ハードウェア資源1000は、内部バス1004により相互に接続される、プロセッサ1001、メモリ1002、ネットワークインタフェイス1003等を備えることができる。
【0056】
但し、
図7に示す構成は、ハードウェア資源1000のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。ハードウェア資源1000は、図示しないハードウェア(例えば、入出力インタフェイス)を含んでもよい。プロセッサ1001には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等を用いることができる。
【0057】
また、メモリ1002には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を用いることができる。ここで、メモリ1002には、上記の所定の物理量に関する所定の閾値が格納されることができ、また、上記の制御を行うための制御プログラムも格納されることができる。
【0058】
更に、ネットワークインタフェイス1003には、例えば、LAN(Local Area Network)カード、ネットワークアダプタ、ネットワークインタフェイスカード等を用いることができる。
【0059】
更に、ハードウェア資源1000の機能は、処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ1002に格納されたプログラムをプロセッサ1001が実行することで実現される。また、そのプログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。即ち、上記処理モジュールが行う機能は、何らかのハードウェアにおいてソフトウェアが実行されることによって実現できればよい。
【0060】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]
発熱部品が配設される第1面及び前記第1面と対向する平面状の第2面を有する放熱部材、及び、
前記放熱部材が前記第2面側において放熱用グリスを介して配される平面状の載置面を有する基底部を備えた熱伝導性の筐体
を含む、放熱装置。
前記放熱部材は、その一端部の少なくとも一部分に、前記第2面から前記第1面へ向かう方向へ延伸するよう構成された突出部を有する。
前記筐体は、前記放熱部材が前記筐体の前記載置面に放熱用グリスを介して配された状態において前記突出部に対向するよう設けられた側壁部を有する。
前記放熱装置は、前記筐体の前記載置面に放熱用グリスを介して配された前記放熱部材が前記載置面上において平行移動するよう、前記載置面に対し平行な方向において前記突出部と前記側壁部を離間させる横移動機構を含む。
[付記2]付記1に記載の放熱装置において、
前記横移動機構は、
前記載置面に対し平行方向に形成された前記突出部の貫通孔、及び、
前記貫通孔に挿通可能に構成され、前記側壁部に当接する端部を有し、前記端部を介して前記側壁部を押圧可能に構成されたシャフト部材
を含む。
[付記3]付記2に記載の放熱装置において、
前記貫通孔は雌ネジを有する;
前記シャフト部材は、前記雌ネジに螺合する雄ネジを有するボルトである。
[付記4]付記1に記載の放熱装置において、
前記横移動機構は、
前記載置面に対し平行方向に形成された前記側壁部の貫通孔、及び、
前記貫通孔に挿通可能に構成され、前記突出部に当接する端部を有し、前記端部を介して前記突出部を押圧可能に構成されたシャフト部材
を含む。
[付記5]付記4に記載の放熱装置において、
前記貫通孔は雌ネジを有する;
前記シャフト部材は、前記雌ネジに螺合する雄ネジを有するボルトである。
[付記6]付記3又は5に記載の放熱装置において、
前記雌ネジは、前記貫通孔に圧入されたナットの雌ネジである。
[付記7]上記の放熱装置において、
前記突出部は、前記一端部の少なくとも一部分から延出する部分の屈曲立設によって形成されている。
[付記8]上記の放熱装置において、
前記放熱部材は板状の部材である。
[付記9]上記の放熱装置において、
前記放熱部材はベイパーチャンバである。
[付記10]上記の放熱装置において、
前記筐体は、前記基底部の前記載置面に対向する側に少なくとも1つの冷却フィンを有する。
[付記11]上記の放熱装置において、
前記突出部は、前記一端部の少なくとも一部分に固定的に設けられたL字状部材によって形成されている。
[付記12]上記の放熱装置は、筐体から放熱部材を剥離するために筐体に対し放熱部材を垂直方向に運動させる縦移動機構を備える。
【0061】
本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0062】
1 放熱装置
2 放熱部材
2a 第1面
2b 第2面
2c 突出部
3 筐体
3a 基底部
3b 載置面
3c 側壁部
4 横移動機構
5 放熱用グリス
6 発熱部品
7 基板
20、200 放熱部材
20c、200c 突出部
30、300 筐体
30b、300b 載置面
30c、300c 側壁部
40、400 横移動機構
41、401 貫通孔
42、402 シャフト部材
42a、402a シャフト部材の一端部
100 放熱部材
102 ベイパーチャンバ本体
102c 突出部
110 補強部材
120 セルファスナ
1000 ハードウェア資源
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 ネットワークインタフェイス
1004 内部バス
【要約】
【課題】放熱装置の保守性の向上等を図る。
【解決手段】放熱装置は発熱部品が配設される第1面及び第1面と対向する平面状の第2面を有する放熱部材、及び、放熱部材が第2面側において放熱用グリスを介して配される平面状の載置面を有する基底部を備えた熱伝導性の筐体を含む。放熱部材は、その一端部の少なくとも一部分に、第2面から第1面へ向かう方向へ延伸するよう構成された突出部を有する。筐体は、放熱部材が筐体の載置面に放熱用グリスを介して配された状態において突出部に対向するよう設けられた側壁部を有する。放熱装置は、筐体の前記載置面に放熱用グリスを介して配された放熱部材が載置面上において平行移動するよう、載置面に対し平行な方向において突出部と側壁部を離間させる横移動機構を含む。
【選択図】
図1