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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】無機発光ダイオードディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/302 20060101AFI20240918BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20240918BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20240918BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240918BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20240918BHJP
   H04N 9/30 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G09F9/302 C
G09F9/33
H01L33/48
H01L33/00 L
H04N5/66 103
H04N9/30
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023000764
(22)【出願日】2023-01-06
(65)【公開番号】P2023102274
(43)【公開日】2023-07-24
【審査請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】111101057
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】310014779
【氏名又は名称】隆達電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】林 志豪
(72)【発明者】
【氏名】梁 建欽
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 瑞翊
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-248461(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0118501(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0263828(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03438964(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
H01L 33/00-33/64
H04N 5/66
H04N 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機発光ダイオード(LED)ディスプレイであって、
基板と、
前記基板に周期的に配列された複数の緑色チップ、複数の赤色チップ及び複数の青色チップと、を含み、
前記緑色チップの数は前記赤色チップの数よりも大きく、前記緑色チップの数は前記青色チップの数よりも大きく、
第1の方向において、隣接する前記緑色チップの最小間隔Psub_gは隣接する前記赤色チップの最小間隔Psub_rよりも小さく、隣接する前記緑色チップの最小間隔Psub_gは隣接する前記青色チップの最小間隔Psub_bよりも小さく、
1つの前記緑色チップについて、前記第1の方向及び前記第1の方向に垂直な第2の方向のうちの一方の方向において、該1つの緑色チップと該1つの緑色チップに隣接する他の前記緑色チップとの間に1つの前記青色チップ又は1つの前記赤色チップが設けられ、前記第1の方向及び前記第2の方向のうちの他方の方向において、該1つの緑色チップと該1つの緑色チップに隣接する他の前記緑色チップとの間にチップが存在せず、
1つの前記青色チップと1つの前記緑色チップとは、前記第2の方向において並んでいる、無機発光ダイオードディスプレイ。
【請求項2】
隣接する前記緑色チップの最小間隔Psub_gと、隣接する前記赤色チップの最小間隔Psub_r及び隣接する前記青色チップの最小間隔Psub_bとは、
【数1】
という関係式を満たす、請求項1に記載の無機発光ダイオードディスプレイ。
【請求項3】
周期的に配列された前記緑色チップ、前記赤色チップ及び前記青色チップは、複数の最小繰り返しユニットを構成する、請求項1に記載の無機発光ダイオードディスプレイ。
【請求項4】
各前記最小繰り返しユニットの開口率は30%よりも小さい、請求項3に記載の無機発光ダイオードディスプレイ。
【請求項5】
各前記最小繰り返しユニットにおける前記緑色チップ、前記赤色チップ及び前記青色チップのサイズは実質的に同一である、請求項3に記載の無機発光ダイオードディスプレイ。
【請求項6】
各前記最小繰り返しユニットにおける前記緑色チップの数G、前記赤色チップの数R及び前記青色チップの数Bは、
G>R≧B
という関係式を満たす、請求項3に記載の無機発光ダイオードディスプレイ。
【請求項7】
各前記最小繰り返しユニットは、複数のサブユニットを含み、
各前記サブユニットは、少なくとも2つの同色又は異色の前記チップにより構成される、請求項3に記載の無機発光ダイオードディスプレイ。
【請求項8】
各前記サブユニットは、局所的に重なり合うチップ配列パターンを有する、請求項7に記載の無機発光ダイオードディスプレイ。
【請求項9】
各前記最小繰り返しユニットにおいて、少なくとも1つの前記サブユニットは、同色のチップのみを含む、請求項7に記載の無機発光ダイオードディスプレイ。
【請求項10】
各前記チップは、前記チップの出光側とは反対側に設けられた一対の電極を含む、請求項1に記載の無機発光ダイオードディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機発光ダイオードディスプレイに関し、特に無機発光ダイオードディスプレイのサブ画素配列構造に関する。
【背景技術】
【0002】
表示技術の発展に伴い、現在の市場の表示パネルに対する性能要求は、高解像度、高輝度、低消費電力などの方向に進んでいる。しかし、表示パネルの解像度が高くなると、高解像度で表示するために、表示パネルのサブ画素の数も増加し、表示パネルの製造コストが増大する。表示パネルの製造コストを低減させ、画像品質を向上させるために、表示装置が特殊なサブ画素配列を使用し、アルゴリズムを組み合わせることによって、表示パネルの色解像度を向上させてもよい。
【0003】
従来のディスプレイのRGBストライプ(RGB Stripe)配列と比べて、Pentile形式のサブ画素配列は、有機発光ダイオード(OLED)表示応用に広く検討されている。赤色サブ画素及び青色サブ画素の面積を増加し、電流密度を低減させ、赤青両色の材料特性による寿命問題を延長し、赤青両色の発光面積を拡大する。しかし、発光面積によって電流密度が制限されるため、より高い電流で赤青両色の輝度を補償できず、サブ画素配列の多様性も低下する。そのほか、従来の液晶表示装置(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)は、比較的に大きい開口率を有するため、ディスプレイのメンテナンスの困難性が増加する。このため、表示装置がより大きな電流密度動作範囲、より大きなサブ画素配列の多様性、より低い開口率などの性質を有するように表示装置を改善し、色解像度をさらに向上させ、画像品質を向上させ、メンテナンスの困難性を低減させる必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示の幾つかの実施例では、無機発光ダイオード(LED)ディスプレイであって、基板と、前記基板に周期的に配列された複数の緑色チップ、複数の赤色チップ及び複数の青色チップと、を含み、前記緑色チップの数は前記赤色チップの数よりも大きく、前記緑色チップの数は前記青色チップの数よりも大きく、第1の方向において、隣接する前記緑色チップの最小間隔Psub_gは隣接する前記赤色チップの最小間隔Psub_rよりも小さく、隣接する前記緑色チップの最小間隔Psub_gは隣接する前記青色チップの最小間隔Psub_bよりも小さい、無機発光ダイオードディスプレイを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下は、添付された図面を参照しながら本開示の実施例を詳細に説明する。なお、業界の標準的なアプローチに従って、各特徴は比例で作成されるものではない。実際は、本開示の実施例の特徴及び利点を明確に示すために、各素子のサイズを任意に拡大又は縮小することができる。
図1】本発明の実施例に係る無機発光ダイオードディスプレイを示す概略的な断面図である。
図2】本発明の実施例に係る無機発光ダイオードディスプレイのサブ画素配列構造を示す概略図である。
図3A】本発明の幾つかの実施例に係る無機発光ダイオードディスプレイにおける最小繰り返しユニットのサブ画素配列構造を示す概略図である。
図3B】本発明の幾つかの実施例に係る無機発光ダイオードディスプレイにおける最小繰り返しユニットのサブ画素配列構造を示す概略図である。
図4A】本開示の様々な実施例に係る無機発光ダイオードディスプレイにおける最小繰り返しユニットのサブ画素配列構造を示す概略図である。
図4B】本開示の様々な実施例に係る無機発光ダイオードディスプレイにおける最小繰り返しユニットのサブ画素配列構造を示す概略図である。
図5】本開示の様々な実施例に係る無機発光ダイオードディスプレイにおける最小繰り返しユニットのサブ画素配列構造を示す概略図である。
図6A】本開示の様々な実施例に係る無機発光ダイオードディスプレイにおける最小繰り返しユニットのサブ画素配列構造を示す概略図である。
図6B】本開示の様々な実施例に係る無機発光ダイオードディスプレイにおける最小繰り返しユニットのサブ画素配列構造を示す概略図である。
図6C】本開示の様々な実施例に係る無機発光ダイオードディスプレイにおける最小繰り返しユニットのサブ画素配列構造を示す概略図である。
図7A】本開示の実施例に係るサブ画素配列構造をコンピュータでシミュレートして表示された画像を示す図である。
図7B】本開示の実施例に係るサブ画素配列構造をコンピュータでシミュレートして表示された画像を示す図である。
図7C】本開示の実施例に係るサブ画素配列構造をコンピュータでシミュレートして表示された画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本開示の実施例に係る発光装置及びその形成方法を説明する。なお、本開示の実施例は、様々な適切な発明概念を提供し、広範な様々な特定の背景で実施することができる。開示された特定の実施例は、特定の方法で本発明を製作及び使用することを説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するために使用されない。また、本開示の実施例の図面及び説明内容では、同一の符号を用いて同一又は類似の部材を示している。
【0007】
明細書に記載された「約」、「前後」、「大体」などの用語は、一般に、所定の値又は範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内、3%以内、2%以内、1%以内、又は0.5%以内を意味する。なお、本明細書において提供された数は、大体の数であり、即ち、「約」、「前後」、「大体」を特定しない限り、「約」、「前後」、「大体」を暗示的に含むことができる。
【0008】
本開示の幾つかの実施例では、無機発光ダイオードディスプレイは、赤色無機発光ダイオードチップ(以下は、赤色チップと略称される)、青色無機発光ダイオードチップ(以下は、青色チップと略称される)、及び数が最も多い緑色無機発光ダイオードチップ(以下は、緑色チップと略称される)を含む。本開示の実施例の特徴の1つとして、緑色チップの数は、赤色チップの数及び青色チップの数よりもそれぞれ大きい。従来のディスプレイで使用されるサブ画素(サブ画素とは、画像を表示する最小単位を意味し、例えば緑色チップである)は、一般的にRGBストライプ(RGB Stripe)配列を使用し、完全な画素を構成するように同一の数のRGBチップを使用する。一方、本開示の実施例に係るディスプレイでは、緑色チップの数を増やし、異なる色のチップ間の最小間隔を調整することによって、解像度をさらに向上させることができると共に、画像品質を向上させることができる。
【0009】
図1は、本発明の実施例に係る無機発光ダイオードディスプレイ10を示す概略的な断面図である。図1において、無機発光ダイオードディスプレイ10は、基板100、及び基板100に2次元アレイ状に間隔を隔てて配列された複数の発光ダイオードチップ102を含む。図面を簡略化するために、図には3つの発光ダイオードチップ102のみが示されているが、本開示はこれに限定されない。各発光ダイオードチップ102は、それぞれ第1の電極110a(例えば正極)及び第2の電極110b(例えば負極)を有する。幾つかの実施例では、様々なタイプの発光ダイオードチップ102に応じて第1の電極110a及び第2の電極110bの極性を設定してもよい。例えば、幾つかの実施例では、第1の電極110aは負極であってもよく、第2の電極110bは正極であってもよい。第1の電極110a及び第2の電極110bは、発光ダイオードチップ102の基板100に近い同一の側(背側と称されてもよい)に設けられる。例えば、幾つかの実施例では、発光ダイオードチップ102の基板100から離れた側は、出光側(前側と称されてもよい)であり、第1の電極110a及び第2の電極110bは、発光ダイオードチップ102の出光側とは反対側に設けられる。幾つかの実施例では、基板100は、プリント回路基板(printed circuit board:PCB)、薄膜トランジスターガラス(thin film transistor glass:TFT glass)、相補型金属酸素半導体(complementary metal oxide semiconductor:CMOS)基板、又は他の適切な材料であってもよいが、これらに限定されない。発光ダイオードチップ102は、緑色チップ102g、赤色チップ102r、及び青色チップ102bを含む。幾つかの実施例では、発光ダイオードチップ102の材料は、無機半導体材料、例えばIII-V族化合物、II-VI族化合物、又は他の適切な材料を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0010】
幾つかの実施例では、第1の電極110a及び第2の電極110bの材料は、金属又は金属合金を含んでもよい。例えば、第1の電極110a及び第2の電極110b金属材料は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、スズ(Sn)、金(Au)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、又はこれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0011】
図2は、図1の無機発光ダイオードディスプレイ10のサブ画素配列構造を示す概略図である。図2において、基板100には、周期的に配列された緑色チップ102g、赤色チップ102r、及び青色チップ102bが設けられている。幾つかの実施例では、図2に示すように、発光ダイオードチップ102は、第1の方向D1及び第1の方向D1に垂直な第2の方向D2に沿って延在して配列されている。人間の目は緑色の波長に対して比較的敏感であり、緑色の間隔を縮小することによって人間の目がより密集したサブ画素情報を見ることを効率的に向上させることができるため、第1の方向D1において、隣接する2つの緑色チップ102gの最小間隔Psub_gが隣接する2つの赤色チップ102rの最小間隔Psub_rよりも小さく、且つ隣接する2つの緑色チップ102gの最小間隔Psub_gが隣接する2つの青色チップ102bの最小間隔Psub_bよりも小さくなるように設けられている。該サブ画素の配列構造は、色解像度を向上させることができるため、より少ないチップ数でよりよい画像品質を提供し、コストを低減させることができる。
【0012】
人間の目がカラー画像に対して主に色付けメカニズムと視覚的限界メカニズムにより主導されるため、隣接するチップの最小間隔を調整することによって、色付けと混光の効果を達成することができる。例えば、以下の色付けメカニズム
15CPD≦min{f(Psub_r),f(Psub_b)}≦30CPD
及び以下の視覚的限界メカニズム
30CPD≦f(Psub_g)≦60CPD
を同時に満たすために、以下の関係式
【0013】
【数1】
を満たすように、隣接する色チップの最小間隔を調整してもよい。これによって、色解析性を向上させ、優れた画像品質を実現することができる。以上のCPD(cycles per degree)は空間周波数の単位である。空間周波数は、人間の目の視野内で認識可能な各1度の視角内の白黒の縞模様の周期の数として定義され、縞模様の間隔及び人間の目とディスプレイとの距離に関連する。例えば、縞模様の間隔がPであり、人間の目とディスプレイとの距離がDである場合、角度周波数fは、以下のように定義されてもよく、
【0014】
【数2】
角度周波数f(P)が15CPD~30CPDの間にあれば、色付けメカニズムを達成することができ、明確に言えば、ディスプレイ上の赤色チップ102r及び青色チップ102bでそれぞれ周囲の緑色チップ102gに色付けするために、隣接する2つの赤色チップ102rの最小間隔Psub_r及び隣接する2つの青色チップ102bの最小間隔Psub_bを15CPD~30CPDの間に調整してもよい。幾つかの実施例では、赤色チップ102r及び青色チップ102bのうちの最小の角度周波数min{f(Psub_r),f(Psub_b)}が15CPD~30CPDの間にあることのみが考慮される。角度周波数f(P)が30CPD~60CPDの間にあれば、視覚的限界メカニズムに達することができ、明確に言えば、ディスプレイ上の赤色チップ102r、青色チップ102b、及び緑色チップ102gが混光の効果に達するために、隣接する2つの赤色チップ102rの最小間隔Psub_r、隣接する2つの青色チップ102bの最小間隔Psub_b、及び隣接する2つの緑色チップ102gの最小間隔Psub_gを30CPD~60CPDの間に調整してもよい。幾つかの実施例では、第1の方向D1において、隣接する2つの緑色チップ102gの最小間隔Psub_gが最も小さいため、緑色チップ102gの角度周波数f(Psub_g)が30CPD~60CPDの間にあることのみが考慮される。
【0015】
図2に示すように、幾つかの実施例では、複数の緑色チップ102g、少なくとも1つの赤色チップ102r、及び少なくとも1つの青色チップ102bは、最小繰り返しユニット(one point unit)104を構成する。最小繰り返しユニット104は、矩形であり、無機発光ダイオードディスプレイ10を構成するように二次元的に繰り返して配列されている。なお、他の実施例では、最小繰り返しユニット104は、矩形、三角形、多角形、円形などの形態であってもよいが、本開示はこれらに限定されない。各最小繰り返しユニット104において、緑色チップ102gの数は最も多く、即ち、緑色チップ102gの数Gは赤色チップ102rの数Rよりも多く、緑色チップ102gの数Gは青色チップ102bの数Bよりも多い。幾つかの実施例では、最小繰り返しユニット104における赤色チップ102rの数Rは、青色チップ102bの数Bよりも大きい。幾つかの実施例では、最小繰り返しユニット104における赤色チップ102rの数Rは、青色チップ102bの数Bと同一である。最小繰り返しユニット104における発光ダイオードチップ102の各色のチップの比率は1:1:1(RGB)ではなく、従来のチップの配列方式と異なるため、応用上では、予めアルゴリズムにより、チップの比率に基づいて画像の再計算を行い、最後に計算された結果に基づいて、画像情報を最小繰り返しユニット104における発光ダイオードチップ102に伝送し、完全な画像を表示する。幾つかの実施例では、アルゴリズムは、一般的なサブ画素レンダリング技術を採用してもよい。
【0016】
図2に示すように、幾つかの実施例では、最小繰り返しユニット104における各発光ダイオードチップ102は、実質的に同一のサイズを有する。例えば、異なる色の発光ダイオードチップ102は、実質的に同一の平面視での面積を有する。幾つかの実施例では、最小繰り返しユニット104は、ユニット面積Sを有し、各緑色チップ102g、赤色チップ102r、青色チップ102bはそれぞれ発光面積S、S、Sを有する。幾つかの実施例では、異なる色のチップの発光面積は、同一であり、例えば、S=S=Sである。このため、表示機能を達成するために異なるサブ画素サイズを使用する従来のPentile OLEDに比べて、有機発光体の発光効率の差異に応じて異なる電流密度を追加的に調整する必要がなく、各色のサブ画素の寿命は同等であり、設計の困難性を低減させることができる。
【0017】
幾つかの実施例では、図2に示すように、無機発光ダイオードディスプレイ10の開口率(aperture ratio)A<30%となる。開口率Aは、発光ダイオードチップ102の総発光面積の最小繰り返しユニット104内の割合として定義され、以下の関係式
【0018】
【数3】
を満たす。ここで、G、R、Bは、それぞれ最小繰り返しユニット104における緑色チップ102gの数、赤色チップ102rの数、青色チップ102bの数である。従来の液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)の開口率が30%~90%に設計されることに比べて、本開示は、より低い開口率を提供することができ、無機発光ダイオードディスプレイ10における発光ダイオードチップ102のメンテナンスに有利である。
【0019】
図3A図3Bは、本発明の幾つかの実施例に係る最小繰り返しユニット104における発光ダイオードチップ102の配列を示す概略図である。幾つかの実施例では、図3Aに示すように、最小繰り返しユニット104は、複数のサブユニット106、例えば第1のサブユニット106a及び第2のサブユニット106bを含む。第1のサブユニット106a(破線ボックス)は、一部の緑色チップ102gにより構成され、第2のサブユニット106b(点線ボックス)は、残りの緑色チップ102g並びに、赤色チップ102r及び青色チップ102bにより構成される。なお、図3Aに示すように、サブユニット106は、最小繰り返しユニット104の中心をカバーする。
【0020】
幾つかの実施例では、図3Aに示すように、第1のサブユニットの中心点は、第2のサブユニットのチップ102からずれていてもよい。幾つかの実施例では、第2のサブユニットの中心点は、第1のサブユニットのチップ102からずれていてもよい。他の実施例では、図3Bに示すように、第1のサブユニットの中心点が第2のサブユニットのチップ102と重なってもよく、第2のサブユニットの中心点が第1のサブユニットのチップ102と重なってもよい。ここで、6個の緑色チップ102gは、五角形の第1のサブユニット106a(破線)を構成し、1個の赤色チップ及び1個の青色チップは、長方形の第2のサブユニット106b(点線)を構成し、この場合、緑色チップ102gは、最小繰り返しユニット104内にほぼ均一に分散されている。また、ディスプレイ全体では、赤色チップ102r及び青色チップ102bは、それぞれ、周囲の数がより多い緑色チップ102gの相対的な中心部に均一に分布している。第1のサブユニット106aの中心点と第2のサブユニット106bのチップ102からずれている図3Aに対し、図3Bにおいて、赤色チップ102r及び青色チップ102bと緑色チップ102gとは相対的に変位していない(ずれていない)ため、赤色チップ102r及び青色チップ102bで周囲の緑色チップ102gにより均一に色付けすることができるため、画像の解像度を向上させ、画像品質を向上させることができる。なお、第1のサブユニット106aと第2のサブユニット106bとは、重なり合うパターンを有し、該重なり合うパターンは、第1のサブユニット106aの中心点を含む。このため、解像度を向上させることができるだけでなく、画像品質を向上させることができる。
【0021】
図4A図4Bは、本開示の様々な実施例に係る最小繰り返しユニットにおける赤色と緑色と青色のチップの数(RGB)の比率が1:2:1である実施例を示している。まず、図4Aに示すように、幾つかの実施例では、最小繰り返しユニット104は、2個の緑色チップ、1個の赤色チップ及び1個の青色チップを含む。2個の緑色チップは、矩形の第1のサブユニット106a(破線)を構成するように配列され、1個の赤色チップ及び1個の青色チップは、矩形の第2のサブユニット106b(点線)を構成するように配列され、第1のサブユニット106aと第2のサブユニット106bとの重なり合うパターンは、第1のサブユニット106aの中心点を含む。この実施例では、色解像度の向上に加えて、図4Aに示すように、各赤色チップは、周囲の隣接する赤色チップと同一の距離を有する(L1=L2)ため、赤色チップ102rは、周囲の緑色チップ102gに均一に色付けすることができると共に、第1の方向D1及び第2の方向D2の画像品質を均等に増加させることができる。
【0022】
図4Bに示すように、幾つかの実施例では、最小繰り返しユニット104は、4個の緑色チップ、2個の赤色チップ、及び2個の青色チップを含む。4個の緑色チップが平行四辺形の第1のサブユニット106aを構成するように配列され、2個の赤色チップ及び2個の青色チップが平行四辺形の第2のサブユニット106bを構成するように配列され、且つ各赤色チップが周囲の隣接する赤色チップと異なる距離を有する(L1’≠L2’)。第1の方向D1と第2の方向D2の距離に差異があり、画像品質が両方向での効果の強弱は均等ではないため、アルゴリズムの計算を組み合わせることで、単一方向での画像品質をさらに強調することができると共に、色解像度を向上させることができる。
【0023】
図5は、本開示の様々な実施例に係る最小繰り返しユニット104における赤色と緑色と青色のチップの数(RGB)の比率が1:3:1である実施例を示している。幾つかの実施例では、最小繰り返しユニット104は、3個の緑色チップ、1個の赤色チップ及び1個の青色チップを含む。3個の緑色チップが三角形の第1のサブユニット106a(破線)を構成するように配列され、1個の赤色チップ及び1個の青色チップが長方形の第2のサブユニット106b(点線)を構成するように配列されている。図5に示すように、第1のサブユニット106aと第2のサブユニット106bとの重なり合うパターンは、第1のサブユニット106aの中心点を含むため、第1のサブユニット106a及び第2のサブユニット106bが最小繰り返しユニット104のほぼ中心に分布しており、赤色チップ102r及び青色チップ102bで周囲の緑色チップ102gに均一に色付けすることができる。このため、色解像度を向上させると共に、画像品質を向上させることができる。
【0024】
幾つかの実施例では、最小繰り返しユニット104は、互いに隣接せずに、無機発光ダイオードディスプレイ10内に行列で千鳥状に配置されてもよい。最小繰り返しユニット104間の間隔を調整することによって、第1の方向の隣接する緑色チップ102gの最小間隔Psub_gが略同一となり、色解像度を向上させ、画像品質を向上させることができる。
【0025】
図6A図6Cは、本開示の様々な実施例に係る最小繰り返しユニット104における赤色と緑色と青色のチップの数(RGB)の比率が1:4:1である実施例を示している。まず、図6Aに示すように、幾つかの実施例では、最小繰り返しユニット104は、凧形であり、無機発光ダイオードディスプレイ10を構成するように行列で千鳥状に配列されている。最小繰り返しユニット104は、4個の緑色チップ、1個の赤色チップ及び1個の青色チップを含む。4個の緑色チップが菱形の第1のサブユニット106a(破線)を構成するように配列され、1個の赤色チップ及び1個の青色チップが長方形の第2のサブユニット106b(点線)を構成するように配列されている。図6Aに示すように、第1のサブユニット106aと第2のサブユニット106bとの重なり合うパターンは、第1のサブユニット106aの中心点を含むため、第1のサブユニット106a及び第2のサブユニット106bは最小繰り返しユニット104のほぼ中心に分布しており、赤色チップ102r及び青色チップ102bは周囲の緑色チップ102gに均一に色付けすることができる。このため、色解像度を向上させると共に、画像品質を向上させることができる。
【0026】
図6Bに示すように、幾つかの実施例では、最小繰り返しユニット104は、8個の緑色チップ、2個の赤色チップ及び2個の青色チップを含む。4個の緑色チップが矩形の第1のサブユニット106a(破線)を構成するように配列され、2個の赤色チップ及び2個の青色チップが矩形の第2のサブユニット106b(点線)を構成するように配列され、残りの4個の緑色チップが矩形の第3のサブユニット106c(一点鎖線)を構成するように配列され、且つ該サブユニット(106a、106b、106c)が互いに重なり合うため、色解像度を向上させると共に、画像品質を向上させることができる。
【0027】
図6Cに示すように、幾つかの実施例では、最小繰り返しユニット104は、4つの緑色チップ、1つの赤色チップ及び1つの青色チップを含む。図6Cに示すように、4個の緑色チップは、長方形の第1のサブユニット106aを構成するように配列され、1個の赤色チップ及び1個の青色チップは、長方形の第2のサブユニット106bを構成するように配列され、第1のサブユニット106a及び第2のサブユニット106bは、最小繰り返しユニット104のほぼ中心に分布している。なお、最小繰り返しユニット104は、無機発光ダイオードディスプレイ10内に隣接し、且つ行列で千鳥状に配置されているため、色解像度を向上させると共に、画像品質を向上させることができる。
【0028】
図7A図7Cは、本開示の実施例と従来のディスプレイのチップ配列との差異をコンピュータによりシミュレートする図である。図7A及び図7Cは、コンピュータによりシミュレートされたサブ画素が従来のRGBストライプ(RGB Stripe)配列により形成された画像であり、その差異として、図7Cの画像解像度は図7Aの2倍である。図7Bは、コンピュータによりシミュレートされたサブ画素が赤色と緑色と青色のチップ数(RGB)の比率が1:2:1(図4Aに示す実施例)で形成された画像である。図7B図7Aとを比較して分かるように、図7Bの解像度が図7Aよりも高く、且つ、本開示の図7Bの実施例は、最小繰り返しユニット104内に1個の緑色チップを追加するだけで、従来のRGBストライプ(RGB Stripe)配列の2倍に相当する解像度(図7C)に向上させ、繊細な画像品質を向上させることができる。
【0029】
なお、本開示では、無機発光ダイオードディスプレイのサブ画素配列構造を概略的に説明するが、他のサブ画素配列構造を使用してもよい。例えば、異なるタイプの無機発光ダイオードチップを使用してもよいし、異なる発光面積の無機発光ダイオードチップを使用してもよいし、より少ない又は追加的な緑色チップ、赤色チップ、青色チップを使用してもよい。また、設計の必要性に応じて、緑色チップ間の最小間隔と赤色チップ又は青色チップの間の最小間隔との関係を調整して、無機発光ダイオードディスプレイを形成してもよい。
【0030】
なお、本発明の範囲は、上記の技術的特徴の特定の組み合わせからなる技術的解決策に限定されるものではなく、上記の技術的特徴又はその同等の特徴の任意の組み合わせからなる他の技術的解決策を含む。上記の各実施例は、任意に組み合わせて新たな実施例を形成することができ、全ての組み合わせで形成された新たな実施例は本発明の範囲内のものである。
【0031】
本開示に係るディスプレイのサブ画素の配列は、ディスプレイの設計要求に応じて、人間の目が緑色の帯域に対してより敏感であるという特性を利用して、ディスプレイに数が最も多い緑色チップを設けることで、ディスプレイの画像解像度を向上させ、画像品質を向上させることができる。例えば、ディスプレイを行列で平行となり、且つ/或いは千鳥状に配列された最小繰り返しユニットに分割し、また、各最小繰り返しユニット内に赤色チップ、青色チップ、及び数が最も多い緑色チップを配置してもよい。最小繰り返しユニット内のチップの配列方式は、数が最も多い緑色チップを最小繰り返しユニット内にほぼ均一に分散させ、赤色チップ及び青色チップをディスプレイ内の全ての緑色チップの平均中心位置近傍にほぼ分散させてもよい。例えば、最小繰り返しユニットは、第1のタイプのサブユニットと第2のタイプのサブユニットとの2つに大別される複数のサブユニットを含んでもよい。第1のタイプのサブユニットは、少なくとも2個の単一色のチップ、例えば2個の緑色チップ又は2個よりも多い緑色チップを含むが、これに限定されない。幾つかの実施例では、第1のタイプのサブユニットは、複数、例えば、2個以上の第1のタイプのサブユニットを有してもよい。第2のタイプのサブユニットは、少なくとも2つの異なる色のチップ、例えば、1個の赤色チップ及び1個の青色のチップを含み、幾つかの実施例では、第2のタイプのサブユニットは、1個の赤色のチップ、1個の青色のチップ、及び2個の緑色のチップを含んでもよい。ディスプレイに最も多い緑色チップを設置し、且つ緑色チップ間の最小間隔を調整することによって、画像解像度を向上させ、画像品質を向上させることができると共に、チップの使用を減少させ、コストを低減させることができる。
【0032】
なお、本発明の幾つかの実施例及びその利点を詳細に説明したが、本発明の保護範囲によって定義される本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換及び変形が可能である。例えば、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された多くの構成要素、機能、工程及び材料を変更することができることを容易に理解するであろう。さらに、本明細書の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、機械、製造、物質組成、方法及びステップの特定の実施例に限定されない。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明から容易に理解することができ、現在又は将来開発されるプロセス、機械、製造、物質組成、方法又はステップは、本明細書に記載された対応する実施例と実質的に同様な機能を達成し、或いは実質的に同様な結果を達成することができる限り、本発明の実施例に従って使用することができる。従って、本発明の保護範囲は、上記のプロセス、機器、製造、物質組成、方法又はステップを含む。
【符号の説明】
【0033】
10:ディスプレイ
100:基板
102:発光ダイオードチップ
102g:緑色チップ
102r:赤色チップ
102b:青色チップ
104:最小繰り返しユニット
106:サブユニット
106a:第1のサブユニット
106b:第2のサブユニット
106c:第3のサブユニット
D1、D2:方向
L1、L2、L1’、L2’:距離
sub_r、Psub_g、Psub_b:最小間隔
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C