(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】封筒
(51)【国際特許分類】
B65D 27/22 20060101AFI20240918BHJP
B65D 27/36 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
B65D27/22
B65D27/36
(21)【出願番号】P 2019181769
(22)【出願日】2019-10-01
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】723008703
【氏名又は名称】渋谷 育路
(72)【発明者】
【氏名】澁谷育路
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-041819(JP,U)
【文献】実開平04-038954(JP,U)
【文献】米国特許第04240577(US,A)
【文献】意匠登録第1645506(JP,S)
【文献】意匠登録第1567905(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 27/20
B65D 27/22
B65D 27/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部を有する収納部と、前記開口部背面から延設して構成されるベロと、前記ベロと対向するように前記開口部の正面に横長の帯とを備えた封筒であり、
前記ベロは前記開口部と前記ベロの境に折れ筋Aと、ベロ先端Sと前記折れ筋Aの間に平行な折れ筋Bを設けてあり、前記帯は両端を収納部に固定して構成され、
前記帯の中央下部に収納部との隙間が生じて、前記隙間に前記ベロ先端Sを差し込み、前記開口部を一時的に閉じることが可能な開閉自在な形状であり、
前記ベロ先端Sに延設して凸状の爪を設けて構成され、、前記爪は前記ベロ先端Sから封筒の収納部の背面側に折り返した形状であり、前記爪は開閉する際のつまみとしての役割を持ち、
前記ベロ先端Sを差し込み固定した状態では、前記爪は前記帯より長く、前記帯から前記爪の先が飛び出て格納され、
前記ベロ先端Sと前記爪が合わさる部分を接着し、前記ベロ先端Sは接着部分に厚みができることで挿入しやすい形状を構成する封筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開閉自由な封筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来品である封筒は、以下の通りである。特許文献1に示される先行技術である封筒は、封じ片の先端に折れ線を二重に設けた封じ片の先端を内側に折り、綺麗に接着できる利点がある封筒である。また、開閉と封緘することが可能な封筒を特許文献2、3に示す。特許文献2に示される先行技術である封筒は、フラップ部、もしくは袋全体に剥離性接着剤を塗布したことを特徴とする封筒である。特許文献3に示される先行技術である封筒は、帯と半円孤状のスリットを設けたベロが特徴とする封筒である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実願2018-2348
【文献】特願2016-96989
【文献】実願2016-711
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に示される先行技術である封筒は、接着剤が弱くなると、ベロをしっかり固定して閉じて使用することができなくなる欠点があり、効果が持続化しない。また、特許文献3に示される先行技術である封筒は、素材の厚みが開閉のしやすさに影響する欠点があった。本発明の目的は、ベロを固定するための接着剤、マルタック、面テープを備えずに、封入物の落下防止と開閉自由な効果を持ち、封入物の形状に開閉のしやすさが左右されにくい構造を備えた封筒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の目的を達成するために、上部に開口部を有する収納部と、前記開口部背面から延設して構成されるベロと、前記ベロと対向するように前記開口部の正面に横長の帯とを備えた封筒であり、前記ベロは前記開口部と前記ベロの境に折れ筋Aと、ベロ先端Sと前記折れ筋Aの間に平行な折れ筋Bを設けてあり、前記帯は両端を収納部に固定して構成され、前記帯の中央下部に収納部との隙間が生じて、前記隙間に前記ベロ先端Sを差し込み、前記開口部を一時的に閉じることが可能な開閉自在な形状から構成される封筒である。
【発明の効果】
【0006】
本発明において、ベロの先端を帯の中央下部と収納部に生じた隙間に差し込むことにより、ベロを一時的に固定することが可能になり、封入物の落下防止と開閉自由な効果を持ち、封入物の形状に開閉のしやすさが左右されにくい構造を備えた封筒である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態においてベロを開いた状態での正面図
【
図2】実施形態においてベロを開いた状態での背面図
【
図3】実施形態においてベロを固定した状態での正面図
【
図4】実施形態においてベロを固定した状態でのA-A断面図
【
図6】実施形態においてベロを開いた状態での立体説明図
【
図8】実施形態において爪を設けた構造でベロを開いた状態での背面図
【
図9】実施形態において爪を設けた構造でベロを固定した状態での正面図
【
図10】施形態において爪を設けた構造でベロを固定した状態でのB-B断面図
【
図11】実施形態において爪を設けた構造でベロを開いた状態での立体説明図
【
図12】実施形態において爪を設けた構造でベロを固定した状態での立体説明図
【
図13】実施形態において爪を設けた構造でベロを開いた状態の各パーツの長さを示した説明図
【
図14】実施形態において爪を設けた構造で固定した状態の各パーツの長さを示した説明図
【
図17】実施形態において帯を組み立て途中の立体説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の形態を
図1~6に基づいて説明をする。本実施形態は、開口部(1)を有する収納部(2)と、開口部(1)の背面側から延設して構成されるベロ(3)と、開口部(1)の正面側に横長の帯(4)とを備えていることを特徴とした封筒である。
【0009】
また、封筒本体の正面は帯(4)を備えた側、背面はベロ(3)を備えた側と定めるとする。開口部(1)は上側を向いた状態とする。
【0010】
ベロ(3)は収納部(2)から延設して構成される。ベロ(3)の形状は、開口部(1)とベロ(3)の境に折れ筋A(5)を設け、折れ筋A(5)とベロ先端S(7)の間に折れ筋B(6)を設けた構造である。折れ筋A(5)と折れ筋B(6)とベロ先端S(7)は、平行に設けてある。
【0011】
帯(4)は、開口部(1)と平行に設けてあり、開口部(1)の正面の下側の位置に設けて構成される。帯(4)の形状は、横長の形で、両端を収納部(2)に固定して構成される。帯(4)の中央下部(8)は、収納部(2)と固定せずに、帯(4)と収納部(2)の間に隙間が生じるように構成される。
【0012】
収納部(2)と帯(4)の間に生じた隙間に、ベロ先端Sを(7)差し込むことにより、折れ筋B(6)は折れて、ベロ先端(7)は隙間に入り、折れ筋B(6)からベロ先端(7)までの部分は、隙間に収まる。ベロの先端(7)が、折れ筋B(6)で折れ、隙間に収納され、帯(4)に引っ掛かり固定される。ベロ(3)を帯(4)に固定することにより、封筒を逆さにしても封入物が落下しない。
【0013】
収納部(2)に両端を固定した帯(4)の中央下部(8)に、収納部(2)と帯(4)の隙間が生じて、ベロ先端S(7)を差し込みするための隙間ができる。その隙間に、ベロ先端S(7)を差し込みすることによりベロ(3)を固定することが可能である。また、隙間に差し込んだベロ先端S(7)を取り外すことにより、ベロ(3)を開くことが可能で、開閉を自由にすることが可能な構造を備えた封筒である。
【0014】
ベロ(3)を固定した状態、もしくは、ベロ(3)を閉じた状態とは、開口部(1)は閉じた状態を示し、ベロ(3)を開いた状態とは、開口部(1)が開いた状態を示す。
【0015】
折れ筋とは、折れ目が付けられた状態、もしくは、折れ曲がった状態を示す。
【0016】
ベロ(3)は収納部(2)から延設して構成され、同一素材で構成されることが望ましいが、別パーツの別素材でも構成することも可能である。
【0017】
帯(4)は、開口部(1)の正面から延設して設けるか、別のパーツを開口部(1)の正面に固定して設けても良い。帯(4)は、封筒本体と同一素材で構成されている、もしくは、別素材で両端を封筒本体に固定した構造でも良い。固定とは、接着でも良いが、粘着テープで貼り付ける方法など他の固定方法でも良い。
【0018】
ジッパーや面テープを使用しない構造で、開閉を繰り返すことが可能な構造なので、材料は紙と接着剤のみで構成される構造のため、ジッパーや面テープのコストに比べて、コストの負担が少ない。
【0019】
開閉を繰り返すことが可能な構造であるので、乾燥させた接着剤を備えたことを特徴の封筒と異なり、使用回数による効果の劣化はなく、効果は持続化する。
【0020】
ベロ先端S(7)を、封筒本体の開口部(1)の正面に設けた帯(4)の中央下部(8)の隙間に差し込む際、ベロ(3)を手前に引っ張り、封筒本体をしならせる必要がない為、封入物の硬度や形状に開閉のしやすさが左右されにくい構造である。
【0021】
以下、本実施形態の構造を
図7に基づいて説明をする。
図1~6に示した封筒の開閉をよりスムーズに行うことがより最適な各パーツの寸法について説明した図である。
【0022】
各パーツの幅の長さをL1~L3として、以下に説明する。〇折れ筋A(5)から前記折れ筋B(6)までの幅の長さをL1とする。〇折れ筋B(6)から先端S(7)までの長さをL2とする。〇帯(4)の幅の長さをL3とする。
【0023】
L1~L3を比較した長さを以下に説明する。〇折れ筋A(5)から前記折れ線B(6)までの幅の長さL1は、折れ筋B(6)から先端S(7)までの長さL2より長い。〇折れ筋A(5)から前記折れ線B(6)までの幅の長さL1は、帯(4)の幅の長さL3より長い、もしくは、等しい。〇折れ筋B(6)から先端S(7)までの長さL2は、帯(4)の幅の長さL3より短い。〇「前記L1≧前記L3>前記L2」が成立する。
【0024】
各々の長さの差は以下に説明する。〇L1>L2の長さの差は、1~10mm程度とする。〇L1>L3の長さの差は、0~10mm程度とする。〇L2<L3の長さの差は、1~10mm程度とする。
【0025】
各々の幅の長さが、「前記L1≧前記L3>前記L2」としたとき、ベロ(3)の開閉をよりスムーズに行うことが可能である。
【0026】
折れ線A(5)から折れ線B(6)までの幅の長さL1が、帯(4)の幅の長さL3より長いとき(L1>L3)、折れ筋B(6)の折れ曲がる部分と、帯(4)に隙間が生まれる為、帯(4)にベロ先端S(7)を差し込みやすく、帯(4)から固定されたベロ(3)は指を引っ掛けて開きやすくなり、開閉しやすい構造となる。
【0027】
ベロ先端S(7)から折れ筋B(6)までの幅の長さL2が、帯(4)の幅の長さL3より短いとき(L2<L3)、帯(4)に格納されたベロ(3)を取り外しやすい。
【0028】
帯(4)の幅の長さとは、帯(4)は横長の形状であり、縦の短い長さを示す。
【0029】
L1、L2、L3を比較した長さの差は、封筒本体の素材の厚みにより若干左右されるものとする。
【0030】
以下、本発明の形態を
図8~14に基づいて説明をする。実施形態1、もしくは、実施形態2の構造に、ベロ先端S(7)に凸状の爪(9)を設けて、つまみを構成した構造を持つことを特徴とした封筒である。
【0031】
つまみは、ベロ先端S(7)に延設して凸状の爪(9)を設けて構成される。爪(9)は前記ベロ先端S(7)から封筒の収納部(2)の背面側に折り返した形状である。
【0032】
爪(9)の長さをL4とする。爪(9)の長さL4は、前記折れ筋A(5)から前記折れ筋B(6)までの幅の長さL2より長く、「L4>L2」が成立する
【0033】
帯(4)と収納部(2)の間に生じた隙間に、ベロ先端S(7)を差し込み固定した状態では、ベロ先端S(7)に設けた凸状の爪(9)は、帯(4)より長いので、帯(4)から爪(9)の先が飛び出て格納される。
【0034】
帯(4)と収納部(2)の間に生じた隙間に、ベロ先端S(7)を差し込み固定したベロ先端S(7)が帯(4)から取り外しする際に、飛び出た状態で格納される爪(9)を引っ張ることにより容易に取り外し可能である。
【0035】
ベロ先端S(7)を差し込むと、帯(4)から爪(9)の先が飛び出て格納される。飛び出て格納される爪(9)を引っ張ることにより、ベロ先端S(7)が帯(4)から外しやすくなり、開閉をスムーズに繰り返し行うことが可能である。
【0036】
ベロ先端S(7)と爪(9)が合わさる部分を3~10mm程度、接着することにより、ベロ先端S(7)に厚みが加わり、帯(4)に差し込みやすい。また、ベロ先端S(7)を帯(4)に差し込むときに、爪(9)が邪魔にならず入れやすい。
【0037】
凸状の爪(9)の形状は、半円孤状、四角い形状、記号・マーク・キャラクターの形状である。
【0038】
爪(9)の形状は、封筒本体と同一用紙で一緒に切り抜きされた構造でも、ベロ先端(7)と反対側を向くように設けて型抜きされた構造でも良い。
【0039】
爪(9)は、つまみとしての機能を果たすものとする。
【0040】
帯(4)飛び出て格納される爪(9)とは、帯(4)から爪(9)の先端がはみ出す状態と、帯(4)から爪(9)の先が突出した状態と同様な状態を示す。また、帯(4)から飛び出て格納される爪(9)の長さは、爪(9)の長さL4と、ベロ先端(7)から折れ筋B(6)までの長さの差L2であり、L4-L2である。
【0041】
以下、本実施形態の組み立て構造を
図15~17に基づいて説明をする。
実施形態1、実施形態2、実施形態3のいずれかの構造の帯(4)を組み立て式にした形状の封筒である。
【0042】
開口部(1)の正面に備えた帯(4)を組み立て式にした形状で、帯(4)は組み立て部(11)とのりしろ部(10)から構成される。組み立て部(11)は、長方形で開口部(1)から延設して設けてあり、
開口部(1)と延設部分の境の折れ筋C(12)と、折れ筋C(12)からL1の長さよりもやや短い距離に折れ筋D(13)を設ける。
【0043】
折れ筋C(12)と折れ線D(13)を折り曲げ、のりしろ部(10)を収納部(2)に固定して、帯(4)を組み立てる。
【0044】
のりしろ部(10)は、組み立て部(11)に隣接して設けてあり、のりしろ部(10)を組み立て部(11)設置する位置と、のりしろ部(10)の形状は限定しない。また、のりしろ部(10)は、組み立て部(11)を延設して同一素材で構成される、もしくは、組み立て部(11)に固定して構成される。
【0045】
組み立て部(11)に折れ筋D(13)を設けて、折り曲げて2重に構成するとより強度が高まる。一方、折れ筋D(13)を設けず、組み立て部(11)と帯(4)の同一の大きさの場合、折り返ししない1重の形状として構成した帯の場合、2重にした場合より強度が落ちてしまう。また、1重の場合は強度を保つために、収納部(2)と異なる素材にする必要などがある。
【0046】
帯(4)は組み立て式において、基本的に封筒本体と同一の素材で構成さる。また、折り返して組み立てる構造により、収納部(2)と帯(4)の素材が同一でも強度を保つことが可能である。
【0047】
開口部(1)から延設した長方形の組み立て部(11)は、開口部(1)と組み立て部(11)の境の折れ筋C(12)、折れ筋C(12)からL3の距離に折れ筋D(14)、のりしろ部(10)から構成される。
【0048】
帯(4)が組み立て式の形状であり、折れ線C(12)と折れ線D(13)を正面へ折り曲げ、のりしろ部(10)を収納部(2)に固定することで、帯(4)の組み立て部(11)は完成する構造であり、収納部(2)と帯(4)を同一素材で構成される組み立て式の封筒である。
【符号の説明】
【0049】
1開口部
2収納部
3ベロ
4帯
5折れ筋A
6折れ筋B
7ベロ先端
8中央下部
9爪
10のりしろ部
11組み立て部
12折れ筋C
13折れ筋D