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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】吐出キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
B65D47/20 300
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021108895
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006343
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
(72)【発明者】
【氏名】立藏 亮
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-180959(JP,U)
【文献】特開2020-147293(JP,A)
【文献】特開2020-19496(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0139620(US,A1)
【文献】特表2007-516907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00 - 55/16
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体収納用の容器体(100)の口頸部(102)に装着される装着筒(6)の上端に、空気置換用口(24)を有する頂壁(20)を付設するとともに、この頂壁(20)から吐出筒(22)を起立するキャップ本体(4)と、
前記空気置換用口(24)内に配備され、かつ上端側に押込み操作用の操作面(f)を有する釦部材(40)と
を具備しており、
前記釦部材(40)は、前記空気置換用口(24)の周囲から縦設させた保持壁部(26)により、前記空気置換用口(24)内に保持されており、かつ、この空気置換用口(24)の内部を通る空気路(P)を開閉させる空気弁(A)を画成する弁体部(B)を備えた注出キャップにおいて、
前記保持壁部(26)として、前記空気置換用口(24)の周囲から筒状の下側保持壁部(26A)が垂設されており、
前記釦部材(40)は、少なくとも、大径の釦脚部(42)と、この釦脚部(42)より上方へ突設された小径の釦頭部(48)とを備えており、
当該釦頭部(48)の上端面を前記操作面(f)として前記頂壁(20)より上位に配置するとともに、
前記釦脚部(42)が、前記下側保持壁部(26A)内に下方から嵌合できるように設けており、
前記釦部材(40)は、大径の前記釦脚部(42)である脚筒部から、小径の有頂筒状の前記釦頭部(48)を立設しており、前記空気弁(A)は、前記釦頭部(48)が有する弾性頂板(52)にスリット(54)を穿設することにより形成されており、前記空気路(P)は、前記釦脚部(42)及び前記釦頭部(48)の内部に形成されたことを特徴とする、注出キャップ。
【請求項2】
液体収納用の容器体(100)の口頸部(102)に装着される装着筒(6)の上端に、空気置換用口(24)を有する頂壁(20)を付設するとともに、この頂壁(20)から吐出筒(22)を起立するキャップ本体(4)と、
前記空気置換用口(24)内に配備され、かつ上端側に押込み操作用の操作面(f)を有する釦部材(40)と
を具備しており、
前記釦部材(40)は、前記空気置換用口(24)の周囲から縦設させた保持壁部(26)により、前記空気置換用口(24)内に保持されており、かつ、この空気置換用口(24)の内部を通る空気路(P)を開閉させる空気弁(A)を画成する弁体部(B)を備えた注出キャップにおいて、
前記保持壁部(26)として、前記空気置換用口(24)の周囲から、筒状の上側保持壁部(26B)が立設されており、
前記釦部材(40)は、大径の釦脚部(42)である脚筒部から複数の弾性支承片(44)を介して中径の釦胴部(46)を立設するとともに、この釦胴部(46)から小径の釦頭部(48)を起立してなり、
前記空気路(P)は、前記上側保持壁部(26B)の上端開口から前記釦脚部(42)の下端開口まで前記上側保持壁部(26B)及び前記釦胴部(46)の間を経由して連続しており、
この釦胴部(46)は、前記弁体部(B)を兼ねており、
前記空気弁(A)は、前記釦胴部(46)の外周面である弁体面(a2)と、前記上側保持壁部(26B)の内周面である弁座面(a1)とで形成されたことを特徴とする、注出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
ラー油・食酢などの吐出キャップとして、容器体の口頸部へ嵌着可能な環状の装着筒から縦方向への弾性圧縮可能な押釦兼用の帽状部を起立するとともに、この帽状部の下端部分から側外方へ吐出ノズルを突設したものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平2-25458
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の吐出キャップは、少量の液体を徐々に吐出させたいときと多量の液体をより勢いよく吐出させたいときとの使い分けが困難であった。
【0005】
本発明の第1の目的は、弁機構を利用して、吐出筒から液体を少量吐出するモードと吐出筒から大量吐出するモードとの切り替えができる吐出キャップを提供することである。
本発明の第2の目的は、弁機構を利用して吐出筒から液体を少量吐出するモードと大量吐出するモードとを簡単に切り替えできる吐出キャップを提供することである。
本発明の第3の目的は、弁機構を利用した使い勝手のよい吐出キャップの提供である。
なお、本明細書で「少量吐出」という用語は単位時間内に少量の液体を吐出することを、「大量吐出」という用語は単位時間内に大量の液体を吐出することを意味するものとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
まず本発明の基本的構成について説明する。
基本的な構成は、液体収納用の容器体100の口頸部102に装着される装着筒6の上端に、空気置換用口24を有する頂壁20を付設するとともに、この頂壁20から吐出筒22を起立するキャップ本体4と、
前記空気置換用口24内に配備され、かつ上端側に押込み操作用の操作面fを有する釦部材40と
を具備しており、
前記釦部材40は、前記空気置換用口24の周囲から縦設させた保持壁部26により、前記空気置換用口24内に保持されており、かつ、この空気置換用口24の内部を通る空気路Pを開閉させる空気弁Aを画成する弁体部Bを備える。
【0007】
前記基本的構成では、図1(A)又は図4(A)に示すように、キャップ本体4の頂壁20に空気置換用口24が設けられている。
またこの前記空気置換用口24内に配備され、かつ上端側に押込み操作用の操作面fを有する釦部材40を具備している。
この釦部材40は、空気置換用口24の周囲から縦設させた保持壁部26により、空気置換用口24内に保持されており、かつ、空気置換用口24の内部を通る空気路Pを開閉させる空気弁Aを画成する弁体部Bを備える。
この構造によれば、前記弁体部Bで画成される空気弁Aを利用して、空気置換用口24から外気を導入しつつ大量に液体を吐出するモードと、外気を導入せずに少量の液体を吐出するモードとを選択することができる。
【0008】
の手段は、前記基本的構成を有し、かつ前記保持壁部26として、前記空気置換用口24の周囲から筒状の下側保持壁部26Aが垂設されており、
前記釦部材40は、少なくとも、大径の釦脚部42と、この釦脚部42より上方へ突設された小径の釦頭部48とを備えており、
当該釦頭部48の上端面を前記操作面fとして前記頂壁20より上位に配置するとともに、
前記釦脚部42が、前記下側保持壁部26A内に下方から嵌合できるように設けており、
前記釦部材40は、大径の前記釦脚部42である脚筒部から、小径の有頂筒状の前記釦頭部48を立設しており、前記空気弁Aは、前記釦頭部48が有する弾性頂板52にスリット54を穿設することにより形成されており、前記空気路Pは、前記釦脚部42及び前記釦頭部48の内部に形成された。
【0009】
本手段では、図1(A)又は図4(A)に示すように、前記保持壁部26として、前記空気置換用口24の周囲から筒状の下側保持壁部26Aが垂設されている。
また前記釦部材40は、少なくとも、大径の釦脚部42と、この釦脚部42より上方へ突設された小径の釦頭部48とを備えている。
前記釦頭部48の上端面を前記操作面fとして前記頂壁20より上位に配置されている。
この構造によれば、押釦である釦頭部の位置が一目で分かり、使い勝手がよい。
また前記釦脚部42は前記下側保持壁部26A内に下方から嵌合できるように設けられている。
この構造によれば、キャップ本体4の頂壁20に対して釦部材40を簡単に組み付けることができる。
また本手段では、図4(A)に示すように、前記釦部材40は、大径の釦脚部42である脚筒部から、小径の有頂筒状の釦頭部48を立設している。そしてこの釦頭部48が有する弾性頂板52にスリット54を穿設することにより前記空気弁Aが形成されている。
なお、前記空気路Pは、前記釦脚部42及び釦頭部48の内部に形成されている。
この構造によれば、図6(A)に示すように、釦頭部48を押さずに容器体を傾けると少量吐出モードで吐出することができ、また図6(B)に示すように、釦頭部48を少し押し込みながら容器体を傾けることで大量吐出モードで吐出できるので、2つのモードを使い分けることができ、かつ、これらのモードを簡単に切り替えることができる。
【0010】
の手段は、前記基本的構成を有し、かつ前記保持壁部26として、前記空気置換用口24の周囲から、筒状の上側保持壁部26Bが立設されており、
前記釦部材40は、大径の釦脚部42である脚筒部から複数の弾性支承片44を介して中径の釦胴部46を立設するとともに、この釦胴部46から小径の釦頭部48を起立してなり、
前記空気路Pは、前記上側保持壁部26Bの上端開口から前記釦脚部42の下端開口まで前記上側保持壁部26B及び前記釦胴部46の間を経由して連続しており、
この釦胴部46は、前記弁体部Bを兼ねており、
前記空気弁Aは、前記釦胴部46の外周面である弁体面a2と、前記上側保持壁部26Bの内周面である弁座面a1とで形成された。
【0011】
本手段では、図1(A)又は図4(A)に示すように、前記保持壁部26として、前記空気置換用口24の周囲から、筒状の上側保持壁部26Bが立設されている。
この構造によれば、例えば釦頭部に他物が当たるなどして、釦部材40が不意に上方へ外れることがなく、使い勝手がよい。
また本手段では、図1(A)に示すように、前記釦部材40は、大径の釦脚部42である脚筒部から複数の弾性支承片44を介して中径の釦胴部46を立設するとともに、この釦胴部46から小径の釦頭部48を起立してなる。
前記空気路Pは、上側保持壁部26Bの上端開口から釦脚部42の下端開口まで上側保持壁部26B及び釦胴部46の間を経由して連続している。
そして、前記釦胴部46は、前記弁体部Bを兼ねており、釦胴部46の外周面である弁体面a2と前記上側保持壁部26Bの内周面である弁座面a1とにより、前記空気弁Aが形成されている。
この構造によれば、図3(A)に示すように、釦頭部48を押さずに容器体を傾けると少量吐出モードで吐出することができ、また図3(B)に示すように、釦頭部48を少し押し込みながら容器体を傾けることで大量吐出モードで吐出できるので、2つのモードを使い分けることができ、かつ、これらのモードを簡単に切り替えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、弁機構を利用して、吐出筒から液体を少量吐出するモードと吐出筒から大量吐出するモードとを切り替えることができる。
また本発明によれば、弁機構を利用して、使い勝手を良好とすることができ、例えば吐出筒から液体を少量吐出するモードと大量吐出するモードとを簡単に切り替え可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る吐出キャップを側方から見た構造を示しており、同図(A)は、吐出キャップの全体の断面図、同図(B)は要部の断面図である。
図2図1に示す吐出キャップの開蓋状態での平面図である。
図3図1に示す吐出キャップの作用説明図であり、同図(A)は少量吐出モードの状態を、同図(B)は大量吐出モードの状態をそれぞれ示している。
図4】本発明の第2実施形態に係る吐出キャップを側方から見た構造を示しており、同図(A)は、吐出キャップの全体の断面図、同図(B)は要部の断面図である。
図5図4に示す吐出キャップの開蓋状態での平面図である。
図6図4に示す吐出キャップの作用説明図であり、同図(A)は少量吐出モードの状態を、同図(B)は大量吐出モードの状態をそれぞれ示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1から図3は、本発明の第1の実施形態に係る吐出キャップを示している。
吐出キャップ2は、本実施形態では、図1(A)に示す如く、キャップ本体4と上蓋30と釦部材40とからなる。もっとも上蓋を省略しても構わない。これら各部材は、例えば合成樹脂で形成することができる。
【0019】
キャップ本体4は、図1(A)に示す如く、液体収納用の容器体100の口頸部102に装着される装着筒6と、この装着筒6の上端に連設させて口頸部102の上面開口を覆う頂壁20とを有している。そして前記頂壁20の前部からは後述の吐出筒22が立設されている。
なお、本明細書では、説明の便宜のために、図1(A)の右側を“後”と、同図の左側を“前”と、紙面と直交する方向を“左右”と称する。
図示例の装着筒6は、外筒部8と内筒部10との上端を環状壁部12で連結させた2重筒である。
前記外筒部8と内筒部10との間には、前記口頸部102が挟持されている。
もっとも、前記装着筒6の構造は適宜変更することができる。例えば、装着筒6は、口頸部102の外面へ螺合可能なネジ筒とすることができる。
また前記外筒部8の内面下部には、前記口頸部102に係止させる係合突部9が付設されている。
また前記装着筒6の後部上端には、ヒンジ29を介して上蓋30が連結されている。
【0020】
本実施形態では、前記環状壁部12の上面からは、上蓋30側へ係合させるための蓋係合突部14が立設されている。
本実施形態では吐出キャップ2を分別廃棄するために、図2に示す如く、キャップ本体4に公知の縦方向引き裂きラインL1及び周方向引き裂きラインL2が相互に連続させて設けられている。
縦方向引き裂きラインL1は、ヒンジ29の近傍で、外筒部8の外周面に、当該外周面の上端から下端付近まで平面視V字形で縦溝状の外周切込み部cを穿設するとともに、この外周切込み部cの内方先端部を外筒部8の内周面に近接させることにより、これら内方先端部と外筒部8の内面との間の薄肉部として形成されている。
また周方向引き裂きラインL2は、図2に示す如く、外筒部8の上端面から、外周切込み部cより周方向に延びるスリット溝18を穿設し、かつ、図1(A)に示す如く、このスリット溝18の底面の内端を外筒部8の内周面に近接させることにより、これら底面の内端と外筒部8の内周面との間の薄肉部として形成される。
また外筒部8の上部には、前半部に、図2に示すように、ほぼ180°の円弧範囲で平面視円弧状の段凹部16が設けられている。この段凹部16に対して、上蓋30側から突設する後述の被覆壁34を近接させている(図1(A)参照)。
これらの構造は適宜変更することができる。
【0021】
本実施形態では、前記頂壁20の前半部に貫通孔21を穿設し、この貫通孔21の周囲から前記吐出筒22が立設されている。
またこの吐出筒22の下部に連設させて、貫通孔21の周囲から有底の流れ規制筒23が垂設されている。この流れ規制筒23の筒壁には、適数の連通孔hが開口されており、当該筒壁の下端部を閉塞することにより、液体が過剰に吐出されることを規制するように設けている。
図示例では、流れ規制筒23の筒壁の前壁側に第1連通孔h1が、また流れ規制筒23の筒壁の後壁側に第2連通孔h2がそれぞれそれ設けられている。もっとも、連通孔の個数及び配置は適宜変更することができる。
【0022】
本発明においては、前記頂壁20の適所(図示例では後半部)に、空気置換用口24が開口されている。
この空気置換用口24は、この空気置換用口24の内部を通過する空気路Pを残して、後述の釦部材40を取り付ける部位であり、釦部材40の取付口と空気置換の流入口とを兼ねている。
本実施形態では、前記空気路Pは、後述の上側保持壁部26Bの上端開口から後述の釦脚部42の下端開口まで上側保持壁部26B及び後述の釦胴部46の間を経由して連続している(図1(B)参照)。
空気置換用口24の周囲には、前記釦部材40を保持するための保持壁部26が縦設されている。
前記保持壁部26は、例えば筒状に形成することができる。なお、本明細書において、「筒状」というときには、周方向に適数の切割りを穿設した間欠筒状を含むものとする。
本実施形態では、保持壁部26として、空気置換用口24の周囲から垂設された下側保持壁部(下側保持筒)26Aと、空気置換用口24の周囲から立設された上側保持壁部(上側保持筒)26Bとが設けられている。
前記下側保持筒26Aは、釦部材40を嵌着させるための部位であり、図示例では、図1(B)に示す如く、空気置換用口24の周縁から一定の距離iを置いた箇所から垂設されている。そして、下側保持筒26Aの筒壁の内面下部には、下側係止リブr1が周設されている。
次に前記上側保持筒26Bは、前記釦部材40を空気置換用口24内に上側から保持するための部位である。本実施形態では、前記上側保持筒26Bは、空気置換用口24の周縁から上内方へ突設した上端小径のテーパ状壁部27Aと、このテーパ状壁部27Aの上端から起立した垂直筒部28とで形成されている。
前記テーパ状壁部27Aの内周面は、図1(B)に示すように、側方から見てテーパ状でありかつ下方から見て円環状の傾斜面に形成されている。この傾斜面は、後述の空気弁Aの弁座面a1としての役割を有する。
前記垂直筒部28の外面上端には、上側係止リブr2が周設されている。また垂直筒部28の上端面には、図1(B)に示す如く、この垂直筒部28の筒壁を筒径方向に貫通する連通溝gが穿設されている。
図示例では、図2に示すように、前後一対及び左右一対の連通溝gが穿設されている。
【0023】
上蓋30は、キャップ本体4にヒンジ29を介して連結された側周壁(蓋周壁)31と、この側周壁31の上端に付設された天板36とを有している。この天板36からは、前記吐出筒22内へ嵌挿された密閉筒37が垂設されている。
図示例では、前記側周壁31の下端部内周に、前記蓋係合突部14の外面と係合して閉塞状態を維持する係合凹部32が周設されている。
前記側周壁31の内面には、図2に示す如く、周方向に適数の係合凸片33が付設されている。これらの係合凸片33は、図1(A)に示す如く、前記係合凹部32の上方に位置させて、前記蓋係合突部14の内面上端部に係止するように形成されている。
また前記側周壁31の前部からは、摘み部35が前方へ突設されている。
さらに前記側周壁31の下面からは、前記段凹部16に対応した円弧状の被覆壁34が垂設されている。
また本発明では、前記天板36から、前記上側保持筒26Bの垂直筒部28の外面に嵌合する嵌合筒部38を垂設させている。嵌合筒部38の内面下端部には、前記上側係止リブr2の下面にかみ合うリブ受けqが周設されている。このリブ受けqは、上蓋30の閉蓋操作の際に前記上側係止リブr2が乗り越えることが可能な程度の大きさに形成する。
【0024】
釦部材40は、前記下側保持筒26Aを介して前記空気置換用口24内に配備されており、この空気置換用口24と向かい合う部位に、後述の弁体部Bを備えている。この弁体部Bは、前記空気路Pを開閉させる空気弁Aを画成するための箇所である。また釦部材40の上端には、前記空気弁Aを開閉させるため、押込み操作用の操作面fが形成されている。
【0025】
本実施形態では、前記釦部材40は、筒状の大径の釦脚部42の内面の適所(図示例では上端部)から内方へ突設する複数の弾性支承片44を介して、釦脚部42より上方に位置する中径の釦胴部46を立設させ、この釦胴部46から小径の釦頭部48を起立させてなる。
前記釦脚部42は、図示例において円環状の脚筒部に形成されており、前記下側保持筒26Aの内面に嵌着されている。
その釦脚部42の下面は、釦部材40が脱落しないように、前記下側係止リブr1により係止されている。前記釦部材40を空気置換用口24内に配備させるときには、前記釦脚部42が前記下側係止リブr1を乗り越えて、下側保持筒26Aの上半部内へ嵌入するように形成すればよい。
前記釦胴部46は、図1(B)に示すように、前記上側保持壁部26Bのテーパ状壁部27Aに当接させるための弁体部Bとしての役割を有する。
図示例の釦胴部46は、全体としてほぼ有頂筒状の部位であり、縦筒部46aから上内方へ突出するテーパ状筒部46bの上端を頂部46cで閉塞させてなる。
前記縦筒部46aは、空気置換用口24より小径であり、その口周面との間に遊び(間隙)を存するように、空気置換用口24内に配置されている。また縦筒部46aの下端には前記弾性支承片44が連結されている。
前記テーパ状筒部46bの外周面は、前記テーパ状壁部27Aの内周面(弁座面a1)と合致する弁体面a2として設けられており、これら弁体面a2と前記弁座面a1とで空気弁Aが形成されている。この構造では、後述の操作面fを少し押し込むだけで、弁体面a2が弁座面a1から離れるので、開弁操作を簡単に行うことができる。
前記釦頭部48は、本実施形態では中実の短棒状であり、前記釦胴部46の頂部46cから、垂直筒部28の内面との間に隙間eを存して垂直筒部28より上方へ突設されている。釦頭部の上面は押込み操作用の操作面fに形成されている。
前記釦頭部48の高さtは、釦頭部48の上面である操作面fが前記下側保持筒26Aの上端より上位に位置するとともに、操作面fを下側保持筒26Aの上端まで押し下げることにより、十分な外気が導入される程度に弁体面a2が弁座面a1から離れるように設定する。
【0026】
前記構成において、図1(A)に想像線で示すように、本発明の吐出キャップ2を容器体100の口頸部102に取り付けた後に、上蓋30を開蓋する。
そして液体を少量吐出するときには、釦部材40を操作せずに、図3(A)に示す如く、容器体100を前方へ傾斜させる。そうすると、図3(A)に点線で示すように、前記吐出筒22の上半部から、容器体の傾斜状態で流れ規制筒23の上側に位置する第2連通孔h2を通って外気が容器体100内へ流入するとともに、当該傾斜状態で流れ規制筒23の下側に位置する第1連通孔h1から吐出筒22の下半部を通って容器体100内の液体が吐出される。この場合には、吐出筒22の断面積のうちの例えば上半分が空気導入に割り当てられるから、液体の流量は小となる。
また液体を大量吐出するときには、図3(B)に示す如く、前記釦頭部48の操作面fを指で押し込む。そうすると、空気弁Aが開き、外気が連通溝gから空気路Pを介して導入されるとともに、容器体100内の液体が流れ規制筒23の一対の連通孔hから吐出筒22に入り、外部へ吐出される。この場合には、吐出筒22の断面積(流路面積)の全部を通って液体が流れることができるから、液体の流量は大となる。
前記釦頭部48の押込みを解放すると、空気弁Aが閉じて、少量吐出モードに戻る。
このように釦頭部48に対する押込み操作の有無により、簡単に吐出モードを切り替えることができる。
【0027】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構造については解説を省略する。
【0028】
図4から図6は、本発明の第2実施形態に係る吐出キャップを示している。
本実施形態では、第1実施形態の構成のうちで、釦部材40、上側保持壁部26B及び嵌合筒部38内の構造を変更したものである。
まず釦部材40については、第1実施形態の中実の短棒状の釦頭部48に代えて、中空で有頂筒状の釦頭部48を採用している。
具体的には、本実施形態の釦部材40は、図4(A)に示す如く、大径筒状の釦脚部42から、当該釦脚部に連設させて、小径の有頂筒状の釦頭部48を立設している。
この釦頭部48は、図4(B)に示す如く、薄肉周壁50と、この薄肉周壁50の上端に付設された薄肉の弾性頂板52とで形成されており、この弾性頂板52に放射状(図示例では十字状)に配置された適数のスリット54を穿設することにより、前記空気弁Aであるスリット弁を形成している。
前記釦脚部42の筒径は、空気置換用口24の口径より小径である。そうすることにより、釦脚部42は、図4(B)に示すごとく、厚肉の筒状に形成されており、この釦脚部42の上面の内周部から前記薄肉周壁50と起立させている。
図示例では、前記薄肉周壁50は、僅かに上端が小径となるように上内方へ傾斜しており、薄肉周壁50と、下側保持筒26Aとの間には隙間が存在する。もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
前記釦脚部42の下面には、リング状の弁押さえ部材56が当接されており、この弁押さえ部材56の下面に前記下側係止リブr1が係止されている。
本実施形態では、薄肉周壁50及び筒状の弁押さえ部材56の内部に、空気路Pが形成される。
前記嵌合筒部38の内部には、適数の差込み用板部39が連設されている。これらの差込み用板部39は、全体として、前記適数のスリット54の全体形状(図示例では十字状)に合致する下面形状を有するように付形する。
各差込み用板部39は、上蓋30の閉蓋状態で前記各スリット54内に浅く差し込まれ、スリットを形成した箇所の切断面同士が癒着して、開かなくなってしまうことを防止している。
【0029】
前記構成において、液体を少量吐出するときには、第1実施形態と同様に、釦頭部48に障らずに、容器体100を傾斜させればよい。
また液体を大量吐出するときには、次に釦頭部48の操作面fを指で軽く押して、弾性頂板52を変形させる。そうすると、スリット54である空気弁Aが開く。これにより、第1実施形態の場合と同様に、外気が導入されるとともに液体が大量吐出される。
前記操作面fから指を離すと、弾性頂板52が弾性復元して空気弁Aが閉じるので、少量吐出モードに戻る。従って少量吐出モードと大量吐出モードとを容易に切り替えることができる。
【符号の説明】
【0030】
2…吐出キャップ 4…キャップ本体 6…装着筒 8…外筒部 9…係合突部
10…内筒部 12…環状壁部 14…蓋係合突部 16…段凹部
18…スリット溝
20…頂壁 21…貫通孔 22…吐出筒 23…流れ規制筒 24…空気置換用口
26…保持壁部 26A…下側保持壁部 26B…上側保持壁部
27A…テーパ状壁部 27B…内向きフランジ
28…垂直筒部 29…ヒンジ
30…上蓋 31…側周壁 32…係合凹部 33…係止突片 34…被覆壁
35…摘み部 36…天板 37…密封筒 38…嵌合筒部 39…差込み用板部
40…釦部材 42…釦脚部 44…弾性支承片 46…釦胴部 46a…縦筒部
46b…テーパ状筒部 46c…頂部 48…釦頭部
50…薄肉周壁 52…弾性頂板 54…スリット 56…弁押さえ部材
100…容器体 102…口頸部
A…空気弁 a1…弁座面 a2…弁体面 B…弁体部
c…外周切込み部 e…隙間 f…操作面 g…連通溝
h…連通孔 h1…第1連通孔 h2…第2連通孔 i…距離
L1…縦方向引き裂きライン L2…周方向引き裂きライン P…空気路
q…リブ受け r1…下側係止リブ r2…上側係止リブ t…(釦頭部の)高さ

図1
図2
図3
図4
図5
図6