(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】GPR156変異体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 14/705 20060101AFI20240918BHJP
A61K 33/00 20060101ALI20240918BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240918BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240918BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240918BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240918BHJP
C12N 15/85 20060101ALI20240918BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20240918BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALI20240918BHJP
C12Q 1/6837 20180101ALI20240918BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20240918BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20240918BHJP
C12Q 1/6883 20180101ALI20240918BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
C07K14/705
A61K33/00
A61K45/00
A61P25/24
C12N5/10
C12N15/12 ZNA
C12N15/85 Z
C12N15/86 Z
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6837 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6883 Z
G01N33/50 P
(21)【出願番号】P 2019504021
(86)(22)【出願日】2017-07-28
(86)【国際出願番号】 US2017044321
(87)【国際公開番号】W WO2018022967
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-07-27
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-10
(32)【優先日】2016-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザガ-ハウレギ、クラウディア
【合議体】
【審判長】中村 浩
【審判官】荒木 英則
【審判官】福井 悟
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-513702(JP,A)
【文献】米国特許第6551795(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K, C12N, C12Q, A61K, A61P
CAplus/REGISTRY/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含むヒトGタンパク質共役受容体156(GPR156)タンパク質をコードする核酸配列、または前記核酸配列の相補体を含む、単離された核酸分子であって、前記GPR156タンパク質が、配列番号4のアミノ酸配列、または配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離された核酸分子。
【請求項2】
前記核酸分子がDNAまたはRNAを含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項3】
前記核酸分子がcDNAを含む、請求項2に記載の単離された核酸分子。
【請求項4】
前記核酸配列がDNAを含み、且つ前記アスパラギン酸がコドンGATもしくはGACによってコードされるか、または前記核酸配列がRNAを含み、且つ前記アスパラギン酸がコドンGAUもしくはGACによってコードされる、請求項1または請求項2に記載の単離された核酸分子。
【請求項5】
前記アスパラギン酸がコドンGATによってコードされる、請求項1~4のいずれか1項に記載の単離された核酸分子。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の単離された核酸分子を含むベクター。
【請求項7】
前記ベクターがプラスミドまたはウイルスである、請求項6に記載のベクター。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の単離された核酸分子または請求項6もしくは7に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項9】
前記核酸配列が、前記宿主細胞のプロモーター活性物質に作動可能に連結する、請求項8に記載の宿主細胞。
【請求項10】
前記プロモーターが外因性プロモーターまたは誘導性プロモーターである、請求項9に記載の宿主細胞。
【請求項11】
前記宿主細胞が哺乳動物細胞である、請求項8~10のいずれか1項に記載の宿主細胞。
【請求項12】
配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む完全長ヒトGPR156タンパク質をコードする核酸配列を含むcDNA
であって、前記完全長ヒトGPR156タンパク質が、配列番号4のアミノ酸配列、または配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、cDNA。
【請求項13】
前記アスパラギン酸がコドンGATによってコードされる、請求項12に記載のcDNA。
【請求項14】
前記cDNAが、配列番号16の核酸配列、または配列番号16に対して少なくとも90%の配列同一性を有する核酸配列を含み、前記cDNAが、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含むヒトGPR156タンパク質をコードする、請求項12または請求項13に記載のcDNA。
【請求項15】
前記アスパラギン酸がコドンGACによってコードされる、請求項12に記載のcDNA。
【請求項16】
前記cDNAが、配列番号17の核酸配列、または配列番号17に対して少なくとも90%の配列同一性を有する核酸配列を含み、前記cDNAが、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含むヒトGPR156タンパク質をコードする、請求項12または請求項15に記載のcDNA。
【請求項17】
請求項12~16のいずれか1項に記載のcDNAを含むベクター。
【請求項18】
前記ベクターがプラスミドまたはウイルスである、請求項17に記載のベクター。
【請求項19】
請求項12~16のいずれか1項に記載のcDNAまたは請求項17もしくは18に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項20】
前記cDNAが、前記宿主細胞のプロモーター活性物質に作動可能に連結する、請求項19に記載の宿主細胞。
【請求項21】
前記プロモーターが外因性プロモーターまたは誘導性プロモーターである、請求項20に記載の宿主細胞。
【請求項22】
前記宿主細胞が哺乳動物細胞である、請求項19~21のいずれか1項に記載の宿主細胞。
【請求項23】
配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む完全長ヒトGPR156タンパク質を含む単離または組換えポリペプチド
であって、前記完全長ヒトGPR156タンパク質が、配列番号4のアミノ酸配列、または配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離または組換えポリペプチド。
【請求項24】
前記ポリペプチドが、異種ポリペプチドに融合する、請求項2
3に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項25】
前記異種ポリペプチドが、ペプチド精製タグ、蛍光タンパク質、またはペプチド精製タグと蛍光タンパク質の両方、を含む、請求項
24に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項26】
前記ポリペプチドが、検出可能な標識に連結した、請求項23~
25のいずれか1項に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項27】
前記検出可能な標識が、蛍光標識または放射性標識である、請求項
26に記載の単離または組換えポリペプチド。
【請求項28】
請求項23~
27のいずれか1項に記載の単離または組換えポリペプチド及び担体を含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年7月28日に提出された米国仮出願第62/367,973に対する優先権を主張し、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【0002】
配列表の参照
本出願は、2017年7月28日に作成された986キロバイトのサイズの18923800702SEQと名付けられたテキストファイルとして電子的に提出された配列表を含む。該配列表は、本明細書に参考として組み込まれる。
【0003】
分野
本開示は一般に、遺伝学分野に関する。より詳細には、本開示は、例えば、単極性うつ病及び不安障害に関連するGタンパク質共役受容体156における遺伝子変化及びポリペプチド変異に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
特許、特許出願、受託番号、技術論文及び学術論文を含む様々な参考文献が、本明細書を通じて引用される。各参考文献は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【0005】
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、N末端細胞外ドメイン及びC末端細胞内ドメインとともに、7つのらせん状膜貫通ドメインを特徴とする細胞表面受容体の大きなスーパーファミリーである(Cherezov V, et al., Science 318: 1258-1265 (2007))。GPCRは、様々な細胞型で発現され、細胞膜を越えて細胞内部に細胞外シグナルを伝達することに関与する(Kobilka R, Biochim. Biophys. Acta 1768: 794-807 (2007))。生物学においてGPCRの担う役割が非常に重要であったため、2012年、GPCRがどのように機能するのかを特定した2名の科学者にノーベル化学賞が授与された(Clark R, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 110: 5274-5275 (2013))。
【0006】
GPR156(Gタンパク質共役受容体156)は、代謝型グルタミン酸受容体サブファミリーに属するGPCRをコードするヒト遺伝子である(Calver A, et al., Brain Res. Mol. Brain Res. 110: 305-307 (2003))。文献中でGPR156を指すために使用される他の名称は、GABABL(GABAB様)及びPGR28である(Vassilatis D, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100: 4903-4908 (2003))。マウスでは、GPR156は、Gpr156またはGabablと呼ばれる。新たなGPR156変異の同定は、ヒト生理学におけるGPR156の役割及び疾患におけるその潜在的役割の継続的な研究において有用であろう。本開示は、GPR156の生物学の理解を助け、GPR156を調節する潜在的な治療薬及び/またはその細胞生物学的経路の同定を促進するであろう新規なGPR156変異体を提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Cherezov V, et al., Science 318: 1258-1265 (2007)
【文献】Kobilka R, Biochim. Biophys. Acta 1768: 794-807 (2007)
【文献】Clark R, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 110: 5274-5275 (2013)
【文献】Calver A, et al., Brain Res. Mol. Brain Res. 110: 305-307 (2003)
【文献】Vassilatis D, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100: 4903-4908 (2003)
【発明の概要】
【0008】
概要
本開示は、GPR156変異ポリペプチドをコードする新規な核酸分子(すなわち、ゲノムDNA、mRNA及びcDNA)を提供し、GPR156変異ポリペプチドは、単極性うつ病などのうつ病及び不安障害などの気分障害のスペクトラムと関連することが本明細書において実証される。
【0009】
本開示は、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含むヒトGPR156タンパク質をコードする核酸配列または前記核酸配列の相補体を含む、単離された核酸分子を提供する。
【0010】
本開示はまた、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む前記ヒトGPR156タンパク質の少なくとも一部分をコードする核酸配列または前記核酸配列の相補体を含む、ゲノムDNA分子を提供する。
【0011】
本開示はまた、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む前記ヒトGPR156タンパク質の少なくとも一部分をコードする核酸配列または前記核酸配列の相補体を含む、cDNA分子を提供する。
【0012】
本開示はまた、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む前記ヒトGPR156タンパク質の少なくとも一部分をコードする核酸配列または前記核酸配列の相補体を含む、mRNA分子を提供する。
【0013】
本開示はまた、本明細書に開示される任意の単離された核酸分子を含むベクターを提供する。
本開示はまた、本明細書に開示される任意の単離された核酸分子またはベクター、及び担体を含む組成物を提供する。
【0014】
本開示はまた、本明細書に開示される任意の単離された核酸分子またはベクターを含む宿主細胞を提供する。
本開示はまた、前記ヒトGPR156タンパク質の少なくとも一部分を含む単離または組換えポリペプチドであって、前記部分が、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む、単離または組換えポリペプチドを提供する。
【0015】
本開示はまた、本明細書に開示される任意の単離または組換えポリペプチド及び担体を含む組成物を提供する。
本開示はまた、少なくとも約5ヌクレオチドを含む核酸配列を含むプローブまたはプライマーを提供し、前記プローブまたはプライマーは、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含むヒトGPR156タンパク質をコードする核酸配列にハイブリダイズするか、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む前記ヒトGPR156タンパク質をコードする核酸配列の相補体にハイブリダイズする。
【0016】
本開示はまた、本明細書に開示される任意のプローブがハイブリダイズする基質を含む支持体を提供する。
本開示はまた、GPR156タンパク質をコードする核酸配列に相補的な核酸配列を含むアレル特異的プローブまたはプライマーであって、前記アレル特異的プローブまたはプライマーが、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする核酸コドンに相補的な核酸配列を含む、アレル特異的プローブまたはプライマーを提供する。ある実施形態では、前記アレル特異的プローブまたはプライマーは、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含むGPR156タンパク質をコードする核酸配列、またはその相補体に特異的にハイブリダイズする。前記アレル特異的プローブまたはプライマーは、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含まないGPR156タンパク質をコードする核酸配列にハイブリダイズしない。
【0017】
本開示はまた、ヒト対象において単極性うつ病を診断するか、または単極性うつ病のリスクを検出するための方法であって、該方法が、ヒト対象から得られたGPR156タンパク質をコードする核酸分子において、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする変化を検出することと;前記対象がうつ病の1つ以上の症状を有する場合に、前記ヒト対象を単極性うつ病と診断すること、または前記対象がうつ病の1つ以上の症状を有さない場合に、前記ヒト対象が単極性うつ病のリスクがあると診断することとを含む、方法を提供する。
【0018】
本開示はまた、ヒト対象において不安障害を診断するか、または不安障害のリスクを検出するための方法であって、前記方法が、ヒト対象から得られたGPR156タンパク質をコードする核酸分子において、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする変化を検出することと;前記対象が不安障害の1つ以上の症状を有する場合に、前記ヒト対象を不安障害と診断すること、または前記対象が不安障害の1つ以上の症状を有さない場合に、前記ヒト対象が不安障害のリスクがあると診断することとを含む、方法を提供する。
【0019】
本開示はまた、前記ヒトGPR156タンパク質をコードする遺伝子の変化を含むと測定されたヒト対象での単極性うつ病の処置に使用する抗うつ薬を提供し、前記変化は、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする。
【0020】
本開示はまた、ヒトGPR156タンパク質をコードする遺伝子の変化を含むと測定されたヒト対象での不安障害の処置に使用する抗うつ薬を提供し、前記変化は、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、いくつかの態様を例示し、詳細な説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【
図1】mRor1ss.hGPR156発現ベクターのベクターマップである。
【
図2】mRor1ss.hGPR156_E533D発現ベクターのベクターマップである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示のさらなる利点は、以下の説明に部分的に記載され、部分的に説明から明らかになるか、または本明細書に開示される実施形態の実施により理解され得る。本開示の利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される要素及び組合せによって実現及び達成されるであろう。上述の一般的な説明と、以下に述べる詳細な説明は、例示及び説明のみを目的としており、特許請求されている実施形態の限定を意図するものではないことを理解されたい。
【0023】
説明
開示の態様に関する様々な用語は、本明細書及び特許請求の範囲を通して使用される。かかる用語は、特に指示がない限り、当該技術分野において通常の意味を有するものとする。他の特別に定義された用語は、本明細書で提供される定義と一致するように解釈されるものとする。
【0024】
特に明記しない限り、本明細書に記載された任意の方法または態様は、そのステップが、特定の順序で実行されることを必要とするものとして解釈されることを決して意味するものではない。したがって、方法クレームは、当該クレームまたは説明において、ステップが特定の順序に限定されることを具体的に記載していない場合、いかなる点においても、順序を推定することは決して意図されるものではない。これは、ステップの構成や操作の流れに関するロジックの問題、文法上の構成もしくは句読法に由来する通常の意味、または明細書に記載される態様の数もしくは種類を含む、あらゆる可能性のある解釈の非明示的な基準となる。
【0025】
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈で別段明確に指示されない限り、複数形の言及を含む。
本明細書で使用する場合、用語「対象」及び「被験者」は、本明細書では互換的に使用される。対象には、哺乳動物を含む任意の動物を含み得る。哺乳動物には、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ブタ)、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ)、実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ)及び非ヒト霊長類が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、対象は、ヒトである。
【0026】
本明細書で使用する場合、「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を含むことができ、DNA及び/またはRNAを含み得、一本鎖、二本鎖、または多本鎖であることができる。核酸の1本の鎖はまた、その相補体を指す。
【0027】
本明細書で使用する場合、「対応する」という語句またはその文法上の変形形態は、所与のアミノ酸または核酸配列または位置の番号付けの文脈で使用される場合、所与のアミノ酸または核酸配列が参照配列(例えば、本明細書での参照配列は、(野生型または完全長の)GPR156の核酸分子またはポリペプチドである)と比較される際に、記載された参照配列の番号付けを指す。言い換えると、所与のポリマーの残基(例えば、アミノ酸またはヌクレオチド)番号または残基(例えば、アミノ酸またはヌクレオチド)位置は、所与のアミノ酸または核酸配列内の残基の実際の番号で表した位置ではなく、参照配列と対応して示される。例えば、2つの配列間の残基の一致を最適化するためにギャップを導入することによって、所与のアミノ酸配列を参照配列に整列させることができる。これらの場合、ギャップが存在するが、所与のアミノ酸または核酸配列中の残基の番号付けは、それが整列している参照配列に対して行われる。
【0028】
例えば、「GPR156タンパク質であって、前記タンパク質は配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む(GPR156 protein, wherein the protein comprises an aspartic acid at the position corresponding to position 533 according to SEQ ID NO:4)」という語句は、前記GPR156タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号4の配列に整列している場合、該GPR156タンパク質が、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を有することを意味する。「GPR156タンパク質であって、前記タンパク質は配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む(GPR156 protein, wherein the protein comprises an aspartic acid at the position corresponding to position 533 referring to SEQ ID NO:4)」及び「GPR156タンパク質であって、前記タンパク質は配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む(GPR156 protein, wherein the protein comprises an aspartic acid at the position corresponding to position 533 of SEQ ID NO:4)」という語句についても同様である。または、言い換えると、これらの語句(例えば、「GPR156タンパク質であって、前記タンパク質は配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む」という語句)は、配列番号4の533位のアスパラギン酸に相同なアスパラギン酸を有するGPR156タンパク質を指す。本明細書において、かかるタンパク質は、「E533D突然変異を有するGPR156タンパク質」または「E533D変異を有するGPR156タンパク質」とも称される。これに沿って、対応するE533D変異は、「E533D突然変異(GPR156タンパク質内)」または「E533D変異(GPR156タンパク質内)」とも呼ばれる。
【0029】
上述したように、所与のGPR156タンパク質と配列番号4のアミノ酸配列との間の配列アラインメントを実施することにより、配列番号4の533位に対応するGPR156タンパク質内の位置を容易に同定することができる。配列番号4の533位に対応するアミノ酸位置を同定するための配列アラインメントを実施するために使用可能な様々な計算アルゴリズムが存在する。例えば、NCBI BLASTアルゴリズム(Altschul et al. 1997 Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402)またはCLUSTALWソフトウェア(Sievers and Higgins 2014 Methods Mol. Biol. 1079: 105-116)を用いて、配列アラインメントを実施してよい。しかしながら、配列を手動で整列させることも可能である。
【0030】
本開示によれば、GPR156での特定の変異は、単極性うつ病及び不安障害などの気分障害を発症するリスクと関連することが観察されている。一般的に、このタンパク質の機能はほとんど理解されておらず、その生化学またはそれに関連する表現型に関する情報はほとんど公表されていない。GPR156遺伝子またはタンパク質の変異は、成人におけるあらゆる気分障害または神経障害といかなる既知の関連性も持たないと考えられている。さらに、GPR156遺伝子またはタンパク質の変異は、成人に特異的な一般的なうつ病または単極性うつ病または不安障害といかなる既知の関連性も持たないと考えられている。罹患した家族のメンバーでの単極性うつ病の表現型と分離しているGPR156遺伝子のまれな変異が、本開示にしたがって同定されている。例えば、前記ヒトGPR156タンパク質の533位のアミノ酸(例えば、野生型の配列番号1)をアスパラギン酸に変化させる遺伝子変化では、かかる変化を有するヒトが、単極性うつ病を発症し得ることを示すことが観察されている。概して、本明細書に記載の遺伝子解析により、驚くべきことに、GPR156遺伝子、及び、特にGPR156の変異が、単極性うつ病及び不安障害に対する罹患率の増加と関連することが示される。したがって、単極性うつ病または不安障害と関連するGPR156変化を有するヒト対象は、単極性うつ病が抑制され、その症状が軽減され、及び/または症状の発症が抑制されるように処置され得る。したがって、本開示は、cDNA及びmRNAを含む単離または組換えGPR156変異遺伝子に加えて、単離または組換えGPR156変異ポリペプチドを提供する。加えて、本開示は、リスクのある対象または活動性疾患を有する対象が処置され得るように、対象におけるかかる変異の同定を活用して、単極性うつ病もしくは不安障害を発症する、かかる対象におけるリスクを同定もしくは層別化する、または単極性うつ病もしくは不安障害を患う対象を診断するための方法を提供する。
【0031】
2つの完全長の野生型GPR156タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号1に記載される。配列番号1を参照すると、完全長の野生型GPR156タンパク質の516位は、グルタミン酸またはアスパラギン酸のいずれかである。別の野生型GPR156タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号2(配列番号1の198~201位に対応する位置に4つのアミノ酸の欠失を含む)に記載される。この野生型GPR156タンパク質の512位(配列番号2を参照)は、グルタミン酸またはアスパラギン酸のいずれかである。ある実施形態では、この野生型GPR156タンパク質の512位(配列番号2を参照)は、グルタミン酸である。ある実施形態では、この野生型GPR156タンパク質の512位(配列番号2を参照)は、アスパラギン酸である。配列番号1の310~814位を含むGPR156タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号3に記載される。配列番号1の310~814位は、GPR156の細胞質ドメインを定義する。このGPR156タンパク質(配列番号3を参照)の207位は、グルタミン酸またはアスパラギン酸のいずれかである。ある実施形態では、このGPR156タンパク質(配列番号3を参照)の207位は、グルタミン酸である。ある実施形態では、このGPR156タンパク質(配列番号3を参照)の207位は、アスパラギン酸である。
【0032】
本開示は、単極性うつ病または不安障害と関連するGPR156変異タンパク質をコードする核酸分子を提供する。例えば、本開示は、配列番号4の533位に対応する位置(E533D)にアスパラギン酸を含むヒトGPR156タンパク質をコードする核酸配列または前記核酸配列の相補体を含む、単離された核酸分子を提供する。ある実施形態では、配列番号4の516位に対応する位置は、グルタミン酸である。ある実施形態では、配列番号4の516位に対応する位置は、アスパラギン酸である。
【0033】
タンパク質のN末端から中央部へ4つのアミノ酸が欠失しているGPR156のアイソフォームが存在する。このGPR156アイソフォームのアミノ酸配列を、配列番号5に示す。このGPR156アイソフォームの529位は、配列番号4の533位に対応する。ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、配列番号5の529位に対応する位置(E529D)にアスパラギン酸を含むヒトGPR156タンパク質をコードする核酸配列または前記核酸配列の相補体を含む。ある実施形態では、配列番号5の512位は、グルタミン酸である。ある実施形態では、配列番号5の512位に対応する位置は、アスパラギン酸である。
【0034】
ある実施形態では、前記核酸分子は、配列番号4に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するヒトGPR156タンパク質をコードする核酸配列(前記GPR156タンパク質は、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む)または前記核酸配列の相補体を含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、この核酸分子(配列番号4を参照)の516位に対応する位置は、グルタミン酸である。ある実施形態では、この核酸分子(配列番号4を参照)の516位に対応する位置は、アスパラギン酸である。本明細書では、パーセント配列同一性について言及する場合、より高いパーセントの配列同一性がより低いものよりも好ましい。
【0035】
ある実施形態では、前記核酸分子は、配列番号5に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するヒトGPR156タンパク質をコードする核酸配列(前記GPR156タンパク質は、配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸を含む)または前記核酸配列の相補体を含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、このGPR156タンパク質(配列番号5を参照)の512位に対応する位置は、グルタミン酸である。ある実施形態では、このGPR156タンパク質(配列番号5を参照)の512位に対応する位置は、アスパラギン酸である。
【0036】
ある実施形態では、前記核酸配列はDNAを含み、533位に対応する位置のアスパラギン酸は、コドンGATまたはGACによってコードされる。ある実施形態では、前記核酸配列はRNAを含み、533位に対応する位置のアスパラギン酸は、RNA分子のコドンGAUまたはGACによってコードされる。ある実施形態では、533位に対応する位置のアスパラギン酸は、コドンGATによってコードされる。ある実施形態では、前記核酸配列によってコードされるGPR156タンパク質は、配列番号4または配列番号5のアミノ酸配列を含む。
【0037】
2つの野生型GPR156ゲノムDNA(すなわち、代替アレル(alternate alleles))の核酸配列は、配列番号7(a、g、tまたはcであることができる117,166位の「n」を参照)に記載される。これらの野生型GPR156ゲノムDNA(配列番号7を参照)の117,164~117,166位は、グルタミン酸(コドンGAAまたはGAGを介して)またはアスパラギン酸(コドンGATまたはGACを介して)のいずれかをコードする。これらの野生型GPR156ゲノムDNA(配列番号7を参照)の117,215~117,217位は、グルタミン酸をコードする(コドンGAAまたはGAGを介して)。
【0038】
別の野生型GPR156ゲノムDNAの核酸配列は、配列番号8(配列番号7の98,428~98,439位に対応する位置に12個のヌクレオチドの欠失を含む)に記載される。この野生型GPR156ゲノムDNA(配列番号8を参照)の117,152~117,154位は、グルタミン酸(コドンGAAまたはGAGを介して)またはアスパラギン酸(コドンGATまたはGACを介して)のいずれかをコードする。この野生型GPR156ゲノムDNA(配列番号8を参照)の117,203~117,205位は、グルタミン酸をコードする(コドンGAAまたはGAGを介して)。
【0039】
ある実施形態では、前記核酸分子はゲノムDNAである。ある実施形態では、前記ゲノムDNAは、配列番号9(117,215~117,217位がGATであり、それによりアスパラギン酸をコードする)もしくは配列番号10(117,215~117,217位がGACであり、それによりアスパラギン酸をコードする)の核酸配列、または配列番号9(配列番号4の533位にアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置にGATコドンを含む)もしくは配列番号10(配列番号4の533位にアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置にGACコドンを含む)に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、これらのGPR156ゲノムDNA(配列番号9及び配列番号10を参照)の117,164~117,166位は、グルタミン酸をコードする(コドンGAAまたはGAGを介して)。ある実施形態では、これらのGPR156ゲノムDNA(配列番号9及び配列番号10を参照)の117,164~117,166位に対応する位置は、アスパラギン酸をコードする(コドンGATまたはGACを介して)。
【0040】
ある実施形態では、前記ゲノムDNAは、配列番号11もしくは配列番号12の核酸配列を含むか、またはそれからなり、それぞれが、配列番号9及び配列番号10のそれぞれの98,428~98,439位に対応する位置に12個のヌクレオチドの欠失を含む。ある実施形態では、前記ゲノムDNAは、配列番号11に記載の核酸配列を含むか、またはそれからなり、その117,203~117,205位はGATであり、それによりアスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記ゲノムDNAは、配列番号12に記載の核酸配列を含むか、またはそれからなり、その117,203~117,205位はGACであり、それによりアスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記ゲノムDNAは、配列番号11(配列番号5の529位にアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置にGATコドンを含む)または配列番号12(配列番号5の529位にアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置にGACコドンを含む)に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、これらのGPR156ゲノムDNA(配列番号11及び配列番号12を参照)の117,152位~117,154位に対応する位置は、グルタミン酸をコードする(コドンGAAまたはGAGを介して)。ある実施形態では、これらのGPR156ゲノムDNA(配列番号11及び配列番号12を参照)の117,152位~117,154位に対応する位置は、アスパラギン酸をコードする(コドンGATまたはGACを介して)。
【0041】
ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、ゲノムDNA配列全体よりも少ない。ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、少なくとも約1000、少なくとも約2000、少なくとも約3000、少なくとも約4000、少なくとも約5000、少なくとも約6000、少なくとも約7000、少なくとも約8000、少なくとも約9000、少なくとも約10000、少なくとも約11000、少なくとも約12000、少なくとも約13000、少なくとも約14000、少なくとも約15000、少なくとも約16000、少なくとも約17000、少なくとも約18000、少なくとも約19000もしくは少なくとも約20000の配列番号9、配列番号10、配列番号11もしくは配列番号12の連続したヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、少なくとも約1000~少なくとも約2000の、配列番号9、配列番号10、配列番号11もしくは配列番号12の連続したヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。
【0042】
ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、少なくとも約1000、少なくとも約1000、少なくとも約1100、少なくとも約1200、少なくとも約1300、少なくとも約1400、少なくとも約1500、少なくとも約1600、少なくとも約1700、少なくとも約1800、少なくとも約1900、少なくとも約2000、少なくとも約2100、少なくとも約2200、少なくとも約2300もしくは少なくとも約2400の配列番号9、配列番号10、配列番号11もしくは配列番号12の連続したヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、かかる連続したヌクレオチドは、連続したヌクレオチドの他の核酸分子と組み合わせて、本明細書に記載のcDNA分子を産生し得る。
【0043】
かかる単離された核酸分子は、例えば、変異GPR156mRNA及びタンパク質を発現するため、または外因性ドナー配列として使用することができる。ある集団内の遺伝子配列は、SNPなどの多型に起因して変化し得ることを理解されたい。本明細書で提供される例は、例示的な配列に過ぎず、他の配列もまた可能である。
【0044】
ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、対応する野生型GPR156遺伝子に対して配列番号4または配列番号5をコードする1つ以上の非必須セグメントが欠失している変異GPR156ミニ遺伝子を含む。ある実施形態では、前記欠失した非必須セグメントは、1つ以上のイントロン配列を含む。ある実施形態では、前記GPR156ミニ遺伝子は、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の一部分に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%の配列同一性を有し、前記ミニ遺伝子は、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸を含む。
【0045】
2つの野生型GPR156cDNAの核酸配列は、配列番号13に記載される。これらの野生型GPR156cDNA(配列番号13を参照)の1546~1548位は、グルタミン酸(コドンGAAまたはGAGを介して)またはアスパラギン酸(コドンGATまたはGACを介して)のいずれかをコードする。これらの野生型GPR156cDNA(配列番号13を参照)の1597~1599位は、グルタミン酸をコードする(コドンGAAまたはGAGを介して)。
【0046】
別の野生型GPR156cDNAの核酸配列は、配列番号14(配列番号13の592~603位に対応する位置に12個のヌクレオチドの欠失を含む)に記載される。この野生型GPR156cDNA(配列番号14を参照)の1534~1536位は、グルタミン酸(コドンGAAまたはGAGを介して)またはアスパラギン酸(コドンGATまたはGACを介して)のいずれかをコードする。この野生型GPR156cDNA(配列番号14を参照)の1585~1587位は、グルタミン酸をコードする(コドンGAAまたはGAGを介して)。
【0047】
配列番号4の310~814位をコードするGPR156cDNAの核酸配列は、配列番号15に記載される。この配列は、GPR156の細胞質ドメインに対応する。このGPR156cDNA(配列番号15を参照)の619~621位は、グルタミン酸(コドンGAAまたはGAGを介して)またはアスパラギン酸(コドンGATまたはGACを介して)のいずれかをコードする。このGPR156cDNA(配列番号15を参照)の670~672位は、グルタミン酸をコードする(コドンGAAまたはGAGを介して)。
【0048】
本開示はまた、cDNA分子を提供する。本開示は、前記ヒトGPR156タンパク質の少なくとも一部分をコードする核酸配列を含むcDNA分子であって、前記部分が、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む、cDNA分子を提供する。ある実施形態では、前記cDNA分子は、前記ヒトGPR156タンパク質の少なくとも一部分をコードする核酸配列を含み、前記部分は、配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸を含む。
【0049】
ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む完全長ヒトGPR156タンパク質をコードする。ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号4に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むか、またはそれからなり、前記GPR156タンパク質は、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む。
【0050】
ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸を含むヒトGPR156タンパク質をコードする。ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号5に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むか、またはそれからなり、前記GPR156タンパク質は、配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸を含む。
【0051】
ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号4の310~814位に対応するGPR156タンパク質の一部分をコードする。ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号4の310~814位に対応するGPR156タンパク質の一部分に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むか、またはそれからなり、前記ポリペプチドは、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む。
【0052】
ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号5の310~814位に対応するGPR156タンパク質の一部分をコードする。ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号5の310~814位に対応するGPR156タンパク質の一部分に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むか、またはそれからなり、前記ポリペプチドは、配列番号5の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む。
【0053】
ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号16の核酸配列を含むか、またはそれからなり、その1597~1599位はGATであり、それによりアスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号16に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなり、配列番号4の533位にアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置にGATコドンを含む。ある実施形態では、前記GPR156cDNA(配列番号16を参照)の1546~1548位に対応する位置は、グルタミン酸をコードする。ある実施形態では、前記GPR156cDNA(配列番号16を参照)の1546~1548位に対応する位置は、アスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記cDNAは、前記GPR156cDNA(配列番号16を参照)の1599位に対応する位置に、チミンを含む。このチミンは、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンの第3位置に対応する。
【0054】
ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号17の核酸配列を含むか、またはそれからなり、その1597~1599位はGACであり、それによりアスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号17に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなり、配列番号4の533位にアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置にGACコドンを含む。ある実施形態では、前記GPR156cDNA(配列番号17を参照)の1546~1548位に対応する位置は、グルタミン酸をコードする。ある実施形態では、前記GPR156cDNA(配列番号17を参照)の1546~1548位は、アスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記cDNAは、前記GPR156cDNA(配列番号17を参照)の1599位に対応する位置に、シトシンを含む。このシトシンは、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンの第3位置に対応する。
【0055】
ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号16の592~603位に対応する位置に12個のヌクレオチドの欠失を含む配列番号18の核酸配列を含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号18に記載の核酸配列を含むか、またはそれからなり、その1585~1587位はGATであり、それによりアスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号18に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる(配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置にGATコドンを含む)。ある実施形態では、このGPR156cDNA(配列番号18を参照)の1534~1536位に対応する位置は、グルタミン酸をコードする(コドンGAAまたはGAGを介して)。ある実施形態では、このGPR156cDNA(配列番号18を参照)の1534~1536位に対応する位置は、アスパラギン酸をコードする(コドンGATまたはGACを介して)。ある実施形態では、前記cDNAは、前記GPR156cDNA(配列番号18を参照)の1587位に対応する位置に、チミンを含む。このチミンは、配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンの第3位置に対応する。
【0056】
ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号17の592~603位に対応する位置に12個のヌクレオチドの欠失を含む配列番号19の核酸配列を含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号19に記載の核酸配列を含むか、またはそれからなり、その1585~1587位はGACであり、それによりアスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号19に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる(配列番号5の529位にアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置にGACコドンを含む)。ある実施形態では、このGPR156cDNA(配列番号19を参照)の1534~1536位に対応する位置は、グルタミン酸をコードする(コドンGAAまたはGAGを介して)。ある実施形態では、このGPR156cDNA(配列番号19を参照)の1534~1536位に対応する位置は、アスパラギン酸をコードする(コドンGATまたはGACを介して)。ある実施形態では、前記cDNAは、前記cDNA(配列番号19を参照)の1587位に対応する位置に、シトシンを含む。このシトシンは、配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンの第3位置に対応する。
【0057】
GPR156の細胞質ドメインは、GPR156の310~814位によってコードされる。ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号4の310~814位をコードする。ある実施形態では、このcDNAの核酸配列は、配列番号20に記載され、その670~672位は、アスパラギン酸をコードする(コドンGATを介して)。ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号20に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなり、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置にGATコドンを含む。ある実施形態では、前記GPR156cDNA(配列番号20を参照)の619~621位に対応する位置は、グルタミン酸をコードする。ある実施形態では、前記GPR156cDNA(配列番号20を参照)の619~621位に対応する位置は、アスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記cDNAは、前記cDNA(配列番号20を参照)の672位に対応する位置にチミンを含む。このチミンは、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンの第3位置に対応する。
【0058】
ある実施形態では、配列番号4の310~814位をコードするcDNAの核酸配列は配列番号21に記載され、その670~672位は、アスパラギン酸をコードする(コドンGACを介して)。ある実施形態では、前記cDNAは、配列番号21に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなり、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置にGACコドンを含む。ある実施形態では、前記GPR156cDNA(配列番号21を参照)の619~621位に対応する位置は、グルタミン酸をコードする。ある実施形態では、前記GPR156cDNA(配列番号21を参照)の619~621位に対応する位置は、アスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記cDNAは、前記cDNA(配列番号21を参照)の672位に対応する位置にシトシンを含む。このシトシンは、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンの第3位置に対応する。
【0059】
ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、1599位に対応する位置にチミンを有する、本明細書に開示される任意のcDNAまたはmRNA分子の1521~1680位を含む核酸配列を含む。
【0060】
ある実施形態では、前記cDNA分子は、GPR156の全cDNA配列よりも少ない。ある実施形態では、前記cDNA分子は、少なくとも約5、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約12、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、少なくとも約1000、少なくとも約1100、少なくとも約1200、少なくとも約1300、少なくとも約1400、少なくとも約1500、少なくとも約1600、少なくとも約1700、少なくとも約1800、少なくとも約1900、少なくとも約2000、少なくとも約2100、少なくとも約2200、少なくとも約2300もしくは少なくとも約2400の配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20もしくは配列番号21の連続したヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、前記cDNA分子は、少なくとも約1000~少なくとも約2000の、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20もしくは配列番号21の連続したヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。これに関して、より長いcDNA分子は、より短いものより好ましい。ある実施形態では、前記cDNA分子は、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400もしくは少なくとも約500の配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20もしくは配列番号21の連続したヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。これに関して、より長いcDNA分子は、より短いものより好ましい。ある実施形態では、かかるcDNA分子は、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンを含む、または配列番号16もしくは配列番号17それぞれの1599位に対応する位置にチミンもしくはシステインを含む。
【0061】
2つの野生型GPR156mRNAの核酸配列は、配列番号22に記載される。これらの野生型GPR156mRNA(配列番号22を参照)の1546~1548位は、グルタミン酸(コドンGAAまたはGAGを介して)またはアスパラギン酸(コドンGAUまたはGACを介して)のいずれかをコードする。これらの野生型GPR156mRNA(配列番号22を参照)の1597~1599位は、グルタミン酸をコードする(コドンGAAまたはGAGを介して)。
【0062】
別の野生型GPR156mRNAの核酸配列は、配列番号23(配列番号22の592~603位に対応する位置に12個のヌクレオチドの欠失を含む)に記載される。この野生型GPR156mRNA(配列番号23を参照)の1534~1536位は、グルタミン酸(コドンGAAまたはGAGを介して)またはアスパラギン酸(コドンGAUまたはGACを介して)のいずれかをコードする。この野生型GPR156mRNA(配列番号23を参照)の1585~1587位は、グルタミン酸をコードする(コドンGAAまたはGAGを介して)。
【0063】
配列番号4の310~814位をコードするGPR156mRNAの核酸配列は、配列番号24に記載される。このGPR156mRNA(配列番号24を参照)の619~621位は、グルタミン酸(コドンGAAまたはGAGを介して)またはアスパラギン酸(コドンGAUまたはGACを介して)のいずれかをコードする。このGPR156mRNA(配列番号24を参照)の670~672位は、グルタミン酸をコードする(コドンGAAまたはGAGを介して)。
【0064】
本開示はまた、mRNA分子を提供する。本開示は、前記ヒトGPR156タンパク質の少なくとも一部分をコードする核酸配列を含むmRNA分子であって、前記部分が、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む、mRNA分子を提供する。ある実施形態では、前記mRNA分子は、前記ヒトGPR156タンパク質の少なくとも一部分をコードする核酸配列を含み、前記部分は、配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸を含む。
【0065】
ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む完全長ヒトGPR156タンパク質をコードする。ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号4に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むか、またはそれからなり、前記GPR156タンパク質は、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む。
【0066】
ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸を含むヒトGPR156タンパク質をコードする。ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号5に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むか、またはそれからなり、前記GPR156タンパク質は、配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸を含む。
【0067】
ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号4の310~814位に対応するGPR156タンパク質の一部分をコードする。ある実施形態では、前記mRNAは配列番号4の310~814位に対応するGPR156タンパク質の一部分に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むか、またはそれからなり、前記ポリペプチドは、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸を含む。
【0068】
ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号5の310~814位に対応するGPR156タンパク質の一部分をコードする。ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号5の310~814位に対応するGPR156タンパク質の一部分に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むか、またはそれからなり、前記ポリペプチドは、配列番号5の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む。
【0069】
ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号25の核酸配列を含むか、またはそれからなり、その1597~1599位はGAUであり、それによりアスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号25に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなり、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置にGAUコドンを含む。ある実施形態では、前記GPR156mRNA(配列番号25を参照)の1546~1548位に対応する位置は、グルタミン酸をコードする。ある実施形態では、前記GPR156mRNA(配列番号25を参照)の1546~1548位に対応する位置は、アスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記mRNAは、前記GPR156mRNA(配列番号25を参照)の1599位に対応する位置にウラシルを含む。このウラシルは、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンの第3位置に対応する。
【0070】
ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号26の核酸配列を含むか、またはそれからなり、その1597~1599位はGACであり、それによりアスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号26に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなり、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置にGACコドンを含む。ある実施形態では、前記GPR156mRNA(配列番号26を参照)の1546~1548位に対応する位置は、グルタミン酸をコードする。ある実施形態では、前記GPR156mRNA(配列番号26を参照)の1546~1548位に対応する位置は、アスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記mRNAは、前記GPR156mRNA(配列番号26を参照)の1599位に対応する位置にシトシンを含む。このシトシンは、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンの第3位置に対応する。
【0071】
ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号25の592~603位に対応する位置に12個のヌクレオチドの欠失を含む配列番号27の核酸配列を含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号27に記載の核酸配列を含むか、またはそれからなり、その1585~1587位はGAUであり、それによりアスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号27に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる(配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置にGAUコドンを含む)。ある実施形態では、このGPR156mRNA(配列番号27を参照)の1534~1536位に対応する位置は、グルタミン酸をコードする(コドンGAAまたはGAGを介して)。ある実施形態では、このGPR156mRNA(配列番号27を参照)の1534~1536位に対応する位置は、アスパラギン酸をコードする(コドンGAUまたはGACを介して)。ある実施形態では、前記mRNAは、前記GPR156mRNA(配列番号27を参照)の1587位に対応する位置にウラシルを含む。このウラシルは、配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンの第3位置に対応する。
【0072】
ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号26の592~603位に対応する位置に12個のヌクレオチドの欠失を含む配列番号28の核酸配列を含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号28に記載の核酸配列を含むか、またはそれからなり、その1585~1587位はGACであり、それによりアスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号28に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる(配列番号5の529位にアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置にGACコドンを含む)。ある実施形態では、このGPR156mRNA(配列番号28を参照)の1534~1536位に対応する位置は、グルタミン酸をコードする(コドンGAAまたはGAGを介して)。ある実施形態では、このGPR156mRNA(配列番号28を参照)の1534~1536位に対応する位置は、アスパラギン酸をコードする(コドンGAUまたはGACを介して)。ある実施形態では、前記mRNAは、前記GPR156mRNA(配列番号28を参照)の1587位に対応する位置にシトシンを含む。このシトシンは、配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンの第3位置に対応する。
【0073】
ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号4の310~814位をコードする。ある実施形態では、このmRNAの核酸配列は、配列番号29に記載され、その670~672位は、アスパラギン酸をコードする(コドンGAUを介して)。ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号29に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなり、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置にGAUコドンを含む。ある実施形態では、前記GPR156mRNA(配列番号29を参照)の619~621位に対応する位置は、グルタミン酸をコードする。ある実施形態では、前記GPR156mRNA(配列番号29を参照)の619~621位に対応する位置は、アスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記mRNAは、前記GPR156mRNA(配列番号29を参照)の672位に対応する位置にウラシルを含む。このウラシルは、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンの第3位置に対応する。
【0074】
ある実施形態では、配列番号4の310~814位をコードするmRNAの核酸配列は、配列番号30に記載され、その670~672位は、アスパラギン酸をコードする(コドンGACを介して)。ある実施形態では、前記mRNAは、配列番号30に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなり、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置にGACコドンを含む。ある実施形態では、前記GPR156mRNA(配列番号30を参照)の619~621位に対応する位置は、グルタミン酸をコードする。ある実施形態では、前記GPR156mRNA(配列番号30を参照)の619~621位に対応する位置は、アスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記mRNAは、前記GPR156mRNA(配列番号30を参照)の672位に対応する位置にシトシンを含む。このシトシンは、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンの第3位置に対応する。
【0075】
ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、1599位に対応する位置にウラシルを有する、本明細書に開示される任意のmRNA分子の1521~1680位を含む核酸配列を含む。
【0076】
ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、GPR156mRNA配列全体よりも少ないヌクレオチドを含む。ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、少なくとも約5、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約12、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、少なくとも約1000、少なくとも約1100、少なくとも約1200、少なくとも約1300、少なくとも約1400、少なくとも約1500、少なくとも約1600、少なくとも約1700、少なくとも約1800、少なくとも約1900、少なくとも約2000、少なくとも約2100、少なくとも約2200、少なくとも約2300もしくは少なくとも約2400の配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29もしくは配列番号30の連続したヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、少なくとも約1000~少なくとも約2000の、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29もしくは配列番号30の連続したヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。これに関して、より長いmRNA分子は、より短いものより好ましい。ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900もしくは少なくとも約1000の配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29もしくは配列番号30の連続したヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。これに関して、より長いmRNA分子は、より短いものより好ましい。ある実施形態では、かかるmRNA分子は、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンを含む、または配列番号25もしくは配列番号26それぞれの1599位に対応するウラシルもしくはシステインを含む。
【0077】
本開示はまた、変異GPR156ゲノムDNA(配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12など)、変異GPR156ミニ遺伝子、変異GPR156cDNA(配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20または配列番号21など)及び/または変異GPR156mRNA(配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29または配列番号30など)にハイブリダイズする単離された核酸分子を提供する。ある実施形態では、かかる単離された核酸分子は、少なくとも約5、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約200、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、少なくとも約1000、少なくとも約2000、少なくとも約3000、少なくとも約4000、少なくとも約5000、少なくとも約6000、少なくとも約7000、少なくとも約8000、少なくとも約9000、少なくとも約10000、少なくとも約11000、少なくとも約12000、少なくとも約13000、少なくとも約14000、少なくとも約15000、少なくとも約16000、少なくとも約17000、少なくとも約18000、少なくとも約19000もしくは少なくとも約20000のヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、少なくとも15のヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、少なくとも15のヌクレオチドから少なくとも約35のヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、かかる単離された核酸分子は、ストリンジェントな条件下で、変異GPR156ゲノムDNA(配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12など)、変異GPR156ミニ遺伝子、変異GPR156cDNA(配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21など)及び/または変異GPR156mRNA(配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29または配列番号30など)にハイブリダイズする。かかる核酸分子は、本明細書で説明または例示されるように、例えば、プローブ、プライマーまたはアレル特異的プライマーとして使用してもよい。
【0078】
ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、変異GPR156ゲノムDNA(配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12など)、変異GPR156ミニ遺伝子、変異GPR156cDNA(配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20または配列番号21など)及び/または変異GPR156mRNA(配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29または配列番号30など)に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは100%同一である核酸分子の少なくとも約15の連続ヌクレオチドにハイブリダイズする。ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、約15~約100ヌクレオチドもしくは約15~約35ヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、約15~約100ヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、前記単離された核酸分子は、約15~約35ヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。
【0079】
ある実施形態では、本明細書に開示される任意の核酸分子、ゲノムDNA分子、cDNA分子またはmRNA分子は精製され得、例えば、少なくとも約90%の純度である。ある実施形態では、本明細書に開示される任意の核酸分子、ゲノムDNA分子、cDNA分子またはmRNA分子は精製され得、例えば、少なくとも約95%の純度である。ある実施形態では、本明細書に開示される任意の核酸分子、ゲノムDNA分子、cDNA分子またはmRNA分子は精製され得、例えば、少なくとも約99%の純度である。精製は人の手によって実施され、人工の精製技術が用いられる。
【0080】
本開示はまた、本明細書に開示される任意の単離された核酸分子、ゲノムDNA分子、cDNA分子、またはmRNA分子の断片を提供する。ある実施形態では、前記断片は、本明細書に開示される任意の核酸配列、もしくはそれらの任意の相補体の、少なくとも約5、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95もしくは少なくとも約100の連続残基を含むか、またはそれからなる。これに関して、より長い断片は、より短いものより好ましい。ある実施形態では、前記断片は、少なくとも約5、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45もしくは少なくとも約50の連続残基を含むか、またはそれからなる。これに関して、より長い断片は、より短いものより好ましい。ある実施形態では、前記断片は、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30もしくは少なくとも約35の連続残基を含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、前記断片は、少なくとも約20の連続残基を含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、前記断片は、少なくとも約25の連続残基を含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、前記断片は、少なくとも約30の連続残基を含むか、またはそれからなる。ある実施形態では、前記断片は、少なくとも約35の連続残基を含むか、またはそれからなる。前記断片は、配列番号4のアミノ酸配列を有するタンパク質の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする、もしくは配列番号5のアミノ酸配列を有するタンパク質の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする核酸分子の一部分を含むか、またはそれからなることが想定される。かかる断片は、本明細書で説明または例示されるように、例えば、プローブ、プライマーまたはアレル特異的プライマーとして使用してもよい。
【0081】
本開示はまた、プローブ及びプライマーを提供する。本開示のプローブまたはプライマーは、本明細書に開示される任意の核酸分子、またはその相補体に特異的にハイブリダイズする核酸配列を有する。ある実施形態では、前記プローブまたはプライマーは、ストリンジェントな条件下で、本明細書に開示される任意の核酸分子に特異的にハイブリダイズする。本開示はまた、穏やかな条件下で、本明細書に開示される任意の核酸分子、またはその相補体にハイブリダイズする核酸配列を有する核酸分子を提供する。本開示のプローブまたはプライマーは、好ましくは、GPR156タンパク質内のE533D変異をコードする核酸コドンまたはその相補体を包含する。したがって、好ましい実施形態では、本開示は、本明細書の上記及び下記により詳細に定義されるアレル特異的プライマーを提供する。
【0082】
本開示のプローブまたはプライマーは、GPR156タンパク質(例えば、配列番号4の)をコードする核酸配列内のE533D変異及び/またはGPR156のアイソフォーム(例えば、配列番号5の)をコードする核酸分子内のE529D突然変異を検出するために使用してよい。例えば、本開示のプライマーは、E533D変異を含むGPR156またはその断片を増幅するために使用してよい。本開示のプライマーは、E529D突然変異を含むGPR156アイソフォーム(配列番号5のアミノ酸配列を有するアイソフォームなど)またはその断片を増幅するために使用してもよい。本開示の例示されたプライマーは、表1に示される。
【0083】
本開示はまた、上述のプライマーの1つを含む1対のプライマーを提供する。GPR156内のかかる1対のプライマー長多型を使用することにより、検出することができる。例えば、1対のプライマーを用いて、GPR156タンパク質(例えば配列番号5の)のN末端から中央部へ4つのアミノ酸が欠失しているGPR156アイソフォームをコードする核酸分子と標準GPR156タンパク質(例えば、配列番号4の)をコードする核酸分子を区別することができる。より具体的には、前記プライマーがハイブリダイズする位置が、前記GPR156アイソフォームにおいて欠失している4つのアミノ酸の位置に隣接する場合、標準GRP156タンパク質に対応する増幅断片は、GPR156アイソフォームに対応する増幅断片と比較してより長い。
【0084】
本明細書に開示される核酸分子は、天然に存在するGPR156遺伝子、cDNAもしくはmRNA転写物の核酸配列を含むことができる、または非天然配列を含むことができる。ある実施形態では、前記天然に存在する配列は、同義突然変異またはコードされたGPR156ポリペプチドに影響を及ぼさない突然変異によって非天然配列とは異なり得る。例えば、同義突然変異またはコードされたGPR156ポリペプチドに影響を及ぼさない突然変異を除いて、前記配列は同一であり得る。同義突然変異または置換は、生成されたアミノ酸配列が修飾されないように、タンパク質をコードする遺伝子のエクソンにおいて、あるヌクレオチドを別のヌクレオチドに置換することである。これは、いくつかのアミノ酸が2つ以上の3塩基対コドンによってコードされているという遺伝暗号の縮重のために可能である。同義置換は、例えば、コドンの最適化の過程において使用される。本明細書に開示される核酸分子では、コドンが最適化され得る。
【0085】
また、本明細書では、開示された核酸分子と相互作用することができる機能性ポリヌクレオチドも提供される。機能性ポリヌクレオチドは、標的分子の結合または特定の反応の触媒などの特定の機能を有する核酸分子である。機能性ポリヌクレオチドの例としては、アンチセンス分子、アプタマー、リボザイム、三重鎖形成分子及び外部ガイド配列(external guide sequences)が含まれるが、これらに限定されない。前記機能性ポリヌクレオチドは、標的分子が有する特定の活性のエフェクター、抑制因子、調節因子及び刺激因子として作用することができるか、または前記機能性ポリヌクレオチドは、他の任意の分子とは無関係に新規の活性を有することができる。
【0086】
アンチセンス分子は、標準的または非標準的いずれかの塩基対を通じて標的核酸分子と相互作用するように設計される。前記アンチセンス分子と標的分子との相互作用は、例えば、RNase-H-介在RNA-DNAハイブリッド分解を通じて該標的分子の破壊を促進するように設計される。あるいは、前記アンチセンス分子は、転写または複製などの、前記標的分子上で通常起こるであろうプロセシング機能を妨害するように設計される。アンチセンス分子は、前記標的分子の配列に基づいて設計することができる。前記標的分子の最も接近可能な領域を同定することにより、アンチセンス有効性を最適化する多数の方法が存在する。例示的な方法としては、in vitro選択実験、ならびにDMS及びDEPCを用いたDNA修飾研究が含まれるが、これらに限定されない。アンチセンス分子は、通常、約10-6以下、約10-8以下、約10-10以下または約10-12以下の解離定数(Kd)で標的分子と結合する。アンチセンス分子の設計及び使用の助けとなる方法及び技術の代表例は、以下の米国特許の非限定的なリストに見出すことができる:5,135,917;5,294,533;5,627,158;5,641,754;5,691,317;5,780,607;5,786,138;5,849,903;5,856,103;5,919,772;5,955,590;5,990,088;5,994,320;5,998,602;6,005,095;6,007,995;6,013,522;6,017,898;6,018,042;6,025,198;6,033,910;6,040,296;6,046,004;6,046,319;及び6,057,437。アンチセンス分子の例としては、アンチセンスRNA、低分子干渉RNA(siRNA)及び短ヘアピンRNA(shRNA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
本明細書に開示される単離された核酸分子は、RNA、DNA、またはRNA及びDNAの両方を含むことができる。前記単離された核酸分子はまた、ベクター中などの異種核酸配列、または異種標識に連結または融合することができる。例えば、本明細書に開示される単離された核酸分子は、単離された核酸分子及び異種核酸配列を含むベクターまたは外因性ドナー配列中にあり得る。単離された核酸分子はまた、蛍光標識などの異種標識に連結または融合することができる。標識の他の例は、本明細書の他の箇所に開示される。
【0088】
前記標識は、直接的に検出可能(例えば、フルオロフォア)または間接的に検出可能(例えば、ハプテン、酵素、またはフルオロフォアクエンチャー)であり得る。かかる標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的または化学的手法によって検出可能であり得る。かかる標識としては、例えば、放射線計数装置で測定できる放射性標識;分光光度計で視覚的に観察または測定できる顔料、染料または他の色原体;スピンラベル分析器で測定できるスピンラベル;及び蛍光標識(例えば、フルオロフォア)を含み、その出力信号は、適切な分子付加物の励起によって発生し、染料によって吸収される光による励起によって視覚化されることができるか、または標準的な蛍光光度計もしくはイメージングシステムで測定されることができる。前記標識は、例えば化学発光物質であることもでき、その場合、出力シグナルは、シグナル化合物、金属含有物質または酵素の化学修飾によって発生し、その場合、無色の基質から有色の生成物を生成するような、酵素依存的二次シグナルの発生が生じる。用語「標識」は、コンジュゲート分子に選択的に結合することができる「タグ」またはハプテンを指すことができる(該コンジュゲート分子は、その後基質とともに添加された場合、検出可能なシグナルを発生させるために使用される)。例えば、タグとしてビオチンを使用することができ、次いで西洋ワサビペルオキシデート(HRP)のアビジンまたはストレプトアビジンコンジュゲートを使用してタグに結合することができ、次いで、カロリメトリック(calorimetric)基質(例えば、テトラメチルベンジジン(TMB))または蛍光発生基質を使用してHRPの存在を検出することができる。精製を容易にするためのタグとして使用することができる例示的な標識としては、myc、HA、FLAGもしくは3XFLAG、6XHisもしくはポリヒスチジン、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質、エピトープタグ、または免疫グロブリンのFc部分が含まれるが、これらに限定されない。多数の標識が既知であり、例えば、粒子、フルオロフォア、ハプテン、酵素及びそれらのカロリメトリック、蛍光発生及び化学発光基質、ならびに他の標識が含まれる。
【0089】
開示された核酸分子は、例えばヌクレオチド、または、ヌクレオチド類似体もしくはヌクレオチド置換体などの非天然もしくは修飾ヌクレオチドを含むことができる。かかるヌクレオチドには、修飾塩基、糖またはリン酸基を含むヌクレオチドが含まれる、またはその構造中に非天然部分が組み込まれる。非天然ヌクレオチドの例としては、ジデオキシヌクレオチド、ビオチン化、アミノ化、脱アミノ化、アルキル化、ベンジル化及びフルオロフォア標識ヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
本明細書に開示される核酸分子では、1つ以上のヌクレオチド類似体またはヌクレオチド置換体を含むこともできる。ヌクレオチド類似体は、塩基、糖またはリン酸部分のいずれかに対する修飾を含むヌクレオチドである。塩基部分に対する修飾には、A、C、G及びT/Uの天然及び合成修飾、ならびに例えばシュードウリジン、ウラシル-5-イル、ヒポキサンチン-9-イル(I)及び2-アミノアデニン-9-イルなどの様々なプリンまたはピリミジン塩基が含まれるが、これらに限定されない。修飾塩基の例としては、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6-メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2-プロピル及び他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン及び2-チオシトシン、5-ハロウラシル及びシトシン、5-プロピニルウラシル及びシトシン、6-アゾウラシル、シトシン及びチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル及び他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチル及び他の5-置換ウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン及び7-メチルアデニン、8-アザグアニン及び8-アザアデニン、7-デアザグアニン及び7-デアザアデニン及び3-デアザグアニン及び3-デアザアデニンが含まれるが、これらに限定されない。例えば、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン及び5-メチルシトシンを含むがこれらに限定されない、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびにN-2、N-6及びO-6置換プリンなどの特定のヌクレオチド類似体は、二重鎖形成の安定性を向上させることができる。多くの場合、塩基修飾は、例えば、2’-O-メトキシエチルなどの糖修飾と組み合わせ、二本鎖安定性の向上などの特有の性質を得ることができる。
【0091】
ヌクレオチド類似体は、糖部分の修飾も含むことができる。糖部分に対する修飾としては、リボース及びデオキシリボースの天然修飾、ならびに合成修飾が含まれるが、これらに限定されない。糖修飾としては、2’位における以下の修飾:OH;F;O-、S-もしくはN-アルキル;O-、S-もしくはN-アルケニル;O-、S-もしくはN-アルキニル;またはO-アルキル-O-アルキル(前記アルキル、アルケニル及びアルキニルは、置換もしくは非置換のC1-10アルキルまたはC2-10アルケニル及びC2-10アルキニルであり得る)が含まれるが、これらに限定されない。 例示的な2’糖修飾はまた、-O[(CH2)nO]mCH3、-O(CH2)nOCH3、-O(CH2)nNH2、-O(CH2)nCH3、-O(CH2)n-ONH2及び-O(CH2)ON[(CH2)nCH3)]2(式中、n及びmは、1~約10である)が含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
2’位における他の修飾としては、C1-10アルキル、置換低級アルキル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリールもしくはO-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基、及び類似の特性を有する他の置換基が含まれるが、これらに限定されない。糖の他の位置、特に、3’末端ヌクレオチド上または2’-5’結合オリゴヌクレオチド中の糖の3’位、及び5’末端ヌクレオチド上の5’位にも類似の修飾がなされてもよい。修飾された糖はまた、架橋環の酸素において、CH2及びSなどの修飾を含むものを含むことができる。ヌクレオチド糖類似体もまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣体を有することができる。
【0093】
ヌクレオチド類似体は、リン酸部分において修飾することもできる。修飾リン酸部分としては、2つのヌクレオチド間の結合が、ホスホロチオアート、キラルホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’-アルキレンホスホナート及びキラルホスホナートを含むメチル及び他のアルキルホスホナート、ホスフィナート、3’-アミノホスホルアミダート及びアミノアルキルホスホルアミダートを含むホスホルアミダート、チオノホスホルアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびにボラノホスファートを含有するように修飾されることができるものが含まれるが、これらに限定されない。2つのヌクレオチド間のこれらのリン酸または修飾リン酸の結合は、3’-5’結合または2’-5’結合を介してもよく、該結合は、3’-5’から5’-3’または2’-5’から5’-2’などの反転した極性を含むことができる。様々な塩類、混合塩類及び遊離酸形態もまた含まれる。
【0094】
ヌクレオチド置換体には、ヌクレオチドと同様の機能的特性を有するが、ペプチド核酸(PNA)などのリン酸部分を含有しない分子を含む。ヌクレオチド置換体には、ワトソン-クリックまたはフーグスティーン様式で核酸を認識する分子が含まれるが、それらはリン酸部分以外の部分を介して互いに連結される。ヌクレオチド置換体は、適切な標的核酸と相互作用する場合、二重らせん型構造に適合することができる。
【0095】
ヌクレオチド置換体はまた、リン酸部分もしくは糖部分が置換されたヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を含む。ある実施形態では、ヌクレオチド置換体は、標準的なリン原子を含有しなくてもよい。リン酸の置換体は、例えば、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルのヌクレオシド間結合、混合したへテロ原子及びアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、または1つ以上の短鎖ヘテロ原子もしくはヘテロ環のヌクレオシド間結合であることができる。これらには、モルホリノ結合(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成される);シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシド及びスルホン骨格;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファマート骨格;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格;スルホナート及びスルホンアミド骨格;アミド骨格;ならびにN、O、S及びCH2構成部分を混合したものを有するその他のもの;を有するものが含まれる。
【0096】
ヌクレオチド置換体において、ヌクレオチドの糖及びリン酸部分の両方が、例えばアミド型結合(アミノエチルグリシン)(PNA)によって置換され得ることもまた理解される。
【0097】
他の型の分子(コンジュゲート)をヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体に連結させて、例えば、細胞の取り込みを促進することも可能である。コンジュゲートは、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体に化学的に連結することができる。かかるコンジュゲートとしては、例えば、コレステロール部分などの脂質部分、コール酸、ヘキシル-S-トリチルチオールなどのチオエーテル、チオコレステロール、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基などの脂肪族鎖、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールもしくはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホナートなどのリン脂質、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖、アダマンタン酢酸、パルミチル部分、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分を含む。
【0098】
本開示はまた、本明細書に開示される任意の1つ以上の核酸分子を含むベクターを提供する。ある実施形態では、前記ベクターは、本明細書に開示される任意の1つ以上の核酸分子及び異種の核酸を含む。前記ベクターは、核酸分子を輸送することができるウイルスベクターまたは非ウイルスベクターであることができる。ある実施形態では、前記ベクターは、プラスミドまたはコスミド(例えば、追加のDNA断片がライゲーション可能な環状の二本鎖DNA)である。ある実施形態では、前記ベクターは、ウイルスベクターであって、追加のDNA断片が、ウイルスゲノムにライゲーションすることができる、ベクターである。ある実施形態では、前記ベクターは、それらが導入される宿主細胞内で自己複製することができる(例えば、細菌起源の複製を有する細菌ベクター、及びエピソーム性哺乳動物ベクター)。ある実施形態では、前記ベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムへと組み込まれることができ、それにより、宿主ゲノムとともに複製される。さらに、特定のベクターは、それらが操作可能に連結された遺伝子の発現を指向することができる。かかるベクターは、本明細書において「組み換え発現ベクター」または「発現ベクター」と呼ばれる。かかるベクターは、標的ベクター(すなわち、外因性ドナー配列)であることもできる。
【0099】
ある実施形態では、本明細書に開示される様々な遺伝的変異によってコードされるタンパク質は、開示された遺伝的変異をコードする核酸分子を発現ベクターに挿入することによって発現され、結果として該遺伝子は、転写及び翻訳制御配列などの発現調節配列に操作可能に連結される。発現ベクターとしては、プラスミド、コスミド、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、カリフラワーモザイクウイルス及びタバコモザイクウイルスなどの植物ウイルス、酵母人工染色体(YAC)、エプスタイン・バール(EBV)由来エピソーム、ならびに当該技術分野において既知の他の発現ベクターが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、開示された遺伝的変異を含む核酸分子は、ベクターにライゲーションすることができ、その結果、前記ベクター内の転写及び翻訳制御配列が、遺伝的変異の転写及び翻訳を調節するというそれらの意図された機能を果たす。前記発現ベクター及び発現制御配列は、使用される発現宿主細胞と適合するように選択される。開示された遺伝的変異を含む核酸配列は、変異遺伝情報として、別のベクターまたは同じ発現ベクターに挿入されることができる。開示された遺伝的変異を含む核酸配列は、標準的な方法(例えば、開示された遺伝的変異及びベクターを含む核酸の相補的制限部位のライゲーション、または制限部位が存在しない場合は平滑末端ライゲーション)によって発現ベクターに挿入することができる。
【0100】
開示された遺伝的変異を含む核酸配列に加えて、前記組換え発現ベクターは、宿主細胞において遺伝的変異の発現を制御する調節配列を保持することができる。調節配列の選択を含む発現ベクターの設計は、形質転換する宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどのような要因に左右され得る。哺乳動物宿主細胞発現のための所望の調節配列は、例えば、レトロウイルスLTR由来のプロモーター及び/またはエンハンサー、サイトメガロウイルス(CMV)(CMVプロモーター/エンハンサーなど)、シミアンウイルス40(SV40)(SV40プロモーター/エンハンサーなど)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))、ポリオーマなどの哺乳動物細胞で高レベルのタンパク質発現を指向するウイルスエレメント、ならびに天然免疫グロブリン及びアクチンプロモーターなどの強力な哺乳動物プロモーターを含むことができる。細菌細胞または真菌細胞(例えば、酵母細胞)においてポリペプチドを発現させる方法もまた周知である。
【0101】
プロモーターは、例えば、構成的に活性なプロモーター、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、一時的に制限されたプロモーター(例えば、発生制御プロモーター)、または空間的に制限されたプロモーター(例えば、細胞特異的または組織特異的プロモーター)であることができる。プロモーターの例は、例えばWO2013/176772に見出すことができる。
【0102】
誘導性プロモーターの例には、例えば、化学的制御プロモーター及び物理的制御プロモーターが含まれる。化学的制御プロモーターとしては、例えば、アルコール制御プロモーター(例えば、アルコールデヒドロゲナーゼ(alcA)遺伝子プロモーター)、テトラサイクリン制御プロモーター(例えば、テトラサイクリン応答性プロモーター、テトラサイクリンオペレーター配列(tetO)、tet-Onプロモーターまたはtet-Offプロモーター)、ステロイド制御プロモーター(例えば、ラット糖質コルチコイド受容体、エステロゲン受容体のプロモーター、エクジソン受容体のプロモーター)、または金属制御プロモーター(例えば、金属タンパク質プロモーター)を含む。物理的制御プロモーターとしては、例えば、温度制御プロモーター(例えば、ヒートショックプロモーター)及び光制御プロモーター(例えば、光誘導性プロモーターまたは光抑制性プロモーター)を含む。
【0103】
組織特異的プロモーターは、例えば、神経特異的プロモーター、グリア特異的プロモーター、筋細胞特異的プロモーター、心臓細胞特異的プロモーター、腎臓細胞特異的プロモーター、骨細胞特異的プロモーター、内皮細胞特異的プロモーターまたは免疫細胞特異的プロモーター(例えば、B細胞プロモーターまたはT細胞プロモーター)であることができる。
【0104】
発生制御プロモーターとしては、例えば、発生の胚段階の間のみ活性がある、または成熟細胞でのみ活性があるプロモーターを含む。
開示された遺伝的変異を含む核酸配列、及び調節配列に加えて、前記組換え発現ベクターは、宿主細胞中のベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)及び選択マーカー遺伝子などの追加の配列を保持することができる。選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を促進することができる(例えば、米国特許第4,399,216号;第4,634,665号;及び第5,179,017号を参照のこと)。例えば、選択マーカー遺伝子は、前記ベクターが導入された宿主細胞に、G418、ハイグロマイシンまたはメトトレキサートなど、薬物に対する耐性を付与することができる。例示的な選択マーカー遺伝子には、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅とともにdhfr宿主細胞において使用するための)、neo遺伝子(G418選択のため)及びグルタミン酸シンセターゼ(GS)遺伝子が含まれるが、これらに限定されない。
【0105】
追加のベクターは、例えば、2016年7月28日に出願された米国仮特許出願第62/367,973号に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本開示はまた、本明細書に開示される任意の1つ以上の単離された核酸分子、ゲノムDNA分子、cDNA分子またはmRNA分子を含む組成物を提供する。ある実施形態では、前記組成物は、医薬組成物である。
【0106】
本開示はまた、変異GPR156ポリペプチドを提供する。本開示は、前記GPR156タンパク質の少なくとも一部分を含む単離または組換えポリペプチドであって、前記部分が、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む、単離または組換えポリペプチドを提供する。ある実施形態では、前記単離または組換えポリペプチドは、前記GPR156タンパク質の少なくとも一部分を含み、前記部分は、配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸を含む。
【0107】
ある実施形態では、前記単離または組換えポリペプチドは、配列番号4に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、前記ポリペプチドの533位(配列番号4の)に対応する位置のアミノ酸は、アスパラギン酸である。ある実施形態では、前記ポリペプチドは、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む完全長のGPR156タンパク質を含む。ある実施形態では、前記完全長のGPR156タンパク質は、配列番号4に対して、少なくとも約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%もしくは約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、前記ポリペプチドの533位(配列番号4の)に対応する位置のアミノ酸は、アスパラギン酸である。ある実施形態では、前記ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、前記ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列からなる。この変異GPR156タンパク質(配列番号4を参照)の516位に対応する位置は、グルタミン酸またはアスパラギン酸のいずれかである。ある実施形態では、この変異GPR156タンパク質(配列番号4を参照)の516位に対応する位置は、グルタミン酸である。ある実施形態では、この変異GPR156タンパク質(配列番号4を参照)の516位に対応する位置は、アスパラギン酸である。
【0108】
ある実施形態では、前記単離または組換えポリペプチドは、配列番号5に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、前記ポリペプチドの529位(配列番号5の)に対応する位置のアミノ酸は、アスパラギン酸である。ある実施形態では、前記ポリペプチドは、配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸を含むGPR156タンパク質を含む。ある実施形態では、前記GPR156タンパク質は、配列番号5に対して、少なくとも約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%もしくは約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、前記ポリペプチドの529位(配列番号5の)に対応する位置のアミノ酸は、アスパラギン酸である。ある実施形態では、前記ポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、前記ポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列からなる。この変異GPR156タンパク質(配列番号5を参照)の512位に対応する位置は、グルタミン酸またはアスパラギン酸のいずれかである。ある実施形態では、この変異GPR156タンパク質(配列番号5を参照)の512位に対応する位置は、グルタミン酸である。ある実施形態では、この変異GPR156タンパク質(配列番号5を参照)の512位に対応する位置は、アスパラギン酸である。
【0109】
ある実施形態では、前記ポリペプチドは、配列番号4の310~814位に対応するGPR156タンパク質の一部分を含む。ある実施形態では、前記ポリペプチドは、配列番号4の310~814位に対して、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、配列番号4の533位に対応する位置(例えば、224位)のアミノ酸は、アスパラギン酸である。ある実施形態では、前記ポリペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、前記ポリペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列からなる。このGPR156タンパク質(配列番号6を参照)の207位に対応する位置は、グルタミン酸またはアスパラギン酸のいずれかである。ある実施形態では、このGPR156タンパク質(配列番号6を参照)の207位に対応する位置は、グルタミン酸である。ある実施形態では、このGPR156タンパク質(配列番号6を参照)の207位に対応する位置は、アスパラギン酸である。
【0110】
本開示はまた、本明細書に開示される任意のポリペプチドの断片を提供する。ある実施形態では、前記断片は、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約100、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、少なくとも約350、少なくとも約400、少なくとも約450、少なくとも約500、少なくとも約550、少なくとも約600、少なくとも約650、少なくとも約700、少なくとも約750または少なくとも約800の、前記コードされたポリペプチドの連続アミノ酸残基を含む。これに関して、より長い断片は、より短いものより好ましい。ある実施形態では、前記断片は、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95または少なくとも約100の、前記コードされたポリペプチドの連続アミノ酸残基を含む。これに関して、より長い断片は、より短いものより好ましい。
【0111】
本開示はまた、変異GPR156を含む単離されたポリペプチドを含む二量体であって、前記ポリペプチドが、本明細書に開示される任意のポリペプチドから選択される、二量体を提供する。
【0112】
ある実施形態では、本明細書に開示される単離されたポリペプチドは、異種ポリペプチドまたは異種分子または標識に連結または融合されており、それらの多くの例は本明細書の他の箇所に開示される。例えば、前記タンパク質は、異種ポリペプチドに融合して安定性を増減することができる。前記融合ドメインまたは異種ポリペプチドは、N末端、C末端、またはポリペプチドの内部に位置することができる。融合パートナーは、例えば、Tヘルパーエピトープ(免疫学的融合パートナー)を提供するのを助け得るか、または天然の組換えポリペプチドよりも高い収率でタンパク質(発現エンハンサー)を発現するのを助け得る。特定の融合パートナーは、免疫学的融合パートナー及び発現増強融合パートナーの両方である。他の融合パートナーは、ポリペプチドの溶解度を増加させるために選択され得るか、または所望の細胞内区画へのポリペプチドのターゲティングを促進するために選択され得る。いくつかの融合パートナーは、ポリペプチドの精製を促進する親和性タグを含む。
【0113】
ある実施形態では、融合タンパク質は異種分子と直接融合しているか、またはペプチドリンカーなどのリンカーを介して異種分子に連結している。適切なペプチドリンカー配列は、例えば、以下の要因に基づいて選択され得る:1)柔軟で伸長する立体構造の採用能力;2)第1及び第2のポリペプチドの機能性エピトープと相互作用し得る二次構造の採用への抵抗力;ならびに3)ポリペプチド機能性エピトープと反応し得る疎水性または荷電残基がないこと。例えば、ペプチドリンカー配列は、Gly、Asn及びSer残基を含有してよい。Thr及びAlaなどの他の中性に近いアミノ酸もまた、リンカー配列に使用してよい。リンカーとして有用に使用され得るアミノ酸配列には、例えば、Maratea et al., Gene, 1985, 40, 39-46;Murphy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1986, 83, 8258-8262;ならびに米国特許第4,935,233号及び第4,751,180号に開示されているものが含まれる。リンカー配列は、通常、例えば、1~約50アミノ酸長であり得る。第1及び第2のポリペプチドが、機能ドメインを分離し、立体障害を防ぐために使用することができる非必須N末端アミノ酸領域を有する場合、リンカー配列は通常必要とされない。
【0114】
ある実施形態では、前記ポリペプチドは、細胞透過性ドメインに作動可能に連結されている。例えば、前記細胞透過性ドメインは、HIV-1TATタンパク質、ヒトB型肝炎ウイルス由来のTLM細胞透過性モチーフ、MPG、Pep-1、VP22、単純ヘルペスウイルス由来の細胞透過性ペプチド、またはポリアルギニンペプチド配列から得ることができる。例えば、WO2014/089290を参照のこと。前記細胞透過性ドメインは、N末端、C末端、またはタンパク質の内部の任意の場所に位置することができる。
【0115】
ある実施形態では、前記ポリペプチドは、追跡または精製を容易にするために、蛍光タンパク質、精製タグまたはエピトープタグなどの異種ポリペプチドに作動可能に連結されている。蛍光タンパク質の例としては、緑色蛍光タンパク質(例えば、GFP, GFP-2, tagGFP, turboGFP, eGFP, Emerald, Azami Green, Monomeric Azami Green, CopGFP, AceGFP, ZsGreenl)、黄色蛍光タンパク質(例えば、YFP, eYFP, Citrine, Venus, YPet, PhiYFP, ZsYellowl)、青色蛍光タンパク質(例えば、eBFP, eBFP2, Azurite, mKalamal, GFPuv, Sapphire, T-sapphire)、シアン蛍光タンパク質(例えば、eCFP, Cerulean, CyPet, AmCyanl, Midoriishi-Cyan)、赤色蛍光タンパク質(例えば、mKate, mKate2, mPlum, DsRed monomer, mCherry, mRFP1, DsRed-Express, DsRed2, DsRed-Monomer, HcRed-Tandem, HcRedl, AsRed2, eqFP611, mRaspberry, mStrawberry, Jred)、橙色蛍光タンパク質(例えば、mOrange, mKO, Kusabira-Orange, Monomeric Kusabira-Orange, mTangerine, tdTomato)及び他の任意の適切な蛍光タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。タグの例としては、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質、チオレドキシン(TRX)、ポリ(NANP)、タンデムアフィニティー精製(TAP)タグ、myc、AcV5、AU1、AU5、E、ECS、E2、FLAG、ヘマグルチニン(HA)、nus、Softag1、Softag3、Strep、SBP、Glu-Glu、HSV、KT3、S、S1、T7、V5、VSV-G、ヒスチジン(His)、ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質(BCCP)及びカルモジュリンが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、前記異種分子は、免疫グロブリンFcドメイン、ペプチドタグ、形質導入ドメイン、ポリ(エチレングリコール)、ポリシアル酸またはグリコール酸である。
【0116】
ある実施形態では、前記単離されたポリペプチドは、非天然もしくは修飾アミノ酸またはペプチド類似体を含む。例えば、天然に存在するアミノ酸とは異なる機能的置換基を有する多数のD-アミノ酸またはアミノ酸が存在する。天然に存在するペプチドの反対の立体異性体、及びペプチド類似体の立体異性体が開示されている。これらのアミノ酸は、最適なアミノ酸をtRNA分子に負荷し、例えばアンバーコドンを利用して部位特異的な方法で類似体アミノ酸をペプチド鎖に挿入する遺伝子構築物を操作することによって、容易にポリペプチド鎖に組み込まれ得る。
【0117】
ある実施形態では、前記単離されたポリペプチドは、ペプチド模倣物であり、これはペプチドに類似するように産生され得るが、天然のペプチド結合を介して結合されない。例えば、アミノ酸またはアミノ酸類似体の結合としては、-CH2NH-、-CH2S-、-CH2-、-CH=CH-(シス及びトランス)、-COCH2-、-CH(OH)CH2-及び-CHH2SO-が含まれるが、これらに限定されない。ペプチド類似体は、b-アラニン、γ-アミノ酪酸などのように、結合原子間に2つ以上の原子を有することができる。アミノ酸類似体及びペプチド類似体は、多くの場合、より経済的な生産、より良好な化学的安定性、向上した薬理学的特性(半減期、吸収、効力、有効性など)、特異性の変化(例えば、広範囲の生物学的活性)、抗原性の低下、及び他の望ましい特性など、向上した、または望ましい特性を有する。
【0118】
ある実施形態では、前記単離されたポリペプチドは、D-アミノ酸(D-アミノ酸はペプチダーゼによって認識されないため、より安定なペプチドを生成するために使用することができる)を含む。コンセンサス配列の1つ以上のアミノ酸を同種のD-アミノ酸により系統的に置換する(例えば、L-リジンの代わりにD-リジン)ことによって、より安定なペプチドを生成することができる。システイン残基を用いて、2つ以上のペプチドを共に環化または結合させることができる。これは、ペプチドを特定の立体構造に制約するのに有益であり得る(例えば、Rizo and Gierasch, Ann. Rev. Biochem., 1992, 61, 387を参照のこと)。
【0119】
本開示はまた、本明細書に開示される任意のポリペプチドをコードする核酸分子を提供する。これには特定のポリペプチド配列に関連するすべての縮重配列が含まれる(1つの特定のポリペプチド配列をコードする配列を有するすべての核酸、ならびに前記タンパク質配列の開示された変異及び誘導体をコードする縮重核酸を含むすべての核酸)。したがって、各特定の核酸配列は本明細書に記載されていない場合があるが、各配列及びすべての配列は、開示されたポリペプチド配列を通じて、事実上本明細書に開示され、記載される。
【0120】
核酸内の核酸配列またはポリペプチド内のアミノ酸配列の特定の範囲の間のパーセント同一性(またはパーセント相補性)は、BLASTプログラム(ベーシックローカルアライメント検索ツール)及びPowerBLASTプログラム(Altschul et al., J. Mol. Biol., 1990, 215, 403-410;Zhang and Madden, Genome Res., 1997, 7, 649-656)を使用して、またはスミス及びウォーターマンのアルゴリズム(Adv. Appl. Math., 1981, 2, 482-489)を使用するデフォルト設定を用いたGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8 for Unix, Genetics Computer Group, University Research Park, Madison Wis)を使用することによって、常套的に測定できる。本明細書では、パーセント配列同一性について言及する場合、より高いパーセントの配列同一性がより低いものよりも好ましい。
【0121】
本開示はまた、本明細書に開示される任意の1つ以上の核酸分子及び/または任意の1つ以上のポリペプチド、ならびに担体及び/または賦形剤を含む組成物を提供する。ある実施形態では、前記担体は、核酸分子及び/またはポリペプチドの安定性を向上させる(例えば、分解生成物が、出発核酸またはタンパク質の0.5重量%未満といった閾値未満のままとなる所与の保存条件下(例えば、-20℃、4℃または周囲温度)での期間を延長する;またはin vivoでの安定性を増加させる)。担体の例としては、ポリ(乳酸)(PLA)マイクロスフェア、ポリ(D,L-乳酸-コグリコール酸)(PLGA)マイクロスフェア、リポソーム、ミセル、逆ミセル、脂質コクリエート及び脂質微小管が含まれるが、これらに限定されない。担体は、PBS、HBSSなどの緩衝食塩水を含んでよい。
【0122】
本開示はまた、本明細書に開示される任意のポリペプチドまたはその断片の産生方法を提供する。かかるポリペプチドまたはその断片は、任意の好適な方法によって産生することができる。例えば、ポリペプチドまたはその断片は、かかるポリペプチドまたはその断片をコードする核酸分子(例えば、組換え発現ベクター)を含む宿主細胞から産生することができる。かかる方法は、ポリペプチドまたはその断片を産生するのに十分な条件下で、ポリペプチドまたはその断片をコードする核酸分子(例えば、組換え発現ベクター)を含む宿主細胞を培養し、それにより該ポリペプチドまたはその断片を産生することを含むことができる。前記核酸は、前記宿主細胞中で活性なプロモーターに作動可能に連結することができ、培養は、該核酸が発現する条件下で実施することができる。かかる方法は、前記発現ポリペプチドまたはその断片を回収することをさらに含むことができる。回収は、前記ポリペプチドまたはその断片を精製することをさらに含むことができる。
【0123】
タンパク質発現に適した系の例には、例えば細菌細胞発現系(例えば、Escherichia coli、Lactococcus lactis)、酵母細胞発現系(例えば、Saccharomyces cerevisiae、Pichia pastoris)、昆虫細胞発現系(例えば、バキュロウイルス媒介タンパク質発現)及び哺乳動物細胞発現系などの宿主細胞が含まれる。
【0124】
ポリペプチドまたはその断片をコードする核酸分子の例は、本明細書の他の箇所でより詳細に開示される。ある実施形態では、前記核酸分子は、前記宿主細胞での発現に最適化されたコドンである。ある実施形態では、前記核酸分子は、前記宿主細胞のプロモーター活性物質に作動可能に連結する。前記プロモーターは、異種プロモーター(天然に存在するプロモーターではないプロモーター)であり得る。Escherichia coliに適したプロモーターの例としては、アラビノース、lac、tac及びT7プロモーターが含まれるが、これらに限定されない。Lactococcus lactisに適したプロモーターの例としては、P170及びナイシンプロモーターが含まれるが、これらに限定されない。Saccharomyces cerevisiaeに適したプロモーターの例としては、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADHI)プロモーターもしくはエノラーゼ(ENO)プロモーターなどの構成的プロモーター、またはPHO、CUP1、GAL1及びG10などの誘導性プロモーターが含まれるが、これらに限定されない。Pichia pastorisに適したプロモーターの例としては、アルコールオキシダーゼI(AOX I)プロモーター、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAP)プロモーター及びグルタチオン依存型ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(FLDI)プロモーターが含まれるが、これらに限定されない。バキュロウイルス媒介系に適したプロモーターの例は、後期ウイルス性強力ポリヘドリンプロモーターである。
【0125】
ある実施形態では、前記核酸分子は、ポリペプチドまたはその断片とタグをインフレームでコードし、タンパク質精製を容易にする。タグの例は、本明細書の他の箇所に開示される。かかるタグは、例えば、タグ付加タンパク質が、他のすべてのタンパク質(例えば宿主細胞タンパク質)から単離できるようにパートナーリガンド(例えば樹脂上に固定化されている)に結合する。アフィニティークロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、前記発現タンパク質の純度を向上するために使用することができる方法の例である。
【0126】
他の方法もまた、ポリペプチドまたはその断片を産生するために使用可能である。例えば、2種以上のペプチドまたはポリペプチドをタンパク質化学技術によって互いに連結することができる。例えば、ペプチドまたはポリペプチドは、Fmoc(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)またはBoc(tert-ブチルオキシカルボノイル(tert-butyloxycarbonoyl))化学反応のいずれかを用いて化学的に合成され得る。かかるペプチドまたはポリペプチドは、標準的な化学反応によって合成可能である。例えば、ペプチドまたはポリペプチドは合成されて、その合成樹脂から切断され得ないが、一方で、ペプチドまたはタンパク質の他の断片は合成され、続いて樹脂から切断され得、それにより他の断片上で機能的にブロックされた末端基が露出し得る。ペプチド縮合反応により、これら2つの断片は、それぞれ、それらのカルボキシル末端及びアミノ末端でペプチド結合を介して共有結合することができる。あるいは、前記ペプチドまたはポリペプチドは、本明細書で記載のとおり、in vivoで独立して合成されることができる。単離すると、これらの独立したペプチドまたはポリペプチドは、連結し、類似のペプチド縮合反応を介してペプチドまたはその断片を形成し得る。
【0127】
ある実施形態では、クローン化または合成したペプチドセグメントの酵素ライゲーションにより、比較的短いペプチド断片を結合して、より大きなペプチド断片、ポリペプチド、または全タンパク質ドメインを産生することが可能になる(Abrahmsen et al., Biochemistry, 1991, 30, 4151)。あるいは、合成ペプチドのネイティブケミカルライゲーションを利用して、より短いペプチド断片から大きなペプチドまたはポリペプチドを合成的に構築することができる。この方法は、二段階化学反応からなることができる(Dawson et al., Science, 1994, 266, 776-779)。第1段階は、非保護合成ペプチド-チオエステルと、アミノ末端Cys残基を含有する別の非保護ペプチドセグメントとの化学選択的反応であり、チオエステル結合中間体を最初の共有結合生成物として得ることができる。反応条件を変更することなく、この中間体は、自発的な迅速な分子内反応を受けて、ライゲーション部位に天然のペプチド結合を形成することができる。
【0128】
ある実施形態では、非保護ペプチドセグメントは、ペプチドセグメント間に結合が形成されている場所で化学的に連結することができる。該化学的ライゲーションの結果としては、非天然(非ペプチド)結合がある(Schnolzer et al., Science, 1992, 256, 221)。
【0129】
ある実施形態では、前記ポリペプチドは、例えば、グリコシル化、アセチル化及びリン酸化、ならびに当該技術分野において既知の他の修飾(天然に存在するものと天然に存在しないものの両方)などの発現後修飾を有することができる。ポリペプチドは、タンパク質全体、またはその配列であり得る。
【0130】
本開示はまた、本明細書に開示される1つ以上のポリペプチドまたはその相補体をコードすることができるポリヌクレオチドを含む核酸分子を含む組換え発現ベクターを含む宿主細胞を培養し、それにより該ポリペプチドを産生することを含む、本明細書に開示される任意のポリペプチドの産生方法を提供する。
【0131】
本開示はまた、本明細書に開示される、核酸分子を含むベクターを含む任意の1つ以上の核酸分子、及び/または任意の1つ以上のポリペプチドを含む細胞(例えば、組換え宿主細胞)を提供する。前記細胞は in vitro、ex vivoまたはin vivoであり得る。核酸分子は、プロモーター及び他の調節配列に連結することができ、そして、それらは発現し、コードされたタンパク質を産生する。かかる細胞の細胞株がさらに提供される。
【0132】
ある実施形態では、前記細胞は、全能性細胞または多能性細胞(例えば、げっ歯類ES細胞、マウスES細胞、またはラットES細胞などの胚性幹(ES)細胞)である。全能性細胞には、任意の細胞型を生じさせることができる未分化細胞が含まれ、多能性細胞には、2種以上の分化細胞型へと発達する能力を有する未分化細胞が含まれる。かかる多能性及び/または全能性細胞は、例えば、ES細胞、または人工多能性幹(iPS)細胞などのES様細胞であることができる。ES細胞には、胚へ導入すると、発達中の胚の任意の組織に寄与することができる胚由来の全能性または多能性細胞を含む。ES細胞は、胚盤胞の内部細胞塊から得ることができ、任意の3つの脊椎動物胚葉(内胚葉、外胚葉及び中胚葉)の細胞に分化することができる。本開示によれば、前記胚性幹細胞は、非ヒト胚性幹細胞であり得る。
【0133】
ある実施形態では、前記細胞は初代体細胞、または初代体細胞ではない細胞である。体細胞は、配偶子、生殖細胞、生殖母細胞、または未分化幹細胞ではない任意の細胞を含むことができる。ある実施形態では、前記細胞は、初代細胞でもあり得る。初代細胞は、生物、器官または組織から直接単離された細胞または細胞の培養物を含む。初代細胞には、形質転換も不死化もしていない細胞が含まれる。初代細胞には、以前に組織培養が成功しなかった、または以前に組織培養が成功したが、無限に組織培養が成功することが不可能な生物、器官または組織から得られた任意の細胞が含まれる。かかる細胞は、従来技術によって単離することができ、例えば体細胞、造血細胞、内皮細胞、上皮細胞、線維芽細胞、間葉細胞、ケラチノサイト、メラニン細胞、単球、単核細胞、脂肪細胞、脂肪前駆細胞、ニューロン、グリア細胞、肝細胞、骨格筋筋芽細胞及び平滑筋細胞が含まれる。例えば、初代細胞は、結合組織、筋肉組織、神経系組織または上皮組織から得ることができる。
【0134】
ある実施形態では、前記細胞は通常、無限に増殖しない場合があるが、突然変異または変化のために、正常な細胞老化を回避し、代わりに分裂し続けることができる。かかる突然変異または変化は、自然に発生するか、または意図的に誘導可能である。不死化細胞の例としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児腎細胞(例えば、HEK293細胞)及びマウス胚性線維芽細胞(例えば、3T3細胞)が含まれるが、これらに限定されない。多数の種類の不死化細胞が周知である。不死化細胞または初代細胞には、組換え遺伝子またはタンパク質の培養または発現に通常用いられる細胞が含まれる。ある実施形態では、前記細胞は、肝細胞(例えば、ヒト肝細胞)などの分化細胞である。
【0135】
前記細胞は、任意の起源由来であることができる。例えば、前記細胞は、真核細胞、動物細胞、植物細胞または真菌(例えば酵母)細胞であることができる。かかる細胞は、魚類細胞もしくは鳥類細胞であることができる、またはかかる細胞は、ヒト細胞、非ヒト哺乳動物細胞、げっ歯類細胞、マウス細胞もしくはラット細胞などの哺乳動物細胞であることができる。哺乳動物としては、ヒト、非ヒト霊長類、サル、類人猿、ネコ、イヌ、ウマ、雄牛、シカ、バイソン、ヒツジ、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット)、家畜(例えば、雌牛、去勢牛などのウシ種;ヒツジ、ヤギなどのヒツジ種、ならびにブタ及びイノシシなどのブタ種)が含まれるが、これらに限定されない。鳥類としては、ニワトリ、シチメンチョウ、ダチョウ、ガチョウ、アヒル、などが含まれるが、これらに限定されない。飼育動物及び農業動物も含まれる。用語「非ヒト動物」は、ヒトを除外する。
【0136】
追加の宿主細胞は、例えば、2016年7月28日に出願された米国仮特許出願第62/367,973号に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に開示される核酸分子及びポリペプチドは、任意の手段によって細胞内に導入することができる。トランスフェクションプロトコール及び核酸またはタンパク質を細胞内に導入するためのプロトコールは異なり得る。非限定的なトランスフェクション方法としては、リポソーム、ナノ粒子、カルシウム、デンドリマー、及びDEAE-デキストランまたはポリエチレンイミンなどのカチオン性ポリマーを使用する化学ベースのトランスフェクション法を含む。非化学的方法としては、電気穿孔法、音響穿孔法及び光学的トランスフェクションを含む。粒子ベースのトランスフェクションとしては、遺伝子銃の使用、または磁力アシストトランスフェクション(magnet-assisted transfection)を含む。ウイルス法もまた、トランスフェクションに使用することができる。
【0137】
細胞内への核酸またはタンパク質の導入はまた、電気穿孔、細胞質内注入、ウイルス感染、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、トランスフェクション、脂質媒介トランスフェクションまたはヌクレオフェクションによって媒介されることができる。ヌクレオフェクションは、細胞質へだけではなく、核膜を通じて核酸基質を核内に送達することを可能にする、改良された電気穿孔技術である。加えて、本明細書に開示される方法におけるヌクレオフェクションの使用では、通常、標準的な電気穿孔法よりも、はるかに少ない細胞しか必要としない(例えば、標準的な電気穿孔法の場合の700万と比較して約200万のみ)。ある実施形態では、ヌクレオフェクションは、LONZA(登録商標)NUCLEOFECTOR(商標)システムを用いて実施される。
【0138】
細胞内への核酸またはタンパク質の導入は、顕微注入法によっても実施することができる。タンパク質またはDNAの顕微注入が通常、核内へ行われる一方、mRNAの顕微注入は、通常、細胞質内へ行われる(例えば、mRNAを翻訳機構に直接送達するために)。あるいは、顕微注入は、核と細胞質内の両方への注入によって実施することができる:最初に針を核内に挿入し、第1の量を注入することができ、該針を細胞から抜きながら第2の量を細胞質内に注入することができる。ヌクレアーゼ剤タンパク質を細胞質内に注入する場合、該タンパク質は、核局在化シグナルを含み得、核/前核への送達を確実にし得る。
【0139】
細胞内に核酸またはタンパク質を導入するための他の方法は、例えば、ベクター送達、粒子媒介送達、エキソソーム媒介送達、脂質-ナノ粒子媒介送達、細胞透過性ペプチド媒介送達または埋め込み型デバイス媒介送達を含むことができる。細胞をin vivoで修飾するために、対象に核酸またはタンパク質を投与する方法は、本明細書の他の箇所に開示される。細胞内への核酸及びタンパク質の導入は、流体力学的送達(HDD)によっても実施することができる。
【0140】
細胞内に核酸またはタンパク質を導入するための他の方法は、例えば、ベクター送達、粒子媒介送達、エキソソーム媒介送達、脂質-ナノ粒子媒介送達、細胞透過性ペプチド媒介送達または埋め込み型デバイス媒介送達を含むことができる。ある実施形態では、核酸またはタンパク質は、ポリ(乳酸)(PLA)マイクロスフェア、ポリ(D,L-乳酸-コグリコール酸)(PLGA)マイクロスフェア、リポソーム、ミセル、逆ミセル、脂質コクリエートまたは脂質微小管などの担体中の細胞内に導入することができる。
【0141】
本開示はまた、プローブ及びプライマーを提供する。プローブ及びプライマーの例は、例えば上記に開示される。本開示は、本明細書に開示される任意の核酸分子を特異的にハイブリダイズする核酸配列を含むプローブ及びプライマーを提供する。例えば、前記プローブまたはプライマーは、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含むGPR156タンパク質をコードする核酸分子にハイブリダイズする、またはこの核酸分子の相補体にハイブリダイズする核酸配列を含んでもよい。ある実施形態では、本開示のプローブまたはプライマーは、配列番号4のGPR156タンパク質をコードする核酸分子にハイブリダイズする、またはこの核酸分子の相補体にハイブリダイズする核酸配列を含む。ある実施形態では、前記プローブまたはプライマーは、配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸を含むGPR156タンパク質をコードする核酸分子にハイブリダイズする、またはこの核酸分子の相補体にハイブリダイズする核酸配列を含んでもよい。ある実施形態では、前記プローブまたはプライマーは、配列番号5のGPR156タンパク質をコードする核酸分子にハイブリダイズする、またはこの核酸分子の相補体にハイブリダイズする核酸配列を含む。前記プローブまたはプライマーは、任意の適切な長さを含んでもよく、その非限定的な例には、少なくとも約5、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24または少なくとも約25ヌクレオチド長が含まれる。好ましい実施形態では、前記プローブまたはプライマーは、少なくとも約18ヌクレオチド長を含む。前記プローブまたはプライマーは、約10~約35、約10~約30、約10~約25、約12~約30、約12~約28、約12~約24、約15~約30、約15~約25、約18~約30、約18~約25、約18~約24または約18~約22ヌクレオチド長を含んでもよい。好ましい実施形態では、前記プローブまたはプライマーは、約18~約30ヌクレオチド長である。
【0142】
本開示はまた、アレル特異的プローブ及びアレル特異的プライマーを提供する。本開示のアレル特異的プローブまたはプライマーは、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含むGPR156タンパク質をコードする核酸配列、またはその相補体に特異的にハイブリダイズする。
【0143】
本開示の文脈では、「特異的にハイブリダイズする」とは、プローブまたはプライマー(例えば、アレル特異的プローブまたはプライマー)が、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含まないGPR156タンパク質をコードする核酸配列にハイブリダイズしないことを意味する。本開示のプローブまたはプライマーは、好ましくは、GPR156タンパク質内のE533D変異をコードする核酸コドンまたはその相補体を包含する。
【0144】
したがって、本開示は、GPR156タンパク質をコードする核酸配列に相補的な核酸配列を含むアレル特異的プローブまたはプライマーであって、該アレル特異的プローブまたはプライマーが、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする核酸コドンに相補的な核酸配列を含む、アレル特異的プローブまたはプライマーを提供する。
【0145】
したがって、本開示のアレル特異的プローブまたはプライマーは、配列番号4の533位にアスパラギン酸を含むGPR156タンパク質をコードする核酸配列に相補的な核酸配列を含む。本開示のアレル特異的プローブまたはプライマーは、GPR156内のE533D変異及び/またはGPR156のより短いアイソフォーム内のE529D突然変異を検出するために使用してもよい。例えば、本開示のアレル特異的プライマーは、E533D変異を含む、GPR156(例えば、配列番号4のアミノ酸配列を有する)またはその断片をコードする核酸配列を増幅するために使用してもよい。本開示のアレル特異的プライマーは、E529D突然変異を含む、GPR156アイソフォーム(配列番号5のアミノ酸配列を有するアイソフォームなど)の核酸配列またはその断片を増幅するために使用してもよい。
【0146】
ある実施形態では、本開示のアレル特異的プローブまたはプライマーは、配列番号4のGPR156タンパク質をコードする核酸配列に相補的な核酸配列を含む。ある実施形態では、前記アレル特異的プローブまたはプライマーは、配列番号5のGPR156タンパク質をコードする核酸配列に相補的な核酸配列を含む。ある実施形態では、前記アレル特異的プローブまたはプライマーは、配列番号4の533位または配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸を含むGPR156タンパク質をコードする核酸配列に相補的な核酸配列を含む。ある実施形態では、前記アレル特異的プライマーは、本明細書に開示される任意の核酸分子に特異的にハイブリダイズし、前記アスパラギン酸は、コドンGATまたはGAUによってコードされる。ある実施形態では、前記アレル特異的プライマーは、本明細書に開示される任意の核酸分子に特異的にハイブリダイズし、前記アスパラギン酸は、コドンGACによってコードされる。前記アスパラギン酸をコードするコドンは、前記アレル特異的プライマーの3’末端にあってよい。
【0147】
好ましい実施形態では、前記アレル特異的プローブまたはプライマーは、GPR156遺伝子のメジャーアレルに結合する。したがって、前記アレル特異的プライマーは、好ましくは、GPR156遺伝子のマイナーアレルではなく、GPR156遺伝子のメジャーアレルに結合する。野生型メジャーアレルは、配列番号4の533位に対応する位置にグルタミン酸をコードする核酸配列を含むが、前記メジャーアレルは、配列番号4の516位に対応する位置にアスパラギン酸をコードする核酸配列を含む。前記マイナーアレルは、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸をコードする核酸配列を含むが、前記マイナーアレルは、配列番号4の516位に対応する位置にグルタミン酸をコードする核酸配列を含む。したがって、前記アレル特異的プローブまたはプライマーは、E533D変異を含むGPR156遺伝子のマイナーアレルに特異的にハイブリダイズし得る。本開示によれば、前記アレル特異的プローブまたはプライマーは、E533D変異を含まないメジャーアレルにハイブリダイズしない。
【0148】
本開示のプローブまたはプライマーに関して前述した長さは、本開示のアレル特異的プローブまたはプライマーにも準用する。
本開示はまた、上述のアレル特異的プライマーのうちの一方を含む1対のアレル特異的プライマーを提供する。
【0149】
ある実施形態では、前記プローブまたはプライマー(例えば、アレル特異的プローブまたはプライマー)は、DNAを含む。ある実施形態では、前記プローブまたはプライマー(例えば、アレル特異的プローブまたはプライマー)は、RNAを含む。ある実施形態では、前記プローブ(例えば、アレル特異的プローブ)は、本明細書に開示される任意の核酸分子にハイブリダイズし、前記アスパラギン酸(配列番号4の533位に対応する位置の)は、コドンGAT(またはGAU)によってコードされる。ある実施形態では、前記プローブは、本明細書に開示される任意の核酸分子にハイブリダイズし、前記アスパラギン酸(配列番号4の533位に対応する位置の)は、コドンGACによってコードされる。ある実施形態では、前記プローブ(例えば、アレル特異的プローブ)は、高ストリンジェントな条件などのストリンジェントな条件下で、ヒトGPR156タンパク質をコードする核酸配列にハイブリダイズする。
【0150】
ある実施形態では、前記プローブは、標識を含む。ある実施形態では、前記標識は、蛍光標識、放射性標識またはビオチンである。ある実施形態では、前記プローブの長さは、上で説明されている。あるいは、ある実施形態では、前記プローブは、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、少なくとも約50、少なくとも約55、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、少なくとも約95もしくは少なくとも約100ヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。前記プローブ(例えば、アレル特異的プローブ)は、例えば、本明細書に開示される任意の核酸分子を検出するために使用してよい。好ましい実施形態では、前記プローブは、少なくとも約18ヌクレオチド長を含む。前記プローブは、約10~約35、約10~約30、約10~約25、約12~約30、約12~約28、約12~約24、約15~約30、約15~約25、約18~約30、約18~約25、約18~約24または約18~約22ヌクレオチド長を含んでもよい。好ましい実施形態では、前記プローブは、約18~約30ヌクレオチド長である。
【0151】
本開示はまた、本明細書に開示される任意の1つ以上のプローブが結合する基質を含む支持体を提供する。固体支持体は、本明細書に開示される任意のプローブなどの分子を結合させることができる固体基質または支持体である。固体支持体の一形態は、アレイである。固体支持体の別の形態は、アレイ検出器である。アレイ検出器は、複数の異なるプローブが、アレイ、グリッド、または他の組織化されたパターンにて結合される固体支持体である。
【0152】
固体支持体に使用するための固体基質は、分子を結合することができる任意の固体材料を含むことができる。これには、アクリルアミド、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアセタート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)、フルオロカーボン、ナイロン、シリコンゴム、ポリ無水物(polyanhydride)、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリプロピルフメレート(polypropylfumerate)、コラーゲン、グリコサミノグリカン及びポリアミノ酸などの物質が含まれる。固体基質は、薄膜、膜、ボトル、皿、繊維、織布繊維、成形ポリマー、粒子、ビーズ、微粒子またはそれらの組み合わせを含む任意の有用な形態を有することができる。固体基質及び固体支持体は、多孔質または非多孔質であることができる。固体基質の形態は、標準的な96ウェルタイプなどのマイクロタイター皿である。ある実施形態では、通常1ウェルあたり1アレイを含有するマルチウェルスライドガラスを用いることができる。この特徴により、アッセイの再現性がより良好に制御され、スループット及び試料処理が向上し、自動化を容易にすることができる。ある実施形態では、前記支持体は、マイクロアレイである。
【0153】
本明細書に開示される任意のポリペプチドは、本明細書に記載の533位または529位のアスパラギン酸に加えて、1つ以上の置換(保存的アミノ酸置換など)、挿入または欠失をさらに有することができる。挿入としては、例えば、アミノまたはカルボキシル末端融合に加えて、単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。既知の配列を有するDNA中の所定の部位で置換を行うための技術、例えばM13プライマー突然変異誘発及びPCR突然変異誘発は周知である。アミノ酸置換は、通常、単一の残基であるが、一度に多数の異なる位置で起こり得る;挿入は、通常、約1~10アミノ酸残基ほどであり得る;そして、欠失は約1~30残基の範囲であり得る。欠失または挿入は、隣接対で行われ得る(すなわち2残基の欠失または2残基の挿入)。置換、欠失、挿入またはそれらの任意の組み合わせを組み合わせて、最終構築物を得てもよい。ある実施形態では、突然変異によって、配列がリーディングフレーム外に配置されず、二次mRNA構造を生成できる相補的領域が作られない。
【0154】
本開示はまた、組成物を生成し、本明細書に記載の方法を利用するためのキットを提供する。本明細書に記載のキットは、対象の試料において1つ以上の遺伝的変異を検出するためのアッセイ(複数可)を含むことができる。
【0155】
ある実施形態では、GPR156変異のヒト同定キットでは、上記の組成物及び方法を利用する。ある実施形態では、基本キットは、本明細書に開示される任意の核酸分子(例えば、配列番号9~12、配列番号16~21または配列番号25~30など)における遺伝子座の少なくとも1対のオリゴヌクレオチドプライマーを有する容器を含むことができる。キットはまた、使用説明書を任意に含むことができる。キットはまた、例えば、増幅された各遺伝子座に関する1つ以上のアレリックラダー、増幅に十分な量の酵素、増幅を促進するための増幅緩衝液、酵素活性を促進するための2価カチオン溶液、増幅中の鎖伸長のためのdNTP、電気泳動用増幅材料を調製するためのローディング溶液、鋳型対照としてのゲノムDNA、分離媒体で予想通りに物質が移動することを保証するためのサイズマーカー、ならびにユーザを教育し、使用上のエラーを抑えるためのプロトコル及びマニュアルなどの他の任意のキット構成要素を含むことができる。キット中の様々な試薬の量もまた、プロセスの最適感度などのいくつかの要因に応じて変化し得る。手動で使用するための試験キット、または自動化した試料調製、反応セットアップ、検出器もしくは分析器で使用するための試験キットを提供することは、これらの教示の範囲内である。
【0156】
ある実施形態では、前記キットは、アスパラギン酸をコードする少なくとも1つの遺伝子座を増幅するための少なくとも1対のオリゴヌクレオチドプライマーを含み、前記1対の一方のプライマーは、少なくとも1つの遺伝子座のプライマー結合部位内のSNP核酸塩基にハイブリダイズし、前記1対の少なくとも一方のプライマーは、蛍光標識を含む。ある態様では、前記遺伝子座は、GPR156遺伝子に変異を含む。
【0157】
ある実施形態では、前記キットは、本明細書に開示される任意の核酸分子(例えば、配列番号9~12、配列番号16~21または配列番号25~30など)から選択される少なくとも1つの遺伝子座をPCR増幅するための少なくとも1対のオリゴヌクレオチドプライマーを含み、前記1対の一方のプライマーは、少なくとも1つの遺伝子座のプライマー結合部位内のSNP核酸塩基にハイブリダイズする。ある実施形態では、前記キットはさらに、本明細書に開示される任意の核酸分子(例えば、配列番号9~12、配列番号16~21または配列番号25~30など)から選択される少なくとも1つの遺伝子座に対応するアレリックラダー、プロトコル、酵素、dNTP、緩衝液、塩(複数可)及び対照核酸試料のうち少なくとも1つを含む。ある実施形態では、前記SNP核酸塩基は、本明細書に開示される任意の核酸分子(例えば、配列番号9~12、配列番号16~21または配列番号25~30など)から選択される配列内にある。
【0158】
ある態様では、本明細書に開示されるキットは、本明細書に開示される任意のcDNAまたはmRNA分子(例えば、配列番号16~21または配列番号25~30など)のヌクレオチド位置1599にチミンまたはウラシルに直接ハイブリダイズする3’末端ヌクレオチドを含むプライマーを含むことができる。
【0159】
また本明細書に開示されるのは、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置で本明細書に開示される任意の核酸分子において、ヌクレオチドの変異を検出するように設計された少なくとも1つの核酸プローブ(検出は、ヌクレオチド変異配列への特異的ハイブリダイゼーションに基づき、前記核酸プローブは、アニーリング反応を実施するのに必要な検出可能な標識、生成物及び試薬を含む)及び説明書を含む、キットである。前記キットは、本明細書に記載の任意のプローブを含み得る。
【0160】
本明細書に開示されるのは、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置で本明細書に開示される任意の核酸分子の少なくとも1つの遺伝子座を増幅するための少なくとも1対のオリゴヌクレオチドプライマーを含むキットであって、前記1対の一方のプライマーが、少なくとも1つの遺伝子座のプライマー結合部位内のSNP核酸塩基にハイブリダイズし、前記1対の少なくとも一方のプライマーが、蛍光標識を含む、キットである。前記キットは、本明細書に記載の任意のプライマーを含み得る。
【0161】
本明細書に開示されるのは、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置で本明細書に開示される任意の核酸分子の少なくとも1つの遺伝子座を増幅するための少なくとも1対のオリゴヌクレオチドプライマーを含むキットであって、前記1対の一方のプライマーが、少なくとも1つの遺伝子座のプライマー結合部位内のSNP核酸塩基にハイブリダイズし、前記1対の少なくとも一方のプライマーが、配列番号4の533位に対応するアスパラギン酸をコードする位置で本明細書に開示される任意の核酸分子の少なくとも1つの遺伝子座に対応するアレリックラダーをさらに含む蛍光標識を含む、キットである。前記キットは、本明細書に記載の任意のプライマーを含み得る。
【0162】
本明細書に開示されるのは、配列番号4の533位に対応するアスパラギン酸をコードする位置で本明細書に開示される任意の核酸分子の少なくとも1つの遺伝子座を増幅するための少なくとも1対のオリゴヌクレオチドプライマーを含むキットであって、前記1対の一方のプライマーが、少なくとも1つの遺伝子座のプライマー結合部位内のSNP核酸塩基にハイブリダイズし、前記1対の少なくとも一方のプライマーが、蛍光標識を含む、キットであり、前記プライマーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で使用される。前記キットは、本明細書に記載の任意のプライマーを含み得る。
【0163】
本明細書に開示されるのは、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置で本明細書に開示される任意の核酸分子の少なくとも1つの遺伝子座を増幅するための少なくとも1対のオリゴヌクレオチドプライマーを含むキットであり、前記1対の一方のプライマーが、少なくとも1つの遺伝子座のプライマー結合部位内のSNP核酸塩基にハイブリダイズし、前記1対の少なくとも一方のプライマーが、蛍光標識を含み、さらにプロトコル、酵素、dNTP、緩衝液、塩(複数可)及び対照核酸試料のうち少なくとも1つを含む、キットである。前記キットは、本明細書に記載の任意のプライマーを含み得る。
【0164】
【表1】
当業者は、用いられる検出技術が一般的に限定的ではないことを理解する。むしろ、アンプリコンの有無を測定できる限り、様々な検出手段が、開示された方法及びキットの範囲内にある。
【0165】
ある態様では、キットは、本明細書に開示される1つ以上のプライマーまたはプローブを含むことができる。例えば、キットは、1つ以上の開示される遺伝的変異にハイブリダイズする1つ以上のプローブを含むことができる。
【0166】
ある態様では、キットは、開示される細胞または細胞株のうちの1つを含むことができる。ある態様では、キットは、トランスジェニック細胞または細胞株を作製するのに必要な物質を含むことができる。例えば、ある態様では、キットは、開示される遺伝的変異の1つ以上を含む核酸配列を含む細胞及びベクターを含むことができる。キットはさらに、細胞培養用培地を含むことができる。
【0167】
本開示はまた、ヒト対象由来の生物学的試料中のGPR156変異遺伝子、mRNA、cDNA及び/またはポリペプチドの存在を検出する方法を提供する。集団内の遺伝子配列、ならびに、かかる遺伝子によってコードされるmRNA及びタンパク質は、一塩基多型などの多型によって異なり得ることを理解されたい。GPR156遺伝子、mRNA、cDNA及びポリペプチドの本明細書で提供される配列は、例示的な配列にすぎない。GPR156遺伝子、mRNA、cDNA及びポリペプチドの他の配列もまた可能である。
【0168】
生体試料は、対象由来の任意の細胞、組織または体液から得ることができる。前記試料は、骨髄試料、腫瘍生検材料、穿刺吸引物、または血液、歯肉溝滲出液、血漿、血清、リンパ液、腹水、嚢胞液もしくは尿などの体液の試料などの臨床上関連する任意の組織を含んでもよい。いくつかの事例では、前記試料は、口腔内スワブを含む。本明細書で開示される方法で使用される試料は、アッセイ形式、検出方法の性質、及び試料として使用される組織、細胞または抽出物に基づいて様々であってよい。生体試料は、使用されるアッセイに応じて異なる方法で処理することができる。例えば、変異GPR156核酸分子を検出する場合、ゲノムDNAの試料を単離または濃縮するように計画された予備処理を用いることができる。この目的のために、様々な既知の技術を使用してよい。変異GPR156mRNAのレベルを検出する場合、生体試料をmRNAと濃縮するために様々な技術を使用することができる。mRNAの存在もしくはレベル、または特定の変異ゲノムDNA遺伝子座の存在を検出するための様々な方法を使用することができる。
【0169】
ある実施形態では、本開示は、生体試料中の核酸の少なくとも一部分をシークエンシングすることを含む変異GPR156核酸分子の有無を検出して、前記核酸が、配列番号4の533位に対応する位置または配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸をコードする核酸配列を含むかどうかを測定する方法を提供する。本明細書に開示される任意の変異核酸分子は、本明細書に記載の任意のプローブを使用して検出することができる。
【0170】
ある実施形態では、対象における単極性うつ病関連変異GPR156核酸分子(例えば、遺伝子、mRNAまたはcDNA)の有無の検出方法は、対象から得られた生体試料でアッセイを実施することを含み、該アッセイは、生体試料中の核酸分子が、配列番号4の533位に対応する位置または配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸をコードする核酸配列を含むかどうかを測定する。ある実施形態では、前記生体試料は、細胞または細胞溶解液を含む。かかる方法は、さらに、例えば、GPR156遺伝子またはmRNAを含む対象から生体試料を得、mRNAの場合は必要に応じてmRNAをcDNAに逆転写し、GPR156遺伝子、mRNAまたはcDNAの位置が変異GPR156ポリペプチドの533位に対応する位置にアスパラギン酸をコードすることを測定するアッセイを生体試料で実施することを含むことができる。かかるアッセイは、例えば、これらの特定のGPR156核酸分子の位置の同一性を測定することを含むことができる。ある実施形態では、前記対象は、ヒトである。
【0171】
ある実施形態では、対象における不安障害関連変異GPR156核酸分子(例えば、遺伝子、mRNAまたはcDNA)の有無の検出方法は、対象から得られた生体試料でアッセイを実施することを含み、該アッセイは、生体試料中の核酸分子が、配列番号4の533位に対応する位置または配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸をコードする核酸配列を含むかどうかを測定する。ある実施形態では、前記生体試料は、細胞または細胞溶解液を含む。かかる方法は、さらに、例えば、GPR156遺伝子またはmRNAを含む対象から生体試料を得、mRNAの場合は必要に応じてmRNAをcDNAに逆転写し、GPR156遺伝子、mRNAまたはcDNAの位置が変異GPR156ポリペプチドの533位に対応する位置にアスパラギン酸をコードすることを測定するアッセイを生体試料で実施することを含むことができる。かかるアッセイは、例えば、これらの特定のGPR156核酸分子の位置の同一性を測定することを含むことができる。ある実施形態では、前記対象は、ヒトである。
【0172】
ある実施形態では、前記アッセイは、対象由来の生体試料中の核酸分子のGPR156ゲノム配列の少なくとも一部分のシークエンシングであって、前記シークエンシング部分が、配列番号4のGPR156タンパク質の533位もしくは配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置を含む、シークエンシングか;対象由来の生体試料中の核酸分子のGPR156mRNA配列の一部分のシークエンシングであって、前記シークエンシング部分が、配列番号4のGPR156タンパク質の533位もしくは配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置を含む、シークエンシングか;または、対象から得られた生体試料から得られたmRNAから得られた核酸分子のGPR156cDNA配列の一部分のシークエンシングであって、前記シークエンシング部分が、配列番号4のGPR156タンパク質の533位もしくは配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置を含む、シークエンシングを含む。
【0173】
ある実施形態では、前記アッセイは、a)生体試料を、i)配列番号4の533位もしくは配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置でGPR156ゲノム配列の位置に隣接したGPR156ゲノム配列の一部分、ii)配列番号4の533位もしくは配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置に対応するGPR156mRNAの位置に隣接したGPR156mRNA配列の一部分、またはiii)配列番号4の533位もしくは配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする位置に対応するGPR156cDNAの位置に隣接したGPR156cDNA配列の一部分、にハイブリダイズするプライマーと接触させることと:b)前記プライマーを、少なくとも、i)配列番号4の533位もしくは配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンを超えるヌクレオチド位置に対応するGPR156ゲノム配列の位置、ii)配列番号4の533位に対応する位置もしくは配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンを超えるヌクレオチド位置に対応するGPR156mRNAの位置、またはiii)配列番号4の533位に対応する位置もしくは配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするコドンを超えるヌクレオチド位置に対応するGPR156cDNAの位置、を通じて伸長させることと:c)プライマーの伸長産物が、配列番号4の533位に対応する位置もしくは配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするヌクレオチドを含むかどうかを測定することと、を含む。ある実施形態では、GPR156ゲノムDNAのみを分析する。ある実施形態では、GPR156mRNAのみを分析する。ある実施形態では、GPR156mRNAから得られたGPR156cDNAのみを分析する。
【0174】
ある実施形態では、前記アッセイは、a)生体試料を、i)配列番号4の533位に対応する位置もしくは配列番号5の529位に対応する位置でアミノ酸をコードするヌクレオチドを含むGPR156ゲノム配列の一部分、ii)配列番号4の533位に対応する位置もしくは配列番号5の529位に対応する位置でアミノ酸をコードするヌクレオチドを含むGPR156mRNA配列の一部分、またはiii)配列番号4の533位に対応する位置もしくは配列番号5の529位に対応する位置でアミノ酸をコードするヌクレオチドを含むGPR156cDNA配列の一部分、にハイブリダイズするアレル特異的プライマーと接触させることと;b)アレル特異的ポリメラーゼ連鎖反応技術を用いてプライマーを伸長させることと;c)伸長が起こったかどうかを測定することと、を含む。アレル特異的ポリメラーゼ連鎖反応技術を用いて、核酸配列中のSNPなどの突然変異を検出することができる。アレル特異的プライマーが使用されるのは、鋳型とのミスマッチが存在するとDNAポリメラーゼが伸長しないからである。基本的なアレル特異的ポリメラーゼ連鎖反応技術の多くの変形形態は、当業者が自由に使用することができる。
【0175】
前記アレル特異的プライマーは、配列番号4の533位に対応する位置または配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸を含むGPR156タンパク質をコードする核酸配列に相補的な核酸配列または該核酸配列に対する相補体を含んでもよい。例えば、前記アレル特異的プライマーは、配列番号4及び/または配列番号5をコードする核酸配列に相補的な核酸配列またはこの核酸配列に対する相補体を含んでもよい。前記アレル特異的プライマーは、好ましくは、核酸配列が、コドンGAT(またはGAU)またはGACを介して、配列番号4の533位に対応する位置または配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸をコードする場合、GPR156タンパク質をコードする核酸配列に特異的にハイブリダイズする。
【0176】
ある実施形態では、前記アッセイは、生体試料を、ストリンジェントな条件下で、対応する野生型GPR156配列ではなく、変異GPR156ゲノム配列、mRNA配列またはcDNA配列に特異的にハイブリダイズするプライマーまたはプローブと接触させること、及びハイブリダイゼーションが起こったかどうかを測定することを含む。
【0177】
ある実施形態では、前記アッセイは、RNAシークエンシング(RNA-Seq)を含む。ある実施形態では、前記アッセイはまた、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を介してmRNAをcDNAに逆転写することを含む。
【0178】
ある実施形態では、前記方法は、標的核酸配列に結合し、変異GPR156遺伝子、mRNAまたはcDNAを含むポリヌクレオチドを特異的に検出及び/または同定するのに十分なヌクレオチド長のプローブ及びプライマーを利用する。前記ハイブリダイゼーション条件または反応条件は、この結果を達成するためにオペレーターによって決定することができる。このヌクレオチド長は、本明細書に記載または例示される任意のアッセイを含む、最適な検出法での使用に十分な任意の長さであり得る。一般的には、例えば、約8、約10、約11、約12、約14、約15、約16、約18、約20、約22、約24、約26、約28、約30、約40、約50、約75、約100、約200、約300、約400、約500、約600もしくは約700ヌクレオチド以上、または約11~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約100、約100~約200、約200~約300、約300~約400、約400~約500、約500~約600、約600~約700もしくは約700~約800もしくはそれ以上のヌクレオチド長を有するプライマーまたはプローブが使用される。好ましい実施形態では、前記プローブまたはプライマーは、少なくとも約18ヌクレオチド長を含む。前記プローブまたはプライマーは、約10~約35、約10~約30、約10~約25、約12~約30、約12~約28、約12~約24、約15~約30、約15~約25、約18~約30、約18~約25、約18~約24または約18~約22ヌクレオチド長を含んでもよい。好ましい実施形態では、前記プローブまたはプライマーは、約18~約30ヌクレオチド長である。
【0179】
かかるプローブ及びプライマーは、高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列に特異的にハイブリダイズすることができる。標的核酸配列と異なり、標的核酸配列を特異的に検出及び/または同定する能力を保持するプローブは、従来の方法によって設計することができるが、プローブ及びプライマーは、前記標的配列と連続したヌクレオチドの完全な核酸配列同一性を有し得る。したがって、プローブ及びプライマーは、前記標的核酸分子に対して、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%もしくは100%の配列同一性または相補性を共有することができる。
【0180】
ある実施形態では、特定のプライマーを使用して、変異GPR156遺伝子座及び/またはGPR156変異mRNAもしくはcDNAを増幅し、特定のプローブとして使用することができ、または変異GPR156遺伝子座を同定するため、または生体試料中の特定のGPR156mRNAもしくはcDNAのレベルを測定するために、それ自体が検出されることができるアンプリコンを作製することができる。前記GPR156変異遺伝子座は、配列番号4の533位または配列番号5の529位にアスパラギン酸をコードする位置に対応する位置を含むゲノム核酸配列を表すために使用することができる。前記プローブが核酸分子に結合するのを可能にする条件下で、プローブが生体試料中の核酸分子とハイブリダイズする場合、この結合は検出されることができ、生体試料中の変異GPR156遺伝子座の存在、または変異GPR156のmRNAもしくはcDNAの存在もしくはレベルを示すことを可能にする。結合プローブのかかる同定については記載されている。特定のプローブは、変異GPR156遺伝子の特定の領域に対して、少なくとも約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約100%同一(または相補的)の配列を含んでもよい。特定のプローブは、変異GPR156mRNAの特定の領域に対して、少なくとも約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約100%同一(または相補的)の配列を含んでもよい。特定のプローブは、変異GPR156cDNAの特定の領域に対して、少なくとも約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約100%同一(または相補的)の配列を含んでもよい。
【0181】
ある実施形態では、生体試料中の核酸相補体が、配列番号4の533位に対応する位置または配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸をコードする核酸配列を含むかどうかを測定するために、該生体試料は、配列番号4の533位に対応する位置または配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸をコードする位置に隣接する5’フランキング配列に由来する第1のプライマー及び配列番号4の533位に対応する位置または配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸をコードする位置に隣接する3’フランキング配列に由来する第2のプライマーを含むプライマー対を使用する核酸増幅法に供され得、配列番号4の533位に対応する位置または配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸をコードする位置におけるSNPの存在を診断するアンプリコンを作製し得る。ある実施形態では、前記アンプリコンは、プライマー対と1ヌクレオチド塩基対とを合わせた長さから、DNA増幅プロトコルによって作製可能なアンプリコンの任意の長さまでの範囲の長さであり得る。この距離は、1ヌクレオチド塩基対から増幅反応の限界まで、または約2万ヌクレオチド塩基対の範囲であることができる。必要に応じて、前記プライマー対は、配列番号4の533位または配列番号5の529位でアスパラギン酸をコードする位置、及び配列番号4の533位または配列番号5の529位でアスパラギン酸をコードする位置の両側に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のヌクレオチドを含む領域に隣接する。mRNA及び/またはcDNA配列から同様のアンプリコンを作製することができる。
【0182】
プローブ及びプライマーを調製及び使用するための代表的な方法は、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., Vol. 1-3, ed. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. 1989(以下,”Sambrook et al., 1989”);Current Protocols in Molecular Biology, ed. Ausubel et al., Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York, 1992(定期更新)(以下,“Ausubel et al., 1992”);及びInnis et al., PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications, Academic Press: San Diego, 1990)に記載される。PCRプライマー対は、既知の配列から得ることができ、例えば、その目的のために意図された、Vector NTI version 10(Informax Inc., Bethesda Md.);PrimerSelect(DNASTAR Inc., Madison, Wis.);及びPrimer3(Version 0.4.0.COPYRGT., 1991, Whitehead Institute for Biomedical Research, Cambridge, Mass.)のPCRプライマー分析ツールなどのコンピュータープログラムが使用される。加えて、前記配列は視覚的にスキャンされることができ、プライマーは、既知のガイドラインを用いて手動で同定することができる。
【0183】
任意の核酸ハイブリダイゼーションまたは増幅またはシークエンシング方法を使用して、変異GPR156遺伝子座の存在、及び/または変異GPR156mRNA、もしくはmRNAから産生されるcDNAのレベルを特異的に検出することができる。ある実施形態では、前記核酸分子は、GPR156核酸の領域を増幅するためのプライマーとして使用することができる、または前記核酸分子は、例えばストリンジェントな条件下で、変異GPR156遺伝子座を含む核酸分子、または変異GPR156mRNA、もしくはmRNAから産生されるcDNAを含む核酸分子に特異的にハイブリダイズするプローブとして使用することができる。
【0184】
例えば、核酸シークエンシング、核酸ハイブリダイゼーション及び核酸増幅を含む、様々な技術が当該分野において利用可能である。核酸シークエンシング技術の実例には、チェーンターミネーター(サンガー)シークエンシング法及びダイターミネーターシークエンシング法が含まれるが、これらに限定されない。
【0185】
他の方法は、シークエンシング法以外の核酸ハイブリダイゼーション法を含み、精製DNA、増幅DNA及び固定細胞調製物に対する標識プライマーまたはプローブの使用(蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH))が含まれる。ある方法では、標的核酸は、検出前または検出と同時に増幅し得る。核酸増幅技術の実例には、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)、リガーゼ連鎖反応法(LCR)、鎖置換増幅法(SDA)及び核酸配列ベース増幅法(NASBA)が含まれるが、これらに限定されない。他の方法の例としては、リガーゼ連鎖反応法(LCR)、鎖置換増幅法及び好熱性SDA(tSDA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0186】
非増幅ポリヌクレオチドまたは増幅ポリヌクレオチドのいずれかを検出するために、例えば、ハイブリダイゼーション保護アッセイ(HPA)、リアルタイムでの増幅過程の定量的測定、及び試料中に最初に存在する標的配列の量の測定(リアルタイム増幅に基づかない)を含む任意の方法を使用することができる。
【0187】
また、必ずしも配列増幅を必要とせず、例えば、染色体物質のサザン(DNA:DNA)ブロットハイブリダイゼーション、in situハイブリダイゼーション(ISH)及び蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)の既知の方法に基づく、核酸を同定する方法も提供される。サザンブロッティングを用いて特定の核酸配列を検出することができる。かかる方法では、試料から抽出された核酸は断片化され、マトリックスゲル上で電気泳動分離され、メンブレンフィルターへ転写される。フィルターに結合した核酸は、目的の配列に相補的な標識プローブとハイブリダイゼーションされる。フィルターに結合したハイブリダイズされたプローブが検出される。任意のかかる方法では、該プロセスは、本明細書に記載または例示される任意のプローブを用いたハイブリダイゼーションを含むことができる。
【0188】
ハイブリダイゼーション技術では、プローブまたはプライマーが、その標的に特異的にハイブリダイズするようにストリンジェントな条件を用いることができる。ある実施形態では、ポリヌクレオチドプライマーまたはプローブは、ストリンジェントな条件下で、その標的配列(例えば、変異(例えば、E533DまたはE529D)GPR156遺伝子座、変異(例えば、E533DまたはE529D)GPR156mRNA、または変異(例えば、E533DまたはE529D)GPR156cDNA)に対し、例えば、バックグラウンドに対して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、またはそれ以上(バックグラウンドよりも10倍超を含む)など、他の配列(例えば、対応する野生型GPR156遺伝子座、野生型mRNAまたは野生型cDNA)に対するよりも、検出可能なほど大きな程度でハイブリダイズし得る。ある実施形態では、ポリヌクレオチドプライマーまたはプローブは、ストリンジェントな条件下で、その標的配列に対し、他の配列に対するよりも検出可能なほど大きな程度(少なくとも2倍)で、ハイブリダイズし得る。ある実施形態では、ポリヌクレオチドプライマーまたはプローブは、ストリンジェントな条件下で、その標的配列に対し、他の配列に対するよりも検出可能なほど大きな程度(少なくとも3倍)で、ハイブリダイズし得る。ある実施形態では、ポリヌクレオチドプライマーまたはプローブは、ストリンジェントな条件下で、その標的配列に対し、他の配列に対するよりも検出可能なほど大きな程度(少なくとも4倍)で、ハイブリダイズし得る。ある実施形態では、ポリヌクレオチドプライマーまたはプローブは、ストリンジェントな条件下で、その標的配列に対し、他の配列に対するよりも検出可能なほど大きな程度(バックグラウンドよりも10倍超)で、ハイブリダイズし得る。ストリンジェントな条件は、配列に依存し、各種状況によっても異なり得る。ハイブリダイゼーション及び/または洗浄条件のストリンジェンシーを制御することによって、プローブに対して100%相補的である標的配列が同定できる(相同プロービング)。あるいは、ストリンジェンシー条件は、より低い程度の同一性が検出されるように、配列中にいくらかミスマッチとなることが可能になるように調整され得る(異種プロービング)。
【0189】
DNAハイブリダイゼーションの促進に適切なストリンジェンシー条件は、例えば約45℃で6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)に続いて50℃での2XSSCの洗浄が既知である、またはCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6に見出すことができる。通常、ハイブリダイゼーション及び検出のためのストリンジェント条件は、塩濃度が約1.5MのNaイオン未満であり、通常、pH7.0~8.3で約0.01~1.0MのNaイオン濃度(または他の塩)であり、且つ、温度は、短いプローブ(例えば、10~50ヌクレオチド)の場合は、少なくとも約30℃であり、より長いプローブ(例えば、50ヌクレオチド超)の場合は、少なくとも約60℃である。ストリンジェント条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤を添加することによって達成してもよい。例示的な低ストリンジェンシー条件は、37℃で、30~35%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝液でのハイブリダイゼーション、及び1X~2X SSC(20X SSC=3.0M NaCl/0.3Mクエン酸三ナトリウム)中、50~55℃での洗浄を含む。例示的な中程度のストリンジェンシー条件は、37℃で、40~45%ホルムアミド、1.0M NaCl、1%SDS中でのハイブリダイゼーション、及び0.5X~1X SSC中、55~60℃での洗浄を含む。例示的な高ストリンジェンシー条件は、37℃で、50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS中でのハイブリダイゼーション、及び0.1X SSC中、60~65℃での洗浄を含む。必要に応じて、洗浄緩衝液は、約0.1%~約1%SDSを含んでもよい。ハイブリダイゼーションの長さは、通常約24時間未満であり、たいてい約4~約12時間である。洗浄時間の長さは少なくとも平衡に達するのに十分な時間の長さであり得る。
【0190】
ハイブリダイゼーション反応では、特異性は、通常ハイブリダイゼーション後の洗浄の働きであり、重要な要素は、最終洗浄液のイオン強度と温度である。DNA-DNAハイブリッドでは、TmはMeinkoth and Wahl, Anal. Biochem.,1984, 138, 267-284の式:Tm=81.5℃+16.6(log M)+0.41(%GC)-0.61(%form)-500/Lに近似し得る;式中、Mは、1価カチオンのモル濃度であり、%GCは、DNA中のグアノシン及びシトシンヌクレオチドの割合であり、%formは、ハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドの割合であり、Lは、塩基対におけるハイブリッドの長さである。Tmは、相補的な標的配列の50%が、完全に一致したプローブにハイブリダイズする温度(規定のイオン強度及びpH下で)である。Tmは、1%のミスマッチにつき約1℃低下する;したがって、Tm、ハイブリダイゼーション及び/または洗浄条件は、所望の同一性の配列にハイブリダイズするために調整され得る。例えば、90%以上の同一性を有する配列が求められる場合、Tmは、10℃低下し得る。通常、ストリンジェント条件は、規定されたイオン強度及びpHでの特定の配列及びその相補体の熱融点(Tm)よりも約5℃低く選択される。しかしながら、厳しいストリンジェント条件は、熱融点(Tm)よりも1℃、2℃、3℃もしくは4℃低いハイブリダイゼーション及び/または洗浄を利用し得;中程度のストリンジェント条件は、熱融点(Tm)よりも6℃、7℃、8℃、9℃もしくは10℃低いハイブリダイゼーション及び/または洗浄を利用し得;低ストリンジェント条件は、熱融点(Tm)よりも11℃、12℃、13℃、14℃、15℃もしくは20℃低いハイブリダイゼーション及び/または洗浄を利用し得る。前記式、ハイブリダイゼーション及び洗浄組成物及び所望のTmを使用して、当業者は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー及び/または洗浄溶液における変形形態が本質的に記載されることを理解する。ミスマッチの望ましい程度が、45℃(水溶液)または32℃(ホルムアミド溶液)よりも低いTmとなる場合、より高い温度が使用され得るようにSSC濃度を増加させることが最適である。
【0191】
また、例えばタンパク質シークエンシング及びイムノアッセイを含む、生体試料中の変異GPR156ポリペプチドの存在を検出するか、またはそのレベルを定量するための方法も提供される。ある実施形態では、ヒト対象においてGPR156 Glu533Asp(例えば、配列番号4または配列番号5)の存在を検出する方法は、該生体試料中のGPR156 Glu533Asp(例えば、配列番号4または配列番号5)の存在を測定する、ヒト対象由来の生体試料にアッセイを実施することを含む。
【0192】
タンパク質シークエンシング技術の非限定的実例には、質量分析とエドマン分解が含まれるが、これらに限定されない。イムノアッセイの実例としては、免疫沈降、ウエスタンブロット、免疫組織化学、ELISA、免疫細胞化学、フローサイトメトリー及びイムノPCRが含まれるが、これらに限定されない。様々な既知の技術(例えば、カロリメトリック、蛍光、化学発光または放射性)を用いて検出可能に標識されたポリクローナルまたはモノクローナル抗体は、イムノアッセイでの使用に適する。
【0193】
本開示はまた、ヒト対象において単極性うつ病を診断するか、または単極性うつ病のリスクを検出するための方法であって、該方法が、前記ヒト対象から得られたGPR156タンパク質をコードする核酸分子の変化を検出することであって、前記変化が、配列番号4のGPR156タンパク質の533位に対応する位置または配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸をコードする、検出と、前記対象が単極性うつ病の1つ以上の症状を含む1つ以上のうつ病の症状を有する場合に、前記ヒト対象を単極性うつ病と診断すること、または前記対象がうつ病の1つ以上の症状を有さない場合に、前記ヒト対象が単極性うつ病のリスクがあると診断することとを含む、方法を提供する。ある実施形態では、前記ヒト対象は、かかる診断を必要とする。ある実施形態では、前記ヒト対象は、単極性うつ病と診断された親類を有し得る。前記変化は、配列番号13の1599位に対応する位置で、GからT(またはU)またはCへの変化を含んでもよい。ある実施形態では、前記変化は、GPR156タンパク質の533位に対応する位置をコードするコドンの配列を、GAT(またはGAU)に変化させる。ある実施形態では、前記変化は、GPR156タンパク質の533位に対応する位置をコードするコドンの配列を、GACに変化させる。
【0194】
2013年、ワシントンD.C.のアメリカ精神医学会によって発行されたThe Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders - Fifth Edition(DSM-V)は、米国における精神保健専門家の主要な診断基準である。DSM-Vによると、単極性うつ病は、大うつ病性障害、気分変調性障害、混合性うつ病性障害(mixed depressive disorder)、抑うつ気分適応障害及び特定不能のうつ病(NOS)からなる。うつ病のDSMIV基準では、2週間以上、以下の5つ以上の症状がある:i)ほとんど毎日、1日の大半が落ち込んだ気分になっている;ii)すべて、またはほとんどすべての活動において興味または喜びの著しい減少;iii)著しい体重減少または食欲減退;iv)不眠または睡眠過多;v)精神運動性の焦燥または制止;vi)疲労または気力の減退;vii)無価値感または過度の罪責感;viii)思考力もしくは集中力の減退または決断困難、及びix)死についての反復思考。気分変調性障害のDSMIV基準は、少なくとも2年間、そうではない日より多くの日数にわたって、1日の大半が抑うつ気分であることによって示される、重症だが慢性的なうつ病状態を特徴とする。この疾患に罹患している人は、以下の症状を2つ以上経験せずに2か月を超えることはない:i)食欲不振または過食;ii)不眠または睡眠過多;iii)気力の低下または疲労;iv)自尊心の低下;v)集中力の低下または決断困難;及びvi)絶望感。
【0195】
本開示はまた、ヒト対象において不安障害を診断するか、または不安障害のリスクを検出するための方法であって、該方法が、前記ヒト対象から得られたGPR156タンパク質をコードする核酸分子の変化を検出することであって、前記変化が、配列番号4のGPR156タンパク質の533位に対応する位置または配列番号5の529位に対応する位置にアスパラギン酸をコードする、検出と、前記対象が、臨床精神神経不安障害(clinical neuropsychiatric anxiety disorder)の1つ以上の症状を含む1つ以上の不安障害の症状を有する場合に、前記ヒト対象を不安障害と診断すること、または前記対象が不安障害の1つ以上の症状を有さない場合に、前記ヒト対象が不安障害のリスクがあると診断することとを含む、方法を提供する。ある実施形態では、前記ヒト対象は、かかる診断を必要とする。ある実施形態では、前記ヒト対象は、不安障害と診断された親類を有し得る。前記変化は、配列番号13の1599位に対応する位置で、GからT(またはU)またはCへの変化を含んでもよい。ある実施形態では、前記変化は、GPR156タンパク質の533位に対応する位置をコードするコドンの配列を、GAT(またはGAU)に変化させる。ある実施形態では、前記変化は、GPR156タンパク質の533位に対応する位置をコードするコドンの配列を、GACに変化させる。ある実施形態では、前記不安障害は、臨床精神神経不安障害である。
【0196】
不安障害の生理学的症状には、筋肉の緊張、心臓の動悸、発汗、めまい及び息切れが含まれるが、これらに限定されない。情動性症状の例としては、落ち着きのなさ、差し迫った破滅感、死への恐怖、恥ずかしさ、または屈辱への恐怖、及び恐ろしいことが起こることへの恐怖が含まれるが、これらに限定されない。
【0197】
ある実施形態では、前記方法は、対象から得た生体試料から得たmRNAから得た変異GPR156ゲノムDNA、mRNAまたはcDNAの存在を検出することを含む。集団内の遺伝子配列、及びかかる遺伝子によってコードされるmRNAは、一塩基多型(SNP)などの多型によって異なり得ることを理解されたい。GPR156遺伝子、mRNA、cDNA及びポリペプチドの本明細書で提供される配列は、例示的な配列にすぎず、GPR156タンパク質の533位(配列番号4による)/529位(配列番号5による)に対応する位置にアスパラギン酸をコードするアレル以外のGPR156アレルを含む他のそのような配列もまた可能である。
【0198】
ある実施形態では、前記検出のステップは、GPR156タンパク質をコードする核酸分子の少なくとも一部分をシークエンシングすることを含み、前記シークエンシングされた核酸分子が、GPR156タンパク質の配列番号4の533位または配列番号5の529位に対応する位置を含むアミノ酸配列をコードする。本明細書に開示される任意の核酸分子(例えば、ゲノムDNA、mRNAまたはcDNA)は、シークエンシングすることができる。ある実施形態では、前記検出のステップは、前記核酸分子全体をシークエンシングすることを含む。
【0199】
ある実施形態では、前記検出のステップは、GPR156タンパク質をコードする核酸分子の少なくとも一部分を増幅することであって、前記増幅された核酸分子が、配列番号4の533位(及び/または配列番号5の529位)に対応する位置を含むアミノ酸配列をコードする、増幅と;前記核酸分子を、検出可能な標識で標識することと;前記標識された核酸をプローブを含む支持体と接触させることであって、前記プローブが、ストリンジェントな条件下で、配列番号4の533位(及び/または配列番号5の529位)に対応する位置でアスパラギン酸をコードする核酸配列にハイブリダイズする核酸配列を含む、接触と;前記検出可能な標識を検出することと、を含む。本明細書に開示される任意の核酸分子は、増幅することができる。例えば、本明細書に開示される任意のゲノムDNA、cDNAまたはmRNA分子は、増幅することができる。ある実施形態では、前記核酸分子はmRNAであり、且つ前記方法は、前記増幅のステップの前にmRNAをcDNAに逆転写することをさらに含む。
【0200】
ある実施形態では、前記検出のステップは、前記核酸分子を、検出可能な標識を含むプローブと接触させることであって、前記プローブが、ストリンジェントな条件下で、配列番号4の533位(及び/または配列番号5の529位)に対応する位置でアスパラギン酸を含むアミノ酸配列をコードする核酸配列にハイブリダイズする核酸配列を含む、接触と、前記検出可能な標識を検出することと、を含む。ある実施形態では、前記核酸分子は、前記ヒト対象から得られた細胞内に存在しており、それにより、検出はin situハイブリダイゼーション技術にしたがう。
【0201】
ある実施形態では、前記検出のステップは、前記核酸分子をアレル特異的プライマーと接触させること及びアレル特異的PCR技術を用いて前記核酸分子を増幅することとを含む。前記アレル特異的プライマーは、本明細書に記載の任意のかかるプライマーであり得、配列番号4の533位及び/または配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードするGPR156のアレルに特異的であり得る。
【0202】
本明細書に開示される方法で使用可能な他のアッセイとしては、例えば、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)または定量RT-PCR(qRT-PCR)が含まれる。本明細書に開示される方法で使用可能なさらなる他のアッセイとしては、例えば、RNAシークエンシング(RNA-Seq)に続いて生体試料中の変異mRNAまたはcDNAの存在及び量を測定することが含まれる。
【0203】
本開示はまた、単極性うつ病を患う、または単極性うつ病を発症するリスクを有するヒト対象を同定するための方法を提供する。該方法は通常、対象から得られた試料中のGPR156タンパク質内のE533D変異の有無、及び/またはGPR156タンパク質内のE533D変異をコードする突然変異を含む核酸分子の有無を測定することを含む。前記GPR156タンパク質内のE533D変異の存在、及び/またはE533D変異をコードする核酸分子の存在は、前記対象が単極性うつ病を患う、または単極性うつ病を発症するリスクを有することを示す。前記方法は、in vitro、in situまたはin vivoで実施され得る。
【0204】
本開示はまた、不安障害を患う、または不安障害を発症するリスクを有するヒト対象を同定するための方法を提供する。該方法は通常、対象から得られた試料中のGPR156タンパク質内のE533D変異の有無、及び/またはGPR156タンパク質内のE533D変異をコードする突然変異を含む核酸分子の有無を測定することを含む。前記GPR156タンパク質内のE533D変異の存在、及び/またはE533D変異をコードする核酸分子の存在は、前記対象が不安障害を患う、または不安障害を発症するリスクを有することを示す。前記方法は、in vitro、in situまたはin vivoで実施され得る。ある実施形態では、前記不安障害は、臨床精神神経不安障害である。
【0205】
前記方法のある実施形態では、前記測定のステップは、GPR156タンパク質をコードする核酸分子の少なくとも一部分をシークエンシングすることを含む。前記シークエンシングされた核酸分子が、配列番号4の533位に対応する位置を含むアミノ酸配列をコードし得る。前記測定のステップは、前記GPR156タンパク質全体をコードする核酸分子をシークエンシングすることを含んでもよい。前記方法のある実施形態では、前記測定のステップは、GPR156タンパク質をコードする核酸分子の少なくとも一部分を増幅することと、前記核酸分子を、検出可能な標識で標識することと、前記標識された核酸をプローブを含む支持体と接触させることであって、前記プローブが、例えば、ストリンジェントな条件下で、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする核酸配列に特異的にハイブリダイズする核酸配列を含む、接触と、前記検出可能な標識を検出することと、を含む。前記増幅された核酸分子は、好ましくは、配列番号4の533位に対応する位置を含むアミノ酸配列をコードする。前記核酸がmRNAを含む場合、該方法はさらに、前記増幅のステップの前にmRNAをcDNAに逆転写することを含んでもよい。ある実施形態では、前記測定のステップは、前記核酸分子を、検出可能な標識を含むプローブと接触させること、及び前記検出可能な標識を検出することとを含む。前記プローブは、好ましくは、例えば、ストリンジェントな条件下で、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含むアミノ酸配列をコードする核酸配列に特異的にハイブリダイズする核酸配列を含む。前記核酸分子は、前記ヒト対象から得られた細胞内に存在し得る。前記方法の一部として、前記GPR156タンパク質内のE533D変異は、前記核酸配列GATによってコードされ得るか、または前記核酸配列GACによってコードされ得る。
【0206】
本開示はまた、ヒト対象において単極性うつ病を診断するか、または単極性うつ病のリスクを検出するための方法であって、該方法が、前記ヒト対象から得られた、配列番号4または配列番号5を含むタンパク質などの変異GPR156タンパク質を検出することと、前記対象がうつ病の1つ以上の症状を有する場合に、前記ヒト対象を単極性うつ病と診断すること、または前記対象がうつ病の1つ以上の症状を有さない場合に、前記ヒト対象が単極性うつ病のリスクがあると診断することとを含む、方法を提供する。ある実施形態では、前記ヒト対象は、かかる診断を必要とする。ある実施形態では、前記ヒト対象は、単極性うつ病と診断された親類を有し得る。ある実施形態では、うつ病または単極性うつ病は、小児期うつ病及び/または不安ではない。
【0207】
本開示はまた、ヒト対象において不安障害を診断するか、または不安障害のリスクを検出するための方法であって、該方法が、前記ヒト対象から得られた、配列番号4または配列番号5を含むタンパク質などの変異GPR156タンパク質を検出することと、前記対象が不安障害の1つ以上の症状を有する場合に、前記ヒト対象を不安障害と診断すること、または前記対象が不安障害の1つ以上の症状を有さない場合に、前記ヒト対象が不安障害のリスクがあると診断することとを含む、方法を提供する。ある実施形態では、前記ヒト対象は、かかる診断を必要とする。ある実施形態では、前記ヒト対象は、不安障害と診断された親類を有し得る。ある実施形態では、前記不安障害は、臨床精神神経不安障害である。
【0208】
ある実施形態では、前記方法はさらに、対象において前記変化が検出され、該対象が単極性うつ病と診断される場合、該対象を抗うつ薬で処置することを含む。
ある実施形態では、前記抗うつ薬は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)である。SSRIの好適例としては、シタロプラム(Celexa(登録商標))、エスシタロプラム(Lexapro(登録商標)、Cipralex(登録商標))、パロキセチン(Paxil(登録商標)、Seroxat(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、フルボキサミン(Luvox(登録商標))及びセルトラリン(Zoloft(登録商標)、Lustral(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。
【0209】
ある実施形態では、前記抗うつ薬は、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRA)である。SNRIの好適例としては、デスベンラファキシン(Pristiq(登録商標))、デュロキセチン(Cymbalta(登録商標))、レボミルナシプラン(Fetzima(登録商標))、ミルナシプラン(Ixel(登録商標)、Savella(登録商標))、トフェナセン(Elamol(登録商標)、Tofacine(登録商標))及びベンラファキシン(Effexor(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。
【0210】
ある実施形態では、前記抗うつ薬は、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(NRI)である。NRIの好適例としては、レボキセチン(Edronax(登録商標))、ビロキサジン(Vivalan(登録商標))及びアトモキセチン(Strattera)が含まれるが、これらに限定されない。
【0211】
ある実施形態では、前記抗うつ薬は、リチウムである。
ある実施形態では、前記抗うつ薬は、セロトニン調節及び刺激薬(SMS)である。SMSの好適例としては、ビラゾドン(Viibryd(登録商標))及びボルチオキセチン(Trintellix(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。
【0212】
ある実施形態では、前記抗うつ薬は、セロトニン遮断再取り込み阻害薬(SARI)である。SARIの好適例としては、エトペリドン(Axiomin(登録商標)、Etonin(登録商標))、ネファゾドン(Nefadar(登録商標)、Serzone(登録商標))及びトラゾドン(Desyrel(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。
【0213】
ある実施形態では、前記抗うつ薬は、三環系抗うつ薬(TCA)である。TCAの好適例としては、アミトリプチリン(Elavil(登録商標)、Endep(登録商標))、アミトリプチリノキシド(Amioxid(登録商標)、Ambivalon(登録商標)、Equilibrin(登録商標))、クロミプラミン(Anafranil(登録商標))、デシプラミン(Norpramin(登録商標)、Pertofrane(登録商標))、ジベンゼピン(Noveril(登録商標)、Victoril(登録商標))、ジメタクリン(Istonil(登録商標))、ドスレピン(Prothiaden(登録商標))、ドキセピン(Adapin(登録商標)、Sinequan(登録商標))、イミプラミン(Tofranil(登録商標))、ロフェプラミン(Lomont(登録商標)、Gamanil(登録商標))、メリトラセン(Dixeran(登録商標)、Melixeran(登録商標)、Trausabun(登録商標))、ニトロキサゼピン(Nitroxazepine)(Sintamil(登録商標))、ノルトリプチリン(Pamelor(登録商標)、Aventyl(登録商標))、ノキシプチリン(Agedal(登録商標))、Elronon(登録商標)、Nogedal(登録商標)、ピポフェジン(Azafen(登録商標)/Azaphen(登録商標))、プロトリプチリン(Vivactil(登録商標))及びトリミプラミン(Surmontil(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。さらに、ブトリプチリン(Evadyne(登録商標))、デメキシプチリン(Deparon(登録商標)、Tinoran(登録商標))、イミプラミノキシド(Imiprex(登録商標)、Elepsin(登録商標))、イプリンドール(Prondol(登録商標)、Galatur(登録商標)、Tetran(登録商標))、メタプラミン(Timaxel(登録商標))、プロピゼピン(Depressin(登録商標)、Vagran(登録商標))及びキヌプラミン(Kinupril(登録商標)、Kevopril(登録商標))も含まれる。さらに、オピプラモール(Insidon(登録商標))及びチアネプチン(Stablon(登録商標))も含まれる。
【0214】
ある実施形態では、前記抗うつ薬は、四環系抗うつ薬(TeCA)である。TeCAの好適例としては、アモキサピン(Asendin(登録商標))、マプロチリン(Ludiomil(登録商標))、ミアンセリン(Bolvidon(登録商標)、Norval(登録商標)、Tolvon(登録商標))、ミルタザピン(Remeron(登録商標))及びセチプチリン(Tecipul(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。
【0215】
ある実施形態では、前記抗うつ薬は、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)である。MAOIの好適例としては、イプロニアジド(Marsilid(登録商標))、イソカルボキサジド(Marplan(登録商標))、フェネルジン(Nardil(登録商標))、セレギリン(Eldepryl(登録商標)、Zelapar(登録商標)、Emsam(登録商標)、トラニルシプロミン(Parnate(登録商標))、メトラリンドール(Inkazan(登録商標))、モクロベミド(Aurorix(登録商標)、Manerix(登録商標))、ピルリンドール(Pirazidol(登録商標))及びトロキサトン(Humoryl(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。その他としては、例えば、ベンモキシン(Neuralex(登録商標))、カロキサゾン(Surodil(登録商標)、Timostenil(登録商標))、イプロクロジド(Sursum(登録商標))、メバナジン(Actomol(登録商標))、ニアラミド(Niamid(登録商標))、オクタモキシン(Ximaol(登録商標))、フェニプラジン(Catron(登録商標))、フェノキシプロパジン(phenoxypropazine)(Drazine(登録商標))、ピブヒドラジン(pivhydrazine)(Tersavid(登録商標))、サフラジン(Safra(登録商標))、エプロベミド(Befol(登録商標))及びミナプリン(Brantur(登録商標)、Cantor(登録商標))を含む。
【0216】
ある実施形態では、前記抗うつ薬は、非定型抗精神病薬である。非定型抗精神病薬の好適例としては、アミスルプリド(Solian(登録商標))、ルラシドン(Latuda(登録商標))及びクエチアピン(Seroquel(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。
【0217】
ある実施形態では、前記抗うつ薬は、アゴメラチン(Valdoxan(登録商標))、ビフェメラン(Alnert(登録商標)、Celeport(登録商標))、ブプロピオン(Wellbutrin(登録商標))、ケタミン(Ketalar(登録商標))、タンドスピロン(Sediel(登録商標))またはテニロキサジン(Lucelan(登録商標)、Metatone(登録商標))である。
【0218】
ある実施形態では、該方法は、対象において前記変化が検出され、該対象が不安障害と診断される場合、該対象を抗不安薬で処置することをさらに含む。ある実施形態では、前記不安障害は、臨床精神神経不安障害である。
【0219】
ある実施形態では、前記抗不安薬は、アルプラゾラム(Xanax(登録商標))、ブロマゼパム(Lectopam(登録商標)、Lexotan(登録商標))、クロルジアゼポキシド(Librium(登録商標))、クロナゼパム(Klonopin(登録商標)、Rivotril(登録商標))、クロラゼペート(Tranxene(登録商標))、ジアゼパム(Valium(登録商標))、フルラゼパム(Dalmane(登録商標))、ロラゼパム(Ativan(登録商標))、オキサゼパム(Serax(登録商標)、Serapax(登録商標))、テマゼパム(Restoril(登録商標))、トリアゾラム(Halcion(登録商標))及びトフィソパム(Emandaxin(登録商標)、Grandaxin(登録商標))を含むが、これらに限定されないベンゾジアゼピンである。
【0220】
ある実施形態では、前記抗不安薬は、メプロバメート(Miltown(登録商標)、Equanil(登録商標))を含むが、これらに限定されないカルバメートである。
ある実施形態では、前記抗不安薬は、ヒドロキシジン(Atarax(登録商標))、クロルフェニラミン(Chlor-Trimeton(登録商標))及びジフェンヒドラミン(Benadryl(登録商標))を含むが、これらに限定されない抗ヒスタミン剤である。
【0221】
ある実施形態では、前記抗不安薬は、ブスピロン(Buspar(登録商標))及びタンドスピロン(Sediel(登録商標))を含むが、これらに限定されないアザピロンである。
【0222】
ある実施形態では、前記抗不安薬は、本明細書に記載されるSSRI、SNRI、TCA、TeCAまたはMAOIである。
ある実施形態では、前記抗不安薬は、メビカー(Mebicarum(登録商標))、ファボモチゾール(Afobazole(登録商標))、セランク(Selank)、ブロマンタン、エモキシピン、プレガバリン、メンチルイソバレレートまたはメンチルイソバレレート(Validol(登録商標))である。
【0223】
抗うつ薬または抗不安薬の投与は、非経口、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、髄腔内、腹腔内、局所、鼻腔内または筋肉内を含むが、これらに限定されない任意の適切な経路によることができる。投与される医薬組成物は、望ましくは滅菌されており、実質的に等張性であり、GMP条件下で製造される。医薬組成物は、単位投与形態(すなわち、単回投与の用量)で提供することができる。医薬組成物は、1つ以上の生理学的及び薬学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤または助剤を使用して配合することができる。配合は、選択した投与経路によって異なる。用語「薬学的に許容可能な」は、担体、希釈剤、賦形剤または補助剤が、配合物の他の成分と適合性があり、その被投薬者に実質的に有害ではないことを意味する。
【0224】
本開示はまた、前記ヒトGPR156タンパク質をコードする遺伝子の変化を含むヒト対象での単極性うつ病の処置に使用する抗うつ薬を提供し、前記変化は、配列番号4の533位または配列番号4の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする。本開示はさらに、前記ヒトGPR156タンパク質をコードする遺伝子の変化を含むヒト対象での単極性うつ病の処置のための薬剤の製造において使用する抗うつ薬を提供し、前記変化は、ヒトGPR156タンパク質における配列番号4の533位または配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記変化は、配列番号4の533位または配列番号5の529位に対応する位置をコードするコドンの配列を、GAT(またはGAU)に変化させる。ある実施形態では、前記変化は、配列番号4の533位または配列番号5の529位に対応する位置をコードするコドンの配列を、GACに変化させる。ある実施形態では、前記抗うつ薬は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害薬またはノルエピネフリン再取り込み阻害薬である。ある実施形態では、前記抗うつ薬は、リチウムである。
【0225】
ヒト対象での単極性うつ病の処置に使用する抗うつ剤のある実施形態では、前記ヒト対象は、GPR156タンパク質内のE533D変異及び/またはGPR156タンパク質内のE533D変異をコードする核酸分子について陽性と検査される。ある実施形態では、前記処置は、ヒト対象がE533D変異を有するGPR156タンパク質及び/またはE533D変異を有するGPR156タンパク質をコードする核酸分子を有するかどうかを測定するステップを含む。ある実施形態では、本明細書に記載または例示される任意のかかる方法を含む、単極性うつ病を患う、または単極性うつ病を発症するリスクを有するヒト対象を同定するための方法にしたがって、ヒト対象が単極性うつ病を患う、または単極性うつ病を発症するリスクを有すると同定される。前記E533D変異は、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸が得られる突然変異を指す。ある実施形態では、前記GPR156タンパク質内のE533D変異は、コドンGATによってコードされる。ある実施形態では、前記GPR156タンパク質内のE533D変異は、コドンGACによってコードされる。ある実施形態では、ヒト対象での単極性うつ病の処置に使用する抗うつ剤は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害薬またはノルエピネフリン再取り込み阻害薬である。ある実施形態では、ヒト対象での単極性うつ病の処置に使用する抗うつ剤は、リチウムである。
【0226】
本開示はまた、前記ヒトGPR156タンパク質をコードする遺伝子の変化を含むヒト対象での不安障害の処置に使用する抗不安薬を提供し、前記変化は、配列番号4の533位または配列番号4の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする。本開示はさらに、前記ヒトGPR156タンパク質をコードする遺伝子の変化を含むヒト対象での不安障害の処置のための薬剤の製造において使用する抗不安薬を提供し、前記変化は、ヒトGPR156タンパク質における配列番号4の533位または配列番号5の529位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする。ある実施形態では、前記変化は、配列番号4の533位または配列番号5の529位に対応する位置をコードするコドンの配列を、GAT(またはGAU)に変化させる。ある実施形態では、前記変化は、配列番号4の533位または配列番号5の529位に対応する位置をコードするコドンの配列を、GACに変化させる。ある実施形態では、前記抗不安薬は、ベンゾジアゼピン、カルバメート、抗ヒスタミン薬、アザピロン、SSRI、SNRI、TCA、TeCAまたはMAOIである。ある実施形態では、前記不安障害は、臨床精神神経不安障害である。
【0227】
ヒト対象での不安障害の処置に使用する抗不安薬のある実施形態では、前記ヒト対象は、GPR156タンパク質内のE533D変異及び/またはGPR156タンパク質内のE533D変異をコードする核酸分子について陽性と検査される。ある実施形態では、前記処置が、ヒト対象がE533D変異を有するGPR156タンパク質及び/またはE533D変異を有するGPR156タンパク質をコードする核酸分子を有するかどうかを測定するステップを含む。ある実施形態では、本明細書に記載または例示される任意のかかる方法を含む、不安障害を患う、または不安障害を発症するリスクを有するヒト対象を同定するための方法にしたがって、ヒト対象が不安障害を患う、または不安障害を発症するリスクを有すると同定される。前記E533D変異は、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸が得られる突然変異を指す。ある実施形態では、前記GPR156タンパク質内のE533D変異は、コドンGATによってコードされる。ある実施形態では、前記GPR156タンパク質内のE533D変異は、コドンGACによってコードされる。ある実施形態では、ヒト対象での不安障害の処置に使用される抗不安薬は、ベンゾジアゼピン、カルバメート、抗ヒスタミン薬、アザピロン、SSRI、SNRI、TCA、TeCAまたはMAOIである。ある実施形態では、前記不安障害は、臨床精神神経不安障害である。
【0228】
本開示はまた、単極性うつ病の診断または単極性うつ病を発症するリスクの診断において、任意の変異GPR156遺伝子、mRNA、cDNA、ポリペプチドの使用、及び本明細書に開示される核酸分子をハイブリダイズさせることとを提供する。
【0229】
本開示はまた、不安障害の診断または不安障害を発症するリスクの診断において、任意の変異GPR156遺伝子、mRNA、cDNA、ポリペプチドの使用、及び本明細書に開示される核酸分子をハイブリダイズさせることとを提供する。ある実施形態では、前記不安障害は、臨床精神神経不安障害である。
【0230】
上記または下記に引用されたすべての特許文書、ウェブサイト、他の刊行物、受託番号などは、個々の項目が、参考として組み込まれるように具体的かつ個別に示されるのと同程度に、あらゆる目的でその全体が参考として組み込まれる。異なるバージョンの配列が異なる時点での受託番号に関連付けられている場合、本出願の有効出願日の受託番号に関連付けられたバージョンを意図する。有効出願日は、実際の出願日、または、受託番号への言及がある場合は優先出願の出願日のうち早い方を意味する。同様に、異なるバージョンの出版物、Webサイトなどが異なる時点で出版されている場合、特に指示がない限り、出願の有効出願日に最後に公開されたバージョンを意味する。本開示の任意の特徴、ステップ、要素、実施形態または態様は、特に指示がない限り、他の任意の特徴、ステップ、要素、実施形態または態様と組み合わせて使用することができる。本開示は、明確性及び理解のために、例示及び実施例によっていくらか詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲内で一定の変更及び修正が実施され得ることは明らかであろう。
【0231】
本明細書に列挙されるヌクレオチド及びアミノ酸配列は、ヌクレオチド塩基の場合、標準的な文字の略語、アミノ酸の場合、一文字のコードを用いて示される。ヌクレオチド配列は、配列の5’末端から始まり、3’末端まで進む(すなわち、各行の左から右へ)という標準規則に従う。各ヌクレオチド配列の一方の鎖のみが示されているが、その相補鎖は表示されている鎖へのあらゆる言及によって含まれるものと理解される。アミノ酸配列は、配列のアミノ末端から始まり、カルボキシ末端まで進む(すなわち、各行の左から右へ)という標準規則に従う。
【0232】
以下の実施例は、実施形態をより詳細に説明するために提供される。それらは、特許請求されている実施形態を例示することを意図しており、限定することを意図しない。
【実施例】
【0233】
以下の実施例は、当業者に、本明細書で請求される化合物、組成物、物品、装置及び/または方法が、どのように作られ、評価されるかを完全に開示し、説明するために示され、これらは純粋に例示的であることを意図し、本発明者らが彼らの発明と見なすものの範囲を限定することを意図しない。数(例えば、量、温度など)に関して、正確さを保証するための努力がなされてきたが、誤りまたはずれもあることが考慮されるべきである。他に指示がない限り、部は重量部であり、温度は℃であるか、または周囲温度であり、圧力は大気圧または大気圧近傍である。
【0234】
実施例1: 被験者リクルートメント及び表現型検査
単極性うつ病の遺伝的評価が確認されているメノナイト家系の家族において、全エクソームシークエンシングを実施した。この血統の個体は、DSM-5の構造化臨床面接法(SCID-5)を用いて神経精神医学チームによってさらに体系的に評価された。この半構造化面接は、訓練を受けた精神保健専門家によって実施され、DSM-5障害の体系的かつ正確な診断を確実にするように設計されている。その面接は、個人及びその親類が、大うつ病、全般性不安障害及び他の任意の併存症のある精神疾患の基準を満たしているかどうかを測定するために用いられる。該面接は通常、対象とのやり取りに1~2時間掛かった。該面接に加えて、付随的情報を収集し、対象の書面による同意により、対象の医療記録の診断、処置提供者及び密接な接触者を確認した。合計50人の個人を含むこの大きな血統において、罹患した及び罹患していないすべての利用可能な家族のメンバーのエクソームをシークエンシングした。
【0235】
実施例2: ゲノム試料
ゲノムDNAを末梢血試料から抽出し、全エクソームシークエンシングのためにRegeneron Genetics Center(RGC)に移し、自動バイオバンクに-80℃で保存した。シークエンシングのために適切なDNAの量及び質を保証するため、蛍光ベースの定量化を実施した。
【0236】
1μgのDNAを150塩基対の平均フラグメント長へと切断し(Covaris LE220)、Kapa Biosystemsのカスタム試薬キットを用いてエクソーム取得用に調製した。NimbleGen SeqCap VCRome 2.1またはIntegrated DNA Technologies xGenエクソームターゲットデザインを使用して、試料を取得した。試料をバーコード化し、プールし、v4ケミストリーを用いてIllumina HiSeq 2500で75bpペアエンドシークエンシングを使用してシークエンシングするために多重化した。取得断片は、20倍以上のカバレッジで標的塩基の最低85%がカバーされるようにシークエンシングされた。シークエンシング後、DNAnexus及びAWSを使用して試料レベルのデータ作成及び分析の標準ツールを実行するRGCで開発されたクラウドベースのパイプラインを使用してデータを処理した。要約すると、IlluminaのCASAVAソフトウェアを使用して、配列データを生成し、分離した。BWA-memを用いて、配列リードをマッピングし、GRCh37/hg19ヒトゲノム参照アセンブリに整列させた。アラインメント後、重複リードは、Picardツールを使用してマーク付けしフラグを立て、GATKを用いてindelを再整列させ変異の呼び出し品質を向上させた。GATKのHaplotypeCaller及びVariant Quality Score Recalibration(VQSR)を使用して、SNP及びINDELの変異及び遺伝子型が呼び出され、全体的な変異品質スコアをアノテーションするために適用された。各試料について、シークエンシング及びデータ品質メトリック統計を取得し、取得性能、アラインメント性能及び変異の呼び出しを評価した。
【0237】
実施例3: ゲノムデータ解析
最小読み取り深度(>10)、遺伝子型品質(>30)及びアレルバランス(>15%)の標準品質管理フィルターを、呼び出された変異に適用した。パスした変異は、RGCが開発したアノテーション及び分析パイプラインを使用して、それらの潜在的な機能的影響(同義、非同義、スプライシング、フレームシフトまたは非フレームシフト変異)に基づいて分類され、アノテーションされた。PRIMUSを使用してコホートにおける関連性及び関係性を推測するために、遺伝データからの血統の同一性(IBD)由来のメトリックによって家族関係を検証し(Staples et al., Amer.J. Human Genet., 2014, 95, 553-564)、この家族について報告されている血統と相互参照した。
【0238】
報告された家族歴を考慮して、常染色体優性遺伝パターンの下、血統に基づく変異解析及び分離を実施し、候補疾患遺伝子を同定した。一次解析は、障害の不完全浸透、発症年齢、または疾患の症状の発現を引き起こす可能性がある環境因子への潜在的な曝露によってもたらされる潜在的な交絡因子を低減するために、シークエンシングに利用可能なできるだけ多くの有益な罹患者を用いて実施した。すべての罹患者の間で共通の変異は、その後、dbSNP、1000ゲノムプロジェクト、NHLBIエクソームシークエンシングプロジェクト、エクソーム集約コンソーシアムデータベース(ExAc)及び内部RGCデータベースなど、母集団管理データベースで観察された頻度によってアノテーションされ、フィルタリングされ、一般的な多型及び高頻度でおそらく良性の変異を除外する。LRT、Poly-phen2、SIFT、CADD及びMutation Tasterなどの、変異の機能的影響のバイオインフォマティック予測のためのアルゴリズムは、複数種のアラインメントに基づいた保存スコア(すなわち、GERP、PhastCons、PhyloP)とともに、変異のアノテーションプロセスの一部として組み込まれ、同定された候補変異の潜在的な有害性を通知するために使用される。
【0239】
単一のまれな変異が、罹患したこの血統の家族のメンバーにおいて、単極性うつ病の表現型と分離する遺伝子GPR156において同定された(hg19.g.chr3:119886725(C>A);c.1599G>T;p.Glu533Asp, p.E533D)。追加の家族のメンバー(一次分析には含まれていないが、p.E533D変異を保持する)は、不安障害と確定診断された。この家族のうつ病または不安障害の表現型と分離する他の可能性のある変異を除外するために、公表されているMERLINアルゴリズム(Abecasis et al., Nat. Genet., 2002, 30)に基づいて、カスタマイズされたRGC開発パイプラインを使用して、シングルポイントのエクソームワイド及びマルチポイントのゲノムワイド連鎖解析を実施した。簡単に記せば、SNPチップ及びエクソーム由来遺伝子型のパラメトリック連鎖解析は、MERLIN(csg.sph.umich.edu/abecasis/merlin/index.html)を用いて実施した。PLINK形式の遺伝子型は、少なくとも1つの非始祖(non-founder)に存在する単一ヌクレオチド変異(SNV)に限定されていた。アレル頻度は、始祖及びその血統の他の無関係なメンバーにおいて推定された。遺伝データを持たない個体には、欠けている/ダミーの遺伝子型が割り当てられた。fcGENE(sourceforge.net/projects/fcgene/)を使用して、PLINK形式の遺伝子型をMERLIN形式のpedファイルに変換した。連鎖解析に必要な追加ファイル(.dat及び.map)は、カスタマイズされたスクリプトを使用して準備した。血統構成はPedstats(csg.sph.umich.edu/abecasis/pedstats/index.html)を使用して検証した。チップデータの連鎖解析は、組換えについて仮定しない遺伝子型間のステップワイズまたはグリッド間隔のいずれかを用いて行われる。シングルポイントの連鎖を用いて、エクソームベースの遺伝子型を分析した。すべての分析について、不完全浸透モデルが仮定され(0.0001, 0.75, 1)、疾患アレル頻度は約0.01%であった。
【0240】
エクソームワイド解析とゲノムワイド解析の両方で、連鎖の単一ピークがこの血統において同定され、最大LODスコア2.98に達し、ヒト第3染色体において14.4メガベース(Mb)領域に広がった。前記GPR156遺伝子がこの連鎖領域内に位置し、最初のまれな変異のある家族ベースの分離解析を通じて同定された候補変異(c.1599G>T, p.Glu533Asp)は、単一マーカーLODスコア2.56が得られた。
【0241】
本明細書に示されるように、これらの遺伝子解析によって、GPR156が単極性うつ病及び不安障害に対する家族罹患率の増加に関連する遺伝子であることが示される。
加えて、野生型及び変異E533D配列を含むヌクレオチド断片を、ベクター(
図1及び
図2参照)にサブクローニングし、さらなる解析のための野生型及び変異E533D GPR156構築物を得た。
【0242】
実施例4: 検出
対象に特定の遺伝的変異があることは、該対象が、単極性うつ病を患っているか、または発症するリスクが高いことを示し得る。血液試料などの試料を対象から得ることができる。核酸は、一般的な核酸抽出キットを用いて該試料から単離することができる。前記対象から得た試料から核酸を単離した後、該核酸は、遺伝的変異が存在するかどうか測定するためにシークエンシングされる。前記核酸の配列は、対照配列(野生型配列)と比較することができる。前記対象から得られた試料から得られた核酸と前記対照配列との間の差を見出すことにより、遺伝的変異の存在が示される。これらのステップは、上記の実施例及び本開示を通じて記載されたようにして実施することができる。1つ以上の遺伝的変異の存在は、前記対象が、単極性うつ病を患っているか、または発症するリスクが高いことを示す。
【0243】
本出願において引用される各参考文献(ジャーナル論文、米国及び米国以外の特許、特許出願公開、国際特許出願公開、遺伝子バンク受託番号などを含むがこれらに限定されない)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
[付記1]
配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含むヒトGタンパク質共役受容体156(GPR156)タンパク質をコードする核酸配列、または前記核酸配列の相補体を含む、単離された核酸分子。
[付記2]
前記核酸分子がDNAを含む、付記1に記載の単離された核酸分子。
[付記3]
前記核酸分子がcDNAである、付記2に記載の単離された核酸分子。
[付記4]
前記核酸分子がRNAを含む、付記1に記載の単離された核酸分子。
[付記5]
前記核酸配列がDNAを含み、且つ前記アスパラギン酸がコドンGATもしくはGACによってコードされるか、または前記核酸配列がRNAを含み、且つ前記アスパラギン酸がコドンGAUもしくはGACによってコードされる、付記1~4のいずれか1つに記載の単離された核酸分子。
[付記6]
前記アスパラギン酸がコドンGATによってコードされる、付記1~5のいずれか1つに記載の単離された核酸分子。
[付記7]
前記GPR156タンパク質が、配列番号4のアミノ酸配列、または配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む、付記1~6のいずれか1つに記載の単離された核酸分子。
[付記8]
付記1~7のいずれか1つに記載の単離された核酸分子を含むベクター。
[付記9]
前記ベクターがプラスミドである、付記8に記載のベクター。
[付記10]
前記ベクターがウイルスである、付記8に記載のベクター。
[付記11]
付記1~7のいずれか1つに記載の単離された核酸分子を含む宿主細胞。
[付記12]
付記8~10のいずれか1つに記載のベクターを含む宿主細胞。
[付記13]
前記核酸配列が、前記宿主細胞のプロモーター活性物質に作動可能に連結する、付記11または付記12に記載の宿主細胞。
[付記14]
前記プロモーターが外因性プロモーターである、付記13に記載の宿主細胞。
[付記15]
前記プロモーターが誘導性プロモーターである、付記13または付記14に記載の宿主細胞。
[付記16]
前記宿主細胞が哺乳動物細胞である、付記12~15のいずれか1つに記載の宿主細胞。
[付記17]
前記ヒトGPR156タンパク質の少なくとも一部分をコードする核酸配列を含むcDNAであって、前記一部分が、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む、前記cDNA。
[付記18]
前記cDNAが、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む完全長ヒトGPR156タンパク質をコードする、付記17に記載のcDNA。
[付記19]
前記アスパラギン酸がコドンGATによってコードされる、付記17または付記18に記載のcDNA。
[付記20]
前記cDNAが、配列番号16の核酸配列、または配列番号16に対して少なくとも90%の配列同一性を有する核酸配列を含み、前記cDNAが、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含むGPR156タンパク質をコードする、付記17~20のいずれか1つに記載のcDNA。
[付記21]
前記アスパラギン酸がコドンGACによってコードされる、付記17または付記18に記載のcDNA。
[付記22]
前記cDNAが、配列番号17の核酸配列、または配列番号17に対して少なくとも90%の配列同一性を有する核酸配列を含み、前記cDNAが、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含むGPR156タンパク質をコードする、付記17、18または21に記載のcDNA。
[付記23]
付記17~22のいずれか1つに記載のcDNAを含むベクター。
[付記24]
前記ベクターがプラスミドである、付記23に記載のベクター。
[付記25]
前記ベクターがウイルスである、付記23に記載のベクター。
[付記26]
付記17~22のいずれか1つに記載のcDNAを含む宿主細胞。
[付記27]
付記23~25のいずれか1つに記載のベクターを含む宿主細胞。
[付記28]
前記cDNAが、前記宿主細胞のプロモーター活性物質に作動可能に連結する、付記26または付記27に記載の宿主細胞。
[付記29]
前記プロモーターが外因性プロモーターである、付記28に記載の宿主細胞。
[付記30]
前記プロモーターが誘導性プロモーターである、付記28または付記29に記載の宿主細胞。
[付記31]
前記宿主細胞が哺乳動物細胞である、付記26~30のいずれか1つに記載の宿主細胞。
[付記32]
ヒトGタンパク質共役受容体156(GPR156)タンパク質の少なくとも一部分を含む単離または組換えポリペプチドであって、前記一部分が、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む、前記単離または組換えポリペプチド。
[付記33]
前記ポリペプチドが、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む完全長GPR156タンパク質を含む、付記32に記載の単離または組換えポリペプチド。
[付記34]
前記ポリペプチドが、配列番号4のアミノ酸配列、または配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記ポリペプチドが、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含む、付記32または付記33に記載の単離または組換えポリペプチド。
[付記35]
前記ポリペプチドが、異種ポリペプチドに融合する、付記32~34のいずれか1つに記載の単離または組換えポリペプチド。
[付記36]
前記異種ポリペプチドが、ペプチド精製タグ、蛍光タンパク質、またはペプチド精製タグと蛍光タンパク質の両方、を含む、付記35に記載の単離または組換えポリペプチド。
[付記37]
前記ポリペプチドが、検出可能な標識に連結した、付記32~36のいずれか1つに記載の単離または組換えポリペプチド。
[付記38]
前記検出可能な標識が、蛍光標識または放射性標識である、付記37に記載の単離または組換えポリペプチド。
[付記39]
付記33~38のいずれか1つに記載の単離または組換えポリペプチド及び担体を含む組成物。
[付記40]
少なくとも約15ヌクレオチドを含む核酸配列を含むプローブまたはプライマーであって、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含むヒトGタンパク質共役受容体156(GPR156)タンパク質をコードする核酸配列に特異的にハイブリダイズするか、または前記ヒトGPR156タンパク質をコードする核酸配列の相補体に特異的にハイブリダイズする、前記プローブまたはプライマー。
[付記41]
前記プローブまたはプライマーがDNAを含む、付記40に記載のプローブまたはプライマー。
[付記42]
前記プローブまたはプライマーがRNAを含む、付記40に記載のプローブまたはプライマー。
[付記43]
前記アスパラギン酸がコドンGATによってコードされる、付記40~42のいずれか1つに記載のプローブまたはプライマー。
[付記44]
前記アスパラギン酸がコドンGACによってコードされる、付記40~42のいずれか1つに記載のプローブまたはプライマー。
[付記45]
前記プローブまたはプライマーが、ストリンジェントな条件下で、前記ヒトGPR156タンパク質をコードする核酸配列、またはその相補体に特異的にハイブリダイズする、付記40~44のいずれか1つに記載のプローブまたはプライマー。
[付記46]
前記プローブまたはプライマーが標識を含む、付記40~45のいずれか1つに記載のプローブまたはプライマー。
[付記47]
前記標識が、蛍光標識、放射性標識またはビオチンである、付記46に記載のプローブまたはプライマー。
[付記48]
付記40~47のいずれか1つに記載のプローブが結合した基質を含む支持体。
[付記49]
前記支持体がマイクロアレイである、付記48に記載の支持体。
[付記50]
GPR156タンパク質をコードする核酸配列に相補的な核酸配列を含むアレル特異的プローブまたはプライマーであって、前記アレル特異的プローブまたはプライマーが、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする核酸コドンに相補的な核酸配列を含む、前記アレル特異的プローブまたはプライマー。
[付記51]
前記アスパラギン酸がコドンGATによってコードされる、付記50に記載のアレル特異的プライマー。
[付記52]
前記アスパラギン酸がコドンGACによってコードされる、付記50に記載のアレル特異的プライマー。
[付記53]
単極性うつ病を患う、または単極性うつ病を発症するリスクを有するヒト対象を同定するための方法であって、前記方法が、前記対象から得られた試料において、
(i)前記GPR156タンパク質内のE533D変異;及び/または
(ii)前記GPR156タンパク質内のE533D変異をコードする核酸分子、の有無を測定すること、を含み、
前記GPR156タンパク質の前記E533D変異及び/または前記E533D変異をコードする前記核酸分子の存在が、前記対象が単極性うつ病を患う、または単極性うつ病を発症するリスクを有することを示す、前記方法。
[付記54]
単極性うつ病の1つ以上の症状の存在が、前記対象が単極性うつ病を患うことを示す、付記53に記載の方法。
[付記55]
前記方法がin vitro方法である、付記53または付記54に記載の方法。
[付記56]
前記測定のステップが、GPR156タンパク質をコードする前記核酸分子の少なくとも一部分をシークエンシングすることを含み、シークエンシングされた前記核酸分子が、配列番号4の533位に対応する位置を含むアミノ酸配列をコードする、付記53~55のいずれか1つに記載の方法。
[付記57]
前記測定のステップが、前記GPR156タンパク質全体をコードする核酸分子をシークエンシングすることを含む、付記53~56のいずれか1つに記載の方法。
[付記58]
前記測定のステップが、
GPR156タンパク質をコードする前記核酸分子の少なくとも一部分を増幅することであって、増幅された前記核酸分子が、配列番号4の533位に対応する位置を含むアミノ酸配列をコードする、増幅と;
前記核酸分子を、検出可能な標識で標識することと;
標識された前記核酸を、プローブを含む支持体と接触させることであって、前記プローブが、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする核酸配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列を含む、接触と;
前記検出可能な標識を検出することと、
を含む、付記53~55のいずれか1つに記載の方法。
[付記59]
前記核酸分子がmRNAであり、且つ前記測定のステップが、前記増幅のステップの前にmRNAをcDNAに逆転写することをさらに含む、付記58に記載の方法。
[付記60]
前記測定のステップが、前記核酸分子を、検出可能な標識を含むプローブと接触させることであって、
前記プローブが、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸を含むアミノ酸配列をコードする核酸配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列を含む、接触と、
前記検出可能な標識を検出することと、
を含む、付記53~55のいずれか1つに記載の方法。
[付記61]
前記核酸分子が、前記ヒト対象から得られた細胞内に存在する、付記60に記載の方法。
[付記62]
前記GPR156タンパク質内のE533D変異が、核酸配列GATによってコードされる、付記53~61のいずれか1つに記載の方法。
[付記63]
前記GPR156タンパク質内のE533D変異が、核酸配列GACによってコードされる、付記53~61のいずれか1つに記載の方法。
[付記64]
ヒト対象において単極性うつ病を診断するか、または単極性うつ病のリスクを検出するための方法であって、前記方法が、
前記ヒト対象から得られたGPR156タンパク質をコードする核酸分子において変化を検出することであって、前記変化が、配列番号4のGPR156タンパク質の533位に対応する位置にアスパラギン酸をコードする、検出と、
前記対象がうつ病の1つ以上の症状を有する場合に、前記ヒト対象を単極性うつ病と診断すること、または前記対象がうつ病の1つ以上の症状を有さない場合に、前記ヒト対象が単極性うつ病のリスクがあると診断することと、
を含む、前記方法。
[付記65]
前記検出のステップが、GPR156タンパク質をコードする核酸分子の少なくとも一部分をシークエンシングすることを含み、シークエンシングされた前記核酸分子が、配列番号4の533位に対応する位置を含むアミノ酸配列をコードする、付記64に記載の方法。
[付記66]
前記検出のステップが、前記核酸分子全体をシークエンシングすることを含む、付記64または付記65に記載の方法。
[付記67]
前記検出のステップが、
GPR156タンパク質をコードする核酸分子の少なくとも一部分を増幅することであって、増幅された前記核酸分子が、配列番号4の533位に対応する位置を含むアミノ酸配列をコードする、増幅と、
前記核酸分子を、検出可能な標識で標識することと、
標識された前記核酸をプローブを含む支持体と接触させることであって、前記プローブが、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸をコードする核酸配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列を含む、接触と、
前記検出可能な標識を検出することと、
を含む、付記64に記載の方法。
[付記68]
前記核酸分子がmRNAであり、且つ前記方法が、前記増幅のステップの前にmRNAをcDNAに逆転写することをさらに含む、付記67に記載の方法。
[付記69]
前記検出のステップが、
前記核酸分子を、検出可能な標識を含むプローブと接触させることであって、前記プローブが、配列番号4の533位に対応する位置でアスパラギン酸を含むアミノ酸配列をコードする核酸配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列を含む、接触と、
前記検出可能な標識を検出することと、
を含む、付記64に記載の方法。
[付記70]
前記核酸分子が、前記ヒト対象から得られた細胞内に存在する、付記69に記載の方法。
[付記71]
前記変化が、配列番号4の533位に対応する位置をコードするコドンの配列をGATに変化させる、付記64~70のいずれか1つに記載の方法。
[付記72]
前記変化が、配列番号4の533位に対応する位置をコードするコドンの配列をGACに変化させる、付記64~70のいずれか1つに記載の方法。
[付記73]
前記方法が、前記対象において前記変化が検出され、対象が単極性うつ病を患うと診断された場合、対象を抗うつ薬で処置することをさらに含む、付記64~72のいずれか1つに記載の方法。
[付記74]
前記抗うつ薬が、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害薬またはノルエピネフリン再取り込み阻害薬である、付記73に記載の方法。
[付記75]
前記GPR156タンパク質内にE533D変異を保持するヒト対象での単極性うつ病の処置に使用のための抗うつ薬。
[付記76]
前記ヒト対象が、前記GPR156タンパク質内のE533D変異及び/または前記GPR156タンパク質内のE533D変異をコードする核酸分子について陽性と検査された、付記75に記載の使用のための抗うつ薬。
[付記77]
前記処置が、前記ヒト対象がE533D変異を有するGPR156タンパク質及び/または前記E533D変異を有するGPR156タンパク質をコードする核酸分子を有するかどうかを測定するステップを含む、付記75または付記76に記載の使用のための抗うつ薬。
[付記78]
前記ヒト対象が、付記53~74のいずれか1つに記載の方法を使用することによって、単極性うつ病を患うか、または単極性うつ病を発症するリスクを有すると同定されている、付記75~77のいずれか1つに記載の使用のための抗うつ薬。
[付記79]
前記GPR156タンパク質内のE533D変異が、コドンGATによってコードされる、付記75~78のいずれか1つに記載の使用のための抗うつ薬。
[付記80]
前記GPR156タンパク質内のE533D変異が、コドンGACによってコードされる、付記75~78のいずれか1つに記載の使用のための抗うつ薬。
[付記81]
前記抗うつ薬が、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害薬またはノルエピネフリン再取り込み阻害薬である、付記75~80のいずれか1つに記載の使用のための抗うつ薬。
[付記82]
前記抗うつ薬がリチウムである、付記75~80のいずれか1つに記載の使用のための抗うつ薬。
[付記83]
前記E533D変異が、配列番号4の533位に対応する位置にアスパラギン酸が得られる変異を指す、付記53~63のいずれか1つに記載の方法、または付記76~82のいずれか1つに記載の使用のための抗うつ薬。
【配列表】