(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】メイクアップ化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20240918BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20240918BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240918BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/92
A61K8/02
A61Q1/02
(21)【出願番号】P 2020051022
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 一弘
(72)【発明者】
【氏名】山野 真由
(72)【発明者】
【氏名】蔵之上 和博
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-235485(JP,A)
【文献】特開2017-095426(JP,A)
【文献】特開2016-117653(JP,A)
【文献】特開2003-171232(JP,A)
【文献】特開2002-338424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)平均粒子径が1~50μmの板状粉体であって、該粉体を黒色の人工皮革に8mg/100cm
2となるように均一に塗布し、その正反射(入射光角45°、受光角-45°)において測色したとき、CIE1976 L*a*b*表色系で規定する彩度Cが10以上、色相角が120~200°である板状粉体 0.5~3質量%、
(B)平均粒子径が1~50μmの板状粉体であって、該粉体を黒色の人工皮革に8mg/100cm
2となるように均一に塗布し、その正反射(入射光角45°、受光角-45°)において測色したとき、CIE1976 L*a*b*表色系で規定する彩度Cが10以上、色相角が300~360°である板状粉体 0.5~3質量%、
(C)34~60℃の融点を有する油成分
0.3~8質量%
を含有するメイクアップ化粧料。
【請求項2】
成分(C)に対する成分(A)と成分(B)の積算値の質量割合((A)+(B))/(C)が、0.05~20である請求項1記載のメイクアップ化粧料。
【請求項3】
さらに、(D)25℃で液状の油成分を含有する請求項1又は2記載のメイクアップ化粧料。
【請求項4】
粉末化粧料である請求項1~3のいずれか1項記載のメイクアップ化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイクアップ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メイクアップ化粧料では、白浮きや粉っぽさがなく、カバー力に優れ、明るい仕上がりを得るための検討がなされている。
例えば、特許文献1には、微粒子酸化亜鉛、着色顔料、特定の板状粉体、特定の球状粉体を組合せた粉末化粧料が、粉浮きを抑えつつ、明るく透明感のある肌に仕上げることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の化粧料においては、塗布後の化粧肌にカバー力を重視するあまり、きめが粗く、のっぺりした(のぺっとした)平べったい仕上がりになることが多く、自分で満足いくメイクアップができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特定の2種の板状粉体とともに、特定融点の油成分を組合わせて用いることにより、塗布後のカバー力に優れるだけでなく、肌と化粧料のフィット感(密着感)に優れ、きめ細かく、均一な仕上がりで、さらに奥行感のある魅力的な化粧感を実現できるメイクアップ化粧料が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)平均粒子径が1~50μmの板状粉体であって、該粉体を黒色の人工皮革に8mg/100cm2となるように均一に塗布し、その正反射(入射光角45°、受光角-45°)において測色したとき、CIE1976 L*a*b*表色系で規定する彩度Cが10以上、色相角が120~200°である板状粉体、
(B)平均粒子径が1~50μmの板状粉体であって、該粉体を黒色の人工皮革に8mg/100cm2となるように均一に塗布し、その正反射(入射光角45°、受光角-45°)において測色したとき、CIE1976 L*a*b*表色系で規定する彩度Cが10以上、色相角が300~360°である板状粉体、
(C)34~60℃の融点を有する油成分 0.01~10質量%
を含有するメイクアップ化粧料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のメイクアップ化粧料は、塗布後のカバー力や、肌と化粧料の密着感に優れ、きめ細かく、均一感のある仕上がりで、奥行感のある化粧感を得ることができる。また、肌の凹凸を補正することもできる。
本発明において、奥行感のある化粧感とは、のっぺりした(のぺっとした)平べったい仕上がりを改善し、顔全体の印象を立体的に仕上げるものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)の板状粉体は、平均粒子径が1~50μmであり、好ましくは、2~50μmのものである。また、アスペクト比は、10~150のものが好ましく、20~150のものがより好ましい。
ここで、板状とは、形状が狭義の板状の他、薄片状、鱗状等の形状の粉体も含まれる。
また、平均粒子径は、電子顕微鏡観察、レーザー回折/散乱法による粒度分布測定機によって、測定される。具体的には、レーザー回折/散乱法の場合、エタノールを分散媒として、レーザー回折散乱式粒度分布測定器(例えば、堀場製作所製、LA-920)で測定する。厚さは、原子間力顕微鏡により基準面との差を測定し、相加平均したものを平均厚さとする。
さらに、アスペクト比は、平均粒子径と平均厚さとの比により計算されるものであり、アスペクト比=(平均粒子径/平均厚さ)で定義される。
【0009】
成分(A)の板状粉体は、該粉体を黒色の人工皮革に8mg/100cm2となるように均一に塗布し、その正反射(入射光角45°、受光角-45°)において測色したとき、CIE1976 L*a*b*表色系で規定する彩度Cが10以上であり、きめ細かく、均一感のある仕上がりを付与する点から、11以上が好ましく、12以上がより好ましい。
ここで、彩度Cは、以下の方法により求められる。
黒色の人工皮革(オカモト化成品社製、ラフォーレS2923)に、市販の化粧料用スポンジ(ファンデーション用)を用いて、各粉体を8mg/100cm2となるよう均一に塗布する。得られた試料を、測色計(Gonio Spectrophotometer GSP-2、村上色彩技術研究所製)を用いて、入射角45°受光角-45°の条件で測色する。なお表色系は、CIE1976 L*a*b*表色系を用い、彩度Cを測色する。
【0010】
また、成分(A)の板状粉体は、該粉体を黒色の人工皮革に8mg/100cm2となるように均一に塗布し、その正反射(入射光角45°、受光角-45°)において測色したとき、CIE1976 L*a*b*表色系で規定する色相角が、120~200°であり、きめ細かく、均一感のある仕上がりを付与する点から、125~195°が好ましい。
ここで、色相角は、CIE1976 L*a*b*表色系において、a*の赤方向の軸を0°として、ここから反時計周り方向に色相を移動した角度で、色の位置が示されるものである。例えば、90°であれば黄方向、180°であれば緑方向、270°であれば青方向ということになる。
【0011】
成分(A)の板状粉体としては、薄片状基材の上に屈折率の異なる光学透過性材料を被覆したパール光沢を有するものが好ましい。薄片状基材としては、雲母、合成雲母、シリカフレーク、アルミニウムフレーク、酸化アルミニウムフレーク、酸化鉄フレーク、ガラスフレーク等が挙げられ、均一感のある仕上がりが得られる点から、雲母、合成雲母、ガラスフレークが好ましく、雲母、ガラスフレークがより好ましく、雲母がさらに好ましい。また、薄片状基材を被覆する光学透過性材料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉄、酸化クロム、シリカ、クロム、窒化チタン、チタン、フッ化マグネシウムアルミナ、ベーマイト、酸化ホウ素、これらの混合物などが挙げられ、発色の点から、酸化チタン、酸化スズ、酸化鉄、これらの混合物が好ましい。なかでも、酸化チタン、酸化鉄が好ましく、酸化チタンがより好ましい。
【0012】
より具体的には、酸化チタン及び/又は酸化鉄で被覆された雲母、合成雲母又はガラスフレークが好ましく、緑色干渉色を有するものが好ましい。酸化チタン被覆雲母として、例えば、BASF社製のフラメンコシルクグリーン、フラメンコグリーン、SUDARSHAN社製のプレステージシルクグリーン、プレステージグリーン;酸化チタン被覆ガラス末として、例えば、日本板硝子社製のメタシャインMT1040RG;酸化チタン被覆合成マイカとして、例えば、BASF社製のCrystal Mint S830V などを好適に用いることができる。
【0013】
成分(A)の板状粉体は、そのまま使用することができるほか、必要に応じて、例えば、シリコーン処理、脂肪酸処理、ラウロイルリジン処理、レシチン処理、N-アシルアミノ酸処理、金属石鹸処理、フッ素化合物処理、アルキルシラン処理等の疎水化処理したものを用いることもできる。
成分(A)の分散性を向上させる点から、シリコーン処理したものが好ましく、ジメチコン処理がより好ましく、通常の方法により処理したものを用いることができる。
なお、板状粉体を疎水化処理した場合、成分(A)の含有量や平均粒子径、彩度C、色相角は、疎水化処理した剤を含めての質量や平均粒子径、彩度C、色相角を意味する。
【0014】
成分(A)の板状粉体は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、きめ細かく、均一感のある仕上がりを付与する点から、全組成中に、0.1質量%以上であるのが好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に0.1~10質量%であるのが好ましく、0.3~6質量%がより好ましく、0.5~3質量%がさらに好ましい。
【0015】
成分(B)の板状粉体は、平均粒子径が1~50μmであり、好ましくは、2~50μmのものである。また、アスペクト比は、10~150のものが好ましく、20~150のものがより好ましい。
ここで、板状とは、形状が狭義の板状の他、薄片状、鱗状等の形状の粉体も含まれる。
また、平均粒子径、アスペクト比は、成分(A)と同様にして測定される。
【0016】
成分(B)の板状粉体は、該粉体を黒色の人工皮革(オカモト化成品社製、ラフォーレS2923)に8mg/100cm2となるように均一に塗布し、その正反射(入射光角45°、受光角-45°)において測色したとき、CIE1976 L*a*b*表色系で規定する彩度Cが10以上、色相角が300~360°である。
成分(B)における彩度C、色相角は、成分(A)と同様のものである。
成分(B)の彩度Cは、きめ細かく、均一感のある仕上がりを付与する点から、10以上であり、15以上が好ましく、20以上がより好ましい。
また、色相角は、きめ細かく、均一感のある仕上がりを付与する点から、305~350°が好ましく、310~340°がより好ましい。
【0017】
成分(B)の板状粉体としては、酸化チタン及び/又は酸化鉄で被覆された雲母、合成雲母又はタルクが好ましく、紫色干渉色を有するものが好ましい。酸化チタン被覆雲母として、例えば、BASF社製のフラメンコシルクバイオレット、フラメンコバイオレット、SUDARSHAN社製のプレステージシルクバイオレット、プレステージバイオレット;酸化チタン被覆タルクとして、例えば、日本光研社製のSILSEEM Misty Perl Red;酸化チタン被覆合成マイカとして、例えば、BASF社製のMetric Violet S530V などを好適に用いることができる。
【0018】
成分(B)の板状粉体は、成分(A)と同様、そのまま使用することができるほか、必要に応じて、疎水化処理したものを用いることもできる。
成分(B)の分散性を向上させる点から、シリコーン処理したものが好ましく、ジメチコン処理がより好ましく、通常の方法により処理したものを用いることができる。
なお、板状粉体を疎水化処理した場合、成分(B)の含有量や平均粒子径、彩度C、色相角は、疎水化処理した剤を含めての質量や平均粒子径、彩度C、色相角を意味する。
【0019】
成分(B)の板状粉体は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、きめ細かく、均一感のある仕上がりを付与する点から、全組成中に、0.1質量%以上であるのが好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に0.1~10質量%であるのが好ましく、0.3~6質量%がより好ましく、0.5~3質量%がさらに好ましい。
【0020】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、きめ細かく、均一感のある仕上がりを付与し、肌の凹凸を補正する点から、0.2以上であるのが好ましく、0.3以上がより好ましく、0.4以上がさらに好ましく、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。また、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、0.2~5であるのが好ましく、0.3~4がより好ましく、0.4~3がさらに好ましい。
【0021】
成分(C)の油成分は、融点34~60℃のものであり、融点36~57℃が好ましく、融点40~54℃がより好ましい。
本発明において、融点は、外原規一般試験法に基づき測定される。
【0022】
成分(C)の油成分としては、通常化粧料に用いられるもので、炭化水素油、エステル油が好ましく、エステル油がより好ましい。
エステル油としては、炭素数14~24の脂肪酸と炭素数15~25のアルコールのモノエステル油、炭素数14~24の不飽和脂肪酸と炭素数15~25の不飽和アルコールのエステル油(二重結合を2以上有するエステル)、ホホバエステル油がより好ましい。
【0023】
また、成分(C)としては、例えば、炭化水素油として、ノムコートPHS(水添パーム油;融点47℃)、ノムコートW(ワセリン;融点57℃)(以上、日清オイリオグループ社製)等;エステル油として、サラコスHS(ヒドロキシステアリン酸コレステリル;融点52℃)、コスモール168ARV(ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル;融点37℃)、コスモール168EV(テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル;融点50℃)、コスモール168M(ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル;融点45℃)、サラコス334(トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル;融点40℃)(以上、日清オイリオグループ社製)等;ホホバエステル油として、Floraesters 20(融点42-48℃)、Floraesters 30(融点47-51℃)、Floraesters 60(融点56-60℃)(以上、Floratech Americas社製)等の市販品を使用することができる。
【0024】
成分(C)の油成分は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、肌の皮溝や皮丘への密着感やフィット感に優れ、奥行感のある化粧感を付与し、肌(頬)の凹凸を補正する点から、全組成中に、0.01質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、10質量%以下であり、8質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.01~10質量%であり、0.1~8質量%が好ましく、0.3~6質量%がより好ましい。
【0025】
本発明において、成分(C)に対する成分(A)と成分(B)の積算値の質量割合((A)+(B))/(C)は、塗布後のカバー力、肌の皮溝や皮丘への密着感やフィット感に優れ、きめ細かく、均一感のある仕上がり、奥行感のある化粧感を付与し、肌(頬)の凹凸を補正する点から、0.05以上であるのが好ましく、0.2以上がより好ましく、0.4以上がさらに好ましく、20以下が好ましく、10以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。また、成分(C)に対する成分(A)と成分(B)の積算値の質量割合((A)+(B))/(C)は、0.05~20であるのが好ましく、0.2~10がより好ましく、0.4~6がさらに好ましい。
【0026】
本発明のメイクアップ化粧料は、さらに、(D)成分(C)以外の25℃で液状の油成分を含有することができ、塗布後のカバー力・きめ細かな仕上がりを維持することができる。ここで、液状とは、流動性を有することをいう。
成分(D)の25℃で液状の油成分としては、通常の化粧料に用いられるものであれば良く、例えば、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ミネラルオイル、スクワラン、α-オレフィンオリゴマー、ポリイソブチレン、ポリブテン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸トリシクロデカンメチル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソブチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、コハク酸ジ2-へチルヘキシル、コハク酸ビスエトキシジグリコール、ラウリン酸ヘキシル、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロパンジオール、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸プロパンジオール、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、リンゴ酸オクチルドデシル、グリセリン脂肪酸エステル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ2-ヘチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、メトキシケイヒ酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、炭酸プロピレン等のエステル油;セチルジメチルブチルエーテル、ジカプリリルエーテル、ジカプリリルエーテル、ジカプリリルエーテル等のエーテル油;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール等の炭素数10~24の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル基を有する高級アルコール;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン、フッ素変性シリコーン等のフッ素油;フェノキシエタノール、トコフェロールなどが挙げられる。
【0027】
成分(D)としては、塗布後のカバー力・きめ細かな仕上がりを維持する点から、25℃で液状の炭化水素油、エステル油を1種又は2種以上含有することが好ましく、少なくとも25℃で液状のエステル油を含有することがより好ましい。
【0028】
成分(D)の油成分は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、塗布後のカバー力を維持する点から、全組成中に、0.1質量%以上であるのが好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。また、成分(D)の含有量は、全組成中に0.1~20質量%であるのが好ましく、0.5~15質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。
【0029】
本発明において、成分(C)及び(D)の合計量に対する成分(C)の質量割合(C)/((C)+(D))は、肌と化粧料の密着感やフィット感に優れ、きめ細かく、均一感のある仕上がり、奥行感のある化粧感を付与し、肌(頬)の凹凸を補正する点から、0.03以上であるのが好ましく、0.06以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましく、1以下が好ましく、0.9以下がより好ましく、0.6以下がさらに好ましい。また、成分(C)及び(D)の合計量に対する成分(C)の質量割合(C)/((C)+(D))は、0.03~1であるのが好ましく、0.06~0.9がより好ましく、0.1~0.6がさらに好ましい。
【0030】
本発明のメイクアップ化粧料は、さらに、(E)平均粒子径が1~50μmの板状粉体であって、該粉体を黒色の人工皮革(オカモト化成品社製、ラフォーレS2923)に8mg/100cm2となるように均一に塗布し、その正反射(入射光角45°、受光角-45°)において測色したとき、CIE1976 L*a*b*表色系で規定する彩度Cが10以上、色相角が80~110°である板状粉体を含有することができ、きめ細かく、均一感のある仕上がり、奥行感のある化粧感を付与し、肌(頬)の凹凸を補正することができる。
【0031】
成分(E)の板状粉体は、平均粒子径が1~50μmであり、好ましくは、2~50μmのものである。また、アスペクト比は、10~150のものが好ましく、20~150のものがより好ましい。
ここで、板状とは、形状が狭義の板状の他、薄片状、鱗状等の形状の粉体も含まれる。
また、平均粒子径、アスペクト比は、成分(A)と同様にして測定される。
【0032】
成分(E)の板状粉体は、該粉体を黒色の人工皮革に8mg/100cm2となるように均一に塗布し、その正反射(入射光角45°、受光角-45°)において測色したとき、CIE1976 L*a*b*表色系で規定する彩度Cが10以上、色相角が80~110°である。
成分(E)における彩度C、色相角は、成分(A)と同様のものである。
成分(E)の彩度Cは、きめ細かく、均一感のある仕上がり、奥行感のある化粧感を付与し、肌(頬)の凹凸を補正する点から、10以上が好ましく、30以上がより好ましい。
また、色相角は、きめ細かく、均一感のある仕上がり、奥行感のある化粧感を付与し、肌(頬)の凹凸を補正する点から、85~105°が好ましく、90~105°がより好ましい。
【0033】
成分(E)の板状粉体としては、酸化チタン及び/又は酸化鉄で被覆された雲母、合成雲母又はタルクが好ましく、金色干渉色を有するものが好ましい。酸化チタン被覆雲母として、例えば、BASF社製のフラメンコシルクゴールドなどを好適に用いることができる。
【0034】
成分(E)の板状粉体は、成分(A)と同様、そのまま使用することができるほか、必要に応じて、疎水化処理したものを用いることもできる。
成分(E)の分散性を向上させる点から、シリコーン処理したものが好ましく、ジメチコン処理がより好ましく、通常の方法により処理したものを用いることができる。
なお、板状粉体を疎水化処理した場合、成分(E)の含有量や平均粒子径、彩度C、色相角は、疎水化処理した剤を含めての質量や平均粒子径、彩度C、色相角を意味する。
【0035】
成分(E)の板状粉体は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、きめ細かく、均一感のある仕上がり、奥行感のある化粧感を付与し、肌(頬)の凹凸を補正する点から、全組成中に、0.1質量%以上であるのが好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。また、成分(E)の含有量は、全組成中に0.1~10質量%であるのが好ましく、0.3~6質量%がより好ましく、0.5~2質量%がさらに好ましい。
【0036】
本発明のメイクアップ化粧料は、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、前記以外の粉体、前記以外の油成分、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、水などを含有することができる。
【0037】
本発明のメイクアップ化粧料は、通常の方法に従って製造することができ、乳化化粧料、粉末化粧料などとすることができる。
なかでも、プレストパウダー、ルースパウダー、フェイスパウダー、パウダーファンデーション、ルース状ファンデーション、頬紅、アイシャドウ等の粉末化粧料として好適である。中でも、プレストパウダー、パウダーファンデーション、頬紅、アイシャドウ等の固形粉末化粧料が好ましい。
粉末化粧料とする場合には、乾式で製造しても湿式で製造しても良く、例えば、粉体成分を混合・粉砕した後、油成分を加えて混合し、得られた混合物をさらに粉砕機で粉砕し、粉砕物を、容器に充填して、押圧して成型することにより、固形粉末化粧料とすることができる。
【実施例】
【0038】
実施例1~10、比較例1~4
表2に示す組成の固形粉末化粧料(パウダーファンデーション)を製造し、「カバー力」、「肌への密着感」、「奥行き感のある仕上がり」、「きめ細かな仕上がり」、「均一感のある仕上がり」、「肌の凹凸の補正」について、評価した。結果を表2に併せて示す。
なお、実施例で用いた板状粉体の平均粒子径、彩度C、色相角は、表1に示すとおりである。
【0039】
(製造方法)
成分(A)及び(B)を含むすべての粉体成分を混合・粉砕した後、成分(C)及び(D)の油成分を加えて混合し、得られた混合物をさらに粉砕機で粉砕した。粉砕物を、容器に充填して、成型圧1000~2500kgfで成型することにより、固形粉末化粧料(パウダーファンデーション)を得た。
【0040】
(評価方法)
5名の専門パネラーが、各固形粉末化粧料(パウダーファンデーション)を、パフで肌に塗布した直後の「カバー力」、「肌への密着感」、「奥行き感のある仕上がり」、「キメ細かな仕上がり」、「均一感のある仕上がり」、「肌の凹凸の補正」を、下記の基準で官能評価した。結果を5名の積算値で示す。
(1)カバー力:
5;塗布した直後、肌をしっかりカバーできている。
4;塗布した直後、肌をカバーできている。
3;塗布した直後、肌をややカバーできている。
2;塗布した直後、肌をあまりカバーできていない。
1;塗布した直後、肌をカバーできていない。
【0041】
(2)肌への密着感:
5;塗布した直後、肌の皮溝・皮丘にしっかり密着している。
4;塗布した直後、肌の皮溝・皮丘に密着している。
3;塗布した直後、肌の皮溝・皮丘にやや密着している。
2;塗布した直後、肌の皮溝・皮丘にあまり密着していない。
1;塗布した直後、肌の皮溝・皮丘に密着していない。
【0042】
(3)奥行き感のある仕上がり:
5;塗布した直後の肌(頬)が奥行き感のある仕上がりにかなり見える。
4;塗布した直後の肌(頬)が奥行き感のある仕上がりに見える。
3;塗布した直後の肌(頬)が奥行き感のある仕上がりにやや見える。
2;塗布した直後の肌(頬)が奥行き感のある仕上がりにあまり見えない。
1;塗布した直後の肌(頬)が奥行き感のある仕上がりに見えない。
【0043】
(4)きめ細かな仕上がり:
5;塗布した直後の肌がきめ細かな仕上がりにかなり見える。
4;塗布した直後の肌がきめ細かな仕上がりに見える。
3;塗布した直後の肌がきめ細かな仕上がりにやや見える。
2;塗布した直後の肌がきめ細かな仕上がりにあまり見えない。
1;塗布した直後の肌がきめ細かな仕上がりに見えない。
【0044】
(5)均一感のある仕上がり:
5;塗布した直後の肌が均一な仕上がりにかなり見える。
4;塗布した直後の肌が均一な仕上がりに見える。
3;塗布した直後の肌が均一な仕上がりにやや見える。
2;塗布した直後の肌が均一な仕上がりにあまり見えない。
1;塗布した直後の肌が均一な仕上がりに見えない。
【0045】
(6)肌の凹凸の補正:
5;塗布した直後の肌(頬)が凹凸の光の印影がまったく見えない。
4;塗布した直後の肌(頬)が凹凸の光の印影が見えない。
3;塗布した直後の肌(頬)が凹凸の光の印影があまり見えない。
2;塗布した直後の肌(頬)が凹凸の光の印影が見える。
1;塗布した直後の肌(頬)が凹凸の光の印影が顕著に見える。
【0046】
【0047】
【0048】
実施例11及び12
実施例1~10と同様にして、表3に示す組成の固形粉末化粧料(パウダーファンデーション)を製造した。
得られた化粧料はいずれも、カバー力、肌への密着感に優れ、きめ細かで、均一感、奥行き感のある仕上がりが得られ、肌の凹凸を補正することができる。
【0049】
【0050】
実施例13及び14
表4に示す組成の粉末化粧料(ルース状ファンデーション)を製造した。
得られた粉末化粧料(ルース状ファンデーション)はいずれも、カバー力、肌への密着感に優れ、キメ細かで、均一感、奥行き感のある仕上がりが得られ、肌の凹凸を補正することができる。
【0051】
(製造方法)
成分(A)及び(B)を含むすべての粉体成分を、ヘンシェルミキサーを用いて均一混合した。これに成分(C)及び(D)の油成分を加えてさらに混合した後、ふるいを通してルース状ファンデーションを得た。
【0052】