(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】電動作業機セット及び電動作業機の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/02 20060101AFI20240918BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20240918BHJP
H02K 21/16 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
H02K15/02 A
B25F5/00 G
H02K21/16 M
(21)【出願番号】P 2020101233
(22)【出願日】2020-06-10
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 圭
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-180165(JP,A)
【文献】特開2015-002584(JP,A)
【文献】特開2010-206939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/02
B25F 5/00
H02K 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ブラシレスモータ及び第1コントローラを備える第1電動作業機と、第2ブラシレスモータ及び第2コントローラを備える第2電動作業機とを含む電動作業機セットであって、
前記第1ブラシレスモータは、第1ステータコア及び前記第1ステータコアの複数のティースのそれぞれに巻かれる複数の第1コイルを含む第1ステータと、前記第1ステータに組み合わせられる第1ロータとを有
し、
前記第1コントローラは、前記第1ロータが回転軸を中心に回転するように
前記第1ステータコアの前記ティースを励磁
し、
前記第2ブラシレスモータは、第2ステータコア及び前記第2ステータコアの複数のティースのそれぞれに巻かれる複数の第2コイルを含む第2ステータと、前記第2ステータに組み合わせられる第2ロータとを有し、
前記第2コントローラは、前記第2ロータが回転軸を中心に回転するように前記第2ステータコアの前記ティースを励磁し、
前記回転軸と直交する面内において、前記第1ステータコアの形状は、
前記第2ステータコアの形状と等しく、
前記第1ロータは、前記第2ステータと組み合わせ可能であり、
前記第1ロータの外径と前記第2ロータの外径とが等しく、
軸方向において、第1ロータの寸法と第2ロータの寸法とが等しく、
前記第1コイルの数と前記第2コイルの数とが等しく、
前記第1コイルの結線方式と前記第2コイルの結線方式とが同一であり、
前記第1コイルの線径と前記第2コイルの線径とが等しく、
前記第1コイルの巻き数と前記第2コイルの巻き数とが等しく、
ティースの数をT、自然数をNとしたとき、前記第1ステータコア及び前記第2ステータコアのそれぞれは、T=3×N、の条件を満足し、
前記第1ロータの極数は、
前記第2ロータの極数と異なる、
電動作業機
セット。
【請求項2】
前記回転軸と平行な軸方向の寸法を示す前記第1ステータコアの長さは、前記第1ブラシレスモータの第1出力部に要求される出力条件に基づいて設定される、
請求項1に記載の電動作業機
セット。
【請求項3】
前記出力条件は、前記第1出力部の回転数を含み、
前記第1出力部に要求される回転数が前記第2ブラシレスモータの第2出力部に要求される回転数よりも高い場合、前記第1ステータコアの長さは、前記第2ステータコアの長さよりも短い値に設定される、
請求項2に記載の電動作業機
セット。
【請求項4】
前記出力条件は、前記第1出力部のトルクを含み、
前記第1出力部に要求されるトルクが前記第2ブラシレスモータの第2出力部に要求されるトルクよりも低い場合、前記第1ステータコアの長さは、前記第2ステータコアの長さよりも短い値に設定される、
請求項2に記載の電動作業機
セット。
【請求項5】
前記回転軸と平行な軸方向の寸法を示す前記第1ステータコアの長さは、前記第2ステータコアの長さと等しい、
請求項1に記載の電動作業機
セット。
【請求項6】
前記第1ロータの極数は、前記第1ブラシレスモータの第1出力部に要求される出力条件に基づいて設定される、
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の電動作業機
セット。
【請求項7】
前記出力条件は、前記第1出力部の回転数を含み、
前記第1出力部に要求される回転数が前記第2ブラシレスモータの第2出力部に要求される回転数よりも高い場合、前記第1ロータの極数は、前記第2ロータの極数よりも小さい値に設定される、
請求項
6に記載の電動作業機
セット。
【請求項8】
前記出力条件は、前記第1出力部のトルクを含み、
前記第1出力部に要求されるトルクが前記第2ブラシレスモータの第2出力部に要求されるトルクよりも低い場合、前記第1ロータの極数は、前記第2ロータの極数よりも小さい値に設定される、
請求項
6に記載の電動作業機
セット。
【請求項9】
前記第1ロータの極数は、2×N、及び4×Nのいずれか一つの極数であり、
前記第2ロータの極数は、2×N、及び4×Nのうち前記第1ロータの極数とは異なる極数である、
請求項
1に記載の電動作業機
セット。
【請求項10】
前記第1ステータコアは、T=3×3×Nの条件を満足し、
前記第1ロータの極数は、6×N、8×N、10×N、及び12×Nのいずれか一つの極数であり、
前記第2ロータの極数は、6×N、8×N、10×N、及び12×Nのうち前記第1ロータの極数とは異なる極数である、
請求項
1に記載の電動作業機
セット。
【請求項11】
前記第1ステータコアは、T=3×4×Nの条件を満足し、
前記第1ロータの極数は、8×N、10×N、14×N、及び16×Nのいずれか一つの極数であり、
前記第2ロータの極数は、8×N、10×N、14×N、及び16×Nのうち前記第1ロータの極数とは異なる極数である、
請求項
1に記載の電動作業機
セット。
【請求項12】
前記第1ステータコアは、T=3×5×Nの条件を満足し、
前記第1ロータの極数は、10×N、14×N、16×N、及び20×Nのいずれか一つの極数であり、
前記第2ロータの極数は、10×N、14×N、16×N、及び20×Nのうち前記第1ロータの極数とは異なる極数である、
請求項
1に記載の電動作業機
セット。
【請求項13】
複数の前記第1コイルのそれぞれは、U相、V相、及びW相のいずれか一つの相に割り当てられる、
請求項
1から請求項
12のいずれか一項に記載の電動作業機
セット。
【請求項14】
前記第1ロータは、ロータコアと、前記ロータコアに支持される永久磁石と、を有し、
前記回転軸と平行な軸方向において前記ロータコアの第1端部と対向する位置に配置され、前記第1ロータの回転を検出する磁気センサを備え、
前記ロータコアは、前記第1端部を含む第1コアと、前記軸方向において前記第1コアに隣接する第2コアと、を有し、
前記第1コアは、前記回転軸の周方向に間隔をあけて設けられた複数の第1孔を有し、
前記第2コアは、前記周方向に間隔をあけて設けられた複数の第2孔を有し、
前記永久磁石は、前記第1孔及び前記第2孔のそれぞれに配置され、
前記周方向に隣接する前記第1孔の間に前記第1コアの第1部分が配置され、
前記周方向に隣接する前記第2孔の間に前記第2コアの第2部分が配置され、
前記周方向において、前記第1部分の寸法は、前記第2部分の寸法よりも小さい、
請求項1から請求項
13のいずれか一項に記載の電動作業機
セット。
【請求項15】
前記第1部分は、前記周方向に複数設けられ、
前記第2部分は、前記周方向に複数設けられ、
前記周方向において、複数の前記第1部分の寸法は等しく、複数の前記第2部分の寸法は等しい、
請求項
14に記載の電動作業機
セット。
【請求項16】
第1鋼板が積層された第1ステータコア及び前記第1ステータコアの複数のティースのそれぞれに第1結線方式で巻かれる複数の第1コイルを有する第1ステータと、第1極数の第1ロータとを組み合わせて、第1ブラシレスモータを製造することと、
前記第1鋼板と同一の形状の第2鋼板が積層された第2ステータコア及び前記第2ステータコアの複数のティースのそれぞれに前記第1結線方式と同一の第2結線方式で巻かれる複数の第2コイルを有する第2ステータと、前記第1ステータと組み合わせ可能な第2極数の第2ロータとを組み合わせて、第2ブラシレスモータを製造することと、
前記第1ブラシレスモータを使用して第1電動作業機を製造することと、
前記第2ブラシレスモータを使用して第2電動作業機を製造することと、を含
み、
前記第1ロータの外径と前記第2ロータの外径とが等しく、
軸方向において、第1ロータの寸法と第2ロータの寸法とが等しく、
前記第1コイルの数と前記第2コイルの数とが等しく、
前記第1コイルの線径と前記第2コイルの線径とが等しく、
前記第1コイルの巻き数と前記第2コイルの巻き数とが等しく、
ティースの数をT、自然数をNとしたとき、前記第1ステータコア及び前記第2ステータコアのそれぞれは、T=3×N、の条件を満足し、
前記第1ロータの第1極数は、前記第2ロータの第2極数と異なる、
電動作業機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動作業機セット及び電動作業機の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動作業機に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、ブラシレスモータを備える電動工具が知られている。ブラシレスモータは、ステータコア及びステータコアに支持されるコイルを含むステータと、ロータコア及びロータコアに支持される永久磁石を含むロータとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動作業機の種類により、ブラシレスモータに要求される出力特性が異なる。ブラシレスモータに要求される出力特性に基づいて、電動作業機の種類毎に別々のブラシレスモータを生産する場合、生産コストが増大する可能性がある。
【0005】
本開示は、電動作業機の生産コストを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、第1ステータコア及び前記第1ステータコアの複数のティースのそれぞれに巻かれる複数の第1コイルを含む第1ステータと、前記第1ステータに組み合わせられる第1ロータとを有する第1ブラシレスモータと、前記第1ロータが回転軸を中心に回転するように前記ティースを励磁するコントローラと、を備え、前記回転軸と直交する面内において、前記第1ステータコアの形状は、別の電動作業機の第2ブラシレスモータに使用される第2ステータの第2ステータコアの形状と等しく、前記第1ロータは、前記第2ステータと組み合わせ可能であり、前記第1ロータの極数は、前記第2ブラシレスモータに使用される第2ロータの極数と異なる、電動作業機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電動作業機の生産コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る電動作業機を示す前方からの斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るモータを示す後方からの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るモータを示す前方からの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るステータ及びロータを示す後方からの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るステータ及びロータを示す前方からの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るステータを模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るコイルの結線状態を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るロータを左方から見た図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係るロータを前方から見た図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係るロータコアを左方から見た図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係るロータコア及び永久磁石を示す後方からの分解斜視図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係るロータコア及び永久磁石を示す前方からの分解斜視図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係るロータコアを前方から見た図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態に係るロータコアを後方から見た図である。
【
図15】
図15は、第1実施形態に係る第1コアを示す断面図である。
【
図16】
図16は、第1実施形態に係る第1コアの一部を拡大した断面図である。
【
図17】
図17は、第1実施形態に係る第2コアを示す断面図である。
【
図18】
図18は、第1実施形態に係る第2コアの一部を拡大した断面図である。
【
図19】
図19は、ロータコアの磁束の通路の大きさと磁気センサにより検出される磁束とロータの回転角度との関係を示す図である。
【
図20】
図20は、第1実施形態の他の実施例に係るロータを示す後方からの斜視図である。
【
図21】
図21は、第2実施形態に係る電動作業機を示す斜視図である。
【
図22】
図22は、第2実施形態に係るロータを示す後方からの斜視図である。
【
図23】
図23は、第2実施形態に係るロータを示す前方からの斜視図である。
【
図24】
図24は、第2実施形態に係るロータコアを示す前方からの斜視図である。
【
図25】
図25は、第2実施形態に係るロータコアを前方から見た図である。
【
図26】
図26は、第2実施形態に係るロータコアを後方から見た図である。
【
図27】
図27は、第2実施形態に係る第1コアを示す断面図である。
【
図28】
図28は、第2実施形態に係る第1コアの一部を拡大した断面図である。
【
図29】
図29は、第2実施形態に係る第2コアを示す断面図である。
【
図30】
図30は、第2実施形態に係る第2コアの一部を拡大した断面図である。
【
図31】
図31は、第3実施形態に係るステータとロータとの関係を模式的に示す図である。
【
図32】
図32は、第3実施形態に係る電動作業機セットを模式的に示す図である。
【
図33】
図33は、第3実施形態に係るロータの極数とコイルに供給される駆動電流とロータの出力部の回転数との関係を示す図である。
【
図34】
図34は、第3実施形態に係るステータのティースの数とそのステータと組み合わせ可能なロータの極数との関係を示す図である。
【
図35】
図35は、第3実施形態の他の実施例に係るステータとロータとの関係を模式的に示す図である。
【
図36】
図36は、第3実施形態の他の実施例に係る電動作業機セットの製造方法を示すフローチャートである。
【
図37】
図37は、第3実施形態の他の実施例に係るコイルの結線状態を模式的に示す図である。
【
図38】
図38は、第3実施形態の他の実施例に係るコイルの結線状態を模式的に示す図である。
【
図39】
図39は、第3実施形態の他の実施例に係るコイルの結線状態を模式的に示す図である。
【
図40】
図40は、その他の実施形態に係る第1コアの一部を拡大した断面図である。
【
図41】
図41は、その他の実施形態に係る第2コアの一部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
実施形態においては、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、電動作業機の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0011】
電動作業機は、モータを有する。実施形態においては、モータの回転軸AXと平行な方向を適宜、軸方向、と称する。モータの回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。モータの回転軸AXを周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称する。モータの回転軸AXを中心とする仮想円の接線と平行な方向を適宜、接線方向、と称する。
【0012】
径方向において、モータの回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側、と称し、モータの回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側、と称する。周方向の一方側の位置又は一方側の方向を適宜、周方向一方側、と称し、周方向の他方側の位置又は他方側の方向を適宜、周方向他方側、と称する。接線方向の一方側の位置又は一方側の方向を適宜、接線方向一方側、と称し、接線方向の他方側の位置又は他方側の方向を適宜、接線方向他方側、と称する。
【0013】
[第1実施形態]
<電動作業機>
図1は、本実施形態に係る電動作業機1を示す前方からの斜視図である。本実施形態において、電動作業機1は、電動工具の一種であるインパクトドライバである。
図1に示すように、電動作業機1は、ハウジング2と、リヤケース3と、ハンマケース4と、バッテリ装着部5と、モータ601と、ファン7と、アンビル8と、コントローラ9と、トリガスイッチ10と、正逆切換レバー11と、操作パネル12と、ライト13とを備える。
【0014】
ハウジング2は、モータ収容部2Aと、グリップ部2Bと、コントローラ収容部2Cとを有する。ハウジング2は、合成樹脂製である。
【0015】
モータ収容部2Aは、モータ601を収容する。モータ収容部2Aは、筒状である。
【0016】
グリップ部2Bは、電動作業機1を使用する作業者に握られる。グリップ部2Bは、モータ収容部2Aの下部から下方に突出する。
【0017】
コントローラ収容部2Cは、コントローラ9を収容する。コントローラ収容部2Cは、グリップ部2Bの下端部に接続される。前後方向及び左右方向のそれぞれにおいて、コントローラ収容部2Cの外形の寸法は、グリップ部2Bの外形の寸法よりも大きい。
【0018】
リヤケース3は、モータ収容部2Aの後部の開口を覆うように、モータ収容部2Aの後部に接続される。リヤケース3は、合成樹脂製である。
【0019】
ハンマケース4は、モータ収容部2Aの前部の開口を覆うように、モータ収容部2Aの前部に接続される。ハンマケース4は、金属製である。
【0020】
バッテリパック14は、バッテリ装着部5に装着される。バッテリ装着部5は、コントローラ収容部2Cの下部に設けられる。バッテリパック14は、バッテリ装着部5に着脱可能である。バッテリパック14は、二次電池を含む。本実施形態において、バッテリパック14は、充電式のリチウムイオン電池を含む。バッテリ装着部5に装着されることにより、バッテリパック14は、電動作業機1に電力を供給可能である。モータ601は、バッテリパック14から供給される電力に基づいて駆動する。コントローラ9は、バッテリパック14から供給される電力に基づいて作動する。
【0021】
モータ601は、電動作業機1の動力源である。モータ601は、アンビル8を回転させるための回転力を発生する。モータ601は、ブラシレスモータである。本実施形態において、モータ601の回転軸AXは、前後方向に延伸する。軸方向と前後方向とは平行である。
【0022】
ファン7は、モータ601を冷却するための気流を生成する。ファン7は、モータ601が発生する回転力により回転する。
【0023】
モータ収容部2Aは、吸気口15を有する。リヤケース3は、排気口16を有する。排気口16は、吸気口15よりも後方に設けられる。吸気口15は、ハウジング2の内部空間と外部空間とを接続する。排気口16は、ハウジング2の内部空間と外部空間とを接続する。吸気口15は、モータ収容部2Aの左部及び右部のそれぞれに設けられる。排気口16は、リヤケース3の左部及び右部のそれぞれに設けられる。ファン7が回転することにより、ハウジング2の外部空間の空気は、吸気口15を介してハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間に流入した空気は、モータ601を冷却する。ハウジング2の内部空間の空気は、排気口16を介してハウジング2の外部空間に流出する。
【0024】
ハンマケース4に、減速機構、スピンドル、及び打撃機構が収容される。減速機構は、モータ601よりも前方に配置される。スピンドルの少なくとも一部は、減速機構よりも前方に配置される。減速機構は、モータ601が発生した回転力をスピンドルに伝達する。スピンドルは、減速機構を介して伝達されたモータ601の回転力により回転軸AXを中心に回転する。減速機構により、スピンドルの回転速度は、モータ601の回転速度よりも低減される。打撃機構は、スピンドルの回転に基づいて、アンビル8を回転方向に打撃する。
【0025】
アンビル8は、モータ601の回転力に基づいて回転軸AXを中心に回転する。アンビル8は、先端工具が挿入される挿入孔8Aを有する。アンビル8の周囲の少なくとも一部に、先端工具を保持するチャック機構17が設けられる。先端工具は、挿入孔8Aに挿入された状態で、チャック機構17により保持される。
【0026】
コントローラ9は、モータ601を制御する。コントローラ9は、バッテリパック14からモータ601に供給される駆動電流を制御する。コントローラ9は、コントローラ収容部2Cに収容される。コントローラ9は、複数の電子部品が実装された基板を含む。基板に実装される電子部品として、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ、ROM(Read Only Memory)又はストレージのような不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリ、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、及び抵抗が例示される。
【0027】
トリガスイッチ10は、モータ601を駆動するために作業者に操作される。トリガスイッチ10は、グリップ部2Bの上部に設けられる。トリガスイッチ10は、グリップ部2Bの前部の上部から前方に突出する。トリガスイッチ10は、後方に移動するように作業者に操作される。トリガスイッチ10が後方に移動するように操作されることにより、モータ601が駆動する。トリガスイッチ10の操作を止めることにより、モータ601が停止する。
【0028】
正逆切換レバー11は、モータ601の回転方向を正転方向と逆転方向とに切り換えるために作業者に操作される。正逆切換レバー11は、モータ収容部2Aの下端部とグリップ部2Bの上端部との境界に設けられる。正逆切換レバー11は、左方向又は右方向に移動するように作業者に操作される。モータ601の回転方向が切り換えられることにより、アンビル8の回転方向が切り換えられる。
【0029】
操作パネル12は、コントローラ収容部2Cに配置される。操作パネル12は、板状である。操作パネル12に複数の操作スイッチが配置される。操作パネル12は、作業者により操作されることにより、操作信号を出力する。コントローラ9は、操作パネル12から出力された操作信号に基づいて、モータ601の制御モードを切り換える。モータ601の制御モードとは、モータ601の制御方法又は制御パターンをいう。
【0030】
ライト13は、電動作業機1の前方を照明する照明光を射出する。ライト13は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を含む。ライト13は、グリップ部2Bの前部の上部に設けられる。
【0031】
<モータ>
図2は、本実施形態に係るモータ601を示す後方からの分解斜視図である。
図3は、本実施形態に係るモータ601を示す前方からの分解斜視図である。
図4は、本実施形態に係るステータ20及びロータ301を示す後方からの分解斜視図である。
図5は、本実施形態に係るステータ20及びロータ301を示す前方からの分解斜視図である。
【0032】
本実施形態において、モータ601は、インナロータ型のブラシレスモータである。
図2、
図3、
図4、及び
図5に示すように、モータ601は、ステータ20と、ステータ20に対して回転するロータ301とを有する。ステータ20は、ロータ301の周囲に配置される。ロータ301は、回転軸AXを中心に回転する。
(ステータ)
【0033】
ステータ20は、ステータコア21と、前インシュレータ22と、後インシュレータ23と、コイル24と、電源線25と、ヒュージング端子26と、短絡部材27と、絶縁部材28とを有する。前インシュレータ22及び後インシュレータ23は、一体成型によりステータコア21に固定されてもよい。
【0034】
ステータコア21は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ステータコア21は、筒状である。ステータコア21は、コイル24を支持する複数のティース21Tを有する。ティース21Tは、ステータコア21の内面から径方向内側に突出する。本実施形態において、ティース21Tは、6つ設けられる。
【0035】
前インシュレータ22は、合成樹脂製の電気絶縁部材である。前インシュレータ22は、ステータコア21の前部に配置される。前インシュレータ22は、筒状である。前インシュレータ22は、コイル24を支持する複数の突出部22Tを有する。突出部22Tは、前インシュレータ22の内面から径方向内側に突出する。本実施形態において、突出部22Tは、6つ設けられる。
【0036】
後インシュレータ23は、合成樹脂製の電気絶縁部材である。後インシュレータ23は、ステータコア21の後部に配置される。後インシュレータ23は、筒状である。後インシュレータ23は、コイル24を支持する複数の突出部23Tを有する。突出部23Tは、後インシュレータ23の内面から径方向内側に突出する。本実施形態において、突出部23Tは、6つ設けられる。
【0037】
ティース21Tの前端部と突出部22Tの後端部とが接続される。ティース21Tの後端部と突出部23Tの前端部とが接続される。
【0038】
コイル24は、前インシュレータ22及び後インシュレータ23を介してステータコア21に装着される。コイル24は、複数設けられる。本実施形態において、コイル24は、6つ設けられる。コイル24は、突出部22T及び突出部23Tを介して複数のティース21Tのそれぞれに巻かれる。コイル24は、ティース21Tと突出部22Tと突出部23Tとの周囲に配置される。コイル24とステータコア21とは、前インシュレータ22及び後インシュレータ23により絶縁される。
【0039】
複数のコイル24は、1本のワイヤを巻くことに形成される。周方向に隣り合うコイル24は、ワイヤの一部である接続線29により繋がれる。接続線29は、一つのコイル24と他の一つのコイル24との間のワイヤである。接続線29は、前インシュレータ22に支持される。
【0040】
電源線25は、コントローラ9を介してバッテリパック14に接続される。バッテリパック14は、モータ601の電源部として機能する。バッテリパック14は、コントローラ9を介してモータ601に駆動電流を供給する。コントローラ9は、バッテリパック14からモータ601に供給される駆動電流を制御する。バッテリパック14からの駆動電流は、コントローラ9を介して電源線25に供給される。
【0041】
ヒュージング端子26は、接続線29を介してコイル24に接続される。ヒュージング端子26は、導電部材である。ヒュージング端子26は、回転軸AXの周囲に複数配置される。ヒュージング端子26は、コイル24の数と同じ数だけ設けられる。本実施形態において、ヒュージング端子26は、6つ設けられる。
【0042】
ヒュージング端子26は、前インシュレータ22に支持される。本実施形態において、前インシュレータ22は、ヒュージング端子26を支持する支持部22Sを有する。支持部22Sは、周方向に間隔をあけて6つ設けられる。支持部22Sは、前インシュレータ22の前面から前方に突出する一対の突出部22Pを有する。ヒュージング端子26は、一対の突出部22Pの間に配置されることにより、支持部22Sに支持される。
【0043】
接続線29は、支持部22Sに支持される。接続線29は、突出部22Pの径方向外側の外面に支持される。ヒュージング端子26は、一対の突出部22Pの間に配置された状態で接続線29に接続される。ヒュージング端子26の折り曲げ部分の内側に接続線29が配置される。ヒュージング端子26と接続線29とは溶接される。ヒュージング端子26と接続線29とが溶接されることにより、ヒュージング端子26は、接続線29に接続される。
【0044】
短絡部材27は、ヒュージング端子26と電源線25とを接続する。短絡部材27は、導電部材である。回転軸AXに直交する面内において、短絡部材27は、湾曲する。短絡部材27は、複数設けられる。本実施形態において、短絡部材27は、3つ設けられる。短絡部材27は、一つの電源線25と一対のヒュージング端子26とを接続(短絡)する。短絡部材27は、ヒュージング端子26の前部が配置される開口27Aを有する。ヒュージング端子26の前部が開口27Aに配置されることにより、ヒュージング端子26と短絡部材27とが接続される。
【0045】
絶縁部材28は、電源線25及び短絡部材27を支持する。絶縁部材28は、合成樹脂製である。絶縁部材28は、ボディ部28Aと、ねじボス部28Bと、支持部28Cとを有する。
【0046】
ボディ部28Aは、リング状である。本実施形態において、短絡部材27の少なくとも一部は、ボディ部28Aの内部に配置される。短絡部材27は、インサート成形によりボディ部28Aに固定される。ヒュージング端子26は、短絡部材27を介してボディ部28Aに支持される。ボディ部28Aにより、3つの短絡部材27は、相互に絶縁される。
【0047】
ねじボス部28Bは、ボディ部28Aの周縁部から径方向外側に突出する。ねじボス部28Bは、ボディ部28Aの周縁部に4つ設けられる。
【0048】
支持部28Cは、ボディ部28Aの下部から下方に突出する。支持部28Cは、電源線25を支持する。
【0049】
電源線25、ヒュージング端子26、短絡部材27、及び絶縁部材28は、ステータコア21よりも前方に配置される。ヒュージング端子26の少なくとも一部は、短絡部材27及び絶縁部材28よりも後方に配置される。
【0050】
図6は、本実施形態に係るステータ20を模式的に示す図である。
図7は、本実施形態に係るコイル24の結線状態を模式的に示す図である。
【0051】
本実施形態において、6つのコイル24は、1本のワイヤを巻くことに形成される。
図6及び
図7に示すように、ワイヤは、巻き始め部分29Sからティース21Tに巻き始められる。周方向に隣り合うティース21Tのそれぞれにワイヤが順次巻かれることによって、6つのコイル24が形成される。ワイヤは、巻き終わり部分29Eにおいて巻き終わる。
【0052】
図7に示すように、バッテリパック14は、コントローラ9を介して電源線25に駆動電流を供給する。電源線25に供給された駆動電流は、短絡部材27を介してヒュージング端子26に供給される。ヒュージング端子26に供給された駆動電流は、接続線29を介してコイル24に供給される。
【0053】
本実施形態において、駆動電流は、U相駆動電流、V相駆動電流、及びW相駆動電流を含む。
【0054】
図4、
図5、
図6、及び
図7に示すように、電源線25は、U相駆動電流が供給されるU相電源線25Uと、V相駆動電流が供給されるV相電源線25Vと、W相駆動電流が供給されるW相電源線25Wとを含む。
【0055】
短絡部材27は、U相電源線25Uに接続されるU相短絡部材27Uと、V相電源線25Vに接続されるV相短絡部材27Vと、W相電源線25Wに接続されるW相短絡部材27Wとを含む。
【0056】
ヒュージング端子26は、U相短絡部材27Uに接続される一対のU相ヒュージング端子26Uと、V相短絡部材27Vに接続される一対のV相ヒュージング端子26Vと、W相短絡部材27Wに接続される一対のW相ヒュージング端子26Wとを含む。
【0057】
6つのコイル24のそれぞれは、U(U-V)相、V(V-W)相、及びW(W-U)相のいずれか一つの相に割り当てられる。
【0058】
一対のコイル24が、U相、V相、W相のそれぞれに割り当てられる。6つのコイル24は、U相に割り当てられた一対のU相コイル24Uと、V相に割り当てられた一対のV相コイル24Vと、W相に割り当てられた一対のW相コイル24Wとを含む。
【0059】
一対のU相コイル24Uは、径方向に対向して配置される。一対のV相コイル24Vは、径方向に対向して配置される。一対のW相コイル24Wは、径方向に対向して配置される。
図6に示すように、周方向において、U相コイル24U1の一方の隣にV相コイル24V1が配置され、V相コイル24V1の一方の隣にW相コイル24W1が配置され、W相コイル24W1の一方の隣にU相コイル24U2が配置され、U相コイル24U2の一方の隣にV相コイル24V2が配置され、V相コイル24V2の一方の隣にW相コイル24W2が配置される。U相コイル24U1とU相コイル24U2とは、径方向に対向して配置される。V相コイル24V1とV相コイル24V2とは、径方向に対向して配置される。W相コイル24W1とW相コイル24W2とは、径方向に対向して配置される。
【0060】
図6に示すように、一方のU相ヒュージング端子26Uは、周方向に隣り合うU相コイル24U1とV相コイル24V1とを繋ぐ接続線29に接続される。他方のU相ヒュージング端子26Uは、周方向に隣り合うU相コイル24U2とV相コイル24V2とを繋ぐ接続線29に接続される。一方のV相ヒュージング端子26Vは、周方向に隣り合うV相コイル24V1とW相コイル24W1とを繋ぐ接続線29に接続される。他方のV相ヒュージング端子26Vは、周方向に隣り合うV相コイル24V2とW相コイル24W2とを繋ぐ接続線29に接続される。一方のW相ヒュージング端子26Wは、周方向に隣り合うW相コイル24W1とU相コイル24U2とを繋ぐ接続線29に接続される。他方のW相ヒュージング端子26Wは、周方向に隣り合うW相コイル24W2とU相コイル24U1とを繋ぐ接続線29に接続される。
【0061】
U相短絡部材27Uは、U相電源線25Uと一対のU相ヒュージング端子26Uのそれぞれとを接続(短絡)する。U相電源線25Uは、U相短絡部材27Uの一端部に配置される。一方のU相ヒュージング端子26Uは、U相短絡部材27Uの他端部に配置される。他方のU相ヒュージング端子26Uは、U相短絡部材27Uの中間部に配置される。
【0062】
V相短絡部材27Vは、V相電源線25Vと一対のV相ヒュージング端子26Vのそれぞれとを接続(短絡)する。V相電源線25Vは、V相短絡部材27Vの一端部に配置される。一方のV相ヒュージング端子26Vは、V相短絡部材27Vの他端部に配置される。他方のV相ヒュージング端子26Vは、V相短絡部材27Vの中間部に配置される。
【0063】
W相短絡部材27Wは、W相電源線25Wと一対のW相ヒュージング端子26Wのそれぞれとを接続(短絡)する。W相電源線25Wは、W相短絡部材27Wの一端部に配置される。一方のW相ヒュージング端子26Wは、W相短絡部材27Wの他端部に配置される。他方のW相ヒュージング端子26Wは、W相短絡部材27Wの中間部に配置される。
【0064】
図7に示すように、1組のU相コイル24U1とV相コイル24V1とW相コイル24W1とは、デルタ結線される。1組のU相コイル24U2とV相コイル24V2とW相コイル24W2とは、デルタ結線される。一方のデルタ結線と他方のデルタ結線とは、並列に配置される。
【0065】
U相電源線25UにU相駆動電流が入力された場合、U相駆動電流は、U相短絡部材27Uを介して一対のU相ヒュージング端子26Uのそれぞれに供給される。一対のU相コイル24Uのうち、一方のU相コイル24U1がN極に励磁される場合、他方のU相コイル24U2はS極に励磁される。N極に励磁されたU相コイル24U1の隣のV相コイル24V1はS極に励磁され、S極に励磁されたU相コイル24U2の隣のV相コイル24V2はN極に励磁される。
【0066】
V相電源線25VにV相駆動電流が入力された場合、V相駆動電流は、V相短絡部材27Vを介して一対のV相ヒュージング端子26Vのそれぞれに供給される。一対のV相コイル24Vのうち、一方のV相コイル24V1がN極に励磁される場合、他方のV相コイル24V2はS極に励磁される。N極に励磁されたV相コイル24V1の隣のW相コイル24W1はS極に励磁され、S極に励磁されたV相コイル24V2の隣のW相コイル24W2はN極に励磁される。
【0067】
W相電源線25WにW相駆動電流が入力された場合、W相駆動電流は、W相短絡部材27Wを介して一対のW相ヒュージング端子26Wのそれぞれに供給される。一対のW相コイル24Wのうち、一方のW相コイル24W1がN極に励磁される場合、他方のW相コイル24W2はS極に励磁される。N極に励磁されたW相コイル24W1の隣のU相コイル24U1はS極に励磁され、S極に励磁されたW相コイル24W2の隣のU相コイル24U2はN極に励磁される。
【0068】
(センサ基板)
電動作業機1は、ロータ301の回転を検出する磁気センサ43を有するセンサ基板40を備える。センサ基板40は、前インシュレータ22よりも前方に配置される。センサ基板40は、前インシュレータ22と対向するように配置される。センサ基板40は、プレート部41と、ねじボス部42と、磁気センサ43と、信号線44とを備える。
【0069】
プレート部41は、リング状である。ねじボス部42は、プレート部41の周縁部から径方向外側に突出する。ねじボス部42は、プレート部41の周縁部に4つ設けられる。
【0070】
磁気センサ43は、ロータ301の回転を検出する。磁気センサ43は、プレート部41に支持される。磁気センサ43は、ホール素子を含む。磁気センサ43は、3つ設けられる。
【0071】
磁気センサ43の検出信号は、信号線44を介してコントローラ9に出力される。コントローラ9は、磁気センサ43の検出信号に基づいて、複数のコイル24に駆動電流を供給する。
【0072】
(絶縁部材とセンサ基板と前インシュレータとの固定)
短絡部材27を支持する絶縁部材28とセンサ基板40と前インシュレータ22とは、4本のねじ18により固定される。周方向において信号線44の位置と電源線25の少なくとも一部の位置とが一致するように、絶縁部材28とセンサ基板40と前インシュレータ22とがねじ18により固定される。
【0073】
絶縁部材28のねじボス部28Bに、ねじ18の中間部が配置される開口28Dが設けられる。センサ基板40のねじボス部42に、ねじ18の中間部が配置される開口45が設けられる。前インシュレータ22の前面に、4つのねじ孔22Dが設けられる。ねじ18の中間部が開口28D及び開口45に配置された状態で、ねじ18の先端部がねじ孔22Dに結合される。これにより、絶縁部材28とセンサ基板40と前インシュレータ22とがねじ18により固定される。
【0074】
<ロータ>
図8は、本実施形態に係るロータ301を左方から見た図である。
図9は、本実施形態に係るロータ301を前方から見た図である。
【0075】
図2、
図3、
図4、
図5、
図8、及び
図9に示すように、ロータ301は、ロータコア31と、ロータシャフト32と、永久磁石33とを有する。ロータ301は、回転軸AXを中心に回転する。
【0076】
ロータコア31は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ロータコア31は、回転軸AXを囲むように配置される。
【0077】
ロータコア31は、前端部31Fと、後端部31Rとを有する。前端部31Fは、軸方向におけるロータコア31の第1端部である。後端部31Rは、軸方向において第1端部とは反対側のロータコア31の第2端部である。
【0078】
ロータシャフト32は、軸方向に延伸する。ロータシャフト32は、ロータコア31の内側に配置される。ロータコア31とロータシャフト32とは固定される。ロータシャフト32の前部は、ロータコア31の前端部31Fから前方に突出する。ロータシャフト32の後部は、ロータコア31の後端部31Rから後方に突出する。ロータシャフト32の前部は、不図示の前軸受に回転可能に支持される。ロータシャフト32の後部は、不図示の後軸受に回転可能に支持される。ロータシャフト32の前端部は、上述の減速機構に連結される。
【0079】
永久磁石33は、ロータコア31に支持される。本実施形態において、永久磁石33は、ロータコア31の内部に配置される。モータ601は、磁石埋込式(IPM:Interior Permanent Magnet)モータである。本実施形態において、永久磁石33は、回転軸AXの周囲に4つ配置される。ロータコア31と永久磁石33とは固定される。
【0080】
永久磁石33は、ネオジム・鉄・ボロン系磁石である。永久磁石33の残留磁束密度は、1.0T以上1.5T以下である。
【0081】
センサ基板40は、ロータコア31よりも前方に配置される。
図8に示すように、センサ基板40のプレート部41は、ロータシャフト32の前部の周囲に配置される。磁気センサ43は、プレート部41に支持される。磁気センサ43は、ロータコア31の前端部31Fと対向する位置に配置される。磁気センサ43は、ロータコア31の前端部31Fと対向する位置に配置された状態で、ロータ301の回転を検出する。磁気センサ43は、永久磁石33の磁束を検出することによって、回転方向におけるロータ301の位置を検出する。
【0082】
ファン7は、ロータコア31よりも後方に配置される。ファン7は、ロータシャフト32の後部に固定される。ファン7の少なくとも一部は、ロータコア31の後端部31Rと対向する位置に配置される。ロータシャフト32が回転すると、ファン7は、ロータシャフト32と一緒に回転する。
【0083】
本実施形態において、ロータコア31は、前端部31Fを含む第1コア311と、後端部31Rを含む第2コア312とを有する。第2コア312は、軸方向において第1コア311に隣接する。第2コア312は、第1コア311よりも後方に配置される。
【0084】
図10は、本実施形態に係るロータコア31を左方から見た図である。
図10に示すように、第1コア311は、積層された複数の第1鋼板35を含む。複数の第1鋼板35は、軸方向に積層される。積層された複数の第1鋼板35をカシメ工法により繋ぎ合わせることにより、第1コア311が形成される。
【0085】
第2コア312は、積層された複数の第2鋼板36を含む。複数の第2鋼板36は、軸方向に積層される。積層された複数の第2鋼板36をカシメ工法により繋ぎ合わせることにより、第2コア312が形成される。
【0086】
第1コア311と第2コア312とが結合されることにより、ロータコア31が形成される。積層された複数の第1鋼板35及び積層された複数の第2鋼板36を繋ぎ合わせるカシメ工法により、ロータコア31が形成されてもよい。
【0087】
複数の第1鋼板35の厚みT1は、等しい。複数の第2鋼板36の厚みT2は、等しい。第1鋼板35の厚みT1と、第2鋼板36の厚みT2とは、等しい。第1鋼板35の厚みT1とは、軸方向における第1鋼板35の寸法をいう。第2鋼板36の厚みT2とは、軸方向における第2鋼板36の寸法をいう。
【0088】
第1鋼板35の厚みT1及び第2鋼板36の厚みT2は、例えば0.30mm以上0.40mm以下である。本実施形態において、第1鋼板35の厚みT1及び第2鋼板36の厚みT2は、0.35mmである。
【0089】
軸方向において、第1コア311の寸法L1は、第2コア312の寸法L2よりも小さい。第1コア311の寸法L1は、例えば1.0mm以上2.0mm以下である。第2コア312の寸法L2は、例えば3.0mm以上である。
【0090】
複数の第1鋼板35の外形は、等しい。複数の第1鋼板35の直径は、等しい。複数の第2鋼板36の外形は、等しい。複数の第2鋼板36の直径は、等しい。第1鋼板35の外形と、第2鋼板36の外形とは、等しい。第1鋼板35の直径と、第2鋼板36の直径とは、等しい。第1鋼板35の外形とは、回転軸AXと直交する面内における第1鋼板35の外縁部の形状をいう。第2鋼板36の外形とは、回転軸AXと直交する面内における第2鋼板36の外縁部の形状をいう。第1鋼板35の直径とは、第1鋼板35の直径の最大値をいう。第2鋼板36の直径とは、第2鋼板36の直径の最大値をいう。
【0091】
図11は、本実施形態に係るロータコア31及び永久磁石33を示す後方からの分解斜視図である。
図12は、本実施形態に係るロータコア31及び永久磁石33を示す前方からの分解斜視図である。
【0092】
図10、
図11、及び
図12に示すように、第1コア311は、回転軸AXを囲むように形成される。第2コア312は、回転軸AXを囲むように形成される。
【0093】
第1コア311は、前面311Fと、後面311Rと、外面311Sと、内面311Tとを有する。前面311Fは、実質的に環状である。後面311Rは、実質的に環状である。外面311Sは、前面311Fの外縁部と後面311Rの外縁部とを繋ぐ。内面311Tは、前面311Fの内縁部と後面311Rの内縁部とを繋ぐ。第1コア311の中央部に開口37が形成される。開口37は、軸方向に延伸する。開口37は、第1コア311の前面311Fと後面311Rとを貫くように形成される。第1コア311の内面311Tは、開口37の内面である。ロータコア31の前端部31Fは、第1コア311の前面311Fを含む。
【0094】
第2コア312は、前面312Fと、後面312Rと、外面312Sと、内面312Tとを有する。前面312Fは、実質的に環状である。後面312Rは、実質的に環状である。外面312Sは、前面312Fの外縁部と後面312Rの外縁部とを繋ぐ。内面312Tは、前面312Fの内縁部と後面312Rの内縁部とを繋ぐ。第2コア312の中央部に開口38が形成される。開口38は、軸方向に延伸する。開口38は、第2コア312の前面312Fと後面312Rとを貫くように形成される。第2コア312の内面312Tは、開口38の内面である。ロータコア31の後端部31Rは、第2コア312の後面312Rを含む。
【0095】
回転軸AXは、第1コア311の中心と通る。回転軸AXは、第2コア312の中心を通る。径方向において、回転軸AXから第1コア311の外面311Sまでの距離R1は、第1コア311の半径に相当する。径方向において、回転軸AXから第2コア312の外面312Sまでの距離R2は、第2コア312の半径に相当する。径方向において、回転軸AXから第1コア311の外面311Sまでの距離R1と、回転軸AXから第2コア312の外面312Sまでの距離R2とは、等しい。
【0096】
距離R1及び距離R2は、例えば15mm以上20mm以下である。本実施形態において、距離R1及び距離R2は、18mmである。
【0097】
第1コア311の外形と、第2コア312の外形とは、等しい。第1コア311の外形とは、回転軸AXと直交する面内における第1コア311の外縁部の形状をいう。第2コア312の外形とは、回転軸AXと直交する面内における第2コア312の外縁部の形状をいう。
【0098】
第1コア311の外面311Sに凹部39Aが形成される。凹部39Aは、軸方向に延伸する。凹部39Aの前端部は、第1コア311の前面311Fに接続される。凹部39Aの後端部は、第1コア311の後面311Rに接続される。凹部39Aは、外面311Sに複数設けられる。本実施形態において、凹部39Aは、回転軸AXの周囲に4つ設けられる。複数の凹部39Aは、周方向に等間隔に配置される。
【0099】
第2コア312の外面312Sに凹部39Bが形成される。凹部39Bは、軸方向に延伸する。凹部39Bの前端部は、第2コア312の前面312Fに接続される。凹部39Bの後端部は、第2コア312の後面312Rに接続される。凹部39Bは、外面312Sに複数設けられる。本実施形態において、凹部39Bは、回転軸AXの周囲に4つ設けられる。複数の凹部39Bは、周方向に等間隔に配置される。
【0100】
凹部39A及び凹部39Bのそれぞれは、ロータコア31の回転に起因する騒音の発生を抑制するために設けられる。なお、凹部39A及び凹部39Bの一方又は両方が省略されてもよい。
【0101】
第1コア311の後面311Rと第2コア312の前面312Fとが接触するように、第1コア311と第2コア312とが接続される。複数の凹部39Aのそれぞれと複数の凹部39Bのそれぞれとが繋がるように、第1コア311と第2コア312とが接続される。
【0102】
第1コア311は、周方向に間隔をあけて設けられた複数の第1孔51を有する。第2コア312は、周方向に間隔をあけて設けられた複数の第2孔52を有する。第1孔51の数と、第2孔52の数とは、等しい。本実施形態において、第1孔51の数は、4つである。第2孔52の数は、4つである。
【0103】
複数の第1孔51は、回転軸AXの周囲に間隔をあけて設けられる。第1孔51は、第1コア311の前面311Fと後面311Rとを貫くように形成される。
【0104】
複数の第2孔52は、回転軸AXの周囲に間隔をあけて設けられる。第2孔52は、第2コア312の前面312Fと後面312Rとを貫くように形成される。
【0105】
永久磁石33は、第1孔51及び第2孔52のそれぞれに配置される。永久磁石33は、回転軸AXの周囲に複数配置される。本実施形態において、永久磁石33は、回転軸AXの周囲に4つ設けられる。永久磁石33は、板状である。永久磁石33は、直方体状である。永久磁石33は、軸方向に長い。
【0106】
永久磁石33は、内面33Aと、外面33Bと、前面33Cと、後面33Dと、第1側面33Eと、第2側面33Fとを有する。内面33Aは、径方向内側を向く。外面33Bは、径方向外側を向く。前面33Cは、前方を向く。後面33Dは、後方を向く。第1側面33Eは、周方向一方側を向く。第2側面33Fは、周方向他方側を向く。
【0107】
一つの第1孔51の少なくとも一部と一つの第2孔52とが重複するように、第1コア311と第2コア312とが接続される。第1孔51と第1孔51の少なくとも一部に重複する第2孔52とにより、一つの磁石孔50が構成される。本実施形態において、磁石孔50は、ロータコア31に4つ設けられる。複数の磁石孔50のそれぞれに、永久磁石33が一つずつ配置される。
【0108】
図13は、本実施形態に係るロータコア31を前方から見た図である。
図13に示すように、複数の第1孔51は、周方向に等間隔で設けられる。回転軸AXと直交する面内において、複数の第1孔51の形状は、等しい。回転軸AXと直交する面内において、複数の第1孔51の寸法は、等しい。
【0109】
第1コア311において、周方向に隣接する第1孔51の間に、第1コア311の第1部分61が配置される。周方向において、第1部分61の寸法は、W1である。
【0110】
第1部分61は、周方向に複数設けられる。複数の第1部分61は、周方向に等間隔で設けられる。複数の第1部分61の寸法W1は、等しい。
【0111】
径方向において、回転軸AXから第1部分61までの距離は、C1である。回転軸AXから複数の第1部分61のそれぞれまでの距離C1は、等しい。
【0112】
図14は、本実施形態に係るロータコア31を後方から見た図である。
図14に示すように、複数の第2孔52は、周方向に等間隔で設けられる。回転軸AXと直交する面内において、複数の第2孔52の形状は、等しい。回転軸AXと直交する面内において、複数の第2孔52の寸法は、等しい。
【0113】
第2コア312において、周方向に隣接する第2孔52の間に、第2コア312の第2部分62が配置される。周方向において、第2部分62の寸法は、W2である。
【0114】
第2部分62は、周方向に複数設けられる。複数の第2部分62は、周方向に等間隔で設けられる。複数の第2部分62の寸法W2は、等しい。
【0115】
径方向において、回転軸AXから第2部分62までの距離は、C2である。回転軸AXから複数の第2部分62のそれぞれまでの距離C2は、等しい。
【0116】
図13及び
図14に示すように、第1部分61の数と、第2部分62の数とは、等しい。本実施形態において、第1部分61は、周方向に4つ設けられる。第2部分62は、周方向に4つ設けられる。
【0117】
周方向において、第1部分61の寸法W1は、第2部分62の寸法W2よりも小さい。
【0118】
第1部分61の寸法W1は、0.2mm以上1.0mm以下である。第2部分62の寸法W2は、2.0mm以上10.0mm以下である。
【0119】
回転軸AXから第1部分61までの距離C1と、回転軸ACから第2部分62までの距離C2とは、等しい。
【0120】
図13に示すように、第1孔51に配置された永久磁石33の表面と第1孔51の内面の少なくとも一部との間に、第1空隙71が形成される。本実施形態において、第1空隙71は、第1側面33E及び第2側面33Fのそれぞれと対向する位置に形成される。第1空隙71に、第1樹脂73が配置される。
【0121】
図14に示すように、第2孔52に配置された永久磁石33の表面と第2孔52の内面の少なくとも一部との間に、第2空隙72が形成される。本実施形態において、第2空隙72は、第1側面33E及び第2側面33Fのそれぞれと対向する位置に形成される。第2空隙72に、第2樹脂74が配置される。
【0122】
永久磁石33は、S極が径方向外側を向くように配置される第1永久磁石331と、N極が径方向外側を向くように配置される第2永久磁石332とを含む。周方向において、第1永久磁石331と第2永久磁石332とは交互に配置される。永久磁石33は、回転軸AXの周囲に4つ配置される。第1永久磁石331は、2つ設けられる。第2永久磁石332は、2つ設けられる。
【0123】
図15は、本実施形態に係る第1コア311を示す断面図であり、
図10のA-A線断面矢視図に相当する。
図16は、本実施形態に係る第1コア311の一部を拡大した断面図である。
【0124】
図15及び
図16に示すように、第1孔51の内面は、第1支持面51Aと、第2支持面51Bと、第3支持面51Eと、第4支持面51Fと、第1延伸面51Gと、第1対向面51Hと、第1接続面51Iと、第2延伸面51Jと、第2対向面51Kと、第2接続面51Lとを有する。
【0125】
第1支持面51Aは、径方向外側を向く。第1支持面51Aは、回転軸AXを中心とする仮想円の接線と平行である。第1支持面51Aは、永久磁石33の内面33Aと対向する。
【0126】
第2支持面51Bは、径方向内側を向く。第2支持面51Bは、回転軸AXを中心とする仮想円の接線と平行である。第2支持面51Bは、永久磁石33の外面33Bと対向する。
【0127】
第3支持面51Eは、接線方向他方側を向く。第3支持面51Eは、第2支持面51Bの接線方向一方側の端部に接続される。第3支持面51Eは、永久磁石33の第1側面33Eの径方向外側の一部と対向する。
【0128】
第4支持面51Fは、接線方向一方側を向く。第4支持面51Fは、第2支持面51Bの接線方向他方側の端部に接続される。第4支持面51Fは、永久磁石33の第2側面33Fの径方向外側の一部と対向する。
【0129】
永久磁石33は、第1支持面51A、第2支持面51B、第3支持面51E、及び第4支持面51Fに支持される。
【0130】
第1延伸面51Gは、径方向外側を向く。第1延伸面51Gは、第1支持面51Aの接線方向一方側の端部から接線方向一方側に延伸するように配置される。
【0131】
第1対向面51Hは、径方向内側を向く。第1対向面51Hは、第1延伸面51Gの少なくとも一部と対向する。第1対向面51Hは、第3支持面51Eの径方向内側の端部に接続される。
【0132】
第1接続面51Iは、第1延伸面51Gの接線方向一方側の端部と第1対向面51Hの接線方向一方側の端部とを接続するように配置される。
【0133】
第2延伸面51Jは、径方向外側を向く。第2延伸面51Jは、第1支持面51Aの接線方向他方側の端部から接線方向他方側に延伸するように配置される。
【0134】
第2対向面51Kは、径方向内側を向く。第2対向面51Kは、第2延伸面51Jの少なくとも一部と対向する。第2対向面51Kは、第4支持面51Fの径方向内側の端部に接続される。
【0135】
第2接続面51Lは、第2延伸面51Jの接線方向他方側の端部と第2対向面51Kの接線方向他方側の端部とを接続するように配置される。
【0136】
一つの第1孔51において、一方の第1空隙71は、永久磁石33の第1側面33Eと、第1延伸面51Gと、第1対向面51Hと、第1接続面51Iとの間に形成される。他方の第1空隙71は、永久磁石33の第2側面33Fと、第2延伸面51Jと、第2対向面51Kと、第2接続面51Lとの間に形成される。
【0137】
第1空隙71に第1樹脂73が配置されることにより、磁石孔50の内側で永久磁石33が動いてしまうことが抑制される。なお、第1樹脂73は、永久磁石33の外面33Bと、第1孔51の第2支持面51Bとの間に配置されてもよい。第1樹脂73が外面33Bと第2支持面51Bとの間に配置されることにより、永久磁石33はロータコア31に強固に固定される。
【0138】
図17は、本実施形態に係る第2コア312を示す断面図であり、
図10のB-B線断面矢視図に相当する。
図18は、本実施形態に係る第2コア312の一部を拡大した断面図である。
【0139】
図17及び
図18に示すように、第2孔52の内面は、第5支持面52Aと、第6支持面52Bと、第7支持面52Eと、第8支持面52Fと、第3延伸面52Hと、第3対向面52Gと、第3接続面52Iと、第4延伸面52Kと、第4対向面52Jと、第4接続面52Lとを有する。
【0140】
第5支持面52Aは、径方向外側を向く。第5支持面52Aは、回転軸AXを中心とする仮想円の接線と平行である。第5支持面52Aは、永久磁石33の内面33Aと対向する。
【0141】
第6支持面52Bは、径方向内側を向く。第6支持面52Bは、回転軸AXを中心とする仮想円の接線と平行である。第6支持面52Bは、永久磁石33の外面33Bと対向する。
【0142】
第7支持面52Eは、接線方向他方側を向く。第7支持面52Eは、第5支持面52Aの接線方向一方側の端部に接続される。第7支持面52Eは、永久磁石33の第1側面33Eの径方向内側の一部と対向する。
【0143】
第8支持面52Fは、接線方向一方側を向く。第8支持面52Fは、第5支持面52Aの接線方向他方側の端部に接続される。第8支持面52Fは、永久磁石33の第2側面33Fの径方向内側の一部と対向する。
【0144】
永久磁石33は、第5支持面52A、第6支持面52B、第7支持面52E、及び第8支持面52Fに支持される。
【0145】
第3延伸面52Hは、径方向内側を向く。第3延伸面52Hは、第6支持面52Bの接線方向一方側の端部から接線方向一方側に延伸するように配置される。
【0146】
第3対向面52Gは、径方向外側を向く。第3対向面52Gは、第3延伸面52Hの少なくとも一部と対向する。第3対向面52Gは、第7支持面52Eの径方向外側の端部に接続される。
【0147】
第3接続面52Iは、第3延伸面52Hの接線方向一方側の端部と第3対向面52Gの接線方向一方側の端部とを接続するように配置される。
【0148】
第4延伸面52Kは、径方向内側を向く。第4延伸面52Kは、第6支持面52Bの接線方向他方側の端部から接線方向他方側に延伸するように配置される。
【0149】
第4対向面52Jは、径方向外側を向く。第4対向面52Jは、第4延伸面52Kの少なくとも一部と対向する。第4対向面52Jは、第8支持面52Fの径方向外側の端部に接続される。
【0150】
第4接続面52Lは、第4延伸面52Kの接線方向他方側の端部と第4対向面52Jの接線方向他方側の端部とを接続するように配置される。
【0151】
一つの第2孔52において、一方の第2空隙72は、永久磁石33の第1側面33Eと、第3延伸面52Hと、第3対向面52Gと、第3接続面52Iとの間に形成される。他方の第2空隙72は、永久磁石33の第2側面33Fと、第4延伸面52Kと、第4対向面52Jと、第4接続面52Lとの間に形成される。
【0152】
第2空隙72に第2樹脂74が配置されることにより、磁石孔50の内側で永久磁石33が動いてしまうことが抑制される。なお、第2樹脂74は、永久磁石33の外面33Bと、第2孔52の第6支持面52Bとの間に配置されてもよい。第2樹脂74が外面33Bと第6支持面52Bとの間に配置されることにより、永久磁石33はロータコア31に強固に固定される。
【0153】
接線方向において、第1孔51の寸法E1は、第2孔52の寸法E2よりも大きい。
【0154】
径方向において、第1孔51の寸法H1と、第2孔52の寸法H2とは、等しい。寸法H1は、径方向における第1支持面51Aと第2支持面51Bとの距離である。寸法H2は、径方向における第5支持面52Aと第6支持面52Bとの距離である。
【0155】
第1コア311と第2コア312とは、接線方向又は周方向における第1孔51の中心と第2孔52の中心とが一致するように接続される。また、第1コア311と第2コア312とは、径方向における第1孔51の中心と第2孔52の中心とが一致するように接続される。
【0156】
第1コア311と第2コア312とが接続された状態で、第1支持面51Aと第5支持面52Aとが繋がり、第2支持面51Bと第6支持面52Bとが繋がる。第1支持面51Aと第5支持面52Aとは、面一である。第2支持面51Bと第6支持面52Bとは、面一である。第3支持面51Eは、第7支持面52Eよりも径方向外側に配置される。第4支持面51Fは、第8支持面52Fよりも径方向外側に配置される。第1コア311と第2コア312とが接続された状態で、第1空隙71と第2空隙72の少なくとも一部とは重複する。第2空隙72の少なくとも一部は、第1空隙71よりも径方向外側に配置される。
【0157】
<動作>
次に、モータ601の動作について説明する。トリガスイッチ10が操作されると、バッテリパック14からコントローラ9を介してステータ20のコイル24に駆動電流が供給される。ステータ20のコイル24に駆動電流が流れることにより、ステータ20において回転磁界が発生する。ステータ20において回転磁界が発生すると、
図15及び
図17の矢印MFで示すように、ロータコア31に磁束が流れる。ステータ20において回転磁界が発生すると、ロータ301は、回転軸AXを中心に回転する。
【0158】
モータ601においては、マグネットトルクとリラクタンストルクとが発生する。マグネットトルクとは、ステータ20の回転磁界とロータ301の永久磁石33との吸引力及び反発力によって発生するトルクをいう。リラクタンストルクとは、ステータ20の回転磁界とロータ301のロータコア31との吸引力によって発生するトルクをいう。モータ601が発生するトルクは、マグネットトルクとリラクタンストルクとの合成トルクである。
【0159】
永久磁石33の量が多い場合、マグネットトルクは大きくなる。永久磁石33の量が少ない場合、マグネットトルクは小さくなる。ロータコア31の磁束の通路が大きい場合、リラクタンストルクは大きくなる。ロータコア31の磁束の通路が小さい場合、リラクタンストルクは小さくなる。
【0160】
図15及び
図17に示すように、第1部分61及び第2部分62のそれぞれは、ロータコア31の磁束の通路である。本実施形態において、第2部分62の寸法W2は、第1部分61の寸法W1よりも大きい。すなわち、第2コア312における磁束の通路は、第1コア311における磁束の通路よりも大きい。ステータ20に対する第2コア312のリラクタンストルクは、ステータ20に対する第1コア311のリラクタンストルクよりも大きい。
【0161】
第2コア312の磁束の通路である第2部分62の寸法W2が大きいので、永久磁石33の量を少なくしても、モータ601は、所定の合成トルクを発生することができる。永久磁石33の量が少ない場合、モータ601の生産コストが抑制される。
【0162】
磁気センサ43は、ロータ301の回転に伴う第1永久磁石331の磁極と第2永久磁石332の磁極との切り換わりを検出することによって、ロータ301の回転を検出する。すなわち、磁気センサ43は、ロータ301の回転に基づいて変化する磁界の向きを検出する。上述のように、第1永久磁石331は、S極が径方向外側を向くように配置される。第2永久磁石332は、N極が径方向外側を向くように配置される。ロータ301が回転すると、磁気センサ43との距離が最も短くなる永久磁石33の磁極が第1永久磁石331のS極と第2永久磁石332のN極とに切り換わる。第1永久磁石331のS極から第2永久磁石332のN極に切り換わるときの磁界の向きと、第2永久磁石332のN極から第1永久磁石331のS極に切り換わるときの磁界の向きとは、異なる。そのため、磁気センサ43は、ロータ301の回転に基づいて変化する磁界の向きを検出して、ロータ301の回転に伴う永久磁石33の磁極(S極又はN極)の切り換わりを検出することができる。磁気センサ43は、ロータ301の回転に伴う永久磁石33の磁極の切り換わりを検出することによって、ロータ301の回転を検出する。
【0163】
ロータコア31の磁束の通路が大きい場合、磁気センサ43は、ロータコア31から漏れた磁束に起因して、ロータ301の回転に伴う永久磁石33の磁極の切り換わりを正しく検出することが困難となる可能性がある。その結果、ロータ301の回転の検出精度が低下する可能性がある。
【0164】
本実施形態において、第1部分61の寸法W1は、第2部分62の寸法W2よりも小さい。すなわち、第1コア311における磁束の通路は、第2コア312における磁束の通路よりも小さい。ステータ20に対する第1コア311のリラクタンストルクは、ステータ20に対する第2コア312のリラクタンストルクよりも小さい。
【0165】
第1コア311の磁束の通路である第1部分61の寸法W1が小さいので、ロータコア31から漏れる磁束が抑制される。これにより、ロータコア31から漏れた磁束の影響を磁気センサ43が受けることが抑制される。したがって、磁気センサ43は、ロータ301の回転に伴う永久磁石33の磁極の切り換わりを正しく検出するができる。そのため、ロータ301の回転の検出精度の低下が抑制される。
【0166】
図19は、ロータコア31の磁束の通路の大きさと磁気センサ43により検出される磁束とロータ301の回転角度との関係を示す図である。
図19は、ロータ301が1回転したときに一つの磁気センサ43により検出される磁束を示す。
【0167】
図19において、ラインLaは、ロータコア31の磁束の通路が小さい場合に磁気センサ43により検出される磁束を示す。ラインLbは、ロータコア31の磁束の通路が大きい場合に磁気センサ43により検出される磁束を示す。
【0168】
磁気センサ43は、ロータ301の回転に基づいて変化する磁界の向きを検出する。ロータコア31の磁束の通路が大きい場合、ラインLbで示すように、磁気センサ43に検出される永久磁石33の磁極がN極からS極に切り換わるときに、ロータコア31から漏れた磁束に起因して、矢印Vnで示すように、永久磁石33による磁界の向きとは反対方向の向きの磁界が発生する可能性がある。同様に、磁気センサ43に検出される永久磁石33の磁極がS極からN極に切り換わるときに、ロータコア31から漏れた磁束に起因して、矢印Vsで示すように、永久磁石33による磁界の向きとは反対方向の向きの磁界が発生する可能性がある。すなわち、ロータコア31の磁束の通路が大きい場合、ラインLbで示すように、ロータ301の1回転において磁気センサ43の検出位置で生じる磁界の向きの変化の回数が永久磁石33の数よりも多くなる。その結果、磁気センサ43は、永久磁石33の磁極の切り換わりを正しく検出することが困難となる可能性がある。磁気センサ43の検出位置は、磁気センサ43と対向する位置を含む。
【0169】
本実施形態においては、第1コア311の第1部分61の寸法W1は、ロータ301の1回転において磁気センサ43の検出位置で生じる磁界の向きの変化の回数が永久磁石33の数と等しくなるように定められる。本実施形態において、永久磁石33の数は、4つである。ラインLaで示すように、ロータ301の1回転において生じる磁界の向きの変化の回数が4回になるように、すなわち、永久磁石33による磁界の向きとは反対方向の向きの磁界が発生しないように、第1部分61の寸法W1が定められる。これにより、ロータ301の回転の検出精度の低下が抑制される。
【0170】
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、ロータコア31は、前端部31Fを含む第1コア311と、軸方向において第1コア311に隣接する第2コア312とを有する。磁気センサ43は、第1コア311と対向する位置に配置される。第1コア311は、周方向に隣接する第1孔51の間に配置された第1部分61を有する。第2コア312は、周方向に隣接する第2孔52の間に配置された第2部分62を有する。第1部分61は、第1コア311の磁束の通路である。第2部分62は、第2コア312の磁束の通路である。周方向において、第1部分61の寸法W1は、第2部分62の寸法W2よりも小さい。磁気センサ43と対向する第1コア311の磁束の通路が小さいので、ロータコア31から磁気センサ43に磁束が漏れることが抑制される。そのため、磁気センサ43は、ロータ301の回転に伴う永久磁石33の磁極の切り換わりを正しく検出するができる。したがって、ロータ301の回転の検出精度の低下が抑制される。
【0171】
第2部分62の寸法W2は、第1部分61の寸法W1よりも大きい。第2コア312の磁束の通路は大きいので、第2コア312において大きいリラクタンストルクが発生する。したがって、リラクタンストルクの不足が抑制される。また、第2コア312において大きいリラクタンストルクが発生するので、永久磁石33の量を少なくしても、モータ601は、所定の合成トルクを発生することができる。永久磁石33の量が少ない場合、モータ601の生産コストが抑制される。
【0172】
第1部分61は、周方向に複数設けられる。複数の第1部分61の寸法W1は、等しい。複数の第1部分61の寸法W1が等しいので、磁気センサ43は、ロータ301の回転に伴う永久磁石33の磁極の切り換わりを正しく検出するができる。第2部分62は、周方向に複数設けられる。複数の第2部分62の寸法W2は、等しい。複数の第2部分62の寸法W2が等しいので、ロータ301の回転において発生するリラクタンストルクが均一化される。
【0173】
磁気センサ43は、ロータ301の回転に基づいて変化する磁界の向きを検出する。
図19を参照して説明したように、ロータ301の1回転において生じる磁界の向きの変化の回数が永久磁石33の数と等しくなるように、第1部分61の寸法W1が定められる。したがって、磁気センサ43は、ロータ301の回転に伴う永久磁石33の磁極の切り換わりを正しく検出するができる。
【0174】
第1部分61の寸法W1は、0.2mm以上1.0mm以下である。本発明者は、第1部分61の寸法W1を0.2mm以上1.0mm以下にすることにより、ロータ301の1回転において生じる磁界の向きの変化の回数が永久磁石33の数と等しくなることを見出した。本実施形態において、永久磁石33は、ネオジム・鉄・ボロン系磁石である。永久磁石33の残留磁束密度が1.0T以上1.5T以下である場合、寸法W1を0.2mm以上1.0mm以下にすることにより、ロータ301の1回転において生じる磁界の向きの変化の回数が永久磁石33の数と等しくなる可能性が高い。
【0175】
第2部分62の寸法W2は、2.0mm以上10.0mm以下である。本発明者は、第2部分62の寸法W2を2.0mm以上10.0mm以下にすることにより、十分なリラクタンストルクが発生することを見出した。本実施形態において、永久磁石33は、ネオジム・鉄・ボロン系磁石である。永久磁石33の残留磁束密度が1.0T以上1.5T以下である場合、寸法W2を2.0mm以上10.0mm以下にすることにより、十分なリラクタンストルクが発生する可能性が高い。なお、ネオジム・鉄・ボロン系磁石とは異なる材料で形成された永久磁石33でも、ネオジム・鉄・ボロン系磁石と同等以上の残留磁束密度の永久磁石33であれば、寸法W2を2.0mm以上10.0mm以下にすることにより、十分なリラクタンストルクが発生する可能性が高い。
【0176】
第1孔51の数と、第2孔52の数とは、等しい。第1孔51と第1孔51の少なくとも一部に重複する第2孔52とにより、一つの磁石孔50が構成される。複数の磁石孔50のそれぞれに、永久磁石33が一つずつ配置される。これにより、磁石孔50に永久磁石33を配置する処理が円滑に実施される。
【0177】
第1コア311と第2コア312とは、第1孔51の中心と第2孔52の中心とが一致するように接続される。これにより、ロータ301の重量バランスが良化され、ロータ301は円滑に回転することができる。また、磁石孔50に永久磁石33を配置する処理が円滑に実施される。
【0178】
径方向において、第1孔51の寸法H1と第2孔52の寸法H2とは、等しい。これにより、軸方向に長い直方体状の永久磁石33は、第1孔51及び第2孔52に安定して配置される。
【0179】
永久磁石33の表面と第1孔51の内面の少なくとも一部との間に第1空隙71が形成される。永久磁石33の表面と第2孔52の内面の少なくとも一部との間に第2空隙72が形成される。第1空隙71及び第2空隙72が形成されることにより、永久磁石33の磁束と、
図15及び
図17の矢印MFで示したロータコア31を通過する磁束とが、短絡することが抑制される。
【0180】
第1空隙71に第1樹脂73が配置される。第2空隙72に第2樹脂74が配置される。これにより、磁石孔50の内側で永久磁石33が動いてしまうことが抑制される。
【0181】
複数の第1孔51の形状及び寸法は、等しい。複数の第2孔52の形状及び寸法は、等しい。これにより、ロータ301の重量バランスが良化され、ロータ301は円滑に回転することができる。
【0182】
軸方向において、第1コア311の寸法L1は、第2コア312の寸法L2よりも小さい。第2コア312の寸法L2が第1コア311の寸法L1よりも小さいと、第2コア312において発生するリラクタンストルクが不足する可能性がある。第1コア311の寸法L1が短くても、永久磁石33による磁界の向きとは反対方向の向きの磁界の発生は抑制される。第1コア311の寸法L1を第2コア312の寸法L2よりも小さくすることにより、リラクタンストルクの不足を抑制しつつ、ロータ301の回転の検出精度の低下を抑制することができる。
【0183】
第1コア311の寸法L1は、1.0mm以上2.0mm以下である。本発明者は、寸法L1が1.0mm未満であると、永久磁石33による磁界の向きとは反対方向の向きの磁界の発生を抑制する効果を十分に得ることができないことを見出した。また、本発明者は、寸法L1を2.0mmよりも長くしても、永久磁石33による磁界の向きとは反対方向の向きの磁界の発生を抑制する効果の向上は鈍化することを見出した。第1コア311の寸法L1を1.0mm以上2.0mm以下にすることにより、リラクタンストルクの不足を抑制しつつ、ロータ301の回転の検出精度の低下を抑制することができる。
【0184】
径方向において、回転軸AXから複数の第1部分61のそれぞれまでの距離C1は、等しい。径方向において、回転軸AXから複数の第2部分62のそれぞれまでの距離C2は、等しい。これにより、ロータ301の重量バランスが良化され、ロータ301は円滑に回転することができる。また、回転軸AXから複数の第1部分61のそれぞれまでの距離C1が等しいので、磁気センサ43の検出信号がばらつくことが抑制される。
【0185】
径方向において、回転軸AXから第1部分61までの距離C1と、回転軸AXから第2部分62までの距離C2とは、等しい。これにより、ロータ301の重量バランスが良化され、ロータ301は円滑に回転することができる。
【0186】
径方向において、回転軸AXから第1コア311の外面311Sまでの距離R1と、回転軸AXから第2コア312の外面312Sまでの距離R2とは、等しい。これにより、ロータコア31は、ステータ20の内側に配置された状態で円滑に回転することができる。
【0187】
第1コア311の外形と、第2コア312の外形とは、等しい。これにより、ロータコア31は、ステータ20の内側に配置された状態で円滑に回転することができる。
【0188】
第1コア311は、積層された複数の第1鋼板35を含む。第2コア312は、積層された複数の第2鋼板36を含む。第1鋼板35の厚みT1及び外形と、第2鋼板36の厚みT2及び外形とは、等しい。これにより、ロータコア31の生産コストが抑制される。
【0189】
<他の実施例>
図20は、本実施形態の他の実施例に係るロータ301Bを示す後方からの斜視図である。
図20に示すように、ロータコア31は、第1コア311と、第2コア312と、第3コア313とを有する。第1コア311は、ロータコア31の前端部31Fを含む。第3コア313は、ロータコア31の後端部31Rを含む。軸方向において、第2コア312は、第1コア311と第3コア313との間に配置される。
【0190】
第3コア313の形状と、第1コア311の形状とは、等しい。第3コア313の寸法と、第1コア311の寸法とは、等しい。すなわち、第1コア311と、第3コア313とは、同一である。
【0191】
図20に示す例によれば、例えばロータコア31とロータシャフト32とを固定するとき、ロータコア31の軸方向の向きが反転しても、同一のロータ301を生産することができる。そのため、ロータ301の生産性の低下が抑制される。
【0192】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0193】
<電動作業機>
図21は、本実施形態に係る電動作業機101を示す斜視図である。本実施形態において、電動作業機101は、園芸工具(Outdoor Power Equipment)の一種であるチェーンソーである。
【0194】
電動作業機101は、ハウジング102と、ハンドガード103と、第1グリップ部104と、バッテリ装着部105と、モータ602と、トリガスイッチ106と、トリガロックレバー107と、ガイドバー108と、ソーチェーン109とを備える。
【0195】
ハウジング102は、合成樹脂により形成される。ハウジング102は、モータ収容部110と、バッテリ保持部111と、第2グリップ部112とを有する。
【0196】
モータ収容部110は、モータ602を収容する。バッテリ保持部111は、モータ収容部110に接続される。バッテリ保持部111は、バッテリパック14が装着されるバッテリ装着部105を有する。バッテリ保持部111は、コントローラ9を収容する。第2グリップ部112は、バッテリ保持部111に接続される。トリガスイッチ106及びトリガロックレバー107は、第2グリップ部112に配置される。トリガロックレバー107が操作されることにより、トリガスイッチ106の操作が許可される。
【0197】
ガイドバー108は、ハウジング102に支持される。ガイドバー108は、板状の部材である。ソーチェーン109は、連結された複数のカッタを含む。ソーチェーン109は、ガイドバー108の周縁部に配置される。トリガスイッチ106が操作されると、モータ602が駆動する。モータ602とソーチェーン109とは、スプロケットを含む動力伝達機構(不図示)を介して連結される。モータ602の駆動により、ソーチェーン109がガイドバー108の周縁部を移動する。
【0198】
スプロケットは、モータ602のロータシャフト32にダイレクトに固定される。すなわち、実施形態において、モータ602は、所謂、ダイレクトドライブ方式で、ソーチェーン109を駆動する。モータ602とスプロケットとの間に減速機構は配置されない。なお、減速機構が配置されてもよい。減速機構が配置されることにより、ソーチェーン109は、より高トルクで駆動することができる。
【0199】
第1グリップ部104は、合成樹脂により形成される。第1グリップ部104は、電動作業機101を使用する作業者に握られる。第1グリップ部104は、パイプ状の部材である。第1グリップ部104は、バッテリ保持部111に繋がる。第1グリップ部104の一端部及び他端部のそれぞれは、バッテリ保持部111の表面に接続される。
【0200】
<ロータ>
図22は、本実施形態に係るロータ302を示す後方からの斜視図である。
図23は、本実施形態に係るロータ302を示す前方からの斜視図である。
図24は、本実施形態に係るロータコア31を示す前方からの斜視図である。
図25は、本実施形態に係るロータコア31を前方から見た図である。
図26は、本実施形態に係るロータコア31を後方から見た図である。
図27は、本実施形態に係る第1コア311を示す断面図であり、
図24のC-C線断面矢視図に相当する。
図28は、本実施形態に係る第1コア311の一部を拡大した断面図である。
図29は、本実施形態に係る第2コア312を示す断面図であり、
図24のD-D線断面矢視図に相当する。
図30は、本実施形態に係る第1コア311の一部を拡大した断面図である。
【0201】
【0202】
ロータコア31は、前端部31Fと、後端部31Rとを有する。上述の実施形態と同様、磁気センサ43は、ロータコア31の前端部31Fと対向する位置に配置される。
【0203】
永久磁石33は、ロータコア31に支持される。本実施形態において、永久磁石33は、回転軸AXの周囲に8つ配置される。
【0204】
ロータコア31は、前端部31Fを含む第1コア311と、第1コア311よりも後方に配置される第2コア312とを有する。第1コア311は、実質的に円筒状である。第2コア312は、実質的に円筒状である。第1コア311の外形と、第2コア312の外形とは、等しい。
【0205】
第1コア311は、周方向に間隔をあけて設けられた複数の第1孔51を有する。第2コア312は、周方向に間隔をあけて設けられた複数の第2孔52を有する。第1孔51の数と、第2孔52の数とは、等しい。本実施形態において、第1孔51の数は、8つである。第2孔52の数は、8つである。
【0206】
複数の第1孔51は、周方向に等間隔で設けられる。回転軸AXと直交する面内において、複数の第1孔51の形状は、等しい。回転軸AXと直交する面内において、複数の第1孔51の寸法は、等しい。
【0207】
複数の第2孔52は、周方向に等間隔で設けられる。回転軸AXと直交する面内において、複数の第2孔52の形状は、等しい。回転軸AXと直交する面内において、複数の第2孔52の寸法は、等しい。
【0208】
永久磁石33は、第1孔51及び第2孔52のそれぞれに配置される。永久磁石33は、回転軸AXの周囲に複数配置される。本実施形態において、永久磁石33は、回転軸AXの周囲に8つ設けられる。永久磁石33は、板状である。永久磁石33は、直方体状である。永久磁石33は、軸方向に長い。
【0209】
一つの第1孔51の少なくとも一部と一つの第2孔52とが重複するように、第1コア311と第2コア312とが接続される。第1孔51と第1孔51の少なくとも一部に重複する第2孔52とにより、一つの磁石孔50が構成される。本実施形態において、磁石孔50は、ロータコア31に8つ設けられる。複数の磁石孔50のそれぞれに、永久磁石33が一つずつ配置される。
【0210】
第1コア311において、周方向に隣接する第1孔51の間に、第1コア311の第1部分61が配置される。
【0211】
第1部分61は、周方向に複数設けられる。複数の第1部分61は、周方向に等間隔で設けられる。周方向において、複数の第1部分61の寸法W1は等しい。
【0212】
径方向において、回転軸AXから複数の第1部分61のそれぞれまでの距離C1は、等しい。
【0213】
第2コア312において、周方向に隣接する第2孔52の間に、第2コア312の第2部分62が配置される。
【0214】
第2部分62は、周方向に複数設けられる。複数の第2部分62は、周方向に等間隔で設けられる。周方向において、複数の第2部分62の寸法W2は等しい。
【0215】
径方向において、回転軸AXから複数の第2部分62のそれぞれまでの距離C2は、等しい。
【0216】
第1部分61の数と、第2部分62の数とは、等しい。本実施形態において、第1部分61は、周方向に8つ設けられる。第2部分62は、周方向に8つ設けられる。
【0217】
周方向において、第1部分61の寸法W1は、第2部分62の寸法W2よりも小さい。
【0218】
第1部分61の寸法W1は、0.2mm以上1.0mm以下である。第2部分62の寸法W2は、2.0mm以上10.0mm以下である。
【0219】
径方向において、回転軸AXから第1部分61までの距離C1と、回転軸ACから第2部分62までの距離C2とは、等しい。
【0220】
第1孔51に配置された永久磁石33の表面と第1孔51の内面の少なくとも一部との間に、第1空隙71が形成される。第1空隙71に、第1樹脂73が配置される。
【0221】
第2孔52に配置された永久磁石33の表面と第2孔52の内面の少なくとも一部との間に、第2空隙72が形成される。第2空隙72に、第2樹脂74が配置される。
【0222】
永久磁石33は、S極が径方向外側を向くように配置される第1永久磁石331と、N極が径方向外側を向くように配置される第2永久磁石332とを含む。周方向において、第1永久磁石331と第2永久磁石332とは交互に配置される。第1永久磁石331は、4つ設けられる。第2永久磁石332は、4つ設けられる。
【0223】
本実施形態において、ロータコア31に貫通孔19が形成される。貫通孔19は、第1コア311の前面311Fと第2コア312の後面312Rとを貫くように形成される。径方向において、貫通孔19は、第1コア311の開口37と外面311Sとの間に形成され、第2コア312の開口38と外面312Sとの間に形成される。貫通孔19は、回転軸AXの周囲に4つ形成される。回転軸AXと直交する面内において、貫通孔19は、円弧状である。貫通孔19により、ロータコア31が軽量化される。
【0224】
図28に示すように、第1孔51の内面は、第1支持面51Aと、第2支持面51Bと、第3支持面51Eと、第4支持面51Fと、第1延伸面51Gと、第1対向面51Hと、第1接続面51Iと、第2延伸面51Jと、第2対向面51Kと、第2接続面51Lとを有する。
【0225】
第1支持面51Aは、径方向外側を向く。第1支持面51Aは、回転軸AXを中心とする仮想円の接線と平行である。第1支持面51Aは、永久磁石33の内面33Aと対向する。
【0226】
第2支持面51Bは、径方向内側を向く。第2支持面51Bは、回転軸AXを中心とする仮想円の接線と平行である。第2支持面51Bは、永久磁石33の外面33Bと対向する。
【0227】
第3支持面51Eは、接線方向他方側を向く。第3支持面51Eは、第2支持面51Bの接線方向一方側の端部に接続される。第3支持面51Eは、永久磁石33の第1側面33Eの径方向内側の一部と対向する。
【0228】
第4支持面51Fは、接線方向一方側を向く。第4支持面51Fは、第2支持面51Bの接線方向他方側の端部に接続される。第4支持面51Fは、永久磁石33の第2側面33Fの径方向内側側の一部と対向する。
【0229】
永久磁石33は、第1支持面51A、第2支持面51B、第3支持面51E、及び第4支持面51Fに支持される。
【0230】
第1延伸面51Gは、径方向内側を向く。第1延伸面51Gは、第2支持面51Bの接線方向一方側の端部から接線方向一方側に延伸するように配置される。
【0231】
第1対向面51Hは、径方向外側を向く。第1対向面51Hは、第1延伸面51Gの少なくとも一部と対向する。第1対向面51Hは、第3支持面51Eの径方向外側の端部に接続される。
【0232】
第1接続面51Iは、第1延伸面51Gの接線方向一方側の端部と第1対向面51Hの接線方向一方側の端部とを接続するように配置される。
【0233】
第2延伸面51Jは、径方向内側を向く。第2延伸面51Jは、第2支持面51Bの接線方向他方側の端部から接線方向他方側に延伸するように配置される。
【0234】
第2対向面51Kは、径方向外側を向く。第2対向面51Kは、第2延伸面51Jの少なくとも一部と対向する。第2対向面51Kは、第4支持面51Fの径方向外側の端部に接続される。
【0235】
第2接続面51Lは、第2延伸面51Jの接線方向他方側の端部と第2対向面51Kの接線方向他方側の端部とを接続するように配置される。
【0236】
一つの第1孔51において、一方の第1空隙71は、永久磁石33の第1側面33Eと、第1延伸面51Gと、第1対向面51Hと、第1接続面51Iとの間に形成される。他方の第1空隙71は、永久磁石33の第2側面33Fと、第2延伸面51Jと、第2対向面51Kと、第2接続面51Lとの間に形成される。
【0237】
第1空隙71に第1樹脂73が配置されることにより、磁石孔50の内側で永久磁石33が動いてしまうことが抑制される。なお、第1樹脂73は、永久磁石33の外面33Bと、第1孔51の第2支持面51Bとの間に配置されてもよい。第1樹脂73が外面33Bと第2支持面51Bとの間に配置されることにより、永久磁石33はロータコア31に強固に固定される。なお、第1樹脂73は、第1側面33Eと第3支持面51Eとの間に配置されてもよい。第1樹脂73は、第2側面33Fと第4支持面51Fとの間に配置されてもよい。
【0238】
図30に示すように、第2孔52の内面は、第5支持面52Aと、第6支持面52Bと、第7支持面52Eと、第8支持面52Fと、第3延伸面52Hと、第3対向面52Gと、第3接続面52Iと、第4延伸面52Kと、第4対向面52Jと、第4接続面52Lとを有する。
【0239】
第5支持面52Aは、径方向外側を向く。第5支持面52Aは、回転軸AXを中心とする仮想円の接線と平行である。第5支持面52Aは、永久磁石33の内面33Aと対向する。
【0240】
第6支持面52Bは、径方向内側を向く。第6支持面52Bは、回転軸AXを中心とする仮想円の接線と平行である。第6支持面52Bは、永久磁石33の外面33Bと対向する。
【0241】
第7支持面52Eは、接線方向他方側を向く。第7支持面52Eは、第5支持面52Aの接線方向一方側の端部に接続される。第7支持面52Eは、永久磁石33の第1側面33Eの径方向内側の一部と対向する。
【0242】
第8支持面52Fは、接線方向一方側を向く。第8支持面52Fは、第5支持面52Aの接線方向他方側の端部に接続される。第8支持面52Fは、永久磁石33の第2側面33Fの径方向内側の一部と対向する。
【0243】
永久磁石33は、第5支持面52A、第6支持面52B、第7支持面52E、及び第8支持面52Fに支持される。
【0244】
第3延伸面52Hは、径方向内側を向く。第3延伸面52Hは、第6支持面52Bの接線方向一方側の端部から接線方向一方側に延伸するように配置される。
【0245】
第3対向面52Gは、径方向外側を向く。第3対向面52Gは、第3延伸面52Hの少なくとも一部と対向する。第3対向面52Gは、第7支持面52Eの径方向外側の端部に接続される。
【0246】
第3接続面52Iは、第3延伸面52Hの接線方向一方側の端部と第3対向面52Gの接線方向一方側の端部とを接続するように配置される。
【0247】
第4延伸面52Kは、径方向内側を向く。第4延伸面52Kは、第6支持面52Bの接線方向他方側の端部から接線方向他方側に延伸するように配置される。
【0248】
第4対向面52Jは、径方向外側を向く。第4対向面52Jは、第4延伸面52Kの少なくとも一部と対向する。第4対向面52Jは、第8支持面52Fの径方向外側の端部に接続される。
【0249】
第4接続面52Lは、第4延伸面52Kの接線方向他方側の端部と第4対向面52Jの接線方向他方側の端部とを接続するように配置される。
【0250】
一つの第2孔52において、一方の第2空隙72は、永久磁石33の第1側面33Eと、第3延伸面52Hと、第3対向面52Gと、第3接続面52Iとの間に形成される。他方の第2空隙72は、永久磁石33の第2側面33Fと、第4延伸面52Kと、第4対向面52Jと、第4接続面52Lとの間に形成される。
【0251】
第2空隙72に第2樹脂74が配置されることにより、磁石孔50の内側で永久磁石33が動いてしまうことが抑制される。なお、第2樹脂74は、永久磁石33の外面33Bと、第2孔52の第6支持面52Bとの間に配置されてもよい。第2樹脂74が外面33Bと第6支持面52Bとの間に配置されることにより、永久磁石33はロータコア31に強固に固定される。なお、第2樹脂74は、第1側面33Eと第7支持面52Eとの間に配置されてもよい。第1樹脂73は、第2側面33Fと第8支持面52Fとの間に配置されてもよい。
【0252】
接線方向において、第1孔51の寸法E1は、第2孔52の寸法E2よりも大きい。
【0253】
径方向において、第1孔51の寸法H1と、第2孔52の寸法H2とは、等しい。
【0254】
第1コア311と第2コア312とは、接線方向又は周方向における第1孔51の中心と第2孔52の中心とが一致するように接続される。第1コア311と第2コア312とは、径方向における第1孔51の中心と第2孔52の中心とが一致するように接続される。
【0255】
第1コア311と第2コア312とが接続された状態で、第1支持面51Aと第5支持面52Aとが繋がり、第2支持面51Bと第6支持面52Bとが繋がる。第1支持面51Aと第5支持面52Aとは、面一である。第2支持面51Bと第6支持面52Bとは、面一である。第1コア311と第2コア312とが接続された状態で、第3支持面51Eと第7支持面52Eとが繋がり、第4支持面51Fと第8支持面52Fとが繋がる。第3支持面51Eと第7支持面52Eとは、面一である。第4支持面51Fと第8支持面52Fとは、面一である。第1コア311と第2コア312とが接続された状態で、第1空隙71と第2空隙72の少なくとも一部とは重複する。
【0256】
<効果>
以上説明したように、ロータコア31に支持される永久磁石33の数が8つでも、リラクタンストルクの不足を抑制しつつ、ロータ301の回転の検出精度の低下を抑制することができる。
【0257】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0258】
<ステータの共通化>
図31は、本実施形態に係るステータ200とロータ300の関係を模式的に示す図である。ステータ200は、上述の第1実施形態で説明したような、6つのティース21Tを有するステータコア21と、ステータコア21の6つのティース21Tのそれぞれに巻かれる6つのコイル24とを有するステータ20と同一である。
【0259】
図31に示すように、ステータ200は、複数のロータ300と組み合わせ可能である。ステータとロータとが組み合わせ可能とは、ステータのコイル(ティース)が励磁されることによりステータに対してロータが回転可能であることをいう。
図31に示す例において、ステータ200と組み合わせ可能なロータ300は、第1ロータ3001と、第2ロータ3002とを含む。
【0260】
第1ロータ3001は、上述の第1実施形態で説明したような、4つの磁石孔50と、4つの磁石孔50のそれぞれに配置される4つの永久磁石33とを有するロータ301と同一である。第2ロータ3002は、上述の第2実施形態で説明したような、8つの磁石孔50と、8つの磁石孔50のそれぞれに配置される8つの永久磁石33とを有するロータ302と同一である。
【0261】
第1ロータ3001の外径は、第2ロータ3002の外径と等しい。第1ロータ3001の外径は、第1ロータ3001のロータコア31の外径である。第2ロータ3002の外径は、第2ロータ3002のロータコア31の外径である。
【0262】
軸方向において、第1ロータ3001の寸法は、第2ロータ3002の寸法と等しい。第1ロータ3001の軸方向の寸法は、第1ロータ3001のロータコア31の軸方向の寸法である。第2ロータ3002の軸方向の寸法は、第2ロータ3002のロータコア31の軸方向の寸法である。
【0263】
第1ロータ3001の極数と、第2ロータ3002の極数とは、異なる。第1ロータ3001の極数は4である。第2ロータ3002の極数は8である。第1ロータ3001は、ステータ200と組み合わせ可能である。第2ロータ3002も、ステータ200と組み合わせ可能である。第1ロータ3001は、ステータ200の内側に配置された状態で、ステータ200の回転磁界により回転可能である。第2ロータ3002も、ステータ200の内側に配置された状態で、ステータ200の回転磁界により回転可能である。
【0264】
<電動工具セット>
図32は、本実施形態に係る電動作業機セット1000を模式的に示す図である。電動作業機セット1000は、電動作業機1と電動作業機101とを含む。電動作業機1は、上述の第1実施形態で説明したような、電動工具の一種であるインパクトドライバである。電動作業機101は、上述の第2実施形態で説明したような、園芸工具の一種であるチェーンソーである。
【0265】
電動作業機1は、第1モータ6001を有する。第1モータ6001は、上述の第1実施形態で説明したモータ601と同一である。第1モータ6001は、ステータ200と、ステータ200に組み合わせられる第1ロータ3001とを有する。
【0266】
電動作業機101は、第2モータ6002を有する。第2モータ6002は、上述の第2実施形態で説明したモータ602と同一である。第2モータ6002は、ステータ200と、ステータ200に組み合わせられる第2ロータ3002とを有する。
【0267】
第1ロータ3001の極数は、第1モータ6001の第1出力部701に要求される出力条件に基づいて設定される。第2ロータ3002の極数は、第2モータ6002の第2出力部702に要求される出力条件に基づいて設定される。第1モータ6001の第1出力部701は、第1ロータ3001のロータシャフト32を含む。第2モータ6002の第2出力部702は、第2ロータ3002のロータシャフト32を含む。
【0268】
第1出力部701の出力条件は、第1出力部701の回転数を含む。第2出力部702の出力条件は、第2出力部702の回転数を含む。
【0269】
第1モータ6001の第1出力部701に要求される回転数が第2モータ6002の第2出力部702に要求される回転数よりも高い場合、第1ロータ3001の極数は、第2ロータ3002の極数よりも小さい値に設定される。第1モータ6001の第1出力部701に要求される回転数が第2モータ6002の第2出力部702に要求される回転数よりも低い場合、第1ロータ3001の極数は、第2ロータ3002の極数よりも大きい値に設定される。本実施形態においては、第1モータ6001の第1出力部701に要求される回転数が第2モータ6002の第2出力部702に要求される回転数よりも高いので、第1ロータ3001の極数は、第2ロータ3002の極数よりも小さい値に設定される。すなわち、上述のように、第1ロータ3001の極数は4に設定され、第2ロータ3002の極数は8に設定される。
【0270】
図33は、本実施形態に係るロータ300の極数とコイル24に供給される駆動電流とロータ300の出力部(第1出力部701及び第2出力部702)の回転数との関係を示す図である。
【0271】
図33において、ラインLcは、極数が4である第1ロータ3001を有する第1モータ6001についての駆動電流と回転数との関係を示す。ラインLdは、極数が8である第2ロータ3002を有する第2モータ6002についての駆動電流と回転数との関係を示す。
図33に示すように、コイル24に所定の駆動電流を供給した場合、極数が4である第1モータ6001の第1出力部701の回転数は、極数が8である第2モータ6002の第2出力部702の回転数よりも高くなる。
【0272】
なお、第1出力部701の出力条件は、第1出力部701のトルクを含んでもよい。第2出力部702の出力条件は、第2出力部702のトルクを含んでもよい。
【0273】
第1モータ6001の第1出力部701に要求されるトルクが第2モータ6002の第2出力部702に要求されるトルクよりも高い場合、第1ロータ3001の極数は、第2ロータ3002の極数よりも大きい値に設定される。第1モータ6001の第1出力部701に要求されるトルクが第2モータ6002の第2出力部702に要求されるトルクよりも低い場合、第1ロータ3001の極数は、第2ロータ3002の極数よりも小さい値に設定される。本実施形態においては、第1モータ6001の第1出力部701に要求されるトルクが第2モータ6002の第2出力部702に要求されるトルクよりも低いので、第1ロータ3001の極数は、第2ロータ3002の極数よりも小さい値に設定される。すなわち、上述のように、第1ロータ3001の極数は4に設定され、第2ロータ3002の極数は8に設定される。
【0274】
なお、ステータ200のティース21Tの数(コイル24の数)は、6つでなくてもよい。
【0275】
図34は、本実施形態に係るステータ200のティース21Tの数とそのステータ200と組み合わせ可能なロータ300の極数との関係を示す図である。ティース21Tの数は、コイル24の数と等しい。
図34に示すように、ティース21Tの数をT、自然数をNとしたとき、ステータ200のステータコア21は、T=3×N、の条件を満足する。ステータ200と組み合わせ可能なロータ300の極数は、偶数である。
【0276】
ステータ200のステータコア21が、T=3×Nの条件を満足し、自然数Nが1である場合、すなわち、ステータ200のティース21Tの数Tが3(=3×N)である場合、そのステータ200と組み合わせ可能なロータ300の極数は、2(=2×N)、及び4(=4×N)である。ティース21Tの数Tが3である場合において、第1ロータ3001の極数が、2及び4のいずれか一つの極数に設定された場合、第2ロータ3002の極数は、2及び4のうち第1ロータ3001の極数とは異なる極数に設定される。例えば、第1出力部701に要求される回転数が第2出力部702に要求される回転数よりも高い場合、第1ロータ3001の極数は2に設定され、第2ロータ3002の極数は4に設定される。
【0277】
ステータ200のステータコア21が、T=3×Nの条件を満足し、自然数Nが2である場合、すなわち、ステータ200のティース21Tの数Tが6(=3×N)である場合、そのステータ200と組み合わせ可能なロータ300の極数は、4(=2×N)及び8(=4×N)である。ティース21Tの数Tが6である場合において、第1ロータ3001の極数が、4及び8のいずれか一つの極数に設定された場合、第2ロータ3002の極数は、4及び8のうち第1ロータ3001の極数とは異なる極数に設定される。例えば、第1出力部701に要求される回転数が第2出力部702に要求される回転数よりも高い場合、第1ロータ3001の極数は4に設定され、第2ロータ3002の極数は8に設定される。
【0278】
ステータ200のステータコア21が、T=3×3×Nの条件を満足し、自然数Nが1である場合、すなわち、ステータ200のティース21Tの数Tが9(=3×3×N)である場合、そのステータ200と組み合わせ可能なロータ300の極数は、6(=6×N)、8(=8×N)、10(=10×N)、及び12(=12×N)である。ティース21Tの数Tが9である場合において、第1ロータ3001の極数が、6、8、10、及び12のいずれか一つの極数に設定された場合、第2ロータ3002の極数は、6、8、10、及び12のうち第1ロータ3001の極数とは異なる極数に設定される。例えば、第1出力部701に要求される回転数が第2出力部702に要求される回転数よりも高い場合、第1ロータ3001の極数は6に設定され、第2ロータ3002の極数は8、10、及び12のいずれか一つに設定される。
【0279】
ステータ200のステータコア21が、T=3×4×Nの条件を満足し、自然数Nが1である場合、すなわち、ステータ200のティース21Tの数Tが12(=3×4×N)である場合、そのステータ200と組み合わせ可能なロータ300の極数は、8(8×N)、10(=10×N)、14(=14×N)、及び16(=16×N)である。ティース21Tの数Tが12である場合において、第1ロータ3001の極数が、8、10、14、及び16のいずれか一つの極数に設定された場合、第2ロータ3002の極数は、8、10、14、及び16のうち第1ロータ3001の極数とは異なる極数に設定される。例えば、第1出力部701に要求される回転数が第2出力部702に要求される回転数よりも高い場合、第1ロータ3001の極数は8に設定され、第2ロータ3002の極数は10、14、及び16のいずれか一つに設定される。
【0280】
ステータ200のステータコア21が、T=3×5×Nの条件を満足し、自然数Nが1である場合、すなわち、ステータ200のティース21Tの数Tが15(=3×5×N)である場合、そのステータ200と組み合わせ可能なロータ300の極数は、10(10×N)、14(=14×N)、16(=16×N)、及び20(=20×N)である。ティース21Tの数Tが15である場合において、第1ロータ3001の極数が、10、14、16、及び20のいずれか一つの極数に設定された場合、第2ロータ3002の極数は、10、14、16、及び20のうち第1ロータ3001の極数とは異なる極数に設定される。例えば、第1出力部701に要求される回転数が第2出力部702に要求される回転数よりも高い場合、第1ロータ3001の極数は10に設定され、第2ロータ3002の極数は14、16、及び20のいずれか一つに設定される。
【0281】
ステータ200のステータコア21が、T=3×3×Nの条件を満足し、自然数Nが2である場合、すなわち、ステータ200のティース21Tの数Tが18(=3×3×N)である場合、そのステータ200と組み合わせ可能なロータ300の極数は、12(=6×N)、16(=8×N)、20(=10×N)、及び24(=12×N)である。ティース21Tの数Tが18である場合において、第1ロータ3001の極数が、12、16、20、及び24のいずれか一つの極数に設定された場合、第2ロータ3002の極数は、12、16、20、及び24のうち第1ロータ3001の極数とは異なる極数に設定される。例えば、第1出力部701に要求される回転数が第2出力部702に要求される回転数よりも高い場合、第1ロータ3001の極数は12に設定され、第2ロータ3002の極数は16、20、及び24のいずれか一つに設定される。
【0282】
ステータ200のステータコア21が、T=3×Nの条件を満足し、自然数Nが7である場合、すなわち、ステータ200のティース21Tの数Tが21(=3×N)である場合、そのステータ200と組み合わせ可能なロータ300の極数は、14(=2×N)及び28(=4×N)である。ティース21Tの数Tが21である場合において、第1ロータ3001の極数が、14及び28のいずれか一つの極数に設定された場合、第2ロータ3002の極数は、14及び28のうち第1ロータ3001の極数とは異なる極数に設定される。例えば、第1出力部701に要求される回転数が第2出力部702に要求される回転数よりも高い場合、第1ロータ3001の極数は14に設定され、第2ロータ3002の極数は28に設定される。
【0283】
ステータ200のステータコア21が、T=3×4×Nの条件を満足し、自然数Nが2である場合、すなわち、ステータ200のティース21Tの数Tが24(=3×4×N)である場合、そのステータ200と組み合わせ可能なロータ300の極数は、16(8×N)、20(=10×N)、28(=14×N)、及び32(=16×N)である。ティース21Tの数Tが24である場合において、第1ロータ3001の極数が、16、20、28、及び32のいずれか一つの極数に設定された場合、第2ロータ3002の極数は、16、20、28、及び32のうち第1ロータ3001の極数とは異なる極数に設定される。例えば、第1出力部701に要求される回転数が第2出力部702に要求される回転数よりも高い場合、第1ロータ3001の極数は16に設定され、第2ロータ3002の極数は20、28、及び32のいずれか一つに設定される。
【0284】
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、一種類のステータ20に複数種類のロータ300を組み合わせることができるので、第1モータ6001及び第2モータ6002の生産コストが抑制される。例えば、第1モータ6001の生産設備と第2モータ6002の生産設備とを共用することができる。第1モータ6001及び第2モータ6002の生産コストが抑制されることにより、電動作業機1及び電動作業機101の生産コストが抑制される。また、電動作業機の種類毎に別々のモータを生産しなくても、ステータ20に組み合わせるロータ300を変更するだけで、第1モータ6001及び第2モータ6002のそれぞれは、要求される出力特性を満足することができる。
【0285】
第1ロータ3001の外径は、第2ロータ3002の外径と等しい。これにより、第1ロータ3001及び第2ロータ3002のそれぞれが、ステータ20の内側に配置された状態で円滑に回転することができる。
【0286】
第1ロータ3001の極数は、第1モータ6001の第1出力部701に要求される出力条件に基づいて設定される。一種類のステータ20に対して、極数が異なる複数種類のロータ300のうち、任意のロータ300を第1ロータ3001として組み合わせることで、第1出力部701は、要求された出力条件で出力することができる。
【0287】
<他の実施例>
図35は、本実施形態の他の実施例に係るステータ200とロータ300との関係を模式的に示す図である。上述の実施形態においては、一種類のステータ200に複数種類のロータ300が組み合わせられることとした。複数種類のステータ200と複数種類のロータ300とが組み合わせられてもよい。
【0288】
図35に示すように、ステータ200は、第1ステータ201と、第2ステータ202とを含む。電動作業機1の第1モータ6001は、第1ステータ201と、第1ステータ201に組み合わせられる第1ロータ3001とを有する。第1ステータ201は、第1ステータコア211及び第1ステータコア211の複数のティース21Tのそれぞれに巻かれる複数の第1コイル241を含む。電動作業機1のコントローラ9は、第1ロータ3001が回転軸AXを中心に回転するように、第1ステータ201の第1コイル241に駆動電流を供給して、第1ステータコア211のティース21Tを励磁する。
【0289】
第1ステータ201の構造と、第2ステータ202の一部の構造とは、同一である。第1ステータ201の構造と、第2ステータ202の他の一部の構造とは、異なる。
【0290】
回転軸AXと直交する面内において、第1ステータコア211の形状は、別の電動作業機101の第2モータ6002に使用される第2ステータ202の第2ステータコア212の形状と等しい。第1ロータ3001は、第2ステータ202と組み合わせ可能である。
【0291】
軸方向の寸法を示す第1ステータコア211の長さは、第2ステータコア212の長さとは異なる。
【0292】
第1ステータコア211の長さは、第1モータ6001の第1出力部701に要求される出力条件に基づいて設定される。第2ステータコア212の長さは、第2モータ6002の第2出力部702に要求される出力条件に基づいて設定される。
【0293】
第1出力部701の出力条件は、第1出力部701の回転数を含む。第2出力部702の出力条件は、第2出力部702の回転数を含む。
【0294】
第1モータ6001の第1出力部701に要求される回転数が第2モータ6002の第2出力部702に要求される回転数よりも高い場合、第1ステータコア211の長さは、第2ステータコア212の長さよりも短い値に設定される。第1モータ6001の第1出力部701に要求される回転数が第2モータ6002の第2出力部702に要求される回転数よりも低い場合、第1ステータコア211の長さは、第2ステータコア212の長さよりも長い値に設定される。本実施形態においては、第1モータ6001の第1出力部701に要求される回転数が第2モータ6002の第2出力部702に要求される回転数よりも高いので、第1ステータコア211の長さは、第2ステータコア212の長さよりも短い値に設定される。
【0295】
なお、第1出力部701の出力条件は、第1出力部701のトルクを含んでもよい。第2出力部702の出力条件は、第2出力部702のトルクを含んでもよい。
【0296】
第1モータ6001の第1出力部701に要求されるトルクが第2モータ6002の第2出力部702に要求されるトルクよりも高い場合、第1ステータコア211の長さは、第2ステータコア212の長さよりも長い値に設定される。第1モータ6001の第1出力部701に要求されるトルクが第2モータ6002の第2出力部702に要求されるトルクよりも低い場合、第1ステータコア211の長さは、第2ステータコア212の長さよりも短い値に設定される。本実施形態においては、第1モータ6001の第1出力部701に要求されるトルクが第2モータ6002の第2出力部702に要求されるトルクよりも低いので、第1ステータコア211の長さは、第2ステータコア212の長さよりも短い値に設定される。
【0297】
第2ステータ202は、第2ステータコア212の複数のティース21Tのそれぞれに巻かれる複数の第2コイル242を含む。第1ステータ201のティース21Tの数と、第2ステータ202のティース21Tの数とは、等しい。第1ステータ201の第1コイル241の数と、第2ステータ202の第2コイル242の数とは、等しい。第1コイル241の数は6つであり、第2コイル242の数は6つである。
【0298】
第1コイル241の結線方式は、第2コイル242の結線方式と同一である。第1コイル241の結線方式が、
図7を参照して説明したようなデルタ結線である場合、第2コイル242の結線方式も、デルタ結線である。
【0299】
第1コイル241の線径は、第2コイル242の線径と等しい。第1コイル241の線径とは、第1コイル241を形成するワイヤの太さ(直径)をいう。第2コイル242の線径とは、第2コイル242を形成するワイヤの太さ(直径)をいう。
【0300】
第1コイル241の巻き数は、第2コイル242の巻き数と等しい。第1コイル241の巻き数とは、第1コイル241を形成するワイヤを第1ステータコア211のティース21Tの周囲に巻いた回数をいう。第2コイル242の巻き数とは、第2コイル242を形成するワイヤを第2ステータコア212のティース21Tの周囲に巻いた回数をいう。
【0301】
図36は、本実施形態の他の実施例に係る電動作業機セット1000の製造方法を示すフローチャートである。
図36において、第1電動作業機とは、上述の電動作業機1をいう。第2電動作業機とは、上述の電動作業機101をいう。
【0302】
第1電動作業機の製造において、第1モータ6001が製造される。第1モータ6001を製造する場合、第1ステータコア211が製造される。第1ステータコア211は、複数の第1鋼板が積層されることにより製造される(ステップSA1)。
【0303】
次に、第1ステータコア211の複数のティース21Tのそれぞれに複数の第1コイル241が巻かれる。複数の第1コイル241は、第1結線方式でティース21Tに巻かれることにより製造される(ステップSA2)。
【0304】
第1ステータコア211のティース21Tに第1コイル241が巻かれることにより、第1ステータ201が製造される。第1ステータ201が製造された後、第1ステータ201と第1極数の第1ロータ3001とが組み合わせられる。第1ステータ201と第1ロータ3001とが組み合わせられることにより、第1モータ6001が製造される(ステップSA3)。
【0305】
第1モータ6001を使用して第1電動作業機が製造される。
【0306】
第2電動作業機の製造において、第2モータ6002が製造される。第2モータ6002を製造する場合、第2ステータコア212が製造される。第2ステータコア212は、複数の第2鋼板が積層されることにより製造される(ステップSB1)。
【0307】
第2ステータコア212を製造するための第2鋼板は、第1ステータコア211を製造するための第1鋼板と同一の形状及び同一の寸法である。これにより、回転軸AXと直交する面内において、第1ステータコア211の形状及び寸法と、第2ステータコア212の形状及び寸法とは、等しくなる。第1鋼板の積層数が調整されることにより、第1ステータコア211の長さが調整される。第2鋼板の積層数が調整されることにより、第2ステータコア212の長さが調整される。
【0308】
次に、第2ステータコア212の複数のティース21Tのそれぞれに複数の第2コイル242が巻かれる。複数の第2コイル242は、第2結線方式でティース21Tに巻かれることにより製造される(ステップSB2)。
【0309】
第2コイル242を製造するための第2結線方式は、第1コイル241を製造するための第1結線方式と同一である。
【0310】
第2ステータコア212のティース21Tに第2コイル242が巻かれることにより、第2ステータ202が製造される。第2ステータ202が製造された後、第2ステータ202と第2極数の第2ロータ3002とが組み合わせられる。第2ステータ202と第2ロータ3002とが組み合わせられることにより、第2モータ6002が製造される(ステップSB3)。
【0311】
第2ロータ3002の第2極数は、第1ロータ3001の第1極数とは異なる。
【0312】
第2モータ6002を使用して第2電動作業機が製造される。
【0313】
第2ロータ3002は、第1ステータ201と組み合わせ可能である。第2ロータ3002は、第2ステータ202に対して回転可能であり、第1ステータ201に対して回転可能である。第1ステータ201と第2ロータ3002とを組み合わせることによって、第3モータが製造されてもよい。同様に、第1ロータ3001は、第2ステータ202と組み合わせ可能である。第1ロータ3001は、第1ステータ201に対して回転可能であり、第2ステータ202に対して回転可能である。第2ステータ202と第1ロータ3001とを組み合わせることによって、第4モータが製造されてもよい(ステップSC)。
【0314】
第3モータが、第1電動作業機及び第2電動作業機の一方又は両方に使用されてもよい。第4モータが、第1電動作業機及び第2電動作業機の一方又は両方に使用されてもよい。第3モータは、第1電動作業機及び第2電動作業機とは別の第3電動作業機に使用されてもよい。第4モータは、第1電動作業機及び第2電動作業機とは別の第4電動作業機に使用されてもよい。
【0315】
以上説明したように、第1ステータ201の構造と第2ステータ202の一部の構造とが異なっても、第1ステータ201に組み合わせられる第1ロータ3001が、第2ステータ202と組み合わせ可能なので、第1モータ6001及び第2モータ6002の生産コストが抑制される。回転軸AXと直交する面内において、第1ステータコア211の形状と第2ステータ202の第2ステータコア212の形状とが等しいことにより、第1ステータ201に組み合わせられる第1ロータ3001は、第2ステータ202と組み合わせ可能である。
【0316】
なお、
図31及び
図32等を参照して説明したように、第1ステータコア211と第2ステータコア212とが同一であることにより、すなわち、一種類のステータコア21と第1ロータ3001及び第2ロータ3002のそれぞれとを組み合わせることにより、第1モータ6001及び第2モータ6002の生産コストはより効果的に抑制される。
【0317】
なお、本実施例において、軸方向の寸法を示す第1ロータ3001の長さは、第2ロータ3002の長さと等しくてもよい。
【0318】
なお、本実施例において、第1ロータ3001の外径は、第2ロータ3002の外径と等しくなくてもよい。
【0319】
なお、本実施例において、第1コイル241の線径と、第2コイル242の線径とが、異なってもよい。第1コイル241の巻き数と、第2コイル242の巻き数とが、異なってもよい。
【0320】
なお、本実施例において、第1コイル241の結線方式及び第2コイル242の結線方式のそれぞれが、
図7を参照して説明したような並列のデルタ結線であることとした。第1コイル241の結線方式と第2コイル242の結線方式とは同一であればよく、
図7を参照して説明した結線方式に限定されない。
【0321】
図37、
図38、及び
図39のそれぞれは、本実施形態の他の実施例に係るコイル24(241,242)の結線状態を模式的に示す図である。
図37に示すように、コイル24(241,242)の結線方式は、直列のデルタ結線でもよい。
図38に示すように、コイル24(241,242)の結線方式は、並列のY結線でもよい。
図39に示すように、コイル24(241,242)の結線方式は、直列のY結線でもよい。
【0322】
なお、本実施形態において、モータは、磁石埋込式(IPM:Interior Permanent Magnet)モータであることとした。モータは、ロータコアの外面に永久磁石が貼り付けられた表面磁石式(SPM:Surface Permanent Magnetic)モータでもよい。また、例えば第1ロータ3001が磁石埋込式であり、第2ロータ3002が表面磁石式でもよい。
【0323】
なお、本実施形態において、モータは、インナロータ型のブラシレスモータであることとした。モータは、アウタロータ型のブラシレスモータでもよい。
【0324】
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態においては、第1コア311の第1部分61の寸法W1を第2コア312の第2部分62の寸法W2よりも小さくすることによって、ステータ20に対する第1コア311のリラクタンストルクをステータ20に対する第2コア312のリラクタンストルクよりも小さくすることとした。第1コア311のリラクタンストルクの調整及び第2コア312のリラクタンストルクの調整は、寸法W1の調整及び寸法W2の調整に限定されない。
【0325】
図40は、その他の実施形態に係る第1コア311の一部を拡大した断面図である。
図41は、その他の実施形態に係る第2コア312の一部を拡大した断面図である。上述の実施形態と同様、第1コア311と第2コア312とは、軸方向に隣接する。
図40に示すように、第1コア311は、周方向に間隔をあけて設けられた複数の第1孔51を有する。
図41に示すように、第2コア312は、周方向に間隔をあけて設けられた複数の第2孔52を有する。永久磁石33は、第1孔51及び第2孔52のそれぞれに配置される。周方向に隣接する第1孔51の間に第1コア311の第1部分61が配置される。周方向に隣接する第2孔52の間に第2コア312の第2部分62が配置される。周方向において、第1部分61の寸法W1は、第2部分62の寸法W2と等しい。
図40に示すように、第1部分61に孔63が形成される。
図41に示すように、第2部分62に孔は形成されない。第1部分61に孔63が形成されることにより、ステータ20に対する第1コア311のリラクタンストルクは、ステータ20に対する第2コア312のリラクタンストルクよりも小さくなる。
【0326】
なお、上述の実施形態において、電動作業機1は、電動工具の一種であるインパクトドライバであることとした。電動工具は、インパクトドライバに限定されない。電動工具として、ドライバドリル、震動ドライバドリル、アングルドリル、スクリュードライバ、ハンマ、ハンマドリル、マルノコ、及びレシプロソーが例示される。
【0327】
上述の実施形態において、電動作業機101は、園芸工具(Outdoor Power Equipment)の一種であるチェーンソーであることとした。園芸工具は、チェーンソーに限定されない。園芸工具として、ヘッジトリマ、芝刈り機、草刈機、及びブロワが例示される。
【0328】
上述の実施形態において、電動作業機は、クリーナでもよい。
【0329】
上述の実施形態においては、電動作業機の電源としてバッテリ装着部に装着されるバッテリパック14が使用されることとした。電動作業機の電源として、商用電源(交流電源)が使用されてもよい。
【符号の説明】
【0330】
1…電動作業機(インパクトドライバ)、2…ハウジング、2A…モータ収容部、2B…グリップ部、2C…コントローラ収容部、3…リヤケース、4…ハンマケース、5…バッテリ装着部、7…ファン、8…アンビル、8A…挿入孔、9…コントローラ、10…トリガスイッチ、11…正逆切換レバー、12…操作パネル、13…ライト、14…バッテリパック、15…吸気口、16…排気口、17…チャック機構、18…ねじ、19…貫通孔、20…ステータ、21…ステータコア、21T…ティース、22…前インシュレータ、22D…ねじ孔、22P…突出部、22S…支持部、22T…突出部、23…後インシュレータ、23T…突出部、24…コイル、24U…U相コイル、24U1…U相コイル、24U2…U相コイル、24V…V相コイル、24V1…V相コイル、24V2…V相コイル、24W…W相コイル、24W1…W相コイル、24W2…W相コイル、25…電源線、25U…U相電源線、25V…V相電源線、25W…W相電源線、26…ヒュージング端子、26U…U相ヒュージング端子、26V…V相ヒュージング端子、26W…W相ヒュージング端子、27…短絡部材、27A…開口、27U…U相短絡部材、27V…V相短絡部材、27W…W相短絡部材、28…絶縁部材、28A…ボディ部、28B…ねじボス部、28C…支持部、28D…開口、29…接続線、29E…巻き終わり部分、29S…巻き始め部分、31…ロータコア、31F…前端部(第1端部)、31R…後端部(第2端部)、32…ロータシャフト、33…永久磁石、33A…内面、33B…外面、33C…前面、33D…後面、33E…第1側面、33F…第2側面、35…第1鋼板、36…第2鋼板、37…開口、38…開口、39A…凹部、39B…凹部、40…センサ基板、41…プレート部、42…ねじボス部、43…磁気センサ、44…信号線、45…開口、50…磁石孔、51…第1孔、51A…第1支持面、51B…第2支持面、51E…第3支持面、51F…第4支持面、51G…第1延伸面、51H…第1対向面、51I…第1接続面、51J…第2延伸面、51K…第2対向面、51L…第2接続面、52…第2孔、52A…第5支持面、52B…第6支持面、52E…第7支持面、52F…第8支持面、52G…第3対向面、52H…第3延伸面、52I…第3接続面、52J…第4対向面、52K…第4延伸面、52L…第4接続面、61…第1部分、62…第2部分、63…孔、71…第1空隙、72…第2空隙、73…第1樹脂、74…第2樹脂、101…電動作業機、102…ハウジング、103…ハンドガード、104…第1グリップ部、105…バッテリ装着部、106…トリガスイッチ、107…トリガロックレバー、108…ガイドバー、109…ソーチェーン、110…モータ収容部、111…バッテリ保持部、112…第2グリップ部、200…ステータ、201…第1ステータ、202…第2ステータ、211…第1ステータコア、212…第2ステータコア、241…第1コイル、242…第2コイル、300…ロータ、301…ロータ、301B…ロータ、302…ロータ、311…第1コア、311F…前面、311R…後面、311S…外面、311T…内面、312…第2コア、312F…前面、312R…後面、312S…外面、312T…内面、313…第3コア、331…第1永久磁石、332…第2永久磁石、601…モータ、602…モータ、701…第1出力部、702…第2出力部、1000…電動作業機セット、3001…第1ロータ、3002…第2ロータ、6001…第1モータ、6002…第2モータ、C1…距離、C2…距離、E1…寸法、E2…寸法、H1…寸法、H2…寸法、L1…寸法、L2…寸法、La…ライン、Lb…ライン、Lc…ライン、Ld…ライン、R1…距離、R2…距離、T1…厚み、T2…厚み、Vn…矢印、Vs…矢印、W1…寸法、W2…寸法。