(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】輸送品質管理装置、輸送品質管理方法、および輸送品質管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0833 20230101AFI20240918BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20240918BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G06Q10/0833
G07C5/00 Z
B65G61/00 520
(21)【出願番号】P 2020119142
(22)【出願日】2020-07-10
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】廣井 康生
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-228789(JP,A)
【文献】特開2004-272752(JP,A)
【文献】特開2003-206028(JP,A)
【文献】特開2004-352175(JP,A)
【文献】特開2016-199329(JP,A)
【文献】特開2002-304648(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0047540(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07C 5/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に積載される積荷の品質に関する品質データを取得する品質データ取得部と、連結確認フラグと、所定のイベントが発生した場合に前記イベントを判定するイベント判定部と、架装部制御部と、
スイッチ部と、を有する架装部管理装置と、
前記移動体の走行に関する走行データを取得する走行データ取得部と、前記走行データを前記架装部管理装置に送信する走行部制御部と、を有する走行部管理装置と、
前記走行部管理装置と、前記架装部管理装置と、の連結状態を検知し、前記走行部管理装置および前記架装部管理装置が連結されている場合に、前記走行部管理装置および前記架装部管理装置に前記連結状態を通知する連結部と、を備え、
前記架装部制御部は、前記連結部から前記連結状態が通知された場合に前記連結確認フラグを有効にし、
前記イベント判定部は、前記品質データが異常状態であった場合、前記走行データが所定の閾値を超えた場合、又は前記スイッチ部においてスイッチが押下されたことを検出した場合に前記イベントが発生したと判定し、
前記イベント判定部は、前記品質データが異常状態でない場合、前記走行データが所定の閾値を超えない場合、及び前記スイッチ部においてスイッチが押下されたことを検出しない場合に前記イベントが発生していないと判定し、
前記架装部制御部は、前記イベント判定部で前記イベントが発生したと判定された場合であって、前記連結確認フラグが有効な場合に、前記品質データ、前記走行データ、および前記イベントを識別するイベント識別情報を含むトリガーデータを作成する、輸送品質管理装置。
【請求項2】
前記走行部管理装置は、通信部をさらに備え、
前記架装部制御部は、前記トリガーデータを前記走行部制御部に送信し、
前記走行部制御部は、前記トリガーデータを前記架装部制御部から受信し、
前記通信部は、前記トリガーデータを前記走行部制御部から受け取り、前記トリガーデータを外部のデータサーバに送信する、請求項1に記載の輸送品質管理装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の輸送品質管理装置と、
前記データサーバと、
を備える、輸送品質管理システム。
【請求項4】
コンピュータによって実行される輸送品質管理方法であって、
移動体に積載される架装部に収容された積荷の品質に関する品質データを取得し、
前記移動体の走行部の走行に関する走行データを取得し、
前記架装部と前記走行部とが連結されているか否かを示す連結確認フラグから、連結状態を取得し、
前記品質データおよび前記走行データに基づいて、所定のイベントが発生したか否かを判定し、
前記品質データが異常状態であった場合、前記走行データが所定の閾値を超えた場合、又は前記移動体に設けられたスイッチ部においてスイッチが押下されたことを検出した場合に所定のイベントが発生したと判定し、
前記品質データが異常状態でない場合、前記走行データが所定の閾値を超えない場合、及び前記スイッチ部においてスイッチが押下されたことを検出しない場合に前記イベントが発生していないと判定し、
前記イベントが発生した場合であって、前記連結状態が前記架装部と前記走行部との連結を示す場合に、前記品質データ、前記走行データ、および前記イベントを識別するイベント識別情報を含むトリガーデータを作成する、輸送品質管理方法。
【請求項5】
移動体に積載される架装部に収容された積荷の品質に関する品質データを取得し、
前記移動体の走行部の走行に関する走行データを取得し、
前記架装部と前記走行部とが連結されているか否かを示す連結確認フラグから、連結状態を取得し、
前記品質データが異常状態であった場合、前記走行データが所定の閾値を超えた場合、又は前記移動体に設けられたスイッチ部においてスイッチが押下されたことを検出した場合に所定のイベントが発生したと判定し、
前記品質データが異常状態でない場合、前記走行データが所定の閾値を超えない場合、及び前記スイッチ部においてスイッチが押下されたことを検出しない場合に前記イベントが発生していないと判定し、
前記イベントが発生した場合であって、前記連結状態が前記架装部と前記走行部との連結を示す場合に、前記品質データ、前記走行データ、および前記イベントを識別するイベント識別情報を含むトリガーデータを作成する処理を、コンピュータに実行させるための輸送品質管理プログラム。
【請求項6】
請求項
5に記載のプログラムを記憶した、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送品質管理装置、輸送品質管理方法、および輸送品質管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、貨物を運搬するための移動体において、運搬時の貨物の品質や移動体の走行データを収集し、貨物の品質状況を管理することで輸送時の状況管理の信頼性を向上させるシステムが提案されている。例えば、特許文献1には、医薬品又は製薬用物品あるいは植物の輸送時における状況管理の信頼性を向上させる輸送状況管理システムが開示されている。この輸送状況管理システムにおいては、走行データ、温度データおよび扉の開閉データ等のデータを取得し、サーバに格納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された輸送状況管理システムでは、輸送する貨物が医薬品又は製薬用物品あるいは植物等の特定の貨物に対するものであり、すなわち、輸送状況管理システムも状況管理の対象が、その貨物に特化したものである。しかし、実際に移動体によって運搬されるものは、貨物だけではなく、人間や動物の場合もある。また、移動体自体が飲食等の販売車である場合、販売品を販売場所まで輸送することになる。すなわち、運搬する対象に応じて、状況管理に必要となる情報は異なるため、運搬対象の状況管理を行うには、それぞれの運搬対象に特化した状況管理システムが必要となる。
【0005】
また、近年、走行部が共通であり、架装部を、貨物の運搬、旅客の運送、飲食や物品販売等の移動型店舗等の様々なサービスに応じて入れ替える移動体が提案されており、今後の自動運転車両への適用も期待されている。このような、走行部と、架装部とが分離可能な移動体に対して運搬対象の状況管理を行う場合にも、移動体全体に対応した状況管理システムが必要となり、通常の走行部と架装部とが一体化した移動体に比べ、さらに状況管理システムの構築や運用が困難となる。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、架装部と、走行部とを備える移動体において、架装部と走行部とが連結された状態において、架装部に収容された貨物の品質情報および走行部の走行情報を適切に取得することができる輸送品質管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係る輸送品質管理装置は、移動体に積載される積荷の品質に関する品質データを取得する品質データ取得部と、連結確認フラグと、所定のイベントが発生した場合にイベントを判定するイベント判定部と、架装部制御部と、を有する架装部管理装置と、移動体の走行に関する走行データを取得する走行データ取得部と、走行データを架装部管理装置に送信する走行部制御部と、を有する走行部管理装置と、走行部管理装置と、架装部管理装置と、の連結状態を検知し、走行部管理装置および架装部管理装置が連結されている場合に、走行部管理装置および架装部管理装置に連結状態を通知する連結部と、を備え、架装部制御部は、連結部から連結状態が通知された場合に連結確認フラグを有効にし、架装部制御部は、イベント判定部でイベントが発生したと判定された場合であって、連結確認フラグが有効な場合に、品質データ、走行データ、およびイベントを識別するイベント識別情報を含むトリガーデータを作成する。
【0008】
本発明の他の態様に係る輸送品質管理装置のイベント判定部は、品質データが異常状態であった場合に、イベントが発生したと判定することが好ましい。
【0009】
本発明のさらに他の態様に係る輸送品質管理装置のイベント判定部は、走行データが所定の閾値を超えた場合に、イベントが発生したと判定することが好ましい。
【0010】
本発明のさらに他の態様に係る輸送品質管理装置は、スイッチ部をさらに備え、イベント判定部は、スイッチ部においてスイッチが押下されたことを検出した場合に、イベントが発生したと判定することが好ましい。
【0011】
本発明のさらに他の態様に係る輸送品質管理装置の走行部管理装置は、通信部をさらに備え、架装部制御部は、トリガーデータを走行部制御部に送信し、走行部制御部は、トリガーデータを架装部制御部から受信し、通信部は、トリガーデータを走行部制御部から受け取り、トリガーデータを外部のデータサーバに送信することが好ましい。
【0012】
本発明の他の態様に係る輸送品質管理システムは、輸送品質管理装置と、データサーバと、を備えることが好ましい。
【0013】
本発明の他の態様に係る輸送品質管理方法は、コンピュータによって実行される輸送品質管理方法であって、移動体に積載される架装部に収容された積荷の品質に関する品質データを取得し、移動体の走行部の走行に関する走行データを取得し、架装部と走行部とが連結されているか否かを示す連結確認フラグから、連結状態を取得し、品質データおよび走行データに基づいて、所定のイベントが発生したか否かを判定し、イベントが発生した場合であって、連結状態が架装部と走行部との連結を示す場合に、品質データ、走行データ、およびイベントを識別するイベント識別情報を含むトリガーデータを作成する。
【0014】
本発明の他の態様に係る輸送品質管理プログラムは、移動体に積載される架装部に収容された積荷の品質に関する品質データを取得し、移動体の走行部の走行に関する走行データを取得し、架装部と走行部とが連結されているか否かを示す連結確認フラグから、連結状態を取得し、品質データおよび走行データに基づいて、所定のイベントが発生したか否かを判定し、イベントが発生した場合であって、連結状態が架装部と走行部との連結を示す場合に、品質データ、走行データ、およびイベントを識別するイベント識別情報を含むトリガーデータを作成する処理を、コンピュータに実行させる。
【0015】
本発明の他の態様に係る記憶媒体は、輸送品質管理プログラムを記憶した、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、架装部と、走行部とを備える移動体において、架装部と走行部とが連結された状態において、架装部に収容された貨物の品質情報および走行部の走行情報を適切に取得することができる輸送品質管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る輸送品質管理システムの一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る移動体の一例を示す模式図である。
【
図3】本実施形態に係る輸送品質管理装置の一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る、(a)品質データの一例を示す図、(b)トリガーデータの一例を示す図、および(c)走行データの一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る連結状態確認の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係る連結状態解除の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係る架装部と走行部とのデータのやり取りを説明するためのフローチャートである。
【
図8】本実施形態に係るトリガーデータ作成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態の係るトリガーデータの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本実施形態に係る輸送品質管理装置について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0019】
図1は、輸送品質管理装置100を備える輸送品質管理システム1の概要図である。輸送品質管理システム1は、ネットワーク30を介して、輸送品質管理装置100を備える移動体10と、データサーバ20と、が接続される。ネットワーク30は、移動体10と、データサーバ20とが、相互に通信可能な通信網であり、例えば、携帯電話網であるキャリア網、または、インターネット網で構成される。データサーバ20は、移動体10から送信されたデータを、ネットワーク30を介して受信し、データサーバ20内の記憶部、またはデータサーバ20に接続された記憶部(図示なし)に蓄積する。
【0020】
移動体10は、貨物や乗客、販売品等を収容する架装部10aと、走行部10bとを含む構成からなる。本実施形態において、架装部10aは、走行部10bの上部に積載される構成となる。本実施形態に係る移動体10は、例えば、貨物の運搬、乗客の運送、移動型店舗(飲食、理容、医療、販売等)のサービスに用いられる。これらのサービスに応じて、適切な架装部10aが用意され、利用者は、サービスに応じて架装部10aを選択し、使用する。すなわち、架装部10aのみを入れ替えることで、各種サービスに対応した移動体10が実現できる。走行部10bは、移動体10の走行部分に該当し、本実施形態においては、4つの車輪を備える車両である。輸送品質管理装置100は、一部が移動体10の架装部10aに含まれ、残りの部分が走行部10bに含まれる形態で構成される。
【0021】
図2は、輸送品質管理装置100を備える移動体10の内部機構の概略を示す模式図である。
図2に示す移動体10は、例えば、自動運転車両であり、架装部10aと走行部10bで実現される。なお、移動体10は、架装部10aと走行部10bとを備えるものであれば自動運転車両に限定されず、例えば、
図2の架装部10a内部に運転席を備える構成でもよい。さらに、移動体10をけん引する運転車両(図示なし)を備える構成としてもよい。
【0022】
図2に示す例では、走行部10bに架装部10aが搭載され、連結部400において、架装部10aと走行部10bとが、物理的に連結されている。また、架装部10aは、架装部管理装置200を備える。架装部管理装置200は、架装部制御部220、およびイベント判定部240を含む。また走行部10bは、走行部管理装置300を備える。走行部管理装置300は、走行部制御部320、および通信部330を含む。架装部管理装置200と、走行部管理装置300とは、連結部400において接続線において電気的に接続され架装部管理装置200と、走行部管理装置300との間でデータがやり取りされる。
【0023】
図3は、移動体10に搭載された輸送品質管理装置100のブロック図を示す。上述の通り、輸送品質管理装置100は、架装部10aに、架装部管理装置200を備える。また、輸送品質管理装置100は、走行部10bに、走行部管理装置300を備える。さらに輸送品質管理装置100は、架装部管理装置200と、走行部管理装置300とを接続する連結部400を備える。
【0024】
架装部管理装置200は、上述の架装部制御部220およびイベント判定部240の他に、品質センサ部210と、連結確認フラグ230と、架装部記憶部250と、スイッチ部260と、を備える。
【0025】
品質センサ部210は、移動体10に積載された架装部10aに収容された積荷の品質に関係する品質情報を取得する。品質センサ部210で取得される品質情報は、架装部10aに搭載されるサービスの内容によって異なる。例えば、本実施形態において、品質情報は、温度、湿度、質量、人数、数量、振動、急制動、温度変化、経過時間、照度(照明)などである。また、品質センサ部210は、例えば、温湿度計、タイマー、照度計、振動計、重量計測器などで構成される。品質センサ部210で取得された品質情報は、架装部制御部220に送られる。なお、品質センサ部210は、品質データ取得部に相当する。
【0026】
架装部制御部220は、品質センサ部210から送られた品質情報に基づいて品質データを作成し、架装部記憶部250に格納する。品質データは、品質情報に基づいて、所定のデータフォーマットに成形したものである。
図4(a)に、品質データの一例を示す。品質データには、品質データのID、および、品質に関係する温度、湿度、質量、人数、数量等の情報が記載される。品質データのIDは、例えば、品質データを取得した架装部10aに付与された固有のIDである。
【0027】
また、架装部制御部220は、連結確認フラグ230のON/OFF(有効/無効)を制御する。連結確認フラグ230については、後述する。
【0028】
さらに、架装部制御部220は、後述のイベント判定部240の判定結果に基づいて、イベントの発生か否かを判定し、イベントの発生の場合には、トリガーデータの作成を行う。トリガーデータは
図4(b)に示す通り、例えば、発生時刻と、トリガー識別情報と、走行データ番号と、品質データと、を含んだ構成となる。ただし、トリガーデータはこの構成に限定されず、その他のデータのパラメータを含んだ構成としてもより。また、トリガーデータは、走行データ番号ではなく、走行データのデータ自体を含んだ構成としてもよい。トリガー識別情報は、トリガーデータが作成された原因(トリガー)を識別するための情報である。
図4(b)に示すトリガーデータにおいては、「トリガー」の項目に「品質データ1」が記載されており、「品質データ1」によって、
図4(b)に示すトリガーデータが作成されたことを示す。
【0029】
また、架装部制御部220は、連結部400を介して、走行部10bの走行部管理装置300に備えられた走行部制御部320とデータのやり取りを行う。例えば、架装部制御部220は、走行部10bから送られてきた走行データを受け取り、架装部記憶部250に格納する。また、架装部制御部220は、架装部記憶部250に格納されたトリガーデータを収集し、連結部400を介して、走行部10bの走行部制御部320に送る。
【0030】
連結確認フラグ230は、架装部10aと走行部10bとが連結されているか否かを示すフラグである。連結確認フラグ230がONであるとき、架装部10aと走行部10bとは連結されている状態となる。連結確認フラグ230がOFFであるとき、架装部10aと走行部10bとの連結は解除された状態となる。連結確認フラグ230は、連結部400からの連結状態の通知に応じて、架装部制御部220がON(有効)に設定する。同様に、連結確認フラグ230は、連結部400からの連結解除の通知に応じて、架装部制御部220がOFF(無効)に設定する。
【0031】
イベント判定部240は、品質データ判定部241と、走行データ判定部242と、スイッチ押下判定部243とを備える。イベント判定部240は、品質データ判定部241、走行データ判定部242、およびスイッチ押下判定部243において所定のイベントが発生したか否かを判定する。すなわち、本実施形態において、所定のイベントは、品質データ判定部241、走行データ判定部242、およびスイッチ押下判定部243で判定されるイベントである。品質データ判定部241は、架装部制御部220で作成された品質データに異常があるか否かを判定し、判定結果を架装部制御部220に送る。なお、品質データに異常がある場合、架装部制御部220において、イベントの発生と判定される。なお、品質データに異常があるか否かの判定は、品質データが、あらかじめ定められた所定の品質データの正常範囲を超えるか否かによって判定される。本実施形態において、所定の品質データの正常範囲は、ユーザによって設定され、品質データ判定部241の記憶部(図示なし)に記憶される。なお、所定の品質データの正常範囲の格納場所は、品質データ判定部241に限定されず、例えば、架装部記憶部250に格納され、架装部制御部220により読み出される構成としてもよい。
【0032】
走行データ判定部242は、走行部10bから送られてくる走行データに関し、走行データの値が所定の閾値を超えているか否かを判定する。なお、走行データが閾値を超えた場合、架装部制御部220において、イベントの発生と判定される。走行データは、例えば
図4(c)に示すように、移動体10の速度や、走行距離、走行時間、急制動、アクセル開度、エンジン回転数、およびブレーキ信号等の移動体10の走行自体に関係してくる値である。後述の車両センサ部310で取得した移動体10の走行自体に関係する情報を、走行部制御部320で、一定間隔ごとに、走行部記憶部350が走行部記憶部350に格納する。また、走行部制御部320は、走行データを架装部管理装置200に送信する。これにより、走行データが、走行部10bの走行部管理装置300から、架装部10aの架装部管理装置200に送られてくる。架装部制御部220は、走行部管理装置300から送られてきた走行データを架装部記憶部250に格納する。さらに、架装部制御部220は、走行データを走行データ判定部242に送る。走行データ判定部242は、架装部制御部220から送られてきた走行データに示される値があらかじめ定められた所定の閾値を超えているか否かを判定し、判定結果を架装部制御部220に送る。本実施形態において、走行データに関する所定の閾値は、ユーザによって設定され、走行データ判定部242の記憶部(図示なし)に記憶される。なお、所定の走行データの閾値の格納場所は、走行データ判定部242に限定されず、例えば、架装部記憶部250に格納され、架装部制御部220により読み出される構成としてもよい。
【0033】
スイッチ押下判定部243は、スイッチ部260から送られてくるスイッチの押下情報に基づいてスイッチが押下されたか否かを判定し、判定結果を架装部制御部220に送る。なお、スイッチが押下された場合、架装部制御部220において、イベントの発生と判定させる。
【0034】
架装部記憶部250は、上述の通り、架装部制御部220で作成された品質データおよびトリガーデータが格納される。さらに、架装部記憶部250には、走行部10bから送られてきた走行データが格納される。
【0035】
スイッチ部260は、架装部10a内に設けられたスイッチが、操作者等によって押下されたか否かを検出し、検出した結果をスイッチ押下判定部243に送る。ここで、スイッチ部260で検出するスイッチは、非常ボタンや通報スイッチである。例えば、サービス品質データに異常がなく、走行データも閾値内である場合において、操作者がトリガーデータを作成したい場合などに、スイッチを押下することで、トリガーデータが作成される。また、サービス品質データや走行データでは、トリガーデータの作成とならない状態において、トリガーデータを作成することが可能となる。
【0036】
次に、走行部管理装置300について、説明する。走行部管理装置300は、車両センサ部310と、走行部制御部320と、通信部330と、走行部記憶部350と、を備える。
【0037】
車両センサ部310は、車両の速度、走行距離、走行時間、急制動(加速度)、アクセル開度、エンジン回転数(モータ回転数)、ブレーキ信号などの、車両の走行に関するデータを取得する。車両センサ部310は、取得した車両の走行に関するデータを走行部制御部320に送る。なお、車両センサ部310で取得した車両の走行に関するデータは、車両センサ部310が走行部制御部320に送る例を示したが、これに限定されない。例えば、走行部制御部320が、車両センサ部310で取得された車両の走行に関するデータを読み取る形態としてもよい。なお、車両センサ部310は、走行データ取得部に相当する。
【0038】
走行部制御部320は、車両センサ部310で取得した車両の走行に関するデータを、走行データとして、走行部記憶部350に格納する。また、走行部制御部320は、車両センサ部310で取得した車両の走行に関するデータを、走行データとして、連結部400を介して、架装部管理装置200の架装部制御部220に送る。さらに、走行部制御部320は、連結部400を介して、架装部管理装置200の架装部制御部220からトリガーデータを受け取り、走行部記憶部350に格納する。また、走行部制御部320は、架装部制御部220から送られたトリガーデータ、または走行部記憶部350に格納されたトリガーデータを通信部330へ送る。
【0039】
通信部330は、走行部制御部320から送られてきたトリガーデータを受け取り、ネットワーク30を介して、外部のデータサーバ20へ送る。ユーザは、データサーバ20に送られてきたトリガーデータを、データサーバ20に設けられたディスプレイ等の表示装置(図示なし)で確認し、トリガーデータを解析することができる。あるいは、ユーザは、ネットワーク30を介して、データサーバ20にアクセスし、データサーバ20に送られてきたトリガーデータの確認および解析を行うことが可能である。ユーザがデータサーバ20に送られてきたトリガーデータを確認し、解析することで、架装部10aの貨物等の品質の管理を行うことが可能となる。例えば、複数の移動体10からデータサーバ20にトリガーデータが送られてきた場合、それら集約されたトリガーデータを比較して確認、解析することが可能となり、トリガーデータを用いて、品質低下の原因解析や、品質向上の検討など行うことができる。
【0040】
次に連結部400について説明する。連結部400は、検知部410と、データ転送部420と、を備える。検知部410は、架装部10aと走行部10bとの連結を検知すると、検知した情報を、データ転送部420を介して、それぞれ架装部管理装置200の架装部制御部220と、走行部管理装置300の走行部制御部320とに通知する。
【0041】
データ転送部420は、架装部管理装置200の架装部制御部220と、走行部管理装置300の走行部制御部320との間で、データのやり取り(送受信)を行う。また、データ転送部420は、架装部管理装置200と、走行部管理装置300との接続形態(通信プロトコル)が異なる場合に、一方のプロトコルを変換し、架装部管理装置200と、走行部管理装置300とにおいて通信可能とさせる。また架装部管理装置200と、走行部管理装置300とで行われるデータの通信は有線による通信に限定されず、無線通信で実現してもよい。
【0042】
なお、上述において、データ転送部420が、架装部管理装置200と、走行部管理装置300との通信プロトコルを変換し、通信可能とする例を示したが、これに限定されない。例えば、通信プロトコルの変換手段を、走行部10b側に備える構成としてもよい。この場合、連結部400に複雑な制御手段を設けることを避けることができるため、連結部400は、架装部10aと、走行部10bとの物理的な連結を検出する手段を備えるだけのシンプルな構成を実現することができる。
【0043】
次に、
図5を参照して、輸送品質管理装置100による連結状態設定処理を説明する。
【0044】
(連結状態設定処理)
ステップS501において、連結部400に備えられた検知部410は、架装部10aと、走行部10bとが、物理的に連結されたか否かを判定する。ステップS501において、架装部10aと走行部10bとの連結状態を検知した場合(ステップS501:YES)は、検知部410は、データ転送部420を介して、架装部10aの架装部制御部220に、連結された旨を通知する。同様に、検知部410は、データ転送部420を介して、走行部10bの走行部制御部320に、架装部10aと走行部10bとが、連結された旨を通知する。なお、連結部400からの架装部制御部220および走行部制御部320への通知は、例えば、連結された旨を示すデータを送付する形態で実現される。または、連結部400から、架装部制御部220および走行部制御部320へ、専用線を設けておき、検知部410で連結が検知された場合に、専用線をONにすることで連結を通知する構成とすることも可能である。
【0045】
ステップS501において、架装部10aと走行部10bとの連結状態を検知していない場合(ステップS501:NO)は、検知部410は、ステップS501に戻り、架装部10aと、走行部10bとが、物理的に連結されたか否かを判定する。すなわち、検知部410は、架装部10aと、走行部10bとが、物理的に連結されるまで、ステップS501を繰り返す。
【0046】
ステップS502において、架装部管理装置200の架装部制御部220は、連結部400からの連結状態通知があるか否かを判定する。架装部制御部220は、連結部400からの連結状態通知があると判定した場合(ステップS502:YES)は、ステップS504に進む。架装部制御部220は、連結部400からの連結状態通知がないと判定した場合(ステップS502:NO)は、ステップS502の判定に戻る。
【0047】
同様に、ステップS503において、走行部管理装置300の走行部制御部320は、連結部400からの連結状態通知があるか否かを判定する。走行部制御部320は、連結部400からの連結状態通知があると判定した場合(ステップS503:YES)は、ステップS505に進む。走行部制御部320は、連結部400からの連結状態通知がないと判定した場合(ステップS503:NO)は、ステップS503の判定に戻る。
【0048】
ステップS504において、架装部制御部220は、通信路開局処理を行う。本実施形態において、通信路開局処理は、走行部管理装置300の走行部制御部320とデータ通信を行うための設定処理である。次に、架装部制御部220は、ステップS506に進む。
【0049】
ステップS505において、走行部制御部320は、通信路開局処理を行う。本実施形態において、走行部制御部320における通信路開局処理は、架装部管理装置200の架装部制御部220とデータ通信を行うための設定処理である。次に、走行部制御部320は、ステップS507に進む。
【0050】
ステップS506において、架装部制御部220は、相互通信開始処理を行う。本実施形態において、相互通信開始処理により、架装部制御部220と、走行部制御部320とのデータ通信が開始される。次に架装部制御部220は、ステップS508に進む。
【0051】
同様に、ステップS507において、走行部制御部320は、相互通信開始処理を行う。本実施形態において、走行部制御部320の相互通信開始処理により、走行部制御部320と、架装部制御部220とのデータ通信が開始される。
【0052】
ステップS508において、架装部制御部220は、連結確認フラグ230をON(有効)に設定する。ステップS508において、連結確認フラグ230がONになるタイミングにおいては、すでにステップS504からステップS507において、架装部10aと走行部10bとの相互通信が可能となっている。
【0053】
上述のステップS501からステップS507の処理により、架装部10aと走行部10bとが連結された場合に、架装部管理装置200と、走行部管理装置300との通信が開始される。さらに、ステップS508の処理において、架装部管理装置200内の連結確認フラグ230がONになる。ステップS501からステップS508までの処理により、架装部10aと走行部10bとの相互通信を開始させることにより、連結確認フラグ230がONのタイミングでは、架装部10aと走行部10bとの相互通信が可能となっている。これにより連結確認フラグ230を用いる場合に、架装部10aと走行部10bとの間の通信路が開局していないことによる、データの誤送信やデータの喪失等の不具合を防ぐことが可能となる。
【0054】
(連結状態解除処理)
図6は、連結状態解除処理の処理フローを示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、連結状態の解除を行うフローであり、操作者による連結解除処理や、検知部410の連結解除検知により、フローが開始される。ステップS601において、連結部400は、架装部管理装置200の架装部制御部220、および走行部管理装置300の走行部制御部320に対し、連結解除通知を送る。
【0055】
ステップS602において、架装部制御部220は、連結確認フラグ230をOFF(無効)にする。ステップS603において、架装部制御部220は、連結確認フラグ230がOFFになったか否かを判定する。ステップS603において、連結確認フラグ230がOFFであると判定された場合(ステップS603:YES)、架装部制御部220は、ステップS604の処理に進む。一方で、ステップS603において、連結確認フラグ230がOFFであると判定されなかった場合(ステップS603:NO)、架装部制御部220は、ステップS603の処理に戻る。
【0056】
ステップS604において、架装部制御部220は、架装部管理装置200の通信路閉局処理を行う。その後、架装部制御部220は、連結部400に、通信路閉局処理を行った旨の通知を行う。同様にステップS605において、走行部制御部320は、走行部管理装置300の通信路閉局処理を行う。走行部制御部320は、連結部400に、通信路閉局処理を行った旨の通知を行う。このように、連結確認フラグ230のOFFを確認した後で、通信路閉局処理を行うことにより、架装部管理装置200のイベント判定部240での誤判定を防ぐことができる。
【0057】
ステップS606において、連結部400は、通信路閉局を判定する。通信路閉局の判定は、架装部管理装置200の架装部制御部220、および、走行部管理装置300の走行部制御部320から、通信路閉局処理が行われた旨の通知を受け取ったか否かで判定する。通信路が閉局されたと判定された場合(ステップS606:YES)は、ステップS607に進む。一方で通信路が閉局されていないと判定された場合(ステップS606:NO)は、ステップS606において、再度、判定処理を行う。
【0058】
ステップS607において、連結部400は、連結解除処理を行う。連結解除処理は、架装部制御部220と、走行部制御部320との信号のやり取りを停止する処理である。このように、ステップS607では、ステップS606において通信路閉局の確認を行った後で連結状態の解除処理を行う。これにより、架装部制御部220または走行部制御部320のどちらか一方のみの通信路閉局処理が完了している状態で、連結解除処理が行われるのを防ぐことができる。すなわち、ステップS606での判定を待ってステップS607の処理が行われることで、架装部制御部220、および/または、走行部制御部320での暴走を防ぐことができる。
【0059】
(架装部と走行部との間のデータのやり取り)
図7は、架装部10aと走行部10bとの間のデータのやり取りを示すフローチャートである。ステップS701において、走行部管理装置300の車両センサ部310は、車両の走行に関する走行データを取得する。ここで取得される走行データは、車両の速度、走行距離、走行時間、急制動(加速度)、アクセル開度、エンジン回転数(モータ回転数)、ブレーキ信号などの、車両の走行に関するデータである。車両センサ部310は、取得した車両の走行に関する走行データを走行部制御部320に送る。なお、車両センサ部310で取得した車両の走行に関するデータは、車両センサ部310が走行部制御部320に送る例を示したが、これに限定されない。例えば、走行部制御部320が、車両センサ部310で取得された車両の走行に関するデータを読み取る形態としてもよい。
【0060】
ステップS702において、走行部制御部320は、車両センサ部310から送られてきた走行データを走行部記憶部350に格納する。さらに、走行部制御部320は、走行データを、連結部400を介して、架装部管理装置200の架装部制御部220に送る。なお、ステップS702において、架装部10aと走行部10bとが連結状態でない場合には、走行部制御部320は、走行データの格納のみ行う。また、ステップS702において、架装部10aと走行部10bとが連結状態である場合において、走行部制御部320は、走行データの格納を行わず、走行データを架装部制御部220へ送信してもよい。
【0061】
ステップS703において、架装部制御部220は、走行部制御部320から送られてきた走行データを架装部記憶部250に格納する。
【0062】
ステップS704において、架装部制御部220は、トリガーデータを架装部記憶部250から収集し、連結部400を介して、走行部制御部320に送信する。なお、架装部制御部220は、トリガーデータを架装部記憶部250から収集して走行部制御部320へ送信する形態には限定されず、例えば、架装部制御部220で作成されたトリガーデータをそのまま、走行部制御部320へ送信する形態としてもよい。
【0063】
ステップS705において、走行部制御部320は、架装部管理装置200の架装部制御部220から送られてきたトリガーデータを走行部記憶部350に格納する。また、走行部制御部320は、トリガーデータをさらに通信部330に送る。
【0064】
ステップS706において、通信部330は、走行部制御部320から送られてきたトリガーデータを、ネットワーク30を介して、データサーバ20に送る。なお、本実施形態において、通信部330は、走行部制御部320から送られてきたトリガーデータをデータサーバ20に送る例を示したが、通信部330の処理は、この形態に限定されない。例えば、走行部制御部320から、トリガーデータの準備が完了したことを示すデータを通信部330が受け取ると、通信部330は、ネットワーク30の状況を見ながら、適切なタイミングで、トリガーデータを送信する形態とすることも可能である。この場合、通信部330は、走行部制御部320を介して、走行部記憶部350に格納されたトリガーデータを適切なタイミングで読み出し、データサーバ20に送信する。
【0065】
(トリガーデータ作成処理)
次に、
図8に示すトリガーデータ作成処理について説明する。ステップS801において、架装部制御部220は、品質センサ部210で取得した品質情報に関するセンサデータを取得する。ステップS802において、架装部制御部220は、ステップS801で取得したセンサデータ(品質情報)に基づいて品質データを作成する。
【0066】
ステップS803において、架装部制御部220は、品質データを品質データ判定部241に送り、品質データ判定部241で判定された品質データに関する判定結果を取得する。ここで、品質データに関する判定は、例えば、品質データが温湿度である場合、その温湿度があらかじめ定められた正常範囲を超えているか否かについて行われる。
【0067】
ステップS804において、架装部制御部220は、ステップS803で取得した品質データの判定結果について、異常状態であるか否かを判定する。品質データが異常状態であると判定された場合(ステップS804:YES)は、ステップS810に進む。品質データが異常状態でないと判定された場合(ステップS804:NO)は、ステップS805に進む。
【0068】
ステップS805において、架装部制御部220は、走行データを走行データ判定部242に送り、走行データ判定部242で判定された走行データが所定の閾値を超えるか否かの判定結果を取得する。
【0069】
ステップS806において、架装部制御部220は、走行データが閾値を超えると判定された場合(ステップS806:YES)は、ステップS810に進む。一方で、走行データが閾値を超えないと判定された場合(ステップS806:NO)は、ステップS807に進む。
【0070】
ステップS807において、架装部制御部220は、スイッチ押下判定部243で判定されたスイッチ押下判定結果を取得する。
【0071】
ステップS808において、架装部制御部220は、スイッチが押下されたと判定された場合(ステップS808:YES)は、ステップS809に進む。一方で、スイッチが押下されていないと判定された場合(ステップS808:NO)は、トリガーデータの作成は行わず、ステップS812に進む。
【0072】
ステップS810において、架装部制御部220は、連結確認フラグ230がONであるか否かを判定する。ステップS810において、連結確認フラグ230がONであると判定された場合(ステップS810:YES)は、ステップS811へ進む。一方で、連結確認フラグ230がONでないと判定された場合(ステップS810:NO)は、トリガーデータの作成は行わず、ステップS812に進む。
【0073】
ステップS811において、架装部制御部220は、トリガーデータの作成を行う。トリガーデータは、
図4(b)に示すように、例えば、発生時刻と、トリガー識別情報と、走行データ番号と、品質データと、を含んだ構成となる。イベント識別情報は、イベント判定部240のどのイベントに起因してトリガーデータが作成されることになったかを示す情報である。次に、架装部制御部220は、ステップS812の処理に進む。
【0074】
ステップS812において、架装部制御部220は、品質データおよび走行データを架装部記憶部250に格納する。さらに、ステップS811でトリガーデータが作成された場合には、架装部制御部220は、トリガーデータを架装部記憶部250に格納する。
【0075】
上述の通り、本実施形態に係る輸送品質管理装置100は、架装部10aと走行部10bとの連結状態を確認し、連結状態である場合にトリガーデータを作成し、データサーバ20に送付する。これにより、連結されていない場合に無駄なトリガーデータの作成やトリガーデータの送信を防ぐことが可能となる。
【0076】
また、走行データ判定部242において、走行データの閾値判定を行うことにより、走行データが閾値を超えた場合にも、トリガーデータが作成されることになる。走行データが閾値を超える場合、架装部10aの貨物等の品質に関し、影響を与える場合が多い。そのため、走行データが閾値を超えた場合にトリガーデータを作成し、データサーバ20に送信することで、走行状況と品質データとの関係を認識することができる。
【0077】
本実施形態において、トリガーデータにトリガーの種別が付与されることにより、ユーザは、何が原因でトリガーデータが取得されたかを認識することができる。さらに、品質データの状況と、トリガーとの関係を把握することができる。例えば、走行データが閾値を超えた場合、どの程度品質データに影響するかを把握することができ、品質データを最適に保つための適切な走行としてフィードバックすることが可能となる。
【0078】
また、本実施形態においては、スイッチの押下に基づいてトリガーデータの作成を可能としている。これにより、例えば、サービス品質データに異常がなく、走行データも閾値内である場合において、ユーザがトリガーデータを作成したい場合などに、スイッチを押下することで、トリガーデータが作成される。また、サービス品質データや走行データでは、トリガーデータの作成とならない状態において、トリガーデータを作成することが可能となる。
【0079】
(他の実施形態)
実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0080】
上述の実施形態で説明した処理の一部または全部は、プログラムにより実現されるものであってもよい。この場合、各処理の一部または全部は、コンピュータにおいて、中央演算装置(CPU)、マイクロプロセッサ、プロセッサ等により行われる。それぞれの処理を行うためのプログラムは、ハードディスク、ROMなどの記憶装置に格納されており、ROMにおいて、あるいはRAMに読み出されて実行される。記憶装置(記憶部)は、一時的でない有形のものであり、例えば、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。
【0081】
また、上述の実施形態で説明した各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。
【0082】
また、上述の本実施形態に係る輸送品質管理装置100においては、品質データの判定、走行データの判定、およびスイッチの押下の判定の順番による優先度により、トリガーデータが作成される例を示したがこれに限定されない。例えば、品質データの判定、走行データの判定およびスイッチの押下の判定の優先度を変えてトリガーデータを作成するものとしてもよい。さらには、複数の判定結果に起因する場合に、
図9に示すように、トリガーデータのイベント識別情報に複数の判定結果を付与する形態としてもよい。これにより、例えば品質データの異常と、走行データとの関係がより詳細に取得することができる。
【0083】
また、上述の本実施形態に係る輸送品質管理装置100のイベント判定部240においては、品質データ判定部241、走行データ判定部242、およびスイッチ押下判定部243を備える構成としたが、イベント判定部240の構成はこれに限定されない。例えば、移動体10の位置情報や移動体10が位置する場所における、気象情報、渋滞情報、さらには、緊急地震速報等の情報を入力し、イベントとして判定する構成としてもよい。品質データおよび走行データに加えて、これらの情報をイベントの判定情報として加えることで、品質データや走行データの分析等に役立たせることができる。
【0084】
また、上述の本実施形態に係る輸送品質管理システム1においては、移動体10から送信されたトリガーデータをデータサーバ20で集約する例を示したが、トリガーデータの送信先は、データサーバ20に限定されない。例えば、架装部10aに運転者がいる移動体10の場合において、運転者が確認可能なナビゲーションシステムにトリガーデータを表示される構成とすることもできる。これにより、運転者は、運転中にトリガーデータを確認し、例えば、トリガーデータ作成の起因となるイベントが走行データであった場合に、リアルタイムで運転に反映させ、走行データが閾値を超えないようにすることができる。なお、トリガーデータをナビゲーションシステムに表示させる場合、通信部330からトリガーデータを送信する形態には限定されず、例えば、架装部記憶部250に記憶されたトリガーデータをナビゲーションシステムに表示させる形態としてもよい。
【0085】
以下に、本実施形態の輸送品質管理装置100、輸送品質管理方法、および輸送品質管理システム1の特徴について記載する。
【0086】
第1の態様に係る輸送品質管理装置100は、架装部管理装置200を備える。架装部管理装置200は、移動体10に積載される積荷の品質に関する品質データを取得する品質データ取得部と、連結確認フラグ230と、所定のイベントが発生した場合にイベントを判定するイベント判定部240と、架装部制御部220と、を備える。輸送品質管理装置100は、移動体10の走行に関する走行データを取得する走行データ取得部と、走行データを架装部管理装置200に送信する走行部制御部320と、を有する走行部管理装置300を備える。また、輸送品質管理装置100は、連結部400を備える。連結部400は、走行部管理装置300と、架装部管理装置200と、の連結状態を検知し、走行部管理装置300および架装部管理装置200が連結されている場合に、走行部管理装置300および架装部管理装置200に連結状態を通知する。架装部制御部220は、連結部400から連結状態が通知された場合に連結確認フラグ230を有効にする。架装部制御部220は、イベント判定部240でイベントが発生したと判定された場合であって、連結確認フラグ230が有効な場合に、品質データ、走行データ、およびイベントを識別するイベント識別情報を含むトリガーデータを作成する。
【0087】
上記構成によれば、輸送品質管理装置100において、架装部10aと走行部10bとが連結された状態における、品質データ、走行データ、およびイベントを識別するイベント情報を含むトリガーデータが作成される。これにより、ユーザは、トリガーデータを確認、解析することで、どのイベントに起因してトリガーデータが作成されたかを把握することができる。また、架装部10aと走行部10bとが連結された状態における、品質データおよび走行データの情報の関係を認識することができる。
【0088】
第2の態様に係る輸送品質管理装置100のイベント判定部240は、品質データが異常状態であった場合に、イベントが発生したと判定することが好ましい。
【0089】
上記構成によれば、イベント判定部240は、品質データが異常状態であった場合に、イベントが発生したと判定し、架装部制御部220は、トリガーデータを作成する。これにより、架装部10aの様々な形態に応じて、適切にトリガーデータを取得することができる。
【0090】
第3の態様に係る輸送品質管理装置100のイベント判定部240は、走行データが所定の閾値を超えた場合に、イベントが発生したと判定する、ことが好ましい。
【0091】
上記構成によれば、イベント判定部240は、走行データが所定の閾値を超えた場合に、イベントが発生したと判定し、架装部制御部220は、品質データおよび走行データを含むトリガーデータを作成する。これにより、走行データが閾値を超えた場合の、トリガーデータにより、閾値を超えた走行データと品質データとの関係を把握することができる。
【0092】
第4の態様に係る輸送品質管理装置100は、スイッチ部260をさらに備えることが好ましい。また、イベント判定部240は、スイッチ部260においてスイッチが押下されたことを検出した場合に、イベントが発生したと判定することが好ましい。
【0093】
上記構成によれば、イベント判定部240は、スイッチ部260においてスイッチが押下されたことを検出した場合に、イベントが発生したと判定し、架装部制御部220は、トリガーデータを作成する。例えば、操作者がトリガーデータを作成したいタイミングで、スイッチを押下することで、トリガーデータが作成される。また、サービス品質データや走行データでは、トリガーデータの作成とならない状態において、トリガーデータを作成することが可能となる。
【0094】
第5の態様に係る輸送品質管理装置100の走行部管理装置300は、通信部330をさらに備えることが好ましい。また、架装部制御部220は、トリガーデータを走行部制御部320に送信することが好ましい。また、走行部制御部320は、トリガーデータを架装部制御部220から受信することが好ましい。さらに、通信部330は、トリガーデータを走行部制御部320から受け取り、トリガーデータを外部のデータサーバ20に送信することが好ましい。
【0095】
上記構成によれば、トリガーデータが通信部330からデータサーバ20に送信されることで、移動体10にトリガーデータを格納するための大きな記憶部を設ける必要はなく、データサーバ20において、多くのトリガーデータを取得することが可能となる。
【0096】
第6の態様に係る輸送品質管理システム1は、輸送品質管理装置100と、データサーバ20とを備えることが好ましい。
【0097】
上記構成によれば、移動体10から送信されたトリガーデータを、データサーバ20で確認し、解析することできる。例えば、複数の移動体10からデータサーバ20にトリガーデータが送られてきた場合、それら集約されたトリガーデータを比較して確認、解析することが可能となり、トリガーデータを用いて、品質低下の原因解析や、品質向上の検討など行うことができる。また、同じ移動体10からのトリガーデータに対しても、取得時間が前後するトリガーデータを比較することで、品質データや走行データの変化を把握することが可能となる。
【0098】
第7の態様に係る輸送品質管理方法は、コンピュータによって実行される輸送品質管理方法であって、以下の処理を有することが好ましい。移動体10に積載される架装部10aに収容された積荷の品質に関する品質データを取得する処理を含む。また、移動体10の走行部10bの走行に関する走行データを取得する処理を含む。また、架装部10aと走行部10bとが連結されているか否かを示す連結確認フラグ230から、連結状態を取得する処理を含む。また、品質データおよび走行データに基づいて、所定のイベントが発生したか否かを判定する処理を含む。さらに、イベントが発生した場合であって、連結状態が架装部10aと走行部10bとの連結を示す場合に、品質データ、走行データ、およびイベントを識別するイベント識別情報を含むトリガーデータを作成する処理を含む。
【0099】
上記方法によれば、架装部10aと走行部10bとが連結された状態における、品質データ、走行データ、およびイベントを識別するイベント情報を含むトリガーデータが作成される。これにより、ユーザは、トリガーデータを確認、解析することで、どのイベントに起因してトリガーデータが作成されたかを把握することができる。また、架装部10aと走行部10bとが連結された状態における、品質データおよび走行データの情報の関係を認識することができる。
【0100】
第8の態様に係る輸送品質管理プログラムは、コンピュータに実行させるための輸送品質管理プログラムであって、以下の処理を有することが好ましい。移動体10に積載される架装部10aに収容された積荷の品質に関する品質データを取得する処理を含む。また、移動体10の走行部10bの走行に関する走行データを取得する処理を含む。また、架装部10aと走行部10bとが連結されているか否かを示す連結確認フラグ230から、連結状態を取得する処理を含む。品質データおよび走行データに基づいて、所定のイベントが発生したか否かを判定する処理を含む。さらに、イベントが発生した場合であって、連結状態が架装部10aと走行部10bとの連結を示す場合に、品質データ、走行データ、およびイベントを識別するイベント識別情報を含むトリガーデータを作成する処理を含む。
【0101】
上記プログラムによれば、架装部10aと走行部10bとが連結された状態における、品質データ、走行データ、およびイベントを識別するイベント情報を含むトリガーデータが作成される。これにより、ユーザは、トリガーデータを確認、解析することで、どのイベントに起因してトリガーデータが作成されたかを把握することができる。また、架装部10aと走行部10bとが連結された状態における、品質データおよび走行データの情報の関係を認識することができる。
【0102】
第9の態様に係る記憶媒体は、輸送品質管理プログラムを記憶した、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体であることが好ましい。
【0103】
上記記憶媒体によれば、架装部10aと走行部10bとが連結された状態における、品質データ、走行データ、およびイベントを識別するイベント情報を含むトリガーデータが作成される。これにより、ユーザは、トリガーデータを確認、解析することで、どのイベントに起因してトリガーデータが作成されたかを把握することができる。また、架装部10aと走行部10bとが連結された状態における、品質データおよび走行データの情報の関係を認識することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 輸送品質管理システム
10 移動体
20 データサーバ
30 ネットワーク
100 輸送品質管理装置
200 架装部管理装置
210 品質センサ部
220 架装部制御部
230 連結確認フラグ
240 イベント判定部
250 架装部記憶部
260 スイッチ部
300 走行部管理装置
310 車両センサ部
320 走行部制御部
330 通信部
350 走行部記憶部