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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】電池装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/284 20210101AFI20240918BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20240918BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20240918BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20240918BHJP
   H01M 10/657 20140101ALI20240918BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20240918BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240918BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240918BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240918BHJP
【FI】
H01M50/284
H01M50/262 M
H01M50/262 S
H01M50/262 P
H01M10/615
H01M10/6554
H01M10/657
H01M50/271 S
H01M50/204 401H
H01M50/209
H01M10/647
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020122436
(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公開番号】P2022018960
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樫谷 知憲
【審査官】窪田 陸人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-235774(JP,A)
【文献】特開2013-157112(JP,A)
【文献】特開2014-013725(JP,A)
【文献】国際公開第2019/146239(WO,A1)
【文献】特表2017-535912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/10-50/198
H01M 10/52-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルと、
前記電池セルに沿って配置され、前記電池セルの膨張を抑制する導体である抑制部材と、
一端が前記抑制部材に固定される導通部材と、
前記導通部材の他端に固定され、前記導通部材を介して前記抑制部材に電流を供給する制御基板と
を備え
前記抑制部材は、
主面が前記電池セルに向かい合って配置される板状の部材であり、一部が前記電池セルに向かって突出した突出部であること
を特徴とする電池装置。
【請求項2】
前記電池セルを覆うとともに、前記電池セルおよび前記抑制部材の間における前記突出部の位置に孔部を有する樹脂材料の筐体をさらに備えること
を特徴とする請求項に記載の電池装置。
【請求項3】
前記電池セルおよび前記抑制部材の間に配置され、少なくとも前記抑制部材に接する熱伝導部材をさらに備えること
を特徴とする請求項1または2に記載の電池装置。
【請求項4】
前記熱伝導部材は、
前記抑制部材および前記電池セルそれぞれに接して配置されること
を特徴とする請求項に記載の電池装置。
【請求項5】
前記電池セルは、
板状であって、
前記抑制部材は、
前記電池セルの一方の主面側に配置されること
を特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載の電池装置。
【請求項6】
前記抑制部材は、
前記電池セルの両方の主面側に配置されること
を特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載の電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、充電時の電池セルの膨張を抑制するための抑制部材が設けられる電池装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、この種の電池装置では、低温による充放電の性能低下を抑制するために、電池セル近傍にヒータが設けられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2013/008157号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は、抑制部材やヒータを配置すると製品サイズが大きくなるとともに、部品コストが嵩むこととなる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コスト削減およびコンパクト化を実現できる電池装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電池装置は、電池セルと、抑制部材と、導通部材と、制御基板とを備える。前記抑制部材は、前記電池セルに沿って配置され、前記電池セルの膨張を抑制する導体である。前記導通部材は、一端が前記抑制部材に固定される。前記制御基板は、前記導通部材の他端に固定され、前記導通部材を介して前記抑制部材に電流を供給する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コスト削減およびコンパクト化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る電池装置の斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る電池装置の分解斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る電池装置の断面図である。
図4図4は、実施形態に係る電池装置の断面図である。
図5図5は、変形例に係る抑制部材を示す断面図である。
図6図6は、変形例に係る導通部材の配置を示す図である。
図7図7は、変形例に係る導通部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する電池装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、図1および図2を用いて、実施形態に係る電池装置の全体構成について説明する。図1は、実施形態に係る電池装置の斜視図である。図2は、実施形態に係る電池装置の分解斜視図である。
【0011】
なお、以下に示す図面において、互いに直交する3軸を示している。具体的には、X軸は、後述する電池セル3の長さ方向の軸であり、Y軸は、電池セル3の幅方向の軸であり、Z軸は、電池セル3の厚み方向の軸である。
【0012】
図1および図2に示すように、実施形態に係る電池装置1は、第1ケース2と、電池セル3と、第2ケース4と、制御基板5と、導通部材6と、抑制部材7と、熱伝導部材8とを備える。
【0013】
第1ケース2は、例えば、金属材料の筐体である。第1ケース2は、電池セル3、第2ケース4、制御基板5、導通部材6、抑制部材7および熱伝導部材8を収容する。
【0014】
電池セル3は、例えば、リチウムイオンバッテリ等の2次電池のセルである。図1に示す例では、電池セル3は、電池セル3の幅方向(Y軸方向)および厚み方向(Z軸方向)それぞれに2つずつ並べて配置される。本実施形態では、電池セル3が4つである場合を示しているが、3つ以下でも、5つ以上であってもよい。また、電池セル3が長さ方向(X軸方向)に並べて配置されてもよい。
【0015】
第2ケース4は、電池セル3を覆う樹脂材料の筐体である。具体的には、第2ケース4は、複数の電池セル3を個々に覆うように配置される。また、図2に示すように、第2ケース4は、抑制部材7の突出部71に対応する位置に孔部41を有するが、かかる点については後述する。
【0016】
制御基板5は、電池セル3の充放電制御や、後述する抑制部材7への電流供給を制御する回路が搭載された制御基板である。図1に示すように、制御基板5は、電池セル3の長さ方向(X軸方向)に並べて配置される。なお、制御基板5は、電池セル3の厚み方向(Z軸方向)に積層されてもよい。
【0017】
導通部材6は、例えば、銅等の導電性部材であり、図1に示す例では、金属材料で構成される板状部材、いわゆるバスバーとして構成される。導通部材6は、制御基板5および抑制部材7を電気的に導通させる。具体的には、導通部材6は、一端が抑制部材7に固定され、他端が制御基板5に固定されることで、電気的に導通させる。
【0018】
抑制部材7は、電池セル3に沿って配置され、電池セル3の膨張を抑制する部材である。具体的には、抑制部材7は、電池セル3に対して厚み方向側に配置される。より具体的には、抑制部材7は、電池セル3の厚み方向側の主面の一部を覆うようにして配置される。また、抑制部材7は、鉄等の金属材料で構成される導体である。
【0019】
そして、制御基板5は、電池セル3の温度が所定値未満であるときに、電池セル3の充放電が行われる場合に、導通部材6を介して抑制部材7に電流を供給する。
【0020】
この結果、抑制部材7に電流が流れることでジュール熱が発生し、かかるジュール熱により電池セル3が暖められる。つまり、抑制部材7は、電池セル3の膨張を抑制する機能に加え、電池セル3を暖めるヒータとしても機能する。
【0021】
従って、実施形態に係る電池装置1によれば、抑制部材7がヒータの機能を兼ね備えるため、別途ヒータを設ける必要がない。このため、実施形態に係る電池装置1によれば、ヒータを省略することで、少なくともヒータの分だけコスト削減およびコンパクト化を実現できる。
【0022】
また、図1および図2に示すように、熱伝導部材8は、電池セル3および抑制部材7の間に配置され、抑制部材7で発生したジュール熱を電池セル3へ伝える。熱伝導部材8は、例えば、シリコーン等を含むシート状部材や、グリス等の液状部材、ゲル状部材等の既知の熱伝導部材を用いることができる。
【0023】
これにより、抑制部材7で発生した熱の電池セル3への伝達効率を高めることができるため、電池セル3を効率よく暖めることができる。
【0024】
ここで、図3および図4を用いて、実施形態に係る電池装置1の断面について説明する。図3および図4は、実施形態に係る電池装置1の断面図である。図3には、図1におけるA-A線で切断した場合の断面を示し、図4には、図1におけるB-B線で切断した場合の断面を示す。
【0025】
図3および図4に示すように、抑制部材7は、板状の部材であり、電池セル3の厚み方向の主面に向かい合って配置される。具体的には、抑制部材7は、4つの電池セル3のうち、厚み方向(Z軸方向)の一方側(Z軸正方向側)に配置される。なお、抑制部材7は、厚み方向の他方側(Z軸負方向側)に配置されてもよい。
【0026】
つまり、抑制部材は、電池セル3の一方の主面側にのみ配置される。これにより、仮に電池セル3の両側に抑制部材7を配置する場合と比べて、コストが嵩むことを抑制できるとともに、コンパクト化を実現できる。
【0027】
また、図3および図4に示すように、抑制部材7の一部は、電池セル3に向かって突出した突出部71である。具体的には、突出部71は、抑制部材7の幅方向(Y軸方向)における略中央部に配置されるとともに、幅方向に並んだ2つの電池セル3それぞれに向かい合って配置される。また、図4に示すように、突出部71は、電池セル3の長さ方向(X軸方向)における略中央に配置される。
【0028】
これにより、電池セル3が膨張した場合に、突出部71に接して抑圧されることで膨張が抑制される。そして、抑制部材7は、突出部71によって電池セル3の膨張を抑制することで、電池セル3の膨張力に対する剛性を高めることができる。
【0029】
また、図3に示すように、抑制部材7は、幅方向(Y軸方向)における一端(Y軸負方向側)に導通部材6が固定される。また、抑制部材7の他端(Y軸正方向側)は、第1ケース2の固定部21に接地される。具体的には、抑制部材7の他端において、孔部72と、固定部21の凹部211とがネジ止めされることで固定される。また、抑制部材7の一端(導通部材6側の端部)は絶縁固定される。
【0030】
これにより、抑制部材7の一端である導通部材6から他端である孔部72へ向かって電流が流れることで、抑制部材7全体がジュール熱により発熱する。
【0031】
そして、抑制部材7で発生した熱は、熱伝導部材8を介して電池セル3へ伝達される。具体的には、熱伝導部材8は、抑制部材7の突出部71および電池セル3の双方に接した状態で固定される。これにより、抑制部材7で発生した熱を電池セル3へ効率良く伝達することができる。
【0032】
また、熱伝導部材8は、電池セル3に接することで、電池セル3の熱を抑制部材7へ伝達できるため、電池セル3の熱を効率良く排熱することで、電池セル3の冷却効率向上にも寄与することができる。
【0033】
さらに、抑制部材7および電池セル3の間に熱伝導部材8が介在することで、抑制部材7を流れる電流が電池セル3で伝わって電池セル3が故障することを回避することができる。
【0034】
また、図3および図4に示すように、第2ケース4の孔部41は、電池セル3および抑制部材7の間における突出部71の位置に設けられる。換言すれば、第2ケース4は、電池セル3のうち、突出部71と向かい合う面以外を覆う。これにより、電池セル3の膨張箇所を孔部41に集約できるため、かかる膨脹を突出部71によって効果的に抑制することができる。
【0035】
さらに、第2ケース4が抑制部材7の突出部71以外の箇所と、電池セル3との間に介在することで、抑制部材7を流れる電流が電池セル3へ伝わって電池セル3が故障することを回避することができる。
【0036】
上述してきたように、実施形態に係る電池装置1は、電池セル3と、抑制部材7と、導通部材6と、制御基板5とを備える。抑制部材7は、電池セル3に沿って配置され、電池セル3の膨張を抑制する導体である。導通部材6は、一端が抑制部材7に固定される。制御基板5は、導通部材6の他端に固定され、導通部材6を介して抑制部材7に電流を供給する。これにより、抑制部材7がヒータの機能を兼ね備えるため、コスト削減およびコンパクト化を実現できる。
【0037】
なお、上述した実施形態では、抑制部材7が電池セル3に対して厚み方向の一方側にのみ配置される場合を示したが、電池セル3の両側に配置されてもよい。かかる点について、図5を用いて説明する。
【0038】
図5は、変形例に係る抑制部材7を示す断面図である。図5に示すように、抑制部材7は、複数の電池セル3の外周を囲むように配置される。また、第2ケース4の孔部41は、電池セル3の厚み方向(Z軸方向)における両側に設けられるとともに、かかる孔部41には、熱伝導部材8が配置される。
【0039】
そして、抑制部材7の一端74には、不図示の導通部材6が固定され、他端75には、不図示の第1ケース2が接地固定される。
【0040】
これにより、導通部材6からの電流が一端74から他端75に向かって流れることで、抑制部材7がジュール熱により発熱し、熱伝導部材8を介して電池セル3を暖めることができる。
【0041】
このように、電池セル3の両側に抑制部材7が配置されることで、電池セル3の一方側にのみ抑制部材7が配置される場合に比べて、電池セル3の膨張をより効果的に抑制できるとともに、電池セル3を均一に暖めることができる。
【0042】
なお、図5では、1つの抑制部材7により電池セル3を囲むことで、厚み方向における両側から暖める構成を示したが、例えば、電池セル3の厚み方向における両側それぞれに別々の抑制部材7を配置し、制御基板5からそれぞれの抑制部材7に電流を供給するようにしてもよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、導通部材6は、抑制部材7の一端に固定され、他端へ向かって電流が流れるよう構成したが、導通部材6の固定位置はこれに限定されるものではない。
【0044】
図6は、変形例に係る導通部材6の配置を示す図である。図6に示すように、導通部材6は、抑制部材7の幅方向(Y軸方向)における略中央部に固定されてもよい。具体的には、導通部材6の一端は、抑制部材7の中央部に位置する突出部71に固定される。
【0045】
また、かかる場合、抑制部材7は、両端が第1ケース2に接地される。つまり、抑制部材7は、一端の孔部72および他端の孔部73それぞれがネジ等によって第1ケース2(固定部21)に接地した状態で固定される。
【0046】
これにより、制御基板5から導通部材6を介して供給された電流が抑制部材7の中央部から両端に向かって流れることで、抑制部材7(突出部71)全体でジュール熱を発生させることができる。
【0047】
また、上述した実施形態では、導通部材6がバスバーである場合を示したが、導通部材6の形態はバスバーに限定されるものではない。
【0048】
図7は、変形例に係る導通部材6を示す図である。図6に示すように、導通部材6は、例えば、銅等の金属材料で構成される線状の部材であってもよい。かかる場合、制御基板5は、例えば、電池セル3に積層して配置してもよい。
【0049】
つまり、導通部材6を線状の部材で構成することで、制御基板5の配置の自由度を高めることができる。
【0050】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 電池装置
2 第1ケース
3 電池セル
4 第2ケース
5 制御基板
6 導通部材
7 抑制部材
8 熱伝導部材
21 固定部
41 孔部
71 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7