(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】取引明細照合システム及び取引明細照合方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240918BHJP
G06F 16/903 20190101ALI20240918BHJP
【FI】
G06Q40/12
G06F16/903
(21)【出願番号】P 2020156860
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】397045699
【氏名又は名称】株式会社東計電算
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】佐野 真樹
(72)【発明者】
【氏名】小澤 泰樹
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-233765(JP,A)
【文献】特開2020-126325(JP,A)
【文献】特開2006-331181(JP,A)
【文献】特開2018-169794(JP,A)
【文献】特開2020-079999(JP,A)
【文献】特開2018-101265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 16/903
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引先と取引元との取引の入金前において該取引先が発行する取引先明細データと該取引元が発行する取引元明細データとを照合する取引明細照合システムであって、
取引先明細データの各項目と取引元明細データの各項目との間の項目対応情報、照合キー情報及び照合項目情報を少なくとも含む取引先マスタ情報を取引先ごとに格納するマスタ情報格納手段と、
対象取引先の取引先明細データ及び該対象取引先に関する取引元明細データを照合対象データとして特定する対象特定手段と、
前記対象取引先の前記取引先マスタ情報に含まれる前記項目対応情報、前記照合キー情報及び前記照合項目情報に基づいて特定される、取引先明細データ及び取引元明細データにおける照合キー項目及び照合項目の項目データを用いて、前記特定された照合対象データに含まれる取引先明細データと取引元明細データとを照合する照合手段と、
前記照合対象データに対する前記照合手段による照合の結果情報が前記対象取引先の情報と関連付けられた照合結果情報を出力する出力手段と、
を備え
、
前記取引先マスタ情報は、前記取引先明細データの書式情報及び前記取引先明細データが電子的に格納されている取引先明細ファイルの情報を更に含み、
前記取引先マスタ情報を用いて、各取引先の取引先明細ファイルから各取引先の取引先明細データをそれぞれ取得するデータ取得手段を更に備え、
取引先の一つである統合取引先の取引先明細ファイルには、該統合取引先の所定組織単位の取引先明細データであって相互に書式が異なる二以上の所定組織単位の取引先明細データが含まれており、
前記統合取引先の前記取引先マスタ情報は、前記統合取引先の取引先明細ファイル内における各所定組織単位の取引先明細データの範囲をそれぞれ指定する二以上の範囲指定情報を更に含み、
前記統合取引先の前記取引先マスタ情報は、前記二以上の範囲指定情報の各々について異なる照合キー情報をそれぞれ含むことができ、
前記照合手段は、前記統合取引先の前記照合対象データが特定された場合には、該照合対象データに含まれる取引先明細データの中の、前記二以上の範囲指定情報で指定される二以上の所定組織単位の取引先明細データの各々に対して、各範囲指定情報に対応する前記照合キー情報で示される照合キー項目の項目データを用いて照合する、
取引明細照合システム。
【請求項2】
前記取引先マスタ情報の前記項目対応情報は、前記取引先明細データ及び前記取引元明細データの対応付けられた項目どうしの書式を合わせるための編集設定情報を含むことができ、
前記編集設定情報は、対応付けられた項目の一方又は両方の項目データに対する指定文字削除、指定文字切り出し、指定文字置換、又は指定フォーマット変換に関する指定情報を含み、
前記照合手段による照合時には、前記照合対象データに含まれる取引先明細データ及び取引元明細データの一方又は両方の前記照合キー項目の項目データが、前記編集設定情報で示される指定文字削除、指定文字切り出し、指定文字置換、又は指定フォーマット変換を適用した状態で照合される、
請求項1に記載の取引明細照合システム。
【請求項3】
前記二以上の範囲指定情報に対応する各照合キー情報は、取引先明細データ及び取引元明細データの照合キー項目どうしの書式を合わせるための編集設定情報をそれぞれ含むことができ、
前記編集設定情報は、照合キー項目の項目データに対する指定文字削除、指定文字切り出し、指定文字置換、又は指定フォーマット変換に関する指定情報を含み、
前記照合手段による照合時には、前記照合対象データに含まれる取引先明細データ及び取引元明細データの一方又は両方の前記照合キー項目の項目データが、前記編集設定情報で示される指定文字削除、指定文字切り出し、指定文字置換、又は指定フォーマット変換が適用された状態で照合される、
請求項
1又は2に記載の取引明細照合システム。
【請求項4】
前記統合取引先の前記取引先マスタ情報は、前記二以上の範囲指定情報の各々について一段階照合又は複数段階照合を指定する照合パターン情報を含むことができ、
前記一段階照合が指定された前記照合パターン情報は、該一段階照合で利用される前記照合キー情報を含み、
前記複数段階照合が指定された前記照合パターン情報は、照合段階ごとに前記照合キー情報をそれぞれ含み、
前記照合手段は、前記統合取引先の前記照合対象データが特定された場合には、該照合対象データに含まれる取引先明細データの中の、前記二以上の範囲指定情報で指定される二以上の所定組織単位の取引先明細データの各々に対して、各範囲指定情報の前記照合パターン情報で指定される前記一段階照合又は前記複数段階照合を行う、
請求項
3に記載の取引明細照合システム。
【請求項5】
前記取引先明細データは、検収データであり、
前記取引元明細データは、納品データ又は売上データであり、
前記照合手段による前記取引先明細データと前記取引元明細データとの照合は、検収照合である、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の取引明細照合システム。
【請求項6】
取引先と取引元との取引の入金前において該取引先が発行する取引先明細データと該取引元が発行する取引元明細データとを照合する取引明細照合方法であって、
取引先明細データの各項目と取引元明細データの各項目との間の項目対応情報、照合キー情報及び照合項目情報を少なくとも含む取引先マスタ情報を取引先ごとに格納するマスタ情報格納手段を備える一以上のコンピュータが、
対象取引先の取引先明細データ及び該対象取引先に関する取引元明細データを照合対象データとして特定する工程と、
前記対象取引先の前記取引先マスタ情報に含まれる前記項目対応情報、前記照合キー情報及び前記照合項目情報に基づいて特定される、取引先明細データ及び取引元明細データにおける照合キー項目及び照合項目の項目データを用いて、前記特定された照合対象データに含まれる取引先明細データと取引元明細データとを照合する工程と、
前記照合対象データに対す
る照合手段による照合の結果情報が前記対象取引先の情報と関連付けられた照合結果情報を出力する工程と、
を実行
し、
前記取引先マスタ情報は、前記取引先明細データの書式情報及び前記取引先明細データが電子的に格納されている取引先明細ファイルの情報を更に含み、
前記取引先マスタ情報を用いて、各取引先の取引先明細ファイルから各取引先の取引先明細データをそれぞれ取得するデータ取得工程を更に備え、
取引先の一つである統合取引先の取引先明細ファイルには、該統合取引先の所定組織単位の取引先明細データであって相互に書式が異なる二以上の所定組織単位の取引先明細データが含まれており、
前記統合取引先の前記取引先マスタ情報は、前記統合取引先の取引先明細ファイル内における各所定組織単位の取引先明細データの範囲をそれぞれ指定する二以上の範囲指定情報を更に含み、
前記統合取引先の前記取引先マスタ情報は、前記二以上の範囲指定情報の各々について異なる照合キー情報をそれぞれ含むことができ、
前記照合手段は、前記統合取引先の前記照合対象データが特定された場合には、該照合対象データに含まれる取引先明細データの中の、前記二以上の範囲指定情報で指定される二以上の所定組織単位の取引先明細データの各々に対して、各範囲指定情報に対応する前記照合キー情報で示される照合キー項目の項目データを用いて照合する、
取引明細照合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引において一方が発行する取引先明細データと他方が発行する取引元明細データとを照合する取引明細照合技術に関する。
【背景技術】
【0002】
企業間或いは企業と消費者との間の取引では、発注書、納品書、請求書、検収書などの取引明細情報が紙面或いは電子データにより発行される。そして、その取引において、納入若しくは仕入れた品物が発注どおりかどうか、過請求となっていないか等が検査される。
例えば、完成品メーカと部品メーカとの間の取引では、部品サプライヤである部品メーカが、自社の納品データ又は売上データと、完成品メーカによって発行された検収データとを照合する場合がある。この場合、部品メーカは、その照合結果によって売掛金の確定等を行うことができる。また、完成品メーカが、自社の発注データ又は仕入データと、部品メーカによって発行された請求書データ又は納品データとを照合する場合もある。これによれば、完成品メーカは、その照合の結果により買掛金の確定等を行うことができる。
【0003】
このような照合を人的作業で行う場合には多くの労力が必要となるため、自動照合のニーズがある。例えば、下記特許文献1には、売上データと検収データを表示すると共に、その売上データと検収データとを自動照合し、一致しているデータをマッチングデータとして、不一致のデータを差異データとしてデータベースに格納する売掛金照合システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような従来の自動照合手法では、実際には整合性が取れた納品データと検収データとであったとしても、一致していると正しく判定できるのはごく一部であり、結局のところ、残りの多くを人手で照合せざるを得ないという問題があった。
これは、取引明細データの書式が取引先ごとに異なること等に起因する。例えば、取引先A社と取引先B社とにおいて、検収データに含まれる項目の並びや項目自体が相違している場合や、同じ製品であっても異なる製品番号で管理されている場合などがある。
このため、従来においては、取引先ごとに照合担当者を分担し、各取引先の取引明細データの書式をそれぞれ習得させることで、照合の精度及び効率を上げているのが実情であって人的負担が大きかった。また照合担当者が退職または職場移動などとなると、新しい照合担当者が一から上記書式の習得をしなければならず、効率が悪かった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、取引明細の照合の人的負担を軽減する取引明細照合技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、取引先と取引元との取引の入金前において該取引先が発行する取引先明細データと該取引元が発行する取引元明細データとを照合する取引明細照合システムであって、取引先明細データの各項目と取引元明細データの各項目との間の項目対応情報、照合キー情報及び照合項目情報を少なくとも含む取引先マスタ情報を取引先ごとに格納するマスタ情報格納手段と、対象取引先の取引先明細データ及び該対象取引先に関する取引元明細データを照合対象データとして特定する対象特定手段と、前記対象取引先の前記取引先マスタ情報に含まれる前記項目対応情報、前記照合キー情報及び前記照合項目情報に基づいて特定される、取引先明細データ及び取引元明細データにおける照合キー項目及び照合項目の項目データを用いて、前記特定された照合対象データに含まれる取引先明細データと取引元明細データとを照合する照合手段と、前記照合対象データに対する前記照合手段による照合の結果情報が前記対象取引先の情報と関連付けられた照合結果情報を出力する出力手段と、を備え、前記取引先マスタ情報は、前記取引先明細データの書式情報及び前記取引先明細データが電子的に格納されている取引先明細ファイルの情報を更に含み、前記取引先マスタ情報を用いて、各取引先の取引先明細ファイルから各取引先の取引先明細データをそれぞれ取得するデータ取得手段を更に備え、取引先の一つである統合取引先の取引先明細ファイルには、該統合取引先の所定組織単位の取引先明細データであって相互に書式が異なる二以上の所定組織単位の取引先明細データが含まれており、前記統合取引先の前記取引先マスタ情報は、前記統合取引先の取引先明細ファイル内における各所定組織単位の取引先明細データの範囲をそれぞれ指定する二以上の範囲指定情報を更に含み、前記統合取引先の前記取引先マスタ情報は、前記二以上の範囲指定情報の各々について異なる照合キー情報をそれぞれ含むことができ、前記照合手段は、前記統合取引先の前記照合対象データが特定された場合には、該照合対象データに含まれる取引先明細データの中の、前記二以上の範囲指定情報で指定される二以上の所定組織単位の取引先明細データの各々に対して、各範囲指定情報に対応する前記照合キー情報で示される照合キー項目の項目データを用いて照合する、取引明細照合システムが提供される。
【0008】
また、本発明によれば、取引先と取引元との取引の入金前において該取引先が発行する取引先明細データと該取引元が発行する取引元明細データとを照合する取引明細照合方法であって、取引先明細データの各項目と取引元明細データの各項目との間の項目対応情報、照合キー情報及び照合項目情報を少なくとも含む取引先マスタ情報を取引先ごとに格納するマスタ情報格納手段を備える一以上のコンピュータが、対象取引先の取引先明細データ及び該対象取引先に関する取引元明細データを照合対象データとして特定する工程と、前記対象取引先の前記取引先マスタ情報に含まれる前記項目対応情報、前記照合キー情報及び前記照合項目情報に基づいて特定される、取引先明細データ及び取引元明細データにおける照合キー項目及び照合項目の項目データを用いて、前記特定された照合対象データに含まれる取引先明細データと取引元明細データとを照合する工程と、前記照合対象データに対する照合手段による照合の結果情報が前記対象取引先の情報と関連付けられた照合結果情報を出力する工程と、を実行し、前記取引先マスタ情報は、前記取引先明細データの書式情報及び前記取引先明細データが電子的に格納されている取引先明細ファイルの情報を更に含み、前記取引先マスタ情報を用いて、各取引先の取引先明細ファイルから各取引先の取引先明細データをそれぞれ取得するデータ取得工程を更に備え、取引先の一つである統合取引先の取引先明細ファイルには、該統合取引先の所定組織単位の取引先明細データであって相互に書式が異なる二以上の所定組織単位の取引先明細データが含まれており、前記統合取引先の前記取引先マスタ情報は、前記統合取引先の取引先明細ファイル内における各所定組織単位の取引先明細データの範囲をそれぞれ指定する二以上の範囲指定情報を更に含み、前記統合取引先の前記取引先マスタ情報は、前記二以上の範囲指定情報の各々について異なる照合キー情報をそれぞれ含むことができ、前記照合手段は、前記統合取引先の前記照合対象データが特定された場合には、該照合対象データに含まれる取引先明細データの中の、前記二以上の範囲指定情報で指定される二以上の所定組織単位の取引先明細データの各々に対して、各範囲指定情報に対応する前記照合キー情報で示される照合キー項目の項目データを用いて照合する、取引明細照合方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、取引明細の照合の人的負担を軽減する取引明細照合技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る取引明細照合システムにより実行される取引明細照合方法の主な流れを概念的に示す図である。
【
図2】照合装置及び照合装置と連携する周辺装置を概念的に示す構成図である。
【
図3】照合装置のソフトウェア構成例を概念的に示す図である。
【
図4】取引先マスタテーブル、取引先フォーマットテーブル、取引先項目テーブル及び項目対応関係テーブルの構成例を示す図である。
【
図5】データ範囲指定テーブル及び照合パターンテーブルの構成例を示す図である。
【
図8】照合装置により実行される取引明細照合方法の一部を示すフローチャートである。
【
図9】照合装置により実行される取引明細照合方法の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に挙げる実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態の構成に限定されない。
【0012】
まず、本実施形態に係る取引明細照合システム(以降、本システムと略称する場合もある)1により実行される取引明細照合方法の概要について
図1を用いて説明する。
図1は、本システム1により実行される取引明細照合方法の主な流れを概念的に示す図である。
本システム1は、いわゆるコンピュータにより構成され、例えば、後述するCPU(Central Processing Unit)によりメモリに格納されるプログラムが実行されることにより、
図1に示される取引明細照合方法を実現する。
【0013】
取引明細照合方法では、取引先と取引元との取引の入金前においてその取引先が発行する取引先明細データとその取引元が発行する取引元明細データとの照合が行われる。
ここで、本実施形態において照合の対象とされる取引先明細データ及び取引元明細データは、或る取引の入金前に取引先又は取引元が発行する、その取引に係る複数種の項目から形成される明細データであればよく、その具体的内容は何ら限定されない。
また、取引先明細データ及び取引元明細データが示す取引の形態についても限定されない。その取引形態の一例として、商品取引が挙げられる。取引先が完成品メーカであり取引元が部品メーカである場合には、例えば、取引先明細データが検収データとなり取引元明細データが納品データ或いは売上データとなり、それらの照合は、検収照合或いは売掛照合と呼ぶことができる。逆に、取引先が部品メーカであり取引元が完成品メーカである場合には、例えば、取引先明細データが請求書データ或いは納品データとなり、取引元明細データが発注データ或いは仕入れデータとなり、それらの照合は、仕入照合或いは買掛照合と呼ぶことができる。
本システム1は、取引元内のシステムとして稼働されてもよいし、取引先と取引元とは異なる第三者のシステムとして稼働されてもよい。
【0014】
取引明細照合方法の実行の前提として、本システム1は、取引先ごとに取引先マスタ情報MIを保持している。上述したように、取引先明細データの書式は、ほとんどの取引先においてそれぞれ異なるため、取引先マスタ情報MIは、各取引先に関する、取引先明細データの各項目と取引元明細データの各項目との間の項目対応情報、照合キー情報及び照合項目情報をそれぞれ少なくとも含む。尚、本明細書において書式とは、データ形式を指すものではなく、データに含まれる各項目や数字などの表記に関し、記載表現、記載形式、記載スタイルを指す。
取引元明細データ及び取引先明細データに含まれる項目には、例えば、顧客ID、グループ番号、品番、品名、部品番号、注文番号、発注番号、納品番号、納期、検収年月日、発注年月日、単価、数量、金額等がある。但し、本システム1で扱われる取引元明細データ及び取引先明細データに含まれる具体的項目は何ら限定されない。
当該項目対応情報は、同じ意味の項目どうしの対応関係を示す情報であり、具体的には、取引先明細データにおける各項目を識別可能な項目IDと取引元明細データにおける各項目を識別可能な項目IDとが対応付けられた情報とされる。例えば、当該項目対応情報では、取引先明細データの「検収年月日」の項目ID(8)と取引元明細データの「売上年月日」の項目ID(9)とが対応付けられる。当該項目対応情報は、取引元明細データ及び取引先明細データに含まれるすべての項目についての対応関係を示してもよいし、一部の項目についての対応関係を示してもよい。
照合キー情報は、照合の際に比較される取引先明細データのデータレコードと取引元明細データのデータレコードとを特定するためのキーとなる項目を示す情報であり、取引先明細データ若しくは取引元明細データの一方又は両方における照合キーとなる項目(照合キー項目)の項目IDを含む。2以上の項目が照合キーとされる場合には、照合キー情報は、取引先明細データ若しくは取引元明細データの一方又は両方における照合キーとなる2以上の項目IDとを含む。
照合項目情報は、照合キー情報で示される照合キー項目で特定されたデータレコード間で実際に照合される(比較される)項目を示す情報であり、取引先明細データ若しくは取引元明細データの一方又は両方における照合項目の項目IDを含む。例えば、「数量」及び「単価」が照合項目とされる場合には、取引先明細データ若しくは取引元明細データの一方又は両方における「数量」及び「単価」に相当する項目の項目IDが照合項目情報として設定される。
このような取引先マスタ情報MIは、後述の例(取引先マスタ登録画面)のように入力画面を介して入力されて本システム1に保持されてもよいし、他のコンピュータなどから受信されて本システム1に保持されてもよい。
【0015】
上述のような取引先ごとの取引先マスタ情報MIを保持する本システム1は、取引元の取引元明細データを取得し、更に、各取引先の取引先明細データをそれぞれ取得する。取引元明細データOM及び取引先明細データDMの各取得方法は何ら制限されない。例えば、本システム1は、電子メールやファクシミリ(FAX)、ファイル転送などにより送られてきた電子データから取引元明細データOM又は取引先明細データDMを取得してもよいし、紙媒体から読み取りを行ってそれらを取得してもよいし、入力画面を介して入力された情報に基づいてそれらを取得してもよい。
【0016】
本システム1は、対象取引先の取引先明細データDM及びその対象取引先に関する取引元明細データOMを照合対象データとして特定し、特定された照合対象データに含まれる取引先明細データDMと取引元明細データOMとを照合する。
取引先明細データDMと取引元明細データOMとの照合では、例えば、対象取引先の取引先マスタ情報に含まれる項目対応情報及び照合キー情報に基づいて、お互いに照合キー項目の項目データが合致する取引先明細データDMのデータレコードと取引元明細データOMのデータレコードとが特定される。そして、それら特定された各データレコードにおいて、当該取引先マスタ情報に含まれる照合項目情報で示される照合項目の項目データどうしが合致するか否かが判定される。但し、具体的な照合方法については、対象取引先の取引先マスタ情報に含まれる項目対応情報、照合キー情報及び照合項目情報に基づいた照合であれば、特に制限されない。
【0017】
このような照合の後、本システム1は、照合対象データに対する照合の結果情報が対象取引先の情報と関連付けられた照合結果情報RIを出力する。
照合結果情報RIは、照合の結果情報と対象取引先の情報とが関連付けられた情報であればよく、その具体的内容は制限されない。照合結果情報RIの具体例は後述する。
また、照合結果情報RIの出力形態についても何ら制限されない。例えば、本システム1は、照合結果情報RIを表示装置に表示させてもよいし、印刷装置に印刷させてもよいし、他のコンピュータ等に送信してもよいし、他のコンピュータや可搬型記憶媒体にファイルとして格納させてもよい。
【0018】
このように本システム1により実行される取引明細照合方法によれば、取引先ごとに書式が異なる取引先明細データであっても、取引先明細データに関する情報を取引先ごとに取引先マスタ情報として保持しておくことにより、取引先明細データと取引元明細データとを適切に自動照合することができる。特に、取引先マスタ情報に含まれる取引先明細データと取引元明細データとの項目対応情報、照合キー情報及び照合項目情報を用いた照合により、取引明細データの書式の違いを解消して、誤って不一致と判定される取引明細データのレコードを減らすことができる。
結果、本実施形態によれば、取引明細の照合の人的負担を軽減することができる。
入金消込時には、「金額」といった一定の項目間の照合ですむところ、入金前に発行される取引先明細データ及び取引元明細データは、表記の仕方や項目の書式などが多様となり易く、それらの照合を自動かつ適切に行うのはとても困難となる。
本実施形態によれば、このような入金前に発行される取引先明細データ及び取引元明細データの照合を適切かつ自動に行うことができる。
【0019】
以下、より具体的な例を用いて、上述した取引明細照合方法を更に詳述する。
以下の例(以降、本例と表記する場合もある)では、照合装置10が取引明細照合方法を実行する。即ち、上述の取引明細照合システム1が1台の照合装置10として実現される例を示す。但し、取引明細照合システム1は、複数台のコンピュータで実現されてもよい。
【0020】
図2は、照合装置10及び照合装置10と連携する周辺装置を概念的に示す構成図である。本例では、照合装置10は、複数の取引先(取引先A、取引先H、取引先P等)と商品取引を行う企業(取引元と表記する)内に設けられており、各取引先により発行される検収データと自社で発行される納品データとを照合する。このため、照合装置10による照合は、検収照合或いは売掛照合と呼ぶことができる。
照合装置10は、自社内において納品データを管理する取引元サーバ2と通信網3を介して通信可能に接続されており、取引元サーバ2から各取引先との取引に関する納品データを取得することができる。
取引元サーバ2は、照合装置10に納品データを提供可能なコンピュータであればよく、その他の機能やハードウェア構成等は何ら制限されない。なお、納品データの詳細については後述する。
【0021】
また、照合装置10は、各取引先の取引先サーバ7(#1)、7(#8)等と通信網6を介して通信可能に接続されており、各取引先により発行される検収データを取引先サーバ7(#1)、7(#8)等から取得することができる。
取引先サーバ7(#1)、7(#8)等は、照合装置10に検収データを提供可能なコンピュータであればよく、その他の機能やハードウェア構成等は何ら制限されない。以降、取引先サーバ7(#1)、7(#8)等は、各々を区別する必要がある場合を除き、取引先サーバ7と総称する。なお、検収データの詳細については後述する。
通信網3及び6は、携帯電話回線網、Wi-Fi(Wireless Fidelity)回線網、インターネット通信網、専用回線網、LAN(Local Area Network)等である。本実施形態では、照合装置10と取引元サーバ2及び取引先サーバ7との間の通信形態は制限されない。
また、
図2に示される取引先Pのように、照合装置10は、電子媒体ではなく紙媒体で検収データを提供する取引先により発行される検収データであっても照合対象とすることができる。
【0022】
〔装置構成〕
照合装置10は、いわゆるコンピュータであり、
図2に示されるように、バスで相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、通信ユニット13、入出力インタフェース(I/F)14等を有する。
CPU11には、一般的なCPUに加えて、特定用途向け集積回路(ASIC)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等も含まれる。
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。
通信ユニット13は、取引元サーバ2や取引先サーバ7等の他のコンピュータとの通信網3又は6を介した通信や、他の機器との信号のやりとり等を行う。通信ユニット13には、可搬型記録媒体等も接続され得る。
【0023】
入出力I/F14は、出力装置15、入力装置16等のユーザインタフェース装置と接続可能である。出力装置15は、表示装置、プリンタ装置、音声出力装置等である。表示装置は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイのような、CPU11等により処理された描画データに対応する画面を表示する装置である。入力装置16は、キーボード、マウス等のようなユーザ操作の入力を受け付ける装置である。出力装置15の表示装置及び入力装置16は一体化され、タッチパネルとして実現されてもよい。
但し、
図2に例示される各ハードウェア構成はそれぞれ例であり、照合装置10は、図示されていない他のハードウェア要素を含んでもよい。また、各ハードウェア要素の数も
図2の例に制限されない。例えば、照合装置10は、複数のCPU11を有していてもよい。
【0024】
〔ソフトウェア構成〕
図3は、照合装置10のソフトウェア構成例を概念的に示す図である。照合装置10は、ソフトウェア要素として、マスタ情報格納部20、マスタ登録部21、検収データ格納部22、納品データ格納部23、データ取得部24、対象特定部25、照合処理部26、出力処理部27等を有する。これら各ソフトウェア要素は、例えば、CPU11によりメモリ12に格納されるプログラムが実行されることによりそれぞれ実現され、モジュールと呼ぶこともできる。当該プログラムは、例えば、CD(Compact Disc)、メモリカード等のような可搬型記録媒体やネットワーク上の他のコンピュータから通信ユニット13を介してインストールされ、メモリ12に格納されてもよい。
【0025】
マスタ情報格納部20は、取引先ごとの取引先マスタ情報を格納する。取引先マスタ情報は、上述したとおり、各取引先に関する、取引先明細データ(検収データ)の各項目と取引元明細データ(納品データ)の各項目との間の項目対応情報、照合キー情報及び照合項目情報をそれぞれ少なくとも含む。
ここで「検収データ」とは、発注通り或いは仕様通りに一以上の商品が納入されたことを取引先が確認したことを示すデータであり、納入された商品の個数、単価、金額、品番等の二以上の項目から形成される。本例では、検収データは、一以上の検収単位のデータレコードから形成され、各検収単位のデータレコードを検収データレコードと表記する場合がある。検収単位は、例えば、商品単位、品番単位等である。
「納品データ」とは、取引元が取引先に納入した商品に関する明細を示すデータであり、納入した商品の個数、単価、金額、品番等の二以上の項目から形成される。本例では、納品データは、一以上の納品単位のデータレコードから形成され、各納品単位のデータレコードを納品データレコードと表記する場合がある。納品単位は、例えば、商品単位、品番単位等である。「納品データ」は、売上データと呼ぶこともできる。
【0026】
本例では、マスタ情報格納部20は、
図4及び
図5に例示されるように、取引先マスタテーブル、取引先フォーマットテーブル、取引先項目テーブル、項目対応関係テーブル、データ範囲指定テーブル、及び照合パターンテーブルにより当該取引先マスタ情報を格納する。
図4は、取引先マスタテーブル、取引先フォーマットテーブル、取引先項目テーブル及び項目対応関係テーブルの構成例を示す図である。
【0027】
取引先マスタテーブルは、各取引先の検収データに関するサマリ情報を格納するテーブルであり、検収Gコード、検収G名称、担当者ID、検収区分、範囲指定有無、照合項目、検収ファイル指定、照合対象年月等の情報を取引先ごとに格納する。
検収Gコードは、各取引先を識別し得るIDを示し、後述のマスタ登録部21により新たな取引先が登録される場合に付与される。
検収G名称は、各取引先を見分けるために付与される名称を示す。
担当者IDは、各取引先を担当する取引元の担当者を識別し得るIDを示す。
検収区分は、各取引先が取引元に提供する検収情報が電子媒体(EDI)であるか紙媒体であるかを示す。
範囲指定有無は、一つの取引先から電子媒体として提供される検収ファイル(電子ファイル)内に各々書式が異なる二以上の検収データが含まれており、当該検収ファイル内におけるそれら二以上の検収データの範囲をそれぞれ指定しているか否かを示す。以降、このように検収ファイル内に各々書式が異なる二以上の検収データが含まれている取引先を統合取引先と表記する。統合取引先の検収ファイルに含まれる各検収データは、拠点単位や工場単位、部署単位等のような統合取引先内の所定組織単位の検収データとなっている。
照合項目は、各取引先の検収データの照合項目を示し、例えば、照合項目の項目番号を含む。このように、本例では、検収データ及び納品データの各項目を識別する項目IDは、項目番号と表記される。また、取引先マスタテーブルは、照合項目情報を含むと表記できる。
検収ファイル指定は、各取引先から電子媒体として提供されその取引先の検収データが格納される検収ファイル(電子ファイル)を指定する情報であり、検収ファイルの名称及びパス(フォルダ)を示す。
照合対象年月は、照合対象とされる年月を示す。
【0028】
取引先フォーマットテーブルは、各取引先の検収ファイルの形式に関する情報を格納するテーブルであり、検収Gコード、ファイル形式、見出開始行及び読取開始行等の情報を取引先ごとに格納する。取引先フォーマットテーブルは、検収ファイル(電子ファイル)から検収データを読み出すために利用される。
検収Gコードは上述したとおりである。
ファイル形式は、各取引先の検収ファイルの形式を示し、市販の表計算ソフトの形式、CSV(Comma Separated Value)形式、TSV(Tab Separated Value)形式、固定長形式等のいずれか一つを示す。
見出開始行は、各取引先の検収ファイル内の見出情報が配置されている開始行を示す。
読取開始行は、各取引先の検収ファイル内の検収データが配置されている開始行を示す。
【0029】
取引先項目テーブルは、各取引先の検収データに含まれる項目情報を格納するテーブルであり、検収Gコード、項目番号、項目名、項目読取情報等を取引先の検収データの項目ごとに格納する。取引先項目テーブルには、検収データに含まれる全ての項目に関する情報が格納されてもよいし、照合に必要となる一部の項目に関する情報のみが格納されてもよい。
項目番号は、各取引先の検収データに含まれる各項目を識別し得るIDを示し、項目IDと表記することもできる。
項目名は、各項目の名称を示す。
項目読取情報は、検収ファイル内の各項目の項目データの位置情報を示し、例えば、検収ファイルから各項目の項目データを読み取るための各項目データの位置やデータ長を示す。
【0030】
項目対応関係テーブルは、同じ意味の項目どうしの対応関係を示す上述した項目対応情報を格納するテーブルである。即ち、項目対応関係テーブルは、検収データにおける各項目を識別可能な項目番号と納品データにおける各項目を識別可能な項目番号との対応関係情報を格納する。項目対応関係テーブルは、検収Gコード、検収項目番号、納品項目番号、及び編集設定情報を取引先ごとに格納する。
検収Gコードは上述したとおりである。
検収項目番号は、検収Gコードで識別される取引先の検収データの項目番号を示し、納品項目番号は、検収項目番号で識別される項目と同じ意味を持つ納品データの項目番号を示す。
【0031】
編集設定情報は、検収データ及び納品データの対応付けられた項目どうしの書式を合わせるための設定情報である。
上述したように、検収データと納品データとはそもそも項目構成が相互に異なり、同じ意味を持つ項目どうしであったとしても、その項目のデータ形式が異なる場合がある。そこで、項目対応関係テーブルに検収項目番号と納品項目番号との対応関係を保持することで項目構成の違いを吸収し、更に、項目間のデータ形式の違いをその編集設定情報で吸収する。
このため、編集設定情報は、対応付けられた項目の一方又は両方の項目データに対する指定文字削除、指定文字切り出し、指定文字置換、又は指定フォーマット変換に関する指定情報等を含む。そして、この編集設定情報に基づいて、照合時には、検収データ及び納品データの一方又は両方の照合キー項目の項目データが、その編集設定情報で示される指定文字削除、指定文字切り出し、指定文字置換、又は指定フォーマット変換などを適用した状態で照合される。
このような編集設定情報を用いて検収データ(取引先明細データ)及び納品データ(取引元明細データ)の対応付けられた項目どうしの書式を合わせることで、自動照合で完了させるデータレコードを増やすことができる。
【0032】
例えば、取引先Aの検収データの項目番号「3」の「発注番号」と納品データの項目番号「2」の「注文番号」とが対応付けられる場合には、項目対応関係テーブルには、取引先Aを示す検収Gコード、検収項目番号「3」及び納品項目番号「2」を含むレコードが格納される。そして、検収データの「発注番号」のデータ形式が「A-0001」のようなハイフンを含む形式であり、納品データの「注文番号」のデータ形式が「A0001」のようなハイフンを含まない形式である場合には、当該レコードの編集設定情報には、指定文字「-(ハイフン)」を削除することを示す指定情報が設定される。
また、検収データの「発注番号」のデータ形式が「A1-001C」、「B2-002D」といった形式であり、納品データの「注文番号」のデータ形式が「001」、「002」のような形式である場合には、当該レコードの編集設定情報には、4文字目から6文字目を切り出すことを示す指定情報が設定される。
また、検収データの「発注番号」のデータ形式が「A-001」、「B-002」といった形式であり、納品データの「注文番号」のデータ形式が「A+001」、「B+002」のような形式である場合には、当該レコードの編集設定情報には、指定文字「-(ハイフン)」を指定文字「+(プラス)」に置換することを示す指定情報が設定される。
また、検収データの「発注番号」のデータ形式が「A1」、「B2」といった形式であり、納品データの「注文番号」のデータ形式が「A001」、「B002」のような形式である場合には、当該レコードの編集設定情報には、2文字目以降を指定文字「0(ゼロ)」を詰めて3桁の形式に変換することを示す指定情報が設定される。
なお、このような編集設定情報が不要となる項目どうしの対応関係では、編集設定情報に編集なしを示す情報が設定されればよい。また、編集設定情報には、上述した指定文字削除、指定文字切り出し、指定文字置換、指定フォーマット変換以外の指定情報が設定されてもよい。
【0033】
図5は、データ範囲指定テーブル及び照合パターンテーブルの構成例を示す図である。
データ範囲指定テーブルは、統合取引先の検収ファイル内における各所定組織単位の検収データの範囲を指定する範囲指定情報を格納するテーブルである。データ範囲指定テーブルは、統合取引先の所定組織単位の検収データごとに、検収Gコード、データ範囲番号、データ範囲名称、納品データ内範囲指定、検収データ内範囲指定等の情報を格納する。
検収Gコードは上述したとおりであり、同一の統合取引先における複数の所定組織単位は、同一の検収Gコードで扱われる。従来の検収照合では、同一の統合取引先から送られてきた1つの検収ファイルに複数の所定組織単位の検収データが含まれている場合には、その1つの検収ファイルを複数の所定組織単位ごとのファイルに分割して、所定組織単位ごとに検収照合をしており、非常に手間がかかっていた。またこのようなケースにおいて、複数の所定組織単位の検収データの項目の書式が異なる場合があり(たとえば納品データにおける「部品番号」に対応する項目が、統合取引先A社の第一工場では「注文番号」として表記され、同A社の第二工場では「検収品番」で表記されるなど)、検収照合の作業を非常に複雑にしていた。このようなケースにもデータ範囲指定テーブルを用いることで人的負担を軽減し、検収照合を実施することができる。つまり、データ範囲指定テーブルを有することで、1つの統合取引先における1つの検収ファイルに含まれる複数の所定組織単位ごとの検収照合を、取り扱いファイル数を増やす作業を必要とせず、かつ適宜、所定組織単位ごとに異なる項目の表記を、納品データの表記に合わせて編集することができる。以下により具体的に説明する。
【0034】
データ範囲番号は、一つの統合取引先内における各所定組織単位の検収データの範囲をそれぞれ識別するIDを示す。
データ範囲名称は、データ範囲番号で識別される所定組織単位の検収データの範囲の名称を示す。
納品データ内範囲指定は、統合取引先に関する納品データ内における、データ範囲番号で識別される所定組織単位の検収データに対応する納品データの範囲を示す。例えば、納品データ内範囲指定は、納品データの特定項目(例えば「注文部署」)を示す項目番号と、その特定項目の項目データの特定値(例えば「部署A」)とを含み、その特定項目の項目データがその特定値を示すデータ範囲を指定する。
検収データ内範囲指定は、統合取引先の検収データ内における、データ範囲番号で識別される所定組織単位の検収データの範囲を示す。例えば、検収データ内範囲指定は、検収データの特定項目(例えば「備考」)を示す項目番号と、その特定項目の項目データの特定値(例えば「B工場」)とを含み、その特定項目の項目データがその特定値を示すデータ範囲を指定する。
【0035】
照合パターンテーブルは、検収データに対する取引先ごとの照合パターン情報を格納する。照合パターン情報は、一段階照合又は複数段階照合のいずれか一方を示すと共に、各照合段階において利用される一以上の照合キー項目の項目番号を含む。このため、一段階照合の照合パターン情報は、その一段階照合で利用される照合キー項目の項目番号を含み、複数段階照合の照合パターン情報は、照合段階ごとに照合キー項目の項目番号をそれぞれ含む。このため、照合パターンテーブルは、照合キー情報を含むと表記できる。
また、統合取引先の照合パターン情報については、その統合取引先の所定組織単位ごとに照合パターン情報がそれぞれ格納される。これにより、一つの統合取引先であっても、所定組織単位ごとに異なる照合パターンを指定することができる。
【0036】
本例における照合パターンテーブルでは、各レコードが一つの照合段階の照合パターンを示す。即ち、二段階照合は、照合パターンテーブルの二つのレコードで示され、三段階照合は、照合パターンテーブルの三つのレコードで示される。
照合パターンテーブルの各レコードには、検収Gコード、データ範囲番号、照合パターン番号、照合パターン名称、優先順位、納品データ内照合キー項目、納品データ内照合キー項目編集情報、検収データ内照合キー項目、検収データ内照合キー項目編集情報等の情報が格納される。
検収Gコードは上述したとおりである。
データ範囲番号は、データ範囲指定テーブルに格納されるデータ範囲番号と同一である。
照合パターン番号は、複数段階照合が指定される場合に各照合段階の照合パターンを識別するための番号である。このため、一段階照合が指定される場合には、照合パターン番号は付与されなくてもよいし、固定値(例えば1)が付されてもよい。
照合パターン名称は、各照合パターンの名称である。
優先順位は、複数段階照合が指定される場合に各照合パターン番号で示される照合パターンの優先順位を示す。優先順位は、各照合パターンの照合段階(一段階目が最高優先順位であり、段階数の増加に応じて優先順位が下がる)を示すと言い換えることもできる。
ところで、データ範囲番号は、範囲指定無しの取引先の照合パターン情報では不要となり、照合パターン番号及び優先順位は、一段階照合の照合パターン情報では不要となる。このように不要となる場合に、データ範囲番号、照合パターン番号及び優先順位は、任意に設定されてもよいし、初期値、固定値、値無し等に設定されてもよい。以降、このような場合には「設定なしとされる」或いは「未設定状態とされる」と表記する。
【0037】
以上より、例えば、範囲指定無しの取引先に関して一段階照合の照合パターンが登録される場合には、照合パターンテーブルには、その取引先の検収Gコード及び任意に指定された照合パターン名称を含む1レコードが格納される。なお、このレコードにおけるデータ範囲番号、照合パターン番号及び優先順位は、未設定状態とされる。
また、範囲指定無しの取引先に関して三段階照合の照合パターンが登録される場合には、照合パターンテーブルには、その取引先の検収Gコードを含む三つのレコードが格納される。各レコードは、三段階照合の中の各照合段階の照合パターンをそれぞれ示し、各照合パターンの照合パターン番号、照合パターン名称及び優先順位をそれぞれ含む。
また、三つの所定組織単位の検収データの範囲が指定される統合取引先に関して所定組織単位ごとに一段階照合の照合パターンが登録される場合には、照合パターンテーブルには、その統合取引先の検収Gコードを含む三つのレコードが格納される。各レコードは、その統合取引先の各所定組織単位の照合パターンをそれぞれ示し、各所定組織単位の検収データの範囲を識別するデータ範囲番号及び任意の照合パターン名称をそれぞれ含む。なお、各レコードにおける照合パターン番号及び優先順位は、未設定状態とされる。
また、二つの所定組織単位の検収データの範囲が指定される統合取引先に関して第一の所定組織単位に一段階照合の照合パターンが登録され、第二の所定組織単位に二段階照合の照合パターンが登録される場合には、照合パターンテーブルには、その統合取引先の検収Gコードを含む三つのレコードが格納される。その中の一レコードは、第一の所定組織単位の一段階照合の照合パターンを示し、第一の所定組織単位の検収データの範囲を識別するデータ範囲番号及び任意の照合パターン名称を含み、そのレコードの照合パターン番号及び優先順位は未設定状態とされる。残りの二レコードは、第二の所定組織単位の二段階照合の照合パターンを示し、各レコードは、第二の所定組織単位の検収データの範囲を識別するデータ範囲番号、並びに二段階照合の中の各照合段階の照合パターンに関する照合パターン番号、照合パターン名称及び優先順位をそれぞれ含む。
【0038】
納品データ内照合キー項目は、その照合パターンで利用される納品データにおける照合キー項目を示す項目番号を示し、検収データ内照合キー項目は、その照合パターンで利用される検収データにおける照合キー項目を示す項目番号を示す。
図5に示されるように、本例の照合パターンテーブルでは、各照合パターンを示す一レコードに、複数の納品データ内照合キー項目及び複数の検収データ内照合キー項目を設定することができる。
また、納品データ内照合キー項目の各々に対して納品データ内照合キー項目編集情報が設定可能であり、検収データ内照合キー項目の各々に対して検収データ内照合キー項目編集情報が設定可能である。
納品データ内照合キー項目編集情報及び検収データ内照合キー項目編集情報は、納品データ及び検収データの照合キー項目どうしの書式を合わせるための編集設定情報である。具体的には、納品データ内照合キー項目編集情報は、対応する納品データ内照合キー項目の項目データに対する、指定文字削除、指定文字切り出し、指定文字置換、又は指定フォーマット変換等に関する指定情報含み、検収データ内照合キー項目編集情報は、対応する検収データ内照合キー項目の項目データに対する、指定文字削除、指定文字切り出し、指定文字置換、又は指定フォーマット変換等に関する指定情報を含む。
これら指定情報は、項目対応関係テーブルの編集設定情報と同様であればよいため、ここでは詳細説明は割愛する。また、項目データに対して編集(加工)の必要がない照合キー項目については、対応する納品データ内照合キー項目編集情報又は対応する検収データ内照合キー項目編集情報が未設定状態とされればよい。
これにより、照合時には、検収データ及び納品データの一方又は両方の照合キー項目の項目データが、納品データ内照合キー項目編集情報及び検収データ内照合キー項目編集情報で示される指定文字削除、指定文字切り出し、指定文字置換、指定フォーマット変換等が適用された状態で照合されることになる。
このような編集情報を用いて検収データ(取引先明細データ)及び納品データ(取引元明細データ)の照合キー項目どうしの書式を合わせることで、自動照合で完了させるデータレコードを増やすことができる。
【0039】
マスタ登録部21は、
図4及び
図5に示されるような取引先ごとの取引先マスタ情報をマスタ情報格納部20に格納する。取引先マスタ情報の生成は、様々な手法により実現可能である。例えば、マスタ登録部21は、他のコンピュータから通信により取引先マスタ情報を受信して、その取引先マスタ情報をマスタ情報格納部20に格納してもよい。
また、マスタ登録部21は、入力画面を出力装置15の一つである表示装置に表示させ、その入力画面に対する入力装置16を用いたユーザ操作により入力された情報に基づいて、取引先マスタ情報を生成することもできる。
【0040】
図6は、取引先マスタ登録画面の例を示す図である。例えば、マスタ登録部21は、
図6に例示される取引先マスタ登録画面(以降、登録画面と略称する場合もある)を出力装置15に表示させて、その取引先マスタ登録画面に対するユーザ操作で得られるデータに基づいて、取引先マスタ情報を生成することができる。
登録画面は、中央の太線で区切られた各行に、取引先マスタテーブルの各レコードのデータを表示する。
図6の例では、検収Gコード「000010」の取引先(名称:株式会社A)、検収Gコード「000011」の取引先(名称:B株式会社)、及び検収Gコード「000012」の取引先(名称:株式会社C)に関する3つのサマリ情報が表示されている。登録画面の「範囲指定」の欄には、取引先マスタテーブルの範囲指定有無の情報が表示され、登録画面の「検収ファイルパス」及び「検収ファイル名」の欄には、同テーブルの検収ファイル指定の情報が表示される。
【0041】
登録画面の各行には、更に、フォーマットボタンと対応関係ボタンがそれぞれ表示されている。フォーマットボタンが押下操作されると、その行で示される取引先に関する取引先フォーマットテーブル及び取引先項目テーブルのレコードデータを設定可能な画面(図示せず)が表示される。対応関係ボタンが押下操作されると、その行で示される取引先に関する項目対応関係テーブルのレコードデータを設定可能な画面(図示せず)が表示される。
また、登録画面の各行の照合キー欄には、登録ボタンがそれぞれ表示されている。その登録ボタンが押下操作されると、その行で示される取引先に関する照合パターンテーブル及びデータ範囲指定テーブルのレコードデータを設定可能な画面(図示せず)が表示される。例えば、照合パターンテーブルのレコードデータを設定可能な照合パターン登録画面が表示され、対象となる取引先が統合取引先である場合に、その照合パターン登録画面から、データ範囲指定テーブルのレコードデータを設定可能な範囲指定画面に移行可能に構成されてもよい。但し、表示される各画面構成は何ら限定されない。
【0042】
取引先マスタ登録画面の上方に配置されている行追加ボタンが押下操作された場合には、マスタ登録部21は、取引先マスタテーブルに新たな取引先のレコードを追加するべく、登録画面の中央の欄に新たな行を追加表示する。
また、取引先マスタ登録画面の行削除ボタンが押下された場合には、マスタ登録部21は、確認画面の表示後、登録画面の中央の欄の選択されている行を削除して、取引先マスタテーブルの対応するレコードも削除する。
このようにして、マスタ登録部21は、取引先ごとの取引先マスタ情報をマスタ情報格納部20に格納することができる。
【0043】
検収データ格納部22は、各取引先の検収データを格納する。検収データ格納部22に格納される検収データにはその取引先を示す検収Gコード、データ範囲番号及び照合状態が関連付けられ、当該検収データに含まれる各検収データレコードには照合フラグ及び照合IDがそれぞれ関連付けられる。
納品データ格納部23は、各取引先に関する納品データを格納する。納品データ格納部23に格納される納品データには、対応する取引先を示す検収Gコード、データ範囲番号及び照合状態が関連付けられ、当該納品データに含まれる各納品データレコードには照合フラグ及び照合IDがそれぞれ関連付けられる。
【0044】
検収データ及び納品データに関連付けられるデータ範囲番号は、それらデータが統合取引先に関するものである場合にデータ取得部24により付与され、それらデータが統合取引先以外の取引先に関する者である場合には未設定状態(初期値、値無し、ゼロ等)とされる。
【0045】
検収データ及び納品データに関連付けられる照合状態は、その検収データ及び納品データの照合状態を示し、「未照合」、「未処置有り」又は「処置完了」のいずれか一つを示す。「未照合」は、同一取引先の同一照合対象年月の検収データに関して照合処理部26による自動照合が一度も実行されていない状態を示す。「未処置有り」は、当該検収データに関して自動照合が実行された結果、不一致となったデータレコードがありかつ後述するハンド照合で処置されていないデータレコードが存在する状態を示す。「処置完了」は、当該検収データに関して自動照合が実行された結果、不一致となった全てのデータレコードに対してハンド照合で処置された状態、又は当該自動照合で全てのデータレコードが一致した状態を示す。なお、照合状態の初期値は「未照合」である。
【0046】
各検収データレコード及び各納品データレコードに関連付けられる照合フラグは、照合キー項目に関しては合致状態となる検収データレコード及び納品データレコードの組合せが存在している場合に両方の照合フラグがON状態とされ、そのような組合せが存在していない場合に両方の照合フラグがOFF状態とされる。
各検収データレコード及び各納品データレコードに関連付けられる照合IDは、照合キー項目及び照合項目の両方に関して合致状態となる検収データレコード及び納品データレコードの組合せが存在している場合に、その組合せを識別し得るユニークな値に設定され、存在していない場合に、未設定状態(0又は値無し)に設定される。
このため、照合フラグがON状態でユニークな照合IDが設定されている検収データレコードは、自動照合により整合性が確認されていることを示す。一方で、照合フラグがON状態で照合IDが未設定状態である検収データレコードは、自動照合により照合キー項目が合致状態となる納品データレコードが存在していたが、その納品データレコードとは照合項目が不一致状態と判定されたことを示す。また、照合フラグがOFF状態で照合IDが未設定状態である検収データレコードは、照合キー項目が合致状態となる納品データレコードが存在しないと判定されたことを示す。
なお、照合フラグの初期状態はOFF状態とされ、照合IDの初期状態は未設定状態とされる。
【0047】
データ取得部24は、納品データ及び検収データを取得する。具体的には、データ取得部24は、取引元サーバ2から通信網3を介して納品データを受信し、受信された納品データを納品データ格納部23に格納する。
このとき、データ取得部24は、取引元サーバ2から納品データと共にその納品データの取引先の情報(例えば検収Gコード)を取得してもよいし、受信された納品データに含まれる項目データから取引先の検収Gコードを割り出してもよい。これにより、データ取得部24は、受信された納品データを対応する検収Gコードと共に納品データ格納部23に格納することができる。
【0048】
また、データ取得部24は、各取引先により発行された検収データが電子的に格納されている検収ファイル(電子ファイル)を、各取引先の取引先サーバ7から通信網6を介して受信する。データ取得部24は、マスタ情報格納部20に格納される各取引先の取引先マスタ情報を用いて、その受信された検収ファイルから検収データを読み出し、その検収データを対応する検収Gコードと関連付けて検収データ格納部22に格納する。このため、データ取得部24は、取引先マスタ情報を用いて、各取引先の取引先明細ファイル(検収ファイル)から各取引先の取引先明細データ(検収データ)をそれぞれ取得するデータ取得手段と表記することができる。
検収ファイルの名称及びパスは、取引先マスタテーブルの検収ファイル指定から入手することができ、検収ファイルからの検収データの読み出しには、取引先フォーマットテーブル、取引先項目テーブル及び項目対応関係テーブルの情報を利用することができる。これにより、検収データは、検収データを構成する項目ごとに区分けして、納品データの各項目と対応付け可能な状態で、更に必要に応じて、納品データの対応する項目データの書式と合うように編集された状態で検収データ格納部22に格納される。
【0049】
また、データ取得部24は、統合取引先の取引先サーバ7から受信された検収ファイルから、その統合取引先の所定組織単位の検収データであって相互に書式が異なる二以上の所定組織単位の検収データを読み出すこともできる。このとき、データ取得部24は、データ範囲指定テーブルの検収データ内範囲指定の情報を用いて、検収ファイル内の二以上の検収データの範囲をそれぞれ把握して、検収ファイルから二以上の所定組織単位の検収データを読み出すことができる。この場合、データ取得部24は、各所定組織単位の検収データを統合取引先を示す検収Gコード及びデータ範囲番号と関連付けて検収データ格納部22に格納することができる。
また、統合取引先に関する納品データに関しても同様に、対応するデータ範囲番号と関連付けられて納品データ格納部23に格納される。納品データに関連付けるデータ範囲番号は、取引元サーバ2から取得する際に予め納品データに付与されていてもよいし、受信された納品データに含まれる項目データから割り出してもよい。
【0050】
また、データ取得部24は、
図2に示される取引先Pのように紙媒体で検収情報が提供された場合、その検収情報に基づいてユーザ操作により検収データが入力され、その入力された検収データを納品データ格納部23に格納してもよい。また、データ取得部24は、紙媒体を撮像した画像から周知の画像認識技術を用いることで、検収データを自動生成するようにしてもよい。
【0051】
対象特定部25は、検収データ格納部22及び納品データ格納部23に格納される検収データ及び納品データの中から照合対象となる検収データ及び納品データを特定する。特定された検収データ及び納品データは、対象取引先の照合対象データと表記することができる。
このとき、対象特定部25は、検収データ格納部22及び納品データ格納部23に格納される検収データ及び納品データに基づいて、照合対象とすることができる取引先情報リストを出力装置15に表示させてもよい。この場合、対象特定部25は、そのリストの中からユーザ操作で選択された取引先(対象取引先)の検収データ及び納品データを照合対象データとして特定することができる。
また、対象特定部25は、検収データ格納部22及び納品データ格納部23に格納される検収データ及び納品データの中で、関連付けられている照合状態が未照合を示す検収データ及び納品データの全てを照合対象データとして特定してもよい。
【0052】
照合処理部26は、マスタ情報格納部20に格納される取引先マスタ情報で示される照合パターン情報及び照合項目に基づいて、対象特定部25により照合対象データとして特定された検収データと納品データとを照合する。このとき、照合処理部26は、特定された検収データの検収Gコードに基づいて、その検収Gコードに対応する照合パターン情報(レコード)を照合パターンテーブルの中から抽出し、その検収Gコードに対応する照合項目を取引先マスタテーブルの中から抽出し、抽出された照合パターン情報及び照合項目を用いる。具体的には、その照合パターン情報が一段階照合を示す場合(一つのレコードが抽出された場合)には、照合処理部26は、その照合パターン情報に含まれる納品データ内照合キー項目及び検収データ内照合キー項目に基づいて、納品データ内照合キー項目の項目データと検収データ内照合キー項目の項目データとが一致する納品データレコード及び検収データレコードを特定し、それらデータレコードにおける当該照合項目の項目データの比較により照合を行う。その照合パターン情報が複数段階照合を示す場合(二以上のレコードが抽出された場合)には、照合処理部26は、各照合段階に対応する照合パターン情報(レコード)に含まれる納品データ内照合キー項目及び検収データ内照合キー項目に基づいて、照合段階ごとに当該照合をそれぞれ実行する。
【0053】
納品データ内照合キー項目に対応する編集情報及び検収データ内照合キー項目に対応する編集情報が設定されている場合には、照合処理部26は、納品データ内照合キー項目の項目データ又は検収データ内照合キー項目の項目データの一方又は両方に対して、その編集情報で示される指定文字削除、指定文字切り出し、指定文字置換、指定フォーマット変換等の編集(加工)を適用した状態で、各項目データを比較する。
また、項目対応関係テーブルにおいて検収データ及び納品データの各照合項目の対応関係に編集設定情報が設定されている場合には、照合処理部26は、納品データの照合項目の項目データ又は検収データの照合項目の項目データの一方又は両方に対して、その編集設定情報で示される指定文字削除、指定文字切り出し、指定文字置換、指定フォーマット変換等の編集(加工)を適用した状態で、各項目データを照合する。
【0054】
また、対象特定部25により統合取引先の照合対象データが特定された場合には、その照合対象データに含まれる各所定組織単位の検収データの照合において、その統合取引先の検収Gコード及びその所定組織単位の検収データの範囲を示すデータ範囲番号に対応する照合パターン情報がそれぞれ用いられる。
その統合取引先の検収Gコード及びその所定組織単位の検収データの範囲を示すデータ範囲番号に対応する照合パターン情報が多段階照合を示す場合(複数のレコードが抽出された場合)には、照合段階ごとの照合パターン情報を用いて当該各所定組織単位の検収データの照合において多段階照合が行われる。
本例によれば、書式がそれぞれ異なる所定組織単位の検収データが統合取引先の一つの検収ファイル(電子ファイル)に格納されている場合であっても、データ範囲指定や照合パターンを所定組織単位ごとに取引先マスタ情報に登録しておくことで、所定組織単位の検収データに対してその所定組織単位の照合パターンを用いて照合を行うことができるため、煩雑な作業を要することなく、自動照合を適切に完了させることができる。
【0055】
ところで、照合処理部26は、自動照合の実行過程において、照合対象データに含まれる検収データ及び納品データに関連付けられる照合状態、その検収データ及び納品データに含まれる各検収データレコード及び各納品データレコードに関連付けられる照合フラグ及び照合IDを設定する。
【0056】
出力処理部27は、照合処理部26による照合結果を出力装置15に出力させる。具体的には、出力処理部27は、照合対象データに対する照合処理部26による照合の結果情報が対象取引先の情報と関連付けられた照合結果情報を出力装置15に出力させる。この照合結果情報の出力形態は、上述したとおり制限されない。
【0057】
図7は、照合ステータス画面の例を示す図である。出力処理部27は、当該照合結果情報として
図7に例示される照合ステータス画面を出力装置15に表示させてもよい。
照合ステータス画面は、中央の太線で区切られた各行に、各取引先の情報として取引先マスタテーブルの各レコードのデータを表示する。
図7の例では、検収Gコード「000010」の取引先(名称:株式会社A)、検収Gコード「000011」の取引先(名称:B株式会社)、及び検収Gコード「000012」の取引先(名称:株式会社C)に関する3つの取引先情報が表示されている。照合ステータス画面の「対象年月」の欄には、取引先マスタテーブルの照合対象年月が表示される。
【0058】
照合ステータス画面の「納品総件数」の列の「件数」の欄には、対象取引先の検収Gコードと関連付けられており同じ照合対象年月(又はその照合対象年月に相当する情報)が設定されている納品データに含まれる納品データレコードの総数が表示される。
同画面の「検収総件数」の列の「件数」の欄には、対象取引先の検収Gコードと関連付けられており同じ照合対象年月が設定されている検収データに含まれる検収データレコードの総数が表示される。
同画面の「照合マッチ」の列の「件数」の欄には、照合処理部26による自動照合の結果、合致すると判定された検収データレコードの件数が表示される。この件数は、検収データ格納部22において照合対象の各検収データレコードにそれぞれ関連付けられて格納される照合IDを用いて算出されてもよい。
同画面の「未検収」の列の「件数」の欄には、照合処理部26による自動照合の結果、納品データには存在するが検収データには存在しないと判定された納品データレコードの件数が表示される。同列の「未処置」の欄には、同列の「件数」の欄に表示される件数のうち後述するハンド照合で処置されていない件数が表示される。
同画面の「過検収」の列の「件数」の欄には、照合処理部26による自動照合の結果、検収データには存在するが納品データには存在しないと判定された検収データレコードの件数が表示される。同列の「未処置」の欄には、同列の「件数」の欄に表示される件数のうち後述するハンド照合で処置されていない件数が表示される。
これら「未検収」及び「過検収」の各件数は、検収データ格納部22において照合対象の各検収データレコードにそれぞれ関連付けられて格納される照合フラグ及び照合ID、並びに、納品データ格納部23において照合対象の各納品データレコードにそれぞれ関連付けられて格納される照合フラグ及び照合IDを用いて算出されてもよい。
同画面の「単価差」の列の「件数」の欄には、照合処理部26による自動照合の結果、照合キー項目の項目データ間は一致しているが「単価」の照合項目の項目データに差があると判定された検収データレコードの件数が表示される。同列の「未処置」の欄には、同列の「件数」の欄に表示される件数のうち後述するハンド照合で処置されていない件数が表示される。
同画面の「数量差」の列の「件数」の欄には、照合処理部26による自動照合の結果、照合キー項目の項目データ間は一致しているが「数量」の照合項目の項目データに差があると判定された検収データレコードの件数が表示される。同列の「未処置」の欄には、同列の「件数」の欄に表示される件数のうち後述するハンド照合で処置されていない件数が表示される。
同画面の「単数UM」の列の「件数」の欄には、照合処理部26による自動照合の結果、照合キー項目の項目データ間は一致しているが「数量」及び「単価」の照合項目の両方の項目データにそれぞれ差があると判定された検収データレコードの件数が表示される。同列の「未処置」の欄には、同列の「件数」の欄に表示される件数のうち後述するハンド照合で処置されていない件数が表示される。
これら「単価差」、「数量差」及び「単数UM」の件数は、照合処理部26による自動照合の過程で算出されて保持されてもよい。
同画面の「状態」の列には、「未照合」、「未処置有り」又は「処置完了」のいずれか一つが表示される。これは、検収データ格納部22において照合対象の検収データに関連付けられて格納される照合状態を用いて表示されてもよい。
【0059】
照合処理部26は、上述のような自動照合処理に加えて、ユーザ操作による照合(ハンド照合と表記する)を可能とする処理を実行することもできる。具体的には、照合処理部26は、照合IDが未設定状態となっている検収データレコード及び納品データレコードを提示するハンド照合画面を出力装置15に表示させ、そのハンド照合画面に対するユーザ操作により選択された検収データレコード及び納品データレコードの組合せを照合完了状態(照合IDを設定する)とするようにしてもよい。更に、この場合には、照合処理部26は、照合完了状態とされた検収データレコード及び納品データレコードの組合せの照合フラグに、ハンド照合で処置されたことを示すフラグ状態を設定するようにしてもよい。
照合処理部26は、そのようなフラグ状態等を検出することで、対象となる検収データ及び納品データに関連付けられる照合状態に、「未処置有り」又は「処置完了」を設定することができる。
【0060】
〔動作例/取引明細照合方法〕
以下、上述の照合装置10の動作例として取引明細照合方法について
図8及び
図9を用いて説明する。
図8及び
図9は、照合装置10により実行される取引明細照合方法の一部を示すフローチャートである。
図8及び
図9で図示されている各工程は、照合装置10が有する上述の各ソフトウェア要素の処理内容と同様であるため、各工程の詳細は適宜省略される。
【0061】
取引明細照合方法の実行にあたり、照合対象となる取引先(対象取引先)の検収データがその対象取引先の検収Gコード及び照合状態(未照合)に関連付けられて検収データ格納部22に格納されている。同様に、対象取引先に関する納品データもその対象取引先の検収Gコード及び照合状態(未照合)に関連付けられて納品データ格納部23に格納されている。また、各検収データレコード及び各納品データレコードに関連付けられる照合フラグはOFF状態とされ、それらに関連付けられる照合IDは未設定状態とされる。
更に、その対象取引先の取引先マスタ情報がマスタ情報格納部20に格納されている。
【0062】
取引明細照合方法が実行されると、まず、対象特定部25は、検収データ格納部22及び納品データ格納部23に格納される検収データ及び納品データの中から照合対象となる検収データ及び納品データを照合対象データとして特定する(S80)。特定された照合対象データは、対象取引先の検収データ及び対象取引先に関する納品データであって、照合対象年月の検収データ及び納品データとなっている。
ここで、説明を分かり易くするために、二つの所定組織単位(第一及び第二の所定組織単位)の検収データの範囲が指定される統合取引先が対象取引先として選ばれた場合を例に挙げて、各工程の説明を行うこととする。
つまり、(S80)で特定された照合対象データでは、統合取引先内の二つの所定組織単位の各検収データ及び各納品データが第一の所定組織単位に対応するデータ範囲番号(1)又は第二の所定組織単位に対応するデータ範囲番号(2)とそれぞれ関連付けられている。
【0063】
続いて、照合処理部26は、マスタ登録部21に格納される取引先マスタ情報の中から、対象取引先の取引先マスタ情報を特定する。この特定は、(S80)で特定された照合対象データに関連付けられている検収Gコード(以降、対象検収Gコードと表記する)を用いて行うことができる。以降、対象取引先の取引先マスタ情報は具体的なテーブル名で表記される。
照合処理部26は、取引先マスタテーブルにおける対象取引先のレコードに含まれる範囲指定有無を参照し、範囲指定有りか否かを判定する(S81)。ここでは、対象取引先が統合取引先であるため、範囲指定有りが設定されている。
【0064】
照合処理部26は、範囲指定有りと判定された場合には(S81;YES)、データ範囲指定テーブルの中から対象検収Gコードを含むレコードを特定し、そのレコードに含まれるデータ範囲番号を特定する(S82)。ここでは、データ範囲指定テーブルの中から統合取引先の対象検収Gコードを含む二つのレコードが抽出され、その中の一つのレコードに含まれる第一の所定組織単位に対応するデータ範囲番号(1)が特定される。
【0065】
更に、照合処理部26は、(S80)で特定された照合対象データの中から、(S82)で特定されたデータ範囲番号(1)と関連付けられている第一の所定組織単位の検収データ及び納品データを照合対象データとして特定する(S83)。
【0066】
次に、照合処理部26は、照合パターン番号を特定する(S84)。具体的には、照合処理部26は、照合パターンテーブルの中から対象検収Gコード及びデータ範囲番号(1)を含むレコードを特定し、そのレコードに含まれる照合パターン番号を特定する(S84)。
ここで、第一の所定組織単位の検収データに関しては、二段階照合の指定、即ち二つの照合パターンが照合パターンテーブルに登録されているものとする。このため、照合パターンテーブルの中から対象検収Gコード及びデータ範囲番号(1)を含む二つのレコードが特定され、その中の優先順位が高い一方のレコードに含まれる照合パターン番号(1)がまず特定される。これは、一段階目の照合に関する照合パターンの特定と言い換えることができる。
【0067】
照合処理部26は、(S84)で特定された照合パターン番号(1)と共にそのレコードに含まれる納品データ内照合キー項目及びその編集情報、並びに検収データ内照合キー項目及びその編集情報を特定する(S85)。
【0068】
続いて、照合処理部26は、(S83)で特定された照合対象データから、照合IDが未設定状態でありかつ照合フラグがOFF状態である一つの納品データレコードを選択する(S86)。
選択された納品データレコードが存在する場合(S87;YES)、照合処理部26は、(S85)で特定された照合キーに関する情報に基づいて、(S83)で特定された照合対象データの中から、(S86)で選択された納品データレコードの照合キー項目の項目データと一致する照合キー項目の項目データを有する検収データレコードを検索する(S88)。このとき、(S85)で特定された納品データ内照合キー項目の編集情報及び検収データ内照合キー項目の編集情報が設定されている場合には、納品データレコードの照合キー項目の編集後の項目データと検収データレコードの照合キー項目の編集後の項目データとを比較する。
【0069】
(S88)の検索で検収データレコードがヒットした場合(S89;YES)、照合処理部26は、(S86)で選択された納品データレコード及び(S88)の検索でヒットした検収データレコードの各照合フラグをそれぞれON状態に設定する(S90)。
続けて、照合処理部26は、(S86)で選択された納品データレコードの照合項目の項目データと、(S88)の検索でヒットした検収データレコードの照合項目の項目データとを比較する(S91)。照合項目に関する情報は、取引先マスタテーブルにおける対象取引先のレコードから取得することができ、納品データレコード及び検収データレコードの照合項目の対応関係は、項目対応関係テーブルから取得することができる。
このとき、納品データレコード及び検収データレコードの照合項目に関して項目対応関係テーブルに編集設定情報が設定されている場合には、納品データレコードの照合項目の項目データ若しくは検収データレコードの照合項目の項目データの一方又は両方が当該編集設定情報に基づいて編集された状態で比較される。
【0070】
(S91)における照合項目どうしの比較で一致と判定された場合(S92;YES)、照合処理部26は、比較された納品データレコード及び検収データレコードに共通の照合IDを設定する(S93)。この照合IDにより、相互に一致したデータレコードの組合せをすぐに把握することができるようになる。なお、(S91)の比較で不一致と判定された場合(S92;NO)、(S93)は実行されず、照合IDは設定されない。
続けて、照合処理部26は、(S86)で選択された納品データレコードの次の納品データレコードを選択する(S94)。次の納品データレコードが選択された場合(S87;YES)、その選択された納品データレコードを用いて(S88)以降が実行される。
(S83)で特定された照合対象データの中の、照合IDが未設定状態でありかつ照合フラグがOFF状態である全ての納品データレコードに関して、上述の工程が終了すると(S87;NO)、次に、(S96)が判定される。
【0071】
(S96)では、照合処理部26は、次の照合パターンが存在するか否かを判定する。具体的には、照合処理部26は、照合パターンテーブルの中から特定された対象検収Gコード及びデータ範囲番号(1)を含む次のレコードが存在するか否かを判定する。
ここで、第一の所定組織単位の検収データに関しては二段階照合の指定がなされており、照合パターンテーブルの中から対象検収Gコード及びデータ範囲番号(1)を含む二つのレコードが特定されていたため、もう一つのレコードが残っていることになる。
そこで、照合処理部26は、次の照合パターンが存在すると判定し(S96;YES)、次の照合パターンの照合パターン番号(2)を特定する(S84)。これは、二段階目の照合に関する照合パターンの特定と言い換えることができる。以降、照合パターン番号(2)に関して(S85)以降が実行されることになる。尚、一段階目の照合で一致したレコードについては、二段階目の照合は行わないと設定することもできるし、一段階目の照合の結果に関わらず、二段階目の照合を実施すると設定することもできる。
【0072】
二段階目の照合が完了し、次の照合パターンが存在しないと判定されると(S96;NO)、照合処理部26は、(S81)で範囲指定有りと判定されておりかつ残りのデータ範囲が存在するか否かを判定する(S98)。上述の流れでは、データ範囲指定テーブルの中から統合取引先の対象検収Gコードを含む二つのレコードが抽出されており、その中の一つのレコードに含まれる第一の所定組織単位に対応するデータ範囲番号(1)が特定されていたため、ここでは、第二の所定組織単位に対応するデータ範囲番号(2)が残っている。
そこで、照合処理部26は、(S81)で範囲指定有りと判定されておりかつ残りのデータ範囲が存在すると判定し(S98;YES)、残りの第二の所定組織単位に対応するデータ範囲番号(2)を特定する(S82)。以降、この特定されたデータ範囲番号(2)に関して(S83)以降が実行される。
その後、データ範囲番号(2)に関する処理が完了して、残りのデータ範囲が存在しないと判定すると(S98;NO)、照合処理部26は、取引明細照合処理を完了する。
【0073】
上述の説明では、対象取引先として統合取引先が選択された場合を例に挙げたが、統合取引先ではない取引先が対象取引先として選択された場合には、次のような流れとなる。
即ち、照合処理部26は、取引先マスタテーブルにおける対象取引先のレコードに含まれる範囲指定有無を参照すると、範囲指定無しが設定されているため、範囲指定無しと判定し(S81;NO)、(S82)及び(S83)を実行せず、照合パターン番号の特定(S84)を実行する。
そして、(S98)では、範囲指定無しの判定により(S98;NO)、取引明細照合処理が完了する。
【0074】
このように本例によれば、一つの取引先から電子媒体として提供される検収ファイル(電子ファイル)内に各々書式が異なる二以上の検収データが含まれているような取引先(統合取引先)であっても、その統合取引先内の所定組織単位の検収データを、その他の取引先の検収データと同様に、適切に自動照合することができる。
また、個々の検収データの書式の違いを取引先マスタ情報を用いた照合により吸収して、誤って不一致と判定される検収データ及び納品データのレコードを減らすことができ、ひいては、取引明細の照合の人的負担を軽減することができる。
【0075】
但し、
図8及び
図9に示す取引明細照合方法のフローは一例に過ぎず、各工程の実行順序や、各工程の内容は、図示される例に限定されない。
例えば、
図8及び
図9の例では、納品データレコード群を基準にした照合のみが実行されたが、検収データレコードを基準にした照合のみが実行されるようにしてもよい。また、納品データレコード群を基準にして最初に照合を行い、次に検収データレコード群を基準にして更に照合を行うようにしてもよいし、最初に検収データレコード群を基準にして照合を行い、次に納品データレコードを基準にして照合を行うようにしてもよい。その他、
図8及び
図9に示されるフローは、適宜変形可能である。
【0076】
[変形例]
上述の実施形態は、上述の内容に限定されるわけではなく、部分的に適宜変形することができる。
例えば、項目対応関係テーブルに格納される編集設定情報や、照合パターンテーブルに格納される納品データ内照合キー項目編集情報及び検収データ内照合キー項目編集情報に基づく、項目データの編集(加工)は、照合においてそれら項目データが比較される際に既に行われていればよく、その比較の直前に行われてもよいし、データ取得部24により検収データ又は納品データが検収データ格納部22又は納品データ格納部23に格納される際に行われてもよい。
また、上述の例では、統合取引先の各所定組織単位の検収データは、データ範囲番号と関連付けられて検収データ格納部22に格納されたが、データ範囲番号と関連付けられずに格納されてもよい。後者の場合には、その検収データが検収データ格納部22から読み出されて、取引明細照合処理で利用される際にデータ範囲番号と関連付けられてもよい。
また、上述の例では、統合取引先に関する納品データにおいても、データ範囲番号と関連付けられて納品データ格納部23に格納されたが、納品データについてはデータ範囲番号と関連付けられないようにしてもよい。この場合、データ範囲指定テーブルには納品データ内範囲指定は格納されないようにし、検収データに関連付けられたデータ範囲番号を用いて所定組織単位に対応する照合パターンが特定されるようにしてもよい。
また、上述の例における取引先項目テーブル及び項目対応関係テーブルには、データ範囲番号のフィールドが設けられていないが、それらの各テーブルにデータ範囲番号のフィールドを設けてもよい。この場合には、データ範囲番号ごと、即ち所定組織単位ごとに、各項目の情報や、検収データと納品データとの項目対応関係の情報を管理することができる。
【0077】
また、納品データは、統合取引先における各所定組織単位ごとに納品データレコードを分けて表記しているのに対し、これに対応する検収データとして、各所定組織単位の検収データレコードではなく、総合取引先として集計された検収データが提供される場合がある。このような場合、従来であれば検収照合が非常にやり難にくく、属人的に1つ1つのレコードを確認する必要があった。しかし本発明によれば、取引先Aの検収データに関し、項目対応テーブルにおける編集設定情報において、たとえば、納品データに含まれる各所定組織単位の名称(たとえば取引先Aの第一工場、第二工場、第三工場など)を示す項目データを総合取引先の名称(取引先A)に置換するとい情報を付加することによって、取引先Aとして集計された検収データと、自動照合を行うことができる。
【0078】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)取引先と取引元との取引の入金前において該取引先が発行する取引先明細データと該取引元が発行する取引元明細データとを照合する取引明細照合システムであって、
取引先明細データの各項目と取引元明細データの各項目との間の項目対応情報、照合キー情報及び照合項目情報を少なくとも含む取引先マスタ情報を取引先ごとに格納するマスタ情報格納手段と、
対象取引先の取引先明細データ及び該対象取引先に関する取引元明細データを照合対象データとして特定する対象特定手段と、
前記対象取引先の前記取引先マスタ情報に含まれる前記項目対応情報、前記照合キー情報及び前記照合項目情報に基づいて特定される、取引先明細データ及び取引元明細データにおける照合キー項目及び照合項目の項目データを用いて、前記特定された照合対象データに含まれる取引先明細データと取引元明細データとを照合する照合手段と、
前記照合対象データに対する前記照合手段による照合の結果情報が前記対象取引先の情報と関連付けられた照合結果情報を出力する出力手段と、
を備える取引明細照合システム。
(2)前記取引先マスタ情報の前記項目対応情報は、前記取引先明細データ及び前記取引元明細データの対応付けられた項目どうしの書式を合わせるための編集設定情報を含むことができ、
前記編集設定情報は、対応付けられた項目の一方又は両方の項目データに対する指定文字削除、指定文字切り出し、指定文字置換、又は指定フォーマット変換に関する指定情報を含み、
前記照合手段による照合時には、前記照合対象データに含まれる取引先明細データ及び取引元明細データの一方又は両方の前記照合キー項目の項目データが、前記編集設定情報で示される指定文字削除、指定文字切り出し、指定文字置換、又は指定フォーマット変換を適用した状態で照合される、
上記(1)に記載の取引明細照合システム。
(3)前記取引先マスタ情報は、前記取引先明細データの書式情報及び前記取引先明細データが電子的に格納されている取引先明細ファイルの情報を更に含み、
前記取引先マスタ情報を用いて、各取引先の取引先明細ファイルから各取引先の取引先明細データをそれぞれ取得するデータ取得手段を更に備え、
取引先の一つである統合取引先の取引先明細ファイルには、該統合取引先の所定組織単位の取引先明細データであって相互に書式が異なる二以上の所定組織単位の取引先明細データが含まれており、
前記統合取引先の前記取引先マスタ情報は、前記統合取引先の取引先明細ファイル内における各所定組織単位の取引先明細データの範囲をそれぞれ指定する二以上の範囲指定情報を更に含み、
前記統合取引先の前記取引先マスタ情報は、前記二以上の範囲指定情報の各々について異なる照合キー情報をそれぞれ含むことができ、
前記照合手段は、前記統合取引先の前記照合対象データが特定された場合には、該照合対象データに含まれる取引先明細データの中の、前記二以上の範囲指定情報で指定される二以上の所定組織単位の取引先明細データの各々に対して、各範囲指定情報に対応する前記照合キー情報で示される照合キー項目の項目データを用いて照合する、
上記(1)又は(2)に記載の取引明細照合システム。
(4)前記二以上の範囲指定情報に対応する各照合キー情報は、取引先明細データ及び取引元明細データの照合キー項目どうしの書式を合わせるための編集設定情報をそれぞれ含むことができ、
前記編集設定情報は、照合キー項目の項目データに対する指定文字削除、指定文字切り出し、指定文字置換、又は指定フォーマット変換に関する指定情報を含み、
前記照合手段による照合時には、前記照合対象データに含まれる取引先明細データ及び取引元明細データの一方又は両方の前記照合キー項目の項目データが、前記編集設定情報で示される指定文字削除、指定文字切り出し、指定文字置換、又は指定フォーマット変換が適用された状態で照合される、
上記(3)に記載の取引明細照合システム。
(5)前記統合取引先の前記取引先マスタ情報は、前記二以上の範囲指定情報の各々について一段階照合又は複数段階照合を指定する照合パターン情報を含むことができ、
前記一段階照合が指定された前記照合パターン情報は、該一段階照合で利用される前記照合キー情報を含み、
前記複数段階照合が指定された前記照合パターン情報は、照合段階ごとに前記照合キー情報をそれぞれ含み、
前記照合手段は、前記統合取引先の前記照合対象データが特定された場合には、該照合対象データに含まれる取引先明細データの中の、前記二以上の範囲指定情報で指定される二以上の所定組織単位の取引先明細データの各々に対して、各範囲指定情報の前記照合パターン情報で指定される前記一段階照合又は前記複数段階照合を行う、
上記(3)又は(4)に記載の取引明細照合システム。
(6)前記取引先明細データは、検収データであり、
前記取引元明細データは、納品データ又は売上データであり、
前記照合手段による前記取引先明細データと前記取引元明細データとの照合は、検収照合である、
上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の取引明細照合システム。
(7)取引先と取引元との取引の入金前において該取引先が発行する取引先明細データと該取引元が発行する取引元明細データとを照合する取引明細照合方法であって、
取引先明細データの各項目と取引元明細データの各項目との間の項目対応情報、照合キー情報及び照合項目情報を少なくとも含む取引先マスタ情報を取引先ごとに格納するマスタ情報格納手段を備える一以上のコンピュータが、
対象取引先の取引先明細データ及び該対象取引先に関する取引元明細データを照合対象データとして特定する工程と、
前記対象取引先の前記取引先マスタ情報に含まれる前記項目対応情報、前記照合キー情報及び前記照合項目情報に基づいて特定される、取引先明細データ及び取引元明細データにおける照合キー項目及び照合項目の項目データを用いて、前記特定された照合対象データに含まれる取引先明細データと取引元明細データとを照合する工程と、
前記照合対象データに対する前記照合手段による照合の結果情報が前記対象取引先の情報と関連付けられた照合結果情報を出力する工程と、
を実行する取引明細照合方法。
【符号の説明】
【0079】
1 取引明細照合システム(本システム)
2 取引元サーバ
3、6 通信網
7 取引先サーバ
10 照合装置
11 CPU
12 メモリ
13 通信ユニット
14 入出力I/F
15 出力装置
16 入力装置
20 マスタ情報格納部
21 マスタ登録部
22 検収データ格納部
23 納品データ格納部
24 データ取得部
25 対象特定部
26 照合処理部
27 出力処理部