(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0201 20230101AFI20240918BHJP
【FI】
G06Q30/0201
(21)【出願番号】P 2020157747
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小藤 美紗子
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-186548(JP,A)
【文献】特開2015-166938(JP,A)
【文献】特開2020-126567(JP,A)
【文献】特開2004-287925(JP,A)
【文献】米国特許第08219438(US,B1)
【文献】米国特許第05877485(US,A)
【文献】特開2019-067263(JP,A)
【文献】特表2016-511392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が操作する端末装置から、
少なくとも、商品の種別及び分類を特定可能な情報、前記商品のセールの有無を表す情報、前記商品に対して登録操作が行われたか取消操作が行われたかを表す情報、及び前記登録操作又は前記取消操作が行われた日時、を対応付けた記録データを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記記録データから前記取消操作が行われた
ことを表す情報が含まれた第1記録データを抽出する抽出部と、
前記抽出部で抽出された前記第1記録データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記第1記録データに基づいて、
取消操作の対象となった第1商
品を当該第1商品の種別毎に
分析した分析情報を生成する分析情報生成部と、
前記分析情報を出力する出力制御部と、
を備え
、
前記分析情報生成部は、前記第1商品の種別毎に、当該第1商品の種別と
、当該第1商品の前記セールの有無
を表す情報と
、を
対応付けた前記分析情報を生成する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記抽出部は、前記受信部が受信した前記記録データの中に、前記第1記録データに係る第1商品の分類と同一又は類似する分類の他の種別の商品である第2商
品に関する情報が含まれている場合、
前記記録データから前記第2商品の前記登録操作が行われたことを表す情報が含まれた第2記録データを抽出し、
前記記憶部は、前記抽出部で抽出された前記第2記録データを、前記第1記録データと対応付けて記憶し、
前記分析情報生成部は、
対応付けて記憶された前記第1記録データ及び前記第2記録データに基づいて、前記第1商品の前記
セールの有無を表す情報と前記第2商品の前記
セールの有無を表す情報とを、比較可能な状態で表した
前記分析情報を生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記分析情報生成部は、所定期間内における前記取消操作が行われた回数を前記商品の種別毎に示した分析情報を生成する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記分析情報生成部は、比較回数として前記第1記録データと前記第2記録データとを対応付けて記憶した回数を、前記第1商品の種別及び前記第2商品の種別の組み合わせ毎に示した分析情報を生成する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記分析情報生成部は、対応付けて記憶された前記第1記録データと前記第2記録データとに含まれる
前記日時を表した分析情報を生成する、
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置のコンピュータを、
顧客が操作する端末装置から、
少なくとも、商品の種別及び分類を特定可能な情報、前記商品のセールの有無を表す情報、前記商品に対して登録操作が行われたか取消操作が行われたかを表す情報、及び前記登録操作又は前記取消操作が行われた日時、を対応付けた記録データを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記記録データから前記取消操作が行われた
ことを表す情報が含まれた第1記録データを抽出する抽出部と、
前記抽出部で抽出された前記第1記録データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記第1記録データに基づいて、
取消操作の対象となった第1商
品を当該第1商品の種別毎に
分析した分析情報を生成する分析情報生成部と、
前記分析情報を出力する出力制御部と、
として機能させるプログラムであって、
前記分析情報生成部は、前記第1商品の種別毎に、当該第1商品の種別と
、当該第1商品の前記セールの有無
を表す情報と
、を
対応付けた前記分析情報を生成する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーマーケット等の店舗において、スマートフォンやショッピングカートに取り付けられた商品登録装置(カートPOSともいう)等を利用して、顧客自身が商品登録処理を行うショッピングシステムの導入が進んでいる。
【0003】
このようなショッピングシステムでは、顧客は、商品の購入を決める度、その場で商品登録処理を行うことになる。このため、当該ショッピングシステムを導入している店舗は、レジで商品登録及び精算を行う場合と比較して様々な情報を取得することができる。
【0004】
例えば、従来、商品の価格を確認した時刻や購入決定した時刻等の情報を取得して、商品の価格を確認した回数等から顧客の購入行動を分析する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところで、商品を生産する生産者にとっては、顧客が購入をとりやめた商品の情報が商品開発や品質の改善等に役立つ場合がある。例えば、生産者は、顧客が購入をとりやめた商品について、価格は何円だったか、セールはあったか等の情報を取得し、業界のトレンド等を加味して分析することで、「品質が平均販売価格に見合っていない可能性がある」といった気付きを得られることがある。
【0006】
しかしながら、従来のショッピングシステムでは、顧客が商品の購入をとりやめたと判断するためには、商品の配置位置や価格を確認した時刻等に基づいて顧客の動線を生成し、当該動線を分析する等の煩雑な処理が必要であり、利便性の点で改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、顧客が購入をとりやめた商品に関する情報をより簡便に取得できる情報処理装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の情報処理装置は、顧客が操作する端末装置から、少なくとも、商品の種別及び分類を特定可能な情報、前記商品のセールの有無を表す情報、前記商品に対して登録操作が行われたか取消操作が行われたかを表す情報、及び前記登録操作又は前記取消操作が行われた日時、を対応付けた記録データを受信する受信部と、前記受信部が受信した前記記録データから前記取消操作が行われたことを表す情報が含まれた第1記録データを抽出する抽出部と、前記抽出部で抽出された前記第1記録データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記第1記録データに基づいて、取消操作の対象となった第1商品を当該第1商品の種別毎に分析した分析情報を生成する分析情報生成部と、前記分析情報を出力する出力制御部と、を備える。前記分析情報生成部は、前記第1商品の種別毎に、当該第1商品の種別と、当該第1商品の前記セールの有無を表す情報と、を対応付けた前記分析情報を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る購入分析システムの一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るカートPOSの外観の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る顧客端末のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る記録テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る顧客端末の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る分析サーバのハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る取消情報テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る比較情報テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る分析サーバの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る分析情報生成部が生成する分析レポートの一例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る分析情報生成部が生成する分析レポートの一例を示す説明図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る分析情報生成部が生成する分析レポートの一例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る分析情報生成部が生成する分析レポートの一例を示す説明図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る生産者端末のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係る生産者端末の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、実施形態の分析サーバが実行する分析レポート送信処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、情報処理装置およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、情報処理装置およびプログラムの一実施形態であって、その構成や仕様等を限定するものではない。本実施形態の情報処理装置は、スーパーマーケット等の店舗において顧客による商品の購入行動の分析を行う分析サーバへの適用例である。
【0011】
図1は、実施形態に係る購入分析システム1の一例を示す説明図である。購入分析システム1は、顧客による商品の購入に係る行動を分析するシステムである。購入分析システム1は、複数の顧客端末10と、分析サーバ20と、複数の生産者端末30とを備える。複数の顧客端末10と、分析サーバ20と、複数の生産者端末30とは、ネットワークを介して、通信可能に接続されている。
【0012】
顧客端末10は、顧客が使用する端末である。例えば、顧客端末10は、スマートフォンや、タブレット端末等の携帯端末である。また、顧客端末10は、
図2に示すように、カートPOS(Point of Sales)11に取り付けられた端末であってもよい。なお、顧客端末10は、「端末装置」の一例である。
【0013】
ここで、
図2は、カートPOS11の外観の一例を示す斜視図である。カートPOS11は、ショッピングカート12に顧客端末10が取り付けられた装置である。顧客端末10は、商品に付されているバーコード等のコードシンボルを読み取ることで販象の商品を登録する。
【0014】
さらに、顧客端末10は、登録した商品の会計処理を実行する。顧客端末10が取り付けられたカートPOS11の場合、顧客は、顧客端末10に商品に付されているコードシンボルを読取らせることで商品登録を行いながら商品を収集することができる。なお、本実施形態では、会計処理を実行可能な顧客端末10を例に説明するが、顧客端末10は、商品の登録のみを実行可能な構成としてもよい。
【0015】
顧客端末10は、顧客が一取引中に行った商品の登録操作及び登録された商品の取消操作の操作履歴を記録した記録データを分析サーバ20に送信する。なお、取引とは、一人の顧客に対して商品登録処理を開始してから会計処理を終了するまでをいう。
【0016】
分析サーバ20は、顧客による商品の購入に係る行動を分析する情報処理装置である。例えば、分析サーバ20は、サーバ装置やパーソナルコンピュータである。例えば、分析サーバ20は、店舗に設けられた店舗サーバによって実現されてもよい。なお、分析サーバ20は、一台の情報処理装置に限らず、複数のサーバ装置により構成されていてもよい。
【0017】
分析サーバ20は、顧客端末10から記録データを受信する。分析サーバ20は、記録データから取消操作が行われた商品に関する取消情報を抽出し、記憶する。分析サーバ20は、取消情報に基づいて、取消操作の対象となった商品の特性を当該商品の種別毎に表した分析レポートを生成し、生産者端末30へ送信する。
【0018】
生産者端末30は、商品の生産者が使用する端末である。例えば、生産者端末30は、パーソナルコンピュータ、または、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末である。生産者端末30は、分析サーバ20から分析レポートを受信する。なお、生産者は、個人であってもメーカ等の集団であってもよい。
【0019】
なお、購入分析システム1には、
図1に示す装置以外の装置を備えていてもよい。例えば、購入分析システム1は、複数の分析サーバ20を備え、複数の分析サーバ20を管理する管理サーバを備えていてもよい。この場合、管理サーバは、各分析サーバ20が生成した分析レポートをまとめて生産者端末30へ送信する。
【0020】
次に、顧客端末10のハードウェア構成について説明する。
図3は、顧客端末10のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
顧客端末10は、制御部101、記憶部102、通信インタフェース103、スキャナ104、及びタッチパネルディスプレイ105を備える。これら各部は、データバスやアドレスバス等のシステムバス106を介して相互に接続している。
【0022】
制御部101は、顧客端末10の全体の動作を制御し、顧客端末10が有する各種の機能を実現するコンピュータである。制御部101は、CPUと、ROMと、RAMと、を備える。
【0023】
CPUは、顧客端末10の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM又は記憶部102等に格納されたプログラムを実行する。
【0024】
記憶部102は、フラッシュメモリなどの記憶装置である。記憶部102は、制御プログラム107を記憶する。制御プログラム107は、オペレーティングシステムや、顧客端末10が備えている機能を発揮させるためのプログラムである。制御プログラム107には、本実施形態に係る特徴的な機能を発揮させるプログラムが含まれる。
【0025】
また、記憶部102は、記録データテーブル108を記憶する。記録データテーブル108は、記録データを記憶する。具体的には、記録データテーブル108は、顧客が入店してから会計処理を行うまでの一取引の間に行った商品の登録操作及び登録された商品の取消操作の操作履歴を含む記録データを記憶するためのテーブルである。
【0026】
なお、顧客端末10は、例えば、顧客が商品登録処理用のプログラムを起動させた時間を顧客の入店時間と判断するものとする。
【0027】
図4は、顧客端末10の記憶部102に記憶された記録データテーブル108の一例を示す説明図である。この例では、記録データテーブル108は、No、商品名称、商品コード、商品分類、生産者、価格、セール、配置場所、処理、及び処理日時を対応付けて記憶する。なお、No、商品名称、商品コード、商品分類、生産者、価格、セール、配置場所、処理、及び処理日時は、「記録データ」の一例である。
【0028】
Noは、処理に関する情報を区別するための番号である。Noは、例えば、顧客が入店してから初めて行った商品登録処理に関する情報を1とし、次に行った処理に関する情報を2とするといったように、商品登録処理または商品登録処理の取消処理(以下、取消処理という)毎に付される番号である。商品名称は、商品登録処理または取消処理に係る商品の名称を表す情報である。
【0029】
商品コードは、商品登録処理または取消処理に係る商品の商品コードを表す情報である。商品分類は、商品登録処理または取消処理に係る商品の分類を表す情報である。生産者は、商品登録処理または取消処理に係る商品の生産者の名称を表す情報である。価格は、商品登録処理時点における商品の価格を表す情報である。セールは、商品登録処理時点における当該商品のセールの有無を表す情報である。
【0030】
処理は、顧客が行った処理が商品登録処理であるか取消処理であるかを示す情報である。処理日時は、顧客が商品登録処理または取消処理を行った日時を表す情報である。
【0031】
例えば、
図4の例では、記録データテーブル108は、No「1」として、商品コード「0001」の「商品A」の商品登録処理が「20XX年9月1日10時1分5秒」に行われたことを記録している。また、記録データテーブル108は、商品Aの商品分類が「台所用洗剤」、商品Aの生産者が「生産者X」、商品Aの価格が「380円」でセールは「なし」、商品Aは「棚3」に配置されていることを記録している。
【0032】
同様に、記録データテーブル108は、No「4」として、商品コード「0004」の「商品D」の商品登録処理が「20XX年9月1日10時5分2秒」に行われたことを記録している。また、記録データテーブル108は、商品Dの商品分類が「台所用洗剤」、商品Dの生産者が「生産者Y」、商品Dの価格が「260円」でセールは「あり」、商品Dは「棚3エンド」に配置されていることを記録している。
【0033】
なお、棚エンドは、棚の短辺部分を示している。棚の短辺部分は、店舗の大きな通路に面している場合が多く、棚エンドに置かれた商品は顧客の注目を集めやすい。したがって、棚エンドには、一般的に店舗が販売に力を入れている商品が置かれることが多い傾向がある。
【0034】
同様に、記録データテーブル108は、No「5」として、No「1」で登録処理された「商品A」の取消処理が「20XX年9月1日10時5分33秒」に行われたことを記録している。
【0035】
同様に、記録データテーブル108は、No「7」として、商品コード「0006」の「商品F」の商品登録処理が「20XX年9月1日10時11分11秒」に行われたことを記録している。また、記録データテーブル108は、商品Fの商品分類が「りんご」、商品Fの生産者が「生産者Z」、商品Fの価格が「150円」でセールは「なし」、商品Fは「棚5」に配置されていることを記録している。
【0036】
同様に、記録データテーブル108は、No「8」として、No「7」で登録処理された「商品F」の取消処理が「20XX年9月1日11時5分52秒」に行われたことを記録している。
【0037】
なお、本実施形態では、記憶部102は、顧客が会計処理を行い、記録データテーブル108に記憶された記録データを分析サーバ20に送信した時点で、記録データテーブル108に記憶されたデータを消去するものとする。つまり、記録データテーブル108には、1回の買物(1取引分の買物)についての記録データのみが記憶されることになる。
【0038】
通信インタフェース103は、ネットワークを介して、他の装置と通信するためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース103は、分析サーバ20と通信するためのインタフェースである。
【0039】
スキャナ104は、販売対象の商品の商品情報を読取る。例えば、スキャナ104は、バーコード等により示された商品を識別可能な商品コードを読み取る。
【0040】
タッチパネルディスプレイ105は、画面上の操作(タッチ)された箇所を検知するセンサを備えた表示装置である。
【0041】
なお、顧客端末10は、上記以外の構成要素を備えていてもよい。例えば、会員カード等のカードの読取を行うカードリーダ等を備えていてもよい。
【0042】
次に、顧客端末10の制御部101の機能構成について説明する。
図5は、顧客端末10の制御部101の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0043】
顧客端末10の制御部101は、記憶部102に記憶された制御プログラム107をRAMに展開し、制御プログラム107に従って動作することで、各機能部をRAMに生成する。具体的には、顧客端末10の制御部101は、機能部として、通信制御部1001、商品登録部1002、登録取消部1003、及び会計処理部1004を備える。
【0044】
通信制御部1001は、通信インタフェース103を制御して、分析サーバ20との通信を実行する。具体的には、例えば、通信制御部1001は、記録データテーブル108に記憶された記録データを分析サーバ20に送信する。
【0045】
商品登録部1002は、販売対象の商品を登録する商品登録処理を実行する。例えば、商品登録部1002は、スキャナ104がコードシンボルを読取った場合に、読取ったコードシンボルをデコードすることで商品コードを取得する。また、商品登録部1002は、取得した商品コードにより特定される商品を登録する。
【0046】
具体的には、商品登録部1002は、通信制御部1001を介して後述する分析サーバ20の記憶部202に記憶された商品マスタ210を参照し、商品登録部1002により取得された商品コードに対応する商品を特定し、当該商品を登録する。
【0047】
また、商品登録部1002は、商品登録処理を実行すると、商品登録処理に係る記録データを記録データテーブル108に記憶する。具体的には、商品登録部1002は、商品登録処理を実行すると、処理内容を「登録」とし、処理日時を「商品登録処理を行った日時」とし、商品登録部1002により取得された商品コードに対応する商品の情報と対応付けて記録データテーブル108に記憶する。
【0048】
なお、商品登録部1002は、商品コードの読取りに限らず、操作入力により特定された商品を登録してもよい。
【0049】
登録取消部1003は、商品登録処理で登録された商品の取消処理を実行する。例えば、登録取消部1003は、顧客からタッチパネルディスプレイ105を介して商品登録処理の取消指示が入力された場合、商品登録処理の取消処理を行う。商品登録処理の取消指示は、例えば、タッチパネルディスプレイ105に、商品登録された商品の一覧を表示させ、顧客が取消したい商品をタッチして選択することにより行われる。
【0050】
また、登録取消部1003は、取消処理を実行すると、取消処理に係る記録データを記録データテーブル108に記憶する。具体的には、登録取消部1003は、取消処理を実行すると、処理内容を「取消」とし、処理日時を「取消処理を行った日時」とし、商品登録を取消した商品に係る情報と対応付けて記録データテーブル108に記憶する。
【0051】
会計処理部1004は、商品登録部1002が商品登録した商品の会計処理を制御する。例えば、会計処理部1004は、商品登録部1002が販売登録した商品の合計価格を算出する。具体的には、例えば、会計処理部1004は、記録データテーブル108を参照し、顧客から会計処理の実行指示を受けた時点で、処理が「登録」となっている商品の合計金額を算出する。
【0052】
そして、会計処理部1004は、クレジットカード等を用いた会計処理を実行する。会計処理部1004が会計処理を実行すると、通信制御部1001は、記録データテーブル108に記憶された記録データを分析サーバ20に送信する。また、通信制御部1001は、記録データテーブル108に記憶された記録データを消去する。
【0053】
なお、上記で顧客端末10が行うものとして説明した処理の一部または全部を分析サーバ20が行ってもよい。例えば、顧客端末10では、一取引中の「商品コード」、「処理内容(登録または取消)」、「処理日時」を対応付けた情報のみを保持し、分析サーバ20が、上記の情報を基に記録データテーブルを生成し、管理してもよい。
【0054】
次に、分析サーバ20のハードウェア構成について説明する。
図6は、分析サーバ20のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【0055】
分析サーバ20は、制御部201と、記憶部202と、通信インタフェース203と、表示部204と、操作部205とを備える。これら各部は、データバスやアドレスバス等のシステムバス206を介して相互に接続している。
【0056】
制御部201は、分析サーバ20の全体の動作を制御し、分析サーバ20が有する各種の機能を実現するコンピュータである。制御部201は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備える。
【0057】
CPUは、分析サーバ20の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM又は記憶部202等に格納されたプログラムを実行する。
【0058】
記憶部202は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置である。記憶部202は、制御プログラム207、取消情報テーブル208、比較情報テーブル209、商品マスタ210を記憶する。
【0059】
制御プログラム207は、オペレーティングシステムや、分析サーバ20が備えている機能を発揮させるためのプログラムである。制御プログラム207には、本実施形態に係る特徴的な機能を発揮させるプログラムが含まれる。
【0060】
取消情報テーブル208は、取消情報を記憶した情報テーブルである。
図7は、取消情報テーブル208のデータ構成の一例を示す図である。この例では、取消情報テーブル208は、取消処理が実行された商品について、No、商品名称、生産者、状態、価格、セール、配置場所、登録日時、取消日時、及び比較を対応付けて記憶する。
【0061】
Noは、各取消情報を区別するための番号である。例えば、初めて登録された取消情報をNo「1」、次に登録された取消情報をNo「2」といったように取消情報を区別できるように番号を付す。商品名称は、取消処理が実行された商品の名称を表す情報である。生産者は、取消処理が実行された商品の生産者の情報を表す情報である。状態は、取消処理が行われたことを表す情報である。
【0062】
価格は、取消処理に係る商品の商品登録処理が実行された時点における商品の価格を表す情報である。セールは、取消処理に係る商品の商品登録処理が実行された時点における当該商品のセールの有無を表す情報である。配置場所は、取消処理に係る商品の配置場所を表す情報である。
【0063】
登録日時は、取消処理に係る商品の登録処理が行われた日時を表す情報である。取消日時は、当該商品の取消処理が実行された日時を表す情報である。比較は、後述する比較情報テーブル209に記憶された比較情報との対応付けを表す情報である。具体的には、比較情報テーブル209に比較の対象となる比較情報がある場合、当該比較情報のNoを表した情報が比較の項目に登録される。
【0064】
例えば、
図7の例では、取消情報テーブル208は、No「1」として、「商品A」の商品登録処理が「20XX年9月1日10時1分5秒」に行われ、「20XX年9月1日10時5分33秒」に取消処理が行われたことを記憶している。
【0065】
また、取消情報テーブル208は、取消処理に係る商品Aの生産者が「生産者X」であり、商品Aは「棚3」に配置され、商品Aの商品登録処理が実行された時点において、商品Aの価格は「380円」でセールは「なし」であることを記憶している。さらに、取消情報テーブル208は、比較情報テーブル209のNo「1」に商品Aの比較の対象となる商品の情報が存在することを記憶している。
【0066】
同様に、取消情報テーブル208は、No「2」として、商品Fの商品登録処理が「20XX年9月1日10時11分11秒」に行われ、「20XX年9月1日10時11分42秒」に取消処理が行われたことを記憶している。
【0067】
また、取消情報テーブル208は、取消処理に係る商品Fの生産者が「生産者Z」であり、商品Fは「棚5」に配置され、商品Fの商品登録処理が実行された時点において、商品Fの価格は「150円」でセールは「なし」であることを記憶している。さらに、取消情報テーブル208は、比較情報テーブル209には商品Fの比較の対象となる商品の情報が存在しないことを記憶している。
【0068】
比較情報テーブル209は、取消情報に係る商品の分類と同一又は類似する分類の他の商品の登録操作を記録した比較情報を記憶した情報テーブルである。
図8は、比較情報テーブル209のデータ構成の一例を示す図である。この例では、比較情報テーブル209は、取消処理が実行された商品の比較対象となる商品について、No、商品名称、生産者、状態、価格、セール、配置場所、及び登録日時を対応付けて記憶する。
【0069】
Noは、各比較情報を区別するための番号である。例えば、初めて登録された比較情報をNo「1」、次に登録された比較情報をNo「2」といったように比較情報を区別できるように番号を付す。商品名称は、比較対象となる商品の名称を表す情報である。生産者は、比較対象となる商品の生産者の情報を表す情報である。状態は、商品が購入されたことを表す情報である。
【0070】
価格は、比較の対象となる商品の商品登録処理が実行された時点における商品の価格を表す情報である。セールは、比較の対象となる商品の商品登録処理が実行された時点における当該商品のセールの有無を表す情報である。配置場所は、比較対象となる商品の配置場所を表す情報である。登録日時は、比較対象となる商品の商品登録処理が行われた日時を表す情報である。
【0071】
例えば、
図8の例では、比較情報テーブル209は、No「1」として、比較の対象となる「商品D」の商品登録処理が「20XX年9月1日10時5分2秒」に行われたことを記憶している。
【0072】
また、比較情報テーブル209は、比較の対象となる商品Dの生産者が「生産者Y」であり、商品Dは「棚3エンド」に配置され、商品Dの商品登録処理が実行された時点において、商品Dの価格は「260円」でセールは「あり」であることを記憶している。なお、
図7の取消情報テーブル208が
図8の比較情報テーブル209と対応付けられている場合、「商品D」は、取消処理が実行された「商品A」の比較の対象となる商品である。
【0073】
商品マスタ210は、商品に関する各種情報を記憶する。商品マスタ210は、商品コード、商品名称、商品分類、生産者、価格、セール情報、配置情報等を関連付けて記憶している。顧客端末10は、通信制御部1001を介して分析サーバ20の商品マスタ210を参照し、スキャナ104が読取った商品コードに対応する情報を取得し、商品登録処理や情報を記録データテーブル108に記憶する処理を実行する。
【0074】
通信インタフェース203は、ネットワークを介して、他の装置と通信するためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース203は、顧客端末10及び生産者端末30と通信するためのインタフェースである。
【0075】
表示部204は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置である。操作部205は、例えばキーボードやマウス等の入力装置である。
【0076】
次に、分析サーバ20の制御部201の機能構成について説明する。
図9は、分析サーバ20の制御部201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0077】
分析サーバ20の制御部201は、記憶部202に記憶された制御プログラム207をRAMに展開し、制御プログラム207に従って動作することで、各機能部をRAMに生成する。具体的には、分析サーバ20の制御部201は、機能部として、通信制御部2001、取消情報生成部2002、比較情報生成部2003、及び分析情報生成部2004を備える。
【0078】
通信制御部2001は、通信インタフェース203を制御して、顧客端末10及び生産者端末30との通信を実行する。例えば、通信制御部2001は、顧客端末10から記録データを受信する。したがって、通信制御部2001は、「受信部」の一例であると言える。
【0079】
また、例えば、通信制御部2001は、後述する分析レポートを生産者端末30へ送信する。送信は「出力」の一形態であるため、通信制御部2001は、「出力制御部」の一例であると言える。
【0080】
取消情報生成部2002は、通信制御部2001が受信した記録データから取消情報を抽出する。なお、取消情報は、「第1記録データ」の一例である。
【0081】
具体的には、取消情報生成部2002は、通信制御部2001が受信した記録データに、処理が「取消」となっている情報が含まれている場合、通信制御部2001が受信した記録データから取消操作が行われた商品に関する情報を抽出する。取消情報生成部2002は、抽出した情報に基づいて取消情報を生成する。
【0082】
より具体的には、取消情報生成部2002は、記録データから「商品名称」、「生産者」、「価格」、「セール」、「配置場所」、「登録日時」、及び「取消日時」を抽出する。取消情報生成部2002は、状態を「取消」とし、抽出した情報と対応付けて取消情報を生成する。また、取消情報生成部2002は、生成した取消情報を取消情報テーブル208に記憶する。
【0083】
例えば、通信制御部2001が
図4の記録データテーブル108に記憶された記録データを受信した場合を考える。この場合、記録データテーブル108のNo「5」は処理が「取消」となっているため、取消情報生成部2002は、No「5」と対応する商品に関する情報を抽出し、抽出した情報に基づいて取消情報を生成する。
【0084】
具体的には、取消情報生成部2002は、まず、記録データからNo「5」と対応付けられた「商品A」、「生産者X」、「380円」、「なし」、「棚3」、及び「20XX年9月1日10時5分33秒」を抽出する。次に、取消情報生成部2002は、記録データから取消の対象となる商品Aの商品登録処理が実行された日時である「20XX年9月1日10時1分5秒」(No「1」の処理日時)を抽出する。
【0085】
そして、取消情報生成部2002は、抽出した情報と、状態「取消」とを対応付けて取消情報を生成する。また、取消情報生成部2002は、例えば、生成した取消情報にNo「1」を付して、
図7の取消情報テーブル208に取消情報として記憶する。また、記録データテーブル108のNo「8」についても処理が「取消」となっているため、取消情報生成部2002は、上記と同様の処理を行う。
【0086】
なお、取消情報生成部2002は、記録データから抽出した取消操作が行われた商品に関する情報をそのまま取消情報としてもよい。つまり、取消情報生成部2002は、「抽出部」の一例であると言える。
【0087】
比較情報生成部2003は、通信制御部2001が受信した記録データの中に、比較情報が含まれている場合、当該比較情報を抽出する。なお、比較情報は、「第2記録データ」の一例である。
【0088】
具体的には、比較情報生成部2003は、通信制御部2001が受信した記録データを参照し、処理が「取消」となっている商品の「商品分類」を確認する。
【0089】
次に、比較情報生成部2003は、処理が「登録」となっており、その後取消処理が実行されていない商品の中に、処理が「取消」となっている商品の「商品分類」と同一の「商品分類」となっている商品がある場合、当該商品の登録操作を記録した情報を抽出する。比較情報生成部2003は、抽出した情報に基づいて比較情報を生成する。
【0090】
より具体的には、比較情報生成部2003は、記録データから「商品名称」、「生産者」、「価格」、「セール」、「配置場所」、及び「登録日時」を抽出する。比較情報生成部2003は、状態を「購入」とし、抽出した情報と対応付けて比較情報を生成する。
【0091】
比較情報生成部2003は、生成した比較情報を比較情報テーブル209に記憶する。また、比較情報生成部2003は、取消情報テーブル208の比較元となる取消情報の比較の項目に比較の対象となる比較情報の「No」を登録する。
【0092】
例えば、通信制御部2001が
図4の記録データテーブル108に記憶された記録データを受信した場合を考える。この場合、比較情報生成部2003は、処理が「取消」となっているNo「5」の「商品分類」が「台所用洗剤」であることを確認する。続いて、比較情報生成部2003は、処理が「登録」となっており、その後取消処理が実行されていない商品の中に、「商品分類」が「台所用洗剤」の記録データがあるか否かを確認する。
【0093】
No「4」の処理に係る商品の「商品分類」が「台所用洗剤」であるため、比較情報生成部2003は、No「4」と対応する商品に関する情報を抽出し、抽出した情報から比較情報を生成する。
【0094】
具体的には、比較情報生成部2003は、記録データからNo「4」と対応付けられた「商品D」、「生産者Y」、「260円」、「あり」、「棚3エンド」、及び「20XX年9月1日10時5分2秒」を抽出する。そして、比較情報生成部2003は、抽出した情報と、状態「購入」とを対応付けて比較情報を生成する。
【0095】
また、比較情報生成部2003は、例えば、生成した比較情報にNo「1」を付して、
図8の比較情報テーブル209に比較情報として記憶する。また、比較情報生成部2003は、比較元である
図7の取消情報テーブル208のNo「1」の取消情報の比較の項目に、比較の対象となる比較情報テーブル209の比較情報のNoである「1」を登録する。これにより、取消情報テーブル208と比較情報テーブル209とが対応付けられる。
【0096】
また、記録データテーブル108のNo「8」についても処理が「取消」となっているが、記録データの中に、「商品分類」が「りんご」の商品は、「商品F」以外に存在しないため、比較情報生成部2003は、比較情報を生成しない。
【0097】
なお、比較情報生成部2003は、記録データから抽出した取消情報に係る商品の分類と同一分類の他の商品の登録操作を記録した情報をそのまま比較情報としてもよい。つまり、比較情報生成部2003は、「抽出部」の一例であると言える。
【0098】
また、上記の例では、比較情報生成部2003は、取消情報に係る商品の分類と同一分類の他の商品の登録操作を記録した比較情報を生成(抽出)するが、同一分類だけなく、類似の分類の他の商品の登録操作を記録した比較情報を生成してもよい。分類が類似するか否かは、例えば、「商品分類」に類似する商品分類群を識別する類似群コードを対応付けておく等して当該類似群コードが一致するか否かで判断する。
【0099】
分析情報生成部2004は、取消情報テーブル208に記憶された取消情報に基づいて、取消操作の対象となった商品の特性を当該商品の種別毎に表した分析レポートを生成する。また、分析情報生成部2004は、対応関係にある取消情報と比較情報とに基づく分析レポートを、比較可能な状態で生成する。なお、分析レポートは、「分析情報」の一例である。
【0100】
具体的には、分析情報生成部2004は、分析サーバ20の制御部201から分析レポートの出力指示があった場合、分析レポートを生成する。なお、分析レポートの出力指示は、予め定めたタイミングで制御部201が自動的に行ってもよいし、分析サーバ20の操作者から出力指示の入力を受付け、出力指示の入力を受付けたタイミングで制御部201が行ってもよい。
【0101】
また、分析情報生成部2004は、分析レポートとして、統計レポートと詳細レポートとを生成する。ここで、
図10乃至
図13は、分析情報生成部2004が生成する分析レポートの一例を示す説明図である。
【0102】
図10(a)、(b)は、生産者Xに向けた統計レポート401の一例である。統計レポート401は、所定期間(この例では、1か月間とする)における商品の取消回数、比較回数の集計等を報告するレポートである。統計レポート401は、取消時における商品の価格毎に生成される。
【0103】
例えば、
図10(a)の統計レポート401は、「棚3」に配置された「商品A」が「380円」、セール「なし」で販売されていた時に、1か月間で「30回」商品登録処理を取消されたことを表している。
【0104】
また、上記の統計レポート401では、「商品A」との比較の対象となった「商品D」は、生産者が「生産者Y」で、商品Dの商品登録処理実行時に、「棚3エンド」に配置され、「260円」、セール「あり」で販売され、1か月間で「商品A」と「15回」比較されたことを表している。
【0105】
また、上記の統計レポート401では、「商品A」との比較の対象となった「商品G」は、生産者が「生産者U」で、商品Gの商品登録処理実行時に、「棚2」に配置され、「350円」、セール「なし」で販売され、1か月間で「商品A」と「5回」比較されたことを表している。
【0106】
また、例えば、
図10(b)の統計レポート401は、「棚3エンド」に配置された「商品A」が「280円」、セール「あり」で販売されていた時に、1か月間で「5回」商品登録処理を取消されたことを表している。
【0107】
また、上記の統計レポート401では、「商品A」との比較の対象となった「商品D」は、生産者が「生産者Y」で、商品Dの商品登録処理実行時に、「棚3」に配置され、「280円」、セール「なし」で販売され、1か月間で「商品A」と「1回」比較されたことを表している。
【0108】
また、上記の統計レポート401では、「商品A」との比較の対象となった「商品G」は、生産者が「生産者U」で、商品Gの商品登録処理実行時に、「棚2エンド」に配置され、「280円」、セール「あり」で販売され、1か月で「商品A」と「3回」比較されたことを表している。
【0109】
なお、分析情報生成部2004は、例えば、「商品A」との比較の対象となった商品が同じ「商品D」だったとしても、価格等が異なる場合、異なる比較の対象として統計レポート401を生成するものとする。
【0110】
生産者は、統計レポート401を確認することで、自分が生産した商品が所定期間において何回商品登録を取消されているか、自分が生産した商品は、どのような商品と比較されているかを知ることができる。また、生産者は、競合品の販売価格等を知ることで、新商品の開発や現行商品の品質改善等に役立てることができる。
【0111】
図11は、生産者Xに向けた詳細レポート402の一例である。詳細レポート402は、顧客による1回の買物における商品の取消処理に関する情報をまとめたレポートである。例えば、
図11の詳細レポート402は、「棚3」に配置された「商品A」が「380円」、セール「なし」で販売されていた時に、「棚3エンド」に配置され、「260円」、セール「あり」で販売されていた「商品D」と比較されたことを表している。
【0112】
また、上記の詳細レポート402では、「商品A」が「20XX年9月1日10時1分5秒」に商品登録処理が実行され、「20XX年9月1日10時5分33秒」に取消処理が実行されたことを表している。
【0113】
また、上記の詳細レポート402では、「商品D」は「20XX年9月1日10時5分2秒」に商品登録処理が実行されたことを表している。また、上記詳細レポート402は、「商品A」の商品登録処理が実行されてから取消処理が実行されるまでの時間は、「4分28秒」であることを表している。
【0114】
生産者は、自分の商品の取消処理が実行された時間及び競合品の商品登録処理が実行された時間を知ることで、顧客が、競合品の購入を決めてすぐに商品の購入を取消したのか、時間を置いてから商品の購入を取消したのかを把握できる。
【0115】
例えば、競合品の価格が同価格帯であるにも関わらず、顧客が、競合品の購入を決めてすぐに商品の購入を取消した場面が多く見られるのであれば、生産者は、自分の商品の品質を全面的に見直す必要性に気付くことがある。逆に、例えば、競合品の価格が同価格帯で、時間を置いてから商品の購入を取消しているのであれば、生産者は、競合品と比較して大きく商品の品質が劣っている訳ではないと理解すると思われる。
【0116】
なお、詳細レポート402は上記以外の情報を含んでいてもよい。例えば、詳細レポート402は、顧客の年齢や居住地域等の情報を含んでいてもよい。なお、顧客の年齢や居住地域等の情報は、例えば、会員番号と対応付けて記憶部102に記憶される。この場合、分析サーバ20は、例えば、顧客端末10に会員番号を記録した会員カードを読取らせ、読取結果から会員番号と対応付けられた顧客の情報を取得する。
【0117】
図12は、生産者Zに向けた統計レポート401の一例である。
図12の統計レポート401は、「棚5」に配置された「商品F」が「150円」、セール「なし」で販売されていた時に、1か月間で「3回」商品登録処理を取消されたことを表している。また、上記の統計レポート401では、1か月間で、「商品F」の比較の対象となった商品はなかったことを表している。
【0118】
このように、記録データに取消処理が実行された商品と同一の商品分類の商品がなければ、分析情報生成部2004は、取消情報のみを含む統計レポート401を生成する。
【0119】
図13は、生産者Zに向けた詳細レポート402の一例である。
図13の詳細レポート402は、「商品F」が「20XX年9月1日10時11分11秒」に商品登録処理が実行され、「20XX年9月1日10時11分52秒」に取消処理が実行されたことを表している。また、上記の詳細レポート402では、「商品F」の商品登録処理が実行されてから取消処理が実行されるまでの時間は、「0分41秒」であることを表している。
【0120】
上記の例のように、競合品もなく、商品登録処理を実行してからすぐに取消処理を実行している場合、生産者は、顧客が誤って商品登録処理を行ってしまったのだろうと推測することができる。逆に、競合品がないにも関わらず、時間を置いてから取消処理が実行されている場面が多い場合、生産者は、自分の商品の品質に何等かの問題がある可能性を考えると思われる。
【0121】
分析情報生成部2004が生成した統計レポート401及び詳細レポート402は、通信制御部2001により生産者端末30へ送信される。なお、分析情報生成部2004が生成した統計レポート401及び詳細レポート402には、生産者を識別する生産者識別情報が含まれるものとする。通信制御部2001は、生産者識別情報から分析レポートの送り先となる生産者を特定し、当該生産者の生産者端末30へ分析レポートを送信する。
【0122】
次に、生産者端末30のハードウェア構成について説明する。
図14は、生産者端末30のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。生産者端末30は、制御部301と、記憶部302と、通信インタフェース303とを備える。これら各部は、データバスやアドレスバス等のシステムバス306を介して相互に接続している。
【0123】
制御部301は、生産者端末30の全体の動作を制御し、生産者端末30が有する各種の機能を実現するコンピュータである。制御部301は、CPUと、ROMと、RAMとを備える。CPUは、生産者端末30の動作を統括的に制御する。
【0124】
ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM又は記憶部302等に格納されたプログラムを実行する。
【0125】
記憶部302は、フラッシュメモリなどの記憶装置である。記憶部302は、制御プログラム307を記憶する。制御プログラム307は、オペレーティングシステムや、生産者端末30が備えている機能を発揮させるためのプログラムである。制御プログラム307には、本実施形態に係る特徴的な機能を発揮させるプログラムが含まれる。また、記憶部302は、生産者を識別する生産者識別情報を記憶している。
【0126】
通信インタフェース303は、ネットワークを介して、他の装置と通信するためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース303は、分析サーバ20と通信するためのインタフェースである。表示部304は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置である。操作部305は、例えばキーボードやマウス等の入力装置である。
【0127】
次に、生産者端末30の制御部301の機能構成について説明する。
図15は、生産者端末30の制御部301の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0128】
生産者端末30の制御部301は、記憶部302に記憶された制御プログラム307をRAMに展開し、制御プログラム307に従って動作することで、各機能部をRAMに生成する。具体的には、生産者端末30の制御部301は、機能部として、通信制御部3001を備える。
【0129】
通信制御部3001は、通信インタフェース303を制御して、分析サーバ20との通信を実行する。
【0130】
次に、分析サーバ20の処理について説明する。
図16は、分析サーバ20の分析レポート送信処理の一例を示すフローチャートである。
【0131】
まず、通信制御部2001は、顧客端末10から記録データを受信する(ステップS101)。取消情報生成部2002は、通信制御部2001が受信した記録データに取消操作が行われた商品に関する情報が含まれるか否かを確認する(ステップS102)。取消操作が行われた商品に関する情報が含まれない場合(ステップS102:No)、ステップS101に戻る。
【0132】
取消操作が行われた商品に関する情報が含まれる場合(ステップS102:Yes)、取消情報生成部2002は、取消操作が行われた商品に関する情報を抽出し、取消情報を生成する(ステップS103)。取消情報生成部2002は、生成した取消情報を取消情報テーブル208に記憶する(ステップS104)。
【0133】
比較情報生成部2003は、通信制御部2001が受信した記録データの中に、取消情報に係る商品の分類と同一分類の他の商品の登録操作を記録した情報があるか否かを確認する(ステップS105)。同一分類の他の商品の登録操作を記録した情報がない場合(ステップS105:No)、ステップS108へ移行する。
【0134】
同一分類の他の商品の登録操作を記録した情報がある場合(ステップS105:Yes)、比較情報生成部2003は、取消情報に係る商品の分類と同一分類の他の商品の登録操作を記録した情報を抽出し、比較情報を生成する(ステップS106)。
【0135】
比較情報生成部2003は、生成した比較情報を比較情報テーブル209に記憶する(ステップS107)。また、比較情報生成部2003は、取消情報テーブル208と比較情報テーブル209との対応付けを行う。
【0136】
分析情報生成部2004は、分析レポートの出力指示の有無を確認する(ステップS108)。出力指示がない場合(ステップS108:No)、ステップS101に戻る。出力指示がある場合(ステップS108:Yes)、分析情報生成部2004は、分析レポートを生成する(ステップS109)。
【0137】
通信制御部2001は、分析情報生成部2004が生成した分析レポートを生産者端末30へ送信し、本処理を終了する(ステップS110)。
【0138】
次に、本実施形態に係る分析サーバ20の効果について説明する。本実施形態に係る分析サーバ20は、顧客端末10から、顧客が一取引中に行った商品の登録操作及び登録された商品の取消操作の操作履歴を記録した記録データを受信する通信制御部2001と、通信制御部2001が受信した記録データから取消操作が行われた商品に関する取消情報を抽出する取消情報生成部2002と、取消情報生成部2002が生成した取消情報を記憶する取消情報テーブル208と、取消情報に基づいて、取消操作の対象となった商品の特性を当該商品の種別毎に表した分析レポートを生成する分析情報生成部2004と、を備える。また、通信制御部2001は、分析情報生成部2004が生成した分析レポートを生産者端末30へ送信する。
【0139】
記録データは、顧客が一取引中に行った商品の登録操作及び登録された商品の取消操作の操作履歴を記録したものであり、取消情報生成部2002は記録データから取消情報を抽出する。分析情報生成部2004は、取消情報に基づいて分析レポートを生成する。
【0140】
したがって、通信制御部2001が生産者端末30へ送信する分析レポートには、取消操作の対象となった商品の特性を当該商品の種別毎に表した情報が含まれることになるため、生産者は、簡便に取消操作の対象となった商品の情報を取得できる。つまり、本実施形態に係る分析サーバ20によれば、顧客が購入をとりやめた商品に関する情報を簡便に取得することができる。
【0141】
また、本実施形態に係る分析サーバ20は、記録データの中に、取消情報に係る商品の分類と同一又は類似する分類の他の商品の登録操作を記録した比較情報が含まれている場合、当該比較情報を抽出する比較情報生成部2003を備える。比較情報生成部2003は、生成した比較情報を比較情報テーブル209に記憶する。また、比較情報生成部2003は、取消情報テーブル208と比較情報テーブル209との対応付けを行う。
【0142】
そして、分析情報生成部2004は、対応関係にある取消情報と比較情報とに基づく分析レポートを、比較可能な状態で生成する。
【0143】
これにより、商品の生産者は、取消処理に係る商品がどのような商品と比較されたのかを知ることができる。比較の対象となった商品の情報を取得することで、生産者は、取得した情報を新商品の開発や現行商品の品質向上等に役立てることが可能になる。
【0144】
また、本実施形態に係る分析情報生成部2004が生成する分析レポートには、所定期間内における取消操作が行われた回数を商品毎に示した情報が含まれる。これにより、商品の生産者は、自分の商品がどれくらい購入を取消されたのかを知ることができる。例えば、購入を取消された回数があまりにも多い場合、生産者は、自分の商品の品質等を見直す機会を得ることができる。
【0145】
また、本実施形態に係る分析情報生成部2004が生成する分析レポートには、所定期間内における取消操作が行われた商品との比較回数を、比較の対象となった商品毎に示した情報が含まれる。
【0146】
これにより、生産者は、自分の商品がどんな商品とどれくらい比較されているかを知ることができる。例えば、他の商品よりも多く自分の商品と比較されている商品を知ることができれば、生産者は、自分の商品の改善点等を見つけやすくなると考えられる。
【0147】
また、本実施形態に係る分析情報生成部2004が生成する分析レポートには、取消操作が行われた時刻と、取消操作が行われた商品の比較対象となった商品の登録操作が行われた時刻と、が含まれる。
【0148】
これにより、生産者は、顧客が誤って商品登録処理を実行してしまったため取消処理を実行したのか、競合品の購入を決めたため取消処理を実行したのか等、取消処理を実行した理由をおおよそ推測することができる。
【0149】
なお、上記実施形態は、分析情報生成部2004が生成した分析レポートを生産者端末30へ送信する形態とした。しかし、送信は、「出力」の一形態であり、出力方法は送信に限定されるものではない。例えば、「出力制御部」として分析サーバ20に「印字制御部」を設け、分析情報生成部2004が生成した分析レポートを印字してもよい。この場合、印字した分析レポートは、生産者に郵送される。
【0150】
分析レポートを印字する形態は、特に、コンピュータが苦手な生産者や通信環境がよくない場所で暮らす生産者に分析レポートを届けたい場合に有用である。
【0151】
また、上記実施形態の各装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0152】
また、上記実施形態の各装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上記実施形態の装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0153】
また、上記実施形態の各装置が有する各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することも可能である。ここで、処理回路は、プロセッサ(CPU等)や、各機能を実現するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)や回路モジュール等のハードウェアを含む概念である。
【0154】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0155】
1 購入分析システム
10 顧客端末
11 カートPOS
12 ショッピングカート
20 分析サーバ
30 生産者端末
101、201、301 制御部
102、202、302 記憶部
103、203、303 通信インタフェース
104 スキャナ
105 タッチパネルディスプレイ
107、207、307 制御プログラム
108 記録データテーブル
204、304 表示部
205、305 操作部
208 取消情報テーブル
209 比較情報テーブル
210 商品マスタ
1001、2001、3001 通信制御部
1002 商品登録部
1003 登録取消部
1004 会計処理部
2002 取消情報生成部
2003 比較情報生成部
2004 分析情報生成部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0156】