(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】ドア
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20240918BHJP
E05D 15/06 20060101ALI20240918BHJP
E06B 3/24 20060101ALI20240918BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20240918BHJP
E06B 3/16 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
E06B5/16
E05D15/06 124A
E06B3/24
E06B3/46
E06B3/16
(21)【出願番号】P 2020161410
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】井上 和也
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-214749(JP,A)
【文献】特開2020-060070(JP,A)
【文献】特開2020-029660(JP,A)
【文献】特開2014-152581(JP,A)
【文献】特開2020-111888(JP,A)
【文献】特開2000-220358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/16
E05D 15/06
E06B 3/24
E06B 3/46
E06B 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上框と、下框と、戸先側縦框と、戸尻側縦框と、からなるドア框と、
ドア框の内側に形成した上側凹溝と、下側凹溝と、戸先側凹溝と、戸尻側凹溝と、からなる嵌合溝と、
中間樹脂層を備え、前記嵌合溝に嵌め込まれた合わせガラスと、
を備えたドアにおいて、
前記ドアは引戸であり、
前記戸先側凹溝の下端部位は、前記下框の内部空間の戸先側部位と連通しており、
前記下框の内部空間と前記戸先側縦框の内部空間は連通しており、
前記下框の下面には振れ止めレールが設けてあり、
前記下框の下面の戸先側部位には、
前記振れ止めレールの戸先側端部の戸先側に位置して、外部に連通する孔部が形成されており、
火災時の熱で溶融した合わせガラスの樹脂は、戸先側凹溝を通って下方に流れ、前記下框の内部空間を通って、前記孔部から外部に排出されるようになっている、
ドア。
【請求項2】
前記下框の戸先側部位には錠装置が内蔵されており、
前記孔部は、前記振れ止めレールの戸先側端部と前記錠装置の間に位置して、前記下面に形成されている、
請求項
1に記載のドア。
【請求項3】
上框と、下框と、戸先側縦框と、戸尻側縦框と、からなるドア框と、
ドア框の内側に形成した上側凹溝と、下側凹溝と、戸先側凹溝と、戸尻側凹溝と、からなる嵌合溝と、
中間樹脂層を備え、前記嵌合溝に嵌め込まれた合わせガラスと、
を備えたドアにおいて、
前記下框は、前記下側凹溝の底面に下方から当接する上面を形成する上枠材と、下面を形成する下枠材と、を備え、前記上面と前記下面の間に当該下框の内部空間が形成されており、
前記上枠材は、前記戸先側凹溝の下方まで延びており、前記上面には、前記戸先側凹溝の下方に位置して開口が形成されており、前記戸先側凹溝の下端部位は、前記下框の内部空間の戸先側部位と連通しており、
前記下框の内部空間と前記戸先側縦框の内部空間は連通しており、
前記下框の
前記下面の戸先側部位には、外部に連通する孔部が形成されており、
火災時の熱で溶融した合わせガラスの樹脂は、戸先側凹溝を通って下方に流れ、前記下框の内部空間を通って、前記孔部から外部に排出されるようになっている、
ドア。
【請求項4】
上框と、下框と、戸先側縦框と、戸尻側縦框と、からなるドア框と、
ドア框の内側に形成した上側凹溝と、下側凹溝と、戸先側凹溝と、戸尻側凹溝と、からなる嵌合溝と、
中間樹脂層を備え、前記嵌合溝に嵌め込まれた合わせガラスと、
を備えたドアにおいて、
前記戸先側凹溝の下端部位は、前記下框の内部空間の戸先側部位と連通しており、
前記下框の内部空間と前記戸先側縦框の内部空間は連通しており、
前記戸先側縦框の見付面に形成した開口に取手が取り付けてあり、
前記取手の内側部位は、前記戸先側縦框の内部空間に位置しており、
前記下框の下面の戸先側部位には、外部に連通する孔部が形成されており、
火災時の熱で溶融した合わせガラスの樹脂は、戸先側凹溝を通って下方に流れ、前記下框の内部空間を通って、前記孔部から外部に排出されるようになっている、
ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアに係り、詳しくは、合わせガラスを備えたドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
2枚のガラスを樹脂膜で貼り合わせてなる合わせガラスを備えたドアが知られている。このようなドアを防火扉として用いた場合には、火災時の熱で樹脂膜が溶けて下方に流れ、流れ出した樹脂はガラスの嵌合溝から扉体の外部へ漏れ出し、発炎するおそれがある。
【0003】
これに対して、溶融した樹脂の扉体の外部への漏れ出しを防止するため、下側のガラスの嵌合溝に孔を設けて、溶融した樹脂を嵌合溝から逃がすことが行われる。例えば、特許文献1には、溶融した樹脂を扉体の下方に逃がして、扉体内部に溜めることが提案されている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、扉体内部に溜まった樹脂が気化することで生成される可燃ガスが発炎つながるおそれがあり、特に、樹脂を溜めている空間と戸先側縦框の内部空間が連通しているような場合には、樹脂が気化した可燃ガスが戸先側縦框の内部空間に流れて、戸先側縦框の見付面に形成した加工部位(例えば、取手を取り付けるための切り欠きないし開口と、当該開口に取り付けれた取手との隙間)から非火災側に流れ出て発炎するおそれがある。
【文献】特開平2017-214749
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、合わせガラスを備えたドアにおいて、戸先側縦框における防火性能を確保することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
上框と、下框と、戸先側縦框と、戸尻側縦框と、からなるドア框と、
ドア框の内側に形成した上側凹溝と、下側凹溝と、戸先側凹溝と、戸尻側凹溝と、からなる嵌合溝と、
中間樹脂層を備え、前記嵌合溝に嵌め込まれた合わせガラスと、
を備えたドアにおいて、
前記戸先側凹溝の下端部位は、前記下框の内部空間の戸先側部位と連通しており、
前記下框の内部空間と前記戸先側縦框の内部空間は連通しており、
前記下框の下面の戸先側部位には、外部に連通する孔部が形成されており、
火災時の熱で溶融した合わせガラスの樹脂は、戸先側凹溝を通って下方に流れ、前記下框の内部空間を通って、前記孔部から外部に排出されるようになっている、
ドア、である。
【0007】
1つの態様では、 前記ドアは引戸であり、
前記下框の下面には振れ止めレールが設けてあり、
前記孔部は、前記振れ止めレールの戸先側端部の戸先側に位置して、前記下面に形成されている。
1つの態様では、前記下框の戸先側部位には錠装置が内蔵されており、
前記孔部は、前記振れ止めレールの戸先側端部と前記錠装置の間に位置して、前記下面に形成されている。
【0008】
1つの態様では、前記下框は、前記下側凹溝の底面に下方から当接する上面を形成する上枠材と、前記下面を形成する下枠材と、を備え、前記上面と前記下面の間が前記内部空間となっており、
前記上枠材は、前記戸先側凹溝の下方まで延びており、前記上面には、前記戸先側凹溝の下方に位置して開口が形成されている。
【0009】
1つの態様では、前記戸先側縦框の見付面に形成した開口に取手が取り付けてあり、
前記取手の内側部位は、前記戸先側縦框の内部空間に位置している。
1つの態様では、前記戸先側縦框の内部空間は、戸先側見込面側の第1内部空間と、戸先側凹溝を形成する第1押縁部、第2押縁部の第1内部空間、第2内部空間と、からなり、
前記第1内部空間と前記第2内部空間、前記第3内部空間は連通しており、
前記第1内部空間と前記前記下框の内部空間の戸先側部位は連通している。
【0010】
1つの態様では、前記下側凹溝の底面には、孔部が形成されている。
1つの態様では、前記下側凹溝内には、前記底面と合わせガラスの下端面との間に位置して空隙が形成されており、前記空隙に面して熱膨張耐火部材が設けてある。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、合わせガラスの戸先側端面から戸先側凹溝内を下方に流れる樹脂を、下框の内部空間の戸先側部位から積極的に扉体外部に排出することで、溶融樹脂の気化ガス(可燃ガス)が扉体の戸先側かつ下方部位で生成されて、戸先側縦框の内部空間を上昇することを可及的に防止し、戸先側縦框の表面材に形成されている加工部位(例えば、取手の取り付けるための切り欠きないし開口と取り付けられた取手の隙間)から非火災側へ発炎することを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る引戸装置(全閉状態)を室内側から見た正面図である。
【
図2】本実施形態に係る引戸装置を戸先側から見た縦断面図である。
【
図3】本実施形態に係る引戸装置の横断面図である。
【
図4】本実施形態に係る引戸装置の扉体の戸先側縦框を拡大して示す横断面図である。
【
図5】本実施形態に係る引戸装置の扉体の戸先側縦框の下方部位及び下框の戸先側部位を示す部分拡大図である。
【
図6】(A)は、
図5におけるA矢視断面図、(B)は、
図5におけるB矢視断面図である。
【
図7】他の実施形態に係る引戸装置の扉体の戸先側縦框の下方部位及び下框の戸先側部位を示す部分拡大図である。
【
図8】(A)は、
図7におけるA矢視断面図、(B)は、
図5におけるB矢視断面図である。
【
図9】本実施形態に係る扉体の下框の底面図である。
【
図10】本実施形態に係る扉体の戸先側縦框における取手取付部位を示す図であり、(C)は、取手取付部位の横断面図、(A)は、(C)におけるA矢視断面図、(B)は、(C)におけるB矢視断面図、(D)は、取手取付部位の横断面図であって、取手を取り付ける前の状態を示している。
【
図11】
図1における扉体の戸先側縦框の下方部位及び下框の戸先側部位を拡大して示す図である。
【
図12】上図は、本実施形態に係る扉体の下框の上側の凹溝に沿った横断面図である。
【
図13】本実施形態に係る上ケースを示し、左図は、上ケースの側面図、中図は、点検用カバーの側面図、右図は、点検用カバーを外側から見た正面図である。
【
図14】本実施形態に係る点検用カバーの横断面図、内側から見た正面図、側面図である。
【
図15】本実施形態に引戸装置の上ケース部分の横断面図である。
【
図16】本実施形態に係る点検用カバーが熱変形した場合を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る引戸装置(全閉状態)を室内側から見た正面図であって、引戸装置は、戸先側縦枠1と、戸尻側縦枠2と、上ケース3と、下枠4と、から形成された枠部と、枠部の幅方向戸尻側半部に設けられた縦長方形状の固定パネル5と、幅方向戸先側半部に形成された建物開口部を開閉する縦長方形状の扉体6と、を備えている。
【0014】
上ケース3は、全体として開口幅方向に延びる箱状体であり、内部空間には、扉体6の駆動機構が収容されている。本実施形態に係る引戸装置はいわゆる自動ドアであり、開口部上方(上ケース3の面部)に設けた起動センサSRによる検知に基づいて扉体6が自動開放される。扉体6は、上端部位が上ケース3内に位置した状態で開閉移動するようになっている。上ケース3の室内側部位は点検用カバー7から形成されており、上ケース3は、ケース本体と、ケース本体に対して回動可能に取り付けられた点検用カバー7と、からなる。
【0015】
図1、
図2、
図3に示すように、扉体6は、戸先側縦框60、戸尻側縦框61、上框62、下框63と、からなるドア框と、ドア框の内側に形成した戸先側凹溝80と、戸尻側凹溝81、上側凹溝82と、下側凹溝83と、からなる嵌合溝と、嵌合溝に嵌め込まれた合わせガラス9と、からなる。合わせガラス9は、中間樹脂層を備えた複合ガラスパネルであり、合わせガラス9の四周の端部が嵌合溝に受け入れられシール材及びバックアップ材を用いて固定されている。
【0016】
扉体6の戸先側縦框60は、高さ方向に延びる長尺部材であって、
図4に示すように、戸先側端面を形成する見込面600と、第1見付面601と、第2見付面602と、第1見付面601の見込面600から離間する側に形成した第1押縁部603´と、第2見付面602の見込面600から離間する側に形成した第2押縁部604´と、を備え、第1押縁部603´と第2押縁部604´との間に、戸先側凹溝80が形成されており、戸先側凹溝80に合わせガラス9の戸先側端部を受け入れて固定するようになっている。戸先側縦框60の構成の詳細については、後述する。
【0017】
扉体6の戸尻側縦框61は、高さ方向に延びる長尺部材であって、
図3に示すように、戸尻側端面を形成する見込面610と、第1見付面611と、煙返しを備えた段差状の第2見付面612と、第1見付面611の見込面600から離間する側に形成した第1押縁部613と、第2見付面612の見込面600から離間する側に形成した第2押縁部614と、を備え、第1押縁部613と第2押縁部614との間に、戸尻側凹溝81が形成されており、戸尻側凹溝81に合わせガラス9の戸尻側端部を受け入れて固定するようなっている。なお、本実施形態に係る戸尻側縦框61の面部(第1見付面611や見込面610)には、取手のような付属品を取り付けるための切り欠き部ないし開口は形成されていない。したがって、仮に戸尻側縦框61の内部空間に溶融した樹脂が気化した可燃ガスが流れても、戸尻側縦框61の面部から漏出するおそれはない。
【0018】
扉体6の上框62は、水平に延びる長尺部材であって、
図2に示すように、扉体6の上端面を形成する上面620と、第1見付面621と、第2見付面622と、第1見付面621の下方側に形成した第1押縁部623と、第2見付面622の下方側に形成した第2押縁部624と、を備え、第1押縁部623と第2押縁部624との間に、上側凹溝82が形成されており、上側凹溝82に合わせガラス9の上端部を受け入れて固定するようになっている。
【0019】
扉体6の下框63は、水平に延びる長尺部材であって、
図6に示すように、下向き凹状の扉体下面を形成する断面視コ字形状のフレーム630と、フレーム630上方に離間して位置し、下側凹溝83の底面を形成する板材631と、第1見付面632と、第2見付面633と、板材631の上側に形成した第1押縁部634、第2押縁部635と、を備え、第1押縁部634と第2押縁部635との間に、下側凹溝83が形成されており、下側凹溝83の底面には、幅方向の所定位置に合わせガラス9のセッティングブロック90が設けてあり、下側凹溝83に合わせガラス9の下端部を受け入れて固定するようになっている。下框63の構成の詳細については、後述する。
【0020】
図2に示すように、扉体6は上吊式引戸であり、上面620には、戸先側部位と、戸尻側部位にそれぞれ戸車65が設けてあり、上ケース3の内部空間の下側部位に位置して開口幅方向に延びるレールR上を転動するようになっている。扉体6の上端部位は、上ケース3の下面に形成されて開口幅方向に延びる横長の開口を通って上ケース3内に延びており、扉体6と開口との間にはクリアランスが存在している。扉体6の上面620には、火炎流動抵抗部材66が固定されており、クリアランスを通る煙の流動や火炎の回りを遅延させ、また、抵抗を与えようになっている。扉体6の下端部には、断面視下向きコ字形状の振れ止めレール636が設けてあり、下枠4に突設されたガイド部40に案内されながら移動するようになっている。
【0021】
図3に示すように、戸先側縦枠1は、第1見付面10と、第2見付面11と、見込面12と、を備え、見込面12には高さ方向に延びる凹部が形成されており、開口部全閉状態では、扉体6の戸先側部位が凹部内に位置するようになっている。戸先側縦枠1の見込面12には、凹部を挟んで両側(閉鎖姿勢の扉体6を挟んで室内側、室外側)に位置して光電センサが設けてある。戸尻側縦枠2は、第1見付面20と、第2見付面21と、見込面22と、を備え、見込面22の第1側部位(室内側部位)には光電センサが設けられ、第2側部位には高さ方向に延びる凹部が形成されている。本実施形態では、戸先側縦枠1及び戸尻側縦枠2は、建物開口部の高さを越えて、上ケース3の上端に達するまで延びている。
【0022】
固定パネル5は、戸先側縦框50、戸尻側縦框(戸尻側縦枠2の第2側部位)、上框、下框、からなる四周框を備えており、四周框の内側には、扉体6と同様に合わせガラス9´が嵌め込まれている。
図3に示すように、扉体6の戸尻側縦框61の第2見付面(室外側見付部)612には煙返し部材が設けてあり、開口部全閉時に、固定パネル5の戸先側縦框50の見付部に形成された煙返し部材とあいじゃくり状になることで、開口部全閉時に扉体6の戸尻側縦框61と固定パネル5の戸先側縦框50との間からの煙の流動や火炎の回りを遅延させるようになっている。
【0023】
図4を参照しつつ、戸先側縦框60の構成について詳細に説明する。戸先側縦框60の表面は、見込面600と、第1見付面601と、第2見付面602と、第1見付面601の内側端の内側見込面603と、第2見付面602の内側端の内側見込面604と、からなり、これらの表面は、所定形状に折り曲げられた板状の表面材によって形成されている。
【0024】
戸先側縦框60の内部には、戸先側縦框60の見込面600と、第1見付面601の外方部位、第2見付面602の外方部位の内面に位置して、高さ方向に延びる断面視コ字形状のフレーム605が設けてある。フレーム605は見込部6050と、第1見付部6051と、第2見付部6052と、を備え、見込部6050が見込面600を形成する表面材の内面に当接し、第1見付部6051が、第1見付面601を形成する表面材の内面に当接し、第2見付部6052が、第2見付面602を形成する表面材の内面に当接させて固定される。
【0025】
戸先側縦框60の内部には、フレーム605に対向して高さ方向に延びる断面視コ字形状の板材606が設けてある。板材606は見込部6060と、第1見付部6061と、第2見付部6062と、を備え、第1見付部6061が、第1見付面601を形成する表面材の内面に当接し、第2見付部6062が、第2見付面602を形成する表面材の内面に当接させて固定され、見込部6060は、フレーム605の見込部6050と離間対向しており、フレーム605と板材606との間に高さ方向に延びる第1内部空間S1が形成されている。
【0026】
板材606の見込部6060には、戸先側縦框60の見込面600から離間する側に位置して、高さ方向に延びる断面視コ字形状の第1押縁材607と、高さ方向に延びる断面視コ字形状の第2押縁材608と、が設けてある。第1押縁材607は、見付部6070と、第1見込部6071と、第2見込部6072と、からなり、第2押縁材608は、見付部6080と、第1見込部6081と、第2見込部6082と、からなる。
【0027】
第1押縁材607の第1見込部6071は、板材606の見込部6060の第1側部位に当接し、第2見込部6072は、内側見込面603に当接し、見付部6070は、第1見付面601の幅方向半部に離間対向しており、第1見込部6071の先端及び第2見込部6072の先端は、第1見付面601を形成する板材の内面に当接している。
【0028】
第2押縁材608の第1見込部6081は、板材606の見込部6060の第2側部位に当接し、第2見込部6082は、内側見込面604に当接し、見付部6080は、第2見付面602の幅方向半部に離間対向しており、第1見込部6081の先端及び第2見込部6082の先端は、第2見付面602を形成する板材の内面に当接している。
【0029】
第1押縁材607の見付部6070と第2押縁材608の見付部6080は離間対向しており、第1押縁材607の見付部6070と、第2押縁材608の見付部6080と、板材606の見込部6060の見込方向中央部位と、から合わせガラス9の戸先側端部位を受け入れる嵌合溝80が形成されている。
【0030】
第1押縁材607と、第1見付面601の幅方向半部と、内側見込面603と、から中空状の第1押縁部603´が形成され、第1押縁部603´は第2内部空間S2を規定している。第2押縁材608と、第2見付面602の幅方向半部と、内側見込面604と、から中空状の第2押縁部604´が形成されており、第2押縁部604´は第3内部空間S3を規定している。
【0031】
図5、
図6に示す態様では、板材631は、第1押縁部603´(第2内部空間S2)の下端、及び、第2押縁部604´(第3内部空間S3)の下端まで延びており(板材631の上面部6310は戸先側の幅方向中央部位が切り欠かれているが、切り欠き部6313を挟んで部分6310´が残っている)、第1押縁部603´(第2内部空間S2)の下端、第2押縁部604´(第3内部空間S3)の下端は、板材631の上面部6310の部分6310´上に位置している。
【0032】
図7、
図8に示す態様では、板材631は、第1押縁部603´(第2内部空間S2)の下端、及び、第2押縁部604´(第3内部空間S3)の下端まで延びておらず、第1押縁部603´(第2内部空間S2)の下端、及び、第2押縁部604´(第3内部空間S3)の下端は開放しており、下框63の内部空間S4と連通している。
【0033】
扉体6の戸先側縦框60の第1見付面601、第2見付面602には、所定高さに位置して取手Hが設けてあるが、取手Hは、第1見付面601の幅方向半部、第2見付面602の幅方向半部をそれぞれ切り欠いて設けてあり、取手Hの裏面側部位は、第1押縁部603´の第2内部空間S2、第2押縁部604´の第3内部空間S3に位置している。
【0034】
図10に示すように、第1見付面601、第2見付面602を形成する表面材、板材606、第1押縁材607、第2押縁材608の高さ方向の所定部位は、取手Hに対応して切り欠かれている。より具体的には、第1見付面601、第2見付面602を形成する表面材の高さ方向の所定部位には、縦長方形状の切り欠きないし開口6010、6020が形成され(
図10(D))、板材606の高さ方向の所定部位には、角部(見込部6060の見込方向両端部、第1見付部6061の半部、第2見付部6062の半部)が切り欠かれており、第1押縁材607、第2押縁材608の高さ方向の所定部位において、第1見込部6071、6081が切り欠かれている。
【0035】
扉体6の戸先側縦框60の中空部からなる第1内部空間S1と、第1押縁部603´の中空部からなる第2内部空間S2、第2押縁部604´の中空部からなる第3内部空間S3は、板材606の見込部6060、第1押縁材607の第1見込部6071、第2押縁材608の第1見込部6081によって、高さ方向に亘って概ね仕切られているが、扉体6の戸先側縦框60の第1内部空間S1と、第1押縁部603´の第2内部空間S2、第2押縁部604´の第3内部空間S3は、上記取手Hの周囲に形成された切り欠きを介して連通している。
【0036】
図6、
図8を参照しつつ、扉体6の下框63の構成について詳細に説明する。扉体6の下框63は、下向き凹状の扉体下面を形成する断面視コ字形状のフレーム630と、フレーム630上方に離間して位置し、下側凹溝83の底面を形成する板材631と、を備えている。フレーム630、板材631は、扉体の幅方向に延びている。
【0037】
フレーム630は、上面部6300と、上面部6300の見込方向一端から垂下する第1見付部6301と、上面部6300の見込方向の他端から垂下する第2見付部6302と、からなり、フレーム630から扉体6の凹状の下面が形成されている。フレーム630の第1見付部6301には、下框63の第1見付面632を形成する表面材が固定されており、フレーム630の第2見付部6302には、下框63の第2見付面633を形成する表面材が固定されている。
【0038】
板材631は、上面部6310と、上面部6310の見込方向一端から垂下する第1見付部6311と、上面部6310の見込方向の他端から垂下する第2見付部6312と、からなる。板材631の第1見付部6311には、下框63の第1見付面632を形成する表面材が固定されており、板材631の第2見付部6312には、下框63の第2見付面633を形成する表面材が固定されている。下框63の第1見付面632を形成する表面材は、板材631の上面部6310を越えて上方に延びて、上面部6310の第1側部位に低背の凸部を形成し、凸部には押縁材が固定されて第1押縁部634が形成される。下框63の第2見付面633を形成する表面材は、板材631の上面部6310を越えて上方に延びて、上面6310の第2側部位に凸状の第2押縁部635が形成されている。図示の態様では、第2押縁部635の上面及び下側凹溝83に面する部位は支持片6350によって支持されており、支持片6350の下端は水平に延びており、下側凹溝83の下面を形成している。
【0039】
第1押縁部634と第2押縁部635との間に、下側凹溝83が形成されており、板材631の上面6310見込方向の中央部位が下側凹溝83の底面に下方から当接しており、下側凹溝83の底面(上面6310)には、幅方向の所定位置に合わせガラス9のセッティングブロック90が設けてある。下側凹溝83、第1押縁部634、第2押縁部635を、どのような形状の部材を組み合わせて形成するかは、図示の態様には限定されない。
【0040】
下側凹溝83の底面(上面6310)には、幅方向の所定位置に孔部92が形成されており、セッティングブロック90、孔部92を除く領域には、複数本の板状の熱膨張耐火部材91が固定されている。合わせガラス9が火災時の高温に晒されることで、合わせガラス9の樹脂が溶融して下方に流れて下側凹溝83内に浸入した時に、孔部92を介して、下側凹溝83の下方に排出するようになっており、また、下側凹溝83内で熱膨張耐火部材91が発泡して膨張することで、合わせガラス9の下端部と下側凹溝83との間に防火上不利な隙間が形成されること(溶けた樹脂が凹溝からあふれ出ること)を防止している。なお、固定パネル5の下端も同様の構成を備えている。
【0041】
図5に示すように、本実施形態に係る扉体6において、下框63のフレーム630は、扉体3の戸先側端部まで延びており、戸先側縦框60のフレーム605の下端は、下框63のフレーム630の上面部6300の上面に当接している。本実施形態に係る扉体6において、扉体6の戸先側の下端部位には錠装置Lが内蔵されており、縦框60の板材606の下端は、錠装置Lの上面に近接(本実施形態では当接していない)ないし当接している。錠装置Lの周囲には空隙が存在しており、下框63の内部空間S4と縦框60の内部空間(第1内部空間S1)は上記空隙を介して連通している。なお、扉体6の戸先側の下方部位に錠装置Lを設けない場合もある。
【0042】
下框63のフレーム630の戸先側端部位には、錠装置Lの下方部位を固定する支持片637が設けてある。下框63のフレーム630に固定した振れ止めレール636の戸先側端部は、錠装置Lまでは達しておらず、支持片637の戸尻側端部と振れ止めレール636の戸先側端部が離間している。
【0043】
図5~
図9に示すように、下框63のフレーム630の上面部6300の戸先側端部位には、2つの樹脂抜き用の孔部64が形成されており、下框63の内部空間S4は孔部64を介して外部と連通している。本実施形態に係る孔部64は、振れ止めレール636の戸先側端部と錠装置Lの間に位置して、フレーム630の上面部6300に形成されている。孔部64の個数や形状は限定されない。
【0044】
図5に示すように、縦框60の押縁部604´(603´)の下端は、下框63の凹溝83の底面、すなわち、下框63の板材631の上面部6310と一致している。
図5、
図6に示す態様では、下框63の板材631の戸先側端部は、戸先側縦框60の板材606の見込部6060に当接するまで延びているが、上面部6310は、戸先側縦框60の戸先側凹溝80の下端に対応する部位において切り欠かれており、戸先側縦框60の戸先側凹溝80を形成する空間は、下框63の下側凹溝83を形成する空間と連通すると共に、切り欠き部6313を介して、下框63の内部空間S4と連通している。
【0045】
図5、
図6に示す態様では、第1押縁部603´(第2内部空間S2)の下端、第2押縁部604´(第3内部空間S3)の下端は、板材631の上面部の部分6310´上に位置することで閉塞されており、下框63の内部空間S4とは直接は連通していない。ここで、
図10との関係で説明したように、扉体6の戸先側縦框60の第1内部空間S1と、第1押縁部603´の第2内部空間S2、第2押縁部604´の第3内部空間S3は、取手H取付部位周囲の切り欠きを介して連通しており、また、下框63の内部空間S4と戸先側縦框60の第1内部空間S1は連通しているので、下框63の内部空間S4と戸先側縦枠60の内部空間(第1内部空間S1、第2内部空間S2、第3内部空間S3)は連通することになる。
【0046】
図7、
図8に示す態様では、下框63の板材631の戸先側端部は、下框63の下側凹溝83の戸先側端部に一致しており、戸先側縦框60の押縁部603´、604´の下端に対応する部位までは延びていない。戸先側縦框60の凹溝80を形成する空間は、下框63の凹溝83を形成する空間と連通すると共に、下框63の内部空間S4と連通している。さらに、第1押縁部603´の第2内部空間S2、第2押縁部604´の第3内部空間S3の下端部位は、下框63の内部空間S4に連通するように開放状となっている。
【0047】
開口部全閉状態において、室外側で火災が発生した場合に、合わせガラス9が火災時の高温に晒されることで、合わせガラス9の樹脂が溶融して下方に流れるが、溶融樹脂の流れの1つとして、合わせガラス9の戸先側端面から戸先側凹溝80内を下方に流れる流路が想定される。本実施形態では、戸先側凹溝80の下端は、下框63の内部空間S4と連通しており、戸先側凹溝80内を下方に流れ落ちる溶融樹脂は、下框63の内部空間S4の戸先側部位に案内される。下框63の内部空間S4の下面を形成するフレーム630の上面部6300の戸先側部位には、孔部64が形成されており、戸先側凹溝80内を下方に流れ落ちて、下框63の内部空間S4に浸入した樹脂は、孔部64から外部に排出される。なお、外部に排出された樹脂が気化して発火する懸念があるが、火災側で生成される循環流によって、外部に排出された溶融樹脂が扉体6の下方部位から室内側(非火災側)に浸入して発火する可能性は低減される。
【0048】
溶融して下方に流れた樹脂について何ら対策を講じないとすると、戸先側凹溝80内を下方に流れ落ちて、下框63の内部空間S4の戸先側部位に浸入した樹脂が内部空間S4の戸先側部位に溜まり、溜まった樹脂が気化して可燃ガスが生成され、
図5、
図6の態様においては、下框63の内部空間S4の戸先側部位から、戸先側縦框60の第1内部空間S1を通って上昇して、第2内部空間S2、第3内部空間S3に流れ込み(
図7、
図8の態様においては、可燃ガスは、さらに、第2内部空間S2、第3内部空間S3の下端から上昇する)、取手Hの取付部位の隙間から室内側へ発炎し得るが、本実施形態では、合わせガラス9の戸先側端面から戸先側凹溝80内を下方に流れる樹脂を積極的に扉体外部に排出することで、扉体下端の戸先側部位で可燃ガスが発生して、戸先側縦框の内部空間に侵入することを可及的に防止している。
【0049】
図2に示すように、本実施形態に係る上ケース3の一部は、点検用カバー7から構成されており、点検用カバー7を開放することで、上ケース3の内部空間を露出させ、扉体6の駆動機構のメンテナンスが可能となっている。上吊引戸における扉体6の駆動機構は当業者において公知なので、詳細な説明は省略する。
【0050】
図2、
図13に示すように、上ケース3は、上面30と、第1見付面と、第2見付面31と、第1見付面の下端から第2見付面に向かって延びる第1下面と、第2見付面31の下端から第1見付面に向かって延びる第2下面32と、を備え、前記第1見付面、前記第1下面は、点検用カバー7のカバー見付面70、下辺71から形成されている。第2下面32の先端には立ち上がり片33が形成されており、下辺71の先端には立ち上がり片72が形成されており、立ち上がり片33、72間に扉体6の上端部を受け入れる開口が形成されている。
【0051】
図15に示すように、上ケース3の幅方向両端は戸先側縦枠1の見込面12、戸尻側縦枠2の見込面22によって塞がれており、点検用カバー7のカバー見付面70(上ケース3の第1見付面)の幅方向端部は、戸先側縦枠1の第1見付面10、戸尻側縦枠2の第1見付面20と略一致(第1見付面10、20が僅かに突出している)しており、上ケース3の第2見付面31の幅方向端部は、戸先側縦枠1の第2見付面11、戸尻側縦枠2の第2見付面21と略一致(第2見付面11、21が僅かに突出している)している。
【0052】
ケース本体は、上面30と、上面30の室外側端部から垂下する第2見付面31と、第2見付面31の下方に形成した第2下面32と、第2下面32の先端に形成した立ち上がり片33と、上面30の室内側端部に形成した点検用カバー7の連結部34と、を備えている。点検用カバー7は、カバー見付面70の上端の折曲片73を、ケース本体の連結部34に対して丁番35(本実施形態では、幅方向3ヵ所に設けてあるが、個数は限定されない)を介して連結することで、ケース本体に対して回動可能となっている。点検用カバー7の下端部位の幅方向両端部位は、後述するように、戸先側縦枠1、戸尻側縦枠2に着脱可能に固定される。なお、点検用カバーは、ケース本体に対して回動可能なものに代えて、ケース本体に対して着脱可能なものであってもよい。
【0053】
点検用カバー7の垂直状のカバー見付面70と水平状の下辺71の角部の内側には長さ方向(開口幅方向)に亘って断面視コ字形状の横材74が設けてある。横材74は、上面740、下面741、垂直面742を備え、垂直面742と下面741をカバー見付面70と水平状の下辺71の角部の内側に当接させて固定されている。横材74の断面形状は限定されず、例えば、角パイプであってもよい。
【0054】
戸先側縦枠1の見込面12の第1見付面10側、戸尻側縦枠2の見込面22の第1見付面20側に位置して、点検用カバー7の横材74の直上の高さに位置するように支持ブラケット13が固定されている。支持ブラケット13は、水平片130と垂直片131とからL形状を備え、垂直片131を介して、戸先側縦枠1の見込面12、戸尻側縦枠2の見込面22の所定高さ位置に固定されており、点検用カバー7の下端部位は、横材74の上面740を支持ブラケット13の水平片130の下面に当接させた状態で、螺子743で横材74と支持ブラケット13を止着することで、固定される。横材74は補強部材としても機能し、開口幅方向に延びる板材である点検用カバー7の変形を防止する。
図14に示すように、カバー見付面70には自動ドアの起動センサSR(
図1参照)の取付部位に対応して、配線等のための開口76が形成されており、カバー見付面70の裏面には、開口76を側方及び下方から囲むような、上方が開放状で箱状の囲み部材77が設けてある。起動センサSRの部品が着火したり溶融した場合であっても、これらを囲み部材77に抑え込むようにしている。
【0055】
点検用カバー7のカバー見付面70の幅方向両端部には、高さ方向に延びる補強部材75が設けてある。補強部材75は、内側(上ケース3の第2見付面31)に向かって延びる側辺750と、カバー見付面70の幅方向両端部位の内面に固定される固定辺751と、から断面視L形状を備えている。補強部材75は、固定辺751において、カバー見付面70の幅方向両端部位の内面に固定されており、側辺750の面部は、戸先側縦枠1の見込面12、戸尻側縦枠2の見込面22に当接ないし近接している(
図15参照)。
【0056】
本実施形態に係る補強部材75は、点検用カバー7のカバー見付面70の全高よりは短片である。補強部材75の上端は、上端の折曲片73まで達しておらず、補強部材75の下端は、横材74(左右の支持ブラケット13)まで達していない。なお、補強部材は、カバー見付面70と一体形成されるものでもよい。また、カバー見付面70の幅方向両端部に設けた左右の補強部材75に加えて、カバー見付面70の幅方向の中間部位に高さ方向に延びる補強部材を設けてもよい。
【0057】
図15に示すように、カバー見付面70は、戸先側縦枠1の第1見付面10、戸尻側縦枠2の第1見付面20と略一致している。ここで、上ケース3が火災時の熱に晒された時には、上ケース3の本体は、点検用カバー7に比べて、容量が大きく頑強であるため、熱変形し難いが、カバー見付面70はケース本体に比較して熱変形し易い。仮に、カバー見付面70が、戸先側縦枠1の第1見付面10、戸尻側縦枠2の第1見付面20に対して外側(
図15における矢印方向)に膨出するように変形した時には、点検用カバー7の幅方向端部に防火上不利な隙間が生じるおそれがある。さらに、上ケース3内には、駆動機構の構成要素、具体的には、樹脂部品(電線の被覆部や戸車65の回転ローラ)やグリス(電動モータ)等の着火しやすい要素が存在することから、火災時等の熱でこれらの要素が着火するおそれがあることから、点検用カバー7が熱変形すると、ケース内の火炎が室内側へ噴出するおそれがある。
【0058】
本実施形態では、点検用カバー7のカバー見付面70の幅方向両端部に高さ方向に延びる補強部材75を設けたことで、点検用カバー7の熱変形を抑制していると共に、側辺750の面部は、戸先側縦枠1の見込面12、戸尻側縦枠2の見込面22に当接ないし近接して重なっているので、仮に、点検用カバー7が、カバー見付面70が膨出するように熱変形した場合であっても、補強部材75の側辺750の部分が、側面視において、戸先側縦枠1の第1見付面10、戸尻側縦枠2の第1見付面20の内側に位置して点検用カバー7の幅方向両端部を塞ぐようになっている。点検用カバー7の側辺750の幅寸法は、カバー見付面70が想定される最大量膨出変形した場合であっても、側辺750の部分が、側面視において、戸先側縦枠1の第1見付面10、戸尻側縦枠2の第1見付面20の内側に位置して点検用カバー7の幅方向両端部を塞ぐことができるような寸法に設定されている。したがって、上ケース3で火炎が発生した時に、その火炎が点検用カバー7側から外部に噴出することを防止できる。
【0059】
[付記]
扉体の上端部が上ケース内に受け入れられた状態で開閉移動する引戸装置において、
前記上ケースは、上面と、第1見付面と、第2見付面と、第1見付面の下端から第2見付面に向かって延びる第1下面と、第2見付面の下端から第1見付面に向かって延びる第2下面と、を備え、第1下面と第2下面との間の前記扉体の上端部を受け入れる開口が形成されており、
前記上ケースの幅方向両端は左右の縦枠によって塞がれており、
前記上ケースの一部は、前記第1見付面、前記第1下面を、それぞれ形成するカバー見付面、下辺を備えた点検用カバーから構成されており、
前記カバー見付面の幅方向両端部には、高さ方向に延びる補強部材が設けてあり、前記補強部材は、前記第2見付面に向かって延びる側辺を備えており、前記側辺の面部は、前記縦枠に当接ないし近接している、
引戸装置。
1つの態様では、前記カバー見付面は、前記縦枠の第1見付面と略一致しており、
火災時に、前記カバー見付面が、前記縦枠の前記第1見付面に対して外側に膨出するように変形した時に、前記側辺の部分は、前記縦枠の前記第1見付面の内側に位置して前記点検用カバーの幅方向両端部を塞ぐようになっている。
1つの態様では、前記補強部材の下端は、前記下辺までは達しておらず、前記点検用カバーには、前記カバー見付面の下端部位と前記下辺との角部の内側に位置して、全幅に延びる水平補強部材(横材)が設けてある。
【符号の説明】
【0060】
1 戸先側縦枠
10 第1見付面
2 戸尻側縦枠
20 第1見付面
3 上ケース
6 扉体
60 戸先側縦框(ドア框)
601 第1見付面
6010 開口
602 第2見付面
6020 開口
603´ 第1押縁部
604´ 第2押縁部
61 戸尻側縦框(ドア框)
62 上框(ドア框)
63 下框(ドア框)
630 フレーム(下枠材)
6300 上面部(下框の下面)
631 板材(上枠材)
6310 上面部(上枠材の上面)
6313 切り欠き部(開口)
636 振れ止めレール
64 孔部
7 点検用カバー
74 横材
70 カバー見付面
71 下辺
75 補強部材
750 側辺
80 戸先側凹溝(嵌合溝)
81 戸尻側凹溝(嵌合溝)
82 上側凹溝(嵌合溝)
83 下側凹溝(嵌合溝)
9 合わせガラス
L 錠装置
H 取手
S1 第1内部空間(戸先側縦框の内部空間)
S2 第2内部空間(戸先側縦框の内部空間)
S3 第3内部空間(戸先側縦框の内部空間)
S4 下框の内部空間