(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 315A
(21)【出願番号】P 2020163465
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】内山 義崇
【審査官】大浜 康夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-037392(JP,A)
【文献】特開2020-108479(JP,A)
【文献】特開2021-108923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技状態として通常状態よりも入賞が容易になる入賞容易状態を発生可能で、通常状態における大当り抽選の結果が所定回数連続して非当選である場合に遊技状態を前記入賞容易状態へ切り替えるように構成された遊技機であって、
前記大当り抽選の結果を図柄変動として表示する表示手段と、
前記入賞容易状態を終了するための条件を抽選する終了条件抽選手段と、
前記終了条件抽選手段により前記入賞容易状態が終了した時点で前記入賞容易状態において実行された大当り抽選の回数を記憶する抽選回数記憶手段と、
前記入賞容易状態が終了し通常状態に移行するタイミングで前記抽選回数記憶手段に記憶した大当り抽選の回数を表示し当該記憶した大当り抽選の回数分だけ前記所定回数が減算されたように前記表示手段に表示する減算演出を実行する減算表示手段と、
前記記憶した大当り抽選の回数と前記所定回数との差である残り大当り抽選回数を算出する算出手段と、
を備え
、前記残り大当り抽選回数が予め定められた範囲内であるか否かで前記減算演出を実行する割合が異なる構成にあって、
前記予め定められた範囲を複数設け、複数設けられた範囲それぞれにおいて前記減算演出を実行する割合が異なることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技状態として通常状態よりも入賞が容易になる入賞容易状態を発生可能で、通常状態における大当り抽選の結果が所定回数連続して非当選である場合に遊技状態を前記入賞容易状態へ切り替えるように構成された遊技機であって、
前記大当り抽選の結果を図柄変動として表示する表示手段と、
前記入賞容易状態を終了するための条件を抽選する終了条件抽選手段と、
前記終了条件抽選手段により前記入賞容易状態が終了した時点で前記入賞容易状態において実行された大当り抽選の回数を記憶する抽選回数記憶手段と、
前記入賞容易状態が終了し通常状態に移行するタイミングで前記抽選回数記憶手段に記憶した大当り抽選の回数を表示し当該記憶した大当り抽選の回数分だけ前記所定回数が減算されたように前記表示手段に表示する減算演出を実行する減算表示手段と、
前記記憶した大当り抽選の回数と前記所定回数との差である残り大当り抽選回数を算出する算出手段と、
前記大当り抽選の結果を特図保留として所定の上限保留数まで記憶する特図保留記憶手段
と、
を備え、
前記抽選回数記憶手段は、前記特図保留記憶手段に記憶される上限保留数の大当り抽選を行う保留消化状態において実行された大当り抽選の回数を記憶し、
前記減算表示手段は、前記保留消化状態が終了する大当り抽選に対応する図柄変動において前記減算演出を実行する
ものとし、
前記残り大当り抽選回数が予め定められた範囲内であるか否かで前記減算演出を実行する割合が異なる構成にあって、
前記予め定められた範囲を複数設け、複数設けられた範囲それぞれにおいて前記減算演出を実行する割合が異なることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機には様々なタイプの遊技機が存在し、一種タイプと呼ばれる遊技機では始動口への入賞を条件に大当り抽選を行い、大当りに当選すると大入賞口の開放を伴う大当り遊技が実行される。また、二種タイプと呼ばれる遊技機では開閉可能な羽根役物を備える開閉入賞装置が設けられ、開閉入賞装置内部に設けられる特定領域(V入賞口)に玉を入賞させることで入賞口の開放を伴う大当り遊技が実行される。
【0003】
上記一種タイプと二種タイプを融合させた一種二種混合タイプと呼ばれる遊技機も存在し、一種二種混合タイプの遊技機では始動口への入賞を条件に大当り抽選を行い、大当りに当選すると大入賞口の開放を伴う大当り遊技が実行される一方、大当り抽選の結果小当りに当選した場合に、開閉入賞装置が備える羽根役物が開閉する小当り遊技が実行され、羽根役物が開放している間に開閉入賞装置へ玉を入賞させ、開閉入賞装置内部に設けられた特定領域(V入賞口)に玉を入賞させることで大入賞口の開放を伴う大当り遊技が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、遊技状態が遊技者にとって有利な状態(例えば時短状態などと呼ばれる状態)に遷移する条件として、所定数(例えば、天井ゲーム数等)の遊技消化を条件とする遊技機が存在する。このような遊技機において例えば特許文献1には遊技の消化状況の報知機能を備えた遊技機において、報知動作時に遊技の間延び感を遊技者に与えることなく遊技を進行させる遊技機が提案されている。
【0006】
しかしながら、パチンコ遊技機において有利な状態を得るための条件として必要な所定数は、低確率状態での大当り確率分母の2.5倍~3倍となる遊技機が多い。このため、遊技者にとっては多くの時間と金額が必要となってしまい、所定回数遊技を行うことなく遊技を止めてしまう遊技者もいる。
【0007】
本発明は上記事情を鑑みたものであり、通常状態における大当り抽選の結果が所定回数連続して非当選である場合に遊技状態を入賞容易状態へ切り替えるように構成された遊技機において新たな演出を実現することで遊技興趣の向上を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明によれば、遊技状態を入賞容易状態へ切り替えるまでの大当り抽選回数を短縮したように見せることができるので、遊技者に継続遊技の動機を提供すると共に、入賞容易状態となることによる大当り機会が近づいたと認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図9】天井到達による特典付与までの一連の流れを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、遊技機の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の遊技機は一種二種混合タイプのパチンコ遊技機である。
図1は遊技機の正面図である。遊技機1はCR(カードリーダ)機であり、遊技盤面2に玉を発射するハンドル3、上受皿4、下受皿5を有し、上受皿4には残高表示部6、貸出釦7、返却釦8が設けられていると共に、遊技盤面2には普図入賞口9、普図表示部10、普図保留表示部11、液晶表示部12(表示手段)、第1特図保留表示部13、第2特図保留表示部14、一般入賞口15、第1始動口16、第2始動口17、開閉入賞装置18、大入賞口19が設けられている。
遊技機1は以下に示すように動作する。
【0011】
(1)第1始動口16は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)である。第2始動口17は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)で、後述する時短状態では電サポ状態となり入賞確率が高くなる。第1始動口16または第2始動口17への入賞(始動入賞)に応じて各始動口16,17に対応した第1特別図柄(以下、特
図1)または第2特別図柄(以下、特
図2)による大当り抽選を行い、抽選結果を液晶表示部12における図柄変動(単位遊技)にて報知し、その変動結果に応じて大当りとなる。
【0012】
(2)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の上限保留数(例えば各始動口16,17に4つずつ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に、保留している図柄変動を開始する。なお、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
【0013】
(3)第1始動口16では特
図1に対応する大当り抽選を行う。特
図1に対応する大当り抽選の当選確率(以下、大当り確率)は1/198で、大当りが発生すると10ラウンド(R)分だけ大入賞口19を開放する。1Rの上限入賞数は10個、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数または上限開放時間のいずれかが満たされた場合に1Rを終了する。
【0014】
(4)第1始動口16への入賞時には後述する時短状態を発動させるための時短図柄の抽選を行っており、その当選確率は1/4096である。時短図柄が当選すると、時短状態が付与される。この時短状態で付与される電サポ回数は1回である。つまり、第1始動口16への入賞では時短状態はほとんど発生しない上に、発生した場合であっても玉の入賞確率は極めて低く設定されており、遊技者に対する特典はほとんどないが、電チューが動作することで遊技者に対して時短状態が開始したのではないかと期待させることができる。
【0015】
(5)第2始動口17は普図入賞口9への入賞に応じて変動する普通図柄(以下、普図)が当選した場合に入賞率の高い開放状態となる。この場合、普
図1回の変動時間は通常状態では30秒であり時短状態では3秒となる。また、開放時間は通常状態では0.3秒であるが時短状態(入賞容易状態)では5秒となる。即ち、時短状態では通常状態と比較して普図変動時間が短くなる一方、開放時間は長くなることで第2始動口17の入賞率が高くなる。
【0016】
(6)第2始動口17への入賞時には特
図2の図柄変動に対応する大当り抽選を行う。本実施形態では、大当り確率が通常よりも高くなる確率変動機能を搭載しておらず、第2始動口17における大当り抽選でも大当り確率は第1始動口16への入賞における大当り確率と同一の1/198である。つまり、大当り確率は通常大当り確率の一つのみである。また、第1始動口16と同様に時短図柄の抽選も行っており、第2始動口17における時短図柄の当選確率は1/11である。時短図柄が当選すると、時短状態が付与される。この時短状態で付与される電サポ回数は1000回である。つまり、第2始動口17に入賞した場合は比較的高い確率で時短状態となり、さらに時短状態が長いので、遊技者に対する特典は大きい。
【0017】
(7)第2始動口17では小当りの抽選を行っており、小当りに当選すると、遊技盤面2上に設けられた開閉入賞装置18が備える図示しない羽根役物が開閉する小当り遊技が実行される。小当り遊技では、開閉入賞装置18の内部に設けられる特定領域(V入賞口)に入賞した場合に、大入賞口19の開閉を伴う大当り遊技が実行される。小当り当選確率(小当り確率)は1/46である。第2始動口17では時短状態を終了するための転落役の抽選を行っており、その当選確率は1/109である。転落役が成立すると、時短状態が終了し、その時点で記憶していた特図保留数分だけ特
図2の抽選を行う。
【0018】
図3は内部当選テーブルを示している。この内部当選テーブルは当選個数を示しており、当選個数に応じて上記当選確率が設定されている。各始動口16,17への入賞時は
図3の図柄振分に従って大当り抽選を行う。
【0019】
図2は遊技機1の機能ブロック図である。遊技機1は主制御回路20(終了条件抽選手段、算出手段)を備えている。この主制御回路20は、CPU21、ROM22、RAM23(特図保留記憶手段、抽選回数記憶手段)などを備えたマイクロコンピュータにより構成され、電源回路24から電源が供給される。主制御回路20は、特図始動センサ25、普図始動センサ26、大入賞口センサ27、V入賞口センサ28、電チューソレノイドセンサ29などから入力される信号に基づいて、大入賞口ソレノイド30、羽根ソレノイド31、Vソレノイド32を駆動することで遊技機1全体を制御している。遊技者がハンドル3を操作すると、その操作情報が入力された発射制御回路33によって発射装置34が駆動され、遊技盤面2に玉が発射される。
【0020】
V入賞口センサ28は、開閉入賞装置18の内部に設けられた特定領域(V入賞口)への入賞を検知するスイッチである。
羽根ソレノイド31は、開閉入賞装置18に備えられた羽根役物の開閉状態を切替える。
Vソレノイド32は、開閉入賞装置18の内部に設けられる特定領域(V入賞口)の開閉状態を切替える。
【0021】
CPU21がROM22に記憶されたプログラムを実行することにより乱数発生部20a、乱数抽出部20b、図柄変動パターン判定部20cが構成されている。
図柄変動パターン判定部20cは、大当り抽選の図柄変動に係る状態を内部当選役に応じて判定する。
【0022】
RAM23には、特図保留エリア22a、普図保留エリア22b、特図演出エリア22c、普図演出エリア22d、抽選回数記憶エリア22eが設定されている。抽選回数記憶エリア22eは、大当り抽選を行った回数を記憶する。また、副制御回路36は、RAM23の情報を基に所定回数に到達するまでの残り大当り抽選回数を演算して記憶する。
【0023】
遊技盤面2に発射された玉は、遊技盤面2を流下した後、例えば普図入賞口9を通過する。このとき、普図始動センサ26は、普図入賞口9を通過する玉を検出し、玉が普図入賞口9を通過するごとに信号を主制御回路20に出力する。主制御回路20は、普図始動センサ26から信号を受信すると、乱数発生部20aで発生した乱数の1つを乱数抽出部20bで抽出することにより普図抽選を実行する。この普図抽選において普図当選になると、電チューソレノイド35が駆動され、第2始動口17が開放する。また、玉の普図入賞口9の通過に応じて、普図表示部10や普図保留表示部11のLEDを点灯あるいは消灯させる。
【0024】
特図始動センサ25は、各始動口16,17に入賞した玉を検出し、玉が入賞するごとに信号を主制御回路20に出力する。主制御回路20は、特図始動センサ25から信号を受信すると、乱数発生部20aで発生した乱数の1つを乱数抽出部20bで抽出することにより図柄変動パターン判定部20cにより特図抽選を実行する。
【0025】
主制御回路20は、特図抽選を実行した後、液晶表示部12に表示されている図柄の変動を開始する。この特図抽選には特別遊技状態である大当たり状態、またはハズレのいずれかの抽選結果が設定されている。主制御回路20が大当たり状態を発生させると、大入賞口ソレノイド30が駆動され、大入賞口19の開放状態と閉鎖状態との切替制御が実行される。すなわち、主制御回路20は、大入賞口ソレノイド30を駆動することにより、大入賞口19を、遊技盤面2を流下する玉が入賞可能な開放状態と開放状態よりも玉が入賞し難い閉鎖状態とに切り替える切替制御を実行している。
【0026】
主制御回路20は、上記したように玉がいずれかの始動口16,17に入賞すると、副制御回路36(減算表示手段、表示手段)を制御することにより液晶表示部12に各種の演出を表示する。つまり、主制御回路20において抽選された特
図1,2に係る情報を副制御回路36に送信することで、副制御回路36は特
図1,2に応じた演出を液晶表示部12に表示する。副制御回路36は、演出制御回路37と表示制御回路38とから構成されている。
【0027】
演出制御回路37は、主制御回路20から受信した内部当選役及び図柄変動パターンに関する情報に応じて当該図柄変動で実行する演出音をアンプ/スピーカ39から発生させたり、演出内容を装飾ランプ部40により表示したりする。
表示制御回路38は、演出制御回路37から受信した演出内容に関する情報に応じて液晶表示部12に表示する演出表示内容を制御する。
【0028】
主制御回路20は、払出制御回路41に対し払出装置42からの玉の払出を指示する。払出装置42は、玉が各始動口16,17に入賞した場合には3個の玉を払い出し、大入賞口19に入賞した場合には10個の玉を払い出し、一般入賞口15に入賞した場合には10個の玉を払い出す。
【0029】
遊技機1及び当該遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打込みや各始動口16,17への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
アウト信号=消費玉を回収するアウトBOXから出力される消費価値(アウト)を特定可能な信号である。消費(使用、打込、回収)玉10玉に対して1パルスが出力されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。なお、遊技機1から出力される信号でも良い。
【0030】
セーフ信号=遊技機1から出力される入賞付与価値(セーフ)を特定可能な信号である。払出10玉に対して1パルスが出力されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。出力時点として入賞した時点で出力する信号が望ましいが、払出し完了時点で出力する信号でも良い。又、補給装置から出力される補給信号をセーフ信号としても良い。
【0031】
図柄変動信号(始動信号)=始動入賞により変動(作動)する液晶表示部12における図柄変動(スタート)を特定可能な信号である。図柄変動確定時に出力されるので、信号入力に応じて図柄変動を特定する。なお、各始動口16,17への入賞(始動入賞、S入賞)を特定可能な始動入賞信号にて代用しても良い。
【0032】
大当り信号=遊技機1から出力される大当り期間を特定可能な信号である。大当り中にレベル出力される状態信号なので、大当り信号入力中を大当り中として特定する。
特別状態信号=遊技機1から出力される特別状態(特別期間)を特定可能な信号である。第2始動口17の入賞率が向上する時短中にレベル出力される状態信号なので、特別状態信号入力中を特別状態中として特定する。又、大当り信号と特別状態信号のいずれも入力していない期間を通常状態として特定する。
【0033】
上記構成の遊技機1では、通常時における左打ちの場合は第1始動口16と一般入賞口15との入賞が期待される。一方、時短中(特別状態)や小当り遊技における右打ちの場合には第2始動口17や開閉入賞装置18への入賞が期待されることから、遊技者は大当りが発生するまでは左打ちし、大当りが発生してから時短や小当り遊技が終了するまでの特賞中は右打ちする。
【0034】
(遊技機1の遊技状態の遷移)
遊技機1の遊技状態の遷移について
図4を参照して説明する。
通常状態では、第1始動口16への入賞で特
図1に対応する大当り抽選を行い、大当りに当選すると大当りとなる。大当りを消化すると時短が1回だけ付与される。大当り中は特図保留が最大個数である4個を維持する状態が継続するので、大当りが終了した場合、大当りの最終図柄変動と保留した4回の図柄変動との計である5回分の図柄変動が行われる。この5回分の大当り抽選によりチャンスゾーン(CZ)に挑戦することになる。5回の図柄変動中に挑戦が失敗した場合は通常状態に戻る。挑戦に成功し、大当りに当選して大当りを消化したり、突然時短図柄に当選したりするとバトルモード(第1特別状態)に突入して時短状態となる。この時短状態での電サポ回数は1000回であり、時短を1000回消化するか、転落役が当選するまで当該時短状態が継続する。
【0035】
バトルモード中は図柄変動に対応する大当り抽選を行う。バトルモードに勝利すると大当りが当選となり、大当り消化後、再度バトルモードに突入する。バトルモードに敗北した場合は大当りに当選する前に転落役に当選となって時短状態が終了し、転落役に当選した図柄変動終了時に保留している残りの特図保留(以下、残保留)を消化する復活チャンス(保留消化状態)に突入する。復活チャンスに成功した場合は大当りとなり、大当り消化後に再度バトルモードに突入する。
【0036】
(バトルモードにおける演出)
バトルモードにおける演出について
図5を参照して説明する。
バトルモードはボクシングの対決で表現される。バトルモード突入時は二人のキャラクターであるボクサーが対峙している画像が液晶表示部12に表示され、同時にバトルモード突入を示す旨が表示される。二人のキャラクターの内一方は遊技者に対応するキャラクターである。バトルモード突入後に大当り抽選を行う図柄変動が開始されると、バトルモード突入を示すメッセージは非表示となる。
【0037】
図柄変動中は二人のキャラクターが対峙したまま、図柄変動を示す数字図柄が表示される。図柄変動が繰り返され、大当りに当選したり、転落役に当選したりすると、数字図柄の内の左図柄及び右図柄に同じ数字が表示される所謂リーチ状態となり、中図柄のみが図柄変動する。リーチ状態となると二人のキャラクターが決闘を行う。
【0038】
内部当選役として大当りが当選していると遊技者に対応するキャラクターが勝利した勝利演出が行われる。この勝利演出では、勝利を示す旨が表示され、同時に中図柄に左右図柄と同じ数字が停止して大当り図柄が確定し大当り遊技を開始する。一方、内部当選役として転落役が当選していると遊技者に対応するキャラクターが敗北した敗北演出が行われる。この敗北演出では、敗北を示す旨が表示され、同時に中図柄に左右図柄とは異なる数字が停止してハズレ図柄が確定する。このハズレ図柄の確定により時短状態が終了し、次の図柄変動より復活チャンスにおける演出が開始される。
【0039】
また、内部当選役として大当りが当選している場合においても敗北演出が選択される可能性もあり、その場合は中図柄に左右図柄とは異なる数字が停止して図柄変動が確定する前に、再度対決が行われ勝利演出を行うようにしても良い。
なお、上述したCZ状態でもバトルモード同様の演出内容が展開され、その場合はバトルモードではなくCZ突入を示す内容が表示される。但し、CZ時に敗北した場合は、復活チャンスは行わず通常の図柄変動を行う。
【0040】
(復活チャンスにおける演出)
復活チャンスにおける演出について
図6を参照して説明する。
復活チャンス突入時はバトルモードで敗北した遊技者に対応するキャラクターが膝をついて敗北した画像が表示され、同時に復活チャンス突入を示す旨が表示される。復活チャンス突入後大当り抽選を行う図柄変動が開始されると、復活チャンス突入を示す内容は非表示となる。
【0041】
図柄変動は復活チャンス突入時にRAM23に記憶されている特図保留数分(最大4回)行われ、図柄変動中は遊技者に対応するキャラクターが表示され、図柄変動に伴い数字図柄が表示される。復活チャンス中のいずれかの内部当選が大当りに当選すると、当該大当りに対応する図柄変動で遊技者に対応するキャラクターが立ち上がり、成功を示す旨が表示され、同時に数字図柄がすべて同一となるように表示され、大当り図柄が確定して大当り遊技を開始する。一方、復活チャンス中のすべての内部当選役がハズレに当選すると、最終特図保留に対応する図柄変動で遊技者に対応するキャラクターが立ち上がることなく、失敗を示す旨が表示され、同時に3つの数字図柄が同一とならないように表示されて復活チャンス演出が終了する。復活チャンス演出終了後は、後述する条件に応じて同一図柄変動内で減算演出が行われる。この減算演出は、天井時短発動までの大当り抽選の数が減少したことを遊技者にアピールするために行われる。
なお、最終特図保留に対応する図柄変動が大当りであった場合に、ハズレであった場合と同様に復活チャンスが失敗したことを示す演出を行った後、大当りと同様の演出を行うようにしても良い。
【0042】
(復活チャンスにおける演出)
復活チャンスにおける演出について
図7を参照して説明する。復活突入時の特図保留数は4個とする。
図7中の「保0」~「保4」は変動時に記憶している保留の数を示しており、「保4」は特図保留を4個記憶している状態を示し、同様に「保0」は特図保留を記憶していない最終図柄変動を示している。
【0043】
復活チャンスにおける4回の図柄変動の結果、いずれかの大当り抽選が大当りに当選した場合は、大当りA~Cのいずれかが所定の選択率に基づいて選択される。
(A)大当りAが選択された場合
大当りAが選択された場合は、以下のようにリーチの結果として直ちに大当りが告知される。この場合、遊技者は落胆することなく直ちに大当り遊技を行うようになる。
【0044】
図柄変動a:バトルモードの時短状態で大当り抽選が転落役に当選し、当該図柄変動で電サポによるバトルモードが終了する(時短状態終了)。
図柄変動b~d:RAM23に記憶されている特図保留に対応した図柄変動においてすべてハズレ(非当選)とする。
図柄変動e:復活チャンスの最終図柄変動では専用の演出表示パターンが発生し、リーチの結果大当りを告知してから大当りを開始する。なお、専用の演出表示パターン以外が発生しても良い。
【0045】
(B)大当りBが選択された場合
大当りBが選択された場合は、以下のようにリーチの結果として一旦ハズレが告知された後、大当りが告知される。この場合、遊技者は一旦落胆するものの、その後大当り遊技を行うようになる。
図柄変動a~d:大当りAが選択された場合と同様である。
図柄変動e:復活チャンスの最終図柄変動では専用の演出表示パターンが発生し、図柄変動がリーチの結果一旦ハズレとなった後、復活大当りを告知してから大当りを開始する。
【0046】
(C)大当りCが選択された場合
大当りCが選択された場合は、以下のようにリーチの結果として一旦ハズレが告知された後、天井到達までの残り大当り抽選回数の内、すでに実行している大当り抽選回数分を減算するような減算演出を表示した後、所定回数のすべてを減算するような減算演出を表示し、大当りを告知してから大当りを開始する。この場合、遊技者は、一旦落胆するものの、減算演出により残り大当り抽選回数を確認した後大当り遊技を行うようになる。
【0047】
図柄変動a~d:大当りA、Bが選択された場合と同様である。
図柄変動e:復活チャンスの最終図柄変動では専用の演出表示パターンが発生し、図柄変動eに対応する特図保留による図柄変動がリーチの結果一旦ハズレが告知される。その後天井到達までの残り大当り抽選回数の内、すでに実行している大当り抽選回数分を減算するような減算演出を表示し、復活大当りを告知してから大当りを開始する。
【0048】
(D)ハズレが選択された場合
ハズレが選択された場合は、以下のようにリーチの結果一旦ハズレとなった後天井到達までの残り大当り抽選回数の内、すでに実行している大当り抽選回数分減算するように見せる減算演出を表示する。この場合、遊技者は、減算演出により残り大当り抽選回数を確認することで遊技を継続するかを悩みながら遊技を行うようになる。
【0049】
図柄変動a~d:大当りA~Cが選ばれた場合と同様である。
図柄変動e:復活チャンスの最終図柄変動では専用の演出表示パターンが発生し、リーチの結果一旦ハズレが告知された後、天井到達までの残り大当り抽選回数の内、すでに実行している大当り抽選回数分を減算するような減算演出を行い、以降、通常の図柄変動を繰り返す。
以上のように、減算演出は、復活チャンス中に大当りとして大当りCが選択された場合とハズレに当選した場合に行われ、大当りA及び大当りBが選択された場合は行われることはない。
【0050】
(復活チャンスにおける最終図柄変動の演出表示パターン)
復活チャンスにおける最終図柄変動の演出表示パターンについて
図8を参照して説明する。但し、
図8に示す数値は各特図毎に各演出表示パターンが選択される割合を単位%で示したものであることから、縦軸の合計は100(%)となる。
【0051】
復活チャンスで行われる残保留の最終図柄変動では専用の演出表示パターンが表示される。復活チャンス中にいずれかの内部保留が大当りに当選した場合は、リーチに成功して大当りとなり、大当り消化後に再度バトルモードに突入する。リーチに失敗すると、天井到達までの残り大当り抽選回数の内、すでに実行している図柄変動回数分を減算するように演出する減算演出が行われる。減算演出実行後は通常状態に戻り、上記の一連の動作を繰り返す。
【0052】
最終図柄変動の演出表示パターンは、天井時短発動までの残り大当り抽選回数に応じて振り分けられる。本実施形態では、天井時短発動までの所定回数(500回)を所定範囲毎に分割した第1~第3演出テーブルを設け、最終図柄変動時の残り大当り抽選回数に応じて該当する演出テーブルを選択し、当該演出テーブルに基づき演出表示パターンが振り分けられる。
【0053】
第1演出テーブルは、復活チャンスにおける最終保留に対応した図柄変動までに実行された抽選回数(以下、実行済大当り抽選回数)が4~30回、つまり天井時短発動までの残り大当り抽選回数が470~496回に対応している。第2演出テーブルは、実行済大当り抽選回数が31~100回、つまり残り大当り抽選回数が400~469回に対応している。第3演出テーブルは、実行済大当り抽選回数が101~499回、つまり残り大当り抽選回数が1~399回に対応している。このような第1~第3演出テーブルを設けることにより、天井時短発動までの残り大当り抽選回数に応じて演算表示パターンが異なるように設定されている。なお、残り大当り抽選回数の範囲及び範囲の数はこの限りではない。
【0054】
ところで、大当りCでは、復活チャンスの最終図柄変動のリーチで失敗後(ハズレが告知された後)、天井到達までの残り大当り抽選回数の内、すでに実行している実行済大当り抽選回数分を減算するような減算演出を表示している。この結果、天井到達までの残り大当り抽選回数が減算されることになり、遊技者にとって天井到達が近くなるように感じることができて嬉しく感じることから、一連の大当りの流れが終了した後も遊技を続ける継続遊技を促すことができる。
【0055】
しかしながら、天井時短発動までの残り大当り抽選回数が470~496回の第1演出テーブルように、減算演出により減算されるように見える回数が少ない場合には、減算演出を行うにしても天井到達が近くなるようには感じづらく、継続遊技の促進とならない虞がある。そのため、第1演出テーブルでは、復活チャンスの最終図柄変動が大当りとなった場合に大当りCが選択されているときは一旦ハズレと見せかけ、通常の減算演出を表示した後、所定回数をすべて減算するような演出を表示する確率を高めるようにした。
【0056】
以上のような動作により、大当りCが選択された場合は、一旦は復活チャンスが失敗したと落胆させた後に、通常遊技に戻るための減算演出を表示してから、残り大当り抽選回数が減算したと見せかけることで、遊技者に天井到達までの抽選回数がすべて減算したように思わせることができる。これにより、遊技者に一番良い状態である大当り状態を体感させることができるので、一連の大当りの流れが終了した後も遊技を続ける継続遊技を促すことができる。
一方、復活チャンス中のいずれの大当り抽選もハズレとなった場合には、大当りと同様に減算演算されてから通常状態となるが、減算演出により天井時短発動に近づいたと思うようになり継続遊技を動機付けることが可能となる。
【0057】
(天井到達による特典付与までの一連の流れ)
天井到達による特典付与までの一連の流れについて
図9を参照して説明する。
図9は、大当り後にCZに突入し、CZ中に大当りに当選するか、突然時短図柄に当選(図示せず)してバトルモードに突入し、バトルモードに敗北して復活チャンスに突入したが、復活チャンスにも失敗して通常状態となり、通常状態で所定回数連続して大当り抽選の結果がハズレとなる状態に到達(以下、天井到達)して遊技状態を時短状態へ切り替えた場合(特典を付与)を示している。所定回数は500回、天井到達で付与される時短状態の時短回数は1000回に設定されている。なお、CZ中に突然時短図柄に当選してバトルモードに突入した場合はCZ中の抽選回数も天井発動までの抽選回数に含まれる。
【0058】
大当り遊技終了後における時短状態では大当り抽選を行っており、時短回数が例えば70回目(通常状態で計70回)に転落役に当選(終了条件抽選当選)したとするとバトルモードの時短状態を終了し、バトルモード終了時点で記憶している特図保留数分だけ大当り抽選の図柄変動を行う復活チャンス(保留消化状態)に突入する。
図9で示す例では4回の図柄変動を行い(通常状態で計74回目)、復活チャンス以降、遊技状態は通常状態となり、天井に到達するか、大当りに当選するまで大当り抽選を行う。この時点で74回(時短状態70回+復活チャンス4回)の大当り抽選が実行されているため、天井到達までは残り大当り抽選回数は426(=500-74)回となる。天井到達後は1000回の時短状態となる。
【0059】
(復活チャンスにおける減算演出)
復活チャンスにおける減算演出について
図10を参照して説明する。
図10は、
図9で説明した遊技状態において復活チャンス中に大当りCが選択された場合を示している。
復活チャンス突入時に記憶されていた特図保留に対応するいずれかの内部当選役が大当りであった場合は、復活チャンス演出失敗を一度経由してから減算演出を行う。この減算演出は、特図保留に対応するすべての内部当選役がハズレの場合も同様に行われる。
【0060】
減算演出への突入時は一旦天井時短発動までの所定回数が減算されたかのような表示を行ってから、減算したことを示す旨が表示されなくなった後、最終図柄保留に対応した図柄変動までに行われた図柄変動の結果(
図10に示す例では74回)が減算されたことがカウントアップ表示される。これにより、遊技者は、天井時短発動までの所定回数が減算されたことを確認して一旦落胆するものの、その後500回減算されたことを確認することで大当りに当選したことを認識して大当り遊技を楽しむようになる。なお、大当りAや大当りBが選択された場合は
図10と異なる表示となる。
【0061】
このような実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
天井到達した場合におけるバトルモード後の復活チャンスにおいて大当りCが選択されたり、ハズレが当選したりした場合は、復活チャンスに失敗した図柄変動終了までに記憶した特図保留を消化するまでに行われた大当り抽選回数に基づき天井時短発動までの図柄変動回数を減算してカウントアップ表示する減算演出を行うので、天井時短発動までの大当り抽選回数を短縮したように見せることが可能となり、遊技者に天井時短発動による大当り機会が近づいたと認識させることで継続遊技の動機を提供することができる。
【0062】
減算演出で減算する図柄変動回数が多い場合は、遊技者は天井時短発動までに遊技する図柄変動回数が少なくなり減算演出の恩恵を受けることができるが、減算する図柄変動回数が少ない場合には遊技者にとって恩恵が少なくなり、大当り後の継続遊技の動機にはなりえない虞がある。そこで、天井時短発動までの残り大当り抽選回数に応じて演出表示パターンの発生割合が異なるように設定することで、復活チャンスにおける大当り抽選に大当りが当選した場合に減算演出する図柄変動回数が少ないときは、一度減算演出を表示させてから所定回数減算演出するようにしたので、遊技者は大当り終了後や復活チャンスに負けた場合であっても最後まで期待感を持って遊技を継続することができる。
【0063】
天井時短発動までの残り大当り抽選回数に応じて減算演出の発生割合が異なるように設定する場合に、天井時短発動までの所定回数を複数に分割し、その分割した範囲に応じて減算演出の発生割合が異なる演出テーブルを複数用意したので、選択された演出テーブルによる演出表示パターンを実行することで遊技の趣向が高まり、遊技者は飽きることなく遊技を楽しむことができる。
【0064】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態及び変形例に限定されることなく、次のように変形または拡張したり、各変形例を上記実施形態と組み合わせたりしても良い。
復活チャンスとして特図保留数に代えて所定数大当り抽選を実行したり、特図保留数に所定数加算して大当り抽選を実行したりして、最後の大当り抽選に対応した図柄変動で減算演出を実行するようにしても良い。この場合、所定数を抽選により決定するようにしても良い。
天井時短発動までの残り大当り抽選回数の範囲を複数の演出テーブルで設けるのに代えて、残り大当り抽選回数を所定の演算式で設定するようにしても良い。
【0065】
各遊技状態における名称は本実施形態に限定されない。また、各遊技状態を示す演出例に限定されずどのような演出を行っても良い。
遊技機に関する各数値は本実施形態に限定されない。
一種二種混合タイプの遊技機で構成しているが、機種タイプに限定される必要なく、確変タイプや転落確変タイプでも良い。
演出表示パターンや演出テーブルの数は本実施例に限定されることない。
専用とした演出表示パターンは本実施形態で説明した一種類に限定されることなく、複数種類設け条件に応じて所定の種類を選択するようにしても良い。
【符号の説明】
【0066】
図面中、1は遊技機、12は液晶表示部(表示手段)、20は主制御回路(終了条件抽選手段、算出手段)、23はRAM(特図保留記憶手段、抽選回数記憶手段)、36は副制御回路(減算表示手段、表示手段)である。