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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】耐風補強部材
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20240918BHJP
   E06B 9/58 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
E06B9/17 T
E06B9/58 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020164139
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022056232
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591051988
【氏名又は名称】共栄プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】香西 統太
(72)【発明者】
【氏名】岩階 章
(72)【発明者】
【氏名】宗和 寛司
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-273323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00
E06B 9/02
E06B 9/06- 9/18
E06B 9/24- 9/388
E06B 9/40- 9/50
E06B 9/56- 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口幅方向に延び、長さが調整可能な横材と、
横材の長さ方向両端に設けられた端部ロック部と、
を備え、
前記端部ロック部は、
ガイドレール溝部に差し込まれる差し込み部と、
前記差し込み部に収納姿勢と作動姿勢との間で回動可能に設けた回動部材と、
を備えており
前記差し込み部は、スラットに当接する第1当接部と、ガイドレール底壁の内面に当接可能な第2当接部と、を備えている、
開口部全閉状態のシャッターに取り付けられるシャッターの耐風補強部材。
【請求項2】
開口部全閉状態のシャッターに着脱可能に取り付けられるシャッターの耐風補強部材であって、
開口幅方向に延び、長さが調整可能な横材と、
横材の長さ方向両端に設けられた端部ロック部と、
を備え、
前記端部ロック部は、
ガイドレール溝部に差し込まれる差し込み部と、
前記差し込み部に収納姿勢と作動姿勢との間で回動可能に設けた回動部材と、
を備えており、
前記差し込み部の先端側部位を前記ガイドレール溝部に差し込んで、前記回動部材を収納姿勢から作動姿勢に回動させ、あるいは、前記回動部材を作動姿勢から収納姿勢に回動させて、前記先端側部位を前記ガイドレール溝部から引き抜くことで、着脱可能となっている、
シャッターの耐風補強部材。
【請求項3】
前記差し込み部は、前記耐風補強部材が取り付けられた時に、先端側部位がガイドレール内部に位置するようになっており、
前記先端側部位の見込寸法は、ガイドレール溝部の幅寸法よりも小さく、
前記回動部材は、収納姿勢時には前記差し込み部の先端側部位内に位置している、
請求項1、2いずれか1項に記載のシャッターの耐風補強部材。
【請求項4】
作動姿勢にある回動部材と前記差し込み部の先端側部位とからなる端部ロック部の見込寸法は、ガイドレール溝部の幅寸法よりも大きい、
請求項1~3いずれか1項に記載のシャッターの耐風補強部材。
【請求項5】
前記回動部材は、作動姿勢においてガイドレールの側壁の内面に当接可能な当接部を備えている、
請求項1~4いずれか1項に記載のシャッターの耐風補強部材。
【請求項6】
前記端部ロック部は、前記回動部材を回動させる操作機構を備えている、
請求項1~5いずれか1項に記載のシャッターの耐風補強部材。
【請求項7】
前記操作機構は、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能な作動体と、
前記作動体に設けられた操作部と、を備え、
前記作動体が第1の位置から第2の位置へ移動することに連動して回動部材が収納姿勢から作動姿勢へ回動し、前記作動体が第2の位置から第1の位置へ移動することに連動して回動部材が作動姿勢から収納姿勢へ回動するようになっており、
前記操作部を第1の位置から第2の位置へ移動させることで、第1の位置にある作動体を第2の位置へ移動させて、収納姿勢にある回動部材を作動姿勢へ回動させ、前記操作部を第2の位置から第1の位置へ移動させることで、第2の位置にある作動体を第1の位置へ移動させて、作動姿勢にある回動部材を収納姿勢へ回動させる、
請求項6に記載のシャッターの耐風補強部材。
【請求項8】
前記回動部材の作動姿勢を維持する保持手段を備えている、
請求項1~7いずれか1項に記載のシャッターの耐風補強部材。
【請求項9】
前記横材の長さ方向の所定部位には、スラットに掛止可能な引っ掛け部材が設けてある、
請求項1~8いずれか1項に記載のシャッターの耐風補強部材。
【請求項10】
前記横材は、第1横材と、第1横材の長さ方向一端に設けられた第2横材と、第1横材の長さ方向他端に設けられた第3横材と、からなり、第2横材及び第3横材は、第1横材に対してスライド移動かつ位置固定可能である、
請求項1~9いずれか1項に記載のシャッターの耐風補強部材。
【請求項11】
開口幅方向に延び、長さが調整可能な横材と、
横材の長さ方向両端に設けられた端部ロック部と、
を備え、開口部全閉状態のシャッターに着脱可能に取り付けられる耐風補強部材を用いたシャッターの耐風補強方法であって、
前記端部ロック部は、
ガイドレール溝部に差し込まれる差し込み部と、
前記差し込み部に収納姿勢と作動姿勢との間で回動可能に設けた回動部材と、
を備えており、
前記耐風補強部材は、前記差し込み部の先端側部位を前記ガイドレール溝部に差し込んで、前記回動部材を収納姿勢から作動姿勢に回動させ、あるいは、前記回動部材を作動姿勢から収納姿勢に回動させて、前記先端側部位を前記ガイドレール溝部から引き抜くことで、着脱可能となっており、
開口部全閉状態のシャッターカーテンから所定高さの1枚ないし複数枚のスラットを選択して、前記横材を開口幅より短い状態として、選択したスラットの面部に近接ないし当接させ、
前記横材を開口幅より短い状態から伸長させながら、前記回動部材が収納姿勢の状態で、前記差し込み部を前記ガイドレール溝部からガイドレール内部に差し込み、
ガイドレール内部において、回動部材を収納姿勢から作動姿勢へ回動させて、作動姿勢にある回動部材と前記差し込み部とからなる端部ロック部の見込寸法をガイドレール溝部の幅寸法よりも大きくする、
シャッターの耐風補強方法。
【請求項12】
前記回動部材を収納姿勢から作動姿勢へ回動させて、ガイドレールの側壁の内面に当接させる、
請求項11に記載のシャッターの耐風補強方法。
【請求項13】
複数枚のスラットを高さ方向に連結してなり、下端に座板を備えたシャッターカーテンと、
建物開口部の幅方向両端に位置して、当該建物開口部の全高に延びる左右のガイドレールと、
を備えたシャッターにおいて、
開口部全閉状態にあるシャッターカーテンの所定高さのスラットに耐風補強部材が着脱可能に取り付けられており、
スラットの長さ方向端部はガイドレール内部に位置しており、
前記耐風補強部材は、
スラットの第1面に沿って開口幅方向に延び、長さが調整可能な横材と、
横材の長さ方向両端に設けられた端部ロック部と、
を備え、
前記端部ロック部は、
ガイドレール溝部からスラットの長さ方向端部の第1面側に位置してガイドレール内部に差し込まれる差し込み部と、
前記差し込み部に収納姿勢と作動姿勢との間で回動可能に設けた回動部材と、
を備えており、
前記差し込み部の先端側部位を前記ガイドレールに差し込んで、前記回動部材を収納姿勢から作動姿勢に回動させ、あるいは、前記回動部材を作動姿勢から収納姿勢に回動させて、前記先端側部位を前記ガイドレールから引き抜くことで、着脱可能となっており、
前記耐風補強部材が取り付けられた状態において、
前記横材が前記スラットの第1面に沿って開口幅方向に延び、
作動姿勢にある前記回動部材と前記差し込み部とからなる端部ロック部のガイドレール内部における見込寸法がガイドレール溝部の幅寸法よりも大きい、
シャッターの耐風構造。
【請求項14】
前記ガイドレールは、第1側壁と、第2側壁と、底壁と、第1側壁の前側に形成された第1開口縁部と、第2側壁の前側に形成された第2開口縁部と、第1開口縁部と第2開口縁部との間に形成されたガイドレール溝部と、を備え、
前記差し込み部は、第1側部位がスラットの長さ方向端部の第1面に当接し、第2側部位が前記ガイドレールの第2開口縁部及び前記第2側壁の内面に面しており、
前記回動部材は、作動姿勢において前記ガイドレールの第2側壁の内面に当接可能となっており、
シャッターカーテンに作用する風圧に応じて、前記スラットの長さ方向端部の第2面が前記第1開口縁部に当接可能、あるいは、前記差し込み部の前記第2側部位が前記第2開口縁部に当接可能となっている、
請求項13に記載のシャッターの耐風構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部全閉状態のシャッターに設けられる耐風補強部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャッターカーテンが建物開口部を閉鎖した開口部全閉状態において、シャッターカーテンの幅方向両端部は、建物開口部の左右のガイドレール内に受け入れられているが、シャッターカーテンに風圧が作用すると、シャッターカーテンが膨らんで、幅方向端部がガイドレールから抜け出てしまうおそれがある。
【0003】
開口部全閉状態において、シャッターカーテンの幅方向端部がガイドレールから抜け出してしまうことを防止する手段として、耐風フックが知られている。耐風フックは、一般に、所定の耐風性能が要求される重量シャッターに設けられ、いわゆる軽量シャッターでは、標準設備として耐風フックが要求される場合は殆どない。
【0004】
特許文献1には、閉鎖状態の開口部に取り付けられる撓み抑制部材(耐風補強部材)を備えたシャッターが開示されており、撓み抑制部材は、閉鎖状態のシャッターカーテンを厚さ方向から押圧するように付勢した状態で、両端側をガイドレールに対して着脱可能に係止可能となっている。具体的な態様では、2本の揺動部材を弾性部材で連結してなる撓み抑制部材が開示されており、取付作業性において課題がある(例えば、一人で作業し難い)。また、設置された撓み抑制部材(耐風補強部材)において、シャッターカーテンに面圧が作用した時の撓み抑制部材の両端部の取付安定性についての言及は無い。
【文献】特開2006-299523
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、取付作業性と取付安定性を兼ね揃えた耐風補強部材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した第1の技術手段は、
開口幅方向に延び、長さが調整可能な横材と、
横材の長さ方向両端に設けられた端部ロック部と、
を備え、
前記端部ロック部は、
ガイドレール溝部に差し込まれる差し込み部と、
前記差し込み部に収納姿勢と作動姿勢との間で回動可能に設けた回動部材と、
を備えている、
開口部全閉状態のシャッターに取り付けられるシャッターの耐風補強部材である。
【0007】
1つの態様では、前記差し込み部は、前記耐風補強部材が取り付けられた時に、先端側部位がガイドレール内部に位置するようになっており、
前記先端側部位の見込寸法は、ガイドレール溝部の幅寸法よりも小さく、
前記回動部材は、収納姿勢時には前記差し込み部の先端側部位内に位置している。
1つの態様では、作動姿勢にある回動部材と前記差し込み部の先端側部位とからなる端部ロック部の見込寸法は、ガイドレール溝部の幅寸法よりも大きい。
【0008】
1つの態様では、前記差し込み部は、スラットに当接する第1当接部と、ガイドレール底壁の内面に当接可能な第2当接部と、を備えている。
1つの態様では、前記回動部材は、作動姿勢においてガイドレールの側壁の内面に当接可能な当接部を備えている。
【0009】
1つの態様では、前記端部ロック部は、前記回動部材を回動させる操作機構を備えている。
1つの態様では、前記操作機構は、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能な作動体と、
前記作動体に設けられた操作部と、を備え、
前記作動体が第1の位置から第2の位置へ移動することに連動して回動部材が収納姿勢から作動姿勢へ回動し、前記作動体が第2の位置から第1の位置へ移動することに連動して回動部材が作動姿勢から収納姿勢へ回動するようになっており、
前記操作部を第1の位置から第2の位置へ移動させることで、第1の位置にある作動体を第2の位置へ移動させて、収納姿勢にある回動部材を作動姿勢へ回動させ、前記操作部を第2の位置から第1の位置へ移動させることで、第2の位置にある作動体を第1の位置へ移動させて、作動姿勢にある回動部材を収納姿勢へ回動させる。
1つの態様では、前記回動部材の作動姿勢を維持する保持手段を備えている。
1つの態様では、前記横材の長さ方向の所定部位には、スラットに掛止可能な引っ掛け部材が設けてある。
1つの態様では、前記横材は、第1横材と、第1横材の長さ方向一端に設けられた第2横材と、第1横材の長さ方向他端に設けられた第3横材と、からなり、第2横材及び第3横材は、第1横材に対してスライド移動かつ位置固定可能である。
【0010】
本発明が採用した第2の技術手段は、
開口幅方向に延び、長さが調整可能な横材と、
横材の長さ方向両端に設けられた端部ロック部と、
を備えた耐風補強部材を用いたシャッターの耐風補強方法であって、
前記端部ロック部は、
ガイドレール溝部に差し込まれる差し込み部と、
前記差し込み部に収納姿勢と作動姿勢との間で回動可能に設けた回動部材と、
を備えており、
開口部全閉状態のシャッターカーテンから所定高さの1枚ないし複数枚のスラットを選択して、前記横材を開口幅より短い状態として、選択したスラットの面部に近接ないし当接させ、
前記横材を開口幅より短い状態から伸長させながら、前記回動部材が収納姿勢の状態で、前記差し込み部を前記ガイドレール溝部からガイドレール内部に差し込み、
ガイドレール内部において、回動部材を収納姿勢から作動姿勢へ回動させて、作動姿勢にある回動部材と前記差し込み部とからなる端部ロック部の見込寸法をガイドレール溝部の幅寸法よりも大きくする、
シャッターの耐風補強方法、である。
1つの態様では、前記回動部材を収納姿勢から作動姿勢へ回動させて、ガイドレールの側壁の内面に当接させる。
【0011】
本発明が採用した第3の技術手段は、
複数枚のスラットを高さ方向に連結してなり、下端に座板を備えたシャッターカーテンと、
建物開口部の幅方向両端に位置して、当該建物開口部の全高に延びる左右のガイドレールと、
を備えたシャッターにおいて、
開口部全閉状態にあるシャッターカーテンの所定高さのスラットに耐風補強部材が取り付けられており、
スラットの長さ方向端部はガイドレール内部に位置しており、
前記耐風補強部材は、
スラットの第1面に沿って開口幅方向に延びる横材と、
横材の長さ方向両端に設けられた端部ロック部と、
を備え、
前記端部ロック部は、
ガイドレール溝部からスラットの長さ方向端部の第1面側に位置してガイドレール内部に差し込まれる差し込み部と、
前記差し込み部に収納姿勢と作動姿勢との間で回動可能に設けた回動部材と、
を備えており、
前記耐風補強部材が取り付けられた状態において、
前記横材が前記スラットの第1面に沿って開口幅方向に延び、
作動姿勢にある前記回動部材と前記差し込み部とからなる端部ロック部のガイドレール内部における見込寸法がガイドレール溝部の幅寸法よりも大きい、
シャッターの耐風構造、である。
【0012】
1つの態様では、前記ガイドレールは、第1側壁と、第2側壁と、底壁と、第1側壁の前側に形成された第1開口縁部と、第2側壁の前側に形成された第2開口縁部と、第1開口縁部と第2開口縁部との間に形成されたガイドレール溝部と、を備え、
前記差し込み部は、第1側部位がスラットの長さ方向端部の第1面に当接し、第2側部位が前記ガイドレールの第2開口縁部及び前記第2側壁の内面に面しており、
前記回動部材は、作動姿勢において前記ガイドレールの第2側壁の内面に当接可能となっており、
シャッターカーテンに作用する風圧に応じて、前記スラットの長さ方向端部の第2面が前記第1開口縁部に当接可能、あるいは、前記差し込み部の前記第2側部位が前記第2開口縁部に当接可能となっている。
1つの態様では、前記差し込み部は、前記スラットの第1面に当接する第1当接部と、前記ガイドレールの底壁の内面に当接可能な第2当接部と、を備え、
前記回動部材は、作動姿勢において前記ガイドレールの第2側壁の内面に当接する当接部を備えており、
スラットに第1面側から風圧が作用した場合には、
前記差し込み部の前記第1当接部が前記スラットの第2面をガイドレール溝部の第1開口縁部に当接させ、前記第2当接部がガイドレールの底壁の内面に当接ないし近接し、前記回動部材の前記当接部がガイドレールの第2側壁の内面に当接する。
1つの態様では、前記差し込み部は、前記スラットの第1面に当接する第1当接部と、前記ガイドレールの底壁の内面に当接可能な第2当接部と、を備え、
前記回動部材は、作動姿勢において前記ガイドレールの第2側壁の内面に当接する当接部を備えており、
スラットに第2面側から風圧が作用した場合には、
前記差し込み部の前記第2側部位がガイドレール溝部の第2開口縁部に当接し、前記第2当接部がガイドレールの底壁の内面に当接ないし近接し、前記回動部材の前記当接部がガイドレールの前記第2側壁の内面に当接ないし近接する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る耐風補強部材の端部ロック部は、ガイドレール溝部に差し込まれる差し込み部と前記差し込み部に回動可能に設けた回動部材とを備え、前記差し込み部は、スラットに当接する第1当接部とガイドレール底壁の内面に当接する第2当接部とを備え、前記回動部材は、作動姿勢においてガイドレールの側壁の内面に当接する当接部を備えているので、差し込み部のガイドレール溝部への差し込み時には、回動部材を収納姿勢とすることで差し込み作業を容易とし、差し込み部の差し込み後に、回動部材を回動させて前記当接部をガイドレールの側壁の内面に当接させることで、端部ロック部をスラットの長さ方向端部及びガイドレール内部に3箇所(差し込み部の第1当接部、第2当接部、回動部材の当接部)で固定することができ、耐風補強部材の取付作業性及び取付安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】全閉姿勢にあるシャッター装置を屋内側から見た正面図である。
図2】本実施形態に係る耐風補強部材の全体図である。
図3】本実施形態に係る耐風補強部材の長さ方向端部を示す図である。
図4図2のガイドレール部分の拡大図である。
図5】回動部材が収納姿勢にある端部ロック金具を示す図である。
図6】回動部材が回動姿勢(作動姿勢)にある端部ロック金具を示す図である。
図7】本実施形態に係る耐風補強部材の長さ方向中央部位がスラットに掛止された状態を示す側面図である。
図8】本実施形態に係る端部補強部材の端部ロック金具がガイドレール内に差し込まれた状態を示す側面図である。
図9】本実施形態に係る中央筒状部材を示す図である。
図10】本実施形態に係る端部筒状部材を示す図である。
図11】本実施形態に係る引っ掛け部材を示す図である。
図12】本実施形態に係る連結固定片を示す図である。
図13】(A)は差し込み部の第1部材を示し、(B)は差し込み部の第2部材を示す。
図14】(A)は操作機構の第1部材を示し、(B)は操作機構の第2部材を示す。
図15】操作機構の第3部材を示す図である。
図16】本実施形態に係る耐風補強部材の取り付け工程を示す図である。
図17】耐風補強部材を取り付けたシャッターカーテンに風圧が作用した時の耐風補強部材の端部ロック金具の挙動を示し、上図は負圧が作用した状態、下図は正圧が作用した状態である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本実施形態に係るシャッター装置の正面図である。本実施形態に係るシャッター装置は、手動式の軽量シャッターであるが、軽量シャッター、手動式シャッターは例示であって、本発明を限定するものではなく、本発明は、例えば、開閉機を備えた電動式シャッターにも適用され得る。
【0016】
シャッターカーテン1は、開口幅方向に延びる長尺状の複数枚のスラット10を高さ方向に連結してなり、下端に座板を備えている。図7に示すように、スラット10は、断面視皿状の面部100と、面部100の上側に一体形成された上側インターロック部101と、面部100の下側に一体形成された下側インターロック部102と、からなり、下側に位置するスラット10の上側インターロック部101を上側に位置するスラット10の下側インターロック部102にインターロック連結させることで連結されてシャッターカーテン1を形成している。本実施形態において、スラット10の凹面側を裏面側、反対側を表面側とする。
【0017】
シャッターカーテン1の上端は吊元を介して開口部上方に配置された巻取体2に連結されている。なお、シャッターカーテン1が巻き取られる際に、スラット10はいわゆる正巻、逆巻のいずれでもよい。本実施形態に係るシャッター装置は、手動式シャッターであり、巻取体2はバランススプリング2´を備えており、バランススプリング2´によってシャッターカーテン1を巻き取る方向に付勢されている。
【0018】
建物開口部の幅方向左右両端には高さ方向に延びるガイドレール3が立設されている。図4に示すように、ガイドレール3は、第1側壁30と、第2側壁31と、底壁32と、から断面視略コ字形状を備えている。第1側壁30の前端側には第1前辺33が一体形成されており、第1前辺33の先端側は折り曲げ形成されており、当該先端側部位には高さ方向に亘って消音材330(例えば、樹脂製)が装着されている。第2側壁31の前端側には第2前辺34が一体形成されており、第2前辺34の先端側は折り曲げ形成されており、当該先端側部位には高さ方向に亘って消音材340(例えば樹脂製)が装着されている。第1前辺33の先端側部位と第2前辺34の先端側部位の間の開口がガイドレールの溝部35となっており、溝部35から後方(底壁32)に向かう空間にスラット10の長さ方向端部が受け入れられている。
【0019】
シャッターカーテン1の昇降時ないし全閉姿勢時に、ガイドレール3の溝部35にシャッターカーテン1の幅方向両端部(スラット10の長さ方向両端部)を受け入れるようになっている。本実施形態では、スラット10の長さ方向端部がガイドレール3の溝部35に挿入された状態において、スラット10の面部100の表面側が第1側壁30の内面に対向し、スラット10の面部100の裏面側が第2側壁31の内面に対向するようになっている。より具体的には、図7に示すように、スラット10の面部100の垂直部分が、ガイドレール3の第1前辺33の先端側部位と第2前辺34の先端側部位の間の開口の第1縁部(第1前辺33、消音材330)に近接ないし当接し、スラット10の上側インターロック部101がガイドレール3の第1前辺33の先端側部位と第2前辺34の先端側部位の間の開口の第2縁部(第2前辺34、消音材340)に近接ないし当接する。本明細書において、スラット10の面部100の垂直部分の高さ寸法をH1とし、ガイドレールの溝幅をD1とする。
【0020】
開口部全閉状態において、シャッターカーテン1が巻取体2に巻き取られることで、シャッターカーテン1の幅方向両端部位がガイドレール3に案内されながら上昇して建物開口部を開放し、開口部全開状態において、シャッターカーテン1が巻取体2から繰り出されることで、シャッターカーテン1の幅方向両端部位がガイドレール3に案内されながら下降して建物開口部を閉鎖するようになっている。
【0021】
開口部全閉状態において、シャッターカーテン1の下端の座板は床面FLないし地面等に着床している。シャッターカーテン1の高さ方向中間部位よりも下方に位置して施錠装置13が設けてある。開口部全閉状態において、全閉姿勢のシャッターカーテン1の所定高さには、耐風補強部材4が取り付けてある。図1に示す態様では、高さ方向の2箇所において、2本の耐風補強部材4が設けてある。全閉状態の開口部に設置する耐風補強部材4の本数は、開口高によって適宜選択され、例えば、開口高に応じて1本~3本の間で選択されるが、本数は限定されない。
【0022】
図2に示すように、耐風補強部材4は、長尺状の中央筒状部材5と、中央筒状部材5の長さ方向の両端にスライド移動かつ位置固定可能に設けられた長尺状の端部筒状部材6、6と、左右の端部筒状部材6、6の先端に設けられた左右の端部ロック金具4´と、を備えている。端部ロック金具4´は、ガイドレール3の溝部35内に差し込まれる差し込み部7と、差し込み部7に回動可能に設けられた回動部材8と、回動部材8を回動操作する操作機構9と、を備えている。
【0023】
耐風補強部材4は、中央筒状部材5と左右の端部筒状部材6、6からなる横材をスラット10の面部100の裏面の略全幅(開口幅に対応する部分)に沿うように設け、横材の長さ方向両端部の差し込み部7をガイドレール3の溝部35内に挿入し、操作機構9によって回動部材8を回動させることで、端部ロック金具4´をガイドレール3の内部に固定することで、開口部全閉状態にあるシャッターに取り付けられる。
【0024】
本明細書において、耐風補強部材4がスラット10に取り付けられた状態において、スラット10に近い側を「後」、スラット10から遠い側(正面から見える側)を「前」とする。耐風補強部材4の端部ロック金具4´がガイドレール3の溝部35に挿入された状態において、ガイドレール3の底壁32に近い側を「先端」ないし「前」、ガイドレール3の底壁32から遠い側を「基端」ないし「後」とする。差し込み部7、回動部材8、操作機構9の構成要素の説明において、「上」、「下」は図面上における各部分の相対的位置を示すものであり、耐風補強部材4がシャッターカーテン1に取り付けられた姿勢における上下方向とは異なる点に留意されたい。
【0025】
図9に示すように、本実施形態に係る中央筒状部材5は、断面視長方形状の角パイプであり、アルミ型材から形成されている。図10に示すように、本実施形態に係る左右の端部筒状部材6、6は、断面視長方形状の角パイプであり、アルミ型材から形成されている。本実施形態に係る左右の端部筒状部材6、6は、左右対称であることを除いて実質的に同じ構成を備えている。中央筒状部材5は、左右のガイドレール3、3間の距離、すなわち、開口幅寸法より短い寸法となっており、また、各端部筒状部材6は中央筒状部材5よりも短尺であり(これには限定されない)、中央筒状部材5と左右の端部筒状部材6、6を組み立てた組立体(横材)の長さ寸法を調整することで、所定の開口幅に対応する長さの横材を得るようになっている。
【0026】
図9に示すように、中央筒状部材5は、上面部50と、下面部51と、後面部52と、前面部53と、を備えた長尺状部材であり、長さ方向両端部は開口しており、左右の端部筒状部材6、6の基端側部位をスライド可能に受け入れるようになっている。中央筒状部材5の前面部53の内面には、長さ方向に亘って、断面視L形状の上片54と下片55とからなるポケット部56が形成されている。ポケット部56の底部(前面部53から離間した側)には長さ方向に延びる開口57が形成されている。中央筒状部材5の後面部52は垂直状に延びており、上側には上側傾斜部520、下側には下側傾斜部521が一体形成されている。
【0027】
図10に示すように、端部筒状部材6は、上面部60と、下面部61と、後面部62と、前面部63と、を備えた長尺状部材であり、長さ方向の先端部の開口には端部ロック金具4´の基端側部位(差し込み部7の連結部材72)が固定されるようになっている。端部筒状部材6の前面部63には、長さ方向に延びる上側凸部64、下側凸部65が前方に向かって突成されており、上側凸部64と下側凸部65の間には長さ方向に亘って凹部66が形成されている。前面部63(凹部66の底部)の高さ方向中央部位は肉厚に形成された被当接部63´となっている。端部筒状部材6の後面部62は垂直状に延びており、上側には上側傾斜部620、下側には下側傾斜部621が一体形成されている。
【0028】
図7図9図10に示すように、端部筒状部材6の外形の断面形状は、中央筒状部材5の中空部の断面形状と略同じであり、端部筒状部材6は基端側部位から中央筒状部材5の内部空間に挿入されており、長さ方向にスライド移動可能となっている。端部筒状部材6が中央筒状部材5の内部に挿入された状態において、端部筒状部材6の上面部60、下面部61、後面部62と、前面部63の上側凸部64及び下側凸部65は、中央筒状部材5の上面部50、下面部51、後面部52、前面部53の内面に近接ないし接触しており、中央筒状部材5の上片54、下片55、ポケット部56は端部筒状部材6の凹部66内に位置している。端部筒状部材6の基端側には凹部66に位置して螺子からなるストッパ67が設けてあり(図16参照)、ストッパ67が連結固定片12の折曲片121に当接することで、端部筒状部材6の基端側部位が中央筒状部材5から外れることを規制している。
【0029】
中央筒状部材5の後面部52の長さ方向の中央部位には、引っ掛け部材11が固定されており、中央筒状部材5(耐風補強部材4)は引っ掛け部材11を所定の高さに位置するスラット10に引っ掛けることで、開口部全閉状態のシャッターカーテン1に掛止可能となっている。
【0030】
図11に示すように、引っ掛け部材11は、中央筒状部材5の長さ方向に延びる所定長の部材であり、水平状の上片110と、上片110の後端から垂下する垂下片111と、上片110の前端から垂下する上側垂直面112と、垂直面112の下端から上片110に平行して後方に延びる中間水平片113と、中間水平片113の後端から後方かつ下方に延びる上側傾斜片114と、上側傾斜片114から垂下する下側垂直面115と、下側垂直面115の下端から前方かつ下方に延びる下側傾斜片116と、からなる。
【0031】
引っ掛け部材11の中間水平片113、上側傾斜片114、下側垂直面115、下側傾斜片116は、中央筒状部材5の前側部位の断面形状(上面部50の後端側、上側傾斜部520、後面部52、下側傾斜部521)に当接するような形状となっており、引っ掛け部材11は、中央筒状部材5の後側部位に当接させた状態で、上側傾斜片114と上側傾斜部520、下側傾斜片116と下側傾斜部521とを螺子(図示せず)で固定する。
【0032】
引っ掛け部材11は、垂下片111を、所定の高さに位置するスラット10の上側のインターロック連結部に引っ掛け、下側垂直面115を、スラット10の面部100の内面に当接させた状態で、スラット10の裏面に掛止される。引っ掛け部材11がスラット10に掛止された状態において、引っ掛け部材11の上側傾斜片114(中央筒状部材5の上側傾斜部520)、引っ掛け部材11の下側傾斜片116(中央筒状部材5の下側傾斜部521)は、スラット10の面部100の上側の傾斜部、下側の傾斜部と干渉しないような形状となっている。
【0033】
中央筒状部材5のポケット部56の内部には、左右方向の両端部に位置して、連結固定片12が設けてある。図12に示すように、連結固定片12は、ポケット部56の長さ方向に延びる長方形状の板状部120と、板状部120の長さ方向両端の折曲片121と、板状部120の長さ方向の中央部位に固定したナット122と、からなり、板状部120の長さ方向の中央部位には、ナット122に一致させて孔部が形成されている。図9に示すように、中央筒状部材5の前面部53には、ポケット部56に設けられた連結固定片12のナット122に対応して、挿通孔530が形成されている。中央筒状部材5の前面部53の挿通孔530から挿通したノブボルト123の軸部1230がナット122に螺合するようになっている。
【0034】
連結固定片12は、中央筒状部材5の長さ方向両側に端部筒状部材6を差し入れた状態において、中央筒状部材5と端部筒状部材6のオーバラップ部分に位置している。ノブボルト123を緩めた状態では、ノブボルト123の軸部1230の先端は、端部筒状部材6の凹部66の底面の被当接部63´から離間しており、中央筒状部材5に対する端部筒状部材6のスライド移動が許容されている。
【0035】
中央筒状部材5に対する端部筒状部材6の位置を決定した状態において、ノブボルト123を締めると、ノブボルト123の軸部1230の先端が、端部筒状部材6の凹部66の底面の被当接部63´に当接して端部筒状部材6を後方に押し付け、同時に、ノブボルト123の軸部1230の回転に連動してナット122と一体の連結固定片12の板状部120が前方に移動して中央筒状部材5の前面部530の内面を押圧し、端部筒状部材6の後面部62が中央筒状部材5の後面部52に密着し、中央筒状部材5に対して端部筒状部材6が固定される。
【0036】
端部ロック金具4´の差し込み部7は、第1部材70と、第2部材71と、からなり、連結部材72によって端部筒状部材6に連結される。図13(A)に示すように、第1部材70は、基端側が幅広で、先端側が幅狭の対向状の側壁700と、側壁700の先端側部位を連結する先端面701及び底面702と、側壁700の基端側の立ち上がり壁703とを備えている。側壁700の縁部は、基端側から先端側に向かう傾斜縁部7000と、底面702に平行延びる先端側縁部7001を備えている。
【0037】
図13(B)に示すように、第2部材71は、水平部7100と垂直部7101とから側面視L形状の対向状の側壁710と、側壁710の下端を連結する底面711と、を備えている。
【0038】
第1部材70の側壁700間に第2部材71を取り付けることで、第1部材70と第2部材71の組立体として差し込み部7が形成されており、第1部材70の底面702と第2部材の底面711とから差し込み部7の底面が形成されている。図4図5に示すように、差し込み部7は、ガイドレール3の溝部35に挿入される先端側部位7Aを備えている。
【0039】
差し込み部7の先端側部位7Aの厚さ(底面702、711と先端側縁部7001との間の寸法であり、一定である)をD2、高さ寸法をH2とすると(図5参照)、先端側部位7Aの厚さD2は、ガイドレール3の溝幅D1よりも小さい。より具体的には、先端側部位7Aの厚さ寸法ないし見込寸法D2とスラット10の板厚の合計は、ガイドレール3の溝幅D1よりも小さい。また、差し込み部7の先端側部位7Aの高さ寸法H2は、スラット10の面部100の垂直部分の高さ寸法H1と略同じである。したがって、端部ロック金具4´の差し込み部7の先端側部位7Aをガイドレール3の溝部35からガイドレール内部に差し込む時には、先端側部位7Aがガイドレール3の溝部35の縁部(消音材330、340)に強く接触して抵抗となることがない。
【0040】
差し込み部7の先端側部位7Aがガイドレール3の溝部35から挿入された状態において、先端側部位7Aの後方に位置する部位7Bはガイドレール3の外部に位置するようになっており、操作機構9の摘み部903は部位7Bに位置している。
【0041】
連結部材72は、立ち上がり壁720と、側壁721と、底壁722と、を備えている。図4に示すように、連結部材72は、端部筒状部材6の内部に挿入された状態で底壁722が端部筒状部材6の後面部62に固定されており、図5に示すように、第1部材70の立ち上がり壁703には、連結部材72の立ち上がり壁720が固定されている。
【0042】
回動部材8は、差し込み部7の底面に略平行する収納姿勢(図5)と、差し込み部7の底面から離間するように回動した回動姿勢(図6)と、の間で回動可能となっている。図5に示すように、回動部材8は、対向状の側面部80と、側面部80の先端側部位を連結する上面部81と、上面部81の先端側の傾斜面82と、を備えており、側面部80の基端側が回動支点となっており、回動部材8は軸部83を中心に、先端側が回動するようになっている。
【0043】
図6に示すように、回動部材8の側面部80の側縁の基端側には、軸部83の下方に位置して下向き凹部800が形成されており、下向き凹部800の前側(先端側)に隣接して摺接面801が形成されており、下向き凹部800の後側(基端側)に隣接して凸部802が形成されている。回動部材8は、基端側の下向き凹部800、摺接面801、凸部802が、操作機構9の作動部(凸部9000)と連携することで回動するようになっている。回動部材8が作動姿勢にある時には、凸部802が差し込み部7の底面に当接することで、さらなる回動が規制されており作動姿勢を維持するようになっている。
【0044】
図14図15に示すように、操作機構9は、第1部材90と、第2部材91と、第3部材92と、からなる。第1部材90と第2部材91とからなる組立体がスライダ9´(作動体)を形成し、第3部材92に対してスライダ9´が前後方向(端部ロック金具4´の先端に向かう方向と先端から離れる方向)に移動するようになっており、スライダ9´(作動体)の前後方向の移動に連動して回動部材8が回動する。
【0045】
第1部材90は、底面900と、底面900の後端から立ち上がる立ち上がり片901と、立ち上がり片901の上端から水平に延びる取付片902と、取付片902に取り付けた球状の摘み部903からなる。底面900の前端側には幅方向の両端の側部から凸部9000が突成されており、底面900の後端から後側細幅部9001、9001が対向状に形成されており、底面900には底面900の幅方向に延びるスリット9002が形成されている。
【0046】
第2部材91は、上面部910と、上面部910の前後方向両端の垂下片911、912とからなり、上面部910には上面部910の幅方向に延びるスリット9100が形成されている。
【0047】
第2部材91のスリット9100に第1部材90の立ち上がり片901を挿入し、第1部材90の底面900のスリット9002に、第2部材91の垂下片911を挿入し、垂下片912を後側細幅部9001の対向状のスリット9001aに挿入することで、第1部材90と第2部材91を一体化してスライダ9´(作動体)が形成される。
【0048】
第3部材92は、水平面部920と、水平面部920の後端から立ち上がる立ち上がり壁921と、立ち上がり壁921の上端から後方に延びる水平片922と、水平面部920の前端の垂下片923と、からなり、水平面部920には、開口924が形成されている。開口924は幅方向に細長の平面視長方形状であり、後側縁部9240と、前側縁部9241と、を備えている。
【0049】
操作機構9の第1部材90と第2部材91からなるスライダ9´は、差し込み部7の底面上に載置され、スライダ9´の上側に水平面部920を位置させて第3部材92を取り付ける。操作機構9の第3部材92は、差し込み部7の第2部材71に固定される。操作機構9の第1部材90の立ち上がり片901は、第3部材92の水平面部920の開口924を挿通して上方に延びている。
【0050】
回動部材8は、差し込み部7内に位置して、差し込み部7の底面に沿って延びる収納姿勢(図5)と、差し込み部7の底面に対して回動した回動姿勢(図6)と、を取るようになっており、操作機構9によるスライダ9´(作動体)のスライド移動によって収納姿勢と回動姿勢とを切り替えるようになっている。
【0051】
図5に示すように、回動部材8の収納時には、操作機構9(スライダ9´)は、差し込み部7に対して、差し込み部7の先端から離間した側の第1の位置に位置しており、操作機構9の立ち上がり片901は、第3部材92の水平面部920に形成した開口924の後側縁部9240側に位置している。操作機構9の第1部材90の凸部9000は、差し込み部7の底面に平行して延びる回動部材8の側面部80の基端側の下向き凹部800内に位置している。
【0052】
図6に示すように、回動部材8の回動時には、操作機構9(スライダ9´)は、第1の位置に対して先端側の第2の位置に位置しており、操作機構9の立ち上がり片901は、第3部材92の水平面部920に形成した開口924の前側縁部9241側に位置している。操作機構9(スライダ9´)が第1の位置から第2の位置へ移動する時に、操作機構9の第1部材90の凸部9000が回動部材8の側面部80の基端側の下向き凹部800から外れて摺接面801に摺接しながら先端側へスライド移動することに応じて、回動部材8は、回動部材8の先端側が差し込み部7の底面から離間する方向に回動して作動姿勢となる。
【0053】
本実施形態において、差し込み部7と操作機構9(スライダ9´)のいずれか一方には嵌合突部が、他方には嵌合受部が設けてあり、回動部材8が作動姿勢まで回動した時に、嵌合突部と嵌合受部が嵌合して、回動部材8の作動姿勢を維持するようになっている。図示の態様では、差し込み部7の第2部材71の底面711に嵌合受部7110が設けてあり、操作機構9の第1部材90の底面900の後側細幅部9001、9001間に位置する垂下片912に嵌合突部9003が設けてあり、操作機構9の立ち上がり片901が、第3部材92の水平面部920に形成した開口924の前側縁部9241に当接した時に、操作機構9(スライダ9´)に設けた嵌合突部9003が、差し込み部7の底面に設けた嵌合受部7110に嵌合して、回動部材8の作動姿勢が維持される。また、回動部材8の収納姿勢時において、嵌合受部7110の先端部位と嵌合突部9003の先端部位が当接して係止状態にあり、回動部材8の収納姿勢を保持するようになっている(嵌合受部7110を押し広げるような力が作用しないと第1の位置にあるスライダ´9は第2の位置へ移動しない)。
【0054】
差し込み部7は、ガイドレール3の溝部35内に挿入された時に、スラット10の面部100の裏面に当接する当接面40と、ガイドレール底壁32に当接する当接部41と、を備えている。より具体的には、端部ロック金具4´において、第1部材70と第2部材71の組立体からなる差し込み部7の底面には、全面に亘って当接部40が形成されており、差し込み部7の先端(第1部材70の先端面701)には、当接部41が形成されている。当接部40、当接部41は、例えば、樹脂やゴム材等の弾性部材等から形成された緩衝層であり、当接部40がスラット10の面部100の裏面、当接部41がガイドレール3の底壁32にそれぞれ当接する際の滑り止め機能及び傷付き防止機能を提供するようになっている。
【0055】
回動部材8は、差し込み部7がガイドレール3の溝部35内に挿入された時に、作動姿勢となることでガイドレール3の第2側壁31の内面に当接する当接部42を備えている。本実施形態では、回動部材8の上面部81の先端側の傾斜面82に当接部42が形成されている。当接部42は、例えば、樹脂やゴム材等の弾性部材等から形成された緩衝層であり、当接部42がガイドレール3の第2側壁31の内面に当接する際の滑り止め機能及び傷付き防止機能を提供するようになっている。
【0056】
図8に示すように、スラット10の長さ方向端部がガイドレール3の溝部35からガイドレール内部に挿入された状態において、溝部35には、スラット10の裏面側と第2前辺34の消音材340との間に位置して、耐風補強部材4の端部ロック金具4´の差し込み部7の先端側部位7Aを差し入れる空間が形成されている。差し込み部7の先端側部位7A(回動部材8が収納姿勢にある)の断面寸法(D2×H2)は、上記空間よりも小さいため、耐風補強部材4の端部ロック金具4´の差し込み部7の挿入作業性が良い。差し込み部7は先端の当接部41がガイドレール3の底壁32の内面に当接するまで差し込まれ、この時、先端側部位7Aはガイドレール内部に位置することになる。
【0057】
耐風補強部材4の設置状態において、図4図17に示すように、開口部全閉状態のシャッターカーテン1の所定高さのスラット10の裏面側に沿って延びる耐風補強部材4の横材(中央筒状部材5、端部筒状部材6)の長さ方向端部の端部ロック金具4´がガイドレール溝部35からガイドレール内部に差し込まれて固定された状態において、当接部41がガイドレール3の底壁32の内面に当接し、回動部材8の当接部42がガイドレール3の他方の側壁31に当接しており、差し込み部7の当接部40がスラット10の面部100の表面を、ガイドレール3の第1前辺33に装着した消音材330に押し付けた状態となる。端部ロック金具4´は、スラット10をガイドレール3の溝部35の開口縁部(第1前辺33に装着した消音材330)に押し付けた状態で、2つの当接部41、42が、それぞれ、ガイドレールの側壁31の内面及び底壁32の内面の2箇所でガイドレール3の内面に当接することで、ガイドレール内部に安定的に固定され、耐風補強部材の長さ方向端部の端部ロック金具4´がガイドレール3から外れ難くなっている。
【0058】
図16を参照しつつ、本実施形態に係る耐風補強部材4の取り付け工程ないし耐風構造の設置方法について説明する。耐風補強部材4は開口部全閉状態のシャッターに取り付けるものであり、開口部開口状態の場合には、シャッターカーテン1を下降させて建物開口部を全閉して開口部全閉状態とする。耐風補強部材4を用意する。この時、耐風補強部材4の長さは、開口幅よりも短い長さであり、ノブボルト123は緩めた状態にあり、回動部材8は収納姿勢にある(図16(A))。
【0059】
開口部全閉状態において、所定高さに位置するスラット10の裏面側において、幅方向中央部位の上側のインターロック部に、中央筒状部材5の引っ掛け部材11を掛止させる。この時、中央筒状部材5及び端部筒状部材6の後面部52、62をスラット10の面部10の裏面に沿って延びている(図16(B))。
【0060】
次いで、左右の端部筒状部材6を中央筒状部材5の両端から引き出す方向にスライド移動させて、端部ロック金具4´の差し込み部7を、ガイドレール3の溝部35から、スラット10の裏面側の空間に挿入し、差し込み部7の先端の当接部41をガイドレール3の底壁32の内面に当接させる(図16(C))。
【0061】
次いで、摘み部903を掴んで、スライダ9´(作動体)を先端側(第1の位置から第2の位置)へスライド移動させることで、収納姿勢にある回動部材8を回動させて作動姿勢とし、回動部材8の先端側の当接部42をガイドレール3の側壁31の内面に当接させ、最後にノブボルト123を締める(図16(D))。この時、摘み部903が固定された立ち上がり片901は、開口924の前側縁部9241に当接し、嵌合突部9003と嵌合受部7110が嵌合することで、回動部材8の作動姿勢が維持される。端部ロック金具4´は、スラット10を第1前辺33に装着した消音材330に押し付けた状態で、2つの当接部41、42が、ガイドレールの側壁31の内面及び底壁32の内面の2箇所でガイドレール3の内面に当接している。
【0062】
開口部全閉状態において、全閉姿勢のシャッターカーテン1の所定高さに位置するスラット10に耐風補強部材4を取り付けることで、開口幅方向に延びる耐風補強部材4の横材(中央筒状部材5、端部筒状部材6)が当該スラット10の裏面の略全幅に亘って延び、長さ方向両端部の端部ロック金具4´の当接部40が当該スラット10の裏面の長さ方向両端部に当接してガイドレール3の溝部35の開口縁部(第1前辺33に装着した消音材330)に押し付けて固定し、当接部41、42がガイドレール内部に当接することで固定され、シャッターカーテン1に作用する面圧に対抗するようになっている。
【0063】
図17において、耐風補強部材4を取り付けたシャッターカーテン1に風圧が作用した時の耐風補強部材4の端部ロック金具4´の挙動を示す。上図は負圧が作用した状態、下図は正圧が作用した状態である。耐風補強部材4を設けたことで、風圧が作用した場合のスラット10の変形を抑制でき、また、風圧によってスラット10がある程度変形することで、端部ロック金具4´の姿勢も平面視において少し傾くことになるが、その場合であっても、端部ロック金具4´の当接部42とガイドレール3の第2側壁31の内面と当接状態が維持され、負圧が作用した場合(上図)には、スラット10と消音材330(第1前辺33)とが当接し(差し込み部7の側壁700と消音材340は離間する)、正圧が作用した場合(下図)には、差し込み部7の側壁700の傾斜縁部7000の先端側あるいは先端側縁部7001の基端側が消音材340(第2前辺34)と当接ないし近接する(スラット10と消音材330は離間する)ことで、端部ロック金具4´の固定状態が保持される。また、風圧でスラット10が撓んだ場合には、耐風補強部材4も撓むので、撓みの程度によっては、端部ロック金具4´の当接部41はガイドレール3の底壁32の内面に当接し、あるいは、近接することになる。正圧の場合に、さらに風圧がかかると、回動部材8の基端側部位が消音材340に噛み込むように引っ掛かる。
【0064】
耐風補強部材4を取り外す時には、先ず、摘み部903を掴んで第2の位置(前側縁部9241に当接している)にある立ち上がり片901を第1の位置(後側縁部9240に当接する)に移動させることで、第2の位置にあるスライダ9´(作動体)を第1の位置に移動させる。この時、摺接面801に当接しているスライダ9´(作動体)の凸部9000(作動部)が下向き凹部800側に移動し、凸部802を先端から離れる方向に移動させることで、作動姿勢にある回動部材8は、先端側差し込み部7の底面に近づく方向に回動し、当該底面と略平行な収納姿勢となる。嵌合受部7110と嵌合突部9003の嵌合状態も解除される。次いで、ノブボルト123を緩めて、端部筒状部材6の基端側を中央筒状部材5にスライド移動させて、差し込み部7の先端側部位7Aをガイドレール3の溝部35から引き抜くことで、耐風補強部材4を取り外すことができる。
【符号の説明】
【0065】
1 シャッターカーテン
10 スラット
3 ガイドレール
30 第1側壁
31 第2側壁
32 底壁
33 第1前辺(第1開口縁部)
330 消音材(第1開口縁部)
34 第2前辺(第2開口縁部)
330 消音材(第2開口縁部)
35 溝部
4 耐風補強部材
4´ 端部ロック金具(端部ロック部)
40 当接部(第1当接部)
41 当接部(第2当接部)
42 当接部
5 中央筒状部材(横材)
6 端部筒状部材(横材)
7 差し込み部
7A 先端側部位
70 第1部材
702 底面(差し込み部の底面、差し込み部の第1側部位)
7000 傾斜縁部(差し込み部の第2側部位)
7001 先端側縁部(差し込み部の第2側部位)
71 第2部材
711 底面(差し込み部の底面、差し込み部の第1側部位)
7110 嵌合受部(保持手段)
72 第3部材
8 回動部材
9 操作機構
903 摘み部(操作部)
9´スライダ(作動体)
9003 嵌合突部(保持手段)
11 引っ掛け部材
図1
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図17