(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】マルチユニットシステム
(51)【国際特許分類】
H04J 3/00 20060101AFI20240918BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20240918BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
H04J3/00 B
H05K13/08 Q
H05K13/04 A
(21)【出願番号】P 2020191541
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】高橋 政二
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-034077(JP,A)
【文献】特開平03-080655(JP,A)
【文献】特開昭63-274237(JP,A)
【文献】特開平02-294747(JP,A)
【文献】国際公開第2014/147775(WO,A1)
【文献】特開2013-236198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 3/00
H05K 13/08
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮像して画像データを生成する撮像部と、所定のテスト信号を生成する第1データ生成部と、前記画像データ及び前記テスト信号を外部へ送信可能な送信部と、を備えた第1ユニットと、
前記画像データ及び前記テスト信号を取得するデータ取得部と、前記テスト信号の異常の有無を判定する第1判定部と、を備える第2ユニットと、
前記第1ユニットと前記第2ユニットとをデータ通信可能に接続する通信ケーブルと、を備え、
前記送信部は、前記第2ユニットへ前記画像データの送信を行わないタイミングで、前記テスト信号を送信する、マルチユニットシステム
において、
前記第1ユニットは、電子部品を基板に実装する動作を行う実装ユニットであって、前記実装を行うヘッドユニットと、前記撮像部として前記基板に付設されたマークを撮像する基板認識カメラとを含み、
前記第2ユニットは、前記実装ユニットの動作を制御するコントロールユニットであり、
前記コントロールユニットは、前記基板認識カメラによる前記マークの撮像および前記ヘッドユニットによる前記基板への電子部品の実装を含む基板生産動作を開始する前に、前記実装ユニットに前記テスト信号の送信動作を実行させる指示信号を送信する、マルチユニットシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のマルチユニットシステムにおいて、
前記送信部は、前記撮像部が撮像可能な状態の期間における、前記画像データを送信しない無効期間中に、前記テスト信号を送信する、マルチユニットシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のマルチユニットシステムにおいて、
前記送信部は、前記第1ユニットが動作可能な期間における、前記画像データを送信する有効期間を除く期間に、常時、前記テスト信号を送信する、マルチユニットシステム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のマルチユニットシステムにおいて、さらに、
前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間に介在され、前記画像データの送信を中継する中間ユニットを備え、
前記中間ユニットは、前記テスト信号の異常の有無を判定する第2判定部を含み、
前記通信ケーブルは、前記第1ユニットと前記中間ユニットとを接続する上流通信ケーブルと、前記中間ユニットと前記第2ユニットとを接続する下流通信ケーブルとを含む、マルチユニットシステム。
【請求項5】
画像を撮像して画像データを生成する撮像部と、所定のテスト信号を生成する第1データ生成部と、前記画像データ及び前記テスト信号を外部へ送信可能な送信部と、を備えた第1ユニットと、
前記画像データ及び前記テスト信号を取得するデータ取得部と、前記テスト信号の異常の有無を判定する第1判定部と、を備える第2ユニットと、
前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間に介在され、前記テスト信号の異常の有無を判定する第2判定部を含み、前記画像データの送信を中継する中間ユニットと、
前記第1ユニットと前記中間ユニットとを接続する上流通信ケーブルと、
前記中間ユニットと前記第2ユニットとを接続する下流通信ケーブルと、を備え、
前記送信部は、前記第2ユニットへ前記画像データの送信を行わないタイミングで、前記テスト信号を送信する、マルチユニットシステムにおいて、
前記撮像部は、第1撮像部と第2撮像部とを含み、
前記第1データ生成部は、前記第1撮像部用の第1テスト信号と、前記第2撮像部用の第2テスト信号とを生成し、
前記上流通信ケーブルは、前記第1撮像部と前記中間ユニットとを接続する第1上流通信ケーブルと、前記第2撮像部と前記中間ユニットとを接続する第2上流通信ケーブルとを含む、マルチユニットシステム。
【請求項6】
画像を撮像して画像データを生成する撮像部と、所定のテスト信号を生成する第1データ生成部と、前記画像データ及び前記テスト信号を外部へ送信可能な送信部と、を備えた第1ユニットと、
前記画像データ及び前記テスト信号を取得するデータ取得部と、前記テスト信号の異常の有無を判定する第1判定部と、を備える第2ユニットと、
前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間に介在され、前記テスト信号の異常の有無を判定する第2判定部を含み、前記画像データの送信を中継する中間ユニットと、
前記第1ユニットと前記中間ユニットとを接続する上流通信ケーブルと、
前記中間ユニットと前記第2ユニットとを接続する下流通信ケーブルと、を備え、
前記送信部は、前記第2ユニットへ前記画像データの送信を行わないタイミングで、前記テスト信号を送信する、マルチユニットシステムにおいて、
前記中間ユニットは、前記上流通信ケーブルを介して送信された前記テスト信号が変形している場合に、元のテスト信号に整形するデータ整形部を備える、マルチユニットシステム。
【請求項7】
画像を撮像して画像データを生成する撮像部と、所定のテスト信号を生成する第1データ生成部と、前記画像データ及び前記テスト信号を外部へ送信可能な送信部と、を備えた第1ユニットと、
前記画像データ及び前記テスト信号を取得するデータ取得部と、前記テスト信号の異常の有無を判定する第1判定部と、を備える第2ユニットと、
前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間に介在され、前記テスト信号の異常の有無を判定する第2判定部を含み、前記画像データの送信を中継する中間ユニットと、
前記第1ユニットと前記中間ユニットとを接続する上流通信ケーブルと、
前記中間ユニットと前記第2ユニットとを接続する下流通信ケーブルと、を備え、
前記送信部は、前記第2ユニットへ前記画像データの送信を行わないタイミングで、前記テスト信号を送信する、マルチユニットシステムにおいて、
前記中間ユニットは、前記第1データ生成部が生成する前記テスト信号とは異なるテスト信号を生成する第2データ生成部を備える、マルチユニットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を撮像する撮像部を備えるユニットと他のユニットとが通信ケーブルでデータ通信可能に接続されたマルチユニットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子部品を基板に実装する部品実装装置(マルチユニットシステムの一例)は、部品の吸着ノズルを有する実装ヘッド等を含む実装ユニットと、この実装ユニットの動作を制御するコントローラを含む本体ユニットとを備える。前記実装ユニットと前記本体ユニットとは、通信ケーブルによってデータ通信可能に接続される。一般に前記実装ユニットには、基板認識カメラや部品認識カメラ等の撮像部が搭載され、撮像により取得された画像データが前記本体ユニットへ送信される。
【0003】
部品実装装置の稼働に際しては、前記撮像部から画像データが正常に前記本体ユニットへ送信されているか否かの異常チェックを行う必要がある。例えばカメラの動作異常又は通信ケーブルの破断や損傷等によって、前記本体ユニットが受信する画像データに異常が生じる。従来、前記異常チェックは、撮像部によって取得された画像データ自体、若しくは前記画像データに付設されたパリティやチェックサム等の識別情報を、前記本体ユニット側で確認する方法が採られていた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の方法では、前記異常チェックのために、実際に撮像部が撮像動作を行って画像データを取得する必要がある。つまり、部品実装装置に部品実装基板の生産動作を実行させないと、異常の判別ができないという問題がある。また、撮像部や通信ケーブルに異常が存在する状態で、部品実装基板を生産してしまう危惧がある。
【0006】
本発明の目的は、撮像部を備えるユニットと他のユニットとが通信ケーブルでデータ通信可能に接続されたマルチユニットシステムにおいて、データ異常を速やかに検知できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係るマルチユニットシステムは、画像を撮像して画像データを生成する撮像部と、所定のテスト信号を生成する第1データ生成部と、前記画像データ及び前記テスト信号を外部へ送信可能な送信部と、を備えた第1ユニットと、前記画像データ及び前記テスト信号を取得するデータ取得部と、前記テスト信号の異常の有無を判定する第1判定部と、を備える第2ユニットと、前記第1ユニットと前記第2ユニットとをデータ通信可能に接続する通信ケーブルと、を備え、前記送信部は、前記第2ユニットへ前記画像データの送信を行わないタイミングで、前記テスト信号を送信する、マルチユニットシステムにおいて、前記第1ユニットは、電子部品を基板に実装する動作を行う実装ユニットであって、前記実装を行うヘッドユニットと、前記撮像部として前記基板に付設されたマークを撮像する基板認識カメラとを含み、前記第2ユニットは、前記実装ユニットの動作を制御するコントロールユニットであり、前記コントロールユニットは、前記基板認識カメラによる前記マークの撮像および前記ヘッドユニットによる前記基板への電子部品の実装を含む基板生産動作を開始する前に、前記実装ユニットに前記テスト信号の送信動作を実行させる指示信号を送信することを特徴とする。
【0008】
このマルチユニットシステムによれば、撮像部が現に撮像動作を行っているか否かに係わらず、送信部はテスト信号を送信することができる。つまり、現に画像データが取得されなくても、前記テスト信号に基づきデータ異常のチェックを行うことができる。従って、第1ユニットが実稼働を開始する前に、データ異常を速やかに検知することができる。なお、前記テスト信号は、前記送信部から前記第2ユニットに直接送信されても、他のユニットを介して前記第2ユニットへ間接的に送信されても良い。
【0009】
上記のマルチユニットシステムにおいて、前記送信部は、前記撮像部が撮像可能な状態の期間における、前記画像データを送信しない無効期間中に、前記テスト信号を送信することが望ましい。
【0010】
例えば、フレーム画像の画素データの読み出しの際、各画素データを転送する期間を有効期間とすると、その有効期間の前後には画素データの転送が行われない無効期間が存在する。上記のマルチユニットシステムによれば、このような無効期間を利用することで、画像データの存在に依存することなくテスト信号を送信することができる。
【0011】
上記のマルチユニットシステムにおいて、前記送信部は、前記第1ユニットが動作可能な期間における、前記画像データを送信する有効期間を除く期間に、常時、前記テスト信号を送信することが望ましい。
【0012】
このマルチユニットシステムによれば、前記有効期間を除き、送信部は常にテスト信号を送信する。例えば、第1ユニットの電源が投入されたタイミングから前記テスト信号を送信させることが可能となる。従って、前記第1ユニットの実稼働の前に、確実にデータ異常を検知することができる。
【0013】
上記のマルチユニットシステムにおいて、さらに、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間に介在され、前記画像データの送信を中継する中間ユニットを備え、前記中間ユニットは、前記テスト信号の異常の有無を判定する第2判定部を含み、前記通信ケーブルは、前記第1ユニットと前記中間ユニットとを接続する上流通信ケーブルと、前記中間ユニットと前記第2ユニットとを接続する下流通信ケーブルとを含むことが望ましい。
【0014】
上記のマルチユニットシステムによれば、前記中間ユニットを境として、第1ユニット側又は第2ユニット側のいずれに異常が存在するかを区分して検知することができる。例えば、前記上流通信ケーブルが可動部を含まない等、およそ損傷を受けない敷設環境であるならば、前記中間ユニットの介在により、データ異常が撮像部の異常若しくは下流通信ケーブルの異常のいずれに由来するかを判別することができる。従って、異常原因を速やかに探知でき、修理作業を迅速に行わせることができる。
【0015】
上記のマルチユニットシステムにおいて、前記撮像部は、第1撮像部と第2撮像部とを含み、前記第1データ生成部は、前記第1撮像部用の第1テスト信号と、前記第2撮像部用の第2テスト信号とを生成し、前記上流通信ケーブルは、前記第1撮像部と前記中間ユニットとを接続する第1上流通信ケーブルと、前記第2撮像部と前記中間ユニットとを接続する第2上流通信ケーブルとを含むことが望ましい。
【0016】
このマルチユニットシステムによれば、中間ユニットにおいて、第1テスト信号又は第2テスト信号に基づき、第1撮像部側又は第2撮像部側のいずれにデータ異常が存在するかを、前記第2判定部により検知することができる。従って、第1ユニットに撮像部が複数台具備されている場合でも、異常原因を速やかに探知することができる。
【0017】
上記のマルチユニットシステムにおいて、前記中間ユニットは、前記上流通信ケーブルを介して送信された前記テスト信号が変形している場合に、元のテスト信号に整形するデータ整形部を備えることが望ましい。
【0018】
このマルチユニットシステムによれば、中間ユニットに新たにテスト信号を生成するデータ生成部を設けずとも、前記第1データ生成部が作成したテスト信号を用いて、下流通信ケーブルの異常を検知することができる。
【0019】
上記のマルチユニットシステムにおいて、前記中間ユニットは、前記第1データ生成部が生成する前記テスト信号とは異なるテスト信号を生成する第2データ生成部を備えることが望ましい。
【0020】
このマルチユニットシステムによれば、第2データ生成部が生成するテスト信号を用いて、第1ユニットの撮像部とは切り離して、下流通信ケーブルの異常を検知することができる。
【0021】
上記のマルチユニットシステムにおいて、前記第1ユニットは、電子部品を基板に実装する動作を行う実装ユニットであり、前記第2ユニットは、前記実装ユニットの動作を制御するコントロールユニットであることが望ましい。
【0022】
この構成によれば、本発明に係るマルチユニットシステムが、電子部品を基板に実装する部品実装装置に適用される。そして、実装ユニットに搭載された撮像部の異常、若しくは実装ユニットとコントロールユニットとを接続する通信ケーブルの異常を、速やかに検知することができる。
【0023】
上記のマルチユニットシステムにおいて、前記コントロールユニットは、前記実装ユニットが前記基板に電子部品を実装する動作を開始する前に、前記実装ユニットに前記テスト信号の送信動作を実行させる指示信号を送信することが望ましい。
【0024】
この構成によれば、電子部品を実装する基板生産動作が行われる前に、データ異常の検知を行わせることができる。従って、異常が存在する状態で基板生産が行われることを未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、撮像部を備えるユニットと他のユニットとが通信ケーブルでデータ通信可能に接続されたマルチユニットシステムに、データ異常を速やかに検知できる機能を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明のマルチユニットシステムの一例である部品実装装置の概略構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、部品実装装置の実装ユニット部分の概略構成を示す側面図である。
【
図4】
図4は、実施例1に係る信号品質確認の構成を備えた部品実装装置の模式図である。
【
図5】
図5は、実施例1の信号品質確認に関する構成のブロック図である。
【
図6】
図6は、実施例2に係る信号品質確認の構成を備えた部品実装装置の模式図である。
【
図7】
図7は、実施例3に係る信号品質確認の構成を備えた部品実装装置の模式図である。
【
図8】
図8は、実施例3の信号品質確認に関する構成のブロック図である。
【
図9】
図9は、複数のカメラを有する実装ユニット部分の概略構成を示す側面図である。
【
図10】
図10は、実施例4に係る信号品質確認の構成を備えた部品実装装置の模式図である。
【
図11】
図11は、実施例4の信号品質確認に関する構成のブロック図である。
【
図12】
図12は、信号品質確認の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態では、本発明に係るマルチユニットシステムが、電子部品を基板に実装する部品実装装置に適用される例を示す。部品実装装置は、各種の電子部品をプリント基板に実装する装置であって、部品実装動作を行うユニット、撮像部を備えたユニット、コントローラを備えたユニット等の、複数のユニットを含んでいる。部品実装装置に限らず、本発明のマルチユニットシステムは、撮像部を備えたユニットと、このユニットから画像データが伝送される他のユニットを含む各種の電気機器・機械装置、設備などに広く適用することができる。
【0028】
[部品実装装置の全体構造]
図1は、部品実装装置1の概略構成を示す平面図、
図2は、部品実装装置1の実装ユニット40部分の概略構成を示す側面図である。部品実装装置1は、各種の電子部品を基板Pに実装してなる実装基板を生産する装置である。
図1及び
図2において、XYZの方向表示が付されている。以下の説明において、X方向を基板Pの移動方向である左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向という場合がある。
【0029】
部品実装装置1(マルチユニットシステム)は、ベース部10(第2ユニット)と、このベース部10上に配置された実装ユニット40(第1ユニット)とを含む。ベース部10に対して、基板搬送部2及び部品供給部3が組付けられている。実装ユニット40は、複数本のヘッド4Hを有するヘッドユニット4と、ヘッドユニット4に搭載された基板認識カメラ5(撮像部)とを含む。ベース部10には、部品実装装置1の各部の動作を制御する制御装置7が備えられている。ベース部10と実装ユニット40とは、データ通信が可能に接続されている。
【0030】
基板搬送部2は、電子部品が実装される基板Pを搬送する。基板搬送部2は、ベース部10上において、基板Pを左右方向へ搬送する一対のコンベア21、22を有している。コンベア21、22は、基板Pを右側から部品実装装置1の機内に搬入し、所定の作業位置(
図1に示す基板Pの位置)まで左方へ搬送して一旦停止させる。この作業位置において、電子部品が基板Pに実装される。実装作業後、コンベア21、22は基板Pを左側へ搬送し、部品実装装置1の機外へ搬出する。
【0031】
部品供給部3は、基板Pへ実装される電子部品を供給する。部品供給部3は、基板搬送部2の前後方向に各々配置されている。各部品供給部3は、左右方向に配列された複数のテープフィーダ31を備えている。各テープフィーダ31は、各種の電子部品を所定間隔で収容(保持)したテープが巻回されたリールを保持している。テープフィーダ31は、前記リールからテープを間欠的に繰り出し、フィーダ先端の部品供給位置に電子部品を供給する。
【0032】
ヘッドユニット4は、部品供給部3から電子部品を取り出し、これを基板Pに実装する。ヘッドユニット4は、ベース部10の上空にXY方向に移動可能に配置され、前記部品供給位置においてテープフィーダ31から電子部品を取り出し、前記作業位置において前記電子部品を基板Pの所定位置に実装する。ベース部10の上方には、X方向に延びる支持ビーム23が架設されている。ヘッドユニット4は、支持ビーム23に固定されたX軸固定レール24に対して移動可能に支持されている。
【0033】
支持ビーム23は、Y方向に延びるY軸固定レール25に支持され、このY軸固定レール25に沿ってY方向に移動可能である。X軸固定レール24に対して、X軸サーボモータ26及びボールねじ軸27が配置されている。Y軸固定レール25に対して、Y軸サーボモータ28及びボールねじ軸29が配置されている。ヘッドユニット4は、X軸サーボモータ26によるボールねじ軸27の回転駆動によってX方向に移動し、Y軸サーボモータ28によるボールねじ軸29の回転駆動によってY方向に移動する。
【0034】
ヘッドユニット4には、部品を保持して搬送するための複数の実装用ヘッド4Hが搭載されている。各ヘッド4Hは、Z方向に延びるシャフト41と、該シャフト41の下端に装着された吸着ノズル42とを含む。シャフト41は、ヘッドユニット4に対して昇降及びノズル中心軸(R軸)回りの回転が可能とされている。吸着ノズル42は、電子部品を吸着して保持し、これを基板Pの表面に搭載することが可能である。
【0035】
ベース部10にはマルチカメラ11が組み込まれている。マルチカメラ11は、ベース部10の上方を撮像視野とするカメラである。マルチカメラ11の主たる役目は、吸着ノズル42による当該電子部品の吸着状態を画像認識するために、吸着ノズル42に吸着された電子部品を下面側から撮像することにある。
【0036】
基板認識カメラ5は、ヘッドユニット4の左側に固定的に搭載されている。基板認識カメラ5は、コンベア21、22により前記作業位置に搬入された基板Pの表面に付設されている各種マークを撮像する。
図1では、前記マークの一例として、矩形の基板Pの対角線上に付設された一対のフィデューシャルマークFMを示している。フィデューシャルマークFMは、搬入された基板Pの前記作業位置の原点座標に対する位置ズレ量を検知するためのマークである。基板認識カメラ5の撮像により得られた画像データ上でフィデューシャルマークFMの位置が特定され、原点座標に対する位置ズレ量が求められる。この位置ズレ量は、部品実装時に参照され、位置ズレが生じないように電子部品が基板Pに実装される。
【0037】
[部品実装装置の電気的構成]
続いて、部品実装装置1の制御構成について説明する。
図3は、部品実装装置1の電気的構成を示すブロック図である。部品実装装置1は、上述の通り、ベース部10に配置される制御装置7(コントロールユニット)を備える。制御装置7は、所定のプログラムが実行されることで、上述の実装ユニット40(ヘッドユニット4、基板認識カメラ5)、マルチカメラ11などの動作を制御する。なお、
図3のブロック図には、
図1、
図2では記載が省かれた、Z軸サーボモータ43、R軸サーボモータ44及びカメラ軸サーボモータ45が記載されている。
【0038】
Z軸サーボモータ43及びR軸サーボモータ44は、ヘッドユニット4内に組み込まれるモータである。Z軸サーボモータ43は、電子部品の吸着若しくは実装を行う際に、ヘッド4H(シャフト41)をZ軸に沿って昇降させる駆動源である。R軸サーボモータ44は、シャフト41をR軸回りに回転させる駆動源である。カメラ軸サーボモータ45は、後出の実施例4(
図9)に採用されているスキャンユニット6を動作させるためのモータである。なお、カメラ軸サーボモータ45は、スキャンユニット6を具備しない
図2に示す実装ユニット40では省かれる。
【0039】
制御装置7は、撮像制御部71、画像処理部72、軸制御部73、主制御部74及び記憶部75を機能的に備えている。なお、
図3では、後記で説明するユニット間のデータ通信に関する制御装置7の機能部の記載は省かれている(後出の
図5他で詳述する)。
【0040】
撮像制御部71は、基板認識カメラ5及びマルチカメラ11の他、部品実装装置1に備えられている各種カメラの撮像動作を制御する。例えば撮像制御部71は、これらカメラに撮像動作を行わせるタイミングを指定する制御信号を与える。
【0041】
画像処理部72は、基板認識カメラ5及びマルチカメラ11により取得された画像データに対してエッジ検出処理、特徴量抽出を伴うパターン認識処理などの画像処理技術を適用して、当該画像から各種の情報を抽出する。具体的には、画像処理部72は、基板認識カメラ5が取得した画像データに基づき、フィデューシャルマークFMの位置を特定する処理を行う。また、画像処理部72は、マルチカメラ11が取得した画像データに基づき、吸着ノズル42に保持された電子部品の形状、位置などを特定する処理を行う。
【0042】
軸制御部73は、X軸サーボモータ26及びY軸サーボモータ28を制御することによって、ヘッドユニット4のXY方向の移動動作を制御する。また、軸制御部73は、ヘッドユニット4が備えるZ軸サーボモータ43及びR軸サーボモータ44を制御することによって、実装用ヘッド4H(シャフト41)の昇降及び回転動作を制御する。さらに、軸制御部73は、後出の実施例4の態様では、カメラ軸サーボモータ45を制御することによって、スキャンユニット6の、ヘッドユニット4の下面に沿ったX方向への移動を制御する。
【0043】
主制御部74は、部品実装装置1に対する各種の動作を統括的に制御する。例えば、主制御部74は、撮像制御部71、画像処理部72及び軸制御部73等に制御信号を与え、画像の撮像する動作、画像データに画像処理を行わせる動作、並びにヘッドユニット4やヘッド4Hを駆動させる動作を実行させる。また、主制御部74は、後記で説明するユニット間のデータ通信動作も統括的に制御する。
【0044】
記憶部75は、基板Pや電子部品に関する各種の情報、部品実装装置1に関する各種の設定値やパラメータ、制御データ、動作プログラム等を記憶する。
【0045】
[信号品質確認の各種実施例]
以下、部品実装装置1(マルチユニットシステム)に備えられる信号品質確認の各種の実施例を説明する。以下に示す実施例では、実装ユニット40を第1ユニット、ベース部10を第2ユニットと扱い、実装ユニット40の基板認識カメラ5とベース部10の制御装置7とが、データ通信可能に通信ケーブル8で接続されている例を示す。
【0046】
<実施例1>
図4は、実施例1に係る信号品質確認の構成を備えた部品実装装置1の模式図である。大略的には実施例1では、基板認識カメラ5側から画像データVdとテスト信号Tsとが制御装置7へ送信され、制御装置7側でテスト信号Tsの品質をチェックすることにより、両者間のデータ通信における信号品質が確認される。従来の手法では、画像データ自体、若しくは前記画像データに付設されたパリティやチェックサム等の識別情報に基づいて、信号品質の確認が為されていた。この手法では、基板認識カメラ5で実際に画像を撮像する必要がある。しかし、実施例1の構成では、テスト信号Tsに基づき信号品質の確認が為されるので、基板認識カメラ5による実画像の撮像は、必須ではなくなる。
【0047】
図5は、部品実装装置1のうち、実施例1の信号品質確認に関する構成のブロック図である。基板認識カメラ5は、撮像部51、カメラ制御部52、テスト信号生成部53(第1データ生成部)、第1通信制御部54(送信部)及びI/F部55を含む。
【0048】
撮像部51は、所要の画像を撮像して画像データVdを生成する。撮像部51は、被写体の光像を光電変換する撮像素子と、この撮像素子の受光面に被写体像を結像させる光学系とを含む。カメラ制御部52は、制御装置7の撮像制御部71が指定したタイミングに、撮像部51に撮像動作を実行させる。この際、カメラ制御部52は、撮像部51の合焦動作、シャッタータイミング、シャッター速度(露光量)などを制御する。
【0049】
テスト信号生成部53は、信号品質をチェックするための所定のテスト信号Tsを生成する。テスト信号Tsは、予め定められた信号配列を伴ったテストパターン信号、特有の識別信号などであって、画像データVdとは明確に区別できる信号である。
図4では、テスト信号Tsが簡易的に「AAA」と例示されている。
【0050】
第1通信制御部54は、撮像部51が取得した画像データVd及びテスト信号生成部53が生成したテスト信号Tsを外部へ送信する制御を行う。本実施形態では、これら信号の送信先は制御装置7となる。第1通信制御部54は、動作制御を行うためのクロックパルス上の予め定められたタイミング及び期間で、画像データVdを制御装置7へ送信する。また、第1通信制御部54は、制御装置7へ画像データVdを送信しないタイミングにおいて、テスト信号Tsを制御装置7へ送信する。なお、図示は省いているが、第1通信制御部54は、制御装置7側から送信される制御信号を受信し、基板認識カメラ5の各部へ伝達する機能も果たす。
【0051】
I/F部55は、基板認識カメラ5と制御装置7との間の相互データ通信を可能とするインターフェース回路である。上記の画像データVd及びテスト信号Tsは、I/F部55において制御装置7に対してデータ通信が可能なデータ形式に変換される。
【0052】
図4には、第1通信制御部54が送信する画像データVd及びテスト信号Tsの送信形式が模式的に示されている。制御用クロックパルスの時間軸t上において、データ通信タイミングを定めるDVALは、H(High)とL(Low)とが設定されている。時間軸tにおいて、Hの期間は、画像データVdの伝送が行われる有効期間と扱われ、Lの期間は、画像データVdの伝送が行われない無効期間と扱われる。前記無効期間は、撮像部51が撮像動作を行うことが可能な状態の期間、若しくは現に撮像が行われている期間ではあるが、画像データVdは送信されない期間である。例えば、撮像素子が取得するフレーム画像の画素データの転送が行われるタイミングの合間の期間である。
【0053】
第1通信制御部54は、画像データVdを、前記有効期間に送信する。一方、第1通信制御部54は、テスト信号Tsを、前記無効期間を活用して送信する。すなわち、画像データVdの送信が行われる前記有効期間の合間である前記無効期間に、テスト信号Tsが送信される。これにより、画像データVdには何ら依拠せず、テスト信号Tsに基づいて信号品質を確認することが可能となる。なお、撮像部51が撮像スタンバイの状態であって、一の撮像と次の撮像の合間の期間にテスト信号Tsを送信させるようにしても良い。
【0054】
上記の画像データVd及びテスト信号Tsは、通信ケーブル8を通して、基板認識カメラ5から制御装置7へ伝送される。通信ケーブル8は、画像データ及びテスト信号などの信号を伝送する電線、同軸線又は光ファイバなどを含む。これら信号線の周囲が、シールド用の遮蔽層などで覆われている構成であっても良い。通信ケーブル8は、ヘッドユニット4の移動に伴って屈曲と伸長を繰り返す部分を含むため、耐屈曲性の外皮を備えたケーブルを用いることが望ましい。また、通信ケーブル8は、ヘッドユニット4への給電用の電力線が複合されたケーブルであっても良い。
【0055】
制御装置7は、上述の画像処理部72及び主制御部74に加え、I/F部76、第2通信制御部77(データ取得部)、画像データ記憶部78及び異常検出部79(第1判定部)を備えている。また、制御装置7には、異常報知部71Gが付設されている。
【0056】
I/F部76は、基板認識カメラ5と制御装置7との間の相互データ通信を可能とするインターフェース回路である。上記の画像データVd及びテスト信号Tsは、I/F部76において制御装置7内で処理可能なデータ形式に変換される。
【0057】
第2通信制御部77は、第1通信制御部54から送信された画像データVd及びテスト信号Tsを取得する。第2通信制御部77は、取得した画像データVdを画像データ記憶部78に一時的に格納させる。画像処理部72は、画像データ記憶部78に格納された画像データVdに所要の画像処理(例えば、上述のフィデューシャルマークFMの位置を特定するための画像処理)を実行する。さらに第2通信制御部77は、取得したデータからテスト信号Tsを抽出し、異常検出部79に入力する。
【0058】
異常検出部79は、テスト信号Tsの異常の有無を判定する処理を行う。異常検出部79には、基板認識カメラ5のテスト信号生成部53が生成するテスト信号Tsと同一の、比較用テスト信号Tsの情報が予め与えられている。異常検出部79は、前記比較用テスト信号Tsと、基板認識カメラ5側から送信されたテスト信号Tsとを対比し、両者が一致しているときは正常にデータ通信が行われたと判定する。一方、両者に齟齬が存在している場合、異常検出部79は、データ異常が発生したと判定する。
【0059】
図4には、異常検出部79の判定態様が模式的に示されている。基板認識カメラ5の第1通信制御部54から、模式的に「AAA」と示すテスト信号Tsが送信されたとする。異常検出部79において検出されたテスト信号Tsが、同じ「AAA」であれば、異常検出部79は正常にデータ通信が行われたと判定する。この場合、通信ケーブル8に異常が存在しないと推定することができる。一方、異常検出部79において検出されたテスト信号Tsが、例えば「AAB」というように、送信側のテスト信号Tsから改変された状態で検出された場合、異常検出部79はデータ通信に異常が発生したと判定する。
【0060】
例えば、通信ケーブル8が含む電線等の断線、被覆破れに伴う地絡、遮蔽層の損壊によるノイズの重畳などの要因で、データ通信異常が発生する。上記の実施例1によれば、異常検出部79の判定結果に基づいて、画像データVdの伝送線路である通信ケーブル8に異常が発生しているか否かを速やかに知見することができる。なお、テスト信号Tsが正常に受信されたのにも拘わらず、異常な画像データVdが制御装置7側で検出されている場合は、基板認識カメラ5自体に異常が発生していることになる。
【0061】
異常検出部79がデータ異常を検出した場合、主制御部74は異常報知部71Gに異常発生を作業者等に報知する警告情報を発報させる。前記警告情報は、例えば部品実装装置1が備えるモニター装置へのデータ異常発生の旨の表示、警報用ランプの点灯または点滅である。
【0062】
以上説明した実施例1の構成によれば、基板認識カメラ5に実際にフィデューシャルマークFMなどの撮像動作を行わせずとも、当該基板認識カメラ5を動作可能な状態とするだけで、通信ケーブル8を通したユニット間通信の信号品質確認を行うことができる。勿論、基板認識カメラ5が実際の撮像動作を行っている際にも信号品質確認を行える。つまり、撮像部51が現に撮像動作を行っているか否かに係わらず、第1通信制御部54はテスト信号Tsを制御装置7へ送信し、当該テスト信号Tsに基づきデータ異常のチェックを行うことができる。従って、実装ユニット40が実稼働を開始する前に、データ異常を検知することができる。
【0063】
また、テスト信号Tsは、撮像部51が撮像可能な状態の期間における、画像データVdを送信しない無効期間中に送信する。例えば、フレーム画像の画素データの読み出しの際、各画素データを転送する有効期間(DVAL=H)の前後に存在する、画素データの転送が行われない無効期間を利用して、テスト信号Tsが送信される。従って、画像データの存在に依存することなく、テスト信号Tsを送信することができる。
【0064】
基板認識カメラ5のテスト信号生成部53にテスト信号Tsを生成させ、第1通信制御部54に当該テスト信号Tsを送信させる動作を、制御装置7の主制御部74が発する指示信号に基づき実行させることができる。この場合、主制御部74は、実装ユニット40が基板Pに電子部品を実装する動作を開始する前に、基板認識カメラ5にテスト信号Tsの送信動作を実行させる指示信号を送信することが望ましい。これにより、電子部品を実装する基板生産動作が行われる前に、データ異常の有無の検知、つまり通信ケーブル8の異常等の検知を行わせることができる。従って、通信経路に異常が存在する状態で基板生産が行われ、不良品を生産してしまうような不具合を未然に防止することができる。
【0065】
<実施例2>
図6は、実施例2に係る信号品質確認の構成を備えた部品実装装置1の模式図である。実施例2の装置構成は、実施例1と同じである。実施例1と相違する点は、実装ユニット40が動作可能な期間における、画像データVdを送信する有効期間を除く期間に、常時、テスト信号Tsが送信される点である。実装ユニット40が動作可能な期間とは、端的には実装ユニット40の電源がONとされている期間であり、基板認識カメラ5が撮像スタンバイの状態に至っていない期間を含む。
【0066】
実施例2では、部品実装装置1に電源が投入された時点以降、テスト信号生成部53がテスト信号Tsを生成し、第1通信制御部54が前記有効期間を除く期間に、当該テスト信号Tsを制御装置7へ送信する動作を実行する。例えば電源が投入された直後は、画像データVdは取得されておらず、
図6に示されているように、当面は無効期間が続く。第1通信制御部54は、前記無効期間に絶えず、例えば「AAA」のテスト信号Tsを送信する。
【0067】
制御装置7の第2通信制御部77は、そのテスト信号Tsを受信し、異常検出部79が受信したテスト信号Tsを検出する。検出されたテスト信号Tsが、同じ「AAA」であればデータ通信は正常と判定し、例えば「AAB」というように改変された状態あればデータ通信に異常が発生したと判定する。
【0068】
実施例2の構成によれば、実装ユニット40が動作可能な期間であって、画像データVdを送信する有効期間を除く期間に、常時、テスト信号Tsが送信される。つまり、部品実装装置1の電源が投入されたタイミングから、常にテスト信号Tsの送信及びその異常検知が行われる。従って、実装ユニット40が基板生産を行う実稼働の前に、確実にデータ異常を検知することができる。
【0069】
<実施例3>
図7は、実施例3に係る信号品質確認の構成を備えた部品実装装置1の模式図である。実施例3では、実装ユニット40(第1ユニット)とベース部10(第2ユニット)との間に、中間ユニット9が介在する例を示す。中間ユニット9は、画像データVd及びテスト信号Tsの送信を中継するユニットであり、テスト信号Tsの異常の有無を判定する機能を備えている。すなわち、上流通信ケーブル81および下流通信ケーブル82により通信ケーブル8が構成されている、といえる。
【0070】
実施例3では、通信ケーブル8として、上流通信ケーブル81及び下流通信ケーブル82を含む。上流通信ケーブル81は、基板認識カメラ5と中間ユニット9とをデータ通信可能に接続している。下流通信ケーブル82は、中間ユニット9と制御装置7とをデータ通信可能に接続している。
【0071】
一般的な部品実装装置1では、ベース部10に搭載されている電気機器(例えば基板認識カメラ5)と、実装ユニット40に装備されているコントロールユニット(制御装置7)とを電気的に接続する場合、組み立て性やメンテナンス性を考慮して、基板認識カメラ5側から引き出したケーブルと、制御装置7側から引き出したケーブルとをコネクタ接続している。上流通信ケーブル81は、基板認識カメラ5側から引き出されたケーブルに相当し、下流通信ケーブル82は、制御装置7側から引き出されたケーブルに相当する。実施例2では、テスト信号Tsの異常を検知可能な中間ユニット9を介在させることで、データ異常が、カメラ側、つまり基板認識カメラ5自体又は上流通信ケーブル819の異常に起因するのか、コントロールユニット側、つまり下流通信ケーブル82の異常に起因するのかを判別可能としている。
【0072】
図8は、部品実装装置1のうち、実施例3の信号品質確認に関する構成のブロック図である。基板認識カメラ5及び制御装置7の構成は、上述の実施例1(
図5)と同一である。但し、
図5の制御装置7の「異常検出部79」については、
図8では「第1異常検出部79A」と記載されており(両者の機能は同一である)、異常報知部71Gの記載は省かれている。
【0073】
中間ユニット9は、I/F部91、第3通信制御部92、第2異常検出部93及びデータ整形部94を備えている。I/F部91は、基板認識カメラ5と中間ユニット9との間、並びに、中間ユニット9と制御装置7との間の相互データ通信を可能とするインターフェース回路である。画像データVd及びテスト信号Tsは、I/F部91においてデータ通信が可能なデータ形式に変換される。
【0074】
第3通信制御部92は、基板認識カメラ5の第1通信制御部54から送信された画像データVd及びテスト信号Tsを取得する。第3通信制御部92は、画像データVdについては単純な中継動作を行い、テスト信号Tsについては第2異常検出部93へ入力する。また、第3通信制御部92は、画像データVd及びテスト信号Tsを制御装置7へ送信する制御を行う。
【0075】
第2異常検出部93は、実施例1の異常検出部79並びに制御装置7の第1異常検出部79Aと同様に、テスト信号Tsの異常の有無を判定する処理を行う。第2異常検出部93には、基板認識カメラ5のテスト信号生成部53が生成するテスト信号Tsと同一の、比較用テスト信号Tsの情報が予め与えられている。第2異常検出部93は、前記比較用テスト信号Tsと、基板認識カメラ5側から送信されたテスト信号Tsとを対比し、両者が一致しているときは、上流通信ケーブル81を介したデータ通信が正常に行われたと判定する。一方、両者に齟齬が存在している場合、第2異常検出部93は、データ異常が発生したと判定する。
【0076】
データ整形部94は、基板認識カメラ5側から送信され、第2異常検出部93によって検出されたテスト信号Tsを、オリジナルのテスト信号Tsに整形する処理を行う。例えば、基板認識カメラ5側から上流通信ケーブル81を経由して送信された、「AAA」とのテスト信号Tsが、第2異常検出部93では「AAB」と変形して検出されたとする。この場合、データ整形部94は、「AAB」との信号を元の「AAA」とのテスト信号Tsに整形し、第3通信制御部92に次段で用いるテスト信号Tsとして入力する。一方、「AAA」とのテスト信号Tsが、第2異常検出部93でも「AAA」として検出された場合は、信号整形処理をスルーし、そのまま「AAA」を第3通信制御部92にテスト信号Tsとして入力する。
【0077】
第3通信制御部92は、整形又はスルーされたテスト信号Tsを、下流通信ケーブル82を経由して制御装置7へ送信する。制御装置7での処理は、実施例1と同じである。第1異常検出部79Aにおいて、第2通信制御部77が受信したテスト信号Tsの異常の有無を判定する処理が行われる。
【0078】
図7を参照して、実施例3の部品実装装置1における信号品質確認の動作を説明する。基板認識カメラ5の第1通信制御部54から、画像データVdと、例えば「AAA」とのテスト信号Tsが、上流通信ケーブル81を通して中間ユニット9へ送信される。実施例1と同様に、DVAL=Hの有効期間に画像データVdが、DVAL=Lの無効期間にテスト信号Tsが、各々送信される。
【0079】
中間ユニット9では、第1次の信号品質確認が行われる。第2異常検出部93でテスト信号Ts=「AAA」と検出されれば、基板認識カメラ5側の上流通信ケーブル81には異常がないことが確認される。一方、「AAA」以外が検出された場合は、上流通信ケーブル81に異常が存在することが判明する。その後、必要に応じてデータ整形部94にてテスト信号Tsの整形が行われる。そして、第3通信制御部92から画像データVdと、「AAA」とのテスト信号Tsが、下流通信ケーブル82を通して制御装置7へ送信される。上記と同様に、DVAL=Hの有効期間に画像データVdが、DVAL=Lの無効期間にテスト信号Tsが、各々送信される。
【0080】
制御装置7では、第2次の信号品質確認が行われる。第1異常検出部79Aでテスト信号Ts=「AAA」と検出されれば、下流通信ケーブル82には異常がないことが確認される。一方、例えば「AAB」のように、改変された信号が検出された場合は、下流通信ケーブル82に異常が存在することが判明する。
【0081】
実施例3によれば、中間ユニット9を境として、実装ユニット40側又はベース部10側のいずれに異常が存在するかを区分して検知することができる。例えば、中間ユニット9の第2異常検出部93だけがテスト信号Tsの異常を検出した場合、ユニット間の通信経路の全体のうち、上流通信ケーブル81若しくは基板認識カメラ5に異常が有ることを知見できる。従って、異常原因を速やかに探知でき、作業者に必要な修理作業に迅速に取り掛からせることが可能となる。
【0082】
<実施例4>
実施例4では、実装ユニット40に複数台のカメラが搭載されている場合に好適な例を示す。実装ユニット40のヘッドユニット4には、様々な機能を実現するために、多種多様なカメラが搭載される場合がある。その一例を
図9に示す。
図9は、複数のカメラを有する実装ユニット40Aの概略構成を示す側面図である。
図2に示した実装ユニット40と同一部分には同一符号を付しており、これら同一部分については説明を省く。実装ユニット40Aのヘッドユニット4には、スキャンユニット6が付設され、第1基板認識カメラ5A及び第2基板認識カメラ5Bと、スキャンカメラ62とが搭載されている。
【0083】
第1、第2基板認識カメラ5A、5Bは、
図2に示した基板認識カメラ5と同様に、基板Pの表面に付設されているフィデューシャルマークFMを撮像するカメラである。ヘッドユニット4の左側面に第1基板認識カメラ5Aが、右側面に第2基板認識カメラ5Bが、それぞれ搭載されている。
【0084】
スキャンユニット6は、ヘッドユニット4に対してX方向に移動可能に、当該ヘッドユニット4の下端付近に搭載されている。スキャンユニット6は、前記X方向の移動を実現するためのボールねじ軸61と、前記撮像のためのスキャンカメラ62とを備える。ボールねじ軸61は、X方向に延び、ヘッドユニット4に付設されている。ボールねじ軸61は、
図3に示したカメラ軸サーボモータ45により駆動される。スキャンカメラ62は、吸着ノズル42に吸着された電子部品を側面側から撮像するカメラである。この撮像により得られた画像データに基づき、当該電子部品のX軸、Y軸方向の位置ズレ量、及びR軸方向の回転ズレ量が検知される。
【0085】
図10は、実施例4に係る信号品質確認の構成を備えた部品実装装置1の模式図である。実施例4では、実装ユニット40Aが第1カメラ50A(第1撮像部)及び第2カメラ50B(第2撮像部)を備える例を示す。第1カメラ50A、第2カメラ50Bは、
図9に示した第1基板認識カメラ5A、第2基板認識カメラ5B及びスキャンカメラ62のうちのいずれか2台を想定したものである。実装ユニット40A(第1ユニット)とベース部10(第2ユニット)との間に、中間ユニット9Aが介在されている点は、先の実施例3と同じである。
【0086】
第1カメラ50Aは、第1上流通信ケーブル81Aを介して、中間ユニット9Aとデータ通信可能に接続されている。第2カメラ50Bは、第2上流通信ケーブル81Bを介して、中間ユニット9Aとデータ通信可能に接続されている。中間ユニット9Aとベース部10とは、下流通信ケーブル82で接続されている。実施例4では、第1カメラ50A、第2カメラ50B及び中間ユニット9Aが、それぞれ独自のテスト信号Tsを送信することで、第1上流通信ケーブル81A、第2上流通信ケーブル81B、又は下流通信ケーブル82の何れに異常が発生しているかを検知可能としている。
【0087】
図11は、部品実装装置1のうち、実施例4の信号品質確認に関する構成のブロック図である。第1カメラ50A及び第2カメラ50Bは、上述の実施例1(
図5)の撮像部51、カメラ制御部52及びI/F部55と同様な、撮像部51A、51B、カメラ制御部52A、52B及びI/F部55A、55Bを備えている。
【0088】
これらに加え、第1カメラ50Aは、第1テスト信号生成部53A(第1データ生成部)及び第1カメラ通信制御部54Aを備えている。第1テスト信号生成部53Aは、第1カメラ50Aの信号品質確認用として予め設定された特有の第1テスト信号Ts1を生成する。第1カメラ通信制御部54Aは、この第1テスト信号Ts1と、撮像部51Aが生成した画像データVd1とを、中間ユニット9Aに向けて送信する。Ts1及びVd1は、I/F部55A及び第1上流通信ケーブル81Aを経由して中間ユニット9に送信される。
【0089】
第2カメラ50Bは、第2テスト信号生成部53B(第1データ生成部)及び第2カメラ通信制御部54Bを備えている。第2テスト信号生成部53Bは、第2カメラ50Bの信号品質確認用として予め設定された特有の第2テスト信号Ts2を生成する。第2カメラ通信制御部54Bは、第2テスト信号Ts2と、撮像部51Bが生成した画像データVd2とを、中間ユニット9Aに向けて送信する。Ts2及びVd2は、I/F部55B及び第2上流通信ケーブル81Bを経由して中間ユニット9に送信される。
【0090】
中間ユニット9Aは、実施例3の中間ユニット9と同様なI/F部91、第3通信制御部92及び第2異常検出部93と、第3テスト信号生成部95(第2データ生成部)とを備えている。第3テスト信号生成部95は、中間ユニット9A~ベース部10間の品質確認用として予め設定された特有の第3テスト信号Ts3を生成する。
【0091】
実施例4のI/F部91は、第1カメラ50A及び第2カメラ50Bと中間ユニット9Aとの間、並びに、中間ユニット9Aと制御装置7との間の相互データ通信を可能とするインターフェース回路である。画像データVd1、Vd2及びテスト信号Ts1、Ts2は、I/F部91においてデータ通信が可能なデータ形式に変換される。
【0092】
第3通信制御部92は、第1カメラ50A及び第2カメラ50Bから送信された画像データVd1、Vd2及びテスト信号Ts1、Ts2を取得する。第3通信制御部92は、画像データVd1、Vd2については単純な中継動作を行い、テスト信号Ts1、Ts2については第2異常検出部93へ入力する。また、第3通信制御部92は、画像データVd1、Vd2と、第3テスト信号生成部95が新たに生成する第3テスト信号Ts3とを、制御装置7へ送信する。
【0093】
第2異常検出部93は、第1カメラ50Aの第1テスト信号Ts1及び第2カメラ50Bの第2テスト信号Ts2の異常の有無を各々判定する処理を行う。第2異常検出部93には、第1、第2テスト信号生成部53A、53Bが各々生成する第1、第2テスト信号Ts1、Ts2と同一の、比較用テスト信号Ts1、Ts2の情報が予め与えられている。第2異常検出部93は、比較用テスト信号Ts1、Ts2と、カメラ側から送信された第1、第2テスト信号Ts1、Ts2とを各々対比し、両者が一致しているときは、第1、第2上流通信ケーブル81A、81Bをそれぞれ介したデータ通信が正常に行われたと判定する。一方、両者に齟齬が存在している場合、第2異常検出部93は、データ異常が発生したと判定する。
【0094】
制御装置7は、実施例1~3と実質的に同じ構成を備える。但し、信号品質確認用のテスト信号が、カメラ側で作成されたものではなく、中間ユニット9Aで作成された第3テスト信号Ts3である点で相違する。すなわち、第1異常検出部79Aは、第2通信制御部77が受信した第3テスト信号Ts3の異常の有無を判定する処理を行う。
【0095】
図10を参照して、実施例4の部品実装装置1における信号品質確認の動作を説明する。第1カメラ50Aから、画像データVd1と、例えば「AAA」との第1テスト信号Ts1とが、第1上流通信ケーブル81Aを通して中間ユニット9Aへ送信される。また、第2カメラ50Bから、画像データVd2と、例えば「BBB」との第2テスト信号Ts2とが、第2上流通信ケーブル81Bを通して中間ユニット9Aへ送信される。実施例1~3と同様に、各カメラのDVAL=Hの有効期間に画像データVd1、Vd2が、DVAL=Lの無効期間にテスト信号Ts1、Ts2が、各々送信される。
【0096】
中間ユニット9Aでは、第1次の信号品質確認が行われる。第2異常検出部93で第1テスト信号Ts1=「AAA」と検出されれば、第1カメラ50Aの第1上流通信ケーブル81Aには異常がないことが確認される。一方、「AAA」以外、例えば「AAB」などと検出された場合は、第1上流通信ケーブル81Aに異常が存在することが判明する。同様に、第2異常検出部93で第2テスト信号Ts2=「BBB」と検出されれば、第2カメラ50Bの第2上流通信ケーブル81Bには異常がないことが確認される。一方、「BBB」以外、例えば「ABB」などと検出された場合は、第2上流通信ケーブル81Bに異常が存在することが判明する。
【0097】
上記の第1次の信号品質確認処理とパラレルに、中間ユニット9Aでは第3テスト信号Ts3が生成される。第3テスト信号Ts3は、第1、第2テスト信号Ts1、Ts2の双方と異なるテスト信号である。中間ユニット9Aからは、中継した画像データVd1、Vd2と、例えば「CCC」との第3テスト信号Ts3とが、下流通信ケーブル82を通して制御装置7へ送信される。上記と同様に、DVAL=Hの有効期間に画像データVd1,Vd2が、DVAL=Lの無効期間に第3テスト信号Ts3が、各々送信される。
【0098】
制御装置7では、第2次の信号品質確認が行われる。第1異常検出部79Aで第3テスト信号Ts3=「CCC」と検出されれば、下流通信ケーブル82には異常がないことが確認される。一方、例えば「CCB」のように、改変された信号が検出された場合は、下流通信ケーブル82に異常が存在することが判明する。
【0099】
実施例4によれば、中間ユニット9Aを境として、実装ユニット40A側又はベース部10側のいずれに異常が存在するかを区分して検知することができる。また、第1カメラ50A又は第2カメラ50Bのいずれの通信経路に異常が有るかも判別できる。さらに、実装ユニット40A側とは切り離して、下流通信ケーブル82の異常を検知することができる。従って、異常原因を速やかに探知でき、作業者に必要な修理作業に迅速に取り掛からせることが可能となる。
【0100】
[動作フロー]
部品実装装置1の信号品質確認に関する動作を、
図12に示すフローチャートに基づいて説明する。ここでは、主に
図5に示したブロック図を参照して、動作を説明する。部品実装装置1の電源ONが処理の起点となり、ベース部10の電源がON(ステップS1)とされ、実装ユニット40(基板認識カメラ5)の電源がON(ステップS2)とされると、制御装置7の処理がスタンバイ状態となる。なお、実施例3及び4では、中間ユニット9、9Aにも電源が投入される。
【0101】
続いて、テスト信号生成部53がテスト信号Tsを生成し、第1通信制御部54が当該テスト信号Tsを制御装置7に向けて送信する(ステップS3)。この送信は、実施例1では、撮像部51が取得した画像データVdの送信が行われない無効期間を利用して行われる。実施例2では電源投入直後から前記送信が開始され、撮像部51が画像データVdを取得している状態では、前記無効期間にテスト信号Tsが送信される。
【0102】
送信されたテスト信号Ts(及び画像データVd)は、制御装置7の第2通信制御部77で受信される(ステップS4)。当該テスト信号Tsは、異常検出部79に入力される。異常検出部79は、受信されたテスト信号Tsと、予め与えられている比較用テスト信号Tsとを比較し、両信号が一致しているか否かのパターンチェックを行う(ステップS5)。受信テスト信号Tsと比較用テスト信号Tsとが一致している場合(ステップS5でYES)、異常検出部79は、正常にデータ通信が行われたと判定し、「正常カウンタ」を1つカウントアップする(ステップS6)。
【0103】
次に、異常検出部79は、「正常カウンタ」のカウント数が、予め設定された指定回数に到達したか否かを判定する(ステップS7)。前記指定回数は、例えば20回である。これは、突発的なノイズやレアなエラー等に、ステップS7の判定が左右されないようにするためである。指定回数に到達した場合(ステップS7でYES)、異常検出部79は、通信ケーブル8を経由したデータ通信が「正常状態」であると判定する(ステップS8)。指定回数に到達していない場合(ステップS7でNO)、ステップS5に戻り、次段の受信テスト信号Tsのパターンチェックが行われる。
【0104】
ステップS8で「正常状態」と判定されると、画像データVdの送受信が許容される。現状で画像データVdが存在しているか否かが確認される(ステップS9)。画像データVdが存在している場合(ステップS9でYES)、その画像データVdの送受信が基板認識カメラ5とベース部10との間で行われる(ステップS10)。その後、基板認識カメラ5による撮像が完了したか否かが確認され(ステップS11)、未完の場合はステップS9に戻る。撮像が完了した場合は、処理を終える。一方、画像データVdが存在していない場合(ステップS9でNO)、ステップS5に戻って処理が行われる。
【0105】
これに対し、ステップS5のパターンチェックで、受信テスト信号Tsと比較用テスト信号Tsとが一致していない場合(ステップS5でNO)、異常検出部79は、データ通信に異常が発生したと判定し、「異常カウンタ」を1つカウントアップする(ステップS12)。続いて異常検出部79は、「異常カウンタ」のカウント数が、予め設定された指定回数に到達したか否かを判定する(ステップS13)。指定回数に到達した場合(ステップS13でYES)、異常検出部79は、通信ケーブル8を経由したデータ通信が「異常状態」であると判定する(ステップS14)。指定回数に到達していない場合(ステップS13でNO)、ステップS5に戻る。
【0106】
「異常状態」であると判定されると、異常検出部79はデータ異常を示す「異常フラグ」を立てる(ステップS15)。この場合、画像データVdの送受信が禁止される。上記「異常フラグ」に対応して、主制御部74は、異常報知部71Gから異常発生を作業者等に報知する警告情報を発報させる(ステップS16)。この警告発報をもって、部品実装装置1の動作が停止される。
【0107】
以上の通り、本発明によれば、撮像部を備えるユニットと他のユニットとが通信ケーブルでデータ通信可能に接続されてなる、部品実装装置1のようなマルチユニットシステムにおいて、画像データVdに依存することなく、通信経路の異常を速やかに検知することができる。
【0108】
なお、上記実施形態では、基板認識カメラ5側でテスト信号Tsを生成して制御装置7へ送信し、制御装置7側で受信されたテスト信号Tsの異常を検出する例を示した。これとは逆に、制御装置7側でテスト信号Tsを生成して基板認識カメラ5へ送信し、基板認識カメラ5側で受信されたテスト信号Tsの異常を検出するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0109】
1 部品実装装置(マルチユニットシステム)
10 ベース部(第2ユニット)
40 実装ユニット(第1ユニット)
5 基板認識カメラ(撮像部)
50A 第1カメラ(第1撮像部)
50B 第2カメラ(第2撮像部)
53 テスト信号生成部(第1データ生成部)
54 第1通信制御部(送信部)
7 制御装置(コントロールユニット)
77 第2通信制御部(データ取得部)
79 異常検出部(第1判定部)
8 通信ケーブル
81 上流通信ケーブル
81A、81B 第1、第2上流通信ケーブル
82 下流通信ケーブル
9 中間ユニット
93 第2異常検出部(第2判定部)
94 データ整形部
95 第3テスト信号生成部(第2データ生成部)
Vd 画像データ
Ts テスト信号