(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】半固形食品押出装置
(51)【国際特許分類】
A23G 9/28 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
A23G9/28
(21)【出願番号】P 2020192968
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】722012006
【氏名又は名称】サンデン・リテールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】須田 光
(72)【発明者】
【氏名】江上 元英
(72)【発明者】
【氏名】山下 光
(72)【発明者】
【氏名】石原 知樹
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-209526(JP,A)
【文献】特開2000-232853(JP,A)
【文献】特開2000-232852(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0025203(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 1/00-9/52
A23L 5/00-5/49
A47J 42/00-44/02
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半固形食品を押出口から押し出す半固形食品押出装置において、
前記押出口の下方に配置され、前記押出口から押し出された半固形食品が充填される径の異なる複数種類の容器を保持可能な容器ホルダーを含み、
前記容器ホルダーは、第1の径を有する筒状の第1の胴部を含む容器を受け入れて保持可能な筒状の第1のホルダー部と、前記第1のホルダー部の上端側の部分の周囲に設けられ前記第1の径より大きい第2の径を有する筒状の第2の胴部を含む容器を受け入れて保持可能な第2のホルダー部と、を有する、
半固形食品押出装置。
【請求項2】
前記第2のホルダー部は、前記第1のホルダー部の外側に位置するホルダー胴部と、前記ホルダー胴部の下端と前記第1のホルダー部の外周面との間を接続するホルダー底部とを有する、請求項1に記載の半固形食品押出装置。
【請求項3】
前記第1のホルダー部は、前記第2のホルダー部の前記ホルダー底部よりも上方に突出した突出部を有している、請求項2に記載の半固形食品押出装置。
【請求項4】
前記容器ホルダーは、前記第1のホルダー部における上下方向の所定の位置から前記第2のホルダー部に亘って切り欠かれたスリット部であって、前記第1のホルダー部の上端及び前記第2のホルダー部の上端で上方に開口した前記スリット部を有する、請求項1~3のいずれか一つに記載の半固形食品押出装置。
【請求項5】
前記容器ホルダーは、前記第1のホルダー部の内周面において周方向に互いに間隔をあけて形成され前記第1の胴部を含む容器の外周面における下端側部分をガイドする複数のガイド部を有する、請求項1~4のいずれか一つに記載の半固形食品押出装置。
【請求項6】
前記第1のホルダー部は、円筒状に形成され、中空円錐状容器を受け入れて保持可能であり、
前記第2のホルダー部は、カップ状容器を受け入れて保持可能である、
請求項1~5のいずれか一つに記載の半固形食品押出装置。
【請求項7】
前記半固形食品は、ソフトアイスクリームである、請求項1~6のいずれか一つに記載の半固形食品押出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、専用容器内に予め収容されたソフトアイスクリーム等の半固形食品を押し出して提供する半固形食品押出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等の店舗等には、ソフトアイスクリーム等の半固形食品を専用容器から押し出して提供するための半固形食品押出装置が設けられている。
【0003】
この種の半固形食品押出装置の一例としては、特許文献1に記載された半固形食品押出装置が知られている。この半固形食品押出装置は、ソフトアイスクリームが予め収容された専用容器を載置可能な凹部を有する押出テーブルと、凹部に載置された専用容器を押圧可能なピストン装置とを有している。専用容器の底部には貫通孔が開口され、押出テーブルの凹部の底部には外部に開口した押出口が開口されている。押出テーブルの凹部に載置された専用容器がピストン装置により押圧されると、専用容器内のソフトアイスクリームが専用容器の底部の貫通孔及び押出テーブルの押出口を介して外部に押し出される。そして、押出口から押し出されたソフトアイスクリームは、店員等の手により把持された上面開口の例えば中空円錐状容器(可食性のいわゆるコーン)に充填され(盛り付けられ)、中空円錐状容器と一緒に顧客等に提供される。
【0004】
そして、コンビニエンスストア等の店舗等では、ソフトアイスクリーム等の半固形食品を顧客等へ提供する際に用いる上面開口の容器として、例えば、中空円錐状容器(コーン)だけでなく中空円錐状容器より大径の紙製のカップ状容器(カップ)を、顧客等の好みに応じて選択できるサービスが一般的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された半固形食品押出装置の利用者(例えば店員等)は、押出口から押し出されたソフトアイスクリームを容器に充填する際に、容器を手で把持した状態で押出口の下方位置に待機させなければならず、手間が掛かる。また、容器は中空円錐状容器だけでなくカップ状容器の場合もあるため、その工夫が求められ得る。
【0007】
そこで、本発明は、このような実状に鑑み、例えば中空円錐状容器及びカップ状容器のいずれが選択されても、利用者が容器を押出口の下方位置に待機させることなく、容器に半固形食品を充填可能な、半固形食品押出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によると、半固形食品を押出口から押し出す半固形食品押出装置が提供される。この半固形食品押出装置は、前記押出口の下方に配置され、前記押出口から押し出された半固形食品が充填される径の異なる複数種類の容器を保持可能な容器ホルダーを含む。前記容器ホルダーは、第1の径を有する筒状の第1の胴部を含む容器を受け入れて保持可能な筒状の第1のホルダー部と、前記第1のホルダー部の上端側の部分の周囲に設けられ前記第1の径より大きい第2の径を有する筒状の第2の胴部を含む容器を受け入れて保持可能な第2のホルダー部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の前記一側面による前記半固形食品押出装置では、前記押出口の下方に配置された容器ホルダーによって、前記押出口から押し出された半固形食品が充填される径の異なる複数種類の容器を受け入れて保持可能である。そして、前記容器が第1の径を有する筒状の第1の胴部を含む例えば中空円錐状容器である場合には、前記容器ホルダーの筒状の第1のホルダー部によって、当該容器を受け入れて保持することができ、前記容器が前記第1の径より大きい第2の径を有する筒状の第2の胴部を含む例えばカップ状容器である場合には、前記容器ホルダーの前記第1のホルダー部の上端側の部分の周囲に設けられた第2のホルダー部によって、当該容器を受け入れて保持することができる。これにより、例えば、中空円錐状容器(コーン)及びカップ状容器(カップ)のいずれが選択されても、容器ホルダーによって、いずれの容器も押出口の下方で保持させることができ、その結果、利用者が手で容器を把持して待機させる必要がなくなる。
【0010】
このようにして、例えば中空円錐状容器及びカップ状容器のいずれが選択されても、利用者が容器を押出口の下方位置に待機させることなく、容器に半固形食品を充填可能な、半固形食品押出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態における半固形食品押出装置の斜視図である。
【
図4】前記半固形食品の保管用の専用容器の一例を説明するための図である。
【
図5】前記半固形食品の提供用の容器の一例を説明するための図である。
【
図6】前記半固形食品の提供用の容器の他の例を説明するための図である。
【
図7】前記半固形食品押出装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【
図8】前記半固形食品押出装置の容器ホルダーの斜視図である。
【
図12】前記容器の保持状態を示した部分斜視図である。
【
図13】前記容器の保持状態を示した概念図である。
【
図14】前記半固形食品押出装置の動作を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1~
図3は、本発明の一実施形態による半固形食品押出装置100の構成を説明するための図面であり、
図1は斜視図で、
図2は正面図、
図3は右側面図である。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態では、半固形食品はソフトアイスクリームであるものとして以下説明する。
【0013】
図1~
図3に示す半固形食品押出装置100は、例えば、コンビニエンスストア等の店舗等に設置され、予め所定の容量毎に小分けして保管されたソフトアイスクリームを顧客等の求めに応じて提供するためのいわゆるアイスクリームディスペンサーである。
【0014】
図4はソフトアイスクリームの保管用の専用容器Pの一例を説明するための図であり、
図5及び
図6はソフトアイスクリームの提供用の上面開口の容器Cを説明するための図である。
【0015】
ここで、ソフトアイスクリームは、予め所定の容量毎に小分けされ、可撓性の樹脂材からなる専用容器P内に収納(充填)されている。ソフトアイスクリームの提供前において、ソフトアイスクリーム入りの専用容器Pは、冷凍庫等に保管されている。
図4(a)に示すように、専用容器Pは、上面開口のカップ状(つまり有底筒状)の本体部P1と本体部P1の上面開口を塞ぐ蓋部P2とからなる。また、
図4(b)に示すように、本体部P1の底部には、例えば、星形の貫通孔P3が開口されている。貫通孔P3は、専用容器Pの保管時には密閉シールP4によって塞がれている。ソフトアイスクリームの提供直前に、専用容器Pは冷凍庫等から取り出され、密閉シールP4が本体部P1からはがされ(
図4(b)参照)、この状態の専用容器Pが半固形食品押出装置100に装填される。
【0016】
そして、ソフトアイスクリームの提供時に、専用容器Pが半固形食品押出装置100の後述する押出装置4により押圧される。これにより、専用容器P内のソフトアイスクリームは、貫通孔P3から押し出され、提供用の上面開口の容器Cに充填され(盛り付けられ)、提供用の容器Cと一緒に顧客等に提供される。ここでは、提供用の容器Cとして、店舗等に径の異なる二種類の容器Cが用意されているものとして以下説明する。
【0017】
本実施形態では、顧客等は、自身の好みに応じて、容器Cとして中空円錐状容器C1と中空円錐状容器C1より大径のカップ状容器C2のいずれかを選択することができる。例えば、中空円錐状容器C1は可食性の容器であり、カップ状容器C2は非可食性の容器であるものとする。
【0018】
中空円錐状容器C1は、可食性材料からなり、上面開口の中空円錐状に形成された可食容器であり、コーン又はコーン状容器とも呼ばれるものである(
図5(a)及び
図5(b)参照)。中空円錐状容器C1は、例えば、中空円錐状のコーン下側胴部C1aと、コーン下側胴部C1aの上端に接続される中空円錐台状(テーパー筒状)のコーン上側胴部C1bとを有する。コーン上側胴部C1bは、コーン下側胴部C1aのテーパー角度よりも大きなテーパー角度で拡径されている。コーン上側胴部C1bは、筒状に形成され、上面開口側端部において、第1の径(最大外径)を有している。つまり、中空円錐状容器C1は前記第1の径を有する筒状のコーン上側胴部C1bを含む容器である。なお、本実施形態では、コーン上側胴部C1bが本発明に係る「第1の胴部」に相当する。
【0019】
カップ状容器C2は、紙等の非可食材料からなり、上面開口の概ね有底円筒状に形成された非可食容器であり、カップとも呼ばれるものである(
図6(a)及び
図6(b)参照)。カップ状容器C2は、例えば、上端側ほど僅かに拡径されたテーパー筒状のカップ胴部C2aと、カップ胴部C2aの下端側を閉塞するカップ底部C2bとを有する。カップ状容器C2のカップ胴部C2aは、筒状に形成され、前記第1の径より大きい第2の径を有する。つまり、カップ状容器C2は前記第1の径より大きい第2の径を有するカップ胴部C2aを含む容器である。したがって、カップ状容器C2は中空円錐状容器C1の胴部よりも大径の胴部(カップ胴部C2a)を有している。なお、本実施形態では、カップ胴部C2aが本発明に係る「第2の胴部」に相当する。
【0020】
また、カップ状容器C2のカップ胴部C2aは、中空円錐状容器C1の全体の高さよりも低い高さで形成されている。カップ底部C2bの下面は、カップ胴部C2aの下端面よりも所定の底上げ高さh分だけ上方に位置している。
【0021】
図1~
図3に戻って、半固形食品押出装置100は、ベース部1とケース部2とを有している。ベース部1は、概ね矩形の板状に形成され装置の底部を構成する。ケース部2は、装置の外殻をなす筐体を構成するものであり、本体ケース部21と前面ケース部22とからなる。本体ケース部21は、ベース部1の後部の上に配置され、概ね縦長の直方体状の箱体からなる。前面ケース部22は、本体ケース部21の前面における上端側の部分において、前方に張り出すように設けられている。
【0022】
半固形食品押出装置100は、ベース部1及びケース部2に加えて、押出テーブル部3と、押出装置4と、容器ホルダー5と、昇降台6と、制御部7と、を有している。
図7は、半固形食品押出装置100の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0023】
押出テーブル部3は、
図3に示すように、専用容器Pが着脱自在に装填されるテーブルであり、前面ケース部22の下部に、例えば、前後方向に移動可能に取り付けられる。押出テーブル部3は、専用容器Pを受容可能に凹んだ凹部31を有し、この凹部31に専用容器Pが装填(載置)される。凹部31の底部31aの中央部には、専用容器Pの底部の貫通孔P3よりも大きい例えば円形の押出口3aが開口されている。押出口3aの開口位置は、凹部31に装填された専用容器Pの貫通孔P3の開口位置と一致している。押出テーブル部3の下面は外部に露出しており、この下面における凹部31に対応する部分が下方に突出している。そして、押出口3aは凹部31の底部31aを貫通して下向きに開口している。
【0024】
専用容器Pの装填の際には、利用者は、専用容器Pの本体部P1から密閉シールP4をはがして貫通孔P3を露出させるとともに、押出テーブル部3を手前に引き出す。そして、利用者は、貫通孔P3を下向きにした姿勢で専用容器Pを凹部31内に嵌め込んだ後、押出テーブル部3を後方に押して閉じる。この状態で、押出口3aは外部に直接開口し、凹部31内の専用容器Pの貫通孔P3は押出口3aを介して外部に開口している。
【0025】
押出装置4は、前面ケース部22内に設けられ、専用容器Pを押圧して専用容器P内のソフトアイスクリームを専用容器P外に押し出すための装置である。押出装置4は、例えば、凹部31内の専用容器Pの蓋部P2をその上方から下方に向かって押圧する押圧ロッド41(
図3参照)と、押圧ロッド41を上下方向に駆動させるための押圧用モータM1(
図3及び
図7参照)とを有している。押圧用モータM1によって押圧ロッド41を下方に駆動させることにより、専用容器P内のソフトアイスクリームは専用容器Pの貫通孔P3から押し出され、この貫通孔P3から押し出されたソフトアイスクリームは押出口3aを通過して下方に押し出される。このようにして、半固形食品押出装置100(押出装置4)は、半固形食品としてソフトアイスクリームを押出口3aから外部に押し出すようになっている。そして、押出口3aから押し出されたソフトアイスクリームは容器Cに充填される。
【0026】
容器ホルダー5は、押出口3aの下方に配置され、容器Cを保持可能なホルダー(換言すると、保持台又は容器受け台)であり、径の異なる二種類の容器である中空円錐状容器C1及びカップ状容器C2を選択的に保持可能に構成されている。容器ホルダー5は、昇降台6に取り付けられている。なお、容器ホルダー5の構造については、後に詳述する。
【0027】
昇降台6は、ベース部1の前端側の部分と前面ケース部22との間において上下に移動(昇降)可能に駆動されるものである。昇降台6の前端側の部分は、押出テーブル部3(押出口3a)の下方において、本体ケース部21の前面よりも前方に張り出している。昇降台6の後端側の部分は、本体ケース部21内で上下方向に移動可能に支持されている。
【0028】
昇降台6の前端側の部分に、容器ホルダー5が取り付けられる。具体的には、昇降台6における押出口3aの直下に対応する部分に、容器ホルダー5が回転可能に支持されている。つまり、容器ホルダー5は、押出口3aの開口中心点を通り且つ昇降台6の上面に垂直な上下方向に延びる仮想中心線X回りに回転可能に昇降台6に取り付けられる。
【0029】
ここで、本体ケース部21内には、昇降台6を上下方向に移動させるための昇降機構(図示省略)と前記昇降機構の駆動用の例えば回転数可変のステッピングモーターからなる昇降用モータM2(
図7参照)が設けられる。前記昇降機構が昇降用モータM2によって駆動されることにより、昇降台6が容器ホルダー5と一緒に、ベース部1と押出テーブル部3の凹部31の底部31aの下面との間で上下方向に移動するようになっている。
【0030】
具体的には、昇降台6は、下方の移動端である下端位置(後述する
図14(a)に示す高さ位置)と上方の移動端である上端位置(後述する
図14(b)に示す高さ位置)との間で移動可能に構成されている。例えば、前記下端位置は、その位置において昇降台6の下面とベース部1の上面との間に隙間が空くように設定される。そして、前記上端位置は、その位置において容器ホルダー5の上端と押出テーブル部3の底部31aの下面との間に、容器ホルダー5の上端からの容器Cの突出長L(後述する
図13参照)よりも僅かに長い(広い)隙間が空くように設定されている(後述する
図13及び
図14(b)参照)。なお、本実施形態では、前記上端位置は、容器Cの種別に関係なく同じ位置に設定されている。前記下端位置も同様である。
【0031】
例えば、本体ケース部21内における昇降台6の前記下端位置に対応する高さ位置には、昇降台6の後端側の部分が接触することにより昇降台6を検知する図示省略のリミットスイッチが設けられる。昇降台6の下降の際に、前記リミットスイッチからの検知信号が制御部7に入力されることにより、昇降用モータM2が停止し、その結果、昇降台6が前記下端位置で停止するようになっている。また、本体ケース部21内には、昇降用モータM2の前記下端位置からの総回転数を検知するための図示省略のエンコーダが設けられる。昇降台6の上昇の際に、前記エンコーダからの信号が制御部7に入力され、前記下端位置からの総回転数が前記上端位置に応じた総回転数に達すると、昇降用モータM2が停止し、その結果、昇降台6が前記上端位置で停止するようになっている。なお、前記上端位置に対応する高さ位置にリミットスイッチが設けられ、このリミットスイッチからの検知信号に基づいて昇降台6を前記上端位置で停止させるように構成してもよい。
【0032】
また、本実施形態では、昇降台6の前記下端位置と前記上端位置との間に、昇降台6の下降速度の切り替え箇所として中間位置(後述する
図14(c)に示す高さ位置)が設定されている。昇降台6の下降の際においても、前記エンコーダからの信号が制御部7に入力される。そして、昇降台6の下降の際に、前記上端位置からの総回転数が前記中間位置に応じた総回転数に達すると、昇降用モータM2は一旦停止した後に再び前記上端位置からの下降時の回転よりも高速回転で作動するように構成されている。
【0033】
昇降台6及び本体ケース部21内には、例えば、容器ホルダー5を仮想中心線X回りに回転させるための複数の歯車等からなる回転機構(図示省略)と前記回転機構の駆動用の例えば回転数可変のステッピングモーターからなる回転用モータM3(
図7参照)が設けられている。前記回転機構が回転用モータM3によって駆動されることによって、昇降台6上の容器ホルダー5が押出口3aの直下において仮想中心線X回りに回転するようになっている。なお、回転用モータM3は、前記中間位置において昇降用モータM2と同期して停止した後再び前記上端位置からの下降時の回転よりも高速回転で作動するように構成されている。
【0034】
制御部7は、例えば、CPU、I/O、ROM、RAM等で構成されており、装置の動作を統括的に制御するものであり、主に、押圧用モータM1、昇降用モータM2及び回転用モータM3の駆動制御を行う。また、制御部7は、昇降台6の昇降動作と容器ホルダー5の回転動作を同期して制御するように構成されている。
【0035】
また、前面ケース部22の前面には、動作開始スイッチ8等の操作スイッチが設けられている。動作開始スイッチ8が利用者等により押下されると、動作開始指令を示す信号が制御部7に入力される。制御部7に動作開始スイッチ8からの前記信号が入力されると、制御部7は各モータM1~M3の駆動制御を開始するようになっている。
【0036】
次に、容器ホルダー5の構造について詳述する。
図8~
図11は、容器ホルダー5を説明するための図である。
図8は容器ホルダー5の正面図、
図9は上面図、
図10は右側面図、
図11は上面図である。なお、容器ホルダー5の左側面図は
図10に示された右側面図と同一に表される。また、
図9では、内部構造が破線で示されている。
【0037】
図8~
図11に示すように、容器ホルダー5は、中空円錐状容器C1を受け入れて保持可能なコーンホルダー部51と、中空円錐状容器C1より大径のカップ状容器C2を受け入れて保持可能なカップホルダー部52と、容器ホルダー5を昇降台6に取る付けるためのホルダー取付部53とを有している。容器ホルダー5は例えば樹脂材からなり、コーンホルダー部51、カップホルダー部52及びホルダー取付部53は射出成形等により一体に成形される。なお、本実施形態では、コーンホルダー部51が本発明に係る「第1のホルダー部」に相当し、カップホルダー部52が本発明に係る「第2のホルダー部」に相当する。
【0038】
容器ホルダー5の長手方向について、コーンホルダー部51は容器ホルダー5の中間部分を構成し、カップホルダー部52は容器ホルダー5の上端側の部分を構成し、ホルダー取付部53は容器ホルダー5の下端側の部分を構成する。また、容器ホルダー5の下方から視た平面視では、コーンホルダー部51、カップホルダー部52及びホルダー取付部53は、径方向の内側からホルダー取付部53、コーンホルダー部51、カップホルダー部52の順で概ね同心円状に配置されている。また、例えば、ホルダー取付部53が前記回転機構の一部をなすスリーブ6a(
図2及び
図3参照)に螺合接続されることによって、容器ホルダー5が仮想中心線X回りに回転可能に昇降台6に取り付けられる。
【0039】
コーンホルダー部51は、円筒状に形成されており、上方から視た平面視でカップホルダー部52の内側に位置している。コーンホルダー部51の下端には、円板状のコーンホルダー底部511が接続されており、コーンホルダー底部511の中央には円形の孔511aが開口されている。
【0040】
コーンホルダー部51の外周面及び内周面は、金型用の僅かな抜き勾配を有している。コーンホルダー部51の内径(詳しくはコーンホルダー部51の上側開口の内径)は、例えば、中空円錐状容器C1の重心位置に対応する高さ位置における胴部(コーン下側胴部C1a)の外径に合わせた内径に設定される。コーンホルダー部51は、中空円錐状容器C1のコーン下側胴部C1aの全体の長さ(高さ)より短い全長(高さ)を有している。
【0041】
カップホルダー部52は、コーンホルダー部51の上端側の部分の周囲に設けられており、上方から視た平面視でコーンホルダー部51の外側に位置している。
【0042】
本実施形態では、カップホルダー部52は、カップホルダー胴部521とカップホルダー底部522とを有する。カップホルダー胴部521は、コーンホルダー部51の径方向外側に位置する部位である。カップホルダー底部522は、カップホルダー胴部521の下端とコーンホルダー部51の外周面との間を接続する部位である。なお、本実施形態では、カップホルダー胴部521が本発明に係る「ホルダー胴部」に相当し、カップホルダー底部522が本発明に係る「ホルダー底部」に相当する。
【0043】
ホルダー取付部53は、コーンホルダー底部511の下面から下方に向かって突出した円筒状に形成されている。ホルダー取付部53の外径はコーンホルダー部51の外径よりも小さく、ホルダー取付部53の内径は、コーンホルダー底部511に開口された孔511aの孔径に概ね合わせられている。
【0044】
ホルダー取付部53の下端側の部分の外周面には、スリーブ6aの内周面に形成されたネジ部に螺合するネジ部531が形成されている。具体的には、スリーブ6aの下端側の部分は、昇降台6の下面から下方に突出している。そして、ホルダー取付部53は、昇降台6を貫通し、そのネジ部531がスリーブ6aの内周面のネジ部に螺合するようになっている。また、ホルダー取付部53がスリーブ6aに螺合した状態で、コーンホルダー部51及びカップホルダー部52が昇降台6の上面よりも上方に位置(突出)するようになっている。
【0045】
ここで、本実施形態では、コーンホルダー部51は、カップホルダー部52のカップホルダー底部522よりも上方に突出した突出部512を有している。突出部512の上端はカップホルダー部52のカップホルダー胴部521の上端よりも下方に位置している。したがって、カップホルダー胴部521の上端は、コーンホルダー部51の上端よりも上方に突出しており、容器ホルダー5の上端を構成している。また、本実施形態では、突出部512の突出長は、カップ状容器C2のカップ底部C2bの底上げ高さh(
図6(b)参照)よりも長くなるように設定されている。
【0046】
本実施形態では、容器ホルダー5は、コーンホルダー部51における上下方向の所定の位置(図では上下方向の概ね中間位置)からカップホルダー部52に亘って切り欠かれたスリット部54を有する。このスリット部54は、コーンホルダー部51の上端及びカップホルダー部52の上端で上方に開口している。
【0047】
本実施形態では、スリット部54は、容器ホルダー5の周方向の二箇所に形成されており、一方のスリット部54と他方のスリット部54は互いに対向している。つまり、容器ホルダー5は、互いに対向する二つのスリット部54を有している。
【0048】
本実施形態では、容器ホルダー5が取り付けられた昇降台6は、待機状態及び初期状態において前記下端位置に位置するようになっている。そして、昇降台6が前記下端位置にあるときに、容器ホルダー5の二つのスリット部54のスリット幅の中心位置が本体ケース部21の前面に対して直交する線上に位置するように、前記下端位置における容器ホルダー5の仮想中心線X回りの角度位置が設定されている。したがって、本体ケース部21の前面に正対して視た平面視(正面視)では、前記下端位置にある容器ホルダー5の二つのスリット部54は互いに重なって一つになっているように視える(
図2、
図9及び後述する
図13参照)。
【0049】
具体的には、各スリット部54は、それぞれ、第1スリット部54aと第2スリット部54bとからなる。第1スリット部54aは、コーンホルダー部51の上端から所定の幅を有してコーンホルダー部51における上下方向の前記所定の位置(概ね中間位置)まで切り欠かれた部分であり、コーンホルダー部51の上端で上方に開口している。第2スリット部54bは、第1スリット部54aに対応する角度位置において、カップホルダー部52のカップホルダー胴部521及びカップホルダー底部522に亘って切り欠かれた部分であり、カップホルダー胴部521の上端で上方に開口している。
【0050】
例えば、第1スリット部54aは、概ねU字状の開口縁を有するように開口されている。また、第2スリット部54bにおけるカップホルダー底部522に対応する部分は、第1スリット部54aと同じスリット幅で切り欠かれ、第1スリット部54aの中間部に連通している。そして、第2スリット部54bにおけるカップホルダー胴部521に対応する部分は、上側ほどそのスリット幅が広がるように切り欠かれ、その下端側でカップホルダー底部522側の第2スリット部54bに連通している。
【0051】
したがって、容器ホルダー5のカップホルダー部52は、互いに対向する二つのスリット部54の部分において、水平方向に二つの部分に分割されている。つまり、本実施形態では、カップホルダー部52は互いに対向する二つのカップホルダー片52Aからなる。
【0052】
具体的には、カップホルダー片52Aにおけるカップホルダー胴部521の部分は、上方から視た平面視で円弧状の円弧胴部521aとして残っており、コーンホルダー部51の径方向外側に位置している。そして、カップホルダー片52Aにおけるカップホルダー底部522の部分は、上方から視た平面視でC字状のC字底部522aとして残っており、円弧胴部521aの下端とコーンホルダー部51の外周面との間を接続している。
【0053】
本実施形態では、コーンホルダー部51の突出部512(換言すると、コーンホルダー部51の上端側の部分)は、一方のカップホルダー片52Aの円弧胴部521aと他方のカップホルダー片52Aの円弧胴部521aとの間に位置している。したがって、互いに対向する一対のカップホルダー片52Aは、コーンホルダー部51の突出部512をその径方向外側から取り囲むように設けられている。
【0054】
各カップホルダー片52Aの円弧胴部521aは、金型用の僅かな抜き勾配を有している。円弧胴部521aの円弧の中心は、コーンホルダー部51の円筒中心線上に位置している。円弧胴部521aの内周面の円弧の曲率半径(厳密には円弧胴部521aの内周面における上端の円弧の曲率半径)は、例えば、カップ状容器C2のカップ胴部C2aの高さ方向の概ね中心近辺の所定の高さ位置におけるカップ胴部C2aの外径の半分に合わせた半径に設定されている。また、円弧胴部521aは、例えば、カップ状容器C2(詳しくはカップ胴部C2a)の全体の長さ(高さ)より短い全長(高さ)を有している。
【0055】
本実施形態では、容器ホルダー5は、中空円錐状容器C1の外周面における下端側部分をガイドする複数(図では6個)のガイド部55を有する(
図11参照)。複数のガイド部55は、コーンホルダー部51の内周面において周方向に互いに間隔をあけて形成されている。具体的には、複数のガイド部55は、コーンホルダー部51の内周面の下端側の部分において周方向に等間隔に配置され、それぞれコーンホルダー部51の内周面からコーンホルダー部51の中心に向かって突出している。また、各ガイド部55は板状に形成され、その下端がコーンホルダー底部511の上面に接続されている。さらに、各ガイド部55におけるコーンホルダー部51の内周面と反対側の縁部には、中空円錐状容器C1の外周面における下端側部分(詳しくはコーン下側胴部C1aの外周面)に当接可能な当接面55aを有している。当接面55aは、コーン下側胴部C1aのテーパー角度に応じた傾斜角度で傾斜するように形成されている。なお、
図9では、図の明確化のためガイド部55のうちの一部が省略されている。
【0056】
次に、容器ホルダー5による容器Cの保持について、中空円錐状容器C1及びカップ状容器C2のそれぞれの場合について説明する。
図12及び
図13は容器Cの保持状態を説明するための図であり、
図12は容器ホルダー5を含む部分斜視図であり、
図13は容器Cを保持した状態の容器ホルダー5を示した正面図である。なお、容器Cは、利用者等によって、前記下端位置にある昇降台6上の容器ホルダー5に挿入(載置)される。
図12では、昇降台6は前記下端位置にある。そして、
図13では、昇降台6は前記上端位置にあり、その時の容器ホルダー5及び容器Cが示されている。
【0057】
図12(a)及び
図13(a)に示すように、容器Cとして中空円錐状容器C1が用いられる場合には、容器ホルダー5は、コーンホルダー部51により中空円錐状容器C1を保持する。具体的には、中空円錐状容器C1の下側の一部(図ではコーン下側胴部C1aの大半)は、利用者等によって、コーンホルダー部51の上側開口を通じて、コーンホルダー部51内に挿入される。そして、中空円錐状容器C1は、その胴部(コーン下側胴部C1a)の外周面がコーンホルダー部51の上側開口の開口縁部(角部)に接触するところまで、コーンホルダー部51内に挿入される。この時、中空円錐状容器C1の下端側の部分はコーンホルダー底部511に開口された孔511aを貫通し、中空円錐状容器C1のコーン下側胴部C1aの胴部の外周面には、各ガイド部55の当接面55aが当接又は近接している。これにより、中空円錐状容器C1は、その下側の大半の部分がコーンホルダー部51内に受け入れられた状態で、コーンホルダー部51の上側開口の開口縁部(角部)により支持され、その結果、中空円錐状容器C1の胴部がコーンホルダー部51によって保持されるようになっている。また、この状態で、中空円錐状容器C1のコーン下側胴部C1aが安定するように複数のガイド部55によってガイドされている。
【0058】
図12(b)及び
図13(b)に示すように、容器Cとしてカップ状容器C2が用いられる場合には、容器ホルダー5は、カップホルダー部52によりカップ状容器C2を保持する。具体的には、カップ状容器C2の下側の一部は、利用者等によって、カップホルダー部52内、つまり、一対のカップホルダー片52Aの内側の領域内に挿入される。そして、カップ状容器C2は、そのカップ胴部C2aの外周面がカップホルダー胴部521(円弧状胴部521a)の上端部における内周面側の角部に接触するところまで、カップホルダー部52内に挿入される。この時、カップ状容器C2のカップ底部C2bの下面には、コーンホルダー部51の突出部512の上端(上端面)が当接又は近接している。これにより、カップ状容器C2は、その下側の部分がカップホルダー部52内に受け入れられた状態で、カップホルダー胴部521の上端部における内周面側の角部により支持され、その結果、カップ状容器C2がカップホルダー部52によって保持されるようになっている。また、この状態で、カップ底部C2bの下面に、コーンホルダー部51の突出部512の上端(上端面)が当接又は近接するようになっているため、カップ状容器C2がより安定して保持される。突出部512の上端がカップ底部C2bの下面に当接する場合は、カップ状容器C2における容器ホルダー5により保持される位置(部位)、つまり、被保持部は、カップ胴部C2a及びカップ底部C2bとなる。また、本実施形態では、容器ホルダー5内に保持された状態で、カップ胴部C2aの下端部(いわゆる糸尻部)とカップホルダー底部522の上面との間には、隙間が空いている。但し、容器ホルダー5内に保持された状態で、カップ胴部C2aの下端部が、カップホルダー底部522の上面に接触していてもよい。この場合、カップ胴部C2aの下端部も、カップ状容器C2における容器ホルダー5により保持される位置(部位)となる。また、カップ状容器C2における容器ホルダー5により保持される位置(部位)は、カップ胴部C2a、カップ底部C2b及びカップ胴部C2aの下端部(換言するとカップ底部周縁部)のうちの少なくとも一箇所であればよい。
【0059】
ここで、前述したように、本実施形態では、昇降台6の前記上端位置が容器Cの種別に関係なく同じ位置に設定されている。そして、本実施形態では、容器ホルダー5の上端からの容器Cの突出長Lは、中空円錐状容器C1の場合とカップ状容器C2の場合とで、同程度になるように、コーンホルダー部51及びカップホルダー部52が形成されている。したがって、容器ホルダー5が前記上端位置にあるときに、中空円錐状容器C1の上端のベース部1の上面からの高さ位置と、カップ状容器C2の上端のベース部1の上面からの高さ位置は、同程度になっている。これにより、中空円錐状容器C1の場合とカップ状容器C2の場合のいずれの場合においても、同等の高さ位置でソフトアイスクリームを容器C内に充填させることができる。なお、本実施形態では、
図13に示したように、カップ状容器C2の突出長Lが、中空円錐状容器C1の突出長Lよりも僅かに長いが、これに限らず、僅かに短くてもよいし、中空円錐状容器C1の突出長Lと一致させてもよい。また、昇降台6の前記上端位置が、容器Cの種別毎に固定的に設定されてもよいし、容器Cの種別毎に変更可能に構成されてもよい。
【0060】
次に、本実施形態における半固形食品押出装置100の概略の動作について説明する。
図14は半固形食品押出装置100の動作を説明するための概念図である。なお、
図14では、容器Cとして中空円錐状容器C1が選択された場合で説明するが、カップ状容器C2が選択された場合であっても、半固形食品押出装置100は同一の動作をする。
【0061】
図14(a)に示すように、待機状態において、昇降台6は前記下端位置に位置している。この下端位置において、二つのスリット部54のうちの一方が前方に向かって開口している。この状態で、利用者によって、中空円錐状容器C1が容器ホルダー5に挿入され、容器ホルダー5は、挿入された中空円錐状容器C1を
図12(a)及び
図13(a)に示すように保持する。この挿入の際に、利用者は、中空円錐状容器C1を容器ホルダー5の真上位置からコーンホルダー部51内に向かって真下に挿入させてもよいし、中空円錐状容器C1の下端側の部分(コーン下側胴部C1a)を前方のスリット部54内を通過させた後、真下に移動させることでコーンホルダー部51内に挿入させてもよい。
【0062】
次に、動作開始スイッチ8が押下されると、昇降用モータM2及び回転用モータM3が同期して作動する。そして、昇降台6は所定の上昇速度で上昇し始めるとともに、容器ホルダー5が所定の回転速度で回転し始める。昇降台6は前記下端位置(
図14(a)参照)から前記上端位置(
図14(b)参照)まで上昇し、前記上端位置で昇降用モータM2及び回転用モータM3が停止する。この上端位置において、昇降台6は、所定時間(例えば数秒)の間、停止する。そして、例えば、昇降台6が前記上端位置に到達すると、押圧用モータM1が作動し、押圧装置4(
図3参照、
図14では図示省略)による専用容器Pの押圧動作が開始される。例えば、昇降台6の前記上端位置での停止中に、ソフトアイスクリームが押出口3aから押し出され始め、中空円錐状容器C1内へのソフトアイスクリームの充填が開始される。
【0063】
そして、前記上端位置での昇降台6の停止開始からの時間が前記所定時間に達すると、昇降用モータM2及び回転用モータM3が上昇時と反対方向に同期して作動する。このとき、昇降台6は比較的に低速度に設定された所定の第1下降速度で下降し始めるとともに、容器ホルダー5は比較的に低速度に設定された所定の第1回転速度で回転し始める。この低速の下降及び回転の動作中においても、押圧用モータM1は継続して作動している。その結果、中空円錐状容器C1内にソフトアイスクリームが渦巻状に盛り付けられる(
図14(c)参照)。
【0064】
昇降台6が前記上端位置から前記中間位置(
図14(c)参照)に到達すると、押圧用モータM1が停止するとともに、昇降用モータM2及び回転用モータM3が一旦停止する。そして、その直後に、昇降用モータM2及び回転用モータM3が同期して高速回転で作動し、昇降台6は前記第1下降速度よりも高速の所定の第2下降速度で下降し始めるとともに、容器ホルダー5は前記第1回転速度よりも高速の所定の第2回転速度で回転し始める。このように高速で下降及び回転することにより、中空円錐状容器C1に渦巻状に盛り付けられたソフトアイスクリームの先端の角部が見栄えよく形成される。そして、昇降台6が前記下端位置に到達すると、昇降用モータM2及び回転用モータM3が停止する。
【0065】
そして、利用者は、前記下端位置の昇降台6上に容器ホルダー5から中空円錐状容器C1を把持して、ソフトアイスクリームを中空円錐状容器C1と一緒に顧客等に提供する。このとき、利用者は、中空円錐状容器C1を、例えば、コーン下側胴部C1aの下端部がスリット部54における第1スリット部54aのU字状の開口縁の下端部よりも上方に位置するところまで真上に持ち上げる。その後、利用者は、中空円錐状容器C1を、手前(利用者側)に引き寄せることにより前方のスリット部54を通過させる。これにより、利用者は、中空円錐状容器C1の全体を容器ホルダー5の上端よりも上方に持ち上げることなく、中空円錐状容器C1を容易に容器ホルダー5から取り出すことができる。
【0066】
本実施形態によれば、押出口3aの下方に配置された容器ホルダー5によって、上面開口の容器C(C1、C2)を受け入れて保持可能である。そして、容器Cが例えば中空円錐状容器C1である場合には、容器ホルダー5の円筒状に形成されたコーンホルダー部51によって、中空円錐状容器C1を受け入れて保持することができ、容器Cが中空円錐状容器C1より大径の例えばカップ状容器C2である場合には、容器ホルダー5のコーンホルダー部51の上端側の部分の周囲に設けられたカップホルダー部52によって、カップ状容器C2を受け入れて保持することができる。これにより、例えば、顧客等によって中空円錐状容器C1及びカップ状容器C2のいずれが選択されても、容器ホルダー5によって、いずれの容器(C1、C2)も押出口3aの下方で保持させることができ、その結果、利用者(店員等)が手で容器(C1、C2)を把持して待機させる必要がなくなる。
【0067】
このようにして、例えば中空円錐状容器C1及びカップ状容器C2のいずれが選択されても、利用者が容器C(C1、C2)を押出口3aの下方位置に待機させることなく、容器C(C1、C2)に半固形食品(ソフトアイスクリーム)を充填可能な、半固形食品押出装置100を提供することができる。
【0068】
本実施形態では、カップホルダー部52は、コーンホルダー部51の径方向外側に位置するカップホルダー胴部521と、カップホルダー胴部521の下端とコーンホルダー部51の外周面との間を接続するカップホルダー底部522とを有している。これにより、カップ状容器C2の保持構造がコーンホルダー部51の上端側の部分の周囲に簡素な構造で形成される。
【0069】
本実施形態では、コーンホルダー部51は、カップホルダー部52のカップホルダー底部522よりも上方に突出した突出部512を有している。これにより、例えば、カップ底部C2bの下面に、突出部512の上端を当接又は近接させるようにすることができるため、カップ状容器C2がより安定して保持される。
【0070】
本実施形態では、容器ホルダー5はスリット部54を有している。これにより、特に、中空円錐状容器C1が容器ホルダー5から容易に取り出されるようになる。
【0071】
本実施形態では、容器ホルダー5は、中空円錐状容器C1の外周面における下端側部分をガイドする複数のガイド部55を有する。これにより、中空円錐状容器C1の保持がより安定化する。
【0072】
なお、本実施形態では、コーンホルダー部51は突出部512を有し、カップホルダー部52のカップホルダー底部522を貫通するように形成されているものとしたが、これに限らず、突出部512を有さなくてもよい。この場合、コーンホルダー部51の上端がカップホルダー底部522の下面に接続される。
【0073】
本実施形態では、二つのスリット部54が設けられるものとしたが、これに限らず、一つでも三つ以上でもよい。また、スリット部54は設けなくてもよい。この場合、図示を省略するが、コーンホルダー部51は、切り欠きの無い円筒状にされる。そして、カップホルダー部52のカップホルダー胴部521は一つの円筒状に形成され、カップホルダー底部522は円環状の板として形成される。また、この場合、容器ホルダー5は、コーンホルダー部51とカップホルダー部52のカップホルダー胴部521とからなる二重の円筒部を有している。また、容器ホルダー5はガイド部55を有さなくてもよい。また、コーンホルダー部51及びカップホルダー部52のカップホルダー胴部521は、円筒状に限らず、多角形状の筒状に形成されてもよい。
【0074】
また、中空円錐状容器C1は可食容器であるものとしたが、これに限らず、例えば、プラスチック材等からなる非可食容器であってもよい。また、カップ状容器C2は可食容器であってもよい。また、コーンホルダー部51は中空円錐状容器C1に限らず、中空円錐台状容器を受け入れて保持することもできる。つまり、容器Cは、二種類に限らず、コーンホルダー部51やカップホルダー部52が受け入れて保持可能であれば、三種類以上であってもよい。例えば、コーンホルダー部51は、中空円錐状容器C1や中空円錐台状容器に限らず、例えば、前記第1の径相当の径のカップ状容器を受け入れて保持することができる。したがって、コーンホルダー部51が小サイズのカップ状容器を保持し、カップホルダー部52が大サイズのカップ状容器を保持することもできる。同様に、カップホルダー部52は、カップ状容器C2に限らず、例えば、前記第2の径相当の径の中空円錐台状容器を受け入れて保持することができる。つまり、容器ホルダー5は、同形状のサイズ違いの容器を選択的に保持することもできる。なお、本明細書において、「円錐状」とは、円錐先端が尖った形状に加えて、円錐先端が丸められた形状や円錐先端が平坦に形成された形状も含む。また、「円錐台状」には、底が球形に形成された形状や底が多角形に形成された形状も含む。
【0075】
半固形食品はソフトアイスクリームであるものとしたが、これに限定されるものではなく、流動性を有した食品であればよい。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
3a…押出口、5…容器ホルダー、51…コーンホルダー部(第1のホルダー部)、512…突出部、52…カップホルダー部(第2のホルダー部)、521…カップホルダー胴部(ホルダー胴部)、522…カップホルダー底部(ホルダー底部)、54…スリット部、55…ガイド部、100…半固形食品押出装置、C…容器、C1…中空円錐状容器(第1の胴部を含む容器)、C2…カップ状容器(第2の胴部を含む容器)