(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】車両用灯具用光源ユニット及び車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 45/47 20180101AFI20240918BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240918BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20240918BHJP
F21V 29/508 20150101ALI20240918BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20240918BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20240918BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240918BHJP
【FI】
F21S45/47
F21S43/14
F21V29/76
F21V29/508 100
F21W103:00
F21W103:35
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020193423
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】阿野 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】中上 智朗
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-098089(JP,A)
【文献】特表2020-515068(JP,A)
【文献】特開2014-082147(JP,A)
【文献】特開2018-181783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 45/47
F21S 43/14
F21V 29/76
F21V 29/508
F21W 103/00
F21W 103/35
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、前記発光素子を駆動する駆動回路とが設けられた回路基板と、
前記回路基板が取り付けられる基板取付部を介して前記発光素子が発する熱を外部へと放熱させるヒートシンクとを備え、
前記回路基板は、
絶縁性樹脂基板と、少なくとも前記発光素子と対向する位置の一部が
前記絶縁性樹脂基板よりも熱伝導率の高い材料からなる絶縁性の伝熱部材
とにより構成され
、
前記絶縁性樹脂基板の一面に配置された第1の配線パターンの少なくとも一部が、前記伝熱部材と平面視で重なる領域の内側に位置して、前記発光素子と電気的に接続されていることを特徴とする車両用灯具用光源ユニット。
【請求項2】
前記伝熱部材は、窒化アルミニウムからなることを特徴とする請求項
1に記載の車両用灯具用光源ユニット。
【請求項3】
前記伝熱部材は、前記絶縁性樹脂基板の一部を除去した位置に配置されていることを特徴とする請求項
1又は
2に記載の車両用灯具用光源ユニット。
【請求項4】
前記伝熱部材は、前記絶縁性樹脂基板の一部を開口した開口部の内側に配置され、
前記伝熱部材と前記開口部との間には、絶縁性の接着層が設けられていることを特徴とする請求項
3に記載の車両用灯具用光源ユニット。
【請求項5】
前記回路基板は、前記絶縁性樹脂基板の一面に配置されて、前記駆動回路を構成する電子部品と電気的に接続される第2の配線パターンと、前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンとの間を連結する連結パターンとを有し、
前記連結パターンは、前記第1の配線パターン及び前記第2の配線パターンよりも幅狭に形成されていることを特徴とする請求項
1~4の何れか一項に記載の車両用灯具用光源ユニット。
【請求項6】
前記回路基板は、前記絶縁性樹脂基板を貫通した状態で配置されて、前記第2の配線パターンと熱的に接続される複数のスルーホールと、
前記絶縁性樹脂基板の他面に配置されて、前記複数のスルーホールと熱的に接続される伝熱パターンとを有することを特徴とする請求項
5に記載の車両用灯具用光源ユニット。
【請求項7】
前記複数のスルーホールは、前記駆動回路を構成する電子部品が配置された位置を挟んで前記発光素子が位置する側とは離間する側において相対的に多く配置されていることを特徴とする請求項
6に記載の車両用灯具用光源ユニット。
【請求項8】
前記発光素子は、前記伝熱部材と平面視で重なる領域の内側に配置され、
前記駆動回路を構成する電子部品は、前記伝熱部材と平面視で重なる領域の外側に配置されていることを特徴とする請求項1~
7の何れか一項に記載の車両用灯具用光源ユニット。
【請求項9】
前記回路基板は、熱伝導性接着剤を介して前記基板取付部に取り付けられていることを特徴とする請求項1~
8の何れか一項に記載の車両用灯具用光源ユニット。
【請求項10】
前記ヒートシンクは、前記基板取付部とは反対側から突出された複数の放熱フィンを有することを特徴とする請求項1~
9の何れか一項に記載の車両用灯具用光源ユニット。
【請求項11】
前記ヒートシンクと、前記回路基板とリード端子を介して電気的に接続されるコネクタ部とが設けられたソケット本体を備えることを特徴とする請求項1~
10の何れか一項に記載の車両用灯具用光源ユニット。
【請求項12】
請求項1~
11の何れか一項に記載の車両用灯具用光源ユニットを備えることを特徴とする車両用灯具。
【請求項13】
前記車両用灯具用光源ユニットは、灯体に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項
12に記載の車両用灯具。
【請求項14】
発光素子と、前記発光素子を駆動する駆動回路とが設けられた回路基板と、
前記回路基板が取り付けられる基板取付部を介して前記発光素子が発する熱を外部へと放熱させるヒートシンクとを備え、
前記回路基板は、少なくとも前記発光素子と対向する位置の一部が絶縁性の伝熱部材により構成されると共に、熱伝導性接着剤を介して前記基板取付部に取り付けられていることを特徴とする車両用灯具用光源ユニット。
【請求項15】
前記伝熱部材は、前記回路基板を構成する絶縁性樹脂基板よりも熱伝導率の高い材料からなり、
前記絶縁性樹脂基板の一部を開口した開口部の内側に前記伝熱部材が配置され、
前記伝熱部材と前記開口部との間には、絶縁性の接着層が設けられていることを特徴とする請求項14に記載の車両用灯具用光源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具用光源ユニット及び車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両用灯具では、発光ダイオード(LED)の高輝度化や低コスト化が進むに従って、光源にLEDなどの発光素子を採用したものが徐々に増えてきている。LEDは、長寿命で消費電力が少ないといったメリットがある。一方、高温になると発光効率の低下や寿命の短縮化を招くことから、ヒートシンクを用いてLEDが発する熱を外部に効率良く放熱させる必要がある。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、LEDと、このLEDを駆動する駆動回路とが実装された回路基板をヒートシンクに取り付けて、このヒートシンクを回路基板と電気的に接続されたコネクタ部と一体に取り付けたカプラー付ソケットを、灯体の背面側に設けられた取付孔に着脱自在に取り付ける光源ユニットが提案されている。このような光源ユニットは、例えば、赤色発光する車両のテールランプなどの交換(取替)可能な光源として好適に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した光源ユニットでは、LEDや駆動回路を構成する電子部品を回路基板の同一面上に実装しているため、LEDや電子部品が発する熱をヒートシンクを介して外部へと効率良く放熱させる必要がある。特に、この光源ユニットをブレーキランプなどの高輝度ランプに適用する場合、LEDの発光輝度を維持する上で、高い放熱性能が求められる。
【0006】
また、光源ユニットでは、上述したヒートシンクによりLEDや電子部品が発する熱を外部へと効率良く放熱させるだけでなく、回路基板の同一面上に実装された電子部品からの煽り熱によって、LEDの温度が上昇することを防ぐ必要がある。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、放熱性能を高めることを可能とした車両用灯具用光源ユニット、並びに、そのような車両用灯具用光源ユニットを備えた車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 発光素子と、前記発光素子を駆動する駆動回路とが設けられた回路基板と、
前記回路基板が取り付けられる基板取付部を介して前記発光素子が発する熱を外部へと放熱させるヒートシンクとを備え、
前記回路基板は、絶縁性樹脂基板と、少なくとも前記発光素子と対向する位置の一部が前記絶縁性樹脂基板よりも熱伝導率の高い材料からなる絶縁性の伝熱部材とにより構成され、
前記絶縁性樹脂基板の一面に配置された第1の配線パターンの少なくとも一部が、前記伝熱部材と平面視で重なる領域の内側に位置して、前記発光素子と電気的に接続されていることを特徴とする車両用灯具用光源ユニット。
〔2〕 前記伝熱部材は、窒化アルミニウムからなることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具用光源ユニット。
〔3〕 前記伝熱部材は、前記絶縁性樹脂基板の一部を除去した位置に配置されていることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具用光源ユニット。
〔4〕 前記伝熱部材は、前記絶縁性樹脂基板の一部を開口した開口部の内側に配置され、
前記伝熱部材と前記開口部との間には、絶縁性の接着層が設けられていることを特徴とする前記〔3〕に記載の車両用灯具用光源ユニット。
〔5〕 前記回路基板は、前記絶縁性樹脂基板の一面に配置されて、前記駆動回路を電子部品と電気的に接続される第2の配線パターンと、前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンとの間を連結する連結パターンとを有し、
前記連結パターンは、前記第1の配線パターン及び前記第2の配線パターンよりも幅狭に形成されていることを特徴とする前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の車両用灯具用光源ユニット。
〔6〕 前記回路基板は、前記絶縁性樹脂基板を貫通した状態で配置されて、前記第2の配線パターンと熱的に接続される複数のスルーホールと、
前記絶縁性樹脂基板の他面に配置されて、前記複数のスルーホールと熱的に接続される伝熱パターンとを有することを特徴とする前記〔5〕に記載の車両用灯具用光源ユニット。
〔7〕 前記複数のスルーホールは、前記駆動回路を構成する電子部品が配置された位置を挟んで前記発光素子が位置する側とは離間する側において相対的に多く配置されていることを特徴とする前記〔6〕に記載の車両用灯具用光源ユニット。
〔8〕 前記発光素子は、前記伝熱部材と平面視で重なる領域の内側に配置され、
前記駆動回路を構成する電子部品は、前記伝熱部材と平面視で重なる領域の外側に配置されていることを特徴とする前記〔1〕~〔7〕の何れか一項に記載の車両用灯具用光源ユニット。
〔9〕 前記回路基板は、熱伝導性接着剤を介して前記基板取付部に取り付けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔8〕の何れか一項に記載の車両用灯具用光源ユニット。
〔10〕 前記ヒートシンクは、前記基板取付部とは反対側から突出された複数の放熱フィンを有することを特徴とする前記〔1〕~〔9〕の何れか一項に記載の車両用灯具用光源ユニット。
〔11〕 前記ヒートシンクと、前記回路基板とリード端子を介して電気的に接続されるコネクタ部とが設けられたソケット本体を備えることを特徴とする前記〔1〕~〔10〕の何れか一項に記載の車両用灯具用光源ユニット。
〔12〕 前記〔1〕~〔11〕の何れか一項に記載の車両用灯具用光源ユニットを備えることを特徴とする車両用灯具。
〔13〕 前記車両用灯具用光源ユニットは、灯体に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする前記〔12〕に記載の車両用灯具。
〔14〕 発光素子と、前記発光素子を駆動する駆動回路とが設けられた回路基板と、
前記回路基板が取り付けられる基板取付部を介して前記発光素子が発する熱を外部へと放熱させるヒートシンクとを備え、
前記回路基板は、少なくとも前記発光素子と対向する位置の一部が絶縁性の伝熱部材により構成されると共に、熱伝導性接着剤を介して前記基板取付部に取り付けられていることを特徴とする車両用灯具用光源ユニット。
〔15〕 前記伝熱部材は、前記回路基板を構成する絶縁性樹脂基板よりも熱伝導率の高い材料からなり、
前記絶縁性樹脂基板の一部を開口した開口部の内側に前記伝熱部材が配置され、
前記伝熱部材と前記開口部との間には、絶縁性の接着層が設けられていることを特徴とする前記〔14〕に記載の車両用灯具用光源ユニット。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、放熱性能を高めることを可能とした車両用灯具用光源ユニット、並びに、そのような車両用灯具用光源ユニットを備えた車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具用光源ユニットを備えた車両用灯具の構成を示す断面図である。
【
図2】車両用灯具用光源ユニットの構成を示す斜視図である。
【
図3】車両用灯具用光源ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【
図4】車両用灯具用光源ユニットの構成を示す正面図である。
【
図5】
図4中に示す線分A-Aによる車両用灯具用光源ユニットの断面図である。
【
図6】
図5中に示すヒートシンクに基板取付部を介して回路基板が取り付けられた部分を拡大した断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らないものとする。
【0012】
本発明の一実施形態として、例えば
図1に示す車両用灯具用光源ユニット(以下、「光源ユニット」という。)1を備えた車両用灯具100について説明する。
なお、
図1は、光源ユニット1を備えた車両用灯具100の構成を示す断面図である。
【0013】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を光源ユニット1(車両用灯具100)の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を光源ユニット1(車両用灯具100)の左右方向(幅方向)、Z軸方向を光源ユニット1(車両用灯具100)の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0014】
本実施形態の車両用灯具100は、例えば、車両(図示せず。)の後端側の両コーナー部において赤色発光するテールランプ兼ブレーキランプに本発明を適用したものである。また、本実施形態の光源ユニット1は、交換(取替)可能なLEDランプが搭載されたカプラー付ソケットである。
【0015】
なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具100(光源ユニット1)を正面(車両後方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。
【0016】
具体的に、この車両用灯具100は、
図1に示すように、正面(前面)が開口したハウジング101と、このハウジング101の開口を覆う透明なレンズカバー102とにより構成される灯体103の内側に、本実施形態の光源ユニット1を収容した構成となっている。
【0017】
光源ユニット1は、ハウジング101(灯体103)の背面(後面)側に設けられた取付孔101aから、その前面側を灯体103の内側に挿入した状態で、取付孔101aの周囲にリング状のパッキン(Oリング)104を介して着脱自在に取り付けることが可能となっている。
【0018】
以下、本実施形態の光源ユニット1の具体的な構成について、
図2~
図7を参照して説明する。
なお、
図2は、光源ユニット1の構成を示す斜視図である。
図3は、光源ユニット1の構成を示す分解斜視図である。
図4は、光源ユニット1の構成を示す正面図である。
図5は、
図4中に示す線分A-Aによる光源ユニット1の断面図である。
図6は、
図5中に示すヒートシンク5に基板取付部4を介して回路基板3が取り付けられた部分を拡大した断面模式図である。
図7は、回路基板3の構成を示す平面図である。
【0019】
本実施形態の光源ユニット1は、
図2~
図5に示すように、複数の発光素子2が設けられた回路基板3と、回路基板3が取り付けられる基板取付部4、発光素子2が発する熱を外部に放熱させるヒートシンク5、及び複数のリード端子6を介して回路基板3と電気的に接続されるコネクタ部7が設けられたソケット本体8とを概略備えている。
【0020】
回路基板3は、角部が丸みを帯びた矩形平板状のプリント配線基板(PWB)からなる。PWBには、例えばFR-4などを用いることができる。
【0021】
回路基板3の一面(前面)には、複数の発光素子2と、これら複数の発光素子2を駆動する駆動回路を構成する複数の電子部品9とが設けられている。
【0022】
複数の発光素子2は、赤色光(以下、光という。)を発するLEDからなる。また、LEDには、車両照明用の高出力タイプのものが使用されている。なお、本実施形態では、4つの発光素子2を用いている。これら4つの発光素子2は、回路基板3の前面側の略中央部に位置して、互いの中心となる位置(回路基板3の略中央部)から上下左右に放射状に離れた位置に等間隔に並んで配置(実装)されている。
【0023】
なお、発光素子2については、上述した4つ配置した構成に加えて、互いの中心となる位置に1つ追加することによって、5つ配置した構成とすることも可能である。
【0024】
回路基板3の前面側には、複数の発光素子2が発する光を前方に向けて反射する枠体10が設けられている。枠体10は、円筒状の白色部材からなり、複数の発光素子2の周囲を囲むように回路基板3の前面側に設けられている。
【0025】
枠体10の内側には、この枠体10の内側を封止する透明な封止樹脂11が設けられている。封止樹脂11の上面は、枠体10の外側に突出された状態で、凸面状に形成されている。なお、封止樹脂11の上面は、凸面状に限らず平面であってもよい。
【0026】
複数の電子部品9は、複数の発光素子2の周囲を囲む枠体10よりも外側に位置して、回路基板3の前面側に配置(実装)されている。駆動回路については、電子部品9として抵抗を用いた抵抗回路であっても、電子部品9としてICを用いたリニア回路であってもよい。
【0027】
回路基板3の前面には、複数の発光素子2を互いに直列又は並列(本実施形態では直列)に接続するための配線や、発光素子2と電子部品9との間を電気的に接続するための配線、電子部品9と複数のリード端子6との間を電気的に接続するための配線を形成する複数の配線パターン12と、配線パターン12を覆う保護層13とが設けられている。配線パターン12は、例えば銅(Cu)や金(Au)などの金属箔(本実施形態では銅箔)からなる。保護層13は、レジストなどの絶縁樹脂材料からなる。
【0028】
回路基板3の前面側には、発光素子2と配線パターン12との間を電気的に接続するための複数のボンディングワイヤー14が設けられている。ボンディングワイヤー14は、例えば金線からなる。
【0029】
回路基板3には、この回路基板3を厚み方向に貫通する複数の孔部15が設けられている。本実施形態では、幅方向に平行に並ぶ3つのリード端子6に対応した位置に、3つの孔部15が幅方向に並んで設けられている。また、孔部15の周囲には、上述した配線パターン12の一部により形成されるランド部(図示せず。)が設けられている。
【0030】
光源ユニット1は、ヒートシンク5とソケット本体8とをインサート成形することによって、これらヒートシンク5とソケット本体8とが一体化された構造を有している。なお、光源ユニット1は、別々に形成されたヒートシンク5とソケット本体8とをネジ止め等により一体化した構造であってもよい。
【0031】
ヒートシンク5は、例えばアルミニウム(Al)や鉄(Fe)、銅(Cu)などの熱電導性の高い金属材料からなる。ソケット本体8は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)などの絶縁樹脂材料からなる。また、ソケット本体8は、例えば、炭素やセラミック、金属などの熱伝導率の高いフィラーを樹脂に添加したものを用いてもよい。
【0032】
本実施形態において、ヒートシンク5は、表面に黒色のアルマイト処理が施されたAlからなる。ヒートシンク5は、略円板状のベース部5aと、ベース部5aの前面側の略中央部から断面略方形状に突出された突起部5bと、ベース部5aの後面側から幅方向に並んだ状態で縦板状に突出された複数の放熱フィン5cとを有している。
【0033】
一方、ソケット本体8は、略円板状のベース部8aと、ベース部8aの前面側の略中央部から前方に向かって突出された断面略円形状の筒壁部8bと、筒壁部8bの内側及びベース部8aを前後方向に貫通する断面略方形状の貫通孔8cとを有している。
【0034】
また、筒壁部8bの外周面には、上記取付孔101aに対する回り止め及び抜け止めとなる複数の爪部8dが周方向に並んで設けられている。パッキン104は、筒壁部8bを貫通させた状態で、ベース部8aに接触した状態で取り付けられる。
【0035】
ソケット本体8は、貫通孔8cよりも下方に位置して筒壁部8bの内側及びベース部8aを前後方向に貫通する貫通孔8eと、ベース部8aの背面側の貫通孔8eの周囲から後方に向かって突出された略矩形筒状のソケット部8fとを有している。
【0036】
コネクタ部7は、複数のリード端子6を有している。各リード端子6は、コネクタ部7の本体部7aを前後方向に貫通した状態で、このコネクタ部7に一体に取り付けられている。コネクタ部7は、ソケット部8fの内側にリード端子6が位置するように、貫通孔8eの内側に本体部7aを嵌め付けることによって構成されている。
【0037】
基板取付部4は、筒壁部8bの内側の前面に設けられている。ヒートシンク5とソケット本体8とは、貫通孔8cに突起部5bを嵌合し、互いのベース部5a,8aを突き合わせた状態で一体化されている。また、突起部5bの先端と貫通孔8cとの間には、その間を気密に封止するシール部材16が配置されている。これにより、基板取付部4では、貫通孔8cから露出した突起部5bの先端が筒壁部8bの内側の前面と連続した平坦面を形成している。
【0038】
回路基板3は、基板取付部4の前面に熱伝導性接着剤17を介して取り付けられている。これにより、回路基板3は、熱伝導性接着剤17及び基板取付部4を介してヒートシンク5と熱的に接続された状態となっている。一方、回路基板3は、この状態において、ヒートシンク5とは電気的に絶縁されている。
【0039】
複数のリード端子6は、それぞれの孔部15を貫通した状態で、各孔部15の周囲にあるランド部とはんだ接合により固定されている。これにより、複数のリード端子6は、回路基板3の配線パターン12と電気的に接続されている。
【0040】
なお、本実施形態では、上述した熱伝導性接着剤17を介して基板取付部4の前面に回路基板3が取り付けられた構成となっているが、基板取付部4の前面に熱伝導グリスを介して回路基板3を配置し、これら回路基板3と基板取付部4との間に固定部を別途設けた構成としてもよい。
【0041】
ところで、本実施形態の光源ユニット1では、
図6及び
図7に示すように、回路基板3の少なくとも発光素子2と対向する位置の一部が、絶縁性の伝熱部材20により構成されている。
【0042】
伝熱部材20は、例えば窒化アルミニウム(AlN)や窒化ケイ素(SiN)、酸化アルミニウム(Al2O3)などの回路基板3を構成する絶縁性樹脂基板(本実施形態ではFR-4)よりも熱伝導率の高い絶縁材料からなる。
【0043】
その中でも、伝熱部材20は、上述したAl(236W/m・K)からなるヒートシンク5よりも熱伝導率の高いAlN(200W/m・K程度)からなることが好ましい。なお、回路基板3を構成するFR-4の熱伝導率は、0.5W/m・K程度である。また、AlNの中には、熱伝導率が170W/m・K程度のものもある。
【0044】
伝熱部材20は、絶縁性樹脂基板30の一部を除去した位置に配置されている。具体的に、この伝熱部材20は、絶縁性樹脂基板30と同じ厚みで矩形平板状に形成されている。一方、絶縁性樹脂基板30には、この伝熱部材20に対応した形状の開口部30aが設けられている。伝熱部材20は、この開口部30aの内側に配置されている。
【0045】
また、伝熱部材20と開口部30aとの間には、その間に埋め込まれた絶縁性の接着層31が設けられている。接着層31には、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などを用いることができる。
【0046】
これより、回路基板3では、伝熱部材20が絶縁性樹脂基板30と一体化されている。また、伝熱部材20は、絶縁性樹脂基板30と面一に形成されている。
【0047】
なお、伝熱部材20は、上述した絶縁性樹脂基板30の一部を開口した開口部30aの内側に配置した構成に限らず、例えば、絶縁性樹脂基板30の一部を凹ませた凹部の内側に配置した構成としてもよい。また、伝熱部材20は、上述した接着層31を介して絶縁性樹脂基板30に固定された構成に限らず、開口部30aや凹部の内側に嵌め込まれた構成であってよい。
【0048】
複数の発光素子2は、回路基板3の前面において、伝熱部材20と平面視で重なる領域の内側に配置されている。すなわち、これら複数の発光素子2は、伝熱部材20と対向して配置されている。
【0049】
一方、複数の電子部品9は、回路基板3の前面において、伝熱部材20と平面視で重なる領域の外側、且つ、絶縁性樹脂基板30と平面視で重なる領域の内側に配置されている。すなわち、これら複数の電子部品9は、絶縁性樹脂基板30と対向して配置されている。
【0050】
本実施形態では、複数の発光素子2の互いの中心となる位置と、伝熱部材20の中心位置とが平面視で一致している。また、ヒートシンク5の中心軸と伝熱部材20の中心軸とが互いに一致している。
【0051】
これにより、本実施形態の光源ユニット1では、発光素子2が発する熱W1を伝熱部材20を介してヒートシンク5側へと効率良く伝熱(放熱)させることが可能である。
【0052】
また、本実施形態の光源ユニット1では、熱伝導率の高い伝熱部材20の上に発光素子2を配置し、熱伝導率の低い絶縁性樹脂基板30の上に電子部品9を配置することで、電子部品9側から発光素子2側に伝わる煽り熱を抑制することが可能である。
【0053】
さらに、本実施形態の光源ユニット1では、電子部品9が発する熱W2を接着層31により伝熱部材20側へと伝わり難くすることが可能である。
【0054】
したがって、本実施形態の光源ユニット1では、電子部品9側から発光素子2側に伝わる煽り熱を抑制しながら、発光素子2の温度が上昇することを防ぐことが可能である。
【0055】
また、回路基板3は、上述した複数の配線パターン12のうち、発光素子2と電気的に接続される第1の配線パターン12aを有している。第1の配線パターン12aの少なくとも一部は、伝熱部材20と平面視で重なる領域Eの内側に位置している。すなわち、この第1の配線パターン12aは、平面視で伝熱部材20と絶縁性樹脂基板30との間を跨がるように配置されている。
【0056】
これにより、本実施形態の光源ユニット1では、発光素子2が発する熱W1を第1の配線パターン12aから伝熱部材20を介してヒートシンク5側へと効率良く伝熱(放熱)させることが可能である。また、第1の配線パターン12aにより伝熱部材20と絶縁性樹脂基板30との間の固定強度を高めることが可能である。
【0057】
また、回路基板3は、上述した複数の配線パターン12のうち、電子部品9と電気的に接続される第2の配線パターン12bと、第1の配線パターン12aと第2の配線パターン12bとの間を連結する連結パターン12cとを有している。
【0058】
第2の配線パターン12bは、第1の配線パターン12aよりも外側に配置されている。連結パターン12cは、第1の配線パターン12aと第2の配線パターン12bとの間で、これら第1の配線パターン12a及び第2の配線パターン12bよりも幅狭に形成されている。
【0059】
これにより、本実施形態の光源ユニット1では、電子部品9が発する熱W2を連結パターン12cにより第2の配線パターン12b側から第1の配線パターン12a側へと伝わり難くすることが可能である。したがって、本実施形態の光源ユニット1では、電子部品9側から発光素子2側に伝わる煽り熱を抑制しながら、発光素子2の温度が上昇することを防ぐことが可能である。
【0060】
また、回路基板3は、絶縁性樹脂基板30を厚み方向に貫通する複数のスルーホール32と、絶縁性樹脂基板30の他面(後面)に配置された伝熱パターン12dとを有している。
【0061】
複数のスルーホール32は、絶縁性樹脂基板30を厚み方向に貫通する孔部の内側に、例えば銅(Cu)や金(Au)などのめっきを施すことによって形成されている。複数のスルーホール32は、第2の配線パターン12bと平面視で重なる領域の内側に位置することによって、第2の配線パターン12bと熱的に接続されている。
【0062】
伝熱パターン12dは、ベタの配線パターン(本実施形態では銅箔パターン)であり、絶縁性樹脂基板30(回路基板3)の後面のうち、電気的な接続を行う配線パターンが配置された領域を除く全面に亘って設けられている。伝熱パターン12dは、複数のスルーホール32と熱的に接続されている。
【0063】
また、伝熱パターン12dは、電気的な接続を行う配線パターンを構成していないため、伝熱部材20の面上に配置されていてもよい。これにより、伝熱パターン12dと伝熱部材20とを熱的に接続することが可能である。
【0064】
絶縁性樹脂基板30(回路基板3)の後面には、伝熱パターン12dを覆う保護層13が設けられている。この保護層13は、伝熱部材20と平面視で重なる領域Eを除いて設けられている。
【0065】
これにより、本実施形態の光源ユニット1では、電子部品9が発する熱W2を第2の配線パターン12bから複数のスルーホール32を介して伝熱パターン12dへと伝熱(放熱)させながら、ヒートシンク5側へと効率良く伝熱(放熱)させることが可能である。
【0066】
また、本実施形態の光源ユニット1では、伝熱部材20と伝熱パターン12dとの間の熱伝導性も高めることができ、発光素子2が発する熱W1を伝熱部材20及び伝熱パターン12dを介してヒートシンク5側へと効率良く伝熱(放熱)させることが可能である。さらに、伝熱パターン12dにより伝熱部材20と絶縁性樹脂基板30との間の固定強度を高めることが可能である。
【0067】
また、複数のスルーホール32は、電子部品9が配置された位置を挟んで発光素子2が位置する側とは離間する側において相対的に多く配置されている。すなわち、これら複数のスルーホール32は、電子部品9を挟んで発光素子2が位置する側の第2の配線パターン12bと、それとは反対側に位置する発光素子2が位置する側との間で非対称に配置し、発光素子2が位置する側のスルーホール32の数を少なくしている。
【0068】
これにより、本実施形態の光源ユニット1では、電子部品9が発する熱W2を発光素子2が位置する側へと伝わり難くすることが可能である。したがって、本実施形態の光源ユニット1では、電子部品9側から発光素子2側に伝わる煽り熱を抑制しながら、発光素子2の温度が上昇することを防ぐことが可能である。
【0069】
なお、電子部品9については、絶縁性樹脂基板30(回路基板3)の後面の配置された構成とすることも可能である。その場合、上述した伝熱のためのスルーホール32や伝熱パターン12dを省略し、絶縁性樹脂基板30(回路基板3)の後面に第2の配線パターン12bを配置し、第1の配線パターン12aと第2の配線パターン12bとの間をスルーホール32を介して電気的に接続した構成とすればよい。
【0070】
以上のように、本実施形態の光源ユニット1では、上述した発光素子2や電子部品9が発する熱W1,W2をヒートシンク5を介して外部へと効率良く放熱することができ、その放熱性能を高めることが可能である。
【0071】
したがって、本実施形態の光源ユニット1を備えた車両用灯具100では、上述したテールランプ兼ブレーキランプのような高輝度ランプに適用した場合でも、高い放熱性能によって、発光素子2の発光輝度を維持することが可能である。
【0072】
また、本実施形態の光源ユニット1では、上述した回路基板3の少なくとも発光素子2と対向する位置の一部を絶縁性の伝熱部材20により構成することで、回路基板3(絶縁性樹脂基板30)の全体をAlNのような伝熱部材20とする構成よりも、その製造コストを低く抑えることが可能である。
【0073】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、上述したテールランプ兼ブレーキランプに本発明を適用した場合を例示したが、テールランプ兼ブレーキランプを構成する場合、上述した光源ユニット1の他にも、例えば、インナーレンズやアウターレンズ、リフレクタ、エクステンションなどの他の部材と組み合わせることが可能である。
【0074】
また、本発明が適用される車両用灯具については、上述したテールランプ兼ブレーキランプに限らず、例えば、車両用前照灯(ヘッドランプ)、車幅灯(ポジションランプ)、補助前照灯(サブヘッドランプ)、前部(後部)霧灯(フォグランプ)、昼間点灯用(DRL)ランプ、リッドランプ、テールランプ、ブレーキランプ(ストップランプ)、バックランプ、方向指示器(ウィンカーランプ)などの車両用灯具に対して本発明を幅広く適用することが可能である。
【0075】
また、本発明を適用した光源ユニットについては、上述したLED以外にも、例えばレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。また、発光素子が発する光の色については、上述した赤色光に限らず、白色光や橙色光など、その光源ユニットの用途に応じて適宜変更することも可能である。さらに、発光素子の数については、複数に限らず1つであってもよい。また、発光素子の配置についても適宜変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…光源ユニット(車両用灯具用光源ユニット) 2…発光素子 3…回路基板 4…基板取付部 5…ヒートシンク 6…リード端子 7…コネクタ部 8…ソケット本体 9…電子部品 10…枠体 11…封止樹脂 12…配線パターン 12a…第1の配線パターン 12b…第2の配線パターン 12c…連結パターン 12d…伝熱パターン 13…保護層 14…ボンディングワイヤー 15…孔部 16…シール部材 17…熱伝導性接着剤 20…伝熱部材 30…絶縁性樹脂基板 31…接着層 32…スルーホール 100…車両用灯具 101…ハウジング 102…レンズカバー 103…灯体 104…パッキン