特許 7556763 耐風補強部材

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-09-17

(45)【発行日】2024-09-26

(54)【発明の名称】耐風補強部材

(51)【国際特許分類】

   E06B 9/17 20060101AFI20240918BHJP

   E06B 9/58 20060101ALI20240918BHJP

【ＦＩ】

E06B9/17 T

E06B9/58 A

【請求項の数】 7

(21)【出願番号】P 2020194808

(22)【出願日】2020-11-25

(65)【公開番号】P2022083478

(43)【公開日】2022-06-06

【審査請求日】2023-10-26

(73)【特許権者】

【識別番号】307038540

【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社

(73)【特許権者】

【識別番号】591051988

【氏名又は名称】共栄プレス工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100103137

【弁理士】

【氏名又は名称】稲葉 滋

(74)【代理人】

【識別番号】100145838

【弁理士】

【氏名又は名称】畑添 隆人

(72)【発明者】

【氏名】香西 統太

(72)【発明者】

【氏名】岩階 章

(72)【発明者】

【氏名】宗和 寛司

【審査官】鈴木 智之

(56)【参考文献】

【文献】特開２００７－３１５０２２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００９－１９７４８２（ＪＰ，Ａ）

【文献】米国特許第０５６５７８０５（ＵＳ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｅ０６Ｂ ９／００

Ｅ０６Ｂ ９／０２

Ｅ０６Ｂ ９／０６－ ９／１８

Ｅ０６Ｂ ９／２４－ ９／３８８

Ｅ０６Ｂ ９／４０－ ９／５０

Ｅ０６Ｂ ９／５６－ ９／９２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

開口幅方向に延び、長さが調整可能な横材と、
前記横材の長さ方向両端に設けられ、ガイドレール溝部に差し込み可能な端部ロック部と、
を備え、
前記横材は、少なくとも、第１横材と、第１横材の長さ方向一端に設けられた第２横材と、を含み、
前記第２横材は、前記第１横材の中空部内でスライド移動可能であり、前記第２横材の先端側には、一方の端部ロック部が設けてあり、
前記端部ロック部の基端部は前記第２横材の断面形状よりも大きく、
前記横材は、前記第２横材を前記第１横材に対して所定深さまで挿入させた時に当該挿入を規制する外方当接手段を備えており、
前記第２横材を前記第１横材の中空部内に挿入させる方向にスライド移動させた時に、前記外方当接手段によって、前記端部ロック部の基端部と前記第１横材の長さ方向端縁との間に所定の隙間が形成されるようになっている、
シャッターの耐風補強部材。

【請求項2】

前記外方当接手段は、
前記第２横材の先端側に、前記端部ロック部の前記基端部から離間して設けた外方被当接部と、
前記第１横材の長さ方向の一端側に設けた外方当接部と、
からなる、請求項１に記載のシャッターの耐風補強部材。

【請求項3】

前記横材は、前記第２横材を前記第１横材から所定長引き出した時に当該引き出しを規制する内方当接手段を備えており、
前記第２横材を前記第１横材の中空部から引き出す方向にスライド移動させた時に、前記内方当接手段によって、前記第２横材が前記第１横材の中空部から外れることを規制している、
請求項１、２いずれか１項に記載のシャッターの耐風補強部材。

【請求項4】

前記内方当接手段は、
前記第２横材の基端側に設けた内方被当接部と、
前記第１横材に、前記外方当接部から離間した位置に設けた内方当接部と、
からなる、請求項３（請求項２の従属項に限る）に記載のシャッターの耐風補強部材。

【請求項5】

前記第１横材には、前面部の裏面に位置して、長さ方向に延びるポケット部が形成されており、前記ポケット部の底部には長さ方向に延びる開口が形成されており、
前記第２横材には、前記第１横材の中空部内に位置して、前記底部に近接ないし当接する前面部を備えており、
前記ポケット部には連結固定片が設けてあり、前記連結固定片は雌螺子部を備えており、前記第１横材の前記前面部から挿入した固定具を前記雌螺子部に締め込むことで、前記固定具の先端が前記開口から前記第２横材の前記前面部に当接して、前記第１横材と前記第２横材が固定され、前記固定具を緩めて前記固定具の先端が前記第２横材の前記前面部から離間することで、前記第１横材に対して前記第２横材がスライド移動可能となっており、
前記外方当接部は、前記連結固定片の部分から形成されており、
前記外方被当接部は、前記第２横材の前記前面部に前記開口に位置して突設されている、
請求項２に記載のシャッターの耐風補強部材。

【請求項6】

前記第２横材の基端側には、内方被当接部が設けてあり、
前記第１横材には、前記外方当接部から離間した位置に内方当接部が設けてあり、
前記第２横材を前記第１横材の中空部から引き出す方向にスライド移動させた時に、前記内方当接部が前記内方被当接部に当接することで、前記第２横材が前記第１横材の中空部から外れることを規制しており、
前記内方当接部及び前記外方当接部は、それぞれ、前記連結固定片の部分から形成されており、
前記内方被当接部及び前記外方被当接部は、前記第２横材の前記前面部に前記開口に位置して離間して突設されている、
請求項５に記載のシャッターの耐風補強部材。

【請求項7】

前記連結固定片は、前記雌螺子部が固定された板状部と、第１折曲片と、第２折曲片と、から断面視コ字形状を備えており、
前記連結固定片の前記板状部が前記ポケット部の底部に近接ないし当接しており、
前記第１折曲片の基端側部位が前記外方当接部となり、前記第２折曲片の基端側部位が前記内方当接部となっている、
請求項６に記載のシャッターの耐風補強部材。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、開口部全閉状態のシャッターに設けられる耐風補強部材に関するものである。

【背景技術】

【0002】

シャッターカーテンが建物開口部を閉鎖した開口部全閉状態において、シャッターカーテンの幅方向両端部は、建物開口部の左右のガイドレール内に受け入れられているが、シャッターカーテンに風圧が作用すると、シャッターカーテンが膨らんで、幅方向端部がガイドレールから抜け出てしまうおそれがある。

【0003】

開口部全閉状態において、シャッターカーテンの幅方向端部がガイドレールから抜け出してしまうことを防止する手段として、耐風フックが知られている。耐風フックは、一般に、所定の耐風性能が要求される重量シャッターに設けられ、いわゆる軽量シャッターでは、標準設備として耐風フックが要求される場合は殆どない。

【0004】

特許文献１には、閉鎖状態の開口部に取り付けられる撓み抑制部材（耐風補強部材）を備えたシャッターが開示されており、撓み抑制部材は、閉鎖状態のシャッターカーテンを厚さ方向から押圧するように付勢した状態で、両端側をガイドレールに対して着脱可能に係止可能となっている。具体的な態様では、２本の揺動部材を弾性部材で連結してなる撓み抑制部材が開示されているが、取付作業性において改良の余地がある。これに対して、２本の長尺部材から伸縮可能である横材を備えたシャッターの耐風補強部材も提案されている（特許文献２）。

【文献】特開２００６－２９９５２３

【文献】特許第３９１２７９４号

【発明の開示】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

本発明は、複数の長尺部材から伸縮可能である横材を備えたシャッターの耐風補強部材の取り扱い性を向上させることを目的とするものである。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明が採用した技術手段は、
開口幅方向に延び、長さが調整可能な横材と、
前記横材の長さ方向両端に設けられ、ガイドレール溝部に差し込み可能な端部ロック部と、
を備え、
前記横材は、少なくとも、第１横材と、第１横材の長さ方向一端に設けられた第２横材と、を含み、
前記第２横材は、前記第１横材の中空部内でスライド移動可能であり、前記第２横材の先端側には、一方の端部ロック部が設けてあり、
前記端部ロック部の基端部は前記第２横材の断面形状よりも大きく、
前記横材は、前記第２横材を前記第１横材に対して所定深さまで挿入させた時に当該挿入を規制する外方当接手段を備えており、
前記第２横材を前記第１横材の中空部内に挿入させる方向にスライド移動させた時に、前記外方当接手段によって、前記端部ロック部の基端部と前記第１横材の長さ方向端縁との間に所定の隙間が形成されるようになっている、
シャッターの耐風補強部材、である。
１つの態様では、前記外方当接手段は、
前記第２横材の先端側に、前記端部ロック部の前記基端部から離間して設けた外方被当接部と、
前記第１横材の長さ方向の一端側に設けた外方当接部と、
からなる。

【0007】

１つの態様では、前記横材は、前記第２横材を前記第１横材から所定長引き出した時に当該引き出しを規制する内方当接手段を備えており、
前記第２横材を前記第１横材の中空部から引き出す方向にスライド移動させた時に、前記内方当接手段によって、前記第２横材が前記第１横材の中空部から外れることを規制している。
１つの態様では、前記内方当接手段は、
前記第２横材の基端側に設けた内方被当接部と、
前記第１横材に、前記外方当接部から離間した位置に設けた内方当接部と、
からなる。

【0008】

１つの態様では、前記第１横材には、前面部の裏面に位置して、長さ方向に延びるポケット部が形成されており、前記ポケット部の底部には長さ方向に延びる開口が形成されており、
前記第２横材には、前記第１横材の中空部内に位置して、前記底部に近接ないし当接する前面部を備えており、
前記ポケット部には連結固定片が設けてあり、前記連結固定片は雌螺子部を備えており、前記第１横材の前記前面部から挿入した固定具を前記雌螺子部に締め込むことで、前記固定具の先端が前記開口から前記第２横材の前記前面部に当接して、前記第１横材と前記第２横材が固定され、前記固定具を緩めて前記固定具の先端が前記第２横材の前記前面部から離間することで、前記第１横材に対して前記第２横材がスライド移動可能となっており、
前記外方当接部は、前記連結固定片の部分から形成されており、
前記外方被当接部は、前記第２横材の前記前面部に前記開口に位置して突設されている。

【0009】

１つの態様では、前記第２横材の基端側には、内方被当接部が設けてあり、
前記第１横材には、前記外方当接部から離間した位置に内方当接部が設けてあり、
前記第２横材を前記第１横材の中空部から引き出す方向にスライド移動させた時に、前記内方当接部が前記内方被当接部に当接することで、前記第２横材が前記第１横材の中空部から外れることを規制しており、
前記内方当接部及び前記外方当接部は、それぞれ、前記連結固定片の部分から形成されており、
前記内方被当接部及び前記外方被当接部は、前記第２横材の前記前面部に前記開口に位置して離間して突設されている。

【0010】

１つの態様では、前記連結固定片は、前記雌螺子部が固定された板状部と、第１折曲片と、第２折曲片と、から断面視コ字形状を備えており、
前記連結固定片の前記板状部が前記ポケット部の底部に近接ないし当接しており、
前記第１折曲片の基端側部位が前記外方当接部となり、前記第２折曲片の基端側部位が前記内方当接部となっている。

【0011】

１つの態様では、前記横材は、第１横材と、第１横材の長さ方向一端に設けられた第２横材と、第１横材の長さ方向他端に設けられた第３横材と、からなり、前記第２横材及び前記第３横材は、前記第１横材の中空部内にスライド移動かつ位置固定可能である。
本実施形態において、第２横材と第３横材は実質的に同じ構成を備えており、上記技術手段及び幾つかの態様についての「第２横材」を「第３横材」に置き換えることができる。後述する実施形態では、第１横材は中央筒状部材であり、第２横材及び第２横材は端部筒状部材である。
より具体的には、前記第２横材及び前記第３横材の先端側には、ガイドレール溝部に差し込み可能な端部ロック部が設けてあり、
前記端部ロック部の基端部は前記第２横材及び前記第３横材の断面形状よりも大きく、
前記横材は、前記第２横材、前記第３横材を前記第１横材に対して所定深さまで挿入させた時に当該挿入を規制する外方当接手段を備えており、
前記第２横材、前記第３横材を前記第１横材の中空部内に挿入させる方向にスライド移動させた時に、前記外方当接手段によって、前記端部ロック部の基端部と前記第１横材の長さ方向端縁との間に所定の隙間が形成されるようになっている、
シャッターの耐風補強部材、である。
１つの態様では、前記外方当接手段は、
前記第２横材、前記第３横材の先端側に、前記端部ロック部の前記基端部から離間して設けた外方被当接部と、
前記第１横材の長さ方向の両端側にそれぞれ設けた左右の外方当接部と、
からなる。

【0012】

１つの態様では、前記横材は、前記第２横材、前記第３横材を前記第１横材から所定長引き出した時に当該引き出しを規制する内方当接手段を備えており、
前記第２横材、前記第３横材を前記第１横材の中空部から引き出す方向にスライド移動させた時に、前記内方当接手段によって、前記第２横材、前記第３横材が前記第１横材の中空部から外れることを規制している。
１つの態様では、前記内方当接手段は、
前記第２横材、前記第３横材の基端側に設けた内方被当接部と、
前記第１横材に、前記左右外方当接部から離間した位置にそれぞれ設けた内方当接部と、
からなる。

【発明の効果】

【0013】

本発明に係る耐風補強部材では、横材に外方当接手段を設けて、第１横材に対する第２横材の挿入深さを規制することで、耐風補強部材の収納時等において、指挟みを防止する。
また、横材に内方当接手段を設けることで、第１横材からの第２横材の引き出し長さを規制することで、耐風補強部材の設置時や搬送時の取り扱いの際位に、第２横材が第１横材から抜け出てしまうことを防止する。

【図面の簡単な説明】

【0014】

【図1】全閉姿勢にあるシャッター装置を屋内側から見た正面図である。

【図1A】全閉姿勢にあるシャッター装置の側面図である。

【図2】本実施形態に係る耐風補強部材の全体図である。

【図3】本実施形態に係る耐風補強部材の長さ方向端部を示す図である。

【図4】図２のガイドレール部分の拡大図である。

【図5】回動部材が収納姿勢にある端部ロック金具を示す図である。

【図6】回動部材が回動姿勢（作動姿勢）にある端部ロック金具を示す図である。

【図7】本実施形態に係る耐風補強部材の長さ方向中央部位がスラットに掛止された状態を示す側面図である。

【図7A】図７と類似の図であり、スラットに対する耐風補強部材の引っ掛け部材の掛止状態を詳細に説明する図である。

【図7B】耐風補強部材の長さ方向中央部位及び引っ掛け部材を後方から見た正面図である。

【図8】本実施形態に係る端部補強部材の端部ロック金具がガイドレール内に差し込まれた状態を示す側面図である。

【図9】本実施形態に係る中央筒状部材を示す図である。

【図10】本実施形態に係る端部筒状部材を示す図である。

【図11】本実施形態に係る引っ掛け部材を示す図である。

【図12】本実施形態に係る連結固定片を示す図である。

【図13】他の実施形態に係る連結固定片を示す図である。

【図14】中央筒状部材に対して端部筒状部材が最も引き出された状態を示す図である。

【図15】中央筒状部材に対して端部筒状部材が最も深く挿入された状態を示す図である。

【図16】本実施形態に係る耐風補強部材の取り付け工程を示す図である。

【図17】耐風補強部材を取り付けたシャッターカーテンに風圧が作用した時の耐風補強部材の端部ロック金具の挙動を示し、上図は負圧が作用した状態、下図は正圧が作用した状態である。

【図18】本実施形態に係る回動部材を示す図である。

【図19】（Ａ）は差し込み部の第１部材を示し、（Ｂ）は差し込み部の第２部材を示す。

【図20】（Ａ）は操作機構の第１部材を示し、（Ｂ）は操作機構の第２部材を示す。

【図21】操作機構の第３部材を示す図である。

【図22】（Ａ）はスライダ（作動体）が第１の位置にあり、回動部材が収納姿勢にある状態を示し、（Ｂ）は（Ａ）の状態からスライダ（作動体）が第２の位置へ移動を開始し、収納姿勢にある回動部材が作動姿勢へ回動を開始し、（Ｃ）は（Ｂ）のスライダ（作動体）が第２の位置へさらに移動し、収納姿勢にある回動部材が作動姿勢へさらに回動し、（Ｄ）はスライダ（作動体）が第２の位置にあり、回動部材が作動姿勢にある状態を示す。

【図23】図２２（Ａ）の部分拡大図である。

【図24】図２２（Ｂ）の部分拡大図である。

【図25】図２２（Ｃ）の部分拡大図である。

【図26】図２２（Ｄ）の部分拡大図である。

【図27】他の実施形態に係る操作機構を示し、（Ａ）はスライダ（作動体）が第１の位置にあり、回動部材が収納姿勢にある状態を示し、（Ｂ）は（Ａ）の状態からスライダ（作動体）が第２の位置へ移動を開始し、収納姿勢にある回動部材が作動姿勢へ回動を開始する直前の状態を示し、（Ｃ）はスライダ（作動体）が第２の位置にあり、回動部材が作動姿勢にある状態を示す。

【発明を実施するための形態】

【0015】

図１は本実施形態に係るシャッター装置の正面図であり、図１Ａはシャッター装置の側面図である。本実施形態に係るシャッター装置は、手動式の軽量シャッターであるが、軽量シャッター、手動式シャッターは例示であって、本発明を限定するものではなく、本発明は、例えば、開閉機を備えた電動式シャッターにも適用され得る。

【0016】

シャッターカーテン１は、開口幅方向に延びる長尺状の複数枚のスラット１０を高さ方向に連結してなり、下端に座板を備えている。図７に示すように、スラット１０は、断面視皿状の面部１００と、面部１００の上側に一体形成された上側インターロック部１０１と、面部１００の下側に一体形成された下側インターロック部１０２と、からなり、下側に位置するスラット１０の上側インターロック部１０１を上側に位置するスラット１０の下側インターロック部１０２にインターロック連結させることで連結されてシャッターカーテン１を形成している。下側に位置するスラット１０の上側インターロック部１０１と上側に位置するスラット１０の下側インターロック部１０２がインターロック連結されている部位をインターロック連結部１０３と呼ぶ。より詳細には、図７Ａに示すように、スラット１０の断面視皿状の面部１００は、垂直状に延びる垂直部分１０００と、垂直部分１０００の上側に一体形成された上側傾斜部１００１と、垂直部分１０００の下側に一体形成された下側傾斜部１００２と、からなり、上側傾斜部１００１の上側に上側インターロック部１０１が一体形成されており、下側傾斜部１００２の下側に下側インターロック部１０２が一体形成されている。本実施形態において、スラット１０の凹面側を裏面側、反対側を表面側とする。

【0017】

シャッターカーテン１の上端は吊元を介して開口部上方に配置された巻取体２に連結されている。なお、シャッターカーテン１が巻き取られる際に、スラット１０はいわゆる正巻、逆巻のいずれでもよい。本実施形態に係るシャッター装置は、手動式シャッターであり、巻取体２はバランススプリング２´を備えており、バランススプリング２´によってシャッターカーテン１を巻き取る方向に付勢されている。

【0018】

建物開口部の幅方向左右両端には高さ方向に延びるガイドレール３が立設されている。図４に示すように、ガイドレール３は、第１側壁３０と、第２側壁３１と、底壁３２と、から断面視略コ字形状を備えている。第１側壁３０の前端側には第１前辺３３が一体形成されており、第１前辺３３の先端側は折り曲げ形成されており、当該先端側部位には高さ方向に亘って消音材３３０（例えば、樹脂製）が装着されている。第２側壁３１の前端側には第２前辺３４が一体形成されており、第２前辺３４の先端側は折り曲げ形成されており、当該先端側部位には高さ方向に亘って消音材３４０（例えば樹脂製）が装着されている。第１前辺３３の先端側部位と第２前辺３４の先端側部位の間の開口がガイドレールの溝部３５となっており、溝部３５から後方（底壁３２）に向かう空間にスラット１０の長さ方向端部が受け入れられている。

【0019】

シャッターカーテン１の昇降時ないし全閉姿勢時に、ガイドレール３の溝部３５にシャッターカーテン１の幅方向両端部（スラット１０の長さ方向両端部）を受け入れるようになっている。本実施形態では、スラット１０の長さ方向端部がガイドレール３の溝部３５に挿入された状態において、スラット１０の面部１００の表面側が第１側壁３０の内面に対向し、スラット１０の面部１００の裏面側が第２側壁３１の内面に対向するようになっている。より具体的には、図７に示すように、スラット１０の面部１００の垂直部分１０００が、ガイドレール３の第１前辺３３の先端側部位と第２前辺３４の先端側部位の間の開口の第１縁部（第１前辺３３、消音材３３０）に近接ないし当接し、スラット１０の上側インターロック部１０１がガイドレール３の第１前辺３３の先端側部位と第２前辺３４の先端側部位の間の開口の第２縁部（第２前辺３４、消音材３４０）に近接ないし当接する。本明細書において、スラット１０の面部１００の垂直部分１０００の高さ寸法をＨ１とし、ガイドレールの溝幅をＤ１とする。

【0020】

開口部全閉状態において、シャッターカーテン１が巻取体２に巻き取られることで、シャッターカーテン１の幅方向両端部位がガイドレール３に案内されながら上昇して建物開口部を開放し、開口部全開状態において、シャッターカーテン１が巻取体２から繰り出されることで、シャッターカーテン１の幅方向両端部位がガイドレール３に案内されながら下降して建物開口部を閉鎖するようになっている。

【0021】

開口部全閉状態において、シャッターカーテン１の下端の座板は床面ＦＬないし地面等に着床している。シャッターカーテン１の高さ方向中間部位よりも下方に位置して施錠装置１３が設けてある。開口部全閉状態において、全閉姿勢のシャッターカーテン１の所定高さには、耐風補強部材４が取り付けてある。図１に示す態様では、高さ方向の２箇所において、２本の耐風補強部材４が設けてある。全閉状態の開口部に設置する耐風補強部材４の本数は、開口高によって適宜選択され、例えば、開口高に応じて１本～３本の間で選択されるが、本数は限定されない。

【0022】

図２に示すように、耐風補強部材４は、長尺状の中央筒状部材５と、中央筒状部材５の長さ方向の両端にスライド移動かつ位置固定可能に設けられた長尺状の端部筒状部材６、６と、左右の端部筒状部材６、６の先端に設けられた左右の端部ロック金具４´と、を備えている。端部ロック金具４´は、ガイドレール３の溝部３５内に差し込まれる差し込み部７と、差し込み部７に回動可能に設けられた回動部材８と、回動部材８を回動操作する操作機構９と、を備えている。

【0023】

耐風補強部材４は、中央筒状部材５と左右の端部筒状部材６、６からなる横材をスラット１０の面部１００の裏面の略全幅（開口幅に対応する部分）に沿うように設け（後述するように、本実施形態では、横材（中央筒状部材５、端部筒状部材６）は引っ掛け部材１１によってスラット１０に掛止される）、横材の長さ方向両端部の差し込み部７をガイドレール３の溝部３５内に挿入し、操作機構９によって回動部材８を回動させることで、端部ロック金具４´をガイドレール３の内部に固定することで、開口部全閉状態にあるシャッターに取り付けられる。

【0024】

本明細書において、耐風補強部材４がスラット１０に取り付けられた状態において、スラット１０に近い側を「後」、スラット１０から遠い側（正面から見える側）を「前」とする。耐風補強部材４の端部ロック金具４´がガイドレール３の溝部３５に挿入された状態において、ガイドレール３の底壁３２に近い側を「先端」ないし「前」、ガイドレール３の底壁３２から遠い側を「基端」ないし「後」とする。差し込み部７、回動部材８、操作機構９の構成要素の説明において、「上」、「下」は図面上における各部分の相対的位置を示すものであり、耐風補強部材４がシャッターカーテン１に取り付けられた姿勢における上下方向とは異なる点に留意されたい。

【0025】

図９に示すように、本実施形態に係る中央筒状部材５は、断面視長方形状の角パイプであり、アルミ型材から形成されている。図１０に示すように、本実施形態に係る左右の端部筒状部材６、６は、断面視長方形状の角パイプであり、アルミ型材から形成されている。本実施形態に係る左右の端部筒状部材６、６は、左右対称であることを除いて実質的に同じ構成を備えている。中央筒状部材５は、左右のガイドレール３、３間の距離、すなわち、開口幅寸法より短い寸法となっており、また、各端部筒状部材６は中央筒状部材５よりも短尺であり（これには限定されない）、中央筒状部材５と左右の端部筒状部材６、６を組み立てた組立体（横材）の長さ寸法を調整することで、所定の開口幅に対応する長さの横材を得るようになっている。

【0026】

図９に示すように、中央筒状部材５は、上面部５０と、下面部５１と、後面部５２と、前面部５３と、を備えた長尺状部材であり、長さ方向両端部は開口しており、左右の端部筒状部材６、６の基端側部位をスライド可能に受け入れるようになっている。中央筒状部材５の前面部５３の内面には、長さ方向に亘って、断面視Ｌ形状の上片５４と下片５５とからなるポケット部５６が形成されている。ポケット部５６の底部（前面部５３から離間した側）には長さ方向に延びる開口５７が形成されている。中央筒状部材５の後面部５２は垂直状に延びており、上側には上側傾斜部５２０、下側には下側傾斜部５２１が一体形成されている。

【0027】

図１０に示すように、端部筒状部材６は、上面部６０と、下面部６１と、後面部６２と、前面部６３と、を備えた長尺状部材であり、長さ方向の先端部の開口には端部ロック金具４´の基端側部位（差し込み部７の連結部材７２）が固定されるようになっている。端部筒状部材６の前面部６３には、長さ方向に延びる上側凸部６４、下側凸部６５が前方に向かって突成されており、上側凸部６４と下側凸部６５の間には長さ方向に亘って凹部６６が形成されている。前面部６３（凹部６６の底部）の高さ方向中央部位は肉厚に形成された被当接部６３´となっている。端部筒状部材６の後面部６２は垂直状に延びており、上側には上側傾斜部６２０、下側には下側傾斜部６２１が一体形成されている。

【0028】

図７、図９、図１０に示すように、端部筒状部材６の外形の断面形状は、中央筒状部材５の中空部の断面形状と略同じであり、端部筒状部材６は基端側部位から中央筒状部材５の内部空間に挿入されており、長さ方向にスライド移動可能となっている。端部筒状部材６が中央筒状部材５の内部に挿入された状態において、端部筒状部材６の上面部６０、下面部６１、後面部６２と、前面部６３の上側凸部６４及び下側凸部６５は、中央筒状部材５の上面部５０、下面部５１、後面部５２、前面部５３の内面に近接ないし接触しており、中央筒状部材５の上片５４、下片５５、ポケット部５６は端部筒状部材６の凹部６６内に位置している。図７Ａに示すように、中央筒状部材５の上面部５０、下面部５１、後面部５２の内面には、内部空間に面して長さ方向に延びる突条５９が形成されており、端部筒状部材６の上面部６０、下面部６１、後面部６２の外面との接触面積を小さくすることで、中央筒状部材５に対する端部筒状部材６のスムーズなスライド移動を可能としている。なお、端部筒状部材６の上面部６０、下面部６１、後面部６２の外面に突条を形成してもよい。また、図９に示すように、本実施形態に係る中央筒状部材５の上面部５０、下面部５１は緩やかな凹状となっており、耐風補強部材４の着脱作業時に当該耐風補強部材４を手で支え易いようになっている。

【0029】

中央筒状部材５の後面部５２の長さ方向の中央部位には、引っ掛け部材１１が固定されており、中央筒状部材５（耐風補強部材４）は引っ掛け部材１１を所定の高さに位置するスラット１０に引っ掛けることで、開口部全閉状態のシャッターカーテン１に掛止可能となっている。

【0030】

図１１に示すように、引っ掛け部材１１は、中央筒状部材５の長さ方向に延びる所定長の部材であり、水平状の上片１１０と、上片１１０の後端から垂下する垂下片１１１と、上片１１０の前端から垂下する上側垂直面１１２と、垂直面１１２の下端から上片１１０に平行して後方に延びる中間水平片１１３と、中間水平片１１３の後端から後方かつ下方に延びる上側傾斜片１１４と、上側傾斜片１１４から垂下する下側垂直面１１５と、下側垂直面１１５の下端から前方かつ下方に延びる下側傾斜片１１６と、からなる。引っ掛け部材１１は、中央筒状部材５に固定されるベース（中間水平片１１３、上側傾斜片１１４、下側垂直面１１５、下側傾斜片１１６）と、前記ベースの上端に一体形成された掛止部（上片１１０、垂下片１１１、上側垂直面１１２）と、からなる。

【0031】

引っ掛け部材１１の中間水平片１１３、上側傾斜片１１４、下側垂直面１１５、下側傾斜片１１６は、中央筒状部材５の前側部位の断面形状（上面部５０の後端側、上側傾斜部５２０、後面部５２、下側傾斜部５２１）に当接するような形状となっており、引っ掛け部材１１は、中央筒状部材５の後側部位に当接させた状態で、上側傾斜片１１４と上側傾斜部５２０、下側傾斜片１１６と下側傾斜部５２１とを止着部材として例示するリベット１１７（図７Ａ、図７Ｂ）で固定することで中央筒状部材５に固定されている。止着部材として、リベット１１７に代えて螺子を用いてもよい。

【0032】

横材の中央筒状部材５の後側部位に固定された引っ掛け部材１１は、垂下片１１１を、所定の高さに位置するスラット１０の上側のインターロック連結部１０３に引っ掛け、下側垂直面１１５を、スラット１０の面部１００の垂直部分１０００の内面に当接ないし近接させた状態で、スラット１０の裏面に掛止される。掛止姿勢にある横材（中央筒状部材５、端部筒状部材６）の下面部（下面部５１、下面部６１）は、下側のインターロック連結部１０３の上方に離間して位置しており、横材（中央筒状部材５、端部筒状部材６）の下面部（下面部５１、下面部６１）は、引っ掛け部材１１によって、スラット１０から吊持された状態となっている。引っ掛け部材１１の下側傾斜片１１６の下端は中央筒状部材５の下面部５１から下方に突出することはなく、下側のインターロック連結部１０３の上方に離間しており、下側のインターロック連結部１０３に係止されていない。

【0033】

横材（中央筒状部材５及び端部筒状部材６）は、断面視において横長方形状となっており、中央筒状部材５は、スラット１０の面部１００の垂直部分１０００に近い側の後面部５２と、スラット１０から離間する側の前面部５３と、を備え、引っ掛け部材１１の掛止部（上片１１０、垂下片１１１、上側垂直面１１２）は、後面部５２に寄った側に位置して中央筒状部材５に固定されており、引っ掛け部材１１をスラット１０のインターロック連結部１０３に掛止させた時に、スラット１０の裏面に持ち出し状に取り付けられた横材（中央筒状部材５及び端部筒状部材６）には、前方側が下方に回動するモーメントが作用し、中央筒状部材５の後面部５２に当接している引っ掛け部材１１の下側垂直面１１５がスラット１０の面部１００の垂直部分１０００に当接し、前記モーメントは、横材（中央筒状部材５及び端部筒状部材６）の後側部位（後面部５２、後面部６２）をスラット１０の面部１００の垂直部分１０００に近づける方向に作用しており、開口幅方向に延びる横材（中央筒状部材５及び端部筒状部材６）の後側部位（後面部５２、後面部６２）はスラット１０の面部１００の垂直部分１０００に当接（略全体あるいは部分的に）ないし近接する。

【0034】

本実施形態では、引っ掛け部材１１がスラット１０に掛止された状態において、掛止部の垂下片１１１の下端がインターロック連結部１０３に係止し、ベースの下側垂直面１１５がスラット１０の面部１００の垂直部分１０００に当接ないし近接している点を除き、引っ掛け部材１１とスラット１０との間には隙間が形成されている。引っ掛け部材１１とスラット１０との間に隙間（遊び）を設けたことで、一種類のシャッターの耐風補強部材を用意することで、異なる寸法ないし形状のスラットに掛止させることを可能としている。引っ掛け部材１１の上側傾斜片１１４（中央筒状部材５の上側傾斜部５２０）とスラット１０の面部１００の上側傾斜部１００１との間には隙間が形成されており、引っ掛け部材１１の下側傾斜片１１６（中央筒状部材５の下側傾斜部５２１）とスラット１０の面部１００の下側傾斜部１００２との間には隙間が形成されており、引っ掛け部材１１を中央筒状部材５に固定する止着部材（リベット１１７）の頭部が上記隙間に位置するようになっている。

【0035】

中央筒状部材５のポケット部５６の内部には、左右方向の両端部に位置して、連結固定片１２が設けてある。図１２に示すように、連結固定片１２は、ポケット部５６の長さ方向に延びる長方形状の板状部１２０と、板状部１２０の長さ方向両端の折曲片１２１Ａ、１２１Ｂと、板状部１２０の長さ方向の中央部位に固定したナット１２２と、からなり、板状部１２０の長さ方向の中央部位には、ナット１２２に一致させて孔部が形成されている。図９に示すように、中央筒状部材５の前面部５３には、ポケット部５６に設けられた連結固定片１２のナット１２２に対応して、挿通孔５３０が形成されている。中央筒状部材５の前面部５３の挿通孔５３０から挿通したノブボルト１２３の軸部１２３０がナット１２２に螺合するようになっている。連結固定片１２がポケット部５６に位置した状態において、一方の折曲片１２１Ａが基端側、他方の折曲片１２１Ｂが先端側に位置しており、板状部１２０は、ポケット部５６の底側に位置しており、折曲片１２１Ａ、１２１Ｂは前面部５３に向かって延びた姿勢となっている。

【0036】

連結固定片１２は、中央筒状部材５の長さ方向両側に端部筒状部材６を差し入れた状態において、中央筒状部材５と端部筒状部材６のオーバラップ部分に位置している。ノブボルト１２３を緩めた状態では、ノブボルト１２３の軸部１２３０の先端は、端部筒状部材６の凹部６６の底面の被当接部６３´から離間しており、中央筒状部材５に対する端部筒状部材６のスライド移動が許容されている。ノブボルト１２３を掴んで、スラット１０の裏面に引っ掛け部材１１によって掛止された中央筒状部材５から端部筒状部材６を引き出すことができ、中央筒状部材５に対して端部筒状部材６がスライド移動する時には、連結固定片１２は端部筒状部材６の凹部６６内を長さ方向に相対的に移動する（すなわち、連結固定片１２に対して端部筒状部材６が移動する）ようになっている。

【0037】

中央筒状部材５に対する端部筒状部材６の位置を決定した状態において、ノブボルト１２３を締めると、ノブボルト１２３の軸部１２３０の先端が、端部筒状部材６の凹部６６の底面の被当接部６３´に当接して端部筒状部材６を後方に押し付け、同時に、ノブボルト１２３の軸部１２３０の回転に連動してナット１２２と一体の連結固定片１２の板状部１２０が前方に移動して中央筒状部材５の前面部５３０の内面を押圧し、端部筒状部材６の後面部６２が中央筒状部材５の後面部５２に密着し、中央筒状部材５に対して端部筒状部材６が固定される。

【0038】

図２に示すように、左右の端部筒状部材６の基端側には凹部６６に位置してストッパ６７が設けてあり、先端側に凹部６６に位置してストッパ６８が設けてある。ストッパ６７は、端部筒状部材６の基端縁から少し離れた位置に設けてあり、ストッパ６８は、端部筒状部材６の先端縁（すなわち、端部ロック金具４の基端部）から少し離れた位置に設けてある。本実施形態では、端部筒状部材６の前面部６３（凹部６６の底面の被当接部６３´）の基端側に螺子を固定することで当該螺子の頭部によってストッパ６７が形成されており、先端側に螺子を固定することで当該螺子の頭部によってストッパ６８が形成されている。

【0039】

図１４に示すように、端部筒状部材６が中央筒状部材５から引き出された時に、端部筒状部材６の基端側に設けたストッパ６７が、連結固定片１２の基端側の折曲片１２１Ａに当接することで、端部筒状部材６の基端側部位が中央筒状部材５から外れることを規制している。本実施形態では、連結固定片１２の折曲片１２１Ａの基端側部位（板状部１２０との角部に近い側）にストッパ６７が当接するようになっており、ストッパ６７と当接する折曲片１２１Ａの強度を確保している。

【0040】

図１５に示すように、端部筒状部材６が中央筒状部材５に深く挿入された時に、端部筒状部材６の先端側に設けたストッパ６８が、連結固定片１２の先端側の折曲片１２１Ｂに当接することで、端部筒状部材６の先端に設けられた端部ロック金具４の基端部（差し込み部７の第１部材７０の側壁７００の基端側の立ち上がり壁７０３）と中央筒状部材５の長さ方向端縁５８との間に所定の隙間Ｇが形成されるようになっている。隙間Ｇは、端部ロック金具４の基端部（立ち上がり壁７０３）と中央筒状部材５の長さ方向端縁５８との間に指を挟むことがない程度の寸法に設定されている。端部筒状部材６及び端部ロック金具４は金属製であり、横材を立てた状態で、中央筒状部材５に対する端部筒状部材６のスライド規制を解除すると、端部筒状部材６が中央筒状部材５に対して自重でストンと落ちる場合があるが、そのような場合であっても、端部筒状部材６の先端側に設けたストッパ６８が、連結固定片１２の先端側の折曲片１２１Ｂに当接することで、端部筒状部材６の先端に設けられた端部ロック金具４の基端部（立ち上がり壁７０３）と中央筒状部材５の長さ方向端縁５８との間に所定の隙間Ｇが確保されるので、安全性が担保される。本実施形態では、連結固定片１２の折曲片１２１Ｂの基端側部位（板状部１２０との角部に近い側）にストッパ６８が当接するようになっており、ストッパ６８と当接する折曲片１２１Ｂの強度を確保している。

【0041】

図１３は、他の実施形態に係る連結固定片１２´を示す。図１２に示す連結固定片１２は断面視コ字形状であったが、図１３に示す連結固定片１２´は、平面視方形状で所定厚のブロック体１２０´と、ブロック体１２０´に形成された雌螺子部１２２´と、ブロック体１２０´の一方の側面１２１Ａ´と、他方の側面１２１Ｂ´と、を備えている。連結固定片１２´がポケット部５６に位置した状態において、一方の側面１２１Ａ´が基端側、他方の側面１２１Ｂ´が先端側に位置するようになっている。ノブボルト１２３の軸部１２３０が連結固定片１２´の雌螺子部１２２´に螺合するようになっている。端部筒状部材６が中央筒状部材５から引き出された時に、端部筒状部材６の基端側に設けたストッパ６７が、連結固定片１２´の基端側の側面１２１Ａ´に当接することで、端部筒状部材６の基端側部位が中央筒状部材５から外れることを規制する。端部筒状部材６が中央筒状部材５に深く挿入された時に、端部筒状部材６の先端側に設けたストッパ６８が、連結固定片１２´の先端側の側面１２１Ｂ´に当接することで、指挟みを防止する。

【0042】

端部ロック金具４´の差し込み部７は、第１部材７０と、第２部材７１と、からなり、連結部材７２によって端部筒状部材６に連結される。図１９（Ａ）に示すように、第１部材７０は、基端側が幅広で、先端側が幅狭の対向状の側壁７００と、側壁７００の先端側部位を連結する先端面７０１及び底面７０２と、側壁７００の基端側の立ち上がり壁７０３とを備えている。側壁７００の縁部は、基端側から先端側に向かう傾斜縁部７０００と、底面７０２に平行延びる先端側縁部７００１を備えている。端部ロック部の基端部である立ち上がり壁７０３の外形は、中央筒状部材５の断面形状・寸法と略同じであり、端部筒状部材６の断面形状・寸法よりも大きい。

【0043】

図１９（Ｂ）に示すように、第２部材７１は、水平部７１００と垂直部７１０１とから側面視Ｌ形状の対向状の側壁７１０と、側壁７１０の下端を連結する底面７１１と、を備えている。

【0044】

第１部材７０の側壁７００間に第２部材７１を取り付けることで、第１部材７０と第２部材７１の組立体として差し込み部７が形成されており、第１部材７０の底面７０２と第２部材の底面７１１とから差し込み部７の底面が形成されている。図４、図５に示すように、差し込み部７は、ガイドレール３の溝部３５に挿入される先端側部位７Ａを備えている。

【0045】

差し込み部７の先端側部位７Ａの厚さ（底面７０２、７１１と先端側縁部７００１との間の寸法であり、一定である）をＤ２、高さ寸法をＨ２とすると（図５参照）、先端側部位７Ａの厚さＤ２は、ガイドレール３の溝幅Ｄ１よりも小さい。より具体的には、先端側部位７Ａの厚さ寸法ないし見込寸法Ｄ２とスラット１０の板厚の合計は、ガイドレール３の溝幅Ｄ１よりも小さい。また、差し込み部７の先端側部位７Ａの高さ寸法Ｈ２は、スラット１０の面部１００の垂直部分１０００の高さ寸法Ｈ１と略同じである。したがって、端部ロック金具４´の差し込み部７の先端側部位７Ａをガイドレール３の溝部３５からガイドレール内部に差し込む時には、先端側部位７Ａがガイドレール３の溝部３５の縁部（消音材３３０、３４０）に強く接触して抵抗となることがない。

【0046】

差し込み部７の先端側部位７Ａがガイドレール３の溝部３５から挿入された状態において、先端側部位７Ａの後方に位置する部位７Ｂはガイドレール３の外部に位置するようになっており、操作機構９の摘み部９０３は部位７Ｂに位置している。

【0047】

連結部材７２は、立ち上がり壁７２０と、側壁７２１と、底壁７２２と、を備えている。図４に示すように、連結部材７２は、端部筒状部材６の内部に挿入された状態で底壁７２２が端部筒状部材６の後面部６２に固定されており、図５に示すように、第１部材７０の立ち上がり壁７０３には、連結部材７２の立ち上がり壁７２０が固定されている。

【0048】

回動部材８は、差し込み部７の底面に略平行する収納姿勢（図５）と、差し込み部７の底面から離間するように回動した回動姿勢（図６）と、の間で回動可能となっている。図１８に示すように、回動部材８は、対向状の側面部８０と、側面部８０の先端側部位を連結する上面部８１と、上面部８１の先端側の傾斜面８２と、を備えており、側面部８０の基端側が回動支点Ｐとなっており、回動部材８は軸部８３を中心に、先端側が回動するようになっている。

【0049】

図１８に示すように、回動部材８の側面部８０の側縁の基端側には、軸部８３の下方に位置して下向き凹部８００が形成されており、下向き凹部８００の前側（先端側）に隣接して摺接面８０１が形成されており、下向き凹部８００の後側（基端側）に隣接して凸部８０２が形成されている。本実施形態に係る摺接面８０１は、凹部８００の底面８０００から連続する湾曲部８０１０と、湾曲部８０１０から連続するフラット状の平面部８０１１と、からなる。本実施形態に係る凸部８０２は、凹部８００の底面８０００から連続する側面部８０２０と、側面部８０２０から連続する先端部８０２１と、を備えている。本実施形態に係る凹部８００の底面８０００は膨出状の湾曲面であるが、これには限定されない。回動部材８は、基端側の下向き凹部８００、摺接面８０１、凸部８０２が、操作機構９の作動部（凸部９０００）と連携することで、操作機構９のスライド操作によって収納姿勢と作動姿勢の間で回動するようになっている。

【0050】

図２０、図２１に示すように、操作機構９は、第１部材９０と、第２部材９１と、第３部材９２と、からなる。第１部材９０と第２部材９１とからなる組立体がスライダ９´（作動体）を形成し、第３部材９２に対してスライダ９´が前後方向（端部ロック金具４´の先端に向かう方向と先端から離れる方向）に移動するようになっており、スライダ９´（作動体）の前後方向の移動に連動して回動部材８が回動する。

【0051】

第１部材９０は、底面９００と、底面９００の後端から立ち上がる立ち上がり片９０１と、立ち上がり片９０１の上端から水平に延びる取付片９０２と、取付片９０２に取り付けた球状の摘み部９０３からなる。底面９００の前端側には幅方向の両端の側部から凸部９０００が突成されており、底面９００の後端から後側細幅部９００１、９００１が対向状に形成されており、底面９００には底面９００の幅方向に延びるスリット９００２が形成されている。

【0052】

第２部材９１は、上面部９１０と、上面部９１０の前後方向両端の垂下片９１１、９１２とからなり、上面部９１０には上面部９１０の幅方向に延びるスリット９１００が形成されている。

【0053】

第２部材９１のスリット９１００に第１部材９０の立ち上がり片９０１を挿入し、第１部材９０の底面９００のスリット９００２に、第２部材９１の垂下片９１１を挿入し、垂下片９１２を後側細幅部９００１の対向状のスリット９００１ａに挿入することで、第１部材９０と第２部材９１を一体化してスライダ９´（作動体）が形成される。

【0054】

第３部材９２は、水平面部９２０と、水平面部９２０の後端から立ち上がる立ち上がり壁９２１と、立ち上がり壁９２１の上端から後方に延びる水平片９２２と、水平面部９２０の前端の垂下片９２３と、からなり、水平面部９２０には、開口９２４が形成されている。開口９２４は幅方向に細長の平面視長方形状であり、後側縁部９２４０と、前側縁部９２４１と、を備えている。

【0055】

操作機構９の第１部材９０と第２部材９１からなるスライダ９´は、差し込み部７の底面上に載置され、スライダ９´の上側に水平面部９２０を位置させて第３部材９２を取り付ける。操作機構９の第３部材９２は、差し込み部７の第２部材７１に固定される。操作機構９の第１部材９０の立ち上がり片９０１は、第３部材９２の水平面部９２０の開口９２４を挿通して上方に延びている。

【0056】

回動部材８は、差し込み部７内に位置して、差し込み部７の底面に沿って延びる収納姿勢（図５）と、差し込み部７の底面に対して回動した回動姿勢（図６）と、を取るようになっており、操作機構９によるスライダ９´（作動体）のスライド移動によって収納姿勢と回動姿勢とを切り替えるようになっている。

【0057】

図５に示すように、回動部材８の収納時には、操作機構９（スライダ９´）は、差し込み部７に対して、差し込み部７の先端から離間した側の第１の位置に位置しており、操作機構９の立ち上がり片９０１は、第３部材９２の水平面部９２０に形成した開口９２４の後側縁部９２４０側に位置している。操作機構９の第１部材９０の凸部９０００は、差し込み部７の底面に平行して延びる回動部材８の側面部８０の基端側の下向き凹部８００内に位置している。

【0058】

図６に示すように、回動部材８の回動時には、操作機構９（スライダ９´）は、第１の位置に対して先端側の第２の位置に位置しており、操作機構９の立ち上がり片９０１は、第３部材９２の水平面部９２０に形成した開口９２４の前側縁部９２４１側に位置している。操作機構９（スライダ９´）が第１の位置から第２の位置へ移動する時に、操作機構９の第１部材９０の凸部９０００が回動部材８の側面部８０の基端側の下向き凹部８００から外れて摺接面８０１に摺接しながら先端側へスライド移動することに応じて、回動部材８は、回動部材８の先端側が差し込み部７の底面から離間する方向に回動して作動姿勢となる。

【0059】

図２２～図２６を参照しつつ、操作機構９（スライダ９´）による回動部材８の回動操作について詳細に説明する。図２２（Ａ）において、操作機構９（スライダ９´）が第１の位置にあり、回動部材８が収納姿勢にある。操作機構９の第１部材９０の立ち上がり片９０１は、第３部材９２の水平面部９２０に形成した開口９２４の後側縁部９２４０側に位置している。操作機構９の第１部材９０の凸部９０００は、差し込み部７の底面に平行して延びる回動部材８の側面部８０の基端側の下向き凹部８００内に位置している。回動部材８は、差し込み部７の底面（第２部材７１の底面７１１）に近接して水平姿勢で延びている。

【0060】

図２３は、図２２（Ａ）の部分拡大図である。図２３に示す姿勢において、操作機構９の第１部材９０の凸部９０００は、平面状の上面９０００Ａと、平面状の下面９０００Ｂと、先端側の第１垂直面９０００Ｃと、基端側の第２垂直面９０００Ｄと、から断面視方形状に形成されている。凸部９０００の上面９０００Ａと第１垂直面９０００Ｃとの角部が、回動部材８の基端側部位の摺接面８０１の湾曲部８０１０の凹部８００（凹部８００の底面８０００）に近い側に当接している。凸部９０００の上面９０００Ａと第２垂直面９０００Ｄとの角部が、凸部８０２の側面部８０２０に近接している。

【0061】

図２２（Ａ）の状態から操作機構９（スライダ９´）が先端側へ移動を開始すると、凸部９０００の上面９０００Ａと第１垂直面９０００Ｃとの角部が、回動部材８の基端側部位の摺接面８０１の湾曲部８０１０に摺接した状態で先端側へ移動することで、収納姿勢にある回動部材８が、その先端側が差し込み部７の底面（第２部材７１の底面７１１）から離れるように回動を開始し、図２２（Ｂ）の状態となる。図２４は、図２２（Ｂ）の部分拡大図であり、凸部９０００の上面９０００Ａと第１垂直面９０００Ｃとの角部が、摺接面８０１の湾曲部８０１０の中間部位に当接し、凸部９０００の上面９０００Ａと第２垂直面９０００Ｄとの角部が、凸部８０２の側面部８０２０に近接している。

【0062】

図２２（Ｂ）の状態から操作機構９（スライダ９´）がさらに先端側へ移動し、回動部材８がさらに回動して、図２２（Ｃ）の状態となる。図２５は、図２２（Ｃ）の部分拡大図であり、凸部９０００の上面９０００Ａの先端側部位に摺接面８０１の平面部８０１１の基端側部位が乗り上げた状態にある。

【0063】

図２２（Ｃ）の状態から操作機構９（スライダ９´）がさらに先端側に移動して第２の位置となると、回動部材８が作動姿勢となり、図２２（Ｄ）の状態となる。図２６は、図２２（Ｄ）の部分拡大図であり、凸部９０００は凹部８００から抜け出て、凸部９０００の上面９０００Ａに摺接面８０１の平面部８０１１が乗り上げた状態にある。この状態において、作動姿勢にある回動部材８を収納姿勢へ回動させる力が作用した場合であっても、回動部材８の回動基端側の摺接面８０１の平面部８０１１が凸部９０００の上面９０００Ａに押し付けられることで、回動部材８の回動は規制される。

【0064】

図２２（Ｄ）、図２６に示すように、凸部８０２の先端部８０２１は、差し込み部７の底面（第２部材７１の底面７１１）に近接している。この状態において、回動部材８が底面から離間する方向に回動しようとした場合には、回動部材８の回動基端側の凸部８０２の先端部８０２１が差し込み部７の底面（第２部材７１の底面７１１）に当接して、回動部材８のさらなる回動は規制される。

【0065】

作動姿勢にある回動部材８を収納する場合について説明する。図２２（Ｄ）の状態から操作機構９（スライダ９´）を基端側へ移動させると、凸部９０００が後方へ移動することで、上面９０００Ａが摺接面８０１の平面部８０１１に対して後方に移動して（図２２（Ｃ））、凸部９０００が凹部８００内に入り込み、上面９０００Ａと第２垂直面９０００Ｄとの角部が、凸部８０２の側面部８０２０に当接し（図２２（Ｂ）、図２４）、さらに、操作機構９（スライダ９´）が基端側へ移動することで、凸部９０００の上面９０００Ａと第２垂直面９０００Ｄとの角部が、凸部８０２の側面部８０２０に当接した状態（図２４）で後方に移動することで、回動部材８の基端側部位の凸部８０２を差し込み部７の底面（第２部材７１の底面７１１）から離間する方向に移動させ、回動部材８は差し込み部７の底面（第２部材７１の底面７１１）に沿って水平に延びる収納姿勢となり、操作機構９（スライダ９´）は第１の位置となる（図２２（Ａ））。

【0066】

操作機構９（スライダ９´）が第１の位置にある時には、収納姿勢にある回動部材８が作動姿勢となる方向に回動しようとしても、凸部９０００の上面９０００Ａと第２垂直面９０００Ｄとの角部が、凸部８０２の側面部８０２０に当接することで、回動部材９の収納姿勢が維持される。

【0067】

本実施形態において、差し込み部７と操作機構９（スライダ９´）のいずれか一方には嵌合突部が、他方には嵌合受部が設けてあり、回動部材８が作動姿勢まで回動した時に、嵌合突部と嵌合受部が嵌合して、回動部材８の作動姿勢を維持するようになっている。図示の態様では、差し込み部７の第２部材７１の底面７１１に嵌合受部７１１０が設けてあり、操作機構９の第１部材９０の底面９００の後側細幅部９００１、９００１間に位置する垂下片９１２に嵌合突部９００３が設けてあり、操作機構９の立ち上がり片９０１が、第３部材９２の水平面部９２０に形成した開口９２４の前側縁部９２４１に当接した時に、操作機構９（スライダ９´）に設けた嵌合突部９００３が、差し込み部７の底面に設けた嵌合受部７１１０に嵌合して、回動部材８の作動姿勢が維持される。また、回動部材８の収納姿勢時において、嵌合受部７１１０の先端部位と嵌合突部９００３の先端部位が当接して係止状態にあり、回動部材８の収納姿勢を保持するようになっている（嵌合受部７１１０を押し広げるような力が作用しないと第１の位置にあるスライダ´９は第２の位置へ移動しない）。

【0068】

差し込み部７は、ガイドレール３の溝部３５内に挿入された時に、スラット１０の面部１００の裏面に当接する当接面４０と、ガイドレール底壁３２に当接する当接部４１と、を備えている。より具体的には、端部ロック金具４´において、第１部材７０と第２部材７１の組立体からなる差し込み部７の底面には、全面に亘って当接部４０が形成されており、差し込み部７の先端（第１部材７０の先端面７０１）には、当接部４１が形成されている。当接部４０、当接部４１は、例えば、樹脂やゴム材等の弾性部材等から形成された緩衝層であり、当接部４０がスラット１０の面部１００の裏面、当接部４１がガイドレール３の底壁３２にそれぞれ当接する際の滑り止め機能及び傷付き防止機能を提供するようになっている。

【0069】

回動部材８は、差し込み部７がガイドレール３の溝部３５内に挿入された時に、作動姿勢となることでガイドレール３の第２側壁３１の内面に当接する当接部４２を備えている。本実施形態では、回動部材８の上面部８１の先端側の傾斜面８２に当接部４２が形成されている。当接部４２は、例えば、樹脂やゴム材等の弾性部材等から形成された緩衝層であり、当接部４２がガイドレール３の第２側壁３１の内面に当接する際の滑り止め機能及び傷付き防止機能を提供するようになっている。

【0070】

図８に示すように、スラット１０の長さ方向端部がガイドレール３の溝部３５からガイドレール内部に挿入された状態において、溝部３５には、スラット１０の裏面側と第２前辺３４の消音材３４０との間に位置して、耐風補強部材４の端部ロック金具４´の差し込み部７の先端側部位７Ａを差し入れる空間が形成されている。差し込み部７の先端側部位７Ａ（回動部材８が収納姿勢にある）の断面寸法（Ｄ２×Ｈ２）は、上記空間よりも小さいため、耐風補強部材４の端部ロック金具４´の差し込み部７の挿入作業性が良い。差し込み部７は先端の当接部４１がガイドレール３の底壁３２の内面に当接するまで差し込まれ、この時、先端側部位７Ａはガイドレール内部に位置することになる。

【0071】

耐風補強部材４の設置状態において、図４、図１７に示すように、開口部全閉状態のシャッターカーテン１の所定高さのスラット１０の裏面側に沿って延びる耐風補強部材４の横材（中央筒状部材５、端部筒状部材６）の長さ方向端部の端部ロック金具４´がガイドレール溝部３５からガイドレール内部に差し込まれて固定された状態において、当接部４１がガイドレール３の底壁３２の内面に当接し、回動部材８の当接部４２がガイドレール３の他方の側壁３１に当接しており、差し込み部７の当接部４０がスラット１０の面部１００の表面を、ガイドレール３の第１前辺３３に装着した消音材３３０に押し付けた状態となる。端部ロック金具４´は、スラット１０をガイドレール３の溝部３５の開口縁部（第１前辺３３に装着した消音材３３０）に押し付けた状態で、２つの当接部４１、４２が、それぞれ、ガイドレールの側壁３１の内面及び底壁３２の内面の２箇所でガイドレール３の内面に当接することで、ガイドレール内部に安定的に固定され、耐風補強部材の長さ方向端部の端部ロック金具４´がガイドレール３から外れ難くなっている。また、回動部材８の当接部４２は、ガイドレール３の内部空間において、側壁３１の底壁３２に近い位置に当接しているので、当接部４２から側壁３１に押圧力が作用しても、側壁３１が開き難くなっている。

【0072】

図１６を参照しつつ、本実施形態に係る耐風補強部材４の取り付け工程ないし耐風構造の設置方法について説明する。耐風補強部材４は開口部全閉状態のシャッターに取り付けるものであり、開口部開口状態の場合には、シャッターカーテン１を下降させて建物開口部を全閉して開口部全閉状態とする。耐風補強部材４を用意する。この時、耐風補強部材４の長さは、開口幅よりも短い長さであり、ノブボルト１２３は緩めた状態にあり、回動部材８は収納姿勢にある（図１６（Ａ））。

【0073】

開口部全閉状態において、所定高さに位置するスラット１０の裏面側において、幅方向中央部位の上側のインターロック部に、中央筒状部材５の引っ掛け部材１１を掛止させる。この時、中央筒状部材５及び端部筒状部材６の後面部５２、６２をスラット１０の面部１０の裏面に沿って延びている（図１６（Ｂ））。

【0074】

次いで、左右の端部筒状部材６を中央筒状部材５の両端から引き出す方向にスライド移動させて、端部ロック金具４´の差し込み部７を、ガイドレール３の溝部３５から、スラット１０の裏面側の空間に挿入し、差し込み部７の先端の当接部４１をガイドレール３の底壁３２の内面に当接させる（図１６（Ｃ））。

【0075】

次いで、摘み部９０３を掴んで、スライダ９´（作動体）を先端側（第１の位置から第２の位置）へスライド移動させることで、収納姿勢にある回動部材８を回動させて作動姿勢とし、回動部材８の先端側の当接部４２をガイドレール３の側壁３１の内面に当接させる（図１６（Ｄ）。この時、摘み部９０３が固定された立ち上がり片９０１は、開口９２４の前側縁部９２４１に当接し、嵌合突部９００３と嵌合受部７１１０が嵌合することで、回動部材８の作動姿勢が維持される。端部ロック金具４´は、スラット１０を第１前辺３３に装着した消音材３３０に押し付けた状態で、２つの当接部４１、４２が、ガイドレールの側壁３１の内面及び底壁３２の内面の２箇所でガイドレール３の内面に当接している。最後にノブボルト１２３を締めることで、横材の長さを固定する（図１６（Ｅ））。

【0076】

開口部全閉状態において、全閉姿勢のシャッターカーテン１の所定高さに位置するスラット１０に耐風補強部材４を取り付けることで、開口幅方向に延びる耐風補強部材４の横材（中央筒状部材５、端部筒状部材６）が当該スラット１０の裏面の略全幅に亘って延び、長さ方向両端部の端部ロック金具４´の当接部４０が当該スラット１０の裏面の長さ方向両端部に当接してガイドレール３の溝部３５の開口縁部（第１前辺３３に装着した消音材３３０）に押し付けて固定し、当接部４１、４２がガイドレール内部に当接することで固定され、シャッターカーテン１に作用する面圧に対抗するようになっている。

【0077】

図１７において、耐風補強部材４を取り付けたシャッターカーテン１に風圧が作用した時の耐風補強部材４の端部ロック金具４´の挙動を示す。上図は負圧が作用した状態、下図は正圧が作用した状態である。耐風補強部材４を設けたことで、風圧が作用した場合のスラット１０の変形を抑制でき、また、風圧によってスラット１０がある程度変形することで、端部ロック金具４´の姿勢も平面視において少し傾くことになるが、その場合であっても、端部ロック金具４´の当接部４２とガイドレール３の第２側壁３１の内面と当接状態が維持され、負圧が作用した場合（上図）には、スラット１０と消音材３３０（第１前辺３３）とが当接し（差し込み部７の側壁７００と消音材３４０は離間する）、正圧が作用した場合（下図）には、差し込み部７の側壁７００の傾斜縁部７０００の先端側あるいは先端側縁部７００１の基端側が消音材３４０（第２前辺３４）と当接ないし近接する（スラット１０と消音材３３０は離間する）ことで、端部ロック金具４´の固定状態が保持される。また、風圧でスラット１０が撓んだ場合には、耐風補強部材４も撓むので、撓みの程度によっては、端部ロック金具４´の当接部４１はガイドレール３の底壁３２の内面に当接し、あるいは、近接することになる。正圧の場合に、さらに風圧がかかると、回動部材８の基端側部位が消音材３４０に噛み込むように引っ掛かる。

【0078】

耐風補強部材４を取り外す時には、先ず、摘み部９０３を掴んで第２の位置（前側縁部９２４１に当接している）にある立ち上がり片９０１を第１の位置（後側縁部９２４０に当接する）に移動させることで、第２の位置にあるスライダ９´（作動体）を第１の位置に移動させる。この時、摺接面８０１に当接しているスライダ９´（作動体）の凸部９０００（作動部）が下向き凹部８００側に移動し、凸部８０２を先端から離れる方向に移動させることで、作動姿勢にある回動部材８は、先端側差し込み部７の底面に近づく方向に回動し、当該底面と略平行な収納姿勢となる。嵌合受部７１１０と嵌合突部９００３の嵌合状態も解除される。次いで、ノブボルト１２３を緩めて、端部筒状部材６の基端側を中央筒状部材５にスライド移動させて、差し込み部７の先端側部位７Ａをガイドレール３の溝部３５から引き抜くことで、耐風補強部材４を取り外すことができる。

【0079】

本実施形態では、第１の位置にある操作機構９（スライダ９´）を先端側に移動させることで、回動部材８を収納姿勢から作動姿勢へ回動させるようになっているが、図２７に示すように、第１の位置にある操作機構９（スライダ９´´）を基端側に移動させることで、回動部材８´を収納姿勢から作動姿勢へ回動させるようにしてもよい。

【0080】

図２７（Ａ）はスライダ９´´が第１の位置にあり、回動部材８´が収納姿勢にある状態を示し、（Ｂ）は（Ａ）の状態からスライダ９´´が基端側へ移動を開始し、収納姿勢にある回動部材８´が作動姿勢へ回動を開始する直前の状態を示し、（Ｃ）はスライダ９´´が第２の位置にあり、回動部材８´が作動姿勢にある状態を示す。回動部材８´は、基端側部位において、凹部８００´と、凹部８００´の基端側に位置する第１凸部８０１´と、凹部８００´の先端側に位置する第２凸部８０２´と、を備えている。また、凹部８００´の底面はフラット面となっている。スライダ９´´は、回動部材８´の基端側部位と連携する作動部としての凸部９０００´を備えている。

【0081】

図２７に示す姿勢に基づいて説明すると、図２７（Ａ）の状態において、第２凸部８０２´の上端にスライダ９´´の凸部９０００´の下面が当接しており、回動部材８´が作動姿勢へ回動することが規制されている。図２７（Ａ）の状態からスライダ９´´を基端側にスライド移動させると、凸部９０００´の後面が第１凸部８０１´の側面に当接し（図２７（Ｂ））、スライダ９´´をさらに基端側にスライド移動させると、回動部材８´が回動を開始し、スライダ９´´が第２の位置まで移動することで、回動部材８´が回動して作動姿勢となる（図２７（Ｃ））。図２７（Ｃ）の状態において、凸部９０００´の下面（フラット面）が凹部８００´の底面（フラット面）に面接触しており、凸部９０００´の後面の基端側が第１凸部８０１´の側面の基端側に当接しており、回動部材８´の作動姿勢が維持されている。第２の位置にある操作機構９（スライダ９´´）を先端側に移動させることに連動して、回動部材８´は作動姿勢から収納姿勢へと回動する。

【0082】

［付記］
第１の実施態様は、
開口幅方向に延び、長さが調整可能な横材と、
横材の長さ方向両端に設けられた端部ロック部と、
を備え、
前記端部ロック部は、
ガイドレール溝部に差し込まれる差し込み部と、
前記差し込み部に収納姿勢と作動姿勢との間で回動可能に設けた回動部材と、
を備えている、
開口部全閉状態のシャッターに取り付けられるシャッターの耐風補強部材である。

【0083】

１つの態様では、前記差し込み部は、前記耐風補強部材が取り付けられた時に、先端側部位がガイドレール内部に位置するようになっており、
前記先端側部位の見込寸法は、ガイドレール溝部の幅寸法よりも小さく、
前記回動部材は、収納姿勢時には前記差し込み部の先端側部位内に位置している。
１つの態様では、作動姿勢にある回動部材と前記差し込み部の先端側部位とからなる端部ロック部の見込寸法は、ガイドレール溝部の幅寸法よりも大きい。

【0084】

１つの態様では、前記差し込み部は、スラットに当接する第１当接部と、ガイドレール底壁の内面に当接可能な第２当接部と、を備えている。
１つの態様では、前記回動部材は、作動姿勢においてガイドレールの側壁の内面に当接可能な当接部を備えている。

【0085】

１つの態様では、前記端部ロック部は、前記回動部材を回動させる操作機構を備えている。
１つの態様では、前記操作機構は、
第１の位置と第２の位置との間で移動可能な作動体と、
前記作動体に設けられた操作部と、を備え、
前記作動体が第１の位置から第２の位置へ移動することに連動して回動部材が収納姿勢から作動姿勢へ回動し、前記作動体が第２の位置から第１の位置へ移動することに連動して回動部材が作動姿勢から収納姿勢へ回動するようになっており、
前記操作部を第１の位置から第２の位置へ移動させることで、第１の位置にある作動体を第２の位置へ移動させて、収納姿勢にある回動部材を作動姿勢へ回動させ、前記操作部を第２の位置から第１の位置へ移動させることで、第２の位置にある作動体を第１の位置へ移動させて、作動姿勢にある回動部材を収納姿勢へ回動させる。
１つの態様では、前記回動部材の作動姿勢を維持する保持手段を備えている。
１つの態様では、前記横材の長さ方向の所定部位には、スラットに掛止可能な引っ掛け部材が設けてある。
１つの態様では、前記横材は、第１横材と、第１横材の長さ方向一端に設けられた第２横材と、第１横材の長さ方向他端に設けられた第３横材と、からなり、第２横材及び第３横材は、第１横材に対してスライド移動かつ位置固定可能である。

【0086】

第２の実施態様は、
開口幅方向に延び、長さが調整可能な横材と、
横材の長さ方向両端に設けられた端部ロック部と、
を備えた耐風補強部材を用いたシャッターの耐風補強方法であって、
前記端部ロック部は、
ガイドレール溝部に差し込まれる差し込み部と、
前記差し込み部に収納姿勢と作動姿勢との間で回動可能に設けた回動部材と、
を備えており、
開口部全閉状態のシャッターカーテンから所定高さの１枚ないし複数枚のスラットを選択して、前記横材を開口幅より短い状態として、選択したスラットの面部に近接ないし当接させ、
前記横材を開口幅より短い状態から伸長させながら、前記回動部材が収納姿勢の状態で、前記差し込み部を前記ガイドレール溝部からガイドレール内部に差し込み、
ガイドレール内部において、回動部材を収納姿勢から作動姿勢へ回動させて、作動姿勢にある回動部材と前記差し込み部とからなる端部ロック部の見込寸法をガイドレール溝部の幅寸法よりも大きくする、
シャッターの耐風補強方法、である。
１つの態様では、前記回動部材を収納姿勢から作動姿勢へ回動させて、ガイドレールの側壁の内面に当接させる。

【0087】

第３の実施態様は、
複数枚のスラットを高さ方向に連結してなり、下端に座板を備えたシャッターカーテンと、
建物開口部の幅方向両端に位置して、当該建物開口部の全高に延びる左右のガイドレールと、
を備えたシャッターにおいて、
開口部全閉状態にあるシャッターカーテンの所定高さのスラットに耐風補強部材が取り付けられており、
スラットの長さ方向端部はガイドレール内部に位置しており、
前記耐風補強部材は、
スラットの第１面に沿って開口幅方向に延びる横材と、
横材の長さ方向両端に設けられた端部ロック部と、
を備え、
前記端部ロック部は、
ガイドレール溝部からスラットの長さ方向端部の第１面側に位置してガイドレール内部に差し込まれる差し込み部と、
前記差し込み部に収納姿勢と作動姿勢との間で回動可能に設けた回動部材と、
を備えており、
前記耐風補強部材が取り付けられた状態において、
前記横材が前記スラットの第１面に沿って開口幅方向に延び、
作動姿勢にある前記回動部材と前記差し込み部とからなる端部ロック部のガイドレール内部における見込寸法がガイドレール溝部の幅寸法よりも大きい、
シャッターの耐風構造、である。

【0088】

１つの態様では、前記ガイドレールは、第１側壁と、第２側壁と、底壁と、第１側壁の前側に形成された第１開口縁部と、第２側壁の前側に形成された第２開口縁部と、第１開口縁部と第２開口縁部との間に形成されたガイドレール溝部と、を備え、
前記差し込み部は、第１側部位がスラットの長さ方向端部の第１面に当接し、第２側部位が前記ガイドレールの第２開口縁部及び前記第２側壁の内面に面しており、
前記回動部材は、作動姿勢において前記ガイドレールの第２側壁の内面に当接可能となっており、
シャッターカーテンに作用する風圧に応じて、前記スラットの長さ方向端部の第２面が前記第１開口縁部に当接可能、あるいは、前記差し込み部の前記第２側部位が前記第２開口縁部に当接可能となっている。
１つの態様では、前記差し込み部は、前記スラットの第１面に当接する第１当接部と、前記ガイドレールの底壁の内面に当接可能な第２当接部と、を備え、
前記回動部材は、作動姿勢において前記ガイドレールの第２側壁の内面に当接する当接部を備えており、
スラットに第１面側から風圧が作用した場合には、
前記差し込み部の前記第１当接部が前記スラットの第２面をガイドレール溝部の第１開口縁部に当接させ、前記第２当接部がガイドレールの底壁の内面に当接ないし近接し、前記回動部材の前記当接部がガイドレールの第２側壁の内面に当接する。
１つの態様では、前記差し込み部は、前記スラットの第１面に当接する第１当接部と、前記ガイドレールの底壁の内面に当接可能な第２当接部と、を備え、
前記回動部材は、作動姿勢において前記ガイドレールの第２側壁の内面に当接する当接部を備えており、
スラットに第２面側から風圧が作用した場合には、
前記差し込み部の前記第２側部位がガイドレール溝部の第２開口縁部に当接し、前記第２当接部がガイドレールの底壁の内面に当接ないし近接し、前記回動部材の前記当接部がガイドレールの前記第２側壁の内面に当接ないし近接する。

【0089】

本実施形態に係る耐風補強部材の端部ロック部は、ガイドレール溝部に差し込まれる差し込み部と前記差し込み部に回動可能に設けた回動部材とを備え、前記差し込み部は、スラットに当接する第１当接部とガイドレール底壁の内面に当接する第２当接部とを備え、前記回動部材は、作動姿勢においてガイドレールの側壁の内面に当接する当接部を備えているので、差し込み部のガイドレール溝部への差し込み時には、回動部材を収納姿勢とすることで差し込み作業を容易とし、差し込み部の差し込み後に、回動部材を回動させて前記当接部をガイドレールの側壁の内面に当接させることで、端部ロック部をスラットの長さ方向端部及びガイドレール内部に３箇所（差し込み部の第１当接部、第２当接部、回動部材の当接部）で固定することができ、耐風補強部材の取付作業性及び取付安定性を向上させることができる。

【符号の説明】

【0090】

１ シャッターカーテン
１０ スラット
１００ 面部
１０００ 垂直部分
１００１ 上側傾斜部
１００２ 下側傾斜部
１０３ インターロック連結部
３ ガイドレール
３２ 底壁
３５ 溝部
４ 耐風補強部材
４´ 端部ロック金具（端部ロック部）
５ 中央筒状部材（横材、第１横材）
５０ 上面部（上面）
５１ 下面部
５２ 後面部
５２０ 上側傾斜部
５２１ 下側傾斜部
５３ 前面部
５８ 長さ方向端縁
６ 端部筒状部材（横材、第２横材、第３横材）
６７ ストッパ（内方当接手段、内方被当接部）
６８ ストッパ（外方当接手段、外方被当接部）
７ 差し込み部
７Ａ 先端側部位
７０ 第１部材
７０２ 底面（差し込み部の底面、差し込み部の第１側部位）
７０３ 立ち上がり壁（端部ロック部の基端部）
７０００ 傾斜縁部（差し込み部の第２側部位）
７００１ 先端側縁部（差し込み部の第２側部位）
７１ 第２部材
７１１ 底面（差し込み部の底面、差し込み部の第１側部位）
７１１０ 嵌合受部（保持手段）
７２ 第３部材
８ 回動部材
８´ 回動部材
８０ 側面部
８００ 凹部
８０１ 摺接面
８０１０ 湾曲部
８０１１ 平面部
８０２ 凸部
８０２０ 側面部
８０２１ 先端部
９ 操作機構
９０３ 摘み部（操作部）
９´スライダ（作動体）
９´´ スライダ（作動体）
９０００ 凸部（作動部）
９０００´ 凸部（作動部）
９００３ 嵌合突部（保持手段）
１１ 引っ掛け部材
１１０ 上片（掛止部）
１１１ 垂直片（掛止部）
１１２ 上側垂直面（掛止部）
１１３ 中間水平片（水平片、ベース）
１１４ 上側傾斜片（ベース）
１１５ 下側垂直面（垂直面、ベース）
１１６ 下側傾斜片（ベース）
１１７ リベット（止着部材）
１２ 連結固定片
１２０ 板状部
１２１Ａ 折曲片（内方当接手段、内方当接部）
１２１Ｂ 折曲片（外方当接手段、外方当接部）
１２´ 連結固定片
１２０´ ブロック体
１２１Ａ´ 側面（内方当接手段、内方当接部）
１２１Ｂ´ 側面（外方当接手段、外方当接部）
Ｇ 隙間

【図1】

【図1A】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図7A】

【図7B】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】