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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】シート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/18 20060101AFI20240918BHJP
   B65H 37/06 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
B65H45/18
B65H37/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020198387
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2021104894
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2023-11-27
(31)【優先権主張番号】P 2019236595
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 卓哉
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-056674(JP,A)
【文献】特開2012-041129(JP,A)
【文献】特開2012-224451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00,5/04,5/08-5/20,
5/24-5/38,29/52,37/00-37/06,
41/00,45/00-47/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの複数箇所に折り処理を施し、シートの一方端が折られたシートの内側にあるように折り処理を行うシート処理装置において、
所定の搬送方向に搬送されるシートをガイドするガイド面を有する搬送路と、
前記搬送路に搬送されたシートをニップ部で挟持して回転することによりシートを引き込んで折り処理を行う第1の方向と、前記折り処理が施されたシートを引き込んだ方向と反対の方向にスイッチバックして第2の方向にシートを搬送可能な回転体対と、
前記搬送路に搬送されたシートを前記回転体対のニップ部に向けて突き出す突き出し部材と、
前記回転体対で折り処理が施され前記第2の方向に搬送されるシートを、前記搬送方向と前記搬送方向と反対の方向とのどちらか一方である一方向側に向けて押圧する押圧部材と、
前記押圧部材を支持する支持部と、
を備え、
前記支持部は、前記搬送路を挟んで前記回転体対と反対側で、かつ、前記ニップ部と前記突き出し部材の先端部とを結ぶニップ線を挟んで前記搬送方向における前記一方向側と反対側の他方向側に配置されていることを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
シートの複数箇所に折り処理を施し、シートの一方端が折られたシートの内側にあるように折り処理を行うシート処理装置において、
所定の搬送方向に搬送されるシートをガイドするガイド面を有する搬送路と、
前記搬送路に搬送されたシートを引き込む第1の方向と、引き込んだシートを引き込んだ方向と反対の方向にスイッチバックして第2の方向にシートを搬送可能な搬送手段と、
前記搬送路に搬送されたシートをニップ部で挟持して回転することにより、前記シートに折り処理を行う回転体対と、
前記搬送路に搬送されたシートを前記回転体対のニップ部に向けて突き出す突き出し部材と、
前記回転体対で折り処理が施され前記第2の方向に搬送されるシートを、前記搬送方向と前記搬送方向と反対の方向とのどちらか一方である一方向側に向けて押圧する押圧部材と、
前記押圧部材を支持する支持部と、
を備え、
前記支持部は、前記搬送路を挟んで前記回転体対と反対側で、かつ、前記ニップ部と前記突き出し部材の先端部とを結ぶニップ線を挟んで前記搬送方向における前記一方向側と反対側の他方向側に配置されていることを特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記支持部を支点に回動可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記支持部は、前記回転体対のうちの前記ニップ線を挟んで前記他方向側に配置された回転体の回転軸を通る前記ニップ線と平行な線と、前記ニップ線との間に配置されていることを特徴とする請求項3記載のシート処理装置。
【請求項5】
シートに画像形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置から送られたシートを折り処理するシート処理装置と、
を有し、
前記シート処理装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシート処理装置であることを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
シートの複数箇所に折り処理を施し、シートの一方端が折られたシートの内側にあるように折り処理を行うシート処理装置において、
所定の搬送方向に搬送されるシートをガイドするガイド面を有する搬送路と、
前記搬送路に搬送されたシートをニップ部で挟持して回転することにより、シートを引き込んで折り処理を行う第1の方向と、前記折り処理が施されたシートを引き込んだ方向と反対の方向にスイッチバックして第2の方向にシートを搬送可能な回転体対と、
前記搬送路に搬送されたシートを前記回転体対のニップ部に向けて突き出す突き出し部材と、
前記回転体対で折り処理が施され前記第2の方向に搬送されるシートを、前記搬送方向と前記搬送方向と反対の方向とのどちらか一方である一方向側に向けて向きを変更する方向変更部材と、
前記方向変更部材を支持する支持部と、
を備え、
前記支持部は、前記搬送路を挟んで前記回転体対と反対側で、かつ、前記ニップ部と前記突き出し部材の先端部とを結ぶニップ線を挟んで前記搬送方向における前記一方向側と反対側の他方向側に配置されていることを特徴とするシート処理装置。
【請求項7】
シートの複数箇所に折り処理を施し、シートの一方端が折られたシートの内側にあるように折り処理を行うシート処理装置において、
所定の搬送方向に搬送されるシートをガイドするガイド面を有する搬送路と、
前記搬送路に搬送されたシートを引き込む第1の方向と、引き込んだシートを引き込んだ方向と反対の方向にスイッチバックして第2の方向にシートを搬送可能な搬送手段と、
前記搬送路に搬送されたシートをニップ部で挟持して回転することにより、前記シートに折り処理を行う回転体対と、
前記搬送路に搬送されたシートを前記回転体対のニップ部に向けて突き出す突き出し部材と、
前記回転体対で折り処理が施され前記第2の方向に搬送されるシートを、前記搬送方向と前記搬送方向と反対の方向とのどちらか一方である一方向側に向けて向きを変更する方向変更部材と、
前記方向変更部材を支持する支持部と、
を備え、
前記支持部は、前記搬送路を挟んで前記回転体対と反対側で、かつ、前記ニップ部と前記突き出し部材の先端部とを結ぶニップ線を挟んで前記搬送方向における前記一方向側と反対側の他方向側に配置されていることを特徴とするシート処理装置。
【請求項8】
前記方向変更部材は、前記支持部を支点に回動可能であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のシート処理装置。
【請求項9】
前記支持部は、前記回転体対のうちの前記ニップ線を挟んで前記他方向側に配置された回転体の回転軸を通る前記ニップ線と平行な線と、前記ニップ線との間に配置されていることを特徴とする請求項8記載のシート処理装置。
【請求項10】
シートに画像形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置から送られたシートを折り処理するシート処理装置と、
を有し、
前記シート処理装置は、請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載のシート処理装置であることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像形成装置から送られたシートを折り処理するためのシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機器等の画像形成装置から排出されるシートの後処理として、シート束を冊子状に折り処理するシート処理装置が提供されている。例えば、画像形成装置からシートスタッカに搬出されるシートの所定位置を突き板で折り曲げて折りローラ対のニップ部に押し込み、該折りローラ対で搬送しながら二つ折りにするシート処理装置が知られている。
【0003】
シートに折り処理を行うシート処理装置の中には、二つ折りのみならず、シートの異なる2箇所に折り処理を施し、シートの一方側の端部が折られたシートの内側にあるように折る内三つ折り処理を実行するシート処理装置がある。
【0004】
前記内三つ折り処理にあたり、シートをスイッチバック搬送するときに、シート端部にカール等が生じていると前記端部においてめくれが生じ、適正な状態でスタッカに戻されないことがある。これを防止するために、スイッチバックするシート経路にめくれ防止部材を揺動可能に設け、このめくれ防止部材を揺動させることでスイッチバック搬送されるシートの端部をスタッカに導くようにした構成が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-56674号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載の構成では、シートのスイッチバック搬送する折りローラの逆転駆動とともに、前記めくれ防止部材をスイッチバック搬送されるシート端に対して対向する方向から揺動させる構成である。このため、めくれ防止部材の面が垂直に近い角度で接触すると、シート端に衝突してダメージが発生するおそれがある。
【0007】
また、前記シート端部が折りローラ側にカール変形している場合、めくれ防止部材がシートのカールした端部を折りローラ側に押し込むようになり、シートを的確にスイッチバック搬送できなくなるおそれがある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、折り処理を行うシートのスイッチバック搬送を的確に行うことを可能とするシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、シートの複数箇所に折り処理を施し、シートの一方端が折られたシートの内側にあるように折り処理を行うシート処理装置において、所定の搬送方向に搬送されるシートをガイドするガイド面を有する搬送路と、前記搬送路に搬送されたシートをニップ部で挟持して回転することによりシートを引き込んで折り処理を行う第1の方向と、前記折り処理が施されたシートを引き込んだ方向と反対の方向にスイッチバックして第2の方向にシートを搬送可能な回転体対と、前記搬送路に搬送されたシートを前記回転体対のニップ部に向けて突き出す突き出し部材と、前記回転体対で折り処理が施され前記第2の方向に搬送されるシートを、前記搬送方向と前記搬送方向と反対の方向とのどちらか一方である一方向側に向けて押圧する押圧部材と、前記押圧部材を支持する支持部と、を備え、前記支持部は、前記搬送路を挟んで前記回転体対と反対側で、かつ、前記ニップ部と前記突き出し部材の先端部とを結ぶニップ線を挟んで前記搬送方向における前記一方向側と反対側の他方向側に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にあっては、押圧部材を支持する支持部を所定の領域に配置したことにより、スイッチバック搬送されるシートの端部を的確にスイッチバックする搬送路へと押圧して案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の画像形成システムの全体構成の説明図。
図2】画像形成システムにおけるシート処理装置の全体構成の説明図。
図3】シート処理装置の折り処理装置を示す断面図。
図4】シート折り処理装置を示す平面図。
図5】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図。
図6】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図。
図7】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図。
図8】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図。
図9】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図。
図10】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図。
図11】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図。
図12】シート折り処理装置の一部斜視図。
図13】折りローラ対と折りブレード及び押圧ガイド部材の配置説明図。
図14】(a)(b)(c)押圧ガイド部材の動作説明図
図15】(a)(b)は折りブレード及びブレードガイド部材の動作の断面説明図。
図16】(a)(b)は折りブレード及びブレードガイド部材の動作の断面説明図。
図17】(a)(b)は折りブレード及びブレードガイド部材の動作の断面説明図。
図18】(a)(b)は折りブレード及びブレードガイド部材の動作の断面説明図。
図19】(a)(b)は折りブレード及びブレードガイド部材の動作の断面説明図。
図20】シート折り処理装置における折り動作の制御ブロック図。
図21】シート折り処理装置における折り動作のフローチャート。
図22】シート折り処理装置における折り動作のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態に係るシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムについて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るシート処理装置を備えた画像形成システムの全体構成を概略的に示している。同図に示すように、画像形成システム100は、画像形成装置Aと、これに併設されるシート処理装置Bとから構成される。
【0013】
<画像形成装置の全体構成>
画像形成装置Aは、画像形成ユニットA1とスキャナーユニットA2とフィーダーユニットA3とで構成される。画像形成ユニットA1は、装置ハウジング1の内部に給紙部2と画像形成部3と排紙部4とデータ処理部5とを備えている。
【0014】
給紙部2は、それぞれ異なるサイズの画像形成用シートを収納する複数のカセット機構2a,2b,2cで構成され、図示しない本体制御部から指定されたサイズのシートを給紙経路2fに繰り出す。各カセット機構2a,2b,2cは給紙部2から着脱可能に設置され、それぞれ内部のシートを1枚ずつ分離する分離機構と、シートを繰り出す給紙機構とが内蔵されている。給紙経路2fには、各カセット機構2a,2b,2cから供給されるシートを下流側に給送する搬送ローラと、経路端部には各シートを先端揃えするレジストレーションローラ対とが設けられている。
【0015】
給紙経路2fには、大容量カセット2dと、手差しトレイ2eとが接続されている。大容量カセット2dは、大量に消費するサイズのシートを収納するオプションユニットで構成される。手差しトレイ2eは、分離給送が困難な厚紙シート、コーティングシート、フィルムシートなどの特殊シートを供給可能なように構成される。
【0016】
画像形成部3は、本実施形態では電子写真方式を用いて構成されており、回転する感光ドラム3aと、その周囲に配置された、光学ビームを発光する発光器3b、現像器3c、クリーナー(図示せず)とを備えている。図示のものはモノクロ印刷機構であり、周面を一様に帯電した感光ドラム3aに発光器3bにより画信号に応じた光照射をして光学的に潜像を形成し、この潜像に現像器3cでトナーを付着させることでトナー像を形成する。
【0017】
上記感光ドラム3aに画像形成するタイミングに合わせて、給紙経路2fからシートを画像形成部3に送り、転写帯電器3dから転写バイアスの印加することによって感光ドラム3aに形成したトナー像をシート上に転写する。トナー像が転写されたシートは、定着器6を通過するときに加熱、加圧されてトナー像が定着され、排紙ローラ4aにより排紙口4bから排紙され、後述するシート処理装置Bに搬送される。
【0018】
スキャナーユニットA2は、画像原稿を載置するプラテン7aと、このプラテン7aに沿って往復動するキャリッジ7bと、光電変換手段7cと、前記キャリッジ7bによるプラテン7a上の原稿からの反射光を光電変換手段7cに案内する縮小光学系7dとを備える。光電変換手段7cは、縮小光学系7dからの光学出力を画像データに光電変換して、電気信号として画像形成部3へ出力する。
【0019】
また、スキャナーユニットA2は、フィーダーユニットA3から送られてくるシートを読み取るために、走行プラテン7eを備えている。フィーダーユニットA3は、原稿シートを積載する給紙トレイ8aと、この給紙トレイ8aから送り出した原稿シートを走行プラテン7eに案内する給紙経路8bと、走行プラテン7eを通過した原稿シートを収納する排紙トレイ8cで構成される。給紙トレイ8aからの原稿シートは、走行プラテン7eを通過する際に、キャリッジ7bと縮小光学系7dとで読み取られる。
【0020】
<シート処理装置の全体構成>
次に画像形成装置Aから送られてくるシートを後処理するシート処理装置Bの全体構成について説明する。
【0021】
図2は本実施形態に係るシート処理装置Bの構成説明図である。シート処理装置Bは、画像形成装置Aからのシートを導入するための搬入口10を設けた装置ハウジング11を備える。装置ハウジング11は、搬入口10を像形成装置Aの排紙口4bに連通させるように、画像形成装置Aのハウジング1に位置を合わせて配置される。
【0022】
シート処理装置Bは、搬入口10から導入されるシートを搬送するシート搬入経路12と、シート搬入経路12から分岐される第1排紙パス13a、第2排紙パス13b及び第3排紙パス13cと、第1経路切換手段14aと、第2経路切換手段14bとを備える。第1経路切換手段14a及び第2経路切換手段14bは、それぞれシート搬入経路12を搬送されるシートの搬送方向を変更するフラッパガイドで構成されている。
【0023】
第1経路切換手段14aは、図示しない駆動手段によって、搬入口10からのシートをそのまま横方向に搬送する第1排紙パス13a及び下方へ搬送する第2排紙パス13bの方向に案内するモードと、上方へ搬送する第3排紙パス13cに案内するモードとに切り換える。第1排紙パス13aと第2排紙パス13bとは、一旦第1排紙パス13aに導入されたシートを、搬送方向を反転させて第2排紙パス13bにスイッチバック搬送することが可能なように連通している。
【0024】
第2経路切換手段14bは、シート搬入経路12を搬送されるシートの搬送方向に関して、第1経路切換手段14aの下流側に配置されている。第2経路切換手段14bは、同じく図示しない駆動手段によって、第1経路切換手段14aを通過したシートを第1排紙パス13aに導入するモードと、一旦第1排紙パス13aに導入されたシートを第2排紙パス13bにスイッチバック搬送するモードとに切り換える。
【0025】
シート処理装置Bは、それぞれ異なる後処理を行う第1処理部B1、第2処理部B2、第3処理部B3を備える。更にシート搬入経路12には、搬入されたシートにパンチ穴を穿孔するパンチユニット15が配置されている。
【0026】
第1処理部B1は、シート搬入経路12を搬送されるシートの搬送方向に関して、第1排紙パス13aの下流端の排紙口16aから搬出された複数のシートを集積し、部揃えして綴じ処理し、装置ハウジング11の外側に設けられた積載トレイ16bに排出する綴じ処理部である。また、第1処理部B1は、シート又はシート束を搬送するシート搬送装置16cと、シート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット16dとを備える。第1排紙パス13aの下流端には、排紙口16aからシートを排出するため、及び第1排紙パス13aから第2排紙パス13bにスイッチバック搬送するための排出ローラ対16eが設けられている。
【0027】
第2処理部B2は、第2排紙パス13bからスイッチバック搬送されてくる複数のシートをシート束にし、該シート束を綴じ処理した後、折り処理を行う折り処理部である。後述するように、第2処理部B2は、搬入されたシート又はシート束を折り処理する折り処理装置Fと、第2排紙パス13bに搬送されるシートのシート搬送方向に沿って該折り処理装置Fの直ぐ上流側に配置されて、シート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット17aとを備える。折り処理されたシート束は、排出ローラ17bによって、装置ハウジング11の外側に設けられた積載トレイ17cに排出される。
【0028】
第3処理部B3は、第3排紙パス13cから送られてくるシートを、搬送方向に直交するシート幅方向に所定量オフセットさせて集積するグループと、オフセットさせることなく集積するグループとに区分けするジョグ仕分けを行う。ジョグ仕分けしたシートは、装置ハウジング11の外側に設けられた積載トレイ18に排出され、オフセットされたシート束とオフセットされないシート束とが積み上げられる。
【0029】
図3は、第2処理部B2の全体構成を概略的に示している。上述したように、第2処理部B2は、第2排紙パス13bから搬入され、集積して部揃えしたシート束を2つ折りに折り処理する折り処理装置Fと、折り処理前のシート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット17aとを備える。図示される綴じ処理ユニット17aは、ステープル針を打ち込んでシート束を綴じるステープラ装置である。
【0030】
折り処理装置Fにシートを搬入するために、第2排紙パス13bにシート搬送路20が接続されている。第2排紙パス13bからシート積載トレイ21に搬送されるシートの搬送方向に関して、シート搬送路20の下流側には、該シート搬送路の一部を構成するシート積載トレイ21が、折り処理するシートを位置決めして積載するために設けられている。シート積載トレイ21の直ぐ上流側には、シート搬送路20を挟んで綴じ処理ユニット17aとその針受け部17dとが対向位置に設けられている。
【0031】
シート積載トレイ21の一方の側には、折り回転体対としての折りローラ対22が、前記シート積載トレイに積載されるシート又はシート束の一方の面に対向するように配設されている。折りローラ対22は、互いにローラ面を圧接させた一対の折りローラ22a,22bからなり、その圧接部であるニップ部22cがシート積載トレイ21に向けて配置されている。折りローラ22a,22bは、シート積載トレイ21に上方の上流側から下方の下流側へ搬入されるシートの搬入方向に沿って上流側と下流側に、それぞれシート積載トレイ21との間隔を略等しくして並置されている。なお、本発明において、前記折り回転体対の回転部は、本実施形態の折りローラ22a,22bに限定されず、回転ベルトなどで構成することができる。更に、折りローラ対22は、各折りローラ22a,22bの軸方向に沿ってそれぞれ複数の折りローラ(回転体)を直列に連続配置して構成することができる。
【0032】
本実施形態の折りローラ対22の各折りローラ22a,22bは、図3に示すように、そのローラ周面が、それぞれ回転軸22a1,22b1の回転軸心を中心に半径R1が一定である第1ローラ面22a2,22b2と、前記回転軸の回転軸心からの距離が前記第1ローラ面の半径R1より小さい第2ローラ面22a3,22b3とを有する。第1ローラ面22a2,22b2は、通常のローラ面と同様に、摩擦係数が比較的高いゴム材料等で形成されている。これに対し、第2ローラ面22a3,22b3は、摩擦係数が第1ローラ面22a2,22b2より小さいプラスチック樹脂材料等で形成されている。
【0033】
折りローラ22a,22bの回転軸22a1,22b1は、共通の駆動モータ等の駆動手段によって回転駆動される。それにより、互いに第1ローラ面22a2,22b2及び第2ローラ面22a3,22b3の回転位置を常に同期させることができる。
【0034】
シート積載トレイ21を挟んで折りローラ対22の反対側には、突き出し部材としての折りブレード23が配置されている。折りブレード23は、その先端を折りローラ対22のニップ部22cに向けて、ブレードキャリア24に担持されている。ブレードキャリア24は、カム部材等で構成した移動手段によってシート積載トレイ21を略直角に横断する向きに、即ち第2排紙パス13bからシート積載トレイ21に搬送されるシートの搬送方向と交差する向きに、走行可能に設けられている。
【0035】
図3における前後方向、即ち前記折りローラの軸線方向に、ブレードキャリア24を挟んでその両側には、一対の互いに鏡面対称の偏心カムからなるカム部材25(図中には、一方のみを表示)が対向位置に設けられている。カム部材25は、その偏心位置に設けられた回転軸25aを中心に、駆動モータ等の駆動手段によって回動する。カム部材25には、その外周縁に沿ってカム溝25bが形成されている。
【0036】
ブレードキャリア24には、カムフォロワとして、カム溝25bに摺動自在に嵌合するカムピン24cが設けられている。
【0037】
ブレードキャリア24は、駆動モータによりカム部材25を回転させるとシート積載トレイ21に接近又は離反する向きに往復走行する。これによって、図3に示すように、折りブレード23の先端がシート積載トレイ21により形成されるシート搬送路に進入していない位置である初期位置と、折りローラ対22のニップ部22cに挟まれる最大突き出し位置との間で、前記両位置を結ぶ突き出し経路に沿って、折りブレード23を直線状に進退自在に移動させることができる。
【0038】
シート積載トレイ21の下端には、搬入されたシートの搬送方向の先端を当接させて規制するための規制ストッパ26が配置されている。規制ストッパ26は、シート昇降機構27によって、シート積載トレイ21に沿って昇降可能に設けられている。
【0039】
本実施形態のシート昇降機構27は、シート積載トレイ21の裏側で折りブレード23の先端がシート積載トレイ21により形成されるシート搬送路に進入していない位置である初期位置ある時のブレードキャリア24の下方に配置され、該シート積載トレイ21に沿ってその上端及び下端付近に配置された一対のプーリ27a,27bと、前記両プーリに巻き掛けられた伝動ベルト27cとからなるコンベアベルト機構である。規制ストッパ26は、伝動ベルト27c上に固定されている。駆動側のプーリ27a又は27bを駆動モータ等の駆動手段により回転させることによって、規制ストッパ26が、図3に示す下端位置と所望の高さ位置との間を昇降し、それによりシート積載トレイ21に沿ってシート又はシート束を移動させることができる。
【0040】
また、本実施形態の折り処理装置Fは、シート積載トレイ21に搬入されるシートの側縁を揃えて整合させるためのシート側部整合機構を更に備えている。このシート側部整合機構は、図4に示すように、シート積載トレイ21のシート幅方向(シート搬送方向と直交する方向)の両側に対称に配置された一対のシート側部整合部材28a,28bを有する。なお、図4は折り処理装置Fを上方から見た平面模式図である。前記シート側部整合部材28a,28bは、シート幅方向に相対的に接近離反し得るように移動可能に保持されている。シート積載トレイ21に搬送され、先端が規制ストッパ26に突き当たったシートに対し、前記シート側部整合部材28a,28bを移動させることでシートの幅方向の位置が整合されるものである。
【0041】
<内三つ折り処理>
本実施形態のシート処理装置Bは、折り処理装置Fによってシート搬送路となるシート積載トレイ21に搬送されたシートを内三つ折り処理することが可能となっている。内三つ折り処理とは、1回目の折り処理によってシートを二つ折りし、そのシートに対して最初の折り位置とは異なる箇所で2回目の折り処理をするときに、1回目の折り処理によって折られたシートの一方側の端部が2回目の折り処理によって折られたシートの内側に折り込まれるようにして三つ折りする処理である。ここで、本実施形態の折り処理装置Fにより内三つ折り処理をするときの概略動作について、図5乃至図11を参照して説明する。図5乃至図11は内三つ折り処理を実行したときのシートSの流れに沿った各部の動きを断面模式図で示している。
【0042】
本実施形態のシート積載トレイ21は鉛直方向に対して傾いて形成されており、シートSは一方側の面がシート積載トレイ21を形成するガイド面21aにガイドされながらシート先端S1を下にシート後端S2が上になって落下するように搬送され、シート先端が規制ストッパ26に付き当てられて停止する(図5(a))。このとき、規制ストッパ26の位置は、シート先端S1が突き当てられたシートSへの、1回目の折り位置が折りブレード23と対向する位置となるように配置されている。折りブレード23は、シート積載トレイ21のガイド面21aの側から、折りローラ対22に向かってシートSを突き出す位置に配置されている。言い換えると、シート積載トレイ21のガイド面21aと折りローラ対22とは、シートSを挟んで対応する位置となるように配置されている。
【0043】
この状態で前述したシート側部整合部材28a,28bによってシート幅方向の位置を整合した後、折りブレード23を動作させてシートSを2つ折りにするとともに、その折り部を折りローラ対22のニップ部22cへ突き出す(図5(b))。前記折りブレード23の突き出し動作と同期して折りローラ対22及び排出ローラ17bを正転駆動してシートSを折りローラ対22及び排出ローラ17bに引き込む。これによりシートSは折りローラ対22のニップ部により押圧されて1回目の折り処理が行われる(図6(a))。
【0044】
次に2回目の折処理を行うために、1回目の折り処理が行われたシート後端S2が所定位置に達した時点でシート搬送を停止し(図6(b))、折りローラ対22及び排出ローラ17bを逆転駆動してスイッチバック搬送処理を実行する。前記シート後端S2は、シートを内三つ折り処理するときに、2回目の折り処理によって折られたシートの内側に折り込まれる端部(以下「折込端部」という)となる。そして、スイッチバック搬送処理をするときに、前記折込端部S2をL字形状の押圧ガイド部材30によって下方(シート先端S1があるシート積載トレイ21の方向)へ押し下げ(図7(a))、かつ押圧ガイド部材30によって再びシート積載トレイ21の規制ストッパ26が配置されている方向に搬送されるシートSをガイドする(図7(b))。なお、この押圧ガイド部材30の構成及び動作については後で詳細に説明する。
【0045】
スイッチバック搬送によりシートSの先端が予めシート受け入れ位置に移動している規制ストッパ26に到達すると(図8(a))、押圧ガイド部材30を退避位置に戻した後に逆搬送ガイド位置へ移動させ(図8(b))、規制ストッパ26を移動させて2回目の折り位置が折りブレード23と対向する位置へ移動させる(図9(a))。そして、移動完了後に押圧ガイド部材30をシート積載トレイ21のガイド面21aと平行になるガイド位置に移動させる(図9(b))。
【0046】
次に再度折りブレード23を動作させてシートSを折りローラ対22のニップ部22cに突き出す(図10(a))。このとき、折りブレード23の上部に配置された突き出しガイド部材であるブレードガイド部材40が突出することによってシートの折込端部S2が前記ニップ部22cに押し込まれるようにガイドされる(図10(b))。なお、このブレードガイド部材40の構成及び動作についても後で詳述する。
【0047】
折りブレード23の突き出しにより折りローラ対22へ送られたシートSは、ニップ部22cを通過することで2回目の折り処理が施され(図11(a))、内三つ折りされたシートSが排出ローラ17bによって排出される(図11(b))。
【0048】
<押圧ガイド部材>
次に前述した押圧部材である押圧ガイド部材30について、図12乃至図14を参照して説明する。なお、図12は折り処理装置Fについて、押圧ガイド部材30を露出させた状態の斜視図であり、図13は押圧ガイド部材30の回動軌跡と他の部材との関係を示す図である。図14は押圧ガイド部材30の動作説明図である。
【0049】
(押圧ガイド部材の形状)
押圧ガイド部材30は、1回目の折り処理が実行されたシートをスイッチバック搬送する際に、シートの折込端部S2を下方へ押圧するとともに、シート積載トレイ21へ搬送されるようにガイドするものである。言い換えると、押圧ガイド部材30は、1回目の折り処理が実行されたシートをスイッチバック搬送する際に、シートの折込端部S2をシート積載トレイ21のシート先端S1がある方向へ、向きを変更する方向変更部材でもある。
【0050】
押圧ガイド部材30は、図12(及び図4参照)に示すように、シート積載トレイ21のガイド面21aにガイドされたシートSを挟んで、折りローラ対22が配置されている側と反対側に配置されている。そして、本実施形態ではシート幅方向に配置された支持部材である回動軸31に略等間隔で3個並んで取り付けられている。両側の2個はシート積載トレイ21を搬送されるシートSの両端部に当接し得る位置に配置され、中央の1個は搬送されるシートに対して幅方向略中央に当接し得る位置に配置されている。
【0051】
上記押圧ガイド部材30は移動手段により移動可能となっている。本実施形態では、回動軸31が駆動ベルト等の駆動伝達部材32を介して押圧ガイドモータ33に連結しており、押圧ガイドモータ33の駆動によって回動軸31が回動し、これと一体的に3個の押圧ガイド部材30が回動可能に構成されている。
【0052】
押圧ガイド部材30は、図13に示すように、回動軸31を中心に回動可能な回動部30aと、スイッチバック搬送されるシートSをガイドする第1ガイド面となるガイド部30bとを有し、回動部30aに連続してガイド部30bが略直角に連結した断面L字形状の部材で構成されている。そして、回動部30aとガイド部30bとの間、すなわち回動部30aの先端であるL字形状の角部はシートSを押圧する押圧部30cとして形成されている。
【0053】
押圧ガイド部材30はガイド面21aに切欠を形成し、そこから露出するように設けられている。そして、シートSがシート積載トレイ21に搬入されるときは退避位置に退避している(図5(a)参照)。この退避位置にあるときは、回動部30aがガイド面21aと略同一面となるように設けられている。このため、回動部30aはガイド面21aの一部として機能し、シート積載トレイ21に搬入されるシートをガイドするガイド面(第2ガイド面)として作用する。そして、押圧ガイド部材30が前記退避位置にあるときは前記ガイド部30bがガイド面21aから突出しないようにすればよいために、退避状態において押圧ガイド部材30の収容スペースを小さくすることができる。
【0054】
(回動中心の位置)
本実施形態の押圧ガイド部材30の回動中心となる回動軸31は、図13に示すように、折りローラ対22のニップ部22cと折りブレード23の先端部とを結ぶニップ線L1よりも、シートSがシート積載トレイ21に搬入される搬送方向における上流側に配置され、かつ、シート積載トレイ21のガイド面21aを挟んで、折りローラ対22が配置されている側と反対側に配置されている。さらに、本実施形態の回動軸31は、折りローラ22a,22bのうち、前記ニップ線L1よりもシート搬送方向上流側に配置された折りローラ、すなわち回動軸31に近い側にある折りローラ22aの回転軸22a1を通り、前記ニップ線L1と平行な軸線L2よりも前記搬送方向の下流側に配置されている。
【0055】
そして、回動部30aは押圧部30cがシートSをスイッチバック搬送される側へ押圧する方向に回動するように設定されている。
【0056】
したがって、1回目の折り処理が実行されたシートSがスイッチバック搬送される際に、図14(a)に示すように、退避位置にある押圧ガイド部材30が回動すると、図14(b)に示すように、押圧部30cがシートの折込端部S2を折込端部S2の上方から下方へ向けて押し下げる。これにより、折込端部S2はスイッチバック搬送されながらシート積載トレイ21の1回目の折り処理を行う前にシート積載トレイ21にシートSを受け入れたシート搬送方向の下流側(下方)へと案内される。つまり、押圧部30cがシートの折込端部S2の向きをシート積載トレイ21のシート先端S1がある方向へ、向きを変更する。押圧ガイド部材30は、折込端部S2の向きを変更した後、そのままその位置に留まることで折込端部S2を1回目の折り処理を行う前にシート積載トレイ21にシートSを受け入れたシート搬送方向の下流側へと案内することができる。
【0057】
さらに図14(c)に示すように、押圧部30cがガイド面21aの位置まで回動したガイド位置まで回動すると、押圧部30cはシートに当接してからシートの折込端部S2をニップ部22c側からガイド面21a側へ引き込むように押し下げるとともに、シート積載トレイ21の規制ストッパ26が配置されている方向へ案内するようにガイドする。このため、仮にシートの折込端部S2が上方へカールしていたとしても、シートはシート積載トレイ21を上方へ向かって進んでいくことはなく、確実に下方へ向かって搬送される。
【0058】
(回動部の回動領域)
本実施形態の押圧ガイド部材30の回動部30aの長さ、すなわち回動支点である回動軸31から押圧部30cまでの長さは、図13に示すように、2個の折りローラ22a,22bのうち、回動軸31に近い側の折りローラ22aにおける第1ローラ面22a2までの最短距離よりも長く、第2ローラ面22a3までの最短距離よりも短くなるように設定されている。
【0059】
上記のように、回動部30aの長さを第1ローラ面22a2までの最短距離よりも長く設定しても、シートのスイッチバックの際に折りローラ対22は第2ローラ面22a3,22b3が回動部30aと対向するように停止させることにより、回動部30aを回動させても折りローラ対22と干渉することがない。そして、回動部30aを折りローラ22aの大径部である第1ローラ面22a2までの最短距離よりも長く設定できるため、スイッチバック搬送されるシートに対し、押圧部30cがよりニップ部22cに近い位置で押圧するようになり、より確実にシート積載トレイ21へ案内するようになる。
【0060】
なお、回動部30aを長くする場合、回動した押圧ガイド部材30が折りブレード23と干渉しないようにするには回動軸31をシート搬送方向で折りブレード23から離れた位置に配置しなければならなくなる。そうすると、結果として回動軸31は折りローラ対22からも離れた位置に配置しなければならなくなる。この点、本実施形態にあっては、前述したように、回動軸31をシート搬送方向においてニップ線L1と回転軸線L2との間に配置するように構成しているため、回動部30aの長さを無用に長くすることなく、押圧部30cがスイッチバック搬送されるシートを押圧する位置をよりニップ部22cに近づけることができる。
【0061】
ここで、折りローラ対は本実施形態のように径が異なる第1ローラ面22a2,22b2と第2ローラ面22a3,22b3を有する異径ローラを用いる以外にも、ローラ径が一定のローラ対を用いることも可能であるが、その場合は回動部30aの長さは、回動軸に近い側の折りローラの外周までの最短距離より短くする必要がある。
【0062】
また、本実施形態の押圧ガイド部材30は、図13に示すように、ガイド部30bが回動部30aの回動軌跡L3の内側にあって、その領域外に突出しない形状となっている。これによって前述したように長く構成した回動部30aを回動してもガイド部30bが折りローラ対22と干渉することがない。
【0063】
上記のようにして1回目の折り処理が行われたシートをスイッチバック搬送する際に、押圧ガイド部材30によってガイドしながらシート積載トレイ21に戻す。シートが規制ストッパ26に当接してスイッチバック搬送が完了した後は、押圧ガイド部材30を退避位置へ戻す。このとき、押圧ガイド部材30の第2ガイド面となる回動部30aがシート積載トレイ21を逆方向に搬送されるシートSのガイドとなるようにガイド面21aよりも少しシート搬送路側に突出した逆搬送ガイド位置へ移動させる(図8(b)参照)。
【0064】
押圧ガイド部材30が上記逆搬送ガイド位置に移動した後、規制ストッパ26を上昇させて2回目の折り位置が折りブレード23と対向する位置となるようにシートを逆搬送する。このとき、シートSは押圧ガイド部材30の回動部30aにガイドされるため、ガイド面21aに形成された押圧ガイド部材取付用の切欠等に引っかかることなく搬送される(図9(a)参照)。
【0065】
<ブレードガイド部材>
上記のようにしてスイッチバック搬送されたシートの2回目の折り位置が折りブレード23と対向する位置に移動した後、押圧ガイド部材30を退避位置へ移動させ、折りブレード23を動作させて2回目の折り動作を実行する。このとき、折りブレード23の上部に設けたブレードガイド部材40がシートの折込端部S2をガイドするように構成している(図10(b)参照)。
【0066】
次に前記ブレードガイド部材40の構成及び動作について、図15乃至図19を参照して具体的に説明する。なお、図15はブレードガイド部材40の回動説明図であり、図16乃至図19はシートに対して2回目の折り処理を実行するときの折りブレード23及びブレードガイド部材40の動作を示す図である。
【0067】
(ブレードガイド部材の構成)
ブレードガイド部材40は、シートSに2回目の折り処理を実行する際に、折りブレード23の突き出し方向に移動して、折りブレード23に対して1回目の折り処理によって形成された折り目側のシート端部、すなわちシート折込端部S2を前記突き出し方向にガイドして折りローラ対22のニップ部22cへガイドするものである。そのために、ブレードガイド部材40は、図15に示すように、シート後端に当接する当接部40aを有し、当接部40aの一方側端部には一部切欠を有する嵌合穴部40bが形成され、この嵌合穴部40bが基体部40eに形成された軸部40fに回動可能に嵌合している。また、当接部40aの他方側端部にはアーム部40cが一体的に設けられ、このアーム部40cの端部には係合突部40dが形成されている。そして、前記係合突部40dが、シート処理装置Bのフレームに形成された長孔50にスライド可能に係合している。この長孔50は、ブレードキャリア24の上方近傍においてシート積載トレイ21のガイド面21aと略平行に形成されている。
【0068】
上記基体部40eは、ブレードキャリア24に対して該ブレードキャリア24の移動方向と平行な方向にスライド可能に取り付けられている。そして、基体部40eに形成された係止部40e1とブレードキャリア24に形成された係止部24aとの間に引張バネ51が取り付けられている。
【0069】
ブレードキャリア24には前記基体部40eに当接して押圧可能な押圧突部24bが設けられている。この押圧突部24bはブレードキャリア24に回動可能に設けられ、回動軸に取り付けられた巻きバネ52によって図15の反時計回りに付勢されている。これにより、ブレードキャリア24がブレード突き出し方向に移動すると、押圧突部24bが基体部40eに当接して基体部40eを押圧し、ブレードガイド部材40がブレードキャリア24と一体的に移動する。なお、前記押圧突部24bに設けられた前記巻きバネ52は、いわゆるトルクリミッタとして作用し、押圧突部24bに所定以上の時計回り方向の力が加わると時計回りに回動するようになっている。
【0070】
(折りブレードの移動方向に対する当接部の角度変化)
上記構成において、ブレードガイド部材40は、図15(a)に示すように、ブレードキャリア24がホームポジションにあるときは、引張バネ51に引かれて当接部40aが押圧ガイド部材30の回動支点となる回動軸31に当接した位置にある。この状態がブレードガイド部材40のホームポジション位置である。このとき、当接部40aはガイド面21aと略同一面となるように起立している。そして、ブレードガイド部材40は前記ホームポジション位置から、ブレードキャリア24がブレード突き出し方向に移動すると、押圧突部24bによって押圧されてブレードキャリア24とともに移動し、図15(b)に示すように、基体部40eの後端に起立形成された突当部40e2が回動軸31に当接するまで移動する。
【0071】
上記のように、ブレードガイド部材40がブレード突き出し方向に移動すると、係合突部40dが長孔50にガイドされて下方へスライドし、当接部40aが軸部40fを中心に回動する。したがって、ブレードガイド部材40がホームポジションにある図15(a)の状態では当接部40aはブレードキャリア24の移動方向、すなわち折りブレード23の移動方向に対する角度が略直角となり、起立した状態にある。これが折りブレード23が突き出される方向にブレードキャリア24が移動するにしたがって、図15(b)に示すように、折りブレード23の突き出し方向の上流側へ倒れるように回動し、ブレードキャリア24の移動にしたがってその移動方向に対する当接部40aの角度が鋭角に変化するように構成されている。
【0072】
また、図15(a)に示すように、当接部40aの回動軸となる軸部40fには、突部40f1が形成されている。一方、前記軸部40fと嵌合する嵌合穴部40bに形成された切欠は前記突部40f1の幅よりも広く形成され、ブレードガイド部材40は前記切欠の範囲で回動可能となっている。
【0073】
上記構成において、ブレードキャリア24がホームポジションに移動すると、基体部40eが引張バネ51により引かれるが、このとき前記嵌合穴部40bの切欠面が前記突部40f1に当接し、当接部40aはそれ以上の回動が規制される。そのため、当接部40aが回動軸31に当接した状態でブレードガイド部材40はそれ以上の移動が規制され、当接部40aはホームポジションで起立状態を維持する。
【0074】
また、本実施形態のブレードガイド部材40は、当接部40aとアーム部40cは断面でみると直線状の部材で構成され、かつ、当接部40aに対してアーム部40cは所定の角度をもって形成されている。これにより、ブレードガイド部材40がホームポジションにあるときに、当接部40aがガイド面21aと略同一面になるように構成しても、アーム部40cの係合突部40dが設けられている側の端部は、ガイド面21aよりも折りローラ対22がある側と反対側に離れた位置にある。このため、係合突部40dが係合する長孔50をガイド面21aよりも折りローラ対22がある側と反対側に離間して配置することができ、ガイド面21aと干渉しない位置に配置できる。したがって、ブレードガイド部材40がホームポジションにある状態では、当接部40aがシート積載トレイ21を搬送されるシートのガイド部として機能するように構成することが可能である。
【0075】
(折りブレードとブレードガイド部材の動作)
次にシートに2回目の折り動作を実行するために、折りブレード23を動作させたときのブレードガイド部材40の動作について、図16乃至図19を参照して説明する。
【0076】
図16(a)はブレードキャリア24がホームポジションにある状態であり、このときブレードガイド部材40もホームポジションの状態にある。なお、以下の説明では、前記ホームポジションの位置からブレードキャリア24が折りブレード23を折りローラ対22のニップ部22cへ突き出す方向を「突き出し方向」、前記ニップ部22c側からホームポジションへ戻す方向を「戻し方向」という。
【0077】
上記ホームポジションにあるときは、折りブレード23の先端はガイド面21aと略同一面もしくは、ガイド面21aよりも戻し方向側にあり(第1位置)、シート積載トレイ21にあるシートSから離間している。このため、ガイド面21aにガイドされてシート積載トレイ21を搬送されるシートがブレード先端に引っかかることはない。なお、折りブレード23の先端がガイド面21aよりも折りローラ22側に突出した状態でも、別のガイド部材によりシート積載トレイ21に搬送されるシートがブレード先端に引っかからなければ、ブレード先端はシート搬送路から退避していると言えるため、その状態を第1位置としてもよい。また、ブレードガイド部材40がホームポジションにあるときはブレードガイド部材40の当接部40aは回動軸31に当接した位置にある。このとき、押圧突部24bは基体部40eから離間している。
【0078】
次に折りブレード23を突き出すために、カム駆動モータを駆動するとカム部材25が回転してブレードキャリア24を突き出し方向に移動させる。すると、押圧突部24bが基体部40eに当接し、ブレードガイド部材40がブレードキャリア24及び折りブレード23と一体的に突き出し方向へ移動する(図16(b))。このとき、折りブレード23の先端部は、ブレードガイド部材40の先端部よりも突き出し方向に突出するように構成されている。
【0079】
ブレードキャリア24がさらに突き出し方向に移動すると折りブレード先端部が所定量突出し、図17(a)に示すように、1回目の折り処理がされ、2回目の折り位置が折りブレード23と対向して、シート積載トレイ21に停止しているシートSに折りブレード23の先端が当接する(第2位置)。このとき、前述したように折りブレード23の先端がブレードガイド部材40よりも突き出し方向へ突出しているために、シートSの折り位置にはブレードガイド部材40よりも折りブレード23が先に当接する。このため、折りブレード23の突き出しにより、シートの折り位置に対向している折りブレード先端がシートの折り位置からズレることなく的確に当接し、正確な折り位置で折り処理が実行される。
【0080】
なお、前記折りブレード先端は、前記ブレードガイド部材40に対して必ずしも突出していなくても、突き出し方向においてブレードガイド部材40と同じ位置にあればブレード先端がシートの折り位置に当接するときのズレを抑制することができる。
【0081】
上記状態でブレードキャリア24が突き出し方向に移動すると、折りブレード23によってシートSの2回目の折り位置が折りローラ対22のニップ部22cへ向けて突き出される。これと同時に、ブレードガイド部材40の当接部40aが1回目の折りがなされたシートの折込端部S2に当接し、この折込端部S2を前記ニップ部22cへと押し出すようにガイドする(図17(b))。
【0082】
上記のように、ブレードガイド部材40がシートの折込端部S2をニップ部22cへとガイドするために、シートの折込端部S2はめくれることなくニップ部22cへと向かうようになる。また、ニップ部22cへ近づくと突き出されたブレードガイド部材40は折りローラ22a,22bの外周と干渉するおそれがある。このとき、本実施形態のブレードガイド部材40は、前述したように突き出し方向に移動するにしたがって突き出し方向に対する当接部40aの角度が鋭角に変化する(図17(a)の状態から図17(b)の状態へ変化)。このため、当接部40aはよりニップ部22cの近傍へ進入することができ、シートの折込端部S2をニップ部へ確実にガイドすることができる。
【0083】
ブレードキャリア24がさらに突き出し方向へ移動し、図17(b)のように、突当部40e2が回動軸31に当接すると、ブレードガイド部材40はそれ以上突き出し方向への移動が規制される。なお、ブレードガイド部材40が最も突き出し方向に移動した状態で、ブレードガイド部材40の先端(突き出し方向に対して折りローラ対22側の端部)は、折りローラ22aと折りローラ22bのシート積載トレイ21側の外周を結ぶ接線(2つの折りローラ22a、22bの)よりもニップ部22c側に突出している。一方、カム部材25の回転によりブレードキャリア24が突き出し方向へ押し出されると、図18(a)に示すように、押圧突部24bは巻きバネ52に一定以上の力がかかるために巻きバネ52の付勢力に抗して時計回りに回転し、基体部40eの下部に潜り込む。これにより、押圧突部24bはブレードガイド部材40を押圧しなくなり、ブレードガイド部材40は停止したまま、折りブレード23のみが突き出し方向へ移動してブレード先端が最大に突出してシートSをニップ部22cへと突き出す位置(第3位置)へ移動する。このとき折りブレード23の先端はブレードガイド部材40の当接部40aの先端よりも大きく突出する。すなわち、前記第3位置におけるブレード先端から当接部先端までの距離は、前記第2位置のときのブレード先端から当接部先端までの距離よりも大きい。これにより、シートは2回目の折り位置で折られた状態で回転する折りローラ対22のニップ部22cへ確実に引き込まれ、かつ、シート先端S1もニップ部22cへと引き込まれて三つ折り状態となる。
【0084】
なお、前記折りブレード23がシートを突き出しているとき、すなわち折ブレード先端が第2位置から第3位置に移動中にブレードガイド部材40に対して戻し方向へ大きな負荷がかかった場合、例えば複数枚のシートを重ねた状態で折り処理する場合等でシートの剛性が高い場合は折処理時にブレードガイド部材40に大きな負荷がかかる。この場合、一定以上の負荷がかかると、ブレードガイド部材40は基体部40eの底面に巻きバネ52の付勢力で圧接している押圧突部24bとの摩擦力に抗して折りブレード23に対して戻し方向へ相対的に移動可能である。これにより、シートの折り処理時にブレードガイド部材40に大きな負荷がかかった場合にブレードガイド部材40が破損することがない。
【0085】
折りブレード先端が前記第3位置に至った後、さらにカム部材25が回転すると、ブレードキャリア24は折りブレード23と共に戻し方向に移動する(図18(b))。このとき、前述したように押圧突部24bは巻きバネ52の付勢力によってブレードガイド部材40の基体部40eに圧接しているため、押圧突部24bと基体部40eの底面との摩擦力によりブレードガイド部材40もブレードキャリア24と一体的に、すなわち折りブレード23と同時に戻し方向へ移動する。
【0086】
さらにカム部材25が回転してブレードキャリア24が戻し方向に移動すると、ブレードガイド部材40の当接部40aが回動軸31に当接し、ブレードガイド部材40がホームポジションに戻る。そして、ブレードガイド部材40はそれ以上戻し方向への移動が規制される(図19(a))。さらにカム部材25が回転すると、ブレードガイド部材40は移動しない状態で折りブレード23のみが戻し方向に移動してホームポジションへと戻る(図19(b))。
【0087】
上記のように、ブレードキャリア24が戻し方向に移動すると、折りブレード23とブレードガイド部材40は同時に戻し方向に移動し、かつ、ブレードガイド部材40はブレードキャリア24及び折りブレード23がホームポジションに戻る前にホームポジションに戻る。すなわち、ブレードガイド部材40は折りローラ対22及び排出ローラ17bによって引き込まれるシートから折りブレード23よりも早く退避する。このため、前記排出ローラ17b等によって引き込まれるシートSのブレードガイド部材40による搬送負荷は軽減される。
【0088】
(ブレードガイド部材と押圧ガイド部材の配置関係)
本実施形態にあっては、前記ブレードガイド部材40は、折り処理装置Fの平面模式図である図4に示すように、シート幅方向の所定位置に2個配置している。本実施形態の折りブレード23は突き出す側のシート幅方向に略等間隔をもって突き先端部23aが4箇所突出形成されている。この突き先端部23aがシートを突き出すことにより、シートが折りローラ対22のニップ部22cへと突き出されて折り処理が実行される。そして、ブレードガイド部材40は前記4個の突き先端部23aのうち、両側の突き先端部23aの上方に配置されている。したがって、折りブレード23によって突き出されるシートSは、幅方向の両側においてブレードガイド部材40によって折込端部S2がガイドされる。
【0089】
ブレードガイド部材40は、シートの折込端部S2をニップ部22cへガイドするためには4箇所形成された突き先端部23aのすべての上方に配置されるのが望ましいが、すべてに配置すると部品点数が増加してしまう。これに対して本実施形態では前述のようにブレードガイド部材40をシート幅方向の両端部側に形成された2箇所の突き先端部23aの位置に配置したために、部品点数を少なくすることができる。そして、2回目の折り処理の際に折りブレード23によって押し出されるシートの折込端部S2は、シート幅方向の中央部よりも端部付近がめくれ易いため、この部分をブレードガイド部材40によってニップ部方向へガイドすることにより、前記めくれを効果的に防止することができる。
【0090】
なお、前記2個のブレードガイド部材40はシート幅方向の両端部ではなく、それよりも少し中央よりに形成された突き先端部23aの上方に配置されている。これは、突き先端部23aでシートを突き出すときに、シートの幅方向端部よりも少し中央よりを突いたほうが効果的であり、ブレードガイド部材40は前記突き先端部23aの位置に対応して配置されているためである。
【0091】
上記ブレードガイド部材40の位置に対し、本実施形態の押圧ガイド部材30は前記2個のブレードガイド部材40よりもシート幅方向の外側に配置されている。具体的には、2個の押圧ガイド部材30は、それぞれ折り処理装置Fで処理できる最小サイズのシートの幅と略同じ間隔をもって配置され、前記最小サイズシートを折り処理するときに、シートの幅方向両端を押圧、ガイドできる位置に配置されている。なお、本実施形態にあっては、シートの両端を押圧、ガイド可能な2個の押圧ガイド部材30の他にシート幅方向中央を押圧、ガイド可能な押圧ガイド部材30が設けられており、合計3個の押圧ガイド部材30が設けられている。より具体的には、本実施形態に於ける折り処理装置Fで処理できる最小サイズのシートはA4であり、一般的なA4サイズのシートの短手方向の幅の長さは210mmである。シートの幅方向の両端を押圧、ガイド可能な2個の押圧ガイド部材30はシート幅方向の長さが18mmに形成されており、この2個の押圧ガイド部材30のそれぞれの外側の端部を直線で結んだ長さはA4サイズのシート幅よりも長い226mmであり、A4サイズのシートの幅方向の端部は押圧ガイド部材30の面の幅方向の中央に近い一部に片側10mmずつかかる。折り処理装置Fで処理できる最大サイズのシートはA3であり、一般的なA3サイズのシートの短手方向の幅の長さは297mmである。シートの幅方向の両端を押圧、ガイド可能な2個の押圧ガイド部材30のそれぞれの外側の端部を直線で結んだ長さを最小サイズのシート幅より長く設定することで、最大サイズのシートの端部に対してもガイドの効果を持たせることができる。
【0092】
1回目の折り処理を実行したシートをフィードバック搬送するときに、前述したように押圧ガイド部材30によってシートの折込端部S2を押圧してシート積載トレイ21へ戻るようにガイドするときに、シート幅方向の両端部を押圧してガイドすることがめくれ防止に効果的である。このため、2個の押圧ガイド部材30はブレードガイド部材40よりもシート幅方向の外側に配置している。本実施形態ではシート幅方向両側に配置される押圧ガイド部材30は最小サイズシートの幅と略同じ間隔を隔てて配置され、ブレードガイド部材40はそれよりも内側にあって最小サイズシートの幅よりも短い間隔をもって配置されている。
【0093】
<駆動制御>
次にシートの折り処理をするときの駆動系の制御構成について説明する。図20に示すブロック図に示すように、制御部60は図21図22に示すフローチャートの手順に従うように折りローラ対22を駆動回転させる折りローラモータ61、排出ローラ17bを駆動回転させる排出ローラモータ62、規制ストッパ26を昇降させるためのシート昇降機構27を動作させる規制ストッパモータ63の駆動を制御する。また、同様に制御部60はブレードキャリア24を動作させるためのカム部材25を駆動するカムモータ64、押圧ガイド部材30を回動させる押圧ガイドモータ33を駆動制御する。
【0094】
図21及び図22はシートSがシート積載トレイ21に搬送され、シート先端が所定位置で停止している規制ストッパ26に突き当たり、1回目の折り位置が折りブレード23と対向する位置にある状態から折り処理を実行するときの駆動制御手順を示すフローチャートである。
【0095】
折り処理が実行されると、カムモータ64が駆動してブレードキャリア24が突き出し方向に移動し、折りブレード23がシートSの1回目の折り位置に当接してニップ部22cへと突き出す(S1)。これと同時に折りローラモータ61及び排出ローラモータ62が駆動して折りローラ対22及び排出ローラ17bが正転駆動する(S2)。前記各モータはパルスモータを用いており、モータが駆動するとその駆動パルス数がカウントされる。
【0096】
カム部材25の回転により、折りブレード23はシートSの1回目の折り部を折りローラ対22のニップ部22cまで突き出す所定量突出すると、進行方向が逆転して戻し方向へ移動してホームポジションへと戻る(S3)。
【0097】
上記折りブレード23の突き出しにより、折りローラ対22のニップ部22cへ突き出されたシートSは折りローラ対22で挟持搬送される間に折り処理がなされ、そのまま折りローラ対22とともにシート搬送手段を構成する排出ローラ17bによって搬送される。排出ローラ17bによってシートが挟持搬送されると(S4)、折りローラモータ61は折りローラ22a,22bが第2ローラ面22a3,22b3が対向したときに停止する(S4、S5)。これにより、折りローラ対22はシートをニップしなくなり、シートは排出ローラ17bによって搬送される。このとき、シートは摩擦係数が小さい第2ローラ面22a3,22b3によってガイドされながら排出ローラ17bによって搬送される。なお、本実施形態ではシートが排出ローラ17bまで搬送されたか、また折りローラ対22の第2ローラ面22a3,22b3が対向したかはモータのパルスカウントにより判別しているが、他の構成、例えばシートSをセンサによって検出し、その検出結果に応じてモータの駆動を制御するようにしてもよい。
【0098】
そして、搬送されるシートSの折込端部S2の位置が所定領域内に達したときに(S7)、排出ローラモータ62の駆動を停止してシート搬送を停止する(S8)。この所定領域は、シートSの折込端部S2が押圧ガイド部材30の回動軌跡L3とシート積載トレイ21のガイド面21aとの間の領域である(図14(a)参照)。前記領域内に折込端部S2があるようにシートSを停止させることにより、押圧ガイド部材30を回動したときに、押圧部30cによってシートSを確実にスイッチバック搬送する方向に押し付けることができ(図14(b)参照)、さらにはスイッチバック搬送される折込端部S2をガイド部30bによってガイドすることができる(図14(c)参照)。
【0099】
シートSの折込端部S2を前記領域内に停止させた後、押圧ガイドモータ33を駆動して押圧ガイド部材30のガイド部30bがスイッチバック搬送されるシートSをガイドし得る位置(図14(c)に示す位置)へ至るように押圧ガイド部材30を回動させる(S9)。また、前記押圧ガイド部材30の回動とともに、規制ストッパモータ63を駆動して規制ストッパ26がスイッチバック搬送されるシートSを受け入れ可能な位置へ移動させる。
【0100】
上記のように押圧ガイド部材30が回動した後、排出ローラモータ62及び折りローラモータ61を逆転駆動する(S10)。これにより、排出ローラ17b及び折りローラ対22が逆回転してシートSがスイッチバック搬送される。このとき、前述したようにシートは押圧ガイド部材30によってガイドされるため、シートは搬送不良を生ずることなく、シート積載トレイ21の規制ストッパ26が配置されている方向へスイッチバック搬送される。
【0101】
排出ローラモータ62及び折りローラモータ61を駆動してシートSをスイッチバック搬送し、折りローラ対22のニップ部22cを抜けたシートSが規制ストッパ26に当接するまで落下してスイッチバック搬送が完了すると(S11)、排出ローラモータ62及び折りローラモータ61の駆動を停止する(S12)。ここで、シートSのスイッチバック搬送の完了は、排出ローラモータ62及び折りローラモータ61の駆動パルス数をカウントしてシートSが所定量搬送されたことで判別するようにしてもよい。
【0102】
次に押圧ガイドモータ33を駆動して押圧ガイド部材30を退避位置へと戻す。このとき、押圧ガイド部材30をガイド位置(図14(c)参照)から退避位置(図14(a)参照)へ戻す速度は、押圧ガイド部材30を退避位置からガイド位置へ移動させるときよりも速い速度に設定されている。押圧ガイド部材30を退避位置からガイド位置へ移動させるときは、スイッチバック搬送するために停止しているシートSを押圧して向きを変えるために速度を落として回動させるのに対し、ガイド位置から退避位置へ移動させるときは速く戻すことで次の動作を実行するタイミングを早めることができる。
【0103】
そして、押圧ガイド部材30を逆搬送ガイド位置(図9(a)参照)に移動した後(S13)、規制ストッパモータ63を駆動してシートSの2回目の折り位置が折りブレード23と対向する位置となるように移動させる(S14)。この状態でカムモータ64及び折りローラモータ61、排出ローラモータ62を駆動して2回目の折り動作を実行する(S15~S17)。
【0104】
なお、本実施形態では各部材を駆動するモータを個別に設けたが、共通のモータを用いてクラッチ等により駆動を切り替えることで各部材を駆動することも可能である。
【0105】
<他の実施形態>
前述した実施形態では、押圧ガイド部材30をL字形状に形成し、これを回動軸31を中心に回動させてスイッチバック搬送するシートSを押圧またはシートSの端部の方向を変更してガイドする例を示したが、スイッチバック搬送するシートSを押圧するまたは端部の方向を変更する押圧部材(方向変更部材)としては棒状の部材で構成し、これを直線的に移動させる構成であってもよい。また、押圧ガイド部材30が配置されている位置に、押圧ガイド部材30に代えて、ファンとファンからの送風を局所的に集約するダクトとを配置する。1回目の折り処理を実行しスイッチバック搬送され、搬送されるシートSの折込端部S2の位置が所定領域に達するタイミングでファンを回転させることで、折込端部S2の向きを変更することもできる。
【0106】
前述した実施形態にあっては、折りローラ22a,22bは外径が一定の円形外周の第1ローラ面22a2,22b2と、それよりも外径が小さい第2ローラ面22a3,22b3を有するローラで構成した例を示した。しかし、折りローラ22a,22bは、外径が一定のローラ、例えば円形ゴムローラ等で構成してもよい。この場合は、シートSが折りローラ対を通過しているときは、折りローラ対のニップ部で常に挟持されているために、折りローラ対の回転によってシートSの搬送量を管理することができる。したがって、シートSの折込端部S2を所定位置に停止させる場合(図7(a)参照)、折りローラの駆動量で制御することができる。
【0107】
また、前述した実施形態では、シート積載トレイ21の下端に、搬入されたシートの搬送方向の先端を当接させて規制するための規制ストッパ26が配置され、規制ストッパ26は、シート昇降機構27によって、シート積載トレイ21に沿って昇降可能に設けられている例を示した。他の実施形態では、シート積載トレイ21の折りブレード23、折りローラ対22を挟んでシート搬送方向の上流側、下流側にシートを搬送するローラ対を配置しても良い。その場合、1回目の折り処理が施されたシートSはスイッチバック搬送される際に、シート積載トレイ21の折りブレード23、折りローラ対22を挟んでシート搬送方向の上流側、下流側のどちらにも戻すことができる。
【符号の説明】
【0108】
A …画像形成装置
B …シート処理装置
F …折り処理装置
L1 …ニップ線
L2 …軸線
L3 …回動軌跡
S …シート
S1 …シート先端
S2 …折込端部
20 …シート搬送路
21 …シート積載トレイ
21a …ガイド面
22 …折りローラ対
22a,22b …折りローラ
22a1,22b1 …回転軸
22a2,22b2 …第1ローラ面
22a3,22b3 …第2ローラ面
22c …ニップ部
23 …折りブレード
23a …突き先端部
24 …ブレードキャリア
24a …係止部
24b …押圧突部
24c …カムピン
25 …カム部材
25a …回転軸
25b …カム溝
26 …規制ストッパ
27 …シート昇降機構
27c …伝動ベルト
28a,28b …シート側部整合部材
30 …押圧ガイド部材
30a …回動部
30b …ガイド部
30c …押圧部
31 …回動軸
32 …駆動伝達部材
33 …押圧ガイドモータ
40 …ブレードガイド部材
40a …当接部
40b …嵌合穴部
40c …アーム部
40d …係合突部
40e …基体部
40e1 …係止部
40e2 …突当部
40f …軸部
40f1 …突部
50 …長孔
51 …引張バネ
52 …巻きバネ
60 …制御部
61 …折りローラモータ
62 …排出ローラモータ
63 …規制ストッパモータ
64 …カムモータ
図1
図2
図3
図4
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