(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】マイクロサテライト不安定性の抗原バイオマーカー
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20240918BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G01N33/53 S
G01N33/53 P
G01N33/53 Y
G01N33/574 B
(21)【出願番号】P 2020560961
(86)(22)【出願日】2019-05-03
(86)【国際出願番号】 PT2019050009
(87)【国際公開番号】W WO2019212373
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-05-02
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PT
(73)【特許権者】
【識別番号】519331590
【氏名又は名称】インスティテュート デ パトロジア エ イムノロジーア ダ ユニバーシダーデ ド ポルト (アイピーエーティーアイエムユーピー)
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アルバカーキー レイス,セルソ
(72)【発明者】
【氏名】メライター,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス ライト デ マガリャインシュ,アナ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ポロム,キャロル
(72)【発明者】
【氏名】ロビエロ,フランコ
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】Stefan Mereiter,The Thomsen-Friedenreich Antigen: A Highly Sensitive and Specific Predictor of Microsatellite Instability in Gastric Cancer,J. Clin. Med.,2018年09月05日,Vol.7 No.9,Page.256
【文献】Beatriz Leao,Expression of Thomsen-Friedenreich Antigen in Colorectal Cancer and Association with Microsatellite Instability,Int. J. Mol. Sci.,2021年01月29日,Vol.22 No.3,Page.1340
【文献】岡部篤史,エピジェネティクスと病理 胃癌とエピジェネティクス異常,病理と臨床,2022年02月01日,Vol.40 No.2,Page.0116-0122
【文献】Taranpreet Kaur,An Insight into Tumor Markers in Oral Cancer: A Review,A Review. Arch Cancer Res.,2018年01月29日,Vol.6 No.1,Page.3
【文献】Hui Meng,Loss of ZG16 is associated with molecular and clinicopathological phenotypes of colorectal cancer,BMC Cancer,2018年04月16日,Vol.18,Page.433
【文献】佐久間信至,レクチン固定化蛍光ナノスフェアを用いた大腸がんの超早期診断法の開発,Drug Delivery System,2010年,25-4,Pgae.403-410
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/53
G01N 33/574
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロサテライト不安定性(MSI)のインビトロ診断用試薬としての、Thomsen-Friedenreich(TF)抗原に対する親和性を有する抗体の使用。
【請求項2】
TF抗原に対する親和性を有する抗体を含む、MSIのインビトロ診断用試薬組成物。
【請求項3】
TF抗原に対するマウスモノクローナル抗体を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
抗TF抗原抗体A68/B-A11を含むことを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
抗TF抗原抗体A78/G-A7を含むことを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前
記抗体の可変ドメインの断片を含むことを特徴とする、請求項2~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
TF抗原に対する親和性を有するレクチンであるジャカリンを含むことを特徴とする、MSIのインビトロ診断用試薬組成物。
【請求項8】
さらに、以下の成分、すなわち、緩衝液、遮断剤、保存剤またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項2~7に記載の組成物。
【請求項9】
請求項2~8のいずれか一項に記載の組成物の少なくとも1つを含む、MSIのインビトロ診断用キット。
【請求項10】
さらに、TF抗原を発現する対照組織および/またはキャリブレーター組織あるいは細胞生物学的試料を含む、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
インビトロでの生物学的試料からのMSIのインビトロ診断のための方法であって、以下の工程:
a)インビトロで得られた生物学的試料であるホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織ブロックを3μmの切片に切片化することと、スライドガラスにマウントすることと、100%キシレンで脱ろうすることと、100%、95%、70%、50%の
濃度の異なるエタノールでの
順次洗浄および蒸留水への水浸で再水和することと、
b)3%過酸化水素(H
2O
2)含有メタノールで内在性ペルオキシダーゼを不活性化させることと、
c)10%ウシ血清アルブミン(BSA)含有PBS中で正常ウサギ血清を用いて30分間ブロッキングすることと、
d)請求項2~
8に記載の組成物を接触させることと、前記切片を25℃~4℃の温度でそれぞれ1時間または一晩インキュベートすることと、
e)ビオチン標識二次抗体で30分間インキュベートすることと、
f)ABCキットでさらに30分インキュベートすることと、
g)前記切片を3,3'-ジアミノベンジジン四塩酸塩(DAB)で染色することと、ギルヘマトキシリン染色液で対比染色することと、封入剤の上にカバースリップを付けることと、
h)光学顕微鏡を使用して切片を調べることと、TF染色のがん細胞陽性の5%~25%のカットオフで、陽性または陰性のMSI診断に分類するために腫瘍内の陽性がん細胞の割合を推定することと、
を含むこと特徴とする、方法。
【請求項12】
前記d)において前記切片を4℃で一晩インキュベートし、
前記h)においてカットオフとして5%を用いること特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
生物学的試料が、液状化検体細胞診、胃洗浄液、膀胱洗浄液もしくは尿、腹水胸水もしくは脳脊髄液中、または希釈した糞便試料中の凍結された組織もしくは細胞を含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
インビトロでの生物学的試料からのMSIのインビトロ診断のための方法であって、以下の工程:
血清または血漿のインビトロの生物学的試料を用いて、
請求項2~8に記載の組成物のうちの1つを使用することにより、TF抗原を検出するための酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を実施することと、を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロサテライト不安定性(MSI)のインビトロ診断用組成物における、Thomsen-Friedenreich(TF)抗原に対して親和性を有する抗体または他の薬剤の使用であって、かかる組成物を、抗TF抗原抗体を用いてインキュベートすることと、生物学的試料におけるTF抗原の発現を評価することとを含む方法を介して行う、使用に言及する。本発明の方法を実行することによってMSIを検出するための、上記組成物を含むキットも開示する。
【0002】
本発明の使用、組成物、方法およびキットは、がん患者において、治療に対する反応の診断、予後または予測のために、胃、直腸結腸および他の組織のがん腫に対して有利に適用され得、単一マーカーによる短時間の高感度かつ特異的な抗体アッセイを介して、MSIの臨床環境での同定を顕著に容易にする。
【0003】
したがって、本発明は、医学、薬剤学および生化学の技術分野内である。
【背景技術】
【0004】
胃がんは、集学的治療を要する異質性疾患である[1]。現在、胃がんのための新たな分子分類がTCGA(Cancer Genome Atlas)およびACRG(Asian Cancer Research Group)によって提案されており、それらにおいて、マイクロサテライト不安定性(MSI)は別個のサブグループとして記載されている[1、2]。
【0005】
したがって、MSIは胃がんの別個の分子サブタイプであり、TCGAによれば、MSIサブグループは、超変異、胃のCpGアイランドメチル化形質、MLH1サイレンシング、および有糸分裂経路と関連している[1]。
【0006】
近年、MSIの臨床経過およびこの特異ながんのサブタイプを標的とする治療機会が明らかになってきた。多くの刊行物で、MSIは、全胃がんの5.6%~33.3%に見られること、ならびに女性、高齢、腸の組織型、胃の位置が中位/低位、N0の状態、およびTNM病期がI/IIであり全生存が良好である、ということが強く関連していることが臨床的見地から記載されている[1~5]。
【0007】
MSIは均質な群ではないことを強調することが重要であり、MSIが、腫瘍局在およびLauren分類と関連することから、予後因子であることが示されている[6]。
【0008】
さらに、MSIはPD-L1発現と関連していることが分かっており、現在、いくつかの特定の薬物は、PD1/PD-L1免疫チェックポイント経路を標的とする、胃がんの臨床管理に使用されている[7]。
【0009】
MSI胃がんの診断は、特に集学的治療の前には、最も重要である。MSI胃がんは、術前補助化学療法に対する反応が異なり、同時性転移では特定の外科治療を必要とし、個別のリンパ節切除の可能性が含まれ、また標的療法の適用に関して層別化される[3、8]。
【0010】
上皮細胞の形質転換は、タンパク質のグリコシル化機構におけるいくつかの変化を伴い、細胞のグリコシル化の異常、例えば、O-結合型グリカンの切断およびシアロフコシル化グリカンエピトープの発現などをもたらす[9]。O-結合型グリカンの切断は、さまざまな胃腸がんにおいて広く記述されおり、短いO-グリカン、例えば、Thomsen-Friedenreich(TFまたはT、Galβ1-3GalNAcα1)抗原、Thomsen-nouvelle(Tn、GalNAcα1)およびそのシアリル化型であるシアリルTn(STn、Neu5Acα2-3GalNAcα1)などのde novo発現を生じさせる[9]。さらに、複雑なシアロフコシル化構造、例えば、シアリル-ルイスA(SLea、Neu5Acα2-3Galβ1-3[Fucα1-4]GlcNAcβ-)およびシアリル-ルイスX(SLex、Neu5Acα2-3Galβ1-4[Fucα1-3]GlcNAcβ-)などの発現が胃腫瘍において高い頻度で記述されており、がんの進行および転移形成において重要な役割を有する[9]。
【0011】
コア1構造としても知られるTF抗原は、ゴルジ体内でムチン型O-グリカンが成熟する際の中間構造である。生理学的条件下では、TF抗原は、さらなる糖類で修飾されている上、周囲のより大きいグリカンのためにアクセス不可能であることから検出限界を下回る[10、11]。それは、膵管、腎臓遠位尿細管および腎臓集合管の管腔表面にしか見られない[11]。さらに、胸腺、脾臓およびリンパ節のマクロファージはTF抗原を持っており、これは、免疫学的役割の可能性を示唆している[11]。重要なことには、TF抗原は、健康な胃上皮にも胃の前悪性状態にも見られない[12]。胃がんでは、TF抗原は、腫瘍の約21%においてかなりの量で発現され、より高い免疫応答と関連している[12]。
【0012】
循環中に分泌される分子として、および悪性細胞に対するそれらの発現特異性のため、異常なグリカンおよび複合糖質には、がんバイオマーカーとしての長い歴史がある[13]。
【0013】
TF抗原には、健康な状態でも他の病的状態でもヒト組織ではほとんど発現しないことから、血清学的バイオマーカー用途としての使用を可能にすると考えられる、さらなるいくつかの利点がある[11、14]。第2に、曝露TFの基底レベルは、自然に循環している抗TF IgM抗体およびIgG抗体、ならびに末端がガラクトシル化された複合糖質の肝臓による迅速なクリアランスのため、血流中では非常に低い[15]。最後に、ムチン型O-グリコシル化として、TF抗原は胃がんで過剰発現されるMUC1またはCD44などの広範囲の分泌糖タンパク質によって運搬され得る。
【0014】
通常、MSI/dMMRステータスは、リンチ症候群のリスク上昇にある患者の同定、ならびに予後層別化のため、結腸直腸がん検体でも試験される。しかしながら、最近出たデータによれば、MSI/dMMRは、がんの起源組織を問わず、免疫チェックポイント阻害薬治療についての予測値を有し得ることが示された[16]。事実、前治療後に進行した、MSI/dMMRを伴う任意の固形腫瘍において、ペンブロリズマブ(抗プログラム細胞死タンパク質-1(PD-1))を使用できることがアメリカ食品医薬品局によって承認された。
【0015】
現在、MSIアッセイを実施する1つの方法は、腫瘍および生来の(constitutional)DNA抽出によって実施される。Applied Biosystems製ABI PRISMなどの機器で、蛍光標識した、BAT-26、NR-21、BAT-25、NR-27およびNR-24についてのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーを用いてモノヌクレオチドリピートを評価する。Qiagenにより開示されているマルチプレックスPCRのプロトコルを使用してペンタプレックスPCRで各患者の腫瘍および一致した生来のDNAでリピートを共増幅させる。Applied Biosystems製自動DNAシーケンサーABI PRISM 3100 Genetic Analyzerによってアレルプロファイルを検出し、がんのMSIの検出および家族性素因に関するNational Cancer Instituteのガイドラインに従ってMSIステータスを決定し、5つの遺伝子座のうち2つ以上マーカーが不安定性を示す場合は常に、その腫瘍は、MSIが高いとみなされる。対照的に、1つの遺伝子座が不安定である、または不安定な遺伝子座がない場合は、それぞれ、MSIが低い、またはマイクロサテライト安定性と診断される。
【0016】
ミスマッチ修復欠損(dMMR)検査は、腫瘍細胞核における4つのMMRタンパク質(MLH1、PMS2、MSH2およびMSH6)の発現を評価する市販の抗体を使用するパラフィン切片の免疫組織化学によっても実施され得る。
【0017】
したがって、現在のMSI/dMMR分析は、5つのMSIマーカーの腫瘍PCRプロファイルを評価し、それらを一致する正常なDNAのプロファイルと比較するか、または4つの核発現マーカーのうちの少なくとも1つが腫瘍切片にないことを評価する資源集約型の手順である。
【0018】
全体として、患者の層別化にはMSIが重要であるにもかかわらず、MSIの診断に必要な時間および資源は依然として障害となっており、この特徴を検出する単一バイオマーカーに基づくアッセイが当技術分野で知られている。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、マイクロサテライト不安定性(MSI)のインビトロ診断用試薬としての、Thomsen-Friedenreich(TF)抗原に対する親和性を有する抗体の使用に言及する。
【0020】
本発明の別の実施形態は、TF抗原に対する親和性を有する抗体を含む、MSIのインビトロ診断用試薬組成物に言及する。
【0021】
一実施形態では、組成物は、抗TF抗原抗体3C9を含む。
【0022】
別の実施形態では、組成物は、抗TF抗原抗体SPM320を含む。
【0023】
別の実施形態では、組成物は、抗TF抗原抗体A68/B-A11を含む。
【0024】
別の実施形態では、組成物は、抗TF抗原抗体A78/G-A7を含む。
【0025】
別の実施形態では、組成物は、抗TF抗原抗体B79-H/B8を含む。
【0026】
別の実施形態では、組成物は、抗TF抗原抗体C80-I/C9を含む。
【0027】
別の実施形態では、組成物は、抗TF抗原抗体A68-B/A11を含む。
【0028】
別の実施形態では、組成物は、前述の抗TF抗体の可変ドメインの断片を含む。
【0029】
別の実施形態では、組成物は、TF抗原に対する親和性を有するレクチン、例えば、ジャカリンを含む。
【0030】
別の実施形態では、組成物はさらに、以下の成分、すなわち、緩衝液、遮断剤、保存剤またはそれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0031】
本発明の別の実施形態は、上記の組成物のうちの少なくとも1つを含む、MSIのインビトロ診断用キットに言及する。
【0032】
上記キットはさらに、TF抗原を発現する対照組織および/またはキャリブレーター組織あるいは細胞生物学的試料を含む。
【0033】
本発明の別の実施形態は、生物学的試料からのMSIのインビトロ診断の方法であって、以下の工程:
a)ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織ブロックなどのインビトロで得られた生物学的試料を3μmの切片に切片化することと、スライドガラスにマウントすることと、100%キシレンで脱ろうすることと、100%、95%、70%、50%のエタノールでの洗浄および蒸留水への水浸で再水和することと、
b)3%過酸化水素(H2O2)含有メタノールで内在性ペルオキシダーゼを不活性化させることと、
c)10%ウシ血清アルブミン(BSA)含有PBS中で正常ウサギ血清を用いて30分間ブロッキングすることと、
d)請求項2~12に記載の組成物を接触させることと、前記切片を25℃~4℃の温度でそれぞれ1時間または一晩、最も好ましくは4℃で一晩インキュベートすることと、
e)ビオチン標識二次抗体で30分間インキュベートすることと、
f)Vector Labs製のABCキット、またはそのような他のキットでさらに30分インキュベートすることと、
g)上記切片を3,3’-ジアミノベンジジン四塩酸塩(DAB)で染色することと、ギルヘマトキシリン染色液で対比染色することと、封入剤の上にカバースリップを付けることと、
h)顕微鏡を使用して切片を調べることと、TF染色のがん細胞陽性の5%~25%、最も好ましくは5%のカットオフで、陽性または陰性のMSI診断に分類するために、腫瘍内の陽性がん細胞の割合を推定することと、を含むこと特徴とする、方法に言及する。
【0034】
別の実施形態では、上記方法により試験されるインビトロでの生物学的試料は、液状化検体細胞診、胃洗浄液、膀胱洗浄液もしくは尿、腹水胸水もしくは脳脊髄液中、または希釈した糞便試料中の凍結された組織もしくは細胞を含む。
【0035】
別の実施形態では、インビトロでの生物学的試料からのMSIのインビトロ診断のための方法は、以下の工程:
a)血清または血漿のインビトロの生物学的試料を得ることと、
b)請求項2~12に記載の組成物のうちの1つを使用することにより、TF抗原を検出するための酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を実施することと、を含むことを特徴とする。
【0036】
別の実施形態では、上記ELISAは、TF抗原に対する自己抗体のレベルの検出を対象とすることを特徴とする。
【0037】
本発明の使用、組成物、方法およびキットは、免疫療法の治療に対する反応の診断、予後または予測のために、単一マーカーによる簡便で迅速な高感度かつ特異的な抗体アッセイを介して、臨床環境でのMSIのインビトロ診断を顕著に容易にするために、胃および直腸結腸のがん腫が挙げられるがこれに限定されないがん患者に有利に適用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、MSIが高い(陽性)およびMSIが低いまたは安定ステータス(陰性)のがん腫におけるTF抗原、中でも、5つのがん関連グリカンエピトープの発現の分析を開示し、正常または非悪性病変における望ましくない検出をせずに(
図1)、TF抗原の発現とMSIステータスとの間の新規かつ極めて重要な関連(表1および表2)を明らかにする。
【0039】
したがって、本発明は、胃がんが挙げられるがこれに限定されない腫瘍組織試料のマイクロサテライト不安定性(MSI)を検出するための方法もしくはキットで使用される組成物における、TF抗原に対する抗体またはTF抗原に対して親和性を有する他の薬剤の使用を開示する。
【0040】
その目的に使用することができる考えられる特定の抗体は、TF抗原抗体である3C9、SPM320、A68/B-A11、A78/G-A7、B79-H/B8、C80-I/C9、A68-B/A11を含み、いずれも、TF抗原に対する親和性を有することを特徴とし、商業的供給源、例えば、Novus Biologicals、Invitrogen、Cell Sciences、Creative Diagnostics、Creative Biolabs the Abcam、Santa Cruz、Histosearch、Life Span Biosciences、Creative Diagnosticsなど、または他の企業、例えば、Abnova、Raybiotech、NSJ Reagents、MyBiosource、American Research Products Inc、Fitzgerald Industries InternationalおよびProgenなどから入手することができる。
【0041】
本発明の他の実施形態では、上記抗体の可変ドメインの断片を本発明のために使用することができる。
【0042】
本発明の他の実施形態では、TF抗原に対して高親和性であるレクチン、例えば、ジャカリンを本発明のために使用することができる。
【0043】
上記抗体、抗体断片またはレクチンは、MSI検出用組成物に使用される。
【0044】
本発明の一実施形態では、上記MSI検出用組成物は、TF抗原に対して親和性を有する特定の抗体、抗体断片またはレクチンを、2%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA)含有リン酸緩衝食塩水(PBS)に5~50マイクログラムの範囲の量、最も好ましくは33マイクログラムの量で希釈することによって調製される。
【0045】
上記組成物を使用して、TF抗原の発現に基づいた(
図1)MSIのインビトロ診断のための方法に言及する本発明の実施形態を開発することが可能であり、かかる方法は、以下の工程:
a)ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織ブロックなどのインビトロで得られた生物学的試料を3μmの切片に切片化し、スライドガラスにマウントし、100%キシレンを使用して脱ろうし、100%、95%、70%、50%のエタノールでの洗浄および蒸留水への水浸で再水和することと、
b)3%過酸化水素(H2O2)含有メタノールで内在性ペルオキシダーゼを不活性化させることと、
c)組織切片を、10%ウシ血清アルブミン(BSA)含有PBS中で正常ウサギ血清を用いて30分間ブロッキングすることと、
d)TF抗原に対して特異的な抗体、抗体断片またはレクチンを含む上記組成物を、上記組織切片と接触させて、25℃~4℃の温度でそれぞれ1時間または一晩、最も好ましくは4℃で一晩インキュベートすることと、
e)ビオチン標識二次抗体を30分間適用することと、
f)Vector Labs製のABCキット、またはそのような種類のキットをさらに30分間適用することと、
g)切片を3,3’-ジアミノベンジジン四塩酸塩(DAB)で染色し、ギルヘマトキシリン染色液で対比染色することと、
h)顕微鏡下でスライドを調べ、TFのがん細胞陽性の5%~25%、最も好ましくは5%のカットオフで、MSI陽性またはMSI陰性のカテゴリーに分類するために、腫瘍内の陽性がん細胞の割合を推定することと、を含む。
【0046】
胃がん腫の30症例(現在のPCRを用いた分析による、MSI陽性13症例およびMSI陰性17症例)でこの方法を使用することにより、TFの発現とMSIステータスとの間の顕著で極めて重要な関連が得られる(p<0.001;フィッシャーの直接確率検定)。TF陽性10症例中、9症例がMSI陽性であり、これは、この胃がん分子サブタイプに対するTF抗原の前例なき特異性を示唆している(表1)。この方法を使用した結果は、TF陰性20症例中16症例がMSI陰性であったことから、TF抗原が感度に関しても優れていることを示す(表1)。これは、感度および特異性の値がそれぞれ、69.2%(9/13)および94.1%(16/17)という結果になる。陽性および陰性の予測因子の値はそれぞれ、90%(9/10)および80%(16/20)である。
【0047】
この方法の別の利点は、正常な腺および高度の炎症領域、ならびに腸の化生および異形成を含め、腫瘍に隣接する粘膜は完全に陰性である点であり、非悪性および前悪性の状態ではこのグリカンマーカーが存在しないことをはっきり示している(
図1a~
図1c)。陽性症例のうち、染色は、典型的には膜性であり、その腫瘍の全がん細胞の平均約30%において見られる。高分化型の胃がん腫では、染色は、典型的に、頂端部細胞膜においてであり、分泌が含まれた(
図1d~
図1f)。低分化型の胃がん腫における細胞内局在は、典型的には細胞質へシフトした(
図1g~
図1j)。TFの発現は、患者の予後良好と関連するように思われ、患者生存中央値の増加(88か月対31.5か月)および診断5年後の生存患者の高割合によって反映される(70%対30%)(表2)。この予後改善は、MSI患者では概して生存良好が生じることが知られていることから、予測と一致している。
【0048】
MSIを検出する本発明の方法の他の実施形態では、上記生物学的試料は、液状化検体細胞診、胃洗浄液、膀胱洗浄液もしくは尿、腹水胸水もしくは脳脊髄液中、または希釈した糞便試料中の凍結された組織もしくは腫瘍細胞を含み得る。
【0049】
本発明はさらに、本発明の方法を実行することによってMSIを検出するための上記組成物を含むキットに言及する。
【0050】
本発明の一実施形態では、上記キットはさらに、TF抗原を発現している対照組織および/またはキャリブレーター組織あるいは細胞生物学的試料を含む。
【0051】
以上をまとめると、本発明の使用、組成物、方法およびキットは、がん患者の治療に対する反応の予後または予測のために、単一マーカーによる迅速な高感度かつ特異的な抗体アッセイを介して、この異なるがんサブタイプの臨床環境での同定を顕著に改善するために、胃、直腸結腸および他の組織のがん腫においてMSIのインビトロ診断に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図A】表1.異常なグリカンエピトープとMSIステータスのアソシエーション分析を記載する。A)異常なグリコシル化についての5つのマーカー、すなわち、Thomsen-Friedenreich(TF、Galβ1-3GalNAcα1)抗原、Thomsen-nouvelle(Tn、GalNAcα1)およびそのシアリル化型-シアリルTn(STn、Neu5Acα2-3GalNAcα1)、シアリル-ルイスA(SLea、Neu5Acα2-3Galβ1-3[Fucα1-4]GlcNAcβ-)ならびにシアリル-ルイスX(SLex、Neu5Acα2-3Galβ1-4[Fucα1-3]GlcNAcβ-)の発現を、MSI陽性13症例およびMSI陰性17症例の胃がん腫で評価した。B)フィッシャーの直接確率検定を使用してMSIのマーカーの統計解析を実施し、TFとMSIの極めて重要な関連を明らかにした(
**)。欠測値は(/)で示されている。
【0053】
【
図B】表2.TF抗原ステータスに従って胃がん患者の臨床病理学的分析を記載する。TF陽性患者(10)およびTF陰性患者(20)を含む合計30人の患者のコホート、および臨床病理学的特徴のあるTFステータス(陰性/陽性)の比較。臨床病理学的群と2つのTFマーカーステータス群の間の関連を、2つのカテゴリーを有する特徴にはフィッシャーの直接確率検定を、また3つ以上のカテゴリーを有する特徴にはΧ
2検定を使用して計算した。TFステータス群の診断(月数)は、マン-ホイットニー-ウィルコクソン検定を使用して統計的に評価したため、年齢および生存の中央値において差がある。P値≦0.05を統計学的に有意であるとみなした(
**)。
【0054】
【
図C】
図1.ヒト胃組織試料におけるThomsen-Friedenreich(TF)抗原発現の代表的染色画像。(a)胃粘膜はTF陰性であり、ここでは、MSI陽性およびTF陽性の腫瘍に隣接する組織学的に正常な粘膜で代表される。(b)一般的には切断型O-グリカン担体に富んでいる杯細胞でさえもTF陰性であったことを示す腸の化生の代表的染色画像。(c)TF陽性がん腫の隣のTF陰性の異形成であり、悪性細胞に対するTFの特異性を示す。(d~f)高分化型胃がん腫は、粘液性分泌を含め、頂端部表面において典型的な膜性TF染色を示す。(g~i)低分化型胃がん腫は細胞質染色で占められた。(i)浸潤血管内のTF陽性がん腫細胞。
【実施例】
【0055】
実施例1-TF抗原に対する抗体を含むMSI検出用組成物の調製
本発明の一実施形態では、MSIのインビトロ診断用組成物は、TF抗原に対する抗体を、2%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA)含有リン酸緩衝食塩水(PBS)に、5~100マイクログラムの範囲の量で希釈することによって生成される。
【0056】
実施例2-抗体または抗原レセプターの断片を含むMSI検出用組成物の調製
本発明の一実施形態では、MSIのインビトロ診断用組成物は、免疫グロブリン重鎖または軽鎖の可変鎖、ならびにT細胞受容体の可変鎖が挙げられるがこれらに限定されない、TF抗原を標的とする可変領域の断片を含む。
【0057】
実施例3-レクチンを含むMSI検出用組成物の調製
本発明の一実施形態では、MSIのインビトロ診断用組成物は、ジャカリンが挙げられるがこれに限定されない、TF抗原に対して高親和性であるレクチン、およびその混合物を含む。
【0058】
実施例4-FFPE組織試料でのMSIのインビトロ診断のための方法
一例では、先行実施例に記載のように調製される組成物を使用する方法は、以下の工程:
a)ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織ブロックなどのインビトロで得られた生物学的試料を3μmの切片に切片化し、スライドガラスにマウントし、100%キシレンで脱ろうし、100%、95%、70%、50%のエタノールでの洗浄および蒸留水への水浸で再水和することと、
b)3%過酸化水素(H2O2)含有メタノールで内在性ペルオキシダーゼを不活性化させることと、
c)10%ウシ血清アルブミン(BSA)含有PBS中で正常ウサギ血清を用いて30分間ブロッキングすることと、
d)請求項2~12に記載の組成物を接触させ、上記切片を25℃~4℃の温度でそれぞれ1時間または一晩、最も好ましくは4℃で一晩インキュベートすることと、
e)ビオチン標識二次抗体で30分間インキュベートすることと、
f)Vector Labs製のABCキット、またはそのような他のキットでさらに30分間インキュベートすることと、
g)上記切片を3,3’-ジアミノベンジジン四塩酸塩(DAB)で染色し、ギルヘマトキシリン染色液で対比染色し、封入剤の上にカバースリップを付けることと、
h)顕微鏡を使用してスライドを調べ、TF抗原染色のがん細胞陽性の5%超のカットオフで、陽性または陰性のMSI診断に分類するために、腫瘍内の陽性がん細胞の割合を推定することと、を含む。
【0059】
この方法の利点は、単一マーカーとしてのTF抗原の発現を介して、がんにおける信頼性の高いMSIステータス予測因子が実現されることであり、そのため、TF抗原測定の適用は、時間および費用の点で効率的なMSI患者の層別化に大きな可能性を有する。
【0060】
実施例5-細胞試料でのMSIのインビトロ診断のための方法
別の例では、先行実施例に記載の方法に使用される生物学的試料は、凍結組織であり得るか、または液状化検体細胞診、胃洗浄、膀胱洗浄液もしくは尿、腹水胸水もしくは脳脊髄液中から、もしくは希釈した糞便試料から得られた、スライドガラス上に刷り込まれ固定された細胞を含む。この細胞試料の利点は、それらが、組織生検または外科標本を得るための手術を必要としない、最小侵襲手順により得られ得ることである。
【0061】
実施例6-MSIのインビトロ診断のための血清学的方法
別の例は、TF抗原を検出するELISA(酵素結合免疫吸着測定法)に基づく血清学的アッセイのMSIサブタイプ診断への適用可能性に関し、臨床環境における潜在的有用性を有する。
【0062】
したがって、別の実施形態では、MSIのインビトロ診断のための方法は、以下の工程:
a)血清または血漿のインビトロの生物学的試料を得ることと、
b)請求項2~12に記載の組成物のうちの1つを使用して、TF抗原を検出するためのELISAを実施することと、を含むよう開発され得る。
【0063】
実施例7-MSIインビトロ診断のための血清学的方法
別の実施形態では、先行実施例に記載の血清学的方法は、MSIステータスの指標となる特性を有し得る、TFに対する自己抗体レベルの上昇の検出などの戦略に従うことができる。
【0064】
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リスボン 2019年5月3日