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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】端末、基地局及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 68/00 20090101AFI20240918BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20240918BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20240918BHJP
   H04W 72/231 20230101ALI20240918BHJP
   H04W 72/232 20230101ALI20240918BHJP
【FI】
H04W68/00
H04W52/02 111
H04W72/0446
H04W72/231
H04W72/232
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021004106
(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公開番号】P2022108895
(43)【公開日】2022-07-27
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100170058
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 拓真
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100170058
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100142918
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 貴志
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 治彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 秀明
【審査官】桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】ZTE Corporation, Sanechips,Introduction of eDRX for redcap,3GPP TSG RAN WG2 #111-e R2-2006905,2020年08月17日,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_111-e/Docs/R2-2006905.zip>
【文献】DENSO CORPORATION,Leftover issues on derivation of PTW_start,3GPP TSG RAN WG2 #116-e R2-2110151,2021年11月01日,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_116-e/Docs/R2-2110151.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ページング用サーチスペース内における制御チャネル候補のモニタに基づいてページング情報に対応する下りリンク制御情報を検出した場合に前記ページング情報を受信する受信部と、
前記ページング用サーチスペース内における制御チャネル候補のモニタを所定のH-SFNにおける受信期間で実行するように制御する制御部と、
を有し、
前記所定のH-SFNにおける前記受信期間の開始位置は、N通り(N≧5の整数)のうちのいずれかになる、
端末。
【請求項2】
前記受信期間の開始位置は、所定の計算式で決定されるSystem Frame Numberで表される、
請求項1に記載の端末。
【請求項3】
前記Nは8であり、前記受信期間の開始位置は、8通りのうちのいずれかになる、
請求項1または2に記載の端末。
【請求項4】
前記受信部は、eDRXサイクルを含むeDRXに関する設定情報に従った前記モニタに基づいてページング情報に対応する下りリンク制御情報を検出した場合に、前記ページング情報を受信する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の端末。
【請求項5】
前記受信期間の開始位置は、ハッシュIDの最上位10又は12ビットであるUE_ID_Hを前記eDRXサイクルで割り、小数点以下を切り捨てた値を前記Nで割った余りを、定数と乗ずることで決定される、
請求項4に記載の端末。
【請求項6】
ハッシュIDの最上位10又は12ビットであるUE_ID_Hを前記eDRXサイクルで割り、小数点以下を切り捨てた値を前記Nで割った余りが前記N通りのうちのいずれかになることで、前記受信期間の開始位置が前記N通りのうちのいずれかになる、
請求項4に記載の端末。
【請求項7】
前記受信部は、前記eDRXサイクルを示す情報を含むeDRXに関する設定情報を受信する、
請求項4~6のいずれか一項に記載の端末。
【請求項8】
前記設定情報は、NASメッセージ又はRRCメッセージに含まれる、
請求項7に記載の端末。
【請求項9】
ページング用サーチスペースに関する設定情報を送信する送信部と、
定のH-SFNにおける受信期間で、前記ページング用サーチスペース内で下り制御情報を送信するように制御する制御部と、
を有し、
前記所定のH-SFNにおける前記受信期間の開始位置は、N通り(N≧5の整数)のうちのいずれかになる、
基地局。
【請求項10】
ページング用サーチスペース内における制御チャネル候補のモニタに基づいてページング情報に対応する下りリンク制御情報を検出した場合に前記ページング情報を受信する工程と、
記ページング用サーチスペース内における制御チャネル候補モニタを所定のH-SFNにおける受信期間で実行するように制御する工程と、
を含み
前記所定のH-SFNにおける前記受信期間の開始位置は、N通り(N≧5の整数)のうちのいずれかになる、
端末が行う無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末、基地局及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際標準化団体であるThird Generation Partnership Project(3GPP)では、第3.9世代の無線アクセス技術(Radio Access Technology:RAT)であるLong Term Evolution(LTE)、第4世代のRATであるLTE-Advancedの後継として、第5世代(Fifth Generation:5G)のRATであるNew Radio(NR)のリリース15が仕様化されている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
また、LTE(Long Term Evolution)では、IoT(Internet of Things)機器のように、消費電力が更に制限される端末の存在を考慮し、無線信号を受信可能な期間を制限することで電力消費量を削減するeDRX(extended DRX)と呼ばれる技術が導入されている(例えば、非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】3GPP TS 38.300 V15.11.0 (2020-09)
【文献】3GPP TS 36.300 V15.12.0 (2020-12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、3GPPでは、NRを用いて無線アクセスを行うIoT向けの新たな端末を想定した機能の検討が開始されている。また、検討されている機能の中には、上述のeDRXも含まれている。
【0006】
しかしながら、現在のNRに関する仕様にはeDRXは存在しないことから、将来NRにeDRXを導入した場合、端末がどのように無線信号をモニタすべきかの規定は存在していない。
【0007】
本開示はこのような事情に鑑みてなされたものであり、端末がeDRXの設定に従って無線信号をモニタすることを可能とする端末、基地局及び無線通信方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る端末は、複数の共通サーチスペースに関する設定情報と、eDRXに関する設定情報とを受信する受信部と、前記eDRXに関する設定情報で示される、所定のH-SFNにおける受信期間で、前記複数の共通サーチスペースのうちページング用サーチスペース内の制御チャネル候補をモニタするように制御する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、端末がeDRXの設定に従って無線信号をモニタすることを可能とする端末、基地局及び無線通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る無線通信システムの一例を示す図である。
図2】ページング時におけるDRX動作を説明するための図である。
図3】ページング時におけるeDRX動作を説明するための図である。
図4】無線通信システム内の各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】端末の機能構成の一例を示す図である。
図6】基地局の機能構成の一例を示す図である。
図7】eDRXに関する処理手順の一例を示すシーケンス図である。
図8】3GPP仕様書の仕様変更例を示す図である。
図9】3GPP仕様書の仕様変更例を示す図である。
図10】3GPP仕様書の仕様変更例を示す図である。
図11】3GPP仕様書の仕様変更例を示す図である。
図12】3GPP仕様書の仕様変更例を示す図である。
図13】3GPP仕様書の仕様変更例を示す図である。
図14】3GPP仕様書の仕様変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0012】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの概要の一例を示す図である。図1に示すように、無線通信システム1は、端末10と、基地局20と、コアネットワーク30と、を含んでもよい。なお、図1に示す端末10、基地局20の数は例示にすぎず、図示する数に限られない。
【0013】
無線通信システム1の無線アクセス技術(Radio Access Technology:RAT)としては、例えば、NRが想定されるが、これに限られず、例えば、LTE、LTE-Advanced又は第6世代以降のRAT等、種々のRATを利用できる。
【0014】
端末10は、例えば、スマートフォンや、パーソナルコンピュータ、車載端末、車載装置、静止装置、テレマティクス制御ユニット(Telematics control unit:TCU)等、所定の端末又は装置である。端末10は、ユーザ装置(User Equipment:UE)、移動局(Mobile Station:MS)、端末(User Terminal)、無線装置(Radio apparatus)、加入者端末、アクセス端末等と呼ばれてもよい。端末10は、移動型であってもよいし、固定型であってもよい。端末10は、RATとして、例えば、NRを用いて通信可能に構成される。
【0015】
ここで、NRのリリース17では、リリース15又は16で導入された高速大容量(enhanced Mobile Broadband:eMBB)、超高信頼低遅延(Ultra-reliable and Low Latency Communications:URLLC)向けの端末よりも低い性能や価格帯を想定した端末向けの機能をサポートすることが検討されている。当該端末は、低減能力(Reduced capability:RedCap)端末、デバイス等とも呼ばれ、例えば、産業用無線センサ(industrial wireless sensor)、監視カメラ(video serveilance)、ウエアラブルデバイス(wearable device)等に利用されることが想定されている。
【0016】
RedCap端末は、省電力・広域通信(Low Power Wide Area:LPWA)向けの端末よりも高い性能を想定しており、RedCap端末が利用するキャリアは、例えば、20MHz、50MHz又は100MHz等の帯域幅であってもよい。なお、LPWAには、例えば、カテゴリ1、LTE方式のRATで動作するLong Term Evolution for Machine-type-communication(LTE-M)及びNarrow Band IoT(NB-IoT)等がある。カテゴリ1の最大帯域幅は20MHzであり、LTE-Mの最大帯域幅は1.4MHz(6RB)であり、NB-IoTの最大帯域幅は180kHz(1RB)である。このように、RedCap端末は、eMBB、URLLC向けと、LPWA向けとの間のミドルレンジの端末として使用されることが想定されている。本実施形態に係る端末10には、RedCap端末、LPWA向けの端末も含む。
【0017】
基地局20は、一以上のセルCを形成し、当該セルCを用いて端末10と通信する。セルCは、サービングセル、キャリア、コンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)等と相互に言い換えられてもよい。基地局20は、gNodeB(gNB)、en-gNB、Next Generation‐Radio Access Network(NG-RAN)ノード、eNB、低電力ノード(low-power node)、Central Unit(CU)、Distributed Unit(DU)、gNB-DU、Remote Radio Head(RRH)、Integrated Access and Backhaul/Backhauling(IAB)ノード等と呼ばれてもよい。基地局20は、一つのノードに限られず、複数のノード(例えば、DU等の下位ノードとCU等の上位ノードの組み合わせ)で構成されてもよい。
【0018】
コアネットワーク30は、例えば、NRに対応したコアネットワーク(5G Core Network:5GC)であるが、これに限られない。コアネットワーク30上の装置(以下、「コアネットワーク装置」ともいう)は、端末10のページング、位置登録等の移動(mobility)管理を行う。コアネットワーク装置は、所定のインタフェース(例えば、S1又はNGインタフェース)を介して基地局20に接続されてもよい。
【0019】
コアネットワーク装置は、例えば、アクセス及び移動管理等に関する情報を管理するAMF(Access and Mobility Management Function)、セッション管理を行うSMF(Session Management Function)、Uプレーンの伝送制御を行うUser Plane Function(UPF)、ネットワークスライスを管理するNSSF(Network Slice Selection Function)等の複数の機能の少なくとも1つを含む。これらの各機能は、1又は複数の物理的、若しくは論理的な装置に実装される。
【0020】
無線通信システム1において、端末10は、基地局20からの下り(downlink:DL)信号の受信及び/又は上り信号(uplink:UL)の送信を行う。端末10には、一以上のキャリアが設定(configure)されてもよい。各キャリアの帯域幅は、例えば、5MHz~400MHzである。一つのキャリアには、一つ又は複数の帯域幅部分(Bandwidth Part:BWP)が設定されてもよい。一つのBWPは、キャリアの少なくとも一部の帯域幅を有する。
【0021】
以下の説明では、下り制御チャネルの一例として、物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control Channel:PDCCH)を説明するが、下り制御チャネルは、下り制御情報(Downlink Control Channel:DCI)の伝送に用いられるチャネルであればよく、その名称は、PDCCHに限られない。また、当該下り制御情報は、所定の無線ネットワーク一時識別子(Radio Network Temporary Identifier:RNTI)により巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check:CRC)がスクランブルされた、所定フォーマットのDCI(Downlink Control Information)であってもよく、その名称は、DCIに限られない。
【0022】
また、以下の説明では、下り共通チャネルの一例として、物理下り共通チャネル(Physical Downlink Shared Channel:PDSCH)を説明するが、下り共通チャネルは、少なくともページング情報の伝送に用いられるチャネルであればよく、その名称は、PDSCHに限られない。
【0023】
(従来のeDRX技術)
ここで、LTEで規定されている従来のeDRX(拡張DRX)技術について説明する。LTEでは、時間の長さが1msであるサブフレーム(Subframe)と、時間の長さが10msである無線フレーム(Radio Frame)と、時間の長さが10.23秒であるハイパーフレーム(Hyperframe)が規定されている。無線フレームの位置は、0~1023番までのSFN(System Frame Number)により表される。また、1024個の無線フレームより長い時間を管理するため、0~1023番のSFN(つまり10.24秒)の長さであるハイパーフレームが規定されている。ハイパーフレームは、0~1023番号までのH-SFN(Hyper-SFN)により表される。
【0024】
図2は、ページング時におけるDRX動作を説明するための図である。図2に示すように、RRCアイドル(RRC_IDLE)である端末10は、PO(Paging Occasion)と呼ばれる期間で下り制御チャネル候補(PDCCH candidates)をモニタすることでページング信号を受信する。端末10がDRX設定に従って動作している間、基地局20は、PO期間でページング信号を送信し、それ以外の期間ではページング信号を送信しない。PO期間内でページング信号を受信した端末10は、基地局20との間で通信を確立させ、RRC_CONNECTED状態に遷移する。POは、DRXサイクル毎に1つ存在する。DRXサイクルは最大2.56秒である。
【0025】
図3は、ページング時におけるeDRX動作を説明するための図である。図3に示すように、RRCアイドルである端末10は、PTW(Paging Time Window)と呼ばれる期間内に存在するPO期間で下り制御チャネル候補をモニタすることで、ページング信号を受信する。PTWは、PH(Paging Hyperframe)と呼ばれるハイパーフレーム内に1つ設定される。PHは、eDRXサイクル毎に1つ存在する。eDRXサイクルは、NB-IoTである端末10の場合、最大2.91時間(つまり、1024ハイパーフレーム)であり、NB-IoT以外の端末10の場合、最大約44分(つまり256ハイパーフレーム)である。
【0026】
端末10がeDRX設定に従って動作している間、基地局20は、PTW期間かつPO期間でページング信号を送信し、それ以外の期間ではページング信号を送信しない。ページング信号を受信した端末10は、基地局20との間で通信を確立させ、RRC_CONNECTED状態に遷移する。
【0027】
ここで、PHは、以下の数式1を満たすH-SFNである。
(数式1)
H-SFN mod TeDRX,H = (UE_ID_H mod TeDRX,H)
eDRX,Hは、eDRXサイクルを示し、ハイパーフレームの整数倍の長さで設定される。UE_ID_Hは、S-TMSI(SAE Temporary Mobile Subscriber Identity)又は5G-S-TMIS(5G S-Temporary Mobile Subscriber Identity)に基づいて定められるハッシュID(Hashed ID)の最上位10又は12ビットである。
【0028】
PTWの開始位置(PTW_start)(開始タイミング)であるSFNは、以下の数式2及び数式3で表される。
(数式2)
SFN = 256 * ieDRX
(数式3)
ieDRX=floor(UE_ID_H/TeDRX,H) mod 4
【0029】
PTWの終了位置(PTW_end)(終了タイミング)であるSFNは、以下の数式4で表される。
(数式4)
SFN = (PTW_start+L*100-1) mod 1024
Lは、PTWの時間長(Paging Time Window length)であり、上位レイヤ(RRC(Radio Resource Control)又はNAS(Non Access Stratum))のメッセージにより端末10に設定される。
【0030】
(NRでeDRXを実現する際の課題)
NRにeDRXを適用する場合、以下の課題があると考えられる。まず、LTEにおけるeDRXでは、PTWの開始位置として取り得る値が4通りに制限されている。具体的には、上記の数式2及び3によれば、ieDRXの取り得る値は、0、1、2及び3であるから、PTWの開始位置は、SFN=0、256、512、768の4つに限定される。しかしながら、NRは、無線通信に必要な各種の設定をLTEよりも柔軟に行えることができるように設計されている。そのため、NRでeDRXを実現する場合、PTWの開始位置をLTEよりも柔軟に設定可能とすべきであると考えられる(第1の課題)。
【0031】
次に、NRにおいて、端末10がPDCCH候補をモニタする領域は、サーチスペースと呼ばれる。サーチスペースは、各端末10に共通に設定される共通サーチスペース(Common Search Space:CSS)と、端末10ごとに個別に設定される個別サーチスペース(UE specific Search Space:USS)が規定されている。
【0032】
NRでは、BWPごとにサーチスペースを設定することが可能であるが、サーチスペースが設定されないBWPでは、端末10は、制御チャネル候補をモニタしないことが3GPP仕様で明示的に規定されている。しかしながら、NRではeDRXは規定されていないことから、当然、PO期間以外の期間でどのように動作すべきなのかの規定も存在しない。このような状況を鑑みると、NRでeDRXを実現する場合、端末10がDRXの設定に従って無線信号をモニタする仕組みについて、具体的な規定が必要であると考えられる(第2の課題)。
【0033】
次に、NRでは、RRCインアクティブ(RRC_INACTIVE)と呼ばれる新たなRRC状態が規定されている。RRCインアクティブは、RRCアイドルと同様、端末10の省電力化を図ることが可能であるが、RRCアイドルとは異なり、端末10と基地局20とコアネットワーク30で、RRCコンテキスト及びNASコンテキストを保持している。また、TA(Tracking Area)を細分化したエリアであるRAN通知エリア(RAN Notification Area:RNA)が定義され、基地局20は、端末10が存在するRAN通知エリアを管理する。また、RRCインアクティブ状態である端末10を呼び出す場合に用いられる、RAN通知エリアの単位でページング処理を行う「RANページング」と呼ばれる技術が導入されている。
【0034】
RANページングでは、端末10が存在するRAN通知エリアを構成する複数の基地局20から一斉にページング信号が送信される。そのため、基地局20は、同一のRAN通知エリアを構成する他の基地局20との間で、RANページングを行うために必要な各種情報を共有する必要がある。
【0035】
車両に搭載されたRedCap端末10など、移動する可能性が高い端末10の場合、eDRXで動作しながらRRCインアクティブの状態に遷移することも想定される。そのため、NRでeDRXを実現する場合、eDRXに対応する端末10がRRCインアクティブに遷移した場合であっても、eDRXを考慮してRANページング処理を行うことを可能とする仕組みが必要になる(第3の課題)。
【0036】
(本実施形態の概要)
本実施形態に係る無線通信システムでは、第1の課題を解決するため、PTWの開始位置として取り得る数を、任意の数に設定可能とする。また、第2の課題を解決するため、eDRXが設定された端末10は、PTWの間、ページング用の共通サーチスペースで制御チャネル候補をモニタし、PTW以外の期間では、当該共通サーチスペースで制御チャネル候補をモニタしないように動作する。また、第3の課題を解決するため、RANページングを行う際、基地局20から他の基地局20に対し、Xnインタフェースを用いてeDRXに関する設定情報を通知可能とする。
【0037】
本実施形態において、eDRXサイクル(eDRX周期)やPTWの時間長(受信期間の長さ)など、eDRX動作を実現するために必要な設定情報を「eDRXに関する設定情報」と呼ぶ。また、以下の説明において「eDRXに関する設定情報」の用語は、特に断りがない限り、eDRXサイクルやPTWの時間長などeDRXに関する設定情報のみを意味することとしてもよいし、eDRXに関する設定情報に加えてDRXサイクルやPO位置の設定などのDRX動作を実現するために必要な設定情報も含むことを意味することとしてもよい。
【0038】
<ハードウェア構成>
図4は、無線通信システム内の各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。無線通信システム1内の各装置(例えば、端末10、基地局20、コアネットワーク30など)は、プロセッサ11、記憶装置12、有線又は無線通信を行う通信装置13、各種の入力操作を受け付ける入力装置や各種情報の出力を行う入出力装置14を含む。
【0039】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、無線通信システム1内の各装置を制御する。プロセッサ11は、プログラムを記憶装置12から読み出して実行することで、本実施形態で説明する各種の処理を実行してもよい。無線通信システム1内の各装置は、1又は複数のプロセッサ11により構成されていてもよい。また、当該各装置は、コンピュータと呼ばれてもよい。
【0040】
記憶装置12は、例えば、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等のストレージから構成される。記憶装置12は、プロセッサ11による処理の実行に必要な各種情報(例えば、プロセッサ11によって実行されるプログラム等)を記憶してもよい。
【0041】
通信装置13は、有線及び/又は無線ネットワークを介して通信を行う装置であり、例えば、ネットワークカード、通信モジュール、チップ、アンテナ等を含んでもよい。また、通信装置13には、アンプ、無線信号に関する処理を行うRF(Radio Frequency)装置と、ベースバンド信号処理を行うBB(BaseBand)装置とを含んでいてもよい。
【0042】
RF装置は、例えば、BB装置から受信したデジタルベースバンド信号に対して、D/A変換、変調、周波数変換、電力増幅等を行うことで、アンテナから送信する無線信号を生成する。また、RF装置は、アンテナから受信した無線信号に対して、周波数変換、復調、A/D変換等を行うことでデジタルベースバンド信号を生成してBB装置に送信する。BB装置は、デジタルベースバンド信号をパケットに変換する処理、及び、パケットをデジタルベースバンド信号に変換する処理を行う。
【0043】
入出力装置14は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等の入力装置と、例えば、ディスプレイ及び/又はスピーカ等の出力装置とを含む。
【0044】
以上説明したハードウェア構成は一例に過ぎない。無線通信システム1内の各装置は、図4に記載したハードウェアの一部が省略されていてもよいし、図4に記載されていないハードウェアを備えていてもよい。また、図4に示すハードウェアが1又は複数のチップにより構成されていてもよい。
【0045】
<機能構成>
(端末)
図5は、端末10の機能構成の一例を示す図である。端末10は、受信部101と、送信部102と、制御部103とを含む。受信部101と送信部102とが実現する機能の全部又は一部は、通信装置13を用いて実現することができる。また、受信部101と送信部102とが実現する機能の全部又は一部と、制御部103とは、プロセッサ11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0046】
受信部101は、下り信号を受信する。また、受信部101は、下り信号を介して伝送された情報及び/又はデータを受信してもよい。ここで、「受信する」とは、例えば、無線信号の受信、デマッピング、復調、復号、モニタリング、測定の少なくとも一つ等の受信に関する処理を行うことを含んでもよい。
【0047】
また、受信部101は、eDRXに関する設定情報及び/又は共通サーチスペースに関する設定情報を基地局20から受信する。
【0048】
送信部102は、上り信号を送信する。また、送信部102は、上り信号を介して伝送される情報及び/又はデータを送信してもよい。ここで、「送信する」とは、例えば、符号化、変調、マッピング、無線信号の送信の少なくとも一つ等の送信に関する処理を行うことを含んでもよい。
【0049】
制御部103は、受信部101で受信したeDRXに関する設定情報に基づいて、eDRXに関する各種の処理を行う。また、制御部103は、eDRXに関する設定情報に基づいて、PH(所定のH-SFN)おけるPTW(受信期間)で、制御チャネル候補をモニタするように制御する。
【0050】
(基地局)
図6は、基地局20の機能構成の一例を示す図である。基地局20は、受信部201と、送信部202と、制御部203とを含む。受信部201と送信部202とが実現する機能の全部又は一部は、通信装置13を用いて実現することができる。また、受信部201と送信部202とが実現する機能の全部又は一部と、制御部103とは、プロセッサ11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0051】
受信部201は、上り信号を受信する。また、受信部201は、上記上り信号を介して伝送された情報及び/又はデータを受信してもよい。また、受信部201は、eDRXに関する設定情報を、コアネットワーク30から受信する。また、受信部201は、Xnインタフェースを用いて、他の基地局20から、各種の情報を受信する。
【0052】
送信部202は、下り信号を送信する。また、送信部202は、上記下り信号を介して伝送される情報及び/又はデータを送信してもよい。また、送信部202は、Xnインタフェースを用いて、他の基地局20に対し、各種の情報を送信する。また、送信部202は、eDRXに関する設定情報及び/又は共通サーチスペースに関する設定情報を端末10に送信する。
【0053】
また、送信部202は、他の基地局20に対して各種の情報を送信する。例えば、送信部202は、RRCインアクティブ状態の端末10に対してRANページング処理を実行する場合、eDRXに関する設定情報を含むRANページング情報要素を他の基地局20に送信する。
【0054】
制御部203は、RRCインアクティブ状態の端末10に対するRANページング処理を制御する。また、制御部203は、eDRXに関する設定情報で示されるPH(所定のH-SFN)におけるPTW(受信期間)で、下り制御情報を送信するように制御する。
【0055】
<NRでeDRXを実現する際の処理手順>
(シーケンス)
図7は、eDRXに関する処理手順の一例を示すシーケンス図である。図7において、基地局20-X及び基地局20-Yは、同一のRAN通知エリアを構成しているものとする。
【0056】
ステップS100で、端末10は、基地局20を介して、コアネットワーク30に登録要求(Registration Request)を送信する。ここでは、端末10は、基地局20-Xを介して登録要求を送信したとする。
【0057】
ステップS101で、コアネットワーク30(例えばAMF)は、基地局20-Xを介して、端末10に登録受付(Registration Accept)を送信する。登録受付メッセージには、端末10に設定すべきeDRXに関する設定情報が含まれている。端末10は、受信したeDRXに関する設定情報を記憶装置12に記憶する。登録要求及び登録受付は、NASメッセージとも呼ばれる。
【0058】
なお、eDRXに関する設定情報は、ステップS100及びステップS101の処理手順に限定されず、どのような方法で端末10に設定されてもよい。例えば、NASメッセージではなく、RRCメッセージ(例えば、(RRC Setup、RRC Reconfiguration、RRC Reestablishment等)を用いて端末10に設定されることとしてもよい。
【0059】
ステップS102で、基地局20-Xは、コアネットワーク30から、端末10に設定されたeDRXに関する設定情報を含む、N2メッセージを受信する。なお、N2メッセージとは、基地局20及びコアネットワーク30の間のインタフェース(N2インタフェース)で用いられるメッセージを意味する。当該N2メッセージは、例えば、Initial Context setupメッセージ、UE context modificationメッセージ、Handover resource allocationメッセージ、Path switch requestメッセージであってもよい。また、eDRXに関する設定情報は、RRCインアクティブに関するコアネットワークアシスト情報(Core Network Assistance Information for RRC INACTIVE)の一部であってもよい。
【0060】
ステップS103で、端末10は、RRCインアクティブ状態に遷移する。RRCインアクティブ状態では、端末10に関するRRCコンテキスト(ASコンテキスト)は、端末10及び基地局20-Xで保持されている。
【0061】
ステップS104で、コアネットワーク30(例えばUPF)は、基地局20-Xに、端末10に送信すべき下りデータ(ユーザプレーンデータ又は下りシグナリング)を送信する。
【0062】
ステップS105で、基地局20-Xは、端末10に送信すべき下りデータを受信したものの、当該端末10はRRCインアクティブ状態であることから、RANページングをトリガすべきイベントが発生したことを検出する。
【0063】
ステップS106で、基地局20-Xは、基地局20-Xと同一のRAN通知エリアに対応づけられる他の基地局20(ここでは基地局20-Y)に、RANページング情報を送信する。当該他の基地局20は、端末10が在圏するRAN通知エリアに対応する基地局20と呼ばれてもよい。また、基地局20-Xは、ステップS102の処理手順で受信したeDRXに関する設定情報を、RANページング情報に含めて送信する。
【0064】
ステップS107で、基地局20-X及び基地局20-Yは、端末10に対してページング情報の送信を行う。ここで、基地局20-X及び基地局20-Yは、eDRXに関する設定情報に従い、PTW期間で(より詳細にはPTW期間に存在するPO期間で)ページング情報を送信する。また、PTW期間以外の期間ではページング情報を送信しない。なお、基地局20がPTW期間でページング情報を送信するとは、より具体的には、PTW期間における共通サーチスペース内で、ページング情報が送信される物理下り共通チャネルのリソース位置等を示す下り制御情報を送信することである。
【0065】
ステップS108で、端末10は、設定されたeDRXに関する設定情報に従い、PHにおけるPTW期間で(より詳細にはPTW期間に存在するPO期間で)サーチスペース内の制御チャネル候補をモニタする。サーチスペース内の制御チャネル候補をモニタすることで、ページング情報に対応する下り制御情報を検出した場合、当該下り制御情報に従って物理下り共通チャネルの復調及び復号を行うことでページング情報を受信する。
【0066】
ここで、NRでは、以下に示す複数の共通サーチスペースが規定されており、これらの複数の共通サーチスペースに関する設定情報は、基地局20からシステム情報(System Information)又は個別のRRCメッセージ(RRC Setup、RRC Reconfiguration、RRC Reestablishment等)を用いて端末10に送信(設定)される。
【0067】
・SIB1(System Information Block 1)が配置される無線リソースを示す下り制御情報が送信される共通サーチスペース(Type0-PDCCH CSS set)
・SIB1以外のシステム情報(SIB2、SIB3等)が配置される無線リソースを示す下り制御情報が送信される共通サーチスペース(Type0A-PDCCH CSS set)
・ランダムアクセス手順におけるメッセージ1の受信に用いられる下り制御情報が送信される共通サーチスペース(Type1-PDCCH CSS set)
・ページング情報が配置される無線リソースを示す下り制御情報が送信される共通サーチスペース(Type2-PDCCH CSS set)
・ユーザデータ等の通常のデータが配置される無線リソースを示す下り制御情報が送信される共通サーチスペース(Type3-PDCCH CSS set)
すなわち、基地局20は、eDRXに関する設定情報で示される、PHにおけるPTW期間で、共通サーチスペースに関する設定情報で示される複数の共通サーチスペースのうち、ページング用サーチスペース(Type2-PDCCH CSS set)内で下り制御信号を送信する。また、端末10は、eDRXに関する設定情報で示される、PHにおけるPTW期間で、共通サーチスペースに関する設定情報で示される複数の共通サーチスペースのうち、ページング用サーチスペース(Type2-PDCCH CSS set)内の制御チャネル候補をモニタする。
【0068】
また、基地局20は、PHにおけるPTW以外の期間では、ページング用サーチスペース内で下り制御情報を送信しないようにしてもよい。また、端末10は、PHにおけるPTW以外の期間では、ページング用サーチスペース内の制御チャネル候補をモニタしないようにしてもよい。PHにおけるPTW以外の期間でページング用サーチスペース内の制御チャネル候補をモニタしないようにすることで、端末10のバッテリー消費量を軽減することが可能になる。
【0069】
なお、本実施形態では、サーチスペースの期間がeDRXの設定と同一になるように変更された、ページング用の新たな共通サーチスペースを定義することとしてもよい。具体的には、PTW期間に存在するPO期間をサーチスペースとしたページング用の新たな共通サーチスペースを規定し、端末10は、当該新たな共通サーチスペースの設定に従って制御チャネル候補をモニタすることとしてもよい。当該新たな共通サーチスペースに関する設定は、RRCメッセージ又はNASメッセージを用いて端末10に通知されることとしてもよい。
【0070】
(eDRXの設定)
図7のステップS101、ステップS102、ステップS106、ステップS107及びステップS108の処理手順におけるeDRXに関する設定情報について、複数の具体例に説明する。
【0071】
[設定情報の具体例1]
本実施形態に係る無線通信システムは、LTEと同様のeDRX動作を行うこととしてもよい。つまり、PHは数式1に従って決定され、PTWの開始位置は数式2及び3に従って決定され、PTWの終了位置は数式4により決定されることとしてもよい。この場合、eDRXに関する設定情報には、eDRXサイクル(数式1及び3におけるTeDRX,H)と、PTWの時間長(数式4におけるL)とが含まれる。例えば、ステップS106の処理手順において、基地局20-Xは、eDRXサイクルを示す情報とPTWの時間長とを含むeDRXに関する設定情報を、RANページング情報に含めて送信する。
【0072】
[設定情報の具体例2]
本実施形態に係る無線通信システムは、PTWの開始位置の設定に関する所定情報をeDRXに関する設定情報に含めることで、PTWの開始位置をLTEよりも柔軟に設定可能とするようにしてもよい。
【0073】
例えば、PTWの開始位置の設定に関する所定情報には、PHにおけるPTWの開始位置の数(PTWの開始SFNとして設定され得るSFNの数)を示す情報が含まれることとし、PTWの開始位置は、PHにおけるPTWの開始位置の数を示す情報を所定の計算式に入力することで決定されることとしてもよい。当該所定の計算式は、以下に示す数式5及び数式6であってもよい。また、PTWの終了位置は、LTEと同様に数式4に従って決定されることとしてもよい。
【0074】
(数式5)
SFN = (1024 div NPTW)*ieDRX
(数式6)
ieDRX=floor(UE_ID_H/TeDRX,H) mod NPTW
数式5及び6において、NPTWは、PHにおけるPTWの開始位置の数を示す情報である。例えば、NPTW=8とした場合、ieDRXの取り得る値は、0~7になるから、PTWの開始位置は、SFN=0、128、256、384、512、640、768、896の8つのうちいずれかになる。なお、NPTW=4である場合、数式5及び6は、それぞれ、数式2及び3と同一になる。つまり、数式5及び6を利用することで、PTWの開始位置を、LTEよりも柔軟に設定することが可能になる。
【0075】
PTWの開始位置を数式5及び6に従って決定し、PTWの終了位置を数式4により決定する場合、eDRXに関する設定情報には、eDRXサイクル(数式6におけるTeDRX,H)と、PTWの時間長(数式4におけるL)と、PHにおけるPTWの開始位置の数(数式5におけるNPTW)とが含まれる。例えば、ステップS101の処理手順において、端末10は、eDRXサイクルを示す情報と、PTWの時間長と、PHにおけるPTWの開始位置の数(PTWの開始位置の設定に関する所定情報)とを含むeDRXに関する設定情報を有するNASメッセージ又はRRCメッセージを受信する。また、ステップS106の処理手順において、基地局20-Xは、eDRXサイクルを示す情報と、PTWの時間長と、PHにおけるPTWの開始位置の数(PTWの開始位置の設定に関する所定情報)とを含むeDRXに関する設定情報を、RANページング情報に含めて送信する。
【0076】
[設定情報の具体例3]
本実施形態に係る無線通信システムにおいて、PTWの開始位置の設定に関する所定情報は、PTWの開始位置を示す無線フレームを指定する情報を含むこととしてもよい。例えば、PTWの開始位置を示す無線フレームを指定する情報は、SFN=0、SFN=64といったように、具体的な無線フレーム番号を指定する情報であってもよい。また、eDRXに関する設定情報は、PTWの終了位置を示す無線フレームを指定する情報(例えば、SFN=64、SFN=128等)を含むこととしてもよい。これにより、PTWの終了位置を柔軟に設定することが可能になる。
【0077】
この場合、eDRXに関する設定情報には、eDRXサイクルと、PTWの開始位置を示す無線フレームを指定する情報と、PTWの終了位置を示す無線フレームを指定する情報とが含まれる。例えば、ステップS101の処理手順において、端末10は、eDRXサイクルと、PTWの開始位置を示す無線フレームを指定する情報と、PTWの終了位置を示す無線フレームを指定する情報とを含むeDRXに関する設定情報を有するNASメッセージ又はRRCメッセージを受信する。また、ステップS106の処理手順において、基地局20-Xは、eDRXサイクルと、PTWの開始位置を示す無線フレームを指定する情報と、PTWの終了位置を示す無線フレームを指定する情報とを含むeDRXに関する設定情報を、RANページング情報に含めて送信する。
【0078】
<仕様変更例>
図8図14は、3GPP仕様書の仕様変更例を示す図である。図8及び図9の下線部は、図7のステップS108の処理手順で説明した端末10の動作に関する仕様変更例を示す。
【0079】
図10は、図7のステップS106の処理手順で説明した、RANページング情報にeDRXに関する設定情報であるPaging eDRX informationを追加する場合の仕様変更例を示す。図11及び図12は、Paging eDRX informationに含まれるeDRXパラメータの具体例を示す。図11は、設定情報の具体例1に対応し、図12は設定情報の具体例2に対応する。
【0080】
図11及び図12の「Paging eDRX Cycle」はeDRXサイクルに対応し、「Paging Time Window」はPTWの時間長に対応する。また、図12の「Number of PTWs」はPHにおけるPTWの開始位置の数に対応する。
【0081】
図13は、Paging eDRX informationのフォーマット例を示している。図13に示すフォーマットは、図11に示すeDRXパラメータを含んでいる。図13及び図14は、Paging eDRX informationのプロトコルIDを規定する際の仕様変更例を示している。
【0082】
<まとめ>
以上説明した実施形態によれば、第1の課題に対し、PTWの開始位置として取り得る数を、任意の数に設定可能とした。これにより、eDRXに関する動作設定をより柔軟に行うことが可能になる。また、第2の課題に対し、eDRXが設定された端末10は、PTWの間、ページング用の共通サーチスペース)をモニタし、PTW以外の期間では、当該共通サーチスペースをモニタしないように動作するようにした。これにより、NRにeDRXが導入された場合に、ユーザ端末が適切にモニタ動作を行うことが可能になる。また、端末10の消費電力を削減することが可能になる。また、第3の課題に対し、RANページングを行う際に、基地局20から他の基地局20に対し、eDRXに関する設定情報を通知可能とした。これにより、eDRXに対応する端末がRRCインアクティブに遷移した場合であっても、RANページングを行うことが可能になる。
【0083】
<その他の実施形態>
上記実施形態において、「ページング用サーチスペース内の制御チャネル候補をモニタ」することは、「ページング用サーチスペース情報(pagingSearchSpace)により設定されるサーチスペースセット内の制御チャネル候補をモニタ」することと表現されてもよい。
【0084】
上記実施形態において、第1時間単位の一例を1ハイパーフレーム(10.23sec)としとし、第2時間単位の一例を1無線フレーム(10ms)とし、第3時間単位の一例を1サブフレーム(1ms)てもよい。また、第2時間単位は第1の時間単位よりも短い時間であり、第3時間谷は第2時間単位よりも短い時間であると定義されてもよい。また、周期的に繰り返される第2時間単位の位置を示す番号の一例をSFNとし、周期的に繰り返される第1時間単位の位置を示す番号の一例をH-SFNとしてもよい。例えば、H-SFNは、周期的に繰り返される第1時間間隔のうち所定番号で示される位置の第1時間間隔と表現されてもよい。また、PHは、0~1023のH-SFNのうち複数のハイパーフレームに設定されていてもよい。
【0085】
上記実施形態における各種の信号、情報、パラメータは、どのようなレイヤでシグナリングされてもよい。すなわち、上記各種の信号、情報、パラメータは、上位レイヤ(例えば、NASレイヤ、RRCレイヤ、MACレイヤ等)、下位レイヤ(例えば、物理レイヤ)等のどのレイヤの信号、情報、パラメータに置き換えられてもよい。また、所定情報の通知は明示的に行うものに限られず、黙示的に(例えば、情報を通知しないことや他の情報を用いることによって)行われてもよい。
【0086】
また、上記実施形態における各種の信号、情報、パラメータ、IE、チャネル、時間単位及び周波数単位の名称は、例示にすぎず、他の名称に置き換えられてもよい。例えば、スロットは、所定数のシンボルを有する時間単位であれば、どのような名称であってもよい。また、RBは、所定数のサブキャリアを有する周波数単位であれば、どのような名称であってもよい。
【0087】
また、上記実施形態における端末10の用途(例えば、RedCap、IoT向け等)は、例示するものに限られず、同様の機能を有する限り、どのような用途(例えば、eMBB、URLLC、Device-to-Device(D2D)、Vehicle-to-Everything(V2X)等)で利用されてもよい。
【0088】
また、各種情報の形式は、上記実施形態に限られず、ビット表現(0又は1)、真偽値(Boolean:true又はfalse)、整数値、文字等適宜変更されてもよい。また、上記実施形態における単数、複数は相互に変更されてもよい。
【0089】
以上説明した実施形態は、本開示の理解を容易にするためのものであり、本開示を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、インデックス、条件等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、上記実施形態で説明した少なくとも一部の構成を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0090】
1…無線通信システム、10…端末、11…プロセッサ、12…記憶装置、13…通信装置、14…入出力装置、20…基地局、30…コアネットワーク、101…受信部、102…送信部、103…制御部、201…受信部、202…送信部、203…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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